JP2003197130A - 冷陰極表示装置及びその製造方法 - Google Patents

冷陰極表示装置及びその製造方法

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JP2003197130A
JP2003197130A JP2001274219A JP2001274219A JP2003197130A JP 2003197130 A JP2003197130 A JP 2003197130A JP 2001274219 A JP2001274219 A JP 2001274219A JP 2001274219 A JP2001274219 A JP 2001274219A JP 2003197130 A JP2003197130 A JP 2003197130A
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Susumu Sakamoto
進 阪本
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Noritake Electronics Ltd
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Noritake Co Ltd
Noritake Electronics Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】十分に薄く且つ相対位置精度の高いゲート電極
を備えた冷陰極表示装置およびその冷陰極表示装置を容
易に製造する方法を提供する。 【解決手段】背面板18および前面板16を重ね合わせ
て固着することによりFED10を製造するに際して、
誘電体層40の表面に複数の厚膜導体層が設けられたシ
ート部材42が球状スペーサ46を介してその背面板1
8に固着されることにより、エミッタ38と陽極24と
の間にゲート電極34が備えられる。そのため、シート
部材42は誘電体層40の表面にゲート電極34を構成
する厚膜導体層を備えたものであってその誘電体層40
に基づく高い機械的特性を有することから、その膜厚延
いては厚膜導体層の膜厚を薄くしても十分に高い機械的
強度を有することとなる。したがって、ゲート電極34
が金属薄板で構成される場合に比較して損傷し難いため
薄くすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷陰極表示装置お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、電界放出によって電子源(エミ
ッタ)から陽極に向かって真空中に電子を放出させ、そ
の電子でその陽極の表面に固着された蛍光体を励起して
発光させることにより画像を表示させる冷陰極表示装置
が知られている。ここで、「電界放出(電界電子放出)」
とは、強電場の作用により、量子力学的なトンネル現象
を利用して電子を固体表面から真空準位へ引き出すこと
である。真空準位と金属または半導体表面とのエネルギ
ー差は仕事関数(work function)φで表されるが、例え
ば通常の金属材料では仕事関数φが数(eV)と大きいた
め、室温において金属中の電子が真空中に飛び出すこと
はない。しかしながら、外部から強電場を作用させるこ
とによりポテンシャル障壁を薄くすると、トンネル効果
によって電子が確率論的に真空中に飛び出す。これが電
界放出であり、仕事関数φが小さいほど弱い電場で電子
を放出させることが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な冷陰極表示装置においては、発光させる蛍光体を選択
して所望の画像を表示するために、例えば、エミッタと
陽極との間にゲート電極が設けられる。ゲート電極は、
個々のエミッタの上方に1乃至複数個の電子通過孔を有
する導体であり、例えば、以下のようにして製造され
る。すなわち、例えば先端部を尖鋭にしたSpindt型と称
されるモリブデン・コーン等でエミッタが構成される場
合には、薄膜プロセスを用いてガラス基板上に陰極膜、
アモルファス・シリコンから成る抵抗膜、二酸化珪素か
ら成る絶縁膜、およびゲート膜を順次形成し、上記の電
子通過孔に対応する位置にイオン・エッチングや化学エ
ッチングでゲート膜および絶縁膜を除去して穴を開け、
更に、そのゲート膜上にニッケル膜を設けた後にモリブ
デン膜を成膜することで、上記のエミッタやゲート電極
等が形成される。しかしながら、この形式の冷陰極表示
装置は、薄膜プロセスを必須とするために製造コストが
高くなると共に対角数十インチ以上の大型表示装置の製
造が困難である。
【0004】これに対して、エミッタを多数本のカーボ
ン・ナノチューブ(以下、単にナノチューブという)で構
成することが提案されている。例えば、特開平10−1
49760号公報に記載された電界放出型冷陰極装置や
特開平10−012124号公報に記載された電子放出
素子等がそれである。ナノチューブとは、円筒状を成す
炭素原子(C)の結合体であって、径の異なる複数個のグ
ラファイト・シート(グラフェン・シートすなわち主と
して炭素の六員環から成るグラファイト層)が入れ子に
なり、全体の直径が1〜50(nm)程度、長さが100(μm)程
度以下の寸法を有する微細な構造体をいう。ナノチュー
ブは、微小径のその先端から効率よく電子放出が起き且
つエミッション特性に優れると共に、炭素原子だけで構
成されるため真空中で耐酸化性が高く化学的安定性に優
れ且つ耐イオン衝撃性も高い特徴を有している。このよ
うなナノチューブでエミッタが構成される場合には、ゲ
ート電極は、例えば、エッチング処理して電子通過孔を
設けた金属薄板をガラスフリット等で基板に固着するこ
とでエミッタの上方に設けられる。
【0005】しかしながら、この方法では、ゲート電極
は可及的に薄いことが望まれるにも拘わらずエッチング
処理や組み付け等の際の金属薄板の強度保持のために少
なくとも100(μm)程度以上の厚さ寸法が必要であり、例
えば対角40インチ以上の表示装置を製造しようとする場
合には膜厚を一層厚くする必要がある。しかも、ゲート
電極をエミッタ等が形成された基板に固定する際には、
基板や固定用ガラスフリット、端子との接続用導電材料
等との熱膨張の相違に起因して歪みや浮き、位置ずれ等
が生じ易いことから位置合わせが困難でもあった。更
に、ゲート電極は駆動の際の電圧の印加単位毎に区分さ
れた帯状に構成されるため、高画質になるほど寸法が小
さく且つ本数が多くなって取扱いが煩雑になると共に位
置合わせが一層困難となる。なお、基板をソーダライム
・ガラスで構成すると共に、ゲート電極材料にこれと同
様な熱膨張係数を有する426合金等を用いても、これを
基板に固着するための熱プロセスでは熱伝導性のよい金
属材料が基板等よりも早く温度上昇させられ、しかも、
その温度上昇が周辺から中央に向かって進むため、精度
よく固着することは困難である。
【0006】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は、十分に薄く且つ位置精度
の高いゲート電極を備えた冷陰極表示装置およびその冷
陰極表示装置を容易に製造する方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための第1の手段】斯かる目的を達成
するため、第1発明の冷陰極表示装置の要旨とするとこ
ろは、第1基板上に設けられた複数個のエミッタと、そ
の第1基板に平行な第2基板上にそのエミッタに対向し
て設けられ且つ各々の表面に蛍光体層が固着された複数
個の陽極と、それらエミッタおよび陽極の中間位置に設
けられ且つそのエミッタからその陽極に向かわせられる
電子が通過させられる複数個の貫通穴を有する複数個の
ゲート電極とを備え、その電子で前記蛍光体層を励起し
て発光させる形式の冷陰極表示装置であって、(a)前記
貫通穴を有する厚膜誘電体層と、前記複数個のゲート電
極をそれぞれ構成するために相互に電気的に独立してそ
の厚膜誘電体層の表面に積層された複数の厚膜導体層と
を備えたシート部材を含み、そのシート部材が前記第1
基板に所定粒径の複数個の球状体を介して固着されたこ
とにある。
【0008】
【第1発明の効果】このようにすれば、所定粒径の球状
体を介して第1基板に固着されたシート部材上の複数の
厚膜導体層で複数個のゲート電極が構成されるが、その
シート部材はその厚膜導体層が厚膜誘電体層の表面に積
層されたものであってその厚膜誘電体層に基づく高い機
械的特性を有するため、その膜厚延いては厚膜導体層の
膜厚を薄くしても十分に高い機械的強度を有することと
なる。そのため、ゲート電極が金属薄板で構成される場
合に比較して薄くしても損傷を受け難く、且つ、複数個
のゲート電極が厚膜誘電体層上に一体的に備えられるこ
とから個々に独立した導体で構成される場合のような相
互の位置合わせ等が困難になる問題もない。上記によ
り、十分に薄く且つ位置精度の高いゲート電極を備えた
冷陰極表示装置が得られる。しかも、シート部材はエミ
ッタが設けられた第1基板に所定粒径の球状体を介して
固着されているため、そのシート部材に設けられた厚膜
導体層すなわちゲート電極は、その第1基板上において
その球状体の粒径および粒径ばらつきに応じた一様な高
さ位置に位置する。そのため、球状体の粒径およびばら
つきを適宜選択することにより、エミッタとゲート電極
との間隔が極めて小さく且つ一様な大きさで電子の制御
が容易且つ確実な冷陰極表示装置が得られる利点もあ
る。
【0009】因みに、冷陰極表示装置では、エミッタと
ゲート電極との相互間隔(ギャップ)は一般に50(μm)程
度に設定されているが、これが小さいほどエミッタに印
加する電圧を低くでき且つ電子放出の制御が容易になる
ため、その相互間隔を例えば30(μm)程度以下好ましく
は20(μm)程度にすることが望まれている。しかしなが
ら、表示面内でその相互間隔がばらついていると表示の
均一性が得られないことから、10(%)程度のギャップ精
度が要求されるため、相互間隔が小さいほどそのばらつ
きの許容範囲が狭くなる。そのため、例えば金属薄板を
基板にガラスフリット等で固着してゲート電極を構成す
る場合には、譬え426合金等の熱膨張係数がガラスの
それに近い金属薄板を用い且つ低軟化点ガラスでこれを
固着しても、基板との熱容量の相違等に起因して金属薄
板に変形や反りが生じ、エミッタとの相互間隔の一様性
を確保することが困難になることから、その相互間隔を
十分に小さくすることができない問題もあった。
【0010】
【課題を解決するための第2の手段】また、前記目的を
達成するための製造方法に係る第2発明の要旨とすると
ころは、複数個のエミッタが設けられた第1基板と、各
々の表面に蛍光体層が固着された複数個の陽極が設けら
れた第2基板とを、そのエミッタからその陽極に向かわ
せられる電子を貫通させるための複数個の貫通穴を有す
る複数個のゲート電極をそれらの中間に位置させ且つ互
いに平行に重ね合わせて固着することにより、その電子
で前記蛍光体層を励起して発光させる形式の冷陰極表示
装置を製造する方法であって、(a)前記貫通穴を有する
厚膜誘電体層の表面に前記複数個のゲート電極をそれぞ
れ構成するための相互に電気的に独立する複数の厚膜導
体層が設けられたシート部材を、前記エミッタが設けら
れた第1基板上に所定粒径の複数個の球状体を介して固
着するシート部材固着工程を含むことにある。
【0011】
【第2発明の効果】このようにすれば、第1基板および
第2基板を重ね合わせて固着することにより冷陰極表示
装置を製造するに際して、複数の厚膜導体層が厚膜誘電
体層の表面に積層されて成るシート部材が所定粒径の球
状体を介してその第1基板に固着されることにより、エ
ミッタと陽極との間にゲート電極が備えられる。そのた
め、シート部材は厚膜誘電体層の表面にゲート電極を構
成する厚膜導体層が備えたものであってその厚膜誘電体
層に基づく高い機械的特性を有することから、その膜厚
延いては厚膜導体層の膜厚を薄くしても十分に高い機械
的強度を有することとなる。したがって、ゲート電極が
金属薄板で構成される場合に比較して薄くしても損傷を
受け難い。また、シート部材には複数の厚膜導体層が相
互に絶縁させられた状態で厚膜誘電体層上に一体的に備
えられていることから、個々に独立した導体で構成され
る場合のような相互の位置合わせが困難になる等の問題
もない。上記により、十分に薄く且つ相対位置精度の高
いゲート電極を備えた冷陰極表示装置を容易に製造する
ことができる。しかも、シート部材はエミッタが設けら
れた第1基板に所定粒径の球状体を介して固着されるた
め、そのシート部材に設けられた厚膜導体層すなわちゲ
ート電極は、その第1基板上においてその球状体の粒径
および粒径ばらつきに応じた一様な高さ位置に位置させ
られる。そのため、球状体の粒径およびばらつきを適宜
選択することにより、エミッタとゲート電極との間隔が
極めて小さく且つ一様な大きさで電子の制御が容易且つ
確実な冷陰極表示装置を製造することができる。
【0012】
【第2発明の他の態様】ここで、好適には、前記球状体
が介在させられる前記第1基板と前記シート部材との固
着部において、それら第1基板およびシート部材の相互
の対向面の少なくとも一方にそれらを固着するための接
着剤を逃がす凹みを備えたものである。このようにすれ
ば、余剰の接着剤が第1基板とシート部材との界面に存
在した場合にもその余剰の接着剤が凹みに逃げるため、
第1基板とシート部材との相互間隔延いてはゲート電極
とエミッタとの相互間隔を制御する球状体の機能が、そ
の余剰の接着剤により妨げられることが好適に抑制され
る。
【0013】また、好適には、前記の冷陰極表示装置の
製造方法は、(b)所定の第1温度よりも高い融点を有す
る粒子が樹脂で結合されて成る高融点粒子層で構成され
た膜形成面を有する支持体を用意する支持体準備工程
と、(c)前記第1温度で焼結させられる厚膜誘電体材料
の構成粒子が樹脂で結合されて成る誘電体ペースト膜を
前記膜形成面に前記厚膜誘電体層に対応する所定パター
ンで形成する誘電体ペースト膜形成工程と、(d)その誘
電体ペースト膜の表面に前記第1温度で焼結させられる
厚膜導体材料の構成粒子が樹脂で結合されて成る導体ペ
ースト膜を前記厚膜導体層に対応する複数に分割された
パターンで形成する導体ペースト膜形成工程と、(e)前
記誘電体ペースト膜および前記導体ペースト膜を設けた
前記支持体を前記第1温度で加熱処理することにより、
前記高融点粒子層を焼結させることなくそれら誘電体ペ
ースト膜および導体ペースト膜を焼結させて、それら誘
電体ペースト膜および導体ペースト膜から前記厚膜誘電
体層および前記厚膜導体層を生成するして前記シート部
材を得る焼成工程とを、含むものである。
【0014】このようにすれば、厚膜誘電体材料および
厚膜導体材料の焼結温度(第1温度)よりも高い融点を有
する高融点粒子層で構成された膜形成面に厚膜誘電体材
料および厚膜導体材料のペースト膜がそれぞれ所定パタ
ーンで形成された後、それら厚膜誘電体材料および厚膜
導体材料の焼結させられる第1温度で加熱処理が施され
ることにより、厚膜誘電体層の表面に厚膜導体層が形成
されたシート部材が生成される。そのため、その加熱処
理温度では焼結させられない高融点粒子層は樹脂が焼失
させられることにより高融点粒子のみが並ぶ層となるこ
とから、生成された厚膜は支持体に固着されないため、
その膜形成面から容易に剥離することができる。このと
き、厚膜誘電体材料および厚膜導体材料のペースト膜
は、材料や用途に応じた適宜の方法を用いることによ
り、簡便な設備を用いて所望のパターンで膜形成面に形
成することが可能である。しかも、加熱処理により焼結
させられるまでは膜形成面に塗布されることにより一時
的に固着された状態で取り扱われることから、取扱いが
容易である。したがって、ゲート電極を構成するための
シート部材を容易に製造し且つ冷陰極表示装置の製造に
用いることができる。
【0015】なお、上記のように高融点粒子のみが並ぶ
層の上で焼結させられる厚膜は、通常の厚膜形成とは異
なり、その収縮時に何ら形成面に拘束されない。そのた
め、形成面との間の収縮抵抗に起因する反りや変形等が
抑制され、延いてはそれら反りや変形に伴う亀裂の発生
等も解消される利点もある。
【0016】また、前記冷陰極表示装置の製造方法は、
一層好適には、(f)前記誘電体ペースト膜上のうち前記
導体ペースト膜が設けられていない部分に前記所定粒径
の球状体および前記第1温度で焼結させられる無機材料
粒子が樹脂中に分散させられた接合用ペースト膜を形成
する接合用ペースト膜形成工程と、(g)前記誘電体ペー
スト膜、前記導体ペースト膜、および前記接合用ペース
ト膜を設けた前記支持体を、前記エミッタが設けられた
前記第1基板に重ね合わせる重ね合わせ工程とを含み、
(e)前記焼成工程は、前記誘電体ペースト膜および導体
ペースト膜と同時に前記接合用ペースト膜を焼結させ
て、その前記接合用ペースト膜から生成される接合層で
前記シート部材と前記第1基板とを接合するものであ
る。
【0017】このようにすれば、誘電体ペースト膜上で
あって導体ペースト膜上から外れた位置に、前記球状体
と第1温度で焼結させられる無機材料粒子とを含む接合
用ペースト膜が形成されると共に、前記エミッタが設け
られた前記第1基板が前記支持体と重ね合わされた後、
前記焼成工程が施されることにより、前記厚膜誘電体層
および厚膜導体層が生成されると同時に上記の接合用ペ
ースト膜から接合層が生成され、その接合層で第1基板
とシート部材とが接合される。そのため、シート部材が
生成されると同時に第1基板に接合されるので、その生
成と接合とを別々の焼成処理で行う場合に比較して、焼
成回数が少なくなる利点がある。
【0018】また、前記冷陰極表示装置の製造方法にお
いて、好適には、前記誘電体ペースト膜形成工程は、前
記導体ペースト膜と同材料から成る他の導体ペースト膜
を前記厚膜導体相に対応するパターンで形成した後に、
その他の導体ペースト膜上に誘電体ペースト膜を設ける
ものである。すなわち、好適には、他の導体ペースト膜
を形成する第1導体ペースト膜形成工程と、誘電体ペー
スト膜形成工程と、その上に更に導体ペースト膜を形成
する第2導体ペースト膜形成工程が順次実施される。こ
のようにすれば、厚膜誘電体層の両面に厚膜導体層が備
えられたシート部材が得られ、その両面に設けられた厚
膜導体層で前記ゲート電極が構成される。そのため、厚
膜導体層と厚膜誘電体層との熱膨張係数の相違に起因し
て、シート部材を生成するための加熱処理時にそのシー
ト部材に反りが生じることが抑制される。特に、両面の
厚膜導体層が前記貫通穴の内面等を介して接続される場
合には、陽極側の厚膜導体層を外部回路と接続するため
の配線層とすると共に、エミッタ側の厚膜導体層を電子
を引き出すためのゲート電極とする役割分担が可能とな
るため、そのエミッタ側の厚膜導体層を、隣接するセル
(画素)への影響を排除しつつ所望のエミッタから選択的
に電子を引き出すための形状に最適化を図ることが容易
になる。
【0019】また、好適には、前記支持体準備工程は、
所定の基板の表面に前記高融点粒子層を形成するもので
ある。このようにすれば、ペースト膜が基板上に形成さ
れることから、加熱処理後にも支持体の形状が維持され
るため、高融点粒子層のみで支持体が構成されている場
合(例えば、セラミック生シートで支持体が構成されて
いる場合)に比較してゲート電極を構成するためのシー
ト部材の取扱いが容易になる利点がある。しかも、この
ような支持体が用いられる場合には、ペースト膜との間
に高融点粒子層が介在させられる基板は加熱処理の際に
そのペースト膜を何ら拘束せず、且つそのペースト膜の
表面粗度は高融点粒子層の表面粗度のみが反映されるこ
とから、基板の平坦度、表面粗度、膨張係数等のシート
部材の品質に及ぼす影響が小さくなるため、基板に高い
品質は要求されない。特に、前述したようにシート部材
が生成されると同時に第1基板に接合される場合には、
そのシート部材が支持体を構成する基板および第1基板
の2枚の基板で挟まれた状態で焼成されることとなる。
そのため、シート部材の両面における熱伝導の均一性が
高められることから厚膜導体層すなわちゲート電極の歪
みが抑制されると共に、略全体が覆われた状態で焼成さ
れることから塵埃が付着し難くなる利点がある。
【0020】また、好適には、前記基板は、前記焼成温
度で変形しないものである。このようにすれば、厚膜誘
電体層および厚膜導体層を生成するための加熱処理が施
される際にも膜形成面の形状が初期の形状に保たれるた
め、高融点粒子層を表面に形成することにより、支持体
として繰り返し使用可能となる利点がある。基板は、上
記の条件を満たす適宜のものが選ばれるが、例えば、一
般ガラス、耐熱ガラス、セラミック板、金属板等を用い
ることができる。
【0021】また、好適には、前記ペースト膜形成工程
は、厚膜スクリーン印刷法を用いて前記誘電体ペースト
膜および前記導体ペースト膜をそれぞれ形成するもので
ある。ペースト膜の形成方法としては、例えば、印刷、
サンド・ブラスト、リフトオフ、感光性ペーストを用い
たフォト・プロセス等の種々の方法からコスト、必要精
度、他の工程との兼ね合い等に応じて選択した適宜の方
法を用いることができるが、上記のように印刷法による
場合には、膜形成面のうち無用な部分には膜構成材料が
塗布されないことから、材料の無駄がない利点がある。
すなわち、セラミック生シートのプレス加工、或いはセ
ラミック・シートのレーザ加工や金属材料の化学エッチ
ング等によるもの等に比較して加工時に除去される材料
の無駄が極めて少なくなる。
【0022】上記のように厚膜スクリーン印刷法が利用
される場合において、一層好適には、上記第2導体ペー
スト膜形成工程は、上記第1導体ペースト膜形成工程で
用いるものよりも前記電子通過孔に対応する個々の開口
部が僅かに大きいパターンを備えたスクリーンを用いて
厚膜導体ペーストを塗布するものである。このようにす
れば、誘電体ペースト膜に設けられている電子通過孔に
対応する貫通穴の内壁面にも厚膜導体ペーストが塗布さ
れることとなるため、ゲート電極による電子放出の制御
機能が一層高められる利点がある。
【0023】また、好適には、前記高融点粒子は、セラ
ミックス或いはガラス・フリット等の無機材料から成る
ものである。高融点粒子としては、高融点粒子層を構成
する樹脂が焼失した後も何ら軟化等するものでなけれ
ば、適宜の無機材料を用いることができる。なお、具体
的な材質は、シート部材を構成する厚膜材料の種類やそ
の焼成温度等に応じて適宜選択される。
【0024】また、好適には、前記シート部材は、20〜
50(μm)程度の範囲内の膜厚を備えた厚膜誘電体層と、7
〜10(μm)程度の範囲内の膜厚を備えてその厚膜誘電体
層の一面或いは両面に固着された厚膜導体層とから成
り、全体で30〜70(μm)程度の厚み寸法を備えたもので
ある。このような厚さ寸法の範囲内であれば、可及的に
薄いことの望まれるゲート電極の構成部材として好適に
用いられ、しかも、厚膜スクリーン印刷法等の通常の厚
膜形成プロセスを利用して、シート部材を容易に製造す
ることができる。特に、本発明によれば、厚さ寸法が薄
くなっても製造時および加工時における取扱いの困難性
が少ないので、厚さ寸法が薄くなるほど、同様な寸法お
よび形状のシート部材を従来から用いられているエッチ
ングやプレス等で製造する場合に比較して大きな利点が
ある。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して詳細に説明する。
【0026】図1は、本発明の冷陰極表示装置の一例で
あるFED10の構成を一部を切り欠いて示す斜視図で
ある。図において、FED10は、それぞれの略平坦な
一面12,14が対向するように所定間隔を隔てて互い
に平行に配置された相互に略同様な寸法・形状の前面板
16および背面板18を備えたものであり、それらがそ
の周縁部において気密に封着されることにより内部に気
密空間が形成されている。なお、気密容空間内は、例え
ば6.7×10-5(Pa)[5×10-7(Torr)]程度の真空になって
いる。本実施例においては、背面板18が第1基板に、
前面板16が第2基板にそれぞれ相当する。
【0027】上記の前面板16および背面板18は、例
えば、軟化点が600(℃)程度のソーダライム・ガラスや
高歪点ガラス等で構成された透光性基板である。これら
は、例えば何れも800×500(mm)程度の外形寸法と3(mm)
程度の略一様な厚さ寸法とを備えたものであり、それら
の相互間隔は例えば1〜2(mm)程度に設定されている。
【0028】また、前面板16の一面(対向面)12に
は、例えばITO(酸化インジウム錫:Indium Tin Oxid
e)等から成るストライプ状の複数本の透明な陽極24
が、一方向に沿って並んで設けられている。それら複数
本の陽極24の各々の表面には、R(赤),G(緑),B
(青)の3つの発光色の何れかに対応する蛍光体層26
が、例えば、その一方向と直交する方向にR,G,Bの
順に繰り返し並び且つ陽極24の長手方向に一致するそ
の一方向に沿った方向において発光の単位毎に独立する
ように断続して備えられる。なお、蛍光体層26は陽極
24上において連続するストライプ状に設けられてもよ
い。上記の陽極24は、例えばスパッタ等の薄膜法によ
って例えば1(μm)程度の厚さ寸法に形成されたものであ
り、シート抵抗値が10(Ω/□)以下程度と比較的高い導
電性を備えている。また、上記の蛍光体層26は、例え
ば、電子線によって可視光を発するZnO:Zn,ZnS:Ag+In2
O3等の材料から構成されるものであって、例えば厚膜ス
クリーン印刷法等によって10〜20(μm)程度の厚さ寸法
で設けられることにより、面積抵抗率が500(Ω/cm2)以
下程度の導電性を備えている。
【0029】図2は、FED10の断面を拡大して示す
図である。前面板16は、一面12のうちの蛍光体層2
6が設けられていない残部には、例えば黒色顔料を含む
ガラスから成るブラック・マトリクス(ブラック・マス
ク)28が15〜20(μm)程度の厚さ寸法で設けられてお
り、それら蛍光体層26の表面およびブラック・マトリ
クス28の表面は、一面12の全面にそれら蛍光体層2
6およびブラック・マトリクス28の表面形状に倣って
設けられた100〜200(nm)程度の厚さのメタル・バック3
0によって覆われている。上記のブラック・マトリクス
28は例えば厚膜スクリーン印刷法等によって設けられ
たものであり、前述したようにマトリクス状に設けられ
た蛍光体層26相互の間を通る格子状を成す。なお、蛍
光体層26がストライプ状を成す場合には、ブラック・
マトリクス28に代えてその間を通るストライプ状のブ
ラック・マスクが設けられる。また、メタル・バック3
0は例えばアルミニウム薄膜の蒸着等によって設けられ
たものであり、比較的滑らかな表面を有しているが、電
子が容易に透過する程度の厚さの薄膜に形成されてい
る。
【0030】また、図2および前記の図1に示すよう
に、背面板18の一面(対向面)14には、複数本のカソ
ード電極32およびゲート電極34が互いに直交し且つ
相互に絶縁させられた状態で設けられており、それらの
交差部分毎に、ゲート電極34には厚み方向に貫通する
複数個の電子通過孔(ゲートホール)36が設けられてい
る。この電子通過孔36の開口径は電子放出効果および
放出面積(開口率)のトレード・オフの関係で決まるもの
であるが、ドット寸法が3(mm)程度の場合には例えば100
(μm)程度である。一方、カソード電極32上にはその
電子通過孔36に対応する部分毎にエミッタ(冷陰極)3
8が備えられている。
【0031】上記のカソード電極32は例えば、スパッ
タ等の薄膜法や印刷等の厚膜法等によって形成された金
(Au)や厚膜銀等の導電材料から成るものであり、ゲート
電極34は例えば厚膜銀等の厚膜導体材料から成るもの
である。また、エミッタ38は、例えば、ゲート電極3
4に向かって配向する極めて多数のナノチューブ(CN
T)が密集したものであり、C=20(μm)程度の膜厚を備
え、そのゲート電極34との間隔はG=27〜30(μm)程
度になっている。なお、エミッタ38は、モリブデン(M
o)等から成るスピント(spindt)型と呼ばれる1(μm)程度
の高さ寸法を備えた円錐状の冷陰極等であってもよい。
【0032】また、厚膜導体材料から成るゲート電極3
4は、例えば厚さ寸法が20〜50(μm)程度で320×430(m
m)程度の大きさを備えた薄板状の誘電体層40上、例え
ばその両面の同一位置に、7〜10(μm)程度の一様な膜厚
で所定の相互間隔を以て互いに平行に設けられた穴明き
帯状を成す厚膜である。この誘電体層40は、PbO-B2O3
-SiO2-Al2O3-TiO2系の低軟化点ガラスおよびアルミナ等
のセラミックフィラー等の厚膜誘電体材料から成るもの
であって、背面板18を構成するソーダライム・ガラス
と同程度の熱膨張係数を備えている。すなわち、本実施
例においては、厚膜誘電体層40とその表面に積層固着
された厚膜導体層とを備えて50(μm)程度の厚さ寸法を
有するシート部材42がFED10に設けられており、
ゲート電極34は、その厚膜導体層で構成される。
【0033】図3にシート部材42の一部を拡大した平
面図を示す。誘電体層40は、電子通過孔36が図に示
す位置すなわちゲート電極34と同じ位置に設けられた
矩形の薄板である。複数本のゲート電極34は、その誘
電体層40上に相互に電気的に絶縁させられた状態で備
えられており、その長手方向に所定の相互間隔を以て、
前記カソード電極32との交点となる位置毎に電子通過
孔36が密集した開口群44が形成されている。前記の
図1においては交点毎に4つの電子通過孔36が描かれ
ているが、実際には、図に示すような多数の或いは更に
多数の電子通過孔36が備えられているのである。電子
通過孔36の相互間隔は例えば150(μm)程度になってい
る。なお、誘電体層40の両面に設けられているゲート
電極34は、上記電子通過孔36の内壁面に設けられた
厚膜導体層により相互に接続されており、図示しない外
部回路に接続されているのは例えば陽極24側の一面に
設けられている一方だけである。すなわち、本実施例に
おいては、厚膜導体層のうちエミッタ38側に位置する
ものが電子を制御する本来のゲート電極として機能し、
陽極24側に位置するものは配線として機能する。
【0034】また、誘電体層40は、ゲート電極34の
固着されていない部分において略一様に分布する球状ス
ペーサ46で支持されることにより、ゲート電極34を
エミッタ38から離隔した一定の高さ位置に位置させて
いる。球状スペーサ46は例えば最大径が30〜50(μm)
程度に調整された略一様な直径を備えたガラスビーズや
セラミックボール等から成るものであり、ガラスフリッ
ト等が溶融させられた接着層47で略全体が覆われてい
る。すなわち、シート部材42は、この接着層47によ
って背面板18に固着されているのである。なお、シー
ト部材42の高さ位置すなわちエミッタ38とゲート電
極34とのギャップは、基板18とシート部材42との
間に介在させられた球状スペーサ46の最大径で略決定
されるため、適当な粒度分布を有する群の粗粒子側を最
大径に応じて定めた目開きのフィルタ(メッシュ等)で除
去することにより、最大径を抑え且つその最大径の占め
る割合を高めることができる。
【0035】このように、本実施例ではシート部材42
上の複数の厚膜導体層で複数個のゲート電極34が構成
されるが、そのシート部材42は誘電体層40の表面に
そのゲート電極34を備えたものであってその誘電体層
40に基づく高い機械的特性を有するため、その膜厚延
いてはゲート電極34の膜厚を前述したように極めて薄
くしても十分に高い機械的強度を有することとなる。そ
のため、ゲート電極34が金属薄板で構成される場合に
比較して薄くしても損傷を受け難く、且つ、複数個のゲ
ート電極34が誘電体層40上に一体的に備えられるこ
とから個々に独立した導体で構成される場合に比較して
高い相対位置精度が実現されている。しかも、シート部
材42と背面板18との間には球状スペーサ46が備え
られており、エミッタ38とゲート電極34砥の間隔G
はその球状スペーサ46の直径に略一致する極めて小さ
な値になっており、且つその間隔Gのばらつきも球状ス
ペーサ46の直径ばらつきに略一致する。そのため、可
及的に間隔Gを小さくすることが望まれるFED10に
おいて、その間隔Gを極めて小さくしながらその一様性
が保たれている。
【0036】このため、カソード電極32およびゲート
電極34にそれぞれ所定の信号電圧および走査電圧が印
加されると、それらの間の大きな電圧勾配に基づいて生
じる電界放出(Field Emission)によってエミッタ38か
ら電子が放出される。この電子は、前面板16上に設け
られた陽極24に所定の正電圧が印加されることによ
り、電子通過孔36を通ってその陽極24に向かって飛
ぶ。これにより、その陽極24上に設けられている前記
蛍光体層26に電子が衝突させられ、蛍光体層26が発
光させられる。このとき、蛍光体層26はメタル・バッ
ク30で覆われているが、そのメタル・バック30は蒸
着形成された薄膜であって電子が容易に透過する程度の
厚さであるため、エミッタ38から放出され且つ陽極2
4に引き寄せられた電子は、そのメタル・バック30を
透過して蛍光体層26に入射して蛍光体に衝突する。一
方、蛍光体層26で発生した光は、前面板16側だけで
なく背面板18側にも向かうが、その背面板18側に向
かう光はメタル・バック30で前面板16側に反射され
る。したがって、発生した光の殆どが前面板16を透過
して射出されることとなるため、実質的な発光効率が高
められる。このため、背面板18側からは蛍光体層26
の発光が観察され得ず、FED10は、前面板16側か
ら蛍光体層26を透過した光を観察する所謂透過型の表
示装置に構成されている。
【0037】ところで、上記のようなFED10は、例
えば図4に示される工程図に従って別々に処理(或いは
製造)されたゲート電極34、背面板18、および前面
板16を組み立てることで製造される。背面板18の処
理工程においては、先ず、カソード形成工程48におい
て、背面板18の一面14上に例えばスパッタ法等で金
等から成る導電膜を成膜してパターニングすること等に
より前記のカソード電極32を形成する。続くエミッタ
形成工程50においては、別途製造したCNTから成る
複数個のエミッタ38をそのカソード電極32上の所定
の位置(ゲート電極34との交点となる位置)に導電性接
着剤等を用いて固着する。接合工程52においては、ゲ
ート電極34の処理工程のシート部材作製工程54にお
いて作製した前記のシート部材42或いは後述するよう
にその半製品を、球状スペーサ46を介してこの背面板
18に重ね合わせ、ガラスフリット等を用いて接合す
る。
【0038】一方、前面板16の処理工程においては、
先ず、陽極形成工程56において、一面12にITOか
ら成る前記の陽極24をスパッタ等の薄膜法によって形
成し、次いで、ブラック・マスク形成工程58におい
て、その一面12上に例えば厚膜スクリーン印刷法等を
用いて黒色顔料を含む絶縁ガラス・ペーストを印刷し、
例えば450(℃)程度の温度で焼成処理を施すことによ
り、前記のブラック・マスク28を形成する。続く蛍光
体層形成工程60においては、そのブラック・マスク2
8の格子内に、RGB3色に対応する3種の蛍光体ペー
ストを色毎に定められた所定位置に厚膜スクリーン印刷
法等によって塗布し、例えば450(℃)程度の温度で焼成
処理を施すことにより、前記の蛍光体層26を設ける。
その後、メタル・バック形成工程62において、適宜前
処理を施してアルミニウム薄膜を蒸着することにより、
それら蛍光体層26およびブラック・マトリクス28の
表面を覆うようにメタル・バック30を形成する。
【0039】そして、組立工程64においては、上記の
ようにしてそれぞれ処理された背面板18および前面板
16を、別途用意したスペーサを介して一面12、14
が向かい合うように積み重ねて加熱処理を施すことによ
り、そのスペーサ或いは一面12,14に塗布されたシ
ール・ガラス等の封着剤で気密に接合する。この後、排
気工程66において、図示しない排気穴から排気するこ
とにより、前記図1に示されるFED10が得られる。
【0040】上記の製造工程において、シート部材作製
工程54は、よく知られた厚膜印刷技術を応用した例え
ば図5に示される示す工程に従って実施される。以下、
シート部材42の製造方法を、製造工程の要部段階にお
ける状態を表した図6(a)〜(e)および図7(f)、(g)を参
照して説明する。
【0041】先ず、基板用意工程68では、厚膜印刷を
施す基板70(図6参照)を用意し、その表面72等に適
宜の清浄化処理を施す。この基板70は、後述する加熱
処理の際に殆ど変形や変質の生じないものであって、例
えば、熱膨張係数が87×10-7(/℃)程度で、740(℃)程度
の軟化点および510(℃)程度の歪み点を備えたソーダラ
イム・ガラス等から成るガラス基板が好適に用いられ
る。なお、基板70の厚さ寸法は例えば2.8(mm)程度で
あり、その表面72の大きさは前記のシート部材42よ
りも十分に大きい400×450(mm)程度である。
【0042】次いで、剥離層形成工程74では、高融点
粒子が樹脂で結合させられた剥離層76を、基板70の
表面72に例えば5〜50(μm)程度の厚さ寸法で設ける。
上記の高融点粒子は、例えば平均粒径が0.5〜3(μm)程
度の高軟化点ガラスフリットおよび平均粒径が0.01〜5
(μm)程度のアルミナやジルコニア等のセラミック・フ
ィラーを混合したものである。上記の高軟化点ガラス
は、例えば550(℃)程度以上の軟化点を備えたものであ
り、混合物である高融点粒子の軟化点は、例えば550
(℃)程度以上になっている。また、樹脂は、例えば350
(℃)程度で焼失させられるエチルセルロース系樹脂等で
ある。この剥離層76は、例えば、上記の高融点粒子お
よび樹脂がブチルカルビトールアセテート(BCA)等の
有機溶剤中に分散させられた無機材料ペースト30を、
例えば図6(a)に示すようにスクリーン印刷法を用いて
基板70の略全面に塗布し、室温において乾燥させるこ
とで設けられるが、コータやフィルム・ラミネートの貼
り付け等で設けることもできる。図6(b)は、このよう
にして剥離層76を形成した段階を示している。なお、
図6(a)において、80はスクリーン、82はスキージ
である。本実施例においては、上記の剥離層76を備え
た基板70が支持体に、その剥離層76の表面が膜形成
面にそれぞれ相当し、上記の基板用意工程68および剥
離層形成工程74が支持体準備工程に対応する。
【0043】続く厚膜ペースト層形成工程84では、前
記のゲート電極34を形成するための厚膜導体ペースト
86および前記の誘電体層40を形成するための厚膜誘
電体ペースト88(図6(a)参照)を、無機材料ペースト
78と同様にスクリーン印刷法等を利用して剥離層76
上に所定のパターンで順次に塗布する。このとき、スク
リーン32は、前記の図3に示されるゲート電極34お
よび誘電体層40の形状にそれぞれ対応する開口パター
ンを備えたものが用いられ、焼成収縮後にそれぞれ前記
の膜厚が得られるように設定された所定の厚さ寸法で厚
膜導体ペースト86および厚膜誘電体ペースト88が塗
布される。すなわち、厚膜導体ペースト86は互いに平
行な複数本の穴明き帯状パターンで塗布され、厚膜誘電
体ペースト88は、全面で連続する穴明き連続パターン
で塗布される。図6(c)〜(e)は、それぞれ厚膜導体ペー
スト86,厚膜誘電体ペースト88,および厚膜導体ペ
ースト86が順次塗布されることにより、導体印刷層9
0,誘電体印刷層92,導体印刷層94が形成された段
階を示している。なお、電子通過孔36内の導体層は、
例えば導体印刷層94を形成する際に、導体印刷層90
を形成する場合よりも開口パターン径が僅かに大きくさ
れたスクリーン80を用いて厚膜導体ペースト86を塗
布して、これを内壁面に沿って流下させることにより設
けられる。但し、図6においては、電子通過孔36に相
当する穴の内壁面のペーストを省略した。本実施例で
は、厚膜ペースト層形成工程84は、2回の導体印刷層
形成工程および1回の誘電体印刷層形成工程で構成され
ている。上記の厚膜誘電体ペースト88は、アルミナや
ジルコニア等の誘電体材料粉末、ガラスフリット、およ
び樹脂が有機溶剤中に分散させられたものである。ま
た、厚膜導体ペースト86は、銀粉末等の導体材料粉
末、ガラスフリット、および樹脂が有機溶剤中に分散さ
せられたものである。上記のガラスフリットは、例えば
PbO-B2O3-SiO2-Al2O3-TiO2系の低軟化点ガラス等が用い
られ、樹脂および溶剤は例えば無機材料ペースト78と
同様なものが用いられる。
【0044】なお、上記のように厚膜誘電体ペースト8
8が厚膜導体ペースト86の塗布されていない部分にも
塗布されることから、その部分すなわち帯状パターンの
相互間は、その厚膜誘電体ペースト88が流れ込むこと
によりこれに埋め尽くされるか、表面張力により浮いた
状態に保たれて誘電体印刷層92が下に凸形状となって
いる。図6、図7においては、後者の状態となっている
場合を示した。
【0045】次いで、必要に応じて接着層形成工程95
が実施される。この工程では、印刷層90〜94の上か
ら誘電体印刷層92のうち導体印刷層94で覆われてい
ない部分に接着剤ペーストを塗布することにより、接着
剤印刷層97を形成する。この接着剤ペーストは、低軟
化点ガラスフリット、前記の球状スペーサ46、および
樹脂が溶剤に分散させられたものである。この球状スペ
ーサ46は、例えば上記ガラスフリットよりも十分に軟
化点の高いガラスや、アルミナ等のセラミックス等から
成るものである。なお、接着剤ペーストの塗布は、例え
ばディスペンサ等を用いて行われる。図7(f)は、この
段階を示している。
【0046】上記のようにして厚膜印刷層90〜94ま
たはこれに加えて接着剤印刷層97を形成した後、これ
を乾燥工程96において例えばこれを乾燥して溶剤を除
去する。接着剤印刷層97が設けられた場合には、次い
で、図4に示される接合工程52が実施されるが、接着
剤印刷層97が設けられない場合には、続いて図5に示
される焼成工程98以下が実施される。
【0047】前者の場合には、接合工程52において、
前記のように処理された背面板18をエミッタ38が下
側となる向きで接着剤印刷層97に重ね、炉室100内
に入れて厚膜導体ペースト86および厚膜誘電体ペース
ト88の種類に応じた例えば550(℃)程度の焼成温度で
加熱処理を施す。図7(g)は背面板18を重ねた状態
を、(h)は加熱処理中の状態を示している。
【0048】上記の加熱処理過程において、厚膜印刷層
90〜94は、その焼結温度が例えば550(℃)程度であ
るため、その樹脂成分が焼失させられると共に誘電体材
料、導体材料、およびガラスフリットが焼結させられ、
誘電体層40および厚膜導体層(ゲート電極34)すなわ
ちシート部材42が生成されると同時に、接着剤印刷層
97から接着層47が生成され、その接着層47で背面
板18にシート部材42が接合される。図7(i)は、こ
の状態を示している。すなわち、この場合には、シート
部材42に生成される印刷層90〜94上に接着剤印刷
層97が形成されることにより、シート部材42と背面
板18との間に球状スペーサ46が設けられることにな
る。このとき、前記の剥離層76は、前述したようにそ
の無機成分粒子が550(℃)以上の軟化点を備えたもので
あるため、樹脂成分は焼失させられるが高融点粒子(ガ
ラス粉末およびセラミック・フィラー)は焼結させられ
ない。そのため、加熱処理の進行に伴って樹脂成分が焼
失させられると、剥離層76は高融点粒子102(図8
参照)のみから成る粒子層104となる。
【0049】図8は、図7(i)の右端の一部を拡大し
て、上記の加熱処理における焼結の進行状態を模式的に
示した図である。なお、図においては説明に無用な背面
板18を省略した。剥離層76の樹脂成分が焼失させら
れて生成された粒子層104は、単に高融点粒子102
が積み重なっただけの層であり、その高融点粒子102
は互いに拘束されていない。そのため、図に一点鎖線で
示される焼成前の端部位置から厚膜印刷層90〜94が
収縮するときには、その高融点粒子102がコロの如き
作用をする。これにより、厚膜印刷層90〜94の下面
側でも基板70との間にその収縮を妨げる力が作用しな
いので、上面側と同様に収縮させられることから、収縮
量の相違に起因する密度差や反り等は何ら生じていな
い。このようにして基板70に接合されることなくシー
ト部材42が製造された後、その基板70を背面板18
に接合されているシート部材42から剥離し、必要に応
じて下側に位置していた導体印刷層90から生成された
ゲート電極34から高融点粒子102を除去する処置を
施すことにより、接合工程52が終了する。
【0050】なお、本実施例においては、基板70の熱
膨張係数は誘電体材料と略同じであり、厚膜印刷層90
〜94の焼結が開始するまで、すなわち、樹脂成分は焼
失させられたがガラスフリット、誘電体材料粉末や導体
粉末の結合力が未だ小さい温度範囲ではこれらの熱膨張
量に殆ど差はない。一方、厚膜印刷層90〜94の焼結
が開始するときには、上述したように粒子層104の作
用によって基板70はその焼成収縮を何ら妨げない。し
たがって、基板70の熱膨張は生成される厚膜の品質に
実質的に影響しない。なお、基板70を繰り返し使用す
る場合や熱処理温度が高くなる場合には、歪み点の一層
高い耐熱性ガラス(例えば、熱膨張係数が32×10-7(/℃)
程度で軟化点が820(℃)程度のパイレックス・ガラス
(「パイレックス」は米国コーニング社の登録商標)や、
熱膨張係数が5×10-7(/℃)程度で軟化点が1580(℃)程度
の石英ガラス等)を用いることができる。この場合に
も、誘電体材料粉末等の結合力が小さい温度範囲では基
板70の熱膨張量が極めて小さくなるので、その熱膨張
が生成される厚膜の品質に影響することはない。
【0051】図5に戻って、接着層形成工程95が実施
されない場合には、乾燥工程96が実施された後、焼成
工程98において、印刷層90〜94が設けられた基板
70の焼成処理が実施される。この焼成工程98では、
接着剤印刷層97が設けられておらず且つ背面板18が
重ねられない他は接着剤印刷層97が設けられた場合に
おける前記の接合工程52と同様にして、図7(i)に示
されるよう印刷層90〜94から誘電体層40およびゲ
ート電極34が生成されると共に剥離層76が粒子層1
04となることにより、基板70に接合させられること
なくシート部材42が得られる。剥離工程106では、
生成された厚膜すなわち誘電体層40およびゲート電極
34の積層体を基板70から剥離する。それらの間に介
在させられている粒子層104は高融点粒子102が単
に積み重なっただけであるので、上記剥離処理は何らの
薬品や装置を用いることなく容易に行い得る。このと
き、積層体の裏面には高融点粒子102が一層程度の厚
みで付着し得るが、この付着粒子は、必要に応じて、続
く粒子除去工程108において、粘着テープやエアブロ
ー等を用いて除去する。なお、厚膜が剥離された基板7
0は、前述したように前記の焼成温度では変形および変
質し難いものであるため、同様な用途に繰り返し用いら
れる。また、このようにシート部材42が単独で作製さ
れる場合には、その表面或いは背面板18の表面に接着
剤印刷層97と同様な膜を設け、前記の接合工程52が
実施される。
【0052】ここで、本実施例においては、背面板18
および前面板16を重ね合わせて固着することによりF
ED10を製造するに際して、誘電体層40の表面に複
数の厚膜導体層が設けられたシート部材42が球状スペ
ーサ46を介してその背面板18に固着されることによ
り、エミッタ38と陽極24との間にゲート電極34が
備えられる。そのため、シート部材42は誘電体層40
の表面にゲート電極34を構成する厚膜導体層を備えた
ものであってその誘電体層40に基づく高い機械的特性
を有することから、その膜厚延いては厚膜導体層の膜厚
を薄くしても十分に高い機械的強度を有することとな
る。したがって、ゲート電極34が金属薄板で構成され
る場合に比較して薄くしても損傷を受け難い。また、シ
ート部材42には複数のゲート電極34が相互に絶縁さ
せられた状態で誘電体層40上に一体的に備えられてい
ることから、取扱いが容易であると共に個々に独立した
導体で構成される場合のような相互の位置合わせが困難
になる等の問題もない。上記により、十分に薄く且つ相
対位置精度の高いゲート電極34を備えたFED10を
容易に製造することができる。しかも、シート部材42
は、エミッタ38が設けられた背面板18に球状スペー
サ46を介して固着されるため、そのシート部材42に
設けられたゲート電極34は、その背面板18上におい
てその球状スペーサ46の粒径およびそのばらつきに応
じた一様な高さ位置に位置させられる。そのため、前述
したようにエミッタ38とゲート電極34との間隔Gが
極めて小さく且つ一様な大きさで電子の制御が容易且つ
確実なFED10が得られる。
【0053】また、本実施例においては、厚膜誘電体ペ
ースト88および厚膜導体ペースト86の焼結温度より
も高い融点を有する剥離層76で構成された膜形成面に
誘電体印刷層92および導体印刷層90,94が所定パ
ターンで形成された後、それらの焼結させられる温度で
加熱処理が施されることにより、誘電体層40の両面に
ゲート電極34を構成する厚膜導体層が形成されたシー
ト部材42が生成される。そのため、その加熱処理温度
では焼結させられない剥離層76は樹脂が焼失させられ
ることにより高融点粒子102のみが並ぶ粒子層104
となることから、生成された厚膜は基板70に固着され
ないため、その表面72から容易に剥離することができ
る。したがって、ゲート電極34を構成するためのシー
ト部材42を容易に製造し且つFED10の製造に用い
ることができる。
【0054】また、本実施例においては、厚膜ペースト
86,88の塗布される支持体は、基板70の表面に剥
離層76が形成されることにより構成されるため、加熱
処理後にも支持体の形状が維持されるため、剥離層76
のみで支持体が構成されている場合に比較してシート部
材42の生成後の取扱いが容易になる利点がある。な
お、厚膜印刷層90〜94と基板70との間には剥離層
76が介在させられていることから、加熱処理の際にそ
の厚膜印刷層90〜94を何ら拘束しないため、基板7
0の平坦度や表面粗度等は特に問題にならない。すなわ
ち、例えば図9(a)に示されるように基板表面72が凹
状に反っている場合には、厚膜印刷層90〜94はその
表面72に倣って反りを有して形成される。しかしなが
ら、生成される厚膜(シート部材42)が十分に薄い場合
には、焼成後にも十分な柔軟性があるため、図9(b)に
示すように平坦面Hに置いた場合にその面に倣ってシー
ト部材42も平坦になる。また、基板70の表面粗度が
悪い場合にも、シート部材42の表面粗度はそれに接す
る剥離層76の表面性状のみに影響されるのである。
【0055】また、本実施例の一の態様においては、誘
電体印刷層92上であって導体印刷層94から外れた位
置に、前記球状スペーサ46とシート部材42の焼成温
度で焼結させられるガラスフリットとを含む接着剤印刷
層97が形成されると共に、エミッタ38が設けられた
背面板18が基板70と重ね合わされた後、焼成工程が
施されることにより、前記誘電体層40および厚ゲート
電極34が生成されると同時に接着剤印刷層97から接
着層47が生成され、その接着層47で背面板18とシ
ート部材42とが接合される。そのため、シート部材4
2が生成されると同時に背面板18に接合されるので、
その生成と接合とを別々の焼成処理で行う場合に比較し
て、焼成回数が少なくなる利点がある。
【0056】また、本実施例においては、厚膜印刷層9
0〜94は、厚膜スクリーン印刷法を用いて形成される
ことから、装置が簡単且つ材料の無駄が少ないため、低
コストとなる利点がある。
【0057】また、本実施例によれば、ゲート電極34
がシート部材42の形態で提供されることから、金属の
みで構成される場合に比較して熱容量が背面板18や接
合のためのガラスフリット等と似ているため、製造過程
で種々の熱処理を施した場合にもその熱容量の相違に起
因するゲート電極34の変形が生じ難い利点がある。
【0058】また、本実施例によれば、厚膜スクリーン
印刷法を用いて膜形成がされることから所謂ウェット・
プロセスがないため、排水処理が容易になる利点もあ
る。因みに、ウェット・プロセスでは、溶液が膜内に浸
透して残存すると、前面板16および背面板18を接着
して真空容器を構成した後のアウトガスの原因になり得
る。これを避けるためには、構成材料の耐熱温度を高く
して気密封着後の排気温度を高め、或いは排気時間を長
くする等の工程負荷が重くなるような処置が必要とな
る。また、ゲート電極34等の導体層を厚膜銀で構成す
る場合には、銀が誘電体層40に浸透・拡散することに
より信頼性が低下する問題もある。
【0059】図10(a)〜(c)は、シート部材42の他の
膜構成例を説明する図である。図10(a)に示されるシ
ート部材110では、電子通過孔36の内壁面に厚膜導
体層が形成されておらず、誘電体層40の両面に設けら
れている厚膜導体層すなわちゲート電極34は相互に接
続されていない。このようなシート部材110は、例え
ば、前記の図6(e)に示されるように上側の導体印刷層
94を形成するに際して、導体印刷層90を形成する場
合と同じスクリーン80を用いて厚膜導体ペースト86
を塗布することにより製造される。図10(b)に示され
るシート部材112では、ゲート電極34が誘電体層4
0の上面すなわち陽極24側の一面だけに設けられてお
り、図10(c)に示されるシート部材114では、下面
すなわちエミッタ38側の一面だけに設けられている。
これらは、前記の図6(e)に示される工程を省略し、或
いは図6(c)に示される工程を省略することで作製する
ことができる。厚膜導体層は誘電体層40上に適宜の形
状で設けることができ、上記シート部材110〜114
の何れを用いても、前記のFED10と同様な冷陰極表
示装置を製造することができる。これらは、印加電圧や
表示面積等の種々の駆動条件に応じて選択すればよい。
【0060】また、図11は、ゲート電極34に設けら
れている電子通過孔36の形状の他の例を示す図であ
る。図に示す例では電子通過孔116が六角形状を成
す。複数個の電子通過孔116は、その外周縁と隣接す
る他の電子通過孔116の外周縁との相互間隔が一定の
大きさになるように配置されている。このような形状と
した場合には、円形の電子通過孔36に比較して開口率
を大きくできる利点がある。誘電体層40およびゲート
電極34は厚膜スクリーン印刷法で設け得るので、開口
形状も比較的自由に決定することができる。したがっ
て、要求される電子制御機能に応じて適宜の形状に設計
すればよい。
【0061】図12は、背面板18とシート部材42と
の接合構造の一例を示す断面図である。(a)に示す構造
では、背面板18の内面のシート部材42と接合される
部分に例えば2本の溝状の凹み140が設けられてお
り、(b)に示す構造では、シート部材42の背面板18
と接合される部分に例えば2本の溝状の凹み142が設
けられている。これらの凹み140,142は、接合す
る際に溶融させられたガラスフリットの逃げスペースと
なるものである。このようにすれば、余剰のガラスフリ
ットが背面板18或いはシート部材42と球状スペーサ
46との間に入り込むことによってその球状スペーサ4
6の機能が失われ或いは減じられること、すなわち間隔
Gの制御機能が減じられることが好適に抑制される。な
お、図においては凹み140,142の何れか一方のみ
が設けられているが、両方が併用されても差し支えな
い。また、凹み140,142の形状は、図に示すよう
な断面形状の他、1本の溝や3本以上の互いに平行な細
溝であってもよく、或いは、点在する円形や矩形の凹み
であってもよい。
【0062】図13,図14は、本発明のシート部材の
製造方法の他の構成例を説明する工程図および要部段階
における模式図である。本実施例においては、厚膜ペー
スト層形成工程84と乾燥工程96との間にパターニン
グ工程118が設けられている。図14(a)は、厚膜ペ
ースト層形成工程84の実施後の状態を示した図であ
り、図に示されるように、厚膜ペースト層(導体印刷層
或いは誘電体印刷層)120は何らパターン化されない
で「ベタ」に設けられている。このような厚膜ペースト
層94は、感光性樹脂で構成されたものであって、例え
ば、コータやフィルム・ラミネート等によって形成され
る。
【0063】続くパターニング工程118では、所定パ
ターンの露光マスク122を介して露光処理を施した
後、水洗等の現像処理が施される。図14(b)は露光処
理の実施状態を表した図であり、図において124は露
光ランプである。図14(c)に現像処理後すなわちパタ
ーニング後の状態を示す。この後、乾燥工程96以下が
実施されることにより、シート部材42と同様なシート
部材が得られることとなる。要求されるゲート電極34
の形状や寸法・形状精度等に応じて、このようなパター
ニングを厚膜ペーストの塗布とは別に実施する方法に
も、本発明を適用することができる。しかも、シート部
材42を構成する複数の材料から成る層(すなわち例え
ば誘電体層と導体層)を重ねて塗布形成し、或いはシー
トの貼り付けで形成し、露光・現像を一括処理すれば、
位置合わせが不要になるため工程負荷が軽減されると共
にパターンの微細化が容易になる利点もある。
【0064】図15は、セラミック生シート126が支
持体として用いられた場合を説明するための図6(e)お
よび図7に対応する図である。本実施例では、セラミッ
ク生シート126の表面128に厚膜ペーストが塗布さ
れることにより誘電体印刷層92および導体印刷層9
0,94が形成されており、そのセラミック生シート1
28が炉室100内に投入されることによって、セッタ
130に乗せられた状態で焼成処理が施される。このた
め、焼成処理後には、セッタ130の上に粒子層104
を介して厚膜シート(誘電体層40およびゲート電極3
4)が乗せられた状態となるが、セッタ130の表面状
態や反応性等が特に問題なければこのようにしてシート
部材42を製造することもできる。なお、セラミック生
シート126を基板70等の上に乗せて焼成することも
無論可能である。また、図においては接着剤印刷層97
が設けられないままシート部材42が単独で作製される
場合を示しているが、上記のような方法は、図7に示さ
れるようにシート部材42が精製されると同時に背面板
18に接合される場合にも同様に適用される。
【0065】以上、本発明を図面を参照して詳細に説明
したが、本発明は更に別の態様でも実施できる。
【0066】例えば、実施例においては、エミッタ38
がCNTで構成されたFED10に本発明が適用された
場合について説明したが、エミッタ38と陽極24との
間にゲート電極34を必要とする形式の冷陰極表示装置
であれば、スピント型やペンシル型等種々の形状のエミ
ッタを備えたものにも本発明は同様に適用される。
【0067】また、実施例のFED10は、3色の蛍光
体層26を備えてフルカラー表示をさせる形式のもので
あったが、本発明は、1色或いは2色の蛍光体層を備え
たFEDであっても同様に適用される。
【0068】また、実施例においては、シート部材42
の厚さ寸法が50(μm)程度にされていたが、その膜厚は
陽極24とエミッタ38との相互間隔や必要とされる機
械的強度等に応じて適宜変更される。厚さ寸法を変更す
る場合には、要求される導電性や厚さ寸法に応じて導体
層(ゲート電極34)および誘電体層40の両方或いは一
方の厚さ寸法を変更すればよい。なお、誘電体層40を
厚くするほど機械的強度が高くなり、導体層を厚くする
ほど導電性が高められるので、それぞれの厚さ寸法やシ
ート部材42全体の厚さ寸法は、これらの兼ね合いで定
めることが望ましい。
【0069】また、実施例においては、ゲート電極34
として機能する導体層を有したシート部材42が背面板
18上に固着されていたが、シート部材42はゲート電
極34をエミッタ38と陽極24との間の高さ位置に設
けるためのものであるので、前面板16および背面板1
8の中間の所定位置に固定されるのであれば、それらの
うち何れに固着されていても差し支えない。
【0070】その他、一々例示はしないが、本発明は、
その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷陰極表示装置の一例であるFEDを
一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図2】図1のFEDの断面を詳細に説明する図であ
る。
【図3】図1のFEDに備えられたシート部材を示す平
面図である。
【図4】図1のFEDの製造方法を説明する工程図であ
る。
【図5】図3の厚膜シートの製造方法を説明する工程図
である。
【図6】(a)〜(e)は、図5の製造工程の要部段階におけ
る基板および厚膜の状態を示す図である。
【図7】(f)、(g)は、図5の製造工程の要部段階におけ
る基板および厚膜の状態を示すための図6に続く図であ
る。
【図8】図5の焼成工程における収縮挙動を説明するた
めの図7(g)の一部を拡大して示す図である。
【図9】(a)、(b)は、基板の反りの影響を説明する図で
ある。
【図10】(a)〜(c)はゲート電極を構成するためのシー
ト部材の他の例を説明する断面図である。
【図11】ゲート電極に設けられる電子通過孔の形状の
他の例を説明する図である。
【図12】(a),(b)は、それぞれシート部材と背面板と
の接合構造の一例を示す断面図である。
【図13】本発明の製造方法の他の適用例であって、図
3に示すシート部材の他の製造方法を説明する工程図で
ある。
【図14】(a)〜(c)は、図13の製造工程の要部段階に
おける厚膜の状態を説明する図である。
【図15】(a)〜(c)は、本発明の更に他の実施例の工程
の要部段階における厚膜の状態を説明する図である。
【符号の説明】
10:FED 16:前面板 18:背面板 24:陽極 34:ゲート電極 38:エミッタ 40:誘電体層 42:シート部材 46:球状スペーサ 76:剥離層 92:誘電体印刷層 90,94:導体印刷層 104:粒子層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阪本 進 福岡県朝倉郡夜須町大字三並字八ツ並2160 番地 ノリタケ電子工業株式会社夜須工場 内 Fターム(参考) 5C012 AA05 BB07 5C036 EE14 EE19 EF01 EF06 EF09 EG12 EG31 EH06 EH08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1基板上に設けられた複数個のエミッ
    タと、その第1基板に平行な第2基板上にそのエミッタ
    に対向して設けられ且つ各々の表面に蛍光体層が固着さ
    れた複数個の陽極と、それらエミッタおよび陽極の中間
    位置に設けられ且つそのエミッタからその陽極に向かわ
    せられる電子が通過させられる複数個の貫通穴を有する
    複数個のゲート電極とを備え、その電子で前記蛍光体層
    を励起して発光させる形式の冷陰極表示装置であって、 前記貫通穴を有する厚膜誘電体層と、前記複数個のゲー
    ト電極をそれぞれ構成するために相互に電気的に独立し
    てその厚膜誘電体層の表面に積層された複数の厚膜導体
    層とを備えたシート部材を含み、そのシート部材が前記
    第1基板に所定粒径の複数個の球状体を介して固着され
    たことを特徴とする冷陰極表示装置。
  2. 【請求項2】 複数個のエミッタが設けられた第1基板
    と、各々の表面に蛍光体層が固着された複数個の陽極が
    設けられた第2基板とを、そのエミッタからその陽極に
    向かわせられる電子を貫通させるための複数個の貫通穴
    を有する複数個のゲート電極をそれらの中間に位置させ
    且つ互いに平行に重ね合わせて固着することにより、そ
    の電子で前記蛍光体層を励起して発光させる形式の冷陰
    極表示装置を製造する方法であって、 前記貫通穴を有する厚膜誘電体層と、前記複数個のゲー
    ト電極をそれぞれ構成するために相互に電気的に独立し
    てその厚膜誘電体層の表面に積層された複数の厚膜導体
    層とを備えたシート部材を、前記エミッタが設けられた
    第1基板上に所定粒径の複数個の球状体を介して固着す
    るシート部材固着工程を含むことを特徴とする冷陰極表
    示装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記球状体が介在させられる前記第1基
    板と前記シート部材との固着部において、それら第1基
    板およびシート部材の相互の対向面の少なくとも一方に
    それらを固着するための接着剤を逃がす凹みを備えたも
    のである請求項2の冷陰極表示装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 所定の第1温度よりも高い融点を有する
    粒子が樹脂で結合されて成る高融点粒子層で構成された
    膜形成面を有する支持体を用意する支持体準備工程と、 前記第1温度で焼結させられる厚膜誘電体材料の構成粒
    子が樹脂で結合されて成る誘電体ペースト膜を前記膜形
    成面に前記厚膜誘電体層に対応する所定パターンで形成
    する誘電体ペースト膜形成工程と、 その誘電体ペースト膜の表面に前記第1温度で焼結させ
    られる厚膜導体材料の構成粒子が樹脂で結合されて成る
    導体ペースト膜を前記厚膜導体層に対応する複数に分割
    されたパターンで形成する導体ペースト膜形成工程と、 前記誘電体ペースト膜および前記導体ペースト膜を設け
    た前記支持体を前記第1温度で加熱処理することによ
    り、前記高融点粒子層を焼結させることなくそれら誘電
    体ペースト膜および導体ペースト膜を焼結させて、それ
    ら誘電体ペースト膜および導体ペースト膜から前記厚膜
    誘電体層および前記厚膜導体層を生成して前記シート部
    材を得る焼成工程とを、含むものである請求項2の冷陰
    極表示装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記誘電体ペースト膜上のうち前記導体
    ペースト膜が設けられていない部分に前記所定粒径の球
    状体および前記第1温度で焼結させられる無機材料粒子
    が樹脂中に分散させられた接合用ペースト膜を形成する
    接合用ペースト膜形成工程と、 前記誘電体ペースト膜、前記導体ペースト膜、および前
    記接合用ペースト膜を設けた前記支持体を、前記エミッ
    タが設けられた前記第1基板に重ね合わせる重ね合わせ
    工程とを含み、 前記焼成工程は、前記誘電体ペースト膜および導体ペー
    スト膜と同時に前記接合用ペースト膜を焼結させて、そ
    の前記接合用ペースト膜から生成される接合層で前記シ
    ート部材と前記第1基板とを接合するものである請求項
    4の冷陰極表示装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記支持体準備工程は、所定の基板の表
    面に前記高融点粒子層を形成するものである請求項4ま
    たは請求項5の冷陰極表示装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記基板は、前記焼成温度で変形しない
    ものである請求項6の冷陰極表示装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記ペースト膜形成工程は、厚膜スクリ
    ーン印刷法を用いて前記誘電体ペースト膜および前記導
    体ペースト膜をそれぞれ形成するものである請求項4乃
    至請求項7の何れかの冷陰極表示装置の製造方法。
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CN111343734A (zh) * 2020-05-20 2020-06-26 广东康烯科技有限公司 一种石墨烯发热膜的制备方法

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