JP2004205976A - 表示パネルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液晶パネルP1は、それぞれの厚みが0.15mm以上0.3mm以下の一対のガラス基板1,2と、一対のガラス基板1,2を接合するシール材4とを備える。一対のガラス基板1,2のうち少なくとも一方の外側面には、樹脂層5が積層されている。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示パネルおよびその製造方法に関する。本発明の表示パネルは、液晶パネル、プラズマ表示パネル、エレクトロクロミック表示パネルなどに適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
表示装置の一つである液晶パネルを薄型化するために、基板の薄膜化が従来から検討されている。現在の液晶パネルは、それぞれの厚みが3mm〜0.4mmの一対のガラス基板が一般に用いられ、これらの基板の間に、厚みが数ミクロンの液晶層を挟んで構成される。厚みが0.4mmよりも小さいガラス基板を採用すると、機械的強度が低下するので、使用する際にガラス基板が破損する等の問題を生じる。
【0003】
特許文献1には、少なくとも一種以上の樹脂層からなる樹脂板の片面または両面に、厚みが500μm以下のガラスフィルムを積層した積層板が開示されている。この積層板は、ガラス並みの表面硬度と樹脂の熱加工性および切断加工性を合わせ持つだけでなく、耐溶剤性、制電性等がガラスと同等の表面特性を有する。
【0004】
特許文献2には、厚さ0.1μm以上100μm以下のガラスフィルムの少なくとも一方の面に、厚さ1μm以上1000μm以下のプラスチックフィルムを積層固着したプラスチックフィルム・ガラスフィルム積層体が開示されている。この積層体は、ガラスの持つ耐薬品性、耐摩耗性、ガスバリヤー性等を兼ね備え、ハンドリング性および二次加工性に優れる。
【0005】
特許文献3には、熱硬化性樹脂製の本体の表面にガラスフィルム又はガラスフィルムと樹脂層とからなる被覆層が固着された熱硬化性樹脂複合品が開示されている。また、特許文献3の段落0041には、ガラスフィルムの厚みは0.1〜100μmが好ましく、0.1〜20μmがさらに好ましいことが開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−340029号公報
【特許文献2】
特開2001−113631号公報
【特許文献3】
特開2001−162721号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1〜3は、これら特許文献に開示された積層体(複合品)を表示装置用基板として利用することについて開示していない。本発明者らは、液晶パネルの製造ラインを用いて、これら積層体(複合品)から液晶パネルを製造することを試みたところ、以下の知見を得た。
【0008】
第1に、液晶パネルが製造ライン上での衝撃に耐えるためには、ガラス基板の両面を樹脂でコートしなければならない。したがって、積層体(複合品)の総膜厚が厚くなるので、表示装置の薄型軽量化を実現することが困難である。また、コストも高くなる。
【0009】
第2に、積層する樹脂の種類によって耐熱温度が異なるので(概ね250℃〜300℃)、製造プロセスにおいて積層体(複合品)に加えることのできる熱量に制約が生じる。また、ガラス基板と樹脂層との積層時や積層板への加熱冷却プロセスにおいて、ガラスと樹脂との熱膨張率の差によって積層体(複合品)に反りが発生するので、不良品の発生率が高い。例えば、厚み0.2mm前後のガラス基板上に樹脂層が積層された積層基板を製造ラインに流した場合、樹脂の耐熱温度以下の温度においても、加熱冷却プロセスを繰り返すことによって、ガラスと樹脂との熱膨張率の差による基板の反りが発生する。このため、基板が割れたり、パターニング精度や貼り合わせ精度が低下したりなどの問題が発生するおそれがある。したがって、製造ライン上での制約により、特許文献1〜3に開示された積層体(複合品)から液晶パネルを製造することは、量産には不向きである。
【0010】
本発明は、製造ライン上での制約を受けることなく、表示パネルの薄型軽量化を実現することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の表示パネルは、それぞれの厚みが0.15mm以上0.3mm以下の一対のガラス基板と、前記一対のガラス基板を接合するシール材とを備える表示パネルであって、前記一対のガラス基板のうち少なくとも一方の外側面には、樹脂層が積層されている。
【0012】
本発明の表示パネルでは、1枚あるいは2枚のガラス基板の外側面のみを樹脂で覆うことによって、表示パネルの機械的強度が高められている。これは、対向する2枚のガラス基板がシール材により接合されているので、表示パネルの最外表面のみを樹脂により強化することで、外的なストレスに対して十分な強度を確保できるからである。したがって、本発明の表示パネルによれば、2枚のガラス基板のそれぞれの両面を強化する場合と比較して、樹脂層の総膜厚が薄くなるので、表示パネルの薄型軽量化を実現することができる。また、製造ラインでの衝撃に耐えうる程度の機械的強度を有するので、製造ラインによる量産に適する。
【0013】
前記樹脂層は、主として有機樹脂からなる層であっても良い。これにより、ガラス基板が露出したものと比較して、耐磨耗性が向上するので、表示パネルの表面が傷つき難くなる。また、ガラス基板に有機樹脂層を積層することにより、曲率の比較的小さな形状を有するガラス基板にも対応でき、柔軟で強度のある樹脂−ガラス積層板が形成される。
【0014】
前記樹脂層は、無機コロイド粒子と有機バインダ樹脂とから構成されるハイブリッド材料を含んでいても良い。ハイブリッド材料を含む無機−有機複合薄膜は、有機性のみならず無機性をも帯びるので、弾性率や硬度等の力学特性が向上し、耐熱性や耐薬品性が飛躍的に向上する。
【0015】
前記樹脂層は、厚みが2μm以上50μm以下であることが好ましい。0.15mm以上0.3mm以下の薄膜化されたガラス基板に対して十分な機械的強度が確保されるとともに、二次加工性も向上し、薄型軽量化が可能となる。
【0016】
前記一対のガラス基板のうち一方のガラス基板は、内側面に端子が形成された端子部を有しており、前記内側面には、樹脂層が形成されていても良い。表示パネルにおいて、端子部は、シール材よりも外側に位置する1枚のガラス板であるので、構造的にストレスに最も弱い。端子部の内側面にも樹脂層を積層することによって、言い換えれば、端子部のみを両面樹脂コートすることによって、構造的にストレスに最も弱い端子部を効果的に強化することが可能となる。
【0017】
前記内側面には、集積回路チップが実装されており、前記端子と前記集積回路チップとの接続部分が少なくとも樹脂で被覆されていることが好ましい。これにより、端子と集積回路チップとの接続部分が樹脂コートにより補強されるので、接続信頼性が向上する。
【0018】
前記一対のガラス基板のうち少なくとも一方の内側面には、偏光層が積層されていても良い。これにより、一対の基板間に液晶層などの光変調層が介在する場合、エッチングによるガラス厚の公差や樹脂層の厚み公差によるリターデーションの変化を抑制できる。また、ガラス基板の強度の向上を図ることも可能である。
【0019】
本発明の第1の局面による表示パネルの製造方法は、本発明の表示パネルを製造する方法であって、前記シール材を介して、それぞれの厚みが0.3mmよりも厚い一対のガラス基板を貼り合わせる工程と、貼り合わされた前記一対のガラス基板のそれぞれを厚みが0.15mm以上0.3mm以下になるまで薄膜化する工程と、薄膜化された前記一対のガラス基板のうち少なくとも一方の外側面に、樹脂層を形成する工程とを含む。
【0020】
この製造方法によれば、樹脂層の形成工程前に、貼合わせ工程が行われるので、製造プロセスにおいて加えることのできる熱量の制約が緩和される。また、ガラス基板と樹脂層との積層時において、あるいはプレス工程などの積層板への加熱プロセスにおいて、ガラスと樹脂(例えば、プラスチック)との熱膨張率の差によって発生する積層板の反りが解消される。さらに、貼合わせ工程において、位置合わせ精度の低下などの問題を回避することができる。したがって、容易に薄型の樹脂(例えば、プラスチックフィルム)強化ガラス基板を形成することができる。
【0021】
前記薄膜化工程は、化学的エッチング工程または物理的研磨工程を含むことが好ましい。
【0022】
本発明の第2の局面による表示パネルの製造方法は、それぞれの厚みが0.15mm以上0.3mm以下の一対のガラス基板と、前記一対のガラス基板を接合するシール材とを備え、両面に樹脂層が積層されている表示パネルを製造する方法であって、前記樹脂層を介して、前記ガラス基板と支持基板とを貼り合わせることにより積層基板(ガラス−樹脂−ガラス)を形成する工程と、前記支持基板を外側にし、前記シール材を介して、一対の前記積層板を貼り合わせる工程と、貼り合わされた前記一対の積層板の前記支持基板を化学的エッチングにより除去する工程とを含む。
【0023】
前記支持基板は、厚みが0.5mm以上であることが好ましく、0.7mm以上がより好ましい。前記樹脂層は、厚みが2μm以上50μm以下であることが好ましい。前記樹脂層は、主として有機樹脂からなる層、または無機コロイド粒子と有機バインダ樹脂とから構成されるハイブリッド材料を含む層であることが好ましい。
【0024】
この製造方法によれば、積層基板が十分に厚いので、製造ライン上での機械的強度が確保される。また、支持基板を十分に厚くすることができるので、熱膨張率の差による基板の反りを抑制できる。言い換えれば、温度制約を受けない。したがって、シール材を介して安定に貼り合わせることが可能となる。さらに、貼合わせ後に化学的エッチングにより支持基板を除去する場合に、樹脂層がエッチングストッパとして作用するので、樹脂層−ガラス基板の総膜厚を均一化することも可能である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態では、表示パネルとして液晶パネルを例にして説明するが、本発明の表示パネルは、液晶パネル以外の他の表示パネルに適用することができる。具体的には、表示媒体として液晶材料以外の光学媒体を採用した表示素子、例えば、プラズマ表示パネル(PDP)、無機または有機のEL(エレクトロルミネッセンス)表示パネル、エレクトロクロミック表示(ECD)パネル、電気泳動表示パネルなどの表示パネルに適用できる。
【0026】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の液晶パネルを模式的に示す平面図であり、図2は、図1のII−II線断面図である。この液晶パネルP1は、COG(Chip On Glass )方式にて液晶パネルP1にベアチップ実装される液晶駆動用ICチップ(以下、「駆動用IC」という。)10を有する。
【0027】
液晶パネルP1は、スイッチング素子が形成された素子基板1と、素子基板1に対向して配置された対向基板2と、両基板1,2間に介在する液晶層3とを有する。両基板1,2は、シール材4を介して、貼り合わされている。素子基板1の液晶層3側の面(内側面)には、マトリクス状に配置された複数の画素電極(不図示)が形成され、対向基板2の液晶層3側の面(内側面)には、共通電極(不図示)が形成されている。マトリクス状に配置された複数の画素電極は、それぞれの電圧印加を制御するTFT(Thin Film Transistor)に接続されている。TFTは、駆動用IC10に接続されたソース配線やゲート配線と接続されている。駆動用IC10からのゲート信号によって、TFTのスイッチングが制御され、マトリクス状に配置された複数の画素電極への電圧印加が制御される。これにより、画素ごとに液晶層3の透過率が制御されて、階調表示が行われる。
【0028】
素子基板1および対向基板2のそれぞれは、厚みが0.15mm以上0.3mm以下のガラス基板である。両基板1,2のうち少なくとも一方の基板は、液晶層3に対して反対側の面(外側面)が樹脂層5で覆われている。本実施形態では、両基板1,2の外側面に、樹脂層5がそれぞれ形成されている。
【0029】
素子基板1の内側面には、シール材4よりも外側に端子(不図示)が形成されている。端子は、素子基板1に形成されたソース配線やゲート配線等に接続されている。この端子に駆動用IC10のバンプが接合することによって、駆動用IC10が液晶パネルP1にベアチップ実装される。シール材4よりも外側であって、端子が形成された領域およびその近傍領域における素子基板1の部分を、以下では端子部1aと呼ぶ。
【0030】
次に、本実施形態の液晶パネルP1の製造工程について、図面を参照しながら説明する。図3(A)〜図3(C)は、液晶パネルP1の製造工程を模式的に示す平面図である。図4(A)〜図4(C)は、液晶パネルP1の製造工程を模式的に示す断面図である。図4(A)および図4(B)は、それぞれ図3(A)におけるIVA−IVA線断面図、図3(B)におけるIVB−IVB線断面図である。
【0031】
まず、厚み0.4mmのソーダガラス基板上に、TFT素子、ソース配線、ゲート配線、ITO(Indium Tin Oxide)などからなる画素電極およびこれらを覆う配向膜を形成し(いずれも不図示)、配向膜にラビング処理を施して、素子基板1を形成する。また、厚み0.4mmの他のソーダガラス基板上に、カラーフィルタ層および配向膜を形成し(いずれも不図示)、配向膜にラビング処理を施して、対向基板2を形成する。
【0032】
素子基板1上の周辺に、表示エリアを囲むシール材4を形成する。シール材4は、ディスペンサを用いてシールパターンを基板1上に描画するディスペンサ方式、またはパターニングされたシールパターンを印刷するスクリーン印刷方式によって、形成することができる。シール材4としては、熱硬化型や紫外線硬化型の樹脂が用いられる。両基板1,2の位置合わせを行った後、シール材4を介して、両基板1,2を重ね合わせる。両基板1,2を加圧しながら、加熱または紫外線を照射して、両基板1,2を貼り合わせる(図3(A)および図4(A)参照)。なお、シール材4は、液晶材料を注入するための注入口4aを有する。
【0033】
両基板1,2間の周縁部に、ディスペンサを用いて、UV(紫外線)硬化型接着材6を浸透させる。UV照射装置によって接着材6を硬化させて、基板内部を密封し、外部から遮断する(図3(B)および図4(B)参照)。
【0034】
両基板1,2の外側面をフッ酸に晒す化学的エッチングによって、両基板1,2を薄膜化する。薄膜化は、それぞれの基板1,2の厚みが0.1mm以上0.3mm以下になるまで、言い換えれば、貼り合わされた積層体の厚みが概ね0.2mm以上0.6mm以下になるまで行う。なお、本実施形態では化学的エッチングにより薄膜化を行う場合について説明したが、物理的な研磨により薄膜化しても良い。物理的な研磨による場合には、UV硬化型接着材6で基板エッジを密封する工程は不要である。
【0035】
熱硬化型の樹脂材料としてアクリル系樹脂を用いて、スピンコータにより樹脂材料を両基板1,2の外側面に塗布する。約200℃で熱処理を行うことで、厚み1μm以上100μm以下、好ましくは2μm以上50μm以下の樹脂層5を形成して、液晶パネルP1を形成する(図4(C)参照)。
【0036】
なお、本実施形態では、熱硬化型の樹脂を用いたが、UV(紫外線)硬化型の樹脂を用いて樹脂層5を形成しても良い。樹脂の種類としては、エポキシ樹脂、PES(ポリエーテルサルホン)樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂等の有機樹脂が挙げられる。樹脂層5は、主として有機樹脂から構成される。また、有機樹脂に代えて、ガラス基板に対して密着性の高いハイブリッド材料を用いることが望ましい。ハイブリッド材料を用いることによって、弾性率や硬度等の力学特性が向上し、耐熱性や耐薬品性が飛躍的に向上する。ハイブリッド材料は、無機コロイド粒子と有機バインダ樹脂とから構成される。例えば、シリカなどの無機コロイド粒子と、エポキシ樹脂、ポリウレタンアクリレート樹脂やポリエステルアクリレート樹脂などの有機バインダ樹脂とから構成される。
【0037】
樹脂層5を形成した後、液晶パネルP1を所定のサイズに分断加工して、接着材6による接合部分を除去する。また、シール材4の注入口4aを両基板1,2の端面に露出させる。分断加工とは、ガラス基板の表面にスクライブラインを引き、スクライブラインに沿ってガラス基板を分断(ブレーク)することである。分断加工の後、素子基板1の端子部1aに対向する対向基板の部分をブレークすることにより取り除いて、端子部1aの内側面を露出させる(図3(C)参照)。以下、端子部1aの内側面を露出させることを「端子出し」ともいう。
【0038】
シール材4の注入口4aから液晶材料を注入して、両基板1,2間に液晶層3を形成する。液晶材料の注入は、ディスペンサ方式、またはディスペンサ方式により行うことができる。液晶材料を注入した後、注入口4aを封止材7にて封口する。具体的には、ディスペンサを用いて、熱硬化型またはUV硬化型の樹脂を注入口4aに塗布し、加熱または紫外線照射により硬化させる。その後、素子基板1の端子部1aの内側面に、駆動用IC10をベアチップ実装することにより、本実施形態の液晶パネルP1が形成される(図1参照)。
【0039】
(試験例)
ガラス基板および樹脂層の厚みを種々変更した液晶パネルを形成した。これらの液晶パネルを用いて、分断加工および端子出しを行ったときのクラックの発生等を調べた。その結果を表1にまとめて示す。
【0040】
【表1】
【0041】
樹脂層がない液晶パネルでは、ガラス基板の厚みが0.25mm以下の場合、基板が薄すぎるので、分断加工を行う際に分断精度が得られず、基板にクラックが生じた。また、端子部の機械的強度が低いので、端子出しにおいて端子部が破損した(表1中の▲1▼参照)。ガラス基板の厚みが0.30mmの場合、ガラス基板が厚いので、分断加工を行う際に、基板にクラックは生じなかった。しかし、端子出しにおいて端子部が破損した(表1中の▲2▼参照)。ガラス基板の厚みが0.35mm以上の場合、分断加工を行う際に、基板にクラックは生じなかった。また、端子出しにおいて端子部は破損しなかった(表1中の▲3▼参照)。しかし、ガラス基板の厚みが0.35mm以上の場合、液晶パネルの厚みが約0.7mmとなるので、液晶パネルを薄型化するという目的は達成できない。
【0042】
樹脂層の厚みが1μmの液晶パネルでは、ガラス基板の厚みが0.15mm以下の場合、基板が薄すぎるので、分断加工を行う際に分断精度が得られず、基板にクラックが生じた。また、端子部の機械的強度が低いので、端子出しにおいて端子部が破損した(表1中の▲4▼参照)。ガラス基板の厚みが0.20mmの場合、ガラス基板が厚いので、分断加工を行う際に、基板にクラックは生じなかった。しかし、端子出しにおいて端子部が破損した(表1中の▲5▼参照)。ガラス基板の厚みが0.25mm以上の場合、分断加工を行う際に、基板にクラックは生じなかった。また、端子出しにおいて端子部は破損しなかった(表1中の▲6▼参照)。なお、樹脂層の厚みが1μmの液晶パネルでは、樹脂層がない液晶パネルと比較して、落下試験などの強度試験において優れていた。したがって、樹脂層の厚みが1μmの液晶パネルは、樹脂層がない液晶パネルよりも、製造ラインによる量産に適していることが分かった。
【0043】
樹脂層の厚みが2μmの液晶パネルでは、ガラス基板の厚みが0.10mmの場合、基板が薄すぎるので、分断加工を行う際に分断精度が得られず、基板にクラックが生じた。また、端子部の機械的強度が低いので、端子出しにおいて端子部が破損した(表1中の▲7▼参照)。ガラス基板の厚みが0.15mmの場合、分断加工を行う際に、基板にクラックは生じなかった。また、端子出しにおいて端子部は破損しなかった(表1中の▲8▼参照)。なお、表1には示していないが、樹脂層の厚みが50μmよりも厚く、かつガラス基板の厚みが0.15mmの液晶パネルでは、クラックや端子部の破損はなかった。しかし、樹脂を50μmよりも厚く成膜した場合、樹脂層がない液晶パネルと比較して、液晶パネルの総膜厚が約0.1mm厚くなるので、薄膜化のメリットがなくなる。また、樹脂の比重がガラスの比重よりも大きいので、軽量化のメリットもなくなる。液晶パネルの総膜厚と重さの観点から、樹脂層の厚みは20μm以下とすることが望ましい。
【0044】
(実施形態2)
図5は、実施形態2の液晶パネルを模式的に示す断面図である。以下の図面においては、液晶パネルP1の構成要素と実質的に同じ機能を有する構成要素を同じ参照符号で示し、その説明を省略する。
【0045】
本実施形態の液晶パネルP2は、素子基板1および対向基板2のそれぞれの内側面に偏光層8が形成されている点で、実施形態1の液晶パネルP1と異なる。偏光層8を液晶パネルP2内に設けることによって、エッチングによる基板厚の面内バラツキや樹脂の厚みバラツキによる偏光の乱れが解消されるので、偏光が乱れることによる表示品位への悪影響がない。また、素子基板1および対向基板2に偏光層8が形成されることによって、ガラス基板の強度が向上する。
【0046】
本実施形態の液晶パネルP2の製造工程は、素子基板1および対向基板2のそれぞれの内側面に偏光層8を形成した後に、配向膜を形成する点のみが、実施形態1の液晶パネルP1の製造工程と異なる。偏光層8は、二色性色素や染料を含有する樹脂などを塗布し、硬化させることによって、形成することができる。二色性色素や染料としては、ジアゾ系、トリスアゾ系、アントラキノン系の色素や染料が例示される。
【0047】
(実施形態3)
図6は、実施形態3の液晶パネルを模式的に示す平面図であり、図7は、図6のVII −VII 線断面図である。本実施形態の液晶パネルP3は、素子基板1の外側面と、素子基板1の端子部1aの内側面とに、樹脂層5がそれぞれ形成されている。言い換えれば、端子部1aの両面には、樹脂層5が形成されている。また、端子と駆動用IC10との接続部分が樹脂で被覆されている。これにより、端子と駆動用IC10との接続部分が樹脂コートにより補強されるので、接続信頼性が向上する。
【0048】
本実施形態の液晶パネルP3の製造工程について、図面を参照しながら説明する。図8(A)および図8(B)は、液晶パネルP3の製造工程を模式的に示す平面図であり、図9(A)〜図9(C)は、液晶パネルP3の製造工程を模式的に示す断面図である。図9(A)および図9(B)は、それぞれ図8(A)におけるIXA−IXA線断面図、図8(B)におけるIXB−IXB線断面図である。
【0049】
まず、実施形態1と同様に、厚み0.4mmのソーダガラス基板上にTFT素子等を形成して、素子基板1を形成する。また、厚み0.4mmの他のソーダガラス基板上にカラーフィルタ層等を形成して、対向基板2を形成する。
【0050】
スクリーン印刷等によって、素子基板1上の周辺に、表示エリアを囲むシール材4を形成する。シール材4として、例えば紫外線硬化型の樹脂を用いる。対向基板2上に液晶材料を滴下した後、シール材4を介して、両基板1,2を重ね合わせる。両基板1,2を加圧しながら紫外線を照射することによりシール材4を硬化させて、両基板1,2間を接合する(図8(A)および図9(A)参照)。本実施形態では、両基板1,2の貼り合わせとともに、液晶層3が形成される。
【0051】
液晶パネルP3を所定のサイズに分断加工した後、端子出しを行う。これにより、素子基板1の端子部1aの内側面が露出する(図8(B)および図9(B)参照)。
【0052】
両基板1,2を物理的研磨によって薄膜化する。例えば、ポリシング装置などを用いて、両基板1,2の外側面を研磨する。薄膜化は、それぞれの基板1,2の厚みが0.1mm以上0.3mm以下になるまで、言い換えれば、貼り合わされた積層体の厚みが概ね0.2mm以上0.6mm以下になるまで行う(図9(C)参照)。素子基板1の端子に駆動用IC10のバンプを接合して、駆動用IC10を液晶パネルP3にベアチップ実装する。
【0053】
熱硬化型の樹脂材料としてアクリル系樹脂を用いて、ディップにより樹脂材料を素子基板1の外側面と、素子基板1の端子部1aの内側面とに塗布する。このとき、端子部1aの内側面には、駆動用IC10がベアチップ実装されているので、端子と駆動用IC10との接続部分が樹脂コートされる。約200℃で熱処理を行うことで、厚み1μm以上100μm以下、好ましくは2μm以上50μm以下の樹脂層5を形成して、液晶パネルP3を形成する。
【0054】
なお、本実施形態では、熱硬化型の樹脂を用いたが、UV(紫外線)硬化型の樹脂を用いて樹脂層5を形成しても良い。樹脂の種類としては、エポキシ樹脂、PES(ポリエーテルサルホン)樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂等の有機樹脂が挙げられる。樹脂層5は、主として有機樹脂から構成される。また、有機樹脂に代えて、ガラス基板に対して密着性の高いハイブリッド材料を用いることが望ましい。ハイブリッド材料は、無機コロイド粒子と有機バインダ樹脂とから構成される。例えば、シリカなどの無機コロイド粒子と、エポキシ樹脂、ポリウレタンアクリレート樹脂やポリエステルアクリレート樹脂などの有機バインダ樹脂とから構成される。
【0055】
本実施形態では、分断加工および端子出しをガラス基板の研磨前に行う。すなわち、基板が厚い状態で研磨を行う。したがって、実施形態1の場合よりも、薄膜化が可能であり、例えば0.1mmまでガラス基板を研磨することができる。しかし、ガラス基板の厚みが0.1mmの場合には、その後の樹脂形成時に端子部が破損する。一方、ガラス基板の厚みが0.15mmの場合には、樹脂形成時における端子部1aの破損は認められない。素子基板1の外側面だけでなく、端子部1aの内側面にも樹脂層5を形成することによって、素子基板1の外側面だけに樹脂層5を形成した場合と比較して、端子部1aの破壊強度が約2倍となった(島津製EZテスター、端子部3点曲げ屈曲試験)。したがって、本実施形態の液晶パネルP3は、製造ラインによる量産に適していることが分かった。
【0056】
本実施形態では、端子部1aの内側面の全面に樹脂層5を形成している。しかし、端子部1aの内側面の全面に樹脂層5を形成せずに、端子部1aの内側面のうちの一部に樹脂層5を形成しても良い。例えば、端子部1aの内側面のうち端子近傍における内側面に、言い換えれば、端子が形成された領域以外の領域における端子部1aの内側面に、樹脂層5を形成しても良い。
【0057】
また、本実施形態では、端子と駆動用IC10との接続部分が樹脂で被覆されているが、接続部分だけでなく、駆動用IC10自体をも樹脂で被覆しても良い。これにより、接続信頼性がさらに向上する。
【0058】
本実施形態では、樹脂材料を端子部1aの内側面に塗布する前に、駆動用IC10をCOG実装しているが、樹脂材料を端子部1aの内側面に塗布した後であって、樹脂を硬化させる前に、駆動用IC10をCOG実装しても良い。なお、駆動用IC10は、素子基板1と対向基板2とを貼り合わせる前に、COG実装しても良い。
【0059】
(実施形態4)
実施形態4の液晶パネルは、図1および図2に示す液晶パネルP1と同じであるので、本実施形態の液晶パネルの構成について説明を省略する。本実施形態の液晶パネルの製造工程について、図面を参照しながら説明する。図10(A)〜図10(C)は、本実施形態の液晶パネルの製造工程を模式的に示す断面図である。
【0060】
まず、支持基板9として、厚みが0.5mm以上、好ましくは0.7mm以上のガラス基板を用いて、このガラス基板上に、例えば、熱硬化型の樹脂材料としてアクリル系樹脂をスピンコータ等により塗布する。なお、本実施形態では、熱硬化型の樹脂を用いたが、UV(紫外線)硬化型の樹脂を用いても良い。樹脂の種類としては、エポキシ樹脂、PES(ポリエーテルサルホン)樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、有機樹脂に代えて、ガラス基板に対して密着性の高いハイブリッド材料を用いることが望ましい。ハイブリッド材料は、無機コロイド粒子と有機バインダ樹脂とから構成される。例えば、シリカなどの無機コロイド粒子と、エポキシ樹脂、ポリウレタンアクリレート樹脂やポリエステルアクリレート樹脂などの有機バインダ樹脂とから構成される。
【0061】
塗布された樹脂を介して、支持基板9上に、0.15mm以上0.3mm以下の薄型ガラス基板を重ね合わせ、樹脂の厚みが1μm以上100μm以下、好ましくは2μm以上50μm以下になるように、約200℃で加熱圧着する。このガラス−樹脂−ガラス積層基板を2枚形成する。一方の積層基板の薄型ガラス基板面にTFT素子等を形成して、素子基板1を形成する。同様に、他方の積層基板の薄型ガラス基板面にカラーフィルタ層等を形成して、対向基板2を形成する。素子基板1上の周辺に、表示エリアを囲むシール材4を形成する。支持基板9を外側にして、積層基板間をシール材4で接合する(図10(A)参照)。
【0062】
実施形態1と同様にして、積層基板間の周縁部に、ディスペンサを用いて、UV(紫外線)硬化型接着材6を浸透させる。UV照射装置によって接着材6を硬化させて、基板内部を密封し、外部から遮断する(図10(B)参照)。
【0063】
フッ酸による化学的エッチングによって、支持基板9を除去する(図10(C)参照)。以下、実施形態1と同様にして、分断加工、端子出し、液晶材料の注入、封口およびCOG実装を順次行って、本実施形態の液晶パネルを形成する(図1参照)。
【0064】
本実施形態によれば、積層基板が十分に厚いので、製造ライン上での機械的強度が確保される。また、支持基板9が十分に厚いので、温度制約を受けずに、シール材4を介して安定に貼り合わせることが可能となる。さらに、貼合わせ後に化学的エッチングにより支持基板9を除去する場合に、樹脂層4がエッチングストッパとして作用するので、樹脂層−ガラス基板の総厚を均一化することも可能である。
【0065】
(他の実施形態)
実施形態1〜4では、一対のガラス基板から1つの液晶パネルを形成する場合について説明した。しかし、一対のマザーガラス基板から複数の液晶パネルを形成する場合についても、本発明を適用することができる。一対のマザーガラス基板から複数の液晶パネルを形成する場合には、ガラス基板に対して行われるブレーク工程の数が多くなるので、ガラス基板に負荷される外的なストレスが大きくなる。本発明によれば、外的なストレスに対して十分な強度を確保することができるので、一対のマザーガラス基板から複数の液晶パネルを形成する場合について本発明を適用することによる効果は大きい。例えば、製造ラインでの製品歩留りが高くなるので、不良品の発生によるコスト上昇を抑えることができる。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、製造ライン上での制約を受けることなく、表示パネルの薄型軽量化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の液晶パネルP1を模式的に示す平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図3(A)〜図3(C)は、液晶パネルP1の製造工程を模式的に示す平面図である。
【図4】図4(A)〜図4(C)は、液晶パネルP1の製造工程を模式的に示す断面図であり、図4(A)および図4(B)は、それぞれ図3(A)におけるIVA−IVA線断面図、図3(B)におけるIVB−IVB線断面図である。
【図5】実施形態2の液晶パネルP2を模式的に示す断面図である。
【図6】実施形態3の液晶パネルP3を模式的に示す平面図である。
【図7】図6のVII −VII 線断面図である。
【図8】図8(A)および図8(B)は、液晶パネルP3の製造工程を模式的に示す平面図である。
【図9】図9(A)〜図9(C)は、液晶パネルP3の製造工程を模式的に示す断面図であり、図9(A)および図9(B)は、それぞれ図8(A)におけるIXA−IXA線断面図、図8(B)におけるIXB−IXB線断面図である。
【図10】図10(A)〜図10(C)は、実施形態4の液晶パネルの製造工程を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 素子基板(ガラス基板)
1a 端子部
2 対向基板(ガラス基板)
3 液晶層
4 シール材
4a 注入口
5 樹脂層
6 接着材
7 封止材
8 偏光層
9 支持基板
10 液晶駆動用ICチップ
P1,P2,P3 液晶パネル
Claims (13)
- それぞれの厚みが0.15mm以上0.3mm以下の一対のガラス基板と、前記一対のガラス基板を接合するシール材とを備える表示パネルであって、
前記一対のガラス基板のうち少なくとも一方の外側面には、樹脂層が積層されている、表示パネル。 - 前記樹脂層は、主として有機樹脂から構成される、請求項1に記載の表示パネル。
- 前記樹脂層は、無機コロイド粒子と有機バインダ樹脂とから構成されるハイブリッド材料を含む、請求項1に記載の表示パネル。
- 前記樹脂層は、厚みが2μm以上50μm以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の表示パネル。
- 前記一対のガラス基板のうち一方のガラス基板は、内側面に端子が形成された端子部を有しており、前記内側面には、樹脂層が形成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の表示パネル。
- 前記内側面には、集積回路チップが実装されており、前記端子と前記集積回路チップとの接続部分が少なくとも樹脂で被覆された、請求項5に記載の表示パネル。
- 前記一対のガラス基板のうち少なくとも一方の内側面には、偏光層が積層されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の表示パネル。
- 請求項1から7のいずれか1項に記載の表示パネルを製造する方法であって、
前記シール材を介して、それぞれの厚みが0.3mmよりも厚い一対のガラス基板を貼り合わせる工程と、
貼り合わされた前記一対のガラス基板のそれぞれを厚みが0.15mm以上0.3mm以下になるまで薄膜化する工程と、
薄膜化された前記一対のガラス基板のうち少なくとも一方の外側面に、樹脂層を形成する工程とを含む、表示パネルの製造方法。 - 前記薄膜化工程は、化学的エッチング工程または物理的研磨工程を含む、請求項8に記載の表示パネルの製造方法。
- それぞれの厚みが0.15mm以上0.3mm以下の一対のガラス基板と、前記一対のガラス基板を接合するシール材とを備え、両面に樹脂層が積層されている表示パネルを製造する方法であって、
前記樹脂層を介して、前記ガラス基板と支持基板とを貼り合わせることにより積層板を形成する工程と、
前記支持基板を外側にし、前記シール材を介して、一対の前記積層板を貼り合わせる工程と、
貼り合わされた前記一対の積層板の前記支持基板を化学的エッチングにより除去する工程とを含む、表示パネルの製造方法。 - 前記支持基板は、厚みが0.5mm以上である、請求項10に記載の表示パネルの製造方法。
- 前記樹脂層は、厚みが2μm以上50μm以下である、請求項10または11に記載の表示パネルの製造方法。
- 前記樹脂層は、主として有機樹脂から構成される層、または無機コロイド粒子と有機バインダ樹脂とから構成されるハイブリッド材料を含む層である、請求項10から12のいずれか1項に記載の表示パネルの製造方法。
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