JP2004205648A - 現像装置 - Google Patents
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Abstract
【目的】磁石体のコストを下げることによってコストダウンを図るとともに、磁石体の交換性を向上させることによって現像スリーブの再使用を可能とすることができる現像装置を提供すること。
【構成】静電力により磁性トナーを保持してトナー像を形成する感光ドラム(像担持体)107に近接配置された円筒状の現像スリーブ3−bと、該現像スリーブ3−bの内部に設けられた回転自在なフェライトマグネット(磁石体)3−aを備え、該フェライトマグネット3−aを回転させることによって前記現像スリーブ3−b上の磁性トナーを搬送して前記感光ドラム107に供給する現像装置1において、前記フェライトマグネット3−aを回転可能に支持する突き当てコロ7部材と前記現像スリーブ3−bを支持する側壁4,5をそれぞれ別部材とする。
【選択図】 図2
【構成】静電力により磁性トナーを保持してトナー像を形成する感光ドラム(像担持体)107に近接配置された円筒状の現像スリーブ3−bと、該現像スリーブ3−bの内部に設けられた回転自在なフェライトマグネット(磁石体)3−aを備え、該フェライトマグネット3−aを回転させることによって前記現像スリーブ3−b上の磁性トナーを搬送して前記感光ドラム107に供給する現像装置1において、前記フェライトマグネット3−aを回転可能に支持する突き当てコロ7部材と前記現像スリーブ3−bを支持する側壁4,5をそれぞれ別部材とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の像担持体に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像する現像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は従来の現像装置の断面図、図9は図8のX−X線断面図である。
【0003】
図示の現像装置100は、現像容器101の内部に補給された現像剤(トナー及びキャリア)102を攪拌槽101−a,101−bに移動させる搬送部材103と、攪拌槽101−a,101−bの内部にそれぞれ設けられた攪拌ローラ104,105と、感光ドラム107に現像剤102を転移させるための現像ローラ106と、該現像ローラ106上の現像剤102の濃度を検知する濃度センサー108等によって構成されている。尚、現像ローラ106の内部には、3〜8極(図示例では、8極)のフェライトマグネット106−aが配置されている。
【0004】
この現像装置100においては、現像ローラ106の現像スリーブ106−bを回転させ、フェライトマグネット106−aの吸着磁力によって現像スリーブ106−bに現像剤102を吸着させて現像を行い、フェライトマグネット106−aの反発磁力によって現像剤102を攪拌槽101−aに戻している。
【0005】
次に、従来の現像装置100において、現像ローラ106の現像スリーブ106−bと感光ドラム107間のギャップ(以後、S−Dギャップと称する)を確保するための構成について説明する。
【0006】
図9に示すように、現像ローラ106は、アルミニウム管である現像スリーブ106−bの両端からフランジ109,110を圧入して構成されている。現像スリーブ106−bの内部にはフェライトマグネット106−aが配置され、現像スリーブ106−bの両端は、ベアリング111によって回転自在に支持されたフランジ109,110に保持されている。
【0007】
フランジ109,110には、摺動性と耐摩耗性に優れた円筒状樹脂で構成された突き当てコロ112がベアリング122によって回転自在に支持されており、この突き当てコロ112の外周が感光ドラム107の表面に所定圧で当接し、この構成によってS−Dギャップが所定値に保たれている。
【0008】
そして、フランジ109,110の突き当てコロ112の外側にはベアリング113が配されており、現像ローラ106はベアリング113を介して現像装置100の側壁114−a,114−bに支持され、これによってフランジ109,110と現像スリーブ106−bが回動自在に支持されている。
【0009】
フェライトマグネット106−aは、フランジ110の内部を貫通し、側壁114−bの外側に突出している。ここで、フェライトマグネット106−aの突出部はD型の軸形状に形成されている。このフェライトマグネット106−aのD型軸(不図示)を板金である極決め板115で側壁114−aにビス固定している。
【0010】
而して、現像スリーブ106−bの回転は、フランジ109の端部に固定された現像入力ギヤ116によって駆動が取られる構成になっている。現像入力ギヤ116へは、感光ドラム107に駆動伝達しているドラム駆動ギヤ117、カップリング118、ギヤ119及びギヤ120を介して駆動モータ121から駆動伝達される。駆動モータ121は、不図示の画像形成装置の駆動信号を受けて駆動/停止動作を行う。
【0011】
以上の構成によって、現像ローラ106の現像スリーブ106−bと感光ドラム107の間のS−Dギャップが保証され、フェライトマグネット106−aが所定極にて固定されながら現像スリーブ106−bが回転する。
【0012】
而して、従来の現像装置100では、図9に示すように、現像ローラ106のフェライトマグネット106−aと現像スリーブ106−bは同一部材であるフランジ109によって支持されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の現像装置100においては、現像安定性を確保するためには現像ローラ106の現像スリーブ106−bの表面精度を向上させる必要があった。そのため、現像スリーブ106−bはアルミニウム材の削り出し材を使用しなければならず、更に現像スリーブ106−bの表面精度を向上させる必要があるために非常に高価になっていた。その結果、現像装置100と該現像装置100を搭載した画像形成装置(不図示)のコストが高くなってしまうという問題があった。
【0014】
又、従来の現像スリーブ106−bの製法としては、該現像スリーブ106−bの内部にフェライトマグネット106−aを入れ、その両端をベアリング111で受け、両端からフランジ109,110を圧入する方法が採用されることが多い。現像スリーブ106−bの表面が耐久後に汚染すると、フェライトマグネット106−aを含む現像ローラ106の全部を廃却する必要があり、未だ使用し得るフェライトマグネット106−aも捨てざるを得ないという無駄があった。
【0015】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、磁石体のコストを下げることによってコストダウンを図るとともに、磁石体の交換性を向上させることによって現像スリーブの再使用を可能とすることができる現像装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、静電力により磁性トナーを保持してトナー像を形成する像担持体に近接配置された円筒状の現像スリーブと、該現像スリーブの内部に設けられた回転自在な磁石体を備え、該磁石体を回転させることによって前記現像スリーブ上の磁性トナーを搬送して前記像担持体に供給する現像装置において、前記磁石体を回転可能に支持する部材と前記現像スリーブを支持する部材をそれぞれ別部材としたことを特徴とする。
【0017】
ここで、磁石体を回動可能に支持している部材と現像スリーブを支持している部材は直接的又は間接的に接触していないことが望ましい。
【0018】
又、現像装置の駆動源と磁石体の駆動伝達経路には、振動を吸収する振動吸収部材を設けることが望ましい。ここで、振動吸収部材はギヤ若しくはカップリングである。
【0019】
従って、本発明によれば、高速で回転している磁石体の自砺振動が現像スリーブに伝達しなくなるため、該磁石体を高速で回転させ、現像スリーブを停止させることによって現像を行う現像装置を提供することができる。又、磁石体を支持している部材と現像スリーブを支持している部材が別個にある構成としたため、現像スリーブから磁石体を簡単に取り出すことができる。その結果、磁石体の分解性が向上し、従来のように磁石体と現像スリーブ及びベアリングを一体で製作していない磁石体の再利用が可能になる。
【0020】
更に、現像スリーブが停止し、磁石体が回転する構成を採用しているため、現像スリーブの摺動部分がなく、該現像スリーブの耐久劣化が少なくなる。その結果、現像スリーブの再利用が可能になり、該現像スリーブの単品コストを下げることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0022】
<実施の形態1>
図1は本発明に係る現像装置の断面図、図2は本発明に係る現像装置と感光ドラムの上視図、図3は現像スリーブ上に付着したキャリアとトナーの動作原理を説明する図、図4はマグネットローラの支持位置と荷重の加わり方を示す図、図5はマグネットローラの振れ回り振幅を示す図、図6は本発明に係る現像装置を搭載した画像形成装置の断面図、図7は現像装置への駆動伝達を示す駆動断面図であり、これらの図においては従来例と同様の機能を果たす要素については図8及び図9に示したと同一符号を付しており、以下、それらについての説明は省略する。
【0023】
先ず、本発明に係る現像装置1の構成を図1及び図2に基づいて説明する。
【0024】
現像装置1の現像容器2内には、従来の現像装置と同様に現像剤102を攪拌槽2−a,2−bに搬送するための搬送部材103と攪拌槽2−a,2−b内の現像剤102を攪拌するための攪拌ローラ104,105が配置されている。
【0025】
而して、本実施の形態に係る現像装置1においては、現像ローラ3の構成が従来例のそれとは異なる。即ち、現像ローラ3の内部には例えば直径φ24mmのフェライトマグネット3−aが配置されており、これには各4つのN極とS極が約45°の間隔で計8つ配置されている(これは従来例と同じ)。そして、フェライトマグネット3−aの外周には、厚み約1mmの非磁性部材である例えばアルミニウム円管である現像スリーブ3−bが配置されている。
【0026】
現像スリーブ3−bの両端は、現像装置1の側壁4,5に精度良く圧入されており、回転、抜け等しないように構成されている。又、現像スリーブ3−bの両端は、内部にトナー等が入らないようにPET等の樹脂材料で構成されたカバー6で覆われている。
【0027】
又、フェライトマグネット3−aの両端には、摺動性と耐摩耗性に優れた円筒状樹脂で構成された突き当てコロ7がベアリング122を介して回転自在に配されており、この突き当てコロ7の外周が感光ドラム107の表面に所定圧で当接している。つまり、フェライトマグネット3−aは、突き当てコロ7によって支持された構成になっている。そして、この構成によって所定のS−Dギャップが確保されている。
【0028】
図8に示す従来例では、回転する現像スリーブ106−bと感光ドラム107の間のS−Dギャップを保証する必要があり、現像スリーブ106−bの表面精度及び現像スリーブ106−bの振れ精度等を規定する必要があった。本発明に係る現像装置1の構成においては、フェライトマグネット3−aと感光ドラム107の距離を突き当てコロ7を使って保証している。この構成によって、フェライトマグネット3−aの磁界強さを規定している。
【0029】
又、現像スリーブ3−bと突き当てコロ7の両外側にはキンテイ8を設け、このキンテイ8によって突き当てコロ7の位置及びフェライトマグネット3−aのスラスト位置を規定している。
【0030】
而して、現像装置1の位置は、図2の矢印A方向へ精度良く規制・移動する現像レール(不図示)によって移動可能に規定され、前述のように突き当てコロ7によって、フェライトマグネット3−aと感光ドラム107の間隔(S−Dギャップ)が保証される。
【0031】
現像装置1が非現像位置である退避位置から図2に示すように現像位置に達したとき、フェライトマグネット3−aの一端に固定配置されたカップリング9が結合されて駆動が伝達可能となる構成になっている。つまり、フェライトマグネット3−aは、現像装置1が退避位置にあるときはフリー状態で位置が規制されていないが、感光ドラム107に加圧・移動したときに位置が決まる構成になっている。
【0032】
現像スリーブ3−bは、現像装置1の側壁4,5に精度良く圧入されている。即ち、側壁4,5が現像スリーブ3−bの支持部材になっている。又、現像装置1の加圧時の位置は、前記現像レール(不図示)が画像形成装置の側板10,11に対して移動する位置によって精度良く決められている。従って、現像スリーブ3−bの位置は現像レールによって規定されている。
【0033】
又、感光ドラム107を支持しているドラムユニット15は、不図示の位置決め部材によって画像形成装置の側板10,11に嵌合してその位置が決められている。
【0034】
以上の構成により、感光ドラム107と現像スリーブ3−b間のS−Dギャップが決まる構成になっている。
【0035】
現像ローラ3のフェライトマグネット3−aの駆動は、現像装置1を搭載した画像形成装置(不図示)の側板10の外側に設けた例えばDCモータである現像モータ11’の駆動をギヤ12,13及びカップリング9を経て当該フェライトマグネット3−aに伝達することによってなされる。ここで、現像モータ11’は、画像形成装置(不図示)から画像形成の指令が出力されたときに駆動され、画像形成が終了したときに駆動が停止するシーケンスを取っている。この現像モータ11’は、フェライトマグネット3−aの回転数が例えば約1000rpmになるように回転している。従来例に係る現像装置100では、現像スリーブ106−bの回転数はせいぜい300rpmであるが、本発明に係る現像装置1においては、後述する理由により、フェライトマグネット3−aの回転を1000rpmまで上げる必要がある。
【0036】
次に、本発明に係る現像装置1の現像動作について説明する。
【0037】
図1に示すように、フェライトマグネット3−aと搬送部材103及び攪拌ローラ104,105は、現像開始と同時に現像モータ11’から駆動が伝達され、図1の矢印方向へそれぞれ回転する。攪拌槽2−a,2−b内の現像剤102は、回転しているフェライトマグネット3−aの磁力によって現像スリーブ3−b上に付着する。
【0038】
現像スリーブ3−b上に付着した現像剤102は、図3(a)に示すように、キャリア102−aとその周辺に付着したトナー102−bと共にフェライトマグネット3−aから発生する磁力線の方向に穂立ちする。次に、フェライトマグネット3−aが矢印方向に移動すると、図3(b)に示すように、磁力線の移動により現像剤102は矢印とは反対方向へ傾く。そして、図3(c)に示すように、現像剤102は完全に横に倒れてしまう。このとき、キャリア(ア)とキャリア(イ)に注目すると、キャリア(ア)の現像スリーブ3−bへの吸着力よりもキャリア(イ)の現像スリーブ3−bへの吸着力が磁力線の移動により次第に大きくなる。
【0039】
そして、図3(d)に示すように、現像剤102はキャリア(イ)を支点として立ち上がる。つまり、フェライトマグネット3−aの極1周期で現像剤102の穂の高さ分だけ移動する。しかし、実際は、現像剤102が多数あるため、全ての現像剤102を現像スリーブ3−b上で移動させることは、現像剤102が現像スリーブ3−b上でスリップ等する可能性があるために非常に困難である。このため、フェライトマグネット3−aの回転数を1000rpmにすることによって、現像剤102の最低搬送速度を保証する必要がある。
【0040】
このように、現像スリーブ3−b上を移動した現像剤102中のトナー102−bは、感光ドラム107に移動して現像が行われる。現像時の残留トナー102−b及びキャリア102−aは、PET等の材料で構成された掻き落とし部材22によって現像スリーブ3−bから掻き取られて攪拌槽2−aに戻される。そして、戻された現像剤102は、攪拌ローラ104,105によって充分に攪拌され、再び現像スリーブ3−b上に吸着される。尚、本発明者の検討によれば、掻き落とし部材22は、設置角度を斜め下方45°、長さを10mmに設定した場合に現像スリーブ3−bから現像剤102を剥ぎ落とす効果が大きい。
【0041】
本発明では、従来例と異なってフェライトマグネット3−aの回転数を大きくしなければならないため、該フェライトマグネット3−aの振れまわり振動が現像スリーブ3−b上に伝達しないように以下のように工夫している。
【0042】
▲1▼現像モータ11’の回転振動がフェライトマグネット3−aに伝達しないようにカップリング9に振動吸収部材を設けて振動を吸収している。
【0043】
▲2▼フェライトマグネット3−aの振れまわり振動が少なくなるように、フェライトマグネット3−aを重力バランスが取れた構成としている。
【0044】
▲3▼フェライトマグネット3−aの振れまわり振動が現像スリーブ3−bに伝達しないように、フェライトマグネット3−aを現像スリーブ3−bに支持しないよう構成し、現像スリーブ3−b上に振動が伝達しないようにしている。
【0045】
次に、本発明に係る現像装置1のフェライトマグネット3−aがどの程度振動するのかについて検証する。
【0046】
図4に示すように、外径d=φ6mm、長さL=314mmのフェライト材で構成されたフェライトマグネット3−aが回転数ω=1000rpmで回転しているとする。フェライトマグネット3−aには、その自重により総荷重W=0.55kgの等分布荷重が加わっている。フェライトマグネット3−aのヤング率はE=0.35kg/mm2 、断面2次モーメント(丸軸)I=π/64×d4 =63.6mm4 であるため、フェライトマグネット3−aの中心部の最大撓みは、等分布荷重梁の最大撓み式により計算することができる。
【0047】
つまり、材料力学の知見によると、最大撓みVmax =5/384×W×L3 /EI=166(μm)となる。ここで、フェライトマグネット3−aの外周真直度30μm、振れ30μmを考慮すると、フェライトマグネット3−aの最大撓みは166+30+30=226(μm)と計算できる。よって、フェライトマグネット3−aを梁バネと見立てたとき、この長手中心部でのバネ定数KはK=W/Vmax =3.25×104 (N/ m)となる。従って、この危険速度(共振速度)ωn はωn =√(K/ W)=7293(rpm)と計算される。
【0048】
以上の計算により、現像スリーブ3−b中心の振れまわり振幅は、フェライトマグネット3−aの回転数をωとすると、最大振幅rεは、
rε=η2 /(1−η2 )×ε … ▲1▼
η=ω/ωn … ▲2▼
によって表現することができる。これをグラフ化したのが図5(a),(b)である。
【0049】
図5(a)において、横軸はフェライトマグネット3−aの回転数ω、縦軸にフェライトマグネット3−a中心部の最大振幅rεである。図5(b)はω=1500rpm以下のグラフである。
【0050】
図5(a)のグラフを見ると、ω=10000rpmに共振回転数がある。実際、本発明において使用する回転数は1000rpmであるため、このときのフェライトマグネット3−aの最大振幅は図5(b)に示すように約5μmになる。フェライトマグネット3−aの最大振幅5μmが現像スリーブ3−b上にそのまま伝達されるとすると、現像スリーブ3−b上の最大振幅も5μmとなり、本発明者の過去の知見から現像不良が発生することは明白である。
【0051】
そこで、本発明では、前述のようにフェライトマグネット3−aの振動が現像スリーブ3−b上に伝達しないよう工夫している。前記構成を採用することにより、フェライトマグネット3−a上で5μmの振幅を持つ振動が現像スリーブ3−b上では1μm以下に抑えられ、画像不良及び現像不良の発生が低減した。
【0052】
尚、本実施の形態では、現像スリーブ3−bを静止させ、その内部のフェライトマグネット3−aを回転させて現像を行う構成を採用しているが、現像スリーブ3−bを回転させ、フェライトマグネット3−aも回転させる構成においても本発明の技術思想を容易に適用することができる。
【0053】
次に、本発明に係る現像装置1を搭載した画像形成装置23の動作を図6に基づいて説明する。
【0054】
画像形成装置23において、圧板24の下に載置された原稿(不図示)は、原稿読み取り部25によって読み取られる。そして、感光ドラム107上に潜像が形成され、この潜像は現像装置1によってトナー像として現像される。
【0055】
又、現像装置1内へのトナーの補給は、現像装置1内に設けられたトナー残量センサー(不図示)に応じて所定量がホッパー26から補給される。給紙装置27に載置された転写紙Pは、搬送パス28を経由して転写・分離部29へと搬送され、感光ドラム107上のトナー像は、転写・分離部29において転写紙Pへ転写される。そして、トナー像が転写された転写紙Pは、搬送部30を経て定着装置31へ搬送され、定着装置31によってトナー像の定着を受けた後、画像形成装置23の外部へ排出される。
【0056】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2を図7に基づいて説明する。
【0057】
図7は本実施の形態に係る現像装置32とドラムユニット33の上視図であり、本図においては従来例及び実施の形態1と同様の機能を果たす要素には同一符号を付しており、以下、それらについての説明は省略する。
【0058】
本実施の形態が実施の形態1と異なる点は、現像装置32内のフェライトマグネット3−aの駆動方法である。
【0059】
実施の形態1においては感光ドラム107の駆動とフェライトマグネット3−aの駆動を別個にしていたのに対して、本実施の形態では同一モータで駆動している。即ち、図7に示すように、駆動モータ34の駆動はギヤ35,36及びカップリング37を介して感光ドラム107に伝達されて該感光ドラム107が回転駆動される。そして、感光ドラム107にはドラム駆動ギヤ38が固定されており、感光ドラム107の回転はドラム駆動ギヤ38からギヤ39,40,41を介して所定の増速比をもって増速されてフェライトマグネット3−aに伝達され、該フェライトマグネット3−aが回転駆動される。
【0060】
又、実施の形態1と同様に、フェライトマグネット3−aの振動が現像スリーブ3−bに伝達しないように、フェライトマグネット3−aの支持部分を現像スリーブ3−bには設けない構成を採用している。
【0061】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば以下の効果が得られる。
【0062】
(1)現像スリーブ上の振動が低減することにより現像剤が現像スリーブから飛散することが少なくなり、現像安定性が向上するとともに、現像剤の飛散による画像形成装置内の汚染が抑制されるため、画像形成装置を使用するユーザーへの印象も良くなる。又、その結果、サービスマンの出動回数も少なくなるため、レバーコストも低減する。
【0063】
(2)現像スリーブ上の振動が少なくなることにより、当該現像装置を搭載した画像形成装置全体の騒音が少なくなって騒音規格をクリアすることができ、低騒音の画像形成装置を提供することができ、画像形成装置のユーザーの印象及びメーカーへの印象が良くなる。
【0064】
(3)磁石体の回転数を上げても、現像スリーブ上に振動が伝達しない構成にしているため、磁石体の回転数を上げることができ、現像のラチチュードが広がる。そして、現像のラチチュードが広がればどのようなプロセススピードの画像形成装置にも対応できるため、設計の応用範囲が大きく広がることが期待できる。
【0065】
(4)現像装置の構成で振動を抑えているため、現像容器の強度アップ等の必要性がなくなり、材料費等のコストアップを防いで低コストで低振動の現像装置が提供することができる。
【0066】
(5)現像スリーブ内の磁石体を簡単に脱着することができるため、現像スリーブの組立・分解が容易化し、異種材料の分別廃棄が可能になって環境保護に貢献することができる。
【0067】
(6)現像スリーブの構成を分解可能にすることにより、磁石体の再利用・再使用が可能になり、現像スリーブのコストダウンが可能となる。現像スリーブは耐久と共に劣化するが、該現像スリーブ内に密閉された磁石体は半永久的に使用することができるため、この磁石体を取り出して再利用することによって大幅なコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る現像装置の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る現像装置と感光ドラムの上視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る現像装置の現像スリーブ上に付着したキャリアとトナーの動作原理を説明する説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る現像装置のマグネットローラの支持位置と荷重の加わり方を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る現像装置のマグネットローラの回転数と振れまわり振幅を示したグラフである。
【図6】本発明の実施の形態1に係る現像装置を搭載した画像形成装置の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る現像装置及び感光ドラムの上視図である。
【図8】従来の現像装置の断面図である。
【図9】図8のX−X線断面図である。
【符号の説明】
1 現像装置
3 現像ローラ
3−a フェライトマグネット(磁石体)
3−b 現像スリーブ
4,5 側板(スリーブ支持部材)
7 突き当てコロ(磁石体支持部材)
9 カップリング(振動吸収部材)
12,13 ギヤ(振動吸収部材)
102 現像剤
102−a キャリア
102−b 磁性トナー
107 感光ドラム(像担持体)
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の像担持体に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像する現像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は従来の現像装置の断面図、図9は図8のX−X線断面図である。
【0003】
図示の現像装置100は、現像容器101の内部に補給された現像剤(トナー及びキャリア)102を攪拌槽101−a,101−bに移動させる搬送部材103と、攪拌槽101−a,101−bの内部にそれぞれ設けられた攪拌ローラ104,105と、感光ドラム107に現像剤102を転移させるための現像ローラ106と、該現像ローラ106上の現像剤102の濃度を検知する濃度センサー108等によって構成されている。尚、現像ローラ106の内部には、3〜8極(図示例では、8極)のフェライトマグネット106−aが配置されている。
【0004】
この現像装置100においては、現像ローラ106の現像スリーブ106−bを回転させ、フェライトマグネット106−aの吸着磁力によって現像スリーブ106−bに現像剤102を吸着させて現像を行い、フェライトマグネット106−aの反発磁力によって現像剤102を攪拌槽101−aに戻している。
【0005】
次に、従来の現像装置100において、現像ローラ106の現像スリーブ106−bと感光ドラム107間のギャップ(以後、S−Dギャップと称する)を確保するための構成について説明する。
【0006】
図9に示すように、現像ローラ106は、アルミニウム管である現像スリーブ106−bの両端からフランジ109,110を圧入して構成されている。現像スリーブ106−bの内部にはフェライトマグネット106−aが配置され、現像スリーブ106−bの両端は、ベアリング111によって回転自在に支持されたフランジ109,110に保持されている。
【0007】
フランジ109,110には、摺動性と耐摩耗性に優れた円筒状樹脂で構成された突き当てコロ112がベアリング122によって回転自在に支持されており、この突き当てコロ112の外周が感光ドラム107の表面に所定圧で当接し、この構成によってS−Dギャップが所定値に保たれている。
【0008】
そして、フランジ109,110の突き当てコロ112の外側にはベアリング113が配されており、現像ローラ106はベアリング113を介して現像装置100の側壁114−a,114−bに支持され、これによってフランジ109,110と現像スリーブ106−bが回動自在に支持されている。
【0009】
フェライトマグネット106−aは、フランジ110の内部を貫通し、側壁114−bの外側に突出している。ここで、フェライトマグネット106−aの突出部はD型の軸形状に形成されている。このフェライトマグネット106−aのD型軸(不図示)を板金である極決め板115で側壁114−aにビス固定している。
【0010】
而して、現像スリーブ106−bの回転は、フランジ109の端部に固定された現像入力ギヤ116によって駆動が取られる構成になっている。現像入力ギヤ116へは、感光ドラム107に駆動伝達しているドラム駆動ギヤ117、カップリング118、ギヤ119及びギヤ120を介して駆動モータ121から駆動伝達される。駆動モータ121は、不図示の画像形成装置の駆動信号を受けて駆動/停止動作を行う。
【0011】
以上の構成によって、現像ローラ106の現像スリーブ106−bと感光ドラム107の間のS−Dギャップが保証され、フェライトマグネット106−aが所定極にて固定されながら現像スリーブ106−bが回転する。
【0012】
而して、従来の現像装置100では、図9に示すように、現像ローラ106のフェライトマグネット106−aと現像スリーブ106−bは同一部材であるフランジ109によって支持されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の現像装置100においては、現像安定性を確保するためには現像ローラ106の現像スリーブ106−bの表面精度を向上させる必要があった。そのため、現像スリーブ106−bはアルミニウム材の削り出し材を使用しなければならず、更に現像スリーブ106−bの表面精度を向上させる必要があるために非常に高価になっていた。その結果、現像装置100と該現像装置100を搭載した画像形成装置(不図示)のコストが高くなってしまうという問題があった。
【0014】
又、従来の現像スリーブ106−bの製法としては、該現像スリーブ106−bの内部にフェライトマグネット106−aを入れ、その両端をベアリング111で受け、両端からフランジ109,110を圧入する方法が採用されることが多い。現像スリーブ106−bの表面が耐久後に汚染すると、フェライトマグネット106−aを含む現像ローラ106の全部を廃却する必要があり、未だ使用し得るフェライトマグネット106−aも捨てざるを得ないという無駄があった。
【0015】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、磁石体のコストを下げることによってコストダウンを図るとともに、磁石体の交換性を向上させることによって現像スリーブの再使用を可能とすることができる現像装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、静電力により磁性トナーを保持してトナー像を形成する像担持体に近接配置された円筒状の現像スリーブと、該現像スリーブの内部に設けられた回転自在な磁石体を備え、該磁石体を回転させることによって前記現像スリーブ上の磁性トナーを搬送して前記像担持体に供給する現像装置において、前記磁石体を回転可能に支持する部材と前記現像スリーブを支持する部材をそれぞれ別部材としたことを特徴とする。
【0017】
ここで、磁石体を回動可能に支持している部材と現像スリーブを支持している部材は直接的又は間接的に接触していないことが望ましい。
【0018】
又、現像装置の駆動源と磁石体の駆動伝達経路には、振動を吸収する振動吸収部材を設けることが望ましい。ここで、振動吸収部材はギヤ若しくはカップリングである。
【0019】
従って、本発明によれば、高速で回転している磁石体の自砺振動が現像スリーブに伝達しなくなるため、該磁石体を高速で回転させ、現像スリーブを停止させることによって現像を行う現像装置を提供することができる。又、磁石体を支持している部材と現像スリーブを支持している部材が別個にある構成としたため、現像スリーブから磁石体を簡単に取り出すことができる。その結果、磁石体の分解性が向上し、従来のように磁石体と現像スリーブ及びベアリングを一体で製作していない磁石体の再利用が可能になる。
【0020】
更に、現像スリーブが停止し、磁石体が回転する構成を採用しているため、現像スリーブの摺動部分がなく、該現像スリーブの耐久劣化が少なくなる。その結果、現像スリーブの再利用が可能になり、該現像スリーブの単品コストを下げることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0022】
<実施の形態1>
図1は本発明に係る現像装置の断面図、図2は本発明に係る現像装置と感光ドラムの上視図、図3は現像スリーブ上に付着したキャリアとトナーの動作原理を説明する図、図4はマグネットローラの支持位置と荷重の加わり方を示す図、図5はマグネットローラの振れ回り振幅を示す図、図6は本発明に係る現像装置を搭載した画像形成装置の断面図、図7は現像装置への駆動伝達を示す駆動断面図であり、これらの図においては従来例と同様の機能を果たす要素については図8及び図9に示したと同一符号を付しており、以下、それらについての説明は省略する。
【0023】
先ず、本発明に係る現像装置1の構成を図1及び図2に基づいて説明する。
【0024】
現像装置1の現像容器2内には、従来の現像装置と同様に現像剤102を攪拌槽2−a,2−bに搬送するための搬送部材103と攪拌槽2−a,2−b内の現像剤102を攪拌するための攪拌ローラ104,105が配置されている。
【0025】
而して、本実施の形態に係る現像装置1においては、現像ローラ3の構成が従来例のそれとは異なる。即ち、現像ローラ3の内部には例えば直径φ24mmのフェライトマグネット3−aが配置されており、これには各4つのN極とS極が約45°の間隔で計8つ配置されている(これは従来例と同じ)。そして、フェライトマグネット3−aの外周には、厚み約1mmの非磁性部材である例えばアルミニウム円管である現像スリーブ3−bが配置されている。
【0026】
現像スリーブ3−bの両端は、現像装置1の側壁4,5に精度良く圧入されており、回転、抜け等しないように構成されている。又、現像スリーブ3−bの両端は、内部にトナー等が入らないようにPET等の樹脂材料で構成されたカバー6で覆われている。
【0027】
又、フェライトマグネット3−aの両端には、摺動性と耐摩耗性に優れた円筒状樹脂で構成された突き当てコロ7がベアリング122を介して回転自在に配されており、この突き当てコロ7の外周が感光ドラム107の表面に所定圧で当接している。つまり、フェライトマグネット3−aは、突き当てコロ7によって支持された構成になっている。そして、この構成によって所定のS−Dギャップが確保されている。
【0028】
図8に示す従来例では、回転する現像スリーブ106−bと感光ドラム107の間のS−Dギャップを保証する必要があり、現像スリーブ106−bの表面精度及び現像スリーブ106−bの振れ精度等を規定する必要があった。本発明に係る現像装置1の構成においては、フェライトマグネット3−aと感光ドラム107の距離を突き当てコロ7を使って保証している。この構成によって、フェライトマグネット3−aの磁界強さを規定している。
【0029】
又、現像スリーブ3−bと突き当てコロ7の両外側にはキンテイ8を設け、このキンテイ8によって突き当てコロ7の位置及びフェライトマグネット3−aのスラスト位置を規定している。
【0030】
而して、現像装置1の位置は、図2の矢印A方向へ精度良く規制・移動する現像レール(不図示)によって移動可能に規定され、前述のように突き当てコロ7によって、フェライトマグネット3−aと感光ドラム107の間隔(S−Dギャップ)が保証される。
【0031】
現像装置1が非現像位置である退避位置から図2に示すように現像位置に達したとき、フェライトマグネット3−aの一端に固定配置されたカップリング9が結合されて駆動が伝達可能となる構成になっている。つまり、フェライトマグネット3−aは、現像装置1が退避位置にあるときはフリー状態で位置が規制されていないが、感光ドラム107に加圧・移動したときに位置が決まる構成になっている。
【0032】
現像スリーブ3−bは、現像装置1の側壁4,5に精度良く圧入されている。即ち、側壁4,5が現像スリーブ3−bの支持部材になっている。又、現像装置1の加圧時の位置は、前記現像レール(不図示)が画像形成装置の側板10,11に対して移動する位置によって精度良く決められている。従って、現像スリーブ3−bの位置は現像レールによって規定されている。
【0033】
又、感光ドラム107を支持しているドラムユニット15は、不図示の位置決め部材によって画像形成装置の側板10,11に嵌合してその位置が決められている。
【0034】
以上の構成により、感光ドラム107と現像スリーブ3−b間のS−Dギャップが決まる構成になっている。
【0035】
現像ローラ3のフェライトマグネット3−aの駆動は、現像装置1を搭載した画像形成装置(不図示)の側板10の外側に設けた例えばDCモータである現像モータ11’の駆動をギヤ12,13及びカップリング9を経て当該フェライトマグネット3−aに伝達することによってなされる。ここで、現像モータ11’は、画像形成装置(不図示)から画像形成の指令が出力されたときに駆動され、画像形成が終了したときに駆動が停止するシーケンスを取っている。この現像モータ11’は、フェライトマグネット3−aの回転数が例えば約1000rpmになるように回転している。従来例に係る現像装置100では、現像スリーブ106−bの回転数はせいぜい300rpmであるが、本発明に係る現像装置1においては、後述する理由により、フェライトマグネット3−aの回転を1000rpmまで上げる必要がある。
【0036】
次に、本発明に係る現像装置1の現像動作について説明する。
【0037】
図1に示すように、フェライトマグネット3−aと搬送部材103及び攪拌ローラ104,105は、現像開始と同時に現像モータ11’から駆動が伝達され、図1の矢印方向へそれぞれ回転する。攪拌槽2−a,2−b内の現像剤102は、回転しているフェライトマグネット3−aの磁力によって現像スリーブ3−b上に付着する。
【0038】
現像スリーブ3−b上に付着した現像剤102は、図3(a)に示すように、キャリア102−aとその周辺に付着したトナー102−bと共にフェライトマグネット3−aから発生する磁力線の方向に穂立ちする。次に、フェライトマグネット3−aが矢印方向に移動すると、図3(b)に示すように、磁力線の移動により現像剤102は矢印とは反対方向へ傾く。そして、図3(c)に示すように、現像剤102は完全に横に倒れてしまう。このとき、キャリア(ア)とキャリア(イ)に注目すると、キャリア(ア)の現像スリーブ3−bへの吸着力よりもキャリア(イ)の現像スリーブ3−bへの吸着力が磁力線の移動により次第に大きくなる。
【0039】
そして、図3(d)に示すように、現像剤102はキャリア(イ)を支点として立ち上がる。つまり、フェライトマグネット3−aの極1周期で現像剤102の穂の高さ分だけ移動する。しかし、実際は、現像剤102が多数あるため、全ての現像剤102を現像スリーブ3−b上で移動させることは、現像剤102が現像スリーブ3−b上でスリップ等する可能性があるために非常に困難である。このため、フェライトマグネット3−aの回転数を1000rpmにすることによって、現像剤102の最低搬送速度を保証する必要がある。
【0040】
このように、現像スリーブ3−b上を移動した現像剤102中のトナー102−bは、感光ドラム107に移動して現像が行われる。現像時の残留トナー102−b及びキャリア102−aは、PET等の材料で構成された掻き落とし部材22によって現像スリーブ3−bから掻き取られて攪拌槽2−aに戻される。そして、戻された現像剤102は、攪拌ローラ104,105によって充分に攪拌され、再び現像スリーブ3−b上に吸着される。尚、本発明者の検討によれば、掻き落とし部材22は、設置角度を斜め下方45°、長さを10mmに設定した場合に現像スリーブ3−bから現像剤102を剥ぎ落とす効果が大きい。
【0041】
本発明では、従来例と異なってフェライトマグネット3−aの回転数を大きくしなければならないため、該フェライトマグネット3−aの振れまわり振動が現像スリーブ3−b上に伝達しないように以下のように工夫している。
【0042】
▲1▼現像モータ11’の回転振動がフェライトマグネット3−aに伝達しないようにカップリング9に振動吸収部材を設けて振動を吸収している。
【0043】
▲2▼フェライトマグネット3−aの振れまわり振動が少なくなるように、フェライトマグネット3−aを重力バランスが取れた構成としている。
【0044】
▲3▼フェライトマグネット3−aの振れまわり振動が現像スリーブ3−bに伝達しないように、フェライトマグネット3−aを現像スリーブ3−bに支持しないよう構成し、現像スリーブ3−b上に振動が伝達しないようにしている。
【0045】
次に、本発明に係る現像装置1のフェライトマグネット3−aがどの程度振動するのかについて検証する。
【0046】
図4に示すように、外径d=φ6mm、長さL=314mmのフェライト材で構成されたフェライトマグネット3−aが回転数ω=1000rpmで回転しているとする。フェライトマグネット3−aには、その自重により総荷重W=0.55kgの等分布荷重が加わっている。フェライトマグネット3−aのヤング率はE=0.35kg/mm2 、断面2次モーメント(丸軸)I=π/64×d4 =63.6mm4 であるため、フェライトマグネット3−aの中心部の最大撓みは、等分布荷重梁の最大撓み式により計算することができる。
【0047】
つまり、材料力学の知見によると、最大撓みVmax =5/384×W×L3 /EI=166(μm)となる。ここで、フェライトマグネット3−aの外周真直度30μm、振れ30μmを考慮すると、フェライトマグネット3−aの最大撓みは166+30+30=226(μm)と計算できる。よって、フェライトマグネット3−aを梁バネと見立てたとき、この長手中心部でのバネ定数KはK=W/Vmax =3.25×104 (N/ m)となる。従って、この危険速度(共振速度)ωn はωn =√(K/ W)=7293(rpm)と計算される。
【0048】
以上の計算により、現像スリーブ3−b中心の振れまわり振幅は、フェライトマグネット3−aの回転数をωとすると、最大振幅rεは、
rε=η2 /(1−η2 )×ε … ▲1▼
η=ω/ωn … ▲2▼
によって表現することができる。これをグラフ化したのが図5(a),(b)である。
【0049】
図5(a)において、横軸はフェライトマグネット3−aの回転数ω、縦軸にフェライトマグネット3−a中心部の最大振幅rεである。図5(b)はω=1500rpm以下のグラフである。
【0050】
図5(a)のグラフを見ると、ω=10000rpmに共振回転数がある。実際、本発明において使用する回転数は1000rpmであるため、このときのフェライトマグネット3−aの最大振幅は図5(b)に示すように約5μmになる。フェライトマグネット3−aの最大振幅5μmが現像スリーブ3−b上にそのまま伝達されるとすると、現像スリーブ3−b上の最大振幅も5μmとなり、本発明者の過去の知見から現像不良が発生することは明白である。
【0051】
そこで、本発明では、前述のようにフェライトマグネット3−aの振動が現像スリーブ3−b上に伝達しないよう工夫している。前記構成を採用することにより、フェライトマグネット3−a上で5μmの振幅を持つ振動が現像スリーブ3−b上では1μm以下に抑えられ、画像不良及び現像不良の発生が低減した。
【0052】
尚、本実施の形態では、現像スリーブ3−bを静止させ、その内部のフェライトマグネット3−aを回転させて現像を行う構成を採用しているが、現像スリーブ3−bを回転させ、フェライトマグネット3−aも回転させる構成においても本発明の技術思想を容易に適用することができる。
【0053】
次に、本発明に係る現像装置1を搭載した画像形成装置23の動作を図6に基づいて説明する。
【0054】
画像形成装置23において、圧板24の下に載置された原稿(不図示)は、原稿読み取り部25によって読み取られる。そして、感光ドラム107上に潜像が形成され、この潜像は現像装置1によってトナー像として現像される。
【0055】
又、現像装置1内へのトナーの補給は、現像装置1内に設けられたトナー残量センサー(不図示)に応じて所定量がホッパー26から補給される。給紙装置27に載置された転写紙Pは、搬送パス28を経由して転写・分離部29へと搬送され、感光ドラム107上のトナー像は、転写・分離部29において転写紙Pへ転写される。そして、トナー像が転写された転写紙Pは、搬送部30を経て定着装置31へ搬送され、定着装置31によってトナー像の定着を受けた後、画像形成装置23の外部へ排出される。
【0056】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2を図7に基づいて説明する。
【0057】
図7は本実施の形態に係る現像装置32とドラムユニット33の上視図であり、本図においては従来例及び実施の形態1と同様の機能を果たす要素には同一符号を付しており、以下、それらについての説明は省略する。
【0058】
本実施の形態が実施の形態1と異なる点は、現像装置32内のフェライトマグネット3−aの駆動方法である。
【0059】
実施の形態1においては感光ドラム107の駆動とフェライトマグネット3−aの駆動を別個にしていたのに対して、本実施の形態では同一モータで駆動している。即ち、図7に示すように、駆動モータ34の駆動はギヤ35,36及びカップリング37を介して感光ドラム107に伝達されて該感光ドラム107が回転駆動される。そして、感光ドラム107にはドラム駆動ギヤ38が固定されており、感光ドラム107の回転はドラム駆動ギヤ38からギヤ39,40,41を介して所定の増速比をもって増速されてフェライトマグネット3−aに伝達され、該フェライトマグネット3−aが回転駆動される。
【0060】
又、実施の形態1と同様に、フェライトマグネット3−aの振動が現像スリーブ3−bに伝達しないように、フェライトマグネット3−aの支持部分を現像スリーブ3−bには設けない構成を採用している。
【0061】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば以下の効果が得られる。
【0062】
(1)現像スリーブ上の振動が低減することにより現像剤が現像スリーブから飛散することが少なくなり、現像安定性が向上するとともに、現像剤の飛散による画像形成装置内の汚染が抑制されるため、画像形成装置を使用するユーザーへの印象も良くなる。又、その結果、サービスマンの出動回数も少なくなるため、レバーコストも低減する。
【0063】
(2)現像スリーブ上の振動が少なくなることにより、当該現像装置を搭載した画像形成装置全体の騒音が少なくなって騒音規格をクリアすることができ、低騒音の画像形成装置を提供することができ、画像形成装置のユーザーの印象及びメーカーへの印象が良くなる。
【0064】
(3)磁石体の回転数を上げても、現像スリーブ上に振動が伝達しない構成にしているため、磁石体の回転数を上げることができ、現像のラチチュードが広がる。そして、現像のラチチュードが広がればどのようなプロセススピードの画像形成装置にも対応できるため、設計の応用範囲が大きく広がることが期待できる。
【0065】
(4)現像装置の構成で振動を抑えているため、現像容器の強度アップ等の必要性がなくなり、材料費等のコストアップを防いで低コストで低振動の現像装置が提供することができる。
【0066】
(5)現像スリーブ内の磁石体を簡単に脱着することができるため、現像スリーブの組立・分解が容易化し、異種材料の分別廃棄が可能になって環境保護に貢献することができる。
【0067】
(6)現像スリーブの構成を分解可能にすることにより、磁石体の再利用・再使用が可能になり、現像スリーブのコストダウンが可能となる。現像スリーブは耐久と共に劣化するが、該現像スリーブ内に密閉された磁石体は半永久的に使用することができるため、この磁石体を取り出して再利用することによって大幅なコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る現像装置の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る現像装置と感光ドラムの上視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る現像装置の現像スリーブ上に付着したキャリアとトナーの動作原理を説明する説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る現像装置のマグネットローラの支持位置と荷重の加わり方を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る現像装置のマグネットローラの回転数と振れまわり振幅を示したグラフである。
【図6】本発明の実施の形態1に係る現像装置を搭載した画像形成装置の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る現像装置及び感光ドラムの上視図である。
【図8】従来の現像装置の断面図である。
【図9】図8のX−X線断面図である。
【符号の説明】
1 現像装置
3 現像ローラ
3−a フェライトマグネット(磁石体)
3−b 現像スリーブ
4,5 側板(スリーブ支持部材)
7 突き当てコロ(磁石体支持部材)
9 カップリング(振動吸収部材)
12,13 ギヤ(振動吸収部材)
102 現像剤
102−a キャリア
102−b 磁性トナー
107 感光ドラム(像担持体)
Claims (1)
- 静電力により磁性トナーを保持してトナー像を形成する像担持体に近接配置された円筒状の現像スリーブと、該現像スリーブの内部に設けられた回転自在な磁石体を備え、該磁石体を回転させることによって前記現像スリーブ上の磁性トナーを搬送して前記像担持体に供給する現像装置において、
前記磁石体を回転可能に支持する部材と前記現像スリーブを支持する部材をそれぞれ別部材としたことを特徴とする現像装置。
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