JP2004205080A - 床吹出口装置 - Google Patents

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Kenji Ueda
健司 上田
Hideto Hayashi
英人 林
Susumu Horikawa
晋 堀川
Hirotaka Kondo
弘孝 近藤
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Nikken Sekkei Ltd
Kansai Electric Power Co Inc
Kuken Kogyo Co Ltd
Kucho Giken Kogyo Co Ltd
Kanden Industries Inc
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Nikken Sekkei Ltd
Kansai Electric Power Co Inc
Kuken Kogyo Co Ltd
Kucho Giken Kogyo Co Ltd
Kanden Industries Inc
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Abstract

【課題】吹出状態の調整が可能で周囲の人に不快感を与えずに気流吹出を行え、且つ、吹出口周囲の状況に対応して確実に空気調和効果を与えられる床吹出口装置を提供する。
【解決手段】装置本体10の吹出面部11に外周領域40と中央領域50とが設定されてそれぞれ開口孔14、21が複数配置され、外周領域40では気流が円周上に配置された各開口孔14の傾斜に沿って各々斜め上に吹出す一方、中央領域50の各開口孔21からは一様に斜め上向きの気流が吹出すことから、外周領域40からの気流は吹出した後合成されて旋回気流になる一方、中央領域50からの気流は旋回気流を誘引し、全体では旋回気流を伴った斜め上向きの気流として空気調和対象空間を進むこととなり、中央領域50ごと開口孔21の開口方向を調整して気流全体を所定の方向に導くことができ、周囲の状況に応じた空気調和が行え、空気調和能力も大幅に向上させられる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和の対象となる空間における床に配設される床吹出口装置に関し、特に、前記空間に対する空気調和用気体の吹出方向、風量、拡散状態、及び到達距離を適切に調整可能で効率の良い空気調和を実現できる床吹出口装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフィスなど比較的広い室内空間に対する空気調和では、調和空気を吹出す吹出口を天井等に複数設置すると共に、床部分にも吹出口を配設し、室内空間に対して迅速に冷房又は暖房を行えるようにすることが従来から提案されていた。こうした室内空間の床に設置される従来の床吹出口装置は、中空の略箱状体で形成され、空気調和の対象空間である室内空間の床面の一部となる上面に調和空気を吹出す開口部が配設され、調和空気を床下空間側の開口を通じて内部に取込んで前記開口部から室内空間に吹出す仕組みである。
【0003】
こうした従来の床吹出口装置における開口部からの吹出状態調整は、開口部裏面に配置される気流偏向板を回転させることにより、吹出し後気流が各方向に全体的に広がる拡散吹出し、又は真上方向への指向吹出しのいずれかを選択していた。また、風量については、床下空間側の開口部分に配設されるダンパにより開口面積を調節して風量調整を行っていた。
この他、従来の別の床吹出口装置として、開口部の配置や構造を前記装置と異ならせて、斜め上など一方向指向に固定された気流を得るものもあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の床吹出口装置は以上のように構成されていることから、室内空間へ吹出す気流の風量は調整できるものの、吹出方向を細かく調整できず、吹出口周囲の居住域において、冷気もしくは暖気が特定の場所に滞留したり、床吹出口装置近傍にいる人に気流が直接当ったりして、付近の人に冷え過ぎ感や暑過ぎ感等の不快感を与えてしまうばかりでなく、こうした不快感を覚える人がその対策として行う開口の閉塞等気流吹出への阻害行為の他、椅子や机等、吹出口周囲の設置物の配置状況による影響で、所望の気流が得られずに室内空間全体に対する空気調和効果が限定されるという課題を有していた。
【0005】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、吹出状態の調整が可能で吹出口近傍の人に不快感を与えずに気流吹出を行え、且つ、吹出口周囲の状況に柔軟に対応して確実に空気調和効果を与えられる床吹出口装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る床吹出口装置は、空気調和の対象となる空間に面する開口を有して前記空気調和対象空間の床に配設され、空気調和用の気体を供給されて当該空気調和用気体を前記開口から吹出す床吹出口装置において、前記空気調和対象空間に面する吹出面部に前記開口を複数配置され、床下側部分から前記空気調和用気体を供給される装置本体を備え、前記吹出面部が、複数の開口孔が所定径の円周上に略等ピッチで配置されて穿設される外周領域と、当該外周領域の内側で別の複数の開口孔が穿設される中央領域とに区分され、前記外周領域の各開口孔が、各孔貫通方向を隣合う開口孔寄りに垂直方向から傾けられて吹出面部中心について互いに略回転対称となる向きとされてそれぞれ穿設されてなり、前記中央領域の各開口孔が、孔貫通方向を同じ所定角度分垂直方向から傾斜させそれぞれ穿設されてなり、前記吹出面部の中央領域における開口孔の前記空気調和対象空間に対する開口方向を少なくとも中央領域全体ごと変更可能とし、中央領域の各開口孔から吹出す気流の向きを調整可能とするものである。
【0007】
このように本発明においては、装置本体の吹出面部に外周領域と中央領域とが設定されてそれぞれ傾斜した開口孔が複数配置され、外周領域では各開口孔を通過する気流が円周上に配置された各開口孔の傾斜に沿ってそれぞれ斜め上に吹出すと共に、中央領域の各開口孔からは一様に斜め上向きの気流が吹出すことにより、外周領域からの気流はそれぞれ斜め上に吹出した後互いの干渉で合成されて渦巻状の旋回気流になる一方、中央領域からの斜め上向きの気流は外周領域の旋回気流を誘引し、全体では旋回気流を伴った斜め上向きの気流として空気調和対象空間を進むこととなり、空気調和対象空間内空気への気流の混合・拡散が速くドラフトが生じにくいといった旋回気流の特長を生かしつつ、中央領域ごと開口孔の開口方向を調整して気流全体を所定の方向に導くことができ、吹出口近傍の人が不快感を感じる場合にはすぐ気流の吹出す向きを変更できるなど、吹出口近傍をはじめとする空気調和対象空間の状況に応じた空気調和が行え、空気調和能力も大幅に向上させられる。
【0008】
また、本発明に係る床吹出口装置は必要に応じて、前記装置本体の吹出面部における中央領域の各開口孔、及び/又は外周領域の各開口孔の各開口面積をそれぞれ調整可能とする風量調整手段を備えるものである。
このように本発明においては、装置本体の吹出面部に設定された中央領域及び/又は外周領域の各開口孔の開口面積を調整する風量調整手段を配設し、所定領域の各開口孔からの吹出風量を変化させて、中央領域からの斜め上向き気流と外周領域からの旋回気流との風量バランスを変化させることにより、中央領域からの気流を相対的に多くして到達距離をより重視する吹出状態と、外周領域からの気流を相対的に多くして拡散性能をより重視する吹出状態とを選択調整できることとなり、空気調和対象空間の状況により適切に対応できる。
【0009】
また、本発明に係る床吹出口装置は必要に応じて、前記風量調整手段が、前記装置本体の吹出面部のうち前記外周領域の各開口孔の吹出面部下側開口と略一致する配置で複数の開口孔を穿設される略板状体で形成され、外周領域部位の吹出面部下側に沿って回動可能に配設され、前記開口孔と前記外周領域の開口孔との連通状態を変化させて外周領域における各開口孔の開口面積を可変とするものである。
このように本発明においては、複数の開口孔を穿設された略板状の風量調整手段が装置本体吹出面部の外周領域部位に沿って配設され、この風量調整手段を回動させて外周領域の各開口孔の開口面積を変化させ、外周領域の各開口孔を通過して吹出す気流の風量を調整することにより、全体で斜め上方向に進んでいく吹出気流の中での拡散しようとする旋回気流成分を増減させ、外周領域の各開口孔を全開として到達距離と拡散性能が適度に平衡した吹出状態から、中央領域からのみの吹出で到達距離を最大限に伸した吹出状態まで、連続的に吹出状態調整が行えることとなり、空気調和対象空間内への吹出気流の到達範囲を空気調和対象空間の状況に応じて適切に調整でき、空気調和能力をより一層高められる。
【0010】
また、本発明に係る床吹出口装置は必要に応じて、前記風量調整手段が、前記装置本体の吹出面部のうち前記中央領域の各開口孔の吹出面部下側開口と略一致する配置で複数の開口孔を穿設される略板状体で形成され、中央領域部位の吹出面部下側に沿ってスライド可能に配設され、前記開口孔と前記中央領域の開口孔との連通状態を変化させて中央領域における各開口孔の開口面積を可変とするものである。
このように本発明においては、複数の開口孔を穿設された略板状の風量調整手段が装置本体吹出面部の中央領域部位に沿って配設され、この風量調整手段を回動させて中央領域の各開口孔の開口面積を変化させ、中央領域の各開口孔を通過して吹出す気流の風量を調整することにより、全体で斜め上方向に進んでいく吹出気流の中での斜め上向きの直進気流成分を増減させ、中央領域の各開口孔を全開として到達距離と拡散性能が適度に平衡した吹出状態から、外周領域からのみの吹出で拡散性能を最大限に発揮させた吹出状態まで、連続的に吹出状態調整が行えることとなり、空気調和対象空間内空気への吹出気流の混合・拡散の度合を空気調和対象空間の状況に応じて適切に調整でき、空気調和能力をより一層高められる。
【0011】
また、本発明に係る床吹出口装置は必要に応じて、前記吹出面部の中央領域が、前記外周領域を含む吹出面部の他部分に対し別体の気流案内手段とされ、前記装置本体に吹出面部中心を回動の中心として回動可能に支持配設されるものである。
このように本発明においては、吹出面部の中央領域が気流案内手段として外周領域を含む吹出面部の他部分に対し別体とされて回動可能に支持され、吹出面部の他部分に対して回動させて各開口孔の向きを変更できることにより、気流案内手段を適宜回動させて中央領域からの斜め上向き気流を水平方向について360°任意の方向へ向けて吹出気流全体の進行方向を細かく調整することができ、吹出口近傍をはじめとする空気調和対象空間の状況に柔軟に対応して確実に空気調和効果を与えられると共に、気流案内手段のみ回動させるだけで吹出方向調整が行えることとなり、調整作業も容易である。
【0012】
また、本発明に係る床吹出口装置は必要に応じて、前記外周領域及び中央領域の各開口孔が、各領域毎に独立してそれぞれ異なる所定の空気調和用気体供給路に接続されるものである。
このように本発明においては、吹出面部における外周領域と中央領域に対応させて上流側の空気調和用気体供給系統を独立させ、外周領域及び中央領域の各開口孔から吹出させる気体を独立に設定できることにより、外周領域と中央領域とで吹出す気流の温度を変えたり、一方にあらかじめ二次空気を誘引、混合させたりなど、吹出す気流に様々な変化を付加できることとなり、空気調和空間内の空気に与える影響を多様化でき、空気調和能力を高められると共に、吹出口近傍におけるドラフトの防止や、装置本体内での結露防止等も図れる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態に係る床吹出口装置を図1ないし図5に基づいて説明する。この図1は本実施の形態に係る床吹出口装置の平面図及び断面図、図2は本実施の形態に係る床吹出口装置における吹出面部の平面図及びA−A断面図、図3は本実施の形態に係る床吹出口装置における気流案内手段の平面図、B−B断面図及び底面図、図4は本実施の形態に係る床吹出口装置における風量調整手段の平面図、開口孔開放状態説明図、及び開口孔閉塞状態説明図、図5は本実施の形態に係る床吹出口装置の気流吹出状態説明図である。
【0014】
前記各図において本実施の形態に係る床吹出口装置1は、空気調和の対象となる空間である室内の床60に配設され、床60の一部となる吹出面部11に室内に面する開口を複数配置されてなる中空箱状の装置本体10と、複数の開口孔21を穿設されて吹出面部11の中央部分に回動自在に配設される円板状の気流案内手段20と、この気流案内手段20における各開口孔21の装置本体内部側開口と略一致する配置で複数の開口孔31を穿設され、気流案内手段20の下側に沿ってスライド可能に配設される略板状の風量調整手段30とを備える構成である。
【0015】
前記装置本体10は、ダクトを兼ねる床下の空間から調和空気を供給される略円筒形の箱状体で形成され、周側面部分に調和空気取入れ用の開口孔12を穿設されてなり、内部には周側面内周に沿って床下の空間から内部への調和空気流入量を調整するダンパ13を備える一方、下部にはこのダンパ13を室内からの操作に応じて制御する制御駆動部13aを一体に取付けられる構成である。上部の吹出面部11は、複数の開口孔14が所定径の円周上に略等ピッチで配置されて穿設される外周領域40と、この外周領域40の内側の中央領域50とに区分され、中央領域50には前記外周領域40を含む吹出面部11の他部分に対して別体の前記気流案内手段20が回動自在に配設される構成である。
【0016】
前記外周領域40の各開口孔14は、孔貫通方向が垂直方向から隣合う一方側の開口孔寄りにそれぞれ同じ所定角度傾いた状態の、吹出面部11中心について略対称な配置及び形状で穿設される構成である。なお、吹出面部11の一部には、ダンパ13の遠隔操作用のスイッチ15も設置され、室内側から吹出気流全体の風量調整を行える仕組みである。
【0017】
前記気流案内手段20は、複数の開口孔21が孔貫通方向を垂直方向から同じ所定角度分傾斜させてそれぞれ穿設される円板状体で形成され、吹出面部11の中心位置を回動の中心として回動可能に支持配設される構成である。気流案内手段20の上面は周囲の吹出面部11と同じ高さ位置とされて同様に床60の一部となる。この気流案内手段20を周囲の吹出面部11に対して回動させることで、各開口孔21の室内に対する開口方向をまとめて全体的に変更でき、各開口孔21から吹出す気流の向きを調整可能となる仕組みである。
【0018】
前記風量調整手段30は、気流案内手段20の各開口孔21の装置本体内部側開口と略一致する配置で複数の開口孔31を穿設される薄い略板状体で形成され、気流案内手段20の装置本体内部側に沿ってスライド可能に配設される構成であり、前記開口孔31と気流案内手段20の各開口孔21との連通状態を変化させて各開口孔21の開口面積を可変とする仕組みである。この風量調整手段30の位置調整は室内側から気流案内手段20に設けられた操作用の開口孔22を通じて行える仕組みとなっている。
【0019】
次に、前記構成に基づく床吹出口装置における吹出状態及び各種調整動作について説明する。床下空間を通じて供給される調和空気は、装置本体10における床下空間側の開口孔12を通過し、ダンパ13による流入量調整を経て装置本体10内に入った後、風量調整手段30の各開口孔31及び気流案内手段20の各開口孔21、並びに吹出面部11の各開口孔14を通じて室内空間に吹出す。
【0020】
この時、吹出面部11外周領域40の各開口孔14を通過する気流は、円周上に配置された各開口孔14の傾斜に沿ってそれぞれ斜め上に吹出した後合成され、上方へ向けて渦巻状に旋回しつつ緩やかに拡散する旋回気流になる。一方、気流案内手段20の各開口孔21から吹出す気流は、開口孔21の傾きに対応した方向への一様な斜め上向きの直行気流となる。この結果、外周領域40からの旋回気流は、中央領域50からの斜め上向きの気流に誘引されて斜め上向きに気流の向きを変え、全体では旋回気流を伴った斜め上向きの気流として室内空間を進むこととなる。
【0021】
この床吹出口装置1による気流吹出しに際しては、必要に応じて、室内側からスイッチ15操作でダンパ13を動かして全体の風量調整を行うと共に、吹出気流を進めたい方向に合わせて気流案内手段20の向きを調整する。また、風量調整手段30の位置をスライド調整して気流案内手段20における各開口孔21の開口面積を変え、中央領域50からの斜め上向き直行気流と外周領域40からの旋回気流との風量バランスを調整する。例えば、気流案内手段20の各開口孔21を全開状態とした場合には、前記の旋回気流が斜め上向きに進む吹出状態が得られる一方、各開口孔21の開口面積を小さくした場合には、外周領域40からの吹出風量が増加し、緩やかな旋回流がより上向きに進んで拡散する状態となる。
【0022】
吹出面部11の外周領域40及び中央領域50から調和空気をそれぞれ所定の風量バランスで所望の方向へ吹出せることで、吹出気流が吹出口周囲の設置物の影響を受けにくく、また、吹出口近傍の居住域にいる人にそれぞれ気流が直接向わないように吹出せ、ドラフトを感じさせることもない。そして、吹出口周囲の室内空気は、室内に吹出した調和空気の旋回気流に誘引され、さらに調和空気と混合しながら室内空間に拡散することとなり、こうした室内空気との混合、拡散の進行で効率よく空気調和効果を与えられる。
【0023】
このように、本実施の形態に係る床吹出口装置においては、装置本体10の吹出面部11に外周領域40と中央領域50とが設定されてそれぞれ傾斜した開口孔が複数配置され、外周領域40では気流が各開口孔14の傾斜に沿ってそれぞれ斜め上に吹出した後合成されて旋回気流になると共に、中央領域50の各開口孔21からは一様に斜め上向きの気流が吹出すことから、中央領域50からの気流は旋回気流を誘引し、全体では旋回気流を伴った斜め上向きの気流として室内を進むこととなり、気流案内手段20で開口孔21の開口方向を調整して吹出す気流を所定の方向に導くことができ、吹出口近傍の人が不快感を感じる場合にはすぐ気流の吹出す向きを変更できるなど、室内の状況に応じて吹出方向調整が行える。また、中央領域50の各開口孔21の開口面積を調整する風量調整手段30を配設し、各開口孔21からの吹出風量を変化させて、中央領域50からの斜め上向き気流と外周領域40からの旋回気流との風量バランスを変化させることから、中央領域50からの気流を多くして到達距離をより重視する吹出状態と、外周領域40からの気流を多くして拡散性能をより重視する吹出状態とを選択調整して室内の状況により適切に対応でき、空気調和効果を大きく向上させられる。
【0024】
なお、前記実施の形態に係る床吹出口装置においては、風量調整手段30を気流案内手段20に沿ってスライド自在に配設し、気流案内手段20の開口孔21の開口面積を調整して風量調整を行える構成としているが、これに限らず、孔配置を開口孔14に対応させた風量調整手段を気流案内手段20より外側の吹出面部11外周領域40に沿って回動自在に配設する構成とすることもでき、風量調整手段の回動位置調整で外周領域40における開口孔同士の重なり具合を変えて開口孔14の開口面積を調整でき、この各開口孔14の開口面積調整で中央領域50と外周領域40からの各吹出気流の割合を変化させることができる。例えば、全開状態で前記実施形態同様旋回気流が斜め上向きに進む吹出状態が得られる一方、開口孔14の開口面積を小さくした場合には、中央領域50の気流案内手段20からの吹出風量が増加し、斜め上向きの気流が強まって到達距離が長くなるなど、前記実施形態同様、吹出状態の細かい調整が行えることで効率よく空気調和効果を与えることができる。
【0025】
また、前記実施の形態に係る床吹出口装置においては、吹出面部11中央に気流案内手段20を吹出面部他部分とは別体として回動可能に配設する構成としているが、これに限らず、気流案内手段20を装置本体10に対し着脱自在とし、吹出面部11に対し位置合せして一体に取付ける際に向きを複数通り選択可能な構成とすることもできる。この時、気流案内手段20の外形状は円形に限らず、選択可能な方向の数に合わせた正多角形でもかまわない。さらに、吹出面部11の中央領域及び外周領域を含む部分を一体化して装置本体10の床下部分とは別体とし、吹出面部11ごと位置調整可能に配設する構成とすることもでき、吹出面部11全体で向きを変えて気流吹出し方向を変更調整できる。
【0026】
また、前記実施の形態に係る床吹出口装置においては、室内空間に面する各開口孔14、21を単純開口として形成する構成としているが、これに限らず、床60に配設する関係上、物体落下防止のために、空気を低抵抗で出入りさせられる状態であれば、開口孔が例えば多数の貫通孔を形成されてなるパンチング材や金網材等で覆われた構成としてもかまわない。
【0027】
また、前記実施の形態に係る床吹出口装置においては、装置本体10が円筒状の箱状体とされ、吹出面部11及び気流案内手段20も円形とされる構成としているが、これに限らず、設置箇所によっては、装置本体10を矩形箱状など他の形状とすることができ、これに合わせて吹出面部11も円形以外の形状とすることができる。この場合、吹出面部外周領域の開口孔14は、所定の円周上でほぼ等ピッチとなる配置で配設されていれば、全て同じ孔形状でなくてもかまわない。さらに、装置本体10でダンパ13による全体の風量調整を必要としない場合、装置本体10の箱状部分を省略して床60と同一面の吹出面部11のみとし、床下空間から直接吹出面部11下部に調和空気を流入させる構成とすることもできる。
【0028】
また、前記実施の形態に係る床吹出口装置においては、装置本体10をあらかじめ調和空気通路として設定された床下空間に接続する構成としているが、これに限らず、装置本体10を床下に配設されたチャンバーに接続したり、ダクトに接続したりする構成とすることもできる。さらに、吹出面部11の外周領域40と中央領域50の各開口孔に対しては、同じ装置本体10内部を通じて同一の調和空気を共通に導入させる構成としているが、これに限らず、外周領域40と中央領域50への空気供給路を互いに独立させる構成とすることもでき、外周領域40及び中央領域50の各開口孔から吹出させる気体を独立に設定できることから、外周領域40と中央領域50とで吹出す気流の温度を変えたり、一方にあらかじめ二次空気を誘引、混合させたりなど、吹出す気流に様々な変化を付加できることとなり、室内の空気に与える影響を多様化でき、空気調和能力を高められると共に、吹出口近傍におけるドラフトの防止や、装置本体10内での結露防止等も図れる。
【0029】
また、前記実施の形態に係る床吹出口装置において、吹出面部11上の開口孔14は前記各図中に示す数に限らず、周方向に等ピッチで配設されれば任意の複数とすることができる。開口孔14の数が少なく一つあたりの開口面積が大である場合には、吹出の際に抵抗が少なくなって到達距離を伸すといった点で都合が良く、一方、開口孔14の数が多く一つあたりの開口面積が小さい場合には、気流への旋回性の付与がより確実となり、拡散・誘引に都合が良くなる。さらに、開口孔14の傾斜角度も、垂直方向からの傾きを小さくして垂直方向への速度成分を大きくし、到達距離延長に適するようにしたり、垂直方向からの傾きを大きくして水平方向への速度成分を大きくし、気流拡散に適するようにしたりなど、適宜調整を施すことができる。
【0030】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、装置本体の吹出面部に外周領域と中央領域とが設定されてそれぞれ傾斜した開口孔が複数配置され、外周領域では各開口孔を通過する気流が円周上に配置された各開口孔の傾斜に沿ってそれぞれ斜め上に吹出すと共に、中央領域の各開口孔からは一様に斜め上向きの気流が吹出すことにより、外周領域からの気流はそれぞれ斜め上に吹出した後互いの干渉で合成されて渦巻状の旋回気流になる一方、中央領域からの斜め上向きの気流は外周領域の旋回気流を誘引し、全体では旋回気流を伴った斜め上向きの気流として空気調和対象空間を進むこととなり、空気調和対象空間内空気への気流の混合・拡散が速くドラフトが生じにくいといった旋回気流の特長を生かしつつ、中央領域ごと開口孔の開口方向を調整して気流全体を所定の方向に導くことができ、吹出口近傍の人が不快感を感じる場合にはすぐ気流の吹出す向きを変更できるなど、吹出口近傍をはじめとする空気調和対象空間の状況に応じた空気調和が行え、空気調和能力も大幅に向上させられるという効果を奏する。
【0031】
また、本発明によれば、装置本体の吹出面部に設定された中央領域及び/又は外周領域の各開口孔の開口面積を調整する風量調整手段を配設し、所定領域の各開口孔からの吹出風量を変化させて、中央領域からの斜め上向き気流と外周領域からの旋回気流との風量バランスを変化させることにより、中央領域からの気流を相対的に多くして到達距離をより重視する吹出状態と、外周領域からの気流を相対的に多くして拡散性能をより重視する吹出状態とを選択調整できることとなり、空気調和対象空間の状況により適切に対応できるという効果を有する。
【0032】
また、本発明によれば、複数の開口孔を穿設された略板状の風量調整手段が装置本体吹出面部の外周領域部位に沿って配設され、この風量調整手段を回動させて外周領域の各開口孔の開口面積を変化させ、外周領域の各開口孔を通過して吹出す気流の風量を調整することにより、全体で斜め上方向に進んでいく吹出気流の中での拡散しようとする旋回気流成分を増減させ、外周領域の各開口孔を全開として到達距離と拡散性能が適度に平衡した吹出状態から、中央領域からのみの吹出で到達距離を最大限に伸した吹出状態まで、連続的に吹出状態調整が行えることとなり、空気調和対象空間内への吹出気流の到達範囲を空気調和対象空間の状況に応じて適切に調整でき、空気調和能力をより一層高められるという効果を有する。
【0033】
また、本発明によれば、複数の開口孔を穿設された略板状の風量調整手段が装置本体吹出面部の中央領域部位に沿って配設され、この風量調整手段を回動させて中央領域の各開口孔の開口面積を変化させ、中央領域の各開口孔を通過して吹出す気流の風量を調整することにより、全体で斜め上方向に進んでいく吹出気流の中での斜め上向きの直進気流成分を増減させ、中央領域の各開口孔を全開として到達距離と拡散性能が適度に平衡した吹出状態から、外周領域からのみの吹出で拡散性能を最大限に発揮させた吹出状態まで、連続的に吹出状態調整が行えることとなり、空気調和対象空間内空気への吹出気流の混合・拡散の度合を空気調和対象空間の状況に応じて適切に調整でき、空気調和能力をより一層高められるという効果を有する。
【0034】
また、本発明によれば、吹出面部の中央領域が気流案内手段として外周領域を含む吹出面部の他部分に対し別体とされて回動可能に支持され、吹出面部の他部分に対して回動させて各開口孔の向きを変更できることにより、気流案内手段を適宜回動させて中央領域からの斜め上向き気流を水平方向について360°任意の方向へ向けて吹出気流全体の進行方向を細かく調整することができ、吹出口近傍をはじめとする空気調和対象空間の状況に柔軟に対応して確実に空気調和効果を与えられると共に、気流案内手段のみ回動させるだけで吹出方向調整が行えることとなり、調整作業も容易であるという効果を有する。
【0035】
また、本発明によれば、吹出面部における外周領域と中央領域に対応させて上流側の空気調和用気体供給系統を独立させ、外周領域及び中央領域の各開口孔から吹出させる気体を独立に設定できることにより、外周領域と中央領域とで吹出す気流の温度を変えたり、一方にあらかじめ二次空気を誘引、混合させたりなど、吹出す気流に様々な変化を付加できることとなり、空気調和空間内の空気に与える影響を多様化でき、空気調和能力を高められると共に、吹出口近傍におけるドラフトの防止や、装置本体内での結露防止等も図れるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る床吹出口装置の平面図及び断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る床吹出口装置における吹出面部の平面図及びA−A断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る床吹出口装置における気流案内手段の平面図、B−B断面図及び底面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る床吹出口装置における風量調整手段の平面図、開口孔開放状態説明図、及び開口孔閉塞状態説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る床吹出口装置の気流吹出状態説明図である。
【符号の説明】
1 床吹出口装置
10 装置本体
11 吹出面部
12 開口孔
13 ダンパ
13a 制御駆動部
14 開口孔
15 スイッチ
20 気流案内手段
21 開口孔
30 風量調整手段
31 開口孔
40 外周領域
50 中央領域
60 床

Claims (6)

  1. 空気調和の対象となる空間に面する開口を有して前記空気調和対象空間の床に配設され、空気調和用の気体を供給されて当該空気調和用気体を前記開口から吹出す床吹出口装置において、
    前記空気調和対象空間に面する吹出面部に前記開口を複数配置され、床下側部分から前記空気調和用気体を供給される装置本体を備え、
    前記吹出面部が、複数の開口孔が所定径の円周上に略等ピッチで配置されて穿設される外周領域と、当該外周領域の内側で別の複数の開口孔が穿設される中央領域とに区分され、
    前記外周領域の各開口孔が、各孔貫通方向を隣合う開口孔寄りに垂直方向から傾けられて吹出面部中心について互いに略回転対称となる向きとされてそれぞれ穿設されてなり、
    前記中央領域の各開口孔が、孔貫通方向を同じ所定角度分垂直方向から傾斜させてそれぞれ穿設されてなり、
    前記吹出面部の中央領域における開口孔の前記空気調和対象空間に対する開口方向を少なくとも中央領域全体ごと変更可能とし、中央領域の各開口孔から吹出す気流の向きを調整可能とすることを
    特徴とする床吹出口装置。
  2. 前記請求項1に記載の床吹出口装置において、
    前記装置本体の吹出面部における中央領域の各開口孔、及び/又は外周領域の各開口孔の各開口面積をそれぞれ調整可能とする風量調整手段を備えることを
    特徴とする床吹出口装置。
  3. 前記請求項2に記載の床吹出口装置において、
    前記風量調整手段が、前記装置本体の吹出面部のうち前記外周領域の各開口孔の吹出面部下側開口と略一致する配置で複数の開口孔を穿設される略板状体で形成され、外周領域部位の吹出面部下側に沿って回動可能に配設され、前記開口孔と前記外周領域の開口孔との連通状態を変化させて外周領域における各開口孔の開口面積を可変とすることを
    特徴とする床吹出口装置。
  4. 前記請求項2に記載の床吹出口装置において、
    前記風量調整手段が、前記装置本体の吹出面部のうち前記中央領域の各開口孔の吹出面部下側開口と略一致する配置で複数の開口孔を穿設される略板状体で形成され、中央領域部位の吹出面部下側に沿ってスライド可能に配設され、前記開口孔と前記中央領域の開口孔との連通状態を変化させて中央領域における各開口孔の開口面積を可変とすることを
    特徴とする床吹出口装置。
  5. 前記請求項1ないし4のいずれかに記載の床吹出口装置において、
    前記吹出面部の中央領域が、前記外周領域を含む吹出面部の他部分に対し別体の気流案内手段とされ、前記装置本体に吹出面部中心を回動の中心として回動可能に支持配設されることを
    特徴とする床吹出口装置。
  6. 前記請求項1ないし5のいずれかに記載の床吹出口装置において、
    前記外周領域及び中央領域の各開口孔が、各領域毎に独立してそれぞれ異なる所定の空気調和用気体供給路に接続されることを
    特徴とする床吹出口装置。
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