JP2004204928A - マグネシウム系部材およびその組付体 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温環境下で使用した場合でもクリープ変形等を抑制できるMg系部材を提供する。
【解決手段】本発明のMg系部材は、Mgを主成分とし筒状の凹部15を備える本体1と、この本体よりもクリープ特性に優れる耐熱性材料からなり耐熱性接着剤4を介して凹部に嵌着されて本体を部分的に補強する補強体5と、からなることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のMg系部材は、Mgを主成分とし筒状の凹部15を備える本体1と、この本体よりもクリープ特性に優れる耐熱性材料からなり耐熱性接着剤4を介して凹部に嵌着されて本体を部分的に補強する補強体5と、からなることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、比較的高温環境下でも使用可能なMg合金等からなるマグネシウム系部材およびそれを組立ててなる組付体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多くの部材に、FeやAlまたはそれらの合金等の金属材料が使用されているが、最近では、部材や装置の軽量化を一層進めるために、Mgやその合金(以下、適宜、「Mg系材料」という。)の使用が増えつつある。特に、環境問題が重視され、低燃費化が進む自動車分野では、各種装置の各部材へのMg系材料の使用が拡大されつつある。
Mg系材料の使用を拡大する上で、耐蝕性、耐電食性等の問題もあるが、耐熱性の問題が特に重要である。Mg系材料の耐熱性が向上することによって、これまでは使用が困難であった高温環境下等での使用が可能となり、その用途が一層拡大するからである。
その耐熱性向上策として、これまでは成分調整によるMg合金自体の耐熱性向上が多く行われてきた。
【0003】
【特許文献1】
特開平2002−205158号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、Mg系材料の全体的な耐熱性が向上したとしても、高温環境下で大きな応力が長期間作用するような場合、Mg系材料からなる部材(Mg系部材)は、依然としてクリープ変形等を生じ易いことに変りはない。このため、例えば、Mg系部材に直接雌ねじを設けて他部材とボルト等で強固に結合するといったような、Mg系部材の使用は難しかった。
なお、上記特許文献1には、Mg合金中に異種金属材を鋳込むことで、Mg合金の耐熱性を部分的に補強したものがある。
【0005】
しかし、このような鋳込みによる方法では、母材であるMg合金と異種金属材との間で強固な結合を得ることが難しく、また、製造コストも高いものとなりがちである。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、比較的簡易に得られ、高温環境下で使用した場合でもクリープ変形等を抑制できるMg系部材およびその組付体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、Mg系部材の本体中で、クリープ変形を生じ易い部分に、耐熱性接着剤で接合する補強体を設けることを思いつき、これを発展させて本発明を完成させるに至ったものである。
(Mg系部材)
すなわち、本発明のMg系部材は、Mgを主成分とし筒状の凹部を備える本体と、該本体よりもクリープ特性に優れる耐熱性材料からなり耐熱性接着剤を介して該凹部に嵌着されて該本体を部分的に補強する補強体と、からなることを特徴とする。
本発明のMg系部材は、高温環境下で使用した場合に、クリープ変形等が問題となる部分に、本体よりもクリープ特性に優れる耐熱性材料からなる補強体を有する。これにより、そのMg系部材を、高応力作用下で、かつ、高温環境下で、長期間保持したとしても、そのMg系部材は少なくとも補強体を設けた部分でのクリープ変形が抑制される。このため、Mg系部材の高温環境下での構造材としての使用が可能となる。
【0007】
また、本発明では、その補強体を本体に結合する際に、鋳込み等ではなく、耐熱性接着剤を使用している。これにより、補強体と本体との結合を容易に、かつ、確実に行えるようになった。
本体の材質は、Mgを主成分とするものであり、例えば、純Mg、Mg合金、Mg複合材料等がある。本体に設けた凹部は、筒状であるが、その形状は、円形状でも方形状でも良いし、また、有底でも無底でも良い。このような本体は、装置のハウジングやケース等の固定部材の他、往復、回転等の運動を行う運動部材であっても良い。
【0008】
補強体は、本体よりもクリープ特性に優れる耐熱性材料からなるが、この指標となるクリープ特性は、Mg系部材の用途に応じて選択される最適なものである。例えば、補強体に圧縮応力が作用する場合には圧縮応力に対するクリープ特性であり、引張応力が作用する場合には引張応力に対するクリープ特性である。具体的なクリープ特性の測定方法として、Mg系部材の用途に応じて定る方向に応力を作用させ、高温環境下における変位を所定値に保持できる応力を測定する応力緩和試験やクリープ試験(JIS Z 2271)等がある。
【0009】
このような本体よりもクリープ特性に優れる耐熱性材料は、当然に、本体のMg系材料との対比により決るため、一概に特定することはできない。本体がMg系材料からなる場合であれば、耐熱性材料がAl、Fe、Ti、NiまたはCu等のいずれかを主成分とする金属材料からなると好適である。より具体的には、Mg系部材の用途や使用環境に応じて、それらの合金や複合材料からなると好ましい。
【0010】
補強体と本体とを結合する耐熱性接着剤は、Mg系部材の使用温度範囲内での耐熱性を有すれば良い。より高い耐熱性を確保するために、その耐熱性接着剤は、有機系接着剤よりも無機系接着剤が好適である。
また、耐熱性接着剤は、絶縁性を備える絶縁性接着剤であると好ましい。本体と補強体とは異種金属同士であることが多く、両者間の腐食電位差が大きくなることも十分に考えられる。そこで、両者間に介在する耐熱性接着剤が絶縁性をも有すると、例え前記腐食電位が大きくなる場合であっても、本体等の電食が十分に抑制、防止される。この電食抑制効果を十分に発現させるために、本体の凹部と接触する補強体の外周全面に耐熱性接着剤が塗布等させていると好ましい。このような絶縁性を前記耐熱性と共に備える無機系接着剤として、例えば、シリカ等を主成分とした接着剤がある。
【0011】
なお、本体と補強体とは、このような接着剤による結合であっても、補強体の外周形状と本体の凹部形状との嵌合によって十分に強い結合強度を発揮することが可能である。そして、この結合強度をさらに向上させるために、補強体の外周面および/または本体の凹部の内周面は、補強体と凹部との間の結合を強化する凹凸状または線状の結合強化面となっていると一層好ましい。このような結合強化面の存在により、本体の凹部と補強体との間の接触面積が増加したり、耐熱性接着剤の保持性が向上して、補強体と凹部との間の結合が強化される。補強体と凹部との間のクリアランスによっては、結合表面にできた凹凸等による微細な係合によってアンカ効果が生じることも考えられ、この場合は、補強体と凹部との間の結合が一層強化され得る。上記凹凸状の結合強化面は、例えば、ショットブラスト、ショットピーニング等により形成され、線状の結合強化面は、例えば、粗切削やねじ切り等により簡単に形成される。
【0012】
ところで、補強体の具体的な補強効果は、Mg系部材の用途や本体の機能等との関係により変化する。例えば、本体に別部材を取付けるための雌ねじ部が補強体に設けられる場合なら、その補強体はボルト等の締結具と締結する締結補強体となる。この雌ねじ部の位置は特に限定されないが、雌ねじ部は締結補強体の略中央に設けられると、必要な部分のみ補強されて効率的である。
また、本体に直接ねじ部を設けない場合でも、その本体にボルト等が挿通させて、その本体と他部材とが固定等されるときもある。このような場合、補強体はワッシャ状の単なるリング体であっても良い。通常、ボルト締めするような場合、そのボルト頭周辺のみに大きな締付応力が作用するため、そのようなリング体の存在によっても、本体のクリープ変形等は十分に抑制され得る。
【0013】
(Mg系部材の組付体)
本発明は、上記Mg系部材としてのみならず、締結具によってそれと別部材とを固定した組付体としても把握できる。
すなわち、本発明は、Mgを主成分とし筒状の凹部を備える本体と、該本体よりもクリープ特性に優れる耐熱性材料からなり耐熱性接着剤を介して該凹部に嵌着され雌ねじ部をもつ締結補強体と、該雌ねじ部に螺合する雄ねじ部をもつ締結具によって該本体に取付けられる取付体と、からなることを特徴とするマグネシウム系部材の組付体であっても良い。
ここで、取付体の材質は問わないが、例えば、クリープ特性に優れた耐熱性材料からなると好ましい。また、取付体自体のクリープ特性が低い場合は、高応力が作用する部分に、上記本体の場合と同様に補強体を適宜設ければ良い。なお、取付体やそこに設ける補強体の材質は、上記耐熱性材料と同一である必要はない。
【0014】
なお、本発明でいう耐熱性の指標となる具体的な温度は、Mg系部材やその組付体の用途により異なるため、一概には特定できない。例えば、自動車用のMg系部材やその組付体の場合、それらがエンジンルーム内に配置されることを考慮して、通常、150℃前後の耐熱性が問題となる。そのような自動車用組付体として、エンジン、ミッション、エアコン用圧縮機、パワステ用ポンプ等がある。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に実施形態を挙げて本発明を具体的に説明する。
一実施形態として、エアコン用圧縮機のハウジングH(組付体)に本発明を適用した様子を図1に示す。図1は、その様子の要部を簡略化して模式的に示した断面図である。
このハウジングHは、本体1と、この本体1に固定される取付体2と、両者を締結する鋼鉄製のボルト(締結具)3とによって主に構成される。
【0016】
本体1は、AZ91(JIS)等のMg合金からなる円筒状部材である。その環状の端部には、さらに、有底円筒状をした凹部15が穿設されている。そして、この凹部15内には、円柱状の締結補強体5が嵌入される。
この締結補強体5は、本体1よりもクリープ特性に優れたA6063(JIS)からなる。このクリープ特性の優劣は、クリープ試験(JIS Z 2271)による測定結果から判断したものである。そして、その締結補強体5の軸方向中央には、一方にのみ開口した雌ねじ部51が形成されている。また、締結補強体5の外周面は、ショットブラスとによって形成された細かな凹凸面(結合強化面)となっている。
【0017】
本体1の凹部15の内面に対面する、締結補強体5の外周面および底面には、シリカを主成分とした無機系接着剤4が全面的に均一に塗布されている。本実施形態で使用した無機系接着剤4は、アロンセラミックC(東亞合成社製)であり、耐熱性および絶縁性が高くて、耐熱温度が1200℃のものである。
取付体2は、ADC12(JIS)等のAl合金からなる円盤状部材である。その外周端部には、本体1の凹部15に対応して、ボルト3の挿通する挿通孔23が環状に設けられている。そして、挿通孔23にボルト3を挿通させて、ボルト3の雄ねじ部31を締結補強体5の雌ねじ部51に螺合させることで、本体1と取付体2とは締結、固定される。
【0018】
なお、図1では、解り易くするために、無機系接着剤4の膜厚を厚めに描いてあるが、実際には約100μm程度の厚さである。従って、本体1の凹部15と締結補強体5とは、本来、クリアランスの少ないすきま嵌め状態にある。
また、上記実施形態では、本体1を円筒状としたが、角筒状等、どのような形状であっても良い。そして、取付体の形状も、この本体の形状に合わせれば良い。さらに、上記実施形態では、締結補強体5を円柱状としたが、これも、角柱状等、どのような形状であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 本体
2 取付体
3 ボルト
4 無機系接着剤
5 締結補強体
【発明の属する技術分野】
本発明は、比較的高温環境下でも使用可能なMg合金等からなるマグネシウム系部材およびそれを組立ててなる組付体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多くの部材に、FeやAlまたはそれらの合金等の金属材料が使用されているが、最近では、部材や装置の軽量化を一層進めるために、Mgやその合金(以下、適宜、「Mg系材料」という。)の使用が増えつつある。特に、環境問題が重視され、低燃費化が進む自動車分野では、各種装置の各部材へのMg系材料の使用が拡大されつつある。
Mg系材料の使用を拡大する上で、耐蝕性、耐電食性等の問題もあるが、耐熱性の問題が特に重要である。Mg系材料の耐熱性が向上することによって、これまでは使用が困難であった高温環境下等での使用が可能となり、その用途が一層拡大するからである。
その耐熱性向上策として、これまでは成分調整によるMg合金自体の耐熱性向上が多く行われてきた。
【0003】
【特許文献1】
特開平2002−205158号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、Mg系材料の全体的な耐熱性が向上したとしても、高温環境下で大きな応力が長期間作用するような場合、Mg系材料からなる部材(Mg系部材)は、依然としてクリープ変形等を生じ易いことに変りはない。このため、例えば、Mg系部材に直接雌ねじを設けて他部材とボルト等で強固に結合するといったような、Mg系部材の使用は難しかった。
なお、上記特許文献1には、Mg合金中に異種金属材を鋳込むことで、Mg合金の耐熱性を部分的に補強したものがある。
【0005】
しかし、このような鋳込みによる方法では、母材であるMg合金と異種金属材との間で強固な結合を得ることが難しく、また、製造コストも高いものとなりがちである。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、比較的簡易に得られ、高温環境下で使用した場合でもクリープ変形等を抑制できるMg系部材およびその組付体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、Mg系部材の本体中で、クリープ変形を生じ易い部分に、耐熱性接着剤で接合する補強体を設けることを思いつき、これを発展させて本発明を完成させるに至ったものである。
(Mg系部材)
すなわち、本発明のMg系部材は、Mgを主成分とし筒状の凹部を備える本体と、該本体よりもクリープ特性に優れる耐熱性材料からなり耐熱性接着剤を介して該凹部に嵌着されて該本体を部分的に補強する補強体と、からなることを特徴とする。
本発明のMg系部材は、高温環境下で使用した場合に、クリープ変形等が問題となる部分に、本体よりもクリープ特性に優れる耐熱性材料からなる補強体を有する。これにより、そのMg系部材を、高応力作用下で、かつ、高温環境下で、長期間保持したとしても、そのMg系部材は少なくとも補強体を設けた部分でのクリープ変形が抑制される。このため、Mg系部材の高温環境下での構造材としての使用が可能となる。
【0007】
また、本発明では、その補強体を本体に結合する際に、鋳込み等ではなく、耐熱性接着剤を使用している。これにより、補強体と本体との結合を容易に、かつ、確実に行えるようになった。
本体の材質は、Mgを主成分とするものであり、例えば、純Mg、Mg合金、Mg複合材料等がある。本体に設けた凹部は、筒状であるが、その形状は、円形状でも方形状でも良いし、また、有底でも無底でも良い。このような本体は、装置のハウジングやケース等の固定部材の他、往復、回転等の運動を行う運動部材であっても良い。
【0008】
補強体は、本体よりもクリープ特性に優れる耐熱性材料からなるが、この指標となるクリープ特性は、Mg系部材の用途に応じて選択される最適なものである。例えば、補強体に圧縮応力が作用する場合には圧縮応力に対するクリープ特性であり、引張応力が作用する場合には引張応力に対するクリープ特性である。具体的なクリープ特性の測定方法として、Mg系部材の用途に応じて定る方向に応力を作用させ、高温環境下における変位を所定値に保持できる応力を測定する応力緩和試験やクリープ試験(JIS Z 2271)等がある。
【0009】
このような本体よりもクリープ特性に優れる耐熱性材料は、当然に、本体のMg系材料との対比により決るため、一概に特定することはできない。本体がMg系材料からなる場合であれば、耐熱性材料がAl、Fe、Ti、NiまたはCu等のいずれかを主成分とする金属材料からなると好適である。より具体的には、Mg系部材の用途や使用環境に応じて、それらの合金や複合材料からなると好ましい。
【0010】
補強体と本体とを結合する耐熱性接着剤は、Mg系部材の使用温度範囲内での耐熱性を有すれば良い。より高い耐熱性を確保するために、その耐熱性接着剤は、有機系接着剤よりも無機系接着剤が好適である。
また、耐熱性接着剤は、絶縁性を備える絶縁性接着剤であると好ましい。本体と補強体とは異種金属同士であることが多く、両者間の腐食電位差が大きくなることも十分に考えられる。そこで、両者間に介在する耐熱性接着剤が絶縁性をも有すると、例え前記腐食電位が大きくなる場合であっても、本体等の電食が十分に抑制、防止される。この電食抑制効果を十分に発現させるために、本体の凹部と接触する補強体の外周全面に耐熱性接着剤が塗布等させていると好ましい。このような絶縁性を前記耐熱性と共に備える無機系接着剤として、例えば、シリカ等を主成分とした接着剤がある。
【0011】
なお、本体と補強体とは、このような接着剤による結合であっても、補強体の外周形状と本体の凹部形状との嵌合によって十分に強い結合強度を発揮することが可能である。そして、この結合強度をさらに向上させるために、補強体の外周面および/または本体の凹部の内周面は、補強体と凹部との間の結合を強化する凹凸状または線状の結合強化面となっていると一層好ましい。このような結合強化面の存在により、本体の凹部と補強体との間の接触面積が増加したり、耐熱性接着剤の保持性が向上して、補強体と凹部との間の結合が強化される。補強体と凹部との間のクリアランスによっては、結合表面にできた凹凸等による微細な係合によってアンカ効果が生じることも考えられ、この場合は、補強体と凹部との間の結合が一層強化され得る。上記凹凸状の結合強化面は、例えば、ショットブラスト、ショットピーニング等により形成され、線状の結合強化面は、例えば、粗切削やねじ切り等により簡単に形成される。
【0012】
ところで、補強体の具体的な補強効果は、Mg系部材の用途や本体の機能等との関係により変化する。例えば、本体に別部材を取付けるための雌ねじ部が補強体に設けられる場合なら、その補強体はボルト等の締結具と締結する締結補強体となる。この雌ねじ部の位置は特に限定されないが、雌ねじ部は締結補強体の略中央に設けられると、必要な部分のみ補強されて効率的である。
また、本体に直接ねじ部を設けない場合でも、その本体にボルト等が挿通させて、その本体と他部材とが固定等されるときもある。このような場合、補強体はワッシャ状の単なるリング体であっても良い。通常、ボルト締めするような場合、そのボルト頭周辺のみに大きな締付応力が作用するため、そのようなリング体の存在によっても、本体のクリープ変形等は十分に抑制され得る。
【0013】
(Mg系部材の組付体)
本発明は、上記Mg系部材としてのみならず、締結具によってそれと別部材とを固定した組付体としても把握できる。
すなわち、本発明は、Mgを主成分とし筒状の凹部を備える本体と、該本体よりもクリープ特性に優れる耐熱性材料からなり耐熱性接着剤を介して該凹部に嵌着され雌ねじ部をもつ締結補強体と、該雌ねじ部に螺合する雄ねじ部をもつ締結具によって該本体に取付けられる取付体と、からなることを特徴とするマグネシウム系部材の組付体であっても良い。
ここで、取付体の材質は問わないが、例えば、クリープ特性に優れた耐熱性材料からなると好ましい。また、取付体自体のクリープ特性が低い場合は、高応力が作用する部分に、上記本体の場合と同様に補強体を適宜設ければ良い。なお、取付体やそこに設ける補強体の材質は、上記耐熱性材料と同一である必要はない。
【0014】
なお、本発明でいう耐熱性の指標となる具体的な温度は、Mg系部材やその組付体の用途により異なるため、一概には特定できない。例えば、自動車用のMg系部材やその組付体の場合、それらがエンジンルーム内に配置されることを考慮して、通常、150℃前後の耐熱性が問題となる。そのような自動車用組付体として、エンジン、ミッション、エアコン用圧縮機、パワステ用ポンプ等がある。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に実施形態を挙げて本発明を具体的に説明する。
一実施形態として、エアコン用圧縮機のハウジングH(組付体)に本発明を適用した様子を図1に示す。図1は、その様子の要部を簡略化して模式的に示した断面図である。
このハウジングHは、本体1と、この本体1に固定される取付体2と、両者を締結する鋼鉄製のボルト(締結具)3とによって主に構成される。
【0016】
本体1は、AZ91(JIS)等のMg合金からなる円筒状部材である。その環状の端部には、さらに、有底円筒状をした凹部15が穿設されている。そして、この凹部15内には、円柱状の締結補強体5が嵌入される。
この締結補強体5は、本体1よりもクリープ特性に優れたA6063(JIS)からなる。このクリープ特性の優劣は、クリープ試験(JIS Z 2271)による測定結果から判断したものである。そして、その締結補強体5の軸方向中央には、一方にのみ開口した雌ねじ部51が形成されている。また、締結補強体5の外周面は、ショットブラスとによって形成された細かな凹凸面(結合強化面)となっている。
【0017】
本体1の凹部15の内面に対面する、締結補強体5の外周面および底面には、シリカを主成分とした無機系接着剤4が全面的に均一に塗布されている。本実施形態で使用した無機系接着剤4は、アロンセラミックC(東亞合成社製)であり、耐熱性および絶縁性が高くて、耐熱温度が1200℃のものである。
取付体2は、ADC12(JIS)等のAl合金からなる円盤状部材である。その外周端部には、本体1の凹部15に対応して、ボルト3の挿通する挿通孔23が環状に設けられている。そして、挿通孔23にボルト3を挿通させて、ボルト3の雄ねじ部31を締結補強体5の雌ねじ部51に螺合させることで、本体1と取付体2とは締結、固定される。
【0018】
なお、図1では、解り易くするために、無機系接着剤4の膜厚を厚めに描いてあるが、実際には約100μm程度の厚さである。従って、本体1の凹部15と締結補強体5とは、本来、クリアランスの少ないすきま嵌め状態にある。
また、上記実施形態では、本体1を円筒状としたが、角筒状等、どのような形状であっても良い。そして、取付体の形状も、この本体の形状に合わせれば良い。さらに、上記実施形態では、締結補強体5を円柱状としたが、これも、角柱状等、どのような形状であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 本体
2 取付体
3 ボルト
4 無機系接着剤
5 締結補強体
Claims (6)
- マグネシウム(Mg)を主成分とし筒状の凹部を備える本体と、
該本体よりもクリープ特性に優れる耐熱性材料からなり耐熱性接着剤を介して該凹部に嵌着されて該本体を部分的に補強する補強体と、
からなることを特徴とするマグネシウム系部材。 - 前記耐熱性接着剤は、無機系接着剤である請求項1に記載のマグネシウム系部材。
- 前記補強体の外周面および/または前記本体の凹部の内周面は、該補強体と該凹部との間の結合を強化する凹凸状または線状の結合強化面となっている請求項1に記載のマグネシウム系部材。
- 前記耐熱性材料は、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)または銅(Cu)のいずれかを主成分とする金属材料からなる請求項1に記載のマグネシウム系部材の組付体。
- 前記補強体は、雌ねじ部をもつ締結補強体である請求項1に記載のマグネシウム系部材。
- Mgを主成分とし筒状の凹部を備える本体と、
該本体よりもクリープ特性に優れる耐熱性材料からなり耐熱性接着剤を介して該凹部に嵌着され雌ねじ部をもつ締結補強体と、
該雌ねじ部に螺合する雄ねじ部をもつ締結具によって該本体に取付けられる取付体と、
からなることを特徴とするマグネシウム系部材の組付体。
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JP2002373779A JP2004204928A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | マグネシウム系部材およびその組付体 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007292410A (ja) * | 2006-04-26 | 2007-11-08 | Daikin Ind Ltd | 据付用型紙及び空気調和装置 |
CN107931574A (zh) * | 2017-11-24 | 2018-04-20 | 盐城楷翔钻采配件有限公司 | 一种螺母的制造工艺 |
-
2002
- 2002-12-25 JP JP2002373779A patent/JP2004204928A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007292410A (ja) * | 2006-04-26 | 2007-11-08 | Daikin Ind Ltd | 据付用型紙及び空気調和装置 |
CN107931574A (zh) * | 2017-11-24 | 2018-04-20 | 盐城楷翔钻采配件有限公司 | 一种螺母的制造工艺 |
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Legal Events
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A761 | Written withdrawal of application |
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