JP2004204139A - 2液型ポリウレタン系シーリング材組成物及びシーリング材 - Google Patents

2液型ポリウレタン系シーリング材組成物及びシーリング材 Download PDF

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直之 大森
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Abstract

【解決手段】(A)ジイソシアネートとポリオール類との反応により得られるイソシアネートプレポリマーを配合してなる基材液、及び
(B)下記式(1)乃至(3)のいずれかで表される化合物の少なくとも1種を配合してなる硬化剤液
【化1】
Figure 2004204139

(式中、Xは同一又は異種のハロゲン原子を示す)
【化2】
Figure 2004204139

(式中、nは1〜21の整数を示す)
【化3】
Figure 2004204139

(式中、Rはポリオキシアルキレングリコールの両末端の水酸基を除いた二価の残基を示し、R部分の平均分子量は300未満である)
からなることを特徴とする2液型ポリウレタン系シーリング材組成物。
【効果】本発明によれば、施工に適した粘度と硬化速度を有すると共に、発泡などの硬化不良を発生せず、硬化後に高いモジュラスを示す2成分型ポリウレタン系シール剤組成物及びこの硬化物からなるシーリング材を提供することができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2液型ポリウレタン系シーリング材組成物及びシーリング材、特に、高モジュラスのウレタン系シーリング材を与える常温硬化性の2液型ポリウレタン系シーリング材組成物及びこの硬化物からなるシーリング材に関する。
【0002】
【従来の技術】
土木、建築構成材の目地部分シール材のひとつとして、イソシアネートプレポリマーを基材にポリオール、架橋剤、充填材、触媒、可塑剤等の混合物を硬化剤とした2液型の常温硬化性ポリウレタン系シーリング材がある。この様なシーリング材の架橋剤としては、従来よりMOCA(3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン)が広く使用されてきた。特に、土木用のポリウレタン系シーリング材は目地部分に高い応力がかかるため、高モジュラスであることが必要であり、MOCAは高モジュラス化する上で配合上必要な架橋剤とされてきた。
【0003】
しかしながら、近年、製品中の化合物の安全性や環境への影響が懸念される変異原性物質であるMOCAは、今後使用するに当たりこれらの点を考慮する必要がある。
【0004】
また、架橋剤としてMOCA以外のものを用いたポリウレタン系組成物としては、例えば、下記特許文献1,2に記載されたものがあり、これらは、ポリオキシアルキレンオキサイドアミノベンゾエートやメチレンビス(ジアルキルアニリン)を用いるものであるが、このような架橋剤を用いると硬化時間が速くなりすぎたり、高モジュラス化が困難となったりする問題が生じる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−17820号公報
【特許文献2】
特開平10−46103号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、MOCAを使用せずに、施工に適した粘度と硬化速度を有すると共に、発泡などの硬化不良を発生せず、硬化後に高いモジュラスを示す2液型ポリウレタン系シーリング材組成物及びこの硬化物からなるシーリング材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、(A)ジイソシアネートとポリオール類との反応により得られるイソシアネートプレポリマーを配合してなる基材液、及び
(B)下記式(1)乃至(3)のいずれかで表される化合物の少なくとも1種を配合してなる硬化剤液、
【化4】
Figure 2004204139
(式中、Xは同一又は異種のハロゲン原子を示す)
【化5】
Figure 2004204139
(式中、nは1〜21の整数を示す)
【化6】
Figure 2004204139
(式中、Rはポリオキシアルキレングリコールの両末端の水酸基を除いた二価の残基を示し、R部分の平均分子量は300未満である)
からなる2液型ポリウレタン系シーリング材組成物が、施工に適した粘度と硬化速度を有すると共に、発泡などの硬化不良を発生しない施工性に優れたものであり、これを硬化して得られるシーリング材が、高いモジュラスを示すものであることを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】
即ち、本発明は、
(A)ジイソシアネートとポリオール類との反応により得られるイソシアネートプレポリマーを配合してなる基材液、及び
(B)下記式(1)乃至(3)のいずれかで表される化合物の少なくとも1種を配合してなる硬化剤液
【化7】
Figure 2004204139
(式中、Xは同一又は異種のハロゲン原子を示す)
【化8】
Figure 2004204139
(式中、nは1〜21の整数を示す)
【化9】
Figure 2004204139
(式中、Rはポリオキシアルキレングリコールの両末端の水酸基を除いた二価の残基を示し、R部分の平均分子量は300未満である)
からなることを特徴とする2液型ポリウレタン系シーリング材組成物、並びにこの硬化物からなるシーリング材を提供する。
【0009】
以下、本発明につき更に詳述する。
本発明の2液型ポリウレタン系シーリング材組成物は、(A)成分である基材液と、(B)成分である硬化剤液からなるものであり、通常、(A)成分と(B)成分は別々の液で調製され、施工時に両者を混合して用いる2液型のポリウレタン系シーリング材組成物である。
【0010】
本発明の(A)成分は、本発明の2液型ポリウレタン系シーリング材組成物の一方の液であり、イソシアネートプレポリマーを配合してなる基材液である。なお、この場合、基材液がイソシアネートプレポリマーのみを用いたものである場合も含まれる。
【0011】
上記基材液中の、イソシアネートプレポリマーは、ジイソシアネートとポリオール類との反応により得られるものである。上記イソシアネートプレポリマーの原料となるジイソシアネートとしては、特に限定されず、公知のイソシアネートを挙げることができ、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられるが、特に、トリレンジイソシアネートが好ましい。トリレンジイソシアネートを用いる場合、各種異性体単品や混合物を用いることができるが、2,4−トリレンジイソシアネートを主成分とするものを用いることが特に好ましい。
【0012】
一方、本発明のイソシアネートプレポリマーの他方の原料であるポリオール類についても特に限定されず、通常のイソシアネートプレポリマーの原料となるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールなどを用いることができるが、特にポリプロピレンエーテルポリオール、ポリエチレン−プロピレンエーテルポリオール又はこれらの混合物が好適である。
【0013】
なお、本発明の組成物においては、この(A)成分のイソシアネートプレポリマーは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、イソシアネートプレポリマー中のNCO(イソシアネート基)の割合は2〜3.5%、望ましくは2.5〜3%が好ましい。
【0014】
本発明の(B)成分は、本発明の2液型のポリウレタン系シーリング材組成物の他方の液であり、(A)成分の基材液に対して硬化剤として作用する硬化剤液である。
【0015】
この(B)成分の硬化剤液には、下記式(1)乃至(3)のいずれかで表される化合物の少なくとも1種を配合する。これらの化合物は架橋剤として作用するものである。
【化10】
Figure 2004204139
(式中、Xは同一又は異種のハロゲン原子を示す)
【化11】
Figure 2004204139
(式中、nは1〜21の整数を示す)
【化12】
Figure 2004204139
(式中、Rはポリオキシアルキレングリコールの両末端の水酸基を除いた二価の残基を示し、R部分の平均分子量は300未満である)
【0016】
上記式(1)で表される化合物中のXはハロゲン原子であるが、特に、塩素原子であることが好ましく、4,4’−ジアミノ−2,2’3,3’−テトラクロロジフェニルメタンを好ましく挙げることができる。
【0017】
また、上記式(2)で表される化合物としては、式中のnが1〜21、特に2〜10のものが好ましく、とりわけ上記式中のnが3であるトリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)を好ましく挙げることができる。
【0018】
一方、上記式(3)で表される化合物は、式中のRがポリオキシアルキレングリコールの両末端の水酸基を除いた二価の残基であるものであり、このポリオキシアルキレングリコールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等が挙げられるが、この場合、特にポリオキシテトラメチレングリコールが好ましく、上記式(3)で表される化合物としてはポリテトラメチレン−ジ−p−アミノベンゾエートが好ましく挙げられる。また、上記式(3)中のR部分の平均分子量は300未満、好ましくは280以下、更に好ましくは260以下、特に好ましくは240以下である。
【0019】
本発明においては、上記化合物を用いることにより、特に、ウレタン系シーリング材を高モジュラス化することができる。
【0020】
なお、上記式(1)乃至(3)で表される化合物は、各々を単独で用いても、これらから選ばれる2種以上を混合して用いてもよいが、(B)成分中0.3〜5重量%、特に0.6〜3重量%の濃度で含有させることが好ましい。上記化合物の濃度が5重量%を超えると、イソシアネートプレポリマー中のイソシアネート基に対してアミノ基の量が過剰となるため未硬化となるおそれがあり、0.3重量%未満ではイソシアネートプレポリマー中のイソシアネート基に対してアミノ基の量が不足して、モジュラスが低下するおそれがある。
【0021】
本発明の(B)成分の硬化剤液には、ポリウレタンシーリング材組成物に用いられる従来公知のポリオールを配合することが好ましい。このポリオールとしては、例えば、ポリプロピレンエーテルグリコール又はポリエチレン−プロピレンエーテルグリコールなどを挙げることができ、特に、ポリプロピレングリコールが好ましい。また、このポリオールの平均分子量は1,000〜6,000、特に1,500〜4,000であることが好ましく、2又は3官能ポリオールであることが好ましい。このようなものとしては、市販品を使用し得、例えば、アクトコール21−56(三井武田ケミカル社製)、サンニックスGP−3000S(三洋化成社製)などが挙げられる。なお、このポリオールは、(B)成分中1〜35重量%、特に6〜20重量%の濃度で配合することが好ましい。
【0022】
本発明の(B)成分の硬化剤液には、上記(A)成分のイソシアネートプレポリマーと(B)成分との反応を促進するための触媒を配合することが好ましい。この触媒としては、ポリウレタン系組成物の触媒として用いられる従来公知の触媒を用い得るが、特に、2−エチルヘキサン酸PbなどのPb系触媒を用いることが好ましい。なお、触媒は、(B)成分中0.3〜7重量%、特に2〜5重量%の濃度で配合することが好ましい。
【0023】
本発明の(B)成分の硬化剤液には、無機充填材を配合することが好ましく、例えば、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、ゼオライト、珪藻土等のシーリング材組成物に添加される従来公知の無機充填材を配合することができる。このような無機充填材としては、市販品を使用し得、例えば、ネオライトSP(竹原化学工業社製)、SP500(竹原化学工業社製)、NS100(日東粉化工業社製)などが挙げられる。なお、無機充填材は、(B)成分中30〜80重量%、特に50〜70重量%の濃度で配合することが好ましい。
【0024】
本発明の(B)成分の硬化剤液には、フタル酸ジオクチル、アジピン酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、塩素化パラフィン等の可塑剤を配合することが好ましい。この場合、上記可塑剤は、(B)成分中3〜35重量%、特に10〜25重量%の濃度で配合することが好ましい。
【0025】
ポリウレタン系組成物において用いられるイソシアネートインデックスとは、硬化剤成分中のポリオールの当量に対して、基材であるプレポリマー(イソシアネート)の当量が等しいときを100とする指数であるが、本発明のポリウレタン系シーリング材組成物においては、イソシアネートインデックスが170を超えると大気中又は硬化剤液中の水分と余分なプレポリマーが反応し、CO2が発生し、発泡の度合いが極端に大きくなる可能性がある。一方、イソシアネートインデックスが100未満では、実際の施工時に基材液と硬化剤液を混合しても硬化しない可能性がある。この点から、イソシアネートインデックスは100〜170、特に110〜150であることが好ましい。
【0026】
なお、本発明のポリウレタン系シーリング材組成物において、上記(A)成分の基材液と(B)成分の硬化剤液とを配合する際の配合比は、特に制限されるものではないが、(A)成分:(B)成分=100:200〜500(重量比)、特に100:200〜400(重量比)程度が基材液と硬化剤液とが混ざりやすく望ましい。
【0027】
本発明のポリウレタン系シーリング材組成物は、常温硬化性であり、0〜40℃程度の温度で硬化させることにより硬化物であるシーリング材を得ることができる。また、このシーリング材組成物は、硬化時に発泡等の硬化不良を引き起こさず、施工時のハンドリング性にも優れたものであると共に、これから得られたシーリング材は、モジュラスが高く、特に、50%伸長時の引っ張り応力が35N/cm2以上、破断強度が80N/cm2以上、破断伸びが400%以上となり、優れたモジュラスを示す。本発明のシーリング材は、特に、土木、建築構成材のシーリング材などとして好適に用いることが可能である。
【0028】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0029】
[実施例1〜3、比較例1〜7]
(A)成分として表1に示されるイソシアネートプレポリマー(大日本インキ化学工業(株)製 NCO 2.9%)からなる基材液、(B)成分として表1に示される各成分を配合した硬化剤液からなる2液型ポリウレタン系シーリング材組成物を調製し、これらを表1に示される量で混合して硬化させて硬化物を得、その諸特性を評価した。結果を表1に併記する。なお、このた。組成物のイソシアネートインデックスは、表1のとおりである。
【0030】
また、諸特性の評価方法は下記のとおりである
粘度測定
23℃で上記(A)成分及び(B)成分を24時間保持後、(A)成分:(B)成分=1:3(重量比)で数分間攪拌混合し、この粘度をBS型粘度計(ローターNo.7 回転数2rpm)で測定する。
発泡
直径5cm、深さ4cmのカップに組成物を充填し、50℃、湿度55%の恒温恒湿槽中で24時間保持し、得られた硬化物の膨らみの最大値を測定。
○:0mm以上、0.6mm未満
△:0.6mm以上、1.6mm未満
×:1.6mm以上
M50,Tb,Eb
上記組成物を用い、JIS A 1439に準拠して測定
【0031】
【表1】
Figure 2004204139
【0032】
PPG1:アクトコール21−56(三井武田ケミカル社製) ポリプロピレングリコール(平均分子量2,000 OH基数(官能数)=2)
PPG2:サンニックスGP−3000S(三洋化成社製) ポリプロピレングリコール(平均分子量3,000 OH基数(官能数)=3)
TCDAM:4,4’−ジアミノ−2,2’3,3’−テトラクロロジフェニルメタン(イハラケミカル工業(株)製)
MOCA:4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルメタン(イハラケミカル工業(株)製)
CUA−4:トリメチレン−ビス(4−アミノベンゾエート)(イハラケミカル工業(株)製)
キュアハード−MED:4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン(イハラケミカル工業(株)製)
エラスマー1000P,エラスマー650P,エラスマー250P:ポリテトラメチレン−ジ−p−アミノベンゾエート(イハラケミカル工業(株)製)
軽質炭酸カルシウム1:ネオライトSP(竹原化学工業社製)
軽質炭酸カルシウム2(低粘度フィラー):SP500(竹原化学工業社製)
重質炭酸カルシウム:NS100(日東粉化工業社製)
DOP:フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(チッソ(株)製)
Pb触媒:Pbオクトエート(2−エチルヘキサン酸Pb)(日本化学産業社製)
【0033】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、施工に適した粘度と硬化速度を有すると共に、発泡などの硬化不良を発生せず、硬化後に高いモジュラスを示す2成分型ポリウレタン系シール剤組成物及びこの硬化物からなるシーリング材を提供することができる。

Claims (5)

  1. (A)ジイソシアネートとポリオール類との反応により得られるイソシアネートプレポリマーを配合してなる基材液、及び
    (B)下記式(1)乃至(3)のいずれかで表される化合物の少なくとも1種を配合してなる硬化剤液
    Figure 2004204139
    (式中、Xは同一又は異種のハロゲン原子を示す)
    Figure 2004204139
    (式中、nは1〜21の整数を示す)
    Figure 2004204139
    (式中、Rはポリオキシアルキレングリコールの両末端の水酸基を除いた二価の残基を示し、R部分の平均分子量は300未満である)
    からなることを特徴とする2液型ポリウレタン系シーリング材組成物。
  2. 上記(A)成分中のイソシアネートプレポリマーのジイソシアネートが、トリレンジイソシアネートであることを特徴とする請求項1記載の2液型ポリウレタン系シーリング材組成物。
  3. 上記(A)成分中のイソシアネートプレポリマーのポリオール類がポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカプロラクトンポリオールから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2記載の2液型ポリウレタン系シーリング材組成物。
  4. 上記式(1)で示される化合物中のXが、塩素原子であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の2液型ポリウレタン系シーリング材組成物。
  5. 上記請求項1乃至4のいずれか1項記載の2液型ポリウレタン系シーリング材組成物の硬化物からなるシーリング材。
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