JP2004204072A - 絶縁組成物及び絶縁電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性に優れ、ノンハロゲン材料であり、強度を保ちつつ、浸水後における絶縁体の体積固有抵抗の低下を抑制した絶縁組成物及び絶縁電線を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン樹脂及び/又はエチレン系共重合体及び/又はアクリルゴムを主成分とする樹脂成分100質量部に対して、リン酸エステル化合物及び反応性シランカップリング剤の両方で表面処理された金属水和物100〜300質量部を含有させた絶縁組成物。さらにこの絶縁組成物が導体に被覆された絶縁電線。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絶縁組成物及び絶縁電線に関し、詳しくは、埋立、燃焼などの廃棄時において、重金属化合物の溶出や、多量の煙、腐食性ガスの発生がない絶縁組成物及びそれが被覆された、電気・電子機器の内部及び外部配線に使用される絶縁電線に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気・電子機器の内部及び外部配線に使用される絶縁電線の被覆材料には、ポリ塩化ビニルコンパウンドや分子中に臭素原子や塩素原子を含有するハロゲン系難燃剤を配合したエチレン系共重合体を主成分とする樹脂組成物を使用することがよく知られている。
近年、これらを適切な処理をせずに廃棄した場合、被覆材料に配合されている可塑剤や重金属安定剤が溶出したり、多量の腐食性ガスが発生したり、ダイオキシンの発生などという問題が議論されており、有害な重金属やハロゲン系ガスなどの発生がないノンハロゲン難燃材料を被覆する検討が活発におこなわれはじめている。
【0003】
ところで電子機器内に使用される電子ワイヤハーネスには安全性の面から非常に厳しい難燃性規格:UL1581(Reference Standard for Electrical Wires, Cableds, and Flexible Cords)などに規定される垂直燃焼試験(Vertical Flame Test):VW−1規格やJIS C3005に規定される60度傾斜難燃特性が求められている。
またさらにUL(Underwriters Laboratories)や電気用品取締規格などから伸び100%、力学的強度10MPa以上の高い力学的強度が要求されている。
【0004】
そこで絶縁電線の被覆材料に水酸化マグネシウムなどの金属水和物を多量に加えることが検討されているが、金属水和物を大量に加えると強度の低下が生じるという問題があった。そこで水酸化マグネシウムの表面に表面処理を施すことにより、伸び及び強度の改善が試みられている。
例えば、表面処理材料としてステアリン酸を使用することにより伸び特性を向上することが知られている。また、特定のシランカップリング剤を無処理の水酸化マグネシウムに混練り時に加えることにより、表面処理を行い強度を保持する提案もなされている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、これらのものでは水酸化マグネシウムを非常に大量に加えたときには、強度、伸びの低下を引き起こし、上記の特性を満足することが不可能である。
【0005】
また、特許文献1で示されたシランカップリング剤では、強度向上が不十分であった。それに対し、ビニル基、アミド基などの架橋性のシランカップリング剤で表面処理することにより強度を大幅に向上することができた。しかしながらこれらの架橋性のシランカップリング剤で処理なされた金属水和物を用いた樹脂組成物で作成した絶縁電線は、浸水保持を行うと体積固有抵抗が大幅に低下し、材料の絶縁抵抗の保持が出来ないという問題が生じていた。
【0006】
これらの問題に対しては、シランカップリング剤の処理量やステアリン酸やオレイン酸などの脂肪酸を用いたり、シランカップリング剤とこれらの処理剤を併用する方法が試みられている。しかしながらいずれの場合も浸水後において材料組成物の体積固有抵抗が保持できなかったり、所定の強度が得られなかったり、さらに傷が付きやすくなったりする問題があった。
【0007】
【特許文献1】特許第2525982号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこれらの問題を解決し、難燃性に優れ、ノンハロゲン材料からなり、強度を保ちつつ、しかも浸水後における絶縁体の体積固有抵抗の低下を抑制した絶縁組成物及びこの組成物を使用した絶縁電線を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果金属水和物の表面処理としてリン酸エステル化合物と反応性のシランカップリング剤を併用することにより、力学的強度に優れ、しかも浸水後に比較的高い体積固有抵抗が保持できるノンハロゲン材料からなる絶縁組成物及び絶縁電線が得られることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
【0010】
すなわち本発明は、
(1)ポリオレフィン樹脂及び/又はエチレン系共重合体及び/又はアクリルゴムからなる樹脂成分100質量部に対して、リン酸エステル化合物及び反応性シランカップリング剤の両方で表面処理された金属水和物100〜300質量部を含有させたことを特徴とする絶縁組成物、
(2)前記金属水和物が、該金属水和物に対し0.2〜2質量%のリン酸エステル化合物及び0.2〜2.5質量%の反応性シランカップリング剤で表面処理されたことを特徴とする(1)記載の絶縁組成物、
(3)前記反応性シランカップリング剤が、ビニル基及び/又はアミノ基を有するシランカップリング剤であることを特徴とする(1)又は(2)記載の絶縁組成物、
(4)(1)〜(3)のいずれか1項に記載の絶縁組成物が導体に被覆されたことを特徴とする絶縁電線
を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明においては、ベース材料としてポリオレフィン及び/又はエチレン系共重合体及び/又はアクリルゴムを用い、リン酸エステル化合物と反応性シランカップリング剤で表面処理した金属水和物を含有させることにより、優れた強度を有し、耐外傷性に優れ、しかも浸水後においても比較的高い体積固有抵抗を保持しうる3つの特性をすべて備えた絶縁組成物及び絶縁電線を得ることが出来る。
本発明の絶縁組成物は、ポリオレフィン樹脂及び/又はエチレン系共重合体及び/又はアクリルゴムからなる樹脂成分100質量部に対して、リン酸エステル化合物及び反応性シランカップリング剤の両方で表面処理された金属水和物が100〜300質量部、好ましくは100〜280質量部、さらに好ましくは120〜250質量部を含有されたものである。
【0012】
本発明の樹脂成分として使用されるベース材料には、ポリオレフィン樹脂及び/又はエチレン系共重合体及び/又はアクリルゴムが用いられる。
本発明におけるポリオレフィン樹脂とは、オレフィン単量体の単一重合体及びオレフィン単量体の2種以上の共重合体からなる樹脂であって、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、シングルサイト触媒を用いた直鎖状ポリエチレン等が挙げられる。また、ポリプロピレンとしては、例えば、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等が挙げられる。
また、本発明におけるエチレン系共重合体とは、エチレンとオレフィン単量体以外の少なくとも1種の単量体との共重合体であって、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
さらに、本発明におけるアクリルゴムとは、アクリル酸アルキルと各種官能基を有する単量体を少量共重合させて得られるゴム弾性体であって、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
難燃性を考慮すると、この中でもエチレン系共重合体が好ましく、エチレン−エチレン酢酸ビニル共重合体がさらに好ましい。
またこれらの材料に不飽和カルボン酸で変性なされたポリオレフィン樹脂を混合、併用してもよい。
【0013】
ところで、強度を保持しつつ、浸水後における体積固有抵抗を保持するために、金属水和物に反応性シランカップリング剤で表面処理なされた金属水和物とリン酸エステル化合物で表面処理なされた金属水和物を併用する方法が考えられるが、この場合、浸水後におけるの体積固有抵抗が大幅に低下してしまい所望の体積固有抵抗を得ることは出来ない。さらに得られた材料は比較的傷の付きやすい材料となってしまう。
【0014】
本発明において、金属水和物をリン酸エステル化合物と反応性シランカップリング剤の両方で表面処理する方法は、例えば、以下のように行うことができる。すなわちアルコール中にシランカップリング剤とリン酸エステル化合物を溶解させ、次いでこの溶液中に合成した金属水和物を配合する、いわゆる湿式処理により行なわれる。また、未処理の金属水和物にナトリウム塩等としたリン酸エステル化合物と反応性シランカップリング剤を加えブレンドすることにより両者を表面処理しても良いし、部分的に金属水和物の表面を湿式処理においてリン酸エステル化合物で表面処理した金属水和物に反応性シランカップリング剤を添加し表面処理を行っても良い。この中でも合成後に湿式処理においてリン酸エステル化合物と反応性シランカップリング剤で表面処理する方法が強度や浸水後の体積固有抵抗の維持に有効である。この場合処理の順番であるが、リン酸エステル化合物で処理した後に反応性シランカップリング剤で処理しても良いし、反応性シランカップリング剤で処理した後にリン酸エステル化合物で処理しても良いが、好ましくはリン酸エステル化合物処理を行った後に反応性シランカップリング剤で処理なされるものである。
【0015】
本発明で金属水和物は、金属水和物100重量%に対して、好ましくは0.2〜2質量%、さらに好ましくは0.2〜1.5質量%のリン酸エステル化合物で表面処理される。処理するリン酸エステル化合物の量が少なすぎると、さらに反応性シランカップリング剤で表面処理を行った金属水和物を使用した場合、浸水後における体積固有抵抗の保持に対する効果が少なく、また多すぎると、強度が著しく低下することがある。
【0016】
本発明において用いることのできる金属水和物は水酸基あるいは結晶水を有する金属化合物であれば特に制限はなく、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。金属水和物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましい。
また、本発明に用いられるリン酸エステル化合物は、特に制限はなく、従来知られたリン酸エステル化合物を適宜用いることができる。特に好ましくは、ステアリルアルコールリン酸エステルのモノエステル化合物やジエステル化合物を使用することができる。
【0017】
本発明で用いられる反応性シランカップリング剤としては、例えば末端にビニル基、アミノ基を有する架橋性シランカップリング剤が挙げられる。ここで言うビニル基を有するシランカップリング剤とはアクリル基、メタクリル基等の2重結合を有するシランカップリング剤を包含するものである。
これらの反応性シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
このような反応性シランカップリング剤は1種で処理を行っても2種以上を用いて処理を行って良い。反応性シランカップリング剤の添加量は、金属水和物100質量%に対して0.2〜2.5質量%が好ましく、さらに好ましくは0.4〜2.1質量%である。
【0018】
また、難燃効果を高めるためにスズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛やホウ酸亜鉛を本発明の絶縁組成物に併用するのが好ましい。これら化合物を併用することにより、燃焼時の殻形成の速度を促進し、殻形成をより強固にする。
本発明で用いるホウ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛は平均粒子径が5μm以下が好ましく、3μm以下がさらに好ましい。
本発明で用いることのできるホウ酸亜鉛として、具体的には例えば、アルカネックスFRC−500(2ZnO/3B23・3.5H2O)、FRC−600(いずれも商品名、水澤化学社製)などがある。またスズ酸亜鉛(ZnSnO3)、ヒドロキシスズ酸亜鉛(ZnSn(OH)6)として、アルカネックスZS、アルカネックスZHS(いずれも商品名、水澤化学社製)などがある。
また、難燃効果を高める方法としてメラミンシアヌレートを添加しても良い。添加量については特には限定しないが、樹脂成分100質量部に対して2〜50質量部程度が好ましい。
【0019】
本発明における絶縁組成物には、電線・ケ−ブルにおいて、一般的に使用されている各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属不活性剤、難燃(助)剤、充填剤、滑剤などを本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0020】
酸化防止剤としては、4,4’−ジオクチル・ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物などのアミン系酸化防止剤、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ビス(2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、2−メルカプトベンヅイミダゾール及びその亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル−チオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤などがあげられる。
【0021】
金属不活性剤としては、N,N’−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、2,2’−オキサミドビス−(エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などがあげられる。
【0022】
さらに難燃(助)剤、充填剤としては、カーボン、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ほう酸亜鉛、ホワイトカーボンなどがあげられる。
滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石けん系などがあげられ、なかでも、「ワックスE」「ワックスOP」(いずれも商品名、ヘキスト社製)などの内部滑性と外部滑性を同時に示すエステル系滑剤が好ましい。
上記の添加剤の量についてはそれぞれ、常用される適宜の量用いられ、その量に制限はない。
【0023】
本発明の絶縁組成物は、上記の各成分を、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど、通常用いられる混練装置で溶融混練して得ることができる。
【0024】
本発明の絶縁組成物は、ノンハロゲン難燃材料から構成されており、強度、引張特性、絶縁性、難燃性に優れ、電線の絶縁被覆用として好適である。本発明の絶縁組成物を、電線被覆において従来用いられている押し出し法などの方法を適宜用い、導体の周りに被覆して絶縁電線を製造することができる。
【0025】
また、本発明の絶縁電線は、導体に被覆された絶縁組成物を架橋させることが必要である。架橋させることにより耐熱性の向上のみならず、難燃性も向上する。高い耐熱性を必要とする場合、架橋の方法としては、電子線架橋法や化学架橋法が採用できる。
電子線架橋法の場合は、電子線の線量は1〜30Mradが適当であり、効率よく架橋をおこなうために、トリメチロールプロパントリアクリレートなどのメタクリレート系化合物、トリアリルシアヌレートなどのアリル系化合物、マレイミド系化合物、ジビニル系化合物などの多官能性化合物を架橋助剤として配合してもよい。
化学架橋法の場合は、本発明の絶縁組成物に、ヒドロペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ペルオキシエステル、ケトンペルオキシエステル、ケトンペルオキシドなどの有機過酸化物を架橋剤として配合し、押出成形被覆後に加熱処理により架橋をおこなうができる。
【0026】
本発明の絶縁電線は、導体の周りに被覆される絶縁樹脂組成物の肉厚は特には限定しないが、好ましくは0.15mm〜1mmである。
【0027】
【実施例】
まず、表1及び2に示す水酸化マグネシウム及びその他成分をバンバリーミキサーに加え、溶融混練して、絶縁組成物を作成した。
次に、電線製造用の押出被覆装置を用いて、導体(導体径:0.95mmφ錫メッキ軟銅撚線 構成:21本/0.18mmφ)上に、予め溶融混練した絶縁組成物を押し出し法により被覆して、各実施例、比較例に対応する絶縁電線を製造した。外径は2.63mmとした。被覆後10Mradで電子線照射を行うことにより架橋を行った。
【0028】
なお、表に示す各成分は下記のものを使用した。
(01)EVA 33
エチレン−酢酸ビニル共重合体
三井デュポンポリケミカル製
VA 含有量 33%
(02)EEA 25
エチレン−エチルアクリレート共重合体
三井デュポンポリケミカル製
EA 含有量 25%
(03)KF360
ポリエチレン
日本ポリケム製
密度0.898
(04)L−6100M
無水マレイン酸変性線状低密度ポリエチレン
アドテック L−6100M(商品名、日本ポリオレフィン製)
(05)水酸化マグネシウム(a)
リン酸エステル化合物+反応性シランカップリング剤処理水酸化マグネシウム
水酸化マグネシウム(神島化学工業製) 99.1質量%
ステアリルアルコールリン酸エステルの 0.3質量%
モノエステル化合物及びジエステル化合物の混合物
メタクリル系シランカップリング剤 0.6質量%
(TSL8370、東芝シリコーン製)
(06)水酸化マグネシウム(b)
リン酸エステル化合物+反応性シランカップリング剤処理水酸化マグネシウム
水酸化マグネシウム(神島化学工業製) 97.0質量%
ステアリルアルコールリン酸エステルの 1.0質量%
モノエステル化合物及びジエステル化合物の混合物
メタクリル系シランカップリング剤 2.0質量%
(TSL8370、東芝シリコーン製)
(07)水酸化マグネシウム(c)
ステアリン酸エステル+反応性シランカップリング剤処理水酸化マグネシウム
水酸化マグネシウム(神島化学工業製) 99.1質量%
ステアリン酸エステル化合物 0.3質量%
メタクリル系シランカップリング剤 0.6質量%
(TSL8370、東芝シリコーン製)
(08)水酸化マグネシウム(d)
反応性シランカップリング剤処理水酸化マグネシウム
水酸化マグネシウム(神島化学工業製) 99.4質量%
メタクリル系シランカップリング剤 0.6質量%
(TSL8370、東芝シリコーン製)
(09)水酸化マグネシウム(e)
リン酸エステル処理水酸化マグネシウム
キスマ5J(商品名、協和化学工業製)
(10)水酸化マグネシウム(f)
ステアリン酸表面処理水酸化マグネシウム
キスマ5A(商品名、協和化学工業製)
(11)水酸化マグネシウム(g)
架橋性シラン表面処理水酸化マグネシウム
キスマ5P(商品名、協和化学工業製)
(12)粉末ステアリン酸
日本油脂製
(13)イルガノックス1010
ヒンダートフェノール系老化防止剤
チバガイギー製
(14)TMPTM
トリメチロールプロパントリメタクリエート
オグモントT−200(商品名、新中村化学製)
なお、表1及び2において、各成分の欄に示された数値の単位は質量部である。
【0029】
得られた各絶縁電線について、機械的特性、電気特性及び難燃性の特性評価を行い、その結果を同じく表1及び2に示した。
機械的特性については、各絶縁電線の被覆層の強度(MPa)と伸び(%)を標線間25mm、引張速度500mm/分の条件で測定した。その結果を強度については表1及び2の「EL(%)」の欄に示した。150%以上が合格である。一方伸びについては「T.S.(MPa)」の欄に示した。10MPa以上が合格である。
また電気特性については、絶縁抵抗をJIS C 3005に示される方法で測定した。絶縁抵抗は20℃の水中で測定を行い、1時間後と30日間浸水した後の体積固有抵抗を、それぞれ表1及び2の「絶縁抵抗 1h」と「絶縁抵抗 30日後」の欄に示した。示された数値の単位はMΩkmである。絶縁抵抗は1時間後が300MΩkm以上、30日後が30MΩkm以上が合格である。
さらに、難燃性については、UL1581で規定されている水平難燃試験を行った。試験結果を「水平難燃試験」の欄に示した。
【0030】
【表1】
Figure 2004204072
【0031】
【表2】
Figure 2004204072
【0032】
実施例1〜4の絶縁電線は、UL等で規定されている伸び、強度、難燃性の条件を全て満足し、さらに浸水後の体積固有抵抗も1時間後が1050MΩkm以上、30日後が220MΩkm以上と、いずれも合格基準を大きく上回るものであった。
これに対し、ステアリン酸エステル化合物と反応性シランカップリング剤で処理された比較例1では体積固有抵抗が浸水1時間後で380MΩkmと、本実施例の1050〜3500MΩkmに比べ著しく小さかった。また、30日後でも45MΩkmと、本実施例の220〜550MΩkmに比べ著しく小さかった。
反応性シランカップリング剤処理のみの水酸化マグネシウムを用いた比較例2では、体積固有抵抗が浸水1時間後で120MΩkmと合格基準の300MΩkmを上回ることができなかった。
リン酸エステル処理の水酸化マグネシウムのみを用いた比較例3では、強度が8.8MPaと合格基準の10MPaを下回った。
ステアリン酸表面処理水酸化マグネシウムを用いた比較例4では、強度、絶縁抵抗とも合格基準を下回った。
架橋性シラン表面処理水酸化マグネシウムを用いた比較例5では、体積固有抵抗が浸水1時間後で120MPaと合格基準の300MΩkmを上回ることができなかった。
リン酸エステル化合物+反応性シランカップリング剤処理水酸化マグネシウムの量が樹脂成分100質量部に対して、300質量部を超える比較例6では伸びの値が30%と合格基準の150%を下回った。
リン酸エステル化合物+反応性シランカップリング剤処理水酸化マグネシウムの量が樹脂成分100質量部に対して、100質量部未満の比較例7では体積固有抵抗の値が浸水1時間後で580MΩkmと、本実施例の1050〜3500MΩkmに比べ著しく小さかった。また、30日後の体積固有抵抗の値も140MΩkmと、本実施例の220〜550MΩkmに比べ著しく小さかった。
【0033】
【発明の効果】
本発明の絶縁組成物はノンハロゲン難燃材料から構成されており、それが被覆された絶縁電線は埋立、燃焼などの廃棄時において、重金属化合物の溶出や、多量の煙、腐食性ガスの発生がない。さらに、高い絶縁性や浸水処理後における絶縁特性にも非常に優れている。
このように本発明の絶縁電線は、環境問題を考慮した電気・電子機器用配線材として、非常に優れたものである。

Claims (4)

  1. ポリオレフィン樹脂及び/又はエチレン系共重合体及び/又はアクリルゴムからなる樹脂成分100質量部に対して、リン酸エステル化合物及び反応性シランカップリング剤の両方で表面処理された金属水和物100〜300質量部を含有させたことを特徴とする絶縁組成物。
  2. 前記金属水和物が、該金属水和物に対し0.2〜2質量%のリン酸エステル化合物及び0.2〜2.5質量%の反応性シランカップリング剤で表面処理されたことを特徴とする請求項1記載の絶縁組成物。
  3. 前記反応性シランカップリング剤が、ビニル基及び/又はアミノ基を有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1又は2記載の絶縁組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁組成物が導体に被覆されたことを特徴とする絶縁電線。
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