JP2004203932A - 末端に重合性炭素―炭素二重結合を持つ基を有するビニル系重合体の安定化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重合抑制剤としてN−オキシル化合物を添加することを特徴とする、末端に重合性の炭素―炭素二重結合を有する基を持つビニル系重合体の安定化方法。N−オキシル化合物を好ましくは製造時に添加することにより、末端の重合性の炭素−炭素二重結合を有する基の重合反応に由来する重合体の高粘度化、ゲル化を防ぐことができる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、末端に重合性炭素―炭素二重結合を持つ基を有するビニル系重合体の安定化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子鎖の末端にアルケニル基を有する重合体は、そのもの単独、又は、ヒドロシリル基含有化合物等の硬化剤を用いることにより架橋し、耐熱性、耐久性の優れた硬化物を与えることが知られている。そのような重合体の主鎖骨格としては、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド等のポリエーテル系重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリイソブチレンあるいはそれらの水素添加物等の炭化水素系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン等のポリエステル系重合体;ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン系重合体等が例示され、主鎖骨格の特性に応じて様々な用途に用いられている。
【0003】
ビニル系重合体は、高い耐候性や耐熱性、耐油性、透明性等、上記の各種重合体では得られない特性を有しており、例えば、(特許文献1)および(特許文献2)では、アルケニル基を側鎖に有するものは高耐候性塗料としての利用が提案されている。
【0004】
一方、アルケニル基を末端に有するビニル系重合体は製造が困難であり、ほとんど実用化されていない。
【0005】
(特許文献3)には、アルケニル基を有するジチオカーバメート、又は、ジアリルジスルフィドを連鎖移動剤として用いることによる、両末端にアルケニル基を有するアクリル系重合体の製造方法が開示されている。
【0006】
また、(特許文献4)には、水酸基含有ポリスルフィド、又は、アルコール系化合物を連鎖移動剤として末端に水酸基を有するアクリル系重合体を製造し、更に、水酸基の反応性を利用することによる、末端にアルケニル基を有するアクリル系重合体の製造方法が開示されている。
【0007】
一方、硬化性ゴム弾性組成物は接着剤、シール材、緩衝材等として広く利用されている。これらを硬化手段から分類すると、密封下では安定であるが大気中においては湿分の作用で室温で硬化してゴム弾性体となるいわゆる湿気硬化性組成物と、ヒドリシリル化反応などを利用して加熱により架橋反応がおこるものに大別される。
【0008】
しかし、上述した方法においては、重合体の末端にアルケニル基を確実に導入することは難しい。また、これらの方法では通常のラジカル重合が用いられているため、得られる重合体の分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)は通常、2以上と広く、従って、粘度が高いという問題があった。粘度が高いと、例えば、シーリング材や接着剤として利用する際に、施工時のハンドリングが困難になったり、補強のための充填材を多量に配合できないといった問題が生じる。
【0009】
さらに、重合性の炭素―炭素二重結合を有する基の(メタ)アクリロイル基を、ラジカル重合により重合されるビニル系重合体に導入することは容易ではなかった。特にオリゴマーの末端に(メタ)アクリロイル基が導入された化合物はほとんど合成されていない。
【0010】
一方、UVや電子線を含む活性エネルギー線硬化性組成物や熱硬化性組成物においては、多くの場合、(メタ)アクリロイル基を持つ低分子量の化合物が用いられる。この場合、硬化中及び硬化後において、低沸点の未反応化合物が揮発することによる臭気が大きな問題となっている。これを回避するために(メタ)アクリロイル基を持つオリゴマーが用いられる。しかし、このようなオリゴマーは、主に合成上の問題から、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系などに限定され、しかも、分子量の大きなオリゴマーはあまりない。その結果として、それらの硬化物は比較的固い硬化物になりがちであり、良好なゴム弾性を持つものは得られない。
【0011】
環境問題はコーティング形成技術に変化をもたらしている。特に、このようなコーティングから大気中に放出される揮発性有機化合物(VOC)の量は問題である。水ベースのコーティングでは、ラテックス粒子の凝集およびフィルム形成を促進するために、揮発性溶剤が使用される。これは通常、室温以上のガラス転移温度(Tg)を有する分散されているポリマーまたはコポリマーを調製し、次いでこれを揮発性溶剤により可塑化して、そのTgを効果的に低下させ、室温でフィルムを形成させることによって行われる。フィルム形成後に、溶剤を蒸発させると、その実際のTg以下で効果的に施用されたポリマーが残される。この場合には、フィルム形成の達成に外部からの加熱は不必要である。この方法は良好に機能するが、コーティング中のVOCレベルが全世界における厳格な規制により減少されていることから、慣用性を失いつつある。
【0012】
このような分子末端に(メタ)アクリロイル系基を高い導入率で有するビニル系重合体の合成方法は、少数であるが、例えば、(特許文献5)、(特許文献6)、(特許文献7)などで開示されている。
しかしながら、これらのビニル重合体は末端に重合性の炭素―炭素二重結合を持つ基を有するため、種々の原因により重合反応が起こり、重合体の高粘度化、ゲル化など物性上あるいは工程上に悪影響を及ぼすことがある。これを抑止するためには、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテルなどを添加する方法が開示されている(特許文献8)。しかしながら、これらは重合体の製造工程において、窒素雰囲気下での加熱反応や、溶剤を減圧下加熱して留去する際のように酸素不存在下ではその抑制効果が十分でなく、安定な品質をもって製造・合成するにはより効果的な重合抑制剤を使用することが望まれていた。
重合性の炭素―炭素二重結合を有する化合物の重合を抑制する為の重合抑制方法として、2,2,6,6―テトラメチル−4−オキソ−ピペリジン類の優れた重合抑制能が注目され、N−オキシル化合物の使用(特許文献9)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジンまたはこれとハイドロキノンとの併用(特許文献10)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物とN−オキシル化合物との併用(特許文献11)、N−オキシル化合物、フェノール化合物及びフェノチアジン化合物の併用(特許文献12)、N−オキシル化合物と、その対応するヒドロキシルアミンとジヘテロ置換ベンゼン化合物の組み合わせ(特許文献13)N−オキシル化合物、その対応するヒドロキシピペリジンとピペリジンの組み合わせ(特許文献14)等が提案されている。また、末端の官能基に着目しているのではなく、主鎖の熱分解、架橋を抑止する意味でN−オキシル化合物をポリマーに添加する方法(特許文献15)が提案されている。末端に重合性の炭素―炭素二重結合を有する基を持つ樹脂の安定化方法としてエポキシアクリレートの重合防止にN−オキシル化合物を添加する方法(特許文献16)、特殊なN−オキシル化合物をビニル重合抑制剤として使用する方法(特許文献17)が開示されていて公知である.また(特許文献18)(特許文献19)にはN−オキシル化合物を末端に重合性の炭素―炭素二重結合を持つ基を有する樹脂に添加し安定化する方法が開示されているが、いずれも主鎖がビニル系重合体であるものについては製造が困難であったため、言及していない。
【0013】
【特許文献1】
特開平3−277645号公報
【0014】
【特許文献2】
特開平7−70399号公報
【0015】
【特許文献3】
特開平1−247403号公報
【0016】
【特許文献4】
特開平6−211922号公報
【0017】
【特許文献5】
WO9965963号公報
【0018】
【特許文献6】
特開2001−55551号公報
【0019】
【特許文献7】
特開2000―136287号公報
【0020】
【特許文献8】
特開昭63−316745号公報
【0021】
【特許文献9】
特許1212058号公報
【0022】
【特許文献10】
中国特許1052847号公報
【0023】
【特許文献11】
特願平8−48650号公報
【0024】
【特許文献12】
特許2725593号公報
【0025】
【特許文献13】
特開平9−124713号公報
【0026】
【特許文献14】
特開2001−247491公報
【0027】
【特許文献15】
特開平8−239510号公報
【0028】
【特許文献16】
特公昭52−107090号公報
【0029】
【特許文献17】
特許1885320号公報
【0030】
【特許文献18】
特開平10−7918号公報
【0031】
【特許文献19】
特開平10−7919号公報
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、末端に重合性の炭素―炭素二重結合を持つ基を有するビニル系重合体の効果的な安定化方法を提供することで、詳しくは末端の重合性の炭素―炭素二重結合を持つ基の重合反応を抑止し、安定な品質をもって製造・貯蔵する方法を提案することである。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、重合抑制剤として、N−オキシル化合物を、末端に重合性の炭素―炭素二重結合を持つ基を有するビニル系重合体に添加することによって、著しい安定化効果が発現することを見出し、本発明をなすに至った。
【0034】
すなわち、本発明は、重合抑制剤としてN−オキシル化合物添加することを特徴とする、末端に重合性の炭素―炭素二重結合を有する基を持つビニル系重合体の安定化方法である。重合抑制剤を添加する時期は特に限定されないが、ビニル系重合体の製造工程時であることが好ましい。
本発明におけるビニル系重合体の重合性の炭素―炭素二重結合を持つ基は、
一般式(1):
−OC(O)C(R)=CH2 (1)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)
で表されることが好ましい。
上記一般式1中のRは、特に限定されないが、水素、または、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、Rが水素、または、メチル基であることがさらに好ましい。
【0035】
更に、ビニル系重合体は、リビングラジカル重合、特に好ましくは原子移動ラジカル重合により製造されたビニル系重合体からなるか、あるいは、重合体主鎖が、連鎖移動剤を用いてビニル系モノマーを重合して製造されたビニル系重合体からなるものが好ましい。特に原子移動ラジカル重合が好ましく、さらに重合の際に、ニッケル、ルテニウム、および鉄からなる群より選択される金属の錯体を用いることが好ましく、銅の錯体を用いることがさらに好ましい。
本発明の末端官能基は、特に限定されないが、一般式2:
−CR1R2X (2)
(式中、R1、R2は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
で表される末端構造を有するビニル系重合体と、一般式3:
M+-OC(O)C(R)=CH2 (3)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。M+はアルカリ金属、または4級アンモニウムイオンを表す。)
で示される化合物との反応を行って製造されるか、
あるいは、末端に水酸基を有するビニル系重合体と、一般式4:
XC(O)C(R)=CH2 (4)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素またはOHを表す。)
で示される化合物との反応を行って製造されるか、
あるいは、末端に水酸基を有するビニル系重合体と、ジイソシアネート化合物との反応の後に、残存イソシアネート基と一般式5:
HO−R’− OC(O)C(R)=CH2 (5)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R‘は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
で示される化合物との反応を行って製造することが好ましく、特に一般式2で表される末端と一般式3で示される化合物を用いた方法が好ましい。
【0036】
本発明のビニル系重合体としては、(メタ)アクリル系重合体あるいはスチレン系重合体が好ましく、さらにアクリル酸エステル系重合体が好ましい。また、数平均分子量が2000以上、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値が1.8未満であることが好ましい。
【0037】
また本発明は、ビニル系重合体の製造の際に重合抑制剤を添加することを特徴とする請求項1に記載の安定化方法に関する。さらに本発明は、上記のいずれかに記載の安定化方法を使用することを特徴とする、末端に重合性炭素―炭素二重結合を持つ基を有するビニル系重合体の製造方法に関する。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において有用なN−オキシル化合物の具体例を下図に示す。
【0039】
【化1】
〔式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R'1及びR'2は、同一でも異なっていてもよく、塩素、臭素又ヨウ素の如きハロゲン原子;アルキル又はフェニル基の如き飽和又は不飽和の直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素基;又はエステル基−COOR又はアルコキシ基−OR;又はリン酸エステル基−PO(OR)2;又は、例えば、ポリメタクリル酸メチル鎖、ポリブタジエン鎖、ポリエチレン又はポリプロピレン鎖の如き、好ましくはポリスチレン鎖であるポリオレフィン鎖であってもよいポリマー鎖を表し、そしてR5 、R6 、R7 、R8 、R9 及びR10は、同一でも異なっていてもよく、R1 、R2 、R3 、R4 、R'1及びR'2について示した基と同族の基から選ぶことができ、そして更に水素原子、ヒドロキシル基−OH又は−COOH若しくは−PO(OH)2若しくは−SO3 Hの如き酸基を表すことができる。また、R1 、R2 、R3 、R4 は、同一又は異なって、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基からなる群より選択されるものであることが好ましい。〕
本発明で使用される重合抑制剤の添加量は対象とするビニル化合物の種類、工程条件、重合抑制の必要度などにより異なり一律に定義できないが、一般的にはN−オキシル化合物をビニル化合物に対して10〜10,000ppm、好ましくは30〜5,000ppm、さらに好ましくは40〜2,000ppm、最も好ましくは50〜500ppmである。10ppmより少ないと本発明の目的とする効果が小さいことがあり、10,000ppmよりも多いと効果は十分であるが、効果は添加量の割には小さく不経済でありなおかつ安定化された重合性の炭素−炭素二重結合を持つ基を有するビニル系重合体の各用途への利用に支障をきたすことがある。
【0040】
本発明の安定化方法は、N−オキシル化合物を目的とする工程内流体に添加すれば良く、添加方法は特に限定されるものではないが、予め原料と一緒に添加するか、反応容器、あるいは貯蔵タンクに添加する。このうち、減圧下加熱して溶剤を留去する工程が入ることが多いため、製造工程で添加することが好ましい。実用上は目的とする工程内を流れる溶剤に溶解し、溶液にして添加するのが便利である。
本発明を実施するにあたり、本発明に悪い影響を及ぼさない範囲においてその他の公知の重合抑制剤と一緒に添加することがあるが、本発明はそれらの併用を何ら制限するものではない。
【0041】
次に、本発明により安定化される、末端に重合性の炭素−炭素二重結合を持つ基を有するビニル系重合体について説明する。
具体的には、一般式1:
−OC(O)C(R)=CH2 (1)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)
で表される基を、1分子あたり少なくとも1個、分子末端に有するビニル系重合体であることが好ましい。
一般式1で表される基の数は、特に限定されないが、1分子あたり1個未満であると、硬化性が悪くなるので、1個以上が好ましい。本発明のビニル系重合体1分子当たりの上記一般式1で表される基の数は、特に限定されないが、1.2〜4個であるのが好ましい。
【0042】
一般式1において、Rの具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2)nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C6H5、−CH2OH、−CN
等が挙げられるが、好ましくは−H、−CH3である。
<重合体の主鎖>
本発明のビニル系重合体の主鎖を構成するモノマーとしては特に制約はなく、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。なかでも、生成物の物性等から、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーであり、更に好ましくは、アクリル酸ブチルである。本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%含まれていることが好ましい。
【0043】
本発明のビニル系重合体は、分子量分布、すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量と数平均分子量の比が好ましくは1.8未満であり、さらに好ましくは1.7以下であり、より好ましくは1.6以下であり、特に好ましくは1.5以下であり、特別に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。本発明におけるGPC測定の際には、通常は、クロロホルム又はテトラヒドロフラン等を移動相として、ポリスチレンゲルカラム等を使用し、分子量の値はポリスチレン換算値等で求めている。
【0044】
本発明のビニル系重合体の数平均分子量は500〜100000の範囲が好ましく、3000〜40000がさらに好ましい。分子量が500以下であると、ビニル系重合体の本来の特性が発現されにくく、また、100000以上であると、取り扱いが困難になる。
<重合>
本発明のビニル系重合体の製法については特に制限はない。
重合体主鎖について、ビニル系重合体は一般に、アニオン重合あるいはラジカル重合によって製造されるが、本発明においては、リビングラジカル重合、あるいは、連鎖移動剤を用いたラジカル重合によって製造されるのが好ましく、特に前者が好ましい。
【0045】
本発明のビニル系重合体(I)を合成する方法において用いられるラジカル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物などを用いて、特定の官能基を有するモノマーとビニル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジカル重合法」と末端などの制御された位置に特定の官能基を導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分類できる。
【0046】
「一般的なラジカル重合法」は簡便な方法であるが、この方法では特定の官能基を有するモノマーは確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーをかなり大量に使う必要があり、逆に少量使用ではこの特定の官能基が導入されない重合体の割合が大きくなるという問題点がある。またフリーラジカル重合であるため、分子量分布が広く粘度の高い重合体しか得られないという問題点もある。
【0047】
「制御ラジカル重合法」は、更に、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合をおこなうことにより末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる「連鎖移動剤法」と重合生長末端が停止反応などを起こさずに生長することによりほぼ設計どおりの分子量の重合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。
「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合体を得ることが可能であるが、開始剤に対してかなり大量の特定の官能基を有する連鎖移動剤が必要であり、処理も含めて経済面で問題がある。また上記の「一般的なラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合であるため分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られないという問題点もある。
【0048】
これらの重合法とは異なり、「リビングラジカル重合法」は、重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御の難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって分子量は自由にコントロールすることができる。
【0049】
従って「リビングラジカル重合法」は、分子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、上記特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ましいものである。
【0050】
なお、リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後者である。
【0051】
「リビングラジカル重合法」は近年様々なグループで積極的に研究がなされている。その例としては、たとえばジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、1994年、116巻、7943頁に示されるようなコバルトポルフィリン錯体を用いるもの、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1994年、27巻、7228頁に示されるようなニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などがあげられる。
【0052】
「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好ましい。この原子移動ラジカル重合法としては例えばMatyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、7901頁,サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁、WO96/30421号公報,WO97/18247号公報あるいはSawamotoら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁などが挙げられる。
【0053】
本発明において、これらのうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、基本的には制御ラジカル重合が利用され、更に制御の容易さなどからリビングラジカル重合が好ましく、特に原子移動ラジカル重合法が好ましい。
【0054】
まず、制御ラジカル重合のうちの一つ、連鎖移動剤を用いた重合について説明する。連鎖移動剤(テロマー)を用いたラジカル重合としては、特に限定されないが、本発明に適した末端構造を有したビニル系重合体を得る方法としては、次の2つの方法が例示される。
【0055】
特開平4−132706号公報に示されているようなハロゲン化炭化水素を連鎖移動剤として用いてハロゲン末端の重合体を得る方法と、特開昭61−271306号公報、特許2594402号公報、特開昭54−47782号公報に示されているような水酸基含有メルカプタンあるいは水酸基含有ポリスルフィド等を連鎖移動剤として用いて水酸基末端の重合体を得る方法である。
【0056】
次に、リビングラジカル重合について説明する。
そのうち、まず、ニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いる方法について説明する。この重合では一般に安定なニトロキシフリーラジカル(=N−O・)をラジカルキャッピング剤として用いる。このような化合物類としては、限定はされないが、2,2,6,6−置換−1−ピペリジニルオキシラジカルや2,2,5,5−置換−1−ピロリジニルオキシラジカル等、環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが好ましい。置換基としてはメチル基やエチル基等の炭素数4以下のアルキル基が適当である。具体的なニトロキシフリーラジカル化合物としては、限定はされないが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。ニトロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラジカルを用いても構わない。
【0057】
上記ラジカルキャッピング剤はラジカル発生剤と併用される。ラジカルキャッピング剤とラジカル発生剤との反応生成物が重合開始剤となって付加重合性モノマーの重合が進行すると考えられる。両者の併用割合は特に限定されるものではないが、ラジカルキャッピング剤1モルに対し、ラジカル開始剤0.1〜10モルが適当である。
【0058】
ラジカル発生剤としては、種々の化合物を使用することができるが、重合温度条件下で、ラジカルを発生しうるパーオキシドが好ましい。このパーオキシドとしては、限定はされないが、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類等がある。特にベンゾイルパーオキシドが好ましい。さらに、パーオキシドの代わりにアゾビスイソブチロニトリルのようなラジカル発生性アゾ化合物等のラジカル発生剤も使用しうる。
【0059】
Macromolecules 1995,28,2993で報告されているように、ラジカルキャッピング剤とラジカル発生剤を併用する代わりに、下図のようなアルコキシアミン化合物を開始剤として用いても構わない。
【0060】
【化2】
アルコキシアミン化合物を開始剤として用いる場合、それが上図で示されているような水酸基等の官能基を有するものを用いると末端に官能基を有する重合体が得られる。これを本発明の方法に利用すると、末端に官能基を有する重合体が得られる。
【0061】
上記のニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いる重合で用いられるモノマー、溶媒、重合温度等の重合条件は、限定されないが、次に説明する原子移動ラジカル重合について用いるものと同様で構わない。
【0062】
次に、本発明のリビングラジカル重合としてより好ましい原子移動ラジカル重合法について説明する。
【0063】
この原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられる。
具体的に例示するならば、
C6H5−CH2X、C6H5−C(H)(X)CH3、C6H5−C(X)(CH3)2(ただし、上の化学式中、C6H5はフェニル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
R3−C(H)(X)−CO2R4、R3−C(CH3)(X)−CO2R4、R3−C(H)(X)−C(O)R4、R3−C(CH3)(X)−C(O)R4、
(式中、R3、R4は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
R3−C6H4−SO2X
(上記の各式において、R3は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
【0064】
原子移動ラジカル重合の開始剤として、重合を開始する官能基以外の官能基を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることもできる。このような場合、一方の主鎖末端に官能基を、他方の主鎖末端に上記一般式2で表される構造を有するビニル系重合体が製造される。このような官能基としては、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
【0065】
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては限定されず、例えば、一般式6に示す構造を有するものが例示される。
R6R7C(X)−R8−R9−C(R5)=CH2 (6)
(式中、R5は水素、またはメチル基、R6、R7は水素、または、炭素数1〜20の1価のアルキル基、アリール基、またはアラルキル、または他端において相互に連結したもの、R8は、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、またはo−,m−,p−フェニレン基、R9は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいても良い、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
置換基R6、R7の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R6とR7は他端において連結して環状骨格を形成していてもよい。
【0066】
一般式6で示される、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物の具体例としては、
XCH2C(O)O(CH2)nCH=CH2、
H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nCH=CH2、
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nCH=CH2、
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nCH=CH2、
【0067】
【化3】
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
XCH2C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、
H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mCH=CH2、
【0068】
【化4】
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)n−CH=CH2、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−CH=CH2、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−CH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)n−O−(CH2)mCH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)n−CH=CH2、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−CH=CH2、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−CH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)n−O−(CH2)m−CH=CH2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに一般式7で示される化合物が挙げられる。
H2C=C(R5)−R9−C(R6)(X)−R10−R7 (7)
(式中、R5、R6、R7、R9、Xは上記に同じ、R10は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、または、o−,m−,p−フェニレン基を表す)
R8は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含んでいても良い)であるが、直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、R10としてC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接結合であってもよい。R9が直接結合でない場合は、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、R10としてはC(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
【0069】
一般式7の化合物を具体的に例示するならば、
CH2=CHCH2X、CH2=C(CH3)CH2X、
CH2=CHC(H)(X)CH3、CH2=C(CH3)C(H)(X)CH3、
CH2=CHC(X)(CH3)2、CH2=CHC(H)(X)C2H5、
CH2=CHC(H)(X)CH(CH3)2、
CH2=CHC(H)(X)C6H5、CH2=CHC(H)(X)CH2C6H5、
CH2=CHCH2C(H)(X)−CO2R、
CH2=CH(CH2)2C(H)(X)−CO2R、
CH2=CH(CH2)3C(H)(X)−CO2R、
CH2=CH(CH2)8C(H)(X)−CO2R、
CH2=CHCH2C(H)(X)−C6H5、
CH2=CH(CH2)2C(H)(X)−C6H5、
CH2=CH(CH2)3C(H)(X)−C6H5、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等を挙げることができる。
【0070】
アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物の具体例を挙げるならば、o−,m−,p−CH2=CH−(CH2)n−C6H4−SO2X、
o−,m−,p−CH2=CH−(CH2)n−O−C6H4−SO2X、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
等である。
【0071】
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては特に限定されず、例えば一般式8に示す構造を有するものが例示される。
R6R7C(X)−R8−R9−C(H)(R5)CH2−[Si(R11)2-b(Y)bO]m−Si(R12)3-a(Y)a (8)
(式中、R5、R6、R7、R8、R9、Xは上記に同じ、R11、R12は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R11またはR12が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする)
一般式8の化合物を具体的に例示するならば、
XCH2C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、
CH3C(H)(X)C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、
(CH3)2C(X)C(O)O(CH2)nSi(OCH3)3、
XCH2C(O)O(CH2)nSi(CH3)(OCH3)2、
CH3C(H)(X)C(O)O(CH2)nSi(CH3)(OCH3)2、
(CH3)2C(X)C(O)O(CH2)nSi(CH3)(OCH3)2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは0〜20の整数、)
XCH2C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、
H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(OCH3)3、
XCH2C(O)O(CH2)nO(CH2)mSi(CH3)(OCH3)2、
H3CC(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、
(H3C)2C(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、
CH3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2)nO(CH2)m−Si(CH3)(OCH3)2、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)2Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)2Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)2Si(OCH3)3、
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−XCH2−C6H4−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)3−Si(OCH3)3、
o,m,p−XCH2−C6H4−O−(CH2)2−O−(CH2)3−Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6H4−O−(CH2)2−O−(CH2)3Si(OCH3)3、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
等が挙げられる。
【0072】
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに、一般式9で示される構造を有するものが例示される。
(R12)3-a(Y)aSi−[OSi(R11)2-b(Y)b]m−CH2−C(H)(R5)−R9−C(R6)(X)−R10−R7 (9)
(式中、R5、R6、R7、R9、R10、R11、R12、a、b、m、X、Yは上記に同じ)
このような化合物を具体的に例示するならば、
(CH3O)3SiCH2CH2C(H)(X)C6H5、
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2C(H)(X)C6H5、
(CH3O)3Si(CH2)2C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH2)2C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH2)3C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH2)3C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH2)4C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH2)4C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH2)9C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)2(CH3)Si(CH2)9C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH2)3C(H)(X)−C6H5、
(CH3O)2(CH3)Si(CH2)3C(H)(X)−C6H5、
(CH3O)3Si(CH2)4C(H)(X)−C6H5、
(CH3O)2(CH3)Si(CH2)4C(H)(X)−C6H5、
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)
等が挙げられる。
【0073】
上記ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
HO−(CH2)n−OC(O)C(H)(R)(X)
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)上記アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
H2N−(CH2)n−OC(O)C(H)(R)(X)
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
上記エポキシ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
【0074】
【化5】
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
本発明の末端構造を1分子内に2つ以上有する重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、
【0075】
【化6】
【0076】
【化7】
等があげられる。
【0077】
この重合において用いられるビニル系モノマーとしては特に制約はなく、既に例示したものをすべて好適に用いることができる。
【0078】
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体錯体である。更に好ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等の配位子が添加される。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh3)3)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh3)2)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh3)2)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu3)2)も、触媒として好適である。
【0079】
重合は無溶剤または各種の溶剤中で行うことができる。溶剤の種類としては、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられ、単独または2種以上を混合して用いることができる。また、重合は室温〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは50〜150℃である。
<官能基導入法>
以下に、本発明の重合体の末端官能基の導入について説明する。
【0080】
本発明の重合体の末端に一般式1で示される基を導入する方法としては、限定はされないが、以下のような方法が挙げられる。
▲1▼一般式2で表される末端構造を有するオレフィン系重合体と、一般式3で示される化合物との反応による方法。
−CR1R2X (2)
(式中、R1、R2は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
M+-OC(O)C(R)=CH2 (3)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。M+はアルカリ金属、または4級アンモニウムイオンを表す。)
▲2▼末端に水酸基を有するビニル系重合体と、一般式4で示される化合物との反応による方法。
XC(O)C(R)=CH2 (4)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
▲3▼末端に水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式5で示される化合物との反応による方法。
HO−R’− OC(O)C(R)=CH2 (5)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R’は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
以下にこれらの各方法について詳細に説明する。
<官能基導入法▲1▼>
上記▲1▼の方法について説明する。
▲1▼一般式2で表される末端構造を有するオレフィン系重合体と、一般式3で示される化合物との反応による方法。
−CR1R2X (2)
(式中、R1、R2は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
M+-OC(O)C(R)=CH2 (3)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。M+はアルカリ金属、または4級アンモニウムイオンを表す。)
一般式2で表される末端構造を有するビニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、ハロゲン化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
【0081】
一般式3で表される化合物としては特に限定されないが、Rの具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2)nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C6H5、−CH2OH、−CN、
等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。M+はオキシアニオンの対カチオンであり、M+の種類としてはアルカリ金属イオン、具体的にはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、および4級アンモニウムイオンが挙げられる。4級アンモニウムイオンとしてはテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンおよびジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられ、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオンである。一般式3のオキシアニオンの使用量は、一般式2のハロゲン末端に対して、好ましくは1〜5当量、更に好ましくは1.0〜1.2当量である。この反応を実施する溶媒としては特に限定はされないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル、等が用いられる。反応を行う温度は限定されないが、一般に0〜70℃で、重合性の末端基を保持するために好ましくは50℃以下、更に好ましくは室温で行う。
<末端官能基の導入▲2▼>
上記▲2▼の方法について説明する。
▲2▼末端に水酸基を有するビニル系重合体と、一般式4で示される化合物との反応による方法。
XC(O)C(R)=CH2 (4)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
一般式4で表される化合物としては特に限定されないが、Rの具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2)nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C6H5、−CH2OH、−CN、
等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。
【0082】
末端に水酸基を有するビニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、水酸基を持つ化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。これらの方法により末端に水酸基を有するビニル系重合体を製造する方法は限定されないが、以下のような方法が例示される。
【0083】
(a)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、下記一般式10等で表される一分子中に重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持つ化合物を第2のモノマーとして反応させる方法。
H2C=C(R13)−R14−R15−OH (10)
(式中、R13は炭素数1〜20の有機基で水素またはメチル基が好ましく、互いに同一であっても異なっていてもよい。R14は−C(O)O−(エステル基)、またはo−,m−もしくはp−フェニレン基を表す。R15は直接結合、または1個以上のエーテル結合を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R164がエステル基のものは(メタ)アクリレート系化合物、R14がフェニレン基のものはスチレン系の化合物である。)
なお、一分子中に重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持つ化合物を反応させる時期に制限はないが、特にゴム的な性質を期待する場合には重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
【0084】
(b)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして、一分子中に重合性の低いアルケニル基および水酸基を有する化合物を反応させる方法。
【0085】
このような化合物としては特に限定されないが、一般式11に示される化合物等が挙げられる。
H2C=C(R13)−R16−OH (11)
(式中、R13は上述したものと同様である。R16は1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。)
上記一般式11に示される化合物としては特に限定されないが、入手が容易であるということから、10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのようなアルケニルアルコールが好ましい。
【0086】
(c)特開平4−132706号公報などに開示されるような方法で、原子移動ラジカル重合により得られる一般式2で表される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個に有するビニル系重合体のハロゲンを、加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応させることにより、末端に水酸基を導入する方法。
【0087】
(d)原子移動ラジカル重合により得られる一般式2で表される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式12に挙げられるような水酸基を有する安定化カルバニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
M+C-(R17)(R18)−R16−OH (12)
(式中、R16は上述したものと同様である。R17およびR18はともにカルバニオンC-を安定化する電子吸引基、または一方が上記電子吸引基で他方が水素または炭素数1〜10のアルキル基もしくはフェニル基を表す。R17およびR18の電子吸引基としては、−CO2R(エステル基)、−C(O)R(ケト基)、−CON(R2)(アミド基)、−COSR(チオエステル基)、−CN(ニトリル基)、−NO2(ニトロ基)等が挙げられる。置換基Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基であり、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基もしくはフェニル基である。R17およびR18としては、−CO2R、−C(O)Rおよび−CNが特に好ましい。)
(e)原子移動ラジカル重合により得られる一般式2で表される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートアニオンを調製し、しかる後にアルデヒド類、又はケトン類を反応させる方法。
【0088】
(f)重合体末端のハロゲン、好ましくは一般式2で表されるハロゲンを少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般式13等で表される水酸基含有オキシアニオン又は下記一般式14等で表される水酸基含有カルボキシレートアニオンを反応させて、上記ハロゲンを水酸基含有置換基に置換する方法。
HO−R16−O-M+ (13)
(式中、R16およびM+は上述したものと同様である。)
HO−R16−C(O)O-M+ (14)
(式中、R16およびM+は上述したものと同様である。)
本発明では(a)〜(b)のような水酸基を導入する方法にハロゲンが直接関与しない場合、制御がより容易である点から(b)の方法がさらに好ましい。
【0089】
また(c)〜(f)のような炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換することにより水酸基を導入する場合は、制御がより容易である点から(f)の方法がさらに好ましい。
<末端官能基の導入▲3▼>
上記▲3▼の方法について説明する。
▲3▼末端に水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式5で示される化合物との反応による方法。
HO−R’− OC(O)C(R)=CH2 (5)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R’は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
一般式5で表される化合物としては特に限定されないが、Rの具体例としては、例えば、−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2)nCH3(nは2〜19の整数を表す)、−C6H5、−CH2OH、−CN、
等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。具体的な化合物としては、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピルが挙げられる。
【0090】
末端に水酸基を有するビニル系重合体は、上記の通り。
【0091】
ジイソシアネート化合物は、特に限定されないが、従来公知のものをいずれも使用することができ、例えば、トルイレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;等を挙げることができる。これらは、単独で使用しうるほか、2種以上を併用することもできる。またブロックイソシアネートを使用しても構わない。
【0092】
よりすぐれた耐候性を生かすためには、多官能イソシアネート化合物(b)としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香環を有しないジイソシアネート化合物を用いるのが好ましい。
【0093】
【実施例】
以下に具体的な実施例を示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
下記実施例および比較例中「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
(分子量分布測定) 下記実施例中、「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの(shodex GPC K−804;昭和電工(株)製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
下記実施例中、「平均末端(メタ)アクリロイル基数」は、「重合体1分子当たりに導入された(メタ)アクリロイル基数の平均値」であり、1H NMR分析およびGPCにより求められた数平均分子量により算出した。
【0094】
(製造例1) 臭素基片末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)の製造および精製攪拌機付き反応槽にCuBr(4.2部)、アセトニトリル(44.0部)を加え、窒素雰囲気下で70℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル(100部)、2−ブロモブチル酸エチル(9.5部)を添加し、よく攪拌混合した。ペンタメチルジエチレントリアミン(以後トリアミンと称す)(0.17部)を添加し、重合を開始させた。80℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチル(400部)を連続的に滴下した。アクリル酸エステルの滴下途中にトリアミン(0.68部)を分割添加した。反応率が96%に達した時点で残モノマー、アセトニトリルを80℃で脱揮し、数平均分子量11800、分子量分布1.08の臭素基片末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)(以下、重合体〔1〕という)を得た。
(重合触媒の除去)
重合体[1](100部)に対してろ過助剤2部(ラヂオライト900、昭和化学工業(株)製)、メチルシクロヘキサン(100部)を加えて窒素雰囲気下で80℃にて加熱攪拌して、固形分を濾別することにより、重合体[1]のメチルシクロヘキサン溶液を得た。
100部の重合体[1]に対して吸着剤4部(キョーワード500SH 2部/キョーワード700SL 2部:共に協和化学(株)製)を重合体[1]のメチルシクロヘキサン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で80℃にて加熱攪拌した。不溶分を除去し、重合体溶液を濃縮することで片末端重合体(重合体[1’])を得た。 重合体[1’]の数平均分子量は11800、分子量分布は1.08であった。
【0095】
(製造例2) 臭素基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル)の製造および精製攪拌機付き反応槽にCuBr(4.2部)、アセトニトリル(44.0部)を加え、窒素雰囲気下で70℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル(100部)、2、5−ジブロモアジピン酸ジエチル(8.8部)を添加し、よく攪拌混合した。トリアミン(0.17部)を添加し、重合を開始させた。80℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチル(400部)を連続的に滴下した。アクリル酸ブチルの滴下途中にトリアミン(0.85部)を分割添加した。モノマー反応率が97%に達した時点で残モノマー、アセトニトリルを80℃で脱揮し、数平均分子量24200、分子量分布1.23の臭素基両末端重合体(以下、重合体[2]という)を得た。
(重合触媒の除去)
重合体[2](100部)に対してメチルシクロヘキサン(100部)を加えて希釈して固形分を濾別することにより、重合体[2]を含む溶液を得た。
100部の重合体[2]に対して吸着剤10部(キョーワード500SH 5部/キョーワード700SL 5部)を重合体[2]のメチルシクロヘキサン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で80℃にて加熱攪拌した。不溶分を除去し、重合体溶液を濃縮することで両末端重合体(重合体[2’])を得た。重合体[2’]の数平均分子量は24500、分子量分布は1.20であった。
【0096】
(製造例3) 臭素基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチル)の製造および精製
攪拌機付き反応槽にCuBr(4.6部)、アセトニトリル(41.6部)を加え、窒素雰囲気下で65℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸エステル(100部)(内訳はアクリル酸n−ブチル(27.6部)、アクリル酸エチル(39.8部)、アクリル酸2−メトキシエチル(32.6部))、2、5−ジブロモアジピン酸ジエチル(13.0部)を添加し、よく攪拌混合した。トリアミン(0.09部)を添加し、重合を開始させた。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸エステル(400部)(内訳はアクリル酸n−ブチル(111部)、アクリル酸エチル(159部)、アクリル酸2−メトキシエチル(130部))を連続的に滴下した。アクリル酸エステルの滴下途中にトリアミン(0.84部)を分割添加した。モノマー反応率が96%に達した時点で残モノマー、アセトニトリルを80℃で脱揮し、数平均分子量16600、分子量分布1.07の臭素基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチル)(以下、重合体[3]という)を得た。
【0097】
(重合触媒の除去)
重合体[3](100部)に対してろ過助剤1部(ラヂオライト900、昭和化学工業(株)製)、吸着剤1部(キョーワード500SH 0.5部/キョーワード700SL 0.5部)、メチルシクロヘキサン(100部)を加えて希釈して固形分を濾別することにより、重合体[3]を含む溶液を得た。
100部の重合体[3]に対して吸着剤4部(キョーワード500SH 2部/キョーワード700SL 2部)を重合体[3]のメチルシクロヘキサン溶液に加え、酸素・窒素混合ガス雰囲気下で100℃にて加熱攪拌した。不溶分を除去し、重合体溶液を濃縮することで両末端重合体(重合体[3’])を得た。重合体[3’]の数平均分子量は16700、分子量分布は1.08であった。
(実施例1)
製造例1で得られた重合体溶液[1’](100部)をN,N−ジメチルアセトアミド(100部)に溶解し、アクリル酸カリウム(1.87部:浅田化学工業(株)製),4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン(0.01部:デグサジャパン(株)製)を加え、70℃で8時間加熱攪拌した。反応終了時の重合体は数平均分子量12200、分子量分布は1.09であった。反応混合物を100℃にて8時間減圧下でN,N−ジメチルアセトアミドを留去し、アクリロイル基片末端ポリ(アクリル酸ブチル)(以下、重合体[4]という)の粗生成物を得た。 重合体[4]の数平均分子量は11900、分子量分布は1.09であった。この重合体(100部)に対して100部のメチルシクロヘキサンで溶解させ不溶分を除去し、重合体溶液を90℃にて8時間減圧下溶媒を留去してアクリロイル基片末端ポリ(アクリル酸ブチル)(以下、重合体[4’]という)を得た。精製後の重合体[4’]の数平均分子量は11900、分子量分布は1.09、平均末端アクリロイル基数は0.88であった。
(比較例1)
製造例1で得られた重合体[1’](100部)をN,N−ジメチルアセトアミド(100部)に溶解し、アクリル酸カリウム(1.87部),ヒドロキノンモノメチルエーテル(0.01部)を加え、70℃で8時間加熱攪拌した。反応終了時の重合体は数平均分子量11900、分子量分布は1.08であった。反応混合物を100℃にて4時間減圧下でN,N−ジメチルアセトアミドを留去し、アクリロイル基片末端ポリ(アクリル酸ブチル)(以下、重合体[5]という)の粗生成物を得た。重合体[5]の数平均分子量は12200、分子量分布は1.15であった。この重合体(100部)に対して100部のメチルシクロヘキサンで溶解させ不溶分を除去し、重合体溶液を80℃にて3時間減圧下溶媒を留去してアクリロイル基片末端ポリ(アクリル酸ブチル)(以下、重合体[5’]という)を得た。精製後の重合体[5’]の数平均分子量は12200、分子量分布は1.18、平均末端アクリロイル基数は0.87であった。
(実施例2)
製造例2で得られた重合体[2’](100部)をN,N−ジメチルアセトアミド(100部)に溶解し、アクリル酸カリウム(1.80部),4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン(0.01部)を加え、70℃で8時間加熱攪拌した。反応終了時の重合体は数平均分子量25900、分子量分布は1.23であった。反応混合物を100℃にて8時間減圧下でN,N−ジメチルアセトアミドを留去し、アクリロイル基両末端ポリ(アクリル酸ブチル)(以下、重合体[6]という)の粗生成物を得た。 重合体[6]の数平均分子量は26000、分子量分布は1.24であった。この重合体(100部)に対して100部のメチルシクロヘキサンで溶解させ不溶分を除去し、重合体溶液を100℃にて4時間減圧下溶媒を留去してアクリロイル基両末端ポリ(アクリル酸ブチル)(以下、重合体[4’]という)を得た。精製後の重合体[6’]の数平均分子量は25600、分子量分布は1.25、平均末端アクリロイル基数は1.74であった。
次に重合体[6’]5.0gに、2,2-ジエトキシアセトフェノン0.025g(10重量%アセトン溶液)を加え、よく混合した。
【0098】
このようにして得られた組成物を型枠に流し込み、揮発分を減圧留去した後、高圧水銀ランプ(SHL−100UVQ−2;東芝ライテック(株)製)を用い、15cmの照射距離で20分間、光を照射することにより、ゴム状硬化物を得た。このゴム状の硬化物を2日間トルエンに浸漬し,ゲル分率を測ったところ97%であった. 4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン(0.01部)が重合体[6’]の光ラジカル硬化を阻害しないことがわかった。
(比較例2)
製造例2で得られた重合体[2’](100部)をN,N−ジメチルアセトアミド(100部)に溶解し、アクリル酸カリウム(1.45部),ヒドロキノンモノメチルエーテル(0.05部)を加え、70℃で3時間加熱攪拌し,反応終了時の重合体は数平均分子量は25200、分子量分布は1.20であった。反応混合物を100℃にて4時間減圧下でN,N−ジメチルアセトアミドを留去し、アクリロイル基末端ポリ(アクリル酸ブチル)(以下、重合体[7]という)の粗生成物を得た。重合体[7]の粗生成物数平均分子量は27100、分子量分布は1.77であった。この重合体をその約300部のメチルシクロヘキサンで溶解させ不溶分を除去し、重合体溶液を80℃にて3時間減圧下溶媒を留去してアクリロイル基両末端ポリ(アクリル酸ブチル)(以下、重合体[7’]という)を得た。精製後の重合体[7’]の数平均分子量は27100、分子量分布は1.81、平均末端アクリロイル基数は1.65であった。
(実施例3)
製造例3で得られた重合体[3’](100部)をN,N−ジメチルアセトアミド(100部)に溶解し、アクリル酸カリウム(2.37部),4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−ピペリジン(0.01部)を加え、70℃で8時間加熱攪拌した。反応終了時の重合体は数平均分子量17700、分子量分布は1.12であった。反応混合物を100℃にて8時間減圧下でN,N−ジメチルアセトアミドを留去し、アクリロイル基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチル)(以下、重合体[8]という)の粗生成物を得た。 重合体[8]の数平均分子量は17800、分子量分布は1.14であった。この重合体(100部)に対して100部のトルエンで溶解させ不溶分を除去し、重合体溶液を100℃にて6時間減圧下溶媒を留去してアクリロイル基両末端ポリ(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチル)(以下、重合体[8’]という)を得た。精製後の重合体[8’]の数平均分子量は16900、分子量分布は1.14、平均末端アクリロイル基数は1.80であった。
(比較例3)
製造例3で得られた重合体[3’](100部)をN,N−ジメチルアセトアミド(100部)に溶解し、アクリル酸カリウム(2.43部),ヒドロキノンモノメチルエーテル(0.05部)を加え、70℃で4時間加熱攪拌した。反応終了時の重合体の数平均分子量17600、分子量分布は1.15であった。反応混合物を100℃にて4時間減圧下でN,N−ジメチルアセトアミドを留去し、アクリロイル基末端ポリ(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−メトキシエチル)(以下、重合体[9]という)の粗生成物を得た。重合体[9]の数平均分子量は19400、分子量分布は2.18であった。
【0099】
上記実施例及び比較例より、本発明の安定化方法を実施することにより、重合体の分子量及び/又は分子量分布(Mw/Mn値)が(重合体の末端どうしの重合反応により)大きくなるのを抑制することが明らになった。
【0100】
【発明の効果】
重合抑制剤としてN−オキシル化合物を添加することによって、これまで熱安定性を確保することが困難であった末端に重合性の炭素―炭素二重結合を持つ基を有するビニル系重合体を著しく安定化させ、品質を確保することができる。
Claims (19)
- N−オキシル化合物を添加することを特徴とする、末端に重合性炭素―炭素二重結合を持つ基を有するビニル系重合体の安定化方法。
- ビニル系重合体の末端の重合性炭素―炭素二重結合を持つ基が一般式1:
−OC(O)C(R)=CH2 (1)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。)
で表される請求項1に記載の安定化方法。 - 一般式1中のRが、水素、または、炭素数1〜20の炭化水素基である請求項2に記載の安定化方法。
- 一般式1中のRが、水素、または、メチル基である請求項2または3に記載の安定化方法。
- ビニル系重合体が(メタ)アクリル系重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の安定化方法。
- ビニル系重合体がアクリル酸エステル系重合体である請求項5に記載の安定化方法。
- ビニル系重合体がスチレン系重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の安定化方法。
- ビニル系重合体が、リビングラジカル重合により製造されたものである請求項1〜7のいずれかに記載の安定化方法。
- リビングラジカル重合が原子移動ラジカル重合である請求項8に記載の安定化方法。
- 原子移動ラジカル重合の際に、ニッケル、ルテニウム、および鉄からなる群より選択される金属の錯体を用いる請求項9に記載の安定化方法。
- 銅の錯体を用いる請求項10に記載の安定化方法。
- ビニル系重合体が、連鎖移動剤を用いたビニル系モノマーの重合により製造されたものである請求項1〜7のいずれかに記載の安定化方法。
- ビニル系重合体が、一般式2:
−CR1R2X (2)
(式中、R1、R2は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
で表される末端構造を有するビニル系重合体と、一般式3
M+-OC(O)C(R)=CH2 (3)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。M+はアルカリ金属、または4級アンモニウムイオンを表す。)
で示される化合物との反応により製造されたものである請求項1〜12のいずれかに記載の安定化方法。 - ビニル系重合体が、末端に水酸基を有するビニル系重合体と、一般式4:
XC(O)C(R)=CH2 (4)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
で示される化合物との反応により製造されたものである請求項1〜12のいずれかに記載の安定化方法。 - ビニル系重合体が、末端にイソシアネート基を有するビニル系重合体と、一般式5:
HO−R’− OC(O)C(R)=CH2 (5)
(式中、Rは水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R’は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
で示される化合物との反応により製造されたものである請求項1〜12のいずれかに記載の安定化方法。 - ビニル系重合体の数平均分子量が2000以上であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の安定化方法。
- ビニル系重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)の値が、1.8未満である請求項1〜16のいずれかに記載の安定化方法。
- N−オキシル化合物を、ビニル系重合体の製造の際に添加することを特徴とする請求項1に記載の安定化方法。
- 請求項1〜16のいずれかに記載の安定化方法を使用することを特徴とする、末端に重合性炭素―炭素二重結合を持つ基を有するビニル系重合体の製造方法。
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