JP2004203787A - 常温揮散性薬剤放散体 - Google Patents

常温揮散性薬剤放散体 Download PDF

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Akio Kobayashi
昭生 小林
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】製造時に、常温揮散性薬剤の熱分解や熱による飛散が生じることがなく、しかも、必要なときに効率良くかつ簡便に常温揮散性薬剤を揮散させることを可能とするとともに、その揮散量を任意にコントロールし得る常温揮散性薬剤放散体を提供する。
【解決手段】基材層3の少なくとも一方の面に、常温揮散性薬剤を含有する薬剤含有粘着剤層2を積層し、さらにその表面に剥離性保護フィルム層1を積層する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、香料、殺虫活性化合物、害虫忌避性化合物、殺菌性化合物等の常温揮散性薬剤を放散する常温揮散性薬剤放散体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、常温揮散性薬剤を用いた薬剤含有樹脂フィルムの両面に、薬剤不透過性シートを直接または接着剤層を介して積層してなる薬剤徐放シートはよく知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭58−11145号公報(公開日1983年1月21日)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような薬剤徐放シートは、薬剤含有樹脂フィルムを得るために、通常、フィルムを形成する原料樹脂と常温揮散性薬剤とを熱混練した後、押出成形を行っており、その製造過程において加熱工程を避け得ず、加熱、成形工程において常温揮散性薬剤の熱分解や熱による飛散等が生じるという問題点を有している。
【0005】
また、このような薬剤徐放シートは、その側面のみから常温揮散性薬剤が放散されるために薬剤の揮散量が少なく、揮散量をコントロールすることも困難である。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、製造時に、常温揮散性薬剤の熱分解や熱による飛散が生じることがなく、しかも、必要なときに効率良くかつ簡便に常温揮散性薬剤を揮散させることを可能とするとともに、その揮散量を任意にコントロールし得る常温揮散性薬剤放散体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる常温揮散性薬剤放散体は、上記課題を解決するために、基材層の少なくとも一方の面に、粘着剤層、および、該粘着剤層を覆う剥離性保護層が積層されてなる常温揮散性薬剤放散体であって、上記粘着剤層が常温揮散性薬剤を含有していることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の一形態について詳しく説明する。
本発明にかかる常温揮散性薬剤放散体は、基材層の少なくとも一方の面に、常温揮散性薬剤を含有する粘着剤層(以下、説明の便宜上、薬剤含有粘着剤層と称する)、および、該粘着剤層を覆う剥離性保護層が順次積層された構造を有している。
【0009】
図1に示す常温揮散性薬剤放散体は、薬剤不透過性を有する基材からなる基材層3の片面に、常温揮散性薬剤を含有する薬剤含有粘着剤層2(粘着剤層)が積層され、さらにその表面に、薬剤不透過性を有すると共に上記薬剤含有粘着剤層2を保護する剥離性保護フィルム層1(剥離性保護層)が積層された構造を有している。
【0010】
上記薬剤含有粘着剤層2は、図1に示すように、上記基材層3の片面に設けられていてもよく、必要に応じて、上記基材層3の両面に設けられていてもよい。すなわち、上記常温揮散性薬剤放散体は、基材層3の両面に薬剤含有粘着剤層2が積層され、各薬剤含有粘着剤層2の表面に剥離性保護フィルム層1が各々積層された構造を有していてもよい。
【0011】
さらに、上記常温揮散性薬剤放散体は、図2に示すように、基材層3の片面に薬剤含有粘着剤層2が積層され、さらにその表面に上記剥離性保護フィルム層1が積層されていると共に、上記基材層3の他面に、常温揮散性薬剤を含まない粘着剤層(以下、薬剤非含有粘着剤層と記す)4が積層され、さらにその表面に、上記薬剤非含有粘着剤層4を保護する剥離性保護フィルム層5(剥離性保護層)が積層された構造を有していてもよい。
【0012】
また、図1の例の変形例として、図9に示すように、上記基材層3の一方の面に、薬剤非含有粘着剤層4が積層されているとともに、当該薬剤非含有粘着剤層4上に部分的に薬剤含有粘着剤層2が積層され、かつ、上記薬剤含有粘着剤層2を含めて薬剤非含有粘着剤層4の表面全面が剥離性保護フィルム層1で覆われた構造を有していてもよい。
【0013】
上記基材層3としては、具体的には、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、エチレンポリビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムやシートあるいは、金属箔等を挙げることができるが、薬剤含有粘着剤層2中に含有される常温揮散性薬剤が実質的に透過しないものであれば特に限定されない。
【0014】
上記基材層3の厚みは、使用目的並びに上記した基材原料の種類等によって適宜選択すればよく、何ら制限されるものではないが、一般的には20μm〜1000μmの範囲内である。
【0015】
また、上記薬剤含有粘着剤層2および薬剤非含有粘着剤層4を各々覆う剥離性保護フィルム層(剥離性保護膜)としては、該剥離性保護膜が薬剤含有粘着剤層2上に積層される場合には前記したように常温揮散性薬剤が透過しないもの(非透過性)であることが必要であるが、薬剤非含有粘着剤層4上に積層される場合には常温揮散性薬剤の透過性には全く関係がなく、透過性であっても非透過性であってもよい。
【0016】
よって、上記薬剤含有粘着剤層2を覆う剥離性保護フィルム層1としては、常温揮散性薬剤に対し非透過性を有していれば特に制限はされないが、非透過性を有するフィルム、例えば、上記基材層3の基材原料として例示した薬剤非透過性の熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルム等が挙げられるのに対し、薬剤非含有粘着剤層4を覆う剥離性保護フィルム層5としては、上記剥離性保護フィルム層1と同様の原料、例えば、上記基材層3の基材原料として例示した薬剤非透過性の熱可塑性樹脂のみならず、ポリエチレン、ポリプロピレン、もしくは、剥離性フィルムとして公知の、上記例示の熱可塑性樹脂以外の各種熱可塑性樹脂からなるフィルムが幅広く使用される。
【0017】
上記剥離性保護フィルム層1並びに剥離性保護フィルム層5は、これら剥離性保護フィルム層(剥離性保護層)が薬剤含有粘着剤層2あるいは薬剤非含有粘着剤層4の何れに積層される場合であっても、これら粘着剤層との剥離性が要求されるため、これら剥離性保護フィルム層を形成するフィルム自体が粘着剤層に対して剥離性を有している(すなわち、易剥離性フィルムにて形成されている)か、あるいは、剥離剤等を使用する等の通常の方法により、これら粘着剤層に対して剥離性を有している必要がある。
【0018】
但し、図4に示すように薬剤含有粘着剤層2および剥離性保護フィルム層1が互いに繰り返し複数層積層される場合には、最表層の剥離性保護フィルム層1以外の剥離性保護フィルム層1は、その両面に薬剤含有粘着剤層2が積層されることになるが、この場合には、剥離性保護フィルム層1の下面側、すなわち、基材層3側に積層されている薬剤含有粘着剤層2との剥離性は必要であるが、一般的には、その上面、すなわち、基材層3側とは反対側の面に積層される薬剤含有粘着剤層2との剥離性は必ずしも必要ではない。
【0019】
上記剥離性保護フィルム層1並びに剥離性保護フィルム層5の層厚は、これら剥離性保護フィルム層(剥離性保護層)を、上記した各粘着剤層から剥離し得る程度の厚さと強度とが確保できる程度の厚さに設定されていれば十分であり、不必要に厚くする必要はない。なお、上記薬剤含有粘着剤層2に積層される剥離性保護フィルム層1は、上記条件と併せて、前記したように常温揮散性薬剤を透過しないことが必要であり、常温揮散性薬剤を透過しない層厚を有していることは言うまでもない。
【0020】
また、上記薬剤含有粘着剤層2を形成する粘着剤としては、基材層3に対して十分な粘着力を有し、後述する常温揮発性薬剤を溶解するか、均一に分散する等して混合し得るものであれば特に制限されない。
【0021】
上記薬剤含有粘着剤層2を形成する粘着剤としては、具体的には、例えば(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルブチル等のアクリル酸系粘着剤;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニル系粘着剤;天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブテンゴム、ブチルゴム等の合成ゴムを主成分とするゴム系粘着剤;等が挙げられる。これら粘着剤は、一種類のみを用いてもよく、用いる常温揮散性薬剤の種類(溶解性、分散性、混合性等)に応じて部分的に変更、あるいは上記薬剤含有粘着剤層2を複数層形成する場合、各層毎に変更してもよい。
【0022】
一方、薬剤非含有粘着剤層4を形成する粘着剤としては、基材層3に対して十分な粘着力を有するものであれば特に限定されず、従来公知の粘着剤が適用される。
【0023】
また、上記薬剤含有粘着剤層2に用いられる常温揮散性薬剤は、常温で揮発性を有する活性物質であれば特に限定されるものではなく、例えば、香料、殺虫活性化合物、害虫忌避性化合物、殺菌性化合物等の各種の物理的、化学的、生理的活性を有する化合物を挙げることができ、これらは使用目的によってそれぞれ決定される。
【0024】
上記常温揮散性薬剤のうち、香料としては、例えば天然香料が挙げられ、より具体的には、例えば、ジャコウ、シベット(レイビョウ香)、アンバーグリス(リュウゼン香)等の動物性香料;ラベンダー油、ハッカ油、レモン油、オレンジ油、ローズ油、ショウノウ油、ビャクダン油、ヒノキ油等の植物精油;等が挙げられる。上記香料としては、合成香料を用いてもよい。また、殺虫活性化合物としては、具体的には、エンペントリン(例えば住友化学工業株式会社製の登録商標ベーパースリン)、トランスフルスリン、2,2−ジクロロビニルホスフェート(DDVP)、(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−((Z)−1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルフェニル)メチル等が挙げられる。害虫忌避性化合物としてはN,N−ジエチル−m−トルアミド(DEET)、4−ヒドロキシ−6−メチル−3−(4−メチルペンタノイル)−ピラン−2−オン、2−(2−ヒドロキシエチル)−ピペリジン−1−カルボン酸 sec−ブチルエステル等が挙げられる。殺菌性化合物としてはテトラコナゾール、イソチオシアン酸アリル等が挙げられる。
これら常温揮散性薬剤は、一種類のみを用いてもよく、必要に応じて適宜混合して用いてもよい。
これら常温揮散性薬剤を混合して用いる場合には、例えば害虫忌避性化合物や殺菌性化合物等と香料等の性質の異なる化合物を混合してもよいし、害虫忌避性化合物同士や殺菌性化合物同士等、同種の化合物を混合してもよく、その混合方法は使用目的に応じて適宜選択される。
【0025】
上記薬剤含有粘着剤層2中の常温揮散性薬剤の含有割合は、上記薬剤含有粘着剤層2中の常温揮散性薬剤の含有割合が多くなりすぎると、該薬剤含有粘着剤層2と基材層3との粘着性に悪影響を及ぼすおそれがあり、また、少なすぎると活性持続時間が短くなったり、上記常温揮散性薬剤の揮散量が少なくなって用途によっては実用的でなくなるおそれがあるため、一般的には2重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜40重量%の範囲内で選択されるが、これに限定されるものではなく、例えば、上記常温揮散性薬剤放散体の設定使用期間、所望の放出量、並びに、用いる常温揮発性薬剤の種類(揮散性)等の諸条件に応じて適宜決定される。
【0026】
なお、上記薬剤含有粘着剤層2を形成する薬剤含有粘着剤の粘度は、上記の諸条件等に応じて適宜決定すればよく、薬剤含有粘着剤層2と基材層3とが粘着可能な粘度を有していれば特に限定されるものではないが、印刷法等によって上記基材層3上に積層し得る粘度を有していることが好ましい。
【0027】
同様に、上記薬剤含有粘着剤層2の厚みは、通常10μm〜1000μmの範囲内であるが、例えば、上記常温揮散性薬剤放散体の設定使用期間、所望の放出量、並びに、用いる常温揮発性薬剤の種類(揮散性)等の諸条件に応じて適宜決定され、例えば設定使用期間が長い場合や、該薬剤含有粘着剤層2中の薬剤含有割合が低い場合には、該薬剤含有粘着剤層2の厚みを厚くして該薬剤含有粘着剤層2中に含まれる常温揮散性薬剤の絶対量が多くなるように調整される。
【0028】
なお、薬剤非含有粘着剤層4については、これらの点については考慮する必要はなく、該薬剤非含有粘着剤層4の厚みは、上記常温揮散性薬剤放散体使用時に、上記薬剤非含有粘着剤層4を被着物に貼着(粘着)することで両者が接合される程度の厚みであればよい。
【0029】
これら粘着剤層の積層方法は特に限定されるものではなく、上記基材層3上に例えば公知のコーティング方法や印刷技術を用いて、上記した粘着剤層原料を、上記粘着剤層が薬剤非含有粘着剤層4の場合にはそのまま、上記粘着剤層が薬剤含有粘着剤層2である場合には予め常温揮発性薬剤と混合した後、得られた薬剤含有粘着剤をコーティングすることにより容易に積層することができる。より具体的には、これら粘着剤層は、上記基材層3上に、上記した粘着剤層成分を、例えば、単色ないしは多色グラビアコーター等の一般的な技術により所望の厚みになるようにコーティングすることにより、容易に積層することができる。
【0030】
このように、粘着剤層中に常温揮散性薬剤を含むことで、公知の技術を用いて簡便かつ容易に常温揮散性薬剤含有層を形成することができると共に、その製造工程において常温揮散性薬剤の熱分解や熱による飛散等を防止することができる。
【0031】
つまり、常温揮散性薬剤は、そのままでは樹脂等に含浸させることは困難であり、また、上記したように常温揮散性薬剤を含有する樹脂フィルムを形成する場合、加熱、成形工程において熱分解や熱による飛散等が生じるという問題がある。しかも、このような薬剤含有樹脂フィルムを基材層に積層する場合、あるいは、このような薬剤含有樹脂フィルムを薬剤不透過性シートと貼り合わせる際には、接着剤等を用いて上記樹脂フィルムを上記基材層あるいは薬剤不透過性シートと貼り合わせる必要があり、製造工程が煩雑になるという問題がある。
【0032】
しかしながら、上記したように常温揮散性薬剤を、粘着剤に溶解あるいは分散させることにより該粘着剤に混合、保持させることで、上記したように薬剤含有樹脂フィルムを形成する場合のように高温での処理を必要とすることなく、常温揮散性薬剤含有層の形成が可能である。しかも、上記常温揮散性薬剤が、粘着剤と混合されていることで、印刷による層形成が可能であるため、例えばロール状あるいはシート状の基材層3に、公知の印刷技術を用いて所望の形状に連続的に印刷することができる。したがって、上記常温揮散性薬剤放散体を、常温揮散性薬剤の無駄な飛散や熱分解を招来することなく、しかも容易かつ簡便に、工業的に大量に生産することが可能となる。
【0033】
しかも、上記常温揮散性薬剤は、粘着剤と混合されていることで、高濃度に上記常温揮散性薬剤を保持することが可能であり、また、濃度調整が容易であり、常温揮散性薬剤の放散量(揮散量)のコントロールが行い易いという利点を有している。
【0034】
しかも、上記常温揮散性薬剤放散体は、上記薬剤含有粘着剤層2の少なくとも表面、つまり、表面および必要により側面を薬剤不透過性の剥離性保護フィルム層1で被覆することにより、未使用時には常温揮散性薬剤が大気中に揮散せずに薬剤含有粘着剤層2中に留まっているため長期間の保存が可能であり、使用時には上記剥離性保護フィルム層1を剥離することにより、上記薬剤含有粘着剤層2の表面が揮散面となって常温揮散性薬剤が大気中に放散される。
【0035】
なお、上記剥離性保護フィルム層1は、図7(a)・(b)または図8に示すように上記薬剤含有粘着剤層2の露出面全面、つまり、上記薬剤含有粘着剤層2の表面および側面を覆っていることが好ましいが、上記薬剤含有粘着剤層2の厚みが薄く、側面からの常温揮散性薬剤の放散が無視し得る程度であれば、上記薬剤含有粘着剤層2の表面のみに設けられていてもよい。
【0036】
なお、上記薬剤含有粘着剤層2の厚みが比較的厚い場合には、上記薬剤含有粘着剤層2の表面および側面を揮散面として常温揮散性薬剤を大気中に放散させることができる。この場合、上記剥離性保護フィルム層1を剥離した薬剤含有粘着剤層2を、建物の壁や柱、テント、衣服等の被着物の被着面に貼着することにより、該薬剤含有粘着剤層2の側面を揮散面として常温揮散性薬剤を大気中に放散させることができる。
【0037】
また、薬剤含有粘着剤層2の厚みに拘らず、被着物が織物、編物、金網等のネット状物のように通気性が高い場合には、被着物の被着面の網目(空隙)を通して常温揮散性薬剤を放散させることもでき、被着物の網目を利用することにより上記常温揮散性薬剤の放散量(揮散量)をコントロールすることもできる。また、被着物との接合面積を調整することにより露出している薬剤含有粘着剤層の表面積を調整し、これにより常温揮散性薬剤の放散量(揮散量)をコントロールすることもできる。
【0038】
さらには、上記薬剤含有粘着剤層2を覆う剥離性保護フィルム層1の剥離の仕方(程度)によってもその放散量(揮散量)を任意にコントロールすることが可能である。すなわち、上記常温揮散性薬剤放散体は、薬剤含有粘着剤層2が剥離性保護フィルム層1と積層されているため、該剥離性保護フィルム層1の剥離部分の面積を調整することにより、露出させる薬剤含有粘着剤層2の表面積を簡単に調整することができ、その結果、常温揮散性薬剤の放散速度を任意に調整することができる。
【0039】
本実施の形態によれば、このように上記常温揮散性薬剤放散体を、上記薬剤含有粘着剤層2の表面および必要により側面を薬剤不透過性の剥離性保護フィルム層1で被覆し、使用時に該剥離性保護フィルム層1を剥離する構成とすることにより、必要なときに効率良く簡便に上記常温揮散性薬剤を放散させることができると共に、その放散量(揮散量)を任意にコントロールすることが可能である。
【0040】
次に、上記常温揮散性薬剤放散体の使用方法について説明する。
図1に示す常温揮散性薬剤放散体の場合、上記薬剤含有粘着剤層2は、基材層3の片面に設けられている。上記常温揮散性薬剤放散体を使用する場合には、上記薬剤含有粘着剤層2を覆う剥離性保護フィルム層1を剥がして、上記薬剤含有粘着剤層2を露出させ、例えば上記薬剤含有粘着剤層2の露出面を上(表)にして棚や机等の被載置物(被着物)上に載置することで、上記薬剤含有粘着剤層2の露出面、例えば上記薬剤含有粘着剤層2の表面、もしくは、表面並びに側面から常温揮散性薬剤を大気中に放散させることができる。
【0041】
また、上記常温揮散性薬剤放散体が、図2および図8に示すように薬剤非含有粘着剤層4並びに該薬剤非含有粘着剤層4を覆う剥離性保護フィルム層5を備えている場合には、上記剥離性保護フィルム層5を剥がして薬剤非含有粘着剤層4を露出させ、該薬剤非含有粘着剤層4を棚や机、建物の壁や柱、テント、衣服、寝具、帽子、ハンドバッグ、玩具、携帯電話等の携行品等、各種の被着物の被着面に貼着することで、上記剥離性保護フィルム層1を剥がすことにより露出する上記薬剤含有粘着剤層2の表面もしくは表面並びに側面から常温揮散性薬剤を大気中に放散させることができる。
【0042】
また、図9に示すように薬剤非含有粘着剤層4上に薬剤含有粘着剤層2が部分的に積層されている場合には、基材層3を表面として薬剤含有粘着剤層2とともに薬剤非含有粘着剤層4を被着物、特に後述する衣類等のような常温揮散性薬剤を透過し得る被着物に貼着することにより、被着面を介して常温揮散性薬剤を大気中に放散させることができる。
この場合、薬剤非含有粘着剤層4を有しない基材層3表面に、予め絵模様等の印刷を施しておくことにより、外観が向上する。
【0043】
そして、上記基材層3に、例えば、可撓性を有する樹脂フィルムを用いることで、上記常温揮散性薬剤放散体を、衣服のみならず、皮膚に直接、貼着して用いることができる。例えば、上記常温揮散性薬剤が、害虫忌避性化合物および殺虫活性化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の常温揮散性薬剤である場合、上記常温揮散性薬剤放散体を、貼着フィルムや貼着テープ等の貼着体として、衣服や皮膚、特に皮膚に直接貼着して用いることで、蚊等の害虫に対する忌避性や殺虫性をより高めることができる。特に、上記常温揮散性薬剤放散体をテープ状にすることで、上記常温揮散性薬剤放散体を、例えば腕等、人体の一部に巻き付ける等して使用することができ、上記常温揮散性薬剤放散体と被着体との密着性をより高めることができる。
その他にも、上記常温揮散性薬剤放散体は、ペンダント、ワッペン、ブローチ等としても使用することができる。
【0044】
このように、常温揮散性の害虫忌避性化合物や殺虫活性化合物を、粘着剤と混合して上記貼着体として用いることで、皮膚に直接常温揮散性の害虫忌避成分等を塗布する場合と比較して揮散時間を長くすることが可能であり、害虫忌避効果や殺虫効果をより持続させることができると共に、これら害虫忌避性化合物や殺虫活性化合物を直接皮膚に接触させることなく害虫忌避効果や殺虫効果を得ることができるので、人体への安全性並びに安心感を高めることができる。
【0045】
しかも、上記常温揮散性薬剤放散体は、液状の害虫忌避剤や肩掛け式あるいはベルト等を用いた固定式の害虫忌避装置や害虫殺虫装置と比較して携帯性に優れ、必要な数だけ何時でも手軽に持ち歩くことができる。
【0046】
上記粘着体は、例えば衣類や皮膚等における外部に露出している面に、上記薬剤含有粘着剤層2が表面に露出している状態で貼着して用いることが、最も高い効果を得ることができることから好ましいが、例えば、襟の裏や衣類の折り返し部、あるいは、衣類の下等、外部から見えないあるいは見え難い部分に貼着して用いてもよく、上記薬剤含有粘着剤層2が比較的厚く、上記常温揮散性薬剤を上記薬剤含有粘着剤層2の側面から揮散させることが可能な粘着体を使用する場合には、薬剤含有粘着剤層2を外部側にして該薬剤含有粘着剤層2および薬剤非含有粘着剤層4を各々被着体に貼着して用いても構わない。
【0047】
さらに、図8に示すように基材層3に対する上記薬剤含有粘着剤層2の大きさを適宜設定、変更することで、被着物に対する密着安定性や常温揮散性物質の放散量(揮散量)を適宜設定、変更することができると共に、図8に示すように上記薬剤含有粘着剤層2を基材層3よりも小さく形成することで、可撓性並びに皮膚に対する密着安定性が良く、また、取り扱い性の良い常温揮散性薬剤放散体を提供することができる。
【0048】
但し、本発明はこれに限定されるものではなく、常温揮散性の害虫忌避性化合物や殺虫活性化合物を、粘着体としてではなく、例えばポケット等にいれて持ち歩くことによって常温揮散性薬剤を放散させる形態としても構わない。
【0049】
また、必要に応じて、上記薬剤含有粘着剤層2のべとつきや貼着を防止したり、常温揮散性薬剤の放散量(揮散量)をコントロールする目的で、上記薬剤含有粘着剤層2上に、薬剤透過性の保護フィルム層(保護層)を形成し、その上から、上記薬剤含有粘着剤層2を覆うように剥離性保護フィルム層1を形成してもよい。この場合、上記剥離性保護フィルム層1としては、上記薬剤透過性の保護フィルム層(保護層)および上記薬剤含有粘着剤層2のうち、該剥離性保護フィルム層1と接触する層との剥離性を有していればよい。このような薬剤透過性の保護フィルム層(保護層)としては、用いる常温揮散性薬剤を透過し得るものであれば特に制限されず、常温揮散性薬剤透過性の樹脂フィルムや不織布、ネット状物、あるいは、薬剤非透過性の樹脂フィルムに穿孔を設けたものであっても構わない。
【0050】
さらに、上記薬剤含有粘着剤層2を形成するに際しては、該薬剤含有粘着剤層2における剥離性保護フィルム層1側の表面の一部または全部を波状、縞状、格子状とし、あるいは適宜に突起あるいは凹部を規則的あるいは不規則的に設けることで該薬剤含有粘着剤層2表面の少なくとも一部を凹凸構造とすることによって、該薬剤含有粘着剤層2の表面積を基材層3における薬剤含有粘着剤層2積層面の面積よりも大きくし、これによって常温揮散性薬剤の放散速度を調節してもよい。このように上記薬剤含有粘着剤層2表面の少なくとも一部に凹凸を設けることで、常温揮散性薬剤の放散速度を高めることができる。図3に、このような常温揮散性薬剤放散体の一例として、基材層3に積層された薬剤含有粘着剤層2の剥離性保護フィルム層1側の表面を波状とした常温揮散性薬剤放散体を例示する。
【0051】
なお、図3では、剥離性保護フィルム層1が上記薬剤含有粘着剤層2の表面と部分接触している構成としたが、上記薬剤含有粘着剤層2に対する上記剥離性保護フィルム層1の被覆形態は、これに限定されるものではなく、上記薬剤含有粘着剤層2の表面形状に沿った形状に被覆がなされていてもよく、図8に示すように上記薬剤含有粘着剤層2の露出面全面が覆われている構成としてもよい。
【0052】
さらに、上記薬剤含有粘着剤層2および剥離性保護フィルム層1は、各々一層づつ設けられていてもよいし、図4に示すように基材層3上に、上記薬剤含有粘着剤層2および剥離性保護フィルム層1が、この順に互いに繰り返し複数層積層された多層構造を有していてもよい。
【0053】
上記常温揮散性薬剤放散体は、特に常温揮散性薬剤を必要なときに短時間のうちに揮散させてその効果を得るのに適しており、上記薬剤含有粘着剤層2中に含有させる常温揮発性薬剤をそれぞれの目的に応じて選択することにより、幅広い用途に使用することができる。
【0054】
特に、図4に示すように、基材層3の何れか一方の面に薬剤含有粘着剤層2および剥離性保護フィルム層1を繰り返し複数層積層し、各々の薬剤含有粘着剤層2中の常温揮発性薬剤として各層毎に異なる種類の常温揮散性薬剤、例えば植物精油を使用し、かつ、各層中の常温揮散性薬剤の放散期間が一日、あるいは一週間等、所望の期間となるようにその含量、層厚等を調整してなる常温揮散性薬剤放散体は、最表層の剥離性保護フィルム層1を剥離した後、上記薬剤含有粘着剤層2中の常温揮散性薬剤の放散期間に合わせて下層の剥離性保護フィルム層1および薬剤含有粘着剤層2を順次剥離することにより、各薬剤含有粘着剤層2中に含まれる異種の植物精油中に含まれる香料(香気成分)を設定期間単位で楽しむことができ、アロマテラピー効果、リラクセーション効果等を容易に得ることが可能となる。
【0055】
上記常温揮散性薬剤放散体における各層の積層例としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下に示す積層例▲1▼〜▲5▼;
▲1▼剥離性保護フィルム層1/薬剤含有粘着剤層2/基材層3、
▲2▼剥離性保護フィルム層1/薬剤含有粘着剤層2/剥離性保護フィルム層1/薬剤含有粘着剤層2/基材層3、
▲3▼剥離性保護フィルム層1/薬剤含有粘着剤層2/剥離性保護フィルム層1/薬剤含有粘着剤層2/剥離性保護フィルム層1/薬剤含有粘着剤層2/基材層3、
▲4▼剥離性保護フィルム層1/薬剤含有粘着剤層2/基材層3/薬剤含有粘着剤層2/剥離性保護フィルム層1、
▲5▼剥離性保護フィルム層1/薬剤含有粘着剤層2/基材層3/薬剤非含有粘着剤層4/剥離性保護フィルム層5、
等を挙げることができる。
【0056】
そして、上記常温揮散性薬剤放散体において、上記薬剤含有粘着剤層2と剥離性保護フィルム層1とが繰り返し複数層積層される場合には、基材層3上に第一の薬剤含有粘着剤層2を設けた後、第一の剥離性保護フィルム層1を貼り付け、さらにその上に第二の薬剤含有粘着剤層2を設け、その上に第二の剥離性保護フィルム層1を貼り付ければよく、より多くの層を積層する場合には、この操作を繰り返せばよい。
【0057】
また、上記常温揮散性薬剤放散体は、少量の常温揮散性薬剤を必要なときに短時間のうちに揮散させてその効果を得るための他の形態として、例えば図5に示す形態を有していてもよい。
【0058】
図5に示す常温揮散性薬剤放散体は、上記薬剤含有粘着剤層2が、分断線(切り離し線)5によって、同一平面上において複数の領域に分割された構成を有している。このため、上記常温揮散性薬剤放散体は、分割された各々の領域(各分割領域)における薬剤含有粘着剤層2中の常温揮発性薬剤として各分割領域毎に異なる種類の常温揮散性薬剤、例えば植物精油を使用し、かつ、各分割領域中の常温揮散性薬剤の放散期間が一日、あるいは一週間等、所望の期間となるようにその含量、層厚等を調整することで、各分割領域における剥離性保護フィルム層1を順次剥離することにより、各分割領域における薬剤含有粘着剤層2中に含まれる異種の植物精油中に含まれる香料(香気成分)を設定期間単位で楽しむことができ、アロマテラピー効果、リラクセーション効果等を容易に得ることが可能となる。
【0059】
具体的には、図5に示すように、分断線6によって剥離性保護フィルム層1を、1a〜1dにて示す領域(剥離性保護フィルム)に分割(分離)し、薬剤含有粘着剤層2を、領域1a〜1dに対応するように、2a〜2dにて示す領域(各薬剤含有粘着剤層)に分割(分離)し、各2a〜2dにて示す領域の薬剤含有粘着剤層2に、香気成分として、異なる種類の植物精油、例えば領域2aにはローズ油を、領域2bにはラベンダーを、領域2cにはローズマリーを、領域2dにはヒノキ精油等をそれぞれ含有せしめ、所望の香気成分が含有された各領域(薬剤含有粘着剤層)2a、2b、2cおよび2dに対応する剥離性保護フィルム層1、つまり、領域1a、1b、1cおよび1dにおける各剥離性保護フィルム層1を個別に剥離することにより、4通りの香料を所望の時期に楽しむことができる。
【0060】
勿論、上記領域1a〜1dにおける各剥離性保護フィルム層1は、同時に複数枚剥離してもよく、異なる種類の香気成分を同時に楽しむこともできる。
【0061】
このように上記薬剤含有粘着剤層2が、同一平面上において複数の領域2a〜2dに分割された構成を有し、各領域2a〜2dに対応する領域1a〜1dにおける剥離性保護フィルム層1を、所望により1枚ないし複数枚、個別に剥離することにより、複数の香りを、使用者の好みに応じて選ぶことができ、自分で簡単に調香することが可能であり、使用者によって微妙な香りの違いを楽しむこともできる。
【0062】
なお、図5では上記薬剤含有粘着剤層2並びに剥離性保護フィルム層1を4分割しているが、この分割個数、分割形態は任意であり、例えばオフィス等で使用する場合等、気分の切り替え等を目的として数時間単位で異なる香気成分を楽しむことができるように、上記薬剤含有粘着剤層2並びに剥離性保護フィルム層1を複数の小さなブロックに分割してもよく、また、視覚的に楽しむことができるように各分割領域における剥離性保護フィルム層1を、香気成分の種類によって色分けしたり、各領域毎に、あるいは、全体で一つの模様が形成されるように上記薬剤含有粘着剤層2並びに剥離性保護フィルム層1を所望の形状に分割してもよい。
【0063】
上記薬剤含有粘着剤層2は、粘着剤の粘度を適宜調整することにより、公知の印刷技術を用いて印刷法により簡単に上記基材層3上に積層することができるため、同一平面上に、各々異なる常温揮散成薬剤を、所望の形状に容易に印刷塗布することができる。
【0064】
また、各分割領域における剥離性保護フィルム層1の表面には、香気成分の種類を確認し得るような文字あるいは模様等の印刷が施されていてもよく、日替わりで異なる香気成分を楽しむことができるように、カレンダーのように曜日印刷等が施されていてもよい。
【0065】
さらに、上記常温揮散成薬剤分散体の変形例として、領域2a〜2dに分割された薬剤含有粘着剤層2およびこれに対応して設けられた、領域1a〜1dに分割された剥離性保護フィルム層1を順次積層して、図4に示されるような多層構造とすることもできるし、多層構造のうちの任意の薬剤含有粘着剤層2に、他の香気成分を含有せしめることもできる。
【0066】
但し、上記薬剤含有粘着剤層2の厚みが薄く、側面からの常温揮散性薬剤の放散が無視し得る程度である場合、隣接する領域の薬剤含有粘着剤層2中に含まれる常温揮散成薬剤同士が互いに影響し合うことはないと考えられるが、上記薬剤含有粘着剤層2の厚みが比較的厚く、その側面からも常温揮散成薬剤が放散する場合、異なる種類の常温揮散成薬剤を含む、異なる領域の薬剤含有粘着剤層2同士が接触していると、隣接する領域の薬剤含有粘着剤層2中に含まれる常温揮散成薬剤同士が互いに影響し合うおそれがある。よって、このような場合にのみ限定されるものではないが、このような場合は特に、上記各分割領域は、図6に示すように互いに離間して、つまり、非接触に設けられていることが好ましい。
【0067】
この場合、上記した各分割領域における薬剤含有粘着剤層2は、図7(a)・(b)に示すように、各分割領域における薬剤含有粘着剤層2を覆う剥離性保護フィルム層1によって互いに接触しないように隔てられている構成としてもよく、これにより、剥離性保護フィルム層1と基材層3とで挟まれる空間部に薬剤含有粘着剤層2が各々封入された、独立した封入部を複数、同一平面上に有する常温揮散性薬剤放散体を、簡便かつ工業的に大量生産することができると共に、隣接領域における薬剤含有粘着剤層2中の常温揮散性薬剤同士のコンタミネーションを確実に防止することができる。
【0068】
このような常温揮散性薬剤放散体は、例えば、各薬剤含有粘着剤層2を、互いに離間して公知の印刷技術により基材層3上に印刷した後、これら薬剤含有粘着剤層2全体を覆うように剥離性保護フィルム層1を積層し、各薬剤含有粘着剤層2・2間でヒートシールして上記剥離性保護フィルム層1を基材層3に固定し、該剥離性保護フィルム層1に、剥離部として例えば細かな断続的な切り目(ミシン目)7を入れることで、容易に形成することができる。なお、このような切り目7の開口は非常に細かく、このような切り目7による常温揮散性薬剤の放散は無視することができる。
【0069】
このような常温揮散性薬剤放散体を使用する場合には、使用者は、各封入部、つまり、各薬剤含有粘着剤層2を覆う剥離性保護フィルム層1に設けられた切り目7により該剥離性保護フィルム層1を引裂いて剥離することにより、該剥離性保護フィルム層1を剥離した封入部内の薬剤含有粘着剤層2に含有されている常温揮散性薬剤を大気中に放散させることができる。
【0070】
なお、図7(a)・(b)に示す常温揮散性薬剤放散体においては、剥離性保護フィルム層1が、同一平面上に設けられた複数の薬剤含有粘着剤層2、つまり、複数のブロック(領域)の薬剤含有粘着剤層2を覆う構成としたが、上記常温揮散性薬剤放散体は、このような構成に限定されるものではなく、例えば、図7(a)・(b)に示す個々の薬剤含有粘着剤層2が、図8に示すように、個々の剥離性保護フィルム層1によって個別に被覆(封入)されている構成としてもよい。このような常温揮散性薬剤放散体は、図8に示すように、被覆する薬剤含有粘着剤層2よりも大きな剥離性保護フィルム層1にて該薬剤含有粘着剤層2を被覆し、該薬剤含有粘着剤層2の周囲の剥離性保護フィルム層1をヒートシールにより基材層3に固定し、前記切り目7を形成することで、容易に形成することができる。
【0071】
なお、切り目7の形成位置は、上記剥離性保護フィルム層1の剥離が可能であり、該剥離性保護フィルム層1を剥離することで薬剤含有粘着剤層2を露出させることが可能な位置に形成されてさえいれば、特に限定されるものではない。
【0072】
また、図7(a)・(b)並びに図8においては、一つの封入部に、一連の切り目7によって形成される一つの剥離部が形成されている構成としたが、常温揮散性薬剤の放散量(揮散量)をコントロールするために、一つの封入部に対し、複数の剥離部が設けられていてもよい。
【0073】
また、図2あるいは図8に示す常温揮散性薬剤放散体においては、基材層3の裏面に、当該常温揮散性薬剤放散体を被着物に固定するための固着部として、薬剤非含有粘着剤層4並びに該薬剤非含有粘着剤層4を覆う剥離性保護フィルム層5が積層され、上記薬剤非含有粘着剤層4によって被着物に上記常温揮散性薬剤放散体を固定可能な構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば上記薬剤非含有粘着剤層4および剥離性保護フィルム層5の代わりに、固着部として、マジックテープ(登録商標)やマグネット、安全ピン等の被着物に着脱自在の固定部材が設けられている構成としてもよい。
【0074】
また、上記常温揮散性薬剤放散体は、外装袋等の外装体に個別に包装されていてもよく、この場合、特に、上記薬剤含有粘着剤層2が上記封止部にて完全封止されていない場合、上記常温揮散性薬剤放散体が常温揮散性薬剤非透過性の外装体に収容されていることがより望ましい。
【0075】
その他、本発明の常温揮散性薬剤放散体の使用態様として、薬剤含有粘着剤層2あるいは薬剤非含有粘着剤層4の何れか若しくは両方の表面の剥離性保護フィルムに絵模様等を印刷することにより、ファッション性を向上させたり、その使用目的を明確にすることができ、誤使用を防止することができる。
また、上記剥離性保護フィルムを剥離した後においても、絵模様等を残存させたい場合には、同様の絵模様を基材層3にも印刷しておけばよい。
【0076】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、上記常温揮散性薬剤放散体が粘着剤層中に常温揮散性薬剤を含むことで、公知の印刷技術を用いて簡便かつ容易に常温揮散性薬剤含有層を形成することができ、常温揮散性薬剤含有層として常温揮散性薬剤を含有する樹脂フィルムを形成する場合のように加熱、成形工程において常温揮散性薬剤の熱分解や熱による飛散等が生じることがなく、しかも、薬剤含有粘着剤層を覆う剥離性保護フィルム層を剥がすことで、必要なときに効率良く簡便に上記常温揮散性薬剤を放散させることができると共に、その揮散量を任意にコントロールすることができる常温揮散性薬剤放散体を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる常温揮散性薬剤放散体の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の他の形態にかかる常温揮散性薬剤放散体の概略構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施のさらに他の形態にかかる常温揮散性薬剤放散体の概略構成を示す斜視図でる。
【図4】本発明の実施のさらに他の形態にかかる常温揮散性薬剤放散体の概略構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施のさらに他の形態にかかる常温揮散性薬剤放散体の概略構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施のさらに他の形態にかかる常温揮散性薬剤放散体の概略構成を示す斜視図である。
【図7】(a)は本発明の実施のさらに他の形態にかかる常温揮散性薬剤放散体の概略構成を示す正面図であり、(b)は(a)に示す常温揮散性薬剤放散体の概略構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施のさらに他の形態にかかる常温揮散性薬剤放散体の概略構成を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施のさらに他の形態にかかる常温揮散性薬剤放散体の概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 剥離性保護フィルム層
1a、1b、1c、1d 領域
2 薬剤含有粘着剤層
2a、2b、2c、2d 領域
3 基材層
4 薬剤非含有粘着剤層
5 剥離性保護フィルム層
6 分断線
7 切り目

Claims (10)

  1. 基材層の少なくとも一方の面に、粘着剤層および該粘着剤層を覆う剥離性保護層が積層されてなる常温揮散性薬剤放散体であって、
    上記粘着剤層が常温揮散性薬剤を含有していることを特徴とする常温揮散性薬剤放散体。
  2. 上記基材層の一方の面に、常温揮散性薬剤を含有する粘着剤層および該粘着剤層を覆う剥離性保護層が積層されていると共に、
    上記基材層の他面に、当該常温揮散性薬剤放散体を被着物に固定するための固着部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の常温揮散性薬剤放散体。
  3. 上記固着部が、常温揮散性薬剤非含有の粘着剤層および該粘着剤層を覆う剥離性保護層からなることを特徴とする請求項2記載の常温揮散性薬剤放散体。
  4. 上記常温揮散性薬剤が、害虫忌避性化合物および殺虫活性化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の常温揮散性薬剤であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の常温揮散性薬剤放散体。
  5. 上記常温揮散性薬剤を含有する粘着剤層および該粘着剤層を覆う剥離性保護層が、互いに繰り返し複数層積層されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の常温揮散性薬剤放散体。
  6. 上記常温揮散性薬剤を含有する粘着剤層は、同一平面上において複数の領域に分割され、その各々の領域において各々異なる常温揮散性薬剤を含有していることを特徴とする請求項1〜3および5の何れか1項に記載の常温揮散性薬剤放散体。
  7. 上記各領域は、互いに離間して設けられていることを特徴とする請求項6記載の常温揮散性薬剤放散体。
  8. 上記各領域は、上記常温揮散性薬剤を含有する粘着剤層を覆う剥離性保護層によって互いに隔てられていることを特徴とする請求項6記載の常温揮散性薬剤放散体。
  9. 上記基材層の一方の面に、常温揮散性薬剤非含有の粘着剤層が積層されているとともに、当該粘着剤層上に部分的に常温揮散性薬剤を含有する粘着剤層が積層され、かつ、上記常温揮散性薬剤を含有する粘着剤層を含めて常温揮散性薬剤非含有の粘着剤層を覆う剥離性保護層が積層されていることを特徴とする請求項1記載の常温揮散性薬剤放散体。
  10. 上記常温揮散性薬剤が天然または合成香料であることを特徴とする請求項1〜3および6〜9の何れか1項に記載の常温揮散性薬剤放散体。
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