JP2004203135A - 車両用懸架装置及び制振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】微小振動を吸収できる簡単な構成の制振装置を設けた車両用懸架装置及び制振装置を提供する。
【解決手段】コイルばね13とダンパ15とを含む本体を備え、車軸3と車体との間を連結するように介在されると共に車軸3から車体に伝達される振動を減衰させる車両用懸架装置1において、振動の伝達方向に湾曲して伸縮するように配置された複数の板ばねと、車軸3から車体に伝達される振動によって伸縮する板ばねに生ずる応力の少なくとも一部を吸収して電気エネルギーに変換するように板ばねの表裏面の双方に一面が固定されて配置された複数の圧電素子と、圧電素子に発生した電気エネルギーを放出する手段とを含む制振装置11を設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】コイルばね13とダンパ15とを含む本体を備え、車軸3と車体との間を連結するように介在されると共に車軸3から車体に伝達される振動を減衰させる車両用懸架装置1において、振動の伝達方向に湾曲して伸縮するように配置された複数の板ばねと、車軸3から車体に伝達される振動によって伸縮する板ばねに生ずる応力の少なくとも一部を吸収して電気エネルギーに変換するように板ばねの表裏面の双方に一面が固定されて配置された複数の圧電素子と、圧電素子に発生した電気エネルギーを放出する手段とを含む制振装置11を設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用懸架装置及び制振装置に関し、特に微小振動を吸収可能な制振装置を備えた車両用懸架装置及びその制振装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両においては、路面の凹凸による車軸から車体への振動を吸収して乗り心地の改善を図るために、車軸と車体との間に懸架装置が設けられている。この懸架装置の基本構造はコイルばねとダンパからなり、ダンパは油圧によってピストンロッドを上下させ、ダンパが上下方向に伸縮してピストンロッドの長手方向(上下方向)に生じる振動を吸収する方式のものが多い。
【0003】
これらのコイルばねとダンパが吸収できる振動の振動数や振動加速度は設計初期段階で決める基本特性であり、微調整を行うのは非常に困難である。
【0004】
このため、ダンパの油圧を電気的な制御回路を用いて微調整する装置の開発が行われている。この様な制御装置を備えた車両用懸架装置の一例としては、例えば、特開平11−115440号公報に開示される車両用懸架装置や、特開2000−85332号公報に開示されている車両懸架装置の制御装置が知られている。
【0005】
【特許文献1】特開平11-115440号公報
【特許文献2】特開2000-85332号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した電気的な制御回路を備えた車両用懸架装置においても、良路すなわち小さな凹凸のみを有する路面を走行しているときに運転者を含む車両搭乗者が感じるごつごつ感(はね下振動数;約10〜30Hz)は、不快に感じることが多く、乗り心地を悪化させて好ましくない。
【0007】
この原因は、路面の小さな凹凸による車軸の微小変位をサスペンションが吸収しきれないためである。この微小変位はフリクションレベルである。例えば、サスペンションのばね定数が3〜5kg/mmで、その固有振動数;1〜2Hzであるとき、微小変位を吸収することは非常に難しい。
【0008】
上記従来例の制御装置を用いることによって、ダンパで応答を下げ、コイルばねで振動数を変えて、常用域における振動を低減することは可能であるが、制御が非常に難しい。
【0009】
本発明の目的は上記の問題点に鑑み、微小振動を吸収できる簡単な構成の制振装置を設けた車両用懸架装置及び制振装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するために、コイルばねとダンパとを含む本体を備え、車軸と車体との間を連結するように介在されると共に前記車軸から前記車体に伝達される振動を減衰させる車両用懸架装置において、前記振動の伝達方向に湾曲して伸縮するように配置された複数の板ばねと、前記車軸から前記車体に伝達される振動によって伸縮する前記板ばねに生ずる応力の少なくとも一部を吸収して電気エネルギーに変換するように前記板ばねの表裏面の双方に一面が固定されて配置された複数の圧電素子と、前記圧電素子に発生した電気エネルギーを放出するエネルギー放出手段とを含む制振装置を設けた車両用懸架装置を提案する。
【0011】
本発明によれば、例えば路面の凹凸によって車軸が上下に振動した場合、車軸の振動は前記懸架装置によって減衰されて車体に伝達される。このとき、前記制振装置によって前記振動伝達の減衰が増大される。すなわち、前記車軸の振動による圧力が前記板ばねに加わると、該圧力によって前記板ばねが湾曲して縮む。この板ばねの湾曲に伴い、前記圧電素子に歪みが生じて、該歪みのエネルギーが電気エネルギーに変化され、該電気エネルギーは前記エネルギー放出手段によって放出される。これにより、前記板ばねにかかる圧力によって前記板ばねに生じる応力が低減されるので、前記車軸から車体への振動の伝達量がさらに低減される。
【0012】
従って、車軸の小さな変位による振動を前記板ばねによって吸収することができるので、路面の微細な凹凸によって生じるごつごつ感や不快感を低減することができる。
【0013】
また、本発明は、上記の車両用懸架装置において、前記制振装置が、前記本体と前記車軸との間、前記本体と前記車体との間の少なくとも何れか一方に配置されている車両用懸架装置を提案する。
【0014】
本発明によれば、前記制振装置が懸架装置本体と前記車軸との間に配置されるか又は前記懸架装置本体と前記車体との間、或いはこれらの双方に配置されて、前記車軸の小さな変位による振動が前記板ばねによって吸収される。
【0015】
また、本発明は、上記の車両用懸架装置において、前記制振装置が、前記コイルばねとダンパとの間に配置されている車両用懸架装置を提案する。
【0016】
本発明によれば、前記制振装置が前記コイルばねとダンパとの間に配置されて、前記車軸の小さな変位による振動が前記板ばねによって吸収される。
【0017】
また、本発明は、上記の車両用懸架装置において、前記エネルギー放出手段は、前記圧電素子に接続され、前記圧電素子に発生した電気エネルギーによって発光する発光ダイオードによって構成されている車両用懸架装置を提案する。
【0018】
本発明によれば、前記車軸の振動による圧力が前記板ばねに加わると、該圧力によって前記板ばねが湾曲して縮み、この板ばねの湾曲に伴い、前記圧電素子に歪みが生じて、該歪みのエネルギーが電気エネルギーに変化され、該電気エネルギーは前記発光ダイオードが発光することによって放出される。
【0019】
また、本発明は、上記の車両用懸架装置において、前記エネルギー放出手段は、前記圧電素子に接続され、前記圧電素子に発生した電気エネルギーを熱エネルギーに変換して放出する電気抵抗器によって構成されている車両用懸架装置を提案する。
【0020】
本発明によれば、前記車軸の振動による圧力が前記板ばねに加わると、該圧力によって前記板ばねが湾曲して縮み、この板ばねの湾曲に伴い、前記圧電素子に歪みが生じて、該歪みのエネルギーが電気エネルギーに変化され、該電気エネルギーは前記電気抵抗器が発熱することによって放出される。
【0021】
また、本発明は、上記の車両用懸架装置において、前記振動方向に延びる仮想軸を中心軸として前記複数の板ばねが所定間隔をあけて環状に配置されている車両用懸架装置を提案する。
【0022】
本発明によれば、前記複数の板ばねが所定間隔をあけて環状に配置されているので、複数の板ばねによって振動の伝達が減衰されると共に、各板ばねに力が分散されるので、板ばね1つあたりに加わる歪み量が低減され、各板ばねの圧電素子によって高効率でエネルギーの放出が行われるため、振動エネルギーが高い効率で放出される。
【0023】
また、本発明は上記の目的を達成するために、コイルばねとダンパとを含む本体を備え、車軸と車体との間を連結するように介在されると共に前記車軸から前記車体に伝達される振動を減衰させる車両用懸架装置において、前記車軸から前記車体に伝達される振動を感知し、該振動の振幅の方向及び大きさに対応する値の電気信号を出力する振動感知センサと、前記振動の伝達方向に湾曲して伸縮するように配置された複数の板ばねと、電圧の印加によって前記板ばねの伸縮方向に前記板ばねを歪ませるように前記板ばねの表裏面の双方に一面が固定されて配置された複数の圧電素子と、前記振動感知センサによって感知した振動に基づいて、前記車軸から前記車体への振動の伝達を減衰させる方向に前記圧電素子の形状を歪ませるように前記圧電素子に電圧を印加する制御手段とを含む制振装置を設けた車両用懸架装置を提案する。
【0024】
本発明によれば、例えば路面の凹凸によって車軸が上下に振動した場合、車軸の振動は前記懸架装置によって減衰されて車体に伝達される。このとき、前記制振装置の振動感知センサによって振動が感知される。さらに、制御手段によって、前記振動感知センサによって感知した振動に基づいて、前記車軸から前記車体への振動の伝達を減衰させる方向に前記圧電素子の形状を歪ませるように前記圧電素子に電圧が印加される。これにより、前記板ばねは前記振動の圧力によって湾曲する方向にさらに前記圧電素子の形状の歪みによって湾曲され、前記板ばね自体に生じる応力が低減されるので、前記車軸から車体への振動の伝達量がさらに低減される。
【0025】
従って、車軸の小さな変位による振動を前記板ばねによって吸収することができるので、路面の微細な凹凸によって生じるごつごつ感や不快感を低下させることができる。
【0026】
また、本発明は、上記の車両用懸架装置において、前記振動感知センサは、少なくとも100Hz以下の周波数の振動を感知する車両用懸架装置を提案する。
【0027】
本発明によれば、前記振動感知センサによって少なくとも100Hz以下の周波数の振動が感知され、該周波数の振動の車軸から車体への伝達量が低減される。
【0028】
また、本発明は、上記の車両用懸架装置において、前記振動方向に延びる仮想軸を中心軸として前記複数の板ばねが所定間隔をあけて環状に配置されている車両用懸架装置を提案する。
【0029】
本発明によれば、前記複数の板ばねが所定間隔をあけて環状に配置されているので、複数の板ばねによって振動の伝達が減衰されると共に、各板ばねに力が分散されるので、板ばね1つあたりにおける振動の吸収量が低減されるため、前記車軸から車体への振動の伝達量が高い効率で低減される。
【0030】
また、本発明は、上記目的を達成するために、上記制振装置を提案する。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。
【0032】
本実施形態では、ダブルウィッシュボーン式の車両用懸架装置を一例として説明する。
【0033】
図1は本発明の第1実施形態における車両用懸架装置の構成を示す一部破断斜視図、図2は本発明の第1実施形態における車両用懸架装置の構成を示す分解斜視図である。図において、1は懸架装置、2はタイヤ、3は車軸、4はハブキャリア、5はロワーアームである。
【0034】
懸架装置1は、制振装置11と、スプリングアッパーシート12、コイルばね13、ゴム部材14、油圧式のダンパ15、ダンパ連結部材16とから構成されている。尚、本実施形態では、上記スプリングアッパーシート12と、コイルばね13、ゴム部材14、油圧式のダンパ15によって懸架装置本体が構成される。
【0035】
制振装置11の上面は車体(図示せず)に連結され、制振装置11の底面にスプリングアッパーシート12が装着されている。また、スプリングアッパーシート12と円柱状のダンパ15に設けられた円環受け皿型のガイド153との間にコイルばね13が装着されている。
【0036】
この状態でダンパ15のピストンロッド152は、コイルばね13のほぼ中心軸に位置し、ピストンロッド152の先端部に半径方向にと出するように設けられている円環状のブラケットが制振装置11の底面に当接する。また、ピストンロッド152とコイルばね13との間に位置するように略円筒形状のゴム部材14が設けられている。
【0037】
ダンパ15のピストンロッド152は外筒151にその上端部から挿入され、外筒151内に充填されている油の圧力及び外部から加わる力に従って外筒151内に挿入されるピストンロッド152の分量が変化し、ダンパ15自体の長さが変化するようになっている。
【0038】
ダンパ15の下端はダンパ連結部材16に固定され、ダンパ連結部材16はハブキャリア4に接続され、ハブキャリア4によって車軸3が支持されている。さらに、ハブキャリア4はロワーアーム5を介して車体(図示せず)に連結されている。
【0039】
図3は上記制振装置11を示す外観斜視図、図4は制振装置11を示す断面図である。制振装置11は、図に示すように、鋼製の円盤形状の底板111と円盤形状の上板112、上板112の上面に上方に突出するように設けられた複数の係止部113、底板111の上面と上板112の下面との間に設けられた鋼製の複数の板ばね114、各板ばね114の表裏面に設けられた圧電素子115から構成されている。また、底板111と上板112の中央部には円形の貫通孔117,116が形成されている。
【0040】
各板ばね114は上記貫通孔116,117の中心を通る軸を中心として所定の間隔をあけて環状に配置され、各板ばね114の上端が上板112の底面に固定され、各板ばね114の下端が底板111の上面に固定されている。また、円環状に配置された各板ばね114は、外側にやや突出するように湾曲した形状をなし、図5に示すように、その内側の面と外側の面の双方に圧電素子115がバイモルフ状に配置されており、板ばね114の表裏の各面に対して電気的絶縁性を有する接着剤115aによって固定されている。
【0041】
尚、圧電素子115としては、PZT(ジルコン酸チタン亜鉛)、PLZT(ジルコン酸チタン酸鉛ランタン)、PMN(マグネシウムニオブ鉛酸化物)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等が用いられる。
【0042】
さらに、各圧電素子115の2つの電極(図示せず)間には、図6に示すように発光ダイオード(以下、単にLEDと称する)118が接続されている。これらのLED118は底板111と上板112との間の空間等の所定位置に配置されている。
【0043】
上記構成からなる本実施形態の車両用懸架装置1によれば、例えば路面の凹凸によって車軸3が上下に振動した場合、車軸3の振動は懸架装置1のコイルばね13とダンパ15によって減衰されて車体に伝達される。さらにこのとき、制振装置11によって車軸3から車体への振動伝達の減衰が増大される。
【0044】
即ち、コイルばね13及びダンパ15によって吸収しきれない車軸3の振動による圧力が板ばね114に加わると、この圧力によって板ばね114がさらに外側に突出するように湾曲して縮む。この板ばね114の湾曲に伴い、圧電素子115に歪みが生じて、この歪みのエネルギーが圧電素子115によって電気エネルギーに変化される。この電気エネルギーはLED118に供給され、LED118が発光することによって放出される。これにより、板ばね114にかかる圧力によって板ばね114に生じる応力が低減されので、車軸3から車体への振動の伝達量がさらに低減される。
【0045】
また、複数の板ばね114が所定間隔をあけて環状に配置されているので、複数の板ばね114によって振動の伝達が減衰されると共に、各板ばね114に力が分散されるので、板ばね1つあたりに加わる歪み量が低減され、各板ばね114の圧電素子115によって高効率でエネルギーの放出が行われるため、振動エネルギーを高い効率で放出することができる。
【0046】
従って、車軸3の小さな変位による振動を板ばね114によって吸収することができるので、路面の微細な凹凸によって生じるごつごつ感や不快感を低減することができる。
【0047】
また、制振装置11自体で、振動の伝達を減衰させる自己完結型モジュールを構成しているので、従来例に比べて非常に簡単な構成であり、各種の車両に容易に適用することができる。
【0048】
尚、上記のLED118は圧電素子115に生じた電気エネルギーを放出するためのものであり、電気エネルギーを放出することができるものであればLED118に限定されることはなく、LED118に代えて例えば電気的な抵抗器を用い、圧電素子115に生じた電気エネルギーを熱に変換して放出するようにしても良い。
【0049】
また、上記実施形態では板ばね114の両面に圧電素子115を設けたが、板ばね114の何れか一方の面にのみ圧電素子115を設けても良い。この場合、板ばね114の両面に圧電素子115を設けた場合に比べて制振効果は半減する。
【0050】
また、制振装置11と車体との間に、車体に対するダンパ15の角度の変化を吸収できるようなアッパーマウント部を設けても良い。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
【0052】
図7は本発明の第2実施形態における制振装置11Bを示す斜視図、図8は本発明の第2実施形態における制振装置11Bの電気系回路を示すブロック構成図である。図において、前述した第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。
【0053】
また、第2実施形態と上記第1実施形態との相違点は、第1実施形態におけるLED118に代えて圧電制御部130を設けたことである。この圧電制御部130は、振動による板ばね114の湾曲伸縮を増大させて補助するように圧電素子115を変形させるものである。
【0054】
圧電制御部130は、底板111内に設けられた空洞部に配置され、図8に示すように、振動感知センサ131と制御回路132、及び圧電素子115毎に設けられた増幅回路133によって構成されている。
【0055】
振動感知センサ131は、振動の振幅の方向及び大きさに対応する値の電気信号を出力するセンサであり、例えば車軸3から車体への振動伝達方向に生じる加速度を検出して、加速度の値に応じた電気信号を制御回路132に出力する加速度センサからなり、少なくとも100Hz以下の周波数の振動を感知できるものである。
【0056】
制御回路132は、周知のCPU及びCPUを動作させる処理プログラムが格納されたメモリ回路を主体として構成され、振動感知センサ131から入力した電気信号に基づいて、底板111の振動が上板112に伝達されないように各圧電素子115を歪ませるような制御信号を各増幅器133に出力する。
【0057】
各増幅器133は、制御回路132から入力した制御信号に基づいて、接続されている圧電素子115に対して所定の電圧を印加する。
【0058】
上記構成よりなる制振装置11Bを第1実施形態における制振装置11に代えて備えた懸架装置1を用いることにより、例えば路面の凹凸によって車軸3が上下に振動した場合、車軸3の振動は懸架装置1によって減衰されて車体に伝達される。このとき、制振装置11Bの振動感知センサ131によって振動が感知される。さらに、制御回路132によって、振動感知センサ131によって感知した振動に基づいて、車軸3から車体への振動の伝達を減衰させる方向に圧電素子115の形状を歪ませるように周波数を選択して各圧電素子115に電圧が印加される。即ち、圧電素子115には、板ばね114の表裏で逆相となるように制御電圧が与えられ、板ばね114に曲げモーメントを発生させて、振動を減衰させるのに必要な周波数で板ばね114を加振する。
【0059】
これにより、板ばね114は振動の圧力によって湾曲する方向にさらに圧電素子115の形状の歪みによって湾曲され、板ばね114自体に生じる応力が低減されるので、車軸3から車体への振動の伝達量がさらに低減される。
【0060】
従って、車軸3の小さな変位による振動を板ばねに114よって吸収することができるので、路面の微細な凹凸によって生じるごつごつ感や不快感を低下させることができる。
【0061】
また、複数の板ばね114が所定間隔をあけて環状に配置されているので、複数の板ばね114によって振動の伝達が減衰されると共に、各板ばね114に力が分散されるので、板ばね1つあたりにおける振動の吸収量が低減されるため、車軸3から車体への振動の伝達量が高い効率で低減される。
【0062】
尚、上記実施形態では、板ばね114の両面に圧電素子115を設けたが、板ばね114の何れか一方の面にのみ圧電素子115を設けても良い。この場合、板ばね114の両面に圧電素子115を設けた場合に比べて制振効果は半減する。
【0063】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
【0064】
図9は本発明の第3実施形態における車両用懸架装置の構成を示す一部破断斜視図、図10は本発明の第3実施形態における制振装置30を示す斜視図である。図において、前述した第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。
【0065】
また、第3実施形態と上記第1実施形態との相違点は、第1実施形態における制振装置11に代えて、車体に対するダンパ15の角度の変化を吸収するためのアッパーマウント部20を設けると共に、ダンパ15の下端とダンパ連結部材16との間に制振装置30を設けたことである。
【0066】
制振装置30は、図10に示すように、鋼製の円盤形状の底板31と円盤形状の上板32、底板31の上面と上板32の下面との間に設けられた鋼製の複数の板ばね33、各板ばね33の表裏面に設けられた圧電素子34から構成されている。
【0067】
底板31の底面はダンパ接続部16に固定され、上板32の上面はダンパ15の下端面に固定されている。
【0068】
各板ばね33は、底板31の中心と上板32の中心とを通る軸を中心として所定の間隔をあけて底板31及び上板32の周縁部に環状に配置され、各板ばね33の上端が上板32の底面に固定され、各板ばね33の下端が底板31の上面に固定されている。
【0069】
また、円環状に配置された各板ばね33は、第1実施形態と同様に、外側にやや突出するように湾曲した形状をなし、その内側の面と外側の面の双方に圧電素子34がバイモルフ状に配置されており、板ばね33の表裏の各面に対して電気的絶縁性を有する接着剤によって固定されている。
【0070】
尚、圧電素子115としては、PZT(ジルコン酸チタン亜鉛)、PLZT(ジルコン酸チタン酸鉛ランタン)、PMN(マグネシウムニオブ鉛酸化物)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等が用いられる。
【0071】
さらに、各圧電素子34の2つの電極(図示せず)間には、第1実施形態と同様に発光ダイオード(以下、単にLEDと称する)118が接続されている。これらのLED118は底板31と上板32との間の空間等の所定位置に配置されている。
【0072】
上記構成からなる本実施形態の車両用懸架装置1Bによれば、例えば路面の凹凸によって車軸3が上下に振動した場合、車軸3の振動は懸架装置1Bのコイルばね13とダンパ15によって減衰されて車体に伝達される。さらにこのとき、制振装置30によって車軸3から車体への振動伝達の減衰が増大される。
【0073】
即ち、コイルばね13及びダンパ15によって吸収しきれない車軸3の振動による圧力が板ばね33に加わると、この圧力によって板ばね33がさらに外側に突出するように湾曲して縮む。この板ばね33の湾曲に伴い、圧電素子34に歪みが生じて、この歪みのエネルギーが圧電素子34によって電気エネルギーに変化される。この電気エネルギーはLED118に供給され、LED118が発光することによって放出される。これにより、板ばね33にかかる圧力によって板ばね33に生じる応力が低減されるので、車軸3から車体への振動の伝達量がさらに低減される。
【0074】
また、複数の板ばね33が所定間隔をあけて環状に配置されているので、複数の板ばね33によって振動の伝達が減衰されると共に、各板ばね33に力が分散されるので、板ばね1つあたりに加わる歪み量が低減され、各板ばね33の圧電素子34によって高効率でエネルギーの放出が行われるため、振動エネルギーを高い効率で放出することができる。
【0075】
従って、車軸3の小さな変位による振動を板ばね33によって吸収することができるので、路面の微細な凹凸によって生じるごつごつ感や不快感を低減することができる。
【0076】
尚、上記のLED118は圧電素子34に生じた電気エネルギーを放出するためのものであり、電気エネルギーを放出することができるものであればLED118に限定されることはなく、LED118に代えて例えば電気的な抵抗器を用い、圧電素子34に生じた電気エネルギーを熱に変換して放出するようにしても良い。
【0077】
図11は、上記の制振装置30を装着した国産の3000ccのFR車と、制振装置30を装着しないFR車の双方における右下のばね下加速度を測定した結果を表す周波数特性図である。図において、横軸は周波数(単位はHz)を表し、縦軸はパワースペクトルベクトル(単位はdB)を表している。さらに、図中のAの実線で描かれている特性は制振装置30を装着したときの特性であり、Bの破線で描かれている特性は制振装置30を装着しないときの特性である。図のように、制振装置30を装着したときは、制振装置30を装着しないときに比べてパワースペクトルベクトルが減少し、振動の伝達が減衰していることがわかる。
【0078】
尚、この測定では、路面上に突起として断面10cm×10cmの正方形の鉄棒を横向きに寝かせて置き、この鉄棒の上を50km/hで車両を走行させたときの0〜100Hzまでの周波数の振動について測定した。
【0079】
また、熟練ドライバーがテストコース(周回路)を50km/hで走行したときのごつごつ感を感応評価したところ、制振装置30を装着してない車両での走行を3点とすると、制振装置30を装着した車両での走行は4点と評価された。このときのドライバーのコメントとして、「ごつごつした感じがかなり減少してなめらかな挙動になった」との評価を得た。
【0080】
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
【0081】
図12は本発明の第4実施形態における車両用懸架装置の構成を示す一部破断斜視図である。図において前述した第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。また、第4実施形態と第1実施形態との相違点は、第4実施形態の懸架装置1Cでは、第1実施形態の懸架装置1の構成に加えて、第3実施形態と同様の位置に第2の制振装置30を設けたことである。
【0082】
このように2つの制振装置11,30を設けることにより、車軸3から車体への振動伝達をより効果的に減衰させることができる。
【0083】
次に、本発明の第5実施形態を説明する。
【0084】
図13は本発明の第5実施形態における車両用懸架装置1Dの構成を示す一部破断斜視図である。図において前述した第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。また、第5実施形態と第1実施形態との相違点は、第1実施形態における制振装置11に代えてアッパーマウント部20を設けると共に、ダンパ15のガイドとコイルばね13の下端との間に制振装置30Bを設けた懸架装置1Dを構成したことである。
【0085】
制振装置30Bの構造は前述した第3実施形態における制振装置30とほぼ同様である。制振装置30Bは、制振装置30の底板31と上板32の中央部にダンパ15を貫通させる貫通孔が形成されている点が異なる。
【0086】
上記構成の懸架装置1Dを用いることによっても、小さな変位を感知して制振することができるので、搭乗者が感じるごつごつ感や不快感を低下させることができる。
【0087】
尚、上記第1乃至第5実施形態は本発明の一具体例に過ぎず、本発明がこれらの実施形態の構成のみに限定されることはなく、各実施形態の組み合わせ等によっても同様の効果を得られることは言うまでもないことである。
【0088】
また、上記実施形態の制振装置は、I型+テンションロッド型やストラット式などの懸架装置にも適用可能であることは言うまでもない。。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の車両用懸架装置によれば、車軸の振動による圧力が板ばねに加わると、該圧力によって前記板ばねが湾曲して縮み、この板ばねの湾曲に伴い、圧電素子に歪みが生じて、該歪みのエネルギーが電気エネルギーに変化され、該電気エネルギーがエネルギー放出手段によって放出されるため、前記板ばねにかかる圧力によって前記板ばねに生じる応力が低減されるので、前記車軸から車体への振動の伝達量を従来よりもさらに低減させることができる。従って、車軸の小さな変位による振動を前記板ばねによって吸収することができるので、路面の微細な凹凸によって生じるごつごつ感や不快感を低減することができる。
【0090】
また、本発明の車両用懸架装置によれば、制御手段によって、振動感知センサによって感知した振動に基づいて、車軸から車体への振動の伝達を減衰させる方向に圧電素子の形状を歪ませるように圧電素子に電圧が印加され、板ばねが振動の圧力によって湾曲する方向にさらに圧電素子の形状の歪みによって湾曲されて、板ばね自体に生じる応力が低減されるので、車軸から車体への振動の伝達量を従来に比べてさらに低減することができる。従って、車軸の小さな変位による振動を板ばねによって吸収することができるので、路面の微細な凹凸によって生じるごつごつ感や不快感を低下させることができる。
【0091】
また、本発明の制振装置によれば、振動による圧力が板ばねに加わると、該圧力によって前記板ばねが湾曲して縮み、この板ばねの湾曲に伴い、圧電素子に歪みが生じて、該歪みのエネルギーが電気エネルギーに変化され、該電気エネルギーがエネルギー放出手段によって放出されるため、前記板ばねにかかる圧力によって前記板ばねに生じる応力が低減されるので、前記振動の伝達量を従来よりもさらに低減させることができる。従って、小さな変位による振動を前記板ばねによって吸収することができる。
【0092】
また、本発明の制振装置によれば、制御手段によって、振動感知センサによって感知した振動に基づいて、振動の伝達を減衰させる方向に圧電素子の形状を歪ませるように圧電素子に電圧が印加され、板ばねが振動の圧力によって湾曲する方向にさらに圧電素子の形状の歪みによって湾曲されて、板ばね自体に生じる応力が低減されるので、振動の伝達量を従来に比べてさらに低減することができる。従って、小さな変位による振動を板ばねによって吸収することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における車両用懸架装置の構成を示す一部破断斜視図
【図2】本発明の第1実施形態における車両用懸架装置の構成を示す分解斜視図
【図3】本発明の第1実施形態における制振装置を示す外観斜視図
【図4】本発明の第1実施形態における制振装置を示す図
【図5】本発明の第1実施形態における板ばねへの圧電素子の装着状態を説明する断面図
【図6】本発明の第1実施形態における圧電素子とLEDの接続を示す図
【図7】本発明の第2実施形態における制振装置を示す斜視図
【図8】本発明の第2実施形態における制振装置の電気系回路を示すブロック構成図
【図9】本発明の第3実施形態における車両用懸架装置の構成を示す一部破断斜視図
【図10】本発明の第3実施形態における制振装置を示す斜視図
【図11】本発明の第3実施形態における車両用懸架装置を用いたときの振動の周波数特性を示す図
【図12】本発明の第4実施形態における車両用懸架装置の構成を示す一部破断斜視図
【図13】本発明の第5実施形態における車両用懸架装置の構成を示す一部破断斜視図
【符号の説明】
1,1B,1C,1D…車両用懸架装置、2…タイヤ、3…車軸、4…ハブキャリア、5…ロワーアーム、11,11B…制振装置、12…スプリングアッパーシート、13…コイルばね、14…ゴム部材、15…ダンパ、16…ダンパ連結部材、20…アッパーマウント部、30,30B…制振装置、31…底板、32…上板、33…板ばね、34…圧電素子、111…底板、112…上板、113…係止部、114…板ばね、115…、圧電素子、115a…接着剤、116,117…貫通孔、118…発光ダイオード(LED)、130…圧電制御部、131…振動感知センサ、132…制御回路、133…増幅回路、151…外筒、152…ピストンロッド、153…ガイド、154…ブラケット。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用懸架装置及び制振装置に関し、特に微小振動を吸収可能な制振装置を備えた車両用懸架装置及びその制振装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両においては、路面の凹凸による車軸から車体への振動を吸収して乗り心地の改善を図るために、車軸と車体との間に懸架装置が設けられている。この懸架装置の基本構造はコイルばねとダンパからなり、ダンパは油圧によってピストンロッドを上下させ、ダンパが上下方向に伸縮してピストンロッドの長手方向(上下方向)に生じる振動を吸収する方式のものが多い。
【0003】
これらのコイルばねとダンパが吸収できる振動の振動数や振動加速度は設計初期段階で決める基本特性であり、微調整を行うのは非常に困難である。
【0004】
このため、ダンパの油圧を電気的な制御回路を用いて微調整する装置の開発が行われている。この様な制御装置を備えた車両用懸架装置の一例としては、例えば、特開平11−115440号公報に開示される車両用懸架装置や、特開2000−85332号公報に開示されている車両懸架装置の制御装置が知られている。
【0005】
【特許文献1】特開平11-115440号公報
【特許文献2】特開2000-85332号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した電気的な制御回路を備えた車両用懸架装置においても、良路すなわち小さな凹凸のみを有する路面を走行しているときに運転者を含む車両搭乗者が感じるごつごつ感(はね下振動数;約10〜30Hz)は、不快に感じることが多く、乗り心地を悪化させて好ましくない。
【0007】
この原因は、路面の小さな凹凸による車軸の微小変位をサスペンションが吸収しきれないためである。この微小変位はフリクションレベルである。例えば、サスペンションのばね定数が3〜5kg/mmで、その固有振動数;1〜2Hzであるとき、微小変位を吸収することは非常に難しい。
【0008】
上記従来例の制御装置を用いることによって、ダンパで応答を下げ、コイルばねで振動数を変えて、常用域における振動を低減することは可能であるが、制御が非常に難しい。
【0009】
本発明の目的は上記の問題点に鑑み、微小振動を吸収できる簡単な構成の制振装置を設けた車両用懸架装置及び制振装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するために、コイルばねとダンパとを含む本体を備え、車軸と車体との間を連結するように介在されると共に前記車軸から前記車体に伝達される振動を減衰させる車両用懸架装置において、前記振動の伝達方向に湾曲して伸縮するように配置された複数の板ばねと、前記車軸から前記車体に伝達される振動によって伸縮する前記板ばねに生ずる応力の少なくとも一部を吸収して電気エネルギーに変換するように前記板ばねの表裏面の双方に一面が固定されて配置された複数の圧電素子と、前記圧電素子に発生した電気エネルギーを放出するエネルギー放出手段とを含む制振装置を設けた車両用懸架装置を提案する。
【0011】
本発明によれば、例えば路面の凹凸によって車軸が上下に振動した場合、車軸の振動は前記懸架装置によって減衰されて車体に伝達される。このとき、前記制振装置によって前記振動伝達の減衰が増大される。すなわち、前記車軸の振動による圧力が前記板ばねに加わると、該圧力によって前記板ばねが湾曲して縮む。この板ばねの湾曲に伴い、前記圧電素子に歪みが生じて、該歪みのエネルギーが電気エネルギーに変化され、該電気エネルギーは前記エネルギー放出手段によって放出される。これにより、前記板ばねにかかる圧力によって前記板ばねに生じる応力が低減されるので、前記車軸から車体への振動の伝達量がさらに低減される。
【0012】
従って、車軸の小さな変位による振動を前記板ばねによって吸収することができるので、路面の微細な凹凸によって生じるごつごつ感や不快感を低減することができる。
【0013】
また、本発明は、上記の車両用懸架装置において、前記制振装置が、前記本体と前記車軸との間、前記本体と前記車体との間の少なくとも何れか一方に配置されている車両用懸架装置を提案する。
【0014】
本発明によれば、前記制振装置が懸架装置本体と前記車軸との間に配置されるか又は前記懸架装置本体と前記車体との間、或いはこれらの双方に配置されて、前記車軸の小さな変位による振動が前記板ばねによって吸収される。
【0015】
また、本発明は、上記の車両用懸架装置において、前記制振装置が、前記コイルばねとダンパとの間に配置されている車両用懸架装置を提案する。
【0016】
本発明によれば、前記制振装置が前記コイルばねとダンパとの間に配置されて、前記車軸の小さな変位による振動が前記板ばねによって吸収される。
【0017】
また、本発明は、上記の車両用懸架装置において、前記エネルギー放出手段は、前記圧電素子に接続され、前記圧電素子に発生した電気エネルギーによって発光する発光ダイオードによって構成されている車両用懸架装置を提案する。
【0018】
本発明によれば、前記車軸の振動による圧力が前記板ばねに加わると、該圧力によって前記板ばねが湾曲して縮み、この板ばねの湾曲に伴い、前記圧電素子に歪みが生じて、該歪みのエネルギーが電気エネルギーに変化され、該電気エネルギーは前記発光ダイオードが発光することによって放出される。
【0019】
また、本発明は、上記の車両用懸架装置において、前記エネルギー放出手段は、前記圧電素子に接続され、前記圧電素子に発生した電気エネルギーを熱エネルギーに変換して放出する電気抵抗器によって構成されている車両用懸架装置を提案する。
【0020】
本発明によれば、前記車軸の振動による圧力が前記板ばねに加わると、該圧力によって前記板ばねが湾曲して縮み、この板ばねの湾曲に伴い、前記圧電素子に歪みが生じて、該歪みのエネルギーが電気エネルギーに変化され、該電気エネルギーは前記電気抵抗器が発熱することによって放出される。
【0021】
また、本発明は、上記の車両用懸架装置において、前記振動方向に延びる仮想軸を中心軸として前記複数の板ばねが所定間隔をあけて環状に配置されている車両用懸架装置を提案する。
【0022】
本発明によれば、前記複数の板ばねが所定間隔をあけて環状に配置されているので、複数の板ばねによって振動の伝達が減衰されると共に、各板ばねに力が分散されるので、板ばね1つあたりに加わる歪み量が低減され、各板ばねの圧電素子によって高効率でエネルギーの放出が行われるため、振動エネルギーが高い効率で放出される。
【0023】
また、本発明は上記の目的を達成するために、コイルばねとダンパとを含む本体を備え、車軸と車体との間を連結するように介在されると共に前記車軸から前記車体に伝達される振動を減衰させる車両用懸架装置において、前記車軸から前記車体に伝達される振動を感知し、該振動の振幅の方向及び大きさに対応する値の電気信号を出力する振動感知センサと、前記振動の伝達方向に湾曲して伸縮するように配置された複数の板ばねと、電圧の印加によって前記板ばねの伸縮方向に前記板ばねを歪ませるように前記板ばねの表裏面の双方に一面が固定されて配置された複数の圧電素子と、前記振動感知センサによって感知した振動に基づいて、前記車軸から前記車体への振動の伝達を減衰させる方向に前記圧電素子の形状を歪ませるように前記圧電素子に電圧を印加する制御手段とを含む制振装置を設けた車両用懸架装置を提案する。
【0024】
本発明によれば、例えば路面の凹凸によって車軸が上下に振動した場合、車軸の振動は前記懸架装置によって減衰されて車体に伝達される。このとき、前記制振装置の振動感知センサによって振動が感知される。さらに、制御手段によって、前記振動感知センサによって感知した振動に基づいて、前記車軸から前記車体への振動の伝達を減衰させる方向に前記圧電素子の形状を歪ませるように前記圧電素子に電圧が印加される。これにより、前記板ばねは前記振動の圧力によって湾曲する方向にさらに前記圧電素子の形状の歪みによって湾曲され、前記板ばね自体に生じる応力が低減されるので、前記車軸から車体への振動の伝達量がさらに低減される。
【0025】
従って、車軸の小さな変位による振動を前記板ばねによって吸収することができるので、路面の微細な凹凸によって生じるごつごつ感や不快感を低下させることができる。
【0026】
また、本発明は、上記の車両用懸架装置において、前記振動感知センサは、少なくとも100Hz以下の周波数の振動を感知する車両用懸架装置を提案する。
【0027】
本発明によれば、前記振動感知センサによって少なくとも100Hz以下の周波数の振動が感知され、該周波数の振動の車軸から車体への伝達量が低減される。
【0028】
また、本発明は、上記の車両用懸架装置において、前記振動方向に延びる仮想軸を中心軸として前記複数の板ばねが所定間隔をあけて環状に配置されている車両用懸架装置を提案する。
【0029】
本発明によれば、前記複数の板ばねが所定間隔をあけて環状に配置されているので、複数の板ばねによって振動の伝達が減衰されると共に、各板ばねに力が分散されるので、板ばね1つあたりにおける振動の吸収量が低減されるため、前記車軸から車体への振動の伝達量が高い効率で低減される。
【0030】
また、本発明は、上記目的を達成するために、上記制振装置を提案する。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。
【0032】
本実施形態では、ダブルウィッシュボーン式の車両用懸架装置を一例として説明する。
【0033】
図1は本発明の第1実施形態における車両用懸架装置の構成を示す一部破断斜視図、図2は本発明の第1実施形態における車両用懸架装置の構成を示す分解斜視図である。図において、1は懸架装置、2はタイヤ、3は車軸、4はハブキャリア、5はロワーアームである。
【0034】
懸架装置1は、制振装置11と、スプリングアッパーシート12、コイルばね13、ゴム部材14、油圧式のダンパ15、ダンパ連結部材16とから構成されている。尚、本実施形態では、上記スプリングアッパーシート12と、コイルばね13、ゴム部材14、油圧式のダンパ15によって懸架装置本体が構成される。
【0035】
制振装置11の上面は車体(図示せず)に連結され、制振装置11の底面にスプリングアッパーシート12が装着されている。また、スプリングアッパーシート12と円柱状のダンパ15に設けられた円環受け皿型のガイド153との間にコイルばね13が装着されている。
【0036】
この状態でダンパ15のピストンロッド152は、コイルばね13のほぼ中心軸に位置し、ピストンロッド152の先端部に半径方向にと出するように設けられている円環状のブラケットが制振装置11の底面に当接する。また、ピストンロッド152とコイルばね13との間に位置するように略円筒形状のゴム部材14が設けられている。
【0037】
ダンパ15のピストンロッド152は外筒151にその上端部から挿入され、外筒151内に充填されている油の圧力及び外部から加わる力に従って外筒151内に挿入されるピストンロッド152の分量が変化し、ダンパ15自体の長さが変化するようになっている。
【0038】
ダンパ15の下端はダンパ連結部材16に固定され、ダンパ連結部材16はハブキャリア4に接続され、ハブキャリア4によって車軸3が支持されている。さらに、ハブキャリア4はロワーアーム5を介して車体(図示せず)に連結されている。
【0039】
図3は上記制振装置11を示す外観斜視図、図4は制振装置11を示す断面図である。制振装置11は、図に示すように、鋼製の円盤形状の底板111と円盤形状の上板112、上板112の上面に上方に突出するように設けられた複数の係止部113、底板111の上面と上板112の下面との間に設けられた鋼製の複数の板ばね114、各板ばね114の表裏面に設けられた圧電素子115から構成されている。また、底板111と上板112の中央部には円形の貫通孔117,116が形成されている。
【0040】
各板ばね114は上記貫通孔116,117の中心を通る軸を中心として所定の間隔をあけて環状に配置され、各板ばね114の上端が上板112の底面に固定され、各板ばね114の下端が底板111の上面に固定されている。また、円環状に配置された各板ばね114は、外側にやや突出するように湾曲した形状をなし、図5に示すように、その内側の面と外側の面の双方に圧電素子115がバイモルフ状に配置されており、板ばね114の表裏の各面に対して電気的絶縁性を有する接着剤115aによって固定されている。
【0041】
尚、圧電素子115としては、PZT(ジルコン酸チタン亜鉛)、PLZT(ジルコン酸チタン酸鉛ランタン)、PMN(マグネシウムニオブ鉛酸化物)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等が用いられる。
【0042】
さらに、各圧電素子115の2つの電極(図示せず)間には、図6に示すように発光ダイオード(以下、単にLEDと称する)118が接続されている。これらのLED118は底板111と上板112との間の空間等の所定位置に配置されている。
【0043】
上記構成からなる本実施形態の車両用懸架装置1によれば、例えば路面の凹凸によって車軸3が上下に振動した場合、車軸3の振動は懸架装置1のコイルばね13とダンパ15によって減衰されて車体に伝達される。さらにこのとき、制振装置11によって車軸3から車体への振動伝達の減衰が増大される。
【0044】
即ち、コイルばね13及びダンパ15によって吸収しきれない車軸3の振動による圧力が板ばね114に加わると、この圧力によって板ばね114がさらに外側に突出するように湾曲して縮む。この板ばね114の湾曲に伴い、圧電素子115に歪みが生じて、この歪みのエネルギーが圧電素子115によって電気エネルギーに変化される。この電気エネルギーはLED118に供給され、LED118が発光することによって放出される。これにより、板ばね114にかかる圧力によって板ばね114に生じる応力が低減されので、車軸3から車体への振動の伝達量がさらに低減される。
【0045】
また、複数の板ばね114が所定間隔をあけて環状に配置されているので、複数の板ばね114によって振動の伝達が減衰されると共に、各板ばね114に力が分散されるので、板ばね1つあたりに加わる歪み量が低減され、各板ばね114の圧電素子115によって高効率でエネルギーの放出が行われるため、振動エネルギーを高い効率で放出することができる。
【0046】
従って、車軸3の小さな変位による振動を板ばね114によって吸収することができるので、路面の微細な凹凸によって生じるごつごつ感や不快感を低減することができる。
【0047】
また、制振装置11自体で、振動の伝達を減衰させる自己完結型モジュールを構成しているので、従来例に比べて非常に簡単な構成であり、各種の車両に容易に適用することができる。
【0048】
尚、上記のLED118は圧電素子115に生じた電気エネルギーを放出するためのものであり、電気エネルギーを放出することができるものであればLED118に限定されることはなく、LED118に代えて例えば電気的な抵抗器を用い、圧電素子115に生じた電気エネルギーを熱に変換して放出するようにしても良い。
【0049】
また、上記実施形態では板ばね114の両面に圧電素子115を設けたが、板ばね114の何れか一方の面にのみ圧電素子115を設けても良い。この場合、板ばね114の両面に圧電素子115を設けた場合に比べて制振効果は半減する。
【0050】
また、制振装置11と車体との間に、車体に対するダンパ15の角度の変化を吸収できるようなアッパーマウント部を設けても良い。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
【0052】
図7は本発明の第2実施形態における制振装置11Bを示す斜視図、図8は本発明の第2実施形態における制振装置11Bの電気系回路を示すブロック構成図である。図において、前述した第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。
【0053】
また、第2実施形態と上記第1実施形態との相違点は、第1実施形態におけるLED118に代えて圧電制御部130を設けたことである。この圧電制御部130は、振動による板ばね114の湾曲伸縮を増大させて補助するように圧電素子115を変形させるものである。
【0054】
圧電制御部130は、底板111内に設けられた空洞部に配置され、図8に示すように、振動感知センサ131と制御回路132、及び圧電素子115毎に設けられた増幅回路133によって構成されている。
【0055】
振動感知センサ131は、振動の振幅の方向及び大きさに対応する値の電気信号を出力するセンサであり、例えば車軸3から車体への振動伝達方向に生じる加速度を検出して、加速度の値に応じた電気信号を制御回路132に出力する加速度センサからなり、少なくとも100Hz以下の周波数の振動を感知できるものである。
【0056】
制御回路132は、周知のCPU及びCPUを動作させる処理プログラムが格納されたメモリ回路を主体として構成され、振動感知センサ131から入力した電気信号に基づいて、底板111の振動が上板112に伝達されないように各圧電素子115を歪ませるような制御信号を各増幅器133に出力する。
【0057】
各増幅器133は、制御回路132から入力した制御信号に基づいて、接続されている圧電素子115に対して所定の電圧を印加する。
【0058】
上記構成よりなる制振装置11Bを第1実施形態における制振装置11に代えて備えた懸架装置1を用いることにより、例えば路面の凹凸によって車軸3が上下に振動した場合、車軸3の振動は懸架装置1によって減衰されて車体に伝達される。このとき、制振装置11Bの振動感知センサ131によって振動が感知される。さらに、制御回路132によって、振動感知センサ131によって感知した振動に基づいて、車軸3から車体への振動の伝達を減衰させる方向に圧電素子115の形状を歪ませるように周波数を選択して各圧電素子115に電圧が印加される。即ち、圧電素子115には、板ばね114の表裏で逆相となるように制御電圧が与えられ、板ばね114に曲げモーメントを発生させて、振動を減衰させるのに必要な周波数で板ばね114を加振する。
【0059】
これにより、板ばね114は振動の圧力によって湾曲する方向にさらに圧電素子115の形状の歪みによって湾曲され、板ばね114自体に生じる応力が低減されるので、車軸3から車体への振動の伝達量がさらに低減される。
【0060】
従って、車軸3の小さな変位による振動を板ばねに114よって吸収することができるので、路面の微細な凹凸によって生じるごつごつ感や不快感を低下させることができる。
【0061】
また、複数の板ばね114が所定間隔をあけて環状に配置されているので、複数の板ばね114によって振動の伝達が減衰されると共に、各板ばね114に力が分散されるので、板ばね1つあたりにおける振動の吸収量が低減されるため、車軸3から車体への振動の伝達量が高い効率で低減される。
【0062】
尚、上記実施形態では、板ばね114の両面に圧電素子115を設けたが、板ばね114の何れか一方の面にのみ圧電素子115を設けても良い。この場合、板ばね114の両面に圧電素子115を設けた場合に比べて制振効果は半減する。
【0063】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
【0064】
図9は本発明の第3実施形態における車両用懸架装置の構成を示す一部破断斜視図、図10は本発明の第3実施形態における制振装置30を示す斜視図である。図において、前述した第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。
【0065】
また、第3実施形態と上記第1実施形態との相違点は、第1実施形態における制振装置11に代えて、車体に対するダンパ15の角度の変化を吸収するためのアッパーマウント部20を設けると共に、ダンパ15の下端とダンパ連結部材16との間に制振装置30を設けたことである。
【0066】
制振装置30は、図10に示すように、鋼製の円盤形状の底板31と円盤形状の上板32、底板31の上面と上板32の下面との間に設けられた鋼製の複数の板ばね33、各板ばね33の表裏面に設けられた圧電素子34から構成されている。
【0067】
底板31の底面はダンパ接続部16に固定され、上板32の上面はダンパ15の下端面に固定されている。
【0068】
各板ばね33は、底板31の中心と上板32の中心とを通る軸を中心として所定の間隔をあけて底板31及び上板32の周縁部に環状に配置され、各板ばね33の上端が上板32の底面に固定され、各板ばね33の下端が底板31の上面に固定されている。
【0069】
また、円環状に配置された各板ばね33は、第1実施形態と同様に、外側にやや突出するように湾曲した形状をなし、その内側の面と外側の面の双方に圧電素子34がバイモルフ状に配置されており、板ばね33の表裏の各面に対して電気的絶縁性を有する接着剤によって固定されている。
【0070】
尚、圧電素子115としては、PZT(ジルコン酸チタン亜鉛)、PLZT(ジルコン酸チタン酸鉛ランタン)、PMN(マグネシウムニオブ鉛酸化物)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等が用いられる。
【0071】
さらに、各圧電素子34の2つの電極(図示せず)間には、第1実施形態と同様に発光ダイオード(以下、単にLEDと称する)118が接続されている。これらのLED118は底板31と上板32との間の空間等の所定位置に配置されている。
【0072】
上記構成からなる本実施形態の車両用懸架装置1Bによれば、例えば路面の凹凸によって車軸3が上下に振動した場合、車軸3の振動は懸架装置1Bのコイルばね13とダンパ15によって減衰されて車体に伝達される。さらにこのとき、制振装置30によって車軸3から車体への振動伝達の減衰が増大される。
【0073】
即ち、コイルばね13及びダンパ15によって吸収しきれない車軸3の振動による圧力が板ばね33に加わると、この圧力によって板ばね33がさらに外側に突出するように湾曲して縮む。この板ばね33の湾曲に伴い、圧電素子34に歪みが生じて、この歪みのエネルギーが圧電素子34によって電気エネルギーに変化される。この電気エネルギーはLED118に供給され、LED118が発光することによって放出される。これにより、板ばね33にかかる圧力によって板ばね33に生じる応力が低減されるので、車軸3から車体への振動の伝達量がさらに低減される。
【0074】
また、複数の板ばね33が所定間隔をあけて環状に配置されているので、複数の板ばね33によって振動の伝達が減衰されると共に、各板ばね33に力が分散されるので、板ばね1つあたりに加わる歪み量が低減され、各板ばね33の圧電素子34によって高効率でエネルギーの放出が行われるため、振動エネルギーを高い効率で放出することができる。
【0075】
従って、車軸3の小さな変位による振動を板ばね33によって吸収することができるので、路面の微細な凹凸によって生じるごつごつ感や不快感を低減することができる。
【0076】
尚、上記のLED118は圧電素子34に生じた電気エネルギーを放出するためのものであり、電気エネルギーを放出することができるものであればLED118に限定されることはなく、LED118に代えて例えば電気的な抵抗器を用い、圧電素子34に生じた電気エネルギーを熱に変換して放出するようにしても良い。
【0077】
図11は、上記の制振装置30を装着した国産の3000ccのFR車と、制振装置30を装着しないFR車の双方における右下のばね下加速度を測定した結果を表す周波数特性図である。図において、横軸は周波数(単位はHz)を表し、縦軸はパワースペクトルベクトル(単位はdB)を表している。さらに、図中のAの実線で描かれている特性は制振装置30を装着したときの特性であり、Bの破線で描かれている特性は制振装置30を装着しないときの特性である。図のように、制振装置30を装着したときは、制振装置30を装着しないときに比べてパワースペクトルベクトルが減少し、振動の伝達が減衰していることがわかる。
【0078】
尚、この測定では、路面上に突起として断面10cm×10cmの正方形の鉄棒を横向きに寝かせて置き、この鉄棒の上を50km/hで車両を走行させたときの0〜100Hzまでの周波数の振動について測定した。
【0079】
また、熟練ドライバーがテストコース(周回路)を50km/hで走行したときのごつごつ感を感応評価したところ、制振装置30を装着してない車両での走行を3点とすると、制振装置30を装着した車両での走行は4点と評価された。このときのドライバーのコメントとして、「ごつごつした感じがかなり減少してなめらかな挙動になった」との評価を得た。
【0080】
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
【0081】
図12は本発明の第4実施形態における車両用懸架装置の構成を示す一部破断斜視図である。図において前述した第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。また、第4実施形態と第1実施形態との相違点は、第4実施形態の懸架装置1Cでは、第1実施形態の懸架装置1の構成に加えて、第3実施形態と同様の位置に第2の制振装置30を設けたことである。
【0082】
このように2つの制振装置11,30を設けることにより、車軸3から車体への振動伝達をより効果的に減衰させることができる。
【0083】
次に、本発明の第5実施形態を説明する。
【0084】
図13は本発明の第5実施形態における車両用懸架装置1Dの構成を示す一部破断斜視図である。図において前述した第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表しその説明を省略する。また、第5実施形態と第1実施形態との相違点は、第1実施形態における制振装置11に代えてアッパーマウント部20を設けると共に、ダンパ15のガイドとコイルばね13の下端との間に制振装置30Bを設けた懸架装置1Dを構成したことである。
【0085】
制振装置30Bの構造は前述した第3実施形態における制振装置30とほぼ同様である。制振装置30Bは、制振装置30の底板31と上板32の中央部にダンパ15を貫通させる貫通孔が形成されている点が異なる。
【0086】
上記構成の懸架装置1Dを用いることによっても、小さな変位を感知して制振することができるので、搭乗者が感じるごつごつ感や不快感を低下させることができる。
【0087】
尚、上記第1乃至第5実施形態は本発明の一具体例に過ぎず、本発明がこれらの実施形態の構成のみに限定されることはなく、各実施形態の組み合わせ等によっても同様の効果を得られることは言うまでもないことである。
【0088】
また、上記実施形態の制振装置は、I型+テンションロッド型やストラット式などの懸架装置にも適用可能であることは言うまでもない。。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の車両用懸架装置によれば、車軸の振動による圧力が板ばねに加わると、該圧力によって前記板ばねが湾曲して縮み、この板ばねの湾曲に伴い、圧電素子に歪みが生じて、該歪みのエネルギーが電気エネルギーに変化され、該電気エネルギーがエネルギー放出手段によって放出されるため、前記板ばねにかかる圧力によって前記板ばねに生じる応力が低減されるので、前記車軸から車体への振動の伝達量を従来よりもさらに低減させることができる。従って、車軸の小さな変位による振動を前記板ばねによって吸収することができるので、路面の微細な凹凸によって生じるごつごつ感や不快感を低減することができる。
【0090】
また、本発明の車両用懸架装置によれば、制御手段によって、振動感知センサによって感知した振動に基づいて、車軸から車体への振動の伝達を減衰させる方向に圧電素子の形状を歪ませるように圧電素子に電圧が印加され、板ばねが振動の圧力によって湾曲する方向にさらに圧電素子の形状の歪みによって湾曲されて、板ばね自体に生じる応力が低減されるので、車軸から車体への振動の伝達量を従来に比べてさらに低減することができる。従って、車軸の小さな変位による振動を板ばねによって吸収することができるので、路面の微細な凹凸によって生じるごつごつ感や不快感を低下させることができる。
【0091】
また、本発明の制振装置によれば、振動による圧力が板ばねに加わると、該圧力によって前記板ばねが湾曲して縮み、この板ばねの湾曲に伴い、圧電素子に歪みが生じて、該歪みのエネルギーが電気エネルギーに変化され、該電気エネルギーがエネルギー放出手段によって放出されるため、前記板ばねにかかる圧力によって前記板ばねに生じる応力が低減されるので、前記振動の伝達量を従来よりもさらに低減させることができる。従って、小さな変位による振動を前記板ばねによって吸収することができる。
【0092】
また、本発明の制振装置によれば、制御手段によって、振動感知センサによって感知した振動に基づいて、振動の伝達を減衰させる方向に圧電素子の形状を歪ませるように圧電素子に電圧が印加され、板ばねが振動の圧力によって湾曲する方向にさらに圧電素子の形状の歪みによって湾曲されて、板ばね自体に生じる応力が低減されるので、振動の伝達量を従来に比べてさらに低減することができる。従って、小さな変位による振動を板ばねによって吸収することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における車両用懸架装置の構成を示す一部破断斜視図
【図2】本発明の第1実施形態における車両用懸架装置の構成を示す分解斜視図
【図3】本発明の第1実施形態における制振装置を示す外観斜視図
【図4】本発明の第1実施形態における制振装置を示す図
【図5】本発明の第1実施形態における板ばねへの圧電素子の装着状態を説明する断面図
【図6】本発明の第1実施形態における圧電素子とLEDの接続を示す図
【図7】本発明の第2実施形態における制振装置を示す斜視図
【図8】本発明の第2実施形態における制振装置の電気系回路を示すブロック構成図
【図9】本発明の第3実施形態における車両用懸架装置の構成を示す一部破断斜視図
【図10】本発明の第3実施形態における制振装置を示す斜視図
【図11】本発明の第3実施形態における車両用懸架装置を用いたときの振動の周波数特性を示す図
【図12】本発明の第4実施形態における車両用懸架装置の構成を示す一部破断斜視図
【図13】本発明の第5実施形態における車両用懸架装置の構成を示す一部破断斜視図
【符号の説明】
1,1B,1C,1D…車両用懸架装置、2…タイヤ、3…車軸、4…ハブキャリア、5…ロワーアーム、11,11B…制振装置、12…スプリングアッパーシート、13…コイルばね、14…ゴム部材、15…ダンパ、16…ダンパ連結部材、20…アッパーマウント部、30,30B…制振装置、31…底板、32…上板、33…板ばね、34…圧電素子、111…底板、112…上板、113…係止部、114…板ばね、115…、圧電素子、115a…接着剤、116,117…貫通孔、118…発光ダイオード(LED)、130…圧電制御部、131…振動感知センサ、132…制御回路、133…増幅回路、151…外筒、152…ピストンロッド、153…ガイド、154…ブラケット。
Claims (16)
- コイルばねとダンパとを含む本体を備え、車軸と車体との間を連結するように介在されると共に前記車軸から前記車体に伝達される振動を減衰させる車両用懸架装置において、
前記振動の伝達方向に湾曲して伸縮するように配置された複数の板ばねと、
前記車軸から前記車体に伝達される振動によって伸縮する前記板ばねに生ずる応力の少なくとも一部を吸収して電気エネルギーに変換するように前記板ばねの表裏面のうちの少なくとも一方に一面が固定されて配置された複数の圧電素子と、
前記圧電素子に発生した電気エネルギーを放出するエネルギー放出手段とを含む制振装置を設けた
ことを特徴とする車両用懸架装置。 - 前記制振装置が、前記本体と前記車軸との間、前記本体と前記車体との間の少なくとも何れか一方に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用懸架装置。 - 前記制振装置が、前記コイルばねとダンパとの間に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用懸架装置。 - 前記エネルギー放出手段は、前記圧電素子に接続され、前記圧電素子に発生した電気エネルギーによって発光する発光ダイオードによって構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用懸架装置。 - 前記エネルギー放出手段は、前記圧電素子に接続され、前記圧電素子に発生した電気エネルギーを熱エネルギーに変換して放出する電気抵抗器によって構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用懸架装置。 - 前記振動方向に延びる仮想軸を中心軸として前記複数の板ばねが所定間隔をあけて環状に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用懸架装置。 - コイルばねとダンパとを含む本体を備え、車軸と車体との間を連結するように介在されると共に前記車軸から前記車体に伝達される振動を減衰させる車両用懸架装置において、
前記車軸から前記車体に伝達される振動を感知し、該振動の振幅の方向及び大きさに対応する値の電気信号を出力する振動感知センサと、
前記振動の伝達方向に湾曲して伸縮するように配置された複数の板ばねと、
電圧の印加によって前記板ばねの伸縮方向に前記板ばねを歪ませるように前記板ばねの表裏面のうちの少なくとも一方に一面が固定されて配置された複数の圧電素子と、
前記振動感知センサによって感知した振動に基づいて、前記車軸から前記車体への振動の伝達を減衰させる方向に前記圧電素子の形状を歪ませるように前記圧電素子に電圧を印加する制御手段とを含む制振装置を設けた
ことを特徴とする車両用懸架装置。 - 前記振動感知センサは、少なくとも100Hz以下の周波数の振動を感知する
ことを特徴とする請求項7に記載の車両用懸架装置。 - 前記振動方向に延びる仮想軸を中心軸として前記複数の板ばねが所定間隔をあけて環状に配置されている
ことを特徴とする請求項7に記載の車両用懸架装置。 - 振動の伝達方向に湾曲して伸縮するように配置された複数の板ばねと、
前記伝達される振動によって伸縮する前記板ばねに生ずる応力の少なくとも一部を吸収して電気エネルギーに変換するように前記板ばねの表裏面のうちの少なくとも一方に一面が固定されて配置された複数の圧電素子と、
前記圧電素子に発生した電気エネルギーを放出するエネルギー放出手段とを備えている
ことを特徴とする制振装置。 - 前記エネルギー放出手段は、前記圧電素子に接続され、前記圧電素子に発生した電気エネルギーによって発光する発光ダイオードによって構成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の制振装置。 - 前記エネルギー放出手段は、前記圧電素子に接続され、前記圧電素子に発生した電気エネルギーを熱エネルギーに変換して放出する電気抵抗器によって構成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の制振装置。 - 前記振動方向に延びる仮想軸を中心軸として前記複数の板ばねが所定間隔を開けて環状に配置されている
ことを特徴とする請求項10に記載の制振装置。 - 所定方向へ伝達される振動を感知し、該振動の振幅の方向及び大きさに対応する値の電気信号を出力する振動感知センサと、
前記振動の伝達方向に湾曲して伸縮するように配置された複数の板ばねと、
電圧の印加によって前記板ばねの伸縮方向に前記板ばねを歪ませるように前記板ばねの表裏面のうちの少なくとも一方に一面が固定されて配置された複数の圧電素子と、
前記振動感知センサによって感知した振動に基づいて、前記振動の伝達を減衰させる方向に前記圧電素子の形状を歪ませるように前記圧電素子に電圧を印加する制御手段とを備えている
ことを特徴とする制振装置。 - 前記振動感知センサは、少なくとも100Hz以下の周波数の振動を感知する
ことを特徴とする請求項14に記載の制振装置。 - 前記振動方向に延びる仮想軸を中心軸として前記複数の板ばねが所定間隔をあけて環状に配置されている
ことを特徴とする請求項14に記載の制振装置。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN109177674A (zh) * | 2018-11-14 | 2019-01-11 | 天纳克(北京)汽车减振器有限公司 | 一种新型的减振器弹簧托盘组件 |
JP2019121688A (ja) * | 2018-01-05 | 2019-07-22 | 株式会社ニューフレアテクノロジー | 制振システム及び、その制振システムを備える光学装置 |
CN112659833A (zh) * | 2019-10-15 | 2021-04-16 | 中车唐山机车车辆有限公司 | 无轨电车走行系统及无轨电车 |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002372655A patent/JP2004203135A/ja active Pending
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