JP2004203015A - 熱伝導シート - Google Patents

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Abstract

【課題】表示パネルの背面に熱伝導シートを介して放熱板を固定する際に、これらの界面に巻き込まれた気泡を逃がすことで実質的な接着面積を維持して熱伝導率を向上させると共に、貼替えの際のリペア性にも優れる熱伝導シートを提供する。
【解決手段】熱伝導フィラーを含有する熱伝導基材と、熱可塑性樹脂エマルジョンからなる接着性表層を積層した熱伝導シートにおいて、接着性表層が、細径管にて側面に連通した空孔を有することを特徴とする熱伝導シート。更に、該熱伝導シートの表層の空孔に、界面活性剤を含有する水溶液等を含浸させて積層表示パネルから離脱させる方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネルや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイと放熱板の間に介在され、これらの部材に発生した熱を放熱板へ伝導するための熱伝導シートに係り、特に、熱伝導シートの接着性やリペア性に優れた熱伝導シートに関する。尚、本発明において樹脂組成物の配合組成を示す「部」等の単位は、特に断らない限り質量基準で表す。
【0002】
【従来の技術】
近年、大画面で、薄型かつ軽量の画像表示措置としてプラズマディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(以下、表示パネルという)が実用化されている。この表示パネルは、発光表示する際に内部放電によって発熱し、局部的に伸縮して破損や画質劣化が生じてしまう。このため、表示パネルの背面に熱伝導シートを介在させて放熱板を取り付け、発生した熱を放熱させる手段が提案されている。この際に介在させる熱伝導シートとしては、アクリル系モノマーに熱伝導フィラーおよび重合開始剤を分散させた組成物をナイフ塗工し、紫外線を塗工膜に照射し重合させたものが知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−292998号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記表示パネル及び上記放熱板は、剛性のある板状体で曲折できないものである。このため、熱伝導シートを一方の部材に貼り付ける際には、熱伝導シート自体を曲折させて気泡を追い出しながら貼り付けることができるが、熱伝導シートの他方の面に他方の部材を貼り付ける際には、すでに貼り付けた部材が曲折できないため、貼り付け面が全面同時に接触してしまう。このため、両者の界面に気泡が巻き込まれて実質的な接着面積が大幅に減少すると共に、巻き込まれた気泡が断熱材となって熱伝導率が大幅に低減してしまうという問題があった。
【0005】
さらに、前記のように表示パネル、熱伝導シート及び放熱板を貼り合せた後に、貼り損ないや、表示パネル又は放熱板に不具合が生じた場合、これらを貼替える必要が有り、その際の離脱が容易であること(以下「リペア性」と記す。)が要求されるが、該表示パネル及び該放熱板が平滑面であり、曲折できないために剥がしにくいという問題があった。
【0006】
本発明は、前記のように表示パネルの背面に熱伝導シートを介して放熱板を固定する際に、これらの界面に巻き込まれた気泡を逃がすことで実質的な接着面積を維持して熱伝導率を向上させると共に、貼替えの際のリペア性にも優れる熱伝導シートを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決する方法を鋭意検討した結果、本発明に至った。即ち、本発明は、有機結合剤に熱伝導フィラーを配合した熱伝導性組成物をシート状に成形して得られた熱伝導基材と、該熱伝導基材の一面又は両面へ熱可塑性樹脂エマルジョンをシート状に成形して得られた接着性表層を積層して得られる熱伝導シートにおいて、接着性表層が、空孔を有する平滑な表面を形成し、該表面の空孔は内部の空孔へと細径管にて連続した構造を有することを特徴とする熱伝導シートである。接着性表層の空孔は、平均径10〜200μm、空隙率5〜70%であることが好ましい。更に、接着性表層は、熱可塑性樹脂エマルジョンの樹脂成分100部と、熱伝導フィラー5〜200部を含むことが好ましい。
一方で本発明は、該熱伝導シートを表示パネル又は放熱板から離脱する際に、該熱伝導シートの空孔を有する接着性表層に、界面活性剤を含む水溶液又は溶剤等を含浸させて接着力を低下させることを特徴とする、積層表示パネルからの熱伝導シートの離脱方法も含んでいる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の熱伝導シートは、熱伝導基材と、熱伝導基材の一面又は両面に積層された接着性表層を有するものであり、該接着性表層の表面及び内部に配置された空孔から、表示パネルの背面に放熱板を固定する際に巻き込まれた気泡を逃がすことで接着面積を維持し、熱伝導率を向上させたことを特徴とするものである。
【0009】
本発明の熱伝導基材は、有機結合剤に熱伝導フィラーを配合した熱伝導性組成物をシート状に成形することにより得られる。この有機結合剤は、一般的に熱伝導シートの素材として用いられているものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、ニトリル−ブタジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロール系樹脂、ABS樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、アクリル系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂、或いはそれらの共重合体などを適宜用いることが出来るが、モノマーの状態で後述するフィラー等との混合が容易にできることや、その分子構成の調整が容易であるといったような点で、アクリル系樹脂が好ましい。
【0010】
本発明でいうアクリル系樹脂とは、アクリル酸、メタクリル酸、及びそれらの誘導体の2種以上からなる共重合体であり、一般的なものを適宜選択して採用できる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、及びエイコキシル基などの、炭素数が20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの1種以上からなる重合体もしくは共重合体が挙げられる。
【0011】
又、一部の共重合成分として、アクリル酸ヒドロキエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドリキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、N―メチロールアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸グリシジル、酢酸ビニル、スチレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、及びビニルエーテル等の1種以上を含有したものであっても良い。
【0012】
また、熱伝導基材に配合する熱伝導フィラーとしては、十分な熱伝導性を与える事のできるものであれば、一般的な無機フィラーを用いる事ができ、特に限定されるものではなくいが、具体例としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、ボロンナイトライド、酸化珪素及び窒化アルミニウム等が挙げられる。中でも水酸化アルミニウムは難燃性が得られる点で特に好ましい。
【0013】
該熱伝導基材は、例えば、アクリル系樹脂の場合は、そのモノマー中に熱伝導フィラーを所定量配合して塗料化し、これを合成樹脂フィルム、紙又は金属等の支持体上にドクターブレード等により所定の厚さに塗工し、乾燥することにより得ることができる。本発明の熱伝導基材シートの成形方法は、前記方法に限定されるものではなく、他の例としては、熱伝導フィラーを配合した樹脂組成物を押出成形する方法などが挙げられる。
【0014】
熱伝導基材の厚さは特に限定されるものではなく、この熱伝導シートを用いて積層表示パネルを形成するのに用いる表示パネルや放熱板の大きさによって適宜設定すれば良い。また、この熱伝導基材は、単層のものであっても複数の層から構成されるものであっても良い。
【0015】
本発明の接着性表層は、熱可塑性樹脂エマルジョンをシート状に成形することにより得られる。熱可塑性樹脂エマルジョンとしては、一般的に樹脂コート用いられるものから適宜選択して採用でき、具体例としては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアセタール樹脂、エポキシ系樹脂、アルキツド樹脂、ブタジエン系合成ゴム等の1種又は2種以上混合した樹脂をエマルジョンとしたものを用いることが出来る。前記の熱伝導性基材としてアクリル系樹脂を用いたものを用いる場合は、基材層との密着性等の点で、この接着性表層としてもアクリル系樹脂のエマルジョンを用いることが好ましい。更に、接着性表層の空孔を形成が容易である点で、アクリル系樹脂とウレタン系樹脂の混合エマルジョンを用いることがより好ましい。
【0016】
本発明の接着性表層は、熱可塑性樹脂エマルジョンの樹脂成分100部に対して熱伝導フィラーを5〜200部配合させることが、接着性表層の熱伝導度を増加させ、熱伝導シート全体の熱伝導効率を向上させる点で好ましい。
【0017】
接着性表層に配合する熱伝導フィラーは、前記の熱伝導基材と同様に、アルミナ、ボロンナイトライド、酸化珪素、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム等の一般的な熱伝導フィラーから適宜選択して用いることができる。
【0018】
これらの熱伝導フィラーが5部未満では熱伝導率を向上させるという効果が不十分となる場合が有り、200部を超えると接着性表層の剛性が上がりすぎて表示パネルや放熱板への密着性が損なわれる恐れが有る。
【0019】
本発明の接着性表層は、空孔を有する平滑な表面を形成し、該表面の空孔は内部の空孔へと細径管にて連続した構造を有している。このことにより、この熱伝導シートを表示パネルや放熱板に貼付する際に、シートとこれらの板状物の間の空気を、熱伝導シートの側面に逃がすことができ、実質的な接着面積を飛躍的に増加させることが可能となる。
【0020】
この接着性表層の空孔の平均径は10〜200μmであることが好ましい。又、この空孔の平均径が10μm未満では、巻き込まれた気泡を逃がす効果が小さく接着面積が小さくなり、その結果として十分な熱伝導度が得られない恐れが有る。又、界面活性剤を含む水溶液や溶剤等が含浸し難くなって、リペア性も低下する場合がある。一方で空孔の平均径が200μmを超えると、リペア性はむしろ向上するが、表示パネルや放熱板に物理的に密着する面積が不足し、結果として十分な熱伝導度が得られない場合がある。
【0021】
また、接着性表層における空隙率は、5〜70%が好ましく、さらに好ましくは10〜50%である。空隙率が5%未満では巻き込まれた気泡を逃がす効果が不十分となり、接着面積が減少し、熱伝導度が低下してしまう場合がある。又、界面活性剤を含む水溶液や溶剤等が含浸し難くなるためリペア性も低下することがある。一方で空隙率が70%を超えると、リペア性はむしろ向上するが、表示パネルや放熱板に密着する面積が不足して、これらを安定的に固定できなくなる場合がある。
【0022】
本発明において、前記の空孔の平均径及び空隙率とは、一般的に知られている顕微鏡法(角田光雄著、「機能性エマルジョンの技術・評価とその応用」、シーエムシー出版、2002年4月、p113)に準じて平均径及び空隙率を測定した値である。
【0023】
接着性表層の製造方法は、前記の細径管で連続した構造の空孔や空隙率を有するシートが得られる方法であれば特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂エマルジョンからシートもしくはフィルムを成形する一般的に知られている方法から適宜選択して用いることが出来る。
【0024】
例えば、熱可塑性樹脂エマルジョンの粘度や熱可塑性樹脂エマルジョンに含まれる空気の量、オークスミキサーの混合時間などを調整することで、前記の空孔の平均径や空隙率を適宜設計することができる。これを合成樹脂フィルム、紙、金属等の支持体上にドクターブレード等により所定の厚さに塗工し、乾燥等の各工程の条件を選定することにより本発明の接着性表層を得ることができる。
【0025】
前記の空孔や空隙率を調整する方法の、より好ましい例としては以下のような方法があげられる。熱可塑性樹脂エマルジョンとしてウレタン樹脂とアクリル樹脂エマルジョンを所定量混合した混合エマルジョンを、オークスミキサー等の機械発泡機にて空気と混合して、気泡を分散させた発泡エマルジョンを調整する。
その際に、熱可塑性樹脂エマルジョンの粘度は、適切な気泡の径や状態を得る上で1000〜15000cpsが好ましい。また、熱可塑性樹脂エマルジョンと空気との混合割合は、容積比で2:1〜1:5、ミキサーの混合時間は、30分〜120分が好ましい。次にこれをPET等のセパレータフィルム上にナイフコーターにより所定の厚さになるように塗工し、乾燥機にて乾燥することにより、目的の空孔の平均径及び空隙率を有する接着性表層を得ることができる。また、この方法においては、熱可塑性樹脂エマルジョンと空気の混合割合及びミキサーの混合時間を変化させることで、空孔の平均径及び空隙率を調整することが可能である。
【0026】
この接着性表層の厚さは、10〜300μmの範囲が好ましい。厚さが10μm未満では巻き込まれた気泡を逃がす効果が不十分となり、接着面積が減少してしまうことがあり、又界面活性剤を含む水溶液や溶剤等が含浸し難くなりリペア性も低下する場合がある。厚さが300μmを超えると接着性表層自体が断熱層となって熱伝導率が低下する恐れがある。
【0027】
本発明の熱伝導シートを構成する熱伝導基材及び接着性表層には、前記の発明の目的に反しない範囲で、改質剤、老化防止剤、熱安定剤、粘度調節剤、架橋剤、着色剤、難燃剤等を添加しても良い。また、必要なら接着性表層に起泡剤、整泡剤等を添加しても良い。
【0028】
本発明の熱伝導シートは、前記の熱伝導基材の一面又は両面に、前記の空孔及び空隙率を有する接着性表層を、一般的な方法で積層することによって得られる。
【0029】
本発明の熱伝導シートは、表示パネルと放熱板の間に配置して積層し用いられる。熱伝導基材の一面のみに接着性表層を有する熱伝導シートを用いる場合は、表示パネル又は放熱板の、初めに貼り付ける部材に、熱伝導シートのタック力を利用して接着性表層を有さない面を、貼り付けることが望ましい。即ち、初めに貼り付ける際は、前記のように柔軟性のある熱伝導シートを曲折させて気泡を追い出しながら貼り付けることにより、気泡を追い出しながら均一に接着することができ、熱伝導シートと放熱板等との界面での十分な熱伝導が実現できる。そのようにして得られた、表示パネル又は放熱板と熱伝導シートを積層したものを、他の部材(表示パネル又は放熱板)の表面に、接着性表層の側を、表示パネルに問題を生じない程度の適切な圧力で圧着することにより、前記のような実質的接着面積が大きく、良好な熱伝導性を有する積層表示パネルが得られる。
【0030】
熱伝導基材の両面に該表層を有する熱伝導性シートの場合には、表示パネル、熱伝導シート及び放熱板を順次重ねておいて、適切な圧力で加圧し接着することで、実質的な接着面積が大きく、良好な熱伝導性を有する積層表示パネルが得られる。
【0031】
一方で、前記のように表示パネル、熱伝導シート及び放熱板を貼り合せた後に、貼り損ないや、表示パネル又は放熱板に不具合が生じた場合、これらを貼替える必要が有る。本発明の熱伝導シートにおいては、その接着性表層の表面及び内部に配置された空孔に、カルボン酸塩やスルホン酸塩、硫酸エステル塩等の界面活性剤を含む水溶液又はイソプロピルアルコールやエタノール等の溶剤を含浸させることにより表示パネル及び放熱板への接着力を低下させて、リペアを容易に行うことができる。また、界面活性剤の水溶液濃度は、5〜30%とすることが好ましい。5未満では、接着力低下の効果が十分得られない場合があり、30を超えると空孔への含浸が困難となる恐れが有る。
【0032】
【実施例】
本発明を実施例により、更に具体的に説明する。
(実施例1)
アクリル系共重合体を水に分散させたエマルジョン(高圧ガス工業株式会社製ぺガール851;樹脂成分55%)の樹脂成分100部に対して、水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製 H−32)を135部配合した熱伝導性組成物を、ドクターブレードによりPETセパレータ上に塗工し乾燥させて厚さ950μmのシート状の熱伝導基材を得た。一方で、アクリル系共重合体を水に分散させたエマルジョン(一方社油脂工業株式会社製 AE−150;樹脂成分50%)の粘度を水を加えて1200cpsに調整し、空気との混合割合を1対1の容積比として、オークスミキサーにて1時間混合した。この混合物をドクターブレードによりPETセパレータ上に塗工し、乾燥させて厚さ50μmの接着性表層を得た。この接着性表層は、平均径30μm、空隙率10%の連続した空孔を有していた。次いで前記の熱伝導基材の片面にこの接着性表層をラミネータロールを通して積層し熱伝導シートを作製した。
【0033】
(実施例2)
熱伝導基材の厚さを900μmとし、接着性表層を熱伝導基材の両面に積層した以外は、実施例1と同様にして熱伝導シートを作成した。
(実施例3)
接着性表層として、アクリル系共重合体のエマルジョンに、熱伝導フィラーとして水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製 H−32)をエマルジョンの樹脂成分100部に対して10部添加した混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして熱伝導シートを作製した。
【0034】
(比較例1)
熱伝導基材の厚さを1000μmとし、接着性表層を積層しなかった以外は、実施例1と同様にして熱伝導シートを得た。
(比較例2)
アクリル系共重合体のエマルジョンに、空気を混合しないで接着性表層を成形した以外は、実施例1と同様にして熱伝導シートを作成した。得られた熱伝導シートの接着性表層は、前記のような空孔のないものであった。
(比較例3)
アクリル系共重合体のエマルジョンに、化学発泡剤としての重曹を樹脂成分100部に対して3部添加して、空気を混合しないで接着性表層を成形した以外は、実施例1と同様にして熱伝導シートを作製した。
【0035】
(評価方法)
本発明の各実施例及び比較例の熱伝導シートの特性評価を、以下の評価法で行い、評価結果を表1に纏めて示した。尚、これらの評価法は、本発明の効果を示す為の方法の一例を示すものである。
1.接着割合の評価
接着割合は、熱伝導シートを表示パネルや放熱板へ貼り付けた際の気泡の巻き込み度合いを表すものである。試験サンプルは、アルミニウム板に各実施例及び比較例の熱伝導シートの接着性表層が積層されていない面(実施例2のみ接着性表層の片面)を空気が入らないように曲折しながら貼り付け、2kgのローラで1往復させ圧着させた後、熱伝導シートの接着性表層上に縦210mm、横300mm、厚さ5mmのガラス板を静かに載置し、23℃で72時間養生させて作製した。この試験サンプルのガラス面の上部分から、貼り付け面のデジタル写真を撮影し、画像処理して得られた画像ドット数から接着割合を算出した。
【0036】
2.熱伝導度
熱伝導度は、熱伝導シート全体の熱伝導度を表すものである。熱伝導度試験の試験サンプルは、2cm×3cmの長方形に調整した熱伝導シートを、ヒーターブロックと放熱ブロックの間に介在させ、20g/cmの圧力で30分間加圧した後に圧力を開放した。続いてヒーターブロックに伝熱量5Wで4分間印加した後に、ヒーターブロックと放熱ブロックとの温度差を測定し、伝熱量とサンプルの厚さの積の値を、伝熱面積と温度差の積の値で除算して算出した。
【0037】
3.接着保持力
接着保持力は、熱伝導シートを表示パネルや放熱板へ貼り付ける際の固定安定度合いを表すものである。接着保持力の試験サンプルは、接着割合の試験サンプルと同様にして得られたものである。測定方法は、作製したサンプルのアルミニウム板とガラス板が、面方向へ、200gfの力でせん断される用に治具に取り付けて120℃のギヤオーブンに吊り下げ、両者が剥離して落下するまでの時間を測定したものである。この接着保持力の試験にあっては、500時間でを越えて落下しない試料については、500時間で測定を打ち切った。
【0038】
4.リペア性
リペア性は、熱伝導シートを表示パネルや放熱板へ貼り付けた後、それぞれを取り外す際の容易さを表すものである。リペア性の試験サンプルは、接着割合の試験サンプルと同様にして得られたものである。測定方法は、作製したサンプルを界面活性剤としての直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を含む10%水溶液中へ全体が浸るように設置し、24時間放置後に取り出し、ドライバーのように先端が平板状に尖っている治具を用いて表示パネルと放熱板を取り外そうとした際の容易さを測定したものである。このリペア性の試験においては、表示パネルおよび放熱板を変形又は破壊することなく容易に取り外しができるものを○、容易に取り外しができずに表示パネルおよび放熱板を変形又は破壊してしまうものを×とした。
【0039】
【表1】
Figure 2004203015
【0040】
本発明の実施例の熱伝導シートは、いずれもアルミニウム板との接着割合が良好であり、熱伝導度、接着保持力及びリペア性のいずれも良好であった。それに対して、接着性表層のない比較例1の熱伝導シートでは、接着割合、リペア性が不十分であり、接着性表層が空孔を有しない比較例2や空孔が独立気泡である比較例3の熱伝導シートでは、接着割合、熱伝導度及びリペア性のいずれも不十分なものであり、比較例3は、接着保持力も劣るものであった。
【0041】
【発明の効果】
本発明の熱伝導シートは、細径管にて連続した構造を有する空孔を有する接着性表層を設けたことにより、表示パネルの背面に放熱板を固定する際に、これらの界面に巻き込まれた気泡を効果的に逃がすことで接着面積を拡大することができ、その結果として熱伝導率や接着保持力を向上させることができる。また、上記接着性表層の表面及び内部に配置された空孔に、カルボン酸塩やスルホン酸塩、硫酸エステル塩等の界面活性剤を含む水溶液又はイソプロピルアルコールやエタノール等の溶剤を含浸させることにより、表示パネル及び放熱板への接着力を低下させてリペア性を向上させることができる。

Claims (4)

  1. 有機結合剤に熱伝導フィラーを配合した熱伝導性組成物をシート状に成形して得られた熱伝導基材と、該熱伝導基材の一面又は両面へ熱可塑性樹脂エマルジョンをシート状に成形して得られた接着性表層を積層して得られる熱伝導シートにおいて、接着性表層が、空孔を有する平滑な表面を形成し、該表面の空孔は内部の空孔へと細径管にて連続した構造を有することを特徴とする熱伝導シート。
  2. 接着性表層の空孔が、平均径10〜200μm、空隙率5〜70%であることを特徴とする請求項1記載の熱伝導シート。
  3. 接着性表層が、熱可塑性樹脂エマルジョンの樹脂成分100部と、熱伝導フィラー5〜200部を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱伝導シート。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導シートを表示パネル又は放熱板から離脱する際に、該熱伝導シートの空孔を有する接着性表層に、界面活性剤を含む水溶液又は溶剤等を含浸させて接着力を低下させることを特徴とする、積層表示パネルからの熱伝導シートの離脱方法。
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