JP2004202655A - センターレス研削盤によるワーク研削方法並びにセンターレス研削盤及びこれに使用される上側ブレード - Google Patents
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Abstract
【課題】ワークwの周面部に硬質材による擦れ傷を発生させないでワークwの上下振動を抑制し円滑に回転させることにより、小径のワークwでもこれを高精度に研削する。
【解決手段】左右方向に沿わせた支持ブレード18cを備え、該支持ブレード18cの前後側の一方に調整砥石車を、そして他方に研削砥石車を配設されたセンターレス研削盤を使用してワークwの周面部を研削する際、前記支持ブレード18cに支持されたワークwの周面部の上部の特定範囲g1、g2をこれに非接触状態で密状に覆うものとなる覆い体(上側ブレード)20を形成し、該覆い体20内に昇圧された研削液を連続的に供給しつつ実施する。
【選択図】 図4
【解決手段】左右方向に沿わせた支持ブレード18cを備え、該支持ブレード18cの前後側の一方に調整砥石車を、そして他方に研削砥石車を配設されたセンターレス研削盤を使用してワークwの周面部を研削する際、前記支持ブレード18cに支持されたワークwの周面部の上部の特定範囲g1、g2をこれに非接触状態で密状に覆うものとなる覆い体(上側ブレード)20を形成し、該覆い体20内に昇圧された研削液を連続的に供給しつつ実施する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、センターレス研削盤によるワーク研削方法並びにセンターレス研削盤及びこれに使用される上側ブレードに関する。
【0002】
【従来の技術】
左右方向に沿わせた支持ブレードを備え、該支持ブレードの前後側の一方に調整砥石車を、そして他方に研削砥石車を配設されたセンターレス研削盤は存在している(例えば特許文献1参照)。
上記研削盤でワークを研削する際は、支持ブレードの上端面に左右向きのワークの周面部を支持させて、調整砥石車と研削砥石車のそれぞれを適当速度で回転させた状態となし、次に該ワークの周面部の前後方向での対向個所を研削砥石車と調整砥石車とで挟み付け、その後、これら研削砥石車と調整砥石車との相対距離を漸次に小さくなすように作動させる。これにより、ワークは研削砥石車及び調整砥石車により回転されつつその周面部を研削される。
【0003】
このようなセンターレスの研削において、その研削精度を向上させるため、ワークの周面部の上部にワークの上方変位を規制するものとした規制部材(例えば特許文献1に符号8で示すようなもの)を設け、該規制部材に加工中のワークの上下振動を規制させることがある。この規制部材は一般に金属などの硬質材で形成される。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−320403号公報(段落番号0027、図9)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の規制部材を使用した研削では、回転されるワークの周面部に規制部材が接触してワークに擦れ傷を発生させることがあったり、またワークの直径が例えば数mm以下であるようなときワークの周面部の上部の特定位置を正確に押さえないことに起因してワークが円滑に回転せず、高品質な加工を得ることができないことが生じるのである。
本発明は斯かる問題点を解決することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願の第一の発明に係るセンターレス研削盤によるワーク研削方法では、請求項1に記載したように、左右方向に沿わせた支持ブレードを備え、該支持ブレードの前後側の一方に調整砥石車を、そして他方に研削砥石車を配設されたセンターレス研削盤を使用してワークの周面部を研削する際、前記支持ブレードに支持されたワークの周面部の上部の特定範囲をこれに非接触状態で密状に覆うものとなる覆い体を形成し、該覆い体内に昇圧された研削液を連続的に供給しつつ実施する。
【0007】
この発明においては、前記覆い体は昇圧された研削液を貯溜させるのであり、この貯溜された研削液の静圧がワークの周面部の上部に作用して加工中のワークの周面部上部の比較的広い範囲を常に下方へ安定的に押圧するのであり、これによりワークは周面部に硬質材からなる規制部材などを当接されることなく上下振動を効果的に抑制されるものとなる。また覆い体内の昇圧された研削液は覆い体とワークの周面部との隙間を通じて勢いよく覆い体の外方へ流出して研削による摩擦個所を効果的に潤滑し且つ冷却するほか研削粉を洗い流すものとなるのであり、従って研削液を摩擦個所などに供給するための格別の供給ノズルなどは不必要となる。
【0008】
上記発明は次のように具体化することができるのであって、即ち、請求項2に記載したように、前記支持ブレードに支持されたワークの周面部部の上部に非接触状態で密状に対向するものとした対向面を具備し且つ該対向面に前記周面部の特定範囲を覆うための凹み部を形成された上側ブレードを設け、昇圧された研削液を前記凹み部内に連続的に供給しつつ実施するのである。ここに、上側ブレードが前記覆い体として機能するものである。
【0009】
これによれば、前記凹み部が昇圧された研削液を貯溜させるのであり、この貯溜された研削液の静圧がワークの周面部の上部に付与され、加工中のワークの周面部上部の比較的広い範囲を常に下方へ安定的に押圧するのであり、これによりワークは上下振動を効果的に抑制されるものとなる。また凹み部内の昇圧された研削液は対向面とワークの周面部との隙間を通じて勢いよく凹み部の外方へ流出して研削による摩擦個所を効果的に潤滑し冷却するほか研削粉を洗い流すものとなるのであり、従って研削液を摩擦個所などに供給するための格別の供給ノズルなどは不必要となる。また前記上側ブレードは薄厚となし得るため小径のワークの周面部の上部を押圧することを容易となし、また前記対向面は硬質材で形成して差し支えないものであるため、ワークが異常に上方変位したときにそれを規制する上で効果的に作用するものとなる。
【0010】
次に第二の発明に係るセンターレス研削盤は、請求項3に記載したように、左右方向に沿わせた支持ブレードを備え、該支持ブレードの前後側の一方に調整砥石車を、そして他方に研削砥石車を配設されたセンターレス研削盤において、前記支持ブレードに支持されたワークの周面部の上部の特定範囲を該周面部に接触しない状態で密状に覆うものとなる凹み部を具備した上側ブレードを設けると共に、前記凹み部はこれの内方に前記上側ブレードの内部に形成された通液路を通じて上側ブレードの外方から研削液を圧送されるものとなされた構成である。
この発明によれば、前記凹み部やこれの内方に貯溜された研削液が請求項2記載の発明の場合と同様に作用する。また前記通液路が前記凹み部内に切削液を送るための通路機構を形成するためのスペースの縮小化に寄与する。
【0011】
さらに第三の発明に係るセンターレス研削盤に使用される上側ブレードは、請求項4に記載したように、縦向きに支持される板状体であって、下端面にワークの周面部の特定範囲を該周面部に接触しない状態で密状に覆うものとなる凹み部を、そして上端寄り個所に外方から研削液を供給される研削液供給口を形成されると共に、前記研削液供給口と前記凹み部の内方とを連通させる通液路を形成されている構成である。
上記第一又は第二の発明を実施する上で寄与するものであり、また前記通液路が前記凹み部内に切削液を送るための通路機構を形成するためのスペースの縮小化に寄与する。さらに上端寄り個所の前記研削液供給口は別途に形成された切削液供給源から延出された切削液供給ラインの接続に要するスペースの確保を可能となす。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るセンターレス研削盤を示す平面図、図2は図1の一部を上方から見た拡大図、図3は図1の一部を前方から見た拡大図、図4は図1の一部を右側方から見た拡大図である。
【0013】
図1において、1はベッドであり、2はベッド1上に第一案内軌道1aを介してZ軸方向(左右方向)の移動自在に設けられた調整砥石中間台、そして3はベッド1上に第二案内軌道1bを介してX軸方向(前後方向)の移動自在に設けられた研削砥石台である。
4はベッド1と同体状に設けられた調整砥石中間台2送り用の駆動モータで、調整砥石中間台2をネジ送り機構4aを介してZ軸方向へ送り移動させるものである。
5はベッド1と同体部位に設けられた研削砥石台3送り用の駆動モータで、研削砥石台3をネジ送り機構5aを介してX軸方向へ送り移動させるものである。
【0014】
調整砥石中間台2上には調整砥石台6が第三案内軌道2a及び図示しないネジ送り機構を介してX軸方向の位置変更可能に設けられている。該調整砥石台6上には砥石幅7aをワークwの研削部長さよりも大きくなされた調整砥石車7が左右一対の軸受8、8を介してZ軸方向の回転中心軸7b回りの回転自在に設けられると共に、この調整砥石車7をウオームホイールギヤ機構9を介して矢印方向alへ回転駆動するものとした調整砥石用モータ10が固設されている。
【0015】
また研削砥石台3の上面には砥石幅11aを調整砥石車7のそれ7aよりも大きくなされた研削砥石車11が左右一対の軸受12、12を介して回転中心軸1lb回りの回転自在に設けられると共に、研削砥石車11をベルト伝動機構13を介して矢印方向a2へ回転駆動するための研削砥石用モータ14が固設されている。この際、研削砥石車11の回転中心1lbは調整砥石車7のそれとほぼ同じ高さとなされる。
【0016】
調整砥石中間台2にはワーク支持部16が装設されており、このワーク支持部16はワークwの片端面に当接し押圧するためのワーク端面当接部17と、ワークwの周面下部を支持するためのワーク周面支持部18とからなっている。
【0017】
ワーク端面当接部17は研削砥石車11及び調整砥石車7の右側となる調整砥石中間台2箇所に上下方向の位置調整可能に且つ図示しない駆動モータによるZ軸方向の移動可能に装設されているもので、調整砥石中間台2からこれと同体状に研削砥石車11側へ延出された図2に示す張出腕部17aと、この腕部17aの先部個所に固定された押圧部材17bとを備えている。そして該押圧部材17bはワークwの頭部外端面bに対向し必要に応じてこれを押圧するものとした押圧突起cを形成されている。
【0018】
またワーク周面支持部18は図2及び図3に示すように調整砥石中間台2からこれと同体状に研削砥石車11側へ延出された左右一対の張出腕部18a、18aと、これら張出腕部18a、18aの先端上部に結合部材18bを介して起立状に固定されワークwの周面部の下部を支持するものとした支持ブレード18cとを有するものとなされている。該支持ブレード18cは次のようになされているのであって、即ち、図3及び図4に示すように、拡幅下部181と狭幅上部182を備えた方形板となされており、また狭幅上部182の上端面dがワークwの周面部を支持する個所となされ且つ調整砥石車7側へ向けて漸次に降下するように傾斜されており、またZ軸方向に沿わせられて研削砥石車11と調整砥石車7との間に位置されると共にZ軸方向傾斜の変更可能で且つ上下方向及びX軸方向の位置調整可能となされている。
【0019】
ワーク周面支持部18の上側には図3に示すように支持ブレード18cの上端面dで支持されたワークwの周面部の上部に下向きの押圧力を付与するものとしたワーク押さえ部19が形成されている。該ワーク押さえ部19は調整砥石中間台2から起立された図示しない支持フレームに支持されたものであって、前記支持ブレード18cの略真上に垂直方向及びZ軸方向に沿うように位置され且つ上下方向位置及びZ軸方向傾斜及びX軸方向位置の変更調整を可能となされた上側ブレード20と、該上側ブレード20を上下方向へ変位させるものとした上下駆動装置21とを備えている。
【0020】
上側ブレード20はワークwの周面部の特定個所の覆い体として機能するもので次のようなものとなされている。即ち、図3及び図4に示すように、拡幅上部201と狭幅下部202を備えた方形板となされており、狭幅下部202の下端面を、前記上端面dで支持されたワークwの周面部の上部の比較的広い特定範囲を前記周面部に接触しない状態で密状に対向するものとなされた略円弧状の対向面eとなされると共に、該対向面eに前記周面部の特定個所g1、g2を覆うものとなされた2つの凹み部e1、e2を形成されており、また拡幅上部201の側面個所に図4に示すように研削液供給口hを形成されると共に、拡幅上部201及び狭幅下部202の肉厚部に凹み部e1、e2の内方空間と研削液供給口hとを連通させるための通液路j1、j2、j3を形成されたものとなされている。
この際、一方の凹み部e1はこれに対応する特定個所g1が比較的長いのでこれに対応してZ軸方向の長さを大きくなしてあり、また他方の凹み部e2はこれに対応する特定個所g2が比較的短いのでこれに対応してZ軸方向の長さを小さくなしてある。
【0021】
そして、上下駆動装置21は空気圧或いは油圧などにより作動される流体圧伸縮シリンダ装置となしてあり、該流体圧伸縮シリンダ装置21のピストンロッド21aの下端に結合部材22を介して上側ブレード20を固定させると共に、該流体圧伸縮シリンダ装置21のシリンダ部21bを横向き部材23や図示しない支持フレームを介して調整砥石中間台2に固定させている。
【0022】
上記したセンターレス研削盤でワークwを研削する場合には次のように行われる。この際、ワークwは頭部付の軸状部材であって軸状個所の直径は凡そ数mm程度のものであり、軸状個所の周面部の2つの特定個所g1、g2に対応する全周囲を研削されるものとする。
図示しない研削液供給源から延出された研削液供給ラインを上側ブレード20の研削液供給口hに連通させておく。また支持ブレード18c、押圧突起c及び上側ブレード20などは予め研削可能状態に位置決めしておく。
のであり、この際、上側ブレード20は上下駆動機構21の短縮作動により上方へ退避移動させておく。
【0023】
この状態の下で、各部を作動状態にする。これにより、研削砥石車11はX軸方向の後退側f1の初期位置に送り移動された状態となり、また調整砥石車7はZ軸方向の図1に示す初期位置に送り移動された状態となり、また研削砥石車11と調整砥石車7とは何れも回転状態となる。また上側ブレード20は上下駆動機構21の短縮作動により上方へ退避移動される。さらに研削液供給口hには例えば凡そ0.5kg〜3kg/cm2 程度に昇圧された研削液が供給され、この研削液は通液路j1、j2、j3を通じて各凹み部e1、e2内に到達した後、下方へ流出する。
【0024】
この後、予め用意してあるワークwを、押圧突起cの左側であって調整砥石車7と研削砥石車11との間個所にある支持ブレード18cの上端面dに手作業により供給するか或いはローディングロボットにより自動的に供給する。これにより、ワークwは図2に示すように支持ブレード18cの上端面d、調整砥石車7の周面、研削砥石車11の周面、及び押圧突起cでその位置を保持される。
【0025】
次に研削開始指令を図示しない制御装置に入力するのであり、これにより以下の作動が自動的に行われる。
即ち、先ず、調整砥石車用駆動モータ4や研削砥石用駆動モータ5が必要な量だけ正転作動することにより、研削砥石車11がX軸方向の前進側f2へ送り変位されてワークwの周面部に当接し、一方では、上下駆動機構21が伸張作動されて上側ブレード20が降下作動する。これにより、ワークwは調整砥石車7と研削砥石車11で回転されつつその周面部を研削されるのであり、また上側ブレード20の対向面eは前記周面部にこれらの間の隙間が例えば百分の数mm〜百分の数十mm程度となるように近接して凹み部e1、e2内を密状となす。このとき、各凹み部e1、e2内に供給された研削液は前記隙間から流出する量よりも研削液供給源からの供給能力が大きいため、各凹み部e1、e2内に常に満杯状に貯溜され、この貯溜された研削液は研削液供給源で昇圧されたときの圧力にほぼ合致したものとなる。
【0026】
従って、凹み部e1、e2内の研削液は自身の圧力に関連した大きさの力でワークwの周面部の上部の比較的広い範囲を下方へ押圧するのである。この際、各凹み部e1、e2はワークwの周面部の全周の凡そ3分の1程度を覆うものとなり、且つ、前記周面部の真上よりもワークwの回転中心回りの研削砥石車11側へ僅かに偏った状態に位置されるため、凹み部e1、e2内の研削液からワークwに付与される押圧力の総合力は比較的大きい下向き力と、調整砥石車7側へ向かう比較的小さい横向き力とを合成したものとなる。
【0027】
2つの凹み部e1、e2内の研削液に押圧されたワークwはたとえその直径が数mm以下であってもその上下変位を確実に規制された状態となって回転されると共に、支持ブレード18cの上端面d上の斜面上で調整砥石車7側へ押圧されるため調整砥石車7の周面に押し付けられて確実に位置決めされるのであり、この位置決めにより凹み部e1、e2内の研削液は圧力を安定的となされ、しかも凹み部e1、e2とワークwの周面部との隙間から凹み部e1、e2の近傍外方に勢いよく流出する研削液はワークwの研削における摩擦個所を効率的に潤滑し冷却するほか、研削により生じた研削粉をワークw周辺から洗い落とすものとなり、ワークwは円滑に回転され、その周面部を精度良く研削されるのである。
なお、この研削中に、調整砥石車用駆動モータ4を適当に正逆へ回転作動させて調整砥石車7をZ軸方向へ往復作動させることも差し支えないのであり、このようにすれば研削面の凹凸が均され、その面粗度が小さくなる。
【0028】
上記実施例は次のように変形できる。
即ち、ワークwの周面部の全長を同一直径の直状に研削するときは、上側ブレード20は前記凹み部e1、e2に代えて、図5に示すように、当該周面部に対応した長さとなされた単一の凹み部e3を設けたものとなす。
【0029】
また図6に示すようにワークwの周面部のほかにその頭部の内側端面b1をも研削する場合は、研削砥石車11と調整砥石車7のそれぞれの右側面をZ軸に直交した特定平面に合致させておき、ワークwの周面部の研削中に、ワーク端面当接部17を左側へ送り移動させてワークwを左側へ押し移動させることにより、前記内側端面b1を研削砥石車11及び調整砥石車7のそれぞれの側面に当接させるようにする。
【0030】
さらに単なる円柱状のワークwの周面部を研削する場合は、研削砥石車11と調整砥石車7とで挟まれたワークwが許容限度を超えて左右移動しないようにするための位置規制手段を設ける。
【0031】
【発明の効果】
上記した本発明によれば、次のような効果が得られるのである。
即ち、請求項1に記載のものによれば、覆い体20内の研削液の静圧でワークwを押圧するため、たとえ小径のワークwであってもこれの周面部に硬質材による擦れ傷を発生させないで該ワークwの上下振動を抑制して円滑に回転させることができ、これによりワークwの周面部を高精度に研削することができる。
【0032】
請求項2に記載のものによれば、凹み部e1、e2、e3内の研削液の静圧でワークwを押圧するため、加工中のワークwの周面部上部の比較的広い範囲を常に下方へ安定的に押圧することができ、これにより請求項1記載の発明と同様に、ワークwの周面部を高精度に研削することができる。また凹み部e1、e2、e3から流出した研削液がワークwの研削に伴う摩擦個所などに供給されるため格別な研削液供給ノズルなどを不必要となすことができるのであり、また上側ブレード20が薄厚となし得るため小径のワークwの周面部の上部を安定的に押圧して小径のワークを品質良く高精度に研削することができるのであり、さらには上側ブレード20の対向面eは硬質材で形成して差し支えないものであるため、ワークwが何らかの異常により過度に上方変位しようとしたときにはそれを硬質材からなる対向面eで確実に阻止することができる。
【0033】
請求項3に記載したものによれば、凹み部e1、e2、e3やこれの内方に貯溜された研削液がワークwを押圧するようになるため、請求項2記載の発明と同様な効果を得ることができるのであり、また通液路j1、j2、j3が存在するため、研削液を上側ブレード20の外方から凹み部e1、e2、e3内に供給する際に凹み部の近傍に大きなスペースが存在することを不要となして、小径のワークの研削を可能となすことができる。
【0034】
請求項4に記載のものによれば、請求項1〜3の何れかに記載の発明を実現させることができるのであり、また通液路j1、j2、j3が存在するため、研削液を上側ブレード20の外方から凹み部e1、e2、e3内に供給する際に凹み部の近傍に大きなスペースが存在することを不要となすことができ、また上端寄り個所に研削液供給口hが存在するため、小径のワークwを研削するための装置に使用される上側ブレードであっても、別途に形成された切削液供給源から延出された切削液供給ラインを研削液供給口hに接続させるための十分なスペースを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセンターレス研削盤を示す平面図である。
【図2】図1の一部を上方から見た拡大図である。
【図3】図1の一部を前方から見た拡大図である。
【図4】図1の一部を右側方から見た拡大図である。
【図5】上記実施例の変形例に係るワーク支持部の一部を前方から見た図である。
【図6】上記実施例の変形例に係るワーク支持部の一部を上方から見た図である。
【符号の説明】
7 調整砥石車
11 研削砥石車
18c 支持ブレード
20 上側ブレード(覆い体)
e 対向面
e1 凹み部
e2 凹み部
g1 特定範囲
g2 特定範囲
h 研削液供給口
j1 通液路
j2 通液路
j3 通液路
w ワーク
【発明の属する技術分野】
本発明は、センターレス研削盤によるワーク研削方法並びにセンターレス研削盤及びこれに使用される上側ブレードに関する。
【0002】
【従来の技術】
左右方向に沿わせた支持ブレードを備え、該支持ブレードの前後側の一方に調整砥石車を、そして他方に研削砥石車を配設されたセンターレス研削盤は存在している(例えば特許文献1参照)。
上記研削盤でワークを研削する際は、支持ブレードの上端面に左右向きのワークの周面部を支持させて、調整砥石車と研削砥石車のそれぞれを適当速度で回転させた状態となし、次に該ワークの周面部の前後方向での対向個所を研削砥石車と調整砥石車とで挟み付け、その後、これら研削砥石車と調整砥石車との相対距離を漸次に小さくなすように作動させる。これにより、ワークは研削砥石車及び調整砥石車により回転されつつその周面部を研削される。
【0003】
このようなセンターレスの研削において、その研削精度を向上させるため、ワークの周面部の上部にワークの上方変位を規制するものとした規制部材(例えば特許文献1に符号8で示すようなもの)を設け、該規制部材に加工中のワークの上下振動を規制させることがある。この規制部材は一般に金属などの硬質材で形成される。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−320403号公報(段落番号0027、図9)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の規制部材を使用した研削では、回転されるワークの周面部に規制部材が接触してワークに擦れ傷を発生させることがあったり、またワークの直径が例えば数mm以下であるようなときワークの周面部の上部の特定位置を正確に押さえないことに起因してワークが円滑に回転せず、高品質な加工を得ることができないことが生じるのである。
本発明は斯かる問題点を解決することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願の第一の発明に係るセンターレス研削盤によるワーク研削方法では、請求項1に記載したように、左右方向に沿わせた支持ブレードを備え、該支持ブレードの前後側の一方に調整砥石車を、そして他方に研削砥石車を配設されたセンターレス研削盤を使用してワークの周面部を研削する際、前記支持ブレードに支持されたワークの周面部の上部の特定範囲をこれに非接触状態で密状に覆うものとなる覆い体を形成し、該覆い体内に昇圧された研削液を連続的に供給しつつ実施する。
【0007】
この発明においては、前記覆い体は昇圧された研削液を貯溜させるのであり、この貯溜された研削液の静圧がワークの周面部の上部に作用して加工中のワークの周面部上部の比較的広い範囲を常に下方へ安定的に押圧するのであり、これによりワークは周面部に硬質材からなる規制部材などを当接されることなく上下振動を効果的に抑制されるものとなる。また覆い体内の昇圧された研削液は覆い体とワークの周面部との隙間を通じて勢いよく覆い体の外方へ流出して研削による摩擦個所を効果的に潤滑し且つ冷却するほか研削粉を洗い流すものとなるのであり、従って研削液を摩擦個所などに供給するための格別の供給ノズルなどは不必要となる。
【0008】
上記発明は次のように具体化することができるのであって、即ち、請求項2に記載したように、前記支持ブレードに支持されたワークの周面部部の上部に非接触状態で密状に対向するものとした対向面を具備し且つ該対向面に前記周面部の特定範囲を覆うための凹み部を形成された上側ブレードを設け、昇圧された研削液を前記凹み部内に連続的に供給しつつ実施するのである。ここに、上側ブレードが前記覆い体として機能するものである。
【0009】
これによれば、前記凹み部が昇圧された研削液を貯溜させるのであり、この貯溜された研削液の静圧がワークの周面部の上部に付与され、加工中のワークの周面部上部の比較的広い範囲を常に下方へ安定的に押圧するのであり、これによりワークは上下振動を効果的に抑制されるものとなる。また凹み部内の昇圧された研削液は対向面とワークの周面部との隙間を通じて勢いよく凹み部の外方へ流出して研削による摩擦個所を効果的に潤滑し冷却するほか研削粉を洗い流すものとなるのであり、従って研削液を摩擦個所などに供給するための格別の供給ノズルなどは不必要となる。また前記上側ブレードは薄厚となし得るため小径のワークの周面部の上部を押圧することを容易となし、また前記対向面は硬質材で形成して差し支えないものであるため、ワークが異常に上方変位したときにそれを規制する上で効果的に作用するものとなる。
【0010】
次に第二の発明に係るセンターレス研削盤は、請求項3に記載したように、左右方向に沿わせた支持ブレードを備え、該支持ブレードの前後側の一方に調整砥石車を、そして他方に研削砥石車を配設されたセンターレス研削盤において、前記支持ブレードに支持されたワークの周面部の上部の特定範囲を該周面部に接触しない状態で密状に覆うものとなる凹み部を具備した上側ブレードを設けると共に、前記凹み部はこれの内方に前記上側ブレードの内部に形成された通液路を通じて上側ブレードの外方から研削液を圧送されるものとなされた構成である。
この発明によれば、前記凹み部やこれの内方に貯溜された研削液が請求項2記載の発明の場合と同様に作用する。また前記通液路が前記凹み部内に切削液を送るための通路機構を形成するためのスペースの縮小化に寄与する。
【0011】
さらに第三の発明に係るセンターレス研削盤に使用される上側ブレードは、請求項4に記載したように、縦向きに支持される板状体であって、下端面にワークの周面部の特定範囲を該周面部に接触しない状態で密状に覆うものとなる凹み部を、そして上端寄り個所に外方から研削液を供給される研削液供給口を形成されると共に、前記研削液供給口と前記凹み部の内方とを連通させる通液路を形成されている構成である。
上記第一又は第二の発明を実施する上で寄与するものであり、また前記通液路が前記凹み部内に切削液を送るための通路機構を形成するためのスペースの縮小化に寄与する。さらに上端寄り個所の前記研削液供給口は別途に形成された切削液供給源から延出された切削液供給ラインの接続に要するスペースの確保を可能となす。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るセンターレス研削盤を示す平面図、図2は図1の一部を上方から見た拡大図、図3は図1の一部を前方から見た拡大図、図4は図1の一部を右側方から見た拡大図である。
【0013】
図1において、1はベッドであり、2はベッド1上に第一案内軌道1aを介してZ軸方向(左右方向)の移動自在に設けられた調整砥石中間台、そして3はベッド1上に第二案内軌道1bを介してX軸方向(前後方向)の移動自在に設けられた研削砥石台である。
4はベッド1と同体状に設けられた調整砥石中間台2送り用の駆動モータで、調整砥石中間台2をネジ送り機構4aを介してZ軸方向へ送り移動させるものである。
5はベッド1と同体部位に設けられた研削砥石台3送り用の駆動モータで、研削砥石台3をネジ送り機構5aを介してX軸方向へ送り移動させるものである。
【0014】
調整砥石中間台2上には調整砥石台6が第三案内軌道2a及び図示しないネジ送り機構を介してX軸方向の位置変更可能に設けられている。該調整砥石台6上には砥石幅7aをワークwの研削部長さよりも大きくなされた調整砥石車7が左右一対の軸受8、8を介してZ軸方向の回転中心軸7b回りの回転自在に設けられると共に、この調整砥石車7をウオームホイールギヤ機構9を介して矢印方向alへ回転駆動するものとした調整砥石用モータ10が固設されている。
【0015】
また研削砥石台3の上面には砥石幅11aを調整砥石車7のそれ7aよりも大きくなされた研削砥石車11が左右一対の軸受12、12を介して回転中心軸1lb回りの回転自在に設けられると共に、研削砥石車11をベルト伝動機構13を介して矢印方向a2へ回転駆動するための研削砥石用モータ14が固設されている。この際、研削砥石車11の回転中心1lbは調整砥石車7のそれとほぼ同じ高さとなされる。
【0016】
調整砥石中間台2にはワーク支持部16が装設されており、このワーク支持部16はワークwの片端面に当接し押圧するためのワーク端面当接部17と、ワークwの周面下部を支持するためのワーク周面支持部18とからなっている。
【0017】
ワーク端面当接部17は研削砥石車11及び調整砥石車7の右側となる調整砥石中間台2箇所に上下方向の位置調整可能に且つ図示しない駆動モータによるZ軸方向の移動可能に装設されているもので、調整砥石中間台2からこれと同体状に研削砥石車11側へ延出された図2に示す張出腕部17aと、この腕部17aの先部個所に固定された押圧部材17bとを備えている。そして該押圧部材17bはワークwの頭部外端面bに対向し必要に応じてこれを押圧するものとした押圧突起cを形成されている。
【0018】
またワーク周面支持部18は図2及び図3に示すように調整砥石中間台2からこれと同体状に研削砥石車11側へ延出された左右一対の張出腕部18a、18aと、これら張出腕部18a、18aの先端上部に結合部材18bを介して起立状に固定されワークwの周面部の下部を支持するものとした支持ブレード18cとを有するものとなされている。該支持ブレード18cは次のようになされているのであって、即ち、図3及び図4に示すように、拡幅下部181と狭幅上部182を備えた方形板となされており、また狭幅上部182の上端面dがワークwの周面部を支持する個所となされ且つ調整砥石車7側へ向けて漸次に降下するように傾斜されており、またZ軸方向に沿わせられて研削砥石車11と調整砥石車7との間に位置されると共にZ軸方向傾斜の変更可能で且つ上下方向及びX軸方向の位置調整可能となされている。
【0019】
ワーク周面支持部18の上側には図3に示すように支持ブレード18cの上端面dで支持されたワークwの周面部の上部に下向きの押圧力を付与するものとしたワーク押さえ部19が形成されている。該ワーク押さえ部19は調整砥石中間台2から起立された図示しない支持フレームに支持されたものであって、前記支持ブレード18cの略真上に垂直方向及びZ軸方向に沿うように位置され且つ上下方向位置及びZ軸方向傾斜及びX軸方向位置の変更調整を可能となされた上側ブレード20と、該上側ブレード20を上下方向へ変位させるものとした上下駆動装置21とを備えている。
【0020】
上側ブレード20はワークwの周面部の特定個所の覆い体として機能するもので次のようなものとなされている。即ち、図3及び図4に示すように、拡幅上部201と狭幅下部202を備えた方形板となされており、狭幅下部202の下端面を、前記上端面dで支持されたワークwの周面部の上部の比較的広い特定範囲を前記周面部に接触しない状態で密状に対向するものとなされた略円弧状の対向面eとなされると共に、該対向面eに前記周面部の特定個所g1、g2を覆うものとなされた2つの凹み部e1、e2を形成されており、また拡幅上部201の側面個所に図4に示すように研削液供給口hを形成されると共に、拡幅上部201及び狭幅下部202の肉厚部に凹み部e1、e2の内方空間と研削液供給口hとを連通させるための通液路j1、j2、j3を形成されたものとなされている。
この際、一方の凹み部e1はこれに対応する特定個所g1が比較的長いのでこれに対応してZ軸方向の長さを大きくなしてあり、また他方の凹み部e2はこれに対応する特定個所g2が比較的短いのでこれに対応してZ軸方向の長さを小さくなしてある。
【0021】
そして、上下駆動装置21は空気圧或いは油圧などにより作動される流体圧伸縮シリンダ装置となしてあり、該流体圧伸縮シリンダ装置21のピストンロッド21aの下端に結合部材22を介して上側ブレード20を固定させると共に、該流体圧伸縮シリンダ装置21のシリンダ部21bを横向き部材23や図示しない支持フレームを介して調整砥石中間台2に固定させている。
【0022】
上記したセンターレス研削盤でワークwを研削する場合には次のように行われる。この際、ワークwは頭部付の軸状部材であって軸状個所の直径は凡そ数mm程度のものであり、軸状個所の周面部の2つの特定個所g1、g2に対応する全周囲を研削されるものとする。
図示しない研削液供給源から延出された研削液供給ラインを上側ブレード20の研削液供給口hに連通させておく。また支持ブレード18c、押圧突起c及び上側ブレード20などは予め研削可能状態に位置決めしておく。
のであり、この際、上側ブレード20は上下駆動機構21の短縮作動により上方へ退避移動させておく。
【0023】
この状態の下で、各部を作動状態にする。これにより、研削砥石車11はX軸方向の後退側f1の初期位置に送り移動された状態となり、また調整砥石車7はZ軸方向の図1に示す初期位置に送り移動された状態となり、また研削砥石車11と調整砥石車7とは何れも回転状態となる。また上側ブレード20は上下駆動機構21の短縮作動により上方へ退避移動される。さらに研削液供給口hには例えば凡そ0.5kg〜3kg/cm2 程度に昇圧された研削液が供給され、この研削液は通液路j1、j2、j3を通じて各凹み部e1、e2内に到達した後、下方へ流出する。
【0024】
この後、予め用意してあるワークwを、押圧突起cの左側であって調整砥石車7と研削砥石車11との間個所にある支持ブレード18cの上端面dに手作業により供給するか或いはローディングロボットにより自動的に供給する。これにより、ワークwは図2に示すように支持ブレード18cの上端面d、調整砥石車7の周面、研削砥石車11の周面、及び押圧突起cでその位置を保持される。
【0025】
次に研削開始指令を図示しない制御装置に入力するのであり、これにより以下の作動が自動的に行われる。
即ち、先ず、調整砥石車用駆動モータ4や研削砥石用駆動モータ5が必要な量だけ正転作動することにより、研削砥石車11がX軸方向の前進側f2へ送り変位されてワークwの周面部に当接し、一方では、上下駆動機構21が伸張作動されて上側ブレード20が降下作動する。これにより、ワークwは調整砥石車7と研削砥石車11で回転されつつその周面部を研削されるのであり、また上側ブレード20の対向面eは前記周面部にこれらの間の隙間が例えば百分の数mm〜百分の数十mm程度となるように近接して凹み部e1、e2内を密状となす。このとき、各凹み部e1、e2内に供給された研削液は前記隙間から流出する量よりも研削液供給源からの供給能力が大きいため、各凹み部e1、e2内に常に満杯状に貯溜され、この貯溜された研削液は研削液供給源で昇圧されたときの圧力にほぼ合致したものとなる。
【0026】
従って、凹み部e1、e2内の研削液は自身の圧力に関連した大きさの力でワークwの周面部の上部の比較的広い範囲を下方へ押圧するのである。この際、各凹み部e1、e2はワークwの周面部の全周の凡そ3分の1程度を覆うものとなり、且つ、前記周面部の真上よりもワークwの回転中心回りの研削砥石車11側へ僅かに偏った状態に位置されるため、凹み部e1、e2内の研削液からワークwに付与される押圧力の総合力は比較的大きい下向き力と、調整砥石車7側へ向かう比較的小さい横向き力とを合成したものとなる。
【0027】
2つの凹み部e1、e2内の研削液に押圧されたワークwはたとえその直径が数mm以下であってもその上下変位を確実に規制された状態となって回転されると共に、支持ブレード18cの上端面d上の斜面上で調整砥石車7側へ押圧されるため調整砥石車7の周面に押し付けられて確実に位置決めされるのであり、この位置決めにより凹み部e1、e2内の研削液は圧力を安定的となされ、しかも凹み部e1、e2とワークwの周面部との隙間から凹み部e1、e2の近傍外方に勢いよく流出する研削液はワークwの研削における摩擦個所を効率的に潤滑し冷却するほか、研削により生じた研削粉をワークw周辺から洗い落とすものとなり、ワークwは円滑に回転され、その周面部を精度良く研削されるのである。
なお、この研削中に、調整砥石車用駆動モータ4を適当に正逆へ回転作動させて調整砥石車7をZ軸方向へ往復作動させることも差し支えないのであり、このようにすれば研削面の凹凸が均され、その面粗度が小さくなる。
【0028】
上記実施例は次のように変形できる。
即ち、ワークwの周面部の全長を同一直径の直状に研削するときは、上側ブレード20は前記凹み部e1、e2に代えて、図5に示すように、当該周面部に対応した長さとなされた単一の凹み部e3を設けたものとなす。
【0029】
また図6に示すようにワークwの周面部のほかにその頭部の内側端面b1をも研削する場合は、研削砥石車11と調整砥石車7のそれぞれの右側面をZ軸に直交した特定平面に合致させておき、ワークwの周面部の研削中に、ワーク端面当接部17を左側へ送り移動させてワークwを左側へ押し移動させることにより、前記内側端面b1を研削砥石車11及び調整砥石車7のそれぞれの側面に当接させるようにする。
【0030】
さらに単なる円柱状のワークwの周面部を研削する場合は、研削砥石車11と調整砥石車7とで挟まれたワークwが許容限度を超えて左右移動しないようにするための位置規制手段を設ける。
【0031】
【発明の効果】
上記した本発明によれば、次のような効果が得られるのである。
即ち、請求項1に記載のものによれば、覆い体20内の研削液の静圧でワークwを押圧するため、たとえ小径のワークwであってもこれの周面部に硬質材による擦れ傷を発生させないで該ワークwの上下振動を抑制して円滑に回転させることができ、これによりワークwの周面部を高精度に研削することができる。
【0032】
請求項2に記載のものによれば、凹み部e1、e2、e3内の研削液の静圧でワークwを押圧するため、加工中のワークwの周面部上部の比較的広い範囲を常に下方へ安定的に押圧することができ、これにより請求項1記載の発明と同様に、ワークwの周面部を高精度に研削することができる。また凹み部e1、e2、e3から流出した研削液がワークwの研削に伴う摩擦個所などに供給されるため格別な研削液供給ノズルなどを不必要となすことができるのであり、また上側ブレード20が薄厚となし得るため小径のワークwの周面部の上部を安定的に押圧して小径のワークを品質良く高精度に研削することができるのであり、さらには上側ブレード20の対向面eは硬質材で形成して差し支えないものであるため、ワークwが何らかの異常により過度に上方変位しようとしたときにはそれを硬質材からなる対向面eで確実に阻止することができる。
【0033】
請求項3に記載したものによれば、凹み部e1、e2、e3やこれの内方に貯溜された研削液がワークwを押圧するようになるため、請求項2記載の発明と同様な効果を得ることができるのであり、また通液路j1、j2、j3が存在するため、研削液を上側ブレード20の外方から凹み部e1、e2、e3内に供給する際に凹み部の近傍に大きなスペースが存在することを不要となして、小径のワークの研削を可能となすことができる。
【0034】
請求項4に記載のものによれば、請求項1〜3の何れかに記載の発明を実現させることができるのであり、また通液路j1、j2、j3が存在するため、研削液を上側ブレード20の外方から凹み部e1、e2、e3内に供給する際に凹み部の近傍に大きなスペースが存在することを不要となすことができ、また上端寄り個所に研削液供給口hが存在するため、小径のワークwを研削するための装置に使用される上側ブレードであっても、別途に形成された切削液供給源から延出された切削液供給ラインを研削液供給口hに接続させるための十分なスペースを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセンターレス研削盤を示す平面図である。
【図2】図1の一部を上方から見た拡大図である。
【図3】図1の一部を前方から見た拡大図である。
【図4】図1の一部を右側方から見た拡大図である。
【図5】上記実施例の変形例に係るワーク支持部の一部を前方から見た図である。
【図6】上記実施例の変形例に係るワーク支持部の一部を上方から見た図である。
【符号の説明】
7 調整砥石車
11 研削砥石車
18c 支持ブレード
20 上側ブレード(覆い体)
e 対向面
e1 凹み部
e2 凹み部
g1 特定範囲
g2 特定範囲
h 研削液供給口
j1 通液路
j2 通液路
j3 通液路
w ワーク
Claims (4)
- 左右方向に沿わせた支持ブレードを備え、該支持ブレードの前後側の一方に調整砥石車を、そして他方に研削砥石車を配設されたセンターレス研削盤を使用してワークの周面部を研削する際、前記支持ブレードに支持されたワークの周面部の上部の特定範囲をこれに非接触状態で密状に覆うものとなる覆い体を形成し、該覆い体内に昇圧された研削液を連続的に供給しつつ実施することを特徴とするセンターレス研削盤によるワーク研削方法。
- 左右方向に沿わせた支持ブレードを備え、該支持ブレードの前後側の一方に調整砥石車を、そして他方に研削砥石車を配設されたセンターレス研削盤を使用してワークの周面部を研削する際、前記支持ブレードに支持されたワークの周面部の上部に非接触状態で密状に対向するものとした対向面を具備し且つ該対向面に前記周面部の特定範囲を覆うための凹み部を形成された上側ブレードを設け、昇圧された研削液を前記凹み部内に連続的に供給しつつ実施することを特徴とするセンターレス研削盤によるワーク研削方法。
- 左右方向に沿わせた支持ブレードを備え、該支持ブレードの前後側の一方に調整砥石車を、そして他方に研削砥石車を配設されたセンターレス研削盤において、前記支持ブレードに支持されたワークの周面部の上部の特定範囲を該周面部に接触しない状態で密状に覆うものとなる凹み部を具備した上側ブレードを設けると共に、前記凹み部はこれの内方に前記上側ブレードの内部に形成された通液路を通じて上側ブレードの外方から研削液を圧送されるものとなされていることを特徴とするセンターレス研削盤。
- 縦向きに支持される板状体であって、下端面にワークの周面部の特定範囲を該周面部に接触しない状態で密状に覆うものとなる凹み部を、そして上端寄り個所に外方から研削液を供給される研削液供給口を形成されると共に、前記研削液供給口と前記凹み部の内方とを連通させる通液路を形成されていることを特徴とするセンターレス研削盤に使用される上側ブレード。
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Effective date: 20060606 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |