JP2004202600A - 締付けトルク判定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被締付けねじと通常のインパクトレンチとの間に介装して、簡単な機械的構造によって、締付けトルクを判定する締付けトルク判定装置を提供する。
【解決手段】ケース2内に、トルク伝達部材3を回転可能に支持し、トルク伝達部材3の両端部に、ボルトに係合するソケット工具およびインパクトレンチを連結してボルトを締付ける。インパクトレンチによる締付けトルクが規定値に達すると、トルク伝達部材3の角加速度(減速度)が増大し、慣性力によって慣性部材27がコイルばね26のばね力に抗してプランジャ24を移動させて、検知ピン19の拘束を解除する。これにより、ばね付勢された検知ピン19が移動するので、検知ピン19の移動を目視することにより、締付けトルクが規定値に達したことを判定することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】ケース2内に、トルク伝達部材3を回転可能に支持し、トルク伝達部材3の両端部に、ボルトに係合するソケット工具およびインパクトレンチを連結してボルトを締付ける。インパクトレンチによる締付けトルクが規定値に達すると、トルク伝達部材3の角加速度(減速度)が増大し、慣性力によって慣性部材27がコイルばね26のばね力に抗してプランジャ24を移動させて、検知ピン19の拘束を解除する。これにより、ばね付勢された検知ピン19が移動するので、検知ピン19の移動を目視することにより、締付けトルクが規定値に達したことを判定することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、インパクトレンチ、オイルパルスレンチ等の衝撃トルクを発生する締付け工具によるねじの締付トルクが規定値に達したかどうかを判定する締付トルク判定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車等の機械製品の組立ラインにおいては、インパクトレンチ、オイルパルスレンチ等の衝撃トルクを発生させるハンドツール(以下、インパクトレンチ等という)を用いてねじ類の締め付けが行われることが多い。インパクトレンチ等は、エアモータ等のモータの連続的な回転力をパルス発生機によって断続的なトルクに変換し、短時間にトルクを立ち上げて衝撃トルクを発生させることにより、小型で大きな締付けトルクを得ることができる。
【0003】
また、機械製品の組立においては、ねじ類の締付けトルクが規定されている部位があり、このような部位のねじの締付けにおいては、締付けトルクが規定値に達しているかどうかを判定する必要がある。そこで、従来、ねじ類をインパクトレンチ等によってある程度締付けた後、さらに、手動式のトルクレンチを用いて規定トルクまで締付けるようにしていた。
【0004】
しかしながら、上記従来の手動式のトルクレンチを用いて締付ける方法では、締付作業が煩雑であり、作業効率が低い。そこで、例えば特許文献1に記載されているような締付トルク検出装置を用いてインパクトレンチ等の締付トルクを測定し、予め規定の締付けトルクが得られるよう調整したインパクトレンチ等を用いる方法、あるいは、例えば特許文献2に記載されているような締付トルク検出装置を内蔵したインパクトレンチ等を用いて規定の締付けトルクを得る方法がとられている。
【0005】
【特許文献1】
特開平6―167401号公報
【特許文献2】
特開平5−4176号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の締付けトルク判定方法では、次のような問題がある。締付けトルク検出装置を用いる方法では、従来の締付けトルク検出装置は、締付けトルクを電気的に検出するため、構造が複雑であり、締付けトルクの検出素子および電気回路を必要とすることから高価であり、コストがかかる。また、締付けトルク検出装置を内蔵したインパクトレンチ等を用いる方法では、高価な締付けトルク検出装置を内蔵したインパクトレンチを必要とするため、やはりコストがかかる。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、既存の通常のインパクトレンチ等を利用することができ、かつ、簡単な構造で、締付け工具による締付けトルクが規定値に達しているかどうかを判定することができる締付トルク判定装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、被締付けねじと衝撃トルクを発生させる締付け工具との間に介装して使用される締付けトルク判定装置であって、支持部材と、該支持部材に回転可能に支持されて、前記締付け工具から前記被締付けねじに締付けトルクを伝達するトルク伝達部材と、該トルク伝達部材に回動可能に取付けられて、該トルク伝達部材の角加速度によってモーメント力を生じる慣性部材と、該慣性部材をその回動方向一側へ付勢する付勢手段と、前記慣性部材の移動を監視する監視手段とを備え、締付トルクが規定値に達したときの前記トルク伝達部材の角加速度によって、前記慣性部材が前記付勢手段の付勢力に抗して移動することを特徴とする。
このように構成したことにより、締付けトルクが規定値に達すると、トルク伝達部材の角加速度によって慣性部材が付勢手段の付勢力に抗して移動するので、この慣性部材の移動を監視手段によって監視することによって、締付けトルクが規定値に達したかどうかを判定する。
また、請求項2の発明に係る締付けトルク判定装置は、上記請求項1の構成において、前記監視手段は、ばね手段によって付勢される検知ピンと、該検知ピンの移動を拘束する拘束手段とを含み、前記慣性部材の移動によって前記拘束手段による前記検知ピンの拘束を解除することを特徴とする。
このように構成したことにより、締付けトルクが規定値に達すると、慣性部材が移動して拘束手段の拘束を解除し、検知ピンがばね手段によって移動する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図3に示すように、本実施形態に係る締付けトルク判定装置1は、円筒状のケース2(支持部材)内に、略円筒状のトルク伝達部材3が挿入され、その両端部から突出された軸受部4,5がケース2の両端部に嵌合された軸受6,7にそれぞれ挿通されて回転可能に支持されている。一方の軸受6がケース2の一端部に形成された内側フランジ部2Aに当接し、他方の軸受7がケース2の内周溝に嵌合されたスナップリング9に当接し、これらの軸受6,7間にスペーサ8を介してトルク伝達部材3を挟持することによって、軸受6,7及びトルク伝達部材3がケース2に取付けられている。
【0010】
一方の軸受6から外部へ突出されたトルク伝達部材3の軸受部4の先端部には、図4に示すように、ボルト9(被締付けねじ)に係合する汎用のソケット工具10を装着するための断面矩形のソケット凸部11が形成されている。また、他方の軸受7から外部へ突出された軸受部5の先端部には、インパクトレンチ等の汎用のハンドツール12の出力軸13を連結するための断面矩形のソケット凹部14が形成されている。
【0011】
ハンドツール12は、例えば、エアモータ12Aの連続的な回転力をパルス発生機構機12Bによって断続的なトルクに変換し、短時間にトルクを立ち上げて衝撃トルクを発生させることにより、小型で大きな締付けトルクを得るインパクトレンチ、オイルパルスレンチ等の締付け工具である。
【0012】
トルク伝達部材3の軸受部5側の側面部には、その直径方向に沿って断面矩形の開口が貫通されて空間15が形成されている。また、軸受部4は中空円筒状であり、内部にガイドボア16が形成されている。軸受部4の側壁には、ガイドボア16に連通する監視窓17が開口されている。そして、トルク伝達部材3には、その軸心に沿って空間15とガイドボア16とを連通させるピンボア18が形成されている。
【0013】
トルク伝達部材3のピンボア18には、検知ピン19(監視手段)が摺動可能に挿通されており、検知ピン19の一端部に形成された大径の頭部20が軸受部4のガイドボア16内に摺動可能に案内され、検知ピン19の他端部は空間15内に突出されている。検知ピン19は、ガイドボア16内に設けられた圧縮ばねであるコイルばね21(ばね手段)によって、空間15側へ常時付勢されている。
【0014】
トルク伝達部材3の空間15に面した端面の中央部付近にガイド部材22が取付けられている。ガイド部材22には、空間15内に突出された検知ピン19の側面に対向させてガイドボア23が形成されており、ガイドボア23にはプランジャ24(拘束手段)が摺動可能に嵌合されている。プランジャ24の側部には、検知ピン19よりもやや大径の貫通孔25が形成されており、貫通孔25に検知ピン19が挿通されている。プランジャ24は、ガイドボア23内に設けられた圧縮ばねであるコイルばね26(付勢手段)によって、ガイドボア23の外側へ常時付勢されており、これにより、貫通孔25の内周面が検知ピン19の側面部に押付けられて、コイルばね21の付勢力によって検知ピン19が軸方向に移動するのを阻止している。
【0015】
また、プランジャ24に対向させて略円弧状の慣性部材27が設けられており、慣性部材27は、トルク伝達部材3の外周側に取付けられた支持ピン28によって一端部が軸支されてプランジャ24に向かって回動可能に支持されている。慣性部材27には、プランジャ24の先端部に当接する押圧ピン29がねじ込まれており、慣性部材27は、プランジャ24及び押圧ピン29を介してコイルばね26によって回動方向一側へ付勢されている。
【0016】
慣性部材27は、支持ピン28による支持部から離れた部位に重心があり、トルク伝達部材3に軸回りの角加速度が生じたとき、慣性力によって支持ピン28回りのモーメント力が生じるようになっている。そして、図1において、トルク伝達部材3の右回り(一般的なねじの締付け方向)の回転に対して、減速方向(左回り)の角加速度が生じたとき、慣性部材27は、その慣性によって、トルク伝達部材3に対して支持ピン28回りに右回りのモーメント力を生じて押圧ピン29がプランジャ24を押圧する。
【0017】
ガイド部材22と慣性部材27との間は、補助コイルばね30(引張ばね)によって連結されており、補助コイルばね30のばね力によって、押圧ピン29とプランジャ24とが常時当接している。コイルばね26のばね力は、補助コイルばね30のばね力よりも大きく、通常は、コイルばね26のばね力によってプランジャ24の貫通孔25の内周面が検知ピン19に押圧されて、検知ピン19の軸方向の移動を拘束しており、慣性部材27の支持ピン28回りの右回りのモーメント力が所定の値に達したとき、押圧ピン29がコイルばね26のばね力に抗してプランジャ24を後退させて、検知ピン19の拘束を解除する。
【0018】
押圧ピン29の後端部には、工具受穴31が設けられており、工具受穴31に適当な工具を挿入して押圧ピン29を回転させ、押圧ピン29を進退動させることにより、補助コイルばね30のセット荷重を調整することができ、検知ピン19のプランジャ24による拘束を解除するために必要な慣性部材27のモーメント力を調整することができるようになっている。
【0019】
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
図4に示すように、締付けトルク判定装置1の出力側のソケット凸部11に、ボルト9に適合するソケット工具10を装着し、入力側のソケット凹部14にハンドツール12の出力軸13を連結する。監視窓17から頭部20を押圧して、コイルばね21のばね力およびプランジャ24による拘束力に抗して、検知ピン19をソケット凸部11側へ移動させる。検知ピン19は、プランジャ24の拘束によって、コイルばね21によるばね力を受けた状態でその位置で保持される。
【0020】
ソケット工具10をボルト9に係合させ、ケース2を支持してハンドツール12を作動させて、出力軸13を右回りに回転させる。出力軸13の衝撃トルクがトルク伝達部材3及びソケット工具10を介してボルト9に伝達されて、ボルト9を締付ける。このとき、ケース2とトルク伝達部材3とが互いに回転可能となっているので、ケース2を支持しながら容易にボルト9を締付けることができる。
【0021】
ボルト9の締め付けが進むと、ボルト9からの反力が大きくなり、トルク伝達部材3の回転に大きな角加速度(減速度)が生じる。ボルト9の締付けトルクが規定値に達すると、トルク伝達部材3の角加速度が所定値に達することにより、慣性部材27の慣性によるモーメント力が所定値に達して、押圧ピン29がプランジャ24をコイルばね26のばね力に抗して後退させて、プランジャ24による検知ピン19の拘束が解除される。プランジャ24による拘束が解除されると、検知ピン19は、コイルばね21のばね力によって、軸受部5へ移動する。検知ピン19の頭部20の移動を監視窓17から目視することにより、ボルト9の締付けトルクが規定値に達したことを確認することがでできる。
【0022】
締付けトルク判定装置1の使用方法としては、例えば、予め締付けトルクが設定されたハンドツールに対して、定期的に締付けトルクを検査するために、所定のインターバルで使用したり、あるいは、締付けトルクが設定されていないハンドツールに対して、常時使用して、被締付けねじの締付けの完了を確認するために使用することもできる。
【0023】
このようにして、簡単な機械的構造により、ボルト9の締付けトルクが規定値に達したかどうかを容易に判定することができる。また、締付けトルク判定装置1は、汎用のハンドツール12とソケット工具10との間に連結して使用することができるので、特別な設備が不要であり、既存の通常のインパクトレンチ等を使用して締付けトルクの管理を行うことができ、設備コストを最小限に抑えることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る締付けトルク判定装置は、被締付けねじと締付け工具との間に介装することにより、簡単な機械的構造によって、締付けトルクが規定値に達したかどうかを容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る締付けトルク判定装置の図2におけるB−B線による縦断面図である。
【図2】図1に示す装置のA−A線による縦断面図である。
【図3】図1の装置の軸受部を拡大して示す斜視図である。
【図4】図1に示す装置をハンドツールとソケット工具との間に装着した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 締付けトルク判定装置
2 ケース(支持部材)
3 トルク伝達部材
9 ボルト(被締付けねじ)
12 ハンドツール(締付け工具)
19 検知ピン(監視手段)
21 コイルばね(ばね手段)
24 プランジャ(拘束手段、監視手段)
26 コイルばね(付勢手段)
27 慣性部材
【産業上の利用分野】
本発明は、インパクトレンチ、オイルパルスレンチ等の衝撃トルクを発生する締付け工具によるねじの締付トルクが規定値に達したかどうかを判定する締付トルク判定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車等の機械製品の組立ラインにおいては、インパクトレンチ、オイルパルスレンチ等の衝撃トルクを発生させるハンドツール(以下、インパクトレンチ等という)を用いてねじ類の締め付けが行われることが多い。インパクトレンチ等は、エアモータ等のモータの連続的な回転力をパルス発生機によって断続的なトルクに変換し、短時間にトルクを立ち上げて衝撃トルクを発生させることにより、小型で大きな締付けトルクを得ることができる。
【0003】
また、機械製品の組立においては、ねじ類の締付けトルクが規定されている部位があり、このような部位のねじの締付けにおいては、締付けトルクが規定値に達しているかどうかを判定する必要がある。そこで、従来、ねじ類をインパクトレンチ等によってある程度締付けた後、さらに、手動式のトルクレンチを用いて規定トルクまで締付けるようにしていた。
【0004】
しかしながら、上記従来の手動式のトルクレンチを用いて締付ける方法では、締付作業が煩雑であり、作業効率が低い。そこで、例えば特許文献1に記載されているような締付トルク検出装置を用いてインパクトレンチ等の締付トルクを測定し、予め規定の締付けトルクが得られるよう調整したインパクトレンチ等を用いる方法、あるいは、例えば特許文献2に記載されているような締付トルク検出装置を内蔵したインパクトレンチ等を用いて規定の締付けトルクを得る方法がとられている。
【0005】
【特許文献1】
特開平6―167401号公報
【特許文献2】
特開平5−4176号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の締付けトルク判定方法では、次のような問題がある。締付けトルク検出装置を用いる方法では、従来の締付けトルク検出装置は、締付けトルクを電気的に検出するため、構造が複雑であり、締付けトルクの検出素子および電気回路を必要とすることから高価であり、コストがかかる。また、締付けトルク検出装置を内蔵したインパクトレンチ等を用いる方法では、高価な締付けトルク検出装置を内蔵したインパクトレンチを必要とするため、やはりコストがかかる。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、既存の通常のインパクトレンチ等を利用することができ、かつ、簡単な構造で、締付け工具による締付けトルクが規定値に達しているかどうかを判定することができる締付トルク判定装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、被締付けねじと衝撃トルクを発生させる締付け工具との間に介装して使用される締付けトルク判定装置であって、支持部材と、該支持部材に回転可能に支持されて、前記締付け工具から前記被締付けねじに締付けトルクを伝達するトルク伝達部材と、該トルク伝達部材に回動可能に取付けられて、該トルク伝達部材の角加速度によってモーメント力を生じる慣性部材と、該慣性部材をその回動方向一側へ付勢する付勢手段と、前記慣性部材の移動を監視する監視手段とを備え、締付トルクが規定値に達したときの前記トルク伝達部材の角加速度によって、前記慣性部材が前記付勢手段の付勢力に抗して移動することを特徴とする。
このように構成したことにより、締付けトルクが規定値に達すると、トルク伝達部材の角加速度によって慣性部材が付勢手段の付勢力に抗して移動するので、この慣性部材の移動を監視手段によって監視することによって、締付けトルクが規定値に達したかどうかを判定する。
また、請求項2の発明に係る締付けトルク判定装置は、上記請求項1の構成において、前記監視手段は、ばね手段によって付勢される検知ピンと、該検知ピンの移動を拘束する拘束手段とを含み、前記慣性部材の移動によって前記拘束手段による前記検知ピンの拘束を解除することを特徴とする。
このように構成したことにより、締付けトルクが規定値に達すると、慣性部材が移動して拘束手段の拘束を解除し、検知ピンがばね手段によって移動する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図3に示すように、本実施形態に係る締付けトルク判定装置1は、円筒状のケース2(支持部材)内に、略円筒状のトルク伝達部材3が挿入され、その両端部から突出された軸受部4,5がケース2の両端部に嵌合された軸受6,7にそれぞれ挿通されて回転可能に支持されている。一方の軸受6がケース2の一端部に形成された内側フランジ部2Aに当接し、他方の軸受7がケース2の内周溝に嵌合されたスナップリング9に当接し、これらの軸受6,7間にスペーサ8を介してトルク伝達部材3を挟持することによって、軸受6,7及びトルク伝達部材3がケース2に取付けられている。
【0010】
一方の軸受6から外部へ突出されたトルク伝達部材3の軸受部4の先端部には、図4に示すように、ボルト9(被締付けねじ)に係合する汎用のソケット工具10を装着するための断面矩形のソケット凸部11が形成されている。また、他方の軸受7から外部へ突出された軸受部5の先端部には、インパクトレンチ等の汎用のハンドツール12の出力軸13を連結するための断面矩形のソケット凹部14が形成されている。
【0011】
ハンドツール12は、例えば、エアモータ12Aの連続的な回転力をパルス発生機構機12Bによって断続的なトルクに変換し、短時間にトルクを立ち上げて衝撃トルクを発生させることにより、小型で大きな締付けトルクを得るインパクトレンチ、オイルパルスレンチ等の締付け工具である。
【0012】
トルク伝達部材3の軸受部5側の側面部には、その直径方向に沿って断面矩形の開口が貫通されて空間15が形成されている。また、軸受部4は中空円筒状であり、内部にガイドボア16が形成されている。軸受部4の側壁には、ガイドボア16に連通する監視窓17が開口されている。そして、トルク伝達部材3には、その軸心に沿って空間15とガイドボア16とを連通させるピンボア18が形成されている。
【0013】
トルク伝達部材3のピンボア18には、検知ピン19(監視手段)が摺動可能に挿通されており、検知ピン19の一端部に形成された大径の頭部20が軸受部4のガイドボア16内に摺動可能に案内され、検知ピン19の他端部は空間15内に突出されている。検知ピン19は、ガイドボア16内に設けられた圧縮ばねであるコイルばね21(ばね手段)によって、空間15側へ常時付勢されている。
【0014】
トルク伝達部材3の空間15に面した端面の中央部付近にガイド部材22が取付けられている。ガイド部材22には、空間15内に突出された検知ピン19の側面に対向させてガイドボア23が形成されており、ガイドボア23にはプランジャ24(拘束手段)が摺動可能に嵌合されている。プランジャ24の側部には、検知ピン19よりもやや大径の貫通孔25が形成されており、貫通孔25に検知ピン19が挿通されている。プランジャ24は、ガイドボア23内に設けられた圧縮ばねであるコイルばね26(付勢手段)によって、ガイドボア23の外側へ常時付勢されており、これにより、貫通孔25の内周面が検知ピン19の側面部に押付けられて、コイルばね21の付勢力によって検知ピン19が軸方向に移動するのを阻止している。
【0015】
また、プランジャ24に対向させて略円弧状の慣性部材27が設けられており、慣性部材27は、トルク伝達部材3の外周側に取付けられた支持ピン28によって一端部が軸支されてプランジャ24に向かって回動可能に支持されている。慣性部材27には、プランジャ24の先端部に当接する押圧ピン29がねじ込まれており、慣性部材27は、プランジャ24及び押圧ピン29を介してコイルばね26によって回動方向一側へ付勢されている。
【0016】
慣性部材27は、支持ピン28による支持部から離れた部位に重心があり、トルク伝達部材3に軸回りの角加速度が生じたとき、慣性力によって支持ピン28回りのモーメント力が生じるようになっている。そして、図1において、トルク伝達部材3の右回り(一般的なねじの締付け方向)の回転に対して、減速方向(左回り)の角加速度が生じたとき、慣性部材27は、その慣性によって、トルク伝達部材3に対して支持ピン28回りに右回りのモーメント力を生じて押圧ピン29がプランジャ24を押圧する。
【0017】
ガイド部材22と慣性部材27との間は、補助コイルばね30(引張ばね)によって連結されており、補助コイルばね30のばね力によって、押圧ピン29とプランジャ24とが常時当接している。コイルばね26のばね力は、補助コイルばね30のばね力よりも大きく、通常は、コイルばね26のばね力によってプランジャ24の貫通孔25の内周面が検知ピン19に押圧されて、検知ピン19の軸方向の移動を拘束しており、慣性部材27の支持ピン28回りの右回りのモーメント力が所定の値に達したとき、押圧ピン29がコイルばね26のばね力に抗してプランジャ24を後退させて、検知ピン19の拘束を解除する。
【0018】
押圧ピン29の後端部には、工具受穴31が設けられており、工具受穴31に適当な工具を挿入して押圧ピン29を回転させ、押圧ピン29を進退動させることにより、補助コイルばね30のセット荷重を調整することができ、検知ピン19のプランジャ24による拘束を解除するために必要な慣性部材27のモーメント力を調整することができるようになっている。
【0019】
以上のように構成した本実施形態の作用について次に説明する。
図4に示すように、締付けトルク判定装置1の出力側のソケット凸部11に、ボルト9に適合するソケット工具10を装着し、入力側のソケット凹部14にハンドツール12の出力軸13を連結する。監視窓17から頭部20を押圧して、コイルばね21のばね力およびプランジャ24による拘束力に抗して、検知ピン19をソケット凸部11側へ移動させる。検知ピン19は、プランジャ24の拘束によって、コイルばね21によるばね力を受けた状態でその位置で保持される。
【0020】
ソケット工具10をボルト9に係合させ、ケース2を支持してハンドツール12を作動させて、出力軸13を右回りに回転させる。出力軸13の衝撃トルクがトルク伝達部材3及びソケット工具10を介してボルト9に伝達されて、ボルト9を締付ける。このとき、ケース2とトルク伝達部材3とが互いに回転可能となっているので、ケース2を支持しながら容易にボルト9を締付けることができる。
【0021】
ボルト9の締め付けが進むと、ボルト9からの反力が大きくなり、トルク伝達部材3の回転に大きな角加速度(減速度)が生じる。ボルト9の締付けトルクが規定値に達すると、トルク伝達部材3の角加速度が所定値に達することにより、慣性部材27の慣性によるモーメント力が所定値に達して、押圧ピン29がプランジャ24をコイルばね26のばね力に抗して後退させて、プランジャ24による検知ピン19の拘束が解除される。プランジャ24による拘束が解除されると、検知ピン19は、コイルばね21のばね力によって、軸受部5へ移動する。検知ピン19の頭部20の移動を監視窓17から目視することにより、ボルト9の締付けトルクが規定値に達したことを確認することがでできる。
【0022】
締付けトルク判定装置1の使用方法としては、例えば、予め締付けトルクが設定されたハンドツールに対して、定期的に締付けトルクを検査するために、所定のインターバルで使用したり、あるいは、締付けトルクが設定されていないハンドツールに対して、常時使用して、被締付けねじの締付けの完了を確認するために使用することもできる。
【0023】
このようにして、簡単な機械的構造により、ボルト9の締付けトルクが規定値に達したかどうかを容易に判定することができる。また、締付けトルク判定装置1は、汎用のハンドツール12とソケット工具10との間に連結して使用することができるので、特別な設備が不要であり、既存の通常のインパクトレンチ等を使用して締付けトルクの管理を行うことができ、設備コストを最小限に抑えることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る締付けトルク判定装置は、被締付けねじと締付け工具との間に介装することにより、簡単な機械的構造によって、締付けトルクが規定値に達したかどうかを容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る締付けトルク判定装置の図2におけるB−B線による縦断面図である。
【図2】図1に示す装置のA−A線による縦断面図である。
【図3】図1の装置の軸受部を拡大して示す斜視図である。
【図4】図1に示す装置をハンドツールとソケット工具との間に装着した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 締付けトルク判定装置
2 ケース(支持部材)
3 トルク伝達部材
9 ボルト(被締付けねじ)
12 ハンドツール(締付け工具)
19 検知ピン(監視手段)
21 コイルばね(ばね手段)
24 プランジャ(拘束手段、監視手段)
26 コイルばね(付勢手段)
27 慣性部材
Claims (2)
- 被締付けねじと衝撃トルクを発生させる締付け工具との間に介装して使用される締付けトルク判定装置であって、支持部材と、該支持部材に回転可能に支持されて、前記締付け工具から前記被締付けねじに締付けトルクを伝達するトルク伝達部材と、該トルク伝達部材に回動可能に取付けられて、該トルク伝達部材の角加速度によってモーメント力を生じる慣性部材と、該慣性部材をその回動方向一側へ付勢する付勢手段と、前記慣性部材の移動を監視する監視手段とを備え、締付トルクが規定値に達したときの前記トルク伝達部材の角加速度によって、前記慣性部材が前記付勢手段の付勢力に抗して移動することを特徴とする締付けトルク判定装置。
- 前記監視手段は、ばね手段によって付勢される検知ピンと、該検知ピンの移動を拘束する拘束手段とを含み、前記慣性部材の移動によって前記拘束手段による前記検知ピンの拘束を解除することを特徴とする請求項1に記載の締付けトルク判定装置。
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2002
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