JP2004201946A - ミシンの糸使用量検知装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】縫製糸の画像を撮像することにより、縫い調子を損なうことなく、糸の使用量、糸切れ等を高精度に検知できるようにする。
【解決手段】ミシンの基台1上に設けたヘッド部5を、ヘッド支持体4に固定されたヘッド本体6と、ヘッド本体6に対して左,右方向に移動可能となった針棒ケース7および糸調子台9とにより構成する。糸立て台12の上糸ボビン12A,12B,12C,…から引出される刺繍糸Sを糸張り器13、糸調子14、糸ガイド15,16および天秤19を介してミシン針21に供給する。そして、ヘッド本体6の上面側にはブラケット等を介してCCDカメラ31を設け、その前方を糸経路に沿って移動する刺繍糸Sをカメラ31で撮像することにより、刺繍糸Sの移動量を画像データから演算して求める。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば刺繍用ミシン等の縫製ミシンに設けられ、縫製作業の途中で縫製糸の使用量を検知したり、糸切れを検知したりするのに好適に用いられるミシンの糸使用量検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、刺繍データ等に従ってミシンの主軸等を駆動制御することにより、縫製糸(例えば、刺繍糸等の上糸)を用いて布等の縫製対象物に縫製(刺繍柄)を施すようにしたミシンは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭54−46646号公報
【0004】
この種の従来技術によるミシンには、糸巻きからミシン針に至る上糸の糸経路の途中に、ミシン針に向けた糸の供給(移動)に応じて回転する糸車を設け、該糸車の回転をフォトトランジスタ等からなる光電センサで検知する構成とした糸使用量検知装置が設けられている。
【0005】
そして、このような糸使用量検知装置は、縫製作業時に糸車の回転に伴ったパルス信号を光電センサから出力させ、このパルス信号の出力が急激に低下したときに、前記糸巻きからミシン針に供給すべき上糸が途中で糸切れし、糸車の回転が減速または停止したものとして糸切れの検出を行うものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術による糸使用量検知装置は、糸巻きからミシン針に供給される上糸の途中部位を糸車に巻回または接触させ、上糸の移動に伴って糸車を回転駆動するものであるため、上糸には糸車により余分な張力や摺動抵抗が付与されてしまい、縫製作業時における縫い調子を損なう原因になるという問題がある。
【0007】
また、従来技術の検知装置のように、上糸の移動(流れ)に伴って糸車を回転させる場合には、上糸が糸車の外周面に対して滑ることがあるため、糸車の回転量と上糸の移動量とが必ずしも一致しないことがあり、この場合には糸車の回転量から上糸の糸消費量(使用量)を安定して計測することが難しくなるという問題がある。
【0008】
また、このような上糸の滑り、または光電センサからのパルス抜け等により、上糸の糸切れ(下糸の消耗)等を誤検出すると、縫製作業が途中で余分に中断されてしまい、作業効率(生産性)を低下させることになる。このため、光電センサからのパルス抜けが複数の運針動作にわたって連続的に発生した場合を糸切れと判定する等の安全対策が取られている。
【0009】
しかし、このような安全対策を施した場合には、実際に糸切れが発生したときにも連続的なパルス抜けを待って糸切れ判定が行われるので、糸切れの検出を早期に行うことができず、糸切れ時を短時間で高精度に検出することができないという問題がある。
【0010】
一方、従来技術の糸使用量検知装置を、多数の刺繍糸を用いて刺繍柄を実現する多色刺繍ミシンに適用した場合には、ミシンのヘッド部等に刺繍糸の本数分だけ糸車と光電センサを設け、これらの各糸車に対してそれぞれの刺繍糸を個別に巻回または接触させる構成とする必要がある。
【0011】
このため、従来技術の場合、糸車および光電センサの使用個数が増加し、全体の構造が複雑化するという問題がある。また、ミシンの制御装置側では、刺繍作業の途中で色替えを行う度毎に多数本の刺繍糸のうちいずれの刺繍糸を用いて刺繍が行われているかを逐次判別する必要が生じ、これによって信号処理回路等の構造も複雑化するという問題がある。
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、縫製糸の画像を撮像することにより縫い調子を損なうことなく、糸使用量を高精度に検知することができるようにしたミシンの糸使用量検知装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、糸使用量の変化を検知することにより、縫製糸の糸切れ(下糸の消耗)を早期に安定して検出できるようにしたミシンの糸使用量検知装置を提供することにある。
【0014】
さらに、本発明の別の目的は、複数の刺繍糸等からなる縫製糸を用いる多色刺繍ミシンに対しても、単一の撮像手段を用いて糸使用量を検知することができ、全体の構造を簡素化することができるようにしたミシンの糸使用量検知装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明によるミシンの糸使用量検知装置は、主軸の回転に従ってミシン針と天秤をそれぞれ駆動するミシンのヘッド部と、該ヘッド部のミシン針に前記天秤を介して縫製糸を供給するため該縫製糸を収納した糸収納部と、該糸収納部から前記ミシン針に至る縫製糸の糸経路の途中で該縫製糸と対向する位置に設けられ、前記糸経路に沿って移動する前記縫製糸を画像として撮像する撮像手段と、該撮像手段から出力される画像データを予め決められた周期毎に読取り、各読取り周期毎の画像データを比較することにより前記ミシン針に供給された縫製糸の供給量を糸使用量として演算する演算手段とにより構成している。
【0016】
このように、撮像手段で撮像した縫製糸の画像を一定の周期毎に画像データとして読取り、これらの各読取り周期毎の画像データを比較することにより、前回の読取り周期で読取った画像に対して今回の画像が、例えば数μm(ミクロン)角の画素数のうち何画素分に相当する移動量で移動しているかを演算して求めることができ、これにより刺繍時等の縫製作業の途中であっても、ミシン針に実際に供給された縫製糸の供給量(糸消費量)を糸使用量として連続的に計測し続けることができる。
【0017】
また、撮像手段を用いることにより縫製糸を直接的な画像としてほぼ連続的に撮像しているため、縫製作業を行っている途中で、縫製糸の動きが急激に変化または低下した場合(より具体的には、縫いピッチに比較して1針当たりの糸使用量が明らかに少なくなった場合)には、上糸または下糸の糸切れ(消耗)が発生したものとして判別でき、縫製糸の糸切れ判定等を早期に安定して行うことができる。
【0018】
また、請求項2の発明によると、ヘッド部は、多色刺繍を行うためミシン針と天秤とをそれぞれ複数個有し、該各ミシン針と天秤のうちいずれか1つのミシン針と天秤を選択的に駆動する構成とし、糸収納部は、前記ヘッド部の各ミシン針に対し縫製糸をそれぞれ天秤を介して供給するため複数の縫製糸を収納し、撮像手段は、これらの複数の縫製糸のうち前記ヘッド部で選択され前記ミシン針に供給される縫製糸を、予め決められた位置で撮像する単一の撮像素子により構成している。
【0019】
これにより、ミシン針と天秤とをそれぞれ複数個有した多色刺繍ミシンにあっても、単一の撮像素子を用いて各縫製糸の使用量をほぼ連続的に検知することができる。そして、縫製糸(刺繍糸)の色替えが行われたときでも、色替え対象の縫製糸を選択して単一の撮像素子により撮像することができ、従来技術のように複数のセンサを用いる必要がなくなり、構造を簡素化することができる。
【0020】
また、請求項3の発明によると、撮像手段で撮像した縫製糸の画像データは、該縫製糸の長さ方向で複数個に分割された複数の画素データからなり、演算手段は、各読取り周期の画像データをそれぞれの画素データ毎に2値化し、これらの2値化した各画像データを互いに比較するときに、前回の読取り周期で読取った画像に対して今回の画像が、前記複数の画素データのうち何画素分に相当する移動量で移動しているかを演算して前記縫製糸の使用量を求める構成としている。
【0021】
このように、各読取り周期の画像データをそれぞれの画素データ毎に2値化することにより、縫製糸の画像を各画素毎に明るい部分と暗い部分とに明暗パターンとして弁別することができる。そして、これらの明暗パターンからなる2値化した各画像データを互いに比較することにより、前回の読取り周期で読取った画像に対して今回の画像が、前記明暗パターン(複数の画素データ)のうち何画素分に相当する移動量で移動しているかを演算でき、縫製糸の糸使用量を検知することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態によるミシンの糸使用量検知装置を、多色刺繍ミシンに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0023】
ここで、図1ないし図13は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は本実施の形態で採用した多色刺繍ミシンの基台で、この基台1上には左,右に離間して側枠2,3が立設され、これらの左,右の側枠2,3間には、ヘッド支持体4が掛け渡すように配設されている。
【0024】
5はヘッド支持体4の前部側に設けられたミシンのヘッド部で、該ヘッド部5は、図2、図3に示す如くヘッド支持体4に固定されたヘッド本体6と、該ヘッド本体6の前面側に設けられ、ヘッド本体6に対して左,右(図1中の矢示A,B方向)に移動可能となった針棒ケース7と、該針棒ケース7上に設けられ、色替え機構8により針棒ケース7と一体に左,右方向に移動される糸調子台9とにより構成されている。
【0025】
そして、ヘッド本体6には、図1に示す主軸モータ10により主軸11を介して駆動される天秤駆動部と針棒駆動部(いずれも図示せず)が設けられ、これらの駆動部により後述の天秤19と針棒20とがそれぞれ上,下に駆動される。また、色替え機構8は、針棒ケース7と糸調子台9とを一体に左,右へと移動させることにより、後述の色替え作業を行うものである。
【0026】
12はヘッド支持体4の後側に配設された糸収納部としての糸立て台で、該糸立て台12には、図2に示すように複数の上糸ボビン12A,12B,12C,…等が設けられ、これらの上糸ボビン12A,12B,12C,…には、例えば赤、青、黄、白、黒色等の複数色の縫製糸である上糸(以下、刺繍糸Sという)等が巻回されている。
【0027】
そして、刺繍作業時には、これらの上糸ボビン12A,12B,12C,…から選択的に刺繍糸Sが天秤19により引出され、刺繍布等の刺繍対象物(図示せず)に対する刺繍が行われるものである。
【0028】
13,13,…はヘッド部5の糸調子台9に設けられた糸張り器で、これらの糸張り器13は、図3、図4に示すように糸調子台9の上部側に互いに間隔をもって、例えば合計9個配設されている。14,14,…は各糸張り器13の下側に位置して糸調子台9に設けられた、例えば9個の糸調子を示している。
【0029】
そして、糸立て台12の上糸ボビン12A,12B,12C等から引出された刺繍糸Sは、それぞれ糸張り器13を介して各糸調子14へと導かれ、この糸調子14により天秤19側に向けて低摩擦給糸されるものである。この場合に、糸調子14は、予め決められた張力(例えば、10〜50g程度)を刺繍糸Sに与え、後述のミシン針21等により刺繍糸Sがこの張力を越えて引っ張られるときに、天秤19側に向けて刺繍糸Sが給糸されるのを許す構成となっている。
【0030】
15,16は糸調子14よりも下側となる位置で糸調子台9に上,下に離間して設けられた糸ガイドで、該糸ガイド15,16は、図3、図4に示す如く左,右方向に延びる板状金具からなり、糸調子台9の下端側で互いに上,下に離間して配設されている。
【0031】
また、これらの糸ガイド15と糸ガイド16には、例えば9個の糸挿通孔15A,15A,…(図7、図8に図示)と糸挿通孔16A,16A,…(図5〜図8に図示)がそれぞれ左,右に間隔をもって穿設されている。そして、糸ガイド15,16の各糸挿通孔15A,16Aには、糸調子14と天秤19との間でそれぞれ刺繍糸Sが1本ずつ挿通され、これにより、後述の各ミシン針21に向けた各刺繍糸Sの糸経路が形成されるものである。
【0032】
17,17,…は糸ガイド15,16間に位置して糸調子台9に穿設された合計9個の透し穴で、該各透し穴17は、図4に示すように各刺繍糸Sの糸経路の途中で該刺繍糸Sと対向する位置に配設されている。そして、後述のカメラ31は、色替え機構8により選択された刺繍糸Sに対する撮像を、これらの各透し穴17のうちいずれか1つの透し穴17を介して行うものである。
【0033】
18は天秤19よりも下側に位置して針棒ケース7の前面側に設けられた他の糸ガイドで、該糸ガイド18は、針棒ケース7の幅方向(左,右方向)に延びる板状金具からなり、例えば合計9個の糸挿通部18A,18A,…(図7、図8に図示)が糸ガイド15,16の各糸挿通孔15A,16Aとほぼ同様に列設されている。
【0034】
また、糸ガイド18には、図7、図8に示すように各糸挿通部18Aに対応して糸掛け部18Bが合計9個設けられている。そして、上側の糸ガイド16から導かれる各刺繍糸Sは、糸ガイド18の糸掛け部18Bに挿通した後に、後述する天秤19の糸挿通孔19Bに向けて引き回し、この糸挿通孔19Bから糸ガイド18の糸挿通部18Aを通して図3、図4に示すミシン針21側へと導かれるものである。
【0035】
19,19,…はヘッド部5の針棒ケース7から前面側に突出して設けられた天秤で、これらの天秤19は、図4に示す如く針棒ケース7内に左,右に間隔をもって並べるように配設され、その基端側には図3に示す如く天秤ギヤ19Aがそれぞれ設けられている。そして、天秤19の天秤ギヤ19Aは、ヘッド本体6に設けた前記天秤駆動部の駆動ギヤ等に噛合し、主軸11の回転に従って天秤19は上,下に揺動されるものである。
【0036】
この場合、例えば合計9本の天秤19のうちいずれか1本の天秤19が、前記色替え機構8で選択されると、選択された天秤19のみが上,下に揺動される。そして、非選択となった残余の天秤19は、例えば上死点位置に留まり、その後に色替え機構8で選択されるまでは、この上死点位置に保持されるものである。
【0037】
また、天秤19の先端(突出端)側には糸挿通孔19Bが形成され、これらの糸挿通孔19Bには刺繍糸Sがそれぞれ挿通されるものである。そして、この状態で天秤19は、上死点から下死点へと下向きに駆動されるときに、ミシン針21との間で刺繍糸Sに僅かなたるみを与え、刺繍糸Sをミシン針21側に給糸させる。
【0038】
また、天秤19は上向きに駆動されるときに、ミシン針21により刺繍布等に形成した縫い目(いずれも図示せず)と糸調子14等との間で刺繍糸Sを引っ張り上げるようにして刺繍糸Sに張力を与え、前記縫い目の糸締めと刺繍糸Sの繰り出しとを行うものである。
【0039】
20,20,…は天秤19の下側に位置して針棒ケース7内に設けられた例えば9個の針棒で、該各針棒20の下端側にはそれぞれミシン針21が着脱可能に装着されている。そして、これらの針棒20およびミシン針21は、ヘッド本体6に設けられた針棒駆動部(図示せず)により主軸11の回転に従って上,下に駆動されるものである。
【0040】
また、これらの針棒20、ミシン針21についても、天秤19と同様に色替え機構8により選択され、選択された針棒20のみがミシン針21と共に上,下に往復動されるものである。そして、非選択となった残余の針棒20はミシン針21と一緒に図3に示す如く上死点位置に留まり、色替え機構8で選択されるまでは上死点位置に保持されるものである。
【0041】
この場合、合計9本の針棒20(天秤19)のうち、例えば1番目となる針棒20(天秤19)を色替え機構8で選択した場合が図5、図7に示す色替え状態に相当し、例えば9番目となる針棒20(天秤19)を色替え機構8で選択した場合が図6、図8に示す色替え状態に相当するものである。
【0042】
22は図1、図2に示すようにヘッド部5の下側に位置してミシンの基台1上に配設された刺繍枠等の移動枠で、該移動枠22は刺繍布(図示せず)等を展張状態で保持するものである。そして、移動枠22は、図10に示す枠移動機構23により駆動され、刺繍布と共に基台1上を前,後、左,右(X軸、Y軸方向)へと水平方向に枠移動されるものである。
【0043】
そして、このように移動枠22が枠移動されるときには、これにほぼ連動してヘッド部5側のミシン針21が上,下に運針されることにより、刺繍布等には刺繍データに対応した刺繍柄が実現されるものである。また、図1に示す如く移動枠22の下側には、基台1との間に位置して下糸用の回転釜24等が設けられ、この回転釜24内には下糸ボビン(図示せず)等が配置されるものである。
【0044】
25は図1に示すようにヘッド支持体4上に設けられたミシンの制御装置で、該制御装置25は、例えばオートマットと呼称されるミシン専用のコントロールユニットからなり、例えば刺繍作業に必要な情報等を表示する表示器26と、キーボード、ジョグキーおよび複数のスイッチ等からなる入力操作部27と、フレキシブルディスクまたはICカード等を用いた外部記憶装置28等とが設けられている。
【0045】
ここで、制御装置25は、図10に例示するように入力側に入力操作部27、後述のカメラ31および外部記憶装置28等が接続され、出力側には色替え機構8、主軸モータ10、枠移動機構23、表示器26および外部記憶装置28等が接続されている。
【0046】
また、制御装置25には、例えばRAM,ROM等の半導体素子を用いた記憶部25Aが設けられ、この記憶部25A内には、後述のカメラ31で撮像した画像を処理するための画像処理用プログラム(図11に示す)等が格納されると共に、後述の画素データ等が図12、図13等に示す多数のメモリ番地(メモリ上のアドレス)毎にそれぞれ更新可能に格納されるものである。
【0047】
31は刺繍糸Sを画像として撮像する撮像手段を構成するカメラで、該カメラ31は、例えばCCD(電荷転送デバイス)を用いたラインセンサ、デジタルカメラ等により構成され、図5〜図8に示すようにヘッド本体6の上面側にブラケット32等を介して設けられている。そして、カメラ31は、図3に示す如くボックス構造をなす糸調子台9の背面側に位置してヘッド本体6上に固定され、刺繍糸Sの糸経路の途中で透し穴17を介して刺繍糸Sと対向する定位置に配設されている。
【0048】
即ち、色替え機構8により刺繍糸Sの選択動作(色替え動作)を行うときに、糸調子台9はカメラ31に対して図5〜図8中の矢示A,B方向に移動する。そして、色替え動作の完了時には、複数の透し穴17,17,…のうちいずれか1つの透し穴17がカメラ31と前,後で正対する位置に停止され、この状態でカメラ31は、前側の透し穴17を通して刺繍糸Sの撮像を行うものである。
【0049】
ここで、カメラ31は、図9に示す如くカメラケース33内に間隔をもって配設された光学レンズ34と撮像素子35等とにより構成され、該撮像素子35としては、例えば256画素のCCDラインセンサ等が用いられるものである。そして、撮像素子35は、例えば1画素が10〜14μm(ミクロン)角となり、受光部のライン長は3.6mm程度である。
【0050】
また、光学レンズ34の焦点距離を20mmとした場合に、刺繍糸Sから20mm離れた位置に光学レンズ34を配置し、撮像素子35は、光学レンズ34から20mm離れた位置に配置すればよい。これにより、刺繍糸Sと等倍の画像が撮像素子35で撮像されるものである。
【0051】
また、光学レンズ34は凸レンズからなり、そのレンズ径は、撮像素子35のライン長を3.6mmとした場合に、例えば6〜7mm程度の外径寸法でよい。この場合、刺繍糸Sには例えば0.7mmピッチの撚りが通常は形成され、この撚りに伴って刺繍糸Sの外観形状は、図9中に例示する如く撚りによる濃淡を反映した螺旋状の明暗模様(明暗パターン)を呈するものである。
【0052】
36はカメラ31の前方に位置する刺繍糸Sに光を照射するランプで、該ランプ36は、例えば発光ダイオード等を用いて構成され、カメラ31の前方に位置する刺繍糸Sを斜め上方等から明るく照らすものである。そして、ランプ36から刺繍糸Sに対して斜めに光を照射することにより、刺繍糸Sの撚りによる明暗パターンを際立たせることができ、例えば撚りによる山の部分は明るく、谷の部分は暗い像としてカメラ31により撮像される。
【0053】
なお、赤外線に感度のある撮像素子35を用いた場合には、ランプ36を赤外線発光ダイオードで構成するのがよい。これにより、ミシンのオペレータは、ランプ36からの赤外光に邪魔される(赤外光を気にする)ことなく、ミシン周囲での作業を行うことができる。また、ランプ36は、ミシンの設置場所等に応じて適宜に用いればよく、照明が無い場合でもカメラ31による刺繍糸S等の撮像は可能である。
【0054】
本実施の形態による多色刺繍ミシンの糸使用量検知装置は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0055】
まず、主軸モータ10により主軸11を回転させ、ヘッド部5の天秤駆動部、針棒駆動部を往復動させると、色替え機構8により選択された針棒20が針棒駆動部によってミシン針21と共に上,下に駆動され、該ミシン針21を刺繍布に対して運針させる。
【0056】
また、色替え機構8により選択された天秤19についても、天秤駆動部により上,下方向に揺動される。そして、色替え機構8で選択された所望色の刺繍糸Sは、天秤19の上,下動に従って、図2に示す糸立て台12上の上糸ボビン12A,12B,12C,…のいずれか1つから糸張り器13、糸調子14等を介してミシン針21側に供給される。
【0057】
ここで、色替え機構8による色替え動作時には、糸調子台9に穿設した複数の透し穴17,17,…のうちいずれか1つの透し穴17が、カメラ31と前,後で正対する位置に停止され、この状態でカメラ31は、前側の透し穴17を通して刺繍糸Sを前方視界内に収めつつ、撮像を行うものである。
【0058】
そして、天秤19によりミシン針21側に給糸される刺繍糸Sは、カメラ31の前方視界内を上,下方向に移動しつつ、ミシン針21の運針動作に伴って移動枠22側の前記刺繍布に縫付けられる。そして、ミシン針21が刺繍布に縫い目を形成する毎に、刺繍糸Sが天秤19を介してミシン針21側へと給糸され、所望の刺繍柄が作成される。
【0059】
この場合、ミシン針21は、例えば1針の縫いピッチが最大で12.7mmであり、このときに主軸11が1200rpmで回転している場合を想定すると、1針分の運針動作に費やされる時間は50msとなる。しかし、ミシンの特性から刺繍糸Sの繰出しは、主にその半サイクルに集中して実行されるので、1針分の時間は、その半分の25ms程度となる。
【0060】
また、マイクロコンピュータからなる制御装置25は、例えばカメラ31からの画像データを読取って後述の如くデータのシフト比較等を行うのに、少なくとも60〜70μsec程度の処理時間を要するので、前記画像データの読取り、シフト比較に費やされる時間(周期)は、例えば100μsec程度となる。
【0061】
これにより、制御装置25は、前述した1針分の時間(25ms)の間に、例えば12.7mm程度の移動量で移動する刺繍糸Sを合計250回(サイクル)分の画像データとして読取りつつ、データのシフト比較処理等を繰返しを実行できるものである。
【0062】
そして、1サイクル間の画像データ(前回の画像データから次なる読取り周期での画像データまで)にわたって刺繍糸Sが移動する糸移動量は、ほぼ50μm(12.7÷250≒0.05)となり、この50μmの糸移動量は、1画素を仮に10μmとした場合にほぼ5画素分に相当する移動量となる。
【0063】
また、1針分の糸移動量が、例えば2.50mm程度となった場合でも、画像データ1サイクル分の糸移動量は、10μm(2.50÷250=0.01)となり、この10μmの糸移動量は、1画素を仮に10μmとした場合にほぼ1画素分に相当する移動量となる。
【0064】
これにより、刺繍糸Sが0.7mm程度の撚りピッチを有している場合でも、この撚りピッチよりも十分に小さい間隔で刺繍糸Sの画像を読取ることができ、各読取り周期毎の画像データを比較処理することによって、糸移動量が何画素分に相当する移動量であるかを、糸使用量として演算により検知することが可能となる。
【0065】
そこで、カメラ31を用いて撮像した刺繍糸Sの画像データを、制御装置25によりシフト比較する場合の画像処理動作について、図11ないし図13を参照して具体的に説明する。
【0066】
まず、図11に示す画像処理動作がスタートすると、ステップ1で予め決められた読取り周期に達したか否かを判定し、「YES」と判定した場合に次なるステップ2に移り、カメラ31から刺繍糸Sの画像データを、例えば図12(a)に示す如き一次メモリの数値データとして読取る。
【0067】
カメラ31の撮像素子35から出力されるデータは、出力8ビットで、データ値が0〜255の値となるのが一般的であり、読取り数値0が最も暗く、255が最も明るいデータ値である。なお、以降の説明では、図3に示すカメラ31で撮像される刺繍糸Sのデータ値が、100を越えない明るさになる場合を例に挙げて説明する。
【0068】
このため、図12(a)に示す画像データ(数値データ)は、例えば最大値で88となり、最小値で34となる明暗(濃淡)データで表される。また、1回の読取り周期で出力される画像データは、例えば256画素分の数値データとなるが、図12、図13に示すデータは、説明の都合上で約1/10の26画素に相当するデータとして表している。
【0069】
そして、1画素分が14μmとなる撮像素子35を用いた場合、以下の説明では1画素分が10倍の140μmに相当するものとして述べる。また、最新の画像データ(数値データ)を構成する26画素分のデータは、制御装置25の記憶部25A内に形成された多数のメモリ番地(メモリ上のアドレス)のうち、例えば一次メモリとなるメモリ番地0〜25にそれぞれ更新可能に格納される。
【0070】
次に、図11に示すステップ3の処理では、図12(a)に示す数値データを図12(b)に示すように各画素毎に2値化する。即ち、図12(a)に示す各画素データは、最大値が88となり、最小値が34となっているので、両者の中間値(例えば、最大値と最小値の平均値61)を閾値(スレッシュホールド値)として中間値61以上を「1」とし、中間値61未満を「0」として2値化を行うものである。なお、中間値としては最大値と最小値の単純平均ではなく、一定の比率を乗算した値とすることもできるし、全データの平均値を採用することもできる。
【0071】
そして、次なるステップ4では、前回の読取り周期において読取った二次メモリの数値データ(前回の画像データ)を読出す。この場合、前回の画像データは、前回の読取り周期において2値化処理が実行されているので、図12(c)に示すように各画素毎に2値化したデータとなり、例えば二次メモリとなるメモリ番地100〜125にそれぞれ格納されているものである。
【0072】
次に、図11に示すステップ5の処理では、図13(a)〜(c)に示す如く前回の画像データと今回の画像データとを各画素毎にシフト比較を行う。即ち、図13(a)に示すシフト比較では、メモリ番地100〜124に格納された前回の画素データを1番地分だけ糸の進行(移動)方向にシフトし、メモリ番地101〜125にそれぞれ割り当てる。
【0073】
また、1番地分のシフトにより空き番地となったメモリ番地100には、画素データが存在しないものとして「−1」を書込み、シフト比較の対象から外すようにする。そして、シフト比較の結果を、図13(a)に示す一致比較として表すようにする。
【0074】
この場合、今回の画素データと前回の画素データは、例えばメモリ番地1,101で不一致となっているので、一致比較を「0」に設定し、例えばメモリ番地2,102のように両者が一致する場合には、一致比較を「1」に設定する。また、例えばメモリ番地10,110のように画素データが不一致となる場合も、一致比較を「0」に設定し、例えばメモリ番地11,111のように両者が一致する場合には、一致比較を「1」に設定する。
【0075】
そして、図13(a)に示す1番地分のシフト比較では、今回の画素データと前回の画素データが、例えば64%程度の確率で一致していると認識されるものである。
【0076】
また、図13(b)に示すシフト比較では、メモリ番地100〜123に格納された前回の画素データを2番地分だけ糸の進行(移動)方向にシフトし、メモリ番地102〜125にそれぞれ割り当てる。そして、2番地分のシフトにより空き番地となったメモリ番地100,101には、画素データが存在しないものとして「−1」をそれぞれ書込み、シフト比較の対象から外すようにする。
【0077】
そして、この場合もシフト比較の結果を、図13(b)の一致比較として表すが、この場合には、今回の画素データと前回の画素データは、例えばメモリ番地2〜25とメモリ番地102〜125とにわたって全て一致しているので、一致比較は「1」となって、ほぼ100%の確率で一致していると認識されるものである。
【0078】
一方、図13(c)に示すシフト比較では、メモリ番地100〜124に格納された前回の画素データを3番地分だけ糸の進行(移動)方向にシフトし、メモリ番地103〜125にそれぞれ割り当てる。そして、3番地分のシフトにより空き番地となったメモリ番地100,101,103には、画素データが存在しないものとして「−1」をそれぞれ書込み、シフト比較の対象から外すようにする。
【0079】
そして、この場合もシフト比較の結果を、図13(c)の一致比較として表すが、この場合には両者の画素データが、例えばメモリ番地3〜5とメモリ番地103〜105とで一致し、一致比較はそれぞれ「1」に設定される。しかし、例えばメモリ番地6,7とメモリ番地106,107のように画素データが不一致となっているので、一致比較はそれぞれ「0」に設定されている。
【0080】
このように、図13(c)に示す3番地分のシフト比較では、今回の画素データと前回の画素データが、例えば65%程度の確率で一致していると認識されるものである。
【0081】
そして、上記の図12、図13に示す今回の画素データと前回の画素データとは、図13(b)に示す2番地分のシフト比較において、ほぼ100%の確率で一致しているので、前回の読取りデータから今回の読取りデータ(1サイクル間の画像データ)の間に、2画素分に相当する移動量で刺繍糸Sが移動(例えば、ミシン針21側に向けて供給)されていると識別できる。
【0082】
そこで、次なるステップ6では、1画素が140μmに対応する場合に、刺繍糸Sの移動量を例えば280μm(140×2)として演算する。そして、ステップ7では、例えば刺繍作業を開始してから今回の読取り周期に至るまでの移動量を合計し、移動量の合計値(刺繍糸Sの糸使用量)を演算する。
【0083】
また、ステップ7で刺繍糸Sの糸使用量を演算した後には、今回の読取りデータを前回のデータと入れ替えて、前述したメモリ番地100〜125(二次メモリ)に更新可能に格納し、次なる読取り周期に備えてメモリ番地0〜25(一次メモリ)をクリアにする。そして、その後はステップ8でリターンしつつ、再びステップ1以降の処理を、刺繍作業が完了するまで続行する。
【0084】
かくして、本実施の形態によれば、CCD等の撮像素子35からなるカメラ31を用いて撮像した刺繍糸Sの画像を、制御装置25側に予め決められた読取り周期(例えば、100μsec)毎に画像データとして読取り、これらの各読取り周期毎の画像データを、前述したシフト比較等の手段で比較演算する構成としている。
【0085】
これにより、前回の読取りデータから今回の読取りデータ(1サイクル間の画像データ)の間に刺繍糸Sが、何画素分に相当する移動量で移動しているかを演算して求めることができ、刺繍作業の途中であっても、ミシン針21に実際に供給された刺繍糸Sの供給量(糸消費量)を、糸使用量として連続的に計測し続けることができる。
【0086】
従って、本実施の形態によれば、刺繍等の縫製作業によりミシン針21に向けて供給される刺繍糸Sを、CCD等のカメラ31を用いて撮像することにより、刺繍糸Sに全く接触することなく、糸の動き(移動)を細かく追跡するようにモニタすることができ、縫い調子を損なうことなく、糸使用量を高精度に検知することができる。
【0087】
そして、色替え機構8等により刺繍糸Sの色替えが行われたときでも、単一のカメラ31によって、色替え対象の刺繍糸Sを自動的に選択し、この刺繍糸Sの動きを撮像して読取ることができ、従来技術のように複数の光電センサ等を用いる必要がなくなり、制御装置25の処理回路等を含めて全体の構造を簡略化することができる。
【0088】
しかも、多数色の刺繍糸Sに対しても、例えば上糸ボビン12A,12B,12C,…から各刺繍糸Sがどの程度の使用量で消費されているかを、制御装置25側で常に監視し続けることができ、各刺繍糸S毎の糸管理等を高精度に、かつ容易に行うことができる。
【0089】
また、前述の如く一次メモリ(メモリ番地0〜25)の画素データと二次メモリ(メモリ番地100〜125)の画素データをシフト比較する場合には、複数番地分にわたってシフト比較をおこなっても、ノイズの影響等で今回の画素データと前回の画素データが100%の確率で完全には一致しないことがある。
【0090】
しかし、このような場合には、各読み取り周期毎の一致率の変化を順次記憶しておくようにすれば、例えば100%の確率(一致率)に達しないときでも、100%に近い最大の一致率となるシフト比較の場合を選定することにより、刺繍糸Sの移動量が何画素分に相当するかとして演算により求めることができ、ミシン針21に実際に供給された刺繍糸Sの供給量を、糸使用量として細かく検知することができる。
【0091】
また、図11中に示す画像処理工程において、ステップ3による画像データの2値化処理は必ずしも必須ではないが、一次メモリ(メモリ番地0〜25)の画素データと二次メモリ(メモリ番地100〜125)の画素データをシフト比較する場合に、これらのデータをシフト比較に先だって予め2値化しておくことにより、ステップ5によるシフト比較をより効率的に短時間で行うが可能となる。
【0092】
そして、このような2値化処理は、前述の如く画像データ(各画素データ)の中間値を閾値とし、それより明るい場合を「1」とし、暗い場合を「0」とすることにより、例えば刺繍糸Sの色が、赤、青、黄、白、黒色等のように異なる多数色の刺繍糸Sに対しても、糸の色違いによるデータ値の違い(バラツキ)等を良好に補正でき、前記シフト比較を安定して行うことが可能となる。
【0093】
また、刺繍糸Sの移動量とメモリ番地のシフト量(何画素分に相当するか)との関係は、カメラ31に内蔵した光学レンズ34等の倍率、撮像素子35のサイズ、撮像素子35の画素の大きさ等で決められるものであり、前述したシフト比較におけるシフト量(何番地分シフトしたか)により刺繍糸Sの移動量を演算して求めることができる。
【0094】
また、刺繍時等の縫製作業の途中では、刺繍糸Sの移動方向が必ずしも一方向ではなく、例えばミシン針21に向けて供給する方向とは逆向きに戻ることもあるので、前述したシフト比較の処理は、糸の進行方向と戻る方向の両方向で行うのがよく、これによって刺繍糸Sの移動量(糸使用量)をより正確に計測して検知することができる。
【0095】
そして、前述の如く計測した刺繍糸Sの移動量データ(糸使用量データ)を制御装置25内等でデータ処理する場合には、例えば糸移動量が0.1mmに達する毎に1パルスの計数信号(カウント信号)を出力する方法等を採用することにより、制御装置25内でのデータ処理工程で特別に読取り信号、リセット信号等を出力する必要がなくなり、データ処理の簡略化を図ることができる。
【0096】
また、ミシンの主軸モータ10が回転するときに、これに同期した読取りパルスを与えて、一回転毎の移動量データとして制御装置25または外部の制御装置(図示せず)から読出す方法を取ることもできる。そして、この読取りパルスに従って移動量データを出力した時点で、現在積算した移動量を零にリセットする等、種々の方法で信号処理を行うことができる。
【0097】
また、カメラ31からの画像をデータとして読取る周期は、制御装置25の処理能力が許す範囲で短い周期とすれば、刺繍糸Sの移動(糸の消費状態)をより細かく検知することができる。また、刺繍糸Sの移動量は、移動枠22の枠移動量、前記刺繍布の厚さ等によって予め判別することも可能であるから、枠移動量や布厚さ等に応じて前記読取り周期を可変に設定することもできる。
【0098】
また、制御装置25は、図11に例示した画像処理等の手段を用いて刺繍糸Sの移動量(糸使用量)を、例えば1画素(10〜14μm程度)毎にモニタ(監視)することにより、刺繍糸Sの糸切れ、下糸の消耗等を短時間で高精度に検出することができる。
【0099】
この場合、移動枠22の枠移動量、刺繍布の厚さに対して1針毎の糸使用量(刺繍糸Sの移動量)が明らかに少なければ糸切れと判別することができ、例えば縫いピッチ(枠移動量や布厚さで決められる)の5〜7割程度を閾値とし、糸使用量がこの閾値を下回る値(移動量)となったときに、刺繍糸Sの糸切れ、または下糸の消耗と判断することができる。
【0100】
従って、カメラ31等を用いて糸使用量の変化を検知することにより、刺繍糸S等の糸切れ(下糸の消耗)を早期に安定して検出することができる。しかも、複数の刺繍糸S等を用いる多色刺繍ミシンに対しても、単一のカメラ31(撮像素子35)を用いて糸使用量を検知することができ、全体の構造を簡素化することができる。
【0101】
次に、図14および図15は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態では前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。しかし、本実施の形態の特徴は、撮像手段を構成するカメラ41に後述の円筒レンズ43(シリンドリカルレンズ)を用いたことにある。
【0102】
ここで、刺繍糸Sを画像として撮像するカメラ41は、第1の実施の形態で述べたカメラ31とほぼ同様に構成され、図3等に例示したブラケット32を用いてヘッド本体6の上面側に取付けられるものである。しかし、この場合のカメラ41は、カメラケース42内に円筒レンズ43を光学レンズ44および撮像素子45と共に設けている点で第1の実施の形態とは異なっている。
【0103】
そして、円筒レンズ43は、刺繍糸Sと光学レンズ44との間に位置してカメラケース42の前端側に設けられ、図15に示す如く刺繍糸Sの像(画像)を糸の太さ方向(左,右方向)に拡大するものである。また、光学レンズ44、撮像素子45は、第1の実施の形態で述べた光学レンズ34、撮像素子35と同様に構成されている。
【0104】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができ、円筒レンズ43を備えたカメラ41を用いて、刺繍作業時等の縫い調子を損なうことなく、糸使用量を高精度に検知することができる。
【0105】
特に、本実施の形態では、円筒レンズ43を用いて刺繍糸Sの像を糸の太さ方向に拡大する構成としているので、カメラ41の前方視界内で刺繍糸Sが、ミシン針21の運針動作等に伴って左,右方向に糸振れ(振動)する場合でも、カメラ41の前方視界内に刺繍糸Sを収め続けることができ、刺繍糸Sが糸振れによってカメラ42の視界から外れる等の不具合を解消することができる。
【0106】
なお、前記各実施の形態では、糸使用量検知装置を多色刺繍ミシンに適用する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば家庭用ミシン、工業用ミシン等、種々のミシンにも適用できる。また、撮像対象となる縫製糸についても、刺繍糸Sに限らず、これ以外の縫製用の上糸等、種々の糸にも適用できるものである。
【0107】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1に記載の発明によれば、糸収納部からミシン針に至る縫製糸の糸経路の途中で該縫製糸と対向する位置に撮像手段を設け、該撮像手段から出力される画像データを予め決められた周期毎に読取って糸使用量を演算する演算手段を備える構成としているので、各読取り周期毎の画像データを比較することにより、前回の読取り周期で読取った画像に対して今回の画像が、例えば画像データの何画素分に相当する移動量で移動しているかを演算して求めることができる。これにより刺繍時等の縫製作業の途中であっても、ミシン針に実際に供給された縫製糸の供給量(糸消費量)を糸使用量として連続的に計測し続けることができ、糸収納部に収納する縫製糸の糸管理等を高精度に、かつ容易に行うことができる。
【0108】
また、撮像手段を用いることにより縫製糸の動きをほぼ連続的に撮像しているため、縫製作業を行っている途中で、縫製糸の動きが急激に低下し、例えば縫いピッチに比較して1針当たりの糸使用量が明らかに少なくなった場合には、上糸または下糸の糸切れ(消耗)が発生したものとして判別でき、縫製糸の糸切れ判定等を早期に安定して行うことができる。従って、撮像手段を用いて縫製糸を撮像することにより縫い調子を損なうことなく、糸使用量を高精度に検知できると共に、糸使用量の急激な変化を検出することにより、縫製糸の糸切れまたは下糸の消耗等を早期に安定して検出できる。
【0109】
また、請求項2に記載の発明は、多色刺繍を行うため複数の縫製糸のうちヘッド部で選択されてミシン針に供給される縫製糸を、予め決められた位置に設けられた単一の撮像素子により撮像する構成としているので、ミシン針と天秤とをそれぞれ複数個有した多色刺繍ミシンにあっても、単一の撮像素子を用いて各縫製糸の使用量をほぼ連続的に検知することができ、従来技術のように複数の光電センサ等を用いる必要がなくなり、全体の構造を簡素化することができる。
【0110】
さらに、請求項3に記載の発明は、各読取り周期の画像データをそれぞれの画素データ毎に2値化することにより、縫製糸の画像を各画素毎に明るい部分と暗い部分とに明暗パターンとして弁別することができる。そして、これらの明暗パターンからなる2値化した各画像データを互いに比較することにより、前回の読取り周期で読取った画像に対して今回の画像が、前記明暗パターン(複数の画素データ)のうち何画素分に相当する移動量で移動しているかを演算でき、縫製糸の移動量を糸使用量として十数ミクロンの単位で細かく検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による糸使用量検知装置が設けられた多色刺繍ミシンを示す正面図である。
【図2】多色刺繍ミシンの一部を破断して示す図1の右側面図である。
【図3】ヘッド部を拡大して示す図2中の要部拡大図である。
【図4】ヘッド部を拡大して示す図1中の要部拡大図である。
【図5】ヘッド本体に設けたカメラ等を図3中の矢示V−V方向から拡大して示す断面図である。
【図6】針棒ケース等を色替えのために移動させた状態を示す図5とほぼ同様の断面図である。
【図7】図5と対応した色替え位置での針棒ケース等を示す斜視図である。
【図8】図6と対応した色替え位置での針棒ケース等を示す斜視図である。
【図9】刺繍糸を撮像するカメラ内の構造を示す断面図である。
【図10】多色刺繍ミシンの制御装置等を示す制御ブロックである。
【図11】図10の制御装置による画像処理動作等を示す流れ図である。
【図12】制御装置の記憶部内に格納された画像データを示すデータ構成図である。
【図13】制御装置による画像データのシフト比較処理を示すデータ構成図である。
【図14】第2の実施の形態による糸使用量検知装置のカメラを示す図9とほぼ同様の断面図である。
【図15】図14中のカメラを矢示XV−XV方向からみた断面図である。
【符号の説明】
1 基台
2,3 側枠
4 ヘッド支持体
5 ヘッド部
6 ヘッド本体
7 針棒ケース
8 色替え機構
9 糸調子台
11 主軸
12 糸立て台(糸収納部)
14 糸調子
15,16,18 糸ガイド
17 透し穴
19 天秤
20 針棒
21 ミシン針
22 移動枠
23 枠移動機構
25 制御装置
31,41 カメラ(撮像手段)
32 ブラケット
34,44 光学レンズ
35,45 撮像素子
S 刺繍糸(縫製糸)

Claims (3)

  1. 主軸の回転に従ってミシン針と天秤をそれぞれ駆動するミシンのヘッド部と、
    該ヘッド部のミシン針に前記天秤を介して縫製糸を供給するため該縫製糸を収納した糸収納部と、
    該糸収納部から前記ミシン針に至る縫製糸の糸経路の途中で該縫製糸と対向する位置に設けられ、前記糸経路に沿って移動する前記縫製糸を画像として撮像する撮像手段と、
    該撮像手段から出力される画像データを予め決められた周期毎に読取り、各読取り周期毎の画像データを比較することにより前記ミシン針に供給された縫製糸の供給量を糸使用量として演算する演算手段とにより構成してなるミシンの糸使用量検知装置。
  2. 前記ヘッド部は、多色刺繍を行うため前記ミシン針と天秤とをそれぞれ複数個有し、該各ミシン針と天秤のうちいずれか1つのミシン針と天秤を選択的に駆動する構成とし、
    前記糸収納部は、前記ヘッド部の各ミシン針に対し前記縫製糸をそれぞれ天秤を介して供給するため複数の縫製糸を収納し、
    前記撮像手段は、これらの複数の縫製糸のうち前記ヘッド部で選択され前記ミシン針に供給される縫製糸を、予め決められた位置で撮像する単一の撮像素子により構成してなる請求項1に記載のミシンの糸使用量検知装置。
  3. 前記撮像手段で撮像した縫製糸の画像データは、該縫製糸の長さ方向で複数個に分割された複数の画素データからなり、前記演算手段は、各読取り周期の画像データをそれぞれの画素データ毎に2値化し、これらの2値化した各画像データを互いに比較するときに、前回の読取り周期で読取った画像に対して今回の画像が、前記複数の画素データのうち何画素分に相当する移動量で移動しているかを演算して前記縫製糸の使用量を求める構成としてなる請求項1または2に記載のミシンの糸使用量検知装置。
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