JP2004201524A - きのこ栽培方法並びにきのこ栽培容器用共通上蓋 - Google Patents
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Abstract
【課題】菌掻後の栽培瓶内にきのこの培養に必要な空気を取り込み、雑菌や胞子、異物等を侵入し難くして、菌床面の過湿や乾燥を防止し、共通上蓋を取り外すまでの時間を調節することにより、発生する子実体数をコントロールして、良質なきのこの収率性を高め、安定的に生産できるようにする。
【解決手段】コンテナ6に、開口を上に向けて一面に並べて収容した複数の各栽培容器1内の培地に接種した種菌の一次菌糸蔓延後に、その各栽培容器1から種菌の一部又は全部を掻き出し、その菌掻後の各栽培容器1に共通の上蓋7を乗せて各栽培容器1の開口を閉じ、その各栽培容器1内の培地菌床面に二次菌糸蔓延後又は子実体発生後に共通上蓋7を取り外す
【選択図】 図1
【解決手段】コンテナ6に、開口を上に向けて一面に並べて収容した複数の各栽培容器1内の培地に接種した種菌の一次菌糸蔓延後に、その各栽培容器1から種菌の一部又は全部を掻き出し、その菌掻後の各栽培容器1に共通の上蓋7を乗せて各栽培容器1の開口を閉じ、その各栽培容器1内の培地菌床面に二次菌糸蔓延後又は子実体発生後に共通上蓋7を取り外す
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種のきのこを菌床栽培する方法、特に菌掻後の栽培方法並びに栽培容器用共通上蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、えのき茸、しめじ、まい茸、なめこ、エリンギ等、種々のきのこが人工栽培され市販されている。このようなきのこを菌床栽培する場合、通常栽培容器として耐熱性の栽培瓶を用い、各栽培瓶を生産単位として取り扱い、市販に適したきのこ栽培を行っている。その際、菌床栽培は一般的に次のような工程を経て行われている。
【0003】
きのこの栽培時には、先ず栽培瓶に培地を詰め、その瓶にキャップをし、その瓶を釜に入れて培地を殺菌し、その瓶を接種室に移して放冷させ、その後キャップを瞬間的に開けて、培地にきのこの種菌を接種する。そして、このような種菌を接種した栽培瓶を培養室に移して置く。すると、培地の菌床面に菌糸(一次菌糸)が発生してきて蔓延状態になる。そこで、栽培瓶を菌掻室に移してキャップを取り去り種菌の一部又は全部を掻き出す。なお、きのこの発生には種菌が邪魔になる。
【0004】
この菌掻直後に栽培瓶を芽出室に移動する。すると、培地の菌床面に更に菌糸(二次菌糸)が発生してきて蔓延状態になり、小さな子実体(きのこ)が発生してくる。そこで、栽培瓶を生育室に移し、子実体が大きくなったら収穫をする。なお、きのこの菌床栽培工程を実施する際には、通常平皿状のコンテナを用いる。すると、そのコンテナ内に栽培瓶を例えば一般的に行われている4行4列に直立させて一面に並べて収容することにより、多数の栽培瓶をまとめて一度に取り扱えるため好都合となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、きのこの菌床栽培工程において、菌掻した栽培瓶を菌掻室から移動し、芽出室に置いておくと問題が発生する。何故なら、移動途中や芽出室内の空気中にはバクテリア等の雑菌やかび、きのこの胞子、異物等が浮遊しており、それ等が栽培瓶内に侵入し、菌床面に落下すると害を及ぼすからである。例えば、害菌により子実体の芽出しや生長が阻害されて収穫できなくなったり、菌床面に落下した胞子の栄養伸長により生長中の子実体が生長を止めてしまったりする。又、芽出室内では一定湿度に保っておいても、栽培瓶を置く場所によってその菌床面が過湿になり、或いは乾燥状態になる等の偏りが発生する。
【0006】
本発明はこのような従来の問題点に着目してなされたものであり、菌掻後の栽培瓶内にきのこの培養に必要な空気を取り込み、雑菌や胞子、異物等を侵入し難くして、菌床面の過湿や乾燥を防止し、菌床面から発生する子実体数をコントロールして、良質なきのこの収率性を高め、安定的に生産できるきのこ栽培方法並びにきのこ栽培用共通上蓋を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によるきのこ栽培方法ではコンテナに、開口を上に向けて一面に並べて収容した複数の各栽培容器内の培地に接種した種菌の一次菌糸蔓延後に、その各栽培容器から種菌の一部又は全部を掻き出し、その菌掻後の各栽培容器に共通の上蓋を乗せて各栽培容器の開口を閉じ、その各栽培容器内の培地菌床面に二次菌糸蔓延後又は子実体発生後に共通上蓋を取り外すという工程を踏む。
【0008】
又、本発明によるきのこ栽培容器用共通上蓋では上蓋本体の周縁に、下方に突出するリング状の側壁を一体に設け、そのリング状側壁を下方程開かせる。
そして、きのこ栽培容器用共通上蓋に吸湿性材料を用いると好ましくなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図1〜4を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明を適用したきのこ栽培方法の一工程で、コンテナに収容した菌掻後の各栽培瓶へ共通上蓋をした状態を示す斜視図である。このきのこ栽培方法でも従来の菌床によるきのこ栽培方法とほぼ同一の工程を実施する。そして、栽培容器にはやはり従来から使用されているポリプロピレン等からなる耐熱性のプラスチック瓶を用いる。なお、この栽培瓶1は図2に示すような上端を開口2にし、その開口2を形成する上端部3の径より下部の径を大きくして胴部4を長くし、下端を閉じて底壁5を形成した円筒体にする。
【0010】
きのこの栽培時には、先ずおが屑に米糠等の各種栄養材料、水を混合して培地を作る。次に、平皿状のコンテナ6を用い、図3に示すようにそのコンテナ毎に多数の栽培瓶1をいずれも開口2を上に向けて直立させ、例えば4行4列に配置して一面に並べて収容する。そして、コンテナ6に収容した各栽培瓶1に培地を詰め、夫々キャップをする。なお、以降の工程では栽培瓶1を多数の栽培瓶1を収容したコンテナ単位で取り扱う。次に、栽培瓶1を釜に入れ培地を殺菌する。
【0011】
この殺菌後、釜から栽培瓶1を取り出し接種室に移して放冷する。そして、放冷した栽培瓶1のキャップを瞬間的に開け、培地にきのこの種菌を接種し、再びキャップをする。すると、栽培瓶1を培養室に移して置くことにより、培地の菌床面に菌糸(一次菌糸)が発生してきて蔓延状態になる。一次菌糸が栽培瓶1の内部に蔓延するのに、例えばえのき茸では20〜25日程、エリンギでは30〜40日程かかる。そこで、一次菌糸蔓延後に栽培瓶1を菌掻室に移してキャップを取り去り、菌床面から種菌の一部又は全部を掻き出す。
【0012】
このようにして、コンテナ6に収容した各栽培瓶1から種菌を夫々掻き出した直後に、図1に示すように各栽培瓶1に共通の上蓋7をする。この共通上蓋7は平板状の上蓋本体8の周縁に、下方に突出するリング状の平板状側壁9を一体に設け、そのリング状側壁9を下方程開かせたものである。このような共通上蓋7の原材料には紙、布、不織布、金属、プラスチック、木、ゴム等、種々のものを使用することができる。特に、ボール紙は吸湿性があるので好ましい。
【0013】
そこで、図4にボール紙を用いて共通上蓋7を形成する場合の一実施形態を展開図で示す。この展開図において、中央の大きな正方形部が一辺の長さが例えば37cmの上蓋本体8となり、四方に夫々突出する高さが例えば3cmの細長い台形部10(10a、…10d)がリング状側壁9となる。そして、相対する2個の例えば台形部10a、10cの各両端に耳部11を夫々設けておく。なお、各耳部11は隣接する10b、10dに夫々貼り付け或いは金具止め等により結合してリング状側壁9を形成する。
【0014】
共通上蓋7をした後、栽培瓶1を芽出室に移して置く。すると、共通上蓋7がコンテナ6に収納した全ての栽培瓶1の開口縁上に乗り、その上蓋本体8が各栽培瓶1の開口2を夫々閉じる。但し、上蓋本体8は各栽培瓶1の開口縁上にただ乗っているだけであるから、各開口2を夫々密閉することがない。そして、上蓋本体8と各栽培瓶1の開口縁との間にできる僅かな隙間からきのこの培養に必要な空気を栽培瓶内に取り込むことができる。
【0015】
しかも、上蓋本体8により各栽培瓶1の開口2がほとんど閉鎖されているため、空気中に浮遊している雑菌や胞子、異物等は当然各栽培瓶1の内部にほとんど侵入できなくなる。なお、菌掻室から芽出室への移動距離が長くても、当然その移動途中における雑菌や胞子、異物等の侵入を防止できる。又、芽出室で温度と湿度をコントロールし、その湿度を例えば90〜95%の高湿度に保っておいても、各栽培瓶に入る空気量が少ないため、菌床面の過湿や乾燥を防止できる。特に、上蓋本体8をボール紙にすると、その紙自体に若干の通気性もあり、上蓋本体8が芽出室と栽培瓶内の湿気を吸って膨潤するため、菌床面の湿度調節を適切に行える。又、上蓋本体8の周縁に更に下方に突出するリング状側壁9を一体に設けておくことにより、そのリング状側壁9がコンテナ6に収容した各栽培瓶1の開口2に向かう空気の流れを迂回させる。それ故、空気中に浮遊している雑菌や胞子、異物等が一層栽培瓶1の内部に侵入できなくなる。
【0016】
このようにして、コンテナ単位に共通上蓋7をした栽培瓶1を芽出室内に置いておくと、培地の菌床面に更に菌糸(二次菌糸)が発生してきて蔓延状態になる。二次菌糸が栽培瓶1の菌床面に蔓延するのに、えのき茸では7〜12日程、エリンギでは7〜14日程かかる。そこで、二次菌糸蔓延後又は子実体発生後に共通上蓋7を取り外す。そして、共通上蓋7を二次菌糸蔓延後に取り外した場合は芽出室に小さな子実体ができるまで置いておく。なお、共通上蓋7を取り外すまでの日数により発生する子実体数をコントロールすることができ、日数を多くすると子実体数が多くなり、日数を少なくすると子実体数が少なくなる。
【0017】
又、このような共通上蓋7はコンテナ単位の蓋として、そのコンテナ6に収容した菌掻後の全ての栽培瓶1の上に単に載せて置き、二次菌糸蔓延後に取り外すだけであるから、その取り扱いが容易であり、作業上の負担が少なくて済む。しかも、リング状側壁9が下方程開かれているので、取り外し後に共通上蓋7の内部に他の共通上蓋7を簡単に嵌めて積み重ねることができる。それ故、あまり場所も取らずに保管できて好都合である。
【0018】
小さな子実体ができたら芽出室から生育室に移す。そして、子実体が大きくなったら収穫をする。このようにして、菌掻後の栽培瓶内にきのこの培養に必要な空気を取り込み、雑菌や胞子、異物等を侵入し難くして、菌床面の過湿や乾燥を防止し、菌床面から発生する子実体数をコントロールすると、良質なきのこの収率性を高めて、安定的に生産することができる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、請求項1記載の発明ではコンテナに収容した菌掻後の各栽培容器に共通の上蓋を乗せて二次菌糸が蔓延するまで或いは子実体が発生するまで、その共通上蓋で各栽培容器の開口を閉じても、共通上蓋はコンテナに収容した各栽培容器の開口縁にただ乗っているだけであるから、各開口を密閉することがない。このため、共通上蓋と各栽培容器の開口縁との間にできる僅かな隙間からきのこの培養に必要な空気を栽培容器内に取り込むことができる。
【0020】
しかも、共通上蓋によりコンテナに収容した各栽培容器の開口がほとんど閉鎖されているため、空気中に浮遊している雑菌や胞子、異物等は当然各栽培容器内にほとんど侵入できなくなる。又、コンテナに収容した各栽培容器を置く場所を高湿度に保っておいても、各栽培容器に入る空気量が少ないため、菌床面の過湿や乾燥を防止できる。又、共通上蓋を取り外すまでの時間を調節することにより、発生する子実体数をコントロールすることができる。従って、良質なきのこの収率性を高めて、安定的に生産することができる。又、共通上蓋はコンテナ単位当たりの蓋として、そのコンテナに収容した菌掻後の全ての栽培容器の上に単に乗せて置き、二次菌糸蔓延後又は子実体発生後に単に取り外すだけであるから取り扱いが容易で、作業上の負担が小さくて済む。
【0021】
又、請求項2記載の発明では上蓋本体の周縁に、下方に突出するリング状の側壁を一体に設けることにより、そのリング状側壁で各栽培容器の開口に向かう空気の流れを迂回させて妨げることができる。それ故、空気中に浮遊している雑菌や胞子、異物等が各栽培容器の内部に一層侵入できなくなって、優れた効果を発揮できる。又、そのリング状側壁を下方程開かせることにより、取り外し後に共通上蓋の内部に他の共通上蓋を簡単に嵌めて積み重ねることができる。それ故、多数の共通上蓋をあまり場所も取らずに保管できて好都合となる。
【0022】
又、請求項3、4記載の発明ではきのこ栽培容器用共通上蓋に吸湿性材料を用いることにより、その共通上蓋がコンテナに収容した各栽培容器を置く場所の湿気と各栽培容器内の湿気を吸って膨潤するため、菌床面の湿度調節を適切に行うことができる。それ故、菌床面の過湿や乾燥を一層防止できて、優れた効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したきのこ栽培方法の一工程で、コンテナに収容した菌掻後の各栽培瓶へ共通上蓋をした状態を示す斜視図である。
【図2】同栽培瓶の斜視図である。
【図3】同コンテナに収容した栽培瓶の斜視図である。
【図4】同共通上蓋をボール紙を使用して形成する場合の一実施形態を示す展開図である。
【符号の説明】
1…きのこ栽培容器(瓶) 2…開口 6…コンテナ 7…きのこ栽培容器用共通上蓋 8…上蓋本体 9…リング状側壁
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種のきのこを菌床栽培する方法、特に菌掻後の栽培方法並びに栽培容器用共通上蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、えのき茸、しめじ、まい茸、なめこ、エリンギ等、種々のきのこが人工栽培され市販されている。このようなきのこを菌床栽培する場合、通常栽培容器として耐熱性の栽培瓶を用い、各栽培瓶を生産単位として取り扱い、市販に適したきのこ栽培を行っている。その際、菌床栽培は一般的に次のような工程を経て行われている。
【0003】
きのこの栽培時には、先ず栽培瓶に培地を詰め、その瓶にキャップをし、その瓶を釜に入れて培地を殺菌し、その瓶を接種室に移して放冷させ、その後キャップを瞬間的に開けて、培地にきのこの種菌を接種する。そして、このような種菌を接種した栽培瓶を培養室に移して置く。すると、培地の菌床面に菌糸(一次菌糸)が発生してきて蔓延状態になる。そこで、栽培瓶を菌掻室に移してキャップを取り去り種菌の一部又は全部を掻き出す。なお、きのこの発生には種菌が邪魔になる。
【0004】
この菌掻直後に栽培瓶を芽出室に移動する。すると、培地の菌床面に更に菌糸(二次菌糸)が発生してきて蔓延状態になり、小さな子実体(きのこ)が発生してくる。そこで、栽培瓶を生育室に移し、子実体が大きくなったら収穫をする。なお、きのこの菌床栽培工程を実施する際には、通常平皿状のコンテナを用いる。すると、そのコンテナ内に栽培瓶を例えば一般的に行われている4行4列に直立させて一面に並べて収容することにより、多数の栽培瓶をまとめて一度に取り扱えるため好都合となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、きのこの菌床栽培工程において、菌掻した栽培瓶を菌掻室から移動し、芽出室に置いておくと問題が発生する。何故なら、移動途中や芽出室内の空気中にはバクテリア等の雑菌やかび、きのこの胞子、異物等が浮遊しており、それ等が栽培瓶内に侵入し、菌床面に落下すると害を及ぼすからである。例えば、害菌により子実体の芽出しや生長が阻害されて収穫できなくなったり、菌床面に落下した胞子の栄養伸長により生長中の子実体が生長を止めてしまったりする。又、芽出室内では一定湿度に保っておいても、栽培瓶を置く場所によってその菌床面が過湿になり、或いは乾燥状態になる等の偏りが発生する。
【0006】
本発明はこのような従来の問題点に着目してなされたものであり、菌掻後の栽培瓶内にきのこの培養に必要な空気を取り込み、雑菌や胞子、異物等を侵入し難くして、菌床面の過湿や乾燥を防止し、菌床面から発生する子実体数をコントロールして、良質なきのこの収率性を高め、安定的に生産できるきのこ栽培方法並びにきのこ栽培用共通上蓋を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によるきのこ栽培方法ではコンテナに、開口を上に向けて一面に並べて収容した複数の各栽培容器内の培地に接種した種菌の一次菌糸蔓延後に、その各栽培容器から種菌の一部又は全部を掻き出し、その菌掻後の各栽培容器に共通の上蓋を乗せて各栽培容器の開口を閉じ、その各栽培容器内の培地菌床面に二次菌糸蔓延後又は子実体発生後に共通上蓋を取り外すという工程を踏む。
【0008】
又、本発明によるきのこ栽培容器用共通上蓋では上蓋本体の周縁に、下方に突出するリング状の側壁を一体に設け、そのリング状側壁を下方程開かせる。
そして、きのこ栽培容器用共通上蓋に吸湿性材料を用いると好ましくなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図1〜4を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明を適用したきのこ栽培方法の一工程で、コンテナに収容した菌掻後の各栽培瓶へ共通上蓋をした状態を示す斜視図である。このきのこ栽培方法でも従来の菌床によるきのこ栽培方法とほぼ同一の工程を実施する。そして、栽培容器にはやはり従来から使用されているポリプロピレン等からなる耐熱性のプラスチック瓶を用いる。なお、この栽培瓶1は図2に示すような上端を開口2にし、その開口2を形成する上端部3の径より下部の径を大きくして胴部4を長くし、下端を閉じて底壁5を形成した円筒体にする。
【0010】
きのこの栽培時には、先ずおが屑に米糠等の各種栄養材料、水を混合して培地を作る。次に、平皿状のコンテナ6を用い、図3に示すようにそのコンテナ毎に多数の栽培瓶1をいずれも開口2を上に向けて直立させ、例えば4行4列に配置して一面に並べて収容する。そして、コンテナ6に収容した各栽培瓶1に培地を詰め、夫々キャップをする。なお、以降の工程では栽培瓶1を多数の栽培瓶1を収容したコンテナ単位で取り扱う。次に、栽培瓶1を釜に入れ培地を殺菌する。
【0011】
この殺菌後、釜から栽培瓶1を取り出し接種室に移して放冷する。そして、放冷した栽培瓶1のキャップを瞬間的に開け、培地にきのこの種菌を接種し、再びキャップをする。すると、栽培瓶1を培養室に移して置くことにより、培地の菌床面に菌糸(一次菌糸)が発生してきて蔓延状態になる。一次菌糸が栽培瓶1の内部に蔓延するのに、例えばえのき茸では20〜25日程、エリンギでは30〜40日程かかる。そこで、一次菌糸蔓延後に栽培瓶1を菌掻室に移してキャップを取り去り、菌床面から種菌の一部又は全部を掻き出す。
【0012】
このようにして、コンテナ6に収容した各栽培瓶1から種菌を夫々掻き出した直後に、図1に示すように各栽培瓶1に共通の上蓋7をする。この共通上蓋7は平板状の上蓋本体8の周縁に、下方に突出するリング状の平板状側壁9を一体に設け、そのリング状側壁9を下方程開かせたものである。このような共通上蓋7の原材料には紙、布、不織布、金属、プラスチック、木、ゴム等、種々のものを使用することができる。特に、ボール紙は吸湿性があるので好ましい。
【0013】
そこで、図4にボール紙を用いて共通上蓋7を形成する場合の一実施形態を展開図で示す。この展開図において、中央の大きな正方形部が一辺の長さが例えば37cmの上蓋本体8となり、四方に夫々突出する高さが例えば3cmの細長い台形部10(10a、…10d)がリング状側壁9となる。そして、相対する2個の例えば台形部10a、10cの各両端に耳部11を夫々設けておく。なお、各耳部11は隣接する10b、10dに夫々貼り付け或いは金具止め等により結合してリング状側壁9を形成する。
【0014】
共通上蓋7をした後、栽培瓶1を芽出室に移して置く。すると、共通上蓋7がコンテナ6に収納した全ての栽培瓶1の開口縁上に乗り、その上蓋本体8が各栽培瓶1の開口2を夫々閉じる。但し、上蓋本体8は各栽培瓶1の開口縁上にただ乗っているだけであるから、各開口2を夫々密閉することがない。そして、上蓋本体8と各栽培瓶1の開口縁との間にできる僅かな隙間からきのこの培養に必要な空気を栽培瓶内に取り込むことができる。
【0015】
しかも、上蓋本体8により各栽培瓶1の開口2がほとんど閉鎖されているため、空気中に浮遊している雑菌や胞子、異物等は当然各栽培瓶1の内部にほとんど侵入できなくなる。なお、菌掻室から芽出室への移動距離が長くても、当然その移動途中における雑菌や胞子、異物等の侵入を防止できる。又、芽出室で温度と湿度をコントロールし、その湿度を例えば90〜95%の高湿度に保っておいても、各栽培瓶に入る空気量が少ないため、菌床面の過湿や乾燥を防止できる。特に、上蓋本体8をボール紙にすると、その紙自体に若干の通気性もあり、上蓋本体8が芽出室と栽培瓶内の湿気を吸って膨潤するため、菌床面の湿度調節を適切に行える。又、上蓋本体8の周縁に更に下方に突出するリング状側壁9を一体に設けておくことにより、そのリング状側壁9がコンテナ6に収容した各栽培瓶1の開口2に向かう空気の流れを迂回させる。それ故、空気中に浮遊している雑菌や胞子、異物等が一層栽培瓶1の内部に侵入できなくなる。
【0016】
このようにして、コンテナ単位に共通上蓋7をした栽培瓶1を芽出室内に置いておくと、培地の菌床面に更に菌糸(二次菌糸)が発生してきて蔓延状態になる。二次菌糸が栽培瓶1の菌床面に蔓延するのに、えのき茸では7〜12日程、エリンギでは7〜14日程かかる。そこで、二次菌糸蔓延後又は子実体発生後に共通上蓋7を取り外す。そして、共通上蓋7を二次菌糸蔓延後に取り外した場合は芽出室に小さな子実体ができるまで置いておく。なお、共通上蓋7を取り外すまでの日数により発生する子実体数をコントロールすることができ、日数を多くすると子実体数が多くなり、日数を少なくすると子実体数が少なくなる。
【0017】
又、このような共通上蓋7はコンテナ単位の蓋として、そのコンテナ6に収容した菌掻後の全ての栽培瓶1の上に単に載せて置き、二次菌糸蔓延後に取り外すだけであるから、その取り扱いが容易であり、作業上の負担が少なくて済む。しかも、リング状側壁9が下方程開かれているので、取り外し後に共通上蓋7の内部に他の共通上蓋7を簡単に嵌めて積み重ねることができる。それ故、あまり場所も取らずに保管できて好都合である。
【0018】
小さな子実体ができたら芽出室から生育室に移す。そして、子実体が大きくなったら収穫をする。このようにして、菌掻後の栽培瓶内にきのこの培養に必要な空気を取り込み、雑菌や胞子、異物等を侵入し難くして、菌床面の過湿や乾燥を防止し、菌床面から発生する子実体数をコントロールすると、良質なきのこの収率性を高めて、安定的に生産することができる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、請求項1記載の発明ではコンテナに収容した菌掻後の各栽培容器に共通の上蓋を乗せて二次菌糸が蔓延するまで或いは子実体が発生するまで、その共通上蓋で各栽培容器の開口を閉じても、共通上蓋はコンテナに収容した各栽培容器の開口縁にただ乗っているだけであるから、各開口を密閉することがない。このため、共通上蓋と各栽培容器の開口縁との間にできる僅かな隙間からきのこの培養に必要な空気を栽培容器内に取り込むことができる。
【0020】
しかも、共通上蓋によりコンテナに収容した各栽培容器の開口がほとんど閉鎖されているため、空気中に浮遊している雑菌や胞子、異物等は当然各栽培容器内にほとんど侵入できなくなる。又、コンテナに収容した各栽培容器を置く場所を高湿度に保っておいても、各栽培容器に入る空気量が少ないため、菌床面の過湿や乾燥を防止できる。又、共通上蓋を取り外すまでの時間を調節することにより、発生する子実体数をコントロールすることができる。従って、良質なきのこの収率性を高めて、安定的に生産することができる。又、共通上蓋はコンテナ単位当たりの蓋として、そのコンテナに収容した菌掻後の全ての栽培容器の上に単に乗せて置き、二次菌糸蔓延後又は子実体発生後に単に取り外すだけであるから取り扱いが容易で、作業上の負担が小さくて済む。
【0021】
又、請求項2記載の発明では上蓋本体の周縁に、下方に突出するリング状の側壁を一体に設けることにより、そのリング状側壁で各栽培容器の開口に向かう空気の流れを迂回させて妨げることができる。それ故、空気中に浮遊している雑菌や胞子、異物等が各栽培容器の内部に一層侵入できなくなって、優れた効果を発揮できる。又、そのリング状側壁を下方程開かせることにより、取り外し後に共通上蓋の内部に他の共通上蓋を簡単に嵌めて積み重ねることができる。それ故、多数の共通上蓋をあまり場所も取らずに保管できて好都合となる。
【0022】
又、請求項3、4記載の発明ではきのこ栽培容器用共通上蓋に吸湿性材料を用いることにより、その共通上蓋がコンテナに収容した各栽培容器を置く場所の湿気と各栽培容器内の湿気を吸って膨潤するため、菌床面の湿度調節を適切に行うことができる。それ故、菌床面の過湿や乾燥を一層防止できて、優れた効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したきのこ栽培方法の一工程で、コンテナに収容した菌掻後の各栽培瓶へ共通上蓋をした状態を示す斜視図である。
【図2】同栽培瓶の斜視図である。
【図3】同コンテナに収容した栽培瓶の斜視図である。
【図4】同共通上蓋をボール紙を使用して形成する場合の一実施形態を示す展開図である。
【符号の説明】
1…きのこ栽培容器(瓶) 2…開口 6…コンテナ 7…きのこ栽培容器用共通上蓋 8…上蓋本体 9…リング状側壁
Claims (4)
- コンテナに、開口を上に向けて一面に並べて収容した複数の各栽培容器内の培地に接種した種菌の一次菌糸蔓延後に、その各栽培容器から種菌の一部又は全部を掻き出し、その菌掻後の各栽培容器に共通の上蓋を乗せて各栽培容器の開口を閉じ、その各栽培容器内の培地菌床面に二次菌糸蔓延後又は子実体発生後に共通上蓋を取り外すことを特徴とするきのこ栽培方法。
- 上蓋本体の周縁に、下方に突出するリング状の側壁を一体に設け、そのリング状側壁を下方程開かせることを特徴とするきのこ栽培容器用共通上蓋。
- きのこ栽培容器用共通上蓋に吸湿性材料を用いることを特徴とする請求項1記載のきのこ栽培方法。
- 吸湿性材料を用いることを特徴とする請求項2記載のきのこ栽培容器用共通上蓋。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002372261A JP2004201524A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | きのこ栽培方法並びにきのこ栽培容器用共通上蓋 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002372261A JP2004201524A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | きのこ栽培方法並びにきのこ栽培容器用共通上蓋 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004201524A true JP2004201524A (ja) | 2004-07-22 |
Family
ID=32810914
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002372261A Pending JP2004201524A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | きのこ栽培方法並びにきのこ栽培容器用共通上蓋 |
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JP (1) | JP2004201524A (ja) |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002372261A patent/JP2004201524A/ja active Pending
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