JP2004200447A - 熱電変換モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】冷却効率の良い接合信頼性の高い熱電変換モジュールを供給する。
【解決手段】一対の基板の対向面に各々導体を形成し、各導体を介して上記基板間に第一の熱電変換素子と第二の熱電変換素子を交互に、端部めっき層を介して半田で接合し、一方の基板側の導体を冷却側として他方の基板側の導体を発熱側とし、前記端部めっき層と前記導体間の半田厚み(b)を0.005〜0.02mmとし、第一の熱電変換素子と第二の熱電変換素子の間に位置する半田凸部盛り上がり高さ(d)を、2xb以上〜0.4mm以下とした熱電変換モジュールを用いる。
【選択図】 図3
【解決手段】一対の基板の対向面に各々導体を形成し、各導体を介して上記基板間に第一の熱電変換素子と第二の熱電変換素子を交互に、端部めっき層を介して半田で接合し、一方の基板側の導体を冷却側として他方の基板側の導体を発熱側とし、前記端部めっき層と前記導体間の半田厚み(b)を0.005〜0.02mmとし、第一の熱電変換素子と第二の熱電変換素子の間に位置する半田凸部盛り上がり高さ(d)を、2xb以上〜0.4mm以下とした熱電変換モジュールを用いる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱電発電や熱電冷却等に使用される熱電変換モジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から熱電変換効果を利用した熱電変換素子が、電子冷却器、熱交換器や温度センサとして利用されている。
図1に熱電変換モジュールの一例につき、その概略斜視図を示す。これを構成する材料としては主にBi−Te−Sb系合金の溶製材もしくは焼結材のP型及びN型熱電変換素子13,14が用いられ、これらは導体(一般には、銅などの金属を用いる)15を介して交互に電気的に直列に接続されている。一般に、熱電変換素子13,14と導体15との接合は熱電変換素子の端部めっき層を介して、主に半田等を用いて接続されている。更に熱電変換素子13,14と導体15はモジュール全体の強度を保つため及び冷却・加熱対象物またはヒートシンク等と接続するために上下に平行に配置する2枚の絶縁(セラミックス等を用いる)基板11,12で挟持される構造が一般的に使われる。このような熱電変換モジュールは半導体レーザの温度制御に用いられる。図2には、このような熱電変換モジュールのひとつであるペルチェモジュールの縦断面概略図を示す。
【0003】
近年、半導体レーザは、光通信の分野において信号用光源または光ファイバ・ネットワークの増幅器の励起用光源として広く用いられるようになってきた。これら光通信用レーザの発熱量が大きくなってきていること、小型化に伴い環境温度が高くなりやすくなってきていること等によりペルチェモジュールに対する仕様も厳しくなってきており、より冷却効率の良いペルチェモジュールが必要となってきている。
【0004】
熱電変換モジュールに通電することにより、冷却、放熱作用が生じる理由は、以下の例のように説明される。図1に示すように熱電変換モジュールはP型熱電変換素子13とN型熱電変換素子14とは2枚の絶縁基板11、12によって挟持され、かつ電気的にはP型、N型が交互に直列に接続されている。外部端子(図1では電流導入端子と表示)16、17間に直流電圧を印加すると、電流がP型熱電変換素子13中では絶縁基板11から絶縁基板12に向かって、一方N型熱電変換素子14中では12から11に向かって流れる。ここで、P型の熱電変換素子13内では正孔が多数キャリアであり、もう一方N型の熱電変換素子14内では電子が多数キャリアである。この電流を担う粒子の移動はともに絶縁基板11から12に向かう方向に起こる。一方、この電流を担う正孔及び電子のキャリアは、熱の移動を伴うものでもある。このため、電流がP型熱電変換素子13中とN型熱電変換素子14中とで互いに反対方向に向かって流れるのに対して、熱の流れは常に一方向に向かって生じることとなり、従って熱電モジュールの一方の基板側では冷却が、他方の基板側では放熱が生じるのである。この時の冷却側基板、放熱側基板の温度差が大きく取れるモジュールが性能の良いモジュールといえる。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】
図2の部分拡大図を図3として示す。従来、P型熱電変換素子13とN型熱電変換素子の間に位置する半田凸部盛り上がり高さ(d)や熱電変換素子端部めっき層と導体間の半田厚み(b)について十分な考慮がなされなかった。このために、最適な冷却効率や吸熱量を得ることが難しかった。
本発明は、かかる問題点を解決し、吸熱量が大きく、冷却効率が高く、信頼性の高い熱電変換モジュールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明では、例えば、ほぼ平行に配置する、一対の基板の対向面に各々導体を形成し、各導体を介して上記基板間に第一の熱電変換素子と第二の熱電変換素子を交互に、端部めっき層を介して半田で接合し、一方の基板側の導体を冷却側として他方の基板側の導体を発熱側とし、前記端部めっき層と前記導体間の半田厚み(b)を0.005〜0.02mmとし、第一の熱電変換素子と第二の熱電変換素子の間に位置する半田凸部盛り上がり高さ(d)を、2xb以上〜0.4mm以下とすることにより、かかる課題を解決する。半田凸部盛り上がり高さ(d)を、5xb以上〜0.4mm以下とすることは更に望ましい。半田凸部盛り上がり高さ(d)を、10xb以上〜0.4mm以下とすることにより更に良い結果を得る。
【0007】
具体的には、本発明に係る熱電変換モジュールの一例としては、P型及びN型の熱電変換素子が交互に配列され、また各熱電変換素子が電気的には直列に接続されるように上側に配置する金属導体と下側に配置する金属導体により接続され、更に前記上下金属導体の各々には、少なくとも1枚の基板が接合する構成のされている熱電変換モジュールにおいて、素子間の半田凸部盛り上がり高さ(d)を制御することにより吸熱量を大きくし、あるいは冷却効率を上げ、熱ストレスにも強い熱電変換モジュールを提供することができる。従来の熱電変換モジュールでは、P型及びN型の熱電変換素子の間に位置する半田凸部盛り上がり高さが低いために吸熱量が小さいという問題、逆に、半田凸部盛り上がり高さ(d)が大きすぎるために、半田の熱抵抗によって冷却効率が低いという問題点があった。
熱電変換モジュールは前述の通り、基板、金属導体、半田、素子等異種材料が接合されて形成される。熱電変換モジュールは片側が冷却面、もう一方が放熱面となっており両者間で温度差が生じる。この温度変化によってそれぞれの材料が膨張あるいは収縮する。このとき熱膨張係数の違いにより熱膨張差が生じる。また、温度が上がる側では特に熱膨張係数の大きい半田、金属導体、素子の間でおのおのが圧縮し合うように応力を与えあう。温度変化が生じる毎にこれを繰り返すが、半田凸部盛り上がり高さ(d)を制御することによりこの応力が生じにくいものとすることができる。
【0008】
従ってこの熱電変換素子間に盛り上がる半田の量20を積極的に制御する必要がある。本発明においてはこの素子間の半田凸部盛り上がり高さ(d)を、熱電変換素子端部めっき層と金属導体間の半田厚み(b)に対して、その2倍以上とすることにより熱電変換モジュールの熱的特性の1つである吸熱量を確保する。一方、これを0.4mmよりも大きくすると、基板11,12と熱電変換素子13,14、半田19,20との熱膨張差により半田凸部20の側面が熱電変換素子と押し合い応力が生じる。温度の変化が生じるたびにこれが繰り返され、最後には素子と半田接合部界面に亀裂が生じることが起きてくる。更に半田凸部20が高くなりすぎると、半田接合時に隣の電極と短絡してしまうことも生じ、歩留まり低下の一因ともなる。更には凸部20の側面が熱電変換素子と接触する部分から熱が逃げ、両面の温度差を低下させてしまう。図4には、半田厚み(b)が0.01mmの場合について、リフロー後の半田凸部盛り上がり高さ(d)と最大温度差の関係を示した。半田凸部盛り上がり高さ(d)が0.4mmを越えると最大温度差が小さくなる。図5には半田厚み(b)が0.01mmの場合について、リフロー後の半田凸部盛り上がり高さ(d)と最大吸熱量の関係を示した。半田凸部盛り上がり高さ(d)が0.6mmを越えると最大温度差が小さくなる。下限については、半田厚み(b)の2倍以上であれば十分である。
【0009】
金属導体と熱電変換素子端面のめっき層との接続には主に半田が用いられているが、上述と同じくこの半田の厚さや小さかったり、大きかったりすると接合の信頼性を失ったり、逆に冷却効率を低下させることになる。熱電変換素子13,14と導体間の半田19の厚さが0.005mm未満では接合強度が低下する。一方、熱電変換素子と導体間の半田は0.02mmを越えるものとすると隣の電極と短絡、組立時の位置精度が悪くなる等の不具合が生じる。図6は、熱電変換素子の基板上配置を示す模式平面図であり、図7は、図6の配置で、半田ショートが生じた場合の模式図である。
【0010】
導体の厚さは厚くなるほどジュール熱が少ない。特に、熱流密度が大きくなると、このジュール熱によって電極15の温度が高くなり易いという傾向がある。しかしながら、導体15が厚すぎると導体自体の熱抵抗によって冷却効率を落とすことになる。冷却特性を低下させないためには導体厚みは0.2mm以下が良い。また導体15が薄いとジュール熱が増えるが、前記熱電変換素子断面積をS、素子の高さをLとするとき、導体厚みtをS/Lより大きくすることによってジュール熱の発生を抑えることが出来る。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例に係る熱電変換モジュールについて添付の図面を参照して詳細に説明する。図2は本発明の実施例に係る熱電変換モジュールを示す断面図である。
【0012】
熱電変換モジュールの素子は焼結材、または溶製材の熱電素子を板状、ウエハー状、棒状に加工したものが用いられる。素子にはめっき16等が施され、その後スライサー、ワイヤーソーとうによって所定の寸法に加工された素子はP型13及びN型14の素子が直列に接続できるよう交互に並べられ、半田19等によって導体と接続されている。本明細書において特にセラミック基板11、12にあらかじめ取り付けられている導体のパターンを電極と定義し、それに塗布される半田は別に定義するが、電気的には電極15と半田19を一体と見なすこともできる。
【0013】
基板11,12には主にセラミックス等の基板が用いられ、その基板にはめっき等によって導体15が貼り付けられる。この基板11,12にはAl2O3、AlN、SiC、Si3N4等のセラミックスが用いられる。この基板は熱伝導率が高い物の方が熱電変換効率の高いモジュールを提供できる。また、この導体15にはCu,Ni,Au,Ag,Pt,Wといった金属材料または合金を用いることが好ましい。この導体材料は熱伝導率が高く、抵抗率が低い物ほどモジュールの性能が良くなる。その他にはダイレクト・ボンディング・カッパーのような導体の取り付け、金属導体チップの半田付け、金属ペーストの焼成による導体15の形成等の方法もとられる。
【0014】
この導体付き基板と素子13,14を接合するのに半田が用いられる。この半田はペースト状のものを導体15に印刷する方法や導体に半田めっきをする方法などがある。
【0015】
接合部の半田20は印刷法、めっき法により導体15に塗布される。印刷法の場合、スクリーンの厚みを薄くする、スクリーン開口部の面積を小さくすることで塗布量をコントロールすることができる。使用する半田にペースト半田を用いるときはその粒径を調節することによっても半田の塗布量を調節できる。まためっき法でもめっき時間、めっき液濃度の調節によりめっき厚みをコントロールすることが可能である。
【0016】
この半田の量をコントロールすることによってリフロー後に素子間に盛り上がる半田の凸量20を制御することが可能となる。この半田凸部20が0.005以上ないと接合強度が上がらない。また、吸熱量も低くなる傾向がある。
この半田の凸量20が0.4以上となると冷却特性が悪く、且つ隣の電極と接触するショート22を起こす可能性が高くなり、歩留の低下も生じる。更に半田凸部20と素子13,14は熱膨張差により半田凸部20の側面が素子と押し合い応力が生じる。温度の変化が生じるたびにこれが繰り返され、最後には素子13,14と半田接合部界面に亀裂が生じることが起きてくる。小型化、薄型化の時にはこの現象は顕著であり望ましくは0.05〜0.4mmの範囲である。
【0017】
また、素子13,14と導体間の半田の量19が多くなると半田の熱容量および半田内部に存在する空孔22の影響で冷却効率が低下する。特に0.02以上の厚みとなると空孔22の発生率が高くなる傾向にある。本発明では接着時の荷重を変えることによりこの導体と素子間の半田の量をコントロールし冷却性能を向上させている。この半田19の量も0.005以下の量であると上述と同様接合強度が上がらない。この半田の量は望ましくは0.005〜0.02mmの範囲である。
これら半田の厚み19と素子間の凸部20の測定は測長顕微鏡等でも観察できるが、素子13,14と導体間の半田厚み19は素子の断面を加工し、更にはラッピング等で面状態を平滑にし測定することでより正確に測定することができる。
【0018】
本発明と関連する導体15の厚みについて以下、述べる。熱流密度が大きくなると、ジュール熱によって導体15の温度が高くなり易いという傾向がある。導体15の厚さは厚くなるほどジュール熱が少なくなる。しかしながら、導体15が厚すぎると導体自体の熱抵抗によって冷却効率を落とすことになる。特に小型・薄型の熱電モジュールでは内部に搭載されるために素子の寸法が制限されるためこの現象が顕著である。したがって、冷却特性を低下させないためには導体15厚みは0.2mm以下が良い。また導体15が薄いとジュール熱が増えるが、前記熱電素子断面積をSの素子の高さをLとするとき、導体厚みtをS/Lより小さくすることによってジュール熱の発生を抑えることが出来る。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、冷却効率が良く接合部の信頼性が高い熱電変換モジュールを供給することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱電変換モジュールの概略斜視図
【図2】ペルチェモジュールの縦断面概略図
【図3】図2の部分拡大図
【図4】半田凸部盛り上がり高さ(d)と最大温度差の関係
【図5】半田凸部盛り上がり高さ(d)と最大吸熱量の関係
【図6】熱電変換素子配置模式平面図
【図7】半田ショートのある熱電変換素子配置模式平面図
【図8】半田内ボイドを示す縦断面模式図
【図9】導体厚みと最大温度差の関係
【符号の説明】
11 絶縁基板1、12 絶縁基板2、13 P型熱電変換素子、
14 N型熱電変換素子、15 導体、16 外部(電流導入)端子(+)、
17 外部(電流導入)端子(−)、18 めっき層、19 半田、
20 半田凸部、21 半田ショート部、22 空孔(ボイド)。
【発明の属する技術分野】
本発明は熱電発電や熱電冷却等に使用される熱電変換モジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から熱電変換効果を利用した熱電変換素子が、電子冷却器、熱交換器や温度センサとして利用されている。
図1に熱電変換モジュールの一例につき、その概略斜視図を示す。これを構成する材料としては主にBi−Te−Sb系合金の溶製材もしくは焼結材のP型及びN型熱電変換素子13,14が用いられ、これらは導体(一般には、銅などの金属を用いる)15を介して交互に電気的に直列に接続されている。一般に、熱電変換素子13,14と導体15との接合は熱電変換素子の端部めっき層を介して、主に半田等を用いて接続されている。更に熱電変換素子13,14と導体15はモジュール全体の強度を保つため及び冷却・加熱対象物またはヒートシンク等と接続するために上下に平行に配置する2枚の絶縁(セラミックス等を用いる)基板11,12で挟持される構造が一般的に使われる。このような熱電変換モジュールは半導体レーザの温度制御に用いられる。図2には、このような熱電変換モジュールのひとつであるペルチェモジュールの縦断面概略図を示す。
【0003】
近年、半導体レーザは、光通信の分野において信号用光源または光ファイバ・ネットワークの増幅器の励起用光源として広く用いられるようになってきた。これら光通信用レーザの発熱量が大きくなってきていること、小型化に伴い環境温度が高くなりやすくなってきていること等によりペルチェモジュールに対する仕様も厳しくなってきており、より冷却効率の良いペルチェモジュールが必要となってきている。
【0004】
熱電変換モジュールに通電することにより、冷却、放熱作用が生じる理由は、以下の例のように説明される。図1に示すように熱電変換モジュールはP型熱電変換素子13とN型熱電変換素子14とは2枚の絶縁基板11、12によって挟持され、かつ電気的にはP型、N型が交互に直列に接続されている。外部端子(図1では電流導入端子と表示)16、17間に直流電圧を印加すると、電流がP型熱電変換素子13中では絶縁基板11から絶縁基板12に向かって、一方N型熱電変換素子14中では12から11に向かって流れる。ここで、P型の熱電変換素子13内では正孔が多数キャリアであり、もう一方N型の熱電変換素子14内では電子が多数キャリアである。この電流を担う粒子の移動はともに絶縁基板11から12に向かう方向に起こる。一方、この電流を担う正孔及び電子のキャリアは、熱の移動を伴うものでもある。このため、電流がP型熱電変換素子13中とN型熱電変換素子14中とで互いに反対方向に向かって流れるのに対して、熱の流れは常に一方向に向かって生じることとなり、従って熱電モジュールの一方の基板側では冷却が、他方の基板側では放熱が生じるのである。この時の冷却側基板、放熱側基板の温度差が大きく取れるモジュールが性能の良いモジュールといえる。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】
図2の部分拡大図を図3として示す。従来、P型熱電変換素子13とN型熱電変換素子の間に位置する半田凸部盛り上がり高さ(d)や熱電変換素子端部めっき層と導体間の半田厚み(b)について十分な考慮がなされなかった。このために、最適な冷却効率や吸熱量を得ることが難しかった。
本発明は、かかる問題点を解決し、吸熱量が大きく、冷却効率が高く、信頼性の高い熱電変換モジュールを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明では、例えば、ほぼ平行に配置する、一対の基板の対向面に各々導体を形成し、各導体を介して上記基板間に第一の熱電変換素子と第二の熱電変換素子を交互に、端部めっき層を介して半田で接合し、一方の基板側の導体を冷却側として他方の基板側の導体を発熱側とし、前記端部めっき層と前記導体間の半田厚み(b)を0.005〜0.02mmとし、第一の熱電変換素子と第二の熱電変換素子の間に位置する半田凸部盛り上がり高さ(d)を、2xb以上〜0.4mm以下とすることにより、かかる課題を解決する。半田凸部盛り上がり高さ(d)を、5xb以上〜0.4mm以下とすることは更に望ましい。半田凸部盛り上がり高さ(d)を、10xb以上〜0.4mm以下とすることにより更に良い結果を得る。
【0007】
具体的には、本発明に係る熱電変換モジュールの一例としては、P型及びN型の熱電変換素子が交互に配列され、また各熱電変換素子が電気的には直列に接続されるように上側に配置する金属導体と下側に配置する金属導体により接続され、更に前記上下金属導体の各々には、少なくとも1枚の基板が接合する構成のされている熱電変換モジュールにおいて、素子間の半田凸部盛り上がり高さ(d)を制御することにより吸熱量を大きくし、あるいは冷却効率を上げ、熱ストレスにも強い熱電変換モジュールを提供することができる。従来の熱電変換モジュールでは、P型及びN型の熱電変換素子の間に位置する半田凸部盛り上がり高さが低いために吸熱量が小さいという問題、逆に、半田凸部盛り上がり高さ(d)が大きすぎるために、半田の熱抵抗によって冷却効率が低いという問題点があった。
熱電変換モジュールは前述の通り、基板、金属導体、半田、素子等異種材料が接合されて形成される。熱電変換モジュールは片側が冷却面、もう一方が放熱面となっており両者間で温度差が生じる。この温度変化によってそれぞれの材料が膨張あるいは収縮する。このとき熱膨張係数の違いにより熱膨張差が生じる。また、温度が上がる側では特に熱膨張係数の大きい半田、金属導体、素子の間でおのおのが圧縮し合うように応力を与えあう。温度変化が生じる毎にこれを繰り返すが、半田凸部盛り上がり高さ(d)を制御することによりこの応力が生じにくいものとすることができる。
【0008】
従ってこの熱電変換素子間に盛り上がる半田の量20を積極的に制御する必要がある。本発明においてはこの素子間の半田凸部盛り上がり高さ(d)を、熱電変換素子端部めっき層と金属導体間の半田厚み(b)に対して、その2倍以上とすることにより熱電変換モジュールの熱的特性の1つである吸熱量を確保する。一方、これを0.4mmよりも大きくすると、基板11,12と熱電変換素子13,14、半田19,20との熱膨張差により半田凸部20の側面が熱電変換素子と押し合い応力が生じる。温度の変化が生じるたびにこれが繰り返され、最後には素子と半田接合部界面に亀裂が生じることが起きてくる。更に半田凸部20が高くなりすぎると、半田接合時に隣の電極と短絡してしまうことも生じ、歩留まり低下の一因ともなる。更には凸部20の側面が熱電変換素子と接触する部分から熱が逃げ、両面の温度差を低下させてしまう。図4には、半田厚み(b)が0.01mmの場合について、リフロー後の半田凸部盛り上がり高さ(d)と最大温度差の関係を示した。半田凸部盛り上がり高さ(d)が0.4mmを越えると最大温度差が小さくなる。図5には半田厚み(b)が0.01mmの場合について、リフロー後の半田凸部盛り上がり高さ(d)と最大吸熱量の関係を示した。半田凸部盛り上がり高さ(d)が0.6mmを越えると最大温度差が小さくなる。下限については、半田厚み(b)の2倍以上であれば十分である。
【0009】
金属導体と熱電変換素子端面のめっき層との接続には主に半田が用いられているが、上述と同じくこの半田の厚さや小さかったり、大きかったりすると接合の信頼性を失ったり、逆に冷却効率を低下させることになる。熱電変換素子13,14と導体間の半田19の厚さが0.005mm未満では接合強度が低下する。一方、熱電変換素子と導体間の半田は0.02mmを越えるものとすると隣の電極と短絡、組立時の位置精度が悪くなる等の不具合が生じる。図6は、熱電変換素子の基板上配置を示す模式平面図であり、図7は、図6の配置で、半田ショートが生じた場合の模式図である。
【0010】
導体の厚さは厚くなるほどジュール熱が少ない。特に、熱流密度が大きくなると、このジュール熱によって電極15の温度が高くなり易いという傾向がある。しかしながら、導体15が厚すぎると導体自体の熱抵抗によって冷却効率を落とすことになる。冷却特性を低下させないためには導体厚みは0.2mm以下が良い。また導体15が薄いとジュール熱が増えるが、前記熱電変換素子断面積をS、素子の高さをLとするとき、導体厚みtをS/Lより大きくすることによってジュール熱の発生を抑えることが出来る。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例に係る熱電変換モジュールについて添付の図面を参照して詳細に説明する。図2は本発明の実施例に係る熱電変換モジュールを示す断面図である。
【0012】
熱電変換モジュールの素子は焼結材、または溶製材の熱電素子を板状、ウエハー状、棒状に加工したものが用いられる。素子にはめっき16等が施され、その後スライサー、ワイヤーソーとうによって所定の寸法に加工された素子はP型13及びN型14の素子が直列に接続できるよう交互に並べられ、半田19等によって導体と接続されている。本明細書において特にセラミック基板11、12にあらかじめ取り付けられている導体のパターンを電極と定義し、それに塗布される半田は別に定義するが、電気的には電極15と半田19を一体と見なすこともできる。
【0013】
基板11,12には主にセラミックス等の基板が用いられ、その基板にはめっき等によって導体15が貼り付けられる。この基板11,12にはAl2O3、AlN、SiC、Si3N4等のセラミックスが用いられる。この基板は熱伝導率が高い物の方が熱電変換効率の高いモジュールを提供できる。また、この導体15にはCu,Ni,Au,Ag,Pt,Wといった金属材料または合金を用いることが好ましい。この導体材料は熱伝導率が高く、抵抗率が低い物ほどモジュールの性能が良くなる。その他にはダイレクト・ボンディング・カッパーのような導体の取り付け、金属導体チップの半田付け、金属ペーストの焼成による導体15の形成等の方法もとられる。
【0014】
この導体付き基板と素子13,14を接合するのに半田が用いられる。この半田はペースト状のものを導体15に印刷する方法や導体に半田めっきをする方法などがある。
【0015】
接合部の半田20は印刷法、めっき法により導体15に塗布される。印刷法の場合、スクリーンの厚みを薄くする、スクリーン開口部の面積を小さくすることで塗布量をコントロールすることができる。使用する半田にペースト半田を用いるときはその粒径を調節することによっても半田の塗布量を調節できる。まためっき法でもめっき時間、めっき液濃度の調節によりめっき厚みをコントロールすることが可能である。
【0016】
この半田の量をコントロールすることによってリフロー後に素子間に盛り上がる半田の凸量20を制御することが可能となる。この半田凸部20が0.005以上ないと接合強度が上がらない。また、吸熱量も低くなる傾向がある。
この半田の凸量20が0.4以上となると冷却特性が悪く、且つ隣の電極と接触するショート22を起こす可能性が高くなり、歩留の低下も生じる。更に半田凸部20と素子13,14は熱膨張差により半田凸部20の側面が素子と押し合い応力が生じる。温度の変化が生じるたびにこれが繰り返され、最後には素子13,14と半田接合部界面に亀裂が生じることが起きてくる。小型化、薄型化の時にはこの現象は顕著であり望ましくは0.05〜0.4mmの範囲である。
【0017】
また、素子13,14と導体間の半田の量19が多くなると半田の熱容量および半田内部に存在する空孔22の影響で冷却効率が低下する。特に0.02以上の厚みとなると空孔22の発生率が高くなる傾向にある。本発明では接着時の荷重を変えることによりこの導体と素子間の半田の量をコントロールし冷却性能を向上させている。この半田19の量も0.005以下の量であると上述と同様接合強度が上がらない。この半田の量は望ましくは0.005〜0.02mmの範囲である。
これら半田の厚み19と素子間の凸部20の測定は測長顕微鏡等でも観察できるが、素子13,14と導体間の半田厚み19は素子の断面を加工し、更にはラッピング等で面状態を平滑にし測定することでより正確に測定することができる。
【0018】
本発明と関連する導体15の厚みについて以下、述べる。熱流密度が大きくなると、ジュール熱によって導体15の温度が高くなり易いという傾向がある。導体15の厚さは厚くなるほどジュール熱が少なくなる。しかしながら、導体15が厚すぎると導体自体の熱抵抗によって冷却効率を落とすことになる。特に小型・薄型の熱電モジュールでは内部に搭載されるために素子の寸法が制限されるためこの現象が顕著である。したがって、冷却特性を低下させないためには導体15厚みは0.2mm以下が良い。また導体15が薄いとジュール熱が増えるが、前記熱電素子断面積をSの素子の高さをLとするとき、導体厚みtをS/Lより小さくすることによってジュール熱の発生を抑えることが出来る。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、冷却効率が良く接合部の信頼性が高い熱電変換モジュールを供給することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱電変換モジュールの概略斜視図
【図2】ペルチェモジュールの縦断面概略図
【図3】図2の部分拡大図
【図4】半田凸部盛り上がり高さ(d)と最大温度差の関係
【図5】半田凸部盛り上がり高さ(d)と最大吸熱量の関係
【図6】熱電変換素子配置模式平面図
【図7】半田ショートのある熱電変換素子配置模式平面図
【図8】半田内ボイドを示す縦断面模式図
【図9】導体厚みと最大温度差の関係
【符号の説明】
11 絶縁基板1、12 絶縁基板2、13 P型熱電変換素子、
14 N型熱電変換素子、15 導体、16 外部(電流導入)端子(+)、
17 外部(電流導入)端子(−)、18 めっき層、19 半田、
20 半田凸部、21 半田ショート部、22 空孔(ボイド)。
Claims (4)
- ほぼ平行に配置する、一対の基板の対向面に各々導体を形成し、各導体を介して上記基板間に第一の熱電変換素子と第二の熱電変換素子を交互に、端部めっき層を介して半田で接合し、一方の基板側の導体を冷却側として他方の基板側の導体を発熱側とし、前記端部めっき層と前記導体間の半田厚み(b)を0.005〜0.02mmとし、第一の熱電変換素子と第二の熱電変換素子の間に位置する半田凸部盛り上がり高さ(d)を、2xb以上〜0.4mm以下としたことを特徴とする熱電変換モジュール。
- 第一の熱電変換素子と第二の熱電変換素子の間に位置する半田凸部盛り上がり高さ(d)を、5xb以上〜0.4mm以下としたことを特徴とする請求項1記載の熱電変換モジュール。
- 第一の熱電変換素子と第二の熱電変換素子の間に位置する半田凸部盛り上がり高さ(d)を、10xb以上〜0.4mm以下としたことを特徴とする請求項1記載の熱電変換モジュール。
- ほぼ平行に配置する、一対の基板の対向面に各々導体を形成し、各導体を介して上記基板間に第一の熱電変換素子と第二の熱電変換素子を交互に、端部めっき層を介して半田で接合し、一方の基板側の導体を冷却側として他方の基板側の導体を発熱側とし、前記端部めっき層と前記導体間の半田厚み(b)を0.005〜0.02mmとし、第一の熱電変換素子と第二の熱電変換素子の間に位置する半田凸部盛り上がり高さ(d)を、0.2mm以上〜0.4mm以下としたことを特徴とする熱電変換モジュール。
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JP2002367834A JP2004200447A (ja) | 2002-12-19 | 2002-12-19 | 熱電変換モジュール |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002367834A JP2004200447A (ja) | 2002-12-19 | 2002-12-19 | 熱電変換モジュール |
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JP (1) | JP2004200447A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022019569A1 (ko) * | 2020-07-24 | 2022-01-27 | 엘지이노텍 주식회사 | 열전 소자 |
-
2002
- 2002-12-19 JP JP2002367834A patent/JP2004200447A/ja active Pending
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