JP2004014995A - 熱電変換モジュールおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半田による電極間の短絡を防止し熱電素子の実装密度が向上させる。
【解決手段】電気絶縁性平板2a、3a上に設けられた電極2b、3bの外周に電気絶縁性の絶縁部4、5が設けられた基板2、3と、電極2b、3bに接合された熱電素子1a、1bが設けられている熱電変換モジュールおよび電極2b、3bの外周に電気絶縁性のコーティング材を塗布するコーティング工程と、コーティング工程の後に熱電素子1a、1bを電極2b、3bに接合する接合工程が設けられている熱電変換モジュールの製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】電気絶縁性平板2a、3a上に設けられた電極2b、3bの外周に電気絶縁性の絶縁部4、5が設けられた基板2、3と、電極2b、3bに接合された熱電素子1a、1bが設けられている熱電変換モジュールおよび電極2b、3bの外周に電気絶縁性のコーティング材を塗布するコーティング工程と、コーティング工程の後に熱電素子1a、1bを電極2b、3bに接合する接合工程が設けられている熱電変換モジュールの製造方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱電変換モジュールおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換モジュールは実開昭62−178554号公報に示されるように、銅などで任意のパターンに形成された電極が平板面上に設けられた絶縁基板の間に熱電素子が半田により電極に接合された構造をしている。従来、平板面の外形寸法が10mm以下の微小熱電変換モジュールにおいて、電極間の距離は0.2〜0.3mmであることが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱電変換モジュールをさらに小型化したり、さらに多くの熱電素子を実装して性能を向上させることが求められているが、従来の方法では、電極間の距離を0.2mm未満にすると電極に熱電素子を接合する半田付け工程において、隣接する電極同士が半田により短絡し、性能が低下するなどの問題点があった。
【0004】
本発明は上記課題を解決したもので、半田による電極間の短絡を防止し熱電素子の実装密度が向上した熱電変換モジュールおよびその製造方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項1において講じた技術的手段(以下、第1の技術的手段と称する。)は、電気絶縁性平板上に設けられた電極の外周に電気絶縁性の絶縁部が設けられた基板と、前記電極に接合された熱電素子が設けられていることを特徴とする熱電変換モジュールである。
【0006】
上記第1の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0007】
すなわち、電極の外周に絶縁部が設けられているので、電極と熱電素子を半田で接合する接合時に溶融した半田が隣接する電極まで流れ出し電極間が短絡することを防止でき、熱電素子の実装密度が向上できる効果を奏する。
【0008】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項2において講じた技術的手段(以下、第2の技術的手段と称する。)は、電気絶縁性平板上に設けられた電極に熱電素子が接合されている熱電変換モジュールの製造方法において、前記電極の外周に電気絶縁性のコーティング材を塗布するコーティング工程と、該コーティング工程の後に前記熱電素子を前記電極に接合する接合工程が設けられていることを特徴とする熱電変換モジュールの製造方法である。
【0009】
上記第2の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0010】
すなわち、電気絶縁性のコーティング材を塗布することにより電極の外周に電気絶縁性の絶縁部を設けることができるので、電極と熱電素子を半田で接合する接合時に溶融した半田が隣接する電極まで流れ出し電極間が短絡することを防止でき、熱電素子の実装密度が向上できる効果を奏する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について、図面に基づいて説明する。図5は、一般的な熱電変換モジュールを説明する説明斜視図である。熱電変換モジュール100は、平板面上に電極12aが設けられた第1基板12と、同じく平板面上に電極13aが設けられた第2基板13によって熱電素子11が挟持されている。熱電素子11は、N型熱電素子とP型熱電素子を対として電気的に直列に電極12a、13aによって接続されている。熱電素子11と電極12aまたは13aは半田により接合されている。電気的に直列に接続された熱電素子11の一方端と他方端の電極には半田14によりリード線15がそれぞれ接合されている。リード線15は、外部回路に接続するためのものである。
【0012】
(実施例1)
図1は実施例1に使用した第1基板の平面図であり、図2は実施例1に使用した第2基板の平面図である。また図3は実施例1の第1基板上における熱電素子の位置関係を説明する説明図であり、図4は実施例1の熱電変換モジュールのAA断面図である。
【0013】
第1基板2は電気絶縁性平板2a上に所定の電極2bが24個設けられている。第2基板3は電気絶縁性平板3a上に所定の電極3bが23個設けられている。電気絶縁性平板2a、3aとして5.2mm×7.0mm、厚さ0.3mmのアルミナセラミックス平板(アルミナ含有率96%)を使用した。電極2b、3bの大きさは1.4mm×0.6mmで、電極間距離は0.15mmである。
【0014】
まず電極2b、3bの表面に溶融した半田(Sn95/Sb5)をディップ法で塗布し、半田部6を形成した(半田部形成工程)。半田部6の厚さは0.01〜0.03mmである。
【0015】
次に第1基板2の電極2b側全面にコーティング材(写真現像型液状ソルダレジスト)をスクリーン印刷で塗布し、フォトリソグラフィー法を用いて必要部分のコーティング材を残して絶縁部4を形成した。同様に、第2基板3の電極3bの周囲にコーティング材を塗布し絶縁部5を形成した(コーティング工程)。絶縁部4、5の厚さは0.05mmで、厚さ0.03mmの電極2b、3bより厚い。
【0016】
使用したP型熱電素子1aはビスマス・テルル・アンチモンからなる熱電素子であり、N型熱電素子1bはビスマス・テルル・セレンからなる熱電素子である。熱電素子の大きさは、P型熱電素子1a、N型熱電素子1bのいずれも電極に接合する面が一辺0.6mmの正方形で、高さが1.0mmである。
【0017】
これらのP型熱電素子1a、N型熱電素子1bを第1基板2の電極2b上に図3のように配列し、上から電極3bが熱電素子1a、1bに当接するように第2基板3を配置する。こうして熱電素子1a、1bを第1基板2と第2基板3で挟持した状態で280℃に加熱したのち冷却し半田を溶融、固化して熱電素子1a、1bと電極2b、3bを接合した(接合工程)。その後、半田付けにて図5と同様にリード線を接続し、熱電変換モジュールを完成させた。この熱電変換モジュールは、電子冷却に使用するペルチェモジュールである。
【0018】
上記の製造方法で熱電変換モジュールを22個作製し、内部抵抗と最大温度差を測定し性能の良否を判定し評価した。内部抵抗は、リード線間の抵抗を抵抗計で測定した。最大温度差は、第1基板2を27℃に保った状態でリード線を介して2、3Aの電流を熱電変換モジュールに流し、第1基板2と第2基板3の間の最大となった温度差を測定した。(発明者殿:想像で記述しました。訂正ください。)判定基準は、内部抵抗がマスターワークのそれに対し±10%以上異なるか、最大温度差がマスターワークのそれに対して5%以上低いものを不良として判定した。
【0019】
マスターワークは、6mm×8mm×高さ0.3mmのアルミナセラミックス平板上に電極間距離0.3mmで1.4mm×0.6mmの電極を有する基板、実施例と同じ組成、形状の熱電素子を同じ個数使用し、Sn/Sbのペースト状半田を用いて熱電素子と基板を従来技術にて組み付け接合した熱電変換モジュールである。マスターワークの外形寸法が6mm×8mm×高さ1.65mmである。
【0020】
(実施例2)
第1基板2および第2基板3の電極間距離を0.05mmにした以外は、実施例1と同様に熱電変換モジュールを22個作製し、実施例1と同じ評価を行った。
【0021】
(比較例)
従来と同様に、コーティング工程を行わずに絶縁部4がない第1基板2、絶縁部5がない第2基板3を用いて、他は実施例1と同様に熱電変換モジュールを22個作製し、実施例1と同じ評価を行った。
【0022】
(評価結果)
表1に評価結果を示す。従来と同様の比較例では内部抵抗も最大温度差も22個中7個が不良となった。これに対し、実施例1、2では全く不良が発生しなかった。
【0023】
【表1】
実施例1、2では、半田付け工程で半田が溶融しても、絶縁部4、5によって溶融した半田が電極2b、3bの外周に流れ出ることを防ぐことができるために隣接する電極同士が半田により短絡することを防止できたものである。比較例のように従来技術では溶融した半田が電極の外周に流れ出て、一部は隣接する電極まで達し、電極間が短絡するため内部抵抗が低くなるとともに、機能する熱電素子数が減少するなどのため最大温度差も低下した。
【0024】
このように本発明では電極の外周に絶縁部が設けられているので、接合時に溶融した半田が隣接する電極まで流れ出し電極間が短絡することを防止できる。このため、電極間の距離を短くすることができるので、熱電素子の実装密度を向上できる。この結果、熱電モジュールを小型化したり、多くの熱電素子を搭載して冷却性能あるいは発電性能を向上できる。
【0025】
実施例では、外部から供給した電流によって冷却するペルチェモジュールについて説明したが、熱を電気に変換するゼーベックモジュールにも同様の効果を奏する。
【0026】
実施例では、ソルダレジストをコーティング材として使用したが、特に限定されず、例えばシリコン系樹脂、フッ素系樹脂など接合時の温度に耐えることができる材料なら何でもよい。コーティングはスクリーン印刷法とフォトレジスト法を併用したが、例えばレジストフィルムなど電極の外周に選択的にコーティングできる方法なら何でも適用できる。
【0027】
実施例では絶縁部をコーティングによって形成しているが、別の方法で形成することもできる。例えば、所定の形状に形成した箔状部材を電極の外周に接合してもよい。また電気絶縁性平板に電極を埋め込んだ状態で形成し、電極の外周に電気絶縁性平板の一部が存在する状態にしてもよい。すなわち、絶縁部は、電極の外周にあり、電極と電気絶縁性平板の界面より電極側に位置していれば、どのような方法で形成されてもよい。しかし、コーティング方法が最も安価に製造できるので適している。(発明者殿:この部分は権利範囲を広げるために記載しました。他も同様の趣旨で記載しているところがあります。)
絶縁部の形成範囲も、実施例では隣接する電極に至るまで、つまり電極の周囲全体に設けられているが、電極の外周を取り囲んで設けてあれば、電極と電極の中間部に絶縁部がない部分があってもよい。また、熱電素子が接合する面積が確保できていれば電極側にはみ出していてもかまわない。
【0028】
絶縁部の厚さは、溶融した半田が電極の周囲に流れ出る作用を有効に減少できるので、電極の厚さより厚い方が望ましい。望ましくは、電極の厚さと電極上に設けられている半田部の厚さを加えた厚さより厚い方がよい。溶融した半田が電極の周囲に流れ出る作用をほぼ確実になくすことができるからである。さらに望ましくは、電極の厚さと電極上に設けられている半田部の厚さを加えた厚さより半田部の厚さの1/2以上厚い方がよい。溶融した半田が熱電素子に押されて盛り上がっても半田が絶縁部を越えることができないので、溶融した半田が電極の周囲に流れ出る作用を確実になくすことができるからである。
【0029】
実施例では、コーティング工程の前に半田部形成工程を行っているが、コーティング工程の後に半田部形成工程を行ってもよい。しかし、コーティング工程の後に半田部を形成すると、形成時の位置ずれなどにより半田部が絶縁部に重なり、接合工程時に重なった半田が溶融して絶縁部上を流れる恐れがあるが、半田部を形成したのちにコーティング工程を行えば、半田部が絶縁部の上に重なることがないので、その恐れを防止できる。
【0030】
電気絶縁性平板としてアルミナ含有率96%のアルミナセラミックスを使用したが、特に限定されず、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウムなどのセラミックスやエポキシ、フェノール、フッ素樹脂などの樹脂など電気絶縁性を有していれば何でも使用できる。しかし、基板を介して熱電素子に熱が出入りするので、電気絶縁性平板の熱抵抗は熱電変換モジュールにとって重要な要素であり、熱抵抗が小さい方が性能を向上できるので、望ましい。窒化アルミニウムは熱伝導率が高くので熱抵抗を小さくでき電気絶縁性平板として望ましいが、コストが高いデメリットがある。
【0031】
アルミナ含有率96%のアルミナセラミックスはコスト的に有利である。実施例では厚さ0.3mmのアルミナ含有率96%のアルミナセラミックスを使用した。その厚さを薄くすると熱抵抗が下がり性能が向上する。できれば0.25mm未満の厚さにすることが望ましい。しかしルミナ含有率96%のアルミナセラミックスで0.25mm未満の厚さの電気絶縁性平板を使用しようとすると、強度不足により加工が非常に困難であるとともに熱電変換モジュールの製造工程において割れが多発する問題点がある。この問題点は、アルミナ含有率が大きいアルミナセラミックスを使用することによって解決できる。アルミナ含有率99.6%のアルミナセラミックスを使用して厚さ0.1、0.2mmの電気絶縁性平板を作製し、これを用いて実施例1と同様な熱電変換モジュールを作製したところ、いずれにおいても割れは発生しなかった。この熱電変換モジュールの消費電力を測定したところ、厚さ0.1mmでは6.63W、厚さ0.2mmでは6.84Wであり、実施例1の7.34Wに比べて良好な結果であった。なお、消費電力は、真空度0.13Paのベルジャー内にて放熱側温度を70℃になるように調節し、吸熱側に3Wのヒーターを搭載し、このヒータを25℃に冷却するときの電流と電圧の積から算出した。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、電気絶縁性平板上に設けられた電極の外周に電気絶縁性の絶縁部が設けられた基板と、前記電極に接合された熱電素子が設けられていることを特徴とする熱電変換モジュールおよび電気絶縁性平板上に設けられた電極に熱電素子が接合されている熱電変換モジュールの製造方法において、前記電極の外周に電気絶縁性のコーティング材を塗布するコーティング工程と、該コーティング工程の後に前記熱電素子を前記電極に接合する接合工程が設けられていることを特徴とする熱電変換モジュールの製造方法であるので、半田による電極間の短絡が防止でき熱電素子の実装密度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に使用した第1基板の平面図
【図2】実施例1に使用した第2基板の平面図
【図3】実施例1の第1基板上における熱電素子の位置関係を説明する説明図
【図4】実施例1の熱電変換モジュールのAA断面図
【図5】一般的な熱電変換モジュールを説明する説明斜視図
【符号の説明】
1a、1b…熱電素子
2、3…基板
2a、3a…電気絶縁性平板
2b、3b…電極
4、5…絶縁部
6…半田部
【発明の属する技術分野】
本発明は熱電変換モジュールおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換モジュールは実開昭62−178554号公報に示されるように、銅などで任意のパターンに形成された電極が平板面上に設けられた絶縁基板の間に熱電素子が半田により電極に接合された構造をしている。従来、平板面の外形寸法が10mm以下の微小熱電変換モジュールにおいて、電極間の距離は0.2〜0.3mmであることが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱電変換モジュールをさらに小型化したり、さらに多くの熱電素子を実装して性能を向上させることが求められているが、従来の方法では、電極間の距離を0.2mm未満にすると電極に熱電素子を接合する半田付け工程において、隣接する電極同士が半田により短絡し、性能が低下するなどの問題点があった。
【0004】
本発明は上記課題を解決したもので、半田による電極間の短絡を防止し熱電素子の実装密度が向上した熱電変換モジュールおよびその製造方法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項1において講じた技術的手段(以下、第1の技術的手段と称する。)は、電気絶縁性平板上に設けられた電極の外周に電気絶縁性の絶縁部が設けられた基板と、前記電極に接合された熱電素子が設けられていることを特徴とする熱電変換モジュールである。
【0006】
上記第1の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0007】
すなわち、電極の外周に絶縁部が設けられているので、電極と熱電素子を半田で接合する接合時に溶融した半田が隣接する電極まで流れ出し電極間が短絡することを防止でき、熱電素子の実装密度が向上できる効果を奏する。
【0008】
上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項2において講じた技術的手段(以下、第2の技術的手段と称する。)は、電気絶縁性平板上に設けられた電極に熱電素子が接合されている熱電変換モジュールの製造方法において、前記電極の外周に電気絶縁性のコーティング材を塗布するコーティング工程と、該コーティング工程の後に前記熱電素子を前記電極に接合する接合工程が設けられていることを特徴とする熱電変換モジュールの製造方法である。
【0009】
上記第2の技術的手段による効果は、以下のようである。
【0010】
すなわち、電気絶縁性のコーティング材を塗布することにより電極の外周に電気絶縁性の絶縁部を設けることができるので、電極と熱電素子を半田で接合する接合時に溶融した半田が隣接する電極まで流れ出し電極間が短絡することを防止でき、熱電素子の実装密度が向上できる効果を奏する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について、図面に基づいて説明する。図5は、一般的な熱電変換モジュールを説明する説明斜視図である。熱電変換モジュール100は、平板面上に電極12aが設けられた第1基板12と、同じく平板面上に電極13aが設けられた第2基板13によって熱電素子11が挟持されている。熱電素子11は、N型熱電素子とP型熱電素子を対として電気的に直列に電極12a、13aによって接続されている。熱電素子11と電極12aまたは13aは半田により接合されている。電気的に直列に接続された熱電素子11の一方端と他方端の電極には半田14によりリード線15がそれぞれ接合されている。リード線15は、外部回路に接続するためのものである。
【0012】
(実施例1)
図1は実施例1に使用した第1基板の平面図であり、図2は実施例1に使用した第2基板の平面図である。また図3は実施例1の第1基板上における熱電素子の位置関係を説明する説明図であり、図4は実施例1の熱電変換モジュールのAA断面図である。
【0013】
第1基板2は電気絶縁性平板2a上に所定の電極2bが24個設けられている。第2基板3は電気絶縁性平板3a上に所定の電極3bが23個設けられている。電気絶縁性平板2a、3aとして5.2mm×7.0mm、厚さ0.3mmのアルミナセラミックス平板(アルミナ含有率96%)を使用した。電極2b、3bの大きさは1.4mm×0.6mmで、電極間距離は0.15mmである。
【0014】
まず電極2b、3bの表面に溶融した半田(Sn95/Sb5)をディップ法で塗布し、半田部6を形成した(半田部形成工程)。半田部6の厚さは0.01〜0.03mmである。
【0015】
次に第1基板2の電極2b側全面にコーティング材(写真現像型液状ソルダレジスト)をスクリーン印刷で塗布し、フォトリソグラフィー法を用いて必要部分のコーティング材を残して絶縁部4を形成した。同様に、第2基板3の電極3bの周囲にコーティング材を塗布し絶縁部5を形成した(コーティング工程)。絶縁部4、5の厚さは0.05mmで、厚さ0.03mmの電極2b、3bより厚い。
【0016】
使用したP型熱電素子1aはビスマス・テルル・アンチモンからなる熱電素子であり、N型熱電素子1bはビスマス・テルル・セレンからなる熱電素子である。熱電素子の大きさは、P型熱電素子1a、N型熱電素子1bのいずれも電極に接合する面が一辺0.6mmの正方形で、高さが1.0mmである。
【0017】
これらのP型熱電素子1a、N型熱電素子1bを第1基板2の電極2b上に図3のように配列し、上から電極3bが熱電素子1a、1bに当接するように第2基板3を配置する。こうして熱電素子1a、1bを第1基板2と第2基板3で挟持した状態で280℃に加熱したのち冷却し半田を溶融、固化して熱電素子1a、1bと電極2b、3bを接合した(接合工程)。その後、半田付けにて図5と同様にリード線を接続し、熱電変換モジュールを完成させた。この熱電変換モジュールは、電子冷却に使用するペルチェモジュールである。
【0018】
上記の製造方法で熱電変換モジュールを22個作製し、内部抵抗と最大温度差を測定し性能の良否を判定し評価した。内部抵抗は、リード線間の抵抗を抵抗計で測定した。最大温度差は、第1基板2を27℃に保った状態でリード線を介して2、3Aの電流を熱電変換モジュールに流し、第1基板2と第2基板3の間の最大となった温度差を測定した。(発明者殿:想像で記述しました。訂正ください。)判定基準は、内部抵抗がマスターワークのそれに対し±10%以上異なるか、最大温度差がマスターワークのそれに対して5%以上低いものを不良として判定した。
【0019】
マスターワークは、6mm×8mm×高さ0.3mmのアルミナセラミックス平板上に電極間距離0.3mmで1.4mm×0.6mmの電極を有する基板、実施例と同じ組成、形状の熱電素子を同じ個数使用し、Sn/Sbのペースト状半田を用いて熱電素子と基板を従来技術にて組み付け接合した熱電変換モジュールである。マスターワークの外形寸法が6mm×8mm×高さ1.65mmである。
【0020】
(実施例2)
第1基板2および第2基板3の電極間距離を0.05mmにした以外は、実施例1と同様に熱電変換モジュールを22個作製し、実施例1と同じ評価を行った。
【0021】
(比較例)
従来と同様に、コーティング工程を行わずに絶縁部4がない第1基板2、絶縁部5がない第2基板3を用いて、他は実施例1と同様に熱電変換モジュールを22個作製し、実施例1と同じ評価を行った。
【0022】
(評価結果)
表1に評価結果を示す。従来と同様の比較例では内部抵抗も最大温度差も22個中7個が不良となった。これに対し、実施例1、2では全く不良が発生しなかった。
【0023】
【表1】
実施例1、2では、半田付け工程で半田が溶融しても、絶縁部4、5によって溶融した半田が電極2b、3bの外周に流れ出ることを防ぐことができるために隣接する電極同士が半田により短絡することを防止できたものである。比較例のように従来技術では溶融した半田が電極の外周に流れ出て、一部は隣接する電極まで達し、電極間が短絡するため内部抵抗が低くなるとともに、機能する熱電素子数が減少するなどのため最大温度差も低下した。
【0024】
このように本発明では電極の外周に絶縁部が設けられているので、接合時に溶融した半田が隣接する電極まで流れ出し電極間が短絡することを防止できる。このため、電極間の距離を短くすることができるので、熱電素子の実装密度を向上できる。この結果、熱電モジュールを小型化したり、多くの熱電素子を搭載して冷却性能あるいは発電性能を向上できる。
【0025】
実施例では、外部から供給した電流によって冷却するペルチェモジュールについて説明したが、熱を電気に変換するゼーベックモジュールにも同様の効果を奏する。
【0026】
実施例では、ソルダレジストをコーティング材として使用したが、特に限定されず、例えばシリコン系樹脂、フッ素系樹脂など接合時の温度に耐えることができる材料なら何でもよい。コーティングはスクリーン印刷法とフォトレジスト法を併用したが、例えばレジストフィルムなど電極の外周に選択的にコーティングできる方法なら何でも適用できる。
【0027】
実施例では絶縁部をコーティングによって形成しているが、別の方法で形成することもできる。例えば、所定の形状に形成した箔状部材を電極の外周に接合してもよい。また電気絶縁性平板に電極を埋め込んだ状態で形成し、電極の外周に電気絶縁性平板の一部が存在する状態にしてもよい。すなわち、絶縁部は、電極の外周にあり、電極と電気絶縁性平板の界面より電極側に位置していれば、どのような方法で形成されてもよい。しかし、コーティング方法が最も安価に製造できるので適している。(発明者殿:この部分は権利範囲を広げるために記載しました。他も同様の趣旨で記載しているところがあります。)
絶縁部の形成範囲も、実施例では隣接する電極に至るまで、つまり電極の周囲全体に設けられているが、電極の外周を取り囲んで設けてあれば、電極と電極の中間部に絶縁部がない部分があってもよい。また、熱電素子が接合する面積が確保できていれば電極側にはみ出していてもかまわない。
【0028】
絶縁部の厚さは、溶融した半田が電極の周囲に流れ出る作用を有効に減少できるので、電極の厚さより厚い方が望ましい。望ましくは、電極の厚さと電極上に設けられている半田部の厚さを加えた厚さより厚い方がよい。溶融した半田が電極の周囲に流れ出る作用をほぼ確実になくすことができるからである。さらに望ましくは、電極の厚さと電極上に設けられている半田部の厚さを加えた厚さより半田部の厚さの1/2以上厚い方がよい。溶融した半田が熱電素子に押されて盛り上がっても半田が絶縁部を越えることができないので、溶融した半田が電極の周囲に流れ出る作用を確実になくすことができるからである。
【0029】
実施例では、コーティング工程の前に半田部形成工程を行っているが、コーティング工程の後に半田部形成工程を行ってもよい。しかし、コーティング工程の後に半田部を形成すると、形成時の位置ずれなどにより半田部が絶縁部に重なり、接合工程時に重なった半田が溶融して絶縁部上を流れる恐れがあるが、半田部を形成したのちにコーティング工程を行えば、半田部が絶縁部の上に重なることがないので、その恐れを防止できる。
【0030】
電気絶縁性平板としてアルミナ含有率96%のアルミナセラミックスを使用したが、特に限定されず、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウムなどのセラミックスやエポキシ、フェノール、フッ素樹脂などの樹脂など電気絶縁性を有していれば何でも使用できる。しかし、基板を介して熱電素子に熱が出入りするので、電気絶縁性平板の熱抵抗は熱電変換モジュールにとって重要な要素であり、熱抵抗が小さい方が性能を向上できるので、望ましい。窒化アルミニウムは熱伝導率が高くので熱抵抗を小さくでき電気絶縁性平板として望ましいが、コストが高いデメリットがある。
【0031】
アルミナ含有率96%のアルミナセラミックスはコスト的に有利である。実施例では厚さ0.3mmのアルミナ含有率96%のアルミナセラミックスを使用した。その厚さを薄くすると熱抵抗が下がり性能が向上する。できれば0.25mm未満の厚さにすることが望ましい。しかしルミナ含有率96%のアルミナセラミックスで0.25mm未満の厚さの電気絶縁性平板を使用しようとすると、強度不足により加工が非常に困難であるとともに熱電変換モジュールの製造工程において割れが多発する問題点がある。この問題点は、アルミナ含有率が大きいアルミナセラミックスを使用することによって解決できる。アルミナ含有率99.6%のアルミナセラミックスを使用して厚さ0.1、0.2mmの電気絶縁性平板を作製し、これを用いて実施例1と同様な熱電変換モジュールを作製したところ、いずれにおいても割れは発生しなかった。この熱電変換モジュールの消費電力を測定したところ、厚さ0.1mmでは6.63W、厚さ0.2mmでは6.84Wであり、実施例1の7.34Wに比べて良好な結果であった。なお、消費電力は、真空度0.13Paのベルジャー内にて放熱側温度を70℃になるように調節し、吸熱側に3Wのヒーターを搭載し、このヒータを25℃に冷却するときの電流と電圧の積から算出した。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、電気絶縁性平板上に設けられた電極の外周に電気絶縁性の絶縁部が設けられた基板と、前記電極に接合された熱電素子が設けられていることを特徴とする熱電変換モジュールおよび電気絶縁性平板上に設けられた電極に熱電素子が接合されている熱電変換モジュールの製造方法において、前記電極の外周に電気絶縁性のコーティング材を塗布するコーティング工程と、該コーティング工程の後に前記熱電素子を前記電極に接合する接合工程が設けられていることを特徴とする熱電変換モジュールの製造方法であるので、半田による電極間の短絡が防止でき熱電素子の実装密度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に使用した第1基板の平面図
【図2】実施例1に使用した第2基板の平面図
【図3】実施例1の第1基板上における熱電素子の位置関係を説明する説明図
【図4】実施例1の熱電変換モジュールのAA断面図
【図5】一般的な熱電変換モジュールを説明する説明斜視図
【符号の説明】
1a、1b…熱電素子
2、3…基板
2a、3a…電気絶縁性平板
2b、3b…電極
4、5…絶縁部
6…半田部
Claims (2)
- 電気絶縁性平板上に設けられた電極の外周に電気絶縁性の絶縁部が設けられた基板と、前記電極に接合された熱電素子が設けられていることを特徴とする熱電変換モジュール。
- 電気絶縁性平板上に設けられた電極に熱電素子が接合されている熱電変換モジュールの製造方法において、前記電極の外周に電気絶縁性のコーティング材を塗布するコーティング工程と、該コーティング工程の後に前記熱電素子を前記電極に接合する接合工程が設けられていることを特徴とする熱電変換モジュールの製造方法。
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US7503180B2 (en) | 2005-03-25 | 2009-03-17 | Aisin Seiki Kabushiki Kaisha | Thermoelectric conversion module and electronic device |
KR101388492B1 (ko) * | 2012-05-15 | 2014-04-23 | 권택율 | 골격형 열전 모듈 제조방법 그리고 골격형 열전 모듈이 적용된 열전 유닛 및 그 제조방법 |
CN111656546A (zh) * | 2018-01-23 | 2020-09-11 | Lg伊诺特有限公司 | 热电模块 |
-
2002
- 2002-06-11 JP JP2002170079A patent/JP2004014995A/ja active Pending
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