JP2004200040A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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健見 岡田
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Abstract

【課題】低いアドレス放電開始電圧でアドレス放電を発生させることが出来るプラズマディスプレイパネルを提供する。
【解決手段】前面基板1と背面基板4の間の蛍光体層7が形成されているとともに放電ガスが封入された放電セルC内で、表示電極XとY間における表示放電と表示電極Yとアドレス電極Dとの間におけるアドレス放電を発生させるプラズマディスプレイパネルにおいて、放電セルC内の表示電極Yとアドレス電極Dとの間に位置する部分に、ダイヤモンドを含有する絶縁材料によってダイヤモンド含有層17Aが形成されている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、プラズマディスプレイパネルのパネル構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型で且つ薄型のカラー画面表示装置としてプラズマディスプレイパネル(PDP)が普及して来ている。
【0003】
このPDPには、大別して、放電空間を挟んで対向する二枚の基板のうち一方の基板に表示電極対が形成され他方の基板にアドレス電極と蛍光体層が形成される反射型面放電方式と、二枚の基板のうち一方の基板に表示電極対のうちの一方の表示電極が形成され他方の基板に他方の表示電極とアドレス電極が形成される対向放電方式と、二枚の基板のうち一方の基板に表示電極対とアドレス電極が形成される方式とがある。
【0004】
図1は、上記のような放電方式のうち反射型面放電方式の従来のPDPの構成を示す正面図であり、図2は、図1のV−V線における断面図である。
【0005】
この図1および2において、前面基板1の背面側にそれぞれ表示ラインLを構成する複数の表示電極対(X,Y)が配列されて、誘電体層2により被覆されており、さらに、この誘電体層2の背面側がMgOからなる保護層3によって被覆されている。
【0006】
各表示電極XとYは、それぞれ、対ごとに放電ギャップgを挟んで対向されるITO等の透明導電膜からなる透明電極Xa,Yaと、等間隔に並設された透明電極Xa,Yaにそれぞれ接続されてその導電性を補う金属膜からなるバス電極Xb,Ybとから構成されている。
【0007】
背面基板4の表示面側には、表示電極対(X,Y)と直交する方向に延びる複数のアドレス電極Dが並列され、このアドレス電極Dがアドレス電極保護層5によって被覆されている。
【0008】
そして、このアドレス電極保護層5上に、行方向(図1の左右方向)に延びる横壁6Aと列方向(図1の上下方向)に延びる縦壁6Bとによって格子状の隔壁6が形成されていて、対になった透明電極Xa,Yaとこれに対向するアドレス電極Dとの間の放電空間を、放電セルC毎に区画している。
【0009】
そして、各放電セルC内において隔壁6の側面とアドレス電極保護層5とを覆うように、蛍光体層7が、それぞれ赤,緑,青の三原色に順に色分けされて形成されている。
【0010】
上記のように構成された前面基板1と背面基板4は、放電空間を介して互いに平行に対向され、この前面基板1と背面基板4との間の放電空間内に、ネオンとキセノン等を混合した放電ガス(Xe−Ne系ガス)が封入される。
【0011】
このPDPにおける画像形成は、先ず、発光を行う放電セル(発光セル)を選択するためのアドレス放電がアドレス電極Dと表示電極Yとの間で選択的に行われ、次に、表示電極XとYに交互に印加される放電維持パルスによって、この表示電極XとYの間で発光セル内において表示放電が発生されることにより行われる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このような構成のPDPにおいて、各放電セルCにおける表示放電の発光効率を高めて画面の輝度を高めるための方法としては、隔壁6の高さを高くしてこの隔壁6の側面に形成された蛍光体層7の反射面の面積を増加させたり、または、放電セルC内に封入される放電ガスに含まれるキセノン・ガスの割合を多くしたり、表示電極対(X,Y)を被覆する誘電体層2の膜厚を大きくする等の方法がある。
【0013】
しかしながら、放電セルC内における表示放電の発光効率を向上させるために、単に隔壁の高さを高くしたり、または、放電ガス中のキセノンガスの割合を増加させたり、誘電体層2の膜厚を大きくする場合には、アドレス放電が放電空間を介してアドレス電極Dと表示電極Yの間で行われるために、そのままでは、アドレス電極Dに印加されるデータパルスの電圧や表示電極Yに印加される走査パルスSPの電圧のマージンが減少してしまうことになる。
【0014】
このため、このデータパルスや走査パルスの電圧を大きくしてアドレス放電の開始電圧を高く設定する必要が生じるが、これによって、アドレス電極にデータパルスを出力するアドレスドライバICや表示電極Yに走査パルスを出力するスキャンドライバICの耐高電圧化が必要になり、製品コストの増大を招いてしまうとともにPDPの省電力化の障害になってしまう等の新たな問題が発生する。
【0015】
さらに、PDPには、一般に、輝度階調数を増加させることにより、入力されてくる映像信号に対応した中間調の輝度表示を可能にするサブフィールド法と呼ばれる駆動方式が採用されている。
【0016】
このサブフィールド法においては、表現される輝度の階調教が1フレームにおけるサブフィールドの数が多いほど増加するので、高品位な画像を形成するためにはサブフィールドの数を増やすことが必要となるが、この場合、1フレームの表示時間があらかじめ決められているために、サブフィールド毎の発光時間が短くなって画面の輝度が低下してしまうので、表示放電毎の発光効率を上げることが必要になってくる。
【0017】
このために、サブフィールド法によって駆動されるPDPにおいては、特に、上記のような問題がクローズアップされてくる。
この発明が解決しようとする課題としては、上述したような問題が一例として挙げられる。
【0018】
【課題を解決するための手段】
第1の発明(請求項1に記載の発明)によるプラズマディスプレイパネルは、二枚の基板の間の蛍光体層が形成されているとともに放電ガスが封入された放電セル内で、対になった表示電極間における表示放電とこの対になった表示電極のうちの一方の表示電極とアドレス電極との間におけるアドレス放電を発生させるプラズマディスプレイパネルにおいて、前記放電セル内の一方の表示電極とアドレス電極との間でアドレス放電が発生される部分に、ダイヤモンドを含有する絶縁材料によってダイヤモンド含有層が形成されていることを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の最も好適と思われる実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明を行う。
【0020】
図3は、この発明によるプラズマディスプレイパネル(PDP)の実施形態における第1の例を示す断面図である。
【0021】
この例におけるPDPは、前述した図1および2のPDPと同様の反射型面放電方式PDPであって、前面基板1の背面側に複数の表示電極対(X,Y)が配列されて、誘電体層2により被覆されており、さらに、この誘電体層2の背面側がMgOからなる保護層3によって被覆されている。
【0022】
各表示電極XとYは、それぞれ、幅の広いITO等の透明導電膜からなる透明電極Xa,Yaと、その導電性を補う幅の狭い金属膜からなるバス電極Xb,Ybとから構成されていて、透明電極XaとYaが放電ギャップgを挟んで互いに対向するように配置されている。
【0023】
背面基板4の表示面側には、表示電極対(X,Y)と直交する方向に延びるアドレス電極Dが配列され、このアドレス電極Dがアドレス電極保護層5によって被覆されている。
【0024】
そして、表示電極対(X,Y)とアドレス電極Dが交差する部分の放電空間に、隔壁6によって区画された放電セルCが形成されており、この放電セルC内に、ネオンとキセノン等を混合した放電ガス(Xe−Ne系ガス)が封入されている。
【0025】
以上の構成は図2の構成と同様であり、同一の符号が付されている。
【0026】
この第1の例のPDPは、放電セルC内において、アドレス電極保護層5の表面と隔壁6の側面に形成された蛍光体層17のアドレス電極保護層5上の中央部に位置する部分が、ダイヤモンド含有層17Aとなっている。
【0027】
このダイヤモンド含有層17Aは、蛍光体層17を形成する赤または緑,青の蛍光材料にダイヤモンド粉末を含有させたもので、蛍光材料のみによって形成された他の部分17Bと一体的に蛍光体層17を構成している。
【0028】
このダイヤモンド含有層17Aは、スクリーン印刷法またはインクジェット,ノズル吐出,スピンコート等の各種方法によって形成される。
【0029】
このダイヤモンド含有層17Aに含有されているダイヤモンド粉末の粒径は、数ミクロン以下(例えば0.1〜3μm)のものが好適であり、高圧合成または爆縮合成の何れのものでもよい。
また、このダイヤモンド粉末は、リン(P)や窒素(N),ボロン(B)等の不純物を含み、その結果として透明でなくても良い。
【0030】
さらに、このダイヤモンド含有層17Aは、他の粉末やMgOガラスペーストとともに形成するようにしても良い。
【0031】
このダイヤモンド含有層17Aに含まれるダイヤモンド粉末は、その表面が水素終端されていることが好ましく、その水素化法には、水素中アニールや水素プラズマ中アニール等の方法が用いられる。
【0032】
上記PDPは、表示電極Yとアドレス電極Dとの間で行われるアドレス放電が、蛍光体層17のダイヤモンド含有層17Aが形成されている部分を挟んで行われるので、このダイヤモンド含有層17Aに含有されるダイヤモンド粉末によって、蛍光体層17は蛍光材料のみによって形成されている場合よりもアドレス放電開始電圧が低下する。
【0033】
すなわち、アドレス放電開始電圧は二次電子放出係数γに依存するため、ダイヤモンド含有層17A内に含有されているダイヤモンド粉末によって、放電ガス中のXeイオンからの二次電子放出が増大され、これによって、アドレス放電開始電圧が低下する。
【0034】
従って、放電セルC内における表示放電の発光効率を向上させるために、隔壁6の高さを高くしたり、または、放電ガス中のキセノンガスの割合を増加させたり、誘電体層2の膜厚を大きくするような場合でも、ダイヤモンド含有層17Aを形成することによって、アドレス放電開始電圧を上昇させることなくアドレス放電を発生させることが出来るようになる。
【0035】
また、このダイヤモンド含有層17Aに含まれるダイヤモンド粉末の表面が水素終端されている場合には、このダイヤモンド粉末が負性電子親和力を持つので、Xeイオンからの二次電子放出がさらに増大され、これによって、アドレス放電開始電圧がさらに低下する。
【0036】
また、さらに、ダイヤモンド含有層17Aに含まれるダイヤモンド粉末の表面が酸素終端されている場合でも、放電ガス中に微量(例えば4パーセント以下)の水素を混合することで、ダイヤモンド粉末の表面を水素化することができ、これによって、Xeイオンからの二次電子放出をさらに増大させて、アドレス放電開始電圧を低下させることが出来る。
【0037】
ここで、ダイヤモンド含有層17Aのダイヤモンド粉末は、光電効果などによって電子を放出し易く、プラスに帯電するので、アドレス電極Dの極性が陰極と陽極のどちらの場合であっても、アドレス放電開始電圧を低下させる効果を発揮し、また、光電効果によって電子を供給して、それがプライミング粒子になることによりアドレス放電の開始の遅れを改善するので、アドレス放電期間を短くすることができる。
【0038】
しかしながら、アドレス電極Dの極性は、陰極に設定するほうが、放電ガス中のXeイオンからの二次電子放出係数γがより大きくなり、これによって、アドレス放電開始電圧をさらに低下させることが出来るようになる。
【0039】
なお、上記においては、ダイヤモンド含有層17Aが蛍光体層7の他の部分17Bと同じ蛍光材料にダイヤモンド粉末を含有させることによって形成されている例が示されているが、放電セルC内における蛍光体の蛍光面積が十分に確保される場合は、ダイヤモンド含有層17Aを他の絶縁材料によって形成するようにしてもよい。
【0040】
図4は、この発明によるPDPの実施形態における第2の例を示す断面図である。
【0041】
この第2の例のPDPは、上述した第1の例のPDPと同じ反射型面放電方式PDPであって、蛍光体層以外の部分は第1の例のPDPとほぼ同様の構成を有しており、同一の符号が付されている。
【0042】
この第2の例のPDPは、蛍光体層27が、アドレス電極保護層5の表面と隔壁6の側面を覆うように赤または緑,青の蛍光材料によって形成された蛍光材料層27Bと、この蛍光材料層27Bの表面を全て覆うように形成されたダイヤモンド含有層27Aとによって構成されている。
【0043】
このダイヤモンド含有層27Aは、第1の例のダイヤモンド含有層17Aと同様に、蛍光材料層27Bと同じ色の蛍光材料にダイヤモンド粒子を含有させたもので、ダイヤモンド粉末の粒径,ダイヤモンド粉末に含まれる不純物,終端の形態,アドレス電極Dの極性に対する特性などに関しては、前述した第1の例の場合とほぼ同様である。
【0044】
そして、ダイヤモンド含有層27Aの形成方法は、CVD(化学蒸着)法が好適であるが、この他、スクリーン印刷法またはインクジェット,ノズル吐出,スピンコート等の各種方法によって形成される。
【0045】
上記PDPは、表示電極Yとアドレス電極Dとの間で行われるアドレス放電が、蛍光体層27のダイヤモンド含有層27Aを挟んで行われるので、このダイヤモンド含有層27Aに含有されるダイヤモンド粒子によって、蛍光体層27を蛍光材料のみによって形成した場合よりもアドレス放電開始電圧が低下し、これによって、隔壁6の高さを高くしたり、または、放電ガス中のキセノンガスの割合を増加させたり、誘電体層2の膜厚を大きくするような場合でも、アドレス放電開始電圧を上昇させることなくアドレス放電を発生させることが出来るようになる。
【0046】
このアドレス放電開始電圧が低下するメカニズムについては、第1の例のPDPとほぼ同様である。
また、この例においても、第1の例の場合と同様に、放電ガス中に微量の水素を混合させることで、アドレス放電開始電圧をさらに低下させることが出来る。
【0047】
図5は、この発明によるPDPの実施形態における第3の例を示す断面図である。
【0048】
この第3の例のPDPも、前述した第1の例のPDPと同じ反射型面放電方式PDPであって、蛍光体層以外の部分は第1の例のPDPとほぼ同様の構成を有しており、同一の符号が付されている。
【0049】
この第3の例のPDPは、蛍光体層37が、アドレス電極保護層5の表面と隔壁6の側面を覆うように赤または緑,青の蛍光材料によって形成された蛍光材料層37Bと、この蛍光材料層37Bのアドレス電極保護層5に対向する中央部分にこの蛍光材料層37Bの表面の一部を覆うように形成されたダイヤモンド含有層37Aとによって構成されている。
【0050】
このダイヤモンド含有層37Aは、第1の例のダイヤモンド含有層17Aと同様に、蛍光材料層37Bと同じ色の蛍光材料にダイヤモンド粒子を含有させたもので、ダイヤモンド粉末の粒径,ダイヤモンド粉末に含まれる不純物,終端の形態,アドレス電極Dの極性に対する特性などに関しては、前述した第1の例の場合とほぼ同様である。
【0051】
そして、ダイヤモンド含有層37Aの形成方法は、CVD(化学蒸着)法が好適であるが、この他、スクリーン印刷法またはインクジェット,ノズル吐出,スピンコート等の各種方法によって形成される。
【0052】
上記PDPは、表示電極Yとアドレス電極Dとの間で行われるアドレス放電が、蛍光体層37の蛍光材料層37B上に形成されたダイヤモンド含有層37Aを挟んで行われるので、このダイヤモンド含有層37Aに含有されるダイヤモンド粉末によって、蛍光体層37を蛍光材料のみによって形成した場合よりもアドレス放電開始電圧が低下し、これによって、隔壁6の高さを高くしたり、または、放電ガス中のキセノンガスの割合を増加させたり、誘電体層2の膜厚を大きくするような場合でも、アドレス放電開始電圧を上昇させることなくアドレス放電を行わせることが出来るようになる。
【0053】
このアドレス放電開始電圧が低下するメカニズムについては、第1の例のPDPとほぼ同様である。
また、この例においても、第1の例の場合と同様に、放電ガス中に微量の水素を混合させることで、アドレス放電開始電圧をさらに低下させることが出来る。
【0054】
なお、上記においては、蛍光体層37のダイヤモンド含有層37Aが、蛍光材料層37Bと同じ蛍光材料にダイヤモンド粒子を含有させることによって形成されている例が示されているが、放電セルC内における蛍光材料層37Bの蛍光面積が十分に確保される場合は、ダイヤモンド含有層17Aを他の絶縁材料によって形成するようにしてもよい。
【0055】
図6は、この発明によるPDPの実施形態における第4の例を示す断面図である。
【0056】
この第4の例のPDPも、前述した第1の例のPDPと同じ反射型面放電方式PDPであって、蛍光体層以外の部分は第1の例のPDPとほぼ同様の構成を有しており、同一の符号が付されている。
【0057】
この第4の例のPDPは、蛍光体層47が、アドレス電極保護層5の表面と隔壁6の側面を覆うように形成されたダイヤモンド含有層47Aと、このダイヤモンド含有層47Aの表面を覆うように赤または緑,青の蛍光材料によって形成された蛍光材料層47Bとによって構成されている。
【0058】
このダイヤモンド含有層47Aは、蛍光材料層47Bと同じ色の蛍光材料にダイヤモンド粉末を含有させたものであっても良いし、または、他の絶縁材料にダイヤモンド粉末を含有させたものであっても良く、ダイヤモンド粉末の粒径,ダイヤモンド含有層の形成方法,ダイヤモンド粉末に含まれる不純物,終端の形態,アドレス電極Dの極性に対する特性などに関しては、前述した第1の例の場合とほぼ同様である。
【0059】
上記PDPは、表示電極Yとアドレス電極Dとの間で行われるアドレス放電が、蛍光体層47のダイヤモンド含有層47Aを挟んで行われるので、このダイヤモンド含有層47Aに含有されるダイヤモンド粉末によって、蛍光体層47を蛍光材料のみによって形成した場合よりもアドレス放電開始電圧が低下し、これによって、隔壁6の高さを高くしたり、または、放電ガス中のキセノンガスの割合を増加させたり、誘電体層2の膜厚を大きくするような場合でも、アドレス放電開始電圧を上昇させることなくアドレス放電を行わせることが出来るようになる。
【0060】
このアドレス放電開始電圧が低下するメカニズムについては、第1の例のPDPとほぼ同様である。
また、この例においても、第1の例の場合と同様に、放電ガス中に微量の水素を混合させることで、アドレス放電開始電圧をさらに低下させることが出来る。
【0061】
図7は、この発明によるPDPの実施形態における第5の例を示す断面図である。
【0062】
この第5の例のPDPも、前述した第1の例のPDPと同じ反射型面放電方式PDPであって、蛍光体層以外の部分は第1の例のPDPとほぼ同様の構成を有しており、同一の符号が付されている。
【0063】
この第5の例のPDPは、蛍光体層57が、放電セルC内に位置するアドレス電極保護層5の表面のほぼ中央部分にプレート状に形成されたダイヤモンド含有層57Aと、このダイヤモンド含有層57Aおよびアドレス電極保護層5,隔壁6の側面を覆うように赤または緑,青の蛍光材料によって形成された蛍光材料層57Bとによって構成されている。
【0064】
このダイヤモンド含有層57Aは、蛍光材料層57Bと同じ色の蛍光材料にダイヤモンド粒子を含有させたものであっても良いし、または、他の絶縁材料にダイヤモンド粉末を含有させたものであっても良く、ダイヤモンド粉末の粒径,ダイヤモンド含有層の形成方法,ダイヤモンド粉末に含まれる不純物,終端の形態,アドレス電極Dの極性に対する特性などに関しては、前述した第1の例の場合とほぼ同様である。
【0065】
上記PDPは、表示電極Yとアドレス電極Dとの間で行われるアドレス放電が、蛍光体層57のダイヤモンド含有層57Aを挟んで行われるので、このダイヤモンド含有層57Aに含有されるダイヤモンド粉末によって、蛍光体層57を蛍光材料のみによって形成した場合よりもアドレス放電開始電圧が低下し、これによって、隔壁6の高さを高くしたり、または、放電ガス中のキセノンガスの割合を増加させたり、誘電体層2の膜厚を大きくする場合でも、アドレス放電開始電圧を上昇させることなくアドレス放電を行わせることが出来るようになる。
【0066】
このアドレス放電開始電圧が低下するメカニズムについては、第1の例のPDPとほぼ同様である。
また、この例においても、第1の例の場合と同様に、放電ガス中に微量の水素を混合させることで、アドレス放電開始電圧をさらに低下させることが出来る。
【0067】
図8は、この発明によるPDPの実施形態における第6の例を示す断面図である。
【0068】
この第6の例のPDPは、前述した第1の例のPDPと同じ反射型面放電方式PDPであるが、第1の例のPDPが表示放電とアドレス放電を同じ放電セル内において発生させるのに対し、表示放電が行われる表示放電セルC1とアドレス放電が行われるアドレス放電セルC2が別個に設けられている構成を備えている。
【0069】
すなわち、対となるように構成された表示放電セルC1とアドレス放電セルC2の間が、隣接する表示ラインとの間を仕切る第1横壁66Aよりも高さが低い第2横壁66Bによって仕切られており、この表示放電セルC1とアドレス放電セルC2は、第2横壁66Bと保護層3との間に形成された隙間rを介して連通されている。
【0070】
そして、表示放電セルC1は、表示電極対(X1,Y1)の対になった透明電極Xa1,Ya1に対向されており、アドレス放電セルC2は、各表示電極X1,Y1の透明電極Xa1,Ya1のバス電極Xb1,Yb1から隣接する他の表示電極対(X1,Y1)の方向にそれぞれ張り出している部分Xa2,Ya2に対向されている。
【0071】
この表示放電セルC1内には蛍光体層7が形成され、アドレス放電セルC2内には、ダイヤモンド含有層67が、アドレス電極保護層5の表面と第1横壁66Aおよび第2横壁66B(さらには、図示されていない縦壁)の側面を覆うように形成されている。
【0072】
このダイヤモンド含有層67Aは、絶縁材料にダイヤモンド粉末を含有させたもので、このダイヤモンド粉末の粒径,ダイヤモンド含有層の形成方法,ダイヤモンド粉末に含まれる不純物,終端の形態,アドレス電極Dの極性に対する特性などに関しては、前述した第1の例の場合とほぼ同様である。
【0073】
前面基板1と誘電体層2の間のアドレス放電セルC2に対向する部分には、黒色の光吸収層10が形成されている。
【0074】
この例のPDPは、表示放電セルC1内において、表示放電が、放電ギャップg1を介して互いに対向する透明電極XaとYaの間で発生され、アドレス放電セルC2内において、アドレス放電が、透明電極Ya1のバス電極Ybから隣接する他の表示電極対(X1,Y1)の方向に張り出している部分Ya2とアドレス電極Dとの間で発生される。
【0075】
このように、上記PDPは、アドレス放電セルC2内において、アドレス放電が、透明電極Ya1の張り出し部分Ya2とアドレス電極Dとの間でダイヤモンド含有層67を挟んで発生されるので、このダイヤモンド含有層67に含有されるダイヤモンド粉末によって、ダイヤモンド含有層67が形成されていない場合と比べてアドレス放電開始電圧を低下させることが出来る。
【0076】
これによって、表示放電セルC1内における表示放電の発光効率を上げるために第1横壁66Aの高さを高くしたり、または、放電ガス中のキセノンガスの割合を増加させたり、誘電体層2の膜厚を大きくするような場合でも、低いアドレス放電開始電圧によってアドレス放電を発生させることが出来るようになる。
【0077】
このアドレス放電開始電圧が低下するメカニズムについては、第1の例のPDPとほぼ同様である。
また、この例においても、第1の例の場合と同様に、放電ガス中に微量の水素を混合させることで、アドレス放電開始電圧をさらに低下させることが出来る。
【0078】
図9は、この発明によるPDPの実施形態における第7の例を示す断面図である。
【0079】
この第7の例のPDPは、上述した第6の例のPDPと同様に、対になった表示放電セルC1とアドレス放電セルC2を備えた反射型面放電方式PDPである。
【0080】
この例のPDPは、隣接する表示ラインとの間を仕切る第1横壁76Aと、対になっている表示放電セルC1とアドレス放電セルC2の間を仕切る第2横壁76Bが同じ高さになるように形成されていて、誘電体層2の背面側に放電空間内に突出するように形成された嵩上げ誘電体層2Aが、第1横壁76Aの頂部に当接されていることによって、隣接する表示ライン間が閉じられている。
【0081】
そして、表示放電セルC1内には蛍光体層7が形成され、アドレス放電セルC2内には、絶縁材料にダイヤモンド粉末を含有させたダイヤモンド含有層77が形成されている。
【0082】
この例のPDPの他の部分の構成は、第6の例のPDPと同様であり、同一の符号が付されている。
【0083】
この例のPDPも、アドレス放電セルC2内に形成されたダイヤモンド含有層77によって、低いアドレス放電開始電圧によってアドレス放電を発生させることが出来る。
【0084】
図10は、この発明によるPDPの実施形態における第8の例を示す断面図である。
【0085】
この第8の例のPDPは、前述した第6の例のPDPの構成に加えて、背面基板4上にアドレス放電セルC2内に突出するように突起リブ80が形成されていて、この突起リブ80によって、アドレス電極D1およびアドレス電極保護層85が前面基板1側に接近する方向に持ち上げられた構成になっている。
【0086】
そして、表示放電セルC1内には蛍光体層7が形成され、アドレス放電セルC2内には、絶縁材料にダイヤモンド粉末を含有させたダイヤモンド含有層87が形成されている。
【0087】
この例のPDPの他の部分の構成は、第6の例のPDPと同様であり、同一の符号が付されている。
【0088】
この例のPDPは、第6の例のPDPと同様にアドレス放電セルC2内に形成されたダイヤモンド含有層87によって、低いアドレス放電開始電圧でアドレス放電を発生させることが出来るとともに、アドレス電極D1が突起リブ80によって透明電極Ya1の張り出し部分Ya2に接近されていることにより、さらにアドレス放電開始電圧が低下される。
【0089】
図11は、この発明によるPDPの実施形態における第9の例を示す断面図である。
【0090】
この第9の例のPDPは、前述した第7の例のPDPの構成に加えて、背面基板4上にアドレス放電セルC2内に突出するように突起リブ90が形成されていて、この突起リブ90によって、アドレス電極D1およびアドレス電極保護層95が前面基板1側に接近する方向に持ち上げられた構成になっている。
【0091】
そして、表示放電セルC1内には蛍光体層7が形成され、アドレス放電セルC2内には、絶縁材料にダイヤモンド粉末を含有させたダイヤモンド含有層97が形成されている。
【0092】
この例のPDPの他の部分の構成は、第7の例のPDPと同様であり、同一の符号が付されている。
【0093】
この例のPDPは、第7の例のPDPと同様にアドレス放電セルC2内に形成されたダイヤモンド含有層97によって、低いアドレス放電開始電圧でアドレス放電を発生させることが出来るとともに、アドレス電極D1が突起リブ90によって透明電極Ya1の張り出し部分Ya2に接近されていることにより、さらにアドレス放電開始電圧が低下される。
【0094】
図12は、この発明によるPDPの実施形態における第10の例を示す断面図である。
【0095】
この第10の例のPDPは、前述した第6の例のPDPの構成に加えて、アドレス放電セルC2内においてアドレス電極保護層5上に、強誘電体材料によって強誘電体層100が形成され、この強誘電体層100上に絶縁材料にダイヤモンド粉末を含有させたダイヤモンド含有層107が形成されている。
【0096】
この例のPDPの他の部分の構成は、第6の例のPDPと同様であり、同一の符号が付されている。
【0097】
この例のPDPは、第6の例のPDPと同様に、アドレス放電セルC2内に形成されたダイヤモンド含有層107によって、低いアドレス放電開始電圧でアドレス放電を発生させることが出来るとともに、強誘電体層100によって、透明電極Ya1の張り出し部分Ya2とアドレス電極Dとの間の見かけの放電距離が短縮されて、これにより、さらにアドレス放電開始電圧が低下される。
【0098】
図13は、この発明によるPDPの実施形態における第11の例を示す断面図である。
【0099】
この第11の例のPDPは、前述した第7の例のPDPの構成に加えて、アドレス放電セルC2内においてアドレス電極保護層5上に、強誘電体材料によって強誘電体層110が形成され、この強誘電体層110上に絶縁材料にダイヤモンド粉末を含有させたダイヤモンド含有層117が形成されている。
【0100】
この例のPDPの他の部分の構成は、第7の例のPDPと同様であり、同一の符号が付されている。
【0101】
この例のPDPは、第7の例のPDPと同様に、アドレス放電セルC2内に形成されたダイヤモンド含有層117によって、低いアドレス放電開始電圧でアドレス放電を発生させることが出来るとともに、強誘電体層110によって、透明電極Ya1の張り出し部分Ya2とアドレス電極Dとの間の見かけの放電距離が短縮されて、これにより、さらにアドレス放電開始電圧が低下される。
【0102】
図14は、この発明によるPDPの実施形態における第12の例を示す断面図である。
【0103】
この第12の例のPDPは、対向放電方式のPDPであって、前面基板1の背面に表示電極対(X2,Y2)の一方の表示電極Y2が形成されて、誘電体層2および保護層3により被覆され、背面基板4上に他方の表示電極X2が表示電極Y2と対向して同一方向に延びるように形成されて、誘電体層125Aにより被覆されている。
【0104】
この誘電体層125A上には、アドレス電極D2が、表示電極X2およびY2と直交する方向に延びるように形成されおり、このアドレス電極D2の三方がアドレス電極保護層125Bによって被覆され、さらに、このアドレス電極保護層125Bの三方を覆うように、ダイヤモンド含有層127Aが形成されている。
【0105】
そして、この表示電極X2,Y2とアドレス電極D2が交差する位置に形成される放電セルCが、隔壁126によって区画されており、この隔壁126の放電セルCに面する側面に、蛍光体層127Bが形成されている。
【0106】
ダイヤモンド含有層127Aは、蛍光体層127Bと同じ色の蛍光材料にダイヤモンド粉末を含有させて形成するようにしても良く、または、他の絶縁材料にダイヤモンド粉末を含有させて形成するようにしても良い。
【0107】
このダイヤモンド粉末の粒径やダイヤモンド粉末に含まれる不純物,終端の形態,アドレス電極Dの極性に対する特性などに関しては、前述した第1の例の場合とほぼ同様である。
【0108】
そして、ダイヤモンド含有層127Aの形成方法は、CVD(化学蒸着)法が好適であるが、この他、スクリーン印刷法またはインクジェット,ノズル吐出,スピンコート等の各種方法によって形成される。
【0109】
上記PDPは、表示電極Y2とアドレス電極Dとの間で行われるアドレス放電が、ダイヤモンド含有層127Aを挟んで行われるので、このダイヤモンド含有層127Aに含有されるダイヤモンド粉末によって、低いアドレス放電開始電圧で開始され、これによって、表示電極X2とY2の間で発生される表示放電の発光効率を上げるために、隔壁126の高さを高くしたり、または、放電ガス中のキセノンガスの割合を増加させたり、誘電体層2の膜厚を大きくするような場合でも、アドレス放電開始電圧を上昇させることなくアドレス放電を発生させることが出来るようになる。
【0110】
このアドレス放電開始電圧が低下するメカニズムについては、第1の例のPDPとほぼ同様である。
また、この例においても、第1の例の場合と同様に、放電ガス中に微量の水素を混合させることで、アドレス放電開始電圧をさらに低下させることが出来る。
【0111】
図15は、この発明によるPDPの実施形態における第13の例を示す断面図である。
【0112】
この第13の例のPDPも、上記第12の例のPDPと同様の対向放電方式のPDPであって、アドレス電極D2を被覆するアドレス電極保護層135Bが、表示電極X2を被覆する誘電体層135Aの放電セルCに面する部分の全面を覆うように形成され、さらに、ダイヤモンド含有層137Aが、このアドレス電極保護層135Bの全面を覆うように形成されている。
【0113】
この例のPDPの他の部分の構成は、第12の例の構成とほぼ同様であり、同一の符号が付されている。
【0114】
ダイヤモンド含有層137Aは、蛍光体層127Bと同じ色の蛍光材料にダイヤモンド粉末を含有させて形成するようにしても良く、または、他の絶縁材料にダイヤモンド粉末を含有させて形成するようにしても良い。
【0115】
このダイヤモンド粉末の粒径やダイヤモンド粉末に含まれる不純物,終端の形態,アドレス電極Dの極性に対する特性などに関しては、前述した第1の例の場合とほぼ同様である。
【0116】
そして、ダイヤモンド含有層137Aの形成方法は、CVD(化学蒸着)法が好適であるが、この他、スクリーン印刷法またはインクジェット,ノズル吐出,スピンコート等の各種方法によって形成される。
【0117】
上記PDPは、表示電極Y2とアドレス電極Dとの間で行われるアドレス放電が、ダイヤモンド含有層137Aを挟んで行われるので、このダイヤモンド含有層137Aに含有されるダイヤモンド粒子によって、低いアドレス放電開始電圧で開始され、これによって、表示電極X2とY2の間で発生される表示放電の発光効率を上げるために、隔壁126の高さを高くしたり、または、放電ガス中のキセノンガスの割合を増加させたり、誘電体層2の膜厚を大きくするような場合でも、アドレス放電開始電圧を上昇させることなくアドレス放電を発生させることが出来るようになる。
【0118】
このアドレス放電開始電圧が低下するメカニズムについては、第1の例のPDPとほぼ同様である。
また、この例においても、第1の例の場合と同様に、放電ガス中に微量の水素を混合させることで、アドレス放電開始電圧をさらに低下させることが出来る。
【0119】
図16および17は、この発明によるPDPの実施形態における第14の例を示す断面図である。
【0120】
この第14の例のPDPは、背面基板4側に表示電極対(X3,Y3)とアドレス電極D3が共に形成される方式のPDPであり、それぞれ透明電極Xa3,Ya3とバス電極Xb3,Yb3からなる第1の例の表示電極対と同様の構成の表示電極対(X3,Y3)が、背面基板4上に形成されて、誘電体層145Aによって被覆されている。
【0121】
そして、この誘電体層145Aの表面が保護層145Bによって被覆されており、この保護層145B上に、図17に示されるような形状のアドレス電極D3が形成されている。
すなわち、図17において、アドレス電極D3は、表示電極X3,Y3と直交する方向に延びる電極本体部D3Aと、この電極本体部D3Aから直角方向に延びて先端部が透明電極Ya3と重なる位置に位置される突出部D3Bとから構成されている。
【0122】
このアドレス電極D3は、アドレス電極保護層145Cによって被覆され、そして、このアドレス電極保護層145Cの表面を覆うように、ダイヤモンド含有層147Aが形成されている。
【0123】
そして、この透明電極Ya3とアドレス電極D3の突出部D3Bが重なる位置に形成される放電セルCが、隔壁146によって区画されており、この隔壁146の放電セルCに面する側面に、蛍光体層147Bが形成されている。
【0124】
ダイヤモンド含有層147Aは、蛍光体層127Bと同じ色の蛍光材料にダイヤモンド粉末を含有させて形成するようにしても良く、または、他の絶縁材料にダイヤモンド粉末を含有させて形成するようにしても良い。
【0125】
このダイヤモンド粉末の粒径やダイヤモンド粉末に含まれる不純物,終端の形態,アドレス電極Dの極性に対する特性などに関しては、前述した第1の例の場合とほぼ同様である。
【0126】
そして、ダイヤモンド含有層147Aの形成方法は、CVD(化学蒸着)法が好適であるが、この他、スクリーン印刷法またはインクジェット,ノズル吐出,スピンコート等の各種方法によって形成される。
【0127】
上記PDPは、アドレス放電が、背面基板4側において表示電極Y3の透明電極Ya3とアドレス電極Dの突出部D3Bとの間で発生され、このとき、このダイヤモンド含有層147Aに含有されるダイヤモンド粉末によって、低いアドレス放電開始電圧でアドレス放電が開始される。
【0128】
これによって、表示電極X3とY3の間で発生される表示放電の発光効率を上げるために、隔壁6の高さを高くしたり、または、放電ガス中のキセノンガスの割合を増加させたり、誘電体層2の膜厚を大きくするような場合でも、アドレス放電開始電圧を上昇させることなくアドレス放電を発生させることが出来るようになる。
【0129】
このアドレス放電開始電圧が低下するメカニズムについては、第1の例のPDPとほぼ同様である。
また、この例においても、第1の例の場合と同様に、放電ガス中に微量の水素を混合させることで、アドレス放電開始電圧をさらに低下させることが出来る。
【0130】
図18は、この発明によるPDPの実施形態における第15の例を示す断面図である。
【0131】
この第15の例のPDPは、第14の例の場合と反対に、前面基板1側に表示電極対(X4,Y4)とアドレス電極D4が共に形成される方式のPDPであり、表示電極X4とY4が第1の例の表示電極対と同様の態様で前面基板1上に形成されて、誘電体層2によって被覆されている。
【0132】
そして、この誘電体層2を被覆する保護層3の背面側に、アドレス電極D4が形成されている。
【0133】
このアドレス電極D4の形状は、図17に示されるアドレス電極D3と同様の形状を備えていて、表示電極Xb4,Yb4と直交する方向に延びる図示しない電極本体部からこの電極本体部と直角方向に延びて先端部が透明電極Ya4と重なる位置に位置される突出部D4Bとから構成されている。
【0134】
このアドレス電極D4は、アドレス電極保護層155によって被覆され、そして、このアドレス電極保護層155の表面を覆うように、ダイヤモンド含有層157が形成されている。
【0135】
そして、この透明電極Ya4とアドレス電極D4の突出部D4Bが重なる位置に形成される放電セルCが、隔壁156によって区画されており、この放電セルC内において、隔壁156の側面と背面基板4を被覆する誘電体層152の表面を覆うように、蛍光体層7が形成されている。
【0136】
ダイヤモンド含有層157は、蛍光体層7と同じ色の蛍光材料にダイヤモンド粉末を含有させて形成するようにしても良く、または、他の絶縁材料にダイヤモンド粉末を含有させて形成するようにしても良い。
【0137】
このダイヤモンド粉末の粒径やダイヤモンド粉末に含まれる不純物,終端の形態,アドレス電極Dの極性に対する特性などに関しては、前述した第1の例の場合とほぼ同様である。
【0138】
そして、ダイヤモンド含有層7の形成方法は、CVD(化学蒸着)法が好適であるが、この他、スクリーン印刷法またはインクジェット,ノズル吐出,スピンコート等の各種方法によって形成される。
【0139】
上記PDPは、アドレス放電が、前面基板1側において表示電極Y4の透明電極Ya4とアドレス電極の突出部D4Bとの間で発生され、このとき、このダイヤモンド含有層157に含有されるダイヤモンド粉末によって、低いアドレス放電開始電圧でアドレス放電が開始される。
【0140】
これによって、表示電極X4とY4の間で発生される表示放電の発光効率を上げるために、隔壁6の高さを高くしたり、または、放電ガス中のキセノンガスの割合を増加させたり、誘電体層2の膜厚を大きくするような場合でも、アドレス放電開始電圧を上昇させることなくアドレス放電を発生させることが出来るようになる。
【0141】
このアドレス放電開始電圧が低下するメカニズムについては、第1の例のPDPとほぼ同様である。
また、この例においても、第1の例の場合と同様に、放電ガス中に微量の水素を混合させることで、アドレス放電開始電圧をさらに低下させることが出来る。
【0142】
図19は、この発明によるPDPの実施形態における第16の例を示す断面図である。
【0143】
この第16の例のPDPは、前述した第1の例のPDPと同じ反射型面放電方式PDPであって、蛍光体層以外の部分は第1の例のPDPとほぼ同様の構成を有しており、同一の符号が付されている。
【0144】
この第16の例のPDPは、赤、緑、青の色の蛍光材料にダイヤモンド粒子が含有されて形成されるダイヤモンド含有層167が、蛍光体層として、アドレス電極保護層5の表面と隔壁6の側面を覆うように形成されていている。
【0145】
このダイヤモンド含有層167のダイヤモンド粉末の粒径,ダイヤモンド粉末に含まれる不純物,終端の形態,アドレス電極D4の極性に対する特性などに関しては、前述した第1の例の場合とほぼ同様である。
【0146】
そして、ダイヤモンド含有層167の形成方法は、CVD(化学蒸着)法が好適であるが、この他、スクリーン印刷法またはインクジェット,ノズル吐出,スピンコート等の各種方法によって形成される。
【0147】
上記PDPは、表示電極Yとアドレス電極Dとの間で行われるアドレス放電が、ダイヤモンド含有層167を挟んで行われるので、このダイヤモンド含有層167に含有されるダイヤモンド粉末によって、低いアドレス放電開始電圧によってアドレス放電を発生させることができ、これによって、表示電極XとY間で発生される表示放電の発光効率を上げるために、隔壁6の高さを高くしたり、または、放電ガス中のキセノンガスの割合を増加させたり、誘電体層2の膜厚を大きくする場合でも、アドレス放電開始電圧を上昇させることなくアドレス放電を行わせることが出来るようになる。
【0148】
そして、このダイヤモンド含有層167は、表示電極XとY間で表示放電が発生された際に、このダイヤモンド含有層167を形成する蛍光体が励起されて発光を行う。
【0149】
このアドレス放電開始電圧が低下するメカニズムについては、第1の例のPDPとほぼ同様である。
また、この例においても、第1の例の場合と同様に、放電ガス中に微量の水素を混合させることで、アドレス放電開始電圧をさらに低下させることが出来る。
【0150】
上記各例におけるプラズマディスプレイパネルは、二枚の基板の間の蛍光体層が形成されているとともに放電ガスが封入された放電セル内で、対になった表示電極間における表示放電とこの対になった表示電極のうちの一方の表示電極とアドレス電極との間におけるアドレス放電を発生させるプラズマディスプレイパネルにおいて、前記放電セル内の一方の表示電極とアドレス電極との間でアドレス放電が発生される部分に、ダイヤモンドを含有する絶縁材料によってダイヤモンド含有層が形成されているプラズマディスプレイパネルの実施形態を、その上位概念の実施形態としている。
【0151】
この上位概念の実施形態におけるプラズマディスプレイパネルは、放電セル内において、対になった表示電極の一方の表示電極とアドレス電極との間でアドレス放電が発生される際に、放電セルのアドレス放電が発生される部分に形成されたダイヤモンド含有層に含有されるダイヤモンドによって、放電ガスからの二次電子の放出が増大され、これによって、低いアドレス放電開始電圧によってアドレス放電を発生させることが出来る。
【0152】
従って、放電セル内における表示放電の発光効率を向上させるために、二枚の基板の間隔を大きくしたり、または、放電ガス中のキセノンガスの割合を増加させたり、表示電極を被覆する誘電体層の膜厚を大きくするような場合でも、ダイヤモンド含有層によって、アドレス放電開始電圧を上昇させることなくアドレス放電を発生させることが出来るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のPDPの構成を模式的に示す正面図である。
【図2】図1のV−V線における断面図である。
【図3】この発明によるPDPの第1の例を示す断面図である。
【図4】この発明によるPDPの第2の例を示す断面図である。
【図5】この発明によるPDPの第3の例を示す断面図である。
【図6】この発明によるPDPの第4の例を示す断面図である。
【図7】この発明によるPDPの第5の例を示す断面図である。
【図8】この発明によるPDPの第6の例を示す断面図である。
【図9】この発明によるPDPの第7の例を示す断面図である。
【図10】この発明によるPDPの第8の例を示す断面図である。
【図11】この発明によるPDPの第9の例を示す断面図である。
【図12】この発明によるPDPの第10の例を示す断面図である。
【図13】この発明によるPDPの第11の例を示す断面図である。
【図14】この発明によるPDPの第12の例を示す断面図である。
【図15】この発明によるPDPの第13の例を示す断面図である。
【図16】この発明によるPDPの第14の例を示す断面図である。
【図17】同例におけるアドレス電極を示す正面図である。
【図18】この発明によるPDPの第15の例を示す断面図である。
【図19】この発明によるPDPの第16の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 …前面基板(一方の基板)
4 …背面基板(他方の基板)
6, 126,146,156 …隔壁
66A, 76A …第1横壁
66B, 76B …第2横壁
7,17B,27B,37B,47B,57B,127B,147B …蛍光体層
17A,27A,37A,47A,57A,67,77,87,97,107,117,127A,137A,147A,157,167 …ダイヤモンド含有層
X,X1,X2,X3,X4 …表示電極(他方の表示電極)
Y,Y1,Y2,Y3,Y4 …表示電極(一方の表示電極)
Ya2 …張り出し部分
D,D1,D2,D3,D4 …アドレス電極
D3B,D4B …突出部
C …放電セル
C1 …表示放電セル
C2 …アドレス放電セル

Claims (30)

  1. 二枚の基板の間の蛍光体層が形成されているとともに放電ガスが封入された放電セル内で、対になった表示電極間における表示放電とこの対になった表示電極のうちの一方の表示電極とアドレス電極との間におけるアドレス放電を発生させるプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記放電セル内の一方の表示電極とアドレス電極との間でアドレス放電が発生される部分に、ダイヤモンドを含有する絶縁材料によってダイヤモンド含有層が形成されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記ダイヤモンド含有層を形成する絶縁材料が、蛍光体層を形成する蛍光材料と同じ色の蛍光材料である請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記ダイヤモンド含有層を形成する絶縁材料が、蛍光体層を形成する蛍光材料とは異なる他の絶縁材料である請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 前記ダイヤモンド含有層に含有されるダイヤモンドが粉末である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  5. 前記ダイヤモンド粉末の径が、0.1〜3μmである請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  6. 前記ダイヤモンドが水素終端されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  7. 前記ダイヤモンドが、水素中アニールまたは水中プラズマ中アニールの方法によって水素終端されている請求項6に記載のプラズマディスプレイパネル。
  8. 前記ダイヤモンドは、高圧合成または爆縮合成されたものである請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  9. 前記ダイヤモンド粒子が不純物を含んでいる請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  10. 前記不純物が、リンまたは窒素,ボロンである請求項8に記載のプラズマディスプレイパネル。
  11. 前記放電ガスが水素ガスを含んでいる請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  12. 前記放電ガス中の水素ガスの濃度が4パーセント以下である請求項11に記載のプラズマディスプレイパネル。
  13. 前記ダイヤモンド含有層が、CVD法によって形成されるダイヤモンドを含む請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  14. 前記ダイヤモンド含有層が、スクリーン印刷またはインクジェット,ノズル吐出,スピンコート方法によって形成される請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  15. 前記アドレス電極が陰極側に設定されてアドレス放電が行われる請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  16. 前記二枚の基板の一方の基板側に対になった表示電極が形成され、他方の基板側にアドレス電極が形成され、蛍光体層のアドレス電極に対向する部分にダイヤモンド含有層が形成されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  17. 前記ダイヤモンド含有層が、蛍光体層のアドレス電極に対向する中央位置に形成されている請求項16に記載のプラズマディスプレイパネル。
  18. 前記ダイヤモンド含有層が、蛍光体層の表面の全面に形成されている請求項16に記載のプラズマディスプレイパネル。
  19. 前記ダイヤモンド含有層が、蛍光体層の表面のアドレス電極に対向する中央部分に形成されている請求項16に記載のプラズマディスプレイパネル。
  20. 前記蛍光体層と他方の基板との間の全面にダイヤモンド含有層が形成されている請求項16に記載のプラズマディスプレイパネル。
  21. 前記蛍光体層の中央部分と他方の基板との間にダイヤモンド含有層が形成されている請求項16に記載のプラズマディスプレイパネル。
  22. 前記蛍光体層が、蛍光材料にダイヤモンドが含有されたダイヤモンド含有層によって構成されている請求項16に記載のプラズマディスプレイパネル。
  23. 前記放電セルが、蛍光体層が形成されて対になった表示電極間で表示放電が行われる表示放電セルと、対になった表示電極の一方の表示電極とアドレス電極との間でアドレス放電が行われるアドレス放電セルに区画され、ダイヤモンド含有層がこのアドレス放電セル内に形成されている請求項16に記載のプラズマディスプレイパネル。
  24. 前記アドレス放電セル内において、アドレス電極が、他方の基板上に形成された突起部によって一方の基板側に形成された表示電極に接近する方向に持ち上げられ、ダイヤモンド含有層が、この突起部によって持ち上げられたアドレス電極を覆う位置に形成されている請求項23に記載のプラズマディスプレイパネル。
  25. 前記アドレス放電セル内において、他方の基板上のアドレス電極を覆う位置に強誘電体層が形成され、ダイヤモンド含有層が、この強誘電体層上に形成されている請求項23に記載のプラズマディスプレイパネル。
  26. 前記二枚の基板の一方の基板側に対になった表示電極の一方の表示電極が形成され、他方の基板側に対になった表示電極の他方の表示電極とアドレス電極が形成され、ダイヤモンド含有層がこのアドレス電極を覆う位置に形成されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  27. 前記ダイヤモンド含有層が、他方の基板の放電セルに面する部分の一部に形成されている請求項26に記載のプラズマディスプレイパネル。
  28. 前記ダイヤモンド含有層が、他方の基板の放電セルに面する部分の全面に形成されている請求項26に記載のプラズマディスプレイパネル。
  29. 前記二枚の基板のうちパネルの背面側に位置する基板側に、対になった表示電極とこの表示電極に対して放電セル側に位置されるアドレス電極が形成され、ダイヤモンド含有層が、放電セル内においてこのアドレス電極を覆う位置に形成されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  30. 前記二枚の基板のうちパネルの表示面側に位置する基板側に、対になった表示電極とこの表示電極に対して放電セル側に位置されるアドレス電極が形成され、ダイヤモンド含有層が放電セル内においてこのアドレス電極を覆う位置に形成されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
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