JP2004200020A - スパークプラグ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数色を用いた意匠性の高いスパークプラグ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】スパークプラグ1は、絶縁体2とこの軸方向一部を取り囲む主体金具3とを備える。このスパークプラグ1は、絶縁体2うち主体金具3から露出する露出部25の表面の一部に、複数色のインクIN1等をそれぞれスクリーン印刷によって塗布し焼き付けてなり、スパークプラグ1に複数色から構成される模様の意匠を施す色彩層10を備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スパークプラグ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スパークプラグは、エンジン等の点火を行うための機能部品であるが、プラグ交換などのため自動車用品店などに陳列され、消費者(運転者)などの目に触れやすい部品である。このため、近年その意匠性に関する関心が高まっている。そこで、スパークプラグの意匠性を高めるため、特許文献1に示すように、絶縁体(絶縁碍子)のうち主体金具から露出する部分に転写シートを用いて複数色からなる模様の意匠を施すことが行われている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−44583号公報(第3頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、転写シートは高価である上、絶縁体への転写に時間が掛かり、工数が掛かってコスト高となる。
一方、ゴム印による転写印刷(ゴム判印刷)は、印刷面の状態が不均一になりやすく、また、細かなデザイン部分に対応し難い。また、ゴム判印刷やタンポ印刷では、複数色の模様を形成するために、1つの絶縁体に対し、複数回印刷を行うと、既に印刷されたインクに重なったり接したりする場合に、既に印刷されたインクを取り去ってしまう場合が生じるなど、複数色の印刷に適用するのに限界がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、複数色を用いた意匠性の高いスパークプラグ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
しかしてその解決手段は、筒状の絶縁体と、この絶縁体の軸方向の一部を取り囲む主体金具とを備えるスパークプラグであって、上記絶縁体のうち上記主体金具から露出する露出部の表面の少なくとも一部に、複数色のインクをそれぞれスクリーン印刷によって塗布し焼き付けてなり、上記スパークプラグに複数色から構成される模様の意匠を施す色彩層を備えるスパークプラグである。
【0006】
本発明のスパークプラグでは、スクリーン印刷によって複数色のインクを塗布しているので、ゴム判印刷やタンポ印刷などと異なり、各色のインクを精度良く均一にインクを塗布できる。また、インクが重なったり接したりする場合でも印刷が可能であるなど、付与できる意匠の自由度が高い。一方、転写シートを用いた場合よりも安価に印刷でき、製造も容易である。
【0007】
他の解決手段は、焼成された絶縁体のうち、主体金具と組み合わせられたときにこの主体金具から露出する露出部の表面の少なくとも一部に、複数色のインクをそれぞれスクリーン印刷によって所定パターンに塗布する複数の印刷工程と、上記複数色のインクを焼き付けて、上記絶縁体に複数色から構成される模様の意匠を施してなる色彩層を形成する焼き付け工程と、上記色彩層が形成された上記絶縁体の中心軸に沿って穿孔された軸孔に、中心電極を配置し、気密封止する中心電極封止工程と、上記中心電極が封止された上記絶縁体を上記主体金具に組み付ける絶縁体組み付け工程と、を含むスパークプラグの製造方法である。
【0008】
本発明のスパークプラグの製造方法では、複数の印刷工程におけるスクリーン印刷によって複数色のインクを塗布しているので、ゴム判印刷やタンポ印刷などと異なり、各色のインクを精度良く均一にインクを塗布できる。また、インクが重なったり接したりする場合でも印刷が可能であるなど、付与できる意匠の自由度が高い。一方、転写紙を用いた場合よりも安価に印刷でき、製造も容易である。
【0009】
ところで、絶縁体に中心電極を組み付けた後、あるいは、絶縁体を主体金具に組み付けた後に、インクの焼き付けを行うと、焼き付け温度によっては、絶縁体内に配置された中心電極の気密性を得るためのシールガラスに熱変化が生じたり、主体金具のうち絶縁体を固定するカシメ部にゆるみ等を生じる虞がある。
これに対し、本発明では、色彩層を絶縁体に焼き付け形成した後に、絶縁体に中心電極を組み付け、この絶縁体を主体金具に組み付けている。このため、シールガラスやカシメに関する問題は生じない。
なお、絶縁体の耐熱温度の範囲内であれば、例えば、800〜1000℃というような高い温度でインクを焼き付けることができる。従って、顔料成分、ガラス成分を含む無機系のインクを用いることができ、耐熱性、耐久性、耐候性の高い意匠部となすことができる。
【0010】
上記スパークプラグの製造方法であって、前記複数色のインクは、それぞれ焼き付け後に所望の色彩に発色する発色顔料とガラス成分とワックスとからなり、前記複数の印刷工程は、いずれも、上記インクを、このインクに含有される上記ワックスの軟化点より高い温度に加熱し、上記ワックスの軟化点より低い温度に保持した前記絶縁体にそれぞれスクリーン印刷するスパークプラグの製造方法とすると良い。
【0011】
本発明のスパークプラグの製造方法では、インクに発色顔料やガラス成分の他にワックスを含有させている。このため、ワックスの軟化点以上の温度にインクを加熱することにより、スクリーン印刷時にはインクを液状化させることができるので、スムーズに印刷をすることができる。一方、印刷後は絶縁体の温度が軟化点より低いことから、ワックスが速やかに固化してインクの濡れ拡がりやニジミを防止することができる。また、ワックス、従ってインクは絶縁体への塗布後速やかに固化するため、インクの乾燥工程が不要あるいはごく短くて済むから、連続的にあるいは短い時間間隔で別の色のインクを絶縁体に塗布しても、スクリーンの裏面に既に塗布したインクが付着してしまう不具合を防止することができる。このため、スループットが大きく、絶縁体さらにはスパークプラグを安価に製造できる。
【0012】
さらに上記スパークプラグの製造方法であって、前記複数の印刷工程は、前記複数色のインクのうち第1インクを用いた第1印刷工程と、上記複数色のインクのうち第2インクを用いて上記第1印刷工程に続いて行う第2印刷工程とを比較したとき、上記第2インクに含まれる前記ワックスは、上記第1インクに含まれる第1ワックスの軟化点と同じまたは第1ワックスよりも高い軟化点を有する第2ワックスであり、上記第2印刷工程では、上記第1印刷工程と同じ温度または第1印刷工程よりも低い温度まで上記第2インクを加熱する関係を有するスパークプラグの製造方法とすると良い。
【0013】
第2印刷工程で第2インクを印刷する際には、絶縁体の露出部の表面には、既に第1インクが印刷されている。
ここで、以下の▲1▼〜▲3▼の場合には、第2インクの印刷後、第1インクと第2インクとの間にニジミが発生しやすい。
▲1▼第1,第2インクに含まれる第1,第2ワックスの軟化点が同じであり、第2印刷工程で第2インクを第1印刷工程における第1インクより高い温度まで加熱した場合。
▲2▼第2インクに含まれる第2ワックスの軟化点が第1インクに含まれる第1ワックスの軟化点より低く、第2印刷工程で第2インクを第1印刷工程における第1インクと同じ温度まで加熱した場合。
▲3▼第2ワックスの軟化点が第1ワックスの軟化点より低く、第2印刷工程で第2インクを第1印刷工程における第1インクより高い温度まで加熱した場合。
これは、▲1▼,▲3▼の場合には塗布された第2インクの温度が高いため、また、▲2▼,▲3▼の場合には、第2ワックスの軟化点が第1ワックスの軟化点より低いため、印刷後、第2インクが固化するまでの期間が上述の▲1▼〜▲3▼以外の場合(次述する▲4▼〜▲7▼の場合)に比して長くなる。このため、印刷された第2インクが既に印刷された第1インクと融け合ったり、第1インクに含まれる顔料が液状化している第2インクにとけ込んだりして、第1,第2インクの境界でニジミが生じるからであると考えられる。
【0014】
これに対して、本発明のスパークプラグの製造方法では、第1,第2ワックスの軟化点の関係、及び第1,第2インクの加熱温度の関係を以下の▲4▼〜▲7▼のようにしている。
▲4▼第1,第2インクに含まれる第1,第2ワックスの軟化点が同じであり、第2印刷工程で第2インクを第1印刷工程における第1インクと同じ温度まで加熱した場合。
▲5▼第1,第2インクに含まれる第1,第2ワックスの軟化点が同じであり、第2印刷工程で第2インクを第1印刷工程における第1インクよりも低い温度まで加熱した場合。
▲6▼第2インクに含まれる第2ワックスの軟化点が第1インクに含まれる第1ワックスの軟化点より高く、第2印刷工程で第2インクを第1印刷工程における第1インクと同じ温度まで加熱した場合。
▲7▼第2ワックスの軟化点が第1ワックスの軟化点より高く、第2印刷工程で第2インクを第1印刷工程における第1インクより低い温度まで加熱した場合。
これら▲4▼〜▲7▼の場合には、上述の▲1▼〜▲3▼の場合に比して、第2インクは印刷後速やかに固化する。このため、第1インクとの間にニジミが生じにくくなると考えられる。かくして、本発明によれば、既に印刷された第1インクに重なってあるいは接して塗布された場合でも、第1インクとの間にニジミなどを発生することがなく、美しく印刷することができる。
【0015】
さらに上記いずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法であって、前記絶縁体のうち、前記露出部を含む所定部分の表面に釉薬を塗布する施釉工程と、上記釉薬を上記絶縁体の所定部分の表面に焼き付ける釉焼工程と、を含み、上記釉焼工程の後に、前記複数の印刷工程を行うスパークプラグの製造方法とすると良い。
【0016】
アルミナ焼結体などからなる絶縁体の表面は、焼成後の表面のままでは汚れや擦過痕が付きやすく、一旦付いた汚れ等の除去が難しい。従って、露出部に汚れや擦過痕がついた場合には、たとえ絶縁体さらにはプラグとしての特性には問題が無くても、外観不良となることが多く、製造歩留まりの低下を招きやすい。従って、絶縁体を焼成した後、できるだけ早い段階で施釉、釉焼して、露出部を含む所定部分に釉層(グレーズ層)を形成することが望まれる。釉層が形成されれば、露出部に汚れや擦過痕が付くことが防止され、外観不良となる危険性を低減することができるからである。
【0017】
これに対し、本発明のスパークプラグの製造方法では、施釉工程、釉焼工程の後に、複数の印刷工程、焼き付け工程を行う。このため、複数の印刷工程などで絶縁体に汚れや擦過痕が付くのが防止できるから、全体として、プラグの製造歩留まりを向上させることができる。また、釉焼後は釉層の存在によって絶縁体の露出部に汚れ等が付きにくくなるので、複数の印刷工程などでの絶縁体の取り扱いも容易となる。
【0018】
あるいは、前記いずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法であって、前記絶縁体のうち、前記露出部を含む所定部分の表面に釉薬を塗布する施釉工程と、上記釉薬を上記絶縁体の所定部分の表面に焼き付ける釉焼工程と、を含み、前記複数の印刷工程の後に、上記施釉工程を行い、前記焼き付け工程は、上記釉焼工程を兼ねるスパークプラグの製造方法とすると良い。
【0019】
本発明のスパークプラグの製造方法では、絶縁体の表面に複数色のインクを印刷しさらに釉薬を掛け、その後、インクを焼き付けると同時に釉薬を焼き付ける。このため、複数色のインクの焼き付けと釉薬の焼き付けとを一度に済ますことができるから、工程が簡単になり、焼成費用も削減することができる。
【0020】
ところで、一般に、スクリーン印刷を行うと、インクが厚くなりがちであるため、焼き付け後も露出部の表面から突出する凸状の形態になりやすい。すると、スパークプラグの絶縁体の露出部にプラグキャップを被せても、絶縁体とプラグキャップとの間のうち、露出部の表面と意匠部との間の段差部分に隙間ができる。このため、露出部の表面においてこの隙間を通じて放電するフラッシュオーバが生じる虞がある。
しかるに本発明では、インクを焼き付けた部分とそうでない部分(露出部の表面)のいずれにも釉層(グレーズ層)が形成されるので、インクを焼き付けた部分とそうでない部分との間の段差が滑らかになり、表面が平滑になる。このため、段差部分が生じにくく、プラグキャップと絶縁体(ストレート部)との間に隙間が生じ難いので、フラッシュオーバなどの不具合を防止することができる。
【0021】
あるいは、前記いずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法であって、前記絶縁体のうち、前記露出部を含む所定部分の表面に釉薬を塗布する施釉工程と、上記釉薬を上記絶縁体の所定部分の表面に焼き付ける釉焼工程と、を含み、前記複数の印刷工程の前に、上記施釉工程を行い、前記焼き付け工程は、上記釉焼工程を兼ねるスパークプラグの製造方法とすると良い。
【0022】
本発明のスパークプラグの製造方法では、絶縁体の表面に釉薬を掛けさらに複数色のインクを印刷し、その後、インクを焼き付けると同時に釉薬を焼き付ける。このため、複数色のインクの焼き付けと釉薬の焼き付けとを一度に済ますことができるから、工程が簡単になり、焼成費用も削減することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
(実施形態)
本発明の実施の形態を、図1〜図12を参照して説明する。図1は本実施形態にかかるスパークプラグ1の外観を示す側面図、図2はその縦断面図である。このスパークプラグ1は、絶縁体2と、この絶縁体の周囲を取り囲む筒状の主体金具3と、絶縁体2の軸孔2H(図2参照)内に設けられた中心電極4と、主体金具3の先端部34の先端面34Tに一端が固着され他端側の側面のうち側方対向面5Tが中心電極4の先端部43と対向するように屈曲された外側電極5とを有している。
【0024】
主体金具3は、低炭素鋼などからなり、大略筒形である。この主体金具3は、径大のフランジ部31と、これより基端側(図1中上方)に位置し、スパークプラグ1をシリンダーヘッド等に取り付ける際にスパナ等の工具を係合させる断面六角形状の工具係合部32と、先端側(図1中下方)に位置しフランジ部31より細径である先端部34とを有する。先端部34の外周には、スパークプラグ1をシリンダーヘッド等にネジ止めするためのネジ35が形成されている。また、工具係合部32に基端側には、絶縁体2を主体金具に加締め固定するためのカシメ部33を備える。
【0025】
一方、絶縁体2(図2参照)は、アルミナセラミックからなり、上述したようにその中心軸に沿って軸孔2Hが穿孔されている。この軸孔2Hのうち、先端側(図2中下方)には中心電極4が、基端側(図2中上方)には高電圧を中心電極4に導く端子金具6が固定されている。この軸孔2Hにおいて、中心電極4と端子金具6との間には抵抗体7が配置されている。この抵抗体7の両端部は、導電性ガラスシール層81,82によって、それぞれ中心電極4及び端子金具6に電気的に接続すると共に、この導電性ガラスシール層81,82によって、中心電極4、抵抗体7及び端子金具6は、絶縁体2の軸孔2Hと気密封止されている。絶縁体2は、その軸方向(図2中上下方向)略中央に径大の突出部21を有し、この突出部21の先端側(図2中下方)には、これより細径の中間胴部22、さらに細径で先細のテーパ形状を有する脚部23を有する。一方、突出部21の基端側(図2中上方)には、基端部24を有する。この基端部24は、絶縁体2を主体金具3に組み付けたときに、外部に露出する露出部25と、主体金具3の工具係合部32及びカシメ部33の径方向内側に位置し、主体金具3のカシメ部33を用いたカシメ固定によって主体金具3内に保持される保持部26とを有する。さらに露出部25は、そのうち基端側に位置する凹凸形状のコルゲーション部251と円筒状のストレート部252とからなる。
【0026】
絶縁体2の軸孔2Hに固定された中心電極4は、銅からなる中軸部41と、ニッケル合金からなり中軸部41を取り囲む被覆部42とを有する。被覆部42のうち先端側の先端部43は、絶縁体2の脚部23の先端23T(図2中下端)から、先端方向に突出するように配置されている。この先端部43の先端面43Tには、貴金属からなる中心側チップ44が先端側(図2中下方)に向かって突設されている。
【0027】
外側電極5は、前述したように、一端が主体金具3の先端部34の先端面34Tに固着され、他端が中心軸側に向けて屈曲され、その中心を向く側面のうち側方対向面5Tが中心電極4の先端部43と対向するように配置されている。この側方対向面5Tにも、貴金属からなる外側チップ51が基端側(図中上方)に向かって突設されている。そして、中心電極4の中心側チップ44と外側電極5の外側チップ51との間が、火花放電を生じさせる火花放電ギャップGとなっている。
【0028】
さらに、本実施形態のスパークプラグ1は、図1に示すように、絶縁体2の露出部25、具体的には、そのうちコルゲーション部251を除く、ほぼ円筒面を有するストレート部252に、多色から構成される模様の意匠が施されている。
本実施形態では、例えば、アルミナからなる絶縁体2の地色である白地に、発色顔料によって、黄色に発色している第1色彩層11、緑色に発色している第2色彩層12、赤色に発色している第3色彩層13、青色に発色している第4色彩層14からなる4色の発色層10によって模様の意匠が施されている。このように絶縁体2の露出部に多色の意匠を施すことで、スパークプラグ1の意匠性を高め、消費者の購買意欲を高めることができる。
【0029】
次いで、このスパークプラグ1の製造方法について、図3〜図10を参照して説明する。まず、予めアルミナセラミック粉末をラバープレスし焼成するなど、公知の手法により、図5に示すアルミナセラミックからなる絶縁体2を形成しておく。次いで、図3のステップS1に示す施釉工程において、図6に示すように、釉薬液GZをノズルNZから噴霧して、この素焼き状態の絶縁体2のうち、突出部21よりも基端側(図中上方)の基端部24に、未焼成釉層91を形成する。なお、未焼成釉層91は、露出部25のみならず保持部26を含め基端部24全体に形成する。
【0030】
その後、ステップS2の釉焼工程に進む。具体的には、未焼成釉層91を形成した絶縁体を850℃に加熱して未焼成釉層91に含まれるガラス成分を融解させ、絶縁体2の基端部24の表面に、滑らかな釉層9を形成する。この釉層9の厚さは、10μm程度である。このようにして釉層9を予め形成したことにより、後の工程において基端部24(露出部25)に汚れや擦過痕が付くことが防止される。
【0031】
次いで、ステップS3の複数色印刷工程に進む。まず、この複数色印刷工程において、絶縁体2に塗布するインクについて説明する。次述するように本実施形態の複数色印刷工程では、4種の第1〜第4インクIN1,IN2,IN3,IN4を用いるが、これらのインクは、いずれも以下の基本組成、即ち、ガラス成分と、発色顔料成分と、ワックス成分とを有している。ガラス成分としては、例えば、PbO,SiO2,Al2O3,Li2O,Na2O,K2O,MgO,CaO,BaO,SrOや焼成後にこれらのガラス成分となるPb,Si,Al,Li,Na,K,Mg,Ca,Ba,Srを含む化合物が挙げられる。また、発色顔料成分としては、インクの焼き付け工程後に所定の発色が得られる成分で有ればよいが、例えば、V2O5,Cr2O5,MnO2,Fe2O3,CoO,NiO,CuO,Pr2O3,Nd2O3,MnO2,Cd2O3,SnO2,Sb2O5,SeO2などの発色顔料成分や焼成後にこれらの発色顔料成分となるV,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Pr,Nd,Mn,Cd,Sn,Sb,Seを含む化合物が挙げられる。さらに、発色促進成分として、TiO2,ZrO2や焼成後にこれらの発色促進成分となるTi,Zrを含む化合物を含ませることもできる。また、ワックス成分としては、後述するように、適切な軟化点を有するものを用いることができる。
【0032】
この複数色印刷工程では、スクリーン印刷を4回行う。スクリーン印刷の様子を図7に示す。以下に説明する4回のスクリーン印刷は、使用するスクリーンのパターン及びインクが異なるだけで、いずれも同様な装置を用いてスクリーン印刷を行う。絶縁物(例えば、絶縁性樹脂、木材等)からなるスクリーン枠FSには、所定のテンションでステンレスからなるメッシュMEが張られており、このメッシュMEには、印刷パターンに応じたレジスト開口RGOを有するレジストRGが形成されて、スクリーンSCを形成している。矩形状のスクリーン枠FSの対向する2辺のうち一辺(図中右側)には、メッシュMEを挟むようにして、第1電極EL1が固定されている。また、他の一辺(図中左側)にも、メッシュMEを挟むようにして、第2電極EL2が固定されている。そして、第1,第2電極EL1,EL2の間には、温度制御装置CONを介して電源PWRが接続されており、温度制御装置CONに従って、第1電極EL1、メッシュME、第2電極EL2を経由して電流Iが流れるようになっている。このため、ステンレスからなるメッシュMEは通電によって発熱すると共に、スクリーンSC上に載置されているインク(第1インクIN1等)を加熱する。スクリーンSCに接するよう配置された温度センサTSからの信号により、温度制御装置CONは回路に流れる電流Iを制御して、スクリーンSC及びその上に載置したインクの温度を一定に制御している。
【0033】
スクリーン印刷の仕方は、図7に示すように、釉層9が形成された絶縁体2、具体的にはストレート部252をスクリーンSCの下面に当接させた状態で、スキージSQをその先端がスクリーンSCを介して絶縁体(ストレート部252)に当たるように固定する。その上で、スクリーンSCを図示しない移動機構によって、移動(図7において左方向に移動)させると共に、これに同期して絶縁体2をスクリーンSCの下面に接しつつ転がすように回転(図7において反時計方向に回転)させる。これにより、スクリーンSCの上方に載置してあったインク(第1インクIN1等)が、レジスト開口RGOを通じて、絶縁体2のストレート部252に印刷される。なお、絶縁体2は、スクリーンSC、従ってインクの温度、及びインクに添加したワックスの軟化点よりも低い温度に保たれている。
【0034】
まず、絶縁体2の中間胴部22や脚部23を把持して、絶縁体2を保持する(ステップS31)。次いで、上述のスクリーン印刷の装置および手法によって、ステップS32の第1インク印刷工程を行う。具体的には、第1インクIN1及びこれに対応したパターンを有するスクリーンSCを用いて、絶縁体2のストレート部252に、焼き付け後に第1色彩層11となる第1インク層11Bを印刷形成する(図8参照)。上述したように、絶縁体2は第1インクIN1に含まれているワックスの軟化点よりも低い温度に保たれているので、第1インク層11Bは印刷直後に冷却されて速やかに固化する。従って、第1インク層11Bが濡れ拡がるなどの不具合を生じることはない。
【0035】
続いて、同じく上述のスクリーン印刷の装置および手法によって、ステップS33の第2インク印刷工程を行う。具体的には、第2インクIN2及びこれに対応したパターンを有するスクリーンSCを用いて、絶縁体2のストレート部252に、焼き付け後に第2色彩層12となる第2インク層12Bを印刷形成する(図9参照)。絶縁体2は第2インクIN2に含まれているワックスの軟化点よりも低い温度に保たれているので、第2インク層12Bも印刷直後に冷却されて速やかに固化する。また、第2インク印刷工程で第2インクIN2を印刷する際、絶縁体2に既に印刷された第1インク層11Bは絶縁体2によって冷やされている。従って、後述するように添加するワックスの軟化点及びスクリーンの温度を適切に設定することによって、短時間のスクリーンSCとの接触などでは、軟化、溶解しないようにすることができ、これにより、第1インク層11Bと第2インク層12Bとの境界部分や重ね塗り部分でニジミが生じるのを防止できる。
【0036】
さらに、同じく上述のスクリーン印刷の装置および手法によって、ステップS34の第3インク印刷工程を行い、第3インクIN3及びこれに対応したパターンを有するスクリーンSCを用いて、絶縁体2のストレート部252に、焼き付け後に第3色彩層13となる第3インク層13Bを印刷形成する(図10参照)。絶縁体2は第3インクIN3に含まれているワックスの軟化点よりも低い温度に保たれているので、第3インク層13Bも印刷直後に冷却されて速やかに固化する。また、第3インク印刷工程で第3インクIN3を印刷する際、絶縁体2に既に印刷された第1,第2インク層11B,12Bは絶縁体2によって冷やされている。従って、ワックスの軟化点及びスクリーンの温度の適切な設定によって、ニジミの発生を防止できる。
【0037】
さらに、同じく上述のスクリーン印刷の装置および手法によって、ステップS35の第4インク印刷工程を行い、第4インクIN4及びこれに対応したパターンを有するスクリーンSCを用いて、絶縁体2のストレート部252に、焼き付け後に第4色彩層14となる第4インク層14Bを印刷形成する(図11参照)。絶縁体2は第4インクIN4に含まれているワックスの軟化点よりも低い温度に保たれているので、第4インク層14Bも印刷直後に冷却されて速やかに固化する。また、第4インク印刷工程で第4インクIN4を印刷する際、絶縁体2に既に印刷された第1,第2,第3インク層11B,12B,13Bは絶縁体2によって冷やされている。従って、ワックスの軟化点及びスクリーンの温度の適切な設定によって、ニジミの発生を防止できる。
その後、ステップS36において、把持していた絶縁体2を開放し、メインルーチンに戻る。
【0038】
次いで、ステップS4の焼き付け工程では、絶縁体2を950℃に加熱して、複数色印刷工程で印刷された第1〜第4インクIN1〜IN4を絶縁体2に焼き付け、第1〜第4色彩層11〜14を形成する。かくして、絶縁体2の露出部25に、白色(絶縁体)を地色として4色からなる色彩層10が形成できた。上述の複数色印刷工程で用いた第1〜第4インクIN1〜IN4は、既に説明したように、いずれも、ガラス成分、発色顔料成分、ワックス成分を有している。このうち、ワックス成分は加熱の際に燃焼分解して無くなるため、ガラス成分と発色顔料成分とが残り、所望の色調に発色する色彩層11〜14が形成できる。
【0039】
その後は、公知の手法により、この色彩層10を有する絶縁体2に中心電極4、端子金具6、抵抗体7を組み付け、ガラスシールを行う(ステップS5)。なお、絶縁体2に形成された色彩層11〜14は、いずれも無機物であるガラス成分や発色顔料成分からなっているので、ガラスシールの際に絶縁体2が高温(850℃)に曝されても、変質・変色等は生じない。
【0040】
さらに、公知の手法により、主体金具3と中心電極4等を組み付けた絶縁体2とを組み付け、カシメ等を行う。かくして、絶縁体2のうち主体金具3から露出する露出部252に色彩層10による意匠が施されたスパークプラグ1(図1参照)が完成する。このスパークプラグ1では、絶縁体2に形成された色彩層10は、無機物であるガラス成分や発色顔料成分からなっているので、エンジンに組み付けて使用し、高温(300℃)に曝されても、変質・変色等は生じず、耐候性良好である。また、この色彩層10(11〜14)は、下地となる釉層9と同じく、ガラス成分を有しているから、釉層9との密着性も良好であり、容易に剥離しないから、耐久性良好である。
【0041】
次いで、本実施形態におけるスパークプラグ1の製造、具体的には、絶縁体2への色彩層10の形成において、各色のインクIN1等に添加するワックス成分の軟化点とスクリーン印刷時のインクの温度とを変化させた場合の印刷性について調査した。具体的には、第1〜第4インクに添加するワックスの軟化点、及び第1〜第4印刷工程におけるスクリーンSC及びインクの温度を変化させ、印刷された第1〜第4インク層11B〜14Bの様子を目視で検査し、判定した。なお、ワックスに変えて、各インクにワニスを添加した場合についても調査した(試験番号1参照)。結果の図表を図12に示す。
【0042】
まず、試験番号1について説明する。試験番号1では、各インクとしてワックスに変えてワニスを添加したものを用い、インク温度を25℃一定として、4つのインクを順に絶縁体2(ストレート部252)に塗布した。すると、各インクは、ストレート部252に密着して塗布することができず、一旦スクリーンSCのレジスト開口RGOを通過したインクが、メッシュMEに残ったままとなる印刷不可の状態となった。絶縁体2とインクとの密着強度不足のためであると考えられる。
【0043】
次いで、試験番号10について説明する。この試験では、各インクに添加するワックスとして、軟化点が48℃の同一のワックスを用いた。一方、印刷時のインク温度を第1印刷工程から第4印刷工程に至るまでに順に昇温させた。即ち、第1印刷工程での第1インクIN1の温度を66℃、第2印刷工程での第2インクIN2の温度を68℃、第3印刷工程での第3インクIN3の温度を70℃、第4印刷工程での第4インクIN4の温度を72℃というように、2度ずつ上昇させた。この試験番号10では、ワックスの軟化点とスクリーンSC及び塗布するインクの温度との差が18,20,22,24度というように順に大きくなるように設定した。
【0044】
この試験番号10の試験では、ワニスを用いた試験番号1の場合と異なり、各インクIN1〜IN4を絶縁体2のストレート部252に印刷することができた。但し、一旦、ストレート部252に形成できた第1インク層11Bの一部が、その後の第2印刷工程において、スクリーンSCに付着して剥がれる問題が生じた。さらに、第2〜第4インク層12B,13B,14Bについては、隣接する他のインク層との境界でインクが混じり合うニジミが生じ、鮮明な印刷ができなかった。これは、各インクに軟化点が同じワックスを使用したが、スクリーン及びインクの温度を順に高くしたので、絶縁体2に印刷されることで冷却され、固化するまでの間に時間が掛かり、インクが液相状態を保つ時間が長くなるので、既に印刷されたインク層のうち、新たに印刷されたインク層に接する部分が溶解し、互いに解け合ってニジミを生じたものと解される。
【0045】
この試験番号10の結果から、ワックスの軟化点を一定にしながらも、スクリーンSC及び塗布するインクの温度を徐々に上げるように設定すること、さらには、ワックスの軟化点とスクリーンSC及び塗布するインクの温度との差が順に大きくなるように設定することは、ハガレやニジミを生じやすく適切でないことが判る。なお、この試験番号10の結果から、その他の場合として、ワックスの軟化点を徐々に上げるようにする一方、スクリーンSC及び塗布するインクの温度を一定に設定する場合や、ワックスの軟化点を順に低くする一方、スクリーンSC及び塗布するインクの温度を徐々に上げるように設定する場合も適切でないことが推測される。
【0046】
次いで、試験番号2〜6について説明する。これらでは、各インクに添加するワックスとして、軟化点が48℃の同一のワックスを用いる。一方、印刷時のインク温度を第1印刷工程から第4印刷工程に至るまでに順に降温させる。例えば、試験番号2においては、第1印刷工程での第1インクIN1の温度を88℃、第2印刷工程での第2インクIN2の温度を86℃、第3印刷工程での第3インクIN3の温度を84℃、第4印刷工程での第4インクIN4の温度を82℃というように、2度ずつ低下させた。同様に、試験番号3では、第1〜第4インクIN1〜IN4の温度を、順に2度ずつ低下させて80,78,76,74℃とした。試験番号4では、72,70,68,66℃、試験番号5では64,62,60,58℃、試験番号6では、56,54,52,50℃とした。
【0047】
これら試験番号2〜6の試験でも、ワニスを用いた試験番号1の場合と異なり、いずれにおいても、各インクIN1〜IN4を絶縁体2のストレート部252に印刷することができた。また、試験番号10の試験と異なり、インク層のハガレを生じることはなかった。従って、ワックスの軟化点を一定にしながらも、スクリーンSC及び塗布するインクの温度を徐々に降温するように設定することは適切であることが判る。
【0048】
但し、試験番号2においては、第1,第2インク層において、ニジミが生じた。ワックスの軟化点(48℃)とスクリーンやインクの温度(88,86℃)のとの差が、40度及び38度となり、温度差が大きすぎたため、印刷後にインク層が固化するまでに時間が掛かり、次に塗布されたインク層との境界部分でインクが混じり合ったためであると考えられる。従って、インクに添加するワックスの軟化点と塗布する際のインクの温度との差を、36度以下とするのがさらに好ましいことが判る。
【0049】
一方、試験番号6においては、第4インク層において、かすれが生じた。サックスの軟化点(48℃)に対して、スクリーンSC及び第4インクIN4の温度を、軟化点より2度だけ高い50℃としたため、インクの流動性が高まらず、インクの印刷性が低下しすぎたためであると考えられる。従って、インクに添加するワックスの軟化点と塗布する際のインクの温度との差を、4度以上とするのがさらに好ましいことが判る。
【0050】
次いで、試験番号7,8について説明する。これらでは、各インクに添加するワックスの軟化点を順に高くする。例えば、試験番号7においては、第1インクIN1に添加するワックスの軟化点を30℃、第2インクIN2に用いるワックスの軟化点を35℃とした。また、第3インクIN3には48℃、第4インクIN4には62℃の軟化点のワックスを添加した。同様に、試験番号8では、第1〜第4インクIN1〜IN4に添加するワックスの軟化点を、54,62,74,78℃とした。一方、印刷時のインク温度を第1印刷工程から第4印刷工程まで同じ(試験番号7では66℃、試験番号8では82℃)とした。
【0051】
これら試験番号7,8の試験でも、ワニスを用いた試験番号1の場合と異なり、いずれにおいても、各インクIN1〜IN4を絶縁体2のストレート部252に印刷することができた。また、試験番号10の試験と異なり、インク層のハガレを生じることはなかった。従って、ワックスの軟化点を徐々に高くしながらも、スクリーンSC及び塗布するインクの温度を一定にするように設定することは適切であることが判る。
【0052】
但し、試験番号7においては、第1インク層において、ニジミが生じた。ワックスの軟化点(30℃)とスクリーンやインクの温度(66℃)のとの差が、36度となり、温度差が大きすぎたため、印刷後にインク層が固化するまでに時間が掛かり、次に塗布されたインク層との境界部分でインクが混じり合ったためであると考えられる。従って、インクに添加するワックスの軟化点と塗布する際のインクの温度との差を、34度以下とするのがさらに好ましいことが判る。
【0053】
一方、試験番号8においては、第4インク層において、かすれが生じた。サックスの軟化点(78℃)に対して、スクリーンSC及び第4インクIN4の温度を、軟化点より4度だけ高い82℃としたため、インクの流動性が高まらず、インクの印刷性が低下しすぎたためであると考えられる。従って、インクに添加するワックスの軟化点と塗布する際のインクの温度との差を、6度以上とするのがさらに好ましいことが判る。
【0054】
次いで、試験番号9について説明する。この試験では、これらでは、各インクに添加するワックスとして、軟化点が48℃の同一のワックスを用いる。一方、印刷時のインク温度を第1印刷工程から第4印刷工程まで同じ温度(68℃)とした。
【0055】
この試験番号9の試験でも、ワニスを用いた試験番号1の場合と異なり、いずれにおいても、各インクIN1〜IN4を絶縁体2のストレート部252に印刷することができた。また、試験番号10の試験と異なり、インク層のハガレを生じることはなかった。従って、ワックスの軟化点を一定にし、しかも、スクリーンSC及び塗布するインクの温度を一定にするように設定することは適切であることが判る。
【0056】
かくして、各インクに添加するワックスの軟化点を一定にし、各印刷工程でのインクの加熱温度を同じとした場合(試験番号9)、各インクに添加するワックスの軟化点を一定にし、各印刷工程でのインクの加熱温度を順に低くした場合(試験番号2〜6)、各インクに添加するワックスの軟化点を順に高くし、各印刷工程でのインクの加熱温度を同じとした場合(試験番号7,8)には、適切に各インクを印刷できることが判る。さらに、これらから、各インクに添加するワックスの軟化点を順に高くし、各印刷工程でのインクの加熱温度を順に低くした場合にも同様に適切な印刷結果が得られると推測される。
以上に説明したように、本実施形態によれば、絶縁体2のストレート部252に、複数色のインク層を形成することができることが判る。
【0057】
(変形形態1)
次いで、変形形態1に係るスパークプラグの製造方法について説明する。上記実施形態1では、絶縁体2の基端部24に釉層9を形成した後に、そのうちの露出部25に各インク層11B等をスクリーン印刷で形成し、焼き付けて色彩層10を形成した。これに対し、本変形形態では、釉層を形成する前の絶縁体2に各色のインクを印刷しその後施釉する点で異なるので、異なる部分を中心に説明する。
【0058】
本変形形態1では、焼成された絶縁体2(図5参照)の露出部25(ストレート部252)に、ステップS110において複数色印刷を施す。複数色印刷について、実施形態で説明したのと同様に(図7〜図11参照)、4種類のインクIN1等をスクリーン印刷によって順次ストレート部252に塗布する。
その後、ステップS120において、絶縁体2の基端部24に実施形態1と同様に釉薬液GZを吹き付けて未焼成釉層を形成する(図6参照)。なお、実施形態1と異なり、未焼成釉層の下には、4種のインクからなるインク層が形成されている。
【0059】
次いで、ステップS130において、絶縁体2を加熱し、インク層を絶縁体に焼き付けると共に、釉層を形成する。かくして、絶縁体2のストレート部に色彩層が形成され、色彩層を覆うように釉層が形成される。本変形形態1では、このステップS130でインク層の焼き付けと、釉層の焼成とを同時に行うため、実施形態1の場合に比して、工程が短く、焼成工程に掛かる費用も削減することができる。
【0060】
その後は、実施形態において説明したの同様に、ステップS140において、中心電極や端子金具を組み付け、シールする。さらに、ステップS150では、絶縁体を主体金具に組み付けてスパークプラグを完成させる。
実施形態のスパークプラグ1に比べると、このスパークプラグでは、色彩層の上に釉層が形成されている。このため、露出部(ストレート部)に色彩層を形成したことによって生じる段差は、釉層が色彩層を被覆することで小さくなり、その表面が滑らかになる。従って、本実施形態にかかるスパークプラグにプラグキャップを被せると、ストレート部とプラグキャップ内周面との密着性が良くなり、段差部分での隙間が生じ難くなるため、フラッシュオーバが特に生じ難くなる。
【0061】
(変形形態2)
さらに、変形形態2に係るスパークプラグの製造方法について説明する。上記した変形形態1では、絶縁体に複数色印刷を行った後に施釉した。しかし、この変形形態2では、施釉後に複数色印刷を行い、その後、釉焼とインクの焼き付けとを同時に行う。
即ち、まず実施形態1におけるステップ1と同じく絶縁体2の基端部24に未焼成釉層91を形成する(図9参照)。その後、ステップS220の複数色印刷工程を行い、実施形態1で説明したのと同様に(図7〜図11参照)、4種類のインクIN1等をスクリーン印刷によって順次ストレート部252の未焼成釉層91上に塗布する。
【0062】
次いで、ステップS130において、絶縁体2を加熱し、インク層を絶縁体に焼き付けると共に、釉層を形成する。かくして、絶縁体2のストレート部に釉層が形成され、この釉層上に色彩層が形成される。本変形形態2でも、このステップ130でインク層の焼き付けと、釉層の焼成とを同時に行うため、実施形態1の場合に比して、工程が短く、焼成工程に掛かる費用も削減することができる。
【0063】
その後は、実施形態において説明したの同様に、ステップS140において、中心電極や端子金具を組み付け、シールする。さらに、ステップS150では、絶縁体を主体金具に組み付けてスパークプラグを完成させる。
【0064】
以上において、本発明を実施形態、及び変形形態1,2に即して説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、上述の実施形態等では、4種のインクIN1等を用いたが、複数種のインクを用いて複数色の意匠を構成できれば良い。また、絶縁体2のストレート部252に色彩層を形成したが、スクリーン印刷によって形成することができれば、コルゲーション部251の一部にも色彩層を形成しても良い。
また、未焼成釉層91を釉薬液GZを吹き付けて形成したが、釉薬液槽に絶縁体の基端部を浸漬して未焼成釉層91を形成することもできる。
また、実施形態においては、スクリーン印刷に当たって、スキージSQを固定した状態で、スクリーンSCを移動させると共にこれに同期して絶縁体2を回転させてスクリーン印刷を行った。しかし、スクリーンを固定しておき、絶縁体をスクリーンの下面に当接させた状態で、この絶縁体を転がすように回転させつつ移動させる。これと共に、スキージの先端がスクリーンを介して絶縁体に当たるようにしつつ、絶縁体の移動に同期させて移動させて、印刷を行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態及び変形形態1,2に係るスパークプラグの外観を示す側面図である。
【図2】実施形態及び変形形態1,2に係るスパークプラグの縦断面図である。
【図3】実施形態に係るスパークプラグの製造方法を示すフローチャートである。
【図4】スパークプラグの製造方法のうち複数色印刷工程の詳細を示すフローチャートである。
【図5】焼成後の絶縁体の外観を示す側面図である。
【図6】絶縁体に釉薬を塗布する様子を示す説明図である。
【図7】絶縁体にスクリーン印刷によってインクを塗布する様子を示す説明図である。
【図8】第1インク印刷後の絶縁体の外観を示す側面図である。
【図9】(a)は第2インク印刷後の絶縁体の外観を示す側面図、(b)は部分拡大断面図である。
【図10】(a)は第3インク印刷後の絶縁体の外観を示す側面図、(b)は部分拡大断面図である。
【図11】第4インク印刷後の絶縁体の外観を示す側面図である。
【図12】インクに添加するワックスの軟化点及び印刷時のインクの温度と印刷性との関連を調査した実験結果を示す図表である。
【図13】変形形態1に係るスパークプラグの製造方法を示すフローチャートである。
【図14】変形形態2に係るスパークプラグの製造方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 スパークプラグ
2 絶縁体
2H 軸孔
2H1 大径部
2H2 細径部
21 突出部
22 中間胴部
23 脚部
23T 先端
24 基端部
25 露出部
251 コルゲーション部
252 ストレート部
26 保持部
3 主体金具
31 フランジ部
32 工具係合部
33 カシメ部
34 先端部
34T 先端面
35 ネジ
4 中心電極
41 中軸部
42 被覆部
43 先端部
43T 先端面
44 中心側チップ
5 外側電極
5T 側方対向面
51 外側チップ
6 端子金具
7 抵抗体
81,82 導電性シールガラス層
9 釉層
91 未焼成釉層
10,11,12,13,14 色彩層
11B 第1インク層
12B 第2インク層
13B 第3インク層
14B 第4インク層
G 火花放電ギャップ
IN1,IN2,IN3 インク

Claims (7)

  1. 筒状の絶縁体と、この絶縁体の軸方向の一部を取り囲む主体金具とを備えるスパークプラグであって、
    上記絶縁体のうち上記主体金具から露出する露出部の表面の少なくとも一部に、複数色のインクをそれぞれスクリーン印刷によって塗布し焼き付けてなり、上記スパークプラグに複数色から構成される模様の意匠を施す色彩層を備える
    スパークプラグ。
  2. 焼成された絶縁体のうち、主体金具と組み合わせられたときにこの主体金具から露出する露出部の表面の少なくとも一部に、複数色のインクをそれぞれスクリーン印刷によって所定パターンに塗布する複数の印刷工程と、
    上記複数色のインクを焼き付けて、上記絶縁体に複数色から構成される模様の意匠を施してなる色彩層を形成する焼き付け工程と、
    上記色彩層が形成された上記絶縁体の中心軸に沿って穿孔された軸孔に、中心電極を配置し、気密封止する中心電極封止工程と、
    上記中心電極が封止された上記絶縁体を上記主体金具に組み付ける絶縁体組み付け工程と、
    を含むスパークプラグの製造方法。
  3. 請求項2に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記複数色のインクは、それぞれ焼き付け後に所望の色彩に発色する発色顔料とガラス成分とワックスとからなり、
    前記複数の印刷工程は、いずれも、上記インクを、このインクに含有される上記ワックスの軟化点より高い温度に加熱し、上記ワックスの軟化点より低い温度に保持した前記絶縁体にそれぞれスクリーン印刷する
    スパークプラグの製造方法。
  4. 請求項3に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記複数の印刷工程は、
    前記複数色のインクのうち第1インクを用いた第1印刷工程と、上記複数色のインクのうち第2インクを用いて上記第1印刷工程に続いて行う第2印刷工程とを比較したとき、
    上記第2インクに含まれる前記ワックスは、上記第1インクに含まれる第1ワックスの軟化点と同じまたは第1ワックスよりも高い軟化点を有する第2ワックスであり、
    上記第2印刷工程では、上記第1印刷工程と同じ温度または第1印刷工程よりも低い温度まで上記第2インクを加熱する関係を有する
    スパークプラグの製造方法。
  5. 請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記絶縁体のうち、前記露出部を含む所定部分の表面に釉薬を塗布する施釉工程と、
    上記釉薬を上記絶縁体の所定部分の表面に焼き付ける釉焼工程と、
    を含み、
    上記釉焼工程の後に、前記複数の印刷工程を行う
    スパークプラグの製造方法。
  6. 請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記絶縁体のうち、前記露出部を含む所定部分の表面に釉薬を塗布する施釉工程と、
    上記釉薬を上記絶縁体の所定部分の表面に焼き付ける釉焼工程と、
    を含み、
    前記複数の印刷工程の後に、上記施釉工程を行い、
    前記焼き付け工程は、上記釉焼工程を兼ねる
    スパークプラグの製造方法。
  7. 請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記絶縁体のうち、前記露出部を含む所定部分の表面に釉薬を塗布する施釉工程と、
    上記釉薬を上記絶縁体の所定部分の表面に焼き付ける釉焼工程と、
    を含み、
    前記複数の印刷工程の前に、上記施釉工程を行い、
    前記焼き付け工程は、上記釉焼工程を兼ねる
    スパークプラグの製造方法。
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