JP2004199850A - 平板蓄音機 - Google Patents
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Abstract
【課題】再利用品である平板形状の製品を録音・再生のための記録担体として用いることを可能とした、簡易且つ安価な構成で趣味性の高い平板蓄音機を提供すること。
【解決手段】本発明は、記録担体5が載置され当該記録担体5と一体となって回転するターンテーブル4と、上記記録担体5の平面に当接する針1とコーン部材11とを有し、当該針1を初期当接位置から上記ターンテーブル4の略中心に向けた方向に送るもので、当該針1の記録担体5の平面に対する当接角度及び当接位置を可変自在とするピックアップ6と、モータの駆動力を、上記ターンテーブル4の回転速度と上記ピックアップ6の送り速度とにそれぞれ変速する変速機構とを具備し、上記回転速度でターンテーブル4を回転させつつ上記送り速度でピックアップ6を送ることで、録音・再生を行う平板蓄音機に関し、上記コーン部材11は成形品及び/又は振動振幅調整部で構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、記録担体5が載置され当該記録担体5と一体となって回転するターンテーブル4と、上記記録担体5の平面に当接する針1とコーン部材11とを有し、当該針1を初期当接位置から上記ターンテーブル4の略中心に向けた方向に送るもので、当該針1の記録担体5の平面に対する当接角度及び当接位置を可変自在とするピックアップ6と、モータの駆動力を、上記ターンテーブル4の回転速度と上記ピックアップ6の送り速度とにそれぞれ変速する変速機構とを具備し、上記回転速度でターンテーブル4を回転させつつ上記送り速度でピックアップ6を送ることで、録音・再生を行う平板蓄音機に関し、上記コーン部材11は成形品及び/又は振動振幅調整部で構成される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば録音・再生が可能な蓄音機に係り、特に溝加工可能な平板(例えば、市販されているクリアファイル、プラスチック製品、CD等といった平板形状の製品の再利用品等)を録音・再生用の記録担体として用いる簡易且つ安価な構成の趣味性の高い平板蓄音機に関するものである。
従来、テーパーのついた溝加工可能なコップ体を録音・再生用の記録担体として用い、この記録担体としてのコップ体に使用者の音声等をレコード溝として録音させることができ、当該コップ体に録音させた音声等を再生して聞くこともできる、録音・再生が可能な蓄音機が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第2903007号公報
しかしながら、上記特許文献1に係る技術では、録音・再生のための記録担体として、コップ体しか採用することができず、構成も当該コップ体への録音・再生に特化したものであることから、用途が非常に限定されていた。
しかるに、今日では、不要となったプラスチック製品やCD等の平板形状の製品が身近に多数あり、これらを録音・再生のための記録担体として用いることは嘱望されているところであるが、そのような平板蓄音機は存在しない。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、不要となったプラスチック製品やCD等といった身近にある様々な再利用品である平板形状の製品を録音・再生のための記録担体として用いることを可能とした、簡易且つ安価な構成で趣味性の高い平板蓄音機を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様では、再利用品であり溝加工可能な平板形状の記録担体に所望とする音を録音し当該音を再生する平板蓄音機において、上記記録担体が載置され、当該記録担体と一体となって回転する回転体と、上記記録担体の平面に当接する針と音入出力部とを有し、当該針を初期当接位置から上記回転体の略中心に向けた方向に送るピックアップと、上記回転体と上記ピックアップを駆動するための駆動部と、上記駆動部の駆動力を、上記回転体の回転速度と上記ピックアップの送り速度とにそれぞれ変速する変速機構と、上記録音と再生とを切り換えるための録音・再生切換部材と、を具備し、録音時には当該録音・再生切換部材の一端に固着されている重錘の荷重を上記ピックアップの上記針の装着側にかけ、再生時には当該重錘の荷重を上記ピックアップの上記針の非装着側にかけることで、録音と再生とを切り換える、ことを特徴とする平板蓄音機が提供される。
そして、本発明の第2の態様では、再利用品であり溝加工可能な平板形状の記録担体に所望とする音を録音し当該音を再生する平板蓄音機において、上記記録担体が載置され、当該記録担体と一体となって回転する回転体と、上記記録担体の平面に当接する針と音入出力部とを有し、当該針を初期当接位置から上記回転体の略中心に向けた方向に送るピックアップと、上記回転体と上記ピックアップを駆動するための駆動部と、上記駆動部の駆動力を、上記回転体の回転速度と上記ピックアップの送り速度とにそれぞれ変速する変速機構と、その一端に重錘を有し、上記ピックアップの上記音声入力部の配設面の中心を軸として回動自在に配設されており、その回動により録音と再生とを切り換えるための録音・再生切換部材と、を具備し、上記録音・再生切換部材の回動により、録音時には当該録音・再生切換部材の一端に固着されている重錘の荷重を上記ピックアップの上記針の装着側にかけ、再生時には当該重錘の荷重を上記ピックアップの上記針の非装着側にかけることで、録音と再生とを切り換えることを更に特徴とする平板蓄音機が提供される。
さらに、本発明の第3の態様では、上記第1又は第2の態様において、上記ピックアップの針を記録担体の中心位置へ移動するためのスライド板を更に有し、当該スライド板にラックギアと直線部とを形成し、当該スライド板が所定長だけ移動した後は、上記直線部により上記スライド板と上記駆動部のギアとの噛合を解くように構成されている、ことを更なる特徴とする平板蓄音機が提供される。
そして、本発明の第4の態様では、上記第1又は第2の態様において、上記音入出力部は、成形されたコーン部材と振動盤からなり、当該コーン部材は振動盤に対して着脱自在に構成されていることを更に特徴とする平板蓄音機が提供される。
本発明の第5の態様では、再利用品であり溝加工可能な平板形状の記録担体に所望とする音を録音し当該音を再生する平板蓄音機において、上記記録担体が載置され、当該記録担体と一体となって回転する回転体と、上記記録担体の平面に当接する針と音入出力部とを有し、当該針を初期当接位置から上記回転体の略中心に向けた方向に送るピックアップと、上記回転体と上記ピックアップを駆動するための駆動部と、上記駆動部の駆動力を、上記回転体の回転速度と上記ピックアップの送り速度とにそれぞれ変速する変速機構と、上記録音と再生とを切り換えるための録音・再生切換部材と、を具備し、上記音入出力部は、振動板と当該振動板を固定する成形体からなるコーン部材と振動板固定部材とを少なくとも有することを特徴とする平板蓄音機が提供される。
そして、本発明の第6の態様では、上記第5の態様において、上記音入出力部は、更に針の振動振幅調整部と録音再生針保持部を有し、当該振動振幅調整部を調整することで、録音再生針保持部の振動の大きさを調整することを更に特徴とする平板蓄音機が提供される。
また、本発明の第7の態様では、上記第5の態様において、上記振動板は、少なくとも一部の平面に波形部を有することを更に特徴とする平板蓄音機が提供される。
本発明によれば、不要となったプラスチック製品やCD等といった再利用品である平板形状の製品を録音・再生のための記録担体として用いることを可能とした、簡易且つ安価な構成で趣味性の高い平板蓄音機を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施の形態について説明する。
図1には本発明の一実施の形態に係る平板蓄音機を裏側から見た斜視図を、図2には本発明の一実施の形態に係る平板蓄音機を上側から見た平面図を、それぞれ示し、当該平板蓄音機の構成及び作用を詳細に説明する。
この実施の形態に係る平板蓄音機は、溝加工可能な平板形状の記録担体5に所望とする音、例えば操作者の声等を録音し、且つ当該音を再生するためのものであり、当該記録担体5としては、不要となったクリアファイル等のプラスチック製品やCD等といった平板形状の製品の再利用品を用いることができる。つまり、針1の圧接により、その平板面にレコード溝を刻設することが可能な平板形状のものであれば、記録担体5として採用することができる。
この平板蓄音機の台本体2は、天板2aと4枚の側板2b乃至2eを図示の如く組合せて構成している。更に、ピックアップ6による針1の送りを良好なものとするために、天板2aを図1及び図3に示すように所定の傾斜角をもって側板2b乃至2eに取付けている。天板2aには、詳細は後述するようにモータ3の駆動力により回転するターンテーブル4が配設されており、当該ターンテーブル4の回転軸部材4aに記録担体5の孔を嵌合させることで、ターンテーブル4と記録担体5とを一体として所定の回転数で回転させるように構成している。このターンテーブル4は、請求項記載の回転体の一例に相当する。
この回転軸部材4aをターンテーブル4に対して着脱自在に構成すれば、記録担体5としてクリアファイル等のプラスチック製品を所望とする形状に成形したものを用いる場合でも、ターンテーブル4と回転軸部材4aとで、そのような記録担体5を挟持すれば、両者を一体に回転させることは可能である。
平板蓄音機には、更にピックアップ6が図示の如く配設されている。
このピックアップ6は、ピックアップアーム部材7と伸縮調整部材8,9、支持部材10、コップ状のコーン部材11、録音・再生切換部材12、針1で構成されている。ピックアップアーム部材7は、ネジ13,14がピックアップアーム部材7に設けられた長孔7aを貫挿しつつ伸縮調整部材8,9の不図示のネジ孔に螺着されることで、2枚の伸縮調整部材8,9により挟持されている。
このピックアップアーム部材7を挟持した伸縮調整部材8,9は、垂直支軸15を回転中心とした回動の自由が確保されつつ、支持部材10により支持されている。更に、支持部材10は、水平支軸16により、当該水平支軸16を回転中心とした回動の自由が確保されつつ、スライド板17により支持されている。
スライド板17は、詳細は後述するが、第2スイッチ部18内のピニオンギア19がスライド板17のラックギア17aと噛合することで、モータ3の駆動力によりレール板20上を所定速度で移動するように構成されている。
コーン部材11は、音又は針1の振動を受けて振動する底部11aを有しており、ピックアップアーム部7に固着されたコーン保持部21に、例えば不図示のボルトとナットにより固定されている。コーン保持部21には、不図示のネジ孔が2つ設けられており、ピックアックアーム部7の長孔7b,7cを介してネジ22,23を当該ネジ孔に螺着することで、コーン保持部21はピックアップアーム部7に固定される。
針1は、コーン部材11の底部11aに外周側から中心方向に向けて挿入して粘着テープ等を用いて固定される。
ここで、図3には上記録音・再生切換部材12の動作を示し、図1も適宜参照しつつ、当該録音・再生切換部材12について説明する。
これら図1及び図3に示されるように、録音・再生切換部材12は、その一端に圧接用の重錘27(図1参照)を有しており、他端は支軸24により当該支軸24を回転中心とした回動の自由が確保されつつ支持されている。
このような構成において、録音時には、記録担体5にレコード溝を刻設するために、図3の破線位置に録音・再生切換部材12を設定し、ピックアップアーム部材7の一端に固着された重錘26の荷重に加えて重錘27による更なる荷重を針1に与える。一方、再生時には、図3の実線位置に録音・再生切換部材12を設定し、ピックアップアーム部材7の一端に固着された重錘26の荷重と録音時に比べて軽減された重錘27による荷重を針1に与える。このように、本実施の形態に係る平板蓄音機では、簡易な構成の録音・再生切換部材12の操作により簡易且つ迅速な録音・再生の切換えが可能となっている。
更に、図4には、非録音・再生時における上記ピックアップ6の収納状態を示し、説明する。先に挙げた図1乃至図3では、録音・再生時におけるピックアップ6の位置を図示していたが、非動作時においては図4に実線で示す位置にピックアップ6は収納され、コーン部材11に針1を装着する際には図4に破線で示す位置にピックアップ6は収納される。より詳細には、前者ではピックアップ6は第1の保持部材40により保持され、後者では第2の保持部材41により保持される。これら、第1及び第2の保持部材40,41は、いずれもスライド板17上に配設されている。この一実施の形態に係る平板蓄音機では、針1を用いていることから、安全性を高める観点より、かかる構成としている。特に図4に実線で示した収納状態では、針1の先端はレール板20の平面に向いている(或いは当接している)ので、安全性が高まっていることは明らかである。
以上説明したような構成において、上記ネジ13,14を緩めて伸縮調整部材8,9とピックアップアーム部材7との挟持関係(挟持位置)を調整すれば、コーン部材11に固定された針1の記録担体5に対する当接位置を調整することができる。更に、ネジ22,23を緩めてコーン部材11(コーン保持部21と一体)を支軸24を中心に回転させれば、コーン部材11に固定された針1の記録担体5に対する当接角度θを調整することができる。この実施の形態では、記録担体5として、市販されているプラスチック製品を再利用する等、種々のものを用いることを想定しているが、硬度の高い材質のものを記録担体5として用いる場合には当接角度θが大きくなるように、硬度の低い材質のものを記録担体5として用いる場合には当接角度θが小さくなるように適宜設定する。
更に、記録担体5に細かいレコード溝を安定した状態下で刻設する為には、ピックアップ6の長手方向線に向けてターンテーブル4の回転中心(回転軸部材4aの配設位置)より引いた垂線上に針1の当接位置があることが好ましい。かかる点に鑑みて、本実施の形態に係る平板蓄音機では、天板2aに上記条件に適合した位置を指標する目印25を設けている。従って、上述した調整により当該目印25からターンテーブル4の回転中心に向けた線上に針1の当接位置がくるように簡易且つ迅速に調整することも可能である。
次に図5には実施の形態に係る平板蓄音機が採用した変速機構42の構成(図2のZ−Z線に沿う断面図)を示し、図6には当該平板蓄音機の内部構造(図2の平面図において天板2aを取り除いた場合の内部構造)を示し、図7には図6の一部拡大図を示し、変速機構42の構成、作用について詳細に説明する。
この実施の形態に係る平板蓄音機では、1つのモータ3の駆動力が、後述するように変速機構42により変速されて、ターンテーブル4、ピニオンギア19に伝達され、ターンテーブル4上の記録担体5が図2のA方向に第1の速度(ターンテーブル4の回転数に相当)で回転するのに連動して、ピニオンギア19と噛合したラックギア17aを有するスライド板17が図2のB方向に第1の速度よりも微小な第2の速度(ピックアップ6の送り速度に相当)で移動する。
即ち、モータ3の回転軸に固着されたプーリー3aとプーリー28にはゴムベルト38が巻装されており、このような関係によりモータ3の駆動力はプーリー3a及びゴムベルト38を介してプーリー28に伝達される。このプーリー28は、軸部材31に固着されており、更に当該軸部材31にはプーリー29も固着されていることから、プーリー28の回転により軸部材31も回転し、更にはプーリー29も回転する。このプーリー29とターンテーブル4のプーリー4bにはゴムベルト39が巻装されており、このプーリー29の回転によりターンテーブル4も回転することになる。このとき、プーリー3aの直径に比してプーリー28の直径は大きく、更にプーリー29の直径に比してターンテーブル4のプーリー4bの直径は大きいことから、かかる比率に基づいて、ターンテーブル4はモータ3の回転数より減速された回転数で回転することになる。
一方、プーリー29にはピニオンギア30も固着されており、上記プーリー29とピニオンギア30は一体となって回転する。このピニオンギア30の回転力は、軸部材32を中心として回転自在に配設された段付き歯車(上段の平歯車と下段のピニオンギアが一体となり構成、以下、同じ)33に伝達され、当該段付き歯車33は回転する。そして、段付き歯車33の回転力は、軸部材34を中心として回転自在に配設された段付き歯車35に伝達され、当該段付き歯車35は回転する。そして、段付き歯車35の回転力は、軸部材32を中心として回転自在に配設された段付き歯車36に伝達され、当該段付き歯車36は回転する。さらに、この段付き歯車36の回転力は、軸部材34に固着された平歯車37に伝達され、当該平歯車37は回転する。こうして、平歯車37に固着された軸部材34が当該平歯車37と一体となって回転し、軸部材34の上端に固着されたピニオンギア19が回転することになる。このとき、上記ピニオンギア30の直径に比して段付き歯車33の平歯車の直径は大きく、段付き歯車33のピニオンギアの直径に比して段付き歯車35の平歯車の直径は大きく、段付き歯車35のピニオンギアの直径に比して段付き歯車36の平歯車の直径は大きく、段付き歯車36のピニオンギアの直径に比して平歯車37の直径は大きいことから、これらの比率に基づいて、更に減速された回転数でピニオンギア19は回転することになる。
こうして、ピニオンギア19の回転力は、当該ピニオンギア19と噛合しているラックギア17aを一部に有するスライド板17に伝達される。そして、スライド板17は、上述のように変速機構42により減速された速度(送り速度)でレール板20上を図2の初期位置から図2のB方向に移動することで、ターンテーブル4の回転中にピックアップ6を所定速度で送ることになる。
このように、実施の形態に係る平板蓄音機では、1つのモータ3の駆動力を変速機構42によりそれぞれ変速して、ターンテーブル4、スライド板17(ピックアック6)の両者に伝達することで、両者の好適な連動を図り、ひいては記録担体5に細かいレコード溝を微細ピッチで刻設することを実現する。
なお、スライド板17のラックギア17aの終端には、直線部17bが設けられており、スライド板17は所定長だけ移動した後は、直線部17bによりピニオンギア19との噛合が解かれるので、その段階でスライド板17(ピックアップ6)の図2のB方向への移動は解除されることになる。これにより、記録担体5の中心位置から所定半径のエリアに針1が進むのを防止し、針1と回転軸部材4aとの衝突等による平板蓄音機の誤動作を防止している。
また、ピニオンギア19には押下部材43も固着されており、動作中に当該押下部材43を押下すると、ピニオンギア19が図5のC方向に移動し、ラックギア17aとの噛合が解除され、スライド板17の移動、ひいてはピックアップ6の移動は中断される。また、初期設定に際しては、押下部材43を押下し、ピニオンギア19とラックギア17aとの噛合を解除すれば、スライド板17を手動で図2に示すような初期位置に戻すことが可能となる。
以下、図1乃至図7を適宜参照しつつ、実施の形態に係る平板蓄音機による録音、再生時に実行される一連の動作を説明する。
録音時には、押下部材43を押下することにより、ピニオンギア19とラックギア17aとの噛合を解除し、スライド板17をレール板20上、図2に示す初期位置に移動させる。そして、コーン部材11に針1が装着されていない場合には、ピックアック6を図4に破線で示す状態に回転移動させ、コーン部材11に針1を装着する。このとき、コーン部材11に固着された不図示の針保持部に針1を装着してもよい。
次いで、ターンテーブル4に記録担体5を装填する。このとき、回転軸部材4aに記録担体5の中心部の孔を嵌合させる。或いは、ターンテーブル4と回転軸部材4aにより記録担体5の中心部分を挟持する。
次いで、ピックアップ6の伸縮調整部材8,9のネジ孔に螺着されているネジ13,14を緩め、伸縮調整部材8,9によるピックアックアーム部材7の挟持力を緩め、ピックアップ6の長さを調整すると共に、ネジ22,23を緩め、コーン部材11を支軸24を中心に回転させることで、針1の記録担体5に対する当接角度θを調整する。
即ち、ここでは、記録担体5に用いる製品の材質、硬度等に応じて当接角度θを調整すると共に、針1の先端、つまり当接位置が目印25からターンテーブル4の回転中心に向けた線上にくるように調整する。
そして、録音時には、録音・再生切換部材12を図3に破線で示す位置まで移動させ、針1に更なる重錘27の荷重を与える。以上の設定の後、第1スイッチ部44をオンすると、電池45によりモータ3が駆動される。尚、電池45及びモータ3は、請求項記載の駆動部の一例に相当する。モータ3の回転速度は、前述したように変速機構42により2種に変速された後に、それぞれターンテーブル4、ピニオンギア19に伝達される。そして、ターンテーブル4が図2のA方向に回転すると共に、ピニオンギア19と噛合しているラックギア17aを有するスライド板17が図2のB方向に移動する。
ところで、針1を記録担体5の端部に載せる際、ピックアップ6が支持部材10よりも気持ち外寄りとなるように載せ、電源を投入すると、ターンテーブル4が回転し、外に振れているピックアップ6が安定する位置に戻ろうとする。これは、台本体2の天板2aに傾斜を付していることにより、ピックアップ6及び針1が重力の作用により早く安定点に戻ろうとするためである。
これにより、最初は広めの間隔で溝を刻んでいき、振り子の作用によりピックアップ6が安定する地点(ピックアップ6の長手方向線に向けてターンテーブル4の回転中心(回転軸部材4aの配設位置)より引いた垂線上の当接位置)に達すると、ピックアップ6がスライド板17に沿ってゆっくり移動するため、安定した細かいレコード溝が刻設されるようになる。この時、記録担体5の平面に針1の先端が圧接しているので、ピックアップ6のコーン部材11に口を近づけて大きな声で話すと、この音によって針1が振動し、この針振動によって記録担体5の平面にレコード溝が刻設され、所望とする音を録音することができる。しかも、この実施の形態では、ターンテーブル4、スライド板17(即ちピックアック6)の両者の好適な連動により、記録担体5に細かいレコード溝を微細ピッチで刻設することを実現している。
こうしてスライド板17が図2のB方向に所定長だけ移動した後には、直線部17bによりピニオンギア19との噛合が解かれ、その段階でスライド板17(ピックアップ6)の図2中のB方向への移動は解除されるので、針1が記録担体5の中心位置から所定半径のエリアには入ることはない。この状態で、第1スイッチ部44をオフすれば、所望とする音の録音が完了されることになる。
一方、再生時には、スライド板17を図2に示す初期位置に移動させ、ピックアップ6の録音・再生切換部材12を図3の実線位置に移動させ、針1を記録担体5のレコード溝に位置合わせし、第1のスイッチ部44をオンすれば、レコード溝の波で針1が振動し、この針1の振動でコーン部材11の底部11aが振動して録音された音が出力され、再生が行われる。この場合のターンテーブル4とピックアップ6の好適な連動については、録音時と同様である。尚、レコード溝に合わせなくても初めの溝ピッチ幅を広く取っておけば、初めの溝部分がガイドとなり、針1がうまくレコード溝にのり、音を再生することができる。
以上説明したように、本発明の一実施の形態に係る平板蓄音機では、身近にある様々な、ある程度の硬度が有る平板形状の製品(例えば、お弁当の容器の蓋やクリアファイル、ラミネート加工した写真、CD等、溝加工可能な平板であればその種類・形状等を問わない)を記録担体5として用いることができ、簡易且つ安価な構成により所望とする音を録音し、更には再生することができる。
そして、かかる録音時には、ピックアップ6とターンテーブル4の好適な関係での連動により、記録担体5に細かいピッチで微細なレコード溝を刻設することを可能としている。また、簡単な構成の録音・再生切換部材12を移動させるだけで、簡易に録音・再生のいずれかに切り換えることを可能としている。
また、記録担体5に対する針1の当接位置や当接角度をピックアップ6の操作により簡易に調整自在な構成となっており、身近にある様々な製品を記録担体5に再利用する場合に、どのようなものにはどの程度の当接角度が好適か等、適宜実験することもできるので、実験用途での学習効果も期待できる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その主旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、変速機構42として、複数の段付き歯車等を用いた構成を採用していたが、これに限定されず、種々の構成を採用することができる。また、上記実施の形態では、天板2aと4枚の側板2b乃至2eを組合せて台本体2を構成していたが、これに限定されず、中厚手の質感のよい高級紙を使用した紙スリーブを併用し、組み合わせパーツの問題を解消しつつプラスチックによる質感を隠すようにしてもよいことは勿論である。
また、上記実施の形態では、コーン部材11は、音又は針1の振動を受けて振動する底部11aを有しており、ピックアップアーム部7に固着されたコーン保持部21に、例えば不図示のボルトとナットにより固定されており、当該コーン部材11の底面11aが所謂振動盤としての役割を担っている。
しかしながら、このコーン部材11として、例えば紙コップを使用した場合、コーン部材11全体が紙であることから、録音時の振動を更に安定させ、再生時の音も更に良質なものとすることが嘱望される。
このような点に鑑みて、以下では、録音及び再生の動作の安定性の向上、音質の向上の観点から前述したような実施の形態の改良例を提案する。
尚、図8は改良例に係る平板蓄音機の振動板2周辺の構成を示す一部断面図であり、図9は当該平板蓄音機の再生時に係る振動板2周辺の構成を示す正面図であり、図10は当該平板蓄音機の録音時に係る振動板2周辺の構成を示す正面図であり、図11は当該振動板2の再生時の支点距離を説明する為の図であり、図12は当該振動板2の録音時の支点距離を説明するための図である。以下、これらの図を適宜参照する。
即ち、図8に示される改良例の構成では、コーン部材101を成形体(この材質としては、例えばプラスチック部材等を適宜選択可能)とする。そして、振動板102をコーン部材101と振動板固定部材103とで挟み込む形で固定する。
尚、これらの固定方法については、種々の手法を採用し得る。
この振動板固定部材103には、詳細は後述するように、針105の振動振幅調整部106aが配設可能である(図8では不図示であるが、反対面にも振動振幅調整部106bが配設される)。振動板102の中心点109には孔が設けられており、当該孔には録音再生針保持部104を取付けることが可能となっている。従来の蓄音機の振動板102としては、主に合金が採用されているが、改良例では、安価で身近、且つ良い音を得るための素材を採用する。即ち、この改良例に係る平板蓄音機では、例えばスチロール板、アルミ板、ポリプロピレン、PET等を採用する。更に、この改良例では、振動板102に波形部110を設けることで、振動をより伝え易くする工夫がなされている。
この改良例では、振動板102に紙とは別の素材を採用することで、使用者により満足のいく音の録音・再生を可能とする。また、振動板2は本体に簡単に装着可能であることから、使用者が各自の裁量で種々の素材を振動板2として試すことができるという実験効果を得ることも可能である。実際の取付にあたっては、図1のコーン部材11がコーン部材101に置き換わり、図1のコーン保持部21の役目を振動板固定部材103が果たすように、図8に示す構成全体が図1のピックアップ6に取付けられることになる。
上記の他、この実施の形態の改良例では、針の振動振幅調整部106a,bにより良質の音を得る工夫をなしている。以下、かかる工夫について更に詳細に説明する。
即ち、図9,10に示されるように、振動板固定部材103に振動振幅調整部106を振動振幅調整部固定軸111a,111bを軸としてシーソー状に揺動自在に配設する。
そして、録音再生針保持部104に支点孔107a,107b,108a,108bを設け、再生時は図9に示されるように針先側の支点孔107a,107bに振動振幅調整部106a,106bに設けたフック部を係止する(係止する方法は支点孔及びフック部に限らず任意でよい)。これにより、振動板102の中心点109から支点孔部分にあたる支点Xまでの距離(図11のA)が、支点Xから針105の先端まで(図11のB)の距離に対して大きくなり、振動板側の録音再生針保持部104が大きく振れる為、音の増幅作用が高まり、より高音質の再生が可能となる。尚、距離Aと距離Bの比率は、前者の方が大きければ、例えば2:1とする等、種々の比率とすることが可能である。
一方、録音時は振動板102の中心109より支点孔108a,108bに振動振幅調整部106a,106bに設けたフック部を係止する。これにより、振動板102の中心点109から切欠部分にあたる支点X’までの距離(図12のA)が、支点X’から針先まで(図12のB)の距離に比して小さくなるため、針先側の録音再生針保持部104が大きく振れることになる。尚、この場合の距離Aと距離Bとの比率は、後者の方が大きくなれば、例えば1:2とする等、種々の比率とすることが可能である。
以上の作用により、コーン部材101より吹き込まれた音がより増幅されるため、音を確実に針先に伝え、録音することが可能となる。また、振動振幅調整部106a,106bにより、録音再生針保持部104を強く固定するために不動の支持を与える構成としている。具体的には、種々の構成が考えられるが、バネにより圧力を与え、安定構造とする手法が一例としてあげられる。つまり、振動振幅調整部106a,106bが支点孔107a,107b又は支点孔108a,108bで強く係止されることでその位置でしっかり固定された状態になるが、同時にその切換もワンタッチ方式とすることができる。
尚、振動板102の中心点109から支点孔部分にあたる支点Xまでの距離(図11,図12のA)と支点Xから針先までの距離(図11,図12のB)の比率を、上記した改良例では、図11では2:1、図12では1:2でもよいとしているが、これらに限定されることなく、種々の比率とすることが可能である。
以上、本発明の実施の形態及び改良例について説明したが、本発明には以下の内容も含まれることは勿論である。
(1) 溝加工可能な平板形状の記録担体に所望とする音を録音し当該音を再生する平板蓄音機において、
上記記録担体が載置され、当該記録担体と一体となって回転する回転体と、
上記記録担体の平面に当接する針と音入出力部とを有し、当該針を初期当接位置から上記回転体の略中心に向けた方向に送るピックアップと、
上記回転体と上記ピックアップを駆動するための駆動部と、
上記駆動部の駆動力を、上記回転体の回転速度と上記ピックアップの送り速度とにそれぞれ変速する変速機構と、
を具備し、上記回転速度で回転体を回転させつつ上記送り速度でピックアップを送ることで、録音時には記録担体に当接した針により音入出力部より入力された音に基づくレコード溝を所定ピッチで刻設し、再生時には当該針がレコード溝の波で振動して音入出力部より音を再生出力する、
ことを特徴とする平板蓄音機。
上記記録担体が載置され、当該記録担体と一体となって回転する回転体と、
上記記録担体の平面に当接する針と音入出力部とを有し、当該針を初期当接位置から上記回転体の略中心に向けた方向に送るピックアップと、
上記回転体と上記ピックアップを駆動するための駆動部と、
上記駆動部の駆動力を、上記回転体の回転速度と上記ピックアップの送り速度とにそれぞれ変速する変速機構と、
を具備し、上記回転速度で回転体を回転させつつ上記送り速度でピックアップを送ることで、録音時には記録担体に当接した針により音入出力部より入力された音に基づくレコード溝を所定ピッチで刻設し、再生時には当該針がレコード溝の波で振動して音入出力部より音を再生出力する、
ことを特徴とする平板蓄音機。
(2) 上記ピックアップは、上記針の記録担体の平面に対する当接角度及び当接位置を可変自在とすることを更に特徴とする(1)に記載の平板蓄音機。
(3) 上記録音と再生とを切り換えるための録音・再生切換部材をさらに有し、録音時には当該録音・再生切換部材の一端に固着されている重錘の荷重を上記ピックアップの上記針の装着側にかけ、再生時には当該重錘の荷重を上記ピックアップの上記針の非装着側にかけることで、録音と再生とを切り換えることを更に特徴とする(1)又は(2)のいずれかに記載の平板蓄音機。
(4) 上記記録担体は、平板形状の製品の再利用品であることを更に特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の平板蓄音機。
(5) 天板を含む台本体を更に有し、当該台本体の天板が所定の傾斜角を有することを更に特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の平板蓄音機。
1・・・針、2・・・台本体、3・・・モータ、4・・・ターンテーブル、5・・・記録担体、6・・・ピックアップ、7・・・ピックアップアーム部材、8・・・伸縮調整部材、9・・・伸縮調整部材、10・・・支持部材、11・・・コーン部材、12・・・録音・再生切換部材、13・・・ネジ、14・・・ネジ、15・・・垂直支軸、16・・・水平支軸、17・・・スライド板、18・・・第2スイッチ部、19・・・ピニオンギア、20・・・レール板、21・・・コーン保持部、22・・・ネジ、23・・・ネジ、24・・・支軸、25・・・目印、26・・・重錘、27・・・重錘、28・・・プーリー、29・・・プーリー、30・・・ピニオンギア、31・・・軸部材、32・・・軸部材、33・・・段付き歯車、34・・・軸部材、35・・・段付き歯車、36・・・段付き歯車、37・・・平歯車、38・・・ゴムベルト、39・・・ゴムベルト、40・・・第1の保持部材、41・・・第2の保持部材、42・・・変速機構、43・・・押下部材、44・・・第1スイッチ部、45・・・電池、101・・・コーン部材、102・・・振動板、103・・・振動板固定部材、104・・・録音再生針保持部、105・・・針、106a,106b・・・振動振幅調整部、107a,107b,108a,108b・・・支点孔、109・・・振動板102の中心点、110・・・振動板102の波形部、111・・・振動振幅調整部固定軸。
Claims (7)
- 再利用品であり溝加工可能な平板形状の記録担体に所望とする音を録音し当該音を再生する平板蓄音機において、
上記記録担体が載置され、当該記録担体と一体となって回転する回転体と、
上記記録担体の平面に当接する針と音入出力部とを有し、当該針を初期当接位置から上記回転体の略中心に向けた方向に送るピックアップと、
上記回転体と上記ピックアップを駆動するための駆動部と、
上記駆動部の駆動力を、上記回転体の回転速度と上記ピックアップの送り速度とにそれぞれ変速する変速機構と、
上記録音と再生とを切り換えるための録音・再生切換部材と、
を具備し、録音時には当該録音・再生切換部材の一端に固着されている重錘の荷重を上記ピックアップの上記針の装着側にかけ、再生時には当該重錘の荷重を上記ピックアップの上記針の非装着側にかけることで、録音と再生とを切り換える、ことを特徴とする平板蓄音機。 - 再利用品であり溝加工可能な平板形状の記録担体に所望とする音を録音し当該音を再生する平板蓄音機において、
上記記録担体が載置され、当該記録担体と一体となって回転する回転体と、
上記記録担体の平面に当接する針と音入出力部とを有し、当該針を初期当接位置から上記回転体の略中心に向けた方向に送るピックアップと、
上記回転体と上記ピックアップを駆動するための駆動部と、
上記駆動部の駆動力を、上記回転体の回転速度と上記ピックアップの送り速度とにそれぞれ変速する変速機構と、
その一端に重錘を有し、上記ピックアップの上記音入力部の配設面の中心を軸として回動自在に配設されており、その回動により録音と再生とを切り換えるための録音・再生切換部材と、
を具備し、上記録音・再生切換部材の回動により、録音時には当該録音・再生切換部材の一端に固着されている重錘の荷重を上記ピックアップの上記針の装着側にかけ、再生時には当該重錘の荷重を上記ピックアップの上記針の非装着側にかけることで、録音と再生とを切り換えることを更に特徴とする平板蓄音機。 - 上記ピックアップの針を記録担体の中心位置へ移動するためのスライド板を更に有し、当該スライド板にラックギアと直線部とを形成し、当該スライド板が所定長だけ移動した後は、上記直線部により上記スライド板と上記駆動部のギアとの噛合を解くように構成されている、ことを更なる特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の平板蓄音機。
- 上記音入出力部は、成形されたコーン部材と振動盤からなり、当該コーン部材は振動盤に対して着脱自在に構成されていることを更に特徴とする請求項1又2のいずれかに記載の平板蓄音機。
- 再利用品であり溝加工可能な平板形状の記録担体に所望とする音を録音し当該音を再生する平板蓄音機において、
上記記録担体が載置され、当該記録担体と一体となって回転する回転体と、
上記記録担体の平面に当接する針と音入出力部とを有し、当該針を初期当接位置から上記回転体の略中心に向けた方向に送るピックアップと、
上記回転体と上記ピックアップを駆動するための駆動部と、
上記駆動部の駆動力を、上記回転体の回転速度と上記ピックアップの送り速度とにそれぞれ変速する変速機構と、
上記録音と再生とを切り換えるための録音・再生切換部材と、
を具備し、上記音入出力部は、振動板と当該振動板を固定する成形体からなるコーン部材と振動板固定部材とを少なくとも有することを特徴とする平板蓄音機。 - 上記音入出力部は、更に針の振動振幅調整部と録音再生針保持部を有し、当該振動振幅調整部を調整することで、録音再生針保持部の振動の大きさを調整することを更に特徴とする請求項5に記載の平板蓄音機。
- 上記振動板は、少なくとも一部の平面に波形部を有することを更に特徴とする請求項5に記載の平板蓄音機。
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Citations (3)
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JPH10283601A (ja) * | 1997-04-07 | 1998-10-23 | Gakken Co Ltd | 蓄音機 |
-
2003
- 2003-09-10 JP JP2003318489A patent/JP2004199850A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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