JP2004198991A - 感エネルギー性ネガ型樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便にかつ安価な方法で表面凹凸形状を有する有機物層を形成できる感エネルギー性ネガ型樹脂組成物を提供する。
【解決手段】感エネルギー性ネガ型樹脂組成物が(a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤を含み、(a)と(b)の合計100重量部に対し、それぞれ(a)を10〜80重量部、(b)20〜90重量部、(c)を0.05〜20重量部であり、前記感エネルギー性ネガ型樹脂組成物膜を形成する工程、遮光5μm幅、透過5μm幅とした実質的に10μm周期のストライプパターンを形成したマスクを介して活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程、エッチング操作を行うことなく180℃の後加熱する工程を順次施すことにより表面に段差0.3μm以上のマスクパターンに従った凹凸を形成することを特徴とする感エネルギー性ネガ型樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】感エネルギー性ネガ型樹脂組成物が(a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤を含み、(a)と(b)の合計100重量部に対し、それぞれ(a)を10〜80重量部、(b)20〜90重量部、(c)を0.05〜20重量部であり、前記感エネルギー性ネガ型樹脂組成物膜を形成する工程、遮光5μm幅、透過5μm幅とした実質的に10μm周期のストライプパターンを形成したマスクを介して活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程、エッチング操作を行うことなく180℃の後加熱する工程を順次施すことにより表面に段差0.3μm以上のマスクパターンに従った凹凸を形成することを特徴とする感エネルギー性ネガ型樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置用基板等の表面凹凸形状を有する有機物層、例えば拡散反射膜に使用される感エネルギー性ネガ型樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置は、ノート型パソコン、電子手帳、携帯情報端末機、アミューズメント機器、携帯電話機等、あらゆる用途に利用されており、特にこれらのうち、携帯用機器については、バックライトが不要となるため消費電力が小さく、また薄型化や軽量化が可能な観点から、反射型液晶表示装置が多く用いられつつある。
一般に反射型液晶表示装置では、光源として外光の反射を利用しているが、外光をより効率良く利用して明るい表示を得るためには、さらにあらゆる角度からの入射光に対して、表示画面に垂直な方向に散乱する光の強度を増加させる必要がある。
これを実現するための有用な手法として、パターン形成されたマスクを介して感光性樹脂層に紫外線を照射し、樹脂層の露光部分又は未露光部分を現像液で除去することにより、拡散反射板表面に凹凸形状を形成する方法等が用いられてきた。
【0003】
しかしながら、従来の方法では、所望の凹凸形状を得るために、感光性樹脂の膜厚、感光性樹脂の受光感度、マスクの開口比、露光量、現像液濃度、現像液温度あるいは現像時間の調整が必要であるため、製造プロセス上の変動因子が多く、同一の条件で同一の凹凸形状を得ることは困難であり、比較的高価でもある等の問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−243226号公報
【特許文献2】
特開平11−42649号公報
【特許文献3】
特開2000−098375号公報
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡便にかつ安価な方法で表面凹凸形状を有する有機物層を形成できる感エネルギー性ネガ型樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、[1] 感エネルギー性ネガ型樹脂組成物が(a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤を含み、(a)と(b)の合計100重量部に対し、それぞれ(a)を10〜80重量部、(b)20〜90重量部、(c)を0.05〜20重量部であり、前記感エネルギー性ネガ型樹脂組成物膜を形成する工程、遮光5μm幅、透過5μm幅とした実質的に10μm周期のストライプパターンを形成したマスクを介して活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程、エッチング操作を行うことなく180℃の後加熱する工程を順次施すことにより表面に段差0.3μm以上のマスクパターンに従った凹凸を形成することを特徴とする感エネルギー性ネガ型樹脂組成物である。
また、本発明は、[2] 感エネルギー性ネガ型樹脂組成物が(a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤を含み、(a)と(b)の合計100重量部に対し、それぞれ(a)を10〜80重量部、(b)20〜90重量部、(c)を0.05〜20重量部であり、前記感エネルギー性ネガ型樹脂組成物膜を形成する工程、10μm径の実質的に円形の遮光パターンが形成されたマスクを介して活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程、エッチング操作を行うことなく180℃の後加熱する工程を順次施すことにより表面に段差0.5μm以上のマスクパターンに従った凹凸を形成することを特徴とする感エネルギー性ネガ型樹脂組成物である。
また、本発明は、[3] エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマーの分子量が408以下であることを特徴とする上記[1]または上記[2]に記載の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物である。
また、本発明は、[4] エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマーのエチレン性不飽和基が2個以上、4個以下であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物である。
また、本発明は、[5] エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマーに水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基のいずれか1つ以上を備える上記[1]〜[4]のいずれかに記載の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物である。
また、本発明は、[6] 活性エネルギー線が紫外光線である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる感エネルギー性ネガ型樹脂組成物には光硬化性樹脂組成物を用い、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の軟化温度は特に制限されないが、200℃以下であることが望ましい。
【0007】
感エネルギー性ネガ型樹脂組成物としては、基材に対する密着性が良好なものを用いるのが好ましく、TFT液晶表示装置に用いる場合は基板に形成されたTFTとのコンタクトホールを形成するためにその部分の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を除けるように、アルカリ等で現像可能な感光性樹脂を用いることもできる。また耐熱性、耐溶剤性、形状安定性を向上させるために、熱によって硬化可能な樹脂組成物を用いることもできる。さらに、カップリング剤、接着性付与剤を添加することで基板との密着を向上させることもできる。接着を向上させる目的で基板または感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の接着面に接着性付与剤を塗布することもできる。
【0008】
感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の加熱による流動性を得るために分子量10000以下の低融点物質を添加する。例えば「プラスチックス配合剤」(遠藤昭定、須藤 眞編、大成社発行、平成8年11月30日発行)記載の可塑剤や、エチレン性二重結合を分子内に少なくとも1つ以上有するモノマーを添加する。
【0009】
本発明における(a)バインダ樹脂の使用量は、(a)及び(b)成分の合計100重量部に対して、10〜80重量部とするが、20〜75重量部とすることがより好ましく、25〜73重量部とすることが特に好ましく、30〜70重量部とすることが極めて好ましい。この使用量が10重量部未満では、塗布性が低下する傾向があり、80重量部を超えると、光硬化性、耐熱性あるいは表面に凹凸形状を形成する工程における凹凸形状形成性が低下する傾向がある。
【0010】
本発明における(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマーである少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する光重合性不飽和化合物の使用量は、(a)及び(b)成分の合計100重量部に対して、20〜90重量部とするが、25〜80重量部とすることがより好ましく、27〜75重量部とすることが特に好ましく、30〜70重量部とすることが極めて好ましい。この使用量が20重量部未満では、光硬化性、耐熱性あるいは表面に凹凸形状を形成する工程における凹凸形状形成性が低下する傾向があり、90重量部を超えると、塗布性が低下する傾向がある。
【0011】
本発明における(a)バインダ樹脂としては、ビニル共重合体が好ましく、ビニル共重合体に用いられるビニル単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、メタクリル酸n-プロピル、アクリル酸iso-プロピル、メタクリル酸iso-プロピル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸n-ブチル、アクリル酸iso-ブチル、メタアクリル酸iso-ブチル、アクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシトリエチレングリコール、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2-クロロエチル、メタクリル酸2-クロロエチル、アクリル酸2-フルオロエチル、メタクリル酸2-フルオロエチル、アクリル酸2-シアノエチル、メタクリル酸2-シアノエチル、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、N-ビニルピロリドン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0012】
また、本発明における(b)少なくとも一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマーとしては、エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマーが好ましく、従来、光重合性多官能モノマーとして知られているものを用いることができる。
【0013】
具体的には、一個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル系モノマー(アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、メタクリル酸n-プロピル、アクリル酸iso-プロピル、メタクリル酸iso-プロピル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸n-ブチル、アクリル酸iso-ブチル、メタクリル酸iso-ブチル、アクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2-クロロエチル、メタクリル酸2-クロロエチル、アクリル酸2-フルオロエチル、メタクリル酸2-フルオロエチル、アクリル酸2-シアノエチル、メタクリル酸2-シアノエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシトリエチレングリコール等)、スチレン系モノマー(スチレン、α-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン等)、ポリオレフィン系モノマー(ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等)、ビニル系モノマー(塩化ビニル、酢酸ビニル等)、ニトリル系モノマー(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、1-(メタクリロイロキシエトキシカルボニル)-2-(3′-クロロ-2′-ヒドロキシプロポキシカルボニル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0014】
二個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ヘキサプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2-ビス(4-アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジメタクリレート、ウレタンジアクリレート化合物等が挙げられる。
【0015】
三個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリメタクリレート等が挙げられる。
四個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等が挙げられる。
【0016】
五個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等が挙げられる。
六個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。
これらの不飽和結合を有する単量体は、いずれにしても、光照射によりラジカル重合するものであればよく、また、これらの不飽和結合を有する単量体は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0017】
本発明におけるモノマーにおいて分子量は、特に制限されるものではないが、効果的に凹凸形状を形成できること及び基板と感エネルギー性樹脂組成物との密着性向上の観点から、408以下が好ましい。
また、本発明におけるモノマーにおいてエチレン性不飽和基の数は、特に制限されるものではないが、効果的に凹凸形状を形成できることの観点から、2〜4個が好ましく、3個がより好ましい。
また、本発明におけるモノマーにおいては、特に制限されるものではないが、効果的に凹凸形状を形成できること及び基板と感エネルギー性樹脂組成物との密着性向上の観点から、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基のいずれか1つ以上を備えることが好ましい。
本発明における表面に凹凸形状を形成する工程において、効果的に凹凸形状を形成できること及び基板と感エネルギー性樹脂組成物との密着性向上の観点から、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートがより好ましい。
これらの不飽和結合を有する単量体は、いずれにしても、光照射によりラジカル重合するものであればよく、また、これらの不飽和結合を有する単量体は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0018】
本発明における、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン(ベンゾフェノン、N,N′-テトラメチル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′-テトラエチル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルフォリノプロパノン-1、2,4-ジエチルチオキサントン、2-エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等)、ベンゾインエーテル(ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等)、ベンゾイン(メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等)、ベンジル誘導体(ベンジルジメチルケタール等)、2-メルカプトベンズイミダゾール、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体(2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2,4-ジ(p-メトキシフェニル)-5-フェニルイミダゾール二量体、2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等)、アクリジン誘導体(9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9′-アクリジニル)ヘプタン等)などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0019】
本発明における(c)活光性線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤の使用量は、(a)及び(b)成分の合計100重量部に対して、0.05〜20重量部とするが、0.1〜15重量部とすることが好ましく、0.15〜10重量部とすることが特に好ましい。この使用量が0.05重量部未満では、光硬化が不十分となる傾向があり、20重量部を超えると、前述の感光性樹脂組成物層に活性光線を像的に照射する工程において、感光性樹脂組成物層の活性光線照射表面での活性光吸収が増大して、内部の光硬化が不十分となる傾向がある。
【0020】
また、本発明の感エネルギー性樹脂組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤などの密着性付与剤、レベリング剤、可塑剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、重合禁止剤等を(a)及び(b)成分の合計100重量部に対して各々0.01〜20重量部程度含有することができる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0021】
以上の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物を必要に応じ適当な溶剤に溶解ないし分散させ、混合する。混合物の溶解成分は、透明で均一な溶液となるまで十分に混合し、常法により濾過され、塗液とする。溶剤は、好ましくは50〜250℃の範囲に沸点を有するものである。そのような溶剤の例として、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、N,N-ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等が挙げられる。
【0022】
感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の塗布方法としては、ロールコータ塗布、スピンコータ塗布、スプレー塗布、ディップコータ塗布、カーテンフローコータ塗布、ワイヤバーコータ塗布、グラビアコータ塗布、エアナイフコータ塗布、キャップコータ塗布等がある。基材上に上記の方法で感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を塗布する。あるいは、前述の方法により仮支持体に塗布した後、基材に転写することで塗布する。塗布した感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の厚みは、0.1〜1000μmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましく、1〜50μmが特に好ましい。塗布する基材としては、ガラス板、クロムやITOなどの無機化合物を成膜したガラス板、シリコン基板、セラミック、ポリカーボネート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルムなど、好ましくは複屈折率が少ない(Δn=0.01以下)基材を用いることができる。
【0023】
以下に本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の、試験方法を説明する。
塗布した本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物膜(感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層)は、40〜150℃で1〜30分間プリベークする。プリベークした感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層は、パターン形成されたマスクを介して活性エネルギー線を照射される。マスクパターンは、活性エネルギー線遮断部(遮光)5μm幅と活性エネルギー線透過部(透過)5μm幅からなる実質的に10μm周期のストライプパターンを形成した規則的繰り返しパターンを有したマスク(活性エネルギー線遮断部と活性エネルギー線遮断部、又は活性エネルギー線透過部と活性エネルギー線透過部との距離が10μm)を用いる。また、別のマスクとして10μm径の実質的に円形の遮光パターンが形成されたマスクを用いる。
【0024】
マスクを介して照射する活性エネルギーの線量は、0.01〜1J/cm2が好ましく、0.01〜0.5J/cm2がより好ましく、0.05〜0.1J/cm2が特に好ましい。活性エネルギー線を照射する露光機光源としては、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ等が挙げられる。これらの光源を使用するプロキシ露光機や投影露光機以外にも、マスクパターンを介して露光できればよい。
【0025】
パターン形成されたマスクを介して活性エネルギー線を照射された感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の膜厚は、活性エネルギー線を照射されていない部分の膜厚に比べ最終的に増加する。活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程の後、180℃で後加熱を行い、活性エネルギー線を照射された部分と照射されない部分との膜厚差を顕著にして凹凸を形成する。加熱する装置としては、温風加熱炉、または赤外線加熱炉、ホットプレート等を用いて行う。
【0026】
本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物を用いることにより、マスクパターンを介してマスクパターンに従った表面凹凸を形成することができる。マスクは、活性エネルギー線遮断部と活性エネルギー線透過部からなる規則的あるいは不規則的な繰り返しパターンを有し、活性エネルギー線遮断部と活性エネルギー線遮断部、又は活性エネルギー線透過部と活性エネルギー線透過部との距離として、1〜50μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。パターン形状としては、特に制限されないが、例として、円形、楕円形、円輪形、多角形、曲線、直線、あるいは各形の集合形、それらの組み合わせなどが挙げられる。
【0027】
本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物を用いて形成した凹凸は、光学フィルムや表面凹凸フィルムとすることができる。また、この光学フィルムに反射膜を設けて拡散反射板とすることができる。
この反射膜としては、反射したい波長領域によって材料を適切に選択すれば良く、例えば反射型LCD表示装置では、可視光波長領域である300nmから800nmにおいて反射率の高い金属、例えばアルミニウムや金、銀等を真空蒸着法またはスパッタリング法等によって形成する。また反射増加膜(光学概論2、辻内順平、朝倉書店、1976年発行)を上記の方法で積層してもよい。屈折率差を利用して反射させる場合、金属単体だけでなく、ITOや五酸化タンタル、酸化チタン等の膜とシリコンやアルミニウム等の酸化膜や窒化膜、酸窒化膜を真空蒸着法またはスパッタリング法等によって積層形成する。反射膜の厚みは、0.01〜50μmが好ましい。また反射膜は、必要な部分だけフォトリソグラフィー法、マスク蒸着法等によりパターン形成してもよい。
【0028】
本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物で作製した拡散反射板は外部や内部光線を拡散反射させることが必要な反射型液晶ディスプレイの拡散反射板、液晶用バックライト反射板、プロジェクタ用スクリーン、電気泳動表示装置、有機EL表示装置、無機EL表示装置、エレクトロクロミック表示装置、フォトエレクトロクロミズム表示装置等の表示デバイスに用いることが出来る。また、本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物で作製した光学フィルムは、ノングレアシート、液晶用バックライト拡散板、視野角制御フィルム、リアプロジェクション用透過スクリーン、ビューファインダー用マイクロレンズ、プロジェクタ用マイクロレンズ、立体テレビ用視野角制御フィルム等の光学デバイスに用いることが出来る。さらに、本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物で作製した表面凹凸フィルムは、印刷用版、液晶表示装置のMVA用配向制御、溝構造高分子液晶分子配向制御、溝構造低分子液晶分子配向制御等に用いることが出来る。
以下、実施例により本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物を具体的に説明する。
【0029】
【実施例】
(実施例1)
下記の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の塗液をガラス基板上に毎分1300回転で10秒間スピンコートし、ホットプレート上、90℃で4分間加熱し、膜厚4μmの感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を得た。この感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の上に紫外線照射部(5μm幅)と紫外線遮光部(5μm幅)の境界線がピッチ10μmの規則的なストライプパターンとして形成されたマスクを置き、マスク面垂直上方より0.1J/cm2の紫外線を照射した後、180℃で5分間加熱し、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の紫外線照射部断面が凸、紫外線遮光部断面が凹の凹凸ピッチ10μmの形状を有し、その凹凸段差が0.63μmとなる表面凹凸形状が得られた。
【0030】
(ポリマーAの合成)
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、表1に示す(1)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温し、反応温度を80℃±2℃に保ちながら、表1に示す(2)を4時間かけて均一に滴下した。(2)の滴下後、80℃±2℃で6時間撹拌を続けた後、表1に示す(3)を添加した。
(3)を添加後、反応系を100℃に昇温し、0.5時間かけて表1に示す(4)を滴下した。(4)の滴下後、100℃で20時間撹拌を続けた後、室温に冷却して、重量平均分子量が約70,000のポリマーAを得た。
【0031】
【表1】
【0032】
(感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の塗液):
バインダ樹脂として上記で合成したポリマーAを用いた。
ポリマーA 823重量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(モノマー、PET-30) 175重量部
2-(o-クロロフェニル)-4,5-
ジフェニルイミダゾール二量体(開始剤) 10.0重量部
N,N′-テトラエチル-4,4′-
ジアミノベンゾフェノン(開始剤) 1.5重量部
2-メルカプトベンズイミダゾール(開始剤) 1.0重量部
シリコーン(添加剤) 0.35重量部
2-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(添加剤)41.6重量部
マロン酸(添加剤) 5.0重量部
水(添加剤) 8.9重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤) 750重量部
【0033】
(実施例2)
実施例1のパターニングされたマスクを10μm径の円形の遮光パターンにした以外は、実施例1と同様に行い表面凹凸形状を得た。その凹凸段差は1.4μmであった。
【0034】
(比較例1)
実施例1に示したモノマー(PET−30)の変わりに表1に示したモノマーを配合した感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の塗液をスピンコートして膜厚4μmの感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を得て、実施例1と同様な方法で、表面凹凸形状を得た。得られた凹凸表面の凹凸段差を表2に示した。
【0035】
【表2】
【0036】
表1に示したようにストライプパターンを形成したマスクを用いたとき、マスクパターンに従った凹凸段差0.3μm以上を形成するのは、No.1,4のみであり、No.2,3,5は、0.3μm以下となった。これは、他の実験とも絡めエチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマーの分子量が408以下あると良く、また、エチレン性不飽和基が2個以上、4個以下であると好ましく、No.1のようにモノマーに水酸基を含んでいるものが好ましい。低分子量のものほど移動しやすいためと思われる。
【0037】
【発明の効果】
本発明により、簡便にかつ安価な方法で表面凹凸形状を有する有機物層を形成できる感エネルギー性ネガ型樹脂組成物を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置用基板等の表面凹凸形状を有する有機物層、例えば拡散反射膜に使用される感エネルギー性ネガ型樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置は、ノート型パソコン、電子手帳、携帯情報端末機、アミューズメント機器、携帯電話機等、あらゆる用途に利用されており、特にこれらのうち、携帯用機器については、バックライトが不要となるため消費電力が小さく、また薄型化や軽量化が可能な観点から、反射型液晶表示装置が多く用いられつつある。
一般に反射型液晶表示装置では、光源として外光の反射を利用しているが、外光をより効率良く利用して明るい表示を得るためには、さらにあらゆる角度からの入射光に対して、表示画面に垂直な方向に散乱する光の強度を増加させる必要がある。
これを実現するための有用な手法として、パターン形成されたマスクを介して感光性樹脂層に紫外線を照射し、樹脂層の露光部分又は未露光部分を現像液で除去することにより、拡散反射板表面に凹凸形状を形成する方法等が用いられてきた。
【0003】
しかしながら、従来の方法では、所望の凹凸形状を得るために、感光性樹脂の膜厚、感光性樹脂の受光感度、マスクの開口比、露光量、現像液濃度、現像液温度あるいは現像時間の調整が必要であるため、製造プロセス上の変動因子が多く、同一の条件で同一の凹凸形状を得ることは困難であり、比較的高価でもある等の問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−243226号公報
【特許文献2】
特開平11−42649号公報
【特許文献3】
特開2000−098375号公報
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡便にかつ安価な方法で表面凹凸形状を有する有機物層を形成できる感エネルギー性ネガ型樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、[1] 感エネルギー性ネガ型樹脂組成物が(a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤を含み、(a)と(b)の合計100重量部に対し、それぞれ(a)を10〜80重量部、(b)20〜90重量部、(c)を0.05〜20重量部であり、前記感エネルギー性ネガ型樹脂組成物膜を形成する工程、遮光5μm幅、透過5μm幅とした実質的に10μm周期のストライプパターンを形成したマスクを介して活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程、エッチング操作を行うことなく180℃の後加熱する工程を順次施すことにより表面に段差0.3μm以上のマスクパターンに従った凹凸を形成することを特徴とする感エネルギー性ネガ型樹脂組成物である。
また、本発明は、[2] 感エネルギー性ネガ型樹脂組成物が(a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤を含み、(a)と(b)の合計100重量部に対し、それぞれ(a)を10〜80重量部、(b)20〜90重量部、(c)を0.05〜20重量部であり、前記感エネルギー性ネガ型樹脂組成物膜を形成する工程、10μm径の実質的に円形の遮光パターンが形成されたマスクを介して活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程、エッチング操作を行うことなく180℃の後加熱する工程を順次施すことにより表面に段差0.5μm以上のマスクパターンに従った凹凸を形成することを特徴とする感エネルギー性ネガ型樹脂組成物である。
また、本発明は、[3] エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマーの分子量が408以下であることを特徴とする上記[1]または上記[2]に記載の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物である。
また、本発明は、[4] エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマーのエチレン性不飽和基が2個以上、4個以下であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物である。
また、本発明は、[5] エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマーに水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基のいずれか1つ以上を備える上記[1]〜[4]のいずれかに記載の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物である。
また、本発明は、[6] 活性エネルギー線が紫外光線である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる感エネルギー性ネガ型樹脂組成物には光硬化性樹脂組成物を用い、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の軟化温度は特に制限されないが、200℃以下であることが望ましい。
【0007】
感エネルギー性ネガ型樹脂組成物としては、基材に対する密着性が良好なものを用いるのが好ましく、TFT液晶表示装置に用いる場合は基板に形成されたTFTとのコンタクトホールを形成するためにその部分の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を除けるように、アルカリ等で現像可能な感光性樹脂を用いることもできる。また耐熱性、耐溶剤性、形状安定性を向上させるために、熱によって硬化可能な樹脂組成物を用いることもできる。さらに、カップリング剤、接着性付与剤を添加することで基板との密着を向上させることもできる。接着を向上させる目的で基板または感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の接着面に接着性付与剤を塗布することもできる。
【0008】
感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の加熱による流動性を得るために分子量10000以下の低融点物質を添加する。例えば「プラスチックス配合剤」(遠藤昭定、須藤 眞編、大成社発行、平成8年11月30日発行)記載の可塑剤や、エチレン性二重結合を分子内に少なくとも1つ以上有するモノマーを添加する。
【0009】
本発明における(a)バインダ樹脂の使用量は、(a)及び(b)成分の合計100重量部に対して、10〜80重量部とするが、20〜75重量部とすることがより好ましく、25〜73重量部とすることが特に好ましく、30〜70重量部とすることが極めて好ましい。この使用量が10重量部未満では、塗布性が低下する傾向があり、80重量部を超えると、光硬化性、耐熱性あるいは表面に凹凸形状を形成する工程における凹凸形状形成性が低下する傾向がある。
【0010】
本発明における(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマーである少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する光重合性不飽和化合物の使用量は、(a)及び(b)成分の合計100重量部に対して、20〜90重量部とするが、25〜80重量部とすることがより好ましく、27〜75重量部とすることが特に好ましく、30〜70重量部とすることが極めて好ましい。この使用量が20重量部未満では、光硬化性、耐熱性あるいは表面に凹凸形状を形成する工程における凹凸形状形成性が低下する傾向があり、90重量部を超えると、塗布性が低下する傾向がある。
【0011】
本発明における(a)バインダ樹脂としては、ビニル共重合体が好ましく、ビニル共重合体に用いられるビニル単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、メタクリル酸n-プロピル、アクリル酸iso-プロピル、メタクリル酸iso-プロピル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸n-ブチル、アクリル酸iso-ブチル、メタアクリル酸iso-ブチル、アクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシトリエチレングリコール、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2-クロロエチル、メタクリル酸2-クロロエチル、アクリル酸2-フルオロエチル、メタクリル酸2-フルオロエチル、アクリル酸2-シアノエチル、メタクリル酸2-シアノエチル、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、N-ビニルピロリドン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0012】
また、本発明における(b)少なくとも一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマーとしては、エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマーが好ましく、従来、光重合性多官能モノマーとして知られているものを用いることができる。
【0013】
具体的には、一個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル系モノマー(アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、メタクリル酸n-プロピル、アクリル酸iso-プロピル、メタクリル酸iso-プロピル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸n-ブチル、アクリル酸iso-ブチル、メタクリル酸iso-ブチル、アクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸sec-ブチル、アクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2-クロロエチル、メタクリル酸2-クロロエチル、アクリル酸2-フルオロエチル、メタクリル酸2-フルオロエチル、アクリル酸2-シアノエチル、メタクリル酸2-シアノエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシトリエチレングリコール等)、スチレン系モノマー(スチレン、α-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン等)、ポリオレフィン系モノマー(ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等)、ビニル系モノマー(塩化ビニル、酢酸ビニル等)、ニトリル系モノマー(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、1-(メタクリロイロキシエトキシカルボニル)-2-(3′-クロロ-2′-ヒドロキシプロポキシカルボニル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0014】
二個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ヘキサプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2-ビス(4-アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジメタクリレート、ウレタンジアクリレート化合物等が挙げられる。
【0015】
三個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリメタクリレート等が挙げられる。
四個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等が挙げられる。
【0016】
五個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等が挙げられる。
六個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。
これらの不飽和結合を有する単量体は、いずれにしても、光照射によりラジカル重合するものであればよく、また、これらの不飽和結合を有する単量体は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0017】
本発明におけるモノマーにおいて分子量は、特に制限されるものではないが、効果的に凹凸形状を形成できること及び基板と感エネルギー性樹脂組成物との密着性向上の観点から、408以下が好ましい。
また、本発明におけるモノマーにおいてエチレン性不飽和基の数は、特に制限されるものではないが、効果的に凹凸形状を形成できることの観点から、2〜4個が好ましく、3個がより好ましい。
また、本発明におけるモノマーにおいては、特に制限されるものではないが、効果的に凹凸形状を形成できること及び基板と感エネルギー性樹脂組成物との密着性向上の観点から、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基のいずれか1つ以上を備えることが好ましい。
本発明における表面に凹凸形状を形成する工程において、効果的に凹凸形状を形成できること及び基板と感エネルギー性樹脂組成物との密着性向上の観点から、テトラメチロールメタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートがより好ましい。
これらの不飽和結合を有する単量体は、いずれにしても、光照射によりラジカル重合するものであればよく、また、これらの不飽和結合を有する単量体は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0018】
本発明における、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン(ベンゾフェノン、N,N′-テトラメチル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′-テトラエチル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルフォリノプロパノン-1、2,4-ジエチルチオキサントン、2-エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等)、ベンゾインエーテル(ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等)、ベンゾイン(メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等)、ベンジル誘導体(ベンジルジメチルケタール等)、2-メルカプトベンズイミダゾール、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体(2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2,4-ジ(p-メトキシフェニル)-5-フェニルイミダゾール二量体、2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等)、アクリジン誘導体(9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9′-アクリジニル)ヘプタン等)などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0019】
本発明における(c)活光性線により遊離ラジカルを生成する光重合開始剤の使用量は、(a)及び(b)成分の合計100重量部に対して、0.05〜20重量部とするが、0.1〜15重量部とすることが好ましく、0.15〜10重量部とすることが特に好ましい。この使用量が0.05重量部未満では、光硬化が不十分となる傾向があり、20重量部を超えると、前述の感光性樹脂組成物層に活性光線を像的に照射する工程において、感光性樹脂組成物層の活性光線照射表面での活性光吸収が増大して、内部の光硬化が不十分となる傾向がある。
【0020】
また、本発明の感エネルギー性樹脂組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤などの密着性付与剤、レベリング剤、可塑剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、重合禁止剤等を(a)及び(b)成分の合計100重量部に対して各々0.01〜20重量部程度含有することができる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0021】
以上の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物を必要に応じ適当な溶剤に溶解ないし分散させ、混合する。混合物の溶解成分は、透明で均一な溶液となるまで十分に混合し、常法により濾過され、塗液とする。溶剤は、好ましくは50〜250℃の範囲に沸点を有するものである。そのような溶剤の例として、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、N,N-ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等が挙げられる。
【0022】
感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の塗布方法としては、ロールコータ塗布、スピンコータ塗布、スプレー塗布、ディップコータ塗布、カーテンフローコータ塗布、ワイヤバーコータ塗布、グラビアコータ塗布、エアナイフコータ塗布、キャップコータ塗布等がある。基材上に上記の方法で感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を塗布する。あるいは、前述の方法により仮支持体に塗布した後、基材に転写することで塗布する。塗布した感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の厚みは、0.1〜1000μmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましく、1〜50μmが特に好ましい。塗布する基材としては、ガラス板、クロムやITOなどの無機化合物を成膜したガラス板、シリコン基板、セラミック、ポリカーボネート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルムなど、好ましくは複屈折率が少ない(Δn=0.01以下)基材を用いることができる。
【0023】
以下に本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の、試験方法を説明する。
塗布した本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物膜(感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層)は、40〜150℃で1〜30分間プリベークする。プリベークした感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層は、パターン形成されたマスクを介して活性エネルギー線を照射される。マスクパターンは、活性エネルギー線遮断部(遮光)5μm幅と活性エネルギー線透過部(透過)5μm幅からなる実質的に10μm周期のストライプパターンを形成した規則的繰り返しパターンを有したマスク(活性エネルギー線遮断部と活性エネルギー線遮断部、又は活性エネルギー線透過部と活性エネルギー線透過部との距離が10μm)を用いる。また、別のマスクとして10μm径の実質的に円形の遮光パターンが形成されたマスクを用いる。
【0024】
マスクを介して照射する活性エネルギーの線量は、0.01〜1J/cm2が好ましく、0.01〜0.5J/cm2がより好ましく、0.05〜0.1J/cm2が特に好ましい。活性エネルギー線を照射する露光機光源としては、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ等が挙げられる。これらの光源を使用するプロキシ露光機や投影露光機以外にも、マスクパターンを介して露光できればよい。
【0025】
パターン形成されたマスクを介して活性エネルギー線を照射された感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の膜厚は、活性エネルギー線を照射されていない部分の膜厚に比べ最終的に増加する。活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程の後、180℃で後加熱を行い、活性エネルギー線を照射された部分と照射されない部分との膜厚差を顕著にして凹凸を形成する。加熱する装置としては、温風加熱炉、または赤外線加熱炉、ホットプレート等を用いて行う。
【0026】
本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物を用いることにより、マスクパターンを介してマスクパターンに従った表面凹凸を形成することができる。マスクは、活性エネルギー線遮断部と活性エネルギー線透過部からなる規則的あるいは不規則的な繰り返しパターンを有し、活性エネルギー線遮断部と活性エネルギー線遮断部、又は活性エネルギー線透過部と活性エネルギー線透過部との距離として、1〜50μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。パターン形状としては、特に制限されないが、例として、円形、楕円形、円輪形、多角形、曲線、直線、あるいは各形の集合形、それらの組み合わせなどが挙げられる。
【0027】
本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物を用いて形成した凹凸は、光学フィルムや表面凹凸フィルムとすることができる。また、この光学フィルムに反射膜を設けて拡散反射板とすることができる。
この反射膜としては、反射したい波長領域によって材料を適切に選択すれば良く、例えば反射型LCD表示装置では、可視光波長領域である300nmから800nmにおいて反射率の高い金属、例えばアルミニウムや金、銀等を真空蒸着法またはスパッタリング法等によって形成する。また反射増加膜(光学概論2、辻内順平、朝倉書店、1976年発行)を上記の方法で積層してもよい。屈折率差を利用して反射させる場合、金属単体だけでなく、ITOや五酸化タンタル、酸化チタン等の膜とシリコンやアルミニウム等の酸化膜や窒化膜、酸窒化膜を真空蒸着法またはスパッタリング法等によって積層形成する。反射膜の厚みは、0.01〜50μmが好ましい。また反射膜は、必要な部分だけフォトリソグラフィー法、マスク蒸着法等によりパターン形成してもよい。
【0028】
本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物で作製した拡散反射板は外部や内部光線を拡散反射させることが必要な反射型液晶ディスプレイの拡散反射板、液晶用バックライト反射板、プロジェクタ用スクリーン、電気泳動表示装置、有機EL表示装置、無機EL表示装置、エレクトロクロミック表示装置、フォトエレクトロクロミズム表示装置等の表示デバイスに用いることが出来る。また、本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物で作製した光学フィルムは、ノングレアシート、液晶用バックライト拡散板、視野角制御フィルム、リアプロジェクション用透過スクリーン、ビューファインダー用マイクロレンズ、プロジェクタ用マイクロレンズ、立体テレビ用視野角制御フィルム等の光学デバイスに用いることが出来る。さらに、本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物で作製した表面凹凸フィルムは、印刷用版、液晶表示装置のMVA用配向制御、溝構造高分子液晶分子配向制御、溝構造低分子液晶分子配向制御等に用いることが出来る。
以下、実施例により本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物を具体的に説明する。
【0029】
【実施例】
(実施例1)
下記の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の塗液をガラス基板上に毎分1300回転で10秒間スピンコートし、ホットプレート上、90℃で4分間加熱し、膜厚4μmの感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を得た。この感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の上に紫外線照射部(5μm幅)と紫外線遮光部(5μm幅)の境界線がピッチ10μmの規則的なストライプパターンとして形成されたマスクを置き、マスク面垂直上方より0.1J/cm2の紫外線を照射した後、180℃で5分間加熱し、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の紫外線照射部断面が凸、紫外線遮光部断面が凹の凹凸ピッチ10μmの形状を有し、その凹凸段差が0.63μmとなる表面凹凸形状が得られた。
【0030】
(ポリマーAの合成)
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、表1に示す(1)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温し、反応温度を80℃±2℃に保ちながら、表1に示す(2)を4時間かけて均一に滴下した。(2)の滴下後、80℃±2℃で6時間撹拌を続けた後、表1に示す(3)を添加した。
(3)を添加後、反応系を100℃に昇温し、0.5時間かけて表1に示す(4)を滴下した。(4)の滴下後、100℃で20時間撹拌を続けた後、室温に冷却して、重量平均分子量が約70,000のポリマーAを得た。
【0031】
【表1】
【0032】
(感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の塗液):
バインダ樹脂として上記で合成したポリマーAを用いた。
ポリマーA 823重量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(モノマー、PET-30) 175重量部
2-(o-クロロフェニル)-4,5-
ジフェニルイミダゾール二量体(開始剤) 10.0重量部
N,N′-テトラエチル-4,4′-
ジアミノベンゾフェノン(開始剤) 1.5重量部
2-メルカプトベンズイミダゾール(開始剤) 1.0重量部
シリコーン(添加剤) 0.35重量部
2-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(添加剤)41.6重量部
マロン酸(添加剤) 5.0重量部
水(添加剤) 8.9重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤) 750重量部
【0033】
(実施例2)
実施例1のパターニングされたマスクを10μm径の円形の遮光パターンにした以外は、実施例1と同様に行い表面凹凸形状を得た。その凹凸段差は1.4μmであった。
【0034】
(比較例1)
実施例1に示したモノマー(PET−30)の変わりに表1に示したモノマーを配合した感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の塗液をスピンコートして膜厚4μmの感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を得て、実施例1と同様な方法で、表面凹凸形状を得た。得られた凹凸表面の凹凸段差を表2に示した。
【0035】
【表2】
【0036】
表1に示したようにストライプパターンを形成したマスクを用いたとき、マスクパターンに従った凹凸段差0.3μm以上を形成するのは、No.1,4のみであり、No.2,3,5は、0.3μm以下となった。これは、他の実験とも絡めエチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマーの分子量が408以下あると良く、また、エチレン性不飽和基が2個以上、4個以下であると好ましく、No.1のようにモノマーに水酸基を含んでいるものが好ましい。低分子量のものほど移動しやすいためと思われる。
【0037】
【発明の効果】
本発明により、簡便にかつ安価な方法で表面凹凸形状を有する有機物層を形成できる感エネルギー性ネガ型樹脂組成物を提供することができる。
Claims (6)
- 感エネルギー性ネガ型樹脂組成物が(a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤を含み、(a)と(b)の合計100重量部に対し、それぞれ(a)を10〜80重量部、(b)20〜90重量部、(c)を0.05〜20重量部であり、前記感エネルギー性ネガ型樹脂組成物膜を形成する工程、遮光5μm幅、透過5μm幅とした実質的に10μm周期のストライプパターンを形成したマスクを介して活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程、エッチング操作を行うことなく180℃の後加熱する工程を順次施すことにより表面に段差0.3μm以上のマスクパターンに従った凹凸を形成することを特徴とする感エネルギー性ネガ型樹脂組成物。
- 感エネルギー性ネガ型樹脂組成物が(a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤を含み、(a)と(b)の合計100重量部に対し、それぞれ(a)を10〜80重量部、(b)20〜90重量部、(c)を0.05〜20重量部であり、前記感エネルギー性ネガ型樹脂組成物膜を形成する工程、10μm径の実質的に円形の遮光パターンが形成されたマスクを介して活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程、エッチング操作を行うことなく180℃の後加熱をする工程を順次施すことにより表面に段差0.5μm以上のマスクパターンに従った凹凸を形成することを特徴とする感エネルギー性ネガ型樹脂組成物。
- エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマーの分子量が408以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物。
- エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマーのエチレン性不飽和基が2個以上、4個以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物。
- エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマーに水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基のいずれか1つ以上を備える請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物。
- 活性エネルギー線が紫外光線である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物。
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