JP2004035593A - 表面凹凸形成方法、それにより得られる光学フィルム及び拡散反射板並びに拡散反射板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便にかつ安価に樹脂表面凹凸形状を形成できる方法及びそれを用いた転写原型、転写原型を形成する転写原型、転写ベースフィルム、転写フィルム、拡散反射板、光学フィルムを提供する。
【解決手段】(a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤、(d)黒色着色料を含む、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を形成する工程、パターン形成されたマスクを介して活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程、エッチング操作を行うことなく後加熱する工程を含む表面凹凸形成方法。
【選択図】 図1
【解決手段】(a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤、(d)黒色着色料を含む、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を形成する工程、パターン形成されたマスクを介して活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程、エッチング操作を行うことなく後加熱する工程を含む表面凹凸形成方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を使用する表面凹凸形成方法、それを用いた拡散反射板、光学フィルム、それらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂表面に凹凸形状を形成する場合、従来の技術では、パターン形成されたマスクを介して感光性樹脂層に紫外線を照射し、樹脂層の露光部分又は未露光部分を現像液で除去する方法が用いられてきた。
【0003】
しかし、従来の方法では、所望の凹凸形状を得るために、感光性樹脂の膜厚、感光性樹脂の受光感度、マスクの開口比、露光量、現像液濃度、現像液温度あるいは現像時間の調整が必要であるため、製造プロセス上の変動因子が多く、同一の条件で同一の凹凸形状を得ることは困難であり、比較的高価でもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、簡便にかつ安価に可視光線を遮断する機能を付与した樹脂表面凹凸形状を形成できる方法及びそれを用いた拡散反射板、光学フィルムおよびそれらの製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、[1](a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤、(d)黒色着色料を含む、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を形成する工程、パターン形成されたマスクを介して活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程、エッチング操作を行うことなく後加熱する工程を含む表面凹凸形成方法であり、
[2](a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤、(d)黒色着色料を含む、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を形成する工程、活性エネルギー線によりパターンを直接描画する工程、エッチング操作を行うことなく後加熱する工程を含む表面凹凸形成方法であり、
[3]感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の光学濃度(OD値)が1.5〜5となるように(d)黒色着色料を含む上記[1]または上記[2]に記載の表面凹凸形成方法であり、
[4]パターンが、活性エネルギー線遮断部と活性エネルギー線透過部からなる規則的あるいは不規則的な繰り返しパターンを有し、活性エネルギー線遮断部と活性エネルギー線遮断部、又は活性エネルギー線透過部と活性エネルギー線透過部との距離が、1〜50μmである上記[1]〜[3]のいずれかに記載の表面凹凸形成方法であり、
[5]後加熱が、50〜250℃の加熱である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の表面凹凸形成方法であり、
[6]活性エネルギー線が紫外光線である上記[1]または[2]に記載の凹凸形成方法であり、
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の凹凸形成方法を用いて形成された光学フィルムであり、
[8]上記[7]に記載の光学フィルムの一部または全面に反射膜を設けた拡散反射板であり、
[9]上記[8]に記載の拡散反射板を反射型液晶ディスプレイに用いたことを特徴とする反射型液晶ディスプレイ用拡散反射板である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、表面凹凸形成方法であり、その一例として図1に示したように、黒色着色料等を含む感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を基板上に形成する工程、そして、パターン形成されたマスクを介してあるいは、直接描画法で活性エネルギー線を照射する工程、そしてエッチング操作を行うことなく後加熱する工程を含むことにより表面凹凸を形成する方法である。活性エネルギー線により、それが照射された感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の膜厚は、活性エネルギー線を照射されていない部分の膜厚に比べ最終的に増加し、後加熱を行うことで、活性エネルギー線を照射された部分と照射されない部分との膜厚差が顕著になる。これには、少なくとも一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマーを含有する感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層が必要である。そして、得られた表面凹凸は、光学フィルムとして適用でき、また、その表面凹凸を利用した転写原型とする。さらに、その転写原型を用いて作製した表面凹凸面を型とする転写原型とする。そして、転写原型の表面凹凸面をベースフィルム上に形成した下塗り層からなる被転写層に押当てることで表面凹凸形状が転写された転写ベースフィルムとする。この転写ベースフィルムを仮支持体として用い、仮支持体の転写原型を転写した面に薄膜層を形成し、薄膜層の仮支持体に形成されていない面が被転写基板への接着面を構成する転写フィルムとする。この転写フィルムを被転写基板に薄膜層が面するように押し当てる工程と、前記仮支持体を剥がす工程と、薄膜層の転写された表面に反射膜または透過性反射膜を形成する工程により拡散反射板を作製する。また、図1に示したように、表面凹凸形成方法を用いて形成された光学フィルムに反射膜を形成し拡散反射板とすることもできる。
本発明で用いる感エネルギー性ネガ型樹脂組成物は、(a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤、(d)黒色着色料を含む。
本発明における(a)バインダ樹脂としては、ビニル共重合体が好ましく、ビニル共重合体に用いられるビニル単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、メタクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシトリエチレングリコール、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−フルオロエチル、メタクリル酸2−フルオロエチル、アクリル酸2−シアノエチル、メタクリル酸2−シアノエチル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。この他に、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂等が拳げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0007】
また、本発明における、少なくとも一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマーとしては、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマーが好ましく、従来、光重合性多官能モノマとして知られているものを全て用いることができる。この他に、ラジカルにより重合する官能基を有する化合物で、マレイミド樹脂、シトラコンイミド樹脂、ナジイミド樹脂などがあり、2種類以上を混合して使用してもよい。またラジカル重合性化合物は、モノマー、オリゴマーいずれの状態でも使用することができ、モノマーとオリゴマーを混合して用いてもよい。
【0008】
具体的には、一個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル系モノマ(アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、メタクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、メタクリル酸iso−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−フルオロエチル、メタクリル酸2−フルオロエチル、アクリル酸2−シアノエチル、メタクリル酸2−シアノエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシトリエチレングリコール等)、スチレン系モノマ(スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等)、ポリオレフィン系モノマ(ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等)、ビニル系モノマ(塩化ビニル、酢酸ビニル等)、ニトリル系モノマ(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、1−(メタクリロイロキシエトキシカルボニル)−2−(3′−クロロ−2′−ヒドロキシプロポキシカルボニル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0009】
二個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ヘキサプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジメタクリレート、ウレタンジアクリレート化合物等が挙げられる。
【0010】
三個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリメタクリレート等が挙げられる。
四個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等が挙げられる。
【0011】
五個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等が挙げられる。
六個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。
これらの不飽和結合を有する単量体は、いずれにしても、光照射によりラジカル重合するものであればよく、また、これらの不飽和結合を有する単量体は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0012】
本発明における、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン(ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等)、ベンゾインエーテル(ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等)、ベンゾイン(メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等)、ベンジル誘導体(ベンジルジメチルケタール等)、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、(2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等)、アクリジン誘導体(9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等)などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。本成分の使用量は、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物中の固形分総量の0.01〜25重量%とすることが好ましく、1〜20重量%とすることがより好ましい。
【0013】
本発明における、(d)黒色着色料としては、無機着色料、有機着色料のいずれも使用可能である。例えば、黒色のカーボンブラック、黒鉛、鉄黒、チタンカーボン、二酸化マンガン、銅クロムマンガン酸化物等の無機着色料、有機着色料の混合物等が使用できるが、着色力の点からカーボンブラック又はカーボンブラックとフタロシアニン系の青着色料の組み合わせが好ましい。また表面を樹脂被覆したカーボンブラックやグラフト重合処理したカーボンブラックを使用してもよい。黒色着色料はブラックマトリックスの光学濃度が1.5〜5になる量が使用される。好ましくは遮光性の観点から光学濃度が3〜4になる量がよい。光学濃度が1.5未満では遮光性が低下する傾向があり、光学濃度が5を超えると密着性が低下する傾向がある。
【0014】
本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層における(d)黒色着色料の使用量は、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の固形分総量中、4〜70重量%とすることが好ましく、4〜50重量%とすることがより好ましい。この使用量が4重量%未満では、光学濃度が低くなる傾向があり、また、70重量%を超えると、光感度が低下する傾向がある。
【0015】
有機着色料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、インジゴ系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、メチン・アゾメチン系、イソインドリノン系等が挙げられる。
【0016】
必要に応じプラスチック添加剤として、分子量10000以下の低融点物質を添加してもよい。例えば「プラスチックス配合剤」(遠藤 昭定、須藤 眞編、大成社発行、平成8年11月30日発行)記載の可塑剤や、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層に加熱による流動性やガラス基材との密着性を与えるシラン化合物等が挙げられる。本成分の使用量は、ネガ型組成物中の固形分総量の1〜70重量%とすることが好ましい。
【0017】
以上のネガ型樹脂組成物を必要に応じ適当な溶剤に溶解ないし分散させ、混合する。混合物の溶解成分は、均一な溶液となるまで十分に混合し、常法により濾過され、塗液とする。溶剤は、好ましくは50〜250℃の範囲に沸点を有するものである。そのような溶剤の例として、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等が挙げられる。
【0018】
感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の塗布方法としては、ロールコータ塗布、スピンコータ塗布、スプレー塗布、ディップコータ塗布、カーテンフローコータ塗布、ワイヤバーコータ塗布、グラビアコータ塗布、エアナイフコータ塗布等がある。または、ベースフィルム等に上記の方法で感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を塗布し、基材に転写する。塗布した感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の厚みは、0.1〜1000μmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましく、1〜50μmが特に好ましい。塗布する基材としては、ガラス板、クロムやITOなどの無機化合物を成膜したガラス板、シリコン基板、ポリカーボネート系樹脂フィルム、メタアクリル樹脂シート、ポリエチレンテレフタートフィルム、フッ素系樹脂フィルム等のプラスチックなどを用いることができる。
【0019】
塗布した感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層は、40〜150℃で1〜30分間プリベークする。プリベークした感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層は、パターン形成されたマスクを介して、あるいは、直接描画法で活性エネルギー線を照射される。マスクまたは直接描画パターンは、活性エネルギー線遮断部と活性エネルギー線透過部からなる規則的あるいは不規則的な繰り返しパターンを有し、活性エネルギー線遮断部と活性エネルギー線遮断部、又は活性エネルギー線透過部と活性エネルギー線透過部との距離が、1〜50μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。パターン形状は、特に限定されないが、例として、円形、楕円形、円輪形、多角形、曲線、直線、あるいは各形の集合形などがある。
本発明における、活性エネルギー線としては、赤外線、可視光線、紫外線、赤外線より長波長の電磁波、紫外線より短波長の電磁波、レーザー光等を用いることができる。そのようなもののなかで、用いられる樹脂組成の反応性や装置の普及性から紫外線を用いることが好ましい。照射装置としては、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ等が挙げられる。また、活性エネルギー線量は、従来のエッチング工程を含む表面凹凸形成方法の中で照射する紫外線量に比べて少なくて済み、0.01〜1J/cm2が好ましく、0.01〜0.5J/cm2がより好ましく、0.05〜0.1J/cm2が特に好ましい。
【0020】
パターン形成されたマスクを介して、あるいは、直接描画法で活性エネルギー線を照射された感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の膜厚は、活性エネルギー線を照射されていない部分の膜厚に比べ最終的に増加する。活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程の後、後加熱として、50〜250℃の加熱を行うことが好ましく、活性エネルギー線を照射された部分と照射されない部分との膜厚差を顕著にする。さらに必要に応じ、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の凹凸形状保持が必要な箇所すべてを一括して熱硬化や活性エネルギー線照射して、形状を固定する。
【0021】
本発明では、上記のネガ型樹脂組成物層を形成する工程、活性エネルギー線を照射する工程、エッチング操作を行うことなく後加熱する工程により表面に凹凸が形成されたものを得ることができる。
【0022】
本発明では、凹凸形成方法を用いて形成したものを光学フィルムとすることができる。また、この光学フィルムに反射膜を設けて拡散反射板とすることができる。
【0023】
この反射膜としては、反射したい波長領域によって材料を適切に選択すれば良く、例えば反射型LCD表示装置では、可視光波長領域である300nmから800nmにおいて反射率の高い金属、例えばアルミニウムや金、銀等を真空蒸着法またはスパッタリング法等によって形成する。また反射増加膜(光学概論2、辻内順平、朝倉書店、1976年発行)を上記の方法で積層してもよい。屈折率差を利用して反射させる場合、金属単体だけでなく、ITOや五酸化タンタル、酸化チタン等の膜とシリコンやアルミニウム等の酸化膜や窒化膜、酸窒化膜を真空蒸着法またはスパッタリング法等によって積層形成する。反射膜の厚みは、0.01〜50μmが好ましい。また反射膜は、必要な部分だけフォトリソグラフィー法、マスク蒸着法等によりパターン形成してもよい。例えば、反射型LCD表示装置のブラックマトリクスを形成する目的で、マトリクス状あるいはストライプ状に反射膜の無い部分を形成することで、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の遮光性により必然的にブラックマトリクスを形成できる。
【0024】
以上では図5に示す様な反射型液晶ディスプレイで説明したが、本発明の拡散反射板は外部光線を拡散反射させることが必要なデバイスに用いることが出来る。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0025】
【実施例】
(実施例1)
下記の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の塗液をガラス基板上に毎分1100回転で10秒間スピンコートし、ホットプレート上、90℃で4分間加熱し、膜厚6μmの感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を得た。この感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の上に紫外線透過部と紫外線遮光部の境界線が不規則的な曲線でパターニングされたマスクを置き、マスク面垂直上方より0.08J/cm2の紫外線を照射した後、90℃、120℃、140℃、180℃、200℃および230℃で30分間の加熱によりそれぞれ硬化し、スパッタによりAl金属膜0.1μmをそれぞれ成膜したところ、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の紫外線照射部断面が凸、紫外線遮光部断面が凹の凹凸ピッチ10μmの形状を有し、その凹凸段差が0.25、0.25、0.25、0.40、0.58および0.68μmとなる6種類の光学フィルムが得られた。図2および図3に230℃で30分間の加熱により硬化したサンプルの表面凹凸形状の顕微鏡写真と断面の凹凸段差を示す。
(感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の塗液):
ポリマーとしてスチレン、メタクリル酸、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート共重合樹脂を用いた(ポリマーA)。分子量は約70000、酸価は約75である。
ポリマーA 330重量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(モノマー) 175重量部
2−(o−クロロフェニル)−4,5−
ジフェニルイミダゾール二量体(開始剤) 10.0重量部
N,N′−テトラエチル−4,4′−
ジアミノベンゾフェノン(開始剤) 1.5重量部
2−メルカプトベンズイミダゾール(開始剤) 1.0重量部
カーボンブラック(黒色着色料) 30重量部
シリコーン(添加剤) 0.35重量部
2−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(添加剤)41.6重量部
マロン酸(添加剤) 5.0重量部
水(添加剤) 8.9重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)1244重量部
【0026】
図4には本実施例による拡散反射板の真正面への反射強度(標準白色板に対する相対強度)の入射角度依存性を示す。−15°〜15°の入射角度範囲において、反射強度4を超える優れた拡散反射板を簡便に得ることができた。
【0027】
次に、Al金属膜上にレジストAZ−TFP210K(ヘキスト社製商品名)をスピンコートし90℃のホットプレートで4分乾燥し1.2μmの膜厚を持つレジスト層を形成した。この上に10μmの透過部分ストライプが100μmピッチで刻まれたフォトマスクを重ね、高圧水銀ランプによってH線で60mJの露光後、0.6重量%の水酸化カリウム水溶液に20℃で160秒間浸漬し、レジストを現像した。この段階で、Al金属膜上のレジストは、10μm幅の膜なし溝がピッチ100μmで形成された膜となっている。これを、1.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液に20℃で140秒間浸漬しAl金属膜をピッチ100μm、10μm幅のストライプ状になるようエッチング除去した。この時、レジストも同時にエッチングされるが、膜が無くなるまでにはいたらない。次に、アセトンに基板を浸漬し、レジストを剥離し、ストライプ状にAl金属膜の無い拡散反射板を得た。Al金属膜の無い領域は、可視光線の反射が極めて少なく、反射型液晶表示体用の拡散反射板兼ブラックマトリクスとして良好な視認性を得られることを確認した。
【0028】
(比較例1)
実施例1の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の塗液をガラス基板上に毎分1100回転で10秒間スピンコートし、ホットプレート上90℃で4分間加熱し、膜厚6μmの感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を得た。この感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の上に紫外線透過部と紫外線遮光部の境界線が不規則的な曲線でパターニングされたマスクを置き、マスク面垂直上方より0.08J/cm2の紫外線を照射した後、後加熱を行うことなく室温(25℃)で1時間放置したところ、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の表面に表面凹凸段差が観測されなかった。
【0029】
(比較例2)
実施例1の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の塗液をガラス基板上に毎分1100回転で10秒間スピンコートし、ホットプレート上90℃で4分間加熱し、膜厚6μmの感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を得た。この感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の上に紫外線透過部と紫外線遮光部の境界線が不規則的な曲線でパターニングされたマスクを置き、マスク面垂直上方より0.3J/cm2の紫外線を照射した後、後加熱を行うことなく室温(25℃)で1時間放置したところ、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の表面に表面凹凸段差が観測されなかった。
実施例では,反射特性に極めて優れた表面凹凸が形成されるが,後加熱する工程のない比較例では、表面凹凸段差が生じなかった。
【0030】
【発明の効果】
本発明により、簡便にかつ安価に可視光線を遮断する機能を付与した樹脂表面凹凸形状を形成できる方法及びそれを用いた拡散反射板、光学フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の拡散反射板の製造例を示す断面図。
【図2】実施例1の光学フィルムの表面凹凸形状の顕微鏡写真。
【図3】ライン状のパターンが形成されたマスクを用いた時に得られる表面凹凸形状をレーザー顕微鏡で測定して得られた断面凹凸段差を示す図。
【図4】実施例1の拡散反射板の反射光量の出射角依存性を示す図。
【図5】反射型液晶ディスプレイの一例を示す断面図。
【符号の説明】
1.感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層
2.ガラス基板
3.反射膜
4.フォトマスク
5.カラーフィルタ
6.ブラックマトリクス(感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層が兼ねる)
7.透明電極
8.平坦化膜
9.配向膜
10.液晶層
11.スペーサ
12.位相差フィルム
13.偏光板
【発明の属する技術分野】
本発明は、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を使用する表面凹凸形成方法、それを用いた拡散反射板、光学フィルム、それらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂表面に凹凸形状を形成する場合、従来の技術では、パターン形成されたマスクを介して感光性樹脂層に紫外線を照射し、樹脂層の露光部分又は未露光部分を現像液で除去する方法が用いられてきた。
【0003】
しかし、従来の方法では、所望の凹凸形状を得るために、感光性樹脂の膜厚、感光性樹脂の受光感度、マスクの開口比、露光量、現像液濃度、現像液温度あるいは現像時間の調整が必要であるため、製造プロセス上の変動因子が多く、同一の条件で同一の凹凸形状を得ることは困難であり、比較的高価でもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、簡便にかつ安価に可視光線を遮断する機能を付与した樹脂表面凹凸形状を形成できる方法及びそれを用いた拡散反射板、光学フィルムおよびそれらの製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、[1](a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤、(d)黒色着色料を含む、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を形成する工程、パターン形成されたマスクを介して活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程、エッチング操作を行うことなく後加熱する工程を含む表面凹凸形成方法であり、
[2](a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤、(d)黒色着色料を含む、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を形成する工程、活性エネルギー線によりパターンを直接描画する工程、エッチング操作を行うことなく後加熱する工程を含む表面凹凸形成方法であり、
[3]感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の光学濃度(OD値)が1.5〜5となるように(d)黒色着色料を含む上記[1]または上記[2]に記載の表面凹凸形成方法であり、
[4]パターンが、活性エネルギー線遮断部と活性エネルギー線透過部からなる規則的あるいは不規則的な繰り返しパターンを有し、活性エネルギー線遮断部と活性エネルギー線遮断部、又は活性エネルギー線透過部と活性エネルギー線透過部との距離が、1〜50μmである上記[1]〜[3]のいずれかに記載の表面凹凸形成方法であり、
[5]後加熱が、50〜250℃の加熱である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の表面凹凸形成方法であり、
[6]活性エネルギー線が紫外光線である上記[1]または[2]に記載の凹凸形成方法であり、
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の凹凸形成方法を用いて形成された光学フィルムであり、
[8]上記[7]に記載の光学フィルムの一部または全面に反射膜を設けた拡散反射板であり、
[9]上記[8]に記載の拡散反射板を反射型液晶ディスプレイに用いたことを特徴とする反射型液晶ディスプレイ用拡散反射板である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、表面凹凸形成方法であり、その一例として図1に示したように、黒色着色料等を含む感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を基板上に形成する工程、そして、パターン形成されたマスクを介してあるいは、直接描画法で活性エネルギー線を照射する工程、そしてエッチング操作を行うことなく後加熱する工程を含むことにより表面凹凸を形成する方法である。活性エネルギー線により、それが照射された感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の膜厚は、活性エネルギー線を照射されていない部分の膜厚に比べ最終的に増加し、後加熱を行うことで、活性エネルギー線を照射された部分と照射されない部分との膜厚差が顕著になる。これには、少なくとも一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマーを含有する感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層が必要である。そして、得られた表面凹凸は、光学フィルムとして適用でき、また、その表面凹凸を利用した転写原型とする。さらに、その転写原型を用いて作製した表面凹凸面を型とする転写原型とする。そして、転写原型の表面凹凸面をベースフィルム上に形成した下塗り層からなる被転写層に押当てることで表面凹凸形状が転写された転写ベースフィルムとする。この転写ベースフィルムを仮支持体として用い、仮支持体の転写原型を転写した面に薄膜層を形成し、薄膜層の仮支持体に形成されていない面が被転写基板への接着面を構成する転写フィルムとする。この転写フィルムを被転写基板に薄膜層が面するように押し当てる工程と、前記仮支持体を剥がす工程と、薄膜層の転写された表面に反射膜または透過性反射膜を形成する工程により拡散反射板を作製する。また、図1に示したように、表面凹凸形成方法を用いて形成された光学フィルムに反射膜を形成し拡散反射板とすることもできる。
本発明で用いる感エネルギー性ネガ型樹脂組成物は、(a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤、(d)黒色着色料を含む。
本発明における(a)バインダ樹脂としては、ビニル共重合体が好ましく、ビニル共重合体に用いられるビニル単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、メタクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシトリエチレングリコール、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−フルオロエチル、メタクリル酸2−フルオロエチル、アクリル酸2−シアノエチル、メタクリル酸2−シアノエチル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。この他に、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂等が拳げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0007】
また、本発明における、少なくとも一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマーとしては、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマーが好ましく、従来、光重合性多官能モノマとして知られているものを全て用いることができる。この他に、ラジカルにより重合する官能基を有する化合物で、マレイミド樹脂、シトラコンイミド樹脂、ナジイミド樹脂などがあり、2種類以上を混合して使用してもよい。またラジカル重合性化合物は、モノマー、オリゴマーいずれの状態でも使用することができ、モノマーとオリゴマーを混合して用いてもよい。
【0008】
具体的には、一個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル系モノマ(アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、メタクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、メタクリル酸iso−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−フルオロエチル、メタクリル酸2−フルオロエチル、アクリル酸2−シアノエチル、メタクリル酸2−シアノエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシトリエチレングリコール等)、スチレン系モノマ(スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等)、ポリオレフィン系モノマ(ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等)、ビニル系モノマ(塩化ビニル、酢酸ビニル等)、ニトリル系モノマ(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、1−(メタクリロイロキシエトキシカルボニル)−2−(3′−クロロ−2′−ヒドロキシプロポキシカルボニル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0009】
二個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ヘキサプロピレングリコールジアクリレート、ヘキサプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジメタクリレート、ウレタンジアクリレート化合物等が挙げられる。
【0010】
三個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリメタクリレート等が挙げられる。
四個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等が挙げられる。
【0011】
五個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等が挙げられる。
六個の不飽和結合を有する単量体としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。
これらの不飽和結合を有する単量体は、いずれにしても、光照射によりラジカル重合するものであればよく、また、これらの不飽和結合を有する単量体は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0012】
本発明における、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン(ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等)、ベンゾインエーテル(ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等)、ベンゾイン(メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等)、ベンジル誘導体(ベンジルジメチルケタール等)、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、(2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等)、アクリジン誘導体(9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等)などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。本成分の使用量は、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物中の固形分総量の0.01〜25重量%とすることが好ましく、1〜20重量%とすることがより好ましい。
【0013】
本発明における、(d)黒色着色料としては、無機着色料、有機着色料のいずれも使用可能である。例えば、黒色のカーボンブラック、黒鉛、鉄黒、チタンカーボン、二酸化マンガン、銅クロムマンガン酸化物等の無機着色料、有機着色料の混合物等が使用できるが、着色力の点からカーボンブラック又はカーボンブラックとフタロシアニン系の青着色料の組み合わせが好ましい。また表面を樹脂被覆したカーボンブラックやグラフト重合処理したカーボンブラックを使用してもよい。黒色着色料はブラックマトリックスの光学濃度が1.5〜5になる量が使用される。好ましくは遮光性の観点から光学濃度が3〜4になる量がよい。光学濃度が1.5未満では遮光性が低下する傾向があり、光学濃度が5を超えると密着性が低下する傾向がある。
【0014】
本発明の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層における(d)黒色着色料の使用量は、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の固形分総量中、4〜70重量%とすることが好ましく、4〜50重量%とすることがより好ましい。この使用量が4重量%未満では、光学濃度が低くなる傾向があり、また、70重量%を超えると、光感度が低下する傾向がある。
【0015】
有機着色料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、インジゴ系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、メチン・アゾメチン系、イソインドリノン系等が挙げられる。
【0016】
必要に応じプラスチック添加剤として、分子量10000以下の低融点物質を添加してもよい。例えば「プラスチックス配合剤」(遠藤 昭定、須藤 眞編、大成社発行、平成8年11月30日発行)記載の可塑剤や、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層に加熱による流動性やガラス基材との密着性を与えるシラン化合物等が挙げられる。本成分の使用量は、ネガ型組成物中の固形分総量の1〜70重量%とすることが好ましい。
【0017】
以上のネガ型樹脂組成物を必要に応じ適当な溶剤に溶解ないし分散させ、混合する。混合物の溶解成分は、均一な溶液となるまで十分に混合し、常法により濾過され、塗液とする。溶剤は、好ましくは50〜250℃の範囲に沸点を有するものである。そのような溶剤の例として、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等が挙げられる。
【0018】
感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の塗布方法としては、ロールコータ塗布、スピンコータ塗布、スプレー塗布、ディップコータ塗布、カーテンフローコータ塗布、ワイヤバーコータ塗布、グラビアコータ塗布、エアナイフコータ塗布等がある。または、ベースフィルム等に上記の方法で感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を塗布し、基材に転写する。塗布した感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の厚みは、0.1〜1000μmが好ましく、0.1〜100μmがより好ましく、1〜50μmが特に好ましい。塗布する基材としては、ガラス板、クロムやITOなどの無機化合物を成膜したガラス板、シリコン基板、ポリカーボネート系樹脂フィルム、メタアクリル樹脂シート、ポリエチレンテレフタートフィルム、フッ素系樹脂フィルム等のプラスチックなどを用いることができる。
【0019】
塗布した感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層は、40〜150℃で1〜30分間プリベークする。プリベークした感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層は、パターン形成されたマスクを介して、あるいは、直接描画法で活性エネルギー線を照射される。マスクまたは直接描画パターンは、活性エネルギー線遮断部と活性エネルギー線透過部からなる規則的あるいは不規則的な繰り返しパターンを有し、活性エネルギー線遮断部と活性エネルギー線遮断部、又は活性エネルギー線透過部と活性エネルギー線透過部との距離が、1〜50μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。パターン形状は、特に限定されないが、例として、円形、楕円形、円輪形、多角形、曲線、直線、あるいは各形の集合形などがある。
本発明における、活性エネルギー線としては、赤外線、可視光線、紫外線、赤外線より長波長の電磁波、紫外線より短波長の電磁波、レーザー光等を用いることができる。そのようなもののなかで、用いられる樹脂組成の反応性や装置の普及性から紫外線を用いることが好ましい。照射装置としては、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ等が挙げられる。また、活性エネルギー線量は、従来のエッチング工程を含む表面凹凸形成方法の中で照射する紫外線量に比べて少なくて済み、0.01〜1J/cm2が好ましく、0.01〜0.5J/cm2がより好ましく、0.05〜0.1J/cm2が特に好ましい。
【0020】
パターン形成されたマスクを介して、あるいは、直接描画法で活性エネルギー線を照射された感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の膜厚は、活性エネルギー線を照射されていない部分の膜厚に比べ最終的に増加する。活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程の後、後加熱として、50〜250℃の加熱を行うことが好ましく、活性エネルギー線を照射された部分と照射されない部分との膜厚差を顕著にする。さらに必要に応じ、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の凹凸形状保持が必要な箇所すべてを一括して熱硬化や活性エネルギー線照射して、形状を固定する。
【0021】
本発明では、上記のネガ型樹脂組成物層を形成する工程、活性エネルギー線を照射する工程、エッチング操作を行うことなく後加熱する工程により表面に凹凸が形成されたものを得ることができる。
【0022】
本発明では、凹凸形成方法を用いて形成したものを光学フィルムとすることができる。また、この光学フィルムに反射膜を設けて拡散反射板とすることができる。
【0023】
この反射膜としては、反射したい波長領域によって材料を適切に選択すれば良く、例えば反射型LCD表示装置では、可視光波長領域である300nmから800nmにおいて反射率の高い金属、例えばアルミニウムや金、銀等を真空蒸着法またはスパッタリング法等によって形成する。また反射増加膜(光学概論2、辻内順平、朝倉書店、1976年発行)を上記の方法で積層してもよい。屈折率差を利用して反射させる場合、金属単体だけでなく、ITOや五酸化タンタル、酸化チタン等の膜とシリコンやアルミニウム等の酸化膜や窒化膜、酸窒化膜を真空蒸着法またはスパッタリング法等によって積層形成する。反射膜の厚みは、0.01〜50μmが好ましい。また反射膜は、必要な部分だけフォトリソグラフィー法、マスク蒸着法等によりパターン形成してもよい。例えば、反射型LCD表示装置のブラックマトリクスを形成する目的で、マトリクス状あるいはストライプ状に反射膜の無い部分を形成することで、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の遮光性により必然的にブラックマトリクスを形成できる。
【0024】
以上では図5に示す様な反射型液晶ディスプレイで説明したが、本発明の拡散反射板は外部光線を拡散反射させることが必要なデバイスに用いることが出来る。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0025】
【実施例】
(実施例1)
下記の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の塗液をガラス基板上に毎分1100回転で10秒間スピンコートし、ホットプレート上、90℃で4分間加熱し、膜厚6μmの感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を得た。この感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の上に紫外線透過部と紫外線遮光部の境界線が不規則的な曲線でパターニングされたマスクを置き、マスク面垂直上方より0.08J/cm2の紫外線を照射した後、90℃、120℃、140℃、180℃、200℃および230℃で30分間の加熱によりそれぞれ硬化し、スパッタによりAl金属膜0.1μmをそれぞれ成膜したところ、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の紫外線照射部断面が凸、紫外線遮光部断面が凹の凹凸ピッチ10μmの形状を有し、その凹凸段差が0.25、0.25、0.25、0.40、0.58および0.68μmとなる6種類の光学フィルムが得られた。図2および図3に230℃で30分間の加熱により硬化したサンプルの表面凹凸形状の顕微鏡写真と断面の凹凸段差を示す。
(感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の塗液):
ポリマーとしてスチレン、メタクリル酸、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート共重合樹脂を用いた(ポリマーA)。分子量は約70000、酸価は約75である。
ポリマーA 330重量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(モノマー) 175重量部
2−(o−クロロフェニル)−4,5−
ジフェニルイミダゾール二量体(開始剤) 10.0重量部
N,N′−テトラエチル−4,4′−
ジアミノベンゾフェノン(開始剤) 1.5重量部
2−メルカプトベンズイミダゾール(開始剤) 1.0重量部
カーボンブラック(黒色着色料) 30重量部
シリコーン(添加剤) 0.35重量部
2−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(添加剤)41.6重量部
マロン酸(添加剤) 5.0重量部
水(添加剤) 8.9重量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)1244重量部
【0026】
図4には本実施例による拡散反射板の真正面への反射強度(標準白色板に対する相対強度)の入射角度依存性を示す。−15°〜15°の入射角度範囲において、反射強度4を超える優れた拡散反射板を簡便に得ることができた。
【0027】
次に、Al金属膜上にレジストAZ−TFP210K(ヘキスト社製商品名)をスピンコートし90℃のホットプレートで4分乾燥し1.2μmの膜厚を持つレジスト層を形成した。この上に10μmの透過部分ストライプが100μmピッチで刻まれたフォトマスクを重ね、高圧水銀ランプによってH線で60mJの露光後、0.6重量%の水酸化カリウム水溶液に20℃で160秒間浸漬し、レジストを現像した。この段階で、Al金属膜上のレジストは、10μm幅の膜なし溝がピッチ100μmで形成された膜となっている。これを、1.0重量%の水酸化ナトリウム水溶液に20℃で140秒間浸漬しAl金属膜をピッチ100μm、10μm幅のストライプ状になるようエッチング除去した。この時、レジストも同時にエッチングされるが、膜が無くなるまでにはいたらない。次に、アセトンに基板を浸漬し、レジストを剥離し、ストライプ状にAl金属膜の無い拡散反射板を得た。Al金属膜の無い領域は、可視光線の反射が極めて少なく、反射型液晶表示体用の拡散反射板兼ブラックマトリクスとして良好な視認性を得られることを確認した。
【0028】
(比較例1)
実施例1の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の塗液をガラス基板上に毎分1100回転で10秒間スピンコートし、ホットプレート上90℃で4分間加熱し、膜厚6μmの感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を得た。この感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の上に紫外線透過部と紫外線遮光部の境界線が不規則的な曲線でパターニングされたマスクを置き、マスク面垂直上方より0.08J/cm2の紫外線を照射した後、後加熱を行うことなく室温(25℃)で1時間放置したところ、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の表面に表面凹凸段差が観測されなかった。
【0029】
(比較例2)
実施例1の感エネルギー性ネガ型樹脂組成物の塗液をガラス基板上に毎分1100回転で10秒間スピンコートし、ホットプレート上90℃で4分間加熱し、膜厚6μmの感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を得た。この感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の上に紫外線透過部と紫外線遮光部の境界線が不規則的な曲線でパターニングされたマスクを置き、マスク面垂直上方より0.3J/cm2の紫外線を照射した後、後加熱を行うことなく室温(25℃)で1時間放置したところ、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の表面に表面凹凸段差が観測されなかった。
実施例では,反射特性に極めて優れた表面凹凸が形成されるが,後加熱する工程のない比較例では、表面凹凸段差が生じなかった。
【0030】
【発明の効果】
本発明により、簡便にかつ安価に可視光線を遮断する機能を付与した樹脂表面凹凸形状を形成できる方法及びそれを用いた拡散反射板、光学フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の拡散反射板の製造例を示す断面図。
【図2】実施例1の光学フィルムの表面凹凸形状の顕微鏡写真。
【図3】ライン状のパターンが形成されたマスクを用いた時に得られる表面凹凸形状をレーザー顕微鏡で測定して得られた断面凹凸段差を示す図。
【図4】実施例1の拡散反射板の反射光量の出射角依存性を示す図。
【図5】反射型液晶ディスプレイの一例を示す断面図。
【符号の説明】
1.感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層
2.ガラス基板
3.反射膜
4.フォトマスク
5.カラーフィルタ
6.ブラックマトリクス(感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層が兼ねる)
7.透明電極
8.平坦化膜
9.配向膜
10.液晶層
11.スペーサ
12.位相差フィルム
13.偏光板
Claims (9)
- (a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤、(d)黒色着色料を含む、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を形成する工程、パターン形成されたマスクを介して活性エネルギー線を少なくとも一回以上照射する工程、エッチング操作を行うことなく後加熱する工程を含む表面凹凸形成方法。
- (a)バインダ樹脂、(b)エチレン性不飽和基を少なくとも一つ以上有する一種類以上の重合可能なモノマー又はオリゴマー、(c)活性エネルギー線の照射により遊離ラジカルを生成する重合開始剤、(d)黒色着色料を含む、感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層を形成する工程、活性エネルギー線によりパターンを直接描画する工程、エッチング操作を行うことなく後加熱する工程を含む表面凹凸形成方法。
- 感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層の光学濃度(OD値)が1.5〜5となるように(d)黒色着色料を含む請求項1または請求項2に記載の表面凹凸形成方法。
- パターンが、活性エネルギー線遮断部と活性エネルギー線透過部からなる規則的あるいは不規則的な繰り返しパターンを有し、活性エネルギー線遮断部と活性エネルギー線遮断部又は活性エネルギー線透過部と活性エネルギー線透過部との距離が、1〜50μmである請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の表面凹凸形成方法。
- 後加熱が、50〜250℃の加熱である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の表面凹凸形成方法。
- 活性エネルギー線が紫外光線である請求項1または請求項2に記載の凹凸形成方法。
- 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の凹凸形成方法を用いて形成された光学フィルム。
- 請求項7に記載の光学フィルムの一部または全面に反射膜を設けた拡散反射板。
- 請求項8に記載の拡散反射板を反射型液晶ディスプレイに用いたことを特徴とする反射型液晶ディスプレイ用拡散反射板。
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---|---|---|---|
JP2002190512A JP2004035593A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 表面凹凸形成方法、それにより得られる光学フィルム及び拡散反射板並びに拡散反射板の製造方法 |
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JP (1) | JP2004035593A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006048940A1 (ja) * | 2004-11-05 | 2006-05-11 | Murakami Corporation | 防眩・防曇素子及び自動車用ミラー |
CN100434996C (zh) * | 2005-02-14 | 2008-11-19 | Nec液晶技术株式会社 | 液晶显示器中的反射器及其制造方法 |
JP2016222820A (ja) * | 2015-06-01 | 2016-12-28 | 株式会社リコー | 活性エネルギー線硬化型組成物 |
-
2002
- 2002-06-28 JP JP2002190512A patent/JP2004035593A/ja active Pending
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CN100434996C (zh) * | 2005-02-14 | 2008-11-19 | Nec液晶技术株式会社 | 液晶显示器中的反射器及其制造方法 |
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