JP2004198827A - 電子写真現像用樹脂コートキャリアとその製造方法およびそれを用いた電子写真現像剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重量平均分子量3000〜20000の樹脂と重量平均分子量500〜2000の樹脂を用意し、芯材の磁性体粒子量に対して樹脂総量が重量比で1.5〜2.5%の範囲として溶剤で希釈して磁性体粒子を被覆したのち200〜300℃の温度で1〜3時間の加熱処理をして樹脂を熱硬化させることにより磁性体粒子の全表面が樹脂で被覆された電子写真現像用樹脂コートキャリアを得る。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソフトフェライト等の軟磁性体粒子表面に樹脂コーティングが施された電子写真現像用キャリアとその製造方法およびそれを用いた電子写真現像剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、二成分系電子写真現像剤における粉体トナーは、合成樹脂、顔料、帯電制御剤等を原料とした有色微粒子であって、フェライト粒子等のキャリアとの摩擦帯電により正極性または負極性に帯電する。キャリアは摩擦帯電を行うと同時にキャリア表面にトナーを付着させ、感光ドラム上の静電潜像表面にこのトナーを供給する。
【0003】
このようなトナーとキャリアとからなる二成分系電子写真現像剤に用いられる電子写真現像用のキャリアには、磁気特性、摩擦帯電性、耐久性、流動性等の種々の特性が要求され、特にトナーがキャリア表面に融着する現象(スペント化)を阻止するためにキャリア表面には樹脂コーティングが施されている。さらに、樹脂コートキャリアとしてはこのようなスペント化の防止を長期にわたって維持できること、および、樹脂被覆層が有している摩擦帯電性(帯電特性)に変化を来さないことが肝要とされている。
【0004】
近年、種々開発されるようになったフルカラーのカラーコピー用複写機またはプリンタ、ファクスに対しては、カラートナーがキャリアと共に電子写真現像剤として使用されることとなったが、このカラートナーは、透光性を維持するため、従来モノクロトナー用に使用していた有色顔料を帯電制御剤として使用することができなくなったことにより、トナーとしての充分な摩擦帯電付与能力を保持できなくなり、キャリアにはより一層高い帯電付与能力が要求されてきている状況にある。
【0005】
キャリアの帯電付与能力の向上については、色々な改善がなされてきたが、トナーがキャリア表面に融着するのを防止すべく、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを併用して磁性体粒子の表面の凹部(溝)に樹脂を埋め込むと共に凹部以外の部分でも0.1〜60%の部分被覆をすることによりキャリアの高い帯電付与能力を達成しようとするものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−44118号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フルカラーのカラーコピー用複写機またはプリンタ、ファクスでは、高画質を実現するために現像システムで交流バイアスを印加するなどの工夫がなされており、上記の特許文献1記載の凹部の溝コートおよび部分被覆のキャリアでは、樹脂被覆層の薄い凸部の部分、または樹脂被覆層の無い部分が低抵抗部となり、キャリア飛びまたは電荷のリークによりホワイトスポットが発生し、画質を劣化させることになるという問題があった。
【0008】
上記の問題点に鑑み、本発明の目的は、良好な摩擦帯電量を確保し、キャリア表面上におけるコア材(芯材、すなわち、磁性体粒子)の一部露出によるキャリア飛び、電荷リークによる画像内のホワイトスポット等が生ぜず、カラーコピー用電子写真現像においても好適に使用できるキャリアを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、樹脂の部分被覆によるキャリア飛び、ホワイトスポット発生等の不具合を解消するためには、磁性体粒子の表面全体が樹脂により被覆された全面被覆キャリアが必要であり、現像工程の感光ドラムと接する部分での電荷のリークを最小限に抑えるために、表面の絶縁性を向上したキャリアの製造を行う方法で樹脂の種類および被覆条件等の設定が必要であることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、第1に、磁性体粒子の表面がゲル浸透クロマトグラフィーによる重量平均分子量の異なる2種以上の樹脂を含む被覆層で被覆されてなることを特徴とする電子写真現像用樹脂コートキャリアを、第2に、磁性体粒子の表面がゲル浸透クロマトグラフィーによる重量平均分子量3000〜20000の高分子量樹脂と重量平均分子量500〜2000の低分子量樹脂を含む被覆層で被覆されてなることを特徴とする電子写真現像用樹脂コートキャリアを、第3に、前記樹脂が熱硬化性樹脂である、第1または2に記載の電子写真現像用樹脂コートキャリアを、第4に、前記磁性体粒子の全表面が前記被覆層で被覆されてなる、第1〜3のいずれかに記載の電子写真現像用樹脂コートキャリアを、第5に、前記磁性体粒子に対する前記樹脂総量の重量比が1.5〜2.5%であり、該樹脂の混合重量比が前記高分子量樹脂:前記低分子量樹脂=9:1〜3:7である、第2〜4のいずれかに記載の電子写真現像用樹脂コートキャリアを、第6に、見掛密度が2.10〜2.55g/cm3である、第1〜5のいずれかに記載の電子写真現像用樹脂コートキャリアを、第7に、流動度が24.0sec/50g以下である、第1〜6のいずれかに記載の電子写真現像用樹脂コートキャリアを、第8に、ゲル浸透クロマトグラフィーによる重量平均分子量の異なる2種以上の樹脂を溶剤で希釈して磁性体粒子の表面を被覆した後、加熱処理し該樹脂を熱硬化させることを特徴とする電子写真現像用樹脂コートキャリアの製造方法を、第9に、ゲル浸透クロマトグラフィーによる重量平均分子量3000〜20000の高分子量樹脂と重量平均分子量500〜2000の低分子量樹脂を溶剤で希釈して磁性体粒子の表面を被覆した後、加熱処理し該樹脂を熱硬化させることを特徴とする電子写真現像用樹脂コートキャリアの製造方法を、第10に、前記磁性体粒子に対する前記樹脂総量の重量比を1.5〜2.5%とする、第8または9に記載の電子写真現像用樹脂コートキャリアの製造方法を、第11に、第1〜7のいずれかに記載の電子写真現像用樹脂コートキャリアとトナーとの二成分系からなることを特徴とする電子写真現像剤を、さらに第12に、前記トナーがカラートナーである、第11記載の電子写真現像剤を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂コートキャリアは、次のようにして製造することができる。
原料調合を行った混合粉を基に製造された球状の磁性体粒子を芯材(コア)として用意する一方で、ゲル浸透クロマトグラフィーによる重量平均分子量(単に、分子量ということがある。)が3000〜20000の高分子量の樹脂と重量平均分子量が500〜2000の低分子量の樹脂との比率を9:1〜3:7とした混合樹脂を芯材重量に対して総量重量比が1.5〜2.5%になるように調製し、それをトルエン等溶剤により希釈する。次いで、加熱式撹拌機を用い、この希釈混合溶液を前記球状磁性体粒子と共に加熱撹拌して前記溶剤を除去することにより、樹脂コートされた磁性体粒子を得ることができる。この樹脂コート磁性体粒子をさらに200〜300℃の温度で1〜3時間熱処理して樹脂を熱硬化させることにより、球状の磁性体粒子の全表面が被覆された電子写真現像用の樹脂コートキャリアを得ることができる。
【0012】
芯材の磁性体粒子としては、好ましくは軟磁性体、さらに好ましくは軟磁性フェライト(ソフトフェライト)、例えばマンガンフェライト、亜鉛フェライト、マンガン亜鉛フェライト、銅フェライト等任意の軟磁性体を用いることができる。
芯材の磁性体粒子においては、原料粉の混合、粉砕、造粒、熱処理、整粒処理等を経由し、好ましくは、平均粒径を50〜60μmとし、見掛け密度を2〜3g/cm3とすることにより樹脂被覆でき、さらに樹脂コートキャリアとして必要な流動性を確保することができる。また、本発明における熱硬化性樹脂としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、メラニン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、ベンゾアナミン樹脂などを用いることができ、後述の実施例においては上記の樹脂のなかでもより好適な樹脂であるシリコーン樹脂およびアクリル樹脂を用いる。
【0013】
本発明においては、低い分子量側の樹脂は高い分子量側の樹脂に対する帯電制御剤としての機能を有し、従来の有色顔料に相当する機能を果たす。
樹脂被覆における熱硬化性樹脂については、前記重量平均分子量が3000〜20000の比較的高い分子量の樹脂に前記重量平均分子量が500〜2000の比較的低い分子量の樹脂を組み合わせることにより、両樹脂には、硬化に際して時間差と熱膨張差があり、低分子量の樹脂がその可使時間(ポットライフ)を生かして高分子量の樹脂の局部的な凝集を抑制し、また流動性を向上させるように作用し、連続被覆性を維持し、強固で薄くかつ均一で適度な抵抗値を保持する樹脂被覆層を芯材の磁性体粒子の全表面に形成させることができる。
【0014】
上記の高い分子量側の樹脂の重量平均分子量が20000を越え、低い分子量側の樹脂の重量平均分子量が500を下回ると、加熱処理による熱硬化の際に硬化皮膜の連続被覆を維持するのが難しくなり、高い分子量側の樹脂の重量平均分子量が3000を下回り、低い分子量側の樹脂の重量平均分子量が2000を越えると、両樹脂の凝集が制御し難くなり、樹脂の薄くかつ均一な全面被覆が難しくなる。
【0015】
また、このような薄く、かつ適度の抵抗性を保持する全表面被覆を得るためには、高い分子量側の樹脂と低い分子量側の樹脂との混合比を9:1〜3:7の範囲で組み合わせることが好ましく、上記の高い分子量側の熱硬化性樹脂単独では芯材に対する全表面被覆が困難になり、また、上記の低い分子量側の樹脂比率が多い、もしくは単独では抵抗値が高くなる。また、芯材に対する樹脂の総量は重量比で1.5〜2.5%とすることが好ましく、この比率を上回ると必要以上に抵抗値を増し、この比率を下回ると抵抗値が必要以上に低下し、適度の帯電性が保持できなくなる。
【0016】
樹脂コートキャリアの見掛密度は2.10〜2.55g/cm3が好ましく、良好な流動度と被覆性を保持することができる。見掛密度が2.10g/cm3より小さいと被覆性は良好であるが流動度が悪く、2.55g/cm3より大きいと流動度は良好であるが被覆性に問題が生じる。
また、樹脂コートキャリアの流動度は24.0sec/50g以下が好ましく、この場合にトナーとの混合性が良好となり、帯電の立ち上がりが早く、適正な帯電特性を保持し、高画像を維持することができる。
【0017】
樹脂コートキャリアは、トナーと撹拌混合して二成分系現像剤とする。この場合に本発明の樹脂コートキャリアは、通常用いられるトナーとは勿論、特にプリンターに用いる場合のカラートナーとの相性が良い。
また、本発明の樹脂コートキャリアは、球状の磁性体粒子の全表面が被覆されるので、抵抗の不均一がなく、キャリア飛びまたは感光ドラムとの接触部における電荷のリークによるホワイトスポットの発生もない。また、樹脂被覆本来の目的であるスペント化の防止を長期にわたって維持でき、樹脂被覆層が有する帯電特性に変化を来すことなく高画質を維持することができる。
【0018】
次に、本発明における各測定は以下のとおりである。
まず、樹脂のゲル浸透クロマトグラフィーによる重量平均分子量の測定は次のとおりに行う。すなわち、
(1)移動相として有機溶媒をポンプで送液する。
(2)採取した樹脂試料を試料注入装置によって上記の送液された移動相中に注入して所定濃度とし、固定相が充填された恒温分離カラム中に通液する。
(3)上記の分離カラムを通過した液を示差屈折率検出器で分析・記録し、クロマトグラムを作成する。
(4)上記のクロマトグラムから、校正曲線を用いて分子量分布曲線を求める。
(5)上記の分子量分布曲線から重量平均分子量を算出する。
【0019】
キャリアの見掛密度の測定はJIS規格に準じ次のとおりに行う。すなわち、
(1)採取したキャリア試料をよく混合した後、30〜60g秤量する。
(2)上記の試料を、所定形状のオリフィス付き漏斗を介して、所定形状のコップに装入した後、ヘラでコップの上端に沿って平らにかきとる。
(3)上記コップ内の試料の重量を0.1gの単位で秤量する。
(4)得られた秤量値から見掛密度(g/cm3)を算出する。
【0020】
キャリアの流動度の測定はJIS規格に準じ次のとおりに行う。すなわち、
(1)採取したキャリア試料をよく混合した後、電子天秤で50g秤量する。
(2)所定形状のオリフィス付き漏斗を垂直に設置する。
(3)上記のオリフィスの底を塞いだ漏斗内に上記の50gの試料を装入する。
(4)上記のオリフィスの底を開くと同時にストップウオッチによって測定を開始し、最後の粉末がオリフィスを離れる瞬間までの秒数を0.1秒の単位で測定する。
【0021】
キャリアの平均粒径の測定はマイクロトラック(LEEDS & NORTHRUP製、Type 7995)を用いて行う。
【0022】
キャリアの静電気抵抗の測定は次のとおりに行う。すなわち、
(1)採取したキャリア試料をよく混合した後、電子天秤で0.20g秤量する。
(2)上記の試料をブリッジ式電気抵抗測定回路内の対面電極型セル(同和鉄粉工業製)のギャップ間に充填し、上記の両対面電極の外側にセットした磁石を前後に5回往復させる。
(3)絶縁抵抗計(東亜電波工業製、SM−5E)を用いて所定電圧を印加し1分後の電気抵抗値を測定する。
【0023】
現像剤の測定用試料の調製は次のとおりに行う。すなわち、
(1)キャリア、トナーを電子天秤でそれぞれ9.5g、0.5g秤量する。
(2)ポリ容器に上記のキャリア、トナーを装入し、10回ハンドシェイクして混合する。
(3)ポットミル(同和鉄粉工業製)に上記のポリ容器をのせ、100rpmで30分間回転させて混合することにより、現像剤の測定用試料を調製する。
【0024】
現像剤の帯電量の測定は次のとおりに行う。すなわち、
(1)吸引式帯電量測定装置(三京パイオテク製、STC−1−C1型)のセルに500meshの金網をセットする。
(2)上記の調製した測定用現像剤の試料0.5gを上記のセルに装入し、セル全体の重量を秤量する。
(3)上記の装置において吸引圧9.0KPaで60秒間セルの吸引を行う。
(4)吸引後に上記の装置のデジタルエレクトロメーターの電荷値を読み取る。
(5)吸引後にセル全体の重量を秤量し、吸引による試料の減少量を算出する。
(6)上記の電荷値と減少量とから現像剤の帯電量を算出する。
【0025】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに具体的に示すが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0026】
〔実施例1〕 キャリア芯材がMnO・Fe2O3で示されるマンガンフェライト組成になるように、Mn源としてのMnCO3粉および鉄源としてのFe2O3粉をそれぞれ混合して原料調合を行い、混合粉を得た。
この混合粉を900℃設定の加熱炉で3時間大気雰囲気下で仮焼し、得られた仮焼品を冷却後、振動ミルで粉砕してほぼ1μm径の粉体とした。この粉体を乾燥し、さらにその乾燥粉に対して1重量%の割合で分散剤(商品名:サンノブコSNディスパーサント5468)を水と共に加えて濃度が70%のスラリーとした。このスラリーを湿式ボールミルに装填して湿式粉砕し、得られた懸濁液をスプレードライヤに供給し、平均粒径約70μmの造粒品を得た。
この造粒品を焼成炉に装填し、窒素ガス中で酸素濃度をほぼ2.0容量%に調整したガス中で1150℃で5時間焼成した。得られた焼成品を解砕機で粉砕した後、篩い分けして粒径が約50μmに揃った球形の磁性体粒子を得た。
【0027】
上記の磁性体粒子を芯材とし、重量平均分子量が約5000のシリコーン樹脂(商品名:SH−804:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)および重量平均分子量が約1000のシリコーン樹脂(商品名:SR−2402:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)の混合比率を6:4とし、コア重量に対する樹脂総コート量の重量が2.0%となるように調製する。
前記混合比により混合した樹脂を撹拌混合しながらトルエンにより希釈し、加熱式撹拌機を使用して加熱撹拌を行い、トルエンを除去すると共に磁性体粒子全表面に樹脂を被覆した。
次いで、樹脂で被覆された磁性体粒子を、熱風循環式オーブン中にて250℃で2時間の加熱処理を行い、樹脂コートキャリアを得た。
【0028】
得られた樹脂コートキャリアについて被覆状態を観察し、また、粉体特性すなわち見掛密度、流動度、平均粒径、および静電気抵抗を測定した。また、この樹脂コートキャリアとカラートナーとの現像剤により、カラープリンター(商品名:DP−CL16改造機)を用いて、プロセス速度100mm/sでプリントアウトを行い、複写画像特性すなわちその帯電量、カブリ濃度、キャリア飛びとホワイトスポットの有無および画質について判定を行った。得られた結果を表1に示した。
なお、表1中の○は良好、△はやや良好、×は不良を示す。
【0029】
【表1】
【0030】
〔実施例2〕 実施例1と同様の工程にて得られた磁性体粒子を芯材とし、重量平均分子量が約10000のシリコーン樹脂(商品名:KR−350:信越化学工業株式会社製)および重量平均分子量が約1000のシリコーン樹脂(商品名:SR−2402:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)の混合比率を6:4とし、コア総量に対する樹脂総コート量の重量比が2.0%となるように調製し、以下、実施例1と同様に行ない、樹脂コートキャリアを得た。キャリアの粉体特性および複写画像特性の測定、判定結果についてそれぞれ表1に示した。
【0031】
〔実施例3〕 実施例1と同様の工程にて得られた磁性体粒子を芯材とし、重量平均分子量が約5000のシリコーン樹脂(商品名:SH−804:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)および重量平均分子量が約1000のシリコーン樹脂(商品名:SR−2402:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)の混合比率を9:1とし、コア総量に対する樹脂総コート量の重量比が2.0%となるように調製し、以下、実施例1と同様に行ない、樹脂コートキャリアを得た。キャリアの粉体特性および複写画像特性の測定、判定結果についてそれぞれ表1に示した。
【0032】
〔実施例4〕 実施例1と同様の工程にて得られた磁性体粒子を芯材とし、重量平均分子量が約5000のシリコーン樹脂(商品名:SH−804:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)および重量平均分子量が約1000のシリコーン樹脂(商品名:SR−2402:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)の混合比率を3:7とし、コア量に対する樹脂総コート量の重量比が2.0%となるように調製し、以下、実施例1と同様に行ない、樹脂コートキャリアを得た。キャリアの粉体特性および複写画像特性の測定、判定結果についてそれぞれ表1に示した。
【0033】
〔実施例5〕 実施例1と同様の工程にて得られた磁性体粒子を芯材とし、重量平均分子量が約5000のシリコーン樹脂(商品名:SH−804:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)および重量平均分子量が約1000のシリコーン樹脂(商品名:SR−2402:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)の混合比率を6:4とし、コア総量に対する樹脂総コート量の重量比が1.5%となるように調製し、以下、実施例1と同様に行ない、樹脂コートキャリアを得た。キャリアの粉体特性および複写画像特性の測定、判定結果についてそれぞれ表1に示した。
【0034】
〔実施例6〕 実施例1と同様の工程にて得られた磁性体粒子を芯材とし、重量平均分子量が約5000のシリコーン樹脂(商品名:SH−804:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)および重量平均分子量が約1000のシリコーン樹脂(商品名:SR−2402:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)の混合比率を6:4とし、コア総量に対する樹脂総コート量の重量比が2.5%となるように調製し、以下、実施例1と同様に行ない、樹脂コートキャリアを得た。キャリアの粉体特性および複写画像特性の測定、判定結果についてそれぞれ表1に示した。
【0035】
〔実施例7〕 実施例1と同様の工程にて得られた磁性体粒子を芯材とし、重量平均分子量が約18000のアクリル樹脂(商品名:S−3103:東亜合成化学株式会社製)および重量平均分子量が約1000のシリコーン樹脂(商品名:SR−2402:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)の混合比率を6:4とし、コア総量に対する樹脂コート総量の重量比が2.0%となるように調製し、以下実施例1と同様に行ない、樹脂コートキャリアを得た。キャリアの粉体特性および複写画像特性の測定、判定結果について、それぞれ表1に示した。
【0036】
〔比較例1〕 実施例1と同様の工程にて得られた磁性体粒子を芯材とし、重量平均分子量が約10000のシリコーン樹脂(商品名:KR−350:信越化学工業株式会社製)および重量平均分子量が約5000のシリコーン樹脂(商品名:SH−804:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)の混合比率を6:4とし、コア総量に対する樹脂コート総量の重量比が2.0%となるように調製し、以下実施例1と同様に行ない、樹脂コートキャリアを得た。キャリアの粉体特性および複写画像特性の測定、判定結果についてそれぞれ表1に示した。
【0037】
〔比較例2〕 実施例1と同様の工程にて得られた磁性体粒子を芯材とし、重量平均分子量が約1000のシリコーン樹脂(商品名:SR−2402:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)および重量平均分子量が約600のシリコーン樹脂(商品名:KR219:信越化学工業株式会社製)の混合比率を6:4とし、コア総量に対する樹脂コート総量の重量比が2.0%となるように調製し、以下実施例1と同様に行ない、樹脂コートキャリアを得た。キャリアの粉体特性および複写画像特性の測定、判定結果についてそれぞれ表1に示した。
【0038】
〔比較例3〕 実施例1と同様の工程にて得られた磁性体粒子を芯材とし、重量平均分子量が約25000のシリコーン樹脂(商品名:SH−806A:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)および重量平均分子量が約600のシリコーン樹脂(商品名:KR219:信越化学工業株式会社製)の混合比率を6:4とし、コア量に対する樹脂コート総量の重量比が2.0%となるように調製し、以下実施例1と同様に行ない、樹脂コートキャリアを得た。キャリアの粉体特性および複写画像特性の測定、判定結果についてそれぞれ表1に示した。
【0039】
〔比較例4〕 実施例1と同様の工程にて得られた磁性体粒子を芯材とし、重量平均分子量が約10000のシリコーン樹脂(商品名:KR−350:信越化学工業株式会社製)および重量平均分子量が約1000のシリコーン樹脂(商品名:SR−2402:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)の混合比率を1:9とし、コア量に対する樹脂総コート量の重量が2.0%となるように調製し、以下実施例1と同様に行ない、樹脂コートキャリアを得た。キャリアの粉体特性および複写画像特性の測定、判定結果についてそれぞれ表1に示した。
【0040】
〔比較例5〕 実施例1と同様の工程にて得られた磁性体粒子を芯材とし、重量平均分子量が約10000のシリコーン樹脂(商品名:KR−350:信越化学工業株式会社製)および重量平均分子量が約10000のシリコーン樹脂(商品名:SR−2411:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)の混合比率を6:4とし、コア量に対する樹脂総コート量の重量比が2.0%となるように調製し、以下実施例1と同様に行ない、樹脂コートキャリアを得た。キャリアの粉体特性および複写画像特性の測定、判定結果についてそれぞれ表1に示した。
【0041】
〔比較例6〕 実施例1と同様の工程にて得られた磁性体粒子を芯材とし、重量平均分子量が約10000のシリコーン樹脂(商品名:KR−350:信越化学工業株式会社製)および重量平均分子量が約1000のシリコーン樹脂(商品名:SR−2402:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)の混合比率を6:4とし、コア量に対する樹脂総コート量の重量比が3.0%となるように調製し、以下実施例1と同様に行ない、樹脂コートキャリアを得た。キャリアの粉体特性および複写画像特性の測定、判定結果についてそれぞれ表1に示した。
【0042】
〔比較例7〕 実施例1と同様の工程にて得られた磁性体粒子を芯材とし、重量平均分子量が約10000のシリコーン樹脂(商品名:KR−350:信越化学工業株式会社製)および重量平均分子量が約1000のシリコーン樹脂(商品名:SR−2402:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)の混合比率を6:4とし、コア量に対する樹脂総コート量の重量比が1.0%となるように調製し、以下実施例1と同様に行ない、樹脂コートキャリアを得た。キャリアの粉体特性および複写画像特性の測定、判定結果についてそれぞれ表1に示した。
【0043】
〔比較例8〕 実施例1と同様の工程にて得られた磁性体粒子を芯材とし、重量平均分子量が約18000のアクリル樹脂(商品名:S−3103:東亜合成化学株式会社製)および重量平均分子量が約10000のシリコーン樹脂(商品名:KR−350:信越化学工業株式会社製)の混合比率を6:4とし、コア総量に対する樹脂コート総量の重量比が2.0%となるように調製し、以下実施例1と同様に行ない、樹脂コートキャリアを得た。キャリアの粉体特性および複写画像特性の測定、判定結果についてそれぞれ表1に示した。
【0044】
表1に示したように、実施例における重量平均分子量5000〜18000の樹脂と重量平均分子量1000の樹脂による樹脂コートキャリアは、コア量に対する樹脂コート総量の重量比および樹脂混合比により抵抗値の変化を示したが、この樹脂コートキャリアの被覆性は良好で、カブリ、キャリア飛びおよびホワイトスポットの発生がなく、画質も良好であり、トナーの帯電量が小さくてトナーの付着量が多い場合にみられるトナーの飛散やカブリ現象も見られなかった。
【0045】
比較例1、2および3における重量平均分子量が5000以上の高い分子量同士、1000以下の低い分子量同士、または、高い側の重量平均分子量が20000を超える樹脂を使用した樹脂コートキャリアの場合、被覆状態においては完全被覆されておらず、部分的に抵抗値の差が生じる為、画像特性においてキャリア飛びおよびホワイトスポットが発生し、画質も十分でなかった。
【0046】
比較例4における樹脂比率の範囲外の樹脂コートキャリアの場合、分子量が高い側の樹脂の量が極端に少なくなり、樹脂同士の相乗効果が十分働かなかった為、被覆状態は不完全となり、画像特性においてキャリア飛びおよびホワイトスポットが発生し、画質も十分でなかった。
【0047】
比較例5における重量平均分子量が10000以上の樹脂同士を使用した樹脂コートキャリアの場合、過剰コート状態となった為、流動度は悪くなり、被覆状態は表面被覆樹脂層に均一性がなくキャリア表面抵抗の差が大きくなり、画像特性においてキャリア飛びおよびホワイトスポットが発生し、画質も十分でなかった。
【0048】
比較例6および7における総コート量の範囲外の樹脂コートキャリアの場合、上限コート量2.5%を上回ったもの(比較例6)は、比較例5と同様に表面の被覆性が悪く、下限コート量1.5%を下回ったもの(比較例7)は完全被覆とならず、画像特性においてキャリア飛びおよびホワイトスポットが発生した。
【0049】
比較例8における、重量平均分子量が18000のアクリル樹脂に重量平均分子量が10000のシリコーン樹脂を混合した樹脂コートキャリアの場合においても、比較例5と同様に過剰コート状態となり、画像特性においてキャリア飛びおよびホワイトスポットが発生した。
【0050】
また、実施例1において得られた樹脂コートキャリアは、図1の電子顕微鏡写真に見られるように、全表面が凹凸差の少ない均一な良好な樹脂被覆性を示していた。
比較例1において得られた樹脂コートキャリアは、図2の電子顕微鏡写真に見られるように、凸部が多く不均質な皮膜状態を示していた。
比較例3および比較例7において得られた樹脂コートキャリアは、それぞれ図3および図4の電子顕微鏡写真に見られるように、凹部が顕著に残り、樹脂皮膜の分断性が著しい部分皮膜状態を示していた。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明の樹脂コートキャリアは、全表面被覆であって抵抗の不均一がなく、流動性およびトナーとの混合性に優れて帯電の立ち上がりが早く、現像に際してキャリア飛びまたは感光ドラムとの接触部における電荷のリークによるホワイトスポットの発生もなく、また、樹脂被覆本来の目的であるスペント化の防止を長期にわたって維持でき、樹脂被覆層が有する帯電特性に変化を来すことなく高画像を維持できる。また、全表面被覆でありながら、流動性が良好でありトナーとの帯電の立ち上がりがはやく、適正な帯電特性を保持し高画質を維持できるという効果を奏する。さらに、有色顔料を有しないのでフルカラーのカラー現像剤に好適に使用できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1によって得られた樹脂コートキャリアの電子顕微鏡写真
【図2】比較例1によって得られた樹脂コートキャリアの電子顕微鏡写真
【図3】比較例3によって得られた樹脂コートキャリアの電子顕微鏡写真
【図4】比較例7によって得られた樹脂コートキャリアの電子顕微鏡写真
Claims (12)
- 磁性体粒子の表面がゲル浸透クロマトグラフィーによる重量平均分子量の異なる2種以上の樹脂を含む被覆層で被覆されてなることを特徴とする電子写真現像用樹脂コートキャリア。
- 磁性体粒子の表面がゲル浸透クロマトグラフィーによる重量平均分子量3000〜20000の高分子量樹脂と重量平均分子量500〜2000の低分子量樹脂を含む被覆層で被覆されてなることを特徴とする電子写真現像用樹脂コートキャリア。
- 前記樹脂が熱硬化性樹脂である、請求項1または2に記載の電子写真現像用樹脂コートキャリア。
- 前記磁性体粒子の全表面が前記被覆層で被覆されてなる、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真現像用樹脂コートキャリア。
- 前記磁性体粒子に対する前記樹脂総量の重量比が1.5〜2.5%であり、該樹脂の混合重量比が前記高分子量樹脂:前記低分子量樹脂=9:1〜3:7である、請求項2〜4のいずれかに記載の電子写真現像用樹脂コートキャリア。
- 見掛密度が2.10〜2.55g/cm3である、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真現像用樹脂コートキャリア。
- 流動度が24.0sec/50g以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真現像用樹脂コートキャリア。
- ゲル浸透クロマトグラフィーによる重量平均分子量の異なる2種以上の樹脂を溶剤で希釈して磁性体粒子の表面を被覆した後、加熱処理し該樹脂を熱硬化させることを特徴とする電子写真現像用樹脂コートキャリアの製造方法。
- ゲル浸透クロマトグラフィーによる重量平均分子量3000〜20000の高分子量樹脂と重量平均分子量500〜2000の低分子量樹脂を溶剤で希釈して磁性体粒子の表面を被覆した後、加熱処理し該樹脂を熱硬化させることを特徴とする電子写真現像用樹脂コートキャリアの製造方法。
- 前記磁性体粒子に対する前記樹脂総量の重量比を1.5〜2.5%とする、請求項8または9に記載の電子写真現像用樹脂コートキャリアの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真現像用樹脂コートキャリアとトナーとの二成分系からなることを特徴とする電子写真現像剤。
- 前記トナーがカラートナーである、請求項11記載の電子写真現像剤。
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