JP2004198284A - 超音波送受波器および超音波流量計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧電体9を内設したケース7のフランジ10に端子板11の外周を溶接固定する。この端子板11には外部電極端子部12,13が配置してある。一方の外部電極端子部13の導電体14は圧電体9の下方電極面に圧接している。ケース7におけるフランジ10の基端部分と端子板11の外周部との間には遊び空間Sが存在している。したがって、この遊び空間Sの範囲でフランジ10の基端部分を変形してケース7の高さを実質的に調整し、圧電体9に対する導電体14の圧接力を調整できる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波パルスの送受信を行う超音波送受波器およびこの超音波送受波器を用いて気体や液体の流量の計測を行う超音波流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の超音波送受波器は図4に示すような構成であった。すなわち、キャップ状の導電性ケース21には圧電体22が内設してある。
【0003】
そしてケース21の頂壁下面には前記圧電体22の上方電極面が接着などの手段で電気的に固定され、一方、頂壁上面には音響整合層23が取着してある。
【0004】
キャップ状のケース21の下方開放部は、そのフランジ24に溶接などの手段で固定された端子板25で閉塞されており、この端子板25に第1,第2外部電極端子部26,27が配備されている。
【0005】
第1外部電極端子部26は端子板25と電気的に接続される。一方、第2外部電極端子部27は電気絶縁材28を介して端子板25に保持された径大部29と、弾性を有する導電体30とからなる。
【0006】
つまり、この第2外部電極端子部27は圧電体22の下方電極面と端子板25とで挟持された状態としてある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−50785号公報(第3−6頁、第8図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のにおいては、第2外部電極端子部27と圧電体22との挟持力、換言すれば、圧電体22に対する第2外部電極端子部27の圧接力は、ケース21と端子板25との寸法によって一義的に決定されるものであった。
【0009】
したがって、圧電体22に対する第2外部電極端子部27の圧接力、すなわち接触抵抗にバラツキが生起しやすく、超音波送受波器としての性能に不安定要素を発生する課題があった。
【0010】
本発明はこのような従来の課題を解決するもので、超音波送受波器としての性能の安定化を図り、計測精度の高い超音波流量計を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明は、1対の電極面を有する圧電体と、前記圧電体を内包し、一方の電極面と電気的に接続されるケースと、このケースに電気的に接続されるとともに、第1,第2の外部電極端子部を配置した端子板とを具備し、前記第1の外部電極端子部は端子板に接続され、第2の外部電極端子部は圧電体と端子板との間に挟持されて前記圧電体の他方の電極面に接続されており、さらに第2の外部電極端子部を保持する圧電体と端子板との間の挟持力を調整する調整手段を設け、第2の外部電極端子部を圧電体と端子板との間で安定的に挟持できるようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、1対の電極面を有する圧電体と、前記圧電体を内包し、一方の電極面と電気的に接続されるケースと、このケースに電気的に接続されるとともに、第1,第2の外部電極端子部を配置した端子板とを具備し、前記第1の外部電極端子部は端子板に接続され、第2の外部電極端子部は圧電体と端子板との間に挟持されて前記圧電体の他方の電極面に接続されており、さらに第2の外部電極端子部を保持する圧電体と端子板との間の挟持力を調整する調整手段を設けた。
【0013】
調整手段としては、ケースと端子板との固定部に遊び空間を設定したものが考えられ、この遊び間隔を可変することで圧電体と端子板との間の挟持力を調整できる。
【0014】
第2の外部電極端子部は、圧電体の他方の電極面に電気的に当接する導電体と、この導電体に電気的に当接する電極端子とからなり、前記電極端子は、その背部を受ける電気絶縁材を介して端子板に機械的に連係させた。
【0015】
そしてこのような超音波送受波器を流体通路の上、下流に配置し、超音波伝搬時間をもとに流量を演算するようにしたことで、高精度の流体流量を測定できるものである。
【0016】
【実施例】
以下、その実施例を添付図面を参照して説明する。
【0017】
図1において、流量測定部1は流体流路2を流れる被測定物の流量を測定する流量測定部であり、1対の超音波送受波器3および4が配置されている。
【0018】
超音波送受波器3および4の間を超音波が伝播する超音波伝播時間を計測回路5にて計測し、信号として流量演算回路6に出力する。前記流量演算部6は前記信号に基づいて流量を求める。
【0019】
上記超音波流量計の一応の動作を述べる。超音波送受波器3および4の中心間を結ぶ直線の距離をLとし、この直線と被測定物の流れる方向である流路1の長手方向との角度をθとする。
【0020】
静止している流体中を超音波が伝達する速度をCとし、流路1を流れる流体の流速をVとする。
【0021】
流路2に対して上流側に配置された超音波送受波器3と下流側に配置された超音波送受波器4により流路2を流れる流体の流量を測定する。
【0022】
まず、超音波送受波器3から超音波を送信する。送信された超音波は流路2を斜めに縦断し超音波送受波器4で受信される。その際の超音波伝播時間t1は、
t1=L/(C+Vcosθ)
で示される。次に、超音波送受波器4から超音波を送信する。送信された超音波は流路2を斜めに縦断し超音波送受波器3で受信される。その際の超音波伝播時間t2は、
t2=L/(C−Vcosθ)
で示される。流体の音速Cは温度などの測定環境により変化するため、t1およびt2の式から流体の音速Cを消去すると、
V=L/{2cosθ(1/t1−1/t2)}
の式が得られる。この式より、Lとθが既知のものとなれば流体の流速Vが求められることが導かれる。Vを正確に求めるためにはt1、t2を正確に計測する必要があるため、超音波の指向性を等しくすることが必要である。また、流量をQ、流路1の断面積をS、補正係数をKとすると、流量QはQ=KSVの演算式により求められる。
【0023】
超音波流量計においては、計測回路5から出力された超音波伝播時間に関する信号に基づき、流量演算回路6で前記演算式から流量を求める。
【0024】
以下、超音波送受波器3,4の詳細を図2,3で詳述する。
【0025】
図において、ケース7の頂壁上面には音響整合層8が、頂壁下面には圧電体9の上部電極面がそれぞれ接着剤により固定してある。
【0026】
ケース7は導電性材料から形成されており、全体的にはキャップ状をなし、下方開放部からはフランジ10が外方向に延出してある。
【0027】
導電性の端子板11は前記ケース7の下方開放部分を閉じるごとく配置されており、その周縁部をフランジ10に溶接などの手段で固定することで前記ケース7と一体化されている。
【0028】
端子板11には第1,第2の外部電極端子部12,13が設けられている。
【0029】
第1の外部電極端子部12は端子板11の外周部に直接接続され、また第2の外部電極端子部13は、その導電体14を介して圧電体9の下部電極面に接続されている。
【0030】
すなわち、第2の外部電極端子部13は電極端子15と導電体14とから構成されており、さらに前記導電体14はシリコン系ゴムのような導電ゴムなどからなる導電性弾性材16の中心部に導電部17を位置させた構成を採用している。
【0031】
そして第2の外部電極端子部13は端子板11に形成した孔18を貫通しており、背部がガラスなどの電気絶縁材19で閉塞されている。
【0032】
つまり、第2の外部電極端子部13は圧電体9と端子板11と一体の電気絶縁材19で挟持される形態となっていて、前記圧電体9との接続はその挟持力、換言すれば圧接力に一元的に依存するようになっているものである。
【0033】
前記端子板11などで閉塞されたケース7内の密閉空間20には窒素ガスなどの不活性ガスが封入されている。
【0034】
そして、端子板11の外周部上面とケース7のフランジ10の基端部との間には、圧電体9に対する第2の外部電極端子部13の圧接力(圧電体9と端子板11とによる第2の外部電極端子部13の挟持力)を調整する調整手段としての遊び空間Sが肉ぬすみによって形成してある。
【0035】
上記の構成において、圧電体9に対する第2の外部電極端子部13の圧接力は、端子板11の外周部上面とケース7のフランジ10との位置関係によって調整できるものである。
【0036】
つまり、図2のものに比較して図3のように遊び空間Sの部分にケース7におけるフランジ10の基端を変形して臨ませた方が圧接力として大きくなるものである。
【0037】
すなわち、前記変形によってケース7の実質的高さが低くなり、その分、圧接力も大きくなる。
【0038】
したがって、実際的には第1,第2外部電極端子部12,13間の電気抵抗を計測しつつ前記圧接力の調整を行なえば、性能的にバラツキのない超音波送受波器となり、これより正確な流量計測が可能な超音波流量計が得られることとなる。
【0039】
なお、調整手段としては遊び空間Sに限定されることはなく、要するにケース7の実質的高さが調整できるものであれば具体的構成に制約されず、例えば、ケース7の周壁途中に屈曲部を設け、この屈曲度合いを可変するもの、或いは、端子板11に対する電気絶縁材19の取付けをねじ方式として、端子板11に対する位置調整することもその範疇に入るものである。
【0040】
このように実施例の構成によれば、超音波送受波器の導通抵抗が一定となるように抵抗値を計測しながら調節が可能となり、安定した抵抗値を確保することができる。そのため、超音波の発信感度にバラツキをなくし、送受信感度の低下を防止し、信頼性の高い超音波送受波器と、より高精度の流量計測ができる超音波流量計を提供できるものである。
【0041】
また調整手段としてケースの一部を変化させるように構成したものであるから、組立完成後に抵抗値を調節することが可能となり、最終完成品として性能を保証することが可能となる。
【0042】
【発明の効果】
このように本発明によれば性能的にバラツキがなく、精度の高い超音波送受波器が実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における超音波流量計を示す概略構成図
【図2】同実施例における超音波送受波器を示す縦断面図
【図3】本発明の実施例における調節後の超音波送受波器を示す縦断面図
【図4】従来の超音波送受波器を示す断面図
【符号の説明】
2 流体通路
3、4 超音波送受波器
7 ケース
9 圧電体
11 端子板
12、13 外部電極端子部
14 導電体
15 電極端子
19 電気絶縁材
S 遊び空間
Claims (4)
- 1対の電極面を有する圧電体と、前記圧電体を内包し、一方の電極面と電気的に接続されるケースと、このケースに電気的に接続されるとともに、第1,第2の外部電極端子部を配置した端子板とを具備し、前記第1の外部電極端子部は端子板に接続され、第2の外部電極端子部は圧電体と端子板との間に挟持されて前記圧電体の他方の電極面に接続されており、さらに第2の外部電極端子部を保持する圧電体と端子板との間の挟持力を調整する調整手段を設けた超音波送受波器。
- ケースと端子板との固定部に遊び空間を設定し、この遊び間隔を可変することで圧電体と端子板との間の挟持力を調整するようにした請求項1記載の超音波送受波器。
- 第2の外部電極端子部は、圧電体の他方の電極面に電気的に当接する導電体と、この導電体に電気的に当接する電極端子とからなり、前記電極端子は、その背部を受ける電気絶縁材を介して端子板に機械的に連係させた請求項1記載の超音波送受波器。
- 請求項1〜3いずれか1項記載の超音波送受波器を流体通路の上、下流に配置し、超音波伝搬時間をもとに流量を演算するようにした超音波流量計。
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