JP2004197919A - トロイダル型無段変速機及び無段変速装置 - Google Patents

トロイダル型無段変速機及び無段変速装置 Download PDF

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Abstract

【課題】必要とする性能を確保しつつ、軸方向寸法を短縮する。
【解決手段】出力側ディスク17cの軸方向両側面と各入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面との間に、1対の支柱64a、64bを設ける。そして、
この支柱64a、64bの中間部に設けた支持環部66a、66bに、入力回転軸1a並びに中空回転軸85を挿通すると共に、これら各支持環部66a、66bに上記出力側ディスク17cの軸方向両端部を、玉軸受61bにより回転自在に支持する。又、これと共に、上記中空回転軸85の外周面と上記出力側ディスク17cの内周面との間に止め輪86、86を掛け渡す事により、これら中空回転軸85と出力側ディスク17cとを、軸方向の変位を阻止した状態で結合する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明に係るトロイダル型無段変速機及び無段変速装置は、自動車用自動変速装置として、或はポンプ等の各種産業機械の運転速度を調節する為の変速装置として利用する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用変速機を構成する変速機の一種としてトロイダル型無段変速機が知られ、一部で実施されている。この様な既に一部で実施されているトロイダル型無段変速機は、入力部から出力部への動力の伝達を互いに平列に設けられた2系統に分けて行なう、所謂ダブルキャビティ型と呼ばれているものである。この様なトロイダル型無段変速機は従来から、特許文献1〜3等、多数の刊行物に記載されて周知であるが、その基本構造に就いて、図12により説明する。
【0003】
この図12に示したトロイダル型無段変速機は、特許請求の範囲に記載した回転軸に相当する入力回転軸1を有する。そして、この入力回転軸1の中間部基端寄り(図12の左寄り)部分及び先端寄り(図12の右寄り)部分の周囲に、それぞれが特許請求の範囲に記載した外側ディスクである入力側ディスク2a、2bを支持している。これら両入力側ディスク2a、2bは上記入力回転軸1に対し、それぞれが特許請求の範囲に記載した軸方向片側面であってトロイド曲面である入力側面3、3同士を互いに対向させた状態で、それぞれボールスプライン4、4を介して支持している。従って上記両入力側ディスク2a、2bは、上記入力回転軸1の周囲に、この入力回転軸1の軸方向の変位自在に、且つ、この入力回転軸1と同期した回転自在に支持されている。
【0004】
又、上記入力回転軸1の基端部(図12の左端部)と上記入力側ディスク2aの外側面との間に、転がり軸受5と、ローディングカム式の押圧装置6とを設けている。そして、この押圧装置6を構成するカム板7を、駆動軸8により回転駆動自在としている。これに対して、上記入力回転軸1の先端部(図12の右端部)と上記別の入力側ディスク2bの外側面との間に、ローディングナット9と、大きな弾力を有する皿板ばね10とを設けている。
【0005】
上記入力回転軸1の中間部は、トロイダル型無段変速機を収納したケーシング11(本発明の実施の形態を示す図1〜3、5参照)内に設置した隔壁部12に設けた通孔13を挿通している。この通孔13の内径側には円筒状の出力筒14を、1対の転がり軸受15、15により回転自在に支持しており、この出力筒14の中間部外周面に出力歯車16を固設している。又、この出力筒14の両端部で上記隔壁部12の両外側面から突出した部分に、特許請求の範囲に記載した内側ディスクに相当する出力側ディスク17a、17bを、スプライン係合により、上記出力筒14と同期した回転自在に支持している。
【0006】
この状態で、特許請求の範囲に記載した軸方向両側面であってそれぞれがトロイド曲面である、上記各出力側ディスク17a、17bの出力側面18、18が、前記各入力側面3、3に対向する。又、これら両出力側ディスク17a、17bの内周面のうちで上記出力筒14の端縁よりも突出した部分と上記入力回転軸1の中間部外周面との間に、それぞれニードル軸受19、19を設けている。そして、上記各出力側ディスク17a、17bに加わる荷重を支承しつつ、上記入力回転軸1に対するこれら各出力側ディスク17a、17bの回転及び軸方向変位を自在としている。
【0007】
又、上記入力回転軸1の周囲で上記入力、出力両側面3、18同士の間部分(キャビティ)に、それぞれ複数個(一般的には2個又は3個)ずつのパワーローラ20、20を配置している。これら各パワーローラ20、20はそれぞれ、上記入力、出力両側面3、18に当接する周面21、21を球状凸面とされたもので、特許請求の範囲に記載した支持部材であるトラニオン22、22の側面部分に、支持軸23、23と、ラジアルニードル軸受24、24と、スラスト玉軸受25、25と、スラストニードル軸受26、26とにより、回転及び若干の揺動変位自在に支持されている。即ち、上記各支持軸23、23は、基半部と先半部とが互いに偏心した偏心軸であり、このうちの基半部を上記各トラニオン22、22の中間部に、図示しない別のラジアルニードル軸受により、揺動変位自在に支持している。
【0008】
上記各パワーローラ20、20は、この様な支持軸23、23の先半部に、上記ラジアルニードル軸受24、24と上記スラスト玉軸受25、25とにより、回転自在に支持している。又、構成各部材の弾性変形に基づく、上記入力回転軸1の軸方向に関する上記各パワーローラ20、20の変位を、上記別のラジアルニードル軸受と上記各スラストニードル軸受26、26とにより、自在としている。
【0009】
更に、上記各トラニオン22、22は、(図12で表裏方向の)両端部に設けた枢軸27、27(本発明の実施の形態を示す図3参照)を、前記ケーシング11内に設置した支持板28a、28b(本発明の実施の形態を示す図1〜4参照)に、揺動並びに軸方向の変位自在に支持している。即ち、上記各トラニオン22、22は、図12の時計方向及び反時計方向の揺動変位自在に支持すると共に、油圧式のアクチュエータ29、29(本発明の実施の形態を示す図3参照)により、上記各枢軸27、27の軸方向(図1〜4の上下方向、図12の表裏方向)に変位させられる様にしている。
【0010】
上述の様に構成するトロイダル型無段変速機の運転時には、前記駆動軸8により前記入力側ディスク2aを、前記押圧装置6を介して回転駆動する。この押圧装置6は、軸方向の推力を発生させつつ上記入力側ディスク2aを回転駆動するので、上記入力側ディスク2aを含む1対の入力側ディスク2a、2bが、前記各出力側ディスク17a、17bに向け押圧されつつ、互いに同期して回転する。この結果、上記各入力側ディスク2a、2bの回転が、上記各パワーローラ20、20を介して上記各出力側ディスク17a、17bに伝わり、前記出力筒14を介してこれら各出力側ディスク17a、17bと結合された、前記出力歯車16が回転する。
【0011】
運転時には上記押圧装置6が発生する推力により、上記各パワーローラ20、20の周面21、21と上記入力、出力両側面3、18との各当接部の面圧が確保される。又、この面圧は、上記駆動軸8から上記出力歯車16に伝達する動力(トルク)が大きくなる程高くなる。この為、トルク変化に関わらず、良好な伝達効率を得られる。又、伝達すべきトルクが0若しくは僅少の場合にも、前記皿板ばね10及び上記押圧装置6の内径側に設けた予圧ばね30により、上記各当接部の面圧を或る程度確保する。従って、上記各当接部でのトルク伝達は、起動直後から、過大な滑りを伴う事なく、円滑に行なわれる。
【0012】
上記駆動軸8と上記出力歯車16との間の変速比を変える場合には、前記アクチュエータ29、29により上記各トラニオン22、22を、図12の表裏方向(図1〜4の上下方向)に変位させる。この場合、図12の上半部のトラニオン22、22と下半部のトラニオン22、22とは、互いに逆方向に、同じ量だけ変位させる。この変位に伴って、上記各パワーローラ20、20の周面21、21と上記入力、出力両側面3、18との当接部の接線方向に加わる力の向きが変化する。そして、この接線方向の力によって、上記各トラニオン22、22が、それぞれの両端部に設けた枢軸27、27を中心として揺動する。
【0013】
この揺動に伴って、上記各パワーローラ20、20の周面21、21と上記入力、出力両側面3、18との当接部の、これら両側面3、18の径方向に関する位置が変化する。これら各当接部が、上記入力側面3の径方向外側に、上記出力側面18の径方向内側に、それぞれ変化する程、上記変速比は増速側に変化する。これに対して、図12に示す様に、上記各当接部が、上記入力側面3の径方向内側に、上記出力側面18の径方向外側に、それぞれ変化する程、上記変速比は減速側に変化する。
【0014】
更に、上述の様に構成され作用するトロイダル型無段変速機を実際の自動車用の無段変速機に組み込む場合、遊星歯車機構と組み合わせて無段変速装置を構成する事が、特許文献4〜6等に記載され、従来から提案されている。図13は、この様な従来から提案されている無段変速装置のうちの、上記特許文献4に記載されたものを示している。この無段変速装置は、所謂ギヤード・ニュートラルと呼ばれ、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転、逆転に切り換えられるもので、トロイダル型無段変速機31と遊星歯車式変速ユニット32とを組み合わせて成る。このうちのトロイダル型無段変速機31は、入力回転軸1と、1対の入力側ディスク2a、2bと、出力側ディスク17cと、複数のパワーローラ20、20とを備える。図示の例では、この出力側ディスク17cは、1対の出力側ディスクの外側面同士を突き合わせて一体とした如き構造を有する。
【0015】
又、上記遊星歯車式変速ユニット32は、上記入力回転軸1及び一方(図13の右方)の入力側ディスク2bに結合固定されたキャリア33を備える。このキャリア33の径方向中間部に、その両端部にそれぞれ遊星歯車素子34a、34bを固設した第一の伝達軸35を、回転自在に支持している。又、上記キャリア33を挟んで上記入力回転軸1と反対側に、その両端部に太陽歯車36a、36bを固設した第二の伝達軸37を、上記入力回転軸1と同心に、回転自在に支持している。そして、上記各遊星歯車素子34a、34bと、上記出力側ディスク17cにその基端部(図13の左端部)を結合した中空回転軸38の先端部(図13の右端部)に固設した太陽歯車39又は上記第二の伝達軸37の一端部(図13の左端部)に固設した太陽歯車36aとを、それぞれ噛合させている。又、一方(図13の左方)の遊星歯車素子34aを、別の遊星歯車素子40を介して、上記キャリア33の周囲に回転自在に設けたリング歯車41に噛合させている。
【0016】
一方、上記第二の伝達軸37の他端部(図13の右端部)に固設した太陽歯車36bの周囲に設けた第二のキャリア42に遊星歯車素子43a、43bを、回転自在に支持している。尚、この第二のキャリア42は、上記入力回転軸1及び第二の伝達軸37と同心に配置された、出力軸44の基端部(図13の左端部)に固設されている。又、上記各遊星歯車素子43a、43bは、互いに噛合すると共に、一方の遊星歯車素子43aが上記太陽歯車36bに、他方の遊星歯車素子43bが、上記第二のキャリア42の周囲に回転自在に設けた第二のリング歯車45に、それぞれ噛合している。又、上記リング歯車41と上記第二のキャリア42とを低速用クラッチ46により係脱自在とすると共に、上記第二のリング歯車45とケーシング11等の固定の部分とを、高速用クラッチ47により係脱自在としている。
【0017】
上述の様な、図13に示した無段変速装置の場合、上記低速用クラッチ46を接続すると共に上記高速用クラッチ47の接続を断った、所謂低速モード状態では、上記入力回転軸1の動力が上記リング歯車41を介して上記出力軸44に伝えられる。そして、前記トロイダル型無段変速機31の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての速度比、即ち、上記入力回転軸1と上記出力軸44との間の速度比が変化する。この際のトロイダル型無段変速機31の変速比(CVU速度比)と無段変速装置全体としての速度比(T/M速度比)との関係は、図14の線分αに示す様になる。この様な低速モード状態では、無段変速装置全体としての変速比は、無限大に変化する。即ち、上記トロイダル型無段変速機31の変速比を調節する事により、上記入力回転軸1を一方向に回転させた状態のまま上記出力軸44の回転状態を、停止状態を挟んで、正転、逆転の変換自在となる。
【0018】
これに対して、上記低速用クラッチ46の接続を断ち、上記高速用クラッチ47を接続した、所謂高速モード状態では、上記入力回転軸1の動力が上記第一、第二の伝達軸35、37を介して上記出力軸44に伝えられる。そして、上記トロイダル型無段変速機31の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての速度比が変化する。この際のトロイダル型無段変速機31の変速比と無段変速装置全体としての速度比との関係は、図14の線分βに示す様になる。この場合には、上記トロイダル型無段変速機31の変速比を大きく(増速側に)する程、無段変速装置全体としての速度比が大きく(増速側に)なる。
【0019】
上述の図13に示した(特許文献4に記載された)無段変速装置の場合、出力側ディスク17c、中空回転軸38及び太陽歯車39を一体に形成している等、簡略図で示されており、実際に組み立てる事は考慮していない。これに対して特許文献7には、図15に示す様に、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速ユニットとを組み合わせて成る無段変速装置の、より具体的な構造が記載されている。この特許文献7に記載された構造の場合には、中空回転軸38aの基端部に太陽歯車39aを直接形成すると共に、この中空回転軸38aの先端部(図15の左端部)に出力側ディスク17cをスプライン係合させている。又、これと共に、この中空回転軸38aの周囲に一方(図15の右方)の入力側ディスク2bを配置し、この入力側ディスク2bをケーシング11に対し、円筒ころ軸受48により回転自在に支持している。
【0020】
又、入力回転軸1の他端部外周面にフランジ112を形成すると共に、この入力回転軸1の中間部外周面で上記一方の入力側ディスク2bと共に回転するキャリア33の側面と整合する部分に凹溝113を設け、この凹溝113に止め輪114を係止している。そして、この止め輪114と上記フランジ112とにより、上記入力側、出力側各ディスク2a、2b、17cの入力側、出力側各面3、18と各パワーローラ20、20の周面21、21との各当接部(トラクション部)に一定の押し付け力を付与した状態で、上記各入力側ディスク2a、2a同士が互いに離れる方向に変位するのを阻止している。
【0021】
この様な特許文献7に記載された構造の場合、前述の図12に示した構造の様に、押圧装置6により伝達トルクの大きさ応じた押し付け力をトラクション部に付与する事や、パワーローラ20、20を偏心軸である支持軸23、23により各トラニオン22、22に支持する事で、構成各部材の弾性変形に基づくこれら構成各部材の変位を吸収する事は、考慮していない。この為、上記特許文献7に記載された構造の場合には、上記各トラクション部に過大な押し付け力が付与されたり、逆に押し付け力不足でこれら各トラクション部で滑りが生じ易くなる可能性がある。そこで、この様な不都合を防止すべく、上記特許文献7に記載された構造に、上記図12に示した様な押圧装置6及び支持軸23、23を採用した構造を考える。
【0022】
即ち、他方(図15の左方)の入力側ディスク2a及び出力側ディスク17cを、入力回転軸1の軸方向に変位自在に支持すると共に、このうちの他方の入力側ディスク2aと入力回転軸1との間に押圧装置6(図12参照)を設ける。又、これと共に、各パワーローラ20、20を偏心軸である支持軸23、23(図12参照)により支持する。この様な構造の場合には、上記各トラクション部に所定の押し付け力を付与しつつ、構成各部材の弾性変形に基づくこれら構成各部材の変位を吸収する為に、運転時に上記他方の入力側ディスク2a及び出力側ディスク17cが、上記各パワーローラ20、20と共に、入力回転軸1の軸方向に関して若干の変位をする。尚、この様な各入力側ディスク2a、2bと出力側ディスク17cとの軸方向の相対変位量は、構成各部材の剛性やトロイダル型無段変速機31aを通過するトルクにより異なるが、一般的には、2〜3mm程度となる。
【0023】
又、特許文献8には、中空回転軸の外周面と太陽歯車の内周面とをスプライン係合させると共に、これら中空回転軸の外周面と太陽歯車の内周面との間に止め輪を掛け渡した構造が記載されている。更に、特許文献9には、浸炭処理を施す事により、出力側ディスクの軸方向両側面並びにこの出力側ディスクの外周縁に形成した出力歯車の表面に硬化層を設けた構造が記載されている。
【0024】
【特許文献1】
特開平2−283949号公報
【特許文献2】
特開平8−4869号公報
【特許文献3】
特開平8−61453号公報
【特許文献4】
特開2000−220719号公報
【特許文献5】
特開平6−174033号公報
【特許文献6】
米国特許第6099431号明細書
【特許文献7】
米国特許第5607372号明細書
【特許文献8】
特開2002−139124号公報
【特許文献9】
特開平11−141637号公報
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
前述の様に入力側ディスク2a、2bと出力側ディスク17cとの軸方向に関する相対変位に伴って、各パワーローラ20、20が支持軸23、23の基半部を中心とする揺動に伴って円弧運動すると、これら各パワーローラ20、20は、上記入力回転軸1の軸方向に変位するだけでなく、これら各パワーローラ20、20を支持する各トラニオン22、22の枢軸27、27の軸方向にも変位する。この様な、各トラニオン22、22の枢軸27、27の軸方向に関する、上記各パワーローラ20、20の変位は、上記各トラニオン22、22を上記枢軸27、27を中心に揺動(傾斜)させる要因となる。
【0026】
一方、前述の図15に示した構造に前述の図12に示した構造を採用した構造の場合、他方の入力側ディスク2aと出力側ディスク17cとが軸方向に変位すると、各パワーローラ20、20の上記支持軸23、23の基半部を中心とする円弧運動量が、前後のキャビティで異なってしまう。この理由は、上記各パワーローラ20、20を支持する各トラニオン22、22が、上記入力回転軸1の軸方向に変位しないのに対して、上記他方の入力側ディスク2aと出力側ディスク17cとが、これら各入力側ディスク2a、2bの入力側面3、3と出力側ディスク17cの出力側面18、18との間隔を互いに同じとしたまま軸方向に変位する為である。
【0027】
この結果、前後のキャビティで上記各パワーローラ20、20の軸方向変位量が異なり、これに伴って上記各パワーローラ20、20の上記支持軸23、23の基半部を中心とする円弧運動量が異なる。そして、この様に前後のキャビティでパワーローラ20、20の円弧運動量が異なると、これら各パワーローラ20、20の、上記トラニオン22、22の枢軸27、27の軸方向に関する変位量も異なる。そして、この様にトラニオン22、22の枢軸27、27の軸方向に関する上記パワーローラ20、20の変位量が異なる結果、前後のキャビティで上記各トラニオン22、22の傾斜角度が異なって、トロイダル型無段変速機の効率が低下したり、変速比制御が不安定になる可能性がある。
【0028】
しかも、前記入力側、出力側各ディスク2a、2b、17cの入力側、出力側各面3、18と上記各パワーローラ20、20の周面21、21との各当接部(トラクション部)で滑りを生じさせる事なく所定の動力を伝達可能とする為には、これら各当接部に伝達動力の大きさに応じた適正な押し付け力を付与する必要がある。ところが、前述の図15に示した様な、出力側ディスク17cと中空回転軸38aとをスプライン係合させ、これら出力側ディスク17cと中空回転軸38aとを軸方向に相対変位可能とした構造の場合、このスプライン係合部の摩擦(摺動)抵抗が大きく、上記出力側ディスク17cの軸方向変位を滑らかに行なえない可能性がある。
【0029】
そして、この様に出力側ディスク17cの軸方向変位を滑らかに行なえないと、上記各当接部で押付け力が不足し、これら各当接部で滑りが生じる可能性がある。この様な不都合を防止すべく、上記中空回転軸38aと出力側ディスク17cとのスプライン係合部に、摩擦(摺動)抵抗の小さいボールスプラインを用いる事が考えられる。但し、この様にボールスプラインを用いると、部品点数が増大すると共に組立作業が面倒になり、製造コストが増大する可能性がある。
【0030】
又、上記図15に示した構造の場合、中空回転軸38aの他端部に設けた太陽歯車39aの両端部と、入力回転軸1に固定したキャリア33との間に、それぞれスラストニードル軸受49、49を設けている。この様なスラストニードル軸受49、49は上記中空回転軸38aの軸方向変位を阻止する為のものであるが、この様な構造の場合、上記太陽歯車39aと上記キャリア33とが互いに逆方向に回転する為、上記スラストニードル軸受49、49部分での動力損失が大きくなる事が避けられない。
【0031】
又、前述の様に特許文献8には、中空回転軸の外周面と太陽歯車の内周面とをスプライン係合させると共に、これら中空回転軸の外周面と太陽歯車の内周面との間に止め輪を掛け渡した構造が記載されている。但し、この特許文献8には、上記中空回転軸と出力側ディスクとの結合部分の構造は示されていない。ここで、上記図15に示した構造に上記図12に示した構造を採用した場合に生じる上述の様な不都合を防止する為に、中空回転軸と出力側ディスクとを軸方向の相対変位を阻止した状態で結合すると共に、この出力側ディスクに対して1対の入力側ディスクを軸方向変位可能に支持する構造を考える。この様な構造とした場合には、部品点数の低減等を図るべく、上記中空回転軸と出力側ディスクとを一体に形成する事が考えられる。
【0032】
ところが、この様に中空回転軸と出力側ディスクとを一体に形成すると、製造作業が面倒になり、製造コストが増大する可能性がある。即ち、これら出力側ディスクや中空回転軸は、前述の特許文献9等に記載されている様に、浸炭処理等の熱処理を施して、表面に硬化層を形成する事が好ましい。ところが、上述の様に出力側ディスクと中空回転軸とを一体に形成する場合には、熱処理に伴う体積変化(熱処理変形)が大きくなる事が避けられない。特に、上記中空回転軸は熱処理変形をし易く、しかもこの中空回転軸と上記出力側ディスクとでは必要な硬化層深さが異なる。この為、この様な熱処理変形を防止しつつ所望の熱処理を行なう事は、製造コストの増大に繋がり、好ましくない。
【0033】
これに対して、上記中空回転軸と上記出力側ディスクとを別体とした場合には、これら中空回転軸と上記出力側ディスクとをナットにより結合固定する事が考えられる。より具体的には、上記中空回転軸に上記出力側ディスクをスプライン係合させると共に、この中空回転軸に設けた段部等にこの出力側ディスクの一部を軸方向変位不能に突き当てた状態で、この中空回転軸の先端部に設けた雄ねじ部にナットを螺合、緊締する事により結合固定する事が考えられる。ところが、この様なナットにより結合固定する構造を採用した場合、このナット並びに雄ねじ部を設ける分だけ、軸方向寸法並びに径方向寸法が嵩む事が避けられない。
【0034】
しかも、互いに対向する上記入力側、出力側各ディスク同士の間部分の寸法は、これら入力側、出力側各ディスクの出力側、入力側各面を構成するトロイド曲面に基づいて或る程度決定される。この為、上記入力側、出力側各ディスクの間部分の寸法を許容範囲内に収めつつ、この間部分に上記ナット並びに雄ねじ部を設ける事は困難な場合もある。又、上記ナットを設ける分、上記出力側ディスクの小径部側のトラクション面(出力側面)が小さくなって、トロイダル型無段変速機の変速比幅が小さくなる可能性もある。更には、上記雄ねじ部を設ける分、上記中空回転軸の厚さ寸法を確保する必要があり、これに伴い入力回転軸の外径を小さくせざるを得ず、この入力回転軸の強度を確保しにくくなる可能性もある。
本発明のトロイダル型無段変速機及び無段変速装置は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0035】
【課題を解決するための手段】
本発明のトロイダル型無段変速機は、前述した従来から知られているトロイダル型無段変速機と同様に、ケーシングと、回転軸と、1対の外側ディスクと、内側ディスクと、複数個の支持部材と、複数個のパワーローラと、中空回転軸とを備える。
このうちの回転軸は、上記ケーシング内に回転自在に支持されている。
又、上記各外側ディスクは、それぞれが断面円弧形である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態で上記回転軸の軸方向2個所位置に、この回転軸と同期した回転を自在として支持されている。
又、上記内側ディスクは、上記回転軸の中間部周囲に、断面円弧形である軸方向両側面を上記各外側ディスクの軸方向片側面に対向させた状態で、上記回転軸に対する相対回転を自在に支持されている。
又、上記各支持部材は、軸方向に関してこれら内側ディスクの軸方向両側面と各外側ディスクの軸方向片側面との間位置にそれぞれ複数個ずつ、上記回転軸に対し捩れの位置にある枢軸を中心とする揺動変位を自在に設けられている。
又、上記各パワーローラは、上記各支持部材に回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を、上記内側ディスクの軸方向両側面と各外側ディスクの軸方向片側面とに当接させている。
又、上記中空回転軸は、上記内側ディスクとの間での回転力の伝達を可能に結合した状態で上記回転軸の周囲に配置され、その中間部外周面に上記各外側ディスクのうちの一方の外側ディスクを回転自在に支持している。
そして、上記中空回転軸の一端部で上記一方の外側ディスクから突出した部分に設けた歯車を、上記各外側ディスクと共に回転する部材に回転自在に支持した別の歯車に噛合させている。
【0036】
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、上記内側ディスクの軸方向両側面と上記各外側ディスクの軸方向片側面との間に、それぞれの中間部に支持環部を有する1対の支柱を、この支持環部に上記回転軸を挿通した状態で配置し、これら両支柱の支持環部に上記内側ディスクの軸方向両端部を、玉軸受により回転自在に支持している。又、これと共に、上記中空回転軸の外周面と上記内側ディスクの内周面との間に止め輪を掛け渡す事により、これら中空回転軸と内側ディスクとを、軸方向の相対変位を阻止した状態で結合している。
【0037】
又、請求項6に記載した本発明の無段変速装置は、トロイダル型無段変速ユニットと遊星歯車式変速ユニットとを組み合わせると共に、このうちのトロイダル型無段変速ユニットの回転軸に繋がる入力軸と、上記遊星歯車式変速ユニットの構成部材に繋がる出力軸とを備える。
そして、このうちのトロイダル型無段変速ユニットは、上述の様なトロイダル型無段変速機である。
又、上記遊星歯車式変速ユニットは、上記トロイダル型無段変速ユニットの回転軸と内側ディスクとから動力を伝達されるものであって、動力の伝達経路を2系統に切り換える切換手段を有する。
【0038】
又、好ましくは、請求項7に記載した様に、上記遊星歯車式変速ユニットは、キャリアと、複数の第一の遊星歯車と、第一の太陽歯車と、複数の第二の遊星歯車と、第二の太陽歯車と、リング歯車とを備えたものとする。
このうちのキャリアは、上記トロイダル型無段変速ユニットを構成する1対の外側ディスクにこれら両外側ディスクと同心に結合されて、これら両外側ディスクと共に回転する。
又、上記各第一の遊星歯車は、上記キャリアの軸方向両側面のうちで一方の外側ディスクに対向する軸方向片面に、回転自在に支持されている。
又、上記第一の太陽歯車は、上記トロイダル型無段変速ユニットを構成する回転軸の周囲に配置された中空回転軸により内側ディスクに結合された状態で、上記各ディスクと同心に且つ回転自在に設けられ、上記各第一の遊星歯車と噛合している。
又、上記各第二の遊星歯車は、上記キャリアの他面に回転自在に支持されている。
又、上記第二の太陽歯車は、上記各ディスクと同心に且つ回転自在に設けられて、上記各第二の遊星歯車と噛合している。
又、上記リング歯車は、上記各ディスクと同心に且つ回転自在に設けられて、上記各第一の遊星歯車と噛合している。
そして、切換手段は、上記リング歯車を通じて上記内側ディスクから取り出した動力を出力軸に伝達するモードと、上記第二の太陽歯車を通じてこの内側ディスクから取り出した動力を出力軸に伝達するモードとを選択するものである。
【0039】
【作用】
上述の様に本発明のトロイダル型無段変速機及び無段変速装置の場合には、内側ディスクの軸方向両端部を玉軸受により支柱に支持する事により、この内側ディスクをケーシングに回転自在に且つ軸方向変位不能に支持する。即ち、この内側ディスクの軸方向両側面に対向する各外側ディスクが、この内側ディスクに向けて軸方向に変位する事により、トラクション部に所定の押し付け力を付与しつつ構成各部材の弾性変形に基づくこれら構成各部材の変位を吸収する。この為、前後のキャビティで各パワーローラの揺動(回動)量をほぼ等しくできる結果、各支持部材の傾斜が前後のキャビティ同士の間で異なる事を防止でき、トロイダル型無段変速機の効率が低下したり、変速比制御が不安定になる事を防止できる。
【0040】
又、上述の様に各外側ディスクが軸方向に変位する場合には、上記内側ディスクに結合した中空回転軸の端部に設けた歯車(第一の太陽歯車)と、上記各外側ディスクと共に回転する部材(キャリア)に回転自在に支持した別の歯車(第一の遊星歯車)とが軸方向に変位する(滑る)。この様な軸方向変位が行なわれる各歯車同士の噛合部は、前述の図15に示した様な中空回転軸38aと出力側ディスク(内側ディスク)17cとのスプライン係合部に比べ、径方向外方に位置させられる。この為、上記噛合部に加わるトルクに基づく円周方向の力(f=T/r、T:トルク、r:半径)が、同じく上記スプライン係合部に加わる円周方向の力に比べて小さくなり、この噛合部に作用する摩擦力(F=μf、μ:摩擦係数)を小さくできる。従って、トルク急変動等の過渡応答時にも、上記内側ディスクと各外側ディスクとの軸方向に関する相対変位を滑らかに行なえ、トラクション部に所定の押し付け力を安定して付与する事ができて、このトラクション部で過大な滑りが生じる事を防止できる。
【0041】
又、上記各歯車の噛合部を介して上記中空回転軸に加わる軸方向荷重は、この中空回転軸の外周面と内側ディスクの内周面との間に掛け渡した止め輪を介して、上記内側ディスクに加わり、この内側ディスクの両端部に設けた玉軸受により支持される。従って、前述の図15に示した構造の様に、中空回転軸38aの端部に設けた太陽歯車39aの両端部と各入力側ディスク2a、2bと共に回転するキャリア33との間にスラストニードル軸受49、49を設け、これら各スラストニードル軸受49、49により上記中空回転軸38aに加わる軸方向荷重を支持する場合に比べ、動力損失の低減並びにこの動力損失の低減に基づくトロイダル型無段変速機の高効率化を図れる。
【0042】
又、上記内側ディスクと上記中空回転軸とを別体構造としている為、浸炭処理等の熱処理を施す事により表面に硬化層を形成する作業が面倒になる事もない。又、上記中空回転軸の端部に歯車を直接形成する場合に関しても、これら中空回転軸及び歯車の熱処理条件が類似している為、熱処理作業を容易に行なえる。又、上述の様に止め輪により上記中空回転軸と上記内側ディスクとを軸方向変位不能に結合している為、ナットにより結合固定する場合に比べて軸方向寸法並びに径方向寸法の低減も図れる。この結果、トロイダル型無段変速機の小型化を図れると共に、上記内側ディスクの小径部側のトラクション面が小さくなる事も防止でき、このトロイダル型無段変速機の変速比幅も十分に確保できる。
【0043】
【発明の実施の形態】
図1〜5は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、図1〜3には縦横比等の寸法関係を、実際の寸法関係で示している。又、図4〜5に就いても、実際の寸法関係に則して描いている。本例の無段変速装置は、請求項1〜5に記載したトロイダル型無段変速機に対応するトロイダル型無段変速ユニット50と、第一〜第三の遊星歯車式変速ユニット51〜53とを組み合わせて成り、入力軸54と出力軸55とを有する。図示の例では、これら入力軸54と出力軸55との間に、上記トロイダル型無段変速ユニット50の入力回転軸1aと、伝達軸56とを、これら両軸54、55と同心に、且つ、これら両軸54、55に対する相対回転を自在に設けている。そして、上記第一、第二の遊星歯車式変速ユニット51、52を上記入力回転軸1aと上記伝達軸56との間に掛け渡す状態で、上記第三の遊星歯車式変速ユニット53をこの伝達軸56と上記出力軸55との間に掛け渡す状態で、それぞれ設けている。
【0044】
このうちのトロイダル型無段変速ユニット50は、それぞれが外側ディスクである1対の入力側ディスク2a、2bと、内側ディスクである一体型の出力側ディスク17cと、複数のパワーローラ20、20とを備える。そして、上記1対の入力側ディスク2a、2bは、上記入力回転軸1aを介して互いに同心に、且つ、同期した回転を自在として結合されている。又、上記出力側ディスク17cは、上記両入力側ディスク2a、2b同士の間に、これら両入力側ディスク2a、2bと同心に、且つ、これら両入力側ディスク2a、2bに対する相対回転を自在として支持されている。更に、上記各パワーローラ20、20は、上記出力側ディスク17cの軸方向両側面と上記両入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面との間に、それぞれ複数個(本例の場合は2個)ずつ挟持されている。そして、これら両入力側ディスク2a、2bの回転に伴って回転しつつ、これら両入力側ディスク2a、2bから上記出力側ディスク17cに動力を伝達する。
【0045】
又、本例の場合、図3に示す様に、上記各パワーローラ20、20を支持するトラニオン22、22の長さ方向両端部に設けた、1対の折れ曲がり壁部57、57の先端部同士を、連結部材58、58により連結している。この様な連結部材58は、上記パワーローラ20を跨ぐ様に設けると共に、その両端面を上記トラニオン22の各折れ曲がり壁部57、57の先端部内側面に突き当てた状態で、ねじ59、59により、上記各トラニオン22、22に結合固定している。この様な連結部材58、58を設けた本例の場合には、これら各トラニオン22、22の曲げ剛性の向上を図れ、これら各トラニオン22、22を弾性変形しにくくできる。この結果、これら各トラニオン22、22の変形に基づく支持軸23aの傾斜を防止し、この支持軸23aの先半部に支持した上記各パワーローラ20、20の位置がずれるのを抑える事ができるので、変速動作を安定させる事ができる。尚、本例の場合、上記支持軸23aと、上記パワーローラ20を回転自在に支持するスラスト玉軸受25を構成する外輪60とを、一体に形成している。
【0046】
更に、本例の場合には、上記出力側ディスク17cの軸方向両端部を、(第一、第二の)1対のスラストアンギュラ玉軸受61a、61bにより、回転自在に支持している。この為に本例の場合には、ケーシング11の内側に、単一のアクチュエータボディー62及び単一の連結板63を介して、(第一、第二の)1対の支柱64a、64bを設けている。これら各支柱64a、64bはそれぞれ、前記入力回転軸1aを挟んで径方向反対側に、互いに同心に設けられた1対の支持ポスト部65a、65bを、円環状の支持環部66a、66bにより連結して成る。上記入力回転軸1aは、この支持環部66a、66bの内側を緩く挿通している。
【0047】
又、上記各支柱64a、64bの下端部は、上記アクチュエータボディー62の上面に、それぞれ複数本ずつのボルト67、67により結合固定している。この為に上記アクチュエータボディー62の上面には、上記各支柱64a、64bの下端部を内嵌する為の凹部68、68を形成している。又、これら各支柱64a、64bの下端部には、下端面に開口する複数のねじ孔を形成している。これら各支柱64a、64bは、それぞれの下端部を上記各凹部68、68に内嵌した状態で、上記アクチュエータボディー62を下方から挿通して上記各ねじ孔に螺合し、更に緊締した上記各ボルト67、67により、上記アクチュエータボディー62の上面の所定位置に固定している。
【0048】
これに対して上記各支柱64a、64bの上端部は、前記単一の連結板63の下面に、それぞれボルト69、69により結合固定している。この為に上記連結板63の下面には、上記各支柱64a、64bの上端部を内嵌する為の凹部70、70を形成している。又、これら各支柱64a、64bの上端部には、上端面中央部に開口する1個ずつのねじ孔を形成している。これら各支柱64a、64bは、それぞれの上端部を上記各凹部70、70に内嵌した状態で、上記連結板63を上方から挿通して上記各ねじ孔に螺合し、更に緊締した上記各ボルト69、69により、上記連結板63の下面に固定している。
【0049】
上記1対の支柱64a、64bは、上述の様に上記アクチュエータボディー62の上面と上記連結板63の下面との間に、掛け渡す様に連結固定している。この状態で、上記各支柱64a、64bの両端部近傍に設けた、前記各支持ポスト部65a、65bのうち、下側の支持ポスト部65a、65aは、上記アクチュエータボディー62の上面の直上位置に存在する。そして、上記両支柱64a、64bの支持ポスト部65a、65aに、前記1対の支持板28a、28bのうちの下側の(第一の)支持板28aに形成した(第一の)支持孔71a、71aを、がたつきなく外嵌している。又、上側の支持ポスト部65b、65bは上記連結板63の下面の直下位置に存在する。そして、上記両支柱64a、64bの支持ポスト部65b、65bに、上記1対の支持板28a、28bのうちの上側の(第二の)支持板28bに形成した(第二の)支持孔71b、71bを、がたつきなく外嵌している。上記両支持板28a、28bにそれぞれ1対ずつ形成した、上記支持孔71a、71b同士の、前記入力回転軸1aの軸方向に関するピッチは、適正に規制されている。従って、上記各支持ポスト部65a、65bに上記各支持孔71a、71bをがたつきなく外嵌した状態で、上記1対の支柱64a、64bの上下両端部同士のピッチが適正に規制される。
【0050】
尚、図示の例では、上記下側の支持板28aに、前記各トラニオン22、22の傾斜角度を制限する為のストッパとして機能する、凸部72a、72b、72c(図4)を突設している。即ち、上記支持板28aの幅方向(図1〜2の表裏方向、図3の左右方向)両側縁部の、前後方向(図1〜2の左右方向、図3の表裏方向)両端部と中央部との3個所位置に、上記凸部72a、72b、72cを形成している。これら各凸部72a、72b、72cは、上記各トラニオン22、22が、それぞれの両端部に設けた枢軸27、27を中心として過度に傾斜する事を防止する為のストッパとして機能するものである。そして、上記各トラニオン22、22に支持したパワーローラ20、20の周面21が、前記入力側ディスク2a、2b、出力側ディスク17cの入力側、出力側両面3、18からこれら各ディスク2a、2b、17cの径方向外方に外れる事を防止する。
【0051】
又、上記1対の支柱64a、64bにより互いに結合された、上記アクチュエータボディー62と上記連結板63とのうち、アクチュエータボディー62は前記ケーシング11の下部に、三次元方向の位置決めを図った状態で固定している。この為に、このケーシング11を構成する1対の側壁部73、73の内面の下端開口寄り部分に段部74a、74bを、上記アクチュエータボディー62の幅方向(図1〜2の表裏方向、図3の左右方向)両端寄り部分にボルト挿通孔75、75(図4)を、それぞれ形成している。上記アクチュエータボディー62を上記ケーシング11内に固定する際には、このアクチュエータボディー62の上面幅方向両端寄り部分を上記各段部74a、74bに突き当てる。そして、上記各ボルト挿通孔75、75を下方から挿通した図示しないボルトを、上記各段部74a、74bに開口したねじ孔に螺合し更に緊締する。
【0052】
上記三次元方向に関する位置決めのうち、長さ方向(図1、2、5の左右方向、図3の表裏方向)及び幅方向(図1、2の表裏方向、図3の左右方向、図5の上下方向)に関する位置決めは、上記アクチュエータボディー62と上記各段部74a、74bとの間の2箇所以上に掛け渡す状態で設けたノックピン(図示せず)により図っている。又、上下方向(図1〜3の上下方向)に関する位置決めは、上記各段部74a、74bと前記各支柱64a、64bの支持環部66a、66bの中心との上下方向に関する距離を規制する事により実現する。
【0053】
一方、上記連結板63は上記ケーシング11内に、凹凸係合に基づいて長さ方向及び幅方向の位置を規制した状態で設置されている。この位置規制を行なう為に、上記連結板63の上面と、上記ケーシング11の天板部76の下面との、互いに対向する部分に、それぞれ位置決め凹部77a、77bを形成している。これら各位置決め凹部77a、77bは、それぞれ円形の平面形状を有する。上記アクチュエータボディー62を上記ケーシング11内に固定した状態で、上記連結板63の上面に形成した各位置決め凹部77a、77aと、上記天板部76の下面に形成した位置決め凹部77b、77bとの間に円筒状の位置決めスリーブ78、78を掛け渡している。この構造により、前記1対の支柱64a、64bの上下両端部を上記ケーシング11に対し、長さ方向、幅方向、上下方向(三次元方向)に関する位置決めをした状態で支持固定している。
【0054】
上述の様にして上記ケーシング11内の所定位置に固定した1対の支柱64a、64bの中間部に設けられ、それぞれが前記入力側ディスク2a、2bと前記出力側ディスク17cとの入力側、出力側両面3、18同士の間に存在する各キャビティ(空間)の中央部に配置された、前記各支持環部66a、66bにより、上記出力側ディスク17cを、回転自在に支持している。この為に、これら各支持環部66a、66bと、この出力側ディスク17cの軸方向両端面、即ち、この出力側ディスク17cの軸方向両側面に設けた出力側面18、18よりも内径側部分との間に、前記各スラストアンギュラ玉軸受61a、61bを設けている。図示の例の場合、これら各スラストアンギュラ玉軸受61a、61bを構成する1対の軌道輪79a、79bの外側面(互いに反対側の側面)の内径寄り部分に短円筒状の突条部80、80(図2)を、全周に亙って形成している。
【0055】
そして、これら各突条部80、80を、上記各支持環部66a、66b及び上記出力側ディスク17cの両端部にそれぞれ設けた、他の部分よりも内径の大きい大径部81a、81b(図2)にがたつきなく内嵌する事により、上記各スラストアンギュラ玉軸受61a、61bの径方向に関する位置決めを図っている。又、一方の軌道輪79a、79a(又は他方の軌道輪79b、79b)の外側面と上記各支持環部66a、66b(又は出力側ディスク17cの端面)との間にシム板82、82(図2)を挟持して、上記各スラストアンギュラ玉軸受61a、61bの軸方向に関する位置決めを図っている。又、この状態で、これら各スラストアンギュラ玉軸受61a、61bに、適切な予圧を付与している。従って上記出力側ディスク17cは、各キャビティ内に1対ずつ設けた上記各支柱64a、64b同士の間に、径方向及び軸方向に関する位置決めを図られた状態で、がたつきなく回転自在に支持されている。
【0056】
又、図示の無段変速装置の場合、前記入力回転軸1aの基端部(図1の左端部)を図示しないエンジンのクランクシャフトに、前記入力軸54を介して結合し、このクランクシャフトにより上記入力回転軸1aを回転駆動する様にしている。又、前記両入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面(入力側面3、3)及び上記出力側ディスク17cの軸方向両側面(出力側面18、18)と前記各パワーローラ20、20の周面21、21との転がり接触部(トラクション部)に適正な面圧を付与する為の押圧装置6aとして、油圧式のものを使用している。又、ギヤポンプ等の油圧源により、この押圧装置6a及び変速の為に前記各トラニオン22、22を変位させる為の油圧式のアクチュエータ29、29、並びに後述する低速用クラッチ83及び高速用クラッチ84を断接させる為の油圧シリンダに、圧油を供給自在としている。
【0057】
又、上記出力側ディスク17cの中心孔に、中空回転軸85の先端部(図1〜2の左端部)をスプライン係合させている。そして、この中空回転軸85の外周面と出力側ディスク17cの内周面のとの間に欠円環状の(第一、第二の)止め輪86、86(図2)を掛け渡す事により、これら中空回転軸85と出力側ディスク17cとを、軸方向の相対変位を阻止した状態で結合している。本例の場合、前述の様に上記出力側ディスク17cの両端部内周面に他の部分よりも内径の大きい大径部81a、81aを設け、この大径部81a、81aの段差面と、上記中空回転軸85の外周面でこれら各段差面と対向する部分に全周に亙って設けた凹溝との間に、上記各止め輪86、86を掛け渡している。
【0058】
又、上記中空回転軸85を、エンジンから遠い側(図1〜2の右側)の入力側ディスク2bの内側に挿通して、上記出力側ディスク17cの回転力を取り出し自在としている。更に、上記中空回転軸85の先端部(図1〜2の右端部)で上記入力側ディスク2bの外側面から突出した部分に、前記第一の遊星歯車式変速ユニット51を構成する為の、第一の太陽歯車87を直接形成(固設)している。
【0059】
一方、上記入力回転軸1aの先端部(図1〜2の右端部)で上記中空回転軸85から突出した部分と上記入力側ディスク2bとの間に、第一のキャリア88を掛け渡す様に設けて、この入力側ディスク2bと上記入力回転軸1aとが、互いに同期して回転する様にしている。そして、上記第一のキャリア88の軸方向両側面の円周方向等間隔位置(一般的には3〜4個所位置)に、それぞれがダブルピニオン型である前記第一、第二の遊星歯車式変速ユニット51、52を構成する為の遊星歯車89〜91を、回転自在に支持している。更に、上記第一のキャリア88の片半部(図1〜2の右半部)周囲に第一のリング歯車92を、回転自在に支持している。
【0060】
上記各遊星歯車89〜91のうち、前記トロイダル型無段変速ユニット50寄り(図1〜2の左寄り)で上記第一のキャリア88の径方向に関して内側に設けた遊星歯車89は、上記第一の太陽歯車87に噛合している。又、上記トロイダル型無段変速ユニット50から遠い側(図1〜2の右側)で上記第一のキャリア88の径方向に関して内側に設けた遊星歯車90は、前記伝達軸56の基端部(図1の左端部)に固設した第二の太陽歯車93に噛合している。又、上記第一のキャリア88の径方向に関して外側に設けた、残りの遊星歯車91は、上記内側に設けた遊星歯車89、90よりも軸方向寸法を大きくして、これら両遊星歯車89、90に噛合させている。更に、上記残りの遊星歯車91と上記第一のリング歯車92とを噛合させている。尚、径方向外寄りの遊星歯車を、第一、第二の遊星歯車ユニット51、52同士の間で互いに独立させる代りに、幅広のリング歯車をこれら両遊星歯車に噛合させる構造も、採用可能である。
【0061】
一方、前記第三の遊星歯車式変速ユニット53を構成する為の第二のキャリア94を、前記出力軸55の基端部(図1の左端部)に結合固定している。そして、この第二のキャリア94と上記第一のリング歯車92とを、前記低速用クラッチ83を介して結合している。又、上記伝達軸56の先端寄り(図1〜2の右端寄り)部分に、第三の太陽歯車95を固設している。又、この第三の太陽歯車95の周囲に第二のリング歯車96を配置し、この第二のリング歯車96と前記ケーシング11等の固定の部分との間に、前記高速用クラッチ84を設けている。更に、上記第二のリング歯車96と上記第三の太陽歯車95との間に配置した復数組の遊星歯車97、98を、上記第二のキャリア94に回転自在に支持している。これら各遊星歯車97、98は、互いに噛合すると共に、上記第二のキャリア94の径方向に関して内側に設けた遊星歯車97を上記第三の太陽歯車95に、同じく外側に設けた遊星歯車98を上記第二のリング歯車96に、それぞれ噛合している。
【0062】
上述の様に構成する本例の無段変速装置の場合、入力回転軸1aから1対の入力側ディスク2a、2b、各パワーローラ20、20を介して一体型の出力側ディスク17cに伝わった動力は、前記中空回転軸85を通じて取り出される。そして、上記低速用クラッチ83を接続し、上記高速用クラッチ84の接続を断った状態では、前記トロイダル型無段変速ユニット50の変速比を変える事により、上記入力回転軸1aの回転速度を一定にしたまま、前記出力軸55の回転速度を、停止状態を挟んで正転、逆転に変換自在となる。
【0063】
即ち、この状態では、上記入力回転軸1aと共に正方向に回転する第一のキャリア88と、上記中空回転軸85と共に逆方向に回転する前記第一の太陽歯車87との差動成分が、前記第一のリング歯車92から、上記低速用クラッチ83、上記第二のキャリア94を介して、上記出力軸55に伝達される。この状態では、上記トロイダル型無段変速ユニット50の変速比を所定値にする事で上記出力軸55を停止させられる他、このトロイダル型無段変速ユニット50の変速比を上記所定値から増速側に変化させる事により上記出力軸55を、車両を後退させる方向に回転させられる。これに対して、上記トロイダル型無段変速ユニット50の変速比を上記所定値から減速側に変化させる事により上記出力軸55を、車両を前進させる方向に回転させられる。
【0064】
更に、上記低速用クラッチ83の接続を断ち、上記高速用クラッチ84を接続した状態では、上記出力軸55を、車両を前進させる方向に回転させる。即ち、この状態では、上記入力回転軸1aと共に正方向に回転する第一のキャリア88と、上記中空回転軸85と共にこの第一のキャリア88と逆方向に回転する前記第一の太陽歯車87との差動成分に応じて回転する、前記第一の遊星歯車式変速ユニット51の遊星歯車89の回転が、別の遊星歯車91を介して、前記第二の遊星歯車式変速ユニット52の遊星歯車90に伝わり、前記第二の太陽歯車93を介して、前記伝達軸56を回転させる。そして、この伝達軸56の先端部に設けた第三の太陽歯車95と、この第三の太陽歯車95と共に前記第三の遊星歯車式変速ユニット53を構成する第二のリング歯車96及び遊星歯車97、98との噛合に基づき、前記第二のキャリア94及びこの第二のキャリア94に結合した上記出力軸55を、前進方向に回転させる。この状態では、上記トロイダル型無段変速ユニット50の変速比を増速側に変化させる程、上記出力軸55の回転速度を速くできる。
【0065】
図6は、上記トロイダル型無段変速ユニット50の変速比(減速比)と、無段変速装置全体としての速度比との関係の1例を示している。図6の縦軸は、上記トロイダル型無段変速ユニット50の変速比を、同じく横軸は、排気量が3L程度のエンジンで前記入力回転軸1aを一定回転(5600min-1 )させた場合に於ける理論上の車速(km/h)を、それぞれ表している。
【0066】
この様な図6から明らかな通り、前記低速用クラッチ83を接続し、前記高速用クラッチ84の接続を断った状態で、上記トロイダル型無段変速ユニット50の変速比を0.6程度とする事により、上記入力回転軸1aを回転させた状態のまま、上記出力軸55を停止させる事ができる。又、上記トロイダル型無段変速ユニット50の変速比を、0.6程度を境にして変化させる事により、車両を前進或は後退させる事ができる。更に、上記トロイダル型無段変速ユニット50の変速比が2.2〜2.3程度を境に、上記低速用クラッチ83の接続を断ち、上記高速用クラッチ84を接続した状態で、上記トロイダル型無段変速ユニット50の変速比を増速側に変化させる事により、車両の速度を速くできる。
【0067】
上述の様に構成し作用する、本例の無段変速装置の組立時には、上記トロイダル型無段変速ユニット50及び前記第一、第二の遊星歯車式変速ユニット51、52を、これら各ユニット50〜52を前記ケーシング11内に収納するのに先立って、図4に示す様に、予めこのケーシング11外で組み立てる。即ち、前記アクチュエータボディー62にそれぞれの下端を結合固定した1対の支柱64a、64b(図1〜3参照)により、出力側ディスク17c及び中空回転軸85(図1〜3参照)を回転自在に支持する。又、上記両支柱64a、64bの上下両端部に設けた各支持ポスト部65a、65bに外嵌支持した上下1対の支持板28a、28bにより、複数のトラニオン22、22及びパワーローラ20、20を所定位置に支持する。更に、上記中空回転軸85を挿通した前記入力回転軸1aに、前記押圧装置6a、前記1対の入力側ディスク2a、2b、上記第一、第二の遊星歯車式変速ユニット51、52等を組み付けて、図4に示す様なモジュール99とする。
【0068】
尚、この様なモジュール99を組み立てる際には、上記出力側ディスク17cを上記入力回転軸1aの中間部周囲に、がたつきなく回転自在に支持する事が重要である。そして、この為には、前記各スラストアンギュラ玉軸受61a、61bに適切な予圧を付与すべく、前記各シム板82、82として、適切な厚さ寸法を有するものを使用する事が重要である。そこで、これら各シム板82、82として適切な厚さ寸法を有するものを選択しつつ、前記トロイダル型無段変速ユニット50を組み立てる手順に就いて、図7〜9を参照しつつ説明する。
【0069】
先ず、図7に示す様な治具100を用意する。この治具100は、作業台上に載置自在な基体101の中央部にボルト102を、その雄ねじ部103を上にして、下方から上方に挿通して成る。
第一工程では、図7に示す様に、この様な治具100のボルト102に上記中空回転軸85を、前記第一の太陽歯車87を下にして、緩く外嵌する。そして、同図に示す様に、この中空回転軸85の周囲に、上記第一の遊星歯車式変速ユニット51の側に設ける一方の外側ディスク2bを、ニードル軸受104を介して、上記第一の太陽歯車87を設けていない上側から外嵌する。
【0070】
次いで、第二工程として、図8に示す様に、上記中空回転軸85の中間部周囲に、前記出力側ディスク17cの軸方向一端部を支持する為の第一の支柱64aの支持環部66a及び第一のスラストアンギュラ玉軸受61aを外嵌する。この外嵌作業は、上記中空回転軸85のうちで上記第一の太陽歯車87を設けていない側である上側から、上記支持環部66aを上記一方の外側ディスク2bの側(下側)に位置させた状態で行なう。
そして、図8に示す様に、上記中空回転軸85の中間部外周面で上記第一のスラストアンギュラ玉軸受61aよりも上側に露出している部分に、第一の止め輪86を係止する。
【0071】
次いで、第三工程として、図9に示す様に、上記中空回転軸85に上記出力側ディスク17cを、スプライン係合させつつ外嵌する。そして、この中空回転軸85の端部でこの出力側ディスク17cよりも上側(上記第一の止め輪86と反対側)に突出した部分の外周面に、第二の止め輪86を係止する。この結果、上記出力側ディスク17cが上記中空回転軸85に対し、回転及び軸方向の変位を阻止した状態で外嵌固定される。
【0072】
次いで、第四工程として、図9に示す様に、上記出力側ディスク17cの上端部(軸方向他端部)に、この出力側ディスク17cの軸方向他端部を支持する為の第二の支柱64bの支持環部66b及び第二のスラストアンギュラ玉軸受61bを配置する。この配置作業は、この第二のスラストアンギュラ玉軸受61bを上記出力側ディスク17cの側(下側)に位置させた状態で行なう。
【0073】
次いで、第五工程として、前記ボルト102の上端部に設けた雄ねじ部103にナット105を螺合し、このナット105を所定のトルクで緊締して、座板106を介して上記第二の支柱64bの支持環部66bを、前記第一の支柱64aの支持環部66aに向け押圧する。そして、これら第一、第二の支柱64a、64b同士の間に、上記第一、第二のスラストアンギュラ玉軸受61a、61bに適切な予圧を付与する為に必要な、互いに近付く方向の軸方向荷重を付与する。この状態で、上記第一、第二の支柱64a、64bのうちで、前記各支持板28a、28bにそれぞれ形成した第一、第二の支持孔71a、71bと当接すべき部分である、前記各支持ポスト部65a、65bの互いに反対側周面同士の間の軸方向距離L1 を測定する。尚、この軸方向距離L1 は、上記第一、第二の支柱64a、64bにそれぞれ1対ずつ設けた上記各支持ポスト部65a、65b同士の間で(2個所の軸方向距離に就いて)行なう。この理由は、上記第一、第二の支柱64a、64bの傾斜による影響を排除する為である。
【0074】
又、上記第一、第二の支柱64a、64bの両端部に設けた上記各支持ポスト部65a、65bを内嵌する為に、上記1対の支持板28a、28bにそれぞれ形成した、上記第一、第二の支持孔71a、71bの内周面同士の軸方向距離L2 (図2)を測定しておく。この軸方向距離L2 は、これら第一、第二の支持孔71a、71bの内周面のうちで上記各支持ポスト部65a、65bの外周面と当接すべき部分である、互いに反対側の内周面同士の間で測定する。尚、上記軸方向距離L2 は、上記両支持板28a、28bに就いて行なう。この理由は、これら両支持板28a、28b同士の間での加工誤差の影響をなくす為である。
【0075】
次いで、第六工程として、上記第一、第二の支持孔71a、71bに関する軸方向距離L2 と、上記第五工程で測定した軸方向距離L1 との差(L2 −L1 )に基づいて、前記第二のスラストアンギュラ玉軸受61bの軸方向端面と上記第二の支柱64bの支持環部66bの軸方向片面との間に挟持すべきシム板82の厚さTを計算する。他の部分に設けるシム板82の厚さを変えない場合、この厚さTは、上記両軸方向距離L2 、L1 の差「L2 −L1 」となる。そして、この厚さTを求めると共に、上記第二の支柱64bを取り除く。上記両軸方向距離L2 、L1 を求めた後ならば、上記厚さTを求める為の計算と上記第二の支柱64bの取り除き作業との前後は問わない。
【0076】
次いで、第七工程として、上記第六工程で計算した厚さTを有するシム板82(第四工程でシム板82を仮取付した場合には、このシム板82の厚さに上記Tを加えた厚さを有するシム板82)を、上記第二のスラストアンギュラ玉軸受61bの軸方向端面と上記第二の支柱64bの支持環部66bの軸方向片面との間に挟持する。そして、再び図9に示す様に、上記第二の支柱64bを組み付ける。
次いで、第八工程として、上記第二の支柱64b及び前記第一の支柱64aの両端部に設けた各支持ポスト部65a、65bを、前記1対の支持板28a、28bの第一、第二の支持孔71a、71bに内嵌する。これと共に、これら両支持板23a、23b同士の間に、前記複数のトラニオン22、22の両端部に設けた前記各枢軸27、27を、揺動及び軸方向の変位自在に組み付け支持する。又、上記第一、第二の支柱64a、64bの下端部を前記アクチュエータボディー62に、同じく上端部を前記連結板63に、それぞれ結合支持する。
【0077】
この様にして、第一、第二の支柱64a、64bの上下両端部に、上記アクチュエータボディー62と上記連結板63とを結合支持したならば、次いで、無段変速装置を構成する他の部材、即ち、前記トロイダル型無段変速ユニット50及び前記第一、第二の遊星歯車式変速ユニット51、52の主要部を、前記ケーシング11内に組み込む以前に、このケーシング11外で組み立てる。そして、図4に示す様な、上記無段変速装置の主要部となる、前記モジュール99とする。このモジュール99の組立作業は、上記ケーシング11に邪魔される事なく、広い空間で行なう事ができて、組立作業が容易になる。又、上記モジュール99を組立後、上記ケーシング11内に収納する以前に、このモジュール99の作動状態を確認できる。そして、この作動状態が不良である場合には、上記ケーシング11外の広い空間で、分解・再組立を容易に行なえる。
【0078】
これに対して、上記モジュール99の作動状態が適正であった場合には、このモジュール99を、上記連結板63を上にして上記ケーシング11内に、図5に示した様な、このケーシング11の下端開口から挿入する。そして、前記連結板63の上面に形成した各位置決め凹部77a、77aと前記天板部76の下面に形成した位置決め凹部77b、77bとの間に円筒状の位置決めスリーブ78、78を掛け渡すと共に、前記アクチュエータボディー62の上面幅方向両端寄り部分を、前記各段部74a、74bに突き当てる。そして、上記アクチュエータボディー62のボルト挿通孔75、75を下方から挿通した図示しないボルトを、上記各段部74a、74bに開口したねじ孔に螺合し更に緊締して、上記モジュール79を上記ケーシング11内に固定する。この状態で、前記各支柱64a、64bは、それぞれの上下両端部が上記ケーシング11に対し、三次元方向の位置決めを厳密に図られた状態で固定される。そこで、この固定作業の後、このケーシング11の下端開口は、オイルパン107により塞ぐ。
【0079】
尚、前記第三の遊星歯車式変速ユニット53等、上記モジュール99に含まれない構成部分は、このモジュール99を上記ケーシング11内に組み付けた後、このケーシング11内に組み付ける。又、図示の例では、上記各支柱64a、64bの上部に、前記トラクション部に潤滑油(トラクションオイル)を供給する為の給油ノズル108、108を設けている。これら各給油ノズル108、108には、上記天板部76及び上記連結板63内に設けた給油通路から、上記各位置決め凹部77a、77bと前記各ボルト69、69の中心孔とを通じて、上記潤滑油を送り込む。又、前記各トラニオン22、22の内部に、前記各パワーローラ20、20に関する転がり軸受部に潤滑油を送り込む為の給油通路109、109を設け、上記天板部76内に設けた給油通路から上記各トラニオン22、22内の給油通路109、109に、潤滑油を送り込み自在としている。
【0080】
これに合わせて上記連結板63の下面に、上記各給油通路109、109に向け潤滑油を送り込む為の給油プラグ110、110を設け、上記ケーシング11内への上記モジュール99の組み込みに伴って、上記連結板63側の給油通路と上記各トラニオン22、22側の給油通路109、109とを連通させる様にしている。又、本例の場合、出力側ディスク17cの外周縁及び押圧装置6aの外周縁に、径方向に関する凹凸を円周方向等間隔に設け、上記出力側ディスク17c及び入力側ディスク2a、2bの回転速度を検出自在としている。
【0081】
上述の様にしてケーシング11内に組み込まれるモジュール99を構成する、前記トロイダル型無段変速ユニット50の場合には、出力側ディスク17cの軸方向両端部をスラストアンギュラ玉軸受61a、61bにより1対の支柱64a、64bに支持する事により、この出力側ディスク17cをケーシング11に回転自在に且つ軸方向の変位を阻止した状態で支持する。従って、動力伝達時には、上記出力側ディスク17cの軸方向両側面に対向する各入力側ディスク2a、2bが、この出力側ディスク17cに向けて軸方向に変位する事により、トラクション部に所定の押し付け力を付与しつつ構成各部材の弾性変形に基づくこれら構成各部材の変位を吸収する。この為、前後のキャビティで各パワーローラ20、20の揺動(回動)量をほぼ等しくできる。この結果、各トラニオン22、22の傾斜が前後キャビティで異なる事を防止でき、トロイダル型無段変速ユニット50の効率が低下したり、変速比制御が不安定になる事を防止できる。
【0082】
又、上述の様に各入力側ディスク2a、2bが軸方向に変位する場合には、上記出力側ディスク17cに結合した中空回転軸85の端部に設けた第一の太陽歯車87と、上記各入力側ディスク2a、2bと共に回転する第一のキャリア88に回転自在に支持した遊星歯車89とが軸方向に変位する(滑る)。この様な軸方向変位が行なわれる各歯車87、89同士の噛合部のピッチ円直径は、前述の図15に示した様な中空回転軸38aと出力側ディスク17cとのスプライン係合部のピッチ円直径に比べて大きい。この為、上記噛合部に加わるトルクに基づく円周方向の力(f=T/r、T:トルク、r:半径)が、同じく上記スプライン係合部に加わる円周方向の力に比べて小さくなり、この噛合部に作用する摩擦力(F=μf、μ:摩擦係数)を小さくできる。従って、トルク急変動等の過渡応答時にも、上記出力側ディスク17cと各入力側ディスク2a、2bとの軸方向に関する相対変位を滑らかに行なえ、トラクション部に所定の押し付け力を安定して付与する事ができて、このトラクション部で滑りが生じる事を防止できる。
【0083】
又、上記各歯車87、89の噛合部を介して上記中空回転軸85に加わる軸方向荷重は、この中空回転軸85の外周面と出力側ディスク17cの内周面との間に掛け渡す状態で設けた1対の止め輪86、86を介して、上記出力側ディスク17cに加わり、この出力側ディスク17cの両端部に設けた上記スラストアンギュラ玉軸受61a、61bにより支持される。従って、前述の図15に示した構造の様に、中空回転軸38aの端部に設けた太陽歯車39aの両端部と各入力側ディスク2a、2bと共に回転するキャリア33との間にスラストニードル軸受49、49を設け、このスラストニードル軸受49、49により上記中空回転軸38aに加わる軸方向荷重を支持する場合に比べて、動力損失を低減し、トロイダル型無段変速ユニット50の高効率化を図れる。
【0084】
又、上記出力側ディスク17cと上記中空回転軸85とを別体構造としている為、浸炭処理等の熱処理を施す事により表面に硬化層を形成する作業が面倒になる事もない。又、本例の場合、上記中空回転軸85の端部に上記第一の太陽歯車87を直接形成しているが、これら中空回転軸85及び第一の太陽歯車87の熱処理条件は類似している為、熱処理作業を容易に行なえる。又、上述の様に各止め輪86、86により上記中空回転軸85と上記出力側ディスク17cとを軸方向変位不能に結合している為、特に本例の場合には上記出力側ディスク17cの両端部内周面に形成した大径部81、81内に上記各止め輪86、86を設けている為、ナット等により結合する場合に比べて、結合部の軸方向寸法並びに径方向寸法を大幅に低減できる。この為、トロイダル型無段変速ユニット50の小型化を図れると共に、上記出力側ディスク17cの小径部側のトラクション面が小さくなる事も防止でき、このトロイダル型無段変速ユニット50の変速比幅も十分に確保できる。
【0085】
尚、本例の場合、図10に詳示する様に、上記各止め輪86の径方向寸法Hを、上記各大径部81の内径Dと上記中空回転軸85の外径dとの差の1/2とほぼ同じ大きさ{H≒(D−d)/2}としている。この為、これら各止め輪86、86が運転時に加わる遠心力等に基づいて径方向外方に広がったとしても、これら各止め輪86、86を上記大径部81、81の内周面と上記中空回転軸85の外周面との間から抜け出にくくできる。
【0086】
又、本例の場合には、1対の止め輪86、86により、出力側ディスク17cと上記中空回転軸85との軸方向変位を阻止している。これに対して図11に示す様に、中空回転軸85aの外周面に径方向外方に突出する状態で凸部111を設け、この凸部111と1個の止め輪86とにより上記中空回転軸85aと出力側ディスク17cとの軸方向変位を阻止する事も考えられる。但し、この様に中空回転軸85aに凸部111を設ける場合には、前述した組み立て工程の説明から分る様に、少なくとも一方のスラストアンギュラ玉軸受61aの内径を上記凸部111の外径よりも大きくする必要がある。そして、この様に一方のスラストアンギュラ玉軸受61aの内径を大きくした場合には、これら各スラストアンギュラ玉軸受61a、61b毎に軸受寸法(名番)が異なり、組み立て作業が面倒になったり、組み立て間違えを起こす可能性を生じる。しかも、上記出力側ディスク17cの軸方向両端部は、トラクション面である出力側面18の大きさを確保する必要上、径方向寸法が制限される。この為、この径方向寸法を許容範囲内に収めつつ上記一方のスラストアンギュラ玉軸受61aの外径を大きくする事は、困難な場合もある。一方、上記中空回転軸85a並びに入力回転軸1aの外径を小さくする事により、上記一方のスラストアンギュラ玉軸受61aの外径が大きくなり過ぎない様にする事も考えられる。但し、この様に中空回転軸85a並びに入力回転軸1aの外径を小さくすると、これら中空回転軸並びに入力回転軸85aの強度が低下する可能性がある。これに対して、本例の場合には、1対の止め輪86、86により出力側ディスク17cと中空回転軸85との軸方向変位を阻止している為、各スラストアンギュラ玉軸受61a、61bの軸受寸法を同じとする事ができる他、中空回転軸85並びに入力回転軸1aの外径も十分に確保できる。
【0087】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、軸方向寸法を短縮して、必要とする性能を確保しつつ、小型・軽量化が可能になり、より小型の車体に組み付け可能になる等、トロイダル型無段変速機の実用化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す断面図。
【図2】図1のA部拡大図。
【図3】図1のB−B断面図。
【図4】トロイダル型無段変速ユニットの主要部を組み立てたモジュールの斜視図。
【図5】ケーシングを下方から見た斜視図。
【図6】トロイダル型無段変速ユニットの変速比(減速比)と車速(無段変速装置全体としての変速比)との関係を示す線図。
【図7】トロイダル型無段変速機の組立作業の初期工程を、一部を切断して示す斜視図。
【図8】同じく続く工程を示す断面図。
【図9】同じく終期工程を示す断面図。
【図10】一部を省略して示す、図2のC部拡大図。
【図11】中間ディスクと中空回転軸との結合部分の別例を示す、要部断面図。
【図12】従来から広く知られているトロイダル型無段変速機の基本構成の1例を示す断面図。
【図13】従来から知られている、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速ユニットとを組み合わせて成る無段変速装置の1例を示す略断面図。
【図14】トロイダル型無段変速機の速度比と無段変速装置全体としての速度比との関係を示す線図。
【図15】従来から知られている、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速ユニットとを組み合わせて成る無段変速装置の別例を示す略断面図。
【符号の説明】
1、1a 入力回転軸
2a、2b 入力側ディスク
3 入力側面
4 ボールスプライン
5 転がり軸受
6、6a 押圧装置
7 カム板
8 駆動軸
9 ローディングナット
10 皿板ばね
11 ケーシング
12 隔壁部
13 通孔
14 出力筒
15 転がり軸受
16 出力歯車
17a、17b、17c 出力側ディスク
18 出力側面
19 ニードル軸受
20 パワーローラ
21 周面
22 トラニオン
23、23a 支持軸
24 ラジアルニードル軸受
25 スラスト玉軸受
26 スラストニードル軸受
27 枢軸
28a、28b 支持板
29 アクチュエータ
30 予圧ばね
31、31a トロイダル型無段変速機
32、32a 遊星歯車式変速ユニット
33 キャリア
34a、34b 遊星歯車素子
35 第一の伝達軸
36a、36b 太陽歯車
37 第二の伝達軸
38、38a 中空回転軸
39、39a 太陽歯車
40 遊星歯車素子
41 リング歯車
42 第二のキャリア
43a、43b 遊星歯車素子
44 出力軸
45 第二のリング歯車
46 低速用クラッチ
47 高速用クラッチ
48 円筒ころ軸受
49 スラストニードル軸受
50 トロイダル型無段変速ユニット
51 第一の遊星歯車式変速ユニット
52 第二の遊星歯車式変速ユニット
53 第三の遊星歯車式変速ユニット
54 入力軸
55 出力軸
56 伝達軸
57 折れ曲がり壁部
58 連結部材
59 ねじ
60 外輪
61a、61b 玉軸受
62 アクチュエータボディー
63 連結板
64a、64b 支柱
65a、65b 支持ポスト部
66a、66b 支持環部
67 ボルト
68 凹部
69 ボルト
70 凹部
71a、71b 支持孔
72a、72b、72c 凸部
73 側壁部
74a、74b 段部
75 ボルト挿通孔
76 天板部
77a、77b 位置決め凹部
78 位置決めスリーブ
79a、79b 軌道輪
80 突条部
81a、81b 大径部
82 シム板
83 低速用クラッチ
84 高速用クラッチ
85 中空回転軸
86 止め輪
87 第一の太陽歯車
88 第一のキャリア
89 遊星歯車
90 遊星歯車
91 遊星歯車
92 第一のリング歯車
93 第二の太陽歯車
94 第二のキャリア
95 第三の太陽歯車
96 第二のリング歯車
97 遊星歯車
98 遊星歯車
99 モジュール
100 治具
101 基体
102 ボルト
103 雄ねじ部
104 ニードル軸受
105 ナット
106 座板
107 オイルパン
108 給油ノズル
109 給油通路
110 給油プラグ
111 凸部
112 フランジ
113 凹溝
114 止め輪

Claims (7)

  1. ケーシングと、このケーシング内に回転自在に支持された回転軸と、それぞれが断面円弧形である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態でこの回転軸の軸方向2個所位置に、この回転軸と同期した回転を自在として支持された1対の外側ディスクと、この回転軸の中間部周囲に、断面円弧形である軸方向両側面を上記各外側ディスクの軸方向片側面に対向させた状態で、上記回転軸に対する相対回転を自在に支持された内側ディスクと、軸方向に関してこれら内側ディスクの軸方向両側面と各外側ディスクの軸方向片側面との間位置にそれぞれ複数個ずつ、上記回転軸に対し捩れの位置にある枢軸を中心とする揺動変位を自在に設けられた支持部材と、これら各支持部材に回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を、上記内側ディスクの軸方向両側面と各外側ディスクの軸方向片側面とに当接させたパワーローラと、上記内側ディスクとの間での回転力の伝達を可能に結合した状態で上記回転軸の周囲に配置され、その中間部外周面に上記各外側ディスクのうちの一方の外側ディスクを回転自在に支持した中空回転軸とを備え、この中空回転軸の一端部で上記一方の外側ディスクから突出した部分に設けた歯車を、上記各外側ディスクと共に回転する部材に回転自在に支持した別の歯車に噛合させたトロイダル型無段変速機に於いて、上記内側ディスクの軸方向両側面と上記各外側ディスクの軸方向片側面との間に、それぞれの中間部に支持環部を有する1対の支柱を、この支持環部に上記回転軸を挿通した状態で配置し、これら両支柱の支持環部に上記内側ディスクの軸方向両端部を、玉軸受により回転自在に支持する共に、上記中空回転軸の外周面と上記内側ディスクとの間に止め輪を掛け渡す事により、これら中空回転軸と内側ディスクとを軸方向の相対変位を阻止した状態で結合した事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 内側ディスクの軸方向両端寄り部分にそれぞれ止め輪を設けた、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機。
  3. 各玉軸受の互いに対向する軸方向端面同士の間に止め輪を設けた、請求項1〜2の何れかに記載したトロイダル型無段変速機。
  4. 内側ディスクの端部内周面に他の部分よりも内径の大きい大径部を設け、この大径部に各玉軸受を構成する一方の軌道輪の一部を内嵌固定すると共に、この大径部でこの一方の軌道輪よりも上記内側ディスクの軸方向内側部分に止め輪を設けた、請求項1〜3の何れかに記載したトロイダル型無段変速機。
  5. 止め輪の径方向寸法を、大径部の内径と中空回転軸の外径との差の1/2とほぼ同じ大きさとした、請求項4に記載したトロイダル型無段変速機。
  6. トロイダル型無段変速ユニットと遊星歯車式変速ユニットとを組み合わせると共に、このうちのトロイダル型無段変速ユニットの回転軸に繋がる入力軸と、上記遊星歯車式変速ユニットの構成部材に繋がる出力軸とを備え、
    このうちのトロイダル型無段変速ユニットは、請求項1〜5の何れかに記載されたトロイダル型無段変速機であり、
    上記遊星歯車式変速ユニットは、上記トロイダル型無段変速ユニットの回転軸と内側ディスクとから動力を伝達されるものであって、動力の伝達経路を2系統に切り換える切換手段を有するものである
    無段変速装置。
  7. 遊星歯車式変速ユニットは、トロイダル型無段変速ユニットを構成する1対の外側ディスクにこれら両外側ディスクと同心に結合されてこれら両外側ディスクと共に回転するキャリアと、このキャリアの軸方向両側面のうちで一方の外側ディスクに対向する軸方向片面に回転自在に支持された複数の第一の遊星歯車と、上記トロイダル型無段変速ユニットを構成する回転軸の周囲に配置された中空回転軸により内側ディスクに結合された状態で上記各ディスクと同心に且つ回転自在に設けられ、上記各第一の遊星歯車と噛合した第一の太陽歯車と、上記キャリアの他面に回転自在に支持された複数の第二の遊星歯車と、上記各ディスクと同心に且つ回転自在に設けられてこれら各第二の遊星歯車と噛合した第二の太陽歯車と、上記各ディスクと同心に且つ回転自在に設けられて上記各第一の遊星歯車と噛合したリング歯車とを備えたものであり、
    切換手段は、上記リング歯車を通じて上記内側ディスクから取り出した動力を出力軸に伝達するモードと、上記第二の太陽歯車を通じてこの内側ディスクから取り出した動力を出力軸に伝達するモードとを選択するものである、
    請求項6に記載した無段変速装置。
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