JP2004084710A - トロイダル型無段変速機及び無段変速装置 - Google Patents

トロイダル型無段変速機及び無段変速装置 Download PDF

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Abstract

【課題】組立作業の容易化により、コスト低減を図る。
【解決手段】アクチュエータボディー30の上面と連結板48の下面との間に、1対の支柱43を掛け渡す。これら両支柱43を利用して上記アクチュエータボディー30の上面に、トロイダル型無段変速ユニット33を設ける。各部を凹凸係合させて上記両支柱43の水平方向の位置決めを図ると共に、各部の寸法を規制して同じく上下方向の位置決めを図る。この構成により、熟練した作業者でなくても、上記トロイダル型無段変速ユニット33の構成各部材の位置関係を厳密に規制できる様にして、上記課題を解決する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明に係るトロイダル型無段変速機及び無段変速装置は、自動車用自動変速装置として、或はポンプ等の各種産業機械の運転速度を調節する為の変速装置として利用する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用変速機を構成する変速機の一種としてトロイダル型無段変速機が知られ、一部で実施されている。この様な既に一部で実施されているトロイダル型無段変速機は、入力部から出力部への動力の伝達を互いに平列に設けられた2系統に分けて行なう、所謂ダブルキャビティ型と呼ばれているものである。この様なトロイダル型無段変速機は従来から、特開平2−283949号公報、同8−4869号公報、同8−61453号公報等、多数の公報に記載されて周知であるが、その基本構造に就いて、図7により説明する。
【0003】
この図7に示したトロイダル型無段変速機は、特許請求の範囲に記載した回転軸に相当する入力回転軸1を有する。そして、この入力回転軸1の中間部基端寄り(図7の左寄り)部分及び先端寄り(図7の右寄り)部分の周囲に、それぞれが特許請求の範囲に記載した外側ディスクに相当する入力側ディスク2a、2bを支持している。これら両入力側ディスク2a、2bは上記入力回転軸1に対し、それぞれが特許請求の範囲に記載した軸方向片側面であってトロイド曲面である入力側面3、3同士を互いに対向させた状態で、それぞれボールスプライン4、4を介して支持している。従って上記両入力側ディスク2a、2bは、上記入力回転軸1の周囲に、この入力回転軸1の軸方向の変位自在に、且つ、この入力回転軸1と同期した回転自在に支持されている。
【0004】
又、上記入力回転軸1の基端部(図7の左端部)と上記入力側ディスク2aの外側面との間に、転がり軸受5と、ローディングカム式の押圧装置6とを設けている。そして、この押圧装置6を構成するカム板7を、駆動軸8により回転駆動自在としている。これに対して、上記入力回転軸1の先端部(図7の右端部)と上記別の入力側ディスク2bの外側面との間に、ローディングナット9と、大きな弾力を有する皿板ばね10とを設けている。
【0005】
上記入力回転軸1の中間部は、トロイダル型無段変速機を収納したケーシング11(本発明の実施の形態を示す図1〜3、5参照)内に設置した隔壁部12に設けた通孔13を挿通している。この通孔13の内径側には円筒状の出力筒28を、1対の転がり軸受14、14により回転自在に支持しており、この出力筒28の中間部外周面に出力歯車15を固設している。又、この出力筒28の両端部で上記隔壁部12の両外側面から突出した部分に、特許請求の範囲に記載した内側ディスクに相当する出力側ディスク16a、16bを、スプライン係合により、上記出力筒28と同期した回転自在に支持している。
【0006】
この状態で、特許請求の範囲に記載した軸方向両側面であってそれぞれがトロイド曲面である、上記各出力側ディスク16a、16bの出力側面17、17が、前記各入力側面3、3に対向する。又、これら両出力側ディスク16a、16bの内周面のうちで上記出力筒28の端縁よりも突出した部分と上記入力回転軸1の中間部外周面との間に、それぞれニードル軸受18、18を設けている。そして、上記各出力側ディスク16a、16bに加わる荷重を支承しつつ、上記入力回転軸1に対するこれら各出力側ディスク16a、16bの回転及び軸方向変位を自在としている。
【0007】
又、上記入力回転軸1の周囲で上記入力、出力両側面3、17同士の間部分(キャビティ)に、それぞれ複数個(一般的には2個又は3個)ずつのパワーローラ19、19を配置している。これら各パワーローラ19、19はそれぞれ、上記入力、出力両側面3、17に当接する周面29、29を球状凸面とされたもので、特許請求の範囲に記載した支持部材であるトラニオン20、20の側面部分に、変位軸21、21と、ラジアルニードル軸受22、22と、スラスト玉軸受23、23と、スラストニードル軸受24、24とにより、回転及び若干の揺動変位自在に支持されている。即ち、上記各変位軸21、21は、基半部と先半部とが互いに偏心した偏心軸であり、このうちの基半部を上記各トラニオン20、20の中間部に、図示しない別のラジアルニードル軸受により、揺動変位自在に支持している。
【0008】
上記各パワーローラ19、19は、この様な変位軸21、21の先半部に、上記ラジアルニードル軸受22、22と上記スラスト玉軸受23、23とにより、回転自在に支持している。又、構成各部材の弾性変形に基づく、上記入力回転軸1の軸方向に関する上記各パワーローラ19、19の変位を、上記別のラジアルニードル軸受と上記各スラストニードル軸受24、24とにより、自在としている。
【0009】
更に、上記各トラニオン20、20は、(図7で表裏方向の)両端部に設けた枢軸32、32(本発明の実施の形態を示す図3参照)を、前記ケーシング11内に設置した支持板25a、25b(本発明の実施の形態を示す図1〜4参照)に、揺動並びに軸方向の変位自在に支持している。即ち、上記各トラニオン20、20は、図7の時計方向及び反時計方向の揺動変位自在に支持すると共に、アクチュエータボディー30(本発明の実施の形態を示す図1〜4参照)に収納した油圧式のアクチュエータ31、31(本発明の実施の形態を示す図3参照)により、上記枢軸32、32の軸方向(図1〜4の上下方向、図7の表裏方向)に変位させられる様にしている。
【0010】
上述の様に構成するトロイダル型無段変速機の運転時には、前記駆動軸8により前記入力側ディスク2aを、前記押圧装置6を介して回転駆動する。この押圧装置6は、軸方向の推力を発生させつつ上記入力側ディスク2aを回転駆動するので、上記入力側ディスク2aを含む1対の入力側ディスク2a、2bが、前記各出力側ディスク16a、16bに向け押圧されつつ、互いに同期して回転する。この結果、上記各入力側ディスク2a、2bの回転が、上記各パワーローラ19、19を介して上記各出力側ディスク16a、16bに伝わり、前記出力筒28を介してこれら各出力側ディスク16a、16bと結合された、前記出力歯車15が回転する。
【0011】
運転時には上記押圧装置6が発生する推力により、上記各パワーローラ19、19の周面29、29と上記入力、出力両側面3、17との各当接部の面圧が確保される。又、この面圧は、上記駆動軸8から上記出力歯車15に伝達する動力(トルク)が大きくなる程高くなる。この為、トルク変化に関わらず、良好な伝達効率を得られる。又、伝達すべきトルクが0若しくは僅少の場合にも、前記皿板ばね10及び上記押圧装置6の内径側に設けた予圧ばね26により、上記各当接部の面圧を或る程度確保する。従って、上記各当接部でのトルク伝達は、起動直後から、過大な滑りを伴う事なく、円滑に行なわれる。
【0012】
上記駆動軸8とこの出力歯車15との間の変速比を変える場合には、前記アクチュエータ31、31(図3参照)により上記各トラニオン20、20を、図7の表裏方向に変位させる。この場合、図7の上半部のトラニオン20、20と下半部のトラニオン20、20とは、互いに逆方向に、同じ量だけ変位させる。この変位に伴って、上記各パワーローラ19、19の周面29、29と上記入力、出力両側面3、17との当接部の接線方向に加わる力の向きが変化する。そして、この接線方向の力によって、上記各トラニオン20、20が、それぞれの両端部に設けた枢軸32、32を中心として揺動する。
【0013】
この揺動に伴って、上記各パワーローラ19、19の周面29、29と上記入力、出力両側面3、17との当接部の、これら両側面3、17の径方向に関する位置が変化する。これら各当接部が、上記入力側面3の径方向外側に、上記出力側面17の径方向内側に、それぞれ変化する程、上記変速比は増速側に変化する。これに対して、図7に示す様に、上記各当接部が、上記入力側面3の径方向内側に、上記出力側面17の径方向外側に、それぞれ変化する程、上記変速比は減速側に変化する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
図7に示した従来構造の場合、出力筒28を隔壁部12に回転自在に支持すると共に、1対の出力側ディスク16a、16bをこの隔壁部12の両側に配置し、更に各パワーローラ19、19をこの隔壁部12の両側に配置している。これに伴って、支持板25a、25b並びにトラニオン20、20等をケーシング内11内に組み付ける作業が面倒になる。即ち、このケーシング11内にトロイダル型無段変速機を組み付けるには、このケーシング11の奥側(図1〜2の上側)の支持板25aをこのケーシング11に組み付けると共に、上記出力筒28を上記隔壁部12に組み付けた後、この出力筒28に1対の出力側ディスク16a、16bを組み付けた状態で入力側回転軸1を挿通し、更に、4個のトラニオン20、20、アクチュエータボディー30側(図1〜2の下側)の支持板25b、アクチュエータボディー30、1対の入力側ディスク2a、2bを順次組み付ける必要がある。
【0015】
この様にして行なう各部材の組み付け作業は、上記ケーシング11内の限られた(狭い)空間で行なわなければならず、面倒である。しかも、組み付け後に部品の寸法誤差や組み付け不良等に基づく動作不良が見つかった場合の対応も面倒になる。即ち、トロイダル型無段変速機に所期の性能を発揮させる為には、構成各部材の位置関係を極めて厳密に規制する必要があり、組立後には各部同士の位置関係が正確か、更には各部が正確に動作するかの計測を行なう必要がある。この計測作業に伴って作動不良が見つかった場合には、組み立てた部品を分解し、必要に応じて(寸法調整用のシムを変える等)組み合わせる部品を変える等により、再組立を行なう必要がある。この様な分解・再組立作業は、何れも上記ケーシング11内の限られた空間で行なわなければならず、やはり面倒である。特に、変速比の増大や耐久性並びに伝達効率の向上を目的として、トロイダル型無段変速機と遊星歯車機構とを組み合わせた無段変速装置の場合、組み合わせる部品点数が多くなる為、上述の様な問題が顕著になる。
【0016】
更に、図7に示した従来構造の場合には、1対の出力側ディスク16a、16bの外側面27、27同士の間に、出力歯車15に加えて、1対の転がり軸受14、14、並びにこの転がり軸受14、14を支持する為の隔壁部12を設置している為、上記両外側面27、27同士の間隔D27が大きくなる。この為、トロイダル型無段変速機の軸方向寸法が嵩み、このトロイダル型無段変速機が大型化し重量が増大する。この様な大型化及び重量の増大は、上記間隔D27の増大によるものだけでなく、上記各出力側ディスク16a、16bの軸方向の厚さが嵩む事でも生じる。この理由は、次の通りである。
【0017】
図7に示した、トロイダル型無段変速機の減速状態で、各パワーローラ19、19の周面29、29は、上記各出力側ディスク16a、16bの出力側面17、17の外径寄り部分に当接した状態で、これら各出力側面17、17を押圧する。この為、上記各出力側ディスク16a、16bには、出力筒28とのスプライン係合部を中心とする、大きなモーメントが加わる。この様な大きなモーメントに拘らず、変速比のずれを抑えると共に上記各出力側ディスク16a、16bの耐久性を確保する為には、これら各出力側ディスク16a、16bの弾性変形を抑える必要がある。そして、この為には、これら各出力側ディスク16a、16bの軸方向に関する厚さ寸法を大きくして、これら各出力側ディスク16a、16bの剛性を高くする必要がある。この様な理由により、これら各出力側ディスク16a、16bの軸方向に関する厚さ寸法を大きくすると、その分、上述の様にトロイダル型無段変速機が大型化する。
【0018】
これに対して特開2001−116097号公報には、一体型の出力側ディスクを入力側回転軸の中間部周囲に、それぞれ1対ずつのラジアルニードル軸受及びスラストニードル軸受により回転自在に支持する構造が記載されている。この様な上記公報に記載された構造によれば、図7に示した従来構造から隔壁部12を省略すると共に出力側ディスクの軸方向寸法の短縮化も可能になる為、トロイダル型無段変速機全体としての小型・軽量化を図れる。但し、上記特開2001−116097号公報に記載された構造の場合には、組立作業の容易化を図る事に就いての考慮はなされていない。
【0019】
即ち、トロイダル型無段変速機の場合には、構成各部の位置関係を10μm単位で厳密に規制する必要がある。この位置関係の精度が不良であると、変速動作が不安定になったり、各ディスク同士の間の変速比が不一致になって伝達効率並びに耐久性が低下する原因となる。これに対して、上記特開2001−116097号公報に記載された構造の場合には、上記位置関係を、容易に且つ正確に規制する事に就いて特に考慮していない。この為、優れた伝達効率並びに耐久性を備えたトロイダル型無段変速機を得る為には、組立作業が面倒になり、コストが嵩む事が避けられないと考えられる。
本発明は、この様な事情に鑑みて、優れた伝達効率並びに耐久性を備え、小型・軽量化が可能で、しかも組立作業が容易な、トロイダル型無段変速機及び無段変速装置を実現すべく発明したものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明のトロイダル型無段変速機は、前述した従来から知られているトロイダル型無段変速機と同様に、ケーシングと、回転軸と、1対の外側ディスクと、内側ディスクと、複数の支持部材と、複数のパワーローラとを備える。
このうちのケーシングは、奥壁部の両側に1対の側壁部の基端縁を連続させ、これら両側壁部の先端縁同士の間を、蓋部材により密閉自在な開口部としている。
又、上記回転軸は、上記ケーシング内に回転自在に支持されている。
又、上記各外側ディスクは、それぞれが断面円弧形である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態で上記回転軸に、この回転軸と同期した回転を自在として支持されている。
又、上記内側ディスクは、上記回転軸の中間部周囲に、断面円弧形である軸方向両側面を上記各外側ディスクの軸方向片側面に対向させた状態で、上記回転軸に対する相対回転を自在に支持されている。
又、上記各支持部材は、軸方向に関して上記内側ディスクの軸方向両側面と上記各外側ディスクの軸方向片側面との間位置にそれぞれ複数個ずつ、上記回転軸に対し捩れの位置にある枢軸を中心とする揺動変位を自在に設けられている。
更に、上記各パワーローラは、上記各支持部材に回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を、上記内側ディスクの軸方向両側面と上記各外側ディスクの軸方向片側面とに当接させている。
【0021】
特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、上記内側ディスクの軸方向両側面と上記各外側ディスクの軸方向片側面との間に、それぞれの中間部に支持環部を有する1対の支柱を、この支持環部に上記回転軸を挿通した状態で配置している。そして、これら両支柱の先端部を上記奥壁部の内面に、直接又は他の部材を介して、凹凸係合に基づき上記ケーシングの長さ方向及び幅方向の位置決めをした状態で突き合わせている。又、上記両支柱の基端部を、上記ケーシング内で上記開口部寄り部分に固定した部材に結合している。そして、上記両支柱の支持環部に上記内側ディスクの軸方向両端部を、回転自在に支持している。
【0022】
又、本発明の無段変速装置は、トロイダル型無段変速ユニットと遊星歯車式変速ユニットとを組み合わせると共に、このうちのトロイダル型無段変速ユニットの回転軸に繋がる入力軸と、上記遊星歯車式変速ユニットの構成部材に繋がる出力軸とを備える。
そして、このうちのトロイダル型無段変速ユニットは、上述の様なトロイダル型無段変速機である。
又、上記遊星歯車式変速ユニットは、上記トロイダル型無段変速ユニットの回転軸と内側ディスクとから動力を伝達されるものであって、動力の伝達経路を2系統に切り換える切換手段を有する。
【0023】
【作用】
上述の様に本発明のトロイダル型無段変速機及び無段変速装置の場合には、1対の支柱により内側ディスクを回転自在に支持する為、前述した従来構造の如く、1対の内側ディスク同士の間に、転がり軸受、並びにこの転がり軸受を支持する為の隔壁部を設置する必要がなくなる。従って、これら両内側ディスク同士の間隔を縮めたり、内側ディスクを一体化する事も可能になって、トロイダル型無段変速機の小型・軽量化を図れる。しかも、上記両支柱の位置決めを、容易且つ正確に行なえる為、優れた伝達効率並びに耐久性を備え、しかも小型・軽量化が可能なトロイダル型無段変速機を低コストで造れる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1〜5は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、図1〜3には縦横比等の寸法関係を、実際の寸法関係で示している。又、斜視図である図4〜5に関しても、この寸法関係を、ほぼ実際の寸法関係に則して描いている。本例の無段変速装置は、特許請求の範囲に記載したトロイダル型無段変速機に対応するトロイダル型無段変速ユニット33と、第一〜第三の遊星歯車式変速ユニット34〜36とを組み合わせて成り、特許請求の範囲に記載した回転軸に相当する入力回転軸1aと、出力軸37とを有する。図示の例では、これら入力回転軸1aと出力軸37との間に伝達軸38を、これら両軸1a、37と同心に、且つ、これら両軸1a、37に対する相対回転を自在に設けている。そして、上記第一、第二の遊星歯車式変速ユニット34、35を上記入力回転軸1aと上記伝達軸38との間に掛け渡す状態で、上記第三の遊星歯車式変速ユニット36をこの伝達軸38と上記出力軸37との間に掛け渡す状態で、それぞれ設けている。
【0025】
このうちのトロイダル型無段変速ユニット33は、それぞれが特許請求の範囲に記載した外側ディスクである1対の入力側ディスク2a、2bと、一体型の出力側ディスク16cと、複数のパワーローラ19、19とを備える。そして、上記1対の入力側ディスク2a、2bは、上記入力回転軸1aを介して互いに同心に、且つ、同期した回転を自在として結合されている。又、上記出力側ディスク16cは、上記両入力側ディスク2a、2b同士の間に、これら両入力側ディスク2a、2bと同心に、且つ、これら両入力側ディスク2a、2bに対する相対回転を自在として支持されている。更に、上記各パワーローラ19、19は、軸方向に関して上記出力側ディスク16cの軸方向両側面と上記両入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面との間に、それぞれ複数個ずつ挟持されている。そして、これら両入力側ディスク2a、2bの回転に伴って回転しつつ、これら両入力側ディスク2a、2bから上記出力側ディスク16cに動力を伝達する。
【0026】
又、本例の場合、図3に示す様に、上記各パワーローラ19、19を支持するトラニオン20、20の長さ方向両端部に設けた、1対の折れ曲がり壁部39、39の先端部同士を、連結部材40、40により連結している。この様な連結部材40は、上記パワーローラ19を跨ぐ様に設けると共に、その両端面を上記トラニオン20の各折れ曲がり壁部39、39の互いに対向する内側面に突き当てた状態で、ねじ41、41により、上記各トラニオン20、20に結合固定している。この様な連結部材40、40を設けた本例の場合には、これら各トラニオン20、20の曲げ剛性の向上を図れ、これら各トラニオン20、20を弾性変形しにくくできる。この結果、これら各トラニオン20、20の変形に基づく変位軸21aの傾斜を防止し、この変位軸21aの先半部に支持した上記各パワーローラ19、19の位置がずれるのを抑える事ができるので、変速動作を安定させる事ができる。尚、本例の場合、上記変位軸21aと、上記パワーローラ19を回転自在に支持するスラスト玉軸受23を構成する外輪とを、一体に形成している。
【0027】
更に、本例の場合には、上記出力側ディスク16cの軸方向両端部を、1対のスラストアンギュラ玉軸受42、42等の転がり軸受により、回転自在に支持している。この為に本例の場合には、上記各トラニオン20、20の両端部を支持する為の1対の支持板25a、25bを支持する為にケーシング11の内側に、アクチュエータボディー30を介して1対の支柱43、43を設けている。これら各支柱43、43はそれぞれ、前記入力回転軸1aを挟んで径方向反対側に、互いに同心に設けられた1対の支持ポスト部44a、44bを、円環状の支持環部45により連結して成る。上記入力回転軸1aは、この支持環部45の内側を挿通している。
【0028】
又、上記各支柱43、43の下端部は、上記アクチュエータボディー30の上面に、それぞれ複数本ずつのボルト46、46により、取付位置並びに取付方向を規制した状態で結合固定している。この為に上記アクチュエータボディー30の上面には、上記各支柱43、43の下端部をがたつきなく内嵌する為の凹部47、47を形成している。又、これら各支柱43、43の下端部には、下端面に開口する複数のねじ孔を形成している。これら各支柱43、43は、それぞれの下端部を上記各凹部47、47に内嵌した状態で、上記アクチュエータボディー30を下方から挿通して上記各ねじ孔に螺合し、更に緊締した上記各ボルト46、46により、上記アクチュエータボディー30の上面の所定位置に固定している。
【0029】
これに対して上記各支柱43、43の上端部は、連結板48の下面に、それぞれボルト49、49により、取付位置を規制した状態で結合固定している。この為に上記連結板48の下面には、上記各支柱43、43の上端部をがたつきなく内嵌する為の凹部50、50を形成している。又、これら各支柱43、43の上端部には、上端面中央部に開口する1個ずつのねじ孔を形成している。これら各支柱43、43は、それぞれの上端部を上記各凹部50、50に内嵌した状態で、上記連結板48を上方から挿通して上記各ねじ孔に螺合し、更に緊締した上記各ボルト49、49により、上記連結板48の下面の所定位置に固定している。トロイダル型無段変速機の組立時にこの連結板48は、後述する様に、特許請求の範囲に記載した奥壁部である天板部55の内面(下面)に、凹凸係合により位置決めした状態で突き合わせる。
【0030】
上記1対の支柱43、43は、上述の様に上記アクチュエータボディー30の上面と上記連結板48の下面との間に、位置規制して掛け渡す様に連結固定している。この状態で、上記各支柱43、43の両端部近傍に設けた、前記各支持ポスト部44a、44bのうち、下側の支持ポスト部44a、44aは上記アクチュエータボディー30の上面の直上位置に存在する。そして、上記両支柱43、43の支持ポスト部44a、44aに、前記1対の支持板25a、25bのうちの下側の支持板25bに形成した支持孔51b、51bを、がたつきなく外嵌している。又、上側の支持ポスト部44b、44bは上記連結板48の下面の直下位置に存在する。そして、上記両支柱43、43の支持ポスト部44b、44bに、前記1対の支持板25a、25bのうちの上側の支持板25aに形成した支持孔51a、51aを、がたつきなく外嵌している。
【0031】
尚、図示の例では、上記下側の支持板25bに、前記各トラニオン20、20の傾斜角度を制限する為のストッパとして機能する、凸部52a、52b、52c(図4)を突設している。即ち、上記支持板25bの幅方向(図1〜2の表裏方向、図3の左右方向)両側縁部の、前後方向(図1〜2の左右方向、図3の表裏方向)両端部と中央部との3個所位置に、上記凸部52a、52b、52cを形成している。これら各凸部52a、52b、52cは、上記各トラニオン20、20がそれぞれの両端部に設けた枢軸32、32を中心として過度に傾斜する事を防止する為のストッパとして機能するものである。そして、上記各トラニオン20、20に支持したパワーローラ19、19の周面29、29が、前記入力側ディスク2a、2b、出力側ディスク16cの入力、出力各側面3、17からこれら各ディスク2a、2b、16cの径方向外方に外れる事を防止する。
【0032】
又、上記1対の支柱43、43により互いに結合された、上記アクチュエータボディー30と上記連結板48とのうち、アクチュエータボディー30は前記ケーシング11の下部に、三次元方向に関する位置決めをした状態で固定している。この為に、このケーシング11を構成する1対の側壁部82、82の内面の下端開口寄り部分に段部53a、53bを、上記アクチュエータボディー30の幅方向(図1〜2の表裏方向、図3の左右方向)両端寄り部分にボルト挿通孔54、54(図4)を、それぞれ形成している。上記アクチュエータボディー30を上記ケーシング11内に固定する際には、このアクチュエータボディー30の上面幅方向両端寄り部分を上記各段部53a、53bに突き当てる。そして、上記各ボルト挿通孔54、54を下方から挿通した図示しないボルトを、上記各段部53a、53bに開口したねじ孔に螺合し更に緊締する。
【0033】
上記三次元方向に関する位置決めのうち、長さ方向(図1、2、5の左右方向、図3の表裏方向)及び幅方向(図1、2の表裏方向、図3の左右方向、図5の上下方向)に関する位置決めは、上記アクチュエータボディー30と上記各段部53a、53bとの間の2箇所以上に掛け渡す状態で設けたノックピン(図示せず)により図っている。又、上下方向(図1〜3の上下方向)に関する位置決めは、上記各段部53a、53bと前記各支柱43、43の支持環部45、45の中心との上下方向に関する距離L を厳密に規制する事により実現する。又、この距離L を規制する事は、上記アクチュエータボディー30の厚さ方向の寸法に関して、前記各凹部47、47の底面と上面(各段部53a、53bとの当接面)との距離L を規制し、上記各支柱43、43の上下方向の寸法に関して、下端面(各凹部47、47の底面との当接面)と上記支持環部45、45の中心との距離L を規制する事により実現する。上記各支柱43、43の下端面を上記各凹部47、47の底面に突き合わせ(密接させ)た状態では、L =L +L であるから、これら各凹部47、47の内径及び上記各支柱43、43の下端部の外径を適切に(上記下端面と底面とが密接する様に)規制し、距離L 、L を厳密に規制すれば、上記各支持環部45、45の中心、即ち、前記出力側ディスク16cの回転中心の上下方向位置を厳密に規制できる。
【0034】
一方、上記連結板48は上記ケーシング11内に、凹凸係合に基づいて長さ方向及び幅方向の位置を規制した状態で設置されている。この位置規制を行なう為に、上記連結板48の上面と、上記ケーシング11の天板部55の下面との、互いに対向する部分に、それぞれ位置決め凹部56a、56bを形成している。これら各位置決め凹部56a、56bは、それぞれ円形の平面形状を有する。上記アクチュエータボディー30を上記ケーシング11内に固定した状態で、上記連結板48の上面に形成した各位置決め凹部56a、56aと、上記天板部55の下面に形成した位置決め凹部56b、56bとの間に円筒状の位置決めスリーブ57、57を、両位置決め凹部56a、56bに対し何れもがたつきなく内嵌した状態で、掛け渡している。この構造により、前記1対の支柱43、43の上下両端部を上記ケーシング11に対し、長さ方向、幅方向、上下方向(三次元方向)に関する位置決めをした状態で支持固定している。
【0035】
この様にして上記ケーシング11内の所定位置に固定した1対の支柱43、43の中間部に設けられ、それぞれが前記入力側ディスク2a、2bと前記出力側ディスク16cとの側面同士の間に存在する各キャビティ(空間)の中央部に存在する前記各支持環部45、45により、上記出力側ディスク16cを、回転自在に支持している。この為に、これら各支持環部45、45とこの出力側ディスク16cの軸方向両端面、即ち、この出力側ディスク16cの軸方向両側面に設けた出力側面17、17よりも内径側部分との間に、前記各スラストアンギュラ玉軸受42、42を設けている。図示の例の場合、これら各スラストアンギュラ玉軸受42、42を構成する1対の軌道輪58a、58bの外側面(互いに反対側の側面)の内径寄り部分に短円筒状の突条部59、59(図2)を、全周に亙って形成している。
【0036】
そして、これら各突条部59、59を、上記各支持環部45、45及び上記出力側ディスク16cの端部にがたつきなく内嵌する事により、上記各スラストアンギュラ玉軸受42、42の径方向に関する位置決めを図っている。又、一方の軌道輪58a、58aの外側面と上記各支持環部45、45との間にシム板60、60(図2)を挟持して、上記各スラストアンギュラ玉軸受42、42の軸方向に関する位置決めを図っている。又、この状態で、これら各スラストアンギュラ玉軸受42、42に、所望の予圧を付与している。従って上記出力側ディスク16cは、各キャビティ内に1対ずつ設けた上記各支柱43、43同士の間に、径方向及び軸方向に関する位置決めを図られた状態で、回転自在に支持されている。
【0037】
又、図示の無段変速装置の場合、前記入力回転軸1aの基端部(図1の左端部)を図示しないエンジンのクランクシャフトに、駆動軸61を介して結合し、このクランクシャフトにより上記入力回転軸1aを回転駆動する様にしている。又、前記両入力側ディスク2a、2bの軸方向片側面及び上記出力側ディスク16cの軸方向両側面と上記各パワーローラ19、19の周面との転がり接触部(トラクション部)に適正な面圧を付与する為の押圧装置6aとして、油圧式のものを使用している。又、ギヤポンプ等の図示しない油圧源により、この押圧装置6a及び変速の為にトラニオン20、20を変位させる為の油圧式のアクチュエータ31、31、並びに後述する低速用クラッチ62及び高速用クラッチ63を断接させる為の油圧シリンダに、圧油を供給自在としている。
【0038】
又、上記出力側ディスク16cに中空回転軸64の基端部(図1〜2の左端部)をスプライン係合させている。そして、この中空回転軸64を、エンジンから遠い側(図1〜2の右側)の入力側ディスク2bの内側に挿通して、上記出力側ディスク16cの回転力を取り出し自在としている。更に、上記中空回転軸64の先端部(図1〜2の右端部)で上記入力側ディスク2bの外側面から突出した部分に、前記第一の遊星歯車式変速ユニット34を構成する為の、第一の太陽歯車65を固設している。
【0039】
一方、上記入力回転軸1aの先端部(図1〜2の右端部)で上記中空回転軸64から突出した部分と上記入力側ディスク2bとの間に、第一のキャリア66を掛け渡す様に設けて、この入力側ディスク2bと上記入力回転軸1aとが、互いに同期して回転する様にしている。そして、上記第一のキャリア66の軸方向両側面の円周方向等間隔位置(一般的には3〜4個所位置)に、それぞれがダブルピニオン型である前記第一、第二の遊星歯車式変速ユニット34、35を構成する為の遊星歯車67〜69を、回転自在に支持している。更に、上記第一のキャリア66の片半部(図1〜2の右半部)周囲に第一のリング歯車70を、回転自在に支持している。
【0040】
上記各遊星歯車67〜69のうち、前記トロイダル型無段変速ユニット33寄り(図1〜2の左寄り)で上記第一のキャリア66の径方向に関して内側に設けた遊星歯車67は、上記第一の太陽歯車65に噛合している。又、上記トロイダル型無段変速ユニット33から遠い側(図1〜2の右側)で上記第一のキャリア66の径方向に関して内側に設けた遊星歯車68は、前記伝達軸38の基端部(図1の左端部)に固設した第二の太陽歯車71に噛合している。又、上記第一のキャリア66の径方向に関して外側に設けた、残りの遊星歯車69は、上記内側に設けた遊星歯車67、68よりも軸方向寸法を大きくして、これら両歯車67、68に噛合させている。更に、上記残りの遊星歯車69と上記第一のリング歯車70とを噛合させている。尚、径方向外寄りの遊星歯車を、第一、第二の遊星歯車式変速ユニット34、35同士の間で互いに独立させる代りに、幅広のリング歯車をこれら両遊星歯車に噛合させる構造も、採用可能である。
【0041】
一方、前記第三の遊星歯車式変速ユニット36を構成する為の第二のキャリア72を、前記出力軸37の基端部(図1の左端部)に結合固定している。そして、この第二のキャリア72と上記第一のリング歯車70とを、前記低速用クラッチ62を介して結合している。又、上記伝達軸38の先端寄り(図1〜2の右端寄り)部分に第三の太陽歯車73を固設している。又、この第三の太陽歯車73の周囲に、第二のリング歯車74を配置し、この第二のリング歯車74と前記ケーシング11等の固定の部分との間に、前記高速用クラッチ63を設けている。更に、上記第二のリング歯車74と上記第三の太陽歯車73との間に配置した復数組の遊星歯車75、76を、上記第二のキャリア72に回転自在に支持している。これら各遊星歯車75、76は、互いに噛合すると共に、上記第二のキャリア72の径方向に関して内側に設けた遊星歯車75を上記第三の太陽歯車73に、同じく外側に設けた遊星歯車76を上記第二のリング歯車74に、それぞれ噛合している。
【0042】
上述の様に構成する本例の無段変速装置の場合、入力回転軸1aから1対の入力側ディスク2a、2b、各パワーローラ19、19を介して一体型の出力側ディスク16cに伝わった動力は、前記中空回転軸64を通じて取り出される。そして、前記低速用クラッチ62を接続し、前記高速用クラッチ63の接続を断った状態では、前記トロイダル型無段変速ユニット33の変速比を変える事により、上記入力回転軸1aの回転速度を一定にしたまま、前記出力軸37の回転速度を、停止状態を挟んで正転、逆転に変換自在となる。
【0043】
即ち、この状態では、上記入力回転軸1aと共に正方向に回転する第一のキャリア66と、上記中空回転軸64と共に逆方向に回転する前記第一の太陽歯車65との差動成分が、前記第一のリング歯車70から、前記低速用クラッチ62、前記第二のキャリア72を介して、上記出力軸37に伝達される。この状態では、上記トロイダル型無段変速ユニット33の変速比を所定値にする事で上記出力軸37を停止させられる他、このトロイダル型無段変速ユニット33の変速比を上記所定値から増速側に変化させる事により上記出力軸37を、車両を後退させる方向に回転させられる。これに対して、上記トロイダル型無段変速ユニット33の変速比を上記所定値から減速側に変化させる事により上記出力軸37を、車両を前進させる方向に回転させられる。
【0044】
更に、上記低速用クラッチ62の接続を断ち、上記高速用クラッチ63を接続した状態では、上記出力軸37を、車両を前進させる方向に回転させる。即ち、この状態では、上記入力回転軸1aと共に正方向に回転する第一のキャリア66と、上記中空回転軸64と共にこの第一のキャリア66と逆方向に回転する前記第一の太陽歯車65との差動成分に応じて回転する、前記第一の遊星歯車式変速ユニット34の遊星歯車67の回転が、別の遊星歯車69を介して、前記第二の遊星歯車式変速ユニット35の遊星歯車68に伝わり、前記第二の太陽歯車71を介して、前記伝達軸38を回転させる。そして、この伝達軸38の先端部に設けた第三の太陽歯車73と、この太陽歯車73と共に前記第三の遊星歯車式変速ユニット36を構成する第二のリング歯車74及び遊星歯車75、76との噛合に基づき、前記第二のキャリア72及びこの第二のキャリア72に結合した上記出力軸37を、前進方向に回転させる。この状態では、上記トロイダル型無段変速ユニット33の変速比を増速側に変化させる程、上記出力軸37の回転速度を速くできる。
【0045】
図6は、上記トロイダル型無段変速ユニット33の変速比(減速比)と、無段変速装置全体としての速度比との関係の1例を示している。図6の縦軸は、上記トロイダル型無段変速ユニット33の変速比を、同じく横軸は、排気量が3L程度のエンジンで前記入力回転軸1aを一定回転(5600min−1 )させた場合に於ける理論上の車速(km/h)を、それぞれ表している。
【0046】
この様な図6から明らかな通り、前記低速用クラッチ62を接続し、前記高速用クラッチ63の接続を断った状態で、上記トロイダル型無段変速ユニット33の変速比を0.6程度とする事により、上記入力回転軸1aを回転させた状態のまま、上記出力軸37を停止させる事ができる。又、上記トロイダル型無段変速ユニット33の変速比を、0.6程度を境にして変化させる事により、車両を前進或は後退させる事ができる。更に、上記トロイダル型無段変速ユニット33の変速比が2.2〜2.3程度を境に、上記低速用クラッチ62の接続を断ち、上記高速用クラッチ63を接続した状態で、上記トロイダル型無段変速ユニット33の変速比を増速側に変化させる事により、車両の速度を速くできる。
【0047】
上述の様に構成し作用する、本例の無段変速装置の組立時には、上記トロイダル型無段変速ユニット33及び前記第一、第二の遊星歯車式変速ユニット34、35を、これら各ユニット33〜35を前記ケーシング11内に収納するのに先立って、図4に示す様に、予めこのケーシング11外で組み立てる。即ち、前記アクチュエータボディー30にそれぞれの下端を結合固定した1対の支柱43、43(図1〜3参照)により、出力側ディスク16c及び中空回転軸64を回転自在に支持できる。又、上記両支柱43、43の上下両端部に設けた各支持ポスト部44a、44bに外嵌支持した上下1対の支持板25a、25bにより、複数のトラニオン20、20及びパワーローラ19、19を所定位置に支持できる。更に、上記中空回転軸64を挿通した前記入力回転軸1aに、前記押圧装置6a、前記1対の入力側ディスク2a、2b、上記第一、第二の遊星歯車式変速ユニット34、35等を組み付ける。
【0048】
従って、無段変速装置を構成する上記トロイダル型無段変速ユニット33及び前記第一、第二の遊星歯車式変速ユニット34、35の主要部を、上記ケーシング11内に組み込む以前に、このケーシング11外で組み立てて、図4に示す様な、上記無段変速装置の主要部となる、モジュール77とする事ができる。このモジュール77の組立作業は、上記ケーシング11に邪魔される事なく、広い空間で行なう事ができて、組立作業が容易になる。又、上記モジュール77を組立後、上記ケーシング11内に収納する以前に、このモジュール77の作動状態を確認できる。そして、この作動状態が不良である場合には、上記ケーシング11外の広い空間で、分解・再組立を容易に行なえる。
【0049】
これに対して、上記モジュール77の作動状態が適正であった場合には、このモジュール77を、前記連結板48を上にして上記ケーシング11内に、このケーシング11の下端開口から挿入する。そして、前記連結板48の上面に形成した各位置決め凹部56a、56aと前記天板部55の下面に形成した位置決め凹部56b、56bとの間に円筒状の位置決めスリーブ57、57を掛け渡すと共に、前記アクチュエータボディー30の上面幅方向両端寄り部分を、前記各段部53a、53bに突き当てる。そして、上記アクチュエータボディー30のボルト挿通孔54、54を下方から挿通した図示しないボルトを、上記各段部53a、53bに開口したねじ孔に螺合し更に緊締して、上記モジュール77を上記ケーシング11内に固定する。この状態で、前記各支柱43、43は、それぞれの上下両端部が上記ケーシング11に対し、三次元方向の位置決めを厳密に図られた状態で固定される。そこで、この固定作業の後、このケーシング11の下端開口は、蓋部材であるオイルパン81により塞ぐ。
【0050】
尚、前記第三の遊星歯車式変速ユニット36等、上記モジュール77に含まれない構成部分は、このモジュール77を上記ケーシング11内に組み付けた後、このケーシング11内に組み付ける。又、図示の例では、前記各支柱43、43の上部に、前記トラクション部に潤滑油(トラクションオイル)を供給する為の給油ノズル78、78を設けている。これら各給油ノズル78、78には、上記天板部55及び上記連結板48内に設けた給油通路から、上記各位置決め凹部56a、56aと前記各ボルト49、49の中心孔とを通じて、上記潤滑油を送り込む。又、前記各トラニオン20、20の内部に、前記各パワーローラ19、19に関する転がり軸受部に潤滑油を送り込む為の給油通路80、80を設け、上記天板部55内に設けた給油通路から上記各トラニオン20、20内の給油通路80、80に、潤滑油を送り込み自在としている。
【0051】
これに合わせて上記連結板48の下面に、上記各給油通路80、80に向け潤滑油を送り込む為の給油プラグ79、79を設け、上記ケーシング11内への上記モジュール77の組み込みに伴って、上記連結板48側の給油通路と上記各トラニオン20、20側の給油通路80、80とを連通させる様にしている。又、本例の場合、出力側ディスク16cの外周縁及び押圧装置6a外周縁に、径方向に関する凹凸を円周方向等間隔に設け、上記出力側ディスク16c及び入力側ディスク2a、2bの回転速度を検出自在としている。
【0052】
上述の様にしてケーシング11内に組み込まれるモジュール77を構成する、前記トロイダル型無段変速ユニット33の場合には、このモジュール77の構成部材と他の構成部材との位置決め作業を、容易且つ確実に行なえる。即ち、上記モジュール77を上記ケーシング11内に、前記各位置決め凹部56a、56bと位置決めスリーブ57、57とを凹凸嵌合させると共に、前記ノックピンを前記段部53a、53bと前記アクチュエータボディー30との間に掛け渡しつつ収納する事により、上記モジュール77の三次元方向の位置決めを厳密に行なえる。この作業は、特に熟練を要する事なく容易に行なえる為、トロイダル型無段変速機の組立コストを高くする事がない。
【0053】
又、図示の例の場合には、前述の図7に示した従来構造の場合とは異なり、1対の出力側ディスク16a、16b同士の間に転がり軸受14、14、並びにこの転がり軸受14、14を支持する為の隔壁部12(図7参照)を設置する必要がなくなる。そして、一体型の出力側ディスク16cを使用する等、この出力側ディスク16cの設置部分の軸方向寸法を短縮する事ができる。この為、この様に軸方向寸法を短縮した分だけ、トロイダル型無段変速ユニット33の小型・軽量化を図れる。
【0054】
しかも、本例の場合には、上記出力側ディスク16cを、軸方向両側面を出力側面17、17とした一体構造としているので、トロイダル型無段変速ユニット33の運転時に上記各出力側面17、17に加わる力が、上記出力側ディスク16c内で互いに相殺される。この結果上記出力側ディスク16cは、前記各パワーローラ19、19から加わるモーメント荷重に拘らず、弾性変形を抑えられる。この為、上記出力側ディスク16cの軸方向に関する厚さ寸法の短縮化が可能になり、その面からもトロイダル型無段変速機の小型・軽量化が可能になる。
【0055】
尚、図示は省略するが、一体型の出力側ディスクの外周縁部に出力歯車を一体に設ける事もできる。この様な構造を採用する場合には、上記出力側ディスクから動力を取り出す為の伝達軸を、入力回転軸と平行に設ける。そして、この伝達軸の端部に固設した別の歯車を、上記出力歯車に噛合させる。
【0056】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、構成各部の位置関係の精度を確保しつつ、組立作業の容易化によるトロイダル型無段変速機のコスト低減を図れる。
又、必要に応じて、主要部分をモジュール化する事により、修理作業が容易な構造の実現も可能になる。
更に、必要に応じ、軸方向寸法を短縮して、必要とする性能を確保しつつ、小型・軽量化が可能になり、より小型の車体に組み付け可能になる等、トロイダル型無段変速機の普及に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す断面図。
【図2】図1のA部拡大図。
【図3】図1の拡大B−B断面図。
【図4】ケーシングに収納する以前に組み立てた無段変速装置の主要部であるモジュールの斜視図。
【図5】ケーシングを下方から見た状態で示す斜視図。
【図6】エンジンの回転速度を一定とした状態での、トロイダル型無段変速機の変速比と、無段変速装置全体の変速比に比例する車速との関係を示す線図。
【図7】従来から広く知られているトロイダル型無段変速機の基本構成の1例を示す断面図。
【符号の説明】
1、1a 入力回転軸
2a、2b 入力側ディスク
3  入力側面
4  ボールスプライン
5  転がり軸受
6、6a 押圧装置
7  カム板
8  駆動軸
9  ローディングナット
10  皿板ばね
11  ケーシング
12  隔壁部
13  通孔
14  転がり軸受
15  出力歯車
16a、16b、16c 出力側ディスク
17  出力側面
18  ニードル軸受
19  パワーローラ
20  トラニオン
21、21a 変位軸
22  ラジアルニードル軸受
23  スラスト玉軸受
24  スラストニードル軸受
25a、25b 支持板
26  予圧ばね
27  外側面
28  出力筒
29  周面
30  アクチュエータボディー
31  アクチュエータ
32  枢軸
33  トロイダル型無段変速ユニット
34  第一の遊星歯車式変速ユニット
35  第二の遊星歯車式変速ユニット
36  第三の遊星歯車式変速ユニット
37  出力軸
38  伝達軸
39  折れ曲がり壁部
40  連結部材
41  ねじ
42  スラストアンギュラ玉軸受
43  支柱
44a、44b 支柱ポスト部
45  支柱環部
46  ボルト
47  凹部
48  連結板
49  ボルト
50  凹部
51a、51b 支持孔
52a、52b、52c 凸部
53a、53b 段部
54  ボルト挿通孔
55  天板部
56a、56b 位置決め凹部
57  位置決めスリーブ
58a、58b 軌道輪
59  突条部
60  シム板
61  駆動軸
62  低速用クラッチ
63  高速用クラッチ
64  中空回転軸
65  第一の太陽歯車
66  第一のキャリア
67  遊星歯車
68  遊星歯車
69  遊星歯車
70  第一のリング歯車
71  第二の太陽歯車
72  第二のキャリア
73  第三の太陽歯車
74  第二のリング歯車
75  遊星歯車
76  遊星歯車
77  モジュール
78  給油ノズル
79  給油プラグ
80  給油通路
81  オイルパン
82  側壁部

Claims (5)

  1. 奥壁部の両側に1対の側壁部の基端縁を連続させ、これら両側壁部の先端縁同士の間を蓋部材により密閉自在な開口部としたケーシングと、このケーシング内に回転自在に支持された回転軸と、それぞれが断面円弧形である互いの軸方向片側面同士を対向させた状態でこの回転軸に、この回転軸と同期した回転を自在として支持された1対の外側ディスクと、この回転軸の中間部周囲に、断面円弧形である軸方向両側面を上記各外側ディスクの軸方向片側面に対向させた状態で、上記回転軸に対する相対回転を自在に支持された内側ディスクと、軸方向に関してこの内側ディスクの軸方向両側面と上記各外側ディスクの軸方向片側面との間位置にそれぞれ複数個ずつ、上記回転軸に対し捩れの位置にある枢軸を中心とする揺動変位を自在に設けられた複数の支持部材と、これら各支持部材に回転自在に支持され、球状凸面としたそれぞれの周面を、上記内側ディスクの軸方向両側面と各外側ディスクの軸方向片側面とに当接させた複数のパワーローラとを備えたトロイダル型無段変速機に於いて、上記内側ディスクの軸方向両側面と上記各外側ディスクの軸方向片側面との間に、それぞれの中間部に支持環部を有する1対の支柱を、この支持環部に上記回転軸を挿通した状態で配置し、これら両支柱の先端部を上記奥壁部の内面に、直接又は他の部材を介して、凹凸係合に基づき上記ケーシングの長さ方向及び幅方向の位置決めをした状態で突き合わせ、これら両支柱の基端部を上記ケーシング内で上記開口部寄り部分に固定した部材に結合すると共に、上記両支柱の支持環部に上記内側ディスクの軸方向両端部を回転自在に支持した事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. ケーシング内でケーシングの開口部寄り部分に固定した部材が、各支持部材を枢軸の軸方向に変位させる為の油圧式のアクチュエータを内蔵したアクチュエータボディーであり、1対の支柱、上記各支持部材、各パワーローラ、回転軸は、これら各支柱を介して上記アクチュエータボディーに支持されてモジュールを構成している、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機。
  3. 各支柱の先端が他の部材である連結板に対し、凹凸係合により位置決めされた状態で突き合わされており、この連結板が奥壁部に対し、凹凸係合により位置決めされた状態で突き合わされている、請求項1〜2の何れかに記載したトロイダル型無段変速機。
  4. トロイダル型無段変速ユニットと遊星歯車式変速ユニットとを組み合わせると共に、このうちのトロイダル型無段変速ユニットの回転軸に繋がる入力軸と、上記遊星歯車式変速ユニットの構成部材に繋がる出力軸とを備え、
    このうちのトロイダル型無段変速ユニットは、請求項1〜3の何れかに記載されたトロイダル型無段変速機であり、
    上記遊星歯車式変速ユニットは、上記トロイダル型無段変速ユニットの回転軸と内側ディスクとから動力を伝達されるものであって、動力の伝達経路を2系統に切り換える切換手段を有するものである
    無段変速装置。
  5. 遊星歯車式変速ユニットは、トロイダル型無段変速ユニットを構成する1対の外側ディスクにこれら両外側ディスクと同心に結合固定されてこれら両外側ディスクと共に回転するキャリアと、このキャリアの軸方向両側面のうちで一方の外側ディスクに対向する軸方向片面に回転自在に支持された複数の第一の遊星歯車と、上記トロイダル型無段変速ユニットを構成する回転軸の周囲に配置された中空回転軸により内側ディスクに結合された状態で上記各ディスクと同心に且つ回転自在に設けられ、上記各第一の遊星歯車と噛合した第一の太陽歯車と、上記キャリアの他面に回転自在に支持された複数の第二の遊星歯車と、上記各ディスクと同心に且つ回転自在に設けられてこれら各第二の遊星歯車と噛合した第二の太陽歯車と、上記各ディスクと同心に且つ回転自在に設けられて上記各第一の遊星歯車と噛合したリング歯車とを備えたものであり、
    切換手段は、このリング歯車を通じて上記内側ディスクから取り出した動力を出力軸に伝達するモードと、上記第二の太陽歯車を通じてこの内側ディスクから取り出した動力を出力軸に伝達するモードとを選択するものである、
    請求項4に記載した無段変速装置。
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JP2008144857A (ja) * 2006-12-08 2008-06-26 Toyota Motor Corp トロイダル型無段変速機のポスト位置決め装置および位置決め方法

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