JP2004197869A - 車両用動力伝達装置の油圧制御装置 - Google Patents

車両用動力伝達装置の油圧制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】共通の制御油圧発生弁を用いて挟圧力制御と係合圧制御とが実行される車両用動力伝達装置において、油圧式摩擦係合装置の耐久性が損なわれたり、その油圧式摩擦係合装置の係合ショックが発生したりすることが抑制される車両用動力伝達装置の油圧制御装置を提供する。
【解決手段】挟圧力制御手段100による挟圧力制御時には、第2の関係R2 からその挟圧力制御手段100により決定された目標挟圧力PBELTに基づいて駆動信号である駆動電流値ISLT を算出する一方、係合圧制御手段92による係合圧制御時には、第1の関係R1 からその係合圧制御手段92により決定された目標係合圧PGに基づいて目標挟圧力PBELTを一旦決定するとともに、第2の関係R2 から上記目標挟圧力PBELTに基づいて駆動信号算出手段94により算出された駆動電流値ISLT を用いてリニヤソレノイド弁(制御油圧発生弁)SLTを駆動して制御油圧PSLT が発生させられる。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用動力伝達装置の油圧制御装置に係り、特に、共通の制御油圧発生弁から発生させた制御油圧を、無段変速機の挟圧力制御と、係合作動により動力伝達経路を達成する所定の油圧式摩擦係合装置の係合圧制御とに用いるときのその油圧式摩擦係合装置の係合ショックを好適に抑制する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
摩擦接触する動力伝達部材を介して動力を伝達する無段変速機と、係合作動により動力伝達経路を達成する所定の油圧式摩擦係合装置と、その無段変速機の動力伝達部材に対する目標挟圧力を決定し、その目標挟圧力となるようにその動力伝達部材に対する挟圧力を制御する挟圧力制御手段と、その油圧式摩擦係合装置の目標係合圧を決定し、その目標係合圧となるように係合圧を制御する係合圧制御手段と、駆動信号に従って前記制御油圧を発生させる2つの制御油圧発生弁とを備え、その挟圧力制御手段と係合圧制御手段とはその2つの制御油圧発生弁から発生させられる2つの制御油圧を用いてその動力伝達部材に対する挟圧力とその油圧式摩擦係合装置の係合圧とを選択的に制御する形式の車両用動力伝達装置の油圧制御装置が知られている。たとえば、非特許文献1に記載された車両に搭載されている油圧制御装置がそれである。
【0003】
【非特許文献1】「オーパ新型車解説書」トヨタ自動車株式会社サービス部
2000年5月24日発行
【0004】
ところで、上記のような車両用動力伝達装置の油圧制御装置においては、挟圧力制御と係合圧制御とがそれぞれの制御油圧発生弁から発生させられる2つの制御油圧を独立に用いて実行されるようになっており、挟圧力制御では、目標挟圧力と駆動信号との間の関係から駆動信号が決定され、係合圧制御では、その係合圧の学習補正を反映させた目標係合圧と駆動信号との間の関係から駆動信号が決定されていた。このため、挟圧力制御と係合圧制御とを共通の制御油圧発生弁を用いて制御することができず、小型化を十分にできない一因となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これに対し、挟圧力制御と係合圧制御とを共通の制御油圧発生弁を用いて制御することが考えられる。たとえば、摩擦接触する動力伝達部材を介して動力を伝達する無段変速機と、係合作動により動力伝達経路を達成する所定の油圧式摩擦係合装置と、その無段変速機の動力伝達部材に対する目標挟圧力を決定し、その目標挟圧力となるようにその動力伝達部材に対する挟圧力を制御する挟圧力制御手段と、その油圧式摩擦係合装置の目標係合圧を決定し、その目標係合圧となるように係合圧を制御する係合圧制御手段と、駆動信号に従って前記制御油圧を発生させる共通の制御油圧発生弁とを備え、その挟圧力制御手段と係合圧制御手段とはその制御油圧発生弁から発生させられる制御油圧を用いてその動力伝達部材に対する挟圧力とその油圧式摩擦係合装置の係合圧とを選択的に制御する形式の車両用動力伝達装置の油圧制御装置がそれである。
【0006】
これによれば、(a) 目標挟圧力と目標係合圧との間の第1の関係、および目標挟圧力と駆動信号との間の第2の関係を記憶する関係記憶装置と、(b) 挟圧力制御手段による挟圧力制御時には、前記第2の関係からその挟圧力制御手段により決定された目標挟圧力に基づいて駆動信号を決定し、前記係合圧制御手段による係合圧制御時には、前記第1の関係からその係合圧制御手段により決定された目標係合圧に基づいて目標挟圧力を決定するとともに、前記第2の関係からその目標挟圧力に基づいて駆動信号を算出する駆動信号算出手段とが設けられ、その駆動信号算出手段により算出された駆動信号を用いて前記制御油圧発生弁が駆動されて制御油圧が発生させられる。
【0007】
しかしながら、上記第2の関係が実際の係合圧に基づいて学習補正されることによって学習補正後の第2の関係が当初の値からずらされると、前記係合圧制御手段による係合圧制御時にその学習補正後の第2の関係から目標挟圧力に基づいて駆動信号が決定されると、その駆動信号のずれが発生して、油圧式摩擦係合装置の係合制御が最適に実行されず、その油圧式摩擦係合装置のすべりによってその耐久性が損なわれたり、或いはその油圧式摩擦係合装置の係合圧が不要に大きくなって係合ショックが発生するという問題が発生する。
【0008】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、共通の制御油圧発生弁を用いて挟圧力制御と係合圧制御とが実行される車両用動力伝達装置において、挟圧力制御のための第2の関係が学習補正されるにも拘わらず、油圧式摩擦係合装置の耐久性が損なわれたり、その油圧式摩擦係合装置の係合ショックが発生したりすることが好適に抑制される車両用動力伝達装置の油圧制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、摩擦接触する動力伝達部材を介して動力を伝達する無段変速機と、係合作動により動力伝達経路を達成する所定の油圧式摩擦係合装置と、その無段変速機の動力伝達部材に対する目標挟圧力を決定し、その目標挟圧力となるようにその動力伝達部材に対する挟圧力を制御する挟圧力制御手段と、その油圧式摩擦係合装置の目標係合圧を決定し、その目標係合圧となるように係合圧を制御する係合圧制御手段と、駆動信号に従って前記制御油圧を発生させる共通の制御油圧発生弁とを備え、その挟圧力制御手段と係合圧制御手段とはその制御油圧発生弁から発生させられる制御油圧を用いてその動力伝達部材に対する挟圧力とその油圧式摩擦係合装置の係合圧とを選択的に制御する形式の車両用動力伝達装置の油圧制御装置であって、(a) 目標挟圧力と目標係合圧との間の第1の関係、および目標挟圧力と駆動信号との間の第2の関係を記憶する関係記憶装置と、(b) 前記挟圧力制御手段による制御結果に基づいて前記第2の関係を学習により補正し、補正後の第2の関係を前記関係記憶装置に記憶させる挟圧力学習制御手段と、(c) 前記挟圧力制御手段による挟圧力制御時には、前記挟圧力学習制御手段による学習補正前であれば前記第2の関係から、学習補正後であれば前記学習補正後の第2の関係からその挟圧力制御手段により決定された目標挟圧力に基づいて駆動信号を算出し、前記係合圧制御手段による係合圧制御時には、前記第1の関係からその係合圧制御手段により決定された目標係合圧に基づいて目標挟圧力を一旦算出するとともに、前記挟圧力学習制御手段による学習補正に拘わらず、学習補正前の第2の関係からその目標挟圧力に基づいて駆動信号を算出する駆動信号算出手段とを含み、その駆動信号算出手段により算出された駆動信号を用いて前記制御油圧発生弁を駆動して前記制御油圧を発生させることにある。
【0010】
【発明の効果】
このようにすれば、挟圧力制御手段による挟圧力制御時には、前記挟圧力学習制御手段による学習補正前であれば前記第2の関係から、学習補正後であれば前記学習補正後の第2の関係からその挟圧力制御手段により決定された目標挟圧力に基づいて駆動信号を算出する一方、前記係合圧制御手段による係合圧制御時には、前記第1の関係からその係合圧制御手段により決定された目標係合圧に基づいて目標挟圧力を一旦算出するとともに、前記挟圧力学習制御手段による学習補正に拘わらず学習補正前の第2の関係からその目標挟圧力に基づいて駆動信号を算出する駆動信号算出手段が設けられ、その駆動信号算出手段により算出された駆動信号を用いて前記制御油圧発生弁を駆動して前記制御油圧が発生させられるので、挟圧力制御の学習に拘わらず、係合圧制御により制御される油圧式摩擦係合装置の係合圧が適切となって、挟圧力制御のための第2の関係が学習補正されるにも拘わらず、油圧式摩擦係合装置の耐久性が損なわれたり、その油圧式摩擦係合装置の係合ショックが発生したりすることが好適に抑制される。
【0011】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記挟圧力学習制御手段による前記第2の関係の学習補正の有無に拘わらず、前記係合圧制御手段による係合圧制御のために、学習補正前の第2の関係を選択する関係切換手段を備えたものである。このようにすれば、関係切換手段により、前記挟圧力学習制御手段による挟圧力学習の有無に拘わらず、学習補正の行われていない元の第2の関係が選択されて前記係合圧制御に用いられるので、シフト操作時などにおける油圧式摩擦係合装置の係合圧制御の制御精度が高められる。
【0012】
また、好適には、前記挟圧力学習制御手段は、前記挟圧力制御手段により制御される実際の前記無段変速機の挟圧力に基づいて、前記第2の関係を学習補正するものである。また、その学習補正は、車両の組み立て直後における構成部品の固体差、および油圧制御回路を構成する機器の特性の経時変化に基づいて前記第2の関係を学習補正するものである。このようにすれば、車両の構成部品の固体差や、油圧制御回路を構成する機器の特性の経時変化にも拘わらず、挟圧力制御が正確となる。
【0013】
また、好適には、前記係合圧制御手段は、シフト操作部材によるニュートラルポジションから走行ポジションへのシフト操作に伴うシフト油圧制御中、車両の停止時に前記動力伝達装置内の動力伝達経路を遮断するニュートラル制御中、車両停止且つ制動中にエンジンを停止させるエコラン制御中のいずれかにおいて前記係合圧制御を実行するものである。このようにすれば、シフト油圧制御中、ニュートラル制御中、エコラン制御中のいずれかにおいて実行される係合圧制御と、前記無段変速機の挟圧力制御とが、共通の制御油圧発生弁から発生させられる制御油圧を用いて選択的に実行される。
【0014】
また、好適には、前記走行ポジションは、前進走行ポジションまたは後進走行ポジションである。このようにすれば、ニュートラルポジションから前進走行ポジションまたは後進走行ポジションへのシフト操作時におけるシフト油圧制御中において、前記係合圧制御手段による係合圧制御が実行される。
【0015】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の油圧制御装置が適用された車両用動力伝達装置10の骨子図である。この車両用動力伝達装置10は横置き型自動変速機であって、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に好適に採用されるものであり、走行用の駆動力源としてエンジン12を備えている。内燃機関にて構成されているエンジン12の出力は、流体式動力伝達装置としてのトルクコンバータ14から前後進切換装置16、ベルト式無段変速機(CVT)18、減速歯車装置20を介して差動歯車装置22に伝達され、左右の駆動輪24L、24Rへ分配される。上記トルクコンバータ14、前後進切換装置16、ベルト式無段変速機18などにより動力伝達機構が構成されている。
【0017】
トルクコンバータ14は、エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車14p、およびタービン軸34を介して前後進切換装置16に連結されたタービン翼車14tを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。また、それ等のポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tの間にはロックアップクラッチ26が設けられており、油圧制御回路86(図2参照)の切換弁などによって係合側油室および解放側油室に対する油圧供給が切り換えられることにより、係合または解放されるようになっており、完全係合させられることによってポンプ翼車14pおよびタービン翼車14tは一体回転させられる。上記ポンプ翼車14pには、ベルト式無段変速機18を変速制御したりベルト挟圧力を発生させたり、或いは各部に潤滑油を供給したりするための油圧を発生する機械式のオイルポンプ28が設けられている。上記タービン軸34は、トルクコンバータ14の出力側部材に相当する。
【0018】
前後進切換装置16は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置を主体として構成されており、トルクコンバータ14のタービン軸34はサンギヤ16sに一体的に連結され、ベルト式無段変速機18の入力軸36はキャリア16cに一体的に連結されている一方、キャリア16cとサンギヤ16sは前進用クラッチC1を介して選択的に連結され、リングギヤ16rは後進用ブレーキB1を介してハウジングに選択的に固定されるようになっている。前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は断続装置に相当するもので、何れも油圧シリンダによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置であり、前進用クラッチC1が係合させられるとともに後進用ブレーキB1が解放されることにより、前後進切換装置16は一体回転状態とされることにより前進用動力伝達経路が成立(達成)させられて、前進方向の駆動力がベルト式無段変速機18側へ伝達される一方、後進用ブレーキB1が係合させられるとともに前進用クラッチC1が解放されることにより、前後進切換装置16は後進用動力伝達経路が成立(達成)させられて、入力軸36はタービン軸34に対して逆方向へ回転させられるようになり、後進方向の駆動力がベルト式無段変速機18側へ伝達される。また、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1が共に解放されると、前後進切換装置16は動力伝達を遮断するニュートラル(遮断状態)になる。
【0019】
上記前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1は、油圧制御回路86のマニュアルバルブ120(図3参照)がシフト操作部材として機能するシフトレバー77の操作に従って機械的に切り換えられることにより、係合、解放されるようになっている。シフトレバー77は、順次位置させられている駐車用の「P」ポジション、後進走行用の「R」ポジション、動力伝達を遮断する「N」ポジション、前進走行用の「D」ポジションおよび「L」ポジションへ択一的に操作されるようになっており、「P」ポジションおよび「N」ポジションでは、前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1内の作動油は何れもマニュアルバルブ120からドレーンされて共に解放される。マニュアルバルブ120の入力ポート120aには、ガレージシフトバルブ114を介して、シフト操作過渡時にはガレージシフトコントロールバルブ112により調圧された係合過渡油圧PGが供給されるが、定常時には油圧式摩擦係合装置の油圧源として機能するモジュレータバルブ122によってライン圧から一定のモジュレータ油圧PMに調圧された作動油が供給される。このため、「R」ポジションでは、マニュアルバルブ120の後進用出力ポート120rからの後進走行用出力圧すなわち上記係合過渡油圧PGまたはモジュレータ油圧PMが後進用ブレーキB1に供給されてそれが係合させられるとともに、前進用クラッチC1内の作動油はマニュアルバルブ120からドレーンされて解放される。また、「D」ポジションおよび「L」ポジションでは、マニュアルバルブ120の前進用出力ポート120fからの前進走行用出力圧すなわち上記係合過渡油圧PGまたはモジュレータ油圧PMが前進用クラッチC1に供給されてそれが係合させられるとともに、後進用ブレーキB1内の作動油はマニュアルバルブ120からドレーンされて解放される。
【0020】
図1に戻って、ベルト式無段変速機18は、前記入力軸36に設けられた有効径が可変の入力側可変プーリ42と、出力軸44に設けられた有効径が可変の出力側可変プーリ46と、それ等の可変プーリ42、46に巻き掛けられた伝動ベルト48とを備えており、可変プーリ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。可変プーリ42および46は、入力軸36および出力軸44にそれぞれ固定された固定回転体42aおよび46aと、入力軸36および出力軸44に対して軸まわりの相対回転不能かつ軸方向の移動可能に設けられた可動回転体42bおよび46bと、それらの間のV溝幅が可変とする推力を付与する入力側油圧シリンダ42cおよび出力側油圧シリンダ46cとを備えて構成されており、入力側可変プーリ42の油圧シリンダの油圧が油圧制御回路86によって制御されることにより、両可変プーリ42、46のV溝幅が変化して伝動ベルト48の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が連続的に変化させられる。
【0021】
一方、出力側可変プーリ46の油圧シリンダの油圧は、伝動ベルト48が滑りを生じないように油圧制御回路86の挟圧力コントロールバルブ110(図3参照)によって調圧制御される。挟圧力コントロールバルブ110は、軸方向へ移動可能に設けられることにより出力ポート110tを開閉するスプール弁子110aと、そのスプール弁子110aを開弁方向へ付勢する付勢手段としてのスプリング110bと、そのスプリング110bを収容し、スプール弁子110aに開弁方向の推力を付与するために電子制御装置60によってデューティ制御されるリニアソレノイド弁SLTの出力油圧である制御油圧PSLT を受け入れる油室110cと、スプール弁子110aに閉弁方向の推力を付与するために出力した挟圧力制御圧PBELTを受け入れるフィードバック油室110dとを備えており、リニアソレノイド弁SLTからの制御油圧PSLT をパイロット圧としてライン油圧PLを連続的に調圧制御して挟圧力制御圧PBELTを出力するようになっており、この挟圧力制御圧PBELTに応じてベルト挟圧力すなわち可変プーリ42、46と伝動ベルト48との間の摩擦力が増減させられる。上記リニアソレノイド弁SLTは、たとえば、その駆動電流ISLT が増加するに従ってその出力油圧である制御油圧PSLT が減少する特性を備えている。この挟圧力コントロールバルブ110の出力圧である出力側油圧シリンダ46c内の油圧PBELTは、油圧センサ110sにより検出されるようになっている。
【0022】
図2は、図1のエンジン12やベルト式無段変速機18などを制御するために車両に設けられた制御系統を説明するブロック線図で、電子制御装置60には、エンジン回転速度センサ62、タービン回転速度センサ64、車速センサ66、アイドルスイッチ付きスロットルセンサ68、冷却水温センサ70、CVT油温センサ72、アクセル操作量センサ74、フットブレーキスイッチ76、レバーポジションセンサ78、油圧センサ110sなどが接続され、エンジン12の回転速度(エンジン回転速度)NE、タービン軸34の回転速度(タービン回転速度)NT、車速V、電子スロットル弁80の全閉状態(アイドル状態)およびその開度(スロットル弁開度)θTH、エンジン12の冷却水温TW 、ベルト式無段変速機18等の油圧回路の油温TCVT 、アクセルペダル等のアクセル操作部材の操作量(アクセル操作量)Acc、常用ブレーキであるフットブレーキの操作の有無、シフトレバー77のレバーポジション(操作位置)PSH、出力側油圧シリンダ46c内の挟圧力制御圧PBELTなどを表す信号が供給されるようになっている。タービン回転速度NTは、前進用クラッチC1が係合させられた前進走行時には入力軸36の回転速度(入力軸回転速度)NINと一致し、車速Vは、ベルト式無段変速機18の出力軸44の回転速度(出力軸回転速度)NOUTに対応する。また、アクセル操作量Accは運転者の出力要求量を表している。また、上記レバーポジションセンサ78は、たとえばニュートラル位置検出スイッチ、ドライブ位置検出スイッチ、リバース位置検出スイッチなどの複数のスイッチを備えている。
【0023】
電子制御装置60は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン12の出力制御やベルト式無段変速機18の変速制御、ベルト挟圧力制御、ロックアップクラッチ26の係合、解放制御、などを実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用と変速制御用とに分けて構成される。エンジン12の出力制御は電子スロットル弁80、燃料噴射装置82、点火装置84などによって行われ、ベルト式無段変速機18の変速制御、ベルト挟圧力制御、およびロックアップクラッチ26の係合、解放制御は、何れも油圧制御回路86によって行われる。油圧制御回路86は、電子制御装置60により励磁されて油路を開閉するソレノイド弁や油圧制御を行うリニアソレノイド弁、それらのソレノイド弁から出力される信号圧に従って油路を開閉したり油圧制御を行ったりする開閉弁、調圧弁などを備えて構成されている。
【0024】
図3は、油圧制御回路86のうちベルト式無段変速機18のベルト挟圧力制御、およびシフトレバー77が「N」ポジションから「D」ポジション或いは「R」ポジションへ操作されるガレージシフト(N→Dシフト或いはN→Rシフト)時における前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1の係合過渡油圧制御に関する部分を示す要部油圧回路図であり、前記挟圧力コントロールバルブ110、マニュアルバルブ120の他、係合過渡油圧PGを出力する係合過渡油圧調圧弁として機能するガレージシフトコントロールバルブ112、係合過渡油圧PGをマニアルバルブ120を経て前進用クラッチC1或いはB1へ供給する第1位置とモジュレータ圧PMをマニアルバルブ120を経て前進用クラッチC1或いはB1へ供給する第2位置とに切り換える切換弁として機能するガレージシフトバルブ114を備えている。
【0025】
ガレージシフトコントロールバルブ112は、係合過渡油圧調圧弁として機能するものであり、軸方向へ移動可能に設けられることにより出力ポート112tを開閉するスプール弁子112aと、そのスプール弁子112aを閉弁方向へ付勢する付勢手段としてのスプリング112bと、スプール弁子112aに開弁方向の推力を付与するために電子制御装置60によってデューティ制御されるリニアソレノイド弁SLTの出力油圧である制御油圧PSLT をパイロット圧として受け入れる油室112cとを備え、モジュレータ油圧PMをその制御油圧PSLT に応じた大きさの係合過渡油圧(ガレージシフト油圧)PGに調圧制御してを出力するように構成されている。この係合過渡油圧PGは、N→Dシフト或いはN→Rシフトにおいて前進用クラッチC1或いはB1へ過渡的に供給されるガレージシフト油圧として機能するものであり、ガレージシフトバルブ114およびマニュアルバルブ120を経て前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1へ供給されることにより、前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1が滑らかに係合させられ、係合時のショックが抑制される。
【0026】
また、ガレージシフトバルブ114は、軸方向へ移動可能に設けられることにより上記ガレージシフトコントロールバルブ112からの係合過渡油圧PGを出力ポート114tからマニュアルバルブ120へ出力する第1位置(ON位置)とモジュレータ圧PMを出力ポート114tからマニュアルバルブ120へ出力する第2位置(OFF位置)とに位置させられるスプール弁子114aと、そのスプール弁子114aを第2位置に向かって付勢する付勢手段としてのスプリング114bと、スプール弁子114aに第1位置に向かう推力を付与するために図示しないソレノイド弁SLの信号圧を受け入れる油室114cと、上記スプリング114bを収容し、スプール弁子114aに第2位置に向かう推力を付与するために電子制御装置60によって開閉制御されるソレノイド弁DSUの信号圧(ソレノイドの非励磁で出力)を受け入れる油室114dとを備え、常には図の右半分に示すOFF位置に保持されて、モジュレータ油圧PMをそのままマニュアルバルブ120側へ出力し、そのモジュレータ油圧PMにより後進用ブレーキB1や前進用クラッチC1を係合状態に保持するが、ガレージシフトに関連する過渡時には、ソレノイド弁DSUのソレノイドが励磁されてそれからの信号圧の出力が停止させられることにより、図の左半分に示すON位置に切り換えられ、ガレージシフトコントロールバルブ112から出力されるガレージシフト油圧PGがマニュアルバルブ120側へ出力されるように構成されている。このガレージシフトバルブ114は切換弁として機能するものである。
【0027】
ここで、リニアソレノイド弁SLTは、通常は挟圧力コントロールバルブ110を介して前記ベルト式無段変速機18のベルト挟圧力を制御するために用いられるものである一方で、ガレージシフトのようなシフトレバー77による発進用シフト操作時すなわちN→D操作時やN→R操作時だけ前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1の係合圧であるガレージシフト油圧PGを制御するようになっており、共通の信号油圧すなわち制御油圧PSLT を出力する共通の制御弁装置として機能している。この場合に、ガレージシフト時にも、リニアソレノイド弁SLTからの制御油圧PSLT に応じて挟圧力コントロールバルブ110によりベルト挟圧力が制御されることになるが、たとえば前進用クラッチC1がガレージシフト油圧PGに従って係合させられる際に発生する伝達トルクでもベルト滑りが発生することがない範囲でできるだけ低い所定のベルト挟圧力が得られるように、挟圧力コントロールバルブ110のスプリング110bの付勢力などが定められている。
【0028】
図4は、前記電子制御装置60の信号処理によって実行される各種の機能のうち、ベルト式無段変速機18のベルト挟圧力制御、およびガレージシフト時などにおける前進用クラッチC1の係合過渡油圧(ガレージシフト油圧PG)の制御に関する部分などの要部を説明する機能ブロック線図である。
【0029】
図4において、シフトポジション検出手段90は、レバーポジションセンサ78からの信号に基づいて、シフトレバー(シフト操作部材)77或いはマニアルバルブ120の操作位置を検出する。係合圧制御手段92は、シフトレバー77による「N」ポジションから「D(走行)」ポジション或いは「R(リバース)」ポジション(走行ポジション)へのN→Dシフト操作或いはN→Rシフト操作に伴うシフト油圧制御中、車両の停止時に動力伝達装置10内の前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1を解放して動力伝達経路を遮断するニュートラル制御中、車両停止且つ制動中にエンジン12を停止させるエコラン制御中のいずれかにおいて、上記前進用クラッチC1および後進用ブレーキB1(油圧式摩擦係合装置)の係合圧である係合過渡油圧PGを予め定められた手順で昇圧させるオープンループ制御を実行する。
【0030】
たとえば、係合圧制御手段92は、シフトポジション検出手段90により「N」ポジションから「D(走行)」ポジション或いは「R(リバース)」ポジション(走行ポジション)へのN→Dシフト操作或いはN→Rシフト操作が検出されると、たとえば図5のタイムチャートの下段に示す予め記憶された大きさの目標係合圧すなわち係合過渡油圧PGを逐次決定し、その目標係合圧PGが得られるようにガレージシフトコントロールバルブ112に供給される制御油圧PSLT を制御して、前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1へ供給される係合過渡油圧PGを昇圧制御する。すなわち、シフトポジション検出手段90は、N→Dシフト操作或いはN→Rシフト操作が検出されると、ガレージシフトバルブ114をその第1位置へ切り換えることによりガレージシフトコントロールバルブ112からの係合過渡油圧PGをマニアルバルブ120の入力ポート120aへ供給開始し、リニアソレノイド弁SLTからの制御油圧PSLT を用いてガレージシフトコントロールバルブ112からマニアルバルブ120を経て前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1へ供給される係合過渡油圧PGを昇圧制御する(図5のt2 乃至t5 時点)。次いで、前進クラッチC1或いは後進ブレーキB1(走行用油圧式摩擦係合装置)の係合が完了すると(図5のt5 時点)、ガレージシフトバルブ114をその第1位置から第2位置へ切り換えることにより、一定のモジュレータ圧PMを上記マニアルバルブ120の入力ポート120aへ供給し、そのマニアルバルブ120を経て前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1へ供給する。
【0031】
上記シフトレバー77によるN→Dシフト操作或いはN→Rシフト操作が検出されてから前進クラッチC1或いは後進ブレーキB1(走行用油圧式摩擦係合装置)の係合が完了するまでの過渡期間において、駆動信号算出手段94は、関係記憶装置96において記憶されている第1の関係R1 と第2の関係R2 とを用いて、上記目標係合圧が得られるようにリニヤソレノイド弁SLTの駆動電流ISLT を算出し、その駆動電流ISLT でリニヤソレノイド弁SLTを駆動して制御油圧PSLT を出力させ、前記係合過渡油圧PGを発生させる。図5のt2 乃至t3 の充填期間(ファーストフィル期間)では、前進クラッチC1或いは後進ブレーキB1の油室内を作動油で速やかに充填するために、駆動電流ISLT が短期間だけ大きくされ、次いで、t3 乃至t4 の期間において駆動電流ISLT が一定値に保持された後、t4 乃至t5 の期間においてタービン回転速度NTが一定速度で低下するように漸増させられる。
【0032】
図6は、上記関係記憶装置96において記憶されている上記第1の関係R1 と第2の関係R2 を示している。図6の右側に表されている第1の関係R1 は、目標挟圧力FBELTまたはそれを発生させる出力(二次)側油圧シリンダ46c内の油圧PBELTと目標係合圧すなわち係合過渡油圧PGとの間の関係であり、図6の左側に表されている第2の関係R2 は、目標挟圧力FBELTまたはそれを発生させる出力側油圧シリンダ46c内の油圧PBELTと駆動信号である駆動電流ISLT との間の関係を示している。駆動信号算出手段94では、上記係合圧制御手段92において目標係合圧PGが決定されると、上記第1の関係R1 に基づいてその目標係合圧PGが目標挟圧力FBELTまたはそれを発生させる出力側油圧シリンダ46c内の油圧PBELTに一旦変換され、さらに関係R2 に基づいてその目標挟圧力FBELTまたは出力側油圧シリンダ46c内の油圧PBELTが駆動信号すなわち駆動電流ISLT に変換され、それが出力される。すなわち、図6の1点鎖線に示されるように、上記目標係合圧PG1を得るための駆動電流ISLT1が決定されてそれが出力される。このときの関係切換手段98は、上記係合圧制御に用いるために第1の関係R1 と未学習補正の第2の関係R2 とを選択する。
【0033】
挟圧力制御手段100は、上記係合圧制御手段92による係合圧制御が実行されないときに実行され、たとえば図7に示すように、伝達トルクに対してベルト滑りが生じないようにする目標挟圧力とアクセル操作量Accおよび変速比γとの間の予め記憶された関係或いはマップから、実際のアクセル操作量Accおよびベルト式無段変速機18の変速比γに基づいて目標挟圧力FBELTを決定して出力することにより、その目標挟圧力FBELTを発生させるようにベルト式無段変速機18のベルト挟圧力をオープンループで制御する。具体的には、その挟圧力制御手段100から目標挟圧力FBELTが出力されると、駆動信号算出手段94は、関係記憶装置96において記憶されている第2の関係R2 を用いて上記挟圧力制御手段100により決定された目標挟圧力FBELTまたはそれを発生させるための出力側油圧シリンダ46c内の油圧PBELTから駆動信号すなわち駆動電流ISLT に変換して出力する。これにより、前記リニヤソレノイド弁SLTに対する励磁電流ISLT が上記目標挟圧力FBELTを発生させるための値たとえばデューティ比とされ、そのリニヤソレノイド弁SLTの制御油圧PSLT をパイロット圧とする挟圧力コントロールバルブ110によってライン油圧PLが上記目標挟圧力FBELTを発生させるために必要な出力側油圧シリンダ46c内の油圧PBELTに調圧され、その油圧PBELTがベルト式無段変速機18の出力側可変プーリ46の油圧シリンダ46cに供給されることにより、ベルト滑りを発生しない必要かつ十分な所定のベルト挟圧力が得られる。なお、加減速時などに伝達トルクが急に変化する場合には、ベルト挟圧力を増大補正してベルト滑りを防止するようになっている。
【0034】
挟圧力学習制御手段102は、車両の組み立て直後における構成部品の固体差、および油圧制御回路86を構成する機器の特性の経時変化に基づいて、上記挟圧力制御手段100による制御結果に基づいて前記第2の関係R2 を学習により補正し、学習補正後の第2の関係R2 ’を関係記憶装置96に記憶させる。すなわち、挟圧力制御手段100による挟圧力制御時において、油圧センサ110sにより検出された実際の出力側油圧シリンダ46c内の挟圧力制御圧PBELT’と、上記挟圧力制御手段100および駆動信号算出手段94により決定された目標挟圧力FBELTを得るための油圧PBELTとの差が解消されるように、第2の関係R2 が修正され、次回の制御サイクル以降の挟圧力制御にその修正後の第2の関係R2 ’が用いられるようにする。このようにして第2の関係R2 が第2の関係R2 ’に修正されたとき、前記係合圧制御手段92による係合圧制御に第2の関係R2 ’が用いられると制御のずれが発生する。すなわち、図6において、上記目標係合圧PG1を得るための駆動電流を求めるために学習補正された第2の関係R2 ’が用いられると、駆動電流ISLT1と決定されるべき場合に駆動電流ISLT2が決定されて出力されてしまうので、破線にて示されるように、得られる係合過渡圧はPG2に示す値となってしまうのである。
【0035】
このため、前記関係切換手段98は、挟圧力制御手段100による挟圧力学習中においては、第2の関係R2 が未だ学習補正されていない場合はその第2の関係R2 を上記係合圧制御に用いるために選択して切り換えることは勿論であるが、挟圧力学習制御手段102によって第2の関係R2 が学習補正されて第2の関係R2 ’とされているときでも、係合圧制御手段92による係合圧制御中においては、基本マップである学習前の第2の関係R2 を選択して切り換えることにより、その係合圧制御にその学習前の第2の関係R2 が用いられるようにする。すなわち、挟圧力学習制御手段102による学習補正の有無に拘わらず、係合圧制御手段92による係合圧制御のために学習補正前の第2の関係R2 を選択する。
【0036】
図8は、前記電子制御装置60の制御作動の要部すなわちシフトレバー77によるシフト操作時などにおける係合圧制御と無段変速機18の挟圧力制御とに共用されるリニアソレノイド弁SLTから出力される制御油圧PSLT を発生させる油圧制御作動を説明するフローチャートである。
【0037】
図8において、ステップ(以下、ステップを省略する)S1では、前記係合圧制御手段92の係合圧制御モードすなわちクラッチ圧制御モードであるか否かが判断される。このS1の判断が肯定される場合は、S2において前記係合圧制御手段92により決定された目標係合圧PGが読み込まれた後、S3において、前記第1の関係R1 を用いてその目標係合圧PGから目標挟圧力PBELTへ一旦変換される。次いで、S4、S5、S6において、挟圧力制御の学習補正に拘わらず、学習補正前の第2の関係R2 (基本マップ)を用いて目標挟圧力PBELTから駆動電流値ISLT へ変換される。すなわちS4において駆動信号の基本値が決定され、S5において最終値が決定され、S6においてその最終値に対応する駆動電流値ISLT が逐次決定される。
【0038】
しかし、上記S1の判断が否定される場合は、前記挟圧力制御手段100の挟圧力制御モードであるので、その挟圧力制御手段100により決定された目標挟圧力PBELTが読み込まれた後、S8において、前記挟圧力学習制御手段102による第2の関係R2 の学習補正が行われたか否かが判断される。このS8の判断が否定される場合は、学習補正前の状態であるので、前記S4以下が実行されることにより、挟圧力制御のための駆動電流値ISLT が逐次決定される。しかし、上記S8の判断が肯定される場合は、S9および前記S5、S6において、学習補正後の第2の関係R2 ’(学習後のマップ)を用いて目標挟圧力PBELTから駆動電流値ISLT へ変換される。上記S4およびS9は、係合圧制御のために挟圧力学習制御手段102による第2の関係R2 の学習補正が行われたか否かに拘わらず学習補正前の第2の関係R2 を選択し、挟圧力制御のために挟圧力学習制御手段102による第2の関係R2 の学習補正の有無に応じて学習補正前の第2の関係R2 および学習補正後の第2の関係R2 ’を択一的に選択する関係切換手段98に対応している。
【0039】
上述のように、本実施例によれば、挟圧力制御手段100による挟圧力制御時には、学習補正前の第2の関係R2 或いは学習補正後の第2の関係R2 ’からその挟圧力制御手段100により決定された目標挟圧力PBELTに基づいて駆動信号である駆動電流値ISLT を算出する一方、係合圧制御手段92による係合圧制御時には、第1の関係R1 からその係合圧制御手段92により決定された目標係合圧PGに基づいて目標挟圧力PBELTを一旦決定するとともに、挟圧力学習制御手段102による学習補正に拘わらず学習補正前の第2の関係R2 から上記目標挟圧力PBELTに基づいて駆動信号である駆動電流値ISLT を算出する駆動信号算出手段94が設けられ、その駆動信号決定手段94により算出された駆動電流値ISLT を用いてリニヤソレノイド弁(制御油圧発生弁)SLTを駆動して制御油圧PSLT が発生させられるので、挟圧力制御の学習に拘わらず、係合圧制御により制御される油圧式摩擦係合装置の係合圧が適切となって、挟圧力制御のための第2の関係R2 が学習補正されるにも拘わらず、前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1(油圧式摩擦係合装置)の耐久性が損なわれたり、その油圧式摩擦係合装置の係合ショックが発生したりすることが好適に抑制される。
【0040】
また、本実施例によれば、挟圧力学習制御手段102による第2の関係R2 の学習補正の有無に拘わらず、係合圧制御手段92による係合圧制御のために、学習補正前の第2の関係R2 を選択する関係切換手段98を備えたものであることから、挟圧力学習制御手段102による挟圧力学習の有無に拘わらず、学習補正の行われていない元の第2の関係R2 が選択されて前記係合圧制御に用いられるので、シフト操作時などにおける前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1(油圧式摩擦係合装置)の係合圧制御の制御精度が高められる。
【0041】
また、本実施例によれば、挟圧力学習制御手段102は、挟圧力制御手段100により制御される実際の無段変速機18の挟圧力を発生させる油圧PBELTに 基づいて、第2の関係R2 を学習補正するものである。すなわち、油圧センサ110sにより検出された実際の出力側油圧シリンダ46c内の挟圧力制御圧PBELT’と、上記挟圧力制御手段100および駆動信号算出手段94により決定された目標挟圧力FBELTを得るための油圧PBELTとの差が解消されるように第2の関係R2 を学習補正する。また、その学習補正は、車両の組み立て直後における構成部品の固体差、および油圧制御回路を構成する機器の特性の経時変化に基づいて前記第2の関係を学習補正するものである。このため、車両の構成部品の固体差や、油圧制御回路を構成する機器の特性の経時変化にも拘わらず、挟圧力制御が正確となる。
【0042】
また、本実施例によれば、係合圧制御手段92は、シフトレバー77による「N」ポジションから走行ポジションへのシフト操作に伴うシフト油圧制御中、車両の停止時に前記動力伝達装置内の動力伝達経路を遮断するニュートラル制御中、車両停止且つ制動中にエンジンを停止させるエコラン制御中のいずれかにおいて前記係合圧制御を実行するものであるので、それらシフト油圧制御中、ニュートラル制御中、エコラン制御中のいずれかにおいて実行される係合圧制御と、前記無段変速機18の挟圧力制御とが、共通の制御油圧発生弁から発生させられる制御油圧を用いて選択的に実行される。
【0043】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【0044】
たとえば、前述の実施例の車両は、エンジン12を走行用駆動力源として備えているとともに、そのエンジン12の出力を流体を介して伝達するトルクコンバータ14を有するものであったが、電動モータなどの他の駆動力源を備えているハイブリッド車両などにも適用され得る。また、トルクコンバータ14に替えて、流体継手(フルードカップリング)などの他の流体式動力伝達装置が採用されてもよい。
【0045】
また、前述の実施例において、前進用油圧式摩擦係合装置はクラッチC1から構成され、後進用油圧式摩擦係合装置はブレーキB1から構成されていたが、複数のクラッチ或いはブレーキから構成されていてもよい。
【0046】
また、前述の実施例において、係合過渡油圧調圧弁として機能するガレージシフトコントロールバルブ112や、切換弁として機能するガレージシフトバルブ114は、そのポートの数、スプール弁子112a、114aの形状、スプリング112a、114bの位置や有無などが異なる他の構成であっても差し支えない。
【0047】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の油圧制御装置が適用された車両用動力伝達装置の骨子図である。
【図2】図1の車両用動力伝達装置の制御系統を説明するブロック線図である。
【図3】図1の車両用動力伝達装置が備えている油圧制御回路の要部であって、前後進切換装置の係合過渡油圧およびベルト式無段変速機のベルト挟圧力の制御に関する部分を説明する回路図である。
【図4】図2の電子制御装置の制御機能の要部を説明するブロック線図である。
【図5】図2の電子制御装置の制御作動を説明するタイムチャートである。
【図6】係合圧制御および挟圧力制御に用いる駆動信号を決定するための関係を示す図であって、目標挟圧力またはそれを発生させる出力側油圧シリンダ内の油圧と駆動信号である駆動電流との間の第2の関係R2 を左側に示す、目標挟圧力またはそれを発生させる出力側油圧シリンダ内の油圧と目標係合圧すなわち係合過渡油圧との間の第1の関係を右側に示している。
【図7】図4の挟圧力制御手段において目標挟圧力を決定するために用いられる関係を示す図である。
【図8】図2の電子制御装置の制御作動を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10:車両用動力伝達装置
60:電子制御装置
77:シフトレバー(シフト操作部材)
92:係合圧制御手段
94:駆動信号算出手段
96:関係記憶装置
98:関係切換手段
100:挟圧力制御手段
102:挟圧力学習制御手段
C1:クラッチ(前進用油圧式摩擦係合装置)
B1:ブレーキ(後進用油圧式摩擦係合装置)

Claims (4)

  1. 摩擦接触する動力伝達部材を介して動力を伝達する無段変速機と、係合作動により動力伝達経路を達成する所定の油圧式摩擦係合装置と、該無段変速機の動力伝達部材に対する目標挟圧力を決定し、該目標挟圧力となるように該動力伝達部材に対する挟圧力を制御する挟圧力制御手段と、該油圧式摩擦係合装置の目標係合圧を決定し、該目標係合圧となるように係合圧を制御する係合圧制御手段と、駆動信号に従って前記制御油圧を発生させる共通の制御油圧発生弁とを備え、該挟圧力制御手段と係合圧制御手段とは該制御油圧発生弁から発生させられる制御油圧を用いて該動力伝達部材に対する挟圧力と該油圧式摩擦係合装置の係合圧とを選択的に制御する形式の車両用動力伝達装置の油圧制御装置であって、
    目標挟圧力と目標係合圧との間の第1の関係、および目標挟圧力と駆動信号との間の第2の関係を記憶する関係記憶装置と、
    前記挟圧力制御手段による制御結果に基づいて前記第2の関係を学習により補正し、学習補正後の第2の関係を前記関係記憶装置に記憶させる挟圧力学習制御手段と、
    前記挟圧力制御手段による挟圧力制御時には、前記挟圧力学習制御手段による学習補正前であれば前記第2の関係から、学習補正後であれば前記学習補正後の第2の関係から該挟圧力制御手段により決定された目標挟圧力に基づいて駆動信号を算出し、前記係合圧制御手段による係合圧制御時には、前記第1の関係から該係合圧制御手段により決定された目標係合圧に基づいて目標挟圧力を一旦算出するとともに、前記挟圧力学習制御手段による学習補正に拘わらず、学習補正前の第2の関係から該目標挟圧力に基づいて駆動信号を算出する駆動信号算出手段とを含み、
    該駆動信号算出手段により算出された駆動信号を用いて前記制御油圧発生弁を駆動して前記制御油圧を発生させることを特徴とする車両用動力伝達装置の油圧制御装置。
  2. 前記挟圧力学習制御手段による前記第2の関係の学習補正の有無に拘わらず、前記係合圧制御手段による係合圧制御のために、学習補正前の第2の関係を選択する関係切換手段を備えたものである請求項1の車両用動力伝達装置の油圧制御装置。
  3. 前記係合圧制御手段は、シフト操作部材によるニュートラルポジションから走行ポジションへのシフト操作に伴うシフト油圧制御中、車両の停止時に前記動力伝達装置内の動力伝達経路を遮断するニュートラル制御中、車両停止且つ制動中にエンジンを停止させるエコラン制御中のいずれかにおいて前記係合圧制御を実行するものである請求項1または2の車両用動力伝達装置の油圧制御装置。
  4. 前記走行ポジションは、前進走行ポジションまたは後進走行ポジションである請求項3の車両用動力伝達装置の油圧制御装置。
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