JP2004197823A - チェーンガイド - Google Patents
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Abstract
【課題】1次樹脂からなるガイド本体16と、このガイド本体16の支持部19に融着されて一体化され、チェーン8に摺接する2次樹脂からなる摺接部23とを備えたチェーンガイド13,14に対し、ガイド本体16と摺接部23との融着強度を大に保ち、チェーンガイド13,14の作動安定性や信頼性の向上を図る。
【解決手段】摺接部23の裏面に、脚部28,28,…と、この脚部28,28,…の先端に一体に形成され、脚部28よりも大きい断面積を有する係止部29,29,…とを備えた2次樹脂からなる抜止め部27を一体に突設し、この抜止め部27をガイド本体16内に融着状態で埋め込む。抜止め部の2次樹脂とガイド本体16の1次樹脂とを物理的に複合し、ガイド本体16と摺接部23との界面での融着強度を増大維持するとともに、ガイド本体16と摺接部23とを3次元方向の全てで係止して係止の安定性及び確実性を高める。
【選択図】 図7
【解決手段】摺接部23の裏面に、脚部28,28,…と、この脚部28,28,…の先端に一体に形成され、脚部28よりも大きい断面積を有する係止部29,29,…とを備えた2次樹脂からなる抜止め部27を一体に突設し、この抜止め部27をガイド本体16内に融着状態で埋め込む。抜止め部の2次樹脂とガイド本体16の1次樹脂とを物理的に複合し、ガイド本体16と摺接部23との界面での融着強度を増大維持するとともに、ガイド本体16と摺接部23とを3次元方向の全てで係止して係止の安定性及び確実性を高める。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チェーンに摺接してそれを案内するチェーンガイドに関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のチェーンガイドとして、例えば特許文献1や特許文献2に開示されたものが知られており、このチェーンガイドは、例えばOHCエンジンのカム軸駆動機構等のチェーン伝動機構におけるスプロケット間のチェーンに押し付けられて、その振動を抑制するために用いられる。
【0003】
そして、上記特許文献1には、略板状の支持部を有する樹脂からなる補強部をなすガイド本体と、このガイド本体とは仕様の異なる樹脂からなり、チェーンに摺接する板状の摺接部とを備え、この摺接部をガイド本体の支持部に蟻溝結合等により一体的に連結するようになされている。
【0004】
一方、特許文献2には、上記のガイド本体と摺接部とを成形により部分的又は全体で溶融接合して一体化することが提案されている。
【0005】
つまり、摺接部に用いられる樹脂材料は耐摩耗性を要するために高価であり、この高価な樹脂材料を摺接部のみに少量使用し、他の大半部は安価な樹脂を用いるようにしており、このことで、耐摩耗性と高強度特性とを併せ持つ単一の樹脂材料を使用してチェーンガイドを成形する場合のようにコストが高くなることもなく、チェーンガイドのコストダウンを図ることができる。
【0006】
そして、上記従来の特許文献2のように、ガイド本体と摺接部とを成形により溶融接合して一体化する場合、まず、成形型において1次樹脂によりガイド本体を成形した後、引き続いて2次樹脂により摺接部を成形し、その摺接部の2次樹脂が1次樹脂の表面を溶融しながら成形されることで、摺接部をガイド本体に融着一体化するようにしている(2色成形)。
【0007】
また、この他、特許文献3には、ガイド本体に表面に裏側のリブ部まで貫通する複数の貫通路を形成し、この貫通路に摺接部となる2次樹脂の一部を一体に充填し、その先端部を大きな断面積形状のものとしてガイド本体裏側のリブ部に係止することにより、摺接部のガイド本体からの剥離を防止することが提案されている。
【0008】
さらに、チェーンガイドの技術分野ではないが、特許文献4には、防水スイッチにおいて、硬質樹脂の板状のベース部と、このベース部を表面側から覆う弾性樹脂の防水キャップ部とによりカバーを設ける場合に、ベース部に貫通孔を形成し、この貫通孔に防水キャップ部となる軟質樹脂の一部を一体に充填し、その先端部をベース部の側面を経て裏面の凹部内に回り込んだ防水キャップ部の他の部分の軟質樹脂に一体成形することにより、防水キャップ部をベース部から外れ難くするようにすることが示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開昭63―243425号公報
【特許文献2】
特開2001―323976号公報
【特許文献3】
特開平10―103435号公報
【特許文献4】
特開平10―40768号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の特許文献2や特許文献3のように2色成形により摺接部をガイド本体に融着一体化する場合において、溶融した2次樹脂がキャビティに射出された際、その温度と流動圧とにより1次樹脂の表面が溶融してその溶融樹脂が2次樹脂に押し流されるが、その1次樹脂の押し流される程度をキャビティ内で比較すると、キャビティ外周部では、1次樹脂が成形型と接触してその硬化が早くなるのに対し、キャビティ中央部では、1次樹脂の温度が比較的高い温度に保持されてその硬化の進み具合の遅いので、キャビティ外周部よりもキャビティ中央部の方が1次樹脂の押し流される程度は大きくなる。このため、1次及び2次樹脂同士の融着はキャビティ中央部で完全に行われるものの、キャビティ外周部では不完全になり、ガイド本体と摺接部との界面の外周で融着強度が低くなる虞れがある。こうしてガイド本体と摺接部との界面の外周で融着強度が低いと、例えば外部のオイル等が界面に外周から浸入して、融着強度の低下が促進する。
【0011】
また、上記のようなガイド本体と摺接部とが融着されて一体化されたチェーンガイドが例えば上記OHCエンジンのカム軸駆動機構に用いられた場合、その使用環境温度が例えば−40℃から150℃までの広い温度範囲で変化するので、この温度変化によりチェーンガイドが冷熱ショックを受け、その冷熱ショックの繰返しに伴って疲労破壊に至るという問題が生じる。
【0012】
さらに、特許文献3のように、摺接部をガイド本体の裏面に係止するようにした場合、摺接部とガイド本体とが2次元方向でしか係止されず、その係止が不安定である難がある。
【0013】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記の如きガイド本体と摺接部とが融着されて一体化されるチェーンガイドにおいて、そのガイド本体と摺接部との接合構造に改良を加えることにより、ガイド本体と摺接部との融着強度を大に確保し、チェーンガイドの作動安定性や信頼性の向上を図ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく、この発明では、摺接部の一部をガイド本体内に融着状態で埋め込むようにした。
【0015】
具体的には、請求項1の発明では、チェーンに摺接して該チェーンを案内するチェーンガイドにおいて、略板状の支持部を有する1次樹脂からなるガイド本体と、このガイド本体の支持部表面に成形により融着されて一体化され、チェーンに摺接する2次樹脂からなる板状の摺接部とを備え、この摺接部の裏面には抜止め部が一体に突設され、この抜止め部はガイド本体内に融着状態で埋め込まれていることを特徴とする。
【0016】
上記の構成によると、2次樹脂からなる摺接部の裏面に同じ2次樹脂の抜止め部が一体に突設され、この抜止め部はガイド本体内に融着状態で埋め込まれているので、抜止め部の2次樹脂とガイド本体の1次樹脂とは物理的に複合されるようになり、ガイド本体と摺接部との界面での融着強度を増大維持することができる。特に、摺接部の抜止め部がガイド本体内に融着状態で埋め込まれているので、摺接部とガイド本体とが、摺接部をガイド本体の裏面に係止する場合のように2次元方向ではなくて、3次元方向の全てに係止することができ、その係止の安定性及び確実性を高めることができる。
【0017】
また、このようにガイド本体と摺接部との界面での融着強度の増大により、使用環境温度が例えば−40℃から150℃までの広い温度範囲で変化してチェーンガイドが冷熱ショックを受けても、その繰返しに伴って疲労破壊に至ることはない。これらにより、チェーンガイドの作動安定性や信頼性を向上させることができる。
【0018】
請求項2の発明では、上記抜止め部は、摺接部の裏面から突出する脚部と、この脚部の先端に一体に形成され、脚部よりも大きい断面積を有する係止部とを備えてなるものとする。このことで、抜止め部の望ましい構造が具体的に得られる。
【0019】
また、請求項3の発明では、上記脚部は、摺接部の幅方向両側部に摺接部の長さ方向に複数並んで配置されており、係止部は、上記摺接部の長さ方向に並んだ少なくとも2つの脚部の先端同士を接続しているものとする。
【0020】
こうすると、摺接部の幅方向両側部において摺接部長さ方向に並んだ複数の脚部同士が係止部により一体的に接続されることなり、ガイド本体と摺接部との界面の特に外周部での融着強度をさらに増大することができる。
【0021】
請求項4の発明では、チェーンガイドは、エンジンのカム軸駆動機構のチェーンに摺接して該チェーンを案内するものとする。このことで、本発明の効果が有効に発揮されるのに最適なチェーンガイドが得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図10はチェーン伝動機構としてのエンジンのカム軸駆動機構を示し、1はDOHCエンジン(尚、OHCエンジンであってもよい)の下部に配置されたクランク軸、2,3はエンジンの上部にクランク軸1と平行に配置されたカム軸であって、上記クランク軸1にはクランクスプロケット5が、また各カム軸2,3にはカムスプロケット6,7がそれぞれ回転一体に取り付けられ、これら3つのスプロケット5,6,7にはチェーン8が巻き掛けられており、カム軸2,3をクランク軸1によりその半分の回転数で同期して回転駆動するようにしている。
【0023】
上記クランクスプロケット5と各カムスプロケット6,7との間のチェーン8に摺接して該チェーン8を案内するための本発明の実施形態に係る第1及び第2の2つのチェーンガイド13,14が設けられ、第1チェーンガイド13はクランクスプロケット5と各カムスプロケット6,7との間のチェーン8の張り側スパン8aに、また第2チェーンガイド14は同緩み側スパン8bにそれぞれ摺接している。第1チェーンガイド13は移動不能に固定されているが、第2チェーンガイド14の上端部(カムスプロケット7側)は支持軸10により揺動可能に支持され、この第2チェーンガイド14の下端部には油圧シリンダ11が駆動連結されており、この油圧シリンダ11により第2チェーンガイド14を支持軸10回りに図10で反時計回り方向に回動させることで、チェーン8の緩み側スパン8bを押圧するようにしている。つまり、第2チェーンガイド14はチェーンテンショナとしての機能を有する。
【0024】
上記第1及び第2チェーンガイド13,14の基本構造はいずれも同じであり、ここでは第2チェーンガイド14について説明し、第1チェーンガイド13については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。すなわち、第2チェーンガイド14は、図1〜図6に示すように、ガラス繊維を混入したMXD6ナイロン(MP6ナイロン)等の1次樹脂からなるガイド本体16と、46ナイロン(PA46)等の2次樹脂からなる略板状の摺接部23とで構成され、ガイド本体16は摺接部23を補強するための補強部をなしている。
【0025】
上記ガイド本体16の一端部(上端部)にはボス部17が一体に形成され、このボス部17には上記支持軸10を挿通させる軸孔18が貫通形成されている。また、ガイド本体16の一側部にはチェーン8の回行面に沿って円弧状に延びる所定幅(例えば16mm)を有する平板状の支持部19が一体に形成されている。尚、ガイド本体16の他端部(下端部)に上記油圧シリンダ11が駆動連結される。また、20,20,…はガイド本体16の軽量化のためにその表面、裏面又は表裏面の双方に形成された凹部である。
【0026】
一方、上記摺接部23は、上記ガイド本体16の支持部19と同じ幅を有する平板状のもので、その裏面にて支持部19表面に融着されて一体化されていて、チェーン8の回行面に沿って延びる曲率半径Rの円弧状に形成され、その円弧長さは例えば150mmとされている。この摺接部23の表面には摺接部23の長さ方向に延びる断面矩形状の凹溝24が形成されており、この凹溝24内でチェーン8が凹溝24の主に底面に摺接しながら走行するようになっている。
【0027】
本発明の特徴として、図7〜図9に示すように、上記摺接部23の裏面には摺接部23と同じ2次樹脂からなる抜止め部27が一体に突設され、この抜止め部27は、摺接部23がガイド本体16から離れるのを阻止するようにガイド本体16内に融着状態で埋め込まれている。
【0028】
具体的には、抜止め部27は摺接部23の長さ方向に並んだ複数のユニット27a,27a,…(図7〜図9では2つのみ示す)に分けられ、各ユニット27aは、摺接部23の裏面においてその幅方向両端部で長さ方向に所定の間隔をあけた位置からそれぞれ突出する断面矩形状の2対の脚部28,28,…と、上記摺接部23の幅方向一端部に位置する2つの脚部28,28の先端部同士及び他端部に位置する2つの脚部28,28の先端部同士をそれぞれ接続して一体化する1対の係止部29,29とで構成されている。各係止部29は、摺接部23の長さ方向に延びかつガイド本体16における支持部19の厚さ方向の略中央部に埋め込まれた断面矩形状のもので、その幅は各脚部28の幅と同じとされ、長さは接続対象の2つの脚部28,28の間隔よりも長く、つまり係止部29の両端部は脚部28の位置よりも摺接部23の長さ方向に延長されている。よって、摺接部23の裏面から突出する複数の脚部28,28,…は、摺接部23の幅方向両側部に摺接部23の長さ方向に並んで配置され、この各脚部28の先端に一体に形成された係止部29は、脚部28よりも大きい断面積を有していて、摺接部23の長さ方向に並んだ2つの脚部28,28の先端同士を接続している。
【0029】
尚、このチェーンガイド14を成形してガイド本体16と摺接部23とを融着一体化する場合、まず、成形型において1次樹脂によりガイド本体16を成形した後、引き続いて2次樹脂により摺接部23を成形し、その摺接部23の2次樹脂が1次樹脂の表面を溶融しながら成形されることで、摺接部23をガイド本体16に融着一体化する2色成形が行われる(尚、この2色成形は、基本的に、前述の特許文献4に記載されている防水スイッチの場合と略同様に行われ、成形用のダイはスライド移動するようになっている)。
【0030】
したがって、上記実施形態においては、チェーンガイド14(又は13)の2次樹脂からなる摺接部23の裏面に抜止め部27が一体に突設され、この抜止め部27の各ユニット27aは、摺接部23裏面において幅方向両端部でその長さ方向に所定の間隔をあけた位置から突出する2対の脚部28,28,…と、この摺接部23の幅方向の両端部に位置する2つの脚部28,28の先端部同士をそれぞれ接続一体化する1対の係止部29,29とからなり、この各ユニット27aにおける脚部28,28,…及び係止部29,29はガイド本体16内に融着状態で埋め込まれているので、この抜止め部27の各係止部29がいわゆるアンカ部となって摺接部23が抜け止めされるとともに、脚部28及び係止部29のガイド本体16内への融着状態の埋込みにより抜止め部27の2次樹脂とガイド本体16の1次樹脂とは物理的に複合されるようになり、これらにより、ガイド本体16と摺接部23との界面での融着強度を増大維持することができる。
【0031】
しかも、摺接部23の抜止め部27がガイド本体16内に融着状態で埋め込まれているので、摺接部23とガイド本体16とを、摺接部がガイド本体の裏面に係止される場合のように2次元方向ではなくて、3次元方向の全てに係止することができ、その係止の安定性及び確実性を高めることができる。
【0032】
また、上記各ユニット27aの脚部28は、摺接部23の幅方向両側部に摺接部長さ方向に2つ並んで配置され、係止部29は、上記摺接部23の長さ方向に並んだ2つの脚部28,28の先端同士を接続しているので、この係止部29により摺接部23の幅方向両側部において2つの脚部28,28同士が一体的に接続され、ガイド本体16と摺接部23との界面の特に外周部での融着強度をさらに増大することができる。
【0033】
さらに、エンジンの状態が停止状態と運転状態との間で変化したとき、これに伴いチェーンガイド13,14の使用環境温度が例えば−40℃から150℃までの広い温度範囲で変化して、チェーンガイド13,14が冷熱ショックを受けるが、上記のようにガイド本体16と摺接部23との界面での融着強度が増大しているので、各チェーンガイド13,14が上記冷熱ショックを受けたとしても、その冷熱ショックの繰返しに伴ってチェーンガイド13,14が疲労破壊に至ることはなく、チェーンガイド13,14の作動安定性や信頼性を向上させることができる。
【0034】
(他の実施形態)
尚、上記実施形態では、抜止め部27を複数のユニット27a,27a,…で構成し、各ユニット27aは、摺接部23裏面の幅方向両端部でその長さ方向に所定の間隔をあけた位置から突出する2対の脚部28,28,…と、摺接部23幅方向の両端部に位置する2つの脚部28,28の先端部同士をそれぞれ接続一体化する1対の係止部29,29とで構成しているが、本発明での抜止め部の構造は斯かる実施形態の構造に限定されない。例えば、係止部29は、摺接部23の長さ方向に並んだ3つ以上の脚部28,28,…の先端部同士を接続してもよく、或いは1つの脚部28の先端部のみにそれよりも大きい断面積の係止部を一体形成することもできる。また、上記実施形態では、1対の係止部29,29が摺接部23の幅方向に対応して配置されているが、摺接部23の長さ方向に並ぶ複数の係止部29,29,…が摺接部23の幅方向の一側部と他側部とに交互に位置するように異ならせて配置してもよく、係止部29がガイド本体16内でアンカ部となるようにすればよい。さらには、脚部28や係止部29は断面矩形状のものに限定されず、円や楕円、その他の断面形状のものを用いてもよい。要は、抜止め部は、摺接部23の裏面に一体に突設されかつ摺接部23がガイド本体16から離れるのを阻止するようにガイド本体16内に融着状態で埋め込まれていればよい。
【0035】
また、上記実施形態は、エンジンのカム軸駆動機構に適用した例であるが、本発明はその他のチェーン伝動機構にも適用できるのは勿論のことである。
【0036】
【発明の効果】
以上説明した如く、請求項1の発明によると、1次樹脂からなるガイド本体と、このガイド本体の支持部表面に成形により融着されて一体化され、チェーンに摺接する2次樹脂からなる摺接部とを備えたチェーンガイドに対し、その摺接部の裏面に、ガイド本体内に融着状態で埋め込まれる抜止め部を一体に突設したことにより、抜止め部の2次樹脂とガイド本体の1次樹脂とを物理的に複合して、ガイド本体と摺接部との界面での融着強度を増大維持できるとともに、ガイド本体と摺接部とを3次元方向の全てで係止して、その係止の安定性及び確実性を高めることができ、使用環境温度が例えば−40℃から150℃までの広い温度範囲で変化してチェーンガイドが冷熱ショックを受けても、チェーンガイドの作動安定性や信頼性の向上を図ることができる。
【0037】
請求項2の発明によると、抜止め部は、摺接部の裏面から突出する脚部と、この脚部の先端に一体に形成され、脚部よりも大きい断面積を有する係止部とを備えたものとしたことにより、抜止め部の望ましい構造が具体的に得られる。
【0038】
請求項3の発明によると、複数の脚部を摺接部の幅方向両側部に摺接部の長さ方向に並んで配置し、摺接部の長さ方向に並んだ少なくとも2つの脚部の先端同士を係止部により接続したことにより、摺接部の幅方向両側部において複数の脚部同士を係止部により一体的に接続して、ガイド本体と摺接部との界面の特に外周部での融着強度をさらに増大することができる。
【0039】
請求項4の発明によると、チェーンガイドは、エンジンのカム軸駆動機構のチェーンに摺接してチェーンを案内するものとしたことにより、本発明の効果が有効に発揮されるのに最適なチェーンガイドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るチェーンガイドの全体構成を示す正面図である。
【図2】チェーンガイドの平面図である。
【図3】図1のIII−III線拡大断面図である。
【図4】図1のIV−IV線拡大断面図である。
【図5】図1のV−V線拡大断面図である。
【図6】図1のVI−VI線拡大断面図である。
【図7】図2のVII−VII線拡大断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図7のIX−IX線断面図である。
【図10】DOHCエンジンのカム軸駆動機構を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1 クランク軸
2 カム軸
3 カム軸
8 チェーン
13 第1チェーンガイド
14 第2チェーンガイド
16 ガイド本体
19 支持部
23 摺接部
27 抜止め部
28 脚部
29 係止部
【発明の属する技術分野】
本発明は、チェーンに摺接してそれを案内するチェーンガイドに関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のチェーンガイドとして、例えば特許文献1や特許文献2に開示されたものが知られており、このチェーンガイドは、例えばOHCエンジンのカム軸駆動機構等のチェーン伝動機構におけるスプロケット間のチェーンに押し付けられて、その振動を抑制するために用いられる。
【0003】
そして、上記特許文献1には、略板状の支持部を有する樹脂からなる補強部をなすガイド本体と、このガイド本体とは仕様の異なる樹脂からなり、チェーンに摺接する板状の摺接部とを備え、この摺接部をガイド本体の支持部に蟻溝結合等により一体的に連結するようになされている。
【0004】
一方、特許文献2には、上記のガイド本体と摺接部とを成形により部分的又は全体で溶融接合して一体化することが提案されている。
【0005】
つまり、摺接部に用いられる樹脂材料は耐摩耗性を要するために高価であり、この高価な樹脂材料を摺接部のみに少量使用し、他の大半部は安価な樹脂を用いるようにしており、このことで、耐摩耗性と高強度特性とを併せ持つ単一の樹脂材料を使用してチェーンガイドを成形する場合のようにコストが高くなることもなく、チェーンガイドのコストダウンを図ることができる。
【0006】
そして、上記従来の特許文献2のように、ガイド本体と摺接部とを成形により溶融接合して一体化する場合、まず、成形型において1次樹脂によりガイド本体を成形した後、引き続いて2次樹脂により摺接部を成形し、その摺接部の2次樹脂が1次樹脂の表面を溶融しながら成形されることで、摺接部をガイド本体に融着一体化するようにしている(2色成形)。
【0007】
また、この他、特許文献3には、ガイド本体に表面に裏側のリブ部まで貫通する複数の貫通路を形成し、この貫通路に摺接部となる2次樹脂の一部を一体に充填し、その先端部を大きな断面積形状のものとしてガイド本体裏側のリブ部に係止することにより、摺接部のガイド本体からの剥離を防止することが提案されている。
【0008】
さらに、チェーンガイドの技術分野ではないが、特許文献4には、防水スイッチにおいて、硬質樹脂の板状のベース部と、このベース部を表面側から覆う弾性樹脂の防水キャップ部とによりカバーを設ける場合に、ベース部に貫通孔を形成し、この貫通孔に防水キャップ部となる軟質樹脂の一部を一体に充填し、その先端部をベース部の側面を経て裏面の凹部内に回り込んだ防水キャップ部の他の部分の軟質樹脂に一体成形することにより、防水キャップ部をベース部から外れ難くするようにすることが示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開昭63―243425号公報
【特許文献2】
特開2001―323976号公報
【特許文献3】
特開平10―103435号公報
【特許文献4】
特開平10―40768号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の特許文献2や特許文献3のように2色成形により摺接部をガイド本体に融着一体化する場合において、溶融した2次樹脂がキャビティに射出された際、その温度と流動圧とにより1次樹脂の表面が溶融してその溶融樹脂が2次樹脂に押し流されるが、その1次樹脂の押し流される程度をキャビティ内で比較すると、キャビティ外周部では、1次樹脂が成形型と接触してその硬化が早くなるのに対し、キャビティ中央部では、1次樹脂の温度が比較的高い温度に保持されてその硬化の進み具合の遅いので、キャビティ外周部よりもキャビティ中央部の方が1次樹脂の押し流される程度は大きくなる。このため、1次及び2次樹脂同士の融着はキャビティ中央部で完全に行われるものの、キャビティ外周部では不完全になり、ガイド本体と摺接部との界面の外周で融着強度が低くなる虞れがある。こうしてガイド本体と摺接部との界面の外周で融着強度が低いと、例えば外部のオイル等が界面に外周から浸入して、融着強度の低下が促進する。
【0011】
また、上記のようなガイド本体と摺接部とが融着されて一体化されたチェーンガイドが例えば上記OHCエンジンのカム軸駆動機構に用いられた場合、その使用環境温度が例えば−40℃から150℃までの広い温度範囲で変化するので、この温度変化によりチェーンガイドが冷熱ショックを受け、その冷熱ショックの繰返しに伴って疲労破壊に至るという問題が生じる。
【0012】
さらに、特許文献3のように、摺接部をガイド本体の裏面に係止するようにした場合、摺接部とガイド本体とが2次元方向でしか係止されず、その係止が不安定である難がある。
【0013】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記の如きガイド本体と摺接部とが融着されて一体化されるチェーンガイドにおいて、そのガイド本体と摺接部との接合構造に改良を加えることにより、ガイド本体と摺接部との融着強度を大に確保し、チェーンガイドの作動安定性や信頼性の向上を図ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく、この発明では、摺接部の一部をガイド本体内に融着状態で埋め込むようにした。
【0015】
具体的には、請求項1の発明では、チェーンに摺接して該チェーンを案内するチェーンガイドにおいて、略板状の支持部を有する1次樹脂からなるガイド本体と、このガイド本体の支持部表面に成形により融着されて一体化され、チェーンに摺接する2次樹脂からなる板状の摺接部とを備え、この摺接部の裏面には抜止め部が一体に突設され、この抜止め部はガイド本体内に融着状態で埋め込まれていることを特徴とする。
【0016】
上記の構成によると、2次樹脂からなる摺接部の裏面に同じ2次樹脂の抜止め部が一体に突設され、この抜止め部はガイド本体内に融着状態で埋め込まれているので、抜止め部の2次樹脂とガイド本体の1次樹脂とは物理的に複合されるようになり、ガイド本体と摺接部との界面での融着強度を増大維持することができる。特に、摺接部の抜止め部がガイド本体内に融着状態で埋め込まれているので、摺接部とガイド本体とが、摺接部をガイド本体の裏面に係止する場合のように2次元方向ではなくて、3次元方向の全てに係止することができ、その係止の安定性及び確実性を高めることができる。
【0017】
また、このようにガイド本体と摺接部との界面での融着強度の増大により、使用環境温度が例えば−40℃から150℃までの広い温度範囲で変化してチェーンガイドが冷熱ショックを受けても、その繰返しに伴って疲労破壊に至ることはない。これらにより、チェーンガイドの作動安定性や信頼性を向上させることができる。
【0018】
請求項2の発明では、上記抜止め部は、摺接部の裏面から突出する脚部と、この脚部の先端に一体に形成され、脚部よりも大きい断面積を有する係止部とを備えてなるものとする。このことで、抜止め部の望ましい構造が具体的に得られる。
【0019】
また、請求項3の発明では、上記脚部は、摺接部の幅方向両側部に摺接部の長さ方向に複数並んで配置されており、係止部は、上記摺接部の長さ方向に並んだ少なくとも2つの脚部の先端同士を接続しているものとする。
【0020】
こうすると、摺接部の幅方向両側部において摺接部長さ方向に並んだ複数の脚部同士が係止部により一体的に接続されることなり、ガイド本体と摺接部との界面の特に外周部での融着強度をさらに増大することができる。
【0021】
請求項4の発明では、チェーンガイドは、エンジンのカム軸駆動機構のチェーンに摺接して該チェーンを案内するものとする。このことで、本発明の効果が有効に発揮されるのに最適なチェーンガイドが得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図10はチェーン伝動機構としてのエンジンのカム軸駆動機構を示し、1はDOHCエンジン(尚、OHCエンジンであってもよい)の下部に配置されたクランク軸、2,3はエンジンの上部にクランク軸1と平行に配置されたカム軸であって、上記クランク軸1にはクランクスプロケット5が、また各カム軸2,3にはカムスプロケット6,7がそれぞれ回転一体に取り付けられ、これら3つのスプロケット5,6,7にはチェーン8が巻き掛けられており、カム軸2,3をクランク軸1によりその半分の回転数で同期して回転駆動するようにしている。
【0023】
上記クランクスプロケット5と各カムスプロケット6,7との間のチェーン8に摺接して該チェーン8を案内するための本発明の実施形態に係る第1及び第2の2つのチェーンガイド13,14が設けられ、第1チェーンガイド13はクランクスプロケット5と各カムスプロケット6,7との間のチェーン8の張り側スパン8aに、また第2チェーンガイド14は同緩み側スパン8bにそれぞれ摺接している。第1チェーンガイド13は移動不能に固定されているが、第2チェーンガイド14の上端部(カムスプロケット7側)は支持軸10により揺動可能に支持され、この第2チェーンガイド14の下端部には油圧シリンダ11が駆動連結されており、この油圧シリンダ11により第2チェーンガイド14を支持軸10回りに図10で反時計回り方向に回動させることで、チェーン8の緩み側スパン8bを押圧するようにしている。つまり、第2チェーンガイド14はチェーンテンショナとしての機能を有する。
【0024】
上記第1及び第2チェーンガイド13,14の基本構造はいずれも同じであり、ここでは第2チェーンガイド14について説明し、第1チェーンガイド13については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。すなわち、第2チェーンガイド14は、図1〜図6に示すように、ガラス繊維を混入したMXD6ナイロン(MP6ナイロン)等の1次樹脂からなるガイド本体16と、46ナイロン(PA46)等の2次樹脂からなる略板状の摺接部23とで構成され、ガイド本体16は摺接部23を補強するための補強部をなしている。
【0025】
上記ガイド本体16の一端部(上端部)にはボス部17が一体に形成され、このボス部17には上記支持軸10を挿通させる軸孔18が貫通形成されている。また、ガイド本体16の一側部にはチェーン8の回行面に沿って円弧状に延びる所定幅(例えば16mm)を有する平板状の支持部19が一体に形成されている。尚、ガイド本体16の他端部(下端部)に上記油圧シリンダ11が駆動連結される。また、20,20,…はガイド本体16の軽量化のためにその表面、裏面又は表裏面の双方に形成された凹部である。
【0026】
一方、上記摺接部23は、上記ガイド本体16の支持部19と同じ幅を有する平板状のもので、その裏面にて支持部19表面に融着されて一体化されていて、チェーン8の回行面に沿って延びる曲率半径Rの円弧状に形成され、その円弧長さは例えば150mmとされている。この摺接部23の表面には摺接部23の長さ方向に延びる断面矩形状の凹溝24が形成されており、この凹溝24内でチェーン8が凹溝24の主に底面に摺接しながら走行するようになっている。
【0027】
本発明の特徴として、図7〜図9に示すように、上記摺接部23の裏面には摺接部23と同じ2次樹脂からなる抜止め部27が一体に突設され、この抜止め部27は、摺接部23がガイド本体16から離れるのを阻止するようにガイド本体16内に融着状態で埋め込まれている。
【0028】
具体的には、抜止め部27は摺接部23の長さ方向に並んだ複数のユニット27a,27a,…(図7〜図9では2つのみ示す)に分けられ、各ユニット27aは、摺接部23の裏面においてその幅方向両端部で長さ方向に所定の間隔をあけた位置からそれぞれ突出する断面矩形状の2対の脚部28,28,…と、上記摺接部23の幅方向一端部に位置する2つの脚部28,28の先端部同士及び他端部に位置する2つの脚部28,28の先端部同士をそれぞれ接続して一体化する1対の係止部29,29とで構成されている。各係止部29は、摺接部23の長さ方向に延びかつガイド本体16における支持部19の厚さ方向の略中央部に埋め込まれた断面矩形状のもので、その幅は各脚部28の幅と同じとされ、長さは接続対象の2つの脚部28,28の間隔よりも長く、つまり係止部29の両端部は脚部28の位置よりも摺接部23の長さ方向に延長されている。よって、摺接部23の裏面から突出する複数の脚部28,28,…は、摺接部23の幅方向両側部に摺接部23の長さ方向に並んで配置され、この各脚部28の先端に一体に形成された係止部29は、脚部28よりも大きい断面積を有していて、摺接部23の長さ方向に並んだ2つの脚部28,28の先端同士を接続している。
【0029】
尚、このチェーンガイド14を成形してガイド本体16と摺接部23とを融着一体化する場合、まず、成形型において1次樹脂によりガイド本体16を成形した後、引き続いて2次樹脂により摺接部23を成形し、その摺接部23の2次樹脂が1次樹脂の表面を溶融しながら成形されることで、摺接部23をガイド本体16に融着一体化する2色成形が行われる(尚、この2色成形は、基本的に、前述の特許文献4に記載されている防水スイッチの場合と略同様に行われ、成形用のダイはスライド移動するようになっている)。
【0030】
したがって、上記実施形態においては、チェーンガイド14(又は13)の2次樹脂からなる摺接部23の裏面に抜止め部27が一体に突設され、この抜止め部27の各ユニット27aは、摺接部23裏面において幅方向両端部でその長さ方向に所定の間隔をあけた位置から突出する2対の脚部28,28,…と、この摺接部23の幅方向の両端部に位置する2つの脚部28,28の先端部同士をそれぞれ接続一体化する1対の係止部29,29とからなり、この各ユニット27aにおける脚部28,28,…及び係止部29,29はガイド本体16内に融着状態で埋め込まれているので、この抜止め部27の各係止部29がいわゆるアンカ部となって摺接部23が抜け止めされるとともに、脚部28及び係止部29のガイド本体16内への融着状態の埋込みにより抜止め部27の2次樹脂とガイド本体16の1次樹脂とは物理的に複合されるようになり、これらにより、ガイド本体16と摺接部23との界面での融着強度を増大維持することができる。
【0031】
しかも、摺接部23の抜止め部27がガイド本体16内に融着状態で埋め込まれているので、摺接部23とガイド本体16とを、摺接部がガイド本体の裏面に係止される場合のように2次元方向ではなくて、3次元方向の全てに係止することができ、その係止の安定性及び確実性を高めることができる。
【0032】
また、上記各ユニット27aの脚部28は、摺接部23の幅方向両側部に摺接部長さ方向に2つ並んで配置され、係止部29は、上記摺接部23の長さ方向に並んだ2つの脚部28,28の先端同士を接続しているので、この係止部29により摺接部23の幅方向両側部において2つの脚部28,28同士が一体的に接続され、ガイド本体16と摺接部23との界面の特に外周部での融着強度をさらに増大することができる。
【0033】
さらに、エンジンの状態が停止状態と運転状態との間で変化したとき、これに伴いチェーンガイド13,14の使用環境温度が例えば−40℃から150℃までの広い温度範囲で変化して、チェーンガイド13,14が冷熱ショックを受けるが、上記のようにガイド本体16と摺接部23との界面での融着強度が増大しているので、各チェーンガイド13,14が上記冷熱ショックを受けたとしても、その冷熱ショックの繰返しに伴ってチェーンガイド13,14が疲労破壊に至ることはなく、チェーンガイド13,14の作動安定性や信頼性を向上させることができる。
【0034】
(他の実施形態)
尚、上記実施形態では、抜止め部27を複数のユニット27a,27a,…で構成し、各ユニット27aは、摺接部23裏面の幅方向両端部でその長さ方向に所定の間隔をあけた位置から突出する2対の脚部28,28,…と、摺接部23幅方向の両端部に位置する2つの脚部28,28の先端部同士をそれぞれ接続一体化する1対の係止部29,29とで構成しているが、本発明での抜止め部の構造は斯かる実施形態の構造に限定されない。例えば、係止部29は、摺接部23の長さ方向に並んだ3つ以上の脚部28,28,…の先端部同士を接続してもよく、或いは1つの脚部28の先端部のみにそれよりも大きい断面積の係止部を一体形成することもできる。また、上記実施形態では、1対の係止部29,29が摺接部23の幅方向に対応して配置されているが、摺接部23の長さ方向に並ぶ複数の係止部29,29,…が摺接部23の幅方向の一側部と他側部とに交互に位置するように異ならせて配置してもよく、係止部29がガイド本体16内でアンカ部となるようにすればよい。さらには、脚部28や係止部29は断面矩形状のものに限定されず、円や楕円、その他の断面形状のものを用いてもよい。要は、抜止め部は、摺接部23の裏面に一体に突設されかつ摺接部23がガイド本体16から離れるのを阻止するようにガイド本体16内に融着状態で埋め込まれていればよい。
【0035】
また、上記実施形態は、エンジンのカム軸駆動機構に適用した例であるが、本発明はその他のチェーン伝動機構にも適用できるのは勿論のことである。
【0036】
【発明の効果】
以上説明した如く、請求項1の発明によると、1次樹脂からなるガイド本体と、このガイド本体の支持部表面に成形により融着されて一体化され、チェーンに摺接する2次樹脂からなる摺接部とを備えたチェーンガイドに対し、その摺接部の裏面に、ガイド本体内に融着状態で埋め込まれる抜止め部を一体に突設したことにより、抜止め部の2次樹脂とガイド本体の1次樹脂とを物理的に複合して、ガイド本体と摺接部との界面での融着強度を増大維持できるとともに、ガイド本体と摺接部とを3次元方向の全てで係止して、その係止の安定性及び確実性を高めることができ、使用環境温度が例えば−40℃から150℃までの広い温度範囲で変化してチェーンガイドが冷熱ショックを受けても、チェーンガイドの作動安定性や信頼性の向上を図ることができる。
【0037】
請求項2の発明によると、抜止め部は、摺接部の裏面から突出する脚部と、この脚部の先端に一体に形成され、脚部よりも大きい断面積を有する係止部とを備えたものとしたことにより、抜止め部の望ましい構造が具体的に得られる。
【0038】
請求項3の発明によると、複数の脚部を摺接部の幅方向両側部に摺接部の長さ方向に並んで配置し、摺接部の長さ方向に並んだ少なくとも2つの脚部の先端同士を係止部により接続したことにより、摺接部の幅方向両側部において複数の脚部同士を係止部により一体的に接続して、ガイド本体と摺接部との界面の特に外周部での融着強度をさらに増大することができる。
【0039】
請求項4の発明によると、チェーンガイドは、エンジンのカム軸駆動機構のチェーンに摺接してチェーンを案内するものとしたことにより、本発明の効果が有効に発揮されるのに最適なチェーンガイドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るチェーンガイドの全体構成を示す正面図である。
【図2】チェーンガイドの平面図である。
【図3】図1のIII−III線拡大断面図である。
【図4】図1のIV−IV線拡大断面図である。
【図5】図1のV−V線拡大断面図である。
【図6】図1のVI−VI線拡大断面図である。
【図7】図2のVII−VII線拡大断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図7のIX−IX線断面図である。
【図10】DOHCエンジンのカム軸駆動機構を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1 クランク軸
2 カム軸
3 カム軸
8 チェーン
13 第1チェーンガイド
14 第2チェーンガイド
16 ガイド本体
19 支持部
23 摺接部
27 抜止め部
28 脚部
29 係止部
Claims (4)
- チェーンに摺接して該チェーンを案内するチェーンガイドにおいて、
略板状の支持部を有する1次樹脂からなるガイド本体と、
上記ガイド本体の支持部表面に成形により融着されて一体化され、チェーンに摺接する2次樹脂からなる板状の摺接部とを備え、
上記摺接部の裏面には抜止め部が一体に突設されていて、該抜止め部はガイド本体内に融着状態で埋め込まれていることを特徴とするチェーンガイド。 - 請求項1のチェーンガイドにおいて、
抜止め部は、摺接部の裏面から突出する脚部と、該脚部の先端に一体に形成され、脚部よりも大きい断面積を有する係止部とを備えてなることを特徴とするチェーンガイド。 - 請求項2のチェーンガイドにおいて、
脚部は、摺接部の幅方向両側部に摺接部の長さ方向に複数並んで配置されており、
係止部は、上記摺接部の長さ方向に並んだ少なくとも2つの脚部の先端同士を接続していることを特徴とするチェーンガイド。 - 請求項1〜3のいずれか1つのチェーンガイドにおいて、
エンジンのカム軸駆動機構のチェーンに摺接して該チェーンを案内するように構成されていることを特徴とするチェーンガイド。
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