JP2004197074A - 蓄熱体の製造方法及びその蓄熱体を用いた蓄熱システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 相変化により蓄熱性を有する油性物質を水性媒体に簡便にかつ効率的に分散し、しかも相変化により蓄熱性を有する油性物質の分散体が崩壊する場合でも容易に再分散することができる蓄熱体の製造方法を提供する。
【解決手段】 相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体及び分散剤を必須とする混合物を水中油滴型に分散することにより蓄熱体を製造する方法であって、該蓄熱体の製造方法は、ラインミキサーを用いることで相変化により蓄熱性を有する油性物質を分散する工程を含んでなる蓄熱体の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体及び分散剤を必須とする混合物を水中油滴型に分散することにより蓄熱体を製造する方法であって、該蓄熱体の製造方法は、ラインミキサーを用いることで相変化により蓄熱性を有する油性物質を分散する工程を含んでなる蓄熱体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、蓄熱体の製造方法、及び、蓄熱体を用いた蓄熱装置又は蓄熱システムに関する。蓄熱体とは、相変化により蓄熱性を有する油性物質を必須成分としてなる水分散体を含んでなり、オフィスビルや工場等の大型建造物用や家庭用等の冷暖房装置における熱貯蔵システムに用いることができるものである。
潜熱を利用した油性蓄熱物質として、脂肪族炭化水素、脂肪酸、脂肪酸エステルが知られている。このような油性蓄熱物質は、固体から液体への相変化時に放熱し、液体から固体への相変化時に吸熱するという特性があり、これを熱貯蔵システムに利用して冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護等の目的のために活かそうとする技術が注目されている。例えば、油性蓄熱物質を含む蓄熱体を用いた蓄熱装置としては、蓄熱体を蓄熱槽と冷凍機との間で循環させることにより蓄熱体を冷却固化し、その融解時の吸熱効果を冷房に活かそうとするものが利用されている。
このような油性蓄熱物質を有効に利用するために、油性蓄熱物質と水との水中油型エマルションを作製して使用する方法が提案されている。例えば、熱搬送システム用媒体に関し、連続相である水と、蓄熱材としてのパラフィンの一つであるテトラデカンを混ぜてドレッシングを作り、ホモジナイザーを用いてテトラデカンを分散させたものが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、飽和炭化水素を用いたエマルジョンからなる蓄熱材に関し、相変化を伴う飽和炭化水素としてノルマルヘキサデカン、核発生剤としてノルマルオクタデカン、界面活性剤としてポリオキシエチレンステアリルエーテル、分散媒として水を用い、これらをミキサーにて攪拌したものが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、これらは蓄熱材を効率よく生産可能な乳化機という観点で開示されたものではない。蓄熱材の製造においては、通常では混合槽内に乳化機が配置されて油性蓄熱物質が水中に分散されることになる。この場合、専用の混合槽を設置し、図2で示したような大型の乳化機を取り付けることが必要となり、製造設備を構築するに際して多額の費用を要することとなる。
またエマルジョン蓄熱材、蓄熱槽、配管、循環ポンプ及びヒートポンプから構成された蓄冷システムが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、このような蓄熱システムにおいては、エマルジョン蓄熱材における分散体が崩壊し、油層と水層とに分離した場合、崩壊した分散体を再乳化するためには、循環ポンプを複数個使用する必要があり効率が悪いことから、より簡便にかつ効率的にエマルジョン蓄熱材を再乳化するための工夫の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、相変化により蓄熱性を有する油性物質を水性媒体に簡便にかつ効率的に分散し、しかも相変化により蓄熱性を有する油性物質の分散体が崩壊する場合でも容易に再分散することができる蓄熱体の製造方法を提供することを目的とするものである。また、冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護等の目的のために好適に用いることができる蓄熱装置又は蓄熱システムを提供することを目的とするものである。
本発明者等は、相変化により蓄熱性を有する油性物質を用いた蓄熱体の製造方法について種々検討した結果、相変化により蓄熱性を有する油性物質を水性媒体に分散したものが安全性が高く、各種の熱貯蔵システムに広く用いることができることに着目し、相変化により蓄熱性を有する油性物質を分散剤により水性媒体に水中油滴型に分散させて分散体の形態とする蓄熱体の製造方法が有用であることを見いだした。そして、相変化により蓄熱性を有する油性物質の分散体を調製する際に、また、相変化により蓄熱性を有する油性物質の分散体が崩壊したときに再分散する際に、蓄熱体の製造工程における分散手段が相変化により蓄熱性を有する油性物質の分散性や製造設備に大きく寄与し、従来から使用されている混合槽付近にラインミキサーと循環用配管とを取り付けることで、蓄熱体を製造する設備を設けることができ、設備投資を抑えることができることを見いだした。すなわちラインミキサーを用いることで相変化により蓄熱性を有する油性物質を水中油滴型に分散することにより、専用の混合槽を設置し、それに大型の乳化機を取り付けることなく、既存の製造設備を用いて冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護等の目的のために有用な蓄熱体を製造することが可能となり、また、相変化により蓄熱性を有する油性物質の分散体が崩壊する場合でも容易に再分散することが可能となり、これらのことから相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体及び分散剤を必須とする蓄熱体を廉価に製造することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体及び分散剤を必須とする混合物を水中油滴型に分散することにより蓄熱体を製造する方法であって、上記蓄熱体の製造方法は、ラインミキサーを用いることで相変化により蓄熱性を有する油性物質を分散する工程を含んでなる蓄熱体の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
以下に本発明を詳述する。
本発明の蓄熱体の製造方法においては、(1)製造原料から油性物質の分散体を製造する形態、(2)油性物質の分散体における分散状態を維持する形態、(3)油性物質の分散体が崩壊し、油層と水層とに分離した場合に、崩壊した分散体を再分散する形態等が挙げられ、これらのいずれか又はこれらを組み合わせた形態に対して適用されることになる。
本発明においては、ラインミキサーを用いて相変化により蓄熱性を有する油性物質を分散する工程において上記の形態が実施されることになる。すなわち、油性物質を分散する工程においては、製造原料からラインミキサーを用いて攪拌することで油性物質の分散体を得る工程を意味するだけでなく、すでに油性物質が分散状態にある蓄熱体をラインミキサーで攪拌することにより、油性物質の分散状態を維持したり、油性物質が分離している蓄熱体を再分散することにより、油性物質が充分に分散された状態としたりする工程も含むものである。すでに油性物質が充分な分散状態にある蓄熱体や、油性物質が分離している蓄熱体としては、本発明の製造方法により得られた蓄熱体でもよいし、本発明以外の製造方法により得られた蓄熱体でもよい。なお、これらのいずれの形態においても、通常では蓄熱体を槽中に貯蔵することになる。
本発明においては、ラインミキサーを用いて相変化により蓄熱性を有する油性物質を分散する工程において上記の形態が実施されることになる。すなわち、油性物質を分散する工程においては、製造原料からラインミキサーを用いて攪拌することで油性物質の分散体を得る工程を意味するだけでなく、すでに油性物質が分散状態にある蓄熱体をラインミキサーで攪拌することにより、油性物質の分散状態を維持したり、油性物質が分離している蓄熱体を再分散することにより、油性物質が充分に分散された状態としたりする工程も含むものである。すでに油性物質が充分な分散状態にある蓄熱体や、油性物質が分離している蓄熱体としては、本発明の製造方法により得られた蓄熱体でもよいし、本発明以外の製造方法により得られた蓄熱体でもよい。なお、これらのいずれの形態においても、通常では蓄熱体を槽中に貯蔵することになる。
本発明におけるラインミキサーは、槽中の製造原料等を直接攪拌するものではなく、槽中の製造原料等が通過する配管の途中に設置される邪魔板、突起物、機械的攪拌によって分散を行う分散装置を意味する。
上記ラインミキサーとしては、ミキサー自体に相変化により蓄熱性を有する油性物質を分散できるモーター等の攪拌駆動部を有するタイプや、ミキサー自体に攪拌駆動部を有しないタイプがある。なお、攪拌駆動部を有しないミキサーを用いる場合には、製造原料等を送液するための循環ポンプが必要となる。
上記ラインミキサーとしては、ミキサー自体に相変化により蓄熱性を有する油性物質を分散できるモーター等の攪拌駆動部を有するタイプや、ミキサー自体に攪拌駆動部を有しないタイプがある。なお、攪拌駆動部を有しないミキサーを用いる場合には、製造原料等を送液するための循環ポンプが必要となる。
上記攪拌駆動部を有するタイプのラインミキサーとしては、ミキサーとしてだけでなく、ポンプとしての能力も有するものが好適である。この場合、配管にポンプを設置する必要がなく、製造設備の簡略化の点で好適であるが、ポンプとしての能力が不足する場合には、追加的にポンプを設置してもよい。このようなラインミキサーとしては、高速で回転するローターを備えたインラインミキサー450LS型(シルバーソン社製)、T.K.パイプラインホモミキサーPL−2S型(特殊機化工業社製)等が挙げられる。このようなラインミキサーは、例えば、ローターが高速で回転することによる強力な吸引力、遠心力及びせん断力により、製造原料等を攪拌及び分散することとなる。
上記攪拌駆動部を有しないタイプのラインミキサーとしては、ポンプ等により生じる流体の流れを利用して攪拌するものが好適である。このようなラインミキサーとしては、スタティック型ミキサーであるOHR(Original Hydrodynamic Reaction)ラインミキサーMX−8型(西華産業社製)、スタティックミキサー(ノリタケカンパニーリミテド社製)、分散君(フジキン社製)、ラインミキサーSMX型、SMV型(コークグリッジ社製)等が挙げられる。このようなラインミキサーは、例えば、長方形の板を180°ねじった形をしたエレメントや、きのこ状の衝突体をラインミキサー内に有し、これらのエレメントや衝突体の作用又はエレメントに設けられた細孔を通過する際の剪断力と衝突並びにそれによって引き起こされるキャビテーション効果により、製造原料等を攪拌及び分散することとなる。
本発明における製造形態としては、ラインミキサーを用いて攪拌することとなる形態であればよく、例えば、製造原料等を投入する槽に配管が接続されており、その配管の途中にラインミキサーが設置される形態が好ましい。ラインミキサーの設置において、設置数や設置位置としては、製造規模、製造原料の特性、配管を通過する製造原料等の速度や単位時間あたりの流量等によって適宜設定すればよいが、槽の近辺にラインミキサーが設置されることが好ましい。また、製造原料等をラインミキサーに供給する形態としては、槽中の混合物や分散体を、配管によりラインミキサーに供給してもよく、それぞれの製造原料を供給する配管をラインミキサーに接続することにより製造原料を供給してもよい。
本発明における製造形態において、ラインミキサーを配管の途中に設置する場合、ラインミキサーが設置された配管に混合物や分散体を1回だけ通過させることにより分散してもよく、2回以上通過させることにより分散してもよい。また、槽中の混合物や分散体をラインミキサーが設置された配管を用いて循環させることにより分散してもよい。
本発明においては、槽中の混合物や分散体をラインミキサーが設置された配管を用いて循環させることが好ましく、これにより、油性物質の分散体の製造や、分散体における分散状態の維持、崩壊した分散体の再分散等のいずれの形態においても、簡便にかつ廉価に油性物質を分散する工程を行うことができることとなる。
本発明においては、槽中の混合物や分散体をラインミキサーが設置された配管を用いて循環させることが好ましく、これにより、油性物質の分散体の製造や、分散体における分散状態の維持、崩壊した分散体の再分散等のいずれの形態においても、簡便にかつ廉価に油性物質を分散する工程を行うことができることとなる。
以下に本発明の製造形態について、図を用いて更に詳しく説明する。
図1は、本発明の製造方法における製造装置1を用いた実施の一形態を示した模式図である。この製造装置1は、製造原料や蓄熱体を供給する槽2と、それ自体にポンプ能力を有するラインミキサー3と、ラインミキサー3を介して接続されている配管4及び5と、得られた分散体の抜き出し配管6とにより構成されている。配管4は、槽2の底部に接続されており、ラインミキサー3に繋がっている。配管5は、ラインミキサー3に接続されており、槽2に繋がっている。このような製造装置1で製造原料から蓄熱体を製造する場合においては、まず、槽2に製造原料が投入され、混合液として配管4を通ってラインミキサー3に送液される。この混合液は、ラインミキサー3で攪拌により分散され、分散体として配管5を通って槽2に戻る。槽2に戻った分散体は、槽2内で対流により攪拌され、再び配管4を通ってラインミキサー3に送液されることとなる。このような製造方法においては、分散体を循環させる時間等により、又は、すでに油性物質が分散状態にある蓄熱体を槽2に投入することにより、分散体を製造するだけでなく、分散体の分散状態を維持することができることになる。また、油性物質が分離した場合においても、分散体の再分散及び維持が可能となる。
図1は、本発明の製造方法における製造装置1を用いた実施の一形態を示した模式図である。この製造装置1は、製造原料や蓄熱体を供給する槽2と、それ自体にポンプ能力を有するラインミキサー3と、ラインミキサー3を介して接続されている配管4及び5と、得られた分散体の抜き出し配管6とにより構成されている。配管4は、槽2の底部に接続されており、ラインミキサー3に繋がっている。配管5は、ラインミキサー3に接続されており、槽2に繋がっている。このような製造装置1で製造原料から蓄熱体を製造する場合においては、まず、槽2に製造原料が投入され、混合液として配管4を通ってラインミキサー3に送液される。この混合液は、ラインミキサー3で攪拌により分散され、分散体として配管5を通って槽2に戻る。槽2に戻った分散体は、槽2内で対流により攪拌され、再び配管4を通ってラインミキサー3に送液されることとなる。このような製造方法においては、分散体を循環させる時間等により、又は、すでに油性物質が分散状態にある蓄熱体を槽2に投入することにより、分散体を製造するだけでなく、分散体の分散状態を維持することができることになる。また、油性物質が分離した場合においても、分散体の再分散及び維持が可能となる。
本発明の製造方法においては、必要により更にラインミキサー以外のその他の分散手段を用いてもよいが、相変化により蓄熱性を有する油性物質を水性媒体に分散する工程を簡便に行い、かつ設備投資を抑えるという点から、分散手段としてはラインミキサーのみを用いることが好ましい。その他の分散手段を用いる場合には、一般的な機械を使用することができる。例えば、プロペラ攪拌機、高速回転攪拌機、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、コロイドミル、ロールミル、ローラーミル、サンドミル、ボールミル、超音波乳化機、真空式練合機、真空式乳化機、解放式乳化機等が挙げられる。
本発明はまた、相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体及び分散剤を必須とする混合物を水中油滴型に分散することにより得られた蓄熱体を相変化させた後、スタティック型ミキサーを用いて再度分散する蓄熱体の製造方法でもある。
上記相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体及び分散剤を必須とする混合物を水中油滴型に分散することにより得られた蓄熱体としては、本発明の製造方法により得られたものであることが好ましいが、特に限定されるものではない。上記製造方法においては、このような蓄熱体を蓄熱装置等で用いることで相変化させた後、スタティック型ミキサーを用いて再度分散することとなる。
上記相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体及び分散剤を必須とする混合物を水中油滴型に分散することにより得られた蓄熱体としては、本発明の製造方法により得られたものであることが好ましいが、特に限定されるものではない。上記製造方法においては、このような蓄熱体を蓄熱装置等で用いることで相変化させた後、スタティック型ミキサーを用いて再度分散することとなる。
次に、本発明における蓄熱体を構成する相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体、分散剤について説明する。
本発明における油性物質は、相変化により蓄熱性を有するものである。すなわち相変化又は相転移の際の潜熱を利用する潜熱蓄熱を蓄熱性として有し、蓄熱密度が高く、一定温度付近での蓄熱や放熱が可能なものである。これにより、例えば、顕熱蓄熱、潜熱蓄熱、化学反応蓄熱等の熱エネルギーを貯蔵し、放出することが可能となる。
本発明における油性物質は、相変化により蓄熱性を有するものである。すなわち相変化又は相転移の際の潜熱を利用する潜熱蓄熱を蓄熱性として有し、蓄熱密度が高く、一定温度付近での蓄熱や放熱が可能なものである。これにより、例えば、顕熱蓄熱、潜熱蓄熱、化学反応蓄熱等の熱エネルギーを貯蔵し、放出することが可能となる。
上記油性物質を構成する成分としては、パラフィンやα−オレフィン等の炭化水素化合物;高級脂肪酸類;高級脂肪酸エステル類;高級アルコール類等の化合物が好適であり、具体的には、C14パラフィン、C15パラフィン、C16パラフィン等の常温で液体である中級パラフィン;C17パラフィン、C18パラフィン、C19パラフィン、C20パラフィン、C21パラフィン、C22パラフィン、C23パラフィン、C24パラフィン、C25パラフィン等の常温付近で固体である高級パラフィン;1−デカノール等の高級アルコールが好適である。これらの中でも、取り扱いが便宜であることから、ビル空調用の蓄熱体の場合、常温(25℃)及び常圧(約101.3kPa)において液体であるものを、相変化により蓄熱性を有する油性物質を構成する成分として用いることが好ましい。また、容易に入手でき、また、広い温度範囲に用いることができる蓄熱体を簡便にかつ安定的に製造することができることから、パラフィンが好ましく、ビル空調の冷熱用途等の場合、パラフィンの中でもペンタデカンを含むことが好ましい。
上記油性物質としては、単独成分のものを使用してもよいが、相変化により蓄熱性を有する油性物質の種類と配合比率を任意に調整することで、使用する蓄熱温度に融点を合わせることができる。冷房用途として使用する場合、約5〜20℃に融点を持つ相変化により蓄熱性を有する油性物質を選択すればよい。また暖房用途として使用する場合には、約40〜60℃に融点を持つ相変化により蓄熱性を有する油性物質を選択すればよい。
上記油性物質の使用量としては、相変化により蓄熱性を有する油性物質の種類や蓄熱体の使用形態、要求される蓄熱効率に応じて適宜設定すればよいが、蓄熱体100質量%中10質量%以上とすることが好ましく、また、100質量%以下とすることが好ましい。10質量%未満であると、蓄熱効率や蓄熱性能が低下するおそれがある。より好ましくは、20質量%以上であり、また、75質量%以下である。
本発明による蓄熱体において、水性媒体とは水を必須成分とするものであるが、水と水に溶解する溶媒との混合物を用いることができ、例えば、水とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、エチレングリコール、ジエチレングリコール等との混合溶媒が好適である。水性媒体中の水の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。更に好ましくは、水のみを用いることである。
上記水性媒体の使用量としては、相変化により蓄熱性を有する油性物質100質量%に対して、5.0質量%以上とすることが好ましく、また、900質量%以下とすることが好ましい。
上記水性媒体の使用量としては、相変化により蓄熱性を有する油性物質100質量%に対して、5.0質量%以上とすることが好ましく、また、900質量%以下とすることが好ましい。
本発明における分散剤としては、ノニオン系界面活性剤を必須成分としてなるものであることが好ましく、ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等のソルビタンエステル系化合物;ショ糖脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル;ポリオキシエチレンアルキルエステル;ポリグリセリンアルキルエステル;脂肪酸エステル;脂肪酸石鹸;アルキルアミンエチレンオキサイド付加体;コレステロール等のステロール類が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数20以上)アルキル(総炭素数15以上)エーテル及び/又はポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数20以上)ソルビタンアルキル(総炭素数15以上)エステルを必須成分としてなるものであることが好ましい。このような必須成分において、エチレンオキサイドの付加モル数は20以上で、好ましくは100以下、より好ましくは50以下である。また総炭素数は15以上で、好ましくは40以下、より好ましくは30以下である。
この中でより好ましくは、エチレンオキサイド付加モル数が20以上であるポリオキシエチレンステアリルエーテル又はエチレンオキサイド付加モル数が20以上であるポリオキシエチレンソルビタンステアレートである。
この中でより好ましくは、エチレンオキサイド付加モル数が20以上であるポリオキシエチレンステアリルエーテル又はエチレンオキサイド付加モル数が20以上であるポリオキシエチレンソルビタンステアレートである。
上記分散剤としてはまた、両性界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン−アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤を適宜使用してもよい。それら界面活性剤として、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル塩;テトラデセンスルホン酸ナトリウム等のα−オレフィンスルホン酸塩;スルホコハク酸塩;エーテルスルホン酸塩;エーテルカルボン酸及びその塩;ラウリン酸アミドプロピルベタイン等のベタイン類;ジアルキルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウムが好ましい。
更にその他の分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルスルホン、マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリジアリルアミン、ポリエチレンイミン、カルボキシルメチセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、可溶性デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キトサン、寒天、ゼラチン、大豆カゼイン、ポリビニルスルホン酸、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸(メタ)アクリル酸エステル共重合体等を用いることもできる。
更にその他の分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルスルホン、マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリジアリルアミン、ポリエチレンイミン、カルボキシルメチセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、可溶性デンプン、デキストリン、アラビアゴム、キトサン、寒天、ゼラチン、大豆カゼイン、ポリビニルスルホン酸、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸(メタ)アクリル酸エステル共重合体等を用いることもできる。
上記分散剤の使用量としては、相変化により蓄熱性を有する油性物質100質量%に対して、0.1質量%以上とすることが好ましく、また、30質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、1.0質量%以上であり、また、20質量%以下である。
本発明による蓄熱体には、更に、以下に記載する機能を有する添加剤を含有させることもできる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(1)伝熱向上用:鉄、銅等の金属粉:金属繊維;金属酸化物;カーボン;カーボンファイバー等。
(2)比重調整用:砂;粘土;石;鉛、鉄等の金属粉等。
(1)伝熱向上用:鉄、銅等の金属粉:金属繊維;金属酸化物;カーボン;カーボンファイバー等。
(2)比重調整用:砂;粘土;石;鉛、鉄等の金属粉等。
(3)難燃性付与用:水;水ゲル;金属粉;炭酸カルシウム等の無機化合物;臭素系、塩素系、リン系等の難燃剤等。なお、難燃性には、燃焼性の低減、延焼防止、水蒸気による引火点の消滅、燃焼熱量低減効果等を含む。
(4)過冷却防止用:金属粉、高分子パラフィン(ワックス)等。
(5)凝固点調整用:ワックス類等。
(6)酸化防止や経時的な劣化防止用:フェノール系、チオ系、リン系等の酸化防止剤等。
(7)その他:着色剤、顔料、帯電防止剤、防菌剤等。
(4)過冷却防止用:金属粉、高分子パラフィン(ワックス)等。
(5)凝固点調整用:ワックス類等。
(6)酸化防止や経時的な劣化防止用:フェノール系、チオ系、リン系等の酸化防止剤等。
(7)その他:着色剤、顔料、帯電防止剤、防菌剤等。
上記添加剤の使用量としては、例えば、燃焼性を低減させるために、炭酸カルシウムを用いる場合には、相変化により蓄熱性を有する油性物質に対して、10〜40質量%とすることが好ましい。
上記油性物質には、潜熱性を調整するための包接化合物を添加してもよい。
上記包接化合物としては、C4H8・O・17H2O、(CH3)3N・10.25H2O、(C4H9)4NCHO2・32H2O、(C4H9)4NCH3CO2・32H2Oが好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記包接化合物としては、C4H8・O・17H2O、(CH3)3N・10.25H2O、(C4H9)4NCHO2・32H2O、(C4H9)4NCH3CO2・32H2Oが好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の製造方法によって得られる蓄熱体の使用形態としては、乳化物状の水分散体の形態とすることが好ましく、また、包装材に充填された形態の蓄熱体として用いてもよい。このような本発明の製造方法によって得られる蓄熱体は、本発明の好ましい実施形態の一つである。
本発明の製造方法によって得られる蓄熱体は、乳化物状や包装状態等の形態で各種の蓄熱装置に用いられるものであるが、このような蓄熱装置としては、(1)蓄熱体が熱搬送媒体となって熱交換を行うものや、(2)蓄熱体が貯留される蓄熱槽を備えてなり、熱媒体の熱交換を行うことができるもの等が挙げられる。
上記(1)の蓄熱装置としては、水分散した蓄熱体を用いた蓄熱装置が好ましく、蓄熱体が蓄熱槽と熱交換器との間を循環することにより、又は、蓄熱槽の外部を循環することにより熱交換する蓄熱装置等が挙げられ、このような蓄熱装置により地域冷暖房システム用や、ビル空調システム用の熱搬送媒体システムである蓄熱システムが形成されることになる。
上記(2)の蓄熱装置は、蓄熱体が貯留される蓄熱槽を備えてなり、熱媒体の熱交換を行うことができるものであるが、蓄熱体を貯留してなる蓄熱装置が好ましく、このような蓄熱装置によっても蓄熱システムが形成されることになる。
上記蓄熱体を貯留してなる蓄熱装置としては、蓄熱槽に熱交換手段を備えることで蓄熱装置の外部で循環する熱媒体に対して熱エネルギーを授受できるようにしたものが好適であり、例えば、蓄熱体が貯留する蓄熱槽中に熱媒体の熱交換を行う熱交換器を備えたものや、蓄熱槽中に乳化物状の水分散体が貯留したまま熱媒体のみが蓄熱槽を通過するようにしたもの等が挙げられる。
このような本発明の製造方法により製造されてなる蓄熱体を用いてなる蓄熱装置又は蓄熱システムもまた、本発明の一つである。
上記蓄熱体を貯留してなる蓄熱装置としては、蓄熱槽に熱交換手段を備えることで蓄熱装置の外部で循環する熱媒体に対して熱エネルギーを授受できるようにしたものが好適であり、例えば、蓄熱体が貯留する蓄熱槽中に熱媒体の熱交換を行う熱交換器を備えたものや、蓄熱槽中に乳化物状の水分散体が貯留したまま熱媒体のみが蓄熱槽を通過するようにしたもの等が挙げられる。
このような本発明の製造方法により製造されてなる蓄熱体を用いてなる蓄熱装置又は蓄熱システムもまた、本発明の一つである。
本発明の蓄熱体を用いた蓄熱装置又は蓄熱システムの好ましい形態としては、乳化物状の水分散体の形態である蓄熱体を用い、ラインミキサーが備えられている蓄熱装置又は蓄熱システム、すなわち本発明の製造方法を適用した蓄熱装置又は蓄熱システムである。このような形態とすることにより、蓄熱体の分散状態が維持され、冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護等の目的のために好適に用いることができる蓄熱装置又は蓄熱システムとすることができることになる。また、蓄熱槽内の油性物質の分散体が相変化の繰り返しにより崩壊した場合でも、蓄熱装置に取り付けられたラインミキサーを用いることで、再分散させることができる。
本発明はまた、相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体及び分散剤を必須とする蓄熱体を用いてなる蓄熱装置を含む蓄熱システムであって、上記蓄熱装置は、ラインミキサーが取り付けられたものである蓄熱システムでもある。上記蓄熱システムに用いられる蓄熱体としては特に限定されないが、本発明の製造方法により製造されてなるものであることが好ましい。このような形態とすることにより、上述の蓄熱システムと同様の効果を充分に発揮できることとなる。
本発明の製造方法は、相変化により蓄熱性を有する油性物質を水性媒体に簡便にかつ効率的に分散し、しかも相変化により蓄熱性を有する油性物質の分散体が崩壊する場合でも容易に再分散することができることから、冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護等の目的のために好適に用いることができる蓄熱装置又は蓄熱システムを構成する蓄熱体の製造方法として優れたものである。
本発明の蓄熱体の製造方法は、上述のような構成よりなり、分散体における相変化により蓄熱性を有する油性物質がラインミキサーによって分散されている工程を含んでなることで、蓄熱体として良好な分散体を製造し、しかも相変化により蓄熱性を有する油性物質の分散体が崩壊する場合でも容易に再分散することができるものである。また、蓄熱体を効率よく製造できることでシステムの運転が容易にできるので、オフィスビルや工場等の大型建造物用や家庭用等の冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護の目的のための蓄熱装置や蓄熱システムを構成する材料の製造方法として優れたものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
実施例1
循環ポンプ、ラインミキサー(攪拌駆動部を有しないタイプ:OHR流体工学研究所社設計:OHRラインミキサーMX−8型)、それと配管を付帯した混合槽にノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル(花王社製:レオドールTWL120)1.5部、アニオン界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(花王社製:エマール0)0.02部を水47.98部に添加し溶解した水溶液と油性物質として灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、ヘキサデカン6.9質量%、ヘプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。循環ポンプを起動し、油性物質のパラフィンの分散を開始した。所定時間後ポンプを停止し、パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる蓄熱体(水分散体)1を得た。蓄熱体1の平均粒子径は3μmであった。
得られた蓄熱体1について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより凝固温度を求めた。示差走査熱量測定(DSC)には、マックサイエンス社製の示差走査熱量DSC−3100Sを使用した。測定条件としては、25℃から−20℃まで2℃/分の速度で冷却した後、−20℃から25℃まで2℃/分の速度で昇温した。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は、6.8℃であった。
循環ポンプ、ラインミキサー(攪拌駆動部を有しないタイプ:OHR流体工学研究所社設計:OHRラインミキサーMX−8型)、それと配管を付帯した混合槽にノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル(花王社製:レオドールTWL120)1.5部、アニオン界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(花王社製:エマール0)0.02部を水47.98部に添加し溶解した水溶液と油性物質として灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、ヘキサデカン6.9質量%、ヘプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。循環ポンプを起動し、油性物質のパラフィンの分散を開始した。所定時間後ポンプを停止し、パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる蓄熱体(水分散体)1を得た。蓄熱体1の平均粒子径は3μmであった。
得られた蓄熱体1について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより凝固温度を求めた。示差走査熱量測定(DSC)には、マックサイエンス社製の示差走査熱量DSC−3100Sを使用した。測定条件としては、25℃から−20℃まで2℃/分の速度で冷却した後、−20℃から25℃まで2℃/分の速度で昇温した。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は、6.8℃であった。
実施例2
ラインミキサー(攪拌駆動部を有するタイプ:シルバーソン社製:インラインミキサー450LS型)、それと配管を付帯した混合槽にノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル(花王社製:レオドールTWL120)1.5部、アニオン界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(花王社製:エマール0)0.02部を水47.98部に添加し溶解した水溶液と油性物質として灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、ヘキサデカン6.9質量%、ヘプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。循環ポンプを起動し、油性物質のパラフィンの分散を開始した。所定時間後ポンプを停止し、パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる蓄熱体(水分散体)2を得た。蓄熱体2の平均粒子径は3μmであった。
得られた蓄熱体2について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより凝固温度を求めた。示差走査熱量測定(DSC)には、マックサイエンス社製の示差走査熱量DSC−3100Sを使用した。測定条件としては、25℃から−20℃まで2℃/分の速度で冷却した後、−20℃から25℃まで2℃/分の速度で昇温した。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は、6.9℃であった。
ラインミキサー(攪拌駆動部を有するタイプ:シルバーソン社製:インラインミキサー450LS型)、それと配管を付帯した混合槽にノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル(花王社製:レオドールTWL120)1.5部、アニオン界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(花王社製:エマール0)0.02部を水47.98部に添加し溶解した水溶液と油性物質として灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、ヘキサデカン6.9質量%、ヘプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。循環ポンプを起動し、油性物質のパラフィンの分散を開始した。所定時間後ポンプを停止し、パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる蓄熱体(水分散体)2を得た。蓄熱体2の平均粒子径は3μmであった。
得られた蓄熱体2について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより凝固温度を求めた。示差走査熱量測定(DSC)には、マックサイエンス社製の示差走査熱量DSC−3100Sを使用した。測定条件としては、25℃から−20℃まで2℃/分の速度で冷却した後、−20℃から25℃まで2℃/分の速度で昇温した。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は、6.9℃であった。
実施例3
実施例1と同様に、循環ポンプ、ラインミキサー(攪拌駆動部を有しないタイプ:OHR流体工学研究所設計:OHRラインミキサーMX−8型)、それと配管を付帯した混合槽にノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(日本油脂社製、ノニオンS−220)1.5部を水48.0部に添加し溶解した水溶液と油性物質として灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、ヘキサデカン6.9質量%、ヘプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。
循環ポンプを起動し、相変化物質のパラフィンの分散を開始した。所定時間後ポンプを停止し、パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる蓄熱体(水分散体)3を得た。蓄熱体3の平均粒子径は3μmであった。
得られた蓄熱体3について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより凝固温度を求めた。凝固温度(凝固開始温度)は、7.3℃であった。
実施例1と同様に、循環ポンプ、ラインミキサー(攪拌駆動部を有しないタイプ:OHR流体工学研究所設計:OHRラインミキサーMX−8型)、それと配管を付帯した混合槽にノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(日本油脂社製、ノニオンS−220)1.5部を水48.0部に添加し溶解した水溶液と油性物質として灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、ヘキサデカン6.9質量%、ヘプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。
循環ポンプを起動し、相変化物質のパラフィンの分散を開始した。所定時間後ポンプを停止し、パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる蓄熱体(水分散体)3を得た。蓄熱体3の平均粒子径は3μmであった。
得られた蓄熱体3について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC)を行うことにより凝固温度を求めた。凝固温度(凝固開始温度)は、7.3℃であった。
実施例4
実施例1で得られた蓄熱体(水分散体)1を循環ポンプ、ラインミキサー(攪拌駆動部を有しないタイプ:OHR流体工学研究所設計:OHRラインミキサーMX−8型)、それと配管を付帯した水槽に投入した。水槽内の蓄熱体を冷却した後、放熱を行うことで、蓄熱体に分散しているパラフィンの相変化を実施した。相変化実施後、水槽内の蓄熱体上部には、パラフィンの一部が分離しているのが見られた。この水槽内の蓄熱体を、循環ポンプを起動し、スタティックミキサーを用いて再分散を行ったところ、分離したパラフィンは分散されていた。
実施例1で得られた蓄熱体(水分散体)1を循環ポンプ、ラインミキサー(攪拌駆動部を有しないタイプ:OHR流体工学研究所設計:OHRラインミキサーMX−8型)、それと配管を付帯した水槽に投入した。水槽内の蓄熱体を冷却した後、放熱を行うことで、蓄熱体に分散しているパラフィンの相変化を実施した。相変化実施後、水槽内の蓄熱体上部には、パラフィンの一部が分離しているのが見られた。この水槽内の蓄熱体を、循環ポンプを起動し、スタティックミキサーを用いて再分散を行ったところ、分離したパラフィンは分散されていた。
実施例5
循環ポンプ、ラインミキサー(撹拌駆動部を有しないタイプ:フジキン社製:分散君)、それと配管を付帯した混合槽にノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(日本油脂社製:ノニオンS−220)1.5部を水48.0部に添加し溶解した水溶液と油性物質として灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、へキサデカン6.9質量%、へプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。循環ポンプを起動し、油性物質のパラフィンの分散を開始した。所定時間後ポンプを停止し、パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる蓄熱体(水分散体)5を得た。蓄熱体5の平均粒子経は3μmであった。
得られた蓄熱体5について、同様に示差走査熱量測定を行うことにより、凝固温度と融解温度を求めた。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は7.8℃であった。
循環ポンプ、ラインミキサー(撹拌駆動部を有しないタイプ:フジキン社製:分散君)、それと配管を付帯した混合槽にノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(日本油脂社製:ノニオンS−220)1.5部を水48.0部に添加し溶解した水溶液と油性物質として灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、へキサデカン6.9質量%、へプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。循環ポンプを起動し、油性物質のパラフィンの分散を開始した。所定時間後ポンプを停止し、パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる蓄熱体(水分散体)5を得た。蓄熱体5の平均粒子経は3μmであった。
得られた蓄熱体5について、同様に示差走査熱量測定を行うことにより、凝固温度と融解温度を求めた。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は7.8℃であった。
比較例1
混合槽にノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(日本油脂社製:ノニオンS−220)1.5部を水48.0部に添加し溶解した水溶液と油性物質として灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、ヘキサデカン6.9質量%、ヘプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。動力駆動型の乳化機ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて油性物質のパラフィンの分散を行い、パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる比較蓄熱体(水分散体)1を得た。比較蓄熱体1の平均粒子径は3μmであった。
得られた比較蓄熱体1を水槽に投入し、槽内を冷却した後、放熱を行うことで、比較蓄熱体1に分散しているパラフィンの相変化を実施した。相変化実施後、水槽内の比較蓄熱体1の上部には、パラフィンの一部が分離しているのが見られた。この水槽内の比較蓄熱体1を循環ポンプのみで再分散を行ったが、水槽内の比較蓄熱体の上部には分離したパラフィンが存存していた。
混合槽にノニオン界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル(日本油脂社製:ノニオンS−220)1.5部を水48.0部に添加し溶解した水溶液と油性物質として灯油より蒸留したパラフィン(テトラデカン19.4質量%、ペンタデカン73.5質量%、ヘキサデカン6.9質量%、ヘプタデカン0.2質量%)50.0部にショ糖脂肪酸エステル(第一工業製薬社製:シュガーワックスA−10E)0.5部を溶解した液を投入した。動力駆動型の乳化機ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて油性物質のパラフィンの分散を行い、パラフィンが分散した水分散体を得た。これにより本発明にかかる比較蓄熱体(水分散体)1を得た。比較蓄熱体1の平均粒子径は3μmであった。
得られた比較蓄熱体1を水槽に投入し、槽内を冷却した後、放熱を行うことで、比較蓄熱体1に分散しているパラフィンの相変化を実施した。相変化実施後、水槽内の比較蓄熱体1の上部には、パラフィンの一部が分離しているのが見られた。この水槽内の比較蓄熱体1を循環ポンプのみで再分散を行ったが、水槽内の比較蓄熱体の上部には分離したパラフィンが存存していた。
1 製造装置
2 槽
3 ラインミキサー
4、5、6 配管
2 槽
3 ラインミキサー
4、5、6 配管
Claims (4)
- 相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体及び分散剤を必須とする混合物を水中油滴型に分散することにより蓄熱体を製造する方法であって、
該蓄熱体の製造方法は、ラインミキサーを用いることで相変化により蓄熱性を有する油性物質を分散する工程を含んでなる
ことを特徴とする蓄熱体の製造方法。 - 相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体及び分散剤を必須とする混合物を水中油滴型に分散することにより得られた蓄熱体を相変化させた後、スタティック型ミキサーを用いて再度分散する
ことを特徴とする蓄熱体の製造方法。 - 請求項1及び2記載の蓄熱体の製造方法により製造されてなる蓄熱体を用いてなる
ことを特徴とする蓄熱装置又は蓄熱システム。 - 相変化により蓄熱性を有する油性物質、水性媒体及び分散剤を必須とする蓄熱体を用いてなる蓄熱装置を含む蓄熱システムであって、
該蓄熱装置は、ラインミキサーが取り付けられたものである
ことを特徴とする蓄熱システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003361079A JP2004197074A (ja) | 2002-12-04 | 2003-10-21 | 蓄熱体の製造方法及びその蓄熱体を用いた蓄熱システム |
Applications Claiming Priority (2)
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JP2002352605 | 2002-12-04 | ||
JP2003361079A JP2004197074A (ja) | 2002-12-04 | 2003-10-21 | 蓄熱体の製造方法及びその蓄熱体を用いた蓄熱システム |
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ID=32775043
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JP2003361079A Pending JP2004197074A (ja) | 2002-12-04 | 2003-10-21 | 蓄熱体の製造方法及びその蓄熱体を用いた蓄熱システム |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019034960A (ja) * | 2014-01-03 | 2019-03-07 | ネステ ユルキネン オサケ ユキテュア | 生物学的原材料から得られたパラフィンフラクションを含む組成物及びそれを製造する方法 |
-
2003
- 2003-10-21 JP JP2003361079A patent/JP2004197074A/ja active Pending
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JP2019034960A (ja) * | 2014-01-03 | 2019-03-07 | ネステ ユルキネン オサケ ユキテュア | 生物学的原材料から得られたパラフィンフラクションを含む組成物及びそれを製造する方法 |
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