JP2004002833A - 蓄熱体 - Google Patents
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Abstract
【課題】凝固しやすくて蓄熱効率が充分に向上された、オフィスビルや工場等の大型建造物用や家庭用等の冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護の目的のための蓄熱装置を構成する材料として優れたものである蓄熱体を提供する。
【解決手段】相変化により蓄熱性を有する油性物質と界面活性剤とを含有する水分散体を必須としてなる蓄熱体であって、該界面活性剤は、親水親油バランスの指標が12未満のものと、親水親油バランスの指標が12以上のものとを必須とする蓄熱体。
【選択図】 なし
【解決手段】相変化により蓄熱性を有する油性物質と界面活性剤とを含有する水分散体を必須としてなる蓄熱体であって、該界面活性剤は、親水親油バランスの指標が12未満のものと、親水親油バランスの指標が12以上のものとを必須とする蓄熱体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄熱体に関する。より詳しくは、相変化により蓄熱性を有する油性物質を必須成分として含有する水分散体を必須としてなる蓄熱体に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフィスビルや工場等の大型建造物用や家庭用等の冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護の目的のために、建物の一角に蓄熱設備を配置し、そこにビル空調用では4、5メートル四方ほどの大きさの蓄熱装置を複数設置することにより、一時的に熱を貯蔵するシステムが注目されている。
【0003】
このような蓄熱装置は、装置内に蓄熱物質から構成される蓄熱体を充填し、ここに熱を媒介する循環水等の媒体を通過させ、電力等のエネルギーによって蓄熱物質を相変化させることにより、固体から液体への相変化時に放熱し、液体から固体への相変化時に吸熱するという潜熱を利用するものである。例えば、夜間電力で蓄熱体を冷却固化し、その融解時の吸熱効果を昼間の冷房に活かそうとするものである。
【0004】
蓄熱体を構成する蓄熱物質としては、パラフィンを含む混合物等であって、5〜14℃程度で冷却固化され、かつ、融解熱が大きい蓄熱物質から構成されるものが好ましいとされている。このような蓄熱体に関し、相変化を伴う飽和炭化水素、水、界面活性剤、及び、核発生剤として飽和炭化水素の相変化温度よりも1℃〜30℃高い相変化温度を有する飽和炭化水素を用いたエマルションからなる蓄熱材が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、このような蓄熱材では、過冷却を防止し、凝固しやすくして蓄熱効率を充分に向上させる点等において工夫の余地があった。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−336350号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、凝固しやすくて蓄熱効率が充分に向上された蓄熱体を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、蓄熱体について種々検討した結果、相変化により蓄熱性を有する油性物質と界面活性剤とを含有する水分散体を必須とする蓄熱体が界面活性剤の作用効果により過冷却を防止し、凝固しやすくて蓄熱効率が向上することに着目し、界面活性剤が親水親油バランスの指標が12未満のものを必須とするうえに、親水親油バランスの指標が12以上のものを必須とすると、すなわち親水親油バランスの指標が低いものと高いものとを組み合わせて用いると、界面活性剤による作用効果がより充分に発揮されて蓄熱効率が向上することを見いだし、本発明に到達したものである。
【0008】
すなわち本発明は、相変化により蓄熱性を有する油性物質と界面活性剤とを含有する水分散体を必須としてなる蓄熱体であって、上記界面活性剤は、親水親油バランスの指標が12未満のものと、親水親油バランスの指標が12以上のものとを必須とする蓄熱体である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明の蓄熱体は、相変化により蓄熱性を有する油性物質と界面活性剤とを含有する水分散体を必須としてなり、顕熱蓄熱、潜熱蓄熱、化学反応蓄熱等の熱エネルギーを貯蔵し、放出できるものである。相変化により蓄熱性を有するとは、相変化又は相転移の際の潜熱を利用する潜熱蓄熱を蓄熱性として有することを意味し、このような油性物質は、蓄熱密度が高く、一定温度付近での蓄熱や放熱が可能なものである。
【0010】
本発明における界面活性剤は、親水親油バランスの指標が12未満のものと親水親油バランスの指標が12以上のものとを必須とするものである。好ましくは、9未満のものと12以上のものとを必須とすることである。更に好ましくは、3未満のものと12以上のものとを必須とすることである。この場合には、親水親油バランスの指標が低いものと高いものとが組み合わされることによる相乗効果により、単独の界面活性剤を用いた場合より効果的に過冷却が防止されることになり、より凝固しやすくなって蓄熱効率が向上することになる。
【0011】
上記親水親油バランスの指標とは、界面活性剤の親水性部分と親油性部分のバランスを表すものであり、通常ではHLB(hydrophile−lipophile balance)と称されるものである。この指標の数値の大きな界面活性剤ほど、親水性が高いものである。
分子構造の明らかな界面活性剤のHLBは、GriffinやDaviesの計算式によって求められる。また、分子構造が明確でない界面活性剤においても、HLBが既知の油性物質と界面活性剤を用いて乳化実験を行うことでHLBを実験的に求めることができる。
【0012】
本発明における界面活性剤は、少なくとも1種類の親水親油バランスの指標が12未満の界面活性剤と少なくとも1種類の親水親油バランスの指標が12以上の界面活性剤とを含有していることになり、本発明における界面活性剤を構成する各界面活性剤の質量分率から求められる界面活性剤全体の親水親油バランスの指標が、5以上15以下であることが好ましい。5未満であると、乳化物の安定性が低下するおそれがあり、15を超えると、過冷却が防止できないおそれがある。より好ましくは、5以上であり、また、12以下であり、更に好ましくは、11以下である。
【0013】
上記界面活性剤全体の親水親油バランスの指標としては、下記式;
Σ(Xi×HXi)+Σ(Yj×HYj):iは1〜niまで、jは1〜njまでについて積算する
から求められる。この式においては、界面活性剤を構成する各界面活性剤の質量分率と親水親油バランスの指標とを掛け合わせた値の和から、界面活性剤全体の親水親油バランスの指標が求められることになる。
【0014】
上記式中、Xiは、界面活性剤全体の質量を1としたときの、親水親油バランスの指標が12未満の界面活性剤iの質量分率であり、Yjは、界面活性剤全体の質量を1としたときの、親水親油バランスの指標が12以上の界面活性剤jの質量分率であり、HXiは、親水親油バランスの指標が12未満の界面活性剤iの親水親油バランスの指標であり、HYjは、親水親油バランスの指標が12以上の界面活性剤jの親水親油バランスの指標である。なお、上記式において、i及びjは、本発明に用いられる界面活性剤に付した番号であり、界面活性剤の種類によって番号が異なることになる。また、i=1,2,3…n1、j=1,2,3…n2であり、n1は、親水親油バランスの指標が12未満の界面活性剤の種類の総数を表し、n2は、親水親油バランスの指標が12以上の界面活性剤の種類の総数を表す。
【0015】
本発明の蓄熱体において用いる界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤を用いることが好ましく、ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等のソルビタンエステル系化合物;ショ糖脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル;ポリオキシエチレンアルキルエステル;ポリグリセリンアルキルエステル;脂肪酸エステル;脂肪酸石鹸;アルキルアミンエチレンオキサイド付加体;コレステロール等のステロール類が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、HLBが12未満であるものとしては、ソルビタンアルキルエステル及び/又はショ糖脂肪酸エステルが好ましい。また、12以上のものとしては、ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、これらの中でもポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数20以上)ソルビタンアルキル(総炭素数15以上)エステル及び/又はポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数20以上)アルキル(総炭素数15以上)エーテルがより好ましい。
【0016】
また、本発明における界面活性剤には、両性界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン−アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤を適宜使用してもよい。それら界面活性剤として、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル塩;テトラデセンスルホン酸ナトリウム等のα−オレフィンスルホン酸塩;スルホコハク酸塩;エーテルスルホン酸塩;エーテルカルボン酸及びその塩;ラウリン酸アミドプロピルベタイン等のベタイン類;ジアルキルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウムが好ましい。これらの界面活性剤は、混合したときに本発明の界面活性剤全体のHLBが上記規定の好ましい範囲を外れない限り適宜使用できる。
【0017】
上記界面活性剤の使用量としては、相変化により蓄熱性を有する油性物質の種類等により適宜設定することになるが、油性物質100質量%に対して、0.1質量%以上とすることが好ましく、また、30質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、1.0質量%以上であり、また、20質量%以下である。
上記親水親油バランスの指標が12未満の界面活性剤の使用量としては、界面活性剤100質量%に対して、5.0質量%以上とすることが好ましく、また、95質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、10質量%以上であり、また、50質量%以下である。上記親水親油バランスの指標が12以上の界面活性剤の使用量としては、界面活性剤100質量%に対して、5.0質量%以上とすることが好ましく、また、95質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、50質量%以上であり、また、90質量%以下である。
【0018】
本発明における油性物質としては、パラフィンやα−オレフィン等の炭化水素化合物;高級脂肪酸類;高級脂肪酸エステル類;高級アルコール類等の化合物が好適であり、具体的には、C15パラフィン、C14パラフィン、C16パラフィン等の常温で液体である中級パラフィン;C17パラフィン、C18パラフィン等の常温付近で固体である高級パラフィン;C14〜C15パラフィン、C15〜C16パラフィン、C14〜C16パラフィン、C14+C16パラフィン、C16+C18パラフィン等の混合パラフィン;1−デカノール等の高級アルコールが好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、取り扱いが便宜であることから、ビル空調用の蓄熱体の場合、常温(25℃)及び常圧(約101.3kPa)において液体である油性物質を用いることが好ましい。また、容易に入手でき、また、広い温度範囲に用いることができる蓄熱体を簡便にかつ安定的に製造することができることから、パラフィンが好ましく、ビル空調の冷熱用途等の場合、パラフィンの中でもペンタデカンを含むことが好ましい。
【0019】
上記油性物質の使用量としては、油性物質の種類や蓄熱体の使用形態、要求される蓄熱効率に応じて適宜設定すればよいが、蓄熱体100質量%中10質量%以上とすることが好ましく、また、100質量%以下とすることが好ましい。10質量%未満であると、蓄熱効率や蓄熱性能が低下するおそれがある。より好ましくは、20質量%以上であり、また、75質量%以下である。
【0020】
本発明の蓄熱体には、更に、以下に記載する機能を有する添加剤を含有させることもできる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(1)伝熱向上用:鉄、銅等の金属粉:金属繊維;金属酸化物;カーボン;カーボンファイバー等。
(2)比重調整用:砂;粘土;石;鉛、鉄等の金属粉等。
【0021】
(3)難燃性付与用:水;水ゲル;金属粉;炭酸カルシウム等の無機化合物;臭素系、塩素系、リン系等の難燃剤等。尚、難燃性には、燃焼性の低減、延焼防止、水蒸気による引火点の消滅、燃焼熱量低減効果等を含む。
(4)過冷却防止用:金属粉、高分子パラフィン(ワックス)等。
(5)凝固点調整用:ワックス類等。
(6)酸化防止や経時的な劣化防止用:フェノール系、チオ系、リン系等の酸化防止剤等。
(7)その他:着色剤、顔料、帯電防止剤、防菌剤等。
【0022】
上記添加剤の使用量としては、例えば、燃焼性を低減させるために、炭酸カルシウムを用いる場合には、油性物質に対して、10〜40質量%とすることが好ましい。
【0023】
上記油性物質には、潜熱性を調整するための包接化合物を添加してもよい。
上記包接化合物としては、C4H8・O・17H2O、(CH3)3N・10.25H2O、(C4H9)4NCHO2・32H2O、(C4H9)4NCH3CO2・32H2Oが好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
本発明における水分散体を製造する方法としては、油性物質を水分散体とする方法を適用すればよく、例えば、界面活性剤を水性媒体に溶解させた水溶液に、相変化により蓄熱性を有する油性物質を添加し、攪拌等により乳化する方法が好適である。蓄熱体を製造するにあたり乳化に用いる機械は限定されず、一般的な機械を使用することができる。例えば、プロペラ攪拌機、高速回転攪拌機、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、コロイドミル、ロールミル、ローラーミル、サンドミル、ボールミル、インライン式連続乳化機、超音波乳化機、真空式練合機、真空式乳化機、解放式乳化機がある。水性媒体とは、水又は水と水に溶解する溶媒との混合物であり、水;水とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル等との混合溶媒が好適であるが、これらの中でも、水のみを用いることが好ましい。水性媒体の使用量としては、油性物質100質量%に対して、5.0質量%以上とすることが好ましく、また、900質量%以下とすることが好ましい。
【0025】
本発明の蓄熱体は、相変化により蓄熱性を有する油性物質と界面活性剤とを含有する水分散体を必須としてなるものであるが、使用形態としては、乳化物状の水分散体の形態とすることが好ましく、また、包装材に充填された形態の蓄熱体として用いてもよい。このような蓄熱体が蓄熱装置を構成する蓄熱槽に貯留されて用いられることが好ましい。
【0026】
本発明の蓄熱体は、乳化物状や包装状態等の形態で各種の蓄熱装置に用いられるものであるが、このような蓄熱装置としては、(1)蓄熱体が熱搬送媒体となって熱交換を行うものや、(2)蓄熱体が貯留される蓄熱槽を備えてなり、熱媒体の熱交換を行うことができるもの等が挙げられる。
【0027】
上記(1)の蓄熱装置としては、蓄熱体を水分散して用いた蓄熱装置が好ましく、蓄熱体が蓄熱槽と熱交換器との間を循環することにより、又は、蓄熱槽の外部を循環することにより熱交換する蓄熱装置等が挙げられ、このような蓄熱装置により熱搬送媒体システムが形成されることになる。このように本発明の蓄熱体を水分散した熱搬送媒体、本発明の蓄熱体を水分散した熱搬送媒体を用いた蓄熱装置、及び、本発明の蓄熱体を水分散した熱搬送媒体を用いた熱搬送媒体システムもまた、本発明の蓄熱体の好ましい実施形態の一つであり、地域冷暖房システム用や、ビル空調システム用の熱搬送媒体システムに好ましく用いられることになる。
【0028】
上記(2)の蓄熱装置は、蓄熱体が貯留される蓄熱槽を備えてなり、熱媒体の熱交換を行うことができるものであるが、蓄熱体を貯留してなるものが好ましく、このような蓄熱装置は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
上記蓄熱体を貯留してなる蓄熱装置としては、蓄熱槽に熱交換手段を備えることで蓄熱装置の外部で循環する熱媒体に対して熱エネルギーを授受できるようにしたものが好適であり、例えば、蓄熱体が貯留する蓄熱槽中に熱媒体の熱交換を行う熱交換器を備えたものや、蓄熱槽中に乳化物状の水分散体が貯留したまま熱媒体のみが蓄熱槽を通過するようにしたもの等が挙げられる。
【0029】
本発明の蓄熱体は、凝固点を調整しやすくて蓄熱効率が向上するものであるので、オフィスビルや工場等の大型建造物用や家庭用等の冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護の目的のための蓄熱装置を構成する材料として優れたものである。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は、「重量部」を意味するものとする。
【0031】
実施例1
内容量500mlのガラスビーカーに、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル(界面活性剤、花王社製:商品名レオドールスーパーTW−L120、親水親油バランスの指標(以下HLBと称す)16.7)6.9部、ソルビタンアルキルエステル(界面活性剤、花王社製:商品名レオドールSP−S30、HLB2.1)1.6部、及びドデシル硫酸ナトリウム(HLB40)0.1部を水(水系溶媒、かつ水性媒体)71.4部に添加し、70℃に加熱して30分間攪拌し溶解してなる水溶液を得た。該水溶液の界面活性剤全体のHLBは14.3であった。次いで、油性物質としてのペンタデカン80部を上記水溶液に添加し、攪拌機(特殊機化社製、TKホモミキサー)により12000rpm、3分間攪拌し乳化した。更に、上記乳化液に水240部添加し、油性物質の濃度が20質量%の水分散体を得た。
これにより、本発明にかかる蓄熱体(水分散体)1を得た。蓄熱体1の平均粒子径は2μmであった。
【0032】
得られた蓄熱体1について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC(differential scanning calorimetry))を行なうことにより、凝固温度と融解温度とを求めた。示差走査熱量測定には、マックサイエンス社製の示差走査熱量DSC−3100Sを使用した。測定条件としては、25℃から−20℃まで2℃/分の速度で冷却した後、−20℃から25℃まで2℃/分の速度で昇温した。その結果、凝固温度は9.3℃、融解温度は10.5℃であった。
【0033】
比較例1
実施例1でポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルとソルビタンアルキルエステルとドデシル硫酸ナトリウムの代わりに、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル(界面活性剤、花王社製:商品名レオドールスーパーTW−L120、HLB16.7)4.0部のみを用いた以外は、実施例1と同様にして比較蓄熱体1を得た。該水溶液の界面活性剤全体のHLBは16.7であり、比較蓄熱体1の平均粒子径は3μmであった。
【0034】
得られた比較蓄熱体1について、実施例1と同様にして凝固温度と融解温度とを求めた。その結果、凝固温度は1.3℃、融解温度は10.6℃で、大きな過冷却が認められた。
【0035】
実施例2
内容量500mlのガラスビーカーに、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル(界面活性剤、花王社製:商品名レオドールスーパーTW−L120、HLB16.7)2.4部、ショ糖脂肪酸エステル(界面活性剤、第一工業製薬社製:商品名シュガーワックスF−70、HLB8)4.8部を水(水系溶媒、かつ水性媒体)72.8部に添加し、30分間攪拌し溶解してなる水溶液を得た。該水溶液の界面活性剤全体のHLBは10.9であった。次いで、油性物質としてのペンタデカン80部を上記水溶液に添加し、攪拌機(特殊機化社製、TKホモミキサー)により12000rpm、3分間攪拌し乳化した。更に、上記乳化液に水240部添加し、油性物質の濃度が20質量%の水分散体を得た。
これにより、本発明にかかる蓄熱体(水分散体)2を得た。蓄熱体2の平均粒子径は2μmであった。
【0036】
得られた蓄熱体2について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC(differential scanning calorimetry))を行なうことにより、凝固温度と融解温度とを求めた。その結果、凝固温度は8.5℃、融解温度は10.6℃であった。
【0037】
実施例3
内容量500mlのガラスビーカーに、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル(界面活性剤、花王社製:商品名レオドールスーパーTW−L120、HLB16.7)2.4部、ショ糖脂肪酸エステル(界面活性剤、第一工業製薬社製:商品名シュガーワックスF−20、HLB2)1.6部を水(水系溶媒、かつ水性媒体)76部に添加し、30分間攪拌し溶解してなる水溶液を得た。該水溶液の界面活性剤全体のHLBは10.8であった。次いで、油性物質としてのペンタデカン80部を上記水溶液に添加し、攪拌機(特殊機化社製、TKホモミキサー)により12000rpm、3分間攪拌し乳化した。更に、上記乳化液に水240部添加し、油性物質の濃度が20質量%の水分散体を得た。
これにより、本発明にかかる蓄熱体(水分散体)3を得た。蓄熱体3の平均粒子径は3μmであった。
【0038】
得られた蓄熱体3について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC(differential scanning calorimetry))を行なうことにより、凝固温度と融解温度とを求めた。その結果、凝固温度は8.5℃、融解温度は10.1℃であった。
【0039】
実施例4
実施例2でポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル(界面活性剤、花王社製:商品名レオドールスーパーTW−L120、HLB16.7)2.4部、ショ糖脂肪酸エステル(界面活性剤、第一工業製薬社製:商品名シュガーワックスA−10E、HLB0)4.8部を用いた以外は、実施例2と同様にして蓄熱体4を得た。該水溶液の界面活性剤全体のHLBは5.6であり、蓄熱体4の平均粒子径は3μmであった。
【0040】
得られた蓄熱体4について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC(differential scanning calorimetry))を行なうことにより、凝固温度と融解温度とを求めた。その結果、凝固温度は8.9℃、融解温度は10.0℃であった。
【0041】
実施例5
内容量500mlのガラスビーカーに、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数20)ステアリルエーテル(界面活性剤、日本油脂社製:商品名ノニオンS−220、HLB15.3)2.4部、ショ糖脂肪酸エステル(界面活性剤、第一工業製薬社製、商品名シュガーワックスA−10E、HLB0)0.8部を水76.8部に添加し、70℃に加熱して30分間撹拌し水溶液を得た。該水溶液の界面活性剤全体のHLBは11.5であった。次いで、油性物質としてのペンタデカン80部を上記水溶液に添加し、実施例2と同様にして蓄熱体5を得た。蓄熱体5の平均粒子径は3μmであった。
【0042】
得られた蓄熱体5について、同様に示差走査熱量測定を行うことにより、凝固温度と融解温度を求めた。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は9.2℃、融解温度(融解ピーク温度)は10.5℃であった。
【0043】
実施例6
内容量500mlのガラスビーカーに、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数20)ソルビタンモノステアレート(界面活性剤、花王社製:商品名レオドールTW−S120V、HLB14.9)2.4部、ショ糖脂肪酸エステル(界面活性剤、第一工業製薬社製、商品名シュガーワックスA−10E、HLB0)0.8部を水76.8部に添加し、70℃に加熱して30分間撹拌し水溶液を得た。該水溶液の界面活性剤全体のHLBは11.2であった。次いで、油性物質としてのペンタデカン80部を上記水溶液に添加し、実施例2と同様にして蓄熱体6を得た。蓄熱体6の平均粒子径は3μmであった。
【0044】
得られた蓄熱体6について、同様に示差走査熱量測定を行うことにより、凝固温度と融解温度を求めた。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は9.5℃、融解温度(融解ピーク温度)は10.4℃であった。
【0045】
【発明の効果】
本発明の蓄熱体は上述のような構成からなり、凝固点を調整しやすくて蓄熱効率が向上したものであるので、オフィスビルや工場等の大型建造物用や家庭用等の冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護の目的のための蓄熱装置を構成する材料として優れたものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄熱体に関する。より詳しくは、相変化により蓄熱性を有する油性物質を必須成分として含有する水分散体を必須としてなる蓄熱体に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフィスビルや工場等の大型建造物用や家庭用等の冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護の目的のために、建物の一角に蓄熱設備を配置し、そこにビル空調用では4、5メートル四方ほどの大きさの蓄熱装置を複数設置することにより、一時的に熱を貯蔵するシステムが注目されている。
【0003】
このような蓄熱装置は、装置内に蓄熱物質から構成される蓄熱体を充填し、ここに熱を媒介する循環水等の媒体を通過させ、電力等のエネルギーによって蓄熱物質を相変化させることにより、固体から液体への相変化時に放熱し、液体から固体への相変化時に吸熱するという潜熱を利用するものである。例えば、夜間電力で蓄熱体を冷却固化し、その融解時の吸熱効果を昼間の冷房に活かそうとするものである。
【0004】
蓄熱体を構成する蓄熱物質としては、パラフィンを含む混合物等であって、5〜14℃程度で冷却固化され、かつ、融解熱が大きい蓄熱物質から構成されるものが好ましいとされている。このような蓄熱体に関し、相変化を伴う飽和炭化水素、水、界面活性剤、及び、核発生剤として飽和炭化水素の相変化温度よりも1℃〜30℃高い相変化温度を有する飽和炭化水素を用いたエマルションからなる蓄熱材が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、このような蓄熱材では、過冷却を防止し、凝固しやすくして蓄熱効率を充分に向上させる点等において工夫の余地があった。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−336350号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、凝固しやすくて蓄熱効率が充分に向上された蓄熱体を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、蓄熱体について種々検討した結果、相変化により蓄熱性を有する油性物質と界面活性剤とを含有する水分散体を必須とする蓄熱体が界面活性剤の作用効果により過冷却を防止し、凝固しやすくて蓄熱効率が向上することに着目し、界面活性剤が親水親油バランスの指標が12未満のものを必須とするうえに、親水親油バランスの指標が12以上のものを必須とすると、すなわち親水親油バランスの指標が低いものと高いものとを組み合わせて用いると、界面活性剤による作用効果がより充分に発揮されて蓄熱効率が向上することを見いだし、本発明に到達したものである。
【0008】
すなわち本発明は、相変化により蓄熱性を有する油性物質と界面活性剤とを含有する水分散体を必須としてなる蓄熱体であって、上記界面活性剤は、親水親油バランスの指標が12未満のものと、親水親油バランスの指標が12以上のものとを必須とする蓄熱体である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明の蓄熱体は、相変化により蓄熱性を有する油性物質と界面活性剤とを含有する水分散体を必須としてなり、顕熱蓄熱、潜熱蓄熱、化学反応蓄熱等の熱エネルギーを貯蔵し、放出できるものである。相変化により蓄熱性を有するとは、相変化又は相転移の際の潜熱を利用する潜熱蓄熱を蓄熱性として有することを意味し、このような油性物質は、蓄熱密度が高く、一定温度付近での蓄熱や放熱が可能なものである。
【0010】
本発明における界面活性剤は、親水親油バランスの指標が12未満のものと親水親油バランスの指標が12以上のものとを必須とするものである。好ましくは、9未満のものと12以上のものとを必須とすることである。更に好ましくは、3未満のものと12以上のものとを必須とすることである。この場合には、親水親油バランスの指標が低いものと高いものとが組み合わされることによる相乗効果により、単独の界面活性剤を用いた場合より効果的に過冷却が防止されることになり、より凝固しやすくなって蓄熱効率が向上することになる。
【0011】
上記親水親油バランスの指標とは、界面活性剤の親水性部分と親油性部分のバランスを表すものであり、通常ではHLB(hydrophile−lipophile balance)と称されるものである。この指標の数値の大きな界面活性剤ほど、親水性が高いものである。
分子構造の明らかな界面活性剤のHLBは、GriffinやDaviesの計算式によって求められる。また、分子構造が明確でない界面活性剤においても、HLBが既知の油性物質と界面活性剤を用いて乳化実験を行うことでHLBを実験的に求めることができる。
【0012】
本発明における界面活性剤は、少なくとも1種類の親水親油バランスの指標が12未満の界面活性剤と少なくとも1種類の親水親油バランスの指標が12以上の界面活性剤とを含有していることになり、本発明における界面活性剤を構成する各界面活性剤の質量分率から求められる界面活性剤全体の親水親油バランスの指標が、5以上15以下であることが好ましい。5未満であると、乳化物の安定性が低下するおそれがあり、15を超えると、過冷却が防止できないおそれがある。より好ましくは、5以上であり、また、12以下であり、更に好ましくは、11以下である。
【0013】
上記界面活性剤全体の親水親油バランスの指標としては、下記式;
Σ(Xi×HXi)+Σ(Yj×HYj):iは1〜niまで、jは1〜njまでについて積算する
から求められる。この式においては、界面活性剤を構成する各界面活性剤の質量分率と親水親油バランスの指標とを掛け合わせた値の和から、界面活性剤全体の親水親油バランスの指標が求められることになる。
【0014】
上記式中、Xiは、界面活性剤全体の質量を1としたときの、親水親油バランスの指標が12未満の界面活性剤iの質量分率であり、Yjは、界面活性剤全体の質量を1としたときの、親水親油バランスの指標が12以上の界面活性剤jの質量分率であり、HXiは、親水親油バランスの指標が12未満の界面活性剤iの親水親油バランスの指標であり、HYjは、親水親油バランスの指標が12以上の界面活性剤jの親水親油バランスの指標である。なお、上記式において、i及びjは、本発明に用いられる界面活性剤に付した番号であり、界面活性剤の種類によって番号が異なることになる。また、i=1,2,3…n1、j=1,2,3…n2であり、n1は、親水親油バランスの指標が12未満の界面活性剤の種類の総数を表し、n2は、親水親油バランスの指標が12以上の界面活性剤の種類の総数を表す。
【0015】
本発明の蓄熱体において用いる界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤を用いることが好ましく、ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル等のソルビタンエステル系化合物;ショ糖脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル;ポリオキシエチレンアルキルエステル;ポリグリセリンアルキルエステル;脂肪酸エステル;脂肪酸石鹸;アルキルアミンエチレンオキサイド付加体;コレステロール等のステロール類が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、HLBが12未満であるものとしては、ソルビタンアルキルエステル及び/又はショ糖脂肪酸エステルが好ましい。また、12以上のものとしては、ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、これらの中でもポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数20以上)ソルビタンアルキル(総炭素数15以上)エステル及び/又はポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数20以上)アルキル(総炭素数15以上)エーテルがより好ましい。
【0016】
また、本発明における界面活性剤には、両性界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン−アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤を適宜使用してもよい。それら界面活性剤として、アルキルスルホン酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル塩;テトラデセンスルホン酸ナトリウム等のα−オレフィンスルホン酸塩;スルホコハク酸塩;エーテルスルホン酸塩;エーテルカルボン酸及びその塩;ラウリン酸アミドプロピルベタイン等のベタイン類;ジアルキルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウムが好ましい。これらの界面活性剤は、混合したときに本発明の界面活性剤全体のHLBが上記規定の好ましい範囲を外れない限り適宜使用できる。
【0017】
上記界面活性剤の使用量としては、相変化により蓄熱性を有する油性物質の種類等により適宜設定することになるが、油性物質100質量%に対して、0.1質量%以上とすることが好ましく、また、30質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、1.0質量%以上であり、また、20質量%以下である。
上記親水親油バランスの指標が12未満の界面活性剤の使用量としては、界面活性剤100質量%に対して、5.0質量%以上とすることが好ましく、また、95質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、10質量%以上であり、また、50質量%以下である。上記親水親油バランスの指標が12以上の界面活性剤の使用量としては、界面活性剤100質量%に対して、5.0質量%以上とすることが好ましく、また、95質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、50質量%以上であり、また、90質量%以下である。
【0018】
本発明における油性物質としては、パラフィンやα−オレフィン等の炭化水素化合物;高級脂肪酸類;高級脂肪酸エステル類;高級アルコール類等の化合物が好適であり、具体的には、C15パラフィン、C14パラフィン、C16パラフィン等の常温で液体である中級パラフィン;C17パラフィン、C18パラフィン等の常温付近で固体である高級パラフィン;C14〜C15パラフィン、C15〜C16パラフィン、C14〜C16パラフィン、C14+C16パラフィン、C16+C18パラフィン等の混合パラフィン;1−デカノール等の高級アルコールが好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、取り扱いが便宜であることから、ビル空調用の蓄熱体の場合、常温(25℃)及び常圧(約101.3kPa)において液体である油性物質を用いることが好ましい。また、容易に入手でき、また、広い温度範囲に用いることができる蓄熱体を簡便にかつ安定的に製造することができることから、パラフィンが好ましく、ビル空調の冷熱用途等の場合、パラフィンの中でもペンタデカンを含むことが好ましい。
【0019】
上記油性物質の使用量としては、油性物質の種類や蓄熱体の使用形態、要求される蓄熱効率に応じて適宜設定すればよいが、蓄熱体100質量%中10質量%以上とすることが好ましく、また、100質量%以下とすることが好ましい。10質量%未満であると、蓄熱効率や蓄熱性能が低下するおそれがある。より好ましくは、20質量%以上であり、また、75質量%以下である。
【0020】
本発明の蓄熱体には、更に、以下に記載する機能を有する添加剤を含有させることもできる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(1)伝熱向上用:鉄、銅等の金属粉:金属繊維;金属酸化物;カーボン;カーボンファイバー等。
(2)比重調整用:砂;粘土;石;鉛、鉄等の金属粉等。
【0021】
(3)難燃性付与用:水;水ゲル;金属粉;炭酸カルシウム等の無機化合物;臭素系、塩素系、リン系等の難燃剤等。尚、難燃性には、燃焼性の低減、延焼防止、水蒸気による引火点の消滅、燃焼熱量低減効果等を含む。
(4)過冷却防止用:金属粉、高分子パラフィン(ワックス)等。
(5)凝固点調整用:ワックス類等。
(6)酸化防止や経時的な劣化防止用:フェノール系、チオ系、リン系等の酸化防止剤等。
(7)その他:着色剤、顔料、帯電防止剤、防菌剤等。
【0022】
上記添加剤の使用量としては、例えば、燃焼性を低減させるために、炭酸カルシウムを用いる場合には、油性物質に対して、10〜40質量%とすることが好ましい。
【0023】
上記油性物質には、潜熱性を調整するための包接化合物を添加してもよい。
上記包接化合物としては、C4H8・O・17H2O、(CH3)3N・10.25H2O、(C4H9)4NCHO2・32H2O、(C4H9)4NCH3CO2・32H2Oが好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
本発明における水分散体を製造する方法としては、油性物質を水分散体とする方法を適用すればよく、例えば、界面活性剤を水性媒体に溶解させた水溶液に、相変化により蓄熱性を有する油性物質を添加し、攪拌等により乳化する方法が好適である。蓄熱体を製造するにあたり乳化に用いる機械は限定されず、一般的な機械を使用することができる。例えば、プロペラ攪拌機、高速回転攪拌機、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、コロイドミル、ロールミル、ローラーミル、サンドミル、ボールミル、インライン式連続乳化機、超音波乳化機、真空式練合機、真空式乳化機、解放式乳化機がある。水性媒体とは、水又は水と水に溶解する溶媒との混合物であり、水;水とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル等との混合溶媒が好適であるが、これらの中でも、水のみを用いることが好ましい。水性媒体の使用量としては、油性物質100質量%に対して、5.0質量%以上とすることが好ましく、また、900質量%以下とすることが好ましい。
【0025】
本発明の蓄熱体は、相変化により蓄熱性を有する油性物質と界面活性剤とを含有する水分散体を必須としてなるものであるが、使用形態としては、乳化物状の水分散体の形態とすることが好ましく、また、包装材に充填された形態の蓄熱体として用いてもよい。このような蓄熱体が蓄熱装置を構成する蓄熱槽に貯留されて用いられることが好ましい。
【0026】
本発明の蓄熱体は、乳化物状や包装状態等の形態で各種の蓄熱装置に用いられるものであるが、このような蓄熱装置としては、(1)蓄熱体が熱搬送媒体となって熱交換を行うものや、(2)蓄熱体が貯留される蓄熱槽を備えてなり、熱媒体の熱交換を行うことができるもの等が挙げられる。
【0027】
上記(1)の蓄熱装置としては、蓄熱体を水分散して用いた蓄熱装置が好ましく、蓄熱体が蓄熱槽と熱交換器との間を循環することにより、又は、蓄熱槽の外部を循環することにより熱交換する蓄熱装置等が挙げられ、このような蓄熱装置により熱搬送媒体システムが形成されることになる。このように本発明の蓄熱体を水分散した熱搬送媒体、本発明の蓄熱体を水分散した熱搬送媒体を用いた蓄熱装置、及び、本発明の蓄熱体を水分散した熱搬送媒体を用いた熱搬送媒体システムもまた、本発明の蓄熱体の好ましい実施形態の一つであり、地域冷暖房システム用や、ビル空調システム用の熱搬送媒体システムに好ましく用いられることになる。
【0028】
上記(2)の蓄熱装置は、蓄熱体が貯留される蓄熱槽を備えてなり、熱媒体の熱交換を行うことができるものであるが、蓄熱体を貯留してなるものが好ましく、このような蓄熱装置は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
上記蓄熱体を貯留してなる蓄熱装置としては、蓄熱槽に熱交換手段を備えることで蓄熱装置の外部で循環する熱媒体に対して熱エネルギーを授受できるようにしたものが好適であり、例えば、蓄熱体が貯留する蓄熱槽中に熱媒体の熱交換を行う熱交換器を備えたものや、蓄熱槽中に乳化物状の水分散体が貯留したまま熱媒体のみが蓄熱槽を通過するようにしたもの等が挙げられる。
【0029】
本発明の蓄熱体は、凝固点を調整しやすくて蓄熱効率が向上するものであるので、オフィスビルや工場等の大型建造物用や家庭用等の冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護の目的のための蓄熱装置を構成する材料として優れたものである。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は、「重量部」を意味するものとする。
【0031】
実施例1
内容量500mlのガラスビーカーに、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル(界面活性剤、花王社製:商品名レオドールスーパーTW−L120、親水親油バランスの指標(以下HLBと称す)16.7)6.9部、ソルビタンアルキルエステル(界面活性剤、花王社製:商品名レオドールSP−S30、HLB2.1)1.6部、及びドデシル硫酸ナトリウム(HLB40)0.1部を水(水系溶媒、かつ水性媒体)71.4部に添加し、70℃に加熱して30分間攪拌し溶解してなる水溶液を得た。該水溶液の界面活性剤全体のHLBは14.3であった。次いで、油性物質としてのペンタデカン80部を上記水溶液に添加し、攪拌機(特殊機化社製、TKホモミキサー)により12000rpm、3分間攪拌し乳化した。更に、上記乳化液に水240部添加し、油性物質の濃度が20質量%の水分散体を得た。
これにより、本発明にかかる蓄熱体(水分散体)1を得た。蓄熱体1の平均粒子径は2μmであった。
【0032】
得られた蓄熱体1について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC(differential scanning calorimetry))を行なうことにより、凝固温度と融解温度とを求めた。示差走査熱量測定には、マックサイエンス社製の示差走査熱量DSC−3100Sを使用した。測定条件としては、25℃から−20℃まで2℃/分の速度で冷却した後、−20℃から25℃まで2℃/分の速度で昇温した。その結果、凝固温度は9.3℃、融解温度は10.5℃であった。
【0033】
比較例1
実施例1でポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルとソルビタンアルキルエステルとドデシル硫酸ナトリウムの代わりに、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル(界面活性剤、花王社製:商品名レオドールスーパーTW−L120、HLB16.7)4.0部のみを用いた以外は、実施例1と同様にして比較蓄熱体1を得た。該水溶液の界面活性剤全体のHLBは16.7であり、比較蓄熱体1の平均粒子径は3μmであった。
【0034】
得られた比較蓄熱体1について、実施例1と同様にして凝固温度と融解温度とを求めた。その結果、凝固温度は1.3℃、融解温度は10.6℃で、大きな過冷却が認められた。
【0035】
実施例2
内容量500mlのガラスビーカーに、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル(界面活性剤、花王社製:商品名レオドールスーパーTW−L120、HLB16.7)2.4部、ショ糖脂肪酸エステル(界面活性剤、第一工業製薬社製:商品名シュガーワックスF−70、HLB8)4.8部を水(水系溶媒、かつ水性媒体)72.8部に添加し、30分間攪拌し溶解してなる水溶液を得た。該水溶液の界面活性剤全体のHLBは10.9であった。次いで、油性物質としてのペンタデカン80部を上記水溶液に添加し、攪拌機(特殊機化社製、TKホモミキサー)により12000rpm、3分間攪拌し乳化した。更に、上記乳化液に水240部添加し、油性物質の濃度が20質量%の水分散体を得た。
これにより、本発明にかかる蓄熱体(水分散体)2を得た。蓄熱体2の平均粒子径は2μmであった。
【0036】
得られた蓄熱体2について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC(differential scanning calorimetry))を行なうことにより、凝固温度と融解温度とを求めた。その結果、凝固温度は8.5℃、融解温度は10.6℃であった。
【0037】
実施例3
内容量500mlのガラスビーカーに、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル(界面活性剤、花王社製:商品名レオドールスーパーTW−L120、HLB16.7)2.4部、ショ糖脂肪酸エステル(界面活性剤、第一工業製薬社製:商品名シュガーワックスF−20、HLB2)1.6部を水(水系溶媒、かつ水性媒体)76部に添加し、30分間攪拌し溶解してなる水溶液を得た。該水溶液の界面活性剤全体のHLBは10.8であった。次いで、油性物質としてのペンタデカン80部を上記水溶液に添加し、攪拌機(特殊機化社製、TKホモミキサー)により12000rpm、3分間攪拌し乳化した。更に、上記乳化液に水240部添加し、油性物質の濃度が20質量%の水分散体を得た。
これにより、本発明にかかる蓄熱体(水分散体)3を得た。蓄熱体3の平均粒子径は3μmであった。
【0038】
得られた蓄熱体3について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC(differential scanning calorimetry))を行なうことにより、凝固温度と融解温度とを求めた。その結果、凝固温度は8.5℃、融解温度は10.1℃であった。
【0039】
実施例4
実施例2でポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル(界面活性剤、花王社製:商品名レオドールスーパーTW−L120、HLB16.7)2.4部、ショ糖脂肪酸エステル(界面活性剤、第一工業製薬社製:商品名シュガーワックスA−10E、HLB0)4.8部を用いた以外は、実施例2と同様にして蓄熱体4を得た。該水溶液の界面活性剤全体のHLBは5.6であり、蓄熱体4の平均粒子径は3μmであった。
【0040】
得られた蓄熱体4について、所定の条件下で示差走査熱量測定(DSC(differential scanning calorimetry))を行なうことにより、凝固温度と融解温度とを求めた。その結果、凝固温度は8.9℃、融解温度は10.0℃であった。
【0041】
実施例5
内容量500mlのガラスビーカーに、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数20)ステアリルエーテル(界面活性剤、日本油脂社製:商品名ノニオンS−220、HLB15.3)2.4部、ショ糖脂肪酸エステル(界面活性剤、第一工業製薬社製、商品名シュガーワックスA−10E、HLB0)0.8部を水76.8部に添加し、70℃に加熱して30分間撹拌し水溶液を得た。該水溶液の界面活性剤全体のHLBは11.5であった。次いで、油性物質としてのペンタデカン80部を上記水溶液に添加し、実施例2と同様にして蓄熱体5を得た。蓄熱体5の平均粒子径は3μmであった。
【0042】
得られた蓄熱体5について、同様に示差走査熱量測定を行うことにより、凝固温度と融解温度を求めた。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は9.2℃、融解温度(融解ピーク温度)は10.5℃であった。
【0043】
実施例6
内容量500mlのガラスビーカーに、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数20)ソルビタンモノステアレート(界面活性剤、花王社製:商品名レオドールTW−S120V、HLB14.9)2.4部、ショ糖脂肪酸エステル(界面活性剤、第一工業製薬社製、商品名シュガーワックスA−10E、HLB0)0.8部を水76.8部に添加し、70℃に加熱して30分間撹拌し水溶液を得た。該水溶液の界面活性剤全体のHLBは11.2であった。次いで、油性物質としてのペンタデカン80部を上記水溶液に添加し、実施例2と同様にして蓄熱体6を得た。蓄熱体6の平均粒子径は3μmであった。
【0044】
得られた蓄熱体6について、同様に示差走査熱量測定を行うことにより、凝固温度と融解温度を求めた。その結果、凝固温度(凝固開始温度)は9.5℃、融解温度(融解ピーク温度)は10.4℃であった。
【0045】
【発明の効果】
本発明の蓄熱体は上述のような構成からなり、凝固点を調整しやすくて蓄熱効率が向上したものであるので、オフィスビルや工場等の大型建造物用や家庭用等の冷暖房エネルギーの省力化や効率化、環境保護の目的のための蓄熱装置を構成する材料として優れたものである。
Claims (2)
- 相変化により蓄熱性を有する油性物質と界面活性剤とを含有する水分散体を必須としてなる蓄熱体であって、
該界面活性剤は、親水親油バランスの指標が12未満のものと、親水親油バランスの指標が12以上のものとを必須とする
ことを特徴とする蓄熱体。 - 前記界面活性剤は、該界面活性剤を構成する各界面活性剤の質量分率から求められる界面活性剤全体の親水親油バランスの指標が5以上、15以下である
ことを特徴とする請求項1記載の蓄熱体。
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