JP2004197032A - 難燃性樹脂組成物およびこの組成物を用いるプリプレグ,積層板,プリント配線板 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,電気絶縁用積層板,プリプレグ,樹脂付き銅はく,接着フィルム,プリント配線板およびその原料となる樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年,電気絶縁用積層板(本発明において積層板には片面又は,両面を金属はくで覆った積層板,すなわち金属張積層板を含む),プリプレグおよびプリント配線板は,環境問題の高まりにより廃棄あるいは焼却時に有害物質を環境中に排出しないことが求められている。そのため,燃焼時に所謂ダイオキシン問題が発生することを避ける目的でハロゲン系難燃剤を含有しないことを特徴とした製品が増加している。現在はハロゲン系難燃剤の代替難燃剤として,無機材料,リン化合物,窒素化合物等が広く用いられている。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】
特開平2‐69567号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
工業的には,これら代替難燃剤を組合せることにより難燃性を確保している場合が多い。しかし,これらの代替難燃剤を,難燃性を確保するに十分な量を添加した場合,ワニス特性,プリプレグの特性,もしくは積層板,やプリント配線板の特性を意に反して大きく変動させる。この原因のひとつとして,現在の非ハロゲン系の難燃化手法が,基本となる樹脂に,難燃化効果を付与する材料を添加する方法に大きく依存している点が挙げられる。なぜなら,従来のハロゲン系の難燃化手法に用いられる材料の多くは,テトラブブロモビスフェノールAに代表されるように,難燃性を付与する材料が化学反応により樹脂骨格の一部に取り込まれることにより樹脂自体を難燃化する手法を取っていたために,硬化反応後の樹脂特性は,基本骨格をなす樹脂の特性により決定されていたことに対し,非ハロゲン系難燃剤を用いる難燃化手法においては,樹脂と低分子もしくは無機材料の複合系となることから,物理的,化学的に脆弱になる部分が生じてしまうためである。これまでにも樹脂骨格に難燃性を付与した,非ハロゲン系難燃樹脂を開発する検討がなされているが,いまだに十分な手法は見出されるに至っていない。そこで,本発明においてはジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物に注目した。ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物は,骨格中に窒素成分を含有することから難燃化効果を得ることができ,かつ他の窒素含有エポキシ,もしくは窒素含有硬化剤を用いた樹脂系と比較しても,耐熱性等の点において高い特性を有することから,有望な非ハロゲン系難燃化樹脂である。しかし,この樹脂も今のところ,単独で十分な難燃性と,製品としての成形性および電気,機械,化学的諸特性を満足するには得るに至っていない。しかるに,これまでは難燃性の確保を目的に,水酸化アルミニウムに代表される無機系難燃剤や,リン酸エステルに代表されるリン系難燃剤等を併用してきた。しかし,これら無機,有機低分子系難燃剤を十分な難燃性を発現する程度添加した場合,物理的にも化学的にも樹脂が脆弱になる場合が多い。特に,リン酸エステル型難燃剤を添加した場合,その影響は顕著であり,吸湿による耐熱性の低下や,硬化阻害等,特性低下の要因となる場合が多い。よって,多量に配合することができず難燃性を確保するに十分な量の添加は困難であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のものに関する。
(1) (A)ジヒドロベンゾオシサジン環を有する化合物および,(B)式(1)で示す有機リン化合物もしくはその誘導体からなる樹脂組成物
【0005】
【化3】
【0006】
(但し,R1は水素もしくはハロゲン元素を含まない任意の有機基を示す)
(2) 上記(1)(B)記載の有機リン化合物が,10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド 式(2)である樹脂組成物。
【0007】
【化4】
【0008】
(3) 上記(1)または(2)記載の樹脂組成物にエポキシ樹脂,硬化剤,またはフィラーを単数もしくは複数添加して得られる樹脂組成物。
(4) 上記(1),(2)または(3)記載の樹脂組成物を用いて作られるプリプレグ。
(5) 上記(4)記載のプリプレグを用いて作られる銅張積層板。
(6) 上記(1),(2)または(3)に記載の樹脂組成物を用いて作られる樹脂付き銅はく。
(7) 上記(1),(2)または(3)に記載の樹脂組成物を用いて作られる接着フィルム。
(8) 上記(4)記載のプリプレグ,上記(5)記載の銅張り積層板,上記(6)記載の樹脂付き銅はく,上記(7)記載の接着フィルムを任意に組合せて作られるプリント配線板。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者らは,十分な物理的,化学的特性を有しつつ,ハロゲン系難燃剤を含まずに,骨格中に難燃化効果を付与した樹脂を用い,かつ十分な難燃性を有した樹脂組成物を作製する方法について種々検討を行った結果,以下の発明を見出すに至った。
【0010】
本発明は,ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物を用い,かつ(式(3))で与えられる,9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド,もしくはその誘導体を用いることを必須とする。
【0011】
【化5】
【0012】
ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物は,その骨格中に窒素成分を含有することから難燃化効果が得られる。一方,9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドもしくはその誘導体は,その骨格中にリンを含有することから難燃化効果を付与している。こういった大きく異なる機構を有する材料を組合せることにより,相乗効果が生じ,それぞれを単独で用いた場合では得られない飛躍的な特性の向上が期待できる。事実,本手法においても,これら二つの成分をある一定の比率で配合することにより,高い難燃性を獲得することに成功した。
同時に,ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物に従来から添加されていたリン系難燃剤にと同量のリン含有量になるように9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドもしくはその誘導体を添加した場合,得られた樹脂組成物の物理的化学的特性の低下を非常に小さく抑えることに成功した。9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドもしくはその誘導体は,硬化反応においてジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物骨格中に取り込まれずに,微視的にはジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物から独立して存在する可能性も予想されるが,本発明の範囲内で用いることにより,従来の添加型の難燃剤に見られるような顕著な物理的,化学的特性の低下を非常に低い範囲に抑えることに成功した。特に,代表的なリン系難燃剤の1つである,縮合方燐酸エステルをジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物に添加した場合と比べると,その差は非常に顕著に現れ,吸湿による耐熱性の低下や,硬化阻害等の物理的,化学的な特性の低下が非常に小さかった。このように良好な特性が発現した原因は,9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドの主骨格中に含まれる酸素成分量がリン酸エステルに比べて圧倒的に少ないために,極性が低下し,結果として水分子の吸着点が減少したため,吸湿による耐熱性向上している等が推測されるが,その原因は解明するに至っていない。
【0013】
本発明における9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドもしくはその誘導体の添加量は,樹脂組成物を100とした場合,リン分の含有量が0.5から8の範囲で添加する場合が良好であり,好ましくは0.5ないし6であり,より好ましくは0.8ないし5の範囲で添加する場合が良好な特性を付与する。
本発明は,これら樹脂組成物およびこの樹脂組成物を用いたプリプレグ,積層板,プリント配線板,並びにこれらの製造法に関する。
【0014】
本発明は,ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物もしくは,9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドおよびその誘導体を配合することをよって得られる樹脂組成物であり,高い難燃化効果を得ると同時に,樹脂組成物,積層板,プリプレグ,及びプリント配線板として良好な特性を獲得する。
これら難燃剤は,それぞれ単独で用いる,あるいは全て添加しても本発明で定める添加率の範囲を越える場合は,本発明により得られる特性を維持することが不可能である。
ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物は,メチルエチルケトン(MEK)等の適当な溶媒中で,フェノール類、アミン類、アルデヒド類を,加熱反応させ,溶剤および水を除去することでから容易に合成できる。例えば,用いるフェノール1モルに対して,アニリンを1モル,ホルムアルデヒドを2モルの割合で配合し,還流させ任意の反応率の点で冷却。その後に,溶剤および水分を場合によっては未反応物質を除去することにより樹脂を得ることができる。フェノール類としてはフェノール,クレゾール,ビスフェノールA,ビスフェノールF,ビスフェノールS等を用いることができ,アミン類としてはアニリン,ジアミノベンゼン等が用いることができ,アルデヒド類では,ホルムアルデヒド,パラホルム等を用いることができる。
また,ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物に9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドをもしくはその誘導体を配合する場合,その添加量は溶剤を除く樹脂組成物を100とした場合,リン分の含有量が0.2から7の範囲で添加する場合が良好であり,好ましくは0.5ないし5であり,より好ましくは0.8ないし4の範囲で配合する場合に,良好な成形性を有し,かつ十分な耐熱性と難燃性を有する樹脂組成物およびプリプレグ,積層板,プリント配線板を得ることができる。この配合範囲において,良好な難燃性,耐熱性を付与せしめるに至った理由に関しては,現在のところ判明していない。しかし従来多用されてきた,リン系難燃材は,その骨格中に多量の酸素成分を含むことから,難燃化効果の低下,極性上昇による水分子との親和性の向上による吸水に由来する耐熱性の低下,さらにはリン酸部と硬化促進剤の相互作用による硬化阻害の発生等の理由により著しく低下していた特性が,式(4)で示される有機化合物を用いることによりこれらの問題が,解決されたものと推定される。
【0015】
【化6】
【0016】
(但し,R1は水素もしくはハロゲン元素を含まない任意の有機基を示す)
式(4)に示した化合物とは,9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドもしくは,その誘導体,例えば10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド式(5)や10−(2,5−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド,10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドが使用できる。
【0017】
【化7】
【0018】
これら化合物は,直接ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物と配合しても良いが,事前に,ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物やエポキシ樹脂,フェノール系硬化等と反応させた後に使用する事もできる。
また,樹脂組成物にピール強度向上等の目的で,エポキシ樹脂を配合することができ,含有されるエポキシ樹脂としては,ビスフェノールA型エポキシ樹脂,ビスフェノールF型エポキシ樹脂,ビスフェノールS型エポキシ樹脂,ビフェニル型エポキシ樹脂,ナフタレンジオール型エポキシ樹脂,フェノールノボラック型エポキシ樹脂,クレゾールノボラック型エポキシ樹脂,環状脂肪族エポキシ樹脂,グリシジルエステル樹脂,グリシジルアミン樹脂,複素環式エポキシ樹脂(トリグリシジルイソシアヌレート,ジグリシジルヒンダトイン等),およびこれらを種々の反応性モノマで変性した変性エポキシ樹脂等が使用でき,これらのエポキシ樹脂を2種類以上適宜組合せて使用することもできる。特に,電気電子材料用途に適用できる高い耐熱性や信頼性が必要であることから,フェノールノボラック型エポキシ樹脂またはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いることが望ましく,その添加量は,特に規定されないが,十分な硬化物を得るためには,全樹脂組成物中0〜50重量%の範囲が好ましい。
【0019】
また,加工性改良,添加したエポキシの硬化促進等の目的で,硬化剤を添加することができる。硬化剤には,フェノール系,アミン系,酸無水物系等あるが,フェノール系硬化剤を用いることが好ましい。なぜなら,フェノール系硬化剤は,積層板の耐湿性の低減,およびエポキシ樹脂の硬化促進と共に,ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物はフェノール系水酸基を有する化合物と反応することができるため,ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物の硬化反応も促進することができるためである。さらに,その添加量は,樹脂組成物の硬化反応を著しく阻害しない範囲であれば,任意の量を添加することができ,特に樹脂組成物の0〜50重量%の範囲で用いることが好ましい。具体的には,例えばフェノールノボラック,クレゾールノボラック,ビスフェノールA,ビスフェノールF,ビスフェノールS,もしくはメラミンノボラック等の窒素含有ノボラック等,フェノール性水酸基を有する硬化剤を用いることができ,これらを複数組み合わせ用いても良い。
【0020】
また本発明のこれら,エポキシ樹脂および硬化剤を,配合する前に適宜反応させてから用いることもできる。
【0021】
本発明の樹脂組成物は,このほかに,可燃成分を減少させる目的で,フィラーを添加することも可能である。シリカ,タルク,マイカ,ケイ酸カルシウム,ケイ酸カリウム,焼成クレー,酸化チタン,硫酸バリウム,酸化アルミニウム,炭酸マグネシウム,炭酸カルシウム,炭酸バリウムなど,酸化モリブデン,酸化亜鉛,珪酸マグネシウム,等の金属酸化物が良く,このほかにも,モリブデン,亜鉛,カルシウム,リン,アルミニウム,カリウム等の複数の元素からなる酸化物等の化合物であっても良い。また,モリブデン,珪素,マグネシウム,亜鉛からなる酸化物の複数の組み合わせからなる化合物であっても良い。
また,本発明の樹脂組成物には,これら以外に高剛性化,低熱膨張化の目的で無機質充填剤を添加することもでき,これ以外に顔料,接着助剤,酸化防止剤,硬化促進剤および有機溶剤などを添加することができるが,それぞれ公知の物質を使用することができ,非ハロゲン化合物で積層板,プリント配線板特性を低下させない物質であれば特に制限はない。
【0022】
有機溶剤の種類と量については,樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂と硬化剤を均一に溶解もしくは分散し,プリプレグを作製するのに適正な粘度と揮発性を有していれば特に限定されるものではないが,これらの要件を満たし,かつ価格や取扱い性,安全性の観点から,メチルエチルケトン,2−メトキシエタノール,2−メトキシプロパノール,1−メトキシ−2−プロパノール等の溶剤を含む樹脂組成物全重量の5〜40重量%程度使用することが好ましい。
また,本発明の樹脂組成物は,ガラスもしくはアラミド樹脂等を原料とする不織布,もしくはガラスクロス等の基材に含浸・乾燥することによってプリプレグを作製することができる。またさらに,このプリプレグに金属箔を重ね,加熱・加圧して積層一体化することにより積層板を製造することができる。
【0023】
さらに,本発明の樹脂組成物を,銅はくに塗布,乾燥することによって樹脂付き銅はくを,PETフィルム等樹脂フィルムに塗布,乾燥することによって接着フィルムを作製することができる。
【0024】
また,この積層板の金属箔の不要な部分をエッチング除去することによってプリント配線板を製造することもでき,必要に応じて,これらプリント配線板と,プリプレグ,樹脂付き銅はく,もしくは接着フィルム,および銅はくを単独もしくは複数組合わせて適宜積層し,加熱,加圧することにより,多層化したプリント配線板を製造することもできる。これらプリプレグ,積層板,樹脂付き銅はく,接着フィルム,プリント配線板の製造においては,当該業界における通常の塗工,積層,回路加工工程を適用することができ,これにより高耐熱性,高難燃性,高信頼性でかつハロゲン系難燃剤を含有しない積層板およびプリント配線板が得られる。
以下、本発明の実施例およびその比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
実施例および比較例において,ジヒドロベンゾオキサジン化合物,エポキシ樹脂,硬化剤,有機リン化合物およびその他の特殊材料には下記のものを用いた。その他の有機溶剤,添加剤,汎用無機質充填剤および積層板・プリプレグを構成するガラス布,銅箔などについては,特に記載したものを除き化学工業および電子工業分野において一般的に用いられる原材料類を用いた。
ジヒドロベンゾオキサジン化合物:メチルエチルケトン(MEK)中ビスフェノールA、アニリン、ホルマリンを1/2/4のモル比で混合し、4時間還流させた後、水分とMEKを蒸留除去して残った樹脂状物を取り出し粉砕したもの
エポキシ樹脂:大日本インキ化学工業製クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
商品名N−673(エポキシ当量210)
フェノール系硬化材:大日本インキ製フェノールノボラック樹脂
商品名フェノライトTD−2160
有機リン化合物A:三光製10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド
商品名HCA−HQ
有機リン化合物B:大八化学工業製リン酸エステル
商品名TPP
無機難燃剤:住友化学製 水酸化アルミ 商品名CL−310
積層板およびプリント配線板の特性評価は,難燃性についてはUL−94垂直法による燃焼時間により評価し,平均燃焼時間5秒以下かつ最大燃焼時間10秒以下をV−0,平均燃焼時間10秒以下かつ最大燃焼時間30秒以下をV−1,それ以上燃焼した場合をHBで分類した。その他の積層板特性(銅箔引き剥がし強さ,吸湿はんだ耐熱性,耐薬品性)についてはJIS C6481に基づき評価した。吸湿はんだ耐熱性の評価は,○:変化なし、△:ミーズリングまたは目浮き発生,×:ふくれ発生で判定し,ワニスの硬化性は160℃のホットプレート上に0.5ccのワニスを滴下し,直径1mmの棒で攪拌しゲル化するまでの時間(ゲル化時間)で評価した。
【0026】
実施例1〜5
表1に示す配合により積層板用樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物をガラスクロス(厚さ0.2mm)に含浸させ,160〜175℃で4分間乾燥してプリプレグを得た。このプリプレグを4枚重ね,その両面に18μmの銅箔を重ね,185℃,圧力4MPaにて80分間加熱加圧成形して厚さ0.8mmの両面銅張積層板を作製した。樹脂組成物のゲル化時間およびおよびこの積層板の特性を表1に示した。
【0027】
実施例1から5で作製した両面銅張積層板の表面にサブトラクティブ法により回路形成(テストパターン)を行った。さらに,作製した2枚の回路付き両面銅張積層板表面を接着性向上のため酸化粗化処理し,実施例1から5で作製したプリプレグ各2枚を挟んで重ね合せ,さらに外側にプリプレグ2枚と18μm銅箔を重ねて積層プレスして内層回路付き6層プリント配線板を作製した。同時に,前述同様,表面酸化粗化処理を施した回路付き両面倒張り積層板に,樹脂付き銅はくを重ねて積層プレスして内層回路付き4層プリント配線板を作製した。さらに,表面酸化粗化処理を施した回路付き両面倒張り積層板に接着フィルムおよび18μm銅箔を重ねてプレスし,内層回路付き4層プリント配線板を作製した。これらプリント配線板に定法により外層回路加工,スルーホール形成,レジストインク印刷,部品実装を行ったが,通常のプリント配線板製造工程において問題無く製造できることを確認した。
【0028】
比較例1,2
実施例1〜5と同様にして,表1に示す配合および実施例に示す方法で樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物を用いて実施例と同様にプリプレグを作製し,銅張積層板の作製を行った。しかし,比較例1においては,リン系難燃剤を添加しなかったために,十分な難燃性が得られなかった。よって,他の評価は中止した。また,比較例2においては,リン系難燃剤を添加したが,用いた難燃剤がリン酸エステルであったために,難燃性は確保できたものの,十分な耐熱性が得られなかった。
【0029】
【表1】
【0030】
表1より,例示した実施例においては,必要なリン系難燃剤量を含み且つ樹脂組成物のゲル化時間が適正であるため,生産性・成形性に問題がなく十分な難燃性を保持した積層板が得られた。ここで,ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物は,熱硬化性樹脂としては硬化が遅く,生産性の点では用途が限定される傾向がある,本発明においても,実施例1,2および5で,ワニス硬化時間が2000秒台と他の実施例と比べて長くなる傾向として現れているが,プリプレグおよび銅張り積層板,樹脂付き銅はく,接着フィルムを製造するに当り,特に制約になるものではない。一方,実施例3に示したように,硬化剤を併用することにより,このジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物の硬化速度を速くする効果があり,ワニスの硬化時間を短縮し,生産性を大幅に向上する結果となった。また,実施例2に示したように,エポキシ樹脂を添加することにより,ピール強度が向上し,微細回路形成時の回路加工性を向上することになった。さらに,水酸化アルミニウムを添加した実施例5では,難燃性がさらに向上する結果となり,基材の信頼性をより向上する結果となった。これらの効果を組み合わせることにより,実施例4,および6に示したように,よりバランスの取れた特性を獲得することができた。
【0031】
一方,比較例1においては,リン系難燃剤を添加しなかったために難燃性を確保できず,比較例2においては,9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドもしくはその誘導体を用いなかったために,十分難燃性を確保しつつ耐熱性を得ることができなかった。また,比較例2においては,リン系難燃剤を添加したが,用いた難燃剤がリン酸エステルであったために,難燃性は確保できたものの,十分な耐熱性が得られなかった。
【0032】
【発明の効果】
よって,十分な難燃性を確保しつつ適正な硬化性を保てる適正な有機リン化合物の配合比,配合量という点において,本発明の優位性は明確である。
【発明の属する技術分野】
本発明は,電気絶縁用積層板,プリプレグ,樹脂付き銅はく,接着フィルム,プリント配線板およびその原料となる樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年,電気絶縁用積層板(本発明において積層板には片面又は,両面を金属はくで覆った積層板,すなわち金属張積層板を含む),プリプレグおよびプリント配線板は,環境問題の高まりにより廃棄あるいは焼却時に有害物質を環境中に排出しないことが求められている。そのため,燃焼時に所謂ダイオキシン問題が発生することを避ける目的でハロゲン系難燃剤を含有しないことを特徴とした製品が増加している。現在はハロゲン系難燃剤の代替難燃剤として,無機材料,リン化合物,窒素化合物等が広く用いられている。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】
特開平2‐69567号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
工業的には,これら代替難燃剤を組合せることにより難燃性を確保している場合が多い。しかし,これらの代替難燃剤を,難燃性を確保するに十分な量を添加した場合,ワニス特性,プリプレグの特性,もしくは積層板,やプリント配線板の特性を意に反して大きく変動させる。この原因のひとつとして,現在の非ハロゲン系の難燃化手法が,基本となる樹脂に,難燃化効果を付与する材料を添加する方法に大きく依存している点が挙げられる。なぜなら,従来のハロゲン系の難燃化手法に用いられる材料の多くは,テトラブブロモビスフェノールAに代表されるように,難燃性を付与する材料が化学反応により樹脂骨格の一部に取り込まれることにより樹脂自体を難燃化する手法を取っていたために,硬化反応後の樹脂特性は,基本骨格をなす樹脂の特性により決定されていたことに対し,非ハロゲン系難燃剤を用いる難燃化手法においては,樹脂と低分子もしくは無機材料の複合系となることから,物理的,化学的に脆弱になる部分が生じてしまうためである。これまでにも樹脂骨格に難燃性を付与した,非ハロゲン系難燃樹脂を開発する検討がなされているが,いまだに十分な手法は見出されるに至っていない。そこで,本発明においてはジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物に注目した。ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物は,骨格中に窒素成分を含有することから難燃化効果を得ることができ,かつ他の窒素含有エポキシ,もしくは窒素含有硬化剤を用いた樹脂系と比較しても,耐熱性等の点において高い特性を有することから,有望な非ハロゲン系難燃化樹脂である。しかし,この樹脂も今のところ,単独で十分な難燃性と,製品としての成形性および電気,機械,化学的諸特性を満足するには得るに至っていない。しかるに,これまでは難燃性の確保を目的に,水酸化アルミニウムに代表される無機系難燃剤や,リン酸エステルに代表されるリン系難燃剤等を併用してきた。しかし,これら無機,有機低分子系難燃剤を十分な難燃性を発現する程度添加した場合,物理的にも化学的にも樹脂が脆弱になる場合が多い。特に,リン酸エステル型難燃剤を添加した場合,その影響は顕著であり,吸湿による耐熱性の低下や,硬化阻害等,特性低下の要因となる場合が多い。よって,多量に配合することができず難燃性を確保するに十分な量の添加は困難であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のものに関する。
(1) (A)ジヒドロベンゾオシサジン環を有する化合物および,(B)式(1)で示す有機リン化合物もしくはその誘導体からなる樹脂組成物
【0005】
【化3】
【0006】
(但し,R1は水素もしくはハロゲン元素を含まない任意の有機基を示す)
(2) 上記(1)(B)記載の有機リン化合物が,10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド 式(2)である樹脂組成物。
【0007】
【化4】
【0008】
(3) 上記(1)または(2)記載の樹脂組成物にエポキシ樹脂,硬化剤,またはフィラーを単数もしくは複数添加して得られる樹脂組成物。
(4) 上記(1),(2)または(3)記載の樹脂組成物を用いて作られるプリプレグ。
(5) 上記(4)記載のプリプレグを用いて作られる銅張積層板。
(6) 上記(1),(2)または(3)に記載の樹脂組成物を用いて作られる樹脂付き銅はく。
(7) 上記(1),(2)または(3)に記載の樹脂組成物を用いて作られる接着フィルム。
(8) 上記(4)記載のプリプレグ,上記(5)記載の銅張り積層板,上記(6)記載の樹脂付き銅はく,上記(7)記載の接着フィルムを任意に組合せて作られるプリント配線板。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者らは,十分な物理的,化学的特性を有しつつ,ハロゲン系難燃剤を含まずに,骨格中に難燃化効果を付与した樹脂を用い,かつ十分な難燃性を有した樹脂組成物を作製する方法について種々検討を行った結果,以下の発明を見出すに至った。
【0010】
本発明は,ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物を用い,かつ(式(3))で与えられる,9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド,もしくはその誘導体を用いることを必須とする。
【0011】
【化5】
【0012】
ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物は,その骨格中に窒素成分を含有することから難燃化効果が得られる。一方,9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドもしくはその誘導体は,その骨格中にリンを含有することから難燃化効果を付与している。こういった大きく異なる機構を有する材料を組合せることにより,相乗効果が生じ,それぞれを単独で用いた場合では得られない飛躍的な特性の向上が期待できる。事実,本手法においても,これら二つの成分をある一定の比率で配合することにより,高い難燃性を獲得することに成功した。
同時に,ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物に従来から添加されていたリン系難燃剤にと同量のリン含有量になるように9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドもしくはその誘導体を添加した場合,得られた樹脂組成物の物理的化学的特性の低下を非常に小さく抑えることに成功した。9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドもしくはその誘導体は,硬化反応においてジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物骨格中に取り込まれずに,微視的にはジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物から独立して存在する可能性も予想されるが,本発明の範囲内で用いることにより,従来の添加型の難燃剤に見られるような顕著な物理的,化学的特性の低下を非常に低い範囲に抑えることに成功した。特に,代表的なリン系難燃剤の1つである,縮合方燐酸エステルをジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物に添加した場合と比べると,その差は非常に顕著に現れ,吸湿による耐熱性の低下や,硬化阻害等の物理的,化学的な特性の低下が非常に小さかった。このように良好な特性が発現した原因は,9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドの主骨格中に含まれる酸素成分量がリン酸エステルに比べて圧倒的に少ないために,極性が低下し,結果として水分子の吸着点が減少したため,吸湿による耐熱性向上している等が推測されるが,その原因は解明するに至っていない。
【0013】
本発明における9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドもしくはその誘導体の添加量は,樹脂組成物を100とした場合,リン分の含有量が0.5から8の範囲で添加する場合が良好であり,好ましくは0.5ないし6であり,より好ましくは0.8ないし5の範囲で添加する場合が良好な特性を付与する。
本発明は,これら樹脂組成物およびこの樹脂組成物を用いたプリプレグ,積層板,プリント配線板,並びにこれらの製造法に関する。
【0014】
本発明は,ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物もしくは,9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドおよびその誘導体を配合することをよって得られる樹脂組成物であり,高い難燃化効果を得ると同時に,樹脂組成物,積層板,プリプレグ,及びプリント配線板として良好な特性を獲得する。
これら難燃剤は,それぞれ単独で用いる,あるいは全て添加しても本発明で定める添加率の範囲を越える場合は,本発明により得られる特性を維持することが不可能である。
ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物は,メチルエチルケトン(MEK)等の適当な溶媒中で,フェノール類、アミン類、アルデヒド類を,加熱反応させ,溶剤および水を除去することでから容易に合成できる。例えば,用いるフェノール1モルに対して,アニリンを1モル,ホルムアルデヒドを2モルの割合で配合し,還流させ任意の反応率の点で冷却。その後に,溶剤および水分を場合によっては未反応物質を除去することにより樹脂を得ることができる。フェノール類としてはフェノール,クレゾール,ビスフェノールA,ビスフェノールF,ビスフェノールS等を用いることができ,アミン類としてはアニリン,ジアミノベンゼン等が用いることができ,アルデヒド類では,ホルムアルデヒド,パラホルム等を用いることができる。
また,ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物に9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドをもしくはその誘導体を配合する場合,その添加量は溶剤を除く樹脂組成物を100とした場合,リン分の含有量が0.2から7の範囲で添加する場合が良好であり,好ましくは0.5ないし5であり,より好ましくは0.8ないし4の範囲で配合する場合に,良好な成形性を有し,かつ十分な耐熱性と難燃性を有する樹脂組成物およびプリプレグ,積層板,プリント配線板を得ることができる。この配合範囲において,良好な難燃性,耐熱性を付与せしめるに至った理由に関しては,現在のところ判明していない。しかし従来多用されてきた,リン系難燃材は,その骨格中に多量の酸素成分を含むことから,難燃化効果の低下,極性上昇による水分子との親和性の向上による吸水に由来する耐熱性の低下,さらにはリン酸部と硬化促進剤の相互作用による硬化阻害の発生等の理由により著しく低下していた特性が,式(4)で示される有機化合物を用いることによりこれらの問題が,解決されたものと推定される。
【0015】
【化6】
【0016】
(但し,R1は水素もしくはハロゲン元素を含まない任意の有機基を示す)
式(4)に示した化合物とは,9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドもしくは,その誘導体,例えば10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド式(5)や10−(2,5−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド,10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドが使用できる。
【0017】
【化7】
【0018】
これら化合物は,直接ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物と配合しても良いが,事前に,ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物やエポキシ樹脂,フェノール系硬化等と反応させた後に使用する事もできる。
また,樹脂組成物にピール強度向上等の目的で,エポキシ樹脂を配合することができ,含有されるエポキシ樹脂としては,ビスフェノールA型エポキシ樹脂,ビスフェノールF型エポキシ樹脂,ビスフェノールS型エポキシ樹脂,ビフェニル型エポキシ樹脂,ナフタレンジオール型エポキシ樹脂,フェノールノボラック型エポキシ樹脂,クレゾールノボラック型エポキシ樹脂,環状脂肪族エポキシ樹脂,グリシジルエステル樹脂,グリシジルアミン樹脂,複素環式エポキシ樹脂(トリグリシジルイソシアヌレート,ジグリシジルヒンダトイン等),およびこれらを種々の反応性モノマで変性した変性エポキシ樹脂等が使用でき,これらのエポキシ樹脂を2種類以上適宜組合せて使用することもできる。特に,電気電子材料用途に適用できる高い耐熱性や信頼性が必要であることから,フェノールノボラック型エポキシ樹脂またはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いることが望ましく,その添加量は,特に規定されないが,十分な硬化物を得るためには,全樹脂組成物中0〜50重量%の範囲が好ましい。
【0019】
また,加工性改良,添加したエポキシの硬化促進等の目的で,硬化剤を添加することができる。硬化剤には,フェノール系,アミン系,酸無水物系等あるが,フェノール系硬化剤を用いることが好ましい。なぜなら,フェノール系硬化剤は,積層板の耐湿性の低減,およびエポキシ樹脂の硬化促進と共に,ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物はフェノール系水酸基を有する化合物と反応することができるため,ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物の硬化反応も促進することができるためである。さらに,その添加量は,樹脂組成物の硬化反応を著しく阻害しない範囲であれば,任意の量を添加することができ,特に樹脂組成物の0〜50重量%の範囲で用いることが好ましい。具体的には,例えばフェノールノボラック,クレゾールノボラック,ビスフェノールA,ビスフェノールF,ビスフェノールS,もしくはメラミンノボラック等の窒素含有ノボラック等,フェノール性水酸基を有する硬化剤を用いることができ,これらを複数組み合わせ用いても良い。
【0020】
また本発明のこれら,エポキシ樹脂および硬化剤を,配合する前に適宜反応させてから用いることもできる。
【0021】
本発明の樹脂組成物は,このほかに,可燃成分を減少させる目的で,フィラーを添加することも可能である。シリカ,タルク,マイカ,ケイ酸カルシウム,ケイ酸カリウム,焼成クレー,酸化チタン,硫酸バリウム,酸化アルミニウム,炭酸マグネシウム,炭酸カルシウム,炭酸バリウムなど,酸化モリブデン,酸化亜鉛,珪酸マグネシウム,等の金属酸化物が良く,このほかにも,モリブデン,亜鉛,カルシウム,リン,アルミニウム,カリウム等の複数の元素からなる酸化物等の化合物であっても良い。また,モリブデン,珪素,マグネシウム,亜鉛からなる酸化物の複数の組み合わせからなる化合物であっても良い。
また,本発明の樹脂組成物には,これら以外に高剛性化,低熱膨張化の目的で無機質充填剤を添加することもでき,これ以外に顔料,接着助剤,酸化防止剤,硬化促進剤および有機溶剤などを添加することができるが,それぞれ公知の物質を使用することができ,非ハロゲン化合物で積層板,プリント配線板特性を低下させない物質であれば特に制限はない。
【0022】
有機溶剤の種類と量については,樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂と硬化剤を均一に溶解もしくは分散し,プリプレグを作製するのに適正な粘度と揮発性を有していれば特に限定されるものではないが,これらの要件を満たし,かつ価格や取扱い性,安全性の観点から,メチルエチルケトン,2−メトキシエタノール,2−メトキシプロパノール,1−メトキシ−2−プロパノール等の溶剤を含む樹脂組成物全重量の5〜40重量%程度使用することが好ましい。
また,本発明の樹脂組成物は,ガラスもしくはアラミド樹脂等を原料とする不織布,もしくはガラスクロス等の基材に含浸・乾燥することによってプリプレグを作製することができる。またさらに,このプリプレグに金属箔を重ね,加熱・加圧して積層一体化することにより積層板を製造することができる。
【0023】
さらに,本発明の樹脂組成物を,銅はくに塗布,乾燥することによって樹脂付き銅はくを,PETフィルム等樹脂フィルムに塗布,乾燥することによって接着フィルムを作製することができる。
【0024】
また,この積層板の金属箔の不要な部分をエッチング除去することによってプリント配線板を製造することもでき,必要に応じて,これらプリント配線板と,プリプレグ,樹脂付き銅はく,もしくは接着フィルム,および銅はくを単独もしくは複数組合わせて適宜積層し,加熱,加圧することにより,多層化したプリント配線板を製造することもできる。これらプリプレグ,積層板,樹脂付き銅はく,接着フィルム,プリント配線板の製造においては,当該業界における通常の塗工,積層,回路加工工程を適用することができ,これにより高耐熱性,高難燃性,高信頼性でかつハロゲン系難燃剤を含有しない積層板およびプリント配線板が得られる。
以下、本発明の実施例およびその比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
実施例および比較例において,ジヒドロベンゾオキサジン化合物,エポキシ樹脂,硬化剤,有機リン化合物およびその他の特殊材料には下記のものを用いた。その他の有機溶剤,添加剤,汎用無機質充填剤および積層板・プリプレグを構成するガラス布,銅箔などについては,特に記載したものを除き化学工業および電子工業分野において一般的に用いられる原材料類を用いた。
ジヒドロベンゾオキサジン化合物:メチルエチルケトン(MEK)中ビスフェノールA、アニリン、ホルマリンを1/2/4のモル比で混合し、4時間還流させた後、水分とMEKを蒸留除去して残った樹脂状物を取り出し粉砕したもの
エポキシ樹脂:大日本インキ化学工業製クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
商品名N−673(エポキシ当量210)
フェノール系硬化材:大日本インキ製フェノールノボラック樹脂
商品名フェノライトTD−2160
有機リン化合物A:三光製10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド
商品名HCA−HQ
有機リン化合物B:大八化学工業製リン酸エステル
商品名TPP
無機難燃剤:住友化学製 水酸化アルミ 商品名CL−310
積層板およびプリント配線板の特性評価は,難燃性についてはUL−94垂直法による燃焼時間により評価し,平均燃焼時間5秒以下かつ最大燃焼時間10秒以下をV−0,平均燃焼時間10秒以下かつ最大燃焼時間30秒以下をV−1,それ以上燃焼した場合をHBで分類した。その他の積層板特性(銅箔引き剥がし強さ,吸湿はんだ耐熱性,耐薬品性)についてはJIS C6481に基づき評価した。吸湿はんだ耐熱性の評価は,○:変化なし、△:ミーズリングまたは目浮き発生,×:ふくれ発生で判定し,ワニスの硬化性は160℃のホットプレート上に0.5ccのワニスを滴下し,直径1mmの棒で攪拌しゲル化するまでの時間(ゲル化時間)で評価した。
【0026】
実施例1〜5
表1に示す配合により積層板用樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物をガラスクロス(厚さ0.2mm)に含浸させ,160〜175℃で4分間乾燥してプリプレグを得た。このプリプレグを4枚重ね,その両面に18μmの銅箔を重ね,185℃,圧力4MPaにて80分間加熱加圧成形して厚さ0.8mmの両面銅張積層板を作製した。樹脂組成物のゲル化時間およびおよびこの積層板の特性を表1に示した。
【0027】
実施例1から5で作製した両面銅張積層板の表面にサブトラクティブ法により回路形成(テストパターン)を行った。さらに,作製した2枚の回路付き両面銅張積層板表面を接着性向上のため酸化粗化処理し,実施例1から5で作製したプリプレグ各2枚を挟んで重ね合せ,さらに外側にプリプレグ2枚と18μm銅箔を重ねて積層プレスして内層回路付き6層プリント配線板を作製した。同時に,前述同様,表面酸化粗化処理を施した回路付き両面倒張り積層板に,樹脂付き銅はくを重ねて積層プレスして内層回路付き4層プリント配線板を作製した。さらに,表面酸化粗化処理を施した回路付き両面倒張り積層板に接着フィルムおよび18μm銅箔を重ねてプレスし,内層回路付き4層プリント配線板を作製した。これらプリント配線板に定法により外層回路加工,スルーホール形成,レジストインク印刷,部品実装を行ったが,通常のプリント配線板製造工程において問題無く製造できることを確認した。
【0028】
比較例1,2
実施例1〜5と同様にして,表1に示す配合および実施例に示す方法で樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物を用いて実施例と同様にプリプレグを作製し,銅張積層板の作製を行った。しかし,比較例1においては,リン系難燃剤を添加しなかったために,十分な難燃性が得られなかった。よって,他の評価は中止した。また,比較例2においては,リン系難燃剤を添加したが,用いた難燃剤がリン酸エステルであったために,難燃性は確保できたものの,十分な耐熱性が得られなかった。
【0029】
【表1】
【0030】
表1より,例示した実施例においては,必要なリン系難燃剤量を含み且つ樹脂組成物のゲル化時間が適正であるため,生産性・成形性に問題がなく十分な難燃性を保持した積層板が得られた。ここで,ジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物は,熱硬化性樹脂としては硬化が遅く,生産性の点では用途が限定される傾向がある,本発明においても,実施例1,2および5で,ワニス硬化時間が2000秒台と他の実施例と比べて長くなる傾向として現れているが,プリプレグおよび銅張り積層板,樹脂付き銅はく,接着フィルムを製造するに当り,特に制約になるものではない。一方,実施例3に示したように,硬化剤を併用することにより,このジヒドロベンゾオキサジン環を有する化合物の硬化速度を速くする効果があり,ワニスの硬化時間を短縮し,生産性を大幅に向上する結果となった。また,実施例2に示したように,エポキシ樹脂を添加することにより,ピール強度が向上し,微細回路形成時の回路加工性を向上することになった。さらに,水酸化アルミニウムを添加した実施例5では,難燃性がさらに向上する結果となり,基材の信頼性をより向上する結果となった。これらの効果を組み合わせることにより,実施例4,および6に示したように,よりバランスの取れた特性を獲得することができた。
【0031】
一方,比較例1においては,リン系難燃剤を添加しなかったために難燃性を確保できず,比較例2においては,9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドもしくはその誘導体を用いなかったために,十分難燃性を確保しつつ耐熱性を得ることができなかった。また,比較例2においては,リン系難燃剤を添加したが,用いた難燃剤がリン酸エステルであったために,難燃性は確保できたものの,十分な耐熱性が得られなかった。
【0032】
【発明の効果】
よって,十分な難燃性を確保しつつ適正な硬化性を保てる適正な有機リン化合物の配合比,配合量という点において,本発明の優位性は明確である。
Claims (8)
- 請求項1または2記載の樹脂組成物にエポキシ樹脂,硬化剤,またはフィラーを単数もしくは複数添加して得られる樹脂組成物。
- 請求項1,2または3記載の樹脂組成物を用いて作られるプリプレグ。
- 請求項4記載のプリプレグを用いて作られる銅張積層板。
- 請求項1,2または3に記載の樹脂組成物を用いて作られる樹脂付き銅はく。
- 請求項1,2または3に記載の樹脂組成物を用いて作られる接着フィルム。
- 請求項4記載のプリプレグ,請求項5記載の銅張り積層板,請求項6記載の樹脂付き銅はく,請求項7記載の接着フィルムを任意に組合せて作られるプリント配線板。
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