JP2004196718A - 農薬のマイクロカプセル製剤及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、農薬活性成分のマイクロカプセルへの取り込み量が多く、簡便に製造できるマイクロカプセル製剤およびその製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明は、以下の工程からなる。
(1)1種あるいは2種以上の農薬活性成分とスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリイプシロンカプロラクタム、ポリ乳酸、ポリ乳酸とグリコール酸の共重合体の1種あるいは2種以上のポリマー混合物を、それらを溶解しうる水に相溶しない溶媒に溶かす工程。
(2)前工程で得られた溶液をホモミキサーあるいはホモジナイザーを用いて水中に乳化・分散させる工程。
(3)乳化・分散させた溶液中の溶媒を加温・減圧により蒸散させて農薬活性成分およびポリマーを結晶化させる工程。
(4)デカンテーションおよび/または遠心分離により、固形化した複合マイクロカプセル製剤を得る工程。
【解決手段】本発明は、以下の工程からなる。
(1)1種あるいは2種以上の農薬活性成分とスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリイプシロンカプロラクタム、ポリ乳酸、ポリ乳酸とグリコール酸の共重合体の1種あるいは2種以上のポリマー混合物を、それらを溶解しうる水に相溶しない溶媒に溶かす工程。
(2)前工程で得られた溶液をホモミキサーあるいはホモジナイザーを用いて水中に乳化・分散させる工程。
(3)乳化・分散させた溶液中の溶媒を加温・減圧により蒸散させて農薬活性成分およびポリマーを結晶化させる工程。
(4)デカンテーションおよび/または遠心分離により、固形化した複合マイクロカプセル製剤を得る工程。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農薬活性成分、特にピリミジニルオキシ系殺虫剤のマイクロカプセル製剤、ならびにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医薬、農薬等のマイクロカプセル化技術については既に多くの方法が知られている。(例えば非特許文献1参照)
また、本発明の方法に類似のマイクロカプセル製剤の製造方法も知られている。(特許文献1、特許文献2 参照)
しかし、ピリミジニルオキシ系殺虫剤の製造効率がよく、マイクロカプセル製剤中の農薬活性成分濃度の高い、簡便なマイクロカプセル製剤の製造方法は知られていなかった。
【非特許文献1】「造粒の基礎 造粒の基礎と工学」、「造粒ハンドブック」(1991年)、日本粉体工業技術協会編 (株)オーム社発行 60~64ページ
【特許文献1】特開平6−65064号公報参照
【特許文献2】特開2002−301357号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、農薬活性成分のマイクロカプセルへの取り込み量が多く、簡便に製造できるマイクロカプセル製剤およびその製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の工程からなることを特徴とするマイクロカプセルの製造方法および該方法により得られるマイクロカプセル製剤である。
(1)1種あるいは2種以上の農薬活性成分とスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリイプシロンカプロラクタム、ポリ乳酸、ポリ乳酸とグリコール酸の共重合体の1種あるいは2種以上のポリマー混合物を、それらを溶解しうる水に相溶しない溶媒に溶かす工程。
(2)前工程で得られた溶液をホモミキサーあるいはホモジナイザーを用いて水中に乳化・分散させる工程。
(3)乳化・分散させた溶液中の溶媒を加温・減圧により蒸散させて農薬活性成分およびポリマーを結晶化させる工程。
(4)デカンテーションおよび/または遠心分離により、固形化した複合マイクロカプセル製剤を得る工程。
さらに、本発明方法は、農薬活性成分が、ピリミジニルオキシ系殺虫剤、特にフルアクリピリムに好適に適用でき、皮膜形成ポリマーとして、ポリイプシロンカプロラクタム、ポリ乳酸、ポリ乳酸とグリコール酸の共重合体等の生分解性ポリマーを用い、水に相溶しない溶媒として酢酸エチルを用いる製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に用いることのできる農薬活性成分としては,非極性溶媒への溶解度が高い固体農薬あるいは常温で液体の農薬で、水に難溶性,好ましくは水に対する溶解度10000ppm以下のものであれば特に制限はなく、2種類以上を併用しても良い.例えば、トリフルミゾール(triflumizole)等のアゾール系殺菌剤、フルアクリピリム(fluacrypyrim)等のピリミジニルオキシ系殺虫剤、セトキシジム(sethoxydim)等のシクロヘキサンジオン系除草剤等があり、これらの1種あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0006】
本発明に用いる水に相溶しない溶媒とは、ヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、イソオクタン、オクタン、ノナン、酢酸エチル、トルエン等があり、これらの1種あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0007】
本発明に用いるポリマーとは、農薬活性成分を包み込む物質であり、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリイプシロンカプロラクタム、ポリ乳酸、ポリ乳酸とグリコール酸の共重合体であれば分子量、構造等の制限は特に無く、これらの1種あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0008】
本発明で用いることのできる吸油能の高い無機物あるいは有機物とは、液状の農薬活性成分を含浸できれば特に制限は無く、無機物としては酸化珪素、ベントナイト、活性炭、シリカゲル等が、有機物としてはデンプン、セルロース等があり、これらの1種あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0009】
本発明に用いることのできる溶媒の乳化・分散剤とは、農薬活性成分及びポリマーが溶解した溶媒を乳化・分散できれば特に制限は無く、水に相溶しない溶媒あるいは水に添加することができる。例えば、ポリオキシエチレンが付加したトリあるいはジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンが付加したアルコールエーテル,ポリオキシエチレンが付加したソルビタンオレエート等のツイーン系界面活性剤、ソルビタンオレエート等のスパン系界面活性剤、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物、フェノールスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物、イソブチレンー無水マレイン酸の共重合体やポリカルボン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム及びアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等、ポリグリセノール縮合リシノレイン酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリン、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、デキストリン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の有機物及びリン酸カルシウム等の無機物が挙げられ、1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0010】
また,本発明では、マイクロカプセル製剤製造時の泡立ちを少なくするために、シリコン系の界面活性剤、高級脂肪酸のナトリウム塩やカルシウム塩あるいは混合物、アセチレン系の界面活性剤等を添加することもできる.
【0011】
本発明のマイクロカプセル製剤製造に於いて使用される各成分の量は、農薬活性成分の種類によって異なるが、通常、最終調製量に対して農薬活性成分は0.01〜60重量%、好ましくは0.01〜40重量%、農薬活性成分を包み込むためのポリマーは0.005〜80重量%、好ましくは0.005〜50重量%、農薬活性成分及びポリマーを溶かす溶媒は0.005〜80重量%、好ましくは0.01〜50重量%、吸油能の有する無機物あるいは有機物は0〜60重量%、好ましくは0〜40重量%、乳化・分散用界面活性剤は0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、消泡剤は0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%である。
【0012】
本発明の実施にあたっては、(1)農薬活性成分1種あるいは2種以上とスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ乳酸とグリコール酸の共重合体の1種あるいは2種以上のポリマー混合物を水に相溶しない溶媒中に溶解させ、必要に応じて吸油能を有する無機物あるいは有機物に含浸させる(第1工程)、(2)農薬活性成分とポリマーが溶解した溶媒、あるいはその含浸体をホモミキサーあるいはホモジナイザーで水中に細かな粒として乳化・分散させる(第2工程)、溶液中に乳化・分散させた乳化粒子中の溶媒を加温・減圧により蒸散させ、農薬活性成分を取り込んだポリマーを微細に結晶化させる(第3工程)ことにより懸濁剤を製造する。次いで、(4)懸濁剤から水をデカンテーションあるいは遠心分離等により取り除く(第4工程)ことにより、マイクロカプセル製剤を製造する。
【0013】
【実施例】
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
【0014】
実施例1
フルアクリピリム3g、ポリイプシロンカプロラクタム10g、ポリグリセリル縮合リシノレイン酸エステル1gを酢酸エチル200gに溶かし有機相を製造する。次に、ポリビニルアルコール4g、モノラウリン酸デカグリセリン1gを水500gに溶かし水相を製造する。水相に有機相を加えホモジナイザーで5分間乳化し(液温40℃、ホモジナイザー回転速度500rpm)、ホモジナイザー回転数を5000rpmにして40℃、700mmHgで5時間減圧乾燥する事により酢酸エチルを完全に蒸発させフルアクリピリムをポリイプシロンカプロラクタムでカプセル化する。この懸濁剤からデカンテーションで固形成分のみを取り出しフルアクリピリム含量約21%のマイクロカプセル化製剤を製造した。このマイクロカプセル製剤の組成は、フルアクリピリム3g、ポリイプシロンカプロラクタム10g、ポリグリセリル縮合リシノレイン酸エステル1gであり、フルアクリピリム含量は約21%になる。
【0015】
実施例2
フルアクリピリム5g、ポリ乳酸20g、POEトリスチリルフェニルエーテル3g、ジクロロエタン200gに溶かし有機相を製造する。次に、ポリビニルアルコール4g、モノラウリン酸デカグリセリン1gを水500gに溶かし水相を製造する。水相に有機相を加えホモジナイザーで5分間乳化し(液温40℃、ホモジナイザー回転速度500rpm)、ホモジナイザー回転数を5000rpmにして40℃、700mmHgで3時間減圧乾燥する事によりジクロロエタンを完全に蒸発させフルアクリピリムをポリ乳酸でカプセル化する。この懸濁剤からデカンテーションで固形成分のみを取り出しフルアクリピリム含量約18%のマイクロカプセル製剤を製造した。
このマイクロカプセル製剤の組成は、フルアクリピリム5g、ポリ乳酸20g、POEトリスチリルフェニルエーテル3gであり、フルアクリピリム含量は約18%になる。
【0016】
比較例1
フルアクリピリム5g、ポリ乳酸20g、POEトリスチリルフェニルエーテル3g、ジクロロエタン200gに溶かし有機相を製造する。次に、ポリビニルアルコール4g、モノラウリン酸デカグリセリン1gを水500gに溶かし水相を製造する。水相に有機相を加えホモジナイザーで5分間乳化し(液温40℃、ホモジナイザー回転速度500rpm)、得られた懸濁液をスプレードライヤー装置(大河原化工機株式会社製L―8型)を用いて乾燥温度100℃で噴霧乾燥し、フルアクリピリムがポリイプシロンカプロラクタムでカプセル化した固形製剤を製造した。
このマイクロカプセル製剤の組成は、フルアクリピリム5g、ポリ乳酸20g、POEトリスチリルフェニルエーテル3gであり、フルアクリピリム含量は約18%になる。
【0017】
試験例1 マイクロカプセル化製剤収率の測定
マイクロカプセル製剤製造において100%回収された場合の仕込み量(A)と実際の製造に置いて回収された量(B)より収率を算出した。
収率(%)=B/A×100
【0018】
試験例2 マイクロカプセル中の農薬活性成分含量測定
製造したマイクロカプセル化固形製剤10gをメタノール100mlに浸漬し、フルアクリピリムをマイクロカプセル中から超音波で30分間抽出する。抽出されたフルアクリピリムをHPLCで分析し、マイクロカプセル中のフルアクリピリム含量を算出した。
【0019】
試験例3 マイクロカプセル化率の測定
製造したマイクロカプセル化固形製剤10gをヘキサン100ml中に浸漬し約30秒間スパチュラで緩く攪拌する。攪拌後5分間静置しマイクロカプセル剤が沈降したのを確認した後上澄みをHPLCで分析し、ヘキサン中に溶け込んだ原体量を測定し、マイクロカプセル化率を算出する。
マイクロカプセル化率(%)=
(マイクロカプセル製剤中の原体量−ヘキサン中に溶け込んだ原体量)/マイクロカプセル製剤中の原体量 ×100
【0020】
試験例4 製剤希釈物性の測定
リグニンスルホン酸Na10g、アルキルナフタレンスルホン酸Na塩のホルムアルデヒド縮合物5g、アルキルナフタレンスルホン酸Na2gとクレー73gの混合物とジェットミル粉砕し紛体径7ミクロン程度の水和剤ベースを製造する。実施例及び比較例で製造したマイクロカプセル化固形製剤10gと水和剤ベース90gを乳鉢で混合し水和剤を製造する。この水和剤を水道水で1000倍希釈し、希釈物性(測定項目;自己分散性、初期分散性、懸濁安定性、起泡性)について測定した。
〈評価方法〉
・自己分散性;200mlの水道水(250mlメスシリンダー)に水和剤を0.25g投下した時の薬剤の分散状態。 雲状に分散 ◎>○>△>× 全く分散しない
・初期分散性;薬剤投下30秒後にメスシリンダーを倒立させ、完全に薬剤が分散するのに必要な倒立回数。
・懸濁安定性;メスシリンダー30回倒立後の径時的な沈降量(ml)。
・起泡性;メスシリンダー30回倒立1分後の泡高(ml)。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】
本発明により、マイクロカプセル中の農薬活性成分濃度が高く、希釈物性の良い農薬のマイクロカプセル化製剤を効率良く製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、農薬活性成分、特にピリミジニルオキシ系殺虫剤のマイクロカプセル製剤、ならびにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医薬、農薬等のマイクロカプセル化技術については既に多くの方法が知られている。(例えば非特許文献1参照)
また、本発明の方法に類似のマイクロカプセル製剤の製造方法も知られている。(特許文献1、特許文献2 参照)
しかし、ピリミジニルオキシ系殺虫剤の製造効率がよく、マイクロカプセル製剤中の農薬活性成分濃度の高い、簡便なマイクロカプセル製剤の製造方法は知られていなかった。
【非特許文献1】「造粒の基礎 造粒の基礎と工学」、「造粒ハンドブック」(1991年)、日本粉体工業技術協会編 (株)オーム社発行 60~64ページ
【特許文献1】特開平6−65064号公報参照
【特許文献2】特開2002−301357号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、農薬活性成分のマイクロカプセルへの取り込み量が多く、簡便に製造できるマイクロカプセル製剤およびその製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の工程からなることを特徴とするマイクロカプセルの製造方法および該方法により得られるマイクロカプセル製剤である。
(1)1種あるいは2種以上の農薬活性成分とスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリイプシロンカプロラクタム、ポリ乳酸、ポリ乳酸とグリコール酸の共重合体の1種あるいは2種以上のポリマー混合物を、それらを溶解しうる水に相溶しない溶媒に溶かす工程。
(2)前工程で得られた溶液をホモミキサーあるいはホモジナイザーを用いて水中に乳化・分散させる工程。
(3)乳化・分散させた溶液中の溶媒を加温・減圧により蒸散させて農薬活性成分およびポリマーを結晶化させる工程。
(4)デカンテーションおよび/または遠心分離により、固形化した複合マイクロカプセル製剤を得る工程。
さらに、本発明方法は、農薬活性成分が、ピリミジニルオキシ系殺虫剤、特にフルアクリピリムに好適に適用でき、皮膜形成ポリマーとして、ポリイプシロンカプロラクタム、ポリ乳酸、ポリ乳酸とグリコール酸の共重合体等の生分解性ポリマーを用い、水に相溶しない溶媒として酢酸エチルを用いる製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に用いることのできる農薬活性成分としては,非極性溶媒への溶解度が高い固体農薬あるいは常温で液体の農薬で、水に難溶性,好ましくは水に対する溶解度10000ppm以下のものであれば特に制限はなく、2種類以上を併用しても良い.例えば、トリフルミゾール(triflumizole)等のアゾール系殺菌剤、フルアクリピリム(fluacrypyrim)等のピリミジニルオキシ系殺虫剤、セトキシジム(sethoxydim)等のシクロヘキサンジオン系除草剤等があり、これらの1種あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0006】
本発明に用いる水に相溶しない溶媒とは、ヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、イソオクタン、オクタン、ノナン、酢酸エチル、トルエン等があり、これらの1種あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0007】
本発明に用いるポリマーとは、農薬活性成分を包み込む物質であり、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリイプシロンカプロラクタム、ポリ乳酸、ポリ乳酸とグリコール酸の共重合体であれば分子量、構造等の制限は特に無く、これらの1種あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0008】
本発明で用いることのできる吸油能の高い無機物あるいは有機物とは、液状の農薬活性成分を含浸できれば特に制限は無く、無機物としては酸化珪素、ベントナイト、活性炭、シリカゲル等が、有機物としてはデンプン、セルロース等があり、これらの1種あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0009】
本発明に用いることのできる溶媒の乳化・分散剤とは、農薬活性成分及びポリマーが溶解した溶媒を乳化・分散できれば特に制限は無く、水に相溶しない溶媒あるいは水に添加することができる。例えば、ポリオキシエチレンが付加したトリあるいはジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンが付加したアルコールエーテル,ポリオキシエチレンが付加したソルビタンオレエート等のツイーン系界面活性剤、ソルビタンオレエート等のスパン系界面活性剤、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物、フェノールスルホン酸ナトリウムのホルムアルデヒド縮合物、イソブチレンー無水マレイン酸の共重合体やポリカルボン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム及びアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等、ポリグリセノール縮合リシノレイン酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリン、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、デキストリン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の有機物及びリン酸カルシウム等の無機物が挙げられ、1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0010】
また,本発明では、マイクロカプセル製剤製造時の泡立ちを少なくするために、シリコン系の界面活性剤、高級脂肪酸のナトリウム塩やカルシウム塩あるいは混合物、アセチレン系の界面活性剤等を添加することもできる.
【0011】
本発明のマイクロカプセル製剤製造に於いて使用される各成分の量は、農薬活性成分の種類によって異なるが、通常、最終調製量に対して農薬活性成分は0.01〜60重量%、好ましくは0.01〜40重量%、農薬活性成分を包み込むためのポリマーは0.005〜80重量%、好ましくは0.005〜50重量%、農薬活性成分及びポリマーを溶かす溶媒は0.005〜80重量%、好ましくは0.01〜50重量%、吸油能の有する無機物あるいは有機物は0〜60重量%、好ましくは0〜40重量%、乳化・分散用界面活性剤は0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、消泡剤は0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%である。
【0012】
本発明の実施にあたっては、(1)農薬活性成分1種あるいは2種以上とスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ乳酸とグリコール酸の共重合体の1種あるいは2種以上のポリマー混合物を水に相溶しない溶媒中に溶解させ、必要に応じて吸油能を有する無機物あるいは有機物に含浸させる(第1工程)、(2)農薬活性成分とポリマーが溶解した溶媒、あるいはその含浸体をホモミキサーあるいはホモジナイザーで水中に細かな粒として乳化・分散させる(第2工程)、溶液中に乳化・分散させた乳化粒子中の溶媒を加温・減圧により蒸散させ、農薬活性成分を取り込んだポリマーを微細に結晶化させる(第3工程)ことにより懸濁剤を製造する。次いで、(4)懸濁剤から水をデカンテーションあるいは遠心分離等により取り除く(第4工程)ことにより、マイクロカプセル製剤を製造する。
【0013】
【実施例】
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
【0014】
実施例1
フルアクリピリム3g、ポリイプシロンカプロラクタム10g、ポリグリセリル縮合リシノレイン酸エステル1gを酢酸エチル200gに溶かし有機相を製造する。次に、ポリビニルアルコール4g、モノラウリン酸デカグリセリン1gを水500gに溶かし水相を製造する。水相に有機相を加えホモジナイザーで5分間乳化し(液温40℃、ホモジナイザー回転速度500rpm)、ホモジナイザー回転数を5000rpmにして40℃、700mmHgで5時間減圧乾燥する事により酢酸エチルを完全に蒸発させフルアクリピリムをポリイプシロンカプロラクタムでカプセル化する。この懸濁剤からデカンテーションで固形成分のみを取り出しフルアクリピリム含量約21%のマイクロカプセル化製剤を製造した。このマイクロカプセル製剤の組成は、フルアクリピリム3g、ポリイプシロンカプロラクタム10g、ポリグリセリル縮合リシノレイン酸エステル1gであり、フルアクリピリム含量は約21%になる。
【0015】
実施例2
フルアクリピリム5g、ポリ乳酸20g、POEトリスチリルフェニルエーテル3g、ジクロロエタン200gに溶かし有機相を製造する。次に、ポリビニルアルコール4g、モノラウリン酸デカグリセリン1gを水500gに溶かし水相を製造する。水相に有機相を加えホモジナイザーで5分間乳化し(液温40℃、ホモジナイザー回転速度500rpm)、ホモジナイザー回転数を5000rpmにして40℃、700mmHgで3時間減圧乾燥する事によりジクロロエタンを完全に蒸発させフルアクリピリムをポリ乳酸でカプセル化する。この懸濁剤からデカンテーションで固形成分のみを取り出しフルアクリピリム含量約18%のマイクロカプセル製剤を製造した。
このマイクロカプセル製剤の組成は、フルアクリピリム5g、ポリ乳酸20g、POEトリスチリルフェニルエーテル3gであり、フルアクリピリム含量は約18%になる。
【0016】
比較例1
フルアクリピリム5g、ポリ乳酸20g、POEトリスチリルフェニルエーテル3g、ジクロロエタン200gに溶かし有機相を製造する。次に、ポリビニルアルコール4g、モノラウリン酸デカグリセリン1gを水500gに溶かし水相を製造する。水相に有機相を加えホモジナイザーで5分間乳化し(液温40℃、ホモジナイザー回転速度500rpm)、得られた懸濁液をスプレードライヤー装置(大河原化工機株式会社製L―8型)を用いて乾燥温度100℃で噴霧乾燥し、フルアクリピリムがポリイプシロンカプロラクタムでカプセル化した固形製剤を製造した。
このマイクロカプセル製剤の組成は、フルアクリピリム5g、ポリ乳酸20g、POEトリスチリルフェニルエーテル3gであり、フルアクリピリム含量は約18%になる。
【0017】
試験例1 マイクロカプセル化製剤収率の測定
マイクロカプセル製剤製造において100%回収された場合の仕込み量(A)と実際の製造に置いて回収された量(B)より収率を算出した。
収率(%)=B/A×100
【0018】
試験例2 マイクロカプセル中の農薬活性成分含量測定
製造したマイクロカプセル化固形製剤10gをメタノール100mlに浸漬し、フルアクリピリムをマイクロカプセル中から超音波で30分間抽出する。抽出されたフルアクリピリムをHPLCで分析し、マイクロカプセル中のフルアクリピリム含量を算出した。
【0019】
試験例3 マイクロカプセル化率の測定
製造したマイクロカプセル化固形製剤10gをヘキサン100ml中に浸漬し約30秒間スパチュラで緩く攪拌する。攪拌後5分間静置しマイクロカプセル剤が沈降したのを確認した後上澄みをHPLCで分析し、ヘキサン中に溶け込んだ原体量を測定し、マイクロカプセル化率を算出する。
マイクロカプセル化率(%)=
(マイクロカプセル製剤中の原体量−ヘキサン中に溶け込んだ原体量)/マイクロカプセル製剤中の原体量 ×100
【0020】
試験例4 製剤希釈物性の測定
リグニンスルホン酸Na10g、アルキルナフタレンスルホン酸Na塩のホルムアルデヒド縮合物5g、アルキルナフタレンスルホン酸Na2gとクレー73gの混合物とジェットミル粉砕し紛体径7ミクロン程度の水和剤ベースを製造する。実施例及び比較例で製造したマイクロカプセル化固形製剤10gと水和剤ベース90gを乳鉢で混合し水和剤を製造する。この水和剤を水道水で1000倍希釈し、希釈物性(測定項目;自己分散性、初期分散性、懸濁安定性、起泡性)について測定した。
〈評価方法〉
・自己分散性;200mlの水道水(250mlメスシリンダー)に水和剤を0.25g投下した時の薬剤の分散状態。 雲状に分散 ◎>○>△>× 全く分散しない
・初期分散性;薬剤投下30秒後にメスシリンダーを倒立させ、完全に薬剤が分散するのに必要な倒立回数。
・懸濁安定性;メスシリンダー30回倒立後の径時的な沈降量(ml)。
・起泡性;メスシリンダー30回倒立1分後の泡高(ml)。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】
本発明により、マイクロカプセル中の農薬活性成分濃度が高く、希釈物性の良い農薬のマイクロカプセル化製剤を効率良く製造することができる。
Claims (6)
- 以下の工程からなることを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
(1)1種あるいは2種以上の農薬活性成分とスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリイプシロンカプロラクタム、ポリ乳酸、ポリ乳酸とグリコール酸の共重合体の1種あるいは2種以上のポリマー混合物を、それらを溶解しうる水に相溶しない溶媒に溶かす工程。
(2)前工程で得られた溶液をホモミキサーあるいはホモジナイザーを用いて水中に乳化・分散させる工程。
(3)乳化・分散させた溶液中の溶媒を加温・減圧により蒸散させて農薬活性成分およびポリマーを結晶化させる工程。
(4)デカンテーションおよび/または遠心分離により、固形化した複合マイクロカプセル製剤を得る工程。 - (2)工程において、溶媒に乳化・分散剤を添加することによって製造する請求項1記載の製造方法。
- 農薬活性成分が、ピリミジニルオキシ系殺虫剤である請求項1または請求項2記載の製造方法。
- ピリミジニルオキシ系殺虫剤がフルアクリピリムである請求項4記載の製造方法。
- 皮膜形成ポリマーとして、ポリイプシロンカプロラクタム、ポリ乳酸または、ポリ乳酸とグリコール酸の共重合体を、水に相溶しない溶媒として酢酸エチルまたはジクロロエタンを用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1乃至5記載のいずれかの方法で製造された複合マイクロカプセル製剤。
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