JP2004196055A - 自動変速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動変速装置における変速動作を確実に行い得るようにする。
【解決手段】自動変速装置は入力軸と出力軸との間に設けられた複数の変速歯車列を有し、複数の変速歯車列の中から動力伝達を行う変速歯車列がシンクロメッシュなどの切換機構により切換えられる。エンジンの回転は吸入空気量を調整する電子制御スロットルにより調整される。エンジンと入力軸との間にはエンジンの動力を入力軸に伝達する状態と遮断する状態とに切り換える入力クラッチが設けられ、入力軸と出力軸との間には入力軸から出力軸に伝達されるトルクを調整するバイパスクラッチが設けられている。切換機構による切換え操作が誤動作した場合には、入力クラッチを開放しかつ電子制御スロットルによりエンジンの動力を制御して再度変速歯車列の切換動作を行う。
【選択図】 図7
【解決手段】自動変速装置は入力軸と出力軸との間に設けられた複数の変速歯車列を有し、複数の変速歯車列の中から動力伝達を行う変速歯車列がシンクロメッシュなどの切換機構により切換えられる。エンジンの回転は吸入空気量を調整する電子制御スロットルにより調整される。エンジンと入力軸との間にはエンジンの動力を入力軸に伝達する状態と遮断する状態とに切り換える入力クラッチが設けられ、入力軸と出力軸との間には入力軸から出力軸に伝達されるトルクを調整するバイパスクラッチが設けられている。切換機構による切換え操作が誤動作した場合には、入力クラッチを開放しかつ電子制御スロットルによりエンジンの動力を制御して再度変速歯車列の切換動作を行う。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の走行状態に応じて変速操作を自動的に行う自動変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速装置は複数の歯車比を形成する歯車列と、動力伝達を行う歯車列の切換を行う切換機構とを有している。自動変速装置には歯車列の形態によって、1軸上での変速が可能な遊星歯車式と、手動変速機と同様な平行軸式とがある。遊星歯車式の自動変速装置にあっては、入力軸と出力軸との間に設けられた遊星歯車列をクラッチやブレーキからなる摩擦係合要素を作動させることによって動力伝達を行う歯車列の切換が行われる。
【0003】
一方、平行軸式の自動変速装置にあっては、たとえば、特開2000-65199号公報に開示されるように、相互に平行となって配置された入力軸と出力軸の間に設けられた複数の常時噛み合い式の変速歯車列の中から動力伝達を行う変速歯車列をシンクロメッシュつまり同期噛合機構によって切換動作している。この自動変速装置にあっては、入力軸と出力軸との間に、切換操作を行わせるときに入力軸から出力軸にトルクを伝達する油圧式多板クラッチからなるバイパスクラッチを設け、切換操作が行われる際には、スロットルによってエンジンの回転数を調整するとともに、バイパスクラッチを介して出力軸にトルクを伝達している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の自動変速装置にあっては、回転同期がとれた状態で変速歯車列の切換操作を行うようにしているが、バイパスクラッチの油圧制御およびエンジンのスロットル制御にはそれぞれ誤差、バラツキや応答不良があるために、変速動作時にバイパスクラッチを介して全てのエンジントルクが出力軸に伝達されなくなる可能性がある。その場合には、切換動作がなされても、シンクロメッシュに余分なトルクがかかってしまい、円滑な切換動作が行われなくなるという問題が発生する。円滑な切換動作が行われないと、シンクロメッシュの摩擦面が摩耗することになる。また、変速時にバイパスクラッチを作動させる場合に、変速動作に時間がかかるとバイパスクラッチが発熱することになる。
【0005】
本発明の目的は、自動変速装置における変速動作を確実に行い得るようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の自動変速装置は、エンジン動力が伝達される入力軸と、前記入力軸に複数の変速歯車列を介して連結され、駆動輪に動力を伝達する出力軸とを有する自動変速装置であって、前記エンジンの吸入空気量を調整する電子制御スロットルと、複数の前記変速歯車列の中から動力の伝達を行う歯車列を切換え操作する切換機構と、前記切換機構により前記変速歯車列を切り換える際に切換ミスを検出するミスシフト検出手段と、切換ミスが発生したときに前記電子制御スロットルにより前記エンジンの動力を低下させると共に、前記切換機構により一旦ニュートラル状態として再度同じ変速歯車列の切換え操作を繰り返す制御手段とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の自動変速装置は、エンジン動力が伝達される入力軸と、前記入力軸に複数の変速歯車列を介して連結されるとともに前記入力軸に平行に配置され、駆動輪に動力を伝達する出力軸とを有する自動変速装置であって、前記エンジンの吸入空気量を調整する電子制御スロットルと、前記エンジンと前記入力軸との間に設けられ、前記エンジンの動力を前記入力軸に伝達する状態と遮断する状態とに切り換える入力クラッチと、前記入力軸と前記出力軸との間に設けられ、前記入力軸から前記出力軸に伝達されるエンジントルクを調整するバイパスクラッチと、複数の前記変速歯車列の中から動力の伝達を行う歯車列を切換え操作する切換機構と、前記切換機構により前記変速歯車列を切り換える際の切換ミスを検出するミスシフト検出手段と、切換ミスが発生したときに前記入力クラッチを開放しかつ前記電子制御スロットルにより前記エンジンの動力を制御して前記切換機構により再度同じ変速歯車列の切換え操作を繰り返す制御手段とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の自動変速装置にあっては、動力伝達を行う変速歯車列の切換動作に誤動作が発生した場合には、エンジン動力を低下させると共に、一旦ニュートラル状態として再度切換動作を行うようにしたので、確実に変速動作を行うことができる。
【0009】
本発明の自動変速装置にあっては、変速歯車列の切換動作に誤動作が発生した場合には、入力クラッチにより動力の伝達を遮断した状態で再度切換動作を行うようにしたので、確実に変速動作を行うことができる。また、切換機構としてのシンクロメッシュにおける摩擦面を押し付ける時間を短くすることができるので、シンクロメッシュの摩耗を防止できる。
【0010】
切換動作の誤動作は、切換操作を開始してから所定時間経過しても切換が完了しないときに切換ミスと判断しても良く、あるいは切換操作を開始してから、前記入力軸と前記出力軸の回転数に基づく算出値と所定値とを比較して所定値以上の状態が所定時間経過したときに切換ミスと判断しても良い。
【0011】
さらに、本発明の自動変速装置にあっては、切換ミスを判定したときにはバイパスクラッチを開放してから再度切換操作を行うようにし、バイパスクラッチにおける発熱や劣化を防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である自動変速装置を示すスケルトン図であり、エンジン1には、エンジントルクやエンジン回転数を調整する電子制御スロットル2が設けられており、通常は図示しないアクセルペダルの踏込み量に応じた電子制御装置からの出力信号により電子制御スロットル2を開閉してエンジン制御を行う。また、電子制御スロットル2は、必要に応じてアクセルペダルの踏込み量に関係なく、検出された運転状態により予め設定されたマップなどに基づき開閉してエンジン制御を行うことが可能である。
【0013】
そして、エンジン1により発生した動力を駆動輪に伝達する自動変速装置は、エンジン1に連結される入力軸3と、これに平行となって駆動輪に連結される出力軸4とを有し、これらは車両の進行方向を向いてトランスミッションケース5内に組み込まれている。入力軸3はトルクコンバータ6を介してエンジン1のクランク軸7に連結されている。
【0014】
入力軸3には、第1速と第2速の駆動歯車11,12が一体に設けられ、第3速から第5速までの駆動歯車13〜15が回転自在に設けられている。出力軸4には、第1速と第2速の被駆動歯車21,22が回転自在に取り付けられ、第3速から第5速までの被駆動歯車23〜25が一体に設けられている。それぞれの駆動歯車11〜15は対応する被駆動歯車21〜25に常時噛み合って変速歯車列となっており、複数の変速歯車列の中から動力を伝達することになる変速歯車列を切り換えることによって変速動作が行われる。入力軸3にはさらに後退用の駆動歯車16が一体に設けられている。
【0015】
出力軸4には、第1速の被駆動歯車21と第2速の被駆動歯車22との間に第1の切換機構31が設けられている。入力軸3には第3速の駆動歯車13と第4速の駆動歯車14との間に第2の切換機構32が設けられ、第5速の駆動歯車15に隣接させて第3の切換機構33が設けられている。これらの切換機構はそれぞれ同期噛合機構つまりシンクロメッシュにより構成されている。ただし、第1の切換機構31を入力軸3に設け、第2および第3の切換機構を出力軸4に設けるようにしても良い。
【0016】
切換機構31は出力軸4に固定されたシンクロハブつまり切換ハブ31aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブつまり切換スリーブ31bとを有し、この切換スリーブ31bを第1速の被駆動歯車21に設けられた外歯21aに噛み合わせると変速比は第1速に設定され、逆に第2速の被駆動歯車22に設けられた外歯22aに噛み合わせると第2速に設定される。それぞれの外歯21a,22aは、歯車21,22に形成されたスプライン歯部と、シンクロナイザリングに形成された歯部とにより形成される。
【0017】
他の噛合機構32,33も同様の構造であり、入力軸3に固定された切換ハブ32a,33aと、それらにそれぞれ常時噛み合う切換スリーブ32b,33bとを有し、それぞれ対応する外歯13a,14a,15aのいずれかに噛み合わせることにより、変速比は第3速から第5速のいずれかに設定される。それぞれの切換スリーブ31b,32bおよび33bの軸方向の噛合移動は、図示しない油圧アクチュエータによって行われる。
【0018】
第1の切換機構31の切換スリーブ31bには後退用の被駆動歯車26が取り付けられ、入力軸3と出力軸4とに平行となったアイドラ軸(図示省略)には、後退用の駆動歯車16と被駆動歯車26とに噛み合う位置と、噛み合いを離脱する位置とに移動自在にアイドラ歯車(図示省略)が軸方向に摺動自在に装着されている。したがって、切換スリーブ31bが中立位置のもとで、アイドラ歯車を摺動させると、アイドラ歯車は後退用の駆動歯車16と被駆動歯車26とに噛み合い、入力軸3の回転は出力軸4に逆方向となって伝達される。
【0019】
出力軸4は中空軸となっており、内部には前輪出力軸34が組み込まれ、出力軸4と前輪出力軸34はセンタディファレンシャル装置35により連結されている。前輪出力軸34はフロントディファレンシャル装置36を介して前輪用のドライブシャフト(図示省略)に連結され、このドライブシャフトにより前輪が駆動される。また、センタディファレンシャル装置35は駆動歯車37と被駆動歯車38とを介して後輪出力軸39に連結されており、後輪出力軸39は図示しないリヤディファレンシャル装置を介して後輪用のドライブシャフト(図示省略)に連結され、このドライブシャフトにより後輪が駆動される。
【0020】
入力軸3には駆動側のバイパス歯車17が回転自在に取り付けられ、出力軸4には被駆動側のバイパス歯車27が一体に取り付けられ、これらの歯車17,27は所定の歯車比で常時噛み合っている。図示する場合にはこれらの歯車比は第3速相当に設定されている。入力軸3には油圧式多板クラッチからなるバイパスクラッチ18が設けられており、バイパスクラッチ18は入力軸3に固定されたクラッチハブ20と、バイパス歯車17に固定されたクラッチドラム19とを有している。クラッチドラム19とクラッチハブ20とにそれぞれ交互に複数の駆動側および従動側のクラッチプレートが配置されており、油圧によりクラッチプレートを押圧すると、入力軸3のトルクはバイパスクラッチ18を介して出力軸4に伝達される。
【0021】
トルクコンバータ6のタービン軸8と入力軸3との間には、発進クラッチつまり入力クラッチ41が設けられており、この入力クラッチ41はタービン軸8に固定されるクラッチドラム42と、入力軸3に取り付けられるクラッチハブ43とを有している。クラッチドラム42とクラッチハブ43との間に装着されるクラッチプレートを係合させることによりタービン軸8と入力軸3とが締結状態となって、エンジン動力が入力軸3に伝達される。一方、係合を離脱させると、タービン軸8と入力軸3は開放された状態となり、エンジン動力の入力軸3に対する動力伝達が遮断される。
【0022】
トランスミッションケース5内にはオイルポンプ44が装着され、オイルポンプ44のロータはトルクコンバータ6のポンプ側アウターシェルに連結され、クランク軸7により回転駆動される。オイルポンプ44から吐出する作動油は、トルクコンバータ6、バイパスクラッチ18、入力クラッチ41および前述した油圧アクチュエータなどの油圧作動機器に供給されるとともに各潤滑部に供給される。ただし、オイルポンプ44をエンジンにより駆動することなく、電動モータにより駆動するようにしても良い。
【0023】
この自動変速装置は、エンジン回転数、アクセル開度、車速、入力軸の回転数および変速段位置などの信号によって車両の走行状態を検出して予め設定されたマップに基づいて変速動作が自動的に行われる。
【0024】
図2は図1に示した自動変速装置の作動を制御する制御回路を示すブロック図である。図2に示すように、この自動変速装置はバイパスクラッチ18を作動するためのバイパスクラッチアクチュエータ51と、入力クラッチ41を作動するための入力クラッチアクチュエータ52とを有している。さらに、自動変速装置は複数の変速歯車列の中から動力伝達を行う変速歯車列に切り換えるために、セレクトアクチュエータ53とシフトアクチュエータ54とを有している。これらの2つのアクチュエータ53,54の直線往復動を、図示しないセレクトレバーおよびシフトレバーを有する方向変更機構を介して前述したそれぞれの切換機構31〜33および後退用の切換機構の切換移動に変換することにより、第1速〜第5速の前進段と後退段の切換が自動的に行われる。
【0025】
前述したそれぞれのアクチュエータは油圧アクチュエータであり、それぞれのアクチュエータにはオイルポンプ44から吐出する作動油が供給される。バイパスクラッチアクチュエータ51には電磁圧力制御弁VA1を介し、入力クラッチアクチュエータ52には電磁圧力制御弁VA2を介してそれぞれ作動油が供給される。また、セレクトアクチュエータ53には電磁切換弁VA3,VA4を介して作動油が供給され、シフトアクチュエータ54には電磁圧力制御弁VA5,VA6を介して作動油が供給される。セレクトアクチュエータ53は図2において矢印Aで示す方向にセレクトレバーを駆動し、シフトアクチュエータ54は図2において矢印Bで示す方向にセレクトレバーを駆動する。
【0026】
シフトアクチュエータ54を電磁圧力制御弁VA5,VA6により制御するのに対し、セレクトアクチュエータ53が電磁切換弁VA3,VA4により制御可能なのは、A方向の切換操作(セレクト操作)は、デッドストップに突き当てるまで大きな操作力で単純に押せば足りるからである。これに対して、B方向の3位置切換操作(シフト操作)は、シンクロによる同期が必要であり、過大な操作力はシンクロリングの摩耗を招来させるため操作力自体の制御が求められるため、シフトアクチュエータ54を電磁圧力制御弁VA5,VA6により制御する。また、B方向のシフト操作はA方向のセレクト操作力に比して大きいため、デッドストップ当接時に大きな音が出易く操作音対策も必要となる。このため、シフト操作ではシフトアクチュエータ54により操作期間を3段階に分け、迅速なシフト動作とシンクロリングの保護、そして操作音の低減という要求を満たしている。すなわち、初期は強く、シンクロ同期時は中程度、終期は弱く操作力を調整している。したがって、シフトアクチュエータ54については、単に油圧のオンオフを行うのみの制御弁ではなく、供給油圧の調整が可能な電磁圧力制御弁を使用して作動させる。
【0027】
それぞれの電磁弁VA1〜VA6は制御ユニットECU55からの信号によって制御され、オイルポンプ44からの吐出圧(ライン圧)は圧力センサ56によりモニタされるようになっている。オイルポンプ44から供給される作動油は、その一部がアキュムレータ57に貯留される。アキュムレータ57の密封容器内には窒素等の気体が充満されており、そこに作動油を押し込むことにより気体が圧縮され、作動油の圧力エネルギが気体の圧力エネルギに変換されて蓄えられる。つまり、アキュムレータ57にはライン圧が蓄えられてライン圧の安定化が図られている。また、アキュムレータ57に蓄えた圧力により、ポンプの故障やオイル漏れなどの油圧系に障害が生じた場合でも、変速段をたとえば第3速に強制的にシフトチェンジするなどの最低限の非常動作が確保できるようになっている。
【0028】
制御ユニットECU55には、入力軸3の回転数を検出する入力軸回転センサ61、出力軸4の回転数を検出する出力軸回転センサ62、セレクトレバーの位置を検出するセレクトセンサ63、およびシフトレバーの位置を検出するシフトセンサ64からの検出信号が入力される。この制御ユニットECU55は電子制御スロットル2に対して制御信号を出力する。なお、図示する場合には、セレクトアクチュエータ53とシフトアクチュエータ54の2つの油圧アクチュエータによって前進5段と後退段の切換動作を行うようにしているが、それぞれの切換機構を別々の油圧アクチュエータによって切換動作させるようにしても良い。
【0029】
図3は第1速から第2速へのアップシフト時におけるエンジン回転数Neと出力軸4のトルクToの変化を示すタイムチャートである。図3において、シフト位置は切換スリーブ31bの噛み合い位置を示す。切換スリーブ31bは、第1速の被駆動歯車21に設けられた外歯21aに噛み合う第1速の位置から、中立位置を経て第2速の被駆動歯車22に設けられた外歯22aに噛み合う第2速の位置に移動する。
【0030】
この変速動作が行われる際には、駆動歯車11と被駆動歯車21からなる第1速の変速歯車列を介して動力伝達が行われている状態から、第1速の変速歯車列とバイパス歯車17,27の歯車列との2系統を介して動力の伝達を行う1相の状態に変化する。ここで、第1速の被駆動歯車21とバイパス歯車27は同一出力軸に配置されているが、各々は相違した歯車比となっており、第1速の被駆動歯車21の回転に対してバイパス歯車27の回転は変速比の関係から駆動歯車11よりも早く回転するので、バイパスクラッチ18を係合すると係合状態に応じたトルクがバイパス歯車17,27により伝達される。
【0031】
次いで、切換スリーブ31bは切換ハブ31aのみに噛み合った中立位置つまり2相状態となり、この状態のもとではバイパス歯車17,27の歯車列を介して入力軸3から出力軸4に対して動力伝達されるとともに、電子制御スロットル2を閉動作するように制御してエンジン動力つまり入力軸3の回転数を低下させて同期させる。
【0032】
エンジンの回転数が第2速相当の回転数にまで低下した時点で切換スリーブ31bを、切換ハブ31aのみに噛み合った状態から切換ハブ31aと外歯22aとに噛み合う状態に移動させると、第2速の変速歯車列とバイパス歯車17,27の歯車列との2系統を介して動力の伝達が行われる3相状態となる。この3相状態のもとでバイパスクラッチ18に供給される油圧をドレンしてバイパスクラッチ18を開放すると、第2速へのアップシフトが完了する。これにより、入力軸3から出力軸4に対しては第2速の変速歯車列を介して動力伝達がなされることになる。
【0033】
このように、アップシフト時にはバイパスクラッチ制御とエンジン制御とをともに行いエンジン回転数が第2速相当の回転数まで低下した時点で切換スリーブ31bが外歯22aと噛み合うことになるので、ギヤ鳴きが発生することなく、円滑に変速操作が行われる。しかも、切換スリーブ31bが中立位置になるときには、バイパスクラッチ18を介して動力伝達を行うようにしたので、特に駆動力変化の大きな第1速から第2速、第2速から第3速などのアップシフト時に問題となる駆動力の落ち込みつまりトルク切れの発生を低減することができる。
【0034】
図3は第1速から第2速へのアップシフト時のエンジン回転数とトルクの変化を示すが、第2速から第3速などの他の変速段へのアップシフト動作も同様に行うことができる。図示する場合には、バイパスクラッチ18のバイパス歯車17,27の歯車比を第3速相当に設定されているが、第4速相当あるいはそれよりも高速段側に設定するようにしても良い。また、第4速から第5速へのアップシフトなどの高速段におけるアップシフト動作を行う際には、駆動力の落ち込みの影響が少ないので、バイパスクラッチ18を開放した状態で変速動作を行うようにしても良い。
【0035】
一方、ダウンシフト時には出力トルクの落ち込みは走行性能上あまり問題とならないので、入力クラッチ41により入力軸3への動力伝達を遮断させるようにしても良い。また、ダウンシフト時にもアップシフト時と同様にバイパスクラッチ18を係合状態とし、これとともにエンジン制御を行って変速歯車列とバイパス歯車17,27の歯車列との2系統での動力伝達と、バイパスクラッチ18のみの動力伝達とに切換制御しながらダウンシフト時の同期を円滑かつ迅速に行うようにしても良い。
【0036】
図4〜図7は、図3に示した第1速から第2速へのアップシフト動作が行われる際における変速動作の制御手順を示すフローチャートであり、図4は切換スリーブ31bを外歯21aから開放させるギヤ開放制御を示すフローチャートである。図4に示すように、車速とアクセル開度などの走行状態のマップデータに基づいて第1速から第2速への変速開始がステップS1において判定されたときには、第2速の変速比よりも高速側の歯車比に設定されたバイパスクラッチ18を介してエンジントルクを出力軸4に伝達させるために、ステップS2,S3においてバイパストルクTbとバイパスクラッチアクチュエータ51に供給するバイパスクラッチ油圧Pbを次式により演算して、ステップS4においてバイパス油圧指令を出力する。これにより、バイパスクラッチアクチュエータ51に油圧が供給される。
【0037】
しかし、実際のバイパス油圧には応答遅れがあるため、すぐには全てのエンジントルクが入力軸3から出力軸4にバイパスされない。そこで、ステップS5においてタイマーTM1を起動させて、バイパス油圧が立ち上がって全てのエンジントルクがバイパスされるまでの時間T1(設定値)が経過するまで、バイパス油圧を保持する。
【0038】
Tb=Te
ただし、Teはエンジントルクであり、Tb≧0としてリミッタ処理を行う。
【0039】
Pb=k1×Tb+k2
ただし、k1、k2は油圧変換係数である。
【0040】
ステップS6で設定時間T1が経過したことが判定されたならば、全てのエンジントルクがバイパスされて、切換スリーブ31bを外歯21aから開放することが可能となるので、ステップS7においてシフトアクチュエータ54に対してで第1速歯車の開放指令を出力する。シフトアクチュエータ54にはシフトセンサ64が装着されており、シフトセンサ64からの信号に基づいて、ステップS8では切換スリーブ31bが締結状態であるか開放状態となったかを判定する。すなわち、spn1≦シフトセンサ≦spn2となったときに、開放完了と判定し、ギヤ開放制御を終了する。ただし、spn1、spn2は設定値である。
【0041】
図5は回転同期制御を示すフローチャートであり、ステップS11でギヤ開放の終了が判断されたならば、入力軸3の回転を第2速相当の回転数に降下させるため、バイパストルクをエンジントルクよりも大きくさせるように、ステップS12〜S16において、目標入力軸回転変化dωi/dt、バイパストルクTb、バイパスクラッチ油圧Pbを次式により求め、ステップS17においてバイパス油圧指令を出力する。
【0042】
dωi/dt=No×(Gnxt−Gnw)/Tsft
ただし、Gnxtは変速後の歯車比、Gnwは変速前の歯車比、Noは出力軸回転数、Tsftは目標同期時間(設定値)である。
【0043】
Tb=Te −Ie× dωi/dt
ただし、Te はエンジントルク、Ieはエンジンから入力軸までの慣性力(イナーシャ)であり、Tb≧0としてリミッタ処理を行う。
【0044】
Pb=k1×Tb+k2
ただし、k1、k2は油圧変換係数である。
【0045】
回転同期制御時には、慣性力による変速ショックを軽減するために、スロットルを閉じてエンジントルクを低下させる。この時の目標エンジントルクTet、目標スロットル開度Thtは、ステップS18でアクセル要求トルクTaを算出した後に、ステップS19,S20において次式により演算される。
【0046】
Tet=Gnxt/Gb×Ta+Ie× dωi/dt
ただし、要求トルクTaはアクセル開度accとエンジン回転数Neのマップf1から求められる。図8(A)はこの要求トルクTaを求めるマップデータの一例であり、制御ユニット内のメモリにこのデータが格納されており、アクセル開度とエンジン回転数に基づいて要求トルクが求められる。
【0047】
目標スロットル開度Thtは、目標エンジントルクTetとエンジン回転数Neのマップf2から求められ、図8(B)はこの目標スロットル開度Thtを求めるマップデータの一例であり、制御ユニット内のメモリーに格納されている。求められた目標スロットル開度Thtは、ステップS21で電子制御スロットル2に出力される。これにより、バイパス油圧が立ち上がってバイパストルクがエンジントルクよりも大きくなり、入力軸3の回転が降下して、入力軸3の回転数Niと出力軸の回転数Noが条件 |Ni−Gnxt×No| ≦N1(設定値)を満たしたら、ステップS22で回転同期完了と判定し、回転同期制御を終了する。
【0048】
回転同期終了後には、切換スリーブ31bを外歯22aに噛み合わせて第2速に変速歯車列を切り換えるために、図6に示すギヤ挿入制御が実行される。ステップS31において回転同期完了が判定されたならば、バイパストルクTbと、バイパスクラッチ油圧Pbが算出される(ステップS32,S33)。ステップS34にバイパス油圧指令が出力され、ステップS35においてギヤ挿入指令が出力されて、切換スリーブ31bが外歯22aに向けて挿入移動を開始する。そして、閉じていたスロットルつまりダウンしていたエンジントルクは、アクセルに追従するように、次式により目標スロットル開度Thtを求めて制御し、スロットル開度の指令を出力する(ステップS36,S37)。
【0049】
Tht=acc ただし、accはアクセル開度である。
【0050】
ステップS38ではタイマTM2のカウントを開始し、カウントアップ前にシフトセンサからの信号によりギヤ挿入が完了したことがステップS39で判定されたならば、すなわち、所定の時間T2が経過する前に、シフトセンサ≧Sp2の状態となったら、ステップS40で変速を終了する。
【0051】
しかし、切換スリーブ31bを第2速側に噛み合わせる際に、バイパスクラッチ18の油圧制御およびエンジンのスロットル制御ともに誤差、バラツキや応答不良があると、バイパスクラッチによってエンジントルクが全てバイパスされない可能性がある。その場合には、切換スリーブ31bを挿入移動させても、切換機構に余分なトルクがかかってしまい、第2速の変速歯車に切換えられなくなる。そこで、第2速への切換挿入を開始してから、所定の時間T2が経過しても、第2速の歯車に切換スリーブ31bが噛み合わないとき、すなわち、第2速の歯車に挿入を開始してからシフトセンサ<Sp2の状態がT2時間継続したときには、切換ミスと判定し(ステップS41)、ステップS42が実行される。
【0052】
ただし、切換ミスの判定方式としては、上述以外に、第2速歯車への挿入を開始してから、|Ni−Gnxt×No| ≧N2(設定値)の状態が所定の時間T3経過した時としても良い。すなわち、出力軸4の回転数Noに変速後の歯車比Gnxtを積算した算出値と入力軸3の回転数Niとの差が所定値N2よりも大きい状態が所定時間継続した場合には、一旦同期がとれたと判定して切換スリーブを挿入する動作が行われたが、再度回転同期がとれなくなったときをギヤの挿入ミスと判断しても良い。
【0053】
図7はステップS41のミスシフト制御のサブルーチンを示すフローチャートであり、ステップS51においてミスシフトと判定されたならば、バイパスクラッチアクチュエータ51の油圧PbをPb=0に設定する(ステップS52,S53)。これにより、ギヤの開放つまり切換スリーブ31bが外歯22aから離れるように駆動され、ステップS55でspn1≦シフトセンサ≦spn2が判定されてギヤの開放が判定されると、ステップS57でギヤ開放フラグをセットして、ステップS58で入力クラッチ41の開放を出力する。ギヤ開放指令は、ステップS56を経て、ステップS55でYESと判断されるまで継続される。
【0054】
次いで、エンジンが吹き上がらないようにするために、エンジントルクToがTo=0となる目標スロットル開度Thtを算出してスロットルを閉じる(ステップS59,S60)。エンジントルクがTo=0となる目標スロットル開度Thtは、エンジン回転数Neの関数Tht=f3(Ne)で演算される。この関数により表される目標スロットル開度とエンジン回転数との関係は、図9に示すような特性線図となる。
【0055】
切換スリーブ31bが外歯22aから離れると、ステップS57でセットされたフラグがステップS54で判定されて、ステップS61が実行される。このステップでは、切換スリーブ31bを再度外歯22aに挿入移動するために、シフトアクチュエータ54に対して第2速のギヤ挿入指令を出力する。ステップS62においてギヤ挿入が判定されたならば、ステップS63で入力クラッチ41を締結し、それまで閉じていたスロットルを目標スロットル開度がTht=accとなるように制御してアクセルに追従させる(ステップS64〜66)。このようにして、変速操作が終了する。
【0056】
以上のように、第1速の変速歯車列により動力伝達がなされた状態から第2速の変速歯車列に切換動作する際に、バイパスクラッチ18を締結してエンジントルクを入力軸3から出力軸4にバイパスさせて第1速の歯車列におけるトルク伝達を無くした状態で切換スリーブ31bを中立位置にする。この際に、エンジントルク相当の伝達トルクをバイパスさせるように、バイパスクラッチ18を締結するための油圧を制御する。入力軸3の回転が第2速相当となるように、バイパスクラッチアクチュエータ51の油圧を上昇させて回転同期を行い、同期がとれた段階で第2速の変速歯車列を動力伝達状態に切り換える。しかし、第2速への切換指令が出力されてから所定時間経過しても切換が完了しない場合には、入力クラッチ41を遮断して一旦ニュートラル状態つまりエンジン動力を入力軸3に伝達しない状態として再度第2速へのシフト動作を行う。
【0057】
これにより、確実に第2速へのシフト動作を行うことができ、ミスシフトが発生した場合にはバイパスクラッチ18に対する油圧の供給を停止するので、バイパスクラッチ18における発熱の発生を防止でき、バイパスクラッチ18の劣化や焼きつきを防止できる。また、切換機構を押し付ける時間を短縮することができるので、切換機構の摩耗を防止できる。図4〜図7は第1速から第2速への変速動作を示すが、他の変速段における変速動作についても同様である。
【0058】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、この自動変速装置は四輪駆動式のみならず、二輪駆動式でも良く、縦置き式でも横置き式でもいずれでも良い。また、切換機構としては、シンクロメッシュに限られず、選択摺動式などの他のタイプの切換機構としても良い。
【0059】
【発明の効果】
本発明の自動変速装置によれば、変速段の切換操作に誤動作が発生しても、これを確実に検出し、一旦ニュートラル状態としてから再度同じ切換え操作を繰り返すことにより確実に変速動作を行うことができる。切換動作のミスを検出して再度切換動作を行うことにより、切換機構における摩耗の発生を防止できる。切換動作に誤動作が発生した場合には、入力クラッチにより動力の伝達を遮断した状態で再度切換動作を行うようにしたので、確実に変速動作を行うことができる。切換動作に誤動作が発生したときには、バイパスクラッチを開放してから再度切換操作を行うようにすることにより、バイパスクラッチにおける発熱や劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である自動変速装置を示すスケルトン図である。
【図2】図1の自動変速装置の作動を制御する制御回路を示すブロック図である。
【図3】第1速から第2速へのアップシフト時におけるエンジン回転数と出力軸トルクの変化を示すタイムチャートである。
【図4】変速操作が行われる際における変速動作の制御手順のうちギヤ開放制御を示すフローチャートである。
【図5】回転同期制御を示すフローチャートである。
【図6】ギヤ挿入制御を示すフローチャートである。
【図7】ミスシフト制御を示すフローチャートである。
【図8】(A)はアクセル開度とエンジン回転数から求められるアクセル要求トルクを示すマップであり、(B)は目標エンジントルクとエンジン回転数から求められる目標スロットル開度を示すマップである。
【図9】目標スロットル開度とエンジン回転数との関係を示す特性線図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 電子制御スロットル
3 入力軸
4 出力軸
6 トルクコンバータ
7 クランク軸
11〜16 駆動歯車
17 バイパス歯車
18 バイパスクラッチ
21〜26 被駆動歯車
31〜33 切換機構
31a,32a,33a 切換ハブ
31b,32b,33b 切換スリーブ
51 バイパスクラッチアクチュエータ
52 入力クラッチアクチュエータ
53 セレクトアクチュエータ
54 シフトアクチュエータ
55 制御ユニット(制御手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の走行状態に応じて変速操作を自動的に行う自動変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速装置は複数の歯車比を形成する歯車列と、動力伝達を行う歯車列の切換を行う切換機構とを有している。自動変速装置には歯車列の形態によって、1軸上での変速が可能な遊星歯車式と、手動変速機と同様な平行軸式とがある。遊星歯車式の自動変速装置にあっては、入力軸と出力軸との間に設けられた遊星歯車列をクラッチやブレーキからなる摩擦係合要素を作動させることによって動力伝達を行う歯車列の切換が行われる。
【0003】
一方、平行軸式の自動変速装置にあっては、たとえば、特開2000-65199号公報に開示されるように、相互に平行となって配置された入力軸と出力軸の間に設けられた複数の常時噛み合い式の変速歯車列の中から動力伝達を行う変速歯車列をシンクロメッシュつまり同期噛合機構によって切換動作している。この自動変速装置にあっては、入力軸と出力軸との間に、切換操作を行わせるときに入力軸から出力軸にトルクを伝達する油圧式多板クラッチからなるバイパスクラッチを設け、切換操作が行われる際には、スロットルによってエンジンの回転数を調整するとともに、バイパスクラッチを介して出力軸にトルクを伝達している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の自動変速装置にあっては、回転同期がとれた状態で変速歯車列の切換操作を行うようにしているが、バイパスクラッチの油圧制御およびエンジンのスロットル制御にはそれぞれ誤差、バラツキや応答不良があるために、変速動作時にバイパスクラッチを介して全てのエンジントルクが出力軸に伝達されなくなる可能性がある。その場合には、切換動作がなされても、シンクロメッシュに余分なトルクがかかってしまい、円滑な切換動作が行われなくなるという問題が発生する。円滑な切換動作が行われないと、シンクロメッシュの摩擦面が摩耗することになる。また、変速時にバイパスクラッチを作動させる場合に、変速動作に時間がかかるとバイパスクラッチが発熱することになる。
【0005】
本発明の目的は、自動変速装置における変速動作を確実に行い得るようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の自動変速装置は、エンジン動力が伝達される入力軸と、前記入力軸に複数の変速歯車列を介して連結され、駆動輪に動力を伝達する出力軸とを有する自動変速装置であって、前記エンジンの吸入空気量を調整する電子制御スロットルと、複数の前記変速歯車列の中から動力の伝達を行う歯車列を切換え操作する切換機構と、前記切換機構により前記変速歯車列を切り換える際に切換ミスを検出するミスシフト検出手段と、切換ミスが発生したときに前記電子制御スロットルにより前記エンジンの動力を低下させると共に、前記切換機構により一旦ニュートラル状態として再度同じ変速歯車列の切換え操作を繰り返す制御手段とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の自動変速装置は、エンジン動力が伝達される入力軸と、前記入力軸に複数の変速歯車列を介して連結されるとともに前記入力軸に平行に配置され、駆動輪に動力を伝達する出力軸とを有する自動変速装置であって、前記エンジンの吸入空気量を調整する電子制御スロットルと、前記エンジンと前記入力軸との間に設けられ、前記エンジンの動力を前記入力軸に伝達する状態と遮断する状態とに切り換える入力クラッチと、前記入力軸と前記出力軸との間に設けられ、前記入力軸から前記出力軸に伝達されるエンジントルクを調整するバイパスクラッチと、複数の前記変速歯車列の中から動力の伝達を行う歯車列を切換え操作する切換機構と、前記切換機構により前記変速歯車列を切り換える際の切換ミスを検出するミスシフト検出手段と、切換ミスが発生したときに前記入力クラッチを開放しかつ前記電子制御スロットルにより前記エンジンの動力を制御して前記切換機構により再度同じ変速歯車列の切換え操作を繰り返す制御手段とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の自動変速装置にあっては、動力伝達を行う変速歯車列の切換動作に誤動作が発生した場合には、エンジン動力を低下させると共に、一旦ニュートラル状態として再度切換動作を行うようにしたので、確実に変速動作を行うことができる。
【0009】
本発明の自動変速装置にあっては、変速歯車列の切換動作に誤動作が発生した場合には、入力クラッチにより動力の伝達を遮断した状態で再度切換動作を行うようにしたので、確実に変速動作を行うことができる。また、切換機構としてのシンクロメッシュにおける摩擦面を押し付ける時間を短くすることができるので、シンクロメッシュの摩耗を防止できる。
【0010】
切換動作の誤動作は、切換操作を開始してから所定時間経過しても切換が完了しないときに切換ミスと判断しても良く、あるいは切換操作を開始してから、前記入力軸と前記出力軸の回転数に基づく算出値と所定値とを比較して所定値以上の状態が所定時間経過したときに切換ミスと判断しても良い。
【0011】
さらに、本発明の自動変速装置にあっては、切換ミスを判定したときにはバイパスクラッチを開放してから再度切換操作を行うようにし、バイパスクラッチにおける発熱や劣化を防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である自動変速装置を示すスケルトン図であり、エンジン1には、エンジントルクやエンジン回転数を調整する電子制御スロットル2が設けられており、通常は図示しないアクセルペダルの踏込み量に応じた電子制御装置からの出力信号により電子制御スロットル2を開閉してエンジン制御を行う。また、電子制御スロットル2は、必要に応じてアクセルペダルの踏込み量に関係なく、検出された運転状態により予め設定されたマップなどに基づき開閉してエンジン制御を行うことが可能である。
【0013】
そして、エンジン1により発生した動力を駆動輪に伝達する自動変速装置は、エンジン1に連結される入力軸3と、これに平行となって駆動輪に連結される出力軸4とを有し、これらは車両の進行方向を向いてトランスミッションケース5内に組み込まれている。入力軸3はトルクコンバータ6を介してエンジン1のクランク軸7に連結されている。
【0014】
入力軸3には、第1速と第2速の駆動歯車11,12が一体に設けられ、第3速から第5速までの駆動歯車13〜15が回転自在に設けられている。出力軸4には、第1速と第2速の被駆動歯車21,22が回転自在に取り付けられ、第3速から第5速までの被駆動歯車23〜25が一体に設けられている。それぞれの駆動歯車11〜15は対応する被駆動歯車21〜25に常時噛み合って変速歯車列となっており、複数の変速歯車列の中から動力を伝達することになる変速歯車列を切り換えることによって変速動作が行われる。入力軸3にはさらに後退用の駆動歯車16が一体に設けられている。
【0015】
出力軸4には、第1速の被駆動歯車21と第2速の被駆動歯車22との間に第1の切換機構31が設けられている。入力軸3には第3速の駆動歯車13と第4速の駆動歯車14との間に第2の切換機構32が設けられ、第5速の駆動歯車15に隣接させて第3の切換機構33が設けられている。これらの切換機構はそれぞれ同期噛合機構つまりシンクロメッシュにより構成されている。ただし、第1の切換機構31を入力軸3に設け、第2および第3の切換機構を出力軸4に設けるようにしても良い。
【0016】
切換機構31は出力軸4に固定されたシンクロハブつまり切換ハブ31aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブつまり切換スリーブ31bとを有し、この切換スリーブ31bを第1速の被駆動歯車21に設けられた外歯21aに噛み合わせると変速比は第1速に設定され、逆に第2速の被駆動歯車22に設けられた外歯22aに噛み合わせると第2速に設定される。それぞれの外歯21a,22aは、歯車21,22に形成されたスプライン歯部と、シンクロナイザリングに形成された歯部とにより形成される。
【0017】
他の噛合機構32,33も同様の構造であり、入力軸3に固定された切換ハブ32a,33aと、それらにそれぞれ常時噛み合う切換スリーブ32b,33bとを有し、それぞれ対応する外歯13a,14a,15aのいずれかに噛み合わせることにより、変速比は第3速から第5速のいずれかに設定される。それぞれの切換スリーブ31b,32bおよび33bの軸方向の噛合移動は、図示しない油圧アクチュエータによって行われる。
【0018】
第1の切換機構31の切換スリーブ31bには後退用の被駆動歯車26が取り付けられ、入力軸3と出力軸4とに平行となったアイドラ軸(図示省略)には、後退用の駆動歯車16と被駆動歯車26とに噛み合う位置と、噛み合いを離脱する位置とに移動自在にアイドラ歯車(図示省略)が軸方向に摺動自在に装着されている。したがって、切換スリーブ31bが中立位置のもとで、アイドラ歯車を摺動させると、アイドラ歯車は後退用の駆動歯車16と被駆動歯車26とに噛み合い、入力軸3の回転は出力軸4に逆方向となって伝達される。
【0019】
出力軸4は中空軸となっており、内部には前輪出力軸34が組み込まれ、出力軸4と前輪出力軸34はセンタディファレンシャル装置35により連結されている。前輪出力軸34はフロントディファレンシャル装置36を介して前輪用のドライブシャフト(図示省略)に連結され、このドライブシャフトにより前輪が駆動される。また、センタディファレンシャル装置35は駆動歯車37と被駆動歯車38とを介して後輪出力軸39に連結されており、後輪出力軸39は図示しないリヤディファレンシャル装置を介して後輪用のドライブシャフト(図示省略)に連結され、このドライブシャフトにより後輪が駆動される。
【0020】
入力軸3には駆動側のバイパス歯車17が回転自在に取り付けられ、出力軸4には被駆動側のバイパス歯車27が一体に取り付けられ、これらの歯車17,27は所定の歯車比で常時噛み合っている。図示する場合にはこれらの歯車比は第3速相当に設定されている。入力軸3には油圧式多板クラッチからなるバイパスクラッチ18が設けられており、バイパスクラッチ18は入力軸3に固定されたクラッチハブ20と、バイパス歯車17に固定されたクラッチドラム19とを有している。クラッチドラム19とクラッチハブ20とにそれぞれ交互に複数の駆動側および従動側のクラッチプレートが配置されており、油圧によりクラッチプレートを押圧すると、入力軸3のトルクはバイパスクラッチ18を介して出力軸4に伝達される。
【0021】
トルクコンバータ6のタービン軸8と入力軸3との間には、発進クラッチつまり入力クラッチ41が設けられており、この入力クラッチ41はタービン軸8に固定されるクラッチドラム42と、入力軸3に取り付けられるクラッチハブ43とを有している。クラッチドラム42とクラッチハブ43との間に装着されるクラッチプレートを係合させることによりタービン軸8と入力軸3とが締結状態となって、エンジン動力が入力軸3に伝達される。一方、係合を離脱させると、タービン軸8と入力軸3は開放された状態となり、エンジン動力の入力軸3に対する動力伝達が遮断される。
【0022】
トランスミッションケース5内にはオイルポンプ44が装着され、オイルポンプ44のロータはトルクコンバータ6のポンプ側アウターシェルに連結され、クランク軸7により回転駆動される。オイルポンプ44から吐出する作動油は、トルクコンバータ6、バイパスクラッチ18、入力クラッチ41および前述した油圧アクチュエータなどの油圧作動機器に供給されるとともに各潤滑部に供給される。ただし、オイルポンプ44をエンジンにより駆動することなく、電動モータにより駆動するようにしても良い。
【0023】
この自動変速装置は、エンジン回転数、アクセル開度、車速、入力軸の回転数および変速段位置などの信号によって車両の走行状態を検出して予め設定されたマップに基づいて変速動作が自動的に行われる。
【0024】
図2は図1に示した自動変速装置の作動を制御する制御回路を示すブロック図である。図2に示すように、この自動変速装置はバイパスクラッチ18を作動するためのバイパスクラッチアクチュエータ51と、入力クラッチ41を作動するための入力クラッチアクチュエータ52とを有している。さらに、自動変速装置は複数の変速歯車列の中から動力伝達を行う変速歯車列に切り換えるために、セレクトアクチュエータ53とシフトアクチュエータ54とを有している。これらの2つのアクチュエータ53,54の直線往復動を、図示しないセレクトレバーおよびシフトレバーを有する方向変更機構を介して前述したそれぞれの切換機構31〜33および後退用の切換機構の切換移動に変換することにより、第1速〜第5速の前進段と後退段の切換が自動的に行われる。
【0025】
前述したそれぞれのアクチュエータは油圧アクチュエータであり、それぞれのアクチュエータにはオイルポンプ44から吐出する作動油が供給される。バイパスクラッチアクチュエータ51には電磁圧力制御弁VA1を介し、入力クラッチアクチュエータ52には電磁圧力制御弁VA2を介してそれぞれ作動油が供給される。また、セレクトアクチュエータ53には電磁切換弁VA3,VA4を介して作動油が供給され、シフトアクチュエータ54には電磁圧力制御弁VA5,VA6を介して作動油が供給される。セレクトアクチュエータ53は図2において矢印Aで示す方向にセレクトレバーを駆動し、シフトアクチュエータ54は図2において矢印Bで示す方向にセレクトレバーを駆動する。
【0026】
シフトアクチュエータ54を電磁圧力制御弁VA5,VA6により制御するのに対し、セレクトアクチュエータ53が電磁切換弁VA3,VA4により制御可能なのは、A方向の切換操作(セレクト操作)は、デッドストップに突き当てるまで大きな操作力で単純に押せば足りるからである。これに対して、B方向の3位置切換操作(シフト操作)は、シンクロによる同期が必要であり、過大な操作力はシンクロリングの摩耗を招来させるため操作力自体の制御が求められるため、シフトアクチュエータ54を電磁圧力制御弁VA5,VA6により制御する。また、B方向のシフト操作はA方向のセレクト操作力に比して大きいため、デッドストップ当接時に大きな音が出易く操作音対策も必要となる。このため、シフト操作ではシフトアクチュエータ54により操作期間を3段階に分け、迅速なシフト動作とシンクロリングの保護、そして操作音の低減という要求を満たしている。すなわち、初期は強く、シンクロ同期時は中程度、終期は弱く操作力を調整している。したがって、シフトアクチュエータ54については、単に油圧のオンオフを行うのみの制御弁ではなく、供給油圧の調整が可能な電磁圧力制御弁を使用して作動させる。
【0027】
それぞれの電磁弁VA1〜VA6は制御ユニットECU55からの信号によって制御され、オイルポンプ44からの吐出圧(ライン圧)は圧力センサ56によりモニタされるようになっている。オイルポンプ44から供給される作動油は、その一部がアキュムレータ57に貯留される。アキュムレータ57の密封容器内には窒素等の気体が充満されており、そこに作動油を押し込むことにより気体が圧縮され、作動油の圧力エネルギが気体の圧力エネルギに変換されて蓄えられる。つまり、アキュムレータ57にはライン圧が蓄えられてライン圧の安定化が図られている。また、アキュムレータ57に蓄えた圧力により、ポンプの故障やオイル漏れなどの油圧系に障害が生じた場合でも、変速段をたとえば第3速に強制的にシフトチェンジするなどの最低限の非常動作が確保できるようになっている。
【0028】
制御ユニットECU55には、入力軸3の回転数を検出する入力軸回転センサ61、出力軸4の回転数を検出する出力軸回転センサ62、セレクトレバーの位置を検出するセレクトセンサ63、およびシフトレバーの位置を検出するシフトセンサ64からの検出信号が入力される。この制御ユニットECU55は電子制御スロットル2に対して制御信号を出力する。なお、図示する場合には、セレクトアクチュエータ53とシフトアクチュエータ54の2つの油圧アクチュエータによって前進5段と後退段の切換動作を行うようにしているが、それぞれの切換機構を別々の油圧アクチュエータによって切換動作させるようにしても良い。
【0029】
図3は第1速から第2速へのアップシフト時におけるエンジン回転数Neと出力軸4のトルクToの変化を示すタイムチャートである。図3において、シフト位置は切換スリーブ31bの噛み合い位置を示す。切換スリーブ31bは、第1速の被駆動歯車21に設けられた外歯21aに噛み合う第1速の位置から、中立位置を経て第2速の被駆動歯車22に設けられた外歯22aに噛み合う第2速の位置に移動する。
【0030】
この変速動作が行われる際には、駆動歯車11と被駆動歯車21からなる第1速の変速歯車列を介して動力伝達が行われている状態から、第1速の変速歯車列とバイパス歯車17,27の歯車列との2系統を介して動力の伝達を行う1相の状態に変化する。ここで、第1速の被駆動歯車21とバイパス歯車27は同一出力軸に配置されているが、各々は相違した歯車比となっており、第1速の被駆動歯車21の回転に対してバイパス歯車27の回転は変速比の関係から駆動歯車11よりも早く回転するので、バイパスクラッチ18を係合すると係合状態に応じたトルクがバイパス歯車17,27により伝達される。
【0031】
次いで、切換スリーブ31bは切換ハブ31aのみに噛み合った中立位置つまり2相状態となり、この状態のもとではバイパス歯車17,27の歯車列を介して入力軸3から出力軸4に対して動力伝達されるとともに、電子制御スロットル2を閉動作するように制御してエンジン動力つまり入力軸3の回転数を低下させて同期させる。
【0032】
エンジンの回転数が第2速相当の回転数にまで低下した時点で切換スリーブ31bを、切換ハブ31aのみに噛み合った状態から切換ハブ31aと外歯22aとに噛み合う状態に移動させると、第2速の変速歯車列とバイパス歯車17,27の歯車列との2系統を介して動力の伝達が行われる3相状態となる。この3相状態のもとでバイパスクラッチ18に供給される油圧をドレンしてバイパスクラッチ18を開放すると、第2速へのアップシフトが完了する。これにより、入力軸3から出力軸4に対しては第2速の変速歯車列を介して動力伝達がなされることになる。
【0033】
このように、アップシフト時にはバイパスクラッチ制御とエンジン制御とをともに行いエンジン回転数が第2速相当の回転数まで低下した時点で切換スリーブ31bが外歯22aと噛み合うことになるので、ギヤ鳴きが発生することなく、円滑に変速操作が行われる。しかも、切換スリーブ31bが中立位置になるときには、バイパスクラッチ18を介して動力伝達を行うようにしたので、特に駆動力変化の大きな第1速から第2速、第2速から第3速などのアップシフト時に問題となる駆動力の落ち込みつまりトルク切れの発生を低減することができる。
【0034】
図3は第1速から第2速へのアップシフト時のエンジン回転数とトルクの変化を示すが、第2速から第3速などの他の変速段へのアップシフト動作も同様に行うことができる。図示する場合には、バイパスクラッチ18のバイパス歯車17,27の歯車比を第3速相当に設定されているが、第4速相当あるいはそれよりも高速段側に設定するようにしても良い。また、第4速から第5速へのアップシフトなどの高速段におけるアップシフト動作を行う際には、駆動力の落ち込みの影響が少ないので、バイパスクラッチ18を開放した状態で変速動作を行うようにしても良い。
【0035】
一方、ダウンシフト時には出力トルクの落ち込みは走行性能上あまり問題とならないので、入力クラッチ41により入力軸3への動力伝達を遮断させるようにしても良い。また、ダウンシフト時にもアップシフト時と同様にバイパスクラッチ18を係合状態とし、これとともにエンジン制御を行って変速歯車列とバイパス歯車17,27の歯車列との2系統での動力伝達と、バイパスクラッチ18のみの動力伝達とに切換制御しながらダウンシフト時の同期を円滑かつ迅速に行うようにしても良い。
【0036】
図4〜図7は、図3に示した第1速から第2速へのアップシフト動作が行われる際における変速動作の制御手順を示すフローチャートであり、図4は切換スリーブ31bを外歯21aから開放させるギヤ開放制御を示すフローチャートである。図4に示すように、車速とアクセル開度などの走行状態のマップデータに基づいて第1速から第2速への変速開始がステップS1において判定されたときには、第2速の変速比よりも高速側の歯車比に設定されたバイパスクラッチ18を介してエンジントルクを出力軸4に伝達させるために、ステップS2,S3においてバイパストルクTbとバイパスクラッチアクチュエータ51に供給するバイパスクラッチ油圧Pbを次式により演算して、ステップS4においてバイパス油圧指令を出力する。これにより、バイパスクラッチアクチュエータ51に油圧が供給される。
【0037】
しかし、実際のバイパス油圧には応答遅れがあるため、すぐには全てのエンジントルクが入力軸3から出力軸4にバイパスされない。そこで、ステップS5においてタイマーTM1を起動させて、バイパス油圧が立ち上がって全てのエンジントルクがバイパスされるまでの時間T1(設定値)が経過するまで、バイパス油圧を保持する。
【0038】
Tb=Te
ただし、Teはエンジントルクであり、Tb≧0としてリミッタ処理を行う。
【0039】
Pb=k1×Tb+k2
ただし、k1、k2は油圧変換係数である。
【0040】
ステップS6で設定時間T1が経過したことが判定されたならば、全てのエンジントルクがバイパスされて、切換スリーブ31bを外歯21aから開放することが可能となるので、ステップS7においてシフトアクチュエータ54に対してで第1速歯車の開放指令を出力する。シフトアクチュエータ54にはシフトセンサ64が装着されており、シフトセンサ64からの信号に基づいて、ステップS8では切換スリーブ31bが締結状態であるか開放状態となったかを判定する。すなわち、spn1≦シフトセンサ≦spn2となったときに、開放完了と判定し、ギヤ開放制御を終了する。ただし、spn1、spn2は設定値である。
【0041】
図5は回転同期制御を示すフローチャートであり、ステップS11でギヤ開放の終了が判断されたならば、入力軸3の回転を第2速相当の回転数に降下させるため、バイパストルクをエンジントルクよりも大きくさせるように、ステップS12〜S16において、目標入力軸回転変化dωi/dt、バイパストルクTb、バイパスクラッチ油圧Pbを次式により求め、ステップS17においてバイパス油圧指令を出力する。
【0042】
dωi/dt=No×(Gnxt−Gnw)/Tsft
ただし、Gnxtは変速後の歯車比、Gnwは変速前の歯車比、Noは出力軸回転数、Tsftは目標同期時間(設定値)である。
【0043】
Tb=Te −Ie× dωi/dt
ただし、Te はエンジントルク、Ieはエンジンから入力軸までの慣性力(イナーシャ)であり、Tb≧0としてリミッタ処理を行う。
【0044】
Pb=k1×Tb+k2
ただし、k1、k2は油圧変換係数である。
【0045】
回転同期制御時には、慣性力による変速ショックを軽減するために、スロットルを閉じてエンジントルクを低下させる。この時の目標エンジントルクTet、目標スロットル開度Thtは、ステップS18でアクセル要求トルクTaを算出した後に、ステップS19,S20において次式により演算される。
【0046】
Tet=Gnxt/Gb×Ta+Ie× dωi/dt
ただし、要求トルクTaはアクセル開度accとエンジン回転数Neのマップf1から求められる。図8(A)はこの要求トルクTaを求めるマップデータの一例であり、制御ユニット内のメモリにこのデータが格納されており、アクセル開度とエンジン回転数に基づいて要求トルクが求められる。
【0047】
目標スロットル開度Thtは、目標エンジントルクTetとエンジン回転数Neのマップf2から求められ、図8(B)はこの目標スロットル開度Thtを求めるマップデータの一例であり、制御ユニット内のメモリーに格納されている。求められた目標スロットル開度Thtは、ステップS21で電子制御スロットル2に出力される。これにより、バイパス油圧が立ち上がってバイパストルクがエンジントルクよりも大きくなり、入力軸3の回転が降下して、入力軸3の回転数Niと出力軸の回転数Noが条件 |Ni−Gnxt×No| ≦N1(設定値)を満たしたら、ステップS22で回転同期完了と判定し、回転同期制御を終了する。
【0048】
回転同期終了後には、切換スリーブ31bを外歯22aに噛み合わせて第2速に変速歯車列を切り換えるために、図6に示すギヤ挿入制御が実行される。ステップS31において回転同期完了が判定されたならば、バイパストルクTbと、バイパスクラッチ油圧Pbが算出される(ステップS32,S33)。ステップS34にバイパス油圧指令が出力され、ステップS35においてギヤ挿入指令が出力されて、切換スリーブ31bが外歯22aに向けて挿入移動を開始する。そして、閉じていたスロットルつまりダウンしていたエンジントルクは、アクセルに追従するように、次式により目標スロットル開度Thtを求めて制御し、スロットル開度の指令を出力する(ステップS36,S37)。
【0049】
Tht=acc ただし、accはアクセル開度である。
【0050】
ステップS38ではタイマTM2のカウントを開始し、カウントアップ前にシフトセンサからの信号によりギヤ挿入が完了したことがステップS39で判定されたならば、すなわち、所定の時間T2が経過する前に、シフトセンサ≧Sp2の状態となったら、ステップS40で変速を終了する。
【0051】
しかし、切換スリーブ31bを第2速側に噛み合わせる際に、バイパスクラッチ18の油圧制御およびエンジンのスロットル制御ともに誤差、バラツキや応答不良があると、バイパスクラッチによってエンジントルクが全てバイパスされない可能性がある。その場合には、切換スリーブ31bを挿入移動させても、切換機構に余分なトルクがかかってしまい、第2速の変速歯車に切換えられなくなる。そこで、第2速への切換挿入を開始してから、所定の時間T2が経過しても、第2速の歯車に切換スリーブ31bが噛み合わないとき、すなわち、第2速の歯車に挿入を開始してからシフトセンサ<Sp2の状態がT2時間継続したときには、切換ミスと判定し(ステップS41)、ステップS42が実行される。
【0052】
ただし、切換ミスの判定方式としては、上述以外に、第2速歯車への挿入を開始してから、|Ni−Gnxt×No| ≧N2(設定値)の状態が所定の時間T3経過した時としても良い。すなわち、出力軸4の回転数Noに変速後の歯車比Gnxtを積算した算出値と入力軸3の回転数Niとの差が所定値N2よりも大きい状態が所定時間継続した場合には、一旦同期がとれたと判定して切換スリーブを挿入する動作が行われたが、再度回転同期がとれなくなったときをギヤの挿入ミスと判断しても良い。
【0053】
図7はステップS41のミスシフト制御のサブルーチンを示すフローチャートであり、ステップS51においてミスシフトと判定されたならば、バイパスクラッチアクチュエータ51の油圧PbをPb=0に設定する(ステップS52,S53)。これにより、ギヤの開放つまり切換スリーブ31bが外歯22aから離れるように駆動され、ステップS55でspn1≦シフトセンサ≦spn2が判定されてギヤの開放が判定されると、ステップS57でギヤ開放フラグをセットして、ステップS58で入力クラッチ41の開放を出力する。ギヤ開放指令は、ステップS56を経て、ステップS55でYESと判断されるまで継続される。
【0054】
次いで、エンジンが吹き上がらないようにするために、エンジントルクToがTo=0となる目標スロットル開度Thtを算出してスロットルを閉じる(ステップS59,S60)。エンジントルクがTo=0となる目標スロットル開度Thtは、エンジン回転数Neの関数Tht=f3(Ne)で演算される。この関数により表される目標スロットル開度とエンジン回転数との関係は、図9に示すような特性線図となる。
【0055】
切換スリーブ31bが外歯22aから離れると、ステップS57でセットされたフラグがステップS54で判定されて、ステップS61が実行される。このステップでは、切換スリーブ31bを再度外歯22aに挿入移動するために、シフトアクチュエータ54に対して第2速のギヤ挿入指令を出力する。ステップS62においてギヤ挿入が判定されたならば、ステップS63で入力クラッチ41を締結し、それまで閉じていたスロットルを目標スロットル開度がTht=accとなるように制御してアクセルに追従させる(ステップS64〜66)。このようにして、変速操作が終了する。
【0056】
以上のように、第1速の変速歯車列により動力伝達がなされた状態から第2速の変速歯車列に切換動作する際に、バイパスクラッチ18を締結してエンジントルクを入力軸3から出力軸4にバイパスさせて第1速の歯車列におけるトルク伝達を無くした状態で切換スリーブ31bを中立位置にする。この際に、エンジントルク相当の伝達トルクをバイパスさせるように、バイパスクラッチ18を締結するための油圧を制御する。入力軸3の回転が第2速相当となるように、バイパスクラッチアクチュエータ51の油圧を上昇させて回転同期を行い、同期がとれた段階で第2速の変速歯車列を動力伝達状態に切り換える。しかし、第2速への切換指令が出力されてから所定時間経過しても切換が完了しない場合には、入力クラッチ41を遮断して一旦ニュートラル状態つまりエンジン動力を入力軸3に伝達しない状態として再度第2速へのシフト動作を行う。
【0057】
これにより、確実に第2速へのシフト動作を行うことができ、ミスシフトが発生した場合にはバイパスクラッチ18に対する油圧の供給を停止するので、バイパスクラッチ18における発熱の発生を防止でき、バイパスクラッチ18の劣化や焼きつきを防止できる。また、切換機構を押し付ける時間を短縮することができるので、切換機構の摩耗を防止できる。図4〜図7は第1速から第2速への変速動作を示すが、他の変速段における変速動作についても同様である。
【0058】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、この自動変速装置は四輪駆動式のみならず、二輪駆動式でも良く、縦置き式でも横置き式でもいずれでも良い。また、切換機構としては、シンクロメッシュに限られず、選択摺動式などの他のタイプの切換機構としても良い。
【0059】
【発明の効果】
本発明の自動変速装置によれば、変速段の切換操作に誤動作が発生しても、これを確実に検出し、一旦ニュートラル状態としてから再度同じ切換え操作を繰り返すことにより確実に変速動作を行うことができる。切換動作のミスを検出して再度切換動作を行うことにより、切換機構における摩耗の発生を防止できる。切換動作に誤動作が発生した場合には、入力クラッチにより動力の伝達を遮断した状態で再度切換動作を行うようにしたので、確実に変速動作を行うことができる。切換動作に誤動作が発生したときには、バイパスクラッチを開放してから再度切換操作を行うようにすることにより、バイパスクラッチにおける発熱や劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である自動変速装置を示すスケルトン図である。
【図2】図1の自動変速装置の作動を制御する制御回路を示すブロック図である。
【図3】第1速から第2速へのアップシフト時におけるエンジン回転数と出力軸トルクの変化を示すタイムチャートである。
【図4】変速操作が行われる際における変速動作の制御手順のうちギヤ開放制御を示すフローチャートである。
【図5】回転同期制御を示すフローチャートである。
【図6】ギヤ挿入制御を示すフローチャートである。
【図7】ミスシフト制御を示すフローチャートである。
【図8】(A)はアクセル開度とエンジン回転数から求められるアクセル要求トルクを示すマップであり、(B)は目標エンジントルクとエンジン回転数から求められる目標スロットル開度を示すマップである。
【図9】目標スロットル開度とエンジン回転数との関係を示す特性線図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 電子制御スロットル
3 入力軸
4 出力軸
6 トルクコンバータ
7 クランク軸
11〜16 駆動歯車
17 バイパス歯車
18 バイパスクラッチ
21〜26 被駆動歯車
31〜33 切換機構
31a,32a,33a 切換ハブ
31b,32b,33b 切換スリーブ
51 バイパスクラッチアクチュエータ
52 入力クラッチアクチュエータ
53 セレクトアクチュエータ
54 シフトアクチュエータ
55 制御ユニット(制御手段)
Claims (5)
- エンジン動力が伝達される入力軸と、前記入力軸に複数の変速歯車列を介して連結され、駆動輪に動力を伝達する出力軸とを有する自動変速装置であって、
前記エンジンの吸入空気量を調整する電子制御スロットルと、
複数の前記変速歯車列の中から動力の伝達を行う歯車列を切換え操作する切換機構と、
前記切換機構により前記変速歯車列を切り換える際に切換ミスを検出するミスシフト検出手段と、
切換ミスが発生したときに前記電子制御スロットルにより前記エンジンの動力を低下させると共に、前記切換機構により一旦ニュートラル状態として再度同じ変速歯車列の切換え操作を繰り返す制御手段とを有することを特徴とする自動変速装置。 - エンジン動力が伝達される入力軸と、前記入力軸に複数の変速歯車列を介して連結されるとともに前記入力軸に平行に配置され、駆動輪に動力を伝達する出力軸とを有する自動変速装置であって、
前記エンジンの吸入空気量を調整する電子制御スロットルと、
前記エンジンと前記入力軸との間に設けられ、前記エンジンの動力を前記入力軸に伝達する状態と遮断する状態とに切り換える入力クラッチと、
前記入力軸と前記出力軸との間に設けられ、前記入力軸から前記出力軸に伝達されるエンジントルクを調整するバイパスクラッチと、
複数の前記変速歯車列の中から動力の伝達を行う歯車列を切換え操作する切換機構と、
前記切換機構により前記変速歯車列を切り換える際の切換ミスを検出するミスシフト検出手段と、
切換ミスが発生したときに前記入力クラッチを開放しかつ前記電子制御スロットルにより前記エンジンの動力を制御して前記切換機構により再度同じ変速歯車列の切換え操作を繰り返す制御手段とを有することを特徴とする自動変速装置。 - 請求項1または2記載の自動変速装置において、切換操作を開始してから所定時間経過しても切換が完了しないときに切換ミスと判断することを特徴とする自動変速装置。
- 請求項1または2記載の自動変速装置において、切換操作を開始してから、前記入力軸と前記出力軸の回転数に基づく算出値と所定値とを比較して所定値以上の状態が所定時間経過したときに切換ミスと判断することを特徴とする自動変速装置。
- 請求項2,3または4のいずれか1項に記載の自動変速装置において、切換ミスを判定したときには前記バイパスクラッチを開放してから再度同じ切換え操作を繰り返すことを特徴とする自動変速装置。
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