JP2004195920A - 画像保護フィルム並びにこれを用いた保護層付き記録物の製造方法及び保護層付き記録物 - Google Patents

画像保護フィルム並びにこれを用いた保護層付き記録物の製造方法及び保護層付き記録物 Download PDF

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Abstract

【課題】記録面との密着性(接着性)、耐ブロッキング性、耐スクラッチ性など、多くの優れた特性を備え、且つ干渉縞発生防止効果を有する画像保護フィルム並びにこれを用いた保護層付き記録物の製造方法及び保護層付き記録物を提供すること。
【解決手段】本発明の画像保護フィルム1は、耐熱性基材2と、該耐熱性基材2上に剥離可能に積層され、画像が記録された記録物の画像面上に熱転写される樹脂層3を有している。樹脂層3は、耐熱性基材2上に積層された表層4と、該表層4上に積層され、熱転写時に画像面と接着する接着層5との2層構造となっている。この表層4と接着層5とは、互いに組成が異なっており且つ各層の屈折率の差が±0.02以内となっている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方法などの種々の記録方法により画像が記録された記録物の画像面上に、画像保護の目的で熱転写される樹脂層を有する画像保護フィルムに関し、詳しくは、この種の熱転写保護フィルムに要求される諸特性を備え且つ干渉縞発生防止効果を有する画像保護フィルム並びにこれを用いた保護層付き記録物の製造方法及び保護層付き記録物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、記録ヘッド(インクジェットヘッド)の微小なジェットノズルからインクの液滴を吐出させるインクジェット方式により、紙等の記録媒体にインクを付着させて印字を行う印刷方式である。従来から、インクジェット記録による画像記録後、その記録面上に透明な保護層を形成して、記録画像の耐水性、耐候性、耐擦性、光沢度などを向上させる方法が知られており、この保護層の形成方法として、耐熱性基材上に樹脂層を設けた構成の画像保護フィルムを該樹脂層を介して記録面上に加熱圧着させた後、該耐熱性基材を剥離して、該樹脂層からなる保護層を形成する方法が知られている。
【0003】
上記のようないわゆる熱転写保護フィルムにおける樹脂層(保護層)には、記録面との密着性(接着性)、転写性、耐ブロッキング性、耐スクラッチ性、耐候性、光沢性、透明性など、多くの優れた特性を備えていることが求められ、また、これらの特性の中には、例えば密着性と耐ブロッキング性のように、一方の特性を高めようとすると他方の特性が低下するというような、互いに相反する関係にあるものもある。そこで、樹脂層を、単層ではなく、組成の異なる複数の層から構成することにより、種々の優れた特性を備えるようにした熱転写フィルムが開発されている。このような多層構造の樹脂層を有する熱転写保護フィルムとしては、例えば、基材フィルム上に透明樹脂層及び感熱接着剤層からなる樹脂層を剥離可能に設けた構成の感熱転写カバーフィルムが知られている(特許文献1参照)。また、特許文献2〜4にも、これと同様の構成の熱転写保護フィルムが開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特許第3314056号公報
【特許文献2】
特許第2762751号公報
【特許文献3】
特許第3290880号公報
【特許文献4】
特開2000−233474号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の多層構造の樹脂層を有する熱転写保護フィルムを用いて形成された保護層を有する記録物(保護層付き記録物)を、蛍光灯の下などで見ると、多層構造の保護層各層の境界面で反射する光の光路差によって生じる虹のような干渉縞が発生し、記録物の品位が損なわれるという問題があった。干渉縞は、特に、〔1〕保護層の透明性や光沢度が高い場合、〔2〕保護層が形成される記録面の光沢度が高い場合、〔3〕多層構造のうち、層厚が5μm前後以下の薄層が存在する場合、などに目立ち易い傾向にあり、記録物の品位を著しく損ねる要因となっていた。
【0006】
従って、本発明の目的は、記録面との密着性(接着性)、耐ブロッキング性、耐スクラッチ性など、多くの優れた特性を備え、且つ干渉縞発生防止効果を有する画像保護フィルム並びにこれを用いた保護層付き記録物の製造方法及び保護層付き記録物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の画像保護フィルムは、耐熱性基材上に剥離可能に積層され、画像が記録された記録物の画像面上に熱転写される樹脂層を有する画像保護フィルムにおいて、上記樹脂層が組成の異なる複数の層から構成されており、各層の屈折率の差が±0.02以内であることを特徴とする。
【0008】
このように樹脂層を多層構造とすることで、密着性(接着性)、耐ブロッキング性、耐スクラッチ性など、多くの優れた特性を具備させることができ、さらに、該多層構造における各層の屈折率の差を±0.02以内とすることにより、多層構造に起因する干渉縞発生の弊害を防止することができる。
【0009】
また、本発明の保護層付き記録物の製造方法は、記録媒体の被記録面に顔料インクを吐出させて画像を記録するインクジェット記録工程、該インクジェット記録工程を経た該記録媒体と、上記画像保護フィルムとを、該被記録面と上記樹脂層とが対向するように重ね合わせ、加熱して圧着させる加熱圧着工程、及び該記録媒体上に圧着された該画像保護フィルムから、上記耐熱性基材を剥離する剥離工程を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の画像保護フィルムは、種々の記録方式による画像に対応できるが、特にインクジェット記録方式は、印刷版が不要で工程が簡素である、多色印刷を高速に行える、記録パターンの融通性が大きい、オンデマンド少ロットにも対応できるなどの利点を有しているため、上記のように上記画像保護フィルムとインクジェット記録方式とを組み合わせることにより、高画質・高品位の保護層付き記録物を効率良く製造することができる。また、顔料インクは、染料インクに比して耐水性や耐光性などに優れているため、上記のようにインクジェット記録を顔料インクを用いて行うことにより、経時による品質劣化が起こりにくく、長期保存が可能な保護層付き記録物を得ることができる。
【0011】
また、本発明の保護層付き記録物は、色材が付着した記録媒体上に、該色材を被覆する多層構造の保護層を設けてなる保護層付き記録物において、該保護層が、上記画像保護フィルムの上記樹脂層から形成されていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の画像保護フィルムについて、その好ましい一実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明の画像保護フィルムの一実施形態の断面模式図である。この画像保護フィルム1は、耐熱性基材2と、該耐熱性基材2上に剥離可能に積層され、画像が記録された記録物の画像面上に熱転写される樹脂層3を有している。樹脂層3は、耐熱性基材2上に積層された表層4と、該表層4上に積層され、熱転写時に画像面と接着する接着層5との2層構造となっている。
【0014】
耐熱性基材2としては、熱転写時における所定の加熱加圧条件下で形状を安定して維持できる程度の耐熱性を有するものが用いられる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニルスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリメチルペンテン(TPX)等の樹脂フィルム;アルミ箔等の金属箔;アルミ蒸着フィルム、アルミ箔貼り合わせフィルム等が好ましく用いられる。樹脂フィルムを用いる場合、樹脂層3を形成する樹脂よりも軟化点が高い樹脂からなるものが好ましい。これらのうち、特にPPフィルム、とりわけ表層4との対向面をコロナ放電処理したPPフィルムからなる耐熱性基材2は、表層4との密着性や樹脂層3の剥離性に優れ、また、画像保護フィルム1の保管時に懸念される接着層5とのブロッキングが起こりにくいため、本発明で好ましく用いられる。
【0015】
耐熱性基材2の厚みは、熱転写時における熱伝導性及び樹脂層3と画像面との密着性(接着性)を考慮すると出来るだけ薄いことが好ましいが、薄過ぎると、取扱いが困難となるばかりか、熱転写時に樹脂層3にシワが入ったり、樹脂層3と画像面との間に気泡が入るおそれがあるため好ましくない。このような観点から、耐熱性基材2の厚みは8〜60μmが好ましく、10〜50μmが更に好ましい。
【0016】
耐熱性基材2は、必要に応じ、セラミック微粒子を含有させたり、表面に適当な樹脂を塗布したりすることにより、耐熱性を更に高めることも可能である。このような樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂等のビニル系樹脂、セルロース樹脂やヒドロキシエチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂やポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、シリコーン変性樹脂、長鎖アルキル変性樹脂等の耐熱性樹脂が挙げられる。また、耐熱性基材2の樹脂層3が形成される面に対し、帯電防止処理、コロナ放電処理、エンボス処理等の各種表面処理を施すことにより、転写容易性、静電気による埃の付着防止、転写性保護層の表面の意匠性の向上等を図ることもできる。
【0017】
樹脂層3を構成する表層4及び接着層5は、それぞれ組成が異なる別個の層である。表層4は、樹脂層3が画像面上に熱転写されて保護層となったときの該保護層の最表層となる層であり、塗膜強度が大きいこと、耐ブロッキング性、耐スクラッチ性、耐水性、耐ガス性などに優れることなどが求められる。一方、接着層5は、保護層の画像面に対する良好な密着性(接着性)を確保するための層であり、記録画像の劣化が起こらないような穏やかな加熱で、画像面に対して良好な接着性を発現し得ることが求められる。このように、表層4と接着層5とは、同じ保護層を構成する層でも役割が異なっており、そのため必然的に組成(樹脂)が異なる。
【0018】
表層4及び接着層5を形成する樹脂としては、例えば、アクリル共重合体、アクリル−スチレン共重合体、アクリル−ウレタン共重合体、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル共重合体、アクリル−シリコーン共重合体等が挙げられる。これらの樹脂の1種又は2種以上を用いて、上記特性が得られるように表層4及び接着層5をそれぞれ形成することができる。
【0019】
表層4及び接着層5には、樹脂以外に、必要に応じ、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、耐水化剤、防腐剤、界面活性剤、増粘剤、流動性改良剤、pH調整剤、レベリング剤、帯電防止剤等の各種添加剤を適宜添加することができる。これらの添加剤は、上記2層のうちの一方のみに添加しても良く、両方に添加しても良い。
【0020】
また、表層4には、耐ブロッキング性及び耐スクラッチ性の向上のため、ワックスを含有させることができる。ワックスとしては、例えば、パラフインワックス(炭素数20〜40の炭化水素)、マイクロクリスタリンワックス(炭素数30〜60の炭化水素)、カルナウバワックス(炭素数24〜32の脂肪酸及びアルコールのエステル)、キャンデリラワックス(炭素数32,30の脂肪酸とアルコール及びそれらのエステル)、ライスワックス(炭素数16〜32の脂肪酸とアルコールのエステル)、木蝋(炭素数16〜22の二塩基酸も含むグリセリンとのエステル)、蜜蝋(炭素数16〜32の脂肪酸とアルコールのエステル及び炭化水素)、鯨蝋(炭素数16の脂肪酸とアルコールのエステル)、モンタンワックス(炭素数20〜32の脂肪酸及びアルコールのエステルとレジン質)、オゾケライト(炭化水素)、セレシン(オゾケライトを白色に精製したもの)、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプッシュワックス(炭素数17〜78の炭化水素)、アミドワックス(脂肪酸アミドまたはビスアミド)、硬化ヒマシ油(カスターワックス、12-ヒドロキシステアリン酸とグリセリンのエステル)、一価アルコールと脂肪酸とのエステルを主成分とする合成ワックス、ゲルベ反応により分岐高級アルコールと脂肪酸との反応から得られるゲルベワックス(エステル)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用することができる。好適な市販ワックスとしては、サンノプコ社製ノプコ1245−M−SN、ノプコートPEM−17、三井石油化学工業製ケミパールシリーズのWF−640、W−700、W−200等が挙げられる。ワックスの含有量は、樹脂固形分に対し好ましくは1〜10重量%、更に好ましくは2〜9重量%である。
【0021】
また、高光沢の記録物(保護層付き記録物)を得るためには、表層4の20度光沢度(JIS−Z8741に準拠)が40%以上であることが好ましく、50%以上であることが更に好ましい。表層4の20度光沢度を上記範囲とするには、そのような特性に優れた樹脂を使用したり、層厚や熱転写時の加熱条件を適宜調整するなどすれば良い。
【0022】
尚、一般に、多層構造の樹脂層において、その表層の光沢度が上記のよう高い場合や、透明性が高い場合(一般に、ASTM−D1003に準拠の全光線透過率測定値が90%以上の場合は透明性が高いと言える)は特に干渉縞が目立つ傾向があるが、後述するように各層の屈折率の差を±0.02以内とすれば、樹脂層の光沢度や透明性が高くても、干渉縞を実用上十分なレベルまで抑止することができる。
【0023】
そして、本実施形態においては、樹脂層3が組成の異なる2つの層(表層4及び接着層5)から構成されていることに加えて、これら各層の屈折率の差が±0.02以内、好ましくは±0.01以内となっている。この差が±0.02超であると、干渉縞が発生して画像品位を損なうおそれがある。尚、本発明において、「層の屈折率」とは、厚み1mmの無色透明のガラス基板に測定対象となる層を形成し、この層に対し、入射角45度で波長632.8nmのレーザー光を照射したときの屈折率を意味し、該屈折率はエリプソメーターにより測定する。エリプソメーターとしては、例えば、日本分光(JASCO)社製のMEL−30を使用することができる。
【0024】
上記の屈折率差±0.02以内を達成するためには、通常、そのための何らかの調整が必要であり、特別な調整無しに形成した多層構造の樹脂層がそのまま屈折率差±0.02以内を達成するケースは稀である。屈折率差±0.02以内を達成するためには、(1)各層の主成分である樹脂の屈折率に着目し、これらの樹脂の屈折率差がなるべく少なくなるように樹脂を選択する、(2)屈折率調整剤を多層のうちの任意の層に添加して屈折率を所望の値に調整する、などの方法がある。上述したように、樹脂の選択に当たっては、屈折率よりも密着性、耐ブロッキング性、耐スクラッチ性などの熱転写保護フィルムとしての必要特性が優先して考慮されるので、(1)の方法だけで屈折率差±0.02以内を達成するのは困難なことが多く、(2)の方法を主とし、必要に応じ(1)の方法も併用するのが好ましい。
【0025】
上記(2)の方法で使用する屈折率調整剤としては、樹脂中での分散安定性に優れ、層の塗膜強度を低下させず、少ない添加量で所望の屈折率に調整できるものが好ましい。このような特性を備えた屈折率調整剤としては、無機酸化物粒子の表面に水酸基又はグリシジル基を3個以上、好ましくは4個以上結合させてなる表面処理無機酸化物粒子が好ましく用いられる。表面に結合する水酸基又はグリシジル基の数が3個未満では、樹脂中における分散安定性に劣り、樹脂を含有する層組成物中に添加した際にゲル化を起こして塗工不能となったり、たとえ塗工して層を形成できても、樹脂と表面処理無機酸化物粒子との結合性が弱いため塗膜強度が低くなるおそれがある。
【0026】
上記表面処理無機酸化物粒子を構成する上記無機酸化物粒子としては、Si,Ti,Zr,Sb,Ta,Sn,W,Ce及びFeからなる群から選ばれる1種の酸化物粒子又はこれらの2種以上からなる複合酸化物粒子が好ましく用いられる。例えば、酸化チタン(TiO2、屈折率2.3)、コロイダルシリカ(SiO2、屈折率1.46)、ジルコニア(ZrO2、屈折率2.1)等が挙げられる。
【0027】
また、上記無機酸化物粒子の平均粒径は、層中における光の散乱を防止して光線透過率の低下を防止する観点から、好ましくは1〜30nm、更に好ましくは5〜15nmである。
【0028】
上記表面処理無機酸化物粒子としては、市販品を用いることもでき、例えば、触媒化成工業(株)製の「Oscal 1132」、「Oscal 1122G」(何れもSiの酸化物粒子、屈折率1.46、粒径約10nm)、「Optolake 1120Z」(Ti,Si,Zrの複合酸化物粒子、屈折率1.8、粒径約10nm)等が挙げられる。
【0029】
各層の屈折率の調整に際し、屈折率を大きくしたい場合は、その層の屈折率よりも大きい屈折率を有する屈折率調整剤(表面処理無機酸化物粒子)を使用し、屈折率を小さくしたい場合は、その層の屈折率よりも小さい屈折率を有する屈折率調製剤を使用する。屈折率調整剤の樹脂への添加方法としては、1種又は2種以上の屈折率調整剤を水やアルコールなどの適当な溶媒に分散させてゾルを調製し、このゾルを、樹脂を含む層組成物中に混合する方法が挙げられる。
【0030】
屈折率調整剤(表面処理無機酸化物粒子)は、多層構造の樹脂層の任意の層に含有させることができるが、可能であれば、保護層となった時の最表層(上記実施形態では表層4)に含有させることが好ましい。その理由は、層中に表面処理無機酸化物粒子を含有させると層の塗膜強度が高まる傾向があり、耐ブロッキング性や耐スクラッチ性などを高めることができるためである。
【0031】
多層構造の樹脂層における各層中の屈折率調整剤(表面処理無機酸化物粒子)の含有量は、樹脂固形分100重量部に対し10〜200重量部が好ましい。この範囲の下限未満の含有量では屈折率の変動効果に乏しく、逆に上限超では樹脂層にクラックやひび割れが発生し、成膜性が低下するおそれがある。
【0032】
以上のような耐熱性基材2並びに表層4及び接着層5(樹脂層3)を積層して画像保護フィルム1とする方法は、常法通り、ブレードコーターなどの各種塗工手段を用いて、樹脂や屈折率調整剤などを含む層組成物を耐熱性基材2上に塗工し、乾燥等すればよい。
【0033】
樹脂層3(表層4及び接着層5)の厚みは、好ましくは2〜20μm、更に好ましくは5〜13μmである。厚みが2μm未満では十分な画像保護効果が得られないおそれがあり、20μm超では記録物(保護層付き記録物)の風合いがプラスチック感のあるものになり、画像品位が低下するおそれがある。また、樹脂層の厚みが20μm超では、そもそも、干渉縞が目立たなくなるため、本発明を適用する意味が薄れる。
【0034】
また、表層4及び接着層5の厚みは、画像面の凹凸の程度や画像品質(透明感、光沢感など)などを考慮して適宜調整すればよく、特に限定されないが、保護層形成前の記録物本来の風合いや質感を損なわずに画像を保護する観点から、表層4の厚みは3〜8μm、接着層5の厚みは2〜5μmとすることが好ましい。一般に、多層構造中に層厚が5μm前後以下の薄層が存在すると干渉縞が目立ち易くなる傾向があるが、本発明では、上述したように、各層の屈折率差が特定範囲に調整されているので、表層4及び接着層5をそれぞれ上記のような薄層としても干渉縞が目立つことがない。
【0035】
図2は、本発明の画像保護フィルムの別の実施形態の断面模式図である。この画像保護フィルム1’は、耐熱性基材2と樹脂層3との間に離型剤層6が設けられている点以外は、図1に示す実施形態と同様に構成されており、上記の説明が適宜適用される。離型剤層6は、樹脂層3の耐熱性基材2からの良好な剥離性を得るための層で、画像保護フィルム1’の使用時には、最終的に耐熱性基材2と共に樹脂層3(保護層)から剥離される。離型剤層6に使用する離型剤としては、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、コロイダルシリカ、リン酸エステル系等の界面活性剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。また、離型剤層6の厚みは0.5〜5μm程度が好ましい。
【0036】
次に、本発明の保護層付き記録物について説明する。本発明の保護層付き記録物は、色材が付着した記録媒体上に、該色材を被覆する多層構造の保護層を設けてなる保護層付き記録物において、該保護層が、上記画像保護フィルムの樹脂層から形成されていることを特徴とする。上記画像保護フィルムを用いた保護層の形成方法は、後述する本発明の保護層付き記録物の製造方法における形成方法が適用できる。
【0037】
上記の色材が付着した記録媒体とは、印刷済みの記録媒体(記録物)である。印刷方法(色材の付着方法)としては、例えば、インクジェット記録方式、昇華転写方式、溶融転写方式、オフセット印刷方式、静電トナー記録方式などが挙げられ、特に制限されない。また、色材も特に制限されず、各種染料や顔料などが使用できる。
【0038】
上記記録媒体としては、印刷が可能なものであればよく、例えば、上質紙、再生紙、コピー用紙、ボンド紙、インクジェット記録用紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、樹脂被覆紙(レジンコート紙)、バライタ紙、板紙、和紙、不織布;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム等が挙げられ、特に制限されない。
【0039】
但し、干渉縞は、光沢度の高い記録媒体を使用した場合に特に問題となるため、干渉縞防止性に優れるという本発明の特長が活かされるという点で、上記記録媒体としては、被記録面(色材付着面)の75度鏡面光沢度(JIS P8142に準拠)が35%以上であるものを用いることが好ましい。このような光沢度の高い記録媒体には、塗工紙も非塗工紙も含まれ、キャスト法などにより鏡面光沢仕上げされた塗工紙などが挙げられ、市販品としては、セイコーエプソン社製「PM写真用紙」(75度鏡面光沢度47%)等がある。
【0040】
次に、上記画像保護フィルムを用いた本発明の保護層付き記録物の製造方法について説明する。
【0041】
本発明の保護層付き記録物の製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう)は、記録媒体の被記録面に顔料インクを吐出させて画像を記録するインクジェット記録工程、該インクジェット記録工程を経た該記録媒体と、上記画像保護フィルムとを、該被記録面と上記樹脂層とが対向するように重ね合わせ、加熱して圧着させる加熱圧着工程、及び該記録媒体上に圧着された該画像保護フィルムから、上記耐熱性基材を剥離する剥離工程を備える。
【0042】
図3は、上記製造方法の実施に使用する製造装置の要部を模式的に示した側面図である。この製造装置10は、ロール紙対応のインクジェットプリンタの記録ヘッドの後方に熱転写機構(フィルムラミネータ)を組み込んだ構成となっており、上記インクジェット記録工程を行うインクジェット記録部20と、上記加熱圧着工程及び剥離工程を行うラミネート部30とを備えている。また、排紙部付近にはカッター40が設けられており、連続シート(長尺のシート)を自動又は手動により所望の長さに切断してから、排紙できるようになっている。製造装置10の各部の構成は、公知のインクジェットプリンタ及び熱転写機構におけるものと実質的に同様である。
【0043】
インクジェット記録部20は、記録媒体Mの搬送方向に対して直交方向に双方向走査される記録ヘッド21を備えており、ロール状に巻き取られた状態の記録媒体Mの被記録面に対して、ノズル開口面21aのジェットノズル開口から各色インクを吐出するようになっている。記録媒体Mの搬送と記録ヘッド21の双方向走査とが繰り返されることにより、被記録面に所望の画像が形成される。
【0044】
記録ヘッド21は、一定時間間隔でインクを吐出し続け、吐出されたインク液滴を偏向させることにより画像を形成するコンティニュアス方式のものでもよく、画像データに対応してインクを吐出させるオンデマンド方式のものでもよいが、細かい打ち込み制御が可能、廃液量が少ないなどの点で、オンデマンド方式が好ましい。また、インク吐出方式には、ピエゾ素子等の電気機械変換体を用いてインクを吐出させる方式や、発熱抵抗体を有する発熱素子等の電気熱変換体によってインクを加熱して吐出させる方式等があるが、本発明では特に限定されない。
【0045】
ラミネート部30は、記録媒体Mの被記録面上に画像保護フィルム1を供給する供給手段31と、供給された画像保護フィルム1と記録媒体Mとを、樹脂層3(接着層5)と上記被記録面とが対向するように加熱圧着させる加熱圧着手段32と、記録媒体M上に加熱圧着された画像保護フィルム1から耐熱性基材2を剥離する剥離手段33とを備えている。
【0046】
供給手段31は、画像保護フィルム1、画像保護フィルム1が巻回されフィルム供給時に回転中心となる供給ロール、繰り出された画像保護フィルム1の記録媒体Mへの供給角度を調整する角度調整ロールなどを備えている。
【0047】
加熱圧着手段32は、ヒーターを内蔵する一対のロール(ヒートロール)を備え、両ロール間の間隔は任意に設定調整できるようになしてあり、一対の該ロール間を通過するシート状物に対して加熱加圧処理を行うことができる。加圧圧着手段としては、シート状物に対して加熱加圧処理ができるようなものであればよく、サーマルヘッド、アイロン、市販のラミネーター等でもよい。
【0048】
剥離手段33は、耐熱性基材2の剥離角度を調整する角度調整ロール、耐熱性基材2を巻き取る巻き取りロールなどを備えている。
【0049】
以上のような構成のラミネート部30における各部の動作について説明する。先ず、インクジェット記録部1により被記録面に画像が記録された記録媒体Mの該被記録面上に、供給手段31により、画像保護フィルム1が、該被記録面と樹脂層3(接着層5)とが対向するように供給され、重ね合わされて積層物とされる。
【0050】
次いで、上記積層物は、加熱圧着手段32の一対の上記ロール間を通されることにより、加熱下に加圧される(加熱圧着処理)。加熱は、画像保護フィルム側からからなされ、その加熱温度は、接着層5を形成する樹脂のTg以上とする。
【0051】
この加熱圧着処理により、被記録面上に接触した接着層5の樹脂が融解して流動性を帯び、該被記録面の凹凸になじんで十分な接着力が発現される結果、樹脂層3が該被記録面に密着性良く圧着されて、保護層Cが形成される。その後、上記積層物の温度が低下したところで、剥離手段33により耐熱性基材2が剥離される。このとき、樹脂層3(保護層C)は被記録面上にしっかりと密着しているので、該耐熱性基材2の剥離に伴い、樹脂層3が該被記録面から浮き上がったり剥がれたりすることがなく、画像の乱れのない保護層付き記録物が得られる。
【0052】
本発明の製造方法で使用する顔料インクとしては、インクジェット記録用のものであれば良く特に制限されない。インクジェット記録用の顔料インクは、水に顔料系色材を含有させた水性インクであり、通常、保湿や浸透調整等のため、各種有機溶剤や界面活性剤等が更に含有されている。顔料系色材は、界面活性剤等の分散剤が無添加あるいはごく少量添加された水性媒体中に分散及び/又は溶解が可能ないわゆる自己分散型顔料(表面改質顔料などとも呼ばれる)でも良く、自己分散型ではない通常の顔料でも良い。インク中の顔料系色材の含有量は、インクに要求される特性等を考慮して適宜調整され、通常、0.5〜30重量%程度である。また、カラー画像を形成する場合は、イエロー、マゼンタ及びシアンの減法混色の3原色の水性顔料インク、あるいはこれにブラックその他の色を加えた4色以上の水性顔料インクを用いる。
【0053】
本発明の画像保護用フィルムは、耐熱性基材上に剥離可能に積層され、画像が記録された記録物の画像面上に熱転写される樹脂層を有する画像保護フィルムにおいて、上記樹脂層が組成の異なる複数の層から構成されており、各層の屈折率の差が±0.02以内であることを特徴とするものであれば良く、上記実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では樹脂層は2層であったが、3層以上とすることもできる。
【0054】
また、図1又は図2に示す実施形態において、耐熱性基材2の裏面側(樹脂層3が設けられていない側)に耐熱スリップ層を設けて、ヒートロール等の加熱加圧装置への熱融着の防止や、耐ブロッキング性の向上、給紙時における滑り性の改善などを図ることもできる。この耐熱スリップ層は、シリコーン樹脂等を塗布して形成することができ、厚みは、通常、0.1〜10μm程度である。
【0055】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び本発明の効果を示す試験例を挙げ、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何等制限されるものではない。
【0056】
〔実施例1〕
耐熱性基材としてのPPフィルム(厚み20μm)の片面の全面に、下記組成の表層組成物1をワイヤーバーを用いて塗工し、乾燥させて、厚み5μmの表層を形成した後、該表層上に、下記組成の接着層組成物1をワイヤーバーを用いて塗工し、乾燥させて、厚み5μmの接着層を形成し、図1に示す如き構成の画像保護フィルムを作製した。表層の屈折率1.48、接着層の屈折率1.49、両層の屈折率差0.01であった。
【0057】
尚、上記画像保護フィルムは、干渉縞が目立ち易い条件とするため、表層の光沢度及び樹脂層の透明性が高くなるように調整されており、表層の20度光沢度(JIS−Z8741に準拠。以下同じ)55%、樹脂層(表層及び接着層)の全光線透過率(ASTM−D1003に準拠。以下同じ)92%であった。
【0058】
(表層組成物1)
「モビニール8030」(特殊共重合樹脂、クラリアント(株)製)80重量%、「Optolake 1120Z」(表面処理無機酸化物粒子、触媒化成工業(株)製)20重量%。
(接着層組成物1)
「モビニール727」(アクリル共重合樹脂、クラリアント(株)製)100重量%(表面処理無機酸化物粒子は使用せず)。
【0059】
〔実施例2〕
実施例1において、表層組成物1に代えて、下記組成の表層組成物2を使用した以外は実施例1と同様にして画像保護フィルムを作製した。このフィルムの表層の屈折率1.475、接着層の屈折率1.49、両層の屈折率差0.015、20度光沢度53%、全光線透過率92%であった。
【0060】
(表層組成物2)
「モビニール8030」(特殊共重合樹脂、クラリアント(株)製)85重量%、「Optolake 1120Z」(表面処理無機酸化物粒子、触媒化成工業(株)製)15重量%。
【0061】
〔実施例3〕
実施例1において、表層組成物1の厚みを2μmとした以外は実施例1と同様にして画像保護フィルムを作製した。このフィルムの表層の屈折率1.48、接着層の屈折率1.49、両層の屈折率差0.01、20度光沢度55%、全光線透過率92%であった。
【0062】
〔実施例4〕
実施例1において、表層組成物1の厚みを9μmとした以外は実施例1と同様にして画像保護フィルムを作製した。このフィルムの表層の屈折率1.48、接着層の屈折率1.49、両層の屈折率差0.01、20度光沢度54%、全光線透過率92%であった。
【0063】
〔実施例5〕
実施例1において、接着層組成物1の厚みを1μmとした以外は実施例1と同様にして画像保護フィルムを作製した。このフィルムの表層の屈折率1.48、接着層の屈折率1.49、両層の屈折率差0.01、20度光沢度53%、全光線透過率92%であった。
【0064】
〔実施例6〕
実施例1において、接着層組成物1の厚みを6μmとした以外は実施例1と同様にして画像保護フィルムを作製した。このフィルムの表層の屈折率1.48、接着層の屈折率1.49、両層の屈折率差0.01、20度光沢度55%、全光線透過率92%であった。
【0065】
〔実施例7〕
実施例1において、表層組成物1及び接着層組成物1に代えて、下記組成の表層組成物3及び接着層組成物2を使用した以外は実施例1と同様にして画像保護フィルムを作製した。このフィルムの表層の屈折率1.49、接着層の屈折率1.48、両層の屈折率差0.01、20度光沢度54%、全光線透過率92%であった。
【0066】
(表層組成物3)
「モビニール9000」(特殊共重合樹脂、クラリアント(株)製)100重量%(表面処理無機酸化物粒子は使用せず)。
(接着層組成物2)
「モビニール727」(アクリル共重合樹脂、クラリアント(株)製)80重量%、「Oscal 1132」(表面処理無機酸化物粒子、触媒化成工業(株)製)20重量%。
【0067】
〔比較例1〕
実施例1において、表層組成物1に代えて、下記組成の表層組成物4を使用した以外は実施例1と同様にして画像保護フィルムを作製した。このフィルムの表層の屈折率1.46、接着層の屈折率1.49、両層の屈折率差0.03、20度光沢度53%、全光線透過率92%であった。
【0068】
(表層組成物4)
「モビニール8030」(特殊共重合樹脂、クラリアント(株)製)80重量%、「Oscal 1122G」(表面処理無機酸化物粒子、触媒化成工業(株)製)20重量%。
【0069】
〔参考例〕
接着層組成物として、「モビニール727」(アクリル共重合樹脂、クラリアント(株)製)80重量%と「Oscal 1420S」(表面処理無機酸化物粒子、屈折率1.38、触媒化成工業(株)製)20重量%とからなる組成物を調製したところ、ゲル化を起こして塗工不能となった。「Oscal 1420S」は、粒子の中心部に空洞を有するSiの酸化物粒子で、水酸基の結合数は2以下である。
【0070】
(インクジェット記録物の作製)
インクジェットプリンタ(「MC2000」セイコーエプソン製)を用いて、イエロー、マゼンダ、シアン、ライトマゼンダ、ライトシアン及びブラックの6色の水性顔料インクにより、記録媒体(「PM写真用紙」セイコーエプソン社製、75度鏡面光沢度47%)の被記録面に対して、打ち込み量3.5mg/cm2で各色インクを印字し、インクジェット記録物を作製した。
【0071】
(加熱圧着物の作製)
上記インクジェット記録物の印字面上に、上記画像保護フィルムを、接着層と該印字面とが対向するように重ね合わせて積層させ、一対のヒートロール間を通過させることにより加熱圧着処理(線圧5.0kN/cm2、加熱温度100℃、ライン速度0.3m/min.参照)を行って、上記インクジェット記録物と上記画像保護フィルムとの加熱圧着物を作製し、それぞれ、実施例1〜7及び比較例1のサンプルとした。
【0072】
〔試験例〕
実施例1〜7及び比較例1の上記各サンプル(インクジェット記録物と画像保護フィルムとの加熱圧着物)について、剥離性を下記方法で評価した。また、上記各サンプルから支持体を剥離することにより得られる保護層付き記録物について、外観、干渉縞防止性、耐スクラッチ性、耐ブロッキング性を下記方法でそれぞれ評価した。これらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0073】
<剥離性の評価方法>
上記各サンプル(インクジェット記録物と画像保護フィルムとの加熱圧着物)から耐熱性基材のみを剥離して、保護層付き記録物を得た。剥離角度(耐熱性基材とインクジェット記録物とのなす角度)180度、剥離速度100cm/minとした。剥離時の様子及び保護層付き記録物の保護層表面を目視にて観察し、下記評価基準により評価した。
評価基準
A:耐熱性基材の剥離中に樹脂層が記録物の印字面から浮き上がらず、画像の滲みや剥がれがない。剥離性良好。
B:耐熱性基材の剥離中に樹脂層の印字面からの浮き上がりが一部において観られ、画像の滲みや剥がれ等が若干観られるが、実用上問題なし。
C:耐熱性基材の剥離中に樹脂層の印字面からの浮き上がりがかなりの部分において観られ、耐熱性基材の方に画像の一部分が移る。画像の滲みや剥がれがひどい。実用不可。
【0074】
〈外観の評価方法〉
上記保護層付き記録物の保護層を目視で観察し、気泡の混入が全く観られないものをA(外観良好)、気泡の混入がはっきりと観察できるものをB(実用に堪えない)とした。
【0075】
<干渉縞防止性の評価方法>
干渉縞を観察しやすい蛍光灯として、グレタグマクベス社製のジャッジIIのオプション光TL84を用い、この蛍光灯の下で上記保護層付き記録物の保護層表面を観察して、干渉縞が確認できないものをA(干渉縞防止性良好)、干渉縞がうっすらと見えるものをB(実用上問題なし)、干渉縞がはっきりと見えるものをC(実用に堪えない)とした。
【0076】
〈耐スクラッチ性の評価方法〉
上記保護層付き記録物の保護層の表面を、上記PM写真用紙の裏面で軽く擦ってから目視で観察し、該表面にキズが付かないものをA(耐スクラッチ性良好)、該表面にキズが付くものをB(実用に堪えない)とした。
【0077】
〈耐ブロッキング性の評価方法〉
上記保護層付き記録物のA4サイズを2枚用意し、一方の表面(保護層表面)と、他方の裏面(PM写真用紙の裏面)とが対向するようにこれら2枚を重ね合わせ、室温50℃、相対湿度60%の条件下、上から300g/cm2の荷重をかけた状態で24時間放置した。その後、剥離角度(対向する保護層と記録媒体とのなす角度)130度、剥離速度30cm/min.で重ねた2枚を剥がし、重ね合わされていた面の状態を目視で観察し、下記評価基準により評価した。
評価基準
A:保護層の上記裏面への移行が全く観られない。耐ブロッキング性良好。
B:保護層の一部が上記裏面へ移行しているが、実用上問題なし。
C:保護層の大部分が上記裏面へ移行しており、実用に堪えない。
【0078】
【表1】
Figure 2004195920
【0079】
【発明の効果】
本発明の画像保護フィルムは、樹脂層が多層構造となっているので、密着性(接着性)、耐ブロッキング性、耐スクラッチ性など、多くの優れた特性を具備し、さらに、該多層構造における各層の屈折率の差が±0.02以内となっているので、多層構造に起因する干渉縞の発生を防止することができる。
【0080】
また、本発明の保護層付き記録物の製造方法は、顔料インクを用いたインクジェット記録物に対して、上記画像保護フィルムを用いて保護層を形成するので、高画質・高品位で保存性にも優れた保護層付き記録物を効率よく製造することができる。
【0081】
また、本発明の保護層付き記録物は、その保護層が、上記樹脂層からなるため、保存性、光沢、耐ブロッキング性、耐スクラッチ性などに優れ、保護層形成前の記録物本来の風合いや質感が損なわれておらず、干渉縞も見られない高品位の記録物である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像保護フィルムの一実施形態の断面模式図である。
【図2】本発明の画像保護フィルムの別の実施形態の断面模式図である。
【図3】本発明の製造方法の実施に使用する製造装置の一実施形態を模式的に示した側面図である。
【符号の説明】
1 画像保護フィルム
2 耐熱性基材
3 樹脂層
4 表層
5 接着層
6 離型剤層
20 インクジェット記録部
30 ラミネート部
31 供給手段
32 加熱圧着手段
33 剥離手段
40 カッター
M 記録媒体
C 保護層

Claims (10)

  1. 耐熱性基材上に剥離可能に積層され、画像が記録された記録物の画像面上に熱転写される樹脂層を有する画像保護フィルムにおいて、
    上記樹脂層が組成の異なる複数の層から構成されており、各層の屈折率の差が±0.02以内であることを特徴とする画像保護フィルム。
  2. 上記樹脂層を構成する複数の層のうちの少なくとも一つの層が、無機酸化物粒子の表面に水酸基又はグリシジル基を3個以上結合させてなる表面処理無機酸化物粒子を含有していることを特徴とする請求項1記載の画像保護フィルム。
  3. 上記樹脂層が、上記耐熱性基材上に積層された厚み3〜8μmの表層と、該表層上に積層され熱転写時に上記画像面と接着する厚み2〜5μmの接着層とからなり、少なくとも該表層が、無機酸化物粒子の表面に水酸基又はグリシジル基を3個以上結合させてなる表面処理無機酸化物粒子を含有していることを特徴とする請求項1記載の画像保護フィルム。
  4. 上記表層がワックスを含有することを特徴とする請求項3記載の画像保護フィルム。
  5. 上記表層の20度光沢度が40%以上であることを特徴とする請求項3又は4記載の画像保護フィルム。
  6. 上記表面処理無機酸化物粒子を構成する上記無機酸化物粒子が、Si,Ti,Zr,Sb,Ta,Sn,W,Ce及びFeからなる群から選ばれる1種の酸化物粒子又はこれらの2種以上からなる複合酸化物粒子であることを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の画像保護フィルム。
  7. 上記表面処理無機酸化物粒子の含有量が、樹脂固形分100重量部に対して10〜200重量部であることを特徴とする請求項6記載の画像保護フィルム。
  8. 記録媒体の被記録面に顔料インクを吐出させて画像を記録するインクジェット記録工程、該インクジェット記録工程を経た該記録媒体と、請求項1〜7の何れかに記載の画像保護フィルムとを、該被記録面と上記樹脂層とが対向するように重ね合わせ、加熱して圧着させる加熱圧着工程、及び該記録媒体上に圧着された該画像保護フィルムから、上記耐熱性基材を剥離する剥離工程を備えたことを特徴とする保護層付き記録物の製造方法。
  9. 色材が付着した記録媒体上に、該色材を被覆する多層構造の保護層を設けてなる保護層付き記録物において、該保護層が、請求項1〜7の何れかに記載の画像保護フィルムの上記樹脂層から形成されていることを特徴とする保護層付き記録物。
  10. 上記記録媒体の上記色材付着面の75度鏡面光沢度が35%以上であることを特徴とする請求項9記載の保護層付き記録物。
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