JP4925102B2 - ラミネート印刷物の作製方法およびこれに用いる熱転写リボンと熱転写プレプリントリボン - Google Patents

ラミネート印刷物の作製方法およびこれに用いる熱転写リボンと熱転写プレプリントリボン Download PDF

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印刷物の耐久性を確保するため、印刷物にフィルムをラミネートすることが知られている。このラミネートされた印刷物を熱転写技術により作製する分野に関する。
印刷物の耐久性を確保するため、印刷被着体に印刷された印刷物に対して接着層が設けられたラミネートフィルムを被せて加熱、加圧してラミネートすることが知られている。従来の方法では、熱転写プリンタ、インクジェットプリンタ、レーザープリンタ等の印刷機を用いて、印刷被着体に印刷し、その後その印刷被着体にラミネートを施して印刷物を作製していた。(特許文献1,2)この方法で印刷被着体にラミネートする場合、印刷被着体の表面の凹凸等の影響により、印刷された画像品質が大きく変動していた。さらに印刷を熱転写プリンタで行う場合、この影響は大きなものであった。つまり、印刷被着体は、精細な画像を得るためには、予め専用の印刷被着体を用意する必要があった。
特許文献3には、融点が40〜200℃の単層の中間転写媒体に熱転写プリンタで画像を印刷し、この画像面と印刷被着体を重ね合わせて中間転写媒体自身を加熱加圧して、融着させて印刷物を作製する方法が記載されている。この方法では、印刷被着体がラフな表面を持つものにも画像記録できる印刷物を得ることできると記載されている。しかし、中間転写媒体は、ある程度の厚みが必要とされ且つ、ワックスおよびまたは樹脂からなる融点が40〜200℃と比較的低いものであるため、印刷被着体との融着時に中間転写媒体が揺らぎ、画像が歪む問題を有していた。また、中間転写媒体の融点が低いことから、中間転写媒体自身にキズが付きやすく、耐擦過性は高いものではなかった。
この問題に対して、本発明者らは、特許文献4で接着層が設けられたラミネートフィルムに熱転写プリンタで画像を印刷した後に、印刷被着体にラミネートして印刷物を作製する方法を提供した。この方法において、印刷が単色の印刷では良好な画像の印刷物を得ることができたが、フルカラー画像のような複数のカラーの熱転写リボンを重ねて熱転写する場合に、カラー画像が鮮明に印刷されない問題があった。この原因は、接着層のバインダーと熱転写リボンのバインダーが異なるため、1次色の着色インク層の接着層への転写性と転写された1次着色インク層の上に転写する2次色の着色インク層の転写性が異なってくるためである。通常、カラーインクのバインダーは、3色あれば3色共同じバインダーで構成されるが、ラミネートフィルムの接着層のバインダーは、EVA、EEA、PE、ポリアミド、ウレタン樹脂等から選択されたものからなり、カラーインクのバインダーと異なる場合が多いためである。
特開平08−39946号公報 特開2002−67504号公報 特許2552116号公報 特願2006−252209号公報
熱転写プリンタで印刷された印刷物を印刷被着体に、フィルムを使ってラミネートした印刷物を得る場合に、印刷被着体の表面が凹凸であったとしても、印刷被着体の材質が熱転写印刷に不適切な材質であったとしても、ラミネートされた印刷物のカラー画像が鮮明であり、耐擦過性の高い印刷物を作製する方法を提供するものである。さらにこの熱転写プリンタで使用する熱転写リボンおよび熱転写プレプリントリボン(以下、プレプリントリボンと呼ぶ。)を提供するものである。
第1発明は、カバーフィルムに熱転写プレプリントリボンを当てて、透明インク層を熱転写した後、透明インク層の上に熱転写リボンを使って画像を印刷し、その後印刷被着体の紙類に前記のカバーフィルムの画像面を重ね合わせてラミネートして印刷物を作製する方法であって、下記の要件を満足する印刷物を作製する方法
A)前記熱転写リボンの着色インク層のバインダーの主成分と前記熱転写プレプリントリボンの透明インク層のバインダーの主成分が同一の、軟化点が60℃〜100℃のエポキシ樹脂である。
(B)前記熱転写プレプリントの透明インク層の厚みが5〜15μmである。
(C)前記熱転写リボンの着色インク層の厚みが0.2〜1.0μmである。
第2発明は、第1発明の印刷物を作製する方法に使用される、前記カバーフィルム前記熱転写リボン、前記熱転写プレプリントリボン、および前記印刷被着体の紙類のセットである。
印刷被着体の品質に影響されず、ラミネートされた鮮明なカラー画像の印刷物を得ることが出来る。
本発明に用いるカバーフィルムは、OPP,PE,PET等の透明フィルムで厚みは、6〜100μmが用いられる。好ましくは、10〜30μmが用いられる。カバーフィルムは、透明フィルムに接着層を設けたラミネートフィルムと異なり、接着層のない透明フィルムそのものである。
プレプリントリボンの構成は、耐熱処理を裏面側に施した基材上に透明インク層を設けたものである。基材としては、各種耐熱フィルムが使用できるが、コスト、強度のバランスからPETフィルムが好ましい。基材の厚みは、2〜12μmの範囲のものが使用でき、特に2.5〜6μmが強度と熱伝導性から好ましい。透明インクは、バインダーとしての熱可塑性樹脂を主成分としたものである。熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール誘導樹脂、エチレン共重合樹脂、酢ビ樹脂等が使用可能で軟化点は、60〜160℃の範囲が好ましい。さらに好ましい軟化点は、60〜100℃の範囲である。また、特に印刷被着体が紙の場合好ましい熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂である。エポキシ樹脂を使うと、透明インクをカバーフィルムにプレプリントした後に、カバーフィルム上の透明インク層に熱転写リボンで着色インク層を熱転写する際の熱転写性が良好であると同時に紙へのラミネートが良好となる。
透明インク層の厚みは、1〜20μmが好ましい。さらに好ましくは、5〜15μmの範囲とする。
透明インクには、熱転写感度の調整のために熱転写リボンで挙げたワックス類を配合してもよい。印刷物をセピア調等に全体に調色したい場合は、透明インクに前記で挙げた着色剤を透明性が損なわない範囲で少量添加してもよい。透明インク層は、熱転写リボンとは別の基材上に設けてもよいし、熱転写リボンの着色インク層と面順次に設けてもよい。
この他、転写感度の点から透明インク層の上に接着層を設けても良い。同じく転写感度の点から基材と透明インク層の間に離型層を設けても良い。接着層、離型層には、上記着色インクで挙げた熱可塑性樹脂を主成分として用いることができる。離型層には、ラミネート時に画像が印刷されていない領域においては表面となるため、エポキシ樹脂を用いることが特に好ましい。また、離型層には、剥離調整剤として滑材等を配合してもよい。滑材としては、前記ワックス類が挙げられる。
熱転写リボンの構成は、耐熱層を裏面側に施した基材上に着色インク層を設けたものを用いる。基材としては、各種耐熱フィルムが使用できるが、コスト、強度のバランスからPETフィルムが好ましい。基材の厚みは、2〜12μmの範囲のものが使用でき、特に2.5〜6μmが強度と熱伝導性から好ましい。着色インク層は、バインダーと着色剤とからなるものである。バインダーとしては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール誘導樹脂、エチレン共重合樹脂、酢ビ樹脂等の熱可塑性樹脂を主成分として用いる。熱可塑性樹脂の軟化点は、60〜160℃が好ましい。さらに好ましい軟化点は、60〜100℃の範囲である。また、特に印刷被着体が紙の場合、好ましい熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂である。バインダーとして、エポキシ樹脂を主成分とする着色インクは、カバーフィルムへの熱転写性が良好であると同時に紙へのラミネートが良好となる。
着色インク層には、熱転写感度の調整のためにワックス類を配合してもよい。ワックス類としては、木ろう、蜜ろう、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、セレシンワックスなどの天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油系ワックス;酸化ワックス、エステルワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合ワックスなどの合成ワックス;高級脂肪酸として、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸;高級アルコールとして、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール;高級脂肪酸エステルとして、高級脂肪酸モノグリセリド、ショ糖の脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル;高級エーテルとして、ジステアリルエーテル;高級脂肪酸アミドとして、ステアリン酸アミド、オレイルアミドなどが挙げられる。これらのワックス類を1種または2種以上が使用できる。
着色剤は、熱転写記録媒体の分野で通常使用される顔料、染料を用いることができる。着色剤の着色インク層中の含有量は、30〜70重量%の範囲が好ましい。着色インク層の厚みは、0.2〜10μmが使用可能である。0.2〜1.0μmが特に好ましい。前記範囲未満であると印刷濃度が得られにくい。前記範囲を超えると印刷解像度が得られにくい。また、ブロッキング防止のために粒子成分、滑材成分を添加しても良い。
この他、印刷感度の点から着色インク層の上に接着層を設けても良い。同じく印刷感度の点から基材と着色インク層の間に離型層を設けても良い。接着層、離型層には、上記着色インクで挙げた熱可塑性樹脂を主成分として用いることができる。離型層には、ラミネート時表面となるため、エポキシ樹脂を用いることが特に好ましい。また、離型層には、剥離調整剤として滑材等を配合してもよい。滑材としては、前記ワックス類が挙げられる。
第1発明の印刷物の作製方法を説明する。カバーフィルムに熱転写プレプリントリボンを当てて、熱転写プリンタで透明インク層をカバーフィルムに熱転写する。透明インク層が熱転写する領域は、少なくとも印刷被着体にラミネートする領域より大きい領域とする。次に透明インク層の上に熱転写リボンを当てて、熱転写プリンタで画像を印刷する。画像は、単色であっても、複数のカラー熱転写リボンを使っての重ね熱転写によるカラー画像であってもよい。次に、印刷被着体にカバーフィルムの画像面を合わせて、ラミネーターに通してカバーフィルムをラミネートして印刷物が出来上がる。ラミネートする際の加熱温度は、80〜200℃の範囲が好ましい。通常2本のホットロールの間にこれらの物を通すことによってラミネートすることができる。このようにしてできた印刷物は、印刷被着体の表面が凹凸に荒れていても、最初に熱転写した画像の精細さは損なわれることがない。印刷物は、透明フィルムで覆われているので熱転写画像は、高い耐擦過性を得ることが出来る。
この方法は、透明インク層のバインダーとして、着色インク層を熱転写しやすいバインダーを選ぶことが出来るため、複数のカラー着色インク層を重ね転写する際に、良好な重ね転写を得ることが出来る。
プレプリントリボンを使用しないで、市販の接着層が設けられたラミネートフィルムにカラー着色インク層を重ね転写すると、接着層のバインダーと着色インク層のバインダーが異なることにより、1次着色インク層の転写性と1次色の上に転写する2次着色インク層の転写性が異なってくる。つまり、1次着色インク層が熱転写される際の、ラミネートフィルムの接着層の熱溶融性と、2次着色インク層が重ね熱転写される際の、1次着色インク層の熱溶融性が異なるのである。この理由により精細なカラー画像を得ることが出来きにくくなる。
よって、精細なカラー画像を得たい場合は、熱転写リボンのバインダーの主成分とプレプリントリボンのバインダーの主成分は、ともに同一であることが好ましい。
印刷被着体が紙である場合は、同一とするバインダーの主成分は、エポキシ樹脂とすると精細な印刷とラミネートの定着性を良好にするため特に好ましい。
また、3原色または黒色を入れた4原色の複数の熱転写リボンの着色インク層の熱溶融性を同一にすることが好ましい。これは、各着色インク層のバインダーを同じものとすることで同一の熱溶融性となり、重ね熱転写性が良好となり精細画像を得ることが出来る。複数の熱転写リボンは、各色ごとに分けた熱転写リボンであってもよいし、1つの基材に面順次に複数の着色インク層を設けた熱転写リボンであってもよい。
プレプリントリボンは、熱転写リボンと別に設けたものであってもよいし、熱転写リボンの基材上の着色インク層と面順次に透明インク層を設けたものであってもよい。
印刷被着体としては、PPC用紙、上質紙、コート紙、葉書などの紙類やプラスチックシート、プラスチックカード、光ディスク等が使用できる。
1.プレプリントリボンの作製
基材として、4.5μm厚みのPETフィルムの裏面に耐熱層を施したものを用意する。耐熱層の反対面の基材に表1の透明インク1〜3を塗布乾燥して厚み8μmの透明インク層を設けてプレプリントリボン1〜3を作製した。
表1 透明インク層の塗工液 (重量%)
Figure 0004925102

2.熱転写リボンの作製
基材として、4.5μm厚みのPETフィルムの裏面に耐熱層を施したものを用意する。耐熱層の反対面の基材に表1の着色インク1〜3を塗布乾燥して厚み0.8μmの着色インク層を設けて熱転写リボン1〜3毎に4色のリボンを作製し、合計12のリボンを作製した。
表2 着色インク層の塗工液 (重量%)
Figure 0004925102
*:着色顔料は、シアン(フタロシアニンブルー)、マゼンタ(キナクリドンマゼンタ)、イエロー(イソインドリノンイエロー)、ブラック(カーボンブラック)の4色を別個に使用した。
3.印刷物の作製
カバーフィルムとして、厚み9μmのPET基材を用いた。印刷被着体としては、PPC用紙、上質紙、キャストコート紙の3種類のものを用いた。熱転写プリンタは、テスト熱転写プリンタで600dpi解像度のものを使用した。ラミネータは、大成製TP600A2を使用した。ラミネート温度は、110℃とした。画像は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のリボンによるフルカラー画像を重ね熱転写印刷して形成した。
実施例1及び参考例2、3の印刷物として、カバーフィルムに熱転写プリンタを使用してプレプリントリボン1〜3でラミネートする領域より大きい領域に透明インク層を熱転写した。次に、熱転写リボン1〜3(各4色のリボン使用)を用いてフルカラー画像を印刷した。プレプリントリボンと熱転写リボンとの組み合わせは、表3の通りである。その後、ラミネートフィルムの画像面と印刷被着体を重ねてラミネートした。
比較例1〜3の印刷物として、ラミネートフィルム(厚み15μmのOPP基材に厚み15μmのEVA系ホットメルト接着層を設けたもの)に熱転写プリンタでプレプリントリボンを印刷せずに、熱転写リボン1〜3(4色のリボン使用)を用いて実施例と同じフルカラー画像を重ね熱転写印刷した。その後、ラミネートフィルムの画像面と印刷被着体を重ねてラミネートした。
4.評価方法
下記の評価方法にて評価した。評価結果は、表3の通りであった。
(1) 印刷性
熱転写印刷したカラー画像の精細さを目視で確認した。
○:良好なカラー画像が得られた。
×:色重ねにより感度差が出て、良好なカラー画像が得られない。
(2) ラミネート定着性
ラミネートした後のラミネートフィルムの定着性を目視で確認した。
○:完全に定着する。
△:定着するが剥がすとすぐに剥がれる。
×:定着しない。
表3 評価結果
Figure 0004925102

Claims (2)

  1. カバーフィルムに熱転写プレプリントリボンを当てて、透明インク層を熱転写した後、透明インク層の上に熱転写リボンを使って画像を印刷し、その後印刷被着体の紙類に前記のカバーフィルムの画像面を重ね合わせてラミネートして印刷物を作製する方法であって、下記の要件を満足する印刷物を作製する方法。
    (A)前記熱転写リボンの着色インク層のバインダーの主成分と前記熱転写プレプリントリボンの透明インク層のバインダーの主成分が同一の、軟化点が60℃〜100℃のエポキシ樹脂である。
    (B)前記熱転写プレプリントの透明インク層の厚みが5〜15μmである。
    (C)前記熱転写リボンの着色インク層の厚みが0.2〜1.0μmである。
  2. 請求項1の印刷物を作製する方法に使用される、前記カバーフィルム前記熱転写リボン、前記熱転写プレプリントリボン、および前記印刷被着体の紙類のセット
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