JP2004193731A - 移動体通信用レンズアンテナ装置 - Google Patents

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哲夫 岸本
Toshihiro Kubo
歳弘 久保
Kiyoshi Murakami
清志 村上
Masahiko Yoshida
征彦 吉田
Takeshi Nakatogawa
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【課題】ルーネベルグレンズを用いたアンテナ装置を移動体に搭載して静止衛星などからの電波を高感度に受信することを可能ならしめる。
【解決手段】反射板3aを有する半球状のルーネベルグレンズ3と、支持アーム4と、一次放射器5から成るアンテナ2をカバー10に揺動自在に吊り下げて振り子方式の水平化機構6を構成し、アンテナ2を自然の力で水平に保つ。傾き修正機構7を併用してもよい。また、方位検知手段8によってアンテナの方位を検出し、その検出信号に基づいて制御される方位調整機構9でアンテナ2を常時特定の方位に向けるようにした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、船舶、車両等の移動体に搭載し、静止衛星などからの電波を受信する移動体通信用レンズアンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ルーネベルグレンズを用いた衛星通信用アンテナとして、例えば、下記特許文献に示されるものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−25732号公報
【特許文献2】
特開2000−165131号公報
【特許文献3】
特開2001−352211号公報
【特許文献4】
特開2000−83645号公報
【特許文献5】
特開2001−44746号公報
【特許文献6】
特開2001−102857号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献のアンテナは、いずれも静止衛星や周回衛星を通信相手にした地上設置用のアンテナであり、設置面の傾きや揺れ動きは全く考慮されていない。従って、設置面の位置、方位が変化し、しかも設置面が揺れ動く移動体用としては使用できない。
【0005】
ルーネベルグレンズを用いたアンテナは、従来の移動体通信用アンテナと違って同時に複数の電波に対応でき、かつ、どの方向に対しても指向性が鋭く高ゲインであるなどの利点があることから、移動体用としても大きな期待が寄せられているが、移動体は位置、方位が刻々と変化し、また、船舶は特に、揺れも著しく、このため、従来の地上固定用のレンズアンテナでは移動による焦点の変動が起こり、電波を安定して捕捉することができない。
【0006】
なお、移動体の移動によるアンテナの方位のずれには比較的簡単に対応できるが、揺れによる焦点の変動に対して一次放射器の位置を変えて対応しようとするとアンテナ装置が複雑かつ高価なものになってしまう。また、この方法は位置変更の応答遅れが考えられ、実用性のあるアンテナ装置を得るのも難しい。
【0007】
この発明は、上記の不具合をなくしてルーネベルグレンズを用いたアンテナを機構の複雑化やコストアップを抑えて移動体用として使用できるようにすることを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明においては、球状又は反射板を有する半球状のルーネベルグレンズ、一次放射器、及び一次放射器の支持アームを備えるアンテナと、そのアンテナの水平化機構を有する水平調整機構と、方位検知手段を含むアンテナの方位調整機構とを具備し、前記方位検知手段からの検知信号に基づく方位調整がなされてアンテナが常時特定の方向を向き、さらに、水平化機構による水平化でアンテナが常時水平を保つようにした移動体通信用レンズアンテナ装置を提供する。
【0009】
前記水平化機構として、アンテナを揺動自在に吊り下げて構成される振り子方式の機構を用いる移動体通信用レンズアンテナ装置や、前記水平調整機構にアンテナ設置面の傾きを修正するアクティブまたはパッシブタイプの傾き修正機構を含ませた移動体通信用レンズアンテナ装置も併せて提供する。
【0010】
これ等のアンテナ装置は静止衛星用として特に適し、静止衛星からの電波の受信に利用すると機構の簡素化や、コスト低減なども同時に実現できる。
【0011】
また、振り子を用いた水平化機構は地球の重力を利用したパッシブな機構であり、激しい揺れが想定される場合には問題があるので、必要に応じてアンテナ設置面の傾きを自動修正する傾き修正機構を併用する。この傾き修正機構は、駆動系を有するアクティブ方式、自然の力を利用するパッシブ方式のどちらであってもよい。
【0012】
方位調整機構は、方位検知手段からの情報に基づいて方位調整用の駆動系を制御し、アンテナを常時特定の方向に向けるものを用いる。
【0013】
方位検知手段は、GPS(汎世界測位システム)装置、ジャイロコンパス、地磁気方位計などが適しており、検知精度を上げるためにこれ等の中から選ばれたものを複数組み合わせて設置してもよい。
【0014】
【作用】
この発明では、水平化機構を設けてアンテナを常時水平に保つので、振動や揺れによる影響を受けない。
【0015】
また、方位検知手段からの検知信号に基づいてアンテナの方位を自動調整する方位調整機構を設けてアンテナを常に特定の方位に向けるので、移動体の進行方位の変化による影響も受けない。
【0016】
従って、静止衛星等、常に同じ方向にある通信相手に対しては一次放射器の位置(レンズとの相対位置)を変えずに(移動エリアが広い場合には微調整が必要となることがある)対応することができ、ルーネベルグレンズの特徴を生かして衛星からの電波を高感度に受信することが可能になる。
【0017】
また、水平化機構として、地球の重力を利用した振り子方式の機構を採用したので、機構の簡素化や低コスト化も図れる。
【0018】
このほか、パッシブな水平化機構とアクティブな傾き修正機構を併用するものは、アンテナの水平保持がより正確になされ、電波の捕捉性能がさらに向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1に、この発明の移動体通信用レンズアンテナ装置の実施形態を示す。このアンテナ装置1は、図1、図2に示すアンテナ2、即ち、反射板3aを有する半球状のルーネベルグレンズ3、レンズ3を跨ぐアーチ状の支持アーム4、この支持アーム4で支えてレンズの電波の焦点部に配置する一次放射器5とから成るアンテナ2と、水平化機構6を有するアンテナの水平調整機構と、アンテナの方位を検出する方位検知手段8と、方位調整機構9と、電波を透過させるカバー10とで構成される。
【0020】
水平化機構6は、ユニバーサルジョイント6aを介してカバー10にアンテナ2を揺動自在に吊り下げた振り子方式の機構であり、カバー10の傾きが振り子の原理によって吸収され、アンテナ2が水平に保たれる。
【0021】
振り子の振れの支点となる部材は、ベアリングなどを使用して支軸の摩擦抵抗を小さくしたものが好ましい。図はユニバーサルジョイント6aを用いているがこれに限定されない。
【0022】
アンテナ2はバランスウエイト11を用いて重心を調節し、吊り下げられたときの姿勢が水平になるようにしている。このアンテナ2は、支持アーム4の仰角を角度制御モータ4aで制御できるようにし、また、一次放射器5の支持アーム4上でのアーム長手方向位置(レンズ上での方位)も調整できるようにしているが、移動体の移動範囲によってはこれ等の構成は不要な場合がある。
【0023】
アンテナ2の水平維持は、水平化機構6のみで行うこともできるが、図3に示すように、水平化機構6と傾き修正機構7を組み合わせた水平調整機構を採用すると、より精密な制御を行える。
【0024】
図3の傾き修正機構7は、起き上がりこぼし方式の機構であり、カバー10を支える支持板7aの下部に外面が球面のウエイト7bを取り付け、そのウエイト7bの外面を受け具7cで揺動可能に受け支えている。この図3の傾き修正機構7はパッシブタイプであるが、アンテナ設置面を傾けようとする力やジャイロ水平儀、水平器などの水準器で人工的に得た水平面に対するアンテナ設置面の傾きを検知し、フィードバック制御を行って駆動系でカバー設置面を水平に保つアクティブタイプの傾き修正機構を採用してもよい。そのような機能を持つ市販の水平ステージ(多軸自由度位置決め機構)が存在し、そのステージ上にカバー10を設置することもできる。
【0025】
アンテナ設置面との間に制振材や制振マウントなどを介在してカバー10に伝わる振動を途中で吸収するようにしてもよい。
【0026】
図1、図3のアンテナ装置は、カバー10にアンテナ2を回転させる方位調整機構9の方位制御モータ9aを取り付けている。また、カバー10上に方位検知手段(図示せず)を設けている。方位検知手段はGPS装置と方位センサを組み合わせて用いており、高度な方位検知が行える。
【0027】
方位調整機構9は、GPS装置と方位センサとから成る方位検知手段によってカバー10の向きを検知し、移動体の進行方向が変わってカバー10の向きが基準方位からずれるときに、ずれに基づくフィードバック制御を行って方位制御モータ9aでアンテナ2を常時特定の方位に向ける(例えば反射板3aの正面を真南に向ける)。
【0028】
アンテナ2に含ませる支持アーム4は、レンズ3の表面に沿って起立する図4に示すような片持ち支持の彎曲したアームであってもよい。
【0029】
以上のように構成したレンズアンテナ装置1は、図3の如き傾き修正機構を備えているものはその傾き修正機構7によりカバー設置面Bの傾きが修正されるので、アンテナ設置面Aが大きく傾いてもカバー10が傾くことがない。また、傾き修正のタイミング遅れなどでカバー設置面Bが仮に傾いても、振り子方式の水平化機構6によりその傾きが吸収されてアンテナ2が常に水平に保たれる。
【0030】
また、アンテナ装置1を搭載した移動体の進行方位が変わると方位調整機構9が作動してアンテナ2が常に特定の方位に向けられる。
【0031】
従って、通信相手が例えば静止衛星である場合には、移動体の移動方位の変化や揺れがあっても一次放射器5が電波の焦点部から大きくずれることがなく、静止衛星からの電波を安定して捕捉することができる。
【0032】
なお、アンテナ2はカバー10以外の部材に吊り下げてもよく、カバー10は必須の要素とはならない。
【0033】
また、大きな揺れや衝撃的な揺れが起こらない移動体に搭載するアンテナ装置は、傾き修正機構7がなくても電波の安定した捕捉が行える。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明のレンズアンテナ装置は、アンテナを常時水平に保つ水平化機構と、方位検知手段手段からの方位情報に基づいてアンテナを常時特定の方向に向ける方位調整機構とを設けたので、位置及び進行方位の変化と揺れが不可避の移動体に搭載して静止衛星などからの電波を安定して高感度に受信することができる。
【0035】
また、ルーネベルグレンズを使用しているので、複数の電波に対応でき、アンテナ装置の簡素化や低コスト化も図れる。
【0036】
さらに、アンテナの水平維持を自然の力を利用する振り子方式の水平化機構によって行うので、機構が複雑にならず、コスト面でさらに有利になる。
【0037】
なお、パッシブな水平化機構とアクティブあるいはパッシブな傾き修正機構を併用した水平調整機構を備えるものは、アンテナの水平維持がより安定してなされ、激しい揺れが想定される移動体に採用しても通信相手からの電波を確実に捕捉することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のレンズアンテナ装置の実施形態を示す断面図
【図2】図1のレンズアンテナ装置に採用したアンテナの平面図
【図3】レンズアンテナ装置の他の実施形態を示す断面図
【図4】この発明の装置に用いるレンズアンテナの他の例を示す斜視図
【符号の説明】
1 レンズアンテナ装置
2 アンテナ
3 ルーネベルグレンズ
3a 反射板
4 支持アーム
4a 角度制御モータ
5 一次放射器
6 水平調整機構(水平化機構)
6a ユニバーサルジョイント
7 傾き修正機構
8 方位検知手段
9 方位調整機構
9a 方位制御モータ
10 カバー
11 バランスウエイト
A アンテナ設置面
B カバー設置面

Claims (4)

  1. 球状又は反射板を有する半球状のルーネベルグレンズ、一次放射器、及び一次放射器の支持アームを備えるアンテナと、そのアンテナの水平化機構を有する水平調整機構と、方位検知手段を含むアンテナの方位調整機構とを具備し、前記方位検知手段からの検知信号に基づく方位調整がなされてアンテナが常時特定の方向を向き、さらに、水平化機構による水平化でアンテナが常時水平を保つようにした移動体通信用レンズアンテナ装置。
  2. 前記水平化機構として、アンテナを揺動自在に吊り下げて構成される振り子方式の機構を用いた請求項1記載の移動体通信用レンズアンテナ装置。
  3. 前記水平調整機構にアンテナ設置面の傾きを修正するアクティブまたはパッシブタイプの傾き修正機構を含ませた請求項1または2記載の移動体通信用レンズアンテナ装置。
  4. 通信相手を静止衛星に限定した請求項1乃至3のいずれかに記載の移動体通信用レンズアンテナ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016121476A (ja) * 2014-12-25 2016-07-07 ニッケン株式会社 排水性舗装路の透水性測定方法及び測定装置
WO2017069482A1 (ko) * 2015-10-22 2017-04-27 주식회사 하버맥스 선박 및 해양구조물용 능동형 기지국 추적 다중 안테나장치 및 능동형 기지국 추적 안테나장치

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