JP2004205411A - 目標追尾装置およびその方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】動揺する構造物上において、高精度に追尾制御を行いながら、指向軸の大振幅動作を回避する。
【解決手段】安定台上に、指向軸を方位角軸および仰角軸周りに回転可能に支持する追尾機構部を設け、通常時は、安定台を水平に維持するとともに追尾機構部を制御して目標を追尾し、目標が天頂付近の所定の範囲に存在するときは、仰角軸周りの回転角を固定し、代わりに安定台を傾斜させて目標を追尾する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、指向軸を目標に指向させる追尾装置およびその方法に関し、特に、動揺や振動をともなう構造物あるいは車両や船舶等の移動体に搭載されたアンテナ等の指向方向を目標に追尾させるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
動揺や振動をともなう構造物あるいは車両や船舶等の移動体に搭載されたアンテナ等の指向方向に目標物を追尾させる追尾機構としては、2軸駆動機構である方位角−仰角駆動機構やXY軸駆動機構が知られている。
【0003】
図8は、方位角−仰角駆動の追尾機構の構成を示す図である。図8において、アンテナAは、互いに直交する仰角軸71と方位角軸72とによって、平板状の構造物S上に支持されている。この仰角軸71と方位角軸72とを駆動し、軸周りに回転させることにより、アンテナAの指向方向の仰角と方位角とを変化させることができる。以下、仰角軸71の軸周りの回転角度を駆動仰角と呼び、方位角軸72の軸周りの回転角度を駆動方位角と呼ぶ。このような機構では、構造物Sの動揺(傾斜角等)をセンサによって検出し、当該傾斜角等と目標物の方向とに基づいて駆動仰角および駆動方位角を計算する。そして、計算された駆動仰角と駆動方位角とに基づいて仰角軸71と方位角軸72とを駆動することにより、アンテナAを目標物の方向へ指向させている。
【0004】
図8の追尾機構の追尾動作を簡単に説明する。図8に示される座標は慣性座標であって、そのxy平面は水平面と平行である。初期状態、すなわち駆動方位角0°、駆動仰角0°、構造物Sが水平の状態において、仰角軸71はx軸に、方位角軸72はz軸にそれぞれ平行である。この条件において、方位角0°(yz平面内)に存在する目標物の水平に対する仰角が70°から90°に変化した場合の追尾動作を考える。図9は、図8の追尾機構における、目標物への仰角と駆動方位角、駆動仰角との関係を示す図である。図9に示されるとおり、構造物Sが水平面と平行であるとき、駆動方位角を0°に維持し、駆動仰角を70°から90°に変化させればよい。これに対し、構造物Sが動揺し、水平に対してy軸周りに10°回転しているときは、駆動仰角を約68°から80°に、駆動方位角を約25°から90°に回転させる必要がある。すなわち、駆動方位角を大きく変化させる必要があり、方位角軸72の動作が大振幅動作となる。このような大振幅動作は、方位角軸72の駆動機構に対する機械的な要求を厳しくし、さらには追尾遅れを招いてしまう。
【0005】
また、目標物が方位角0°(yz平面内)、仰角80°の方向に存在する場合において、構造物Sがy軸周りに−10°から10°の回転振幅動作をするとき、駆動仰角を約75°から80°の範囲で、駆動方位角を約−45°から45°の範囲で変化させる必要がある。すなわち、駆動方位角を大きく変化させる必要があり、方位角軸72の動作が大振幅動作となる。さらに、直交偏波の送受信に対応させるためアンテナAそのものを指向軸周りに回転させる場合、目標物に対して指向軸周りの回転角度を一定に保つには、指向軸も約−45°から45°の範囲で変化させる必要があり、指向軸の動作も大振幅動作となる。
【0006】
図10は、XY軸駆動の追尾機構の構成を示す図である。図10において、アンテナAは、互いに直交するX軸81とY軸82とによって、平板状の構造物S上に支持されている。X軸81およびY軸82を駆動し、軸周りに回転させることにより、アンテナAの指向方向を変化させることができる。以下、X軸81の軸周りの回転角度をX軸回転角と呼び、Y軸82の軸周りの回転角度をY軸回転角と呼ぶ。
【0007】
図10の追尾機構の追尾動作を簡単に説明する。図10に示される座標は慣性座標であって、そのxy平面は水平面と平行である。初期状態、すなわちX軸回転角0°、Y軸回転角0°、構造物Sが水平の状態において、X軸81はx軸に、Y軸82はy軸にそれぞれ平行である。この条件において、方位角0°(xz平面内)に存在する目標物の水平に対する仰角が0°から20°に変化した場合の追尾動作を考える。図11は、図10の追尾機構における、目標物への仰角とX軸回転角、Y軸回転角との関係を示す図である。図11に示されるとおり、構造物Sが水平面と平行であるとき、X軸回転角を0°に維持し、Y軸回転角を90°から70°に変化させればよい。これに対し、構造物Sが動揺し、z軸周りに10°回転しているときは、X軸回転角を約90°から25°に、Y軸回転角を約80°から68°に回転させる必要がある。すなわち、X軸回転角を大きく変化させる必要があり、X軸81の動作が大振幅動作となる。また、XYZ軸駆動機構では、直交偏波の送受信に対応させるためZ軸を回転させ、アンテナAそのものを指向軸周りに回転させる。このとき、X軸81の回転に応じてZ軸を回転させる必要があるため、Z軸周りの回転も大振幅動作となる。
【0008】
このような大振幅動作を防止することができる機構として、方位角−仰角駆動機構に更に1つの軸を追加した3軸駆動機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この機構において、3つ目の軸は、駆動仰角90°において、方位角軸と仰角軸それぞれに直角となるように、仰角軸上に設けられている。この機構は、高仰角時には、3つ目の軸を駆動することにより、XY軸駆動機構と同様に動作し、大振幅動作を防止する。
【0009】
しかし、3軸駆動機構は、2軸駆動機構と同様に、構造物の動揺をセンサで検出して軸の駆動を制御するため、本質的にセンサの誤差の影響を強く受ける。このため、高精度な追尾制御を行うことが困難である(参考文献:吉田憲正、“空間安定装置の高精度化の研究”、日本機会学会論文集(C編)、Vol.65,No.630,pp.485-492,1999.、参照)。さらに、座標変換を常に行う必要があるため、また、追加された3つ目の軸の駆動量を計算する必要があるため、追尾制御のための計算が複雑になってしまう。
【0010】
上記の2軸駆動機構、3軸駆動機構の他に、4軸駆動機構が知られている(例えば、特許文献2参照)。図12、13は、4軸駆動機構の構成を示す図である。図12では、平板状の構造物Sの上に、2つの軸91、92によって支持された水平安定台93が設けられており、この水平安定台93の上に、方位角−仰角駆動機構の追尾機構が設置されている。図13では、水平安定台93の上に、XY軸駆動機構の追尾機構が設置されている。図12、13において、水平安定台93を支持する2つの軸91、92の回転角度が制御されることにより、水平安定台93が水平に維持される。すなわち、2軸91、92で水平安定機構が構成され、その上に2軸(図12では94と95、図13では96と97)で追尾機構が構成されている。このような機構では、水平安定台93の運動を計測し、計測結果に基づいて水平安定機構の2つの軸91、92を制御することにより、水平安定台93を水平に維持する。一方、追尾機構の2つの軸(図12では94と95、図13では96と97)を制御することにより、指向軸を目標物に指向させる。この4軸駆動機構によれば、動揺に対して水平を維持する水平安定機構の制御系と、指向方向をトラッキングする追尾機構の制御系とに分離して設計できるため、また、動揺を検出するためのセンサを水平安定台93に搭載する構成であるため、高精度な追尾制御が可能となる。
【0011】
図12の4軸駆動機構では、構造物Sの動揺を水平安定台93で補償するので、図8の2軸駆動機構よりも高仰角に対応できる。しかし、水平安定台93が水平に対して0.5°傾斜する場合、図14に示されるとおり、目標物の水平に対する仰角が87°以上になると、駆動方位角が急激に上昇する。すなわち、目標物が天頂付近に存在するときは、やはり方位角軸94の動作が大振幅動作となってしまい、方位角軸94の駆動機構に対する機械的要求が厳しいものとなってしまう。
【0012】
同様に、図13の構成は、図10の構成よりも低仰角に対応できるが、その対応範囲には図12の構成と同様に限界がある。図15に、図13の構成における、目標物への仰角とX軸96の回転角、Y軸97の回転角との関係を示す。
【0013】
【特許文献1】
特開平11−308604
【特許文献2】
特開平06−90106
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、動揺する構造物上に設置された追尾装置において、高精度に追尾制御を行いながら、方位角軸線周り等の指向軸の大振幅動作を回避することができる目標追尾装置およびその方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決し、目的を達成するための第1の発明は、動揺する物体上において指向軸を目標に指向させるための目標追尾装置であって、前記指向軸を当該指向軸に直交する第1の軸線と当該第1の軸線に直交する第2の軸線との2つの軸線周りに回転可能に支持する追尾機構部と、水平面に設定された基準座標系における前記第2の軸線の方向が可変となるように前記追尾機構部を支持するとともに前記物体に設置される安定機構部と、前記指向軸が前記目標を指向するように前記第1および第2の軸線周りの回転角を制御する追尾制御部と、前記指向軸と前記第2の軸線とのなす角が所定の角度以上を保つように前記第2の軸線が維持すべき前記基準座標系における方向を設定する方向設定部と、当該方向設定部によって設定された方向を前記第2の軸線が維持するように前記安定機構部を制御する安定制御部と、を有することを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、安定制御部は、第2の軸線が一定の方向を維持するように安定機構部を制御するので、追尾機構部の姿勢が安定する。このため、目標の追尾が安定する。さらに、方向設定部は、指向軸と第2の軸線とのなす角が所定の角度以上を保つように第2の軸線が維持すべき方向を設定するので、指向軸と第2の軸線とが略同一方向を向くことによって生じる第2の軸線周りの大振幅動作が回避される。
【0017】
また、第2の発明は、上記第1の発明の目標追尾装置において、前記追尾機構部は、前記指向軸を当該指向軸に直交して支持する第1の軸と、当該第1の軸を回転可能に支持する支持部材と、当該第1の支持部材に前記第1の軸に直交して固定されるとともに前記安定機構部に回転可能に支持される第2の軸とを備え、前記追尾制御部は、前記第1および第2の軸を回転させることを特徴とする。
【0018】
また、第3の発明は、上記第1または第2の発明の目標追尾装置において、前記安定機構部は、前記追尾機構部を支持する安定台と、当該安定台を水平面に対する傾斜が可変となるように支持し前記物体に設置される傾斜可変機構とを備え、前記方向設定部は、前記安定台が維持すべき水平面に対する傾斜を設定し、前記安定制御部は、設定された傾斜を前記安定台が維持するように前記傾斜可変機構を制御することを特徴とする。
【0019】
また、第4の発明は、上記第3の発明の目標追尾装置において、前記第2の軸線は前記安定台に垂直に設定され、天頂方向と前記目標の方向とのなす角が前記所定の角度以上の場合には、前記方向設定部は前記安定台が維持すべき水平面に対する傾斜をゼロに設定し、一方、所定の角度未満の場合には、前記追尾制御部は前記第1の軸周りの回転角を固定し、前記方向設定部は前記指向軸が前記目標を指向するように前記安定台が維持すべき傾斜を設定することを特徴とする。
【0020】
また、第5の発明は、上記第3の発明の目標追尾装置において、前記第2の軸線は前記安定台に平行に設定され、前記安定台が水平にされた場合における前記第2の軸線と前記目標の方向とのなす角が前記所定の角度以上のときには、前記方向設定部は前記安定台が維持すべき水平面に対する傾斜をゼロに設定し、一方、所定の角度未満のときには、前記追尾制御部は前記第1の軸周りの回転角を固定し、前記方向設定部は前記指向軸が前記目標を指向するように前記安定台が維持すべき傾斜を設定することを特徴とする。
【0021】
また、第6の発明は、指向軸を当該指向軸に直交する第1の軸線と当該第1の軸線に直交する第2の軸線との2つの軸線周りに回転可能に支持する機構を用いて、動揺する物体上において指向軸を目標に指向させる目標追尾方法であって、天頂方向と前記目標の方向とのなす角が所定の角度以上の場合には、前記第2の軸線の方向を天頂方向に維持するとともに、前記目標を指向するように前記指向軸を前記第1および第2の軸線周りに回転させ、一方、所定の角度未満の場合には、前記第1の軸線周りの回転角を固定し、前記指向軸が前記目標を指向するように前記第2の軸線を天頂方向に対して傾けることを特徴とする。
【0022】
また、第7の発明は、指向軸を当該指向軸に直交する第1の軸線と当該第1の軸線に直交する第2の軸線との2つの軸線周りに回転可能に支持する機構を用いて、動揺する物体上において指向軸を目標に指向させる目標追尾方法であって、前記第2の軸線が水平にされた場合における前記第2の軸線と前記目標の方向とのなす角が前記所定の角度以上の場合には、前記第2の軸線を水平に維持するとともに、前記目標を指向するように前記指向軸を前記第1および第2の軸線周りに回転させ、一方、所定の角度未満の場合には、前記第1の軸線周りの回転角を固定し、前記指向軸が前記目標を指向するように前記第2の軸線を水平面に対して傾けることを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る目標追尾方法およびその装置についての好適な実施形態を第1の実施形態から第4の実施形態に分けて詳細に説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る目標追尾装置の全体構成を示す概略ブロック図である。図1において、目標追尾装置は、船舶等の動揺する構造物に取り付けられる安定機構部10とこの上に設置される追尾機構部20とを有する。安定機構部10は、安定台11と当該安定台11を傾斜可変に支持し構造物に設置される傾斜可変機構12とを備えている。さらに、目標追尾装置は、追尾機構部20を制御する追尾制御部30と、安定台11が維持すべき水平面に対する傾斜を設定する方向設定部40と、当該方向設定部40によって設定された傾斜を安定台11が維持するように傾斜可変機構12を制御する安定制御部50とを有する。本実施形態では、追尾機構部20にはアンテナAが取り付けられており、目標追尾装置は、指向軸であるアンテナAのビーム軸Abを目標物である衛星Bに指向させる。なお、指向軸や目標がこれらに限定されないことは言うまでもない。
【0025】
図2は、安定機構部10および追尾機構部20の構成を示す斜視図である。図2において、船舶平面Sに、安定機構部10が取り付けられ、その上に方位角−仰角駆動機構の追尾機構部20が設置されている。具体的に説明すると、船舶平面Sには、固定された支柱12aによって船舶平面Sに対して平行に第1の安定軸12bが回転可能に設置されている。この第1の安定軸12bには略ロ字形の安定台フレーム12cが固定されている。安定台フレーム12cには、当該安定台フレーム12cの中心において第1の安定軸12bと直交するように第2の安定軸12dが回転可能に支持されている。この第2の安定軸12dに平面状の安定台11が固定されている。このような安定機構部10の上には、次のように追尾機構部20が設置されている。安定台11の中心上面には、当該安定台11に対して垂直に円柱状の方位角軸21が回転可能に設けられている。この方位角軸21の互いに対向する2つの側面には仰角軸支持部材22が固定されており、この仰角軸支持部材22には、方位角軸21に直交して仰角軸23が回転可能に支持されている。仰角軸23には、当該仰角軸23と指向軸とが直交するように指向方向軸24が回転可能に支持されており、この指向方向軸24には、当該指向方向軸24とビーム軸Abの方向が一致するように、アンテナA(不図示)が取り付けられる。
【0026】
図3は、本実施形態に係る目標追尾装置の全体構成を示す詳細ブロック図である。図3において、安定制御部50は、安定台11の姿勢角を検出するジャイロ等からなる姿勢角検出部51と、第1および第2の安定軸12b、12dを駆動するためのモータ等からなる第1および第2の駆動部52、53と、安定演算部54とを有する。追尾制御部30は、衛星Bからの電波を受信するアンテナAと、当該アンテナAの受信信号に基づいて追尾誤差を検知する追尾誤差検知部31と、仰角軸23を駆動する仰角軸駆動部32と、方位角軸21を駆動する方位角軸駆動部33と、追尾演算部34とを有する。方向設定部40は、仰角軸23周りの回転角である駆動仰角θELを検出するエンコーダ等の駆動仰角検出部41と、方位角軸21周りの回転角である駆動方位角θAZを検出する駆動方位角検出部42と、姿勢角検出部51(安定制御部50と共用)と、アンテナA(追尾制御部30と共用)と、追尾誤差検知部31(追尾制御部30と共用)と、傾斜演算部43とを有する。
【0027】
以下、上記構成を有する目標追尾装置の動作について説明する。
はじめに、安定制御部50の動作について説明する。まず、安定演算部54は、傾斜演算部43から傾斜制御情報の入力を受ける。この傾斜制御情報は、安定台11が維持すべき第1および第2の安定軸12b、12d周りの水平面に対する姿勢角α0、β0を示す情報であって、方向設定部40によって設定されるものである。安定演算部54は、姿勢角検出部51から入力される安定台11の実際の水平面に対する姿勢角α、βと、姿勢角α0、β0とを比較し、両者を一致させるように、第1および第2の駆動信号を生成する。安定演算部54は、これらの駆動信号を第1および第2の駆動部52、53に出力する。第1および第2の駆動部52、53は、駆動信号に応じて第1および第2の安定軸12b、12dを回転させる。上記の動作を繰り返すことにより、安定制御部50は、安定台11の傾斜を所定の傾斜に維持する。
【0028】
つぎに、追尾制御部30の動作について説明する。まず、追尾演算部34は、追尾誤差検知部31から追尾誤差の入力を受ける。この追尾誤差は、アンテナAの受信信号に基づいて得られた、アンテナAのビーム軸Abと衛星Bの方向との間の仰角軸23周りの誤差ΔθELおよび方位角軸21周りの誤差ΔθAZである。追尾演算部34は、誤差ΔθELと誤差ΔθAZとがゼロになるように、仰角軸駆動信号と方位角軸駆動信号とを生成し、それぞれの駆動信号を仰角軸駆動部32と方位角軸駆動部33とに出力する。仰角軸駆動部32と方位角軸駆動部33とは、駆動信号に応じて仰角軸23と方位角軸21とを回転させる。上記の動作を繰り返すことにより、追尾制御部30は、アンテナAのビーム軸Abを衛星Bに指向させる。
【0029】
つぎに、方向設定部40の動作について説明する。まず、傾斜演算部43は、駆動仰角検出部41、駆動方位角検出部42、姿勢角検出部51、および追尾誤差検知部31から、それぞれ、駆動仰角θEL、駆動方位角θAZ、安定台11の実際の姿勢角α、β、誤差ΔθEL、および誤差ΔθAZの入力を受ける。傾斜演算部43は、これらの値に基づいて、水平面に対する衛星Bの仰角φELと方位角φAZとを算出する。ここで、方位角φAZは、安定台11上に設定した基準方向(本実施形態では、第1の安定軸12bの軸線方向)に対する方位角である。これらの衛星Bの仰角φELと方位角φAZとに基づいて、傾斜演算部43は、安定台11に垂直な軸である方位角軸21とアンテナAのビーム軸Abとのなす角が所定の角度以上を保つように、安定台11が維持すべき傾斜を設定する。具体的には、本実施形態では、φELとφAZとの組み合わせを安定台11が維持すべき姿勢角α0、β0の組み合わせに変換するための変換テーブルを予め記憶しておく。そして、当該変換テーブルによって、(φEL、φAZ)を(α0、β0)に変換し、これを傾斜制御情報として安定演算部54に出力することとしている。ここで、この変換テーブルでは、天頂方向と衛星Bの方向とのなす角(90°−φEL)が10°以上の場合には、安定台11は水平に維持される。一方、天頂方向と衛星Bの方向とのなす角(90°−φEL)が10°未満の場合には、安定台11は、衛星Bの方位角φAZの方向に、かつ、安定台11に対する衛星Bの仰角が水平時に比べて10°小さくなるように傾斜させられる。分かりやすく言えば、衛星Bが水平面に対して低仰角に存在する場合には安定台11は水平に維持され、衛星Bが天頂付近の所定の範囲内に存在する場合には安定台11は水平面に対して衛星Bの方向に傾斜させられる。
【0030】
上記の本実施形態によれば、安定台11の水平面に対する傾斜を衛星Bの方向に応じて設定することにより、方位角軸21とアンテナAの指向軸とのなす角が所定の角度以上を保つので、駆動仰角が一定の角度内に抑えられ、方位角軸21の大振幅動作を回避することができる。これにより、追尾遅れや、方位角軸21の駆動機構に対する機械的要求が厳しくなることを回避することができ、全方位にわたって安定した高精度な追尾制御が可能となる。
【0031】
また、安定台11の上に追尾機構部20を設置しているので、構造物の動揺によって追尾機構部20が激しく揺れることを回避でき、安定した高精度な追尾制御が可能となる。
【0032】
さらに、安定台11の上に方位角軸21を垂直に設置し、かつ、通常時は安定台11を水平に維持することにより、方位角軸21が鉛直方向を向き、仰角軸23が水平になるので、方位角軸21や仰角軸23に作用する重力トルクを軽減することができ、追尾制御を安定化することができる。
【0033】
また、動揺を補償するための安定制御部50と、衛星Bを追尾するための追尾制御部30とを別々に設けているので、制御のための計算を簡単化することができ、制御設計も容易となる。
【0034】
また、方向設定部40は、段階的に傾斜を変更することとしているので、傾斜の変更の頻度を低減することができ、安定した高精度な追尾制御が可能となる。
(第2の実施形態)
本実施形態に係る目標追尾装置は、上記第1の実施形態に係る目標追尾装置とほとんど同じであるが、天頂方向と衛星Bの方向とのなす角が所定の角度以上の場合には、方向設定部40は安定台11が維持すべき水平面に対する傾斜をゼロに設定し、一方、所定の角度未満の場合には、追尾制御部30は仰角軸23周りの回転角を固定し、方向設定部40は指向軸が目標を指向するように安定台11が維持すべき傾斜を設定することを特徴とするものである。分かりやすく言えば、通常時は安定台11を水平に維持し、衛星Bが天頂付近の所定の範囲内に存在するときに限って、駆動仰角をロックし、安定台11を水平面に対して傾斜させることによりアンテナAのビーム軸Abを衛星Bに指向させるものである。
【0035】
以下、本実施形態について説明するが、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
本実施形態の目標追尾装置と図3に示される第1の実施形態の装置との構成上の相違は、追尾演算部34が、駆動仰角検出部41、駆動方位角検出部42、および姿勢角検出部51の検出結果の入力を受け付ける点である。
【0036】
以下、上記構成を有する目標追尾装置の動作について説明する。
はじめに、追尾制御部30の動作について説明する。まず、追尾演算部34は、駆動仰角検出部41、駆動方位角検出部42、姿勢角検出部51、および追尾誤差検知部31から、それぞれ、駆動仰角θEL、駆動方位角θAZ、安定台11の実際の姿勢角α、β、誤差ΔθEL、および誤差ΔθAZの入力を受ける。追尾演算部34は、これらの値に基づいて、水平面に対する衛星Bの仰角φELを算出する。ついで、追尾演算部34は、天頂方向と衛星Bの方向とのなす角(90°−φEL)が所定の角度以上か否かを判断する。判断の結果、所定の角度以上の場合、追尾演算部34は、第1の実施形態と同様に通常の追尾制御を行う。一方、所定の角度未満の場合、追尾演算部34は仰角軸駆動部32にロック信号を出力する。これに応じて、仰角軸駆動部32は仰角軸23をロックし、駆動仰角が変化しないようにする。これにより、アンテナAのビーム軸Abと方位角軸21とのなす角が所定の角度以上に保たれる。なお、方位角軸21は、ロックされてもよいし、ロックされないで通常どおり追尾制御されてもよい。
【0037】
つぎに、方向設定部40の動作について説明する。まず、傾斜演算部43は、駆動仰角検出部41、駆動方位角検出部42、姿勢角検出部51、および追尾誤差検知部31から、それぞれ、駆動仰角θEL、駆動方位角θAZ、安定台11の実際の姿勢角α、β、誤差ΔθEL、および誤差ΔθAZの入力を受ける。傾斜演算部43は、これらの値に基づいて、水平面に対する衛星Bの仰角φELを算出する。ついで、傾斜演算部43は、天頂方向と衛星Bの方向とのなす角(90°−φEL)が所定の角度以上か否かを判断する。判断の結果、所定の角度以上の場合、傾斜演算部43は、傾斜制御情報をα0=0、β0=0に設定し、安定制御部50に出力する。これを受け、安定制御部50は安定台11を水平に維持する。一方、所定の角度未満の場合、傾斜演算部43は、アンテナAのビーム軸Abが衛星Bを指向するように安定台11が維持すべき傾斜を設定する。すなわち、追尾誤差ΔθEL、ΔθAZがゼロになるように傾斜制御情報α0、β0を算出、設定し、安定制御部50に出力する。これを受け、安定制御部50は、安定台11の姿勢角をα0、β0に維持する。この結果、安定台11の傾斜によって、アンテナAのビーム軸Abが衛星Bを指向する。
【0038】
以下、本実施形態に係る目標追尾装置について、さらに具体的に説明する。
図2において、図示された座標は慣性座標であって、そのxy平面は水平面と平行である。初期状態、すなわち駆動方位角0°、駆動仰角0°、指向方向軸24の回転角0°、安定台11が水平の状態において、駆動仰角軸23はx軸に、指向方向軸24はy軸に、駆動方位角軸21はz軸にそれぞれ平行である。この条件において、図2の安定台11が、慣性座標系のy軸周りに振幅0.5°で振動しているものとし、この振動数における駆動方位角の駆動能力を振幅10°とする。図14は、方位角0°(yz平面内)に存在する目標物の水平に対する仰角が70°から90°に変化した場合における、目標物への仰角と駆動方位角、駆動仰角との関係を示す図である。図14より、駆動仰角を87°以下とすることにより、駆動方位角の振幅を10°以下にできることが分かる。そこで、本実施形態では、目標物の水平に対する仰角が87°以上となったとき、駆動仰角を87°で固定し、代わりに安定台11を水平面に対して傾斜させる。すなわち、天頂方向と目標物の方向とのなす角が所定の角度3°以上の場合には、安定台11を水平に維持し、所定の角度3°未満の場合には、安定台11を傾斜させる。なお、安定台11の傾斜方向は、衛星Bの方位角方向に一致し、ここでは図2の慣性座標系のx軸周りである。
【0039】
図5は、本実施形態の目標追尾装置において、安定台11が水平からy軸周りに0.5°傾斜した状態下で、方位角0°(yz平面内)に存在する目標物の水平に対する仰角が70°から90°に変化したときの駆動仰角、駆動方位角の変化を示す。図5より、駆動方位角が10°以下となっていることを確認できる。すなわち、−0.5°から0.5°までの安定台11の動揺に対して、駆動方位角の振幅が−10°から10°までに抑えられる。
【0040】
上記の本実施形態は、第1の実施形態の効果に加え、以下の効果を有する。
天頂方向と衛星Bの方向とのなす角が所定の角度3°以上の場合には、安定台11を水平に維持し、3°未満の場合に限って安定台11を傾斜させることとしているので、ほとんどの場合は安定台11は水平に維持される。このため、安定した追尾制御が可能となる。
【0041】
また、天頂方向と衛星Bの方向とのなす角が所定の角度未満の場合には、駆動仰角を固定するので、駆動仰角が所定の角度以上になってしまうことを確実に防止でき、方位角軸21の大振幅動作を確実に回避できる。
【0042】
(第3の実施形態)
本実施形態に係る目標追尾装置は、上記第1、2の実施形態に係る目標追尾装置とほとんど同じであるが、安定台11の上に設置される追尾機構部20がXY軸駆動機構であることを特徴とするものである。
【0043】
以下、図面を用いて本実施形態について説明するが、第1、2の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
図6は、本実施形態に係る目標追尾装置の安定機構部10および追尾機構部20の構成を示す斜視図である。図6において、船舶平面Sに、第1の実施形態と同様の安定機構部10が取り付けられ、その上にXY軸駆動機構の追尾機構部20が設置されている。具体的に説明すると、平面状の安定台11には、2つの支柱からなるX軸保持部材61が設置されている。このX軸保持部材61によって安定台11に対して平行にX軸62が回転可能に支持されている。このX軸62には略ロ字形のY軸支持フレーム63が固定されている。このY軸支持フレーム63には、当該フレームの中心においてX軸62と直交するようにY軸64が回転可能に支持されている。このY軸64には、平面状のZ軸支持板65が固定されており、該Z軸支持板65の中心上面には、当該支持板に対して垂直にZ軸66が回転可能に設けられている。このZ軸66には、当該Z軸66とビーム軸Abの方向が一致するように、アンテナA(不図示)が取り付けられる。
【0044】
また、本実施形態に係る目標追尾装置では、図3において、方位角軸21、仰角軸23、仰角軸駆動部32、方位角軸駆動部33、駆動仰角検出部41、および駆動方位角検出部42が、それぞれX軸62、Y軸64、Y軸駆動部、X軸駆動部、Y軸回転角検出部、およびX軸回転角検出部に置き換わる。
【0045】
以下、本実施形態に係る目標追尾装置の動作について説明する。
はじめに、追尾制御部30の動作について説明する。まず、追尾演算部34は、Y軸回転角検出部、X軸回転角検出部、姿勢角検出部51、および追尾誤差検知部31から、それぞれ、Y軸回転角θY、X軸回転角θX、安定台11の実際の姿勢角α、β、誤差ΔθX、および誤差ΔθYの入力を受ける。ここで、誤差ΔθXおよびΔθYは、それぞれビーム軸Abと衛星Bの方向との間のX軸62およびY軸64周りの誤差である。追尾演算部34は、これらの値に基づいて、衛星Bの方向と、安定台11が水平にされた場合におけるX軸62の軸線方向とを算出する。ついで、追尾演算部34は、安定台11が水平にされた場合におけるX軸62の軸線方向と衛星Bの方向とのなす角が所定の角度以上か否かを判断する。判断の結果、所定の角度以上の場合、追尾演算部34は、第1の実施形態と同様に通常の追尾制御を行う。一方、所定の角度未満の場合、追尾演算部34はY軸駆動部にロック信号を出力する。これに応じて、Y軸駆動部はY軸64をロックし、Y軸回転角が変化しないようにする。これにより、アンテナAのビーム軸AbとX軸62とのなす角が所定の角度以上に保たれる。なお、X軸62は、ロックされてもよいし、ロックされないで通常どおり追尾制御されてもよい。
【0046】
つぎに、方向設定部40の動作について説明する。まず、傾斜演算部43は、Y軸回転角検出部、X軸回転角検出部、姿勢角検出部51、および追尾誤差検知部31から、それぞれ、Y軸回転角θY、X軸回転角θX、安定台11の実際の姿勢角α、β、誤差ΔθX、および誤差ΔθYの入力を受ける。傾斜演算部43は、これらの値に基づいて、衛星Bの方向と、安定台11が水平にされた場合におけるX軸62の軸線方向とを算出する。ついで、傾斜演算部43は、安定台11が水平にされた場合におけるX軸62の軸線方向と衛星Bの方向とのなす角が所定の角度以上か否かを判断する。判断の結果、所定の角度以上の場合、傾斜演算部43は、傾斜制御情報をα0=0、β0=0に設定し、安定制御部50に出力する。これを受け、安定制御部50は安定台11を水平に維持する。一方、所定の角度未満の場合、傾斜演算部43は、アンテナAのビーム軸Abが衛星Bを指向するように安定台11が維持すべき傾斜を設定する。すなわち、追尾誤差ΔθX、ΔθYがゼロになるように傾斜制御情報α0、β0を算出、設定し、安定制御部50に出力する。これを受け、安定制御部50は、安定台11の姿勢角をα0、β0に維持する。この結果、安定台11の傾斜によって、アンテナAのビーム軸Abが衛星Bを指向する。
【0047】
以下、本実施形態に係る目標追尾装置について、より具体的に説明する。
図6において、図示された座標は慣性座標であって、そのxy平面は水平面と平行である。初期状態、すなわちX軸周りの回転角であるX軸回転角0°、Y軸周りの回転角であるY軸回転角0°、Z軸周りの回転角であるZ軸回転角0°、安定台11が水平の状態において、X、Y、Z軸はそれぞれx、y、z軸に平行である。この条件において、図6の安定台11が、慣性座標系のz軸周りに振幅0.5°で振動しているものとし、この振動数におけるX軸回転角の駆動能力を振幅10°とする。図15は、方位角0°(xz平面内)に存在する目標物の水平に対する仰角が0°から20°に変化した場合における、目標物への仰角とX軸回転角、Y軸回転角との関係を示す図である。図15より、Y軸回転角を87°以下とすることにより、X軸回転角の振幅を10°以下にできることが分かる。そこで、本実施形態では、安定台11が水平にされた場合におけるX軸62の軸線方向と目標の方向とのなす角が3°未満となったとき、Y軸回転角を固定し、代わりに安定台11を水平面に対して傾斜させる。すなわち、安定台11が水平にされた場合におけるX軸62の軸線方向と目標の方向とのなす角が所定の角度3°以上の場合には、安定台11を水平に維持し、所定の角度3°未満の場合には、安定台11を傾斜させる。ここでは、図6の慣性座標系のy軸周りに傾斜させる。
【0048】
図7は、本実施形態の目標追尾装置において、安定台11がz軸周りに0.5°回転した状態下で、方位角0°(xz平面内)に存在する目標物の水平に対する仰角が0°から20°に変化したときのX軸回転角、Y軸回転角の変化を示す。図7より、X軸回転角が10°以下となっていることを確認できる。すなわち、−0.5°から0.5°までの安定台11の動揺に対して、X軸回転角の振幅が−10°から10°までに抑えられる。
【0049】
上記の本実施形態の目標追尾装置は、第1の実施形態の方位角軸21に対応するX軸62を安定台11に対して平行に設け、通常時は安定台11を水平に維持するので、衛星Bの水平に対する仰角が高い場合に適している。
【0050】
(第4の実施形態)
本実施形態に係る目標追尾装置は、上記第1〜3の実施形態に係る目標追尾装置とほとんど同じであるが、安定機構部10は、傾斜可変機構12の代わりに、水平面に対する傾斜および鉛直軸線周りの回転角が可変となるように安定台11を支持し船舶平面Sに設置される方向可変機構を備え、方向設定部40は、安定台11が維持すべき水平面に対する傾斜および鉛直軸線周りの回転角を設定し、安定制御部50は、設定された傾斜および回転角を安定台11が維持するように方向可変機構を制御することを特徴とするものである。
【0051】
以下、図面を用いて本実施形態について説明するが、第1〜3の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
図4は、本実施形態に係る目標追尾装置の全体構成を示す概略ブロック図である。この目標追尾装置と図1に示される装置との構成上の相違は以下のとおりである。安定機構部10は、傾斜可変機構12の代わりに、水平面に対する傾斜および鉛直軸線周りの回転角が可変となるように安定台11を支持し船舶平面Sに設置される方向可変機構13を備えている。本実施形態では、方向可変機構13は、傾斜可変機構12に第3の安定軸が付加されたものである。この第3の安定軸は、第2の安定軸12dに直交するように当該第2の安定軸12dに取り付けられるとともに安定台11を当該軸周りに回転可能に支持する軸である。ただし、方向可変機構13はこれに限られず、たとえば、傾斜可変機構12および安定台11の全体を慣性座標系のz軸周りに回転可能に支持し船舶平面Sに固定される軸を傾斜可変機構12に付加したものであってもよい。また、姿勢検出部51は、鉛直軸線周りの北方向を基準とする姿勢角γをも検出する。すなわち、ロール角、ピッチ角に加えて、ヨー角をも検出する。安定制御部50は、第3の安定軸を駆動するための第3の駆動部を有する。
【0052】
つぎに、動作において相違する点について説明する。方向設定部40は、第2の軸である方位角軸21またはX軸62とアンテナAのビーム軸Abとのなす角が所定の角度以上を保つように、安定台11が維持すべき水平面に対する傾斜および鉛直軸線周りの回転角を設定する。具体的には、衛星の仰角φELと方位角φAZとの組み合わせを安定台11が維持すべき姿勢角α0、β0、γ0の組み合わせに変換する。そして、これを方向制御情報として安定演算部54に出力する。安定制御部50は、実際の姿勢角α、β、γをα0、β0、γ0に一致させるように第1〜3の安定軸を駆動する。具体的には、本実施形態では、天頂方向(仰角−方位角駆動機構の場合)あるいは水平面内北方向(XY軸駆動機構の場合)と衛星Bの方向とのなす角が10°以上の場合には、安定台11は水平に維持され、かつ、安定台11に予め設定された基準線方向(XY軸駆動機構ではX軸62の軸線方向)が水平面内北方向に維持される。一方、天頂方向あるいは水平面内北方向と衛星Bの方向とのなす角が10°未満の場合には、衛星Bの方位角φAZと仰角φELとに基づいて、安定台11が水平に対して傾斜または鉛直軸線周りに回転させられる。分かりやすく言えば、通常時は水平に維持され、かつ、安定台11面上に設定された基準線方向は北方向に維持される。一方、衛星Bが天頂付近(XY軸駆動では水平面内北方向)の所定の範囲内に存在する場合には安定台11は水平面に対して傾斜、または鉛直軸線周りに回転させられる。
【0053】
本実施形態によれば、船舶の水平面内における向きが変化、動揺しても、追尾機構部20の向きは水平面内一定方向に維持されるので、追尾制御をより安定化させることができる。
【0054】
また、安定台11の水平面に対する傾斜のみならず、鉛直軸線周りの回転角をも制御するので、より効果的に指向軸と第2の軸線とのなす角を拡大させることができ、駆動軸の大振幅動作をより効果的に回避することができる。
【0055】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記の実施形態では、アンテナAの受信信号に基づいて、衛星Bの方向を算出しているが、衛星Bの方向は任意の手段によって認識されることができ、予め追尾制御部30、方向設定部40が衛星Bの軌道情報を記憶していてもよいし、他の装置から衛星Bの方向を示す情報を受け付けることとしてもよい。
【0056】
また、方向設定部40による傾斜制御情報あるいは方向制御情報の設定方法は、上記の実施形態に示される設定方法に限られず、指向軸と第2の軸線とのなす角を所定の角度以上に保つことができれば、他の任意の設定方法を定めることができる。たとえば、駆動仰角と駆動方位角の2つのデータのみに基づいて、駆動仰角を減ずるように傾斜制御情報あるいは方向制御情報を設定することができる。また、予め得ている衛星Bの軌道情報から衛星Bの仰角および方位角の時系列データを作成し、当該データに基づいて予め傾斜制御情報、方向制御情報を時系列データとして作成しておいてもよい。
【0057】
また、安定機構部は、上記の実施形態のものに限定されず、水平面に設定された基準座標系における第2の軸線の方向が可変となるように追尾機構部を支持するとともに船舶等の物体に設置されるものであれば、どのようなものであってもよい。ここで、水平面に設定された基準座標系は、適宜設定されればよいが、例えば北基準の直交座標系等である。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、指向軸と第2の軸線とのなす角が所定の角度以上を保つように第2の軸線の方向を維持するので、高精度に追尾制御を行いながら、駆動軸の大振幅動作を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る目標追尾装置の全体構成を示す概略ブロック図である。
【図2】安定機構部および追尾機構部の構成を示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係る目標追尾装置の全体構成を示す詳細ブロック図である。
【図4】第4の実施形態に係る目標追尾装置の全体構成を示す概略ブロック図である。
【図5】第2の実施形態に係る目標追尾装置における、目標物への仰角と駆動方位角、駆動仰角との関係を示す図である。
【図6】第3の実施形態に係る目標追尾装置の安定機構部および追尾機構部の構成を示す斜視図である。
【図7】第3の実施形態に係る目標追尾装置における、目標物への仰角とX軸回転角、Y軸回転角との関係を示す図である。
【図8】方位角−仰角駆動の追尾機構の構成を示す図である。
【図9】図8の追尾機構における、目標物への仰角と駆動方位角、駆動仰角との関係を示す図である。
【図10】XY軸駆動の追尾機構の構成を示す図である。
【図11】図10の追尾機構における、目標物への仰角とX軸回転角、Y軸回転角との関係を示す図である。
【図12】4軸駆動機構の構成を示す図である。
【図13】4軸駆動機構の構成を示す図である。
【図14】図12の追尾機構における、目標物への仰角と駆動方位角、駆動仰角との関係を示す図である。
【図15】図13の追尾機構における、目標物への仰角とX軸回転角、Y軸回転角との関係を示す。
【符号の説明】
10 安定機構部
11 安定台
12 傾斜可変機構
12a 支柱
12b 第1の安定軸
12c 安定台フレーム
12d 第2の安定軸
13 方向可変機構
20 追尾機構部
21 方位角軸
22 仰角軸支持部材
23 仰角軸
24 指向方向軸
30 追尾制御部
31 追尾誤差検知部
32 仰角軸駆動部
33 方位角軸駆動部
34 追尾演算部
40 方向設定部
41 駆動仰角検出部
42 駆動方位角検出部
43 傾斜演算部
50 安定制御部
51 姿勢角検出部
52 第1の駆動部
53 第2の駆動部
54 安定演算部
60 追尾機構部
61 X軸保持部材
62 X軸
63 Y軸支持フレーム
64 Y軸
65 Z軸支持板
66 Z軸
A アンテナ
Ab ビーム軸
S 船舶平面
B 衛星

Claims (7)

  1. 動揺する物体上において指向軸を目標に指向させるための目標追尾装置であって、
    前記指向軸を当該指向軸に直交する第1の軸線と当該第1の軸線に直交する第2の軸線との2つの軸線周りに回転可能に支持する追尾機構部と、
    水平面に設定された基準座標系における前記第2の軸線の方向が可変となるように前記追尾機構部を支持するとともに前記物体に設置される安定機構部と、
    前記指向軸が前記目標を指向するように前記第1および第2の軸線周りの回転角を制御する追尾制御部と、
    前記指向軸と前記第2の軸線とのなす角が所定の角度以上を保つように前記第2の軸線が維持すべき前記基準座標系における方向を設定する方向設定部と、
    当該方向設定部によって設定された方向を前記第2の軸線が維持するように前記安定機構部を制御する安定制御部と、
    を有することを特徴とする目標追尾装置。
  2. 前記追尾機構部は、
    前記指向軸を当該指向軸に直交して支持する第1の軸と、
    当該第1の軸を回転可能に支持する支持部材と、
    当該第1の支持部材に前記第1の軸に直交して固定されるとともに前記安定機構部に回転可能に支持される第2の軸とを備え、
    前記追尾制御部は、前記第1および第2の軸を回転させることを特徴とする請求項1に記載の目標追尾装置。
  3. 前記安定機構部は、前記追尾機構部を支持する安定台と、当該安定台を水平面に対する傾斜が可変となるように支持し前記物体に設置される傾斜可変機構とを備え、
    前記方向設定部は、前記安定台が維持すべき水平面に対する傾斜を設定し、
    前記安定制御部は、設定された傾斜を前記安定台が維持するように前記傾斜可変機構を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の目標追尾装置。
  4. 前記第2の軸線は前記安定台に垂直に設定され、
    天頂方向と前記目標の方向とのなす角が前記所定の角度以上の場合には、前記方向設定部は前記安定台が維持すべき水平面に対する傾斜をゼロに設定し、
    一方、所定の角度未満の場合には、前記追尾制御部は前記第1の軸周りの回転角を固定し、前記方向設定部は前記指向軸が前記目標を指向するように前記安定台が維持すべき傾斜を設定することを特徴とする請求項3に記載の目標追尾装置。
  5. 前記第2の軸線は前記安定台に平行に設定され、
    前記安定台が水平にされた場合における前記第2の軸線と前記目標の方向とのなす角が前記所定の角度以上のときには、前記方向設定部は前記安定台が維持すべき水平面に対する傾斜をゼロに設定し、
    一方、所定の角度未満のときには、前記追尾制御部は前記第1の軸周りの回転角を固定し、前記方向設定部は前記指向軸が前記目標を指向するように前記安定台が維持すべき傾斜を設定することを特徴とする請求項3に記載の目標追尾装置。
  6. 指向軸を当該指向軸に直交する第1の軸線と当該第1の軸線に直交する第2の軸線との2つの軸線周りに回転可能に支持する機構を用いて、動揺する物体上において指向軸を目標に指向させる目標追尾方法であって、
    天頂方向と前記目標の方向とのなす角が所定の角度以上の場合には、前記第2の軸線の方向を天頂方向に維持するとともに、前記目標を指向するように前記指向軸を前記第1および第2の軸線周りに回転させ、
    一方、所定の角度未満の場合には、前記第1の軸線周りの回転角を固定し、前記指向軸が前記目標を指向するように前記第2の軸線を天頂方向に対して傾けることを特徴とする目標追尾方法。
  7. 指向軸を当該指向軸に直交する第1の軸線と当該第1の軸線に直交する第2の軸線との2つの軸線周りに回転可能に支持する機構を用いて、動揺する物体上において指向軸を目標に指向させる目標追尾方法であって、
    前記第2の軸線が水平にされた場合における前記第2の軸線と前記目標の方向とのなす角が前記所定の角度以上のときには、前記第2の軸線を水平に維持するとともに、前記目標を指向するように前記指向軸を前記第1および第2の軸線周りに回転させ、
    一方、所定の角度未満のときには、前記第1の軸線周りの回転角を固定し、前記指向軸が前記目標を指向するように前記第2の軸線を水平面に対して傾けることを特徴とする目標追尾方法。
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