JP2004192568A - Icカード - Google Patents

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JP2004192568A JP2002362910A JP2002362910A JP2004192568A JP 2004192568 A JP2004192568 A JP 2004192568A JP 2002362910 A JP2002362910 A JP 2002362910A JP 2002362910 A JP2002362910 A JP 2002362910A JP 2004192568 A JP2004192568 A JP 2004192568A
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友美 芳賀
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Abstract

【課題】印刷歪みがなく、また、リライト機能が付加されたカードにあっては印字抜けを発生させないカード表面が得られるICカードを提供すること。
【解決手段】アンテナモジュール11を構成するICチップ17の封止層18を、エポキシ樹脂中に平均粒径11μm以上20μm以下で、体積含有率26%以上30%以下のフィラーを含有した封止剤で形成する。このとき、IC実装部の表面が平坦あるいはICチップ17側に凹んだ形状となり、カード表面におけるIC実装部位とIC非実装部位との間の段差の大きさが5μm以内となる。これにより、印刷歪みがなく、また、リライト機能が付加されたカードにあっては印字抜けを発生させないカード表面を得ることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンテナコイルを有する絶縁基板とこの上に実装されたICチップとからなるICモジュールを一対の外装シートで挟み込んでなるICカードに関し、更に詳しくは、表面形状が良好であり、外観が美しく、リライト機能を付加した場合には印字抜けの発生を阻止できるICカードに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ICカード、特に非接触ICカードは、搭乗システムやセキュリティシステム等に多く使用されるようになり、その普及には目を見張るものがある。
【0003】
非接触ICカードは、高分子フィルム上に金属薄膜をドライラミネートあるいは蒸着、めっき等にて積層し、イオンエッチング等にてアンテナパターンを形成した回路基板にICチップが実装され、更にIC実装部が半導体用封止樹脂で封止され、これらがICモジュール(電子モジュール)を形成し、その両側が高分子樹脂シートで挟み込まれた構成となっている。
【0004】
このような非接触ICカードは、電磁波等により発生した磁束がアンテナコイルに印加されることにより電流が発生し、これに対応してICチップにおいて、情報の記録や書き換え等所定の動作が行われるものである。
【0005】
ところで、ICカードに記録される情報は、デジタル信号またはアナログ信号としてカード内部のICチップに格納される。したがって、ICカードに記録された情報の内容を表示あるいは確認する場合においては、専用の読み取り装置で記録情報の読み込み処理を行う必要があり、一般のユーザーが確認する手段はほとんどない。例えば、会員カードなどでは会員に対しプレミア又はポイント等を設けることがあるが、カードへのデジタル信号またはアナログ信号による記録のみの場合、ユーザーがカード専用の読み取り装置を配置してある店舗などに出向くか、別にユーザーに照会する必要がある。
【0006】
そこで、こうした情報記録内容を人の目にみれるように簡易的に表示することへの要求が高まりつつあり、近年、この要求を満足させるために、樹脂バインダー中に有機低分子を分散させ、白濁・透明のコントラストにより表示を行う高分子/低分子タイプの可逆表示技術が開発されている。高分子/低分子タイプの可逆表示媒体は、プラスチックシート/着色層/可逆性感熱記録(高分子/低分子)層/保護層から構成されている。また、これとは別に、可逆性感熱記録層として、ロイコ化合物と顕減色剤とを高分子樹脂中に分散させたものを用いる可逆表示媒体もある。これらの可逆表示媒体はサーマルヘッドによって印字し、その印字をサーマルヘッドによって消去することが可能な可逆性感熱記録部(リライトシート)として機能する。
【0007】
なお、この出願に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【特許文献1】
特開2000−343829号公報
【特許文献2】
特開2002−42098号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のICカードでは、カードの表面、特に、ICチップが埋め込まれている部分と埋め込まれていない部分との間に段差が発生し、印刷文字や絵柄が歪むなどして、美しい外観を得るのが困難であった。また、リライト機能を付加したICカードにおいては、印字の際に上記段差の部分でサーマルヘッドとカード表面の間にスペーシングが発生し、熱が正常に伝わらずに印字抜けや印字カスレが発生していた。
【0009】
カード表面に段差が発生する原因の一つとして、ICモジュールを構成する封止剤の硬化収縮が挙げられる。一般に、ICカード用封止剤としては、エポキシ、アクリル、ウレタン、フェノール等の樹脂材料が使用されている。これらの樹脂は、優れた接着性、柔軟性、成形性等を有するために、集積回路(IC)の保護や耐久性の向上、更には集積回路を搭載した製品の形状保持や柔軟性付与等の目的に使用されている。しかし、これらの樹脂材料は、硬化反応の際の体積収縮により不均一に変形する。また、特にICチップ保護の目的で封止剤層に補強板が設けられている場合は、封止剤の体積収縮時の応力により補強板が変形することがあった。
【0010】
このような変形した樹脂封止部分を有するICモジュールをインレットとしてカードを成形した場合には、樹脂封止部分の変形による影響がカード表面の段差(10μm超)になって現れる。カード表面の平坦性が悪いと、印刷された文字や絵柄等が形状に追従して歪み、外観不良となる。また、リライト機能を付加してカードにおいては、印字の際にサーマルヘッドとカード表面の間にスペーシングが発生し、熱が正常に伝わらずに印字抜けが発生する。
【0011】
従来、封止剤や接着剤の硬化時の体積収縮による樹脂封止部分や補強板の変形を抑制するために、封止剤や接着剤にゴムやエラストマー等の弾性材料を添加して硬化物に柔軟性を付与する等してきたが、カード表面の段差を改善するには不十分な手法であった。
【0012】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、印刷歪みがなく、また、リライト機能が付加されたカードにあっては印字抜けを発生させないカード表面が得られるICカードを提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するに当たり、本発明のICカードは、アンテナコイルを有する絶縁基板と絶縁基板の上に実装されたICチップと、ICチップを封止する封止層とからなるICモジュールを一対の外装シートで挟み込んでなるICカードであって、IC実装部位とIC非実装部位とにおけるカード表面間の段差が、5μm以内であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のICカードは、ICモジュールを構成する封止層の頂部が平坦、または、ICチップ側へ凹んだ形状を有していることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のICカードは、封止層の上に補強板が設けられており、補強板の表面形状が平坦、または、ICチップ側へ凹んだ形状を有していることを特徴とする。
【0016】
更に、本発明のICカードは、上記封止剤にはフィラーが含有され、当該フィラーの体積含有率が26%以上30%以下であり、かつ、フィラーの平均粒径が11μm以上20μm以下であることを特徴とする。
【0017】
以上の構成により、印刷歪みがなく、リライト機能を付加したカードにあっては印字抜けを発生させない程度のカード表面の平坦性を備えたICカードを得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態による非接触型のICカード10の一構成例を示している。複数枚の熱可塑性プラスチックシートを溶着してなるコア層12にはICモジュール11が介装されている。図1において、コア層12の上面には印刷シートとしての外装シート13が積層され、また、コア層12の下面には印刷シートとしての外装シート14が積層されている。
【0020】
図2は、ICモジュール11のIC実装部の構成を示している。ICモジュール11は、絶縁基板16と、絶縁基板16の上に形成されたアンテナコイルと、アンテナコイルに実装されるICチップ17と、ICチップ17を封止する封止層18とを備え、必要に応じて、図示するように封止層18の上に金属製の補強板19が設けられる。また、図3に示すように、ICモジュールを、絶縁基板16のIC非実装面側(図2において下面側)のIC実装部にも封止層20および金属製の補強板21を設けた構成とすることも可能である。
【0021】
絶縁基板16としては、公知の高分子フィルムを使用することができる。具体的には、例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂など、従来より用いられている樹脂フィルムの中から適宜選択して利用することが可能であり、絶縁性であれば特に制限されることはない。中でも、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートからなる可撓性フィルムが好ましく、フィルム厚としては、10μm以上100μm以下、好ましくは25μm以上50μm以下のものが用いられる。
【0022】
絶縁基板16上に形成されるアンテナコイルは、導電性ペーストを印刷したものや、上記高分子フィルムとアルミ箔や銅箔等の金属箔とのラミネート基材を回路状にエッチングして形成される。絶縁基板16上にパターニング形成されるアンテナコイルの表面形状は、カード構成後の表面形状に反映されるため、平滑であるのが好ましい。図4に、絶縁基板16上に形成されたアンテナコイル22の一例を模式的に示す。
【0023】
一方、ICチップ17とアンテナコイルとの接続方法としては、例えば、図2に模式的に示したように、ICチップ17の能動面に形成された突起電極(バンプ)17aとアンテナコイルとを異方性導電膜23を介して、フリップチップ実装する方式が採用される。なお、これ以外の方法として、例えばはんだ付けによってICチップ17を実装することができる。
【0024】
異方性導電膜23は、図5に模式的に示すように、接着剤樹脂24中に導電性粒子25を分散させてなるものであり、加圧方向にのみ導電性を得ることができる材料である。使用前における異方性導電膜23はその上下面が保護シート26a,26bで被着されている。使用時は一方の保護シートを剥離して、図6に示すようにアンテナコイル22の両端子間に仮貼りし、その後、他方の保護シートを剥離して、図7に示すようにICチップ17を加熱圧着させる。これにより、ICチップ17とアンテナコイル22との間の電気的導通が図られる。
【0025】
次に、本発明に係る封止層18の詳細について説明する。
【0026】
封止層18は、半導体用封止材料として一般的に用いられるエポキシ樹脂やアクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等にフィラーを含有した封止剤を熱硬化させて形成される。
【0027】
エポキシ樹脂としては、公知慣用のエポキシ樹脂を用いることができる。具体的には、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型2官能エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
また、添加される硬化剤としては、通常のエポキシ樹脂の硬化剤として常用されている化合物はすべて用いることができ、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの脂肪族アミン類、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族アミン類、フェノールノボラック樹脂、オルトクレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ビスフェノールFノボラック樹脂、フェノール類−ジシクロペンタジエン付加型樹脂、ヒドロキシナフタレンノボラック樹脂、キシリデンを結接基としたフェノール類、ナフトール類樹脂、ポリアミド樹脂およびこれらの変性物、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物系硬化剤、ジシアンジアミド、イミダゾール、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体等の潜在性硬化剤等が挙げられる。中でも、半導体封止剤用としては、上記芳香族炭化水素−ホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
【0029】
これらの硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂を硬化せしめる量であれば特に限定されないが、好ましくは、用いるエポキシ樹脂の一分子中に含まれるエポキシ基の数と、硬化剤中の活性水素の数が当量付近となる量とする。
【0030】
上記化合物を硬化剤として用いる際は、硬化促進剤を適宜しようすることができる。硬化促進剤としては公知慣用のものが使用でき、例えば、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩、リン系化合物等が挙げられ、これらは単体のみならず2種類以上の併用も可能である。
【0031】
一方、封止剤に含有されるフィラーとしては、無機顔料および有機顔料が用いられる。無機顔料としては、例えば、結晶性シリカ粉、溶融シリカ粉、アルミナ粉、酸化チタン粉、タルク、石英ガラス、炭酸カルシウム粉などが挙げられる。これらの顔料は、小さいサイズのものを均一に添加することで、封止層18の硬化収縮を抑制することができる。
【0032】
フィラーの体積含有率は26%以上30%以下であり、かつ、フィラーの平均粒径(度数分布上での粒径範囲)は11μm以上20μm以下とするのが好ましい。フィラーの含有条件を上記のように設定することにより、これに貼着される補強板19の表面形状を後述するように平坦あるいは凹状にすることができる。フィラーの体積含有率が30%を超えると、相対的に樹脂材料の体積含有率が低下して、接着性、耐久性、柔軟性、成形性などが不十分となり、封止層としての目的が果たせなくなる。また、フィラーの体積含有率が26%未満であると、フィラーの添加効果が減殺され、樹脂の体積収縮を有効に抑制することができなくなる。
【0033】
また、必要に応じて、着色剤、難燃剤、離型剤、またはカップリング剤などの公知慣用の各種の添加剤成分も適宜配合することができる。
【0034】
絶縁基板16に実装されているICチップ17の上に、封止層18を形成する方法としては、絶縁基板16に実装されているICチップ17上に上記構成の封止剤をディスペンサを用いて所定量滴下する等の方法がある。また、ICチップ17が面積的に大きい場合には、封止する範囲を上記構成の封止剤に類似する構成の材料を用いて垣根をつくり、当該垣根の内部に上記封止剤が充填されるようにディスペンサを走査する等の方法が適用可能である。なお、ディスペンサを使って封止剤を塗布する以外にも、例えば、ナイフコータ、ロールコータ、ダイコータ、キスロールコータ、リバースロールコータ等の、従来公知の塗布装置を用いることも可能である。
【0035】
補強板19は、例えば、ICチップ17よりも広い面積のステンレス製金属板からなり、ICチップ17に塗布した封止剤を硬化させる前に設けられる。補強板19の取付方法としては、ICチップ17の上に塗布された封止剤の上から、水平に保持した補強板19をICチップ17に向けて加圧し、封止剤をICチップ17の周囲に回り込ませるようにして行われる。その後、封止剤を熱硬化させることによって封止層18を形成するとともに、補強板19を接着する。このような補強板の取付方法の詳細は、例えば、特開2000−118175号公報や特開2000−222549号公報に開示されている。
【0036】
図8Aは、本発明に係るICモジュール11の封止層18を形成した直後のIC実装部の詳細を示している。また、図8Cは、従来の封止剤(フィラー無し)で封止層18’を形成したときのIC実装部の詳細を示している。なお、図8Cにおいて、図8Aと対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0037】
従来のICモジュールでは、補強板19の表面形状が上方へ凸なる形状を有している。すなわち、従来のICモジュールでは、封止層18’を形成する封止剤の硬化時の体積収縮によって補強板19の周縁部が絶縁基板16側へ引っ張られるために、図8Cに示すように補強板19が凸状に変形する。
【0038】
これに対して本発明に係るICモジュール11では、補強板19の表面形状が平坦またはICチップ17側へ若干凹んだ形状を有している。本発明においては、封止層18を形成する封止剤が上述したような条件下でフィラーを含有しているために、硬化時の体積収縮が大きく抑えられ、その結果、補強板19を凸状に変形させるほどの応力が作用しないからである。
【0039】
また、本発明において、補強板19の平面形状が凹となる理由は必ずしも明確ではないが、ICチップ17の加熱加圧実装に伴って凹状に変形した絶縁基板16の表面形状や、ICチップ17の反り、更に、フィラーの混入により粘度が上がった封止剤の流動性などの要因が関連して、補強板19の表面形状を凹状に変形させるものと考えられる。後述するように、補強板19の表面形状が従来の凸状(図8C)よりも、本発明の凹状(図8A)の方が、カード成形後のIC実装部位周辺におけるカード表面の平坦性が良好であることがわかっている。
【0040】
なお、本発明においては、補強板19を設けないで封止層18のみを形成した場合であっても、図8Bに示すように、封止層18の頂部が平坦、または、ICチップ17側へ若干凹んだ形状となることがわかっている。これにより、製造したICカード10のIC実装部位周辺におけるカード表面の平坦性を高めることができる。
【0041】
次に、ICカード10のコア層12の構成について説明する。図9は、ICカード10を構成する各層を分離して示す模式図である。コア層12は、ICモジュール11と外装シート13,14との間に介装される2枚のコアシート28,29で構成される。このうち、ICモジュール11のIC実装面に隣接して配置されるコアシート28には、IC実装部を収容するための貫通孔(ニゲ孔)28aが形成されている。
【0042】
コアシート28,29は従来より広く用いられている材料で構成されており、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、テレフタル酸とシクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールとの共重合体(PETG)、又はその共重合体とポリカーボネートとのアロイ、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコールとの共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
【0043】
一方、外装シート13,14に用いることができる樹脂としては、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、プロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースジアセテートなどのセルロール類、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸メチル、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エチル、ポリエチルメタクリレート、酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどのビニル系樹脂、ポリカーボネート類などの単体、または混合物などを用いることができる。
【0044】
外装シート材13,14は、文字や絵柄等が印刷された印刷シートとして用いられる。外装シート材13,14に対する文字や絵柄等の印刷は、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法等の公知の印刷法が適用可能である。
【0045】
また、外装シート13,14はその表層に可逆性感熱記録層が設けられたリライトシートで構成することができる。このリライトシートは、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、着色層と、可逆性感熱記録層と、透明保護層とから構成される。
【0046】
この感熱記録層は、樹脂母材(マトリクス)に分散された有機低分子物質の結晶状態の変化によって白濁・透明が可逆的に変化する高分子/低分子タイプと、樹脂母材に分散された電子供与呈色性化合物と電子受容性化合物との間の可逆的な発色反応を利用した熱発色性組成物であるロイコ化合物タイプの何れかを選択し使用することができる。感熱記録層は印刷法、コーティング法等により膜厚4μm〜20μm程度に設けることができる。
【0047】
高分子/低分子タイプの感熱性記録層中に分散される有機低分子物質としては、脂肪酸、脂肪酸誘導体または脂環式有機酸が挙げられ、更に詳しくは、飽和または不飽和のもの、あるいはジカルボン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチル酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられ、また、不飽和脂肪酸の具体例としては、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、ソルビン酸、ステアロール酸等が挙げられる。なお、脂肪酸、脂肪酸誘導体または脂環式有機酸はこれらのものに限定されるものではなく、かつ、これらの内の一種類または二種類以上を混合させて適用することも可能である。
【0048】
また、用いられる樹脂母材としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロールアセテート系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、塩ビ系樹脂、酢ビ系樹脂の単独、混合あるいは共重合物が用いられる。一方、可逆性感熱記録部の透明化温度範囲を制御するため、樹脂の可逆剤、高沸点溶剤等を樹脂母材に対し、0.1%から20%重量部添加することができる。更に、可逆性感熱記録部の繰り返し印字消去耐性を向上するため、樹脂母材に対応した三次元架橋する硬化剤、架橋剤等を樹脂母材に対し、0.5%から10%重量部添加することができる。
【0049】
一方、ロイコ化合物タイプは、樹脂母材中に分散されたロイコ化合物と顕減色剤の可逆的な発色反応を利用した熱発色性組成物で、印刷法、コーティング法などにより膜厚4μm〜20μm程度に設けることができる。感熱記録層中に用いられる通常無色ないし淡色のロイコ化合物としては一般的に感圧記録紙、感熱記録紙、感光記録紙、通電感熱記録紙、感熱転写紙等に用いられるものに代表され、ラクトン、サルトン、スピロピラン等の部分骨格を有するキサンテン、スピロピラン、ラクトン、フルオラン、サルトン系等が用いられるが、特に制限されるものではない。
【0050】
ロイコ化合物の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジメチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフロオラン、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル−5)−ジメチルアミノフタリド、3−ジメチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−n−ニトリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−n−テトラヒドロフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等が挙げられ、単独または混合して用いられる。
【0051】
また、顕減色剤は、熱エネルギの作用によりプロトンを可逆的に放出してロイコ化合物に対し発色作用と消色作用を併せ持つ化合物である。すなわち、フェノール性水酸基またはカルボキシル基から成る酸性基とアミノ基から成る塩基性基の双方を有し、熱エネルギの違いにより酸性または塩基性となって上記ロイコ化合物を発色、消色させるものである。塩基性基は官能基として存在していても良いし、化合物の一部として存在していてもよい。また、顕減色剤の酸性基、あるいは塩基性基の何れか一方の官能基を有する顕減色剤は、例えば、アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸、4−アミノ−3−メチル安息香酸、3−アミノ−4−メチル安息香酸、2−アミノ−5−エチル安息香酸、3−アミノ−4−ブチル安息香酸、4−アミノ−3−メトキシ安息香酸、3−アミノ−4−エトキシ安息香酸、2−アミノ−5−クロロ安息香酸、4−アミノ−3−ブロモ安息香酸、2−アミノ−2−ニトロ安息香酸、4−アミノ−3−ニトロ安息香酸、3−アミノ−4−ニトリル安息香酸、アミノサリチル酸、ジアミノ安息香酸、2−メチル−5−アミノナフトエ酸、3−エチル−4−アミノナフトエ酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、2−メチルニコチン酸、6−クロロニコチン酸等がある。また、塩基性基を塩化合物の一部として有するものには、フェノール性水酸基またはカルボキシル基を有する化合物とアミノ基を有する化合物の塩または錯塩であり、例えば、ヒドロキシ安息香酸類、ヒドロキシサリチル酸類、没食子酸類、ビスフェノール酢酸等の酸と、脂肪族アミン類、フェニルアルキルアミン類、トリアリルアルキルアミン類等の塩基との塩または錯塩が挙げられる。この具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸−アルキルアミン塩、p−ヒドロキシ安息香酸−フェニルアルキルアミン塩、m−ヒドロキシ安息香酸−アルキルアミン塩、p−ヒドロキシ安息香酸メチル−アルキルアミン塩、p−ヒドロキシ安息香酸ステアリル−アルキルアミン塩、ビスフェノール酢酸−アルキルアミン、ビスフェノール酢酸オクチル−アルキルアミン塩等が挙げられ、単独または混合して用いられる。なお、ロイコ化合物及び顕減色剤はこれらのものに限定されるものではなく、これらの内の一種類又は二種類以上を混合させて適用することも可能である。
【0052】
そして、用いられる樹脂母材としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア、メラミン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール等の樹脂の単独、混合または共重合体が用いられる。更に、可逆性感熱記録部の繰り返し印字消去耐性を向上するため、樹脂母材に対応した三次元架橋する硬化剤、架橋剤などを樹脂母材に対し0.5%から10%重量部添加することができる。更に、耐性を向上させるためにロイコ化合物と比較的相溶性の高い紫外線吸収剤を添加することができる。
【0053】
本発明のICカード10を製造する方法としては、加熱プレス機による溶融ラミネート方式を用いることができる。溶融ラミネート法は、カードの各素材を鏡面板で挟み込み、それらを加熱溶融プレスにより一体化する方法である。溶融ラミネート後は、一体化されたシートを鏡面板から剥がし、片刃またはオス−メスの金型による打抜きでカード形状に打ち抜くことによって、ICカード10が製作される。
【0054】
一方、コア層12を設ける代わりに、例えば図10に示すように、一対の外装シート13,14を例えばエポキシ樹脂等の接着剤で貼り合わせ、当該接着剤層30にICモジュール11を内蔵させて、ICカード10’を製造する方法も適用可能である。この種のICカード10’は、ロール方式で繰り出される一方の外装シート14に接着剤を塗布し、その上にICモジュール11を貼り付け、更に接着剤を塗布した後、他方の外装シート13と貼り合わせ、次いで、圧延ロール群で所望のシート厚に調整した後、硬化炉で接着剤30を硬化させ、最後にカードサイズに打ち抜くことによって製造することができる。なお、このようなICカードの製造方法は、例えば、特開平9−109264号公報に詳細に記載されている。
【0055】
以上のようにして製造されるICカード10によれば、そのIC実装部位におけるカード表面と、IC非実装部位におけるカード表面との間の段差を、5μm以内に抑えることができる。これにより、IC実装部におけるカード表面を印刷歪みのない美しい外観に仕上げることができる。また、カード表面に可逆性感熱記録層を有するリライトシートが設けられる場合には、カード表面とサーマルヘッドとの間のスペーシングロスの発生を極力抑えることができるので、印字抜けのない優れた印画性を得ることができる。
【0056】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する。なお、以下の各実施例では具体的な数値を挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
以下のようにして、図1に示した形態のICカード10を評価サンプルとして製作した。
【0058】
絶縁基板16として厚さ50μmの延伸PETフィルムの上にアルミニウムからなるアンテナパターン22をエッチングにより形成し、アンテナパターン22の両端部間にICチップ17と同形の厚さ15μmの異方性導電膜23を温度70℃で圧着し、その上に4mm角のICチップ17を実装した。ICチップ17の実装条件は、ボンディングツール部の温度を230℃(パルスヒート法)、加圧値を400g、加圧時間を15秒とした。
【0059】
次に、実装したICチップ17の上にディスペンサを用いて封止剤を10mg塗布し、ICチップ17よりも面積の広い補強用金属板19を配置した。封止剤の組成は、エポキシ樹脂中に平均粒径11μm以上20μm以下のシリコンフィラーを体積含有率26%添加したものを用いた。補強板19を上方から均一に加圧して図2に示したように封止厚を一定とし、封止剤をICチップ17の周辺に流れ込ませてICチップ周辺を被覆するとともに、補強板19を絶縁基板16上に接着した。これを120℃の熱硬化炉に装填し、封止剤を熱硬化させて封止層18を形成し、ICモジュール11を作製した。
【0060】
続いて、ICモジュール11を厚さ250μmのPETG製コアシート28,29で挟み込み、表面に線幅0.15mm、ピッチ1mmで格子状の絵柄をシルク印刷で施した厚さ100μmのPET製外装シート13,14で丁合いした。これら丁合いしたシート積層体を上下から厚さ0.5mmのステンレス板で挟み込み、プレス盤上に配置した。プレス温度150℃、プレス時間5分、プレス圧力0.98MPa(10kgf/cm2)の条件で熱ラミネートを行い、ICカード10を作製した。
【0061】
(実施例2)
以下のようにして、図10に示した形態のICカード10’を評価サンプルとして製作した。
【0062】
絶縁基板16として厚さ25μmのポリイミドフィルムの上に銅からなるアンテナパターン22をエッチングにより形成し、アンテナパターン22の両端部間にICチップ17と同形の厚さ15μmの異方性導電膜23を温度70℃で圧着し、その上に4mm角のICチップ17を実装した。ICチップ17の実装条件は、ボンディングツール部の温度を230℃(パルスヒート法)、加圧値を400g、加圧時間を15秒とした。
【0063】
次に、実装したICチップ17の上にディスペンサを用いて封止剤を10mg塗布し、ICチップ17よりも面積の広い補強用金属板19を配置した。封止剤の組成は、エポキシ樹脂中に平均粒径11μm以上20μm以下のシリコンフィラーを体積含有率28%添加したものを用いた。また、補強板19と同一の構成の補強板21を用意し、ディスペンサを用いて上記と同一の封止剤を5mg塗布し、その上に補強板21を配置した。上方および下方から補強板19,21を均一に加圧して図3に示したように封止厚を一定とし、封止剤をICチップ17の周辺に流れ込ませてICチップ周辺を被覆するとともに、補強板19,21を絶縁基板16上に接着した。これを120℃の熱硬化炉に装填し、封止剤を熱硬化させて封止層18,20を形成し、ICモジュール11を作製した。
【0064】
続いて、表面に線幅0.15mm、ピッチ1mmで格子状の絵柄をシルク印刷で施した厚さ100μmの延伸PET製外装シート13,14で挟み込み、ICモジュール11の周囲を2液性エポキシ樹脂を充填して接着剤層30を形成した。これを50℃の熱硬化炉で15分間保持し、接着剤層30を完全硬化させてICモジュール11を内蔵するICカード10’を作製した。
【0065】
(実施例3)
以下のようにして、図11に示した構成を有するICカード10”を評価サンプルとして製作した。
【0066】
絶縁基板16として厚さ38μmのPENフィルムの上にアルミニウムからなるアンテナパターン22をエッチングにより形成し、アンテナパターン22の両端部間にICチップ17と同形の厚さ15μmの異方性導電膜23を温度70℃で圧着し、その上に4mm角のICチップ17を実装した。ICチップ17の実装条件は、ボンディングツール部の温度を230℃(パルスヒート法)、加圧値を400g、加圧時間を15秒とした。
【0067】
次に、実装したICチップ17の上にディスペンサを用いて封止剤を10mg塗布し、ICチップ17よりも面積の広い補強用金属板19を配置した。封止剤の組成は、エポキシ樹脂中に平均粒径11μm以上20μm以下のシリコンフィラーを体積含有率26%添加したものを用いた。また、補強板19と同一の構成の補強板21を用意し、ディスペンサを用いて上記と同一の封止剤を5mg塗布し、その上に補強板21を配置した。上方および下方から補強板19,21を均一に加圧して図3に示したように封止厚を一定とし、封止剤をICチップ17の周辺に流れ込ませてICチップ周辺を被覆するとともに、補強板19,21を絶縁基板16上に接着した。これを120℃の熱硬化炉に装填し、封止剤を熱硬化させて封止層18,20を形成し、ICモジュール11を作製した。
【0068】
続いて、ICモジュール11を貫通孔28a,29aを有する厚さ250μmのPETG製コアシート28,29で挟み込み、表面に線幅0.15mm、ピッチ1mmで格子状の絵柄をシルク印刷で施した厚さ125μmのPETを基材としたリライトシート33,34で丁合いした。これら丁合いしたシート積層体を上下から厚さ0.5mmのステンレス板で挟み込み、プレス盤上に配置した。プレス温度150℃、プレス時間5分、プレス圧力0.98MPa(10kgf/cm2)の条件で熱ラミネートを行い、リライト機能付きICカード10”を作製した。
【0069】
リライトシート33,34は、コアシート28,29側から高分子フィルム、着色層、可逆性感熱記録層および透明保護層とから構成され、接着性を高めるために、コアシート28,29との間に市販のホットメルトを介装させた。なお、用いたリライトシート33,34は、三菱製紙製TRF−135Wとした。
【0070】
(実施例4)
封止剤に含有させるシリコンフィラーの平均粒径を11μm以上20μm以下とし、その体積含有率を30%とした以外は、上述の実施例3と同様にしてリライト機能付きICカードを作製した。
【0071】
(実施例5)
封止剤に含有させるフィラーを平均粒径11μm以上20μm以下の酸化チタンとし、その体積含有率を30%とした以外は、上述の実施例3と同様にしてリライト機能付きICカードを作製した。
【0072】
(実施例6)
封止剤に含有させるフィラーを平均粒径11μm以上20μm以下の酸化チタンとし、その体積含有率を26%とした以外は、上述の実施例3と同様にしてリライト機能付きICカードを作製した。
【0073】
(比較例1)
封止剤に含有させるシリコンフィラーの平均粒径を11μm以上20μm以下とし、その体積含有率を25%とした以外は、上述の実施例1と同様にしてICカードを作製した。
【0074】
(比較例2)
封止剤に含有させるシリコンフィラーの平均粒径を20μm以上30μm以下とし、その体積含有率を18%とした以外は、上述の実施例2と同様にしてICカードを作製した。
【0075】
(比較例3)
封止剤に含有させるシリコンフィラーの平均粒径を5μm以上15μm以下とし、その体積含有率を30%とした以外は、上述の実施例3と同様にしてリライト機能付きICカードを作製した。
【0076】
(比較例4)
封止剤に含有させるシリコンフィラーの平均粒径を5μm以上15μm以下とし、その体積含有率を25%とした以外は、上述の実施例3と同様にしてリライト機能付きICカードを作製した。
【0077】
(比較例5)
封止剤に含有させるシリコンフィラーの平均粒径を11μm以上20μm以下とし、その体積含有率を18%とした以外は、上述の実施例3と同様にしてリライト機能付きICカードを作製した。
【0078】
(評価方法)
これら実施例1〜6および比較例1〜5に係るICカードについて、IC実装部位とIC非実装部位とにおけるカード表面間の段差の大きさ、カード表面の印刷歪みの有無、リライトシートにあってはその印画性およびシート積層前のICモジュール表面の凹/凸を調べた。
【0079】
ICカードの表面段差の測定は、三鷹光器(株)製非接触三次元測定装置NH−3を用いて、ICチップを中心とした15mm角の範囲で測定を行い、鰓ら他表面形状から最大変化量を読み取った。NH−3における測定条件は、対物レンズ50倍、レーザースポット径2μm、測定ピッチ20μmとした。
【0080】
印刷歪みの有無は、光学顕微鏡10倍でIC実装部におけるカード表面を観察し、印刷歪みが見られなかったものを○、印刷歪みが見られたものを×として判定した。
【0081】
また、リライトシートの印画性の評価方法としては、九州松下電器(株)製の印字・消去機能付きカードリーダーライター(KU−Rタイプ)を用いて、印字エネルギー0.5mJ/dotでICチップを中心とした20mm角の範囲を感熱印字し、印字抜けやカスレが全く無かったものを○、カスレあるいは印字抜けのいずれか一方があったものを△、カスレと印字抜けが両方あったものを×とした。
【0082】
ICモジュール表面の凹/凸の評価は、ICチップ直上の補強板の表面を三鷹光器(株)製非接触三次元測定装置NH−3によって測定し、中央部がICチップ側へ凹んでいる場合を「凹」、中央部が盛り上がっている場合を「凸」とした。
【0083】
実施例1〜6および比較例1〜5のICカードについて、IC実装部位とIC非実装部位とにおけるカード表面間の段差の大きさ、カード表面の印刷歪みの有無、リライト機能付きにあってはその印画性およびICモジュール表面凹/凸のそれぞれの評価結果を、ICチップの封止剤に含有されるフィラーの組成、平均粒径および体積含有率とともに、表1に示す。
【0084】
【表1】
Figure 2004192568
【0085】
表1から明らかなように、フィラーの平均粒径が11μm以上20μm以下であって、かつ、その体積含有率が26%以上30%以下である実施例1〜6によれば、カード表面の段差が何れも5μm以内であり、印刷歪みが無く、印画性も優れることがわかる。また、ICモジュールの表面形状は何れも凹であった。
【0086】
上記条件でフィラーを含有した封止層は、硬化時の体積収縮が効果的に抑えられ(図8A参照)、これによりシート積層後におけるカード表面のIC実装部位と非実装部位との間の段差を5μm以内とすることができ、印刷歪みの無い優れたカード外観品質を得ることができる。また、カード表面の段差によるサーマルヘッドとのスペーシングを小さくでき、印字抜けや印字カスレのない鮮明な印画像を形成できる印画性の高いリライト機能を得ることができる。
【0087】
一方、フィラーの平均粒径が11μm以上25μm以下であり、かつ、体積含有率が26%以上30%以下の条件を満たさない比較例1〜比較例5については、何れもカード表面の平坦性が上記各実施例に比べて悪く、このためカード表面に印刷歪みを発生させたり、印字抜けや印字カスレ等の印画不良を引き起こしていることがわかる。また、比較例ではICモジュールの表面形状が何れも凸であり、このICモジュールの表面形状の凹/凸の如何によってカード表面の平坦性が大きく影響されることがわかる。
【0088】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0089】
例えば以上の実施の形態では、リライトシートを設けるICカードの構成においてそのカード両面にそれぞれリライトシートを設ける構成について説明したが、勿論これに限られず、カードの一方側の面にのみ設ける場合にも上述と同様な効果を得ることができる。
【0090】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のICカードによれば、IC実装部位とIC非実装部位とにおけるカード表面間の段差を5μm以内に抑えることができるので、印刷歪みのない優れた外観品質を得ることができるとともに、リライト機能を付加したICカードにあっては印画性の優れたカード表面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるICカード10の構成を模式的に示す側断面図である。
【図2】ICカード10に内蔵されるICモジュール11のIC実装部の拡大図である。
【図3】IC実装部の構成の変形例を示す側断面図である。
【図4】ICモジュール11のアンテナコイルパターンの一例を示す平面図である。
【図5】ICチップとアンテナコイルとを電気的に接合する異方性導電膜の構成を説明する側断面図である。
【図6】アンテナコイルを形成した絶縁基板上に異方性導電膜を貼り付けた状態を示す平面図である。
【図7】異方性導電膜を介してICチップをアンテナコイル上に実装した様子を示す側断面図である。
【図8】封止層形成後のIC実装部の形態を説明する模式図であり、A,Bは本発明、Cは従来例を示している。
【図9】図1に示すICカード10を層ごとに分離して示した側断面図である。
【図10】接着剤層30にICモジュール11を内蔵させた構成のICカード10’の側断面図である。
【図11】図3に示す構成のIC実装部を備えたICモジュールを用いてリライト機能を付加したICカード10”の層構造を説明する側断面図である。
【符号の説明】
10,10’,10”…ICカード、11…ICモジュール、12…コア層、13,14…外装シート、16…絶縁基板、17…ICチップ、18…封止層、19…補強板、22…アンテナコイル、23…異方性導電膜、28,29…コアシート、28a,29a…貫通孔、30…接着剤層、33,34…リライトシート。

Claims (7)

  1. アンテナコイルを有する絶縁基板と、前記絶縁基板の上に実装されたICチップと、前記ICチップを封止する封止層とからなるICモジュールを、一対の外装シートで挟み込んでなるICカードにおいて、
    IC実装部位とIC非実装部位とにおけるカード表面間の段差が、5μm以内である
    ことを特徴とするICカード。
  2. 前記封止層の頂部が平坦、または、前記ICチップ側へ凹んだ形状を有している
    ことを特徴とする請求項1に記載のICカード。
  3. 前記封止層の上には補強板が設けられており、前記補強板の表面形状が平坦、または、前記ICチップ側へ凹んだ形状を有している
    ことを特徴とする請求項1に記載のICカード。
  4. 前記封止層を形成する封止剤にはフィラーが含有されており、前記フィラーの体積含有率が26%以上30%以下であり、かつ、前記フィラーの平均粒径が11μm以上20μm以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載のICカード。
  5. 前記一対の外装シートの間には、IC実装部に対応する位置に貫通孔が形成されたコアシートが介装されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のICカード。
  6. 前記ICモジュールが、前記一対の外装シートの間に形成された接着剤層に内蔵されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のICカード。
  7. 前記カード表面の少なくとも一方側には、可逆性感熱記録層が設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載のICカード。
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