JP2004191357A - ポリヌクレオチドの分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 試料溶液中に存在する被検ポリヌクレオチド中の、標的塩基配列の有無、標的塩基配列との違い等の判定を、簡便な操作により迅速かつ信頼性よく行う分析方法を提供すること。
【解決手段】 被検ポリヌクレオチド中の、標的塩基配列を有するポリヌクレオチド(A)の有無、標的塩基配列を有さないポリヌクレオチド(B)の有無、及びポリヌクレオチド(B)中の標的塩基配列との違いから選ばれる1種以上を判定するポリヌクレオチドの分析方法であって、被検ポリヌクレオチド、標的塩基配列と相補的な塩基配列を有する一本鎖のプローブ化合物、及び蛍光性インターカレーターを含有する検体溶液を、流れ方向に温度分布を有して温度調整された毛細管状の検出用流路に流し、該流路の任意の位置において蛍光強度を測定する検出工程を有し、該蛍光強度より上記判定を行うポリヌクレオチドの分析方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、検体溶液中に存在する被検ポリヌクレオチドの、標的塩基配列を有するポリヌクレオチドの有無、前記標的塩基配列を有さないポリヌクレオチドの有無、および該標的塩基配列を有さないポリヌクレオチドの前記標的塩基配列との違いから選ばれる1種以上を判定するポリヌクレオチドの分析方法に関する。
ポリヌクレオチドの塩基配列が目的の配列であるか否か、基準とする配列と同一か若しくは異なるか、又は、基準とする配列とどの程度相補性が異なるか等といったポリヌクレオチドの分析方法としては、種々の方法が知られている。
しかし、塩基配列の違いやその長さの差が小さいポリヌクレオチド同士の違いを分析する場合、中でも、置換、挿入、欠失などにより一塩基のみが異なる塩基配列の違いを分析する場合には、既知の分析方法では種々の欠点があり満足できるものではなかった。
例えば、DNAチップ(例えば、非特許文献1参照。)のように、固相に固定したプローブ化合物であるオリゴヌクレオチドに被検DNAを選択的にハイブリッド形成させる方法では、一塩基のみ異なるような僅かな塩基配列の違いを十分なコントラストで検出するには数時間以上のインキュベーションを要するといった問題があった。
アフィニティークロマトグラフィー(例えば、非特許文献2参照。)は、標的塩基配列の判定にそれ専用の一本のカラムが必要であり、汎用機とすることができなかった。
また、電気泳動法の一つに、検体溶液にプローブ化合物を添加して電気泳動を行う方法が知られている(例えば、非特許文献3、4参照。)。これによると、プローブ化合物とミスマッチの塩基配列を有するDNAは、特定の条件では立体構造が変化して泳動時間が大きく変化するため、分離、判定できる。これはアフィニティークロマトグラフと異なり、汎用の装置が使用できるが、測定条件が微妙なため条件設定に多数回の測定を要する上、数十分以上の時間を要するといった問題があった。
一方、二本鎖DNAは、該二本鎖(ハイブリッド)の塩基配列が相補的である場合に比べて、ミスマッチ(非相補的な部位)が有れば解離し易くなることが知られている(例えば、非特許文献5参照。)。従って、二本鎖DNAの融解温度を調べれば、該DNAが相補的であるか、塩基配列にミスマッチを有するかが判定できることになる。
しかしながら、例えば分析対象のDNAが変異型であるか野生型であるかという一塩基多型の分析において、試料のDNAが変異型である場合でも、野生型とは塩基配列が異なるものの、それ自身は変異型センス鎖と変異型アンチセンス鎖の相補的な二本鎖であるため、この方法によっては、変異型と野生型を見分けることはできなかった。
大野典也,「ニュートン」,1999年,7月号,p.60−61 近藤壽彦,阿部修三,「クロマトグラフィー」,1997年,第18巻,第2号,p.122−125 穴田貴久,前田瑞夫,「バイオサイエンスとインダストリー」,2001年,第59巻,第11号,p.751−754 緒方宣邦,野島博,「遺伝子工学キーワードブック」,1996年,羊土社,110頁「温度勾配ゲル電気泳動法」,356頁「変成ゲル電気泳動法」 緒方宣邦,野島博,「遺伝子工学キーワードブック」,1996年,羊土社,355頁「変成」,356頁「変成ゲル電気泳動法」
本発明が解決しようとする課題は、試料溶液中に存在する被検ポリヌクレオチドが、分析の標的とする塩基配列を有するか否か、および/または、標的塩基配列との違い等の判定を行うためのポリヌクレオチドの分析方法、特に、一塩基のみが異なる塩基配列を判別可能な分析方法であって、汎用の装置を用いて、試薬の選定だけで種々の分析が可能なポリヌクレオチドの分析方法を提供することである。さらに、単純な操作で迅速に、しかも高い信頼性で測定が可能な測定方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、標的塩基配列と実質的に相補的な塩基配列を有するプローブ化合物、および蛍光性インターカレーターを用い、流れ方向に温度分布を有して温度調節された検出用流路において蛍光強度を測定することにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、被検ポリヌクレオチド中の、標的塩基配列を有するポリヌクレオチド(A)の有無、前記標的塩基配列を有さないポリヌクレオチド(B)の有無、および前記ポリヌクレオチド(B)中の前記標的塩基配列との違いから選ばれる1種以上を判定するポリヌクレオチドの分析方法であって、被検ポリヌクレオチド、前記標的塩基配列と相補的な塩基配列を有する一本鎖のプローブ化合物、及び蛍光性インターカレーターを含有する検体溶液を、流れ方向に温度分布を有して温度調整された毛細管状の検出用流路に流し、該流路の任意の位置において前記蛍光性インターカレーターの蛍光強度を測定する検出工程を有し、該蛍光強度より上記判定を行うことを特徴とするポリヌクレオチドの分析方法である。
本発明は、試料溶液中に存在する被検ポリヌクレオチドの塩基配列をプローブ化合物を用いて標的塩基配列と比較して、同じか、異なるか又はどの程度異なるかを、特に、一塩基多型の存在の有無やその種類を簡便かつ迅速に分析できる。また、汎用の装置を用いて、試薬、すなわちプローブ化合物と蛍光性インターカレーターとの選定だけで異なる塩基配列の分析が可能である。
また、一つの温度分布を設定するだけで、ポリヌクレオチド(A)の有無や存在量、ポリヌクレオチド(B)の有無や存在量、ポリヌクレオチド(B)の標的塩基配列からの違いを同時に測定可能である。
さらに、前記検出用流路の温度分布中の最低温部における蛍光強度及び/又は最高温部における蛍光強度と、検出用流路の任意の位置に於ける蛍光強度を測定し、その差をとって蛍光強度の減少量を算出したり、その比をとって正規化することが容易に行え、これによって、検体溶液毎に被検ポリヌクレオチドやプローブ化合物の濃度が異なっていてもそれを補正して正確に判定することが出来、また、二本鎖状態の被検ポリヌクレオチドやその他の蛍光性の物質が存在しても、それを補正して正確に判定することができる。
本発明は、検出用流路に温度分布を設けることによって、検出用流路内の検体溶液の温度情報を検出用流路内の位置情報に変換することが出来、そのため、温度の昇降温のプログラム制御が不要となり、検出用流路、或いはそれが組み込まれたマイクロ流体デバイスの各部の温度を時間的に一定に保つのみでよい。また、温度変化させる対象物質が検出用流路中に存在する微少量の(すなわち、微小な熱容量の)検体溶液のみであるため温度追従性が良く、制御温度と実温度のずれの問題も解決され、エネルギー消費量が少ないため電池での運転も可能となる。
また、検出用流路の断面積を十分小さくすることによって、検体溶液の温度追従性を良くし、検体溶液の流速に多少の変動があっても、検出用流路内の位置と検体溶液の温度との関係にほとんど影響を与えないようにすることが出来る。そのため、流速の変動は判定精度にもほとんど影響を与えず、例えば気体圧力による送液や簡易なポンプによる送液が可能となる。
また、ハイブリッド形成工程の前に、二本鎖の被検ポリヌクレオチドを一本鎖とする予備解離工程を行うことによって、プローブ化合物と被検ポリヌクレオチドのハイブリッド形成時間が短縮でき、測定の迅速化が図れる。さらに、ハイブリッド形成工程のハイブリッド形成時間を厳密に管理することが可能になり、測定の再現性が向上する。
[検体溶液]
本発明にかかるポリヌクレオチドの分析方法において、測定対象である検体溶液は、被検ポリヌクレオチド、標的塩基配列と実質的に相補的な塩基配列を有する一本鎖のプローブ化合物、および被検ポリヌクレオチドとプローブ化合物とのハイブリッドにインターカレートして蛍光収率が変化する蛍光性インターカレーターを含有する。
なお、検体溶液は、上記の被検ポリヌクレオチド、プローブ化合物、及び蛍光性インターカレーターの他に、本発明の方法を妨害しない他の成分、例えば、酵素などの蛋白やヌクレオチドモノマー、PCR用のプライマーなどを含有していもよい。但し、該プライマーは、プローブ化合物と、本分析を妨害するようなハイブリッド形成をしない塩基配列に設計される必要がある。
ここで言う「本分析を妨害するようなハイブリッド形成をしない塩基配列」とは、検出目的のポリヌクレオチドがプローブ化合物と形成するハイブリッドの相補的な塩基数と同じ数の塩基数の相補鎖を形成しないことをいう。このような塩基配列であれば、ハイブリッド形成しても、検出目的のポリヌクレオチドと融解温度が異なり、本分析を妨害しない。
[被検ポリヌクレオチド]
被検ポリヌクレオチドは、本発明に於ける分析対象のポリヌクレオチドであり、分析目的によって種々の場合があり得る。例えば、全DNA、cDNA、制限酵素により切断されたDNA断片、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)などにより増幅された2本鎖又は1本鎖DNA断片、RNA、これらの置換体や化学修飾体などであり得る。
被検ポリヌクレオチドが対立ポリヌクレオチド(以下、「対立鎖」と称する場合がある。)の双方を含有する場合には、被検ポリヌクレオチドの長さ(塩基数)は、後述のように、プローブ化合物が標的塩基配列と相補的である塩基数より1塩基以上長いことが必要であり、2塩基以上長いことが好ましく、3塩基以上長いことさらに好ましく、4塩基以上長いことが最も好ましい。被検ポリヌクレオチドが対立鎖の一方のみである場合には、上記の限定は不要である。
被検ポリヌクレオチドの長さは、例えば塩基数が数千万であり得るが、分析精度と分析速度を共に高くするために、塩基数20〜100000が好ましく、塩基数30〜10000がさらに好ましく、35〜3000が最も好ましい。この範囲の下限以上とすることにより、検体溶液を調製する際に、PCRなどによる増幅の精度が向上するため、本分析方法の精度が向上する。又上記の上限以下とすることによって、PCRなどによる増幅の速度が向上し、また、ハイブリッド形成や解離の速度が向上するため、本分析方法の速度が向上する。前記検体溶液中に含有される被検ポリヌクレオチドの長さは、制限酵素の選択によって調節でき、また、PCRなどによってポリヌクレオチドを増幅する場合には、プライマーの設計によって調節できる。
被検ポリヌクレオチドは、対立鎖の一方又は両方であり得る。対立ポリヌクレオチドの両方である場合には、ホモ接合鎖であり得るし、ヘテロ接合鎖であり得る。また、単独の塩基配列のポリヌクレオチド、互いに異なる塩基配列を有するポリヌクレオチドの混合物、例えば野生型と変異型のポリヌクレオチドの混合物であり得るし、互いに異なる種類のポリヌクレオチドの混合物であり得る。また、異なる長さのポリヌクレオチドの混合物であり得る。勿論、分析結果として検体溶液中に分析目的の塩基配列を有するポリヌクレオチドが含有されないことが判明する場合もあり得る。
被検ポリヌクレオチドの検体溶液中の濃度は任意である。蛍光測定機構の感度に応じて設定できる。蛍光測定機構の感度が高ければ1分子であり得る。PCRやLAMP法などのポリヌクレオチド増幅反応の反応生成溶液をそのまま、或いは2〜1000倍に希釈して使用することも好ましい。
[標的塩基配列]
標的塩基配列は、分析の基準となる特定の塩基配列である。例えば、一塩基多型の検出を目的とする場合には、変異の生じる部分(ホットスポット)を含む塩基配列部分である。標的塩基配列は、ポリヌクレオチド(A)やポリヌクレオチド(B)が二本鎖である場合には、対立鎖の一方の配列とするか他方の配列とするか、例えば、センス鎖とするかアンチセンス鎖とするかは任意である。
標的塩基配列の長さは、例えば標的塩基配列を有するポリヌクレオチド(A)(以下、単に「ポリヌクレオチド(A)」という。)が10〜100塩基(対)である場合には、塩基数6以上であればよい。この長さであれば、ポリヌクレオチド(A)が偶然プローブ化合物に相補的な塩基配列を持つ確率は無視できるほど小さいため、充分な精度と信頼性が得られる。
ポリヌクレオチド(A)の塩基(対)数がそれ以上である場合には、該塩基数に応じて、プローブ化合物の塩基数も増やすことが、選択エラーを防ぐために好ましい。例えば、ポリヌクレオチド(A)の塩基(対)数が100〜1000である場合には、10以上であることが好ましく、ポリヌクレオチド(A)の塩基(対)数が数千以上である場合には、15以上であることが好ましい。
後述のように、プローブ化合物が標的塩基配列に対して1又は2塩基のミスマッチを有するものである場合には、15以上であることが好ましく、20以上であることがさらに好ましく、23以上であることが最も好ましい。プローブ化合物が標的塩基配列に対して3又は4塩基のミスマッチを有するものである場合には、25以上であることが好ましく、30以上であることがさらに好ましく、33以上であることが最も好ましい。
標的塩基配列の塩基数の上限は任意であり、好ましい上限は標的塩基配列を有さないポリヌクレオチド(B)(以下、単に「ポリヌクレオチド(B)」という。)の塩基配列と標的塩基配列との違いの程度や、プローブ化合物へのミスマッチの導入数により異なる。上記配列の違いが大きいほど、それに応じて標的塩基配列の塩基数の上限も大きくてよく、例えば上記上限は1000であってもよいが、プローブ化合物へミスマッチを導入しない場合には、50以下であることが好ましく、30以下であることが最も好ましい。
上記配列の違いが1塩基である場合であって、プローブ化合物が標的塩基配列に対するミスマッチを導入しない場合には、30以下が好ましく、25以下がさらに好ましい。プローブ化合物が標的塩基配列に対して1又は2塩基のミスマッチを有するものである場合には、50以下であることが好ましく、40以下であることがさらに好ましく、30以下であることが最も好ましい。プローブ化合物が標的塩基配列に対して3又は4塩基のミスマッチを有するものである場合には、80以下であることが好ましく、65以下であることがさらに好ましく、50以下であることが最も好ましい。この好ましい上限以下とすることで、充分な選択性を維持しつつ分析の迅速化が図れる。
[プローブ化合物]
プローブ化合物は、標的塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、ポリヌクレオチド(A)とハイブリダイゼーションする化合物であれば任意であり、例えば、オリゴDNA、オリゴRNA、糖部分や燐酸基部分が修飾或いは置換されたオリゴDNAやオリゴRNA、その他の任意の化合物であり得る。このようなプローブ化合物は、合成可能であるし、また、マイクロアレイ用などとして市販されているものが使用できる。
「実質的に相補的」とは、標的塩基配列の全体に対して少数の非相補的な部分を有してもよいことを意味し、好ましくは、相補的であるか1〜4塩基の非相補的な塩基を有するものである(以下、「(標的塩基配列に)相補的」なことを「(標的塩基配列と)完全マッチ」であると表現する場合がある、また、「(標的塩基配列に相補的な塩基配列に対してN個の)塩基の配列が異なる」ことを「(標的塩基配列とN個の塩基の)ミスマッチを生じる」と表現する場合がある)。
但し、プローブ化合物が、標的塩基配列に対して少数の(例えば1〜4塩基の)ミスマッチを生じるものである場合には、該ミスマッチを生じる塩基は、ポリヌクレオチド(B)が標的塩基配列と異なる部分において、ポリヌクレオチド(B)と相補的でない塩基とする必要がある。その理由は、プローブ化合物が標的塩基配列に相補的な配列を有する場合のポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)が逆転した場合に相当し、本発明のポリヌクレオチド(A)、ポリヌクレオチド(B)の定義に反するからである。
例えば、ポリヌクレオチド(B)が、標的塩基配列中の或るグアニンがチミンに変異した塩基配列を有するとき、標的塩基配列に対してミスマッチとなる塩基が、前記チミンに相補的なアデニンであると、プローブ化合物は該部分でポリヌクレオチド(B)と相補的ポリヌクレオチド(A)とミスマッチになってしまう。ミスマッチが挿入や欠失による場合も話は同様である。このような、標的塩基配列に対して、実質的に相補的な塩基配列を有するプローブ化合物は、上記ミスマッチの数がいくつであっても、ポリヌクレオチド(A)に対して、ポリヌクレオチド(B)より強くハイブリダイゼーションする。
プローブ化合物が、標的塩基配列に対して1〜4個のミスマッチを生じるものである場合には、該ミスマッチを生じる塩基は、置換、挿入、欠失のいずれであってもよいが、置換であることが、該ミスマッチを導入する効果が発揮されるため好ましい。また、ポリヌクレオチド(B)が標的塩基配列と異なる塩基の位置と種類が既知の場合、例えば一塩基多型における野生型と変異型の場合には、プローブ化合物は、前記標的塩基配列内でミスマッチを生じる塩基配列部分を、標的塩基配列の端以外の部分とする。端であってもよいが、本発明においては、説明の煩雑さを避けるため、塩基配列の端にある該1〜4塩基異なる部位を除いた部分を標的塩基配列とする。
上記以外であれば、該1〜4塩基異なる部位は任意であり、ポリヌクレオチド(B)が標的塩基配列と異なる部位に隣接した塩基(1個目の塩基)であってもよいし、2個目の塩基、3個目の塩基、或いはさらに離れた位置の塩基であってもよい。これらの中で、1〜4個目の塩基であることが好ましく、1個目又は2個目の塩基であることがさらに好ましい。この位置にすることによって、本発明の効果をより発揮できる。
プローブ化合物が、前記標的塩基配列に対して2塩基異なる塩基配列を有する場合にも、該部分の位置は任意であり、ポリヌクレオチド(B)が標的塩基配列と異なる部位から、若しくは、前記異なる第1の塩基から、1〜4個目の塩基であることが好ましく、1個目又は2個目の塩基であることがさらに好ましい。この位置にすることによって、本発明の効果をより発揮できる。
プローブ化合物が、前記標的塩基配列に対して3又は4塩基異なる塩基配列を有する場合も上記と同様であるが、該ミスマッチを生じる塩基は各々1つ置きの塩基であることが好ましい。
プローブ化合物が、標的塩基配列に相補的な塩基配列に対して5個以上の塩基の配列が異なる塩基配列を有していると、標的塩基配列の全長が同じである場合には、解離温度が常温以下となる場合があり、常温以下の温度調節が必要となる。このような不都合を避けるためには、標的塩基配列の長さやミスマッチの導入位置が限定されていることが好ましい。
プローブ化合物は、一分子内に標的塩基配列部分を複数有していてもよく、該複数の標的塩基配列部分は同じ標的塩基配列であっても、異なる塩基配列であってもよい。同じである場合は、検出感度を向上させることができるし、異なる場合には、複数の標的塩基配列を同時に測定することができる。
プローブ化合物は上記標的塩基配列以外の部分を有していてよい。この場合には、標的塩基配列と実質的に相補的である塩基配列部分がハイブリダイゼーションに寄与する。但しこの場合、標的塩基配列以外の塩基配列部分は、ポリヌクレオチド(B)とハイブリッド形成しない必要がある。
プローブ化合物の塩基数の下限は標的塩基配列の塩基数である。プローブ化合物の塩基数の上限は、特に限定する必要はないが、ポリヌクレオチド(A)の塩基数以下であることが好ましく、前記標的塩基配列の塩基数の上限として示した数以下であることが好ましい。この好ましい上限以下とすることによって、ハイブリッド形成に要する時間が短縮され、分析時間を短縮できる。
ポリヌクレオチド(B)は、プローブ化合物と相補的な塩基数がポリヌクレオチド(A)の場合より少ないため、ハイブリッド形成の結合能力は低いが、低温あるいは十分にインキュベートしない短時間条件ではプローブ化合物とハイブリッドを形成する。
プローブ化合物が標的塩基配列と相補的な塩基配列である場合、標的塩基配列を20〜30塩基程度にすると温度対解離量の曲線(後述の解離曲線)の傾きは急峻となり、分析の精度と信頼性が向上する。ただし、この場合には解離温度が高くなるため、溶液中の気泡の発生による検出ノイズや、高温下でのデバイスの変形に留意する必要がある。一方、標的塩基配列の長さを短くするにつれ解離温度は低くなるが、温度対解離量の曲線の傾きは徐々に緩慢になるため、分析精度の観点からは標的塩基配列の長さは、上記した長さ以上であることが好ましい。そこで、標的塩基配列を20〜30以上に保ち、1〜4のミスマッチを生じうる塩基配列を採用すると、解離温度が低下するにもかかわらず、解離曲線は、標的塩基配列の長さを短くする場合より急峻となるため、1〜4のミスマッチを生じうる塩基配列とすることが好ましい。ミスマッチの導入による融解温度の低下量は、標的塩基配列の長さ、ミスマッチの位置や塩基の種類、溶出液の塩濃度などにもよるが、通常第一のミスマッチ導入により3〜5℃、第二のミスマッチ導入によりさらに3〜10℃、第三のミスマッチの導入によりさらに3〜15℃、第四のミスマッチの導入によりさらに3〜15℃である。
プローブ化合物は、さらに、塩基配列とは無関係な部分を有していてもよい。例えば、該プローブ化合物を固相合成する際に固相に固定するためのアミノ基などの官能基、塩基配列部分と前記固定用官能基の間のスペーサーとなるアルキレン基やポリエチレングリコール基、等を有していてもよい。
プローブ化合物の検体溶液中の濃度は任意であるが、下限は、被検ポリヌクレオチドが対立鎖の双方を含有する場合には、被検ポリヌクレオチド濃度以上とすることが好ましく、3倍以上がさらに好ましく、5倍以上が最も好ましい。前記倍率の上限は、高いことそれ自体による不都合はなく、例えば、被検ポリヌクレオチドが1分子であるような場合には、1021倍であってよいが、効果対費用の面から1000倍以下が好ましく、100倍以下がさらに好ましい。前記プローブ化合物の濃度の上限は、分析コスト面から1mM以下が好ましく、0.1mM以下がさらに好ましい。上記のように検体溶液中のプローブ化合物の濃度をポリヌクレオチドに対して過剰量とすることによって、検出用流路に導入される検体溶液中において、被検ポリヌクレオチド同士がハイブリッド結合した二本鎖ポリヌクレオチド濃度より、プローブ化合物とのハイブリッドの濃度が高くなり、検出感度が高くなると同時に二本鎖ポリヌクレオチドからの蛍光発光が相対的に少なくなり、分析精度が向上する。
本発明に用いるプローブ化合物は互いに相補的な塩基配列を有する対(ポリヌクレオチドで言う対立鎖)の内の一方である。互いに相補的な対の両者を使用すると、それを一本鎖状態と成した混合物として使用しても、後述のハイブリッド形成工程において、プローブ化合物同士がハイブリッド形成してしまい、該ハイブリッドと、プローブ化合物と相補的な塩基配列を持つ被検ポリヌクレオチドとのハイブリッドの区別が付かなくなる。このような対の一方のみのプローブ化合物、例えば一本鎖オリゴDNAは、周知の固相合成法によって合成可能である。
[蛍光性インターカレーター]
前記蛍光性のインターカレーターとは、プローブ化合物とポリヌクレオチドとのハイブリッドや二本鎖ポリヌクレオチドが存在するときと存在しないときで、蛍光収率が変化する化合物である。例えば、プローブ化合物とポリヌクレオチドとのハイブリッドや二本鎖ポリヌクレオチドが存在しないときには無蛍光性であるが、これらの共存下では、該ハイブリッドまたは二本鎖の間に入り込み(インターカレーション)蛍光性となる化合物である。このような化合物としては公知慣用のものが使用でき、例えば、エチジウムブロマイドが挙げられる。すなわち、蛍光性インターカレーターを検体溶液に添加することによって、蛍光発光の有無から検体溶液中にプローブ化合物とポリヌクレオチドとの、或いはポリヌクレオチド同士のハイブリッドが存在するかどうかを知ることができ、また蛍光強度からその存在量を知ることができる。
前記蛍光性のインターカレーターは、インターカレートしている状態、若しくは、インターカレートしていない状態のいずれかで完全に無蛍光性で有ることが好ましいが、そうでなくてもよい。インターカレートしている状態と、インターカレートしていない状態の蛍光収率の比が1を超える或いは1未満のものであれ使用可能であり、その比が2以上または1/2以下が好ましく、5以上又は1/5以下が更に好ましく、10以上又は1/10以下が最も好ましい。また、インターカレートしている状態での蛍光収率が、インターカレートしていない状態での蛍光収率より高いものが、ポリヌクレオチドの判定が容易であり、好ましい。
蛍光性インターカレーターの検体溶液中の濃度は任意であり、二本鎖ポリヌクレオチドの検出に通常用いられる濃度であればよく、例えばエチジウムブロマイドの場合、0.1〜5μg/cmの範囲が好ましく使用できる。
[検出用流路]
本発明で用いる毛細管状の検出用流路は、該検出用流路外から蛍光を観察できれば、それが形成された部材の形状は任意であり、チューブ状でもよいし、板状や塊状の部材内部に形成された物でもよいが、板状の部材中に形成されたものであることが好ましい。また、検出用流路は、一つの部材中に後述の予備解離用流路やハイブリッド形成用流路と共に形成されることも好ましく、さらに、ポリヌクレオチドの抽出、濃縮、精製などの前処理を行う機構や、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)などのポリヌクレオチドを増幅する機構と共に同じ部材中に形成されることも好ましい。また、多検体同時測定を行うために、一つの部材中に複数の検出用流路を有することも好ましい。
検出用流路を構成する部材は、蛍光性インターカレーターの励起と蛍光の観察が可能であれば任意である。好ましく使用できる素材として、ガラス、石英などの結晶、有機重合体(ポリジメチルシロキサンなどの有機含有無機重合体も含む)を例示できる。
検出用流路の断面形状は任意であり、例えば矩形、スリット状、三角形、台形、円、楕円などであり得るが、矩形、台形、またはスリット状であることが、製造、測定が共に容易であり好ましい。本発明に使用する検出用流路は、板状の部材中に形成されており、断面形状が、該部材の幅方向の流路寸法が深さ方向の流路寸法以上であることが、温調精度が向上するため好ましい。
検出用流路の直径は3μm〜500μmが好ましく、さらに5〜200μmであることがより好ましく、10〜100μmであることが最も好ましい。流路径を3μmより大きくすることによって、圧力損失の増加を防ぎ、検出用流路に検体溶液を流すことが容易となる上、蛍光の検出感度も向上する。一方、流路径を500μm以下とすることによって、前記検体溶液の昇温或いは降温の時間が短縮でき、分析時間の短縮が図れる上、該流路断面積内での温度分布が小さくなり、測定精度が向上する。ただし、検出用流路の断面形状に異方性がある場合、例えば長方形やスリット状の場合には、上記の流路径は短径を言うものとする。
検出用流路を微細な毛細管状の空洞とすることによって、検体溶液を検出用流路に導入した時の温度追従性を非常に高くすることができる。よって、例えばマイクロウェルなどの貯液槽中で経時的に蛍光を観察する方法に比べて、検出工程の後述の第一温度への急速な昇温が可能で、その後も時間遅れのほとんど無い昇温が可能であるため、測定の迅速化が図れる。また、検体溶液の流路断面内での温度分布を小さくすることが可能なため測定精度が向上する。
[蛍光測定]
蛍光測定のための励起方法は任意であり、紫外線や可視光などの光線、エックス線などのエネルギー線などであってもよいが、紫外線や可視光等の光線が簡便であり好ましい。光線の波長は、用いる蛍光性インターカレーターにより選定できる。光源は任意であり、例えばレーザー、発光ダイオード、クセノンランプや水銀灯などの放電管、白熱灯などが使用できる。
蛍光の検出方法も任意であり、例えば、CCD、光電増倍管、フォトダイオードなどが例示できる。
[融解温度、解離温度]
本明細書中において、「解離温度」とは、ポリヌクレオチドとプローブ化合物とが形成するハイブリッドを含有する溶液を昇温していったときに、ポリヌクレオチドとプローブ化合物の解離が始まる最低温度をいう。また、二本鎖状態の被検ポリヌクレオチドが一本鎖に解離する場合も同様に、解離が始まる最低温度を解離温度という。
「融解温度」とは、ポリヌクレオチドとプローブ化合物とが形成するハイブリッドを含有する溶液を昇温していったときに、ハイブリッドの半量が解離する温度をいう。また、二本鎖状態の被検ポリヌクレオチドが一本鎖に解離する場合も同様に、半量が解離する温度を融解温度という。
「ハイブリッドの全量が解離する温度」とは、ポリヌクレオチドとプローブ化合物とが形成するハイブリッドを含有する溶液を昇温していったときに、ハイブリッドの全量が解離する最低温度をいう。
以下、本明細書中では、上述の温度について説明するために、以下のように温度や温度範囲に符号をつけて説明する。
LB:ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物のハイブリッドの解離温度
MB:ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物のハイブリッドの融解温度
HB:ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物のハイブリッドの全量が解離する温度
LA:ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物のハイブリッドの解離温度
MA:ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物のハイブリッドの融解温度
HA:ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物のハイブリッドの全量が解離する温度
このとき(TLB<TMB<THB)、(TLA<TMA<THA)、(TMB<TMA)という関係にある。また、TLB、TMB、THBはそれぞれ、ポリヌクレオチド(B)の標的塩基配列に対する非相補性が大きいほど低い温度になる関係にある。
準静的な条件、すなわち検体溶液を充分に遅い昇温速度(例えば、毎分1℃)で昇温した時のポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物のハイブリッド(以下、「プローブ化合物/(A)ハイブリッド」ということがある。)、および、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物のハイブリッド(以下、「プローブ化合物/(B)ハイブリッド」ということがある。)の融解曲線を模式図として図1及び図2に示した。図1および図2において、横軸は被検ポリヌクレオチドを含有する溶液の温度を示し、縦軸はポリヌクレオチドとプローブ化合物とのハイブリッド化率を示す。各図中、破線は、プローブ化合物/(A)ハイブリッドの融解曲線であり、実線は、プローブ化合物/(B)ハイブリッドの融解曲線である。
図1は、THB≦TLA なる関係(以下、「融解曲線が非重畳的」と称する場合がある。)にある場合の解離曲線である。この場合には、次のように温度範囲を命名する。
温度範囲α:溶液の氷結温度〜TLB
温度範囲β:TLB〜THB
温度範囲δ:TLA〜THA
温度範囲ε:THB〜溶液の沸騰温度
また、図2は、TLA≦THB なる関係(以下、「融解曲線が重畳的」と称する場合がある。)にある場合である。この場合には、次のように温度範囲を命名する。
温度範囲β’:TLB〜TLA
温度範囲γ’:TLA〜THB
温度範囲δ’:THB〜THA
ただし、図2の重畳的な温度関係の場合において、温度範囲αとεは図1の場合と共通である。
融解温度および解離温度は、プローブ化合物の塩基数、塩基配列のミスマッチの数、プローブ化合物の構成塩基の種類、検体溶液の塩濃度、検体溶液中のEDTAや有機溶剤などの添加物の濃度などにより変わる。例えば、融解温度は、一般的には50〜95℃である。
上記の解離温度、融解温度等は、例えば、いわゆるDNAマイクロアレイを用いて、温度を変化させて洗浄する実験を行い、洗浄温度対ハイブリッド残留量の曲線から求めることができる。
[分析方法]
本発明の分析方法は、被検ポリヌクレオチド中の、標的塩基配列を有するポリヌクレオチド(A)の有無、前記標的塩基配列を有さないポリヌクレオチド(B)の有無、および前記ポリヌクレオチド(B)中の前記標的塩基配列との違いから選ばれる1種以上を判定するポリヌクレオチドの分析方法であって、前記被検ポリヌクレオチド、前記標的塩基配列と実質的に相補的な塩基配列を有する一本鎖のプローブ化合物、及び蛍光性インターカレーターを含有する検体溶液を、流れ方向に温度分布を有して温度調整された毛細管状の検出用流路に流し、該流路の任意の位置において前記蛍光性インターカレーターの蛍光強度を測定する検出工程を有し、該蛍光強度より上記判定を行うことを特徴とする。
ここで、ポリヌクレオチド(B)は、標的塩基配列を有さないポリヌクレオチドであれば特に限定されず、標的塩基配列と1塩基以上異なる塩基配列を含むポリヌクレオチドの混合物であってもよい。
また、「ポリヌクレオチド(B)中の前記標的塩基配列との違いを判定する」とは、被検ポリヌクレオチド中にポリヌクレオチド(B)が含まれる場合、そのポリヌクレオチド(B)中の標的塩基配列に対する種々の非相補性、例えば非相補的である塩基の個数はいくつであるか、何種類の非相補鎖を有するポリヌクレオチドの混合物であるか、さらに、非相補的である塩基の種類は何であるか、さらに、非相補的である塩基の種類はG又はCであるかそれともA又はTであるか、標的塩基配列の範囲に複数の既知のホットポイントが有る場合に、変異部分はそのどちらであるか、標的塩基配列の範囲に未知の変異が有るか無いが、標的塩基配列の範囲に未知の変異が有る場合は、標的塩基配列内の大凡の位置等を判定することをいう。但し、これらは、測定による蛍光強度の経時変化の差が十分に大きい場合や、他の因子と重ならない場合などに、判定可能である場合があるのであって、常に判定可能であるとは限らない。
本発明の分析方法によると、上記検体溶液を、流れ方向に温度分布を有して温度調整された毛細管状の検出用流路に導入して、該流路の任意の位置において蛍光性インターカレーターの蛍光強度を測定することにより、検出流路における被検ポリヌクレオチドとプローブ化合物とのハイブリッドの形成または融解の挙動を検出することができるため、上記判定を行うことができる。
例えば、ポリヌクレオチド(A)の有無は、ポリヌクレオチド(A)のみがプローブ化合物とハイブリッド形成する条件および/またはポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物のハイブリッドのみが解離する温度条件(δまたはδ’)を利用して行うことが出来る。この温度領域に於いては、ポリヌクレオチド(B)はプローブ化合物とハイブリッド形成しないか、或いは、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物のハイブリッドは既に解離してしまっていて、温度変化(位置の違い)により蛍光強度は変化しない。そのため、該温度領域(位置の範囲)において、蛍光強度に変化があれば、被検ポリヌクレオチドがポリヌクレオチド(A)を含有していることがわかる。
ポリヌクレオチド(B)の有無は、ポリヌクレオチド(B)のみが解離状態からプローブ化合物とハイブリッド形成する条件および/またはポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物のハイブリッドのみが解離する温度条件(βまたはβ’)を利用して行うことが出来る。この温度領域に於いては、ポリヌクレオチド(A)はプローブ化合物と既にハイブリッド形成してしまっているか、或いは、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドは解離せず、該ハイブリッドに起因する蛍光強度は該温度範囲で変化しないため、該温度領域(位置の範囲)において、蛍光強度に変化があれば、被検ポリヌクレオチドがポリヌクレオチド(B)を含有していることがわかる。
さらに、ポリヌクレオチド(A)のみがハイブリッド形成する条件および/またはポリヌクレオチド(A)のみが解離する温度条件(δまたはδ’)と、ポリヌクレオチド(B)のみがハイブリッド形成する条件および/またはポリヌクレオチド(B)のみが解離する温度条件(βまたはβ’)とが、検出用流路の温度分布内に含まれるように温度分布を設定し、検出流路の流れ方向の複数の位置における蛍光強度を比較すると、ポリヌクレオチド(A)の有無、およびポリヌクレオチド(B)の有無を同時に判定することができるため好ましい。
このとき、ポリヌクレオチド(A)およびポリヌクレオチド(B)の存在比率により蛍光強度変化の程度が異なるので、存在比率の判定を行うことが可能である。
また、ポリヌクレオチド(B)中の前記標的塩基配列との違いを判定するには、例えば、以下のように行う。
分析目的のポリヌクレオチド(B)、例えば標的塩基配列と1、2、3又は4塩基の配列の違いを有するポリヌクレオチド(B)がそれぞれプローブ化合物とハイブリッド形成する温度条件および/または解離する温度条件を利用し、該温度位置付近において蛍光強度に変化があれば被検ポリヌクレオチドが、その温度に相当する数の配列の違いを有するポリヌクレオチド(B)を含有していることがわかる。
標的塩基配列に対するその他の非相補性、例えば、非相補的である塩基の種類は何であるか、非相補的である塩基の種類はG又はCであるかそれともA又はTであるか、標的塩基配列の範囲に複数の既知のホットポイントが有る場合に、変異部分はそのどちらであるか、標的塩基配列の範囲に未知の変異が有るか無いか、標的塩基配列の範囲に未知の変異が有る場合は、標的塩基配列内の位置はどこであるか、などの判定についても、これらのポリヌクレオチドとプローブ化合物とのハイブリッドの解離曲線から判定できる場合がある。即ち、見分けるべきポリヌクレオチドとの温度差が十分にあり、かつ、他の因子と重ならない場合には判定可能である。
本発明の分析方法では、上記判定を、検出用流路の流れ方向の複数の位置における蛍光強度の比較により行うことが好ましい。該複数の位置における蛍光強度は、位置を連続的に走査して測定された蛍光強度曲線であることも好ましい。温度分布を有する検出用流路の複数の位置において蛍光強度を測定することにより、温度変化による蛍光強度の変化を、各位置における蛍光強度として同時に測定することができるため、迅速な分析を行うことができる。
蛍光強度の測定は、定常状態で行うことが、測定時間の誤差が排除され好ましい。定常状態は、検体溶液を一定流速で検出用流路に流す方法で実施できる。或いは、測定は非定常状態に於ける非平衡状態又は平衡状態で行っても良い。非定常状態は、例えば、検体溶液を任意の速度で検出用流路に導入し、そこで停止させて蛍光強度を測定する方法で実施できる。
非定常状態に於ける非平衡状態での測定は、前記のように検体溶液を停止させた後、特定の位置に於ける蛍光強度の時間変化を測定し、例えば、一定時間間隔での差や、蛍光強度の時間依存性の傾きから判定する方法である。これは、蛍光強度の時間変化が平衡に達するのを待つ必要がないため、特に反応の遅い系、例えば後述の分析方法(II)の場合に好ましい方法である。
非定常状態に於ける平衡状態での測定は、例えば前記のように検体溶液を停止させた後、特定の位置に於ける蛍光強度が平衡に達したときの強度を測定し、その強度から判定する方法である。これは特に反応の速い系、例えば後述の分析方法(I)の場合に好ましい方法である。
本発明の分析方法は、特に好ましい方法として、以下のような2種の分析方法とすることができる。
(1)前記被検ポリヌクレオチドと前記プローブ化合物とがハイブリッドを形成しうる状態とする工程(以下、「ハイブリッド形成工程」という。)と、次いで、前記ハイブリッドが解離しうる状態として、検体溶液中の蛍光性インターカレーターの蛍光強度を測定する検出工程(以下、「検出工程(I)」という。)とを設ける方法(以下、この方法を「分析方法(I)」という。)
(2)前記ハイブリッド形成工程を設け、該ハイブリッド形成工程が、検体溶液中の蛍光性インターカレーターの蛍光強度を測定する検出工程(以下、この工程を「検出工程(II)」という。)である方法(以下、この方法を「分析方法(II)」という。)
なお、「ハイブリッドを形成しうる状態とする」とは、被検ポリヌクレオチド中にポリヌクレオチド(A)および/またはポリヌクレオチド(B)が存在している場合に、ポリヌクレオチド(A)および/またはポリヌクレオチド(B)がハイブリッドを形成することができる温度に検体溶液を温度調整することをいう。
「ハイブリッドが解離しうる状態とする」とは、被検ポリヌクレオチド中にポリヌクレオチド(A)および/またはポリヌクレオチド(B)が存在している場合に、ポリヌクレオチド(A)および/またはポリヌクレオチド(B)がプローブ化合物と形成するハイブリッドが解離することができる温度に検体溶液を温度調整することをいう。
これら分析方法(I)及び(II)は、いずれを採用しても構わない。しかしながら、ポリヌクレオチドとプローブ化合物を選択的にハイブリッド形成させるより、非選択的にハイブリッド形成させる方が速く、又、ポリヌクレオチドとプローブ化合物を選択的にハイブリッド形成させるより、選択的に解離させる方が速い。そのため、分析方法(I)は、ハイブリッド形成工程と検出工程を必要とするが、全体の所要分析時間は分析方法(II)より短くすることが可能である。また、分析方法(I)の方が、分析方法(II)よりも再現性が良好である。このため、分析方法(I)を採用することが好ましい。一方、分析方法(I)は、ハイブリッド形成工程が不要なため、測定装置を簡略化出来る。
[分析方法(I):ハイブリッドの解離に基づく分析]
分析方法(I)は、ハイブリッド形成工程と、次いで、検出工程(I)とを有するものである。
[ハイブリッド形成工程]
ハイブリッド形成工程は、被検ポリヌクレオチドとプローブ化合物とのハイブリッドを形成させ、該ハイブリッドに前記蛍光性インターカレーターをインターカレートさせて、検出工程(I)にかける検体溶液をあらかじめ蛍光性とする処理を行う工程である。測定の再現性と信頼性を増すために、本工程は温度及び時間を制御された条件で行うことが好ましい。
本ハイブリッド形成工程は、温度の上限が、少なくともポリヌクレオチド(A)がプローブ化合物とハイブリッド形成する条件(THA以下)で行われるが、分析目的や判定論理によっては、ポリヌクレオチド(B)もプローブ化合物とハイブリッド形成する条件(THB以下)で行われることが好ましい。
分析目的が、検体溶液中のポリヌクレオチド(A)の有無や存在量のみを検出するものである場合には、THA以下であれば任意であり、TMA以下が好ましく、TLA以下がさらに好ましい。分析目的が一塩基多型(SNPs)の分析であって、被検ポリヌクレオチドの塩基配列がプローブ化合物と相補的であるか、ミスマッチを有するか、ミスマッチを有する場合にはその数は幾つであるか、等を同時に分析するものである場合には、これらの分離判定すべき対象となるポリヌクレオチドの全部をプローブ化合物と非選択的にハイブリッド形成させる条件(α)で処理することが好ましい。
ハイブリッド形成の選択性の程度は、後述のように、本工程の温度と時間で調節できる。すなわち、塩基配列のわずかな違いを分析する場合であって、検体溶液がポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の双方を含有しているには、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)をなるべく非選択的に、即ちなるべく等しい量だけプローブ化合物とハイブリッド形成させることが好ましい。そして、後述の検出工程(I)において、それぞれのポリヌクレオチドをその融解温度付近で選択的に解離させ、蛍光強度からそれを測定する。固定プローブ化合物に対するハイブリッド形成の、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の選択性を小さくするには、例えば、ハイブリッド形成工程の温度をTLB未満(領域α)とすることや、短時間でハイブリッド形成させる方法で実施できる。
分析方法(I)におけるハイブリッド形成工程の温度の下限は、検体溶液の氷結温度以上であれば任意であるが、検出を目的とするポリヌクレオチドの解離温度マイナス20℃以上が好ましく、検出を目的とするポリヌクレオチドの解離温度マイナス10℃以上がさらに好ましく、検出を目的とするポリヌクレオチドの解離温度マイナス5℃以上が最も好ましい。この温度以上とすることによって、標的塩基配列の一部のみ(例えば半分)でのハイブリッド形成や、標的塩基配列部分とは無関係な部分において標的塩基配列の塩基数より短い塩基数でのハイブリッド形成が生じることを防止でき、従って、引き続く検出工程(I)においてこれらの解離がノイズとなって、測定の精度と信頼性が低下することを防止できる。さらに、検体溶液中に、検出目的以外のポリヌクレオチドが存在してもその影響を受けにくくすることができる。
以上の観点から、ハイブリッド形成工程の温度は、一般には40〜65℃が好ましく、45〜55℃がさらに好ましい。
本発明の分析方法(I)においては、ハイブリッド形成工程において、必ずしも検体溶液中に存在するポリヌクレオチドの全量あるいは大部分をプローブ化合物とハイブリッド形成させる必要はない。引き続く検出工程(I)の光学的な検出感度を高くすることによって、検体溶液中に存在するポリヌクレオチドの一部をハイブリッド形成させればよい。このため、ハイブリッド形成工程の所要時間を短くでき、分析の迅速化が図れる。
また、本発明の分析方法(I)においては、ハイブリッド形成工程を上記のようなハイブリッドが形成される条件で行う。従って、検体溶液中に前記ハイブリッド形成可能なポリヌクレオチドが含有されていなくて、結果としてハイブリッドがまったく形成されない場合もある。
ハイブリッド形成工程の処理時間は任意であるが、過剰に短いとハイブリッド形成量が過小となって感度低下を招き、過剰に長いと、分析時間の伸長を招くだけでなく、本工程においてハイブリッド形成の選択性が高まるため、ポリヌクレオチド(B)の検出感度は低くなりがちである。好適な処理時間は該工程の処理温度と密接な関係があり、高温であるほど短時間にすることが、本工程に於ける選択性の過剰な上昇を防止できるため好ましい。本ハイブリッド形成工程の処理時間は、本工程に処する検体溶液が、予め融解温度以上にまで加熱されるなどして、被検ポリヌクレオチドが一本鎖状態に成っている場合には、好ましくは1秒〜10分、さらに好ましくは5秒〜5分、さらに好ましくは10秒〜3分、最も好ましくは10秒〜1分である。
検体溶液に含有される被検ポリヌクレオチドが二本鎖状態であり、ハイブリッド形成工程の温度が該二本鎖状態の被検ポリヌクレオチドの融解温度未満であっても、ハイブリッドの置換が生じて、被検ポリヌクレオチドとプローブ化合物とのハイブリッドが生成する。但しこの場合には、ハイブリッド形成工程の処理時間は、好ましくは10秒〜60分、さらに好ましくは30秒〜30分、最も好ましくは1分〜10分である。
なお、被検ポリヌクレオチドと、標的塩基配列の違いが大きい場合には、ハイブリッド形成工程において、両者のハイブリッドがほとんど形成されない場合がある。この場合には、該工程において被検ポリヌクレオチド同士の二本鎖形成が優勢となるが、この場合でも、プローブ化合物の設計または選択において、プローブ化合物が標的塩基配列と相補的な塩基数を被検ポリヌクレオチドとの塩基数より少なくして、融解温度に差を設けることによって判定できる。
本発明の分析方法(I)においては、ハイブリッド形成工程は、検出用流路に導入する前に、独立した容器、例えばエッペンドルフチューブやマイクロウェル内で行ってもよいし、検出用流路の上流側に接続されたハイブリッド形成工程を行う流路(以下、「ハイブリッド形成用流路」という。)中で行い、その後、連続的に検出用流路に導入してもよい。ハイブリッド形成用流路は、流路の断面形状や寸法は検出用流路と異なっていて良く、例えば断面積が検出用流路より大きく、反応槽状であってもよい。また、検体溶液をハイブリッド形成用流路に流す流速や滞留時間も検出用流路における場合と異なっていて良く、一時的に送液を停止して、ハイブリッド形成用流路に一定時間滞留させてもよい。しかしながら、制御の容易さと分析速度の迅速化の面から、直列に接続されたハイブリッド形成用流路と検出用流路とに一定速度で同じ流量の検体溶液を流すことが好ましい。
[検出工程(I)]
次いで、前記ハイブリッド形成工程を行った検体溶液を、流れ方向に温度分布を有して温度調整された検出用流路に流す。本検出工程(I)においては、検出工程においてハイブリッドの解離を行うため、検出用流路の流れ方向の温度分布は、昇温の温度分布である。
検出用流路の温度分布は、分析目的のポリヌクレオチドのいずれかが解離する温度を含む必要があり、ハイブリッド形成工程を行う温度より高く、被検ポリヌクレオチドとプローブ化合物とが形成したハイブリッドが解離できる温度を含んでいれば任意である。分析対象によって、適切な温度とすることが好ましい。
検出用流路の温度分布の最高温部の温度は、例えば、被検ポリヌクレオチド中のポリヌクレオチド(A)の有無を判定する場合には、ポリヌクレオチド(A)の解離温度(TLA)以上でありポリヌクレオチド(A)の融解温度(TMA)以上がさらに好ましく、ポリヌクレオチド(A)の全量が解離する温度(THA)以上が最も好ましい。
ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)に関する解離曲線が重畳的である場合には、ポリヌクレオチド(B)の全量が解離する温度(THB)以上であることが、判定の信頼性が増し、好ましい。
検出用流路の最高温部の温度の上限は、検体溶液の沸騰、溶解物質の分解や変成、部材の熱変形などの不都合が生じる温度未満である。この観点から検出用流路は100℃以下が好ましい。
検出用流路の温度分布の最低温部の温度の上限は、分析を目的とするポリヌクレオチドの全量が解離する温度未満であり、好ましくは融解温度未満であり、さらに好ましくは解離温度未満である。分析を目的とするポリヌクレオチドの全量が解離する温度以上であると、検出不能となる。検出用流路の温度分布の最高温部の温度を、分析を目的とするポリヌクレオチドの全量が解離する温度の直上とすることも、分析に不要な温度部分を作らず、検出用流路長を短くできると共に、分析用マイクロ流体デバイスの耐熱性が低くて済むため好ましい。
検出用流路の温度分布の最低温部の温度の下限は任意であるが、ハイブリッド形成工程の温度以上であることが好ましい。これにより、ハイブリッド形成工程で形成されたハイブリッドがそのまま検出用流路に導入でき、分析の精度と信頼性が向上する。
検出用流路の温度分布の最低温部の温度を、分析を目的とするポリヌクレオチドの解離温度直下とすることも、分析に不要な温度部分を作らず、検出用流路長を短くできるため好ましい。
また、被検ポリヌクレオチド中のポリヌクレオチド(B)の有無を判定する場合には、温度分布は、ポリヌクレオチド(B)のみが解離する温度条件(βまたはβ’)を含むことが好ましく、ポリヌクレオチド(B)の融解温度(TMB)を含むことがさらに好ましく、ポリヌクレオチド(B)の全量が解離する温度(THB)を含むことが最も好ましい。
さらに、上記ハイブリッド形成工程の温度と検出工程における検体溶液の温度分布とを特定の関係にすることによって、標的塩基配列を有するポリヌクレオチド(A)の有無、または標的塩基配列を有さないポリヌクレオチド(B)の有無を分析することができる。
ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)のいずれか一方又は両方を含有している可能性のある検体溶液について、ポリヌクレオチド(A)の有無を分析する方法について述べる。
(Ia)ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の有無を同時に分析する方法。
ハイブリッド形成工程における検体溶液の温度を、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とが形成するハイブリッドの全量が解離する温度(THB)未満、好ましくは融解温度(TMB)未満、さらに好ましくは解離温度(TLB)未満とし、検出工程(I)における前記検出用流路の昇温する温度分布が、前記ポリヌクレオチド(A)と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッド、及び、前記ポリヌクレオチド(B)と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッドのそれぞれについて、解離温度、融解温度、全量が解離する温度の少なくとも一つを範囲に含むようにする方法(以下、方法(Ia)という。)。
ハイブリッド形成工程の温度と検出工程(I)の温度をこのような関係にすることによって、検出用流路に導入される検体溶液中において、ポリヌクレオチド(A)、ポリヌクレオチド(B)の両者共にそれぞれ少なくとも一部がプローブ化合物とハイブリッドを形成しており、検出用流路中のそれぞれの温度(位置)において、それらが解離するため、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の存在/非存在が同時に判定できる。勿論、検出用流路の温度分布の範囲を上記より狭くして、ポリヌクレオチド(A)又はポリヌクレオチド(B)のみの存在の有無を測定することも可能である。
(Ib)ポリヌクレオチド(B)の種類を分析する方法。
ポリヌクレオチド(B)の種類の判定、例えばポリヌクレオチド(B)が標的塩基配列に対してN塩基(但し、Nは自然数)異なるかを判定する場合には、これら分析を目的とするポリヌクレオチド(B)(例えばN=1、2、3)の全てがプローブ化合物とハイブリッドを形成する条件、即ち、分析を目的とするポリヌクレオチド(B)の中で最大のNの値(上記の例ではN=3)を持つポリヌクレオチドがプローブ化合物と形成するハイブリッドの全量が解離する温度未満でハイブリッド形成工程を行うこと、及び、検出工程(I)の温度分布を、分析目的の全てのポリヌクレオチド(B)のハイブリッドが解離する温度、即ち、解離温度、融解温度、全両が解離する温度の少なくとも一つを含むように設定することによって、検体溶液中のポリヌクレオチド(B)の種類を判定する方法(以下、方法(Ib)という。)。
本方法(Ib)において、前記温度分布をポリヌクレオチド(A)も解離する温度を含むように調節すれば、ポリヌクレオチド(A)の有無も同時に測定できる。
検出工程(I)に於ける検出用流路の温度分布は流れの下流方向に向かって昇温するものであれば任意であり、例えば、直線状の温度勾配、曲線状の温度勾配、複数の段から成る階段状(以下、単に「階段状」と称する)などであってよいが、階段状であることが好ましく、それに次いで直線状の温度勾配またはそれに近い温度勾配が好ましい。勿論、温度一定の部分やこの順が乱された部分を有していてもよいが、検出用流路として昇温の温度分布部分を使用する。昇温の温度分布を有さなければ、検体溶液中の低温で解離する成分から順に解離する状態とならないため、正確な測定ができない。
温度分布が、階段状の温度分布である場合、階段の「段」の数は特に限定されるものではないが、2〜20が好ましく、3〜15がより好ましく、さらに4〜10が最も好ましい。数が多いほど、測定精度は向上するが、温調装置が複雑となる。このような階段状の温度分布は、連続した温度勾配に比べて位置と温度の関係が明瞭であるため温度精度に優れ、同じ温度での蛍光強度の比較を明確に行えること、また、各一定温度の段内の最下流部で蛍光測定することによって、解離に時間を要する場合に測定精度が向上する点で好ましい。
温度分布が直線状であると、温度調節が容易であり、かつ、位置と温度の関係が単純となって、解析が容易となる。特に、複数種のポリヌクレオチドを同時に検出する場合には、位置(温度)対蛍光強度の連続した曲線を描くことが出来るため、判定の精度と信頼性が高い。
検出用流路に温度分布を持たせることにより、種々の異なる塩基配列を分析する場合に、各配列毎の最適温度を設定する必要が無くなり、同一条件で種々の塩基配列の分析をすることができる。例えば、プローブ化合物と相補的な塩基配列部分を有するポリヌクレオチド(A)(融解温度が高い)と、プローブ化合物と1、2、および3塩基の塩基配列の違いを有するポリヌクレオチド(B)(標的塩基配列との塩基配列の違いの数が多くなるほど、プローブ化合物とのミスマッチ数が多くなり、融解温度が低くなる)を同時に判定する場合、検出用流路が温度分布を有しないと、上記四者を同時に判別することは困難である。このような場合に、昇温の温度分布を設けることによって、比較的低温の領域で3塩基ミスマッチ鎖を、その後順次高温の領域で2塩基ミスマッチ鎖、1塩基ミスマッチ鎖、及び相補鎖を検出することにより、短時間かつ短い検出用流路でこれらを判別可能である。また、並列に設けられた多数の検出用流路を使用して、多検体同時測定を行う場合も、最適温度の異なる検体の同時測定が、一つの温調装置を用いて行える。
検出用流路の温度分布において、温度勾配を緩くすることによって、或いは流速を遅くすることによって、検体溶液が発する蛍光強度の、該検出用流路に流入してからの時間の効果を抑制して、検体溶液が発する蛍光強度の温度依存性を、位置依存性として測定できる。検体溶液中のハイブリッドの解離がほぼ平衡状態になるために要する時間は、本発明で用いるプローブ化合物やポリヌクレオチド(A),(B)が上述の好ましい塩基数である場合には、通常1分以内であり、15秒で実際上平衡状態に到達したと見なせる。
〔検出工程−流速〕
検体溶液を流す流速は任意である。系と分析目的により好適な方法と値を選択できる。例えば一定流速、漸増する流速、漸減する流速、変動する流速、間欠的な流速、階段状の流速、任意の速度で検出用流路に導入した後に停止させるパルス型の流速などであり得る。これらの中で、一定流速が、検出用流路中の位置と温度との関係が定常状態となって、蛍光強度の時間依存性が無くなり、任意の時刻に測定可能となるため、測定が容易でかつ解析が容易であり特に好ましい。但し、前記のように検出用流路の断面積が小さく検体溶液の温度追従性が良い場合には、流速の変動が極端なものでない限り、検出用流路内の位置と検体溶液の温度との関係にほとんど影響を与えない。その上、被検ポリヌクレオチドとプローブ化合物とのハイブリッドの解離に影響する因子としては時間より温度の方が大きいため、流速の影響は比較的小さい。そのため、この場合には、流速の多少の変動は測定精度にほとんど影響しない。従って、例えば気体の入ったシリンジを一定量だけ圧縮して固定した圧力気体による送液や、気体の入ったシリンジを一定量だけ伸長して固定した減圧による送液のような、漸減する流速も好適である。
また、検体溶液を任意の速度で検出用流路に導入し、そこで停止させるパルス型の流速も好ましい。この場合には、位置対温度の関係がさらに正確になる上、定常状態となった後(例えば、30秒後)の蛍光強度を測定することによって、ハイブリッドの解離速度の影響も除去できる。又この方法は、検体溶液が少量である場合にも適用できるため好ましい。
〔検出工程−蛍光測定〕
検体溶液は、ハイブリッド形成工程において蛍光性インターカレーターがハイブリッドにインターカレートしたため、検出用流路に導入される時点では、例えば、蛍光性、すなわち、励起すると蛍光を発する性質を有するが、検出用流路内で、被検ポリヌクレオチドとプローブ化合物とのハイブリッドの解離温度以上に昇温されると、ハイブリッドは解離し、蛍光性インターカレーターは無蛍光性となって、検体溶液の蛍光性は該解離量に応じて低下する。従って、検体溶液を励起して蛍光強度を測定することによって、被検ポリヌクレオチドとプローブ化合物のハイブリッドが解離したことを確認できる。或いは、その温度では解離しないことを確認できる。
蛍光測定は、検出用流路の流れ方向の任意の位置、すなわち任意の温度で測定できる。好適な測定位置は、系や判定論理によって異なる。蛍光測定は、検出用流路の流れ方向の複数の位置において測定することが好ましい。複数の位置で測定する場合には、測定箇所は流れ方向に連続した範囲を測定してもよいし、複数の代表点を測定してもよい。上記連続した範囲を測定する場合には、測定点をスキャンしてもよいし、また例えばCCDカメラなどにより同時に連続した範囲を測定してもよい。
蛍光測定は、前記検出用流路への導入部における蛍光強度と、他の任意の位置に於ける蛍光強度を測定することも好ましい。その差をとって蛍光強度の減少量を算出したり、その比をとって正規化することができる。これによって、検体溶液毎に被検ポリヌクレオチドやプローブ化合物の濃度が異なっていてもそれを補正して正確に判定することができる。検出用流路の連続した範囲を蛍光測定する場合も同様である。蛍光強度の温度依存性曲線を、上記の差をとって蛍光減少量の温度依存性曲線としたり、比をとって正規化曲線とすることができる。
また、蛍光測定は、前記検出用流路の最高温度部分における蛍光強度と、他の任意の位置に於ける蛍光強度を測定することも好ましい。その差をとって、二本鎖状態の被検ポリヌクレオチドその他の蛍光性の物質が混在しても、それを補正して正確に判定することができる。検出用流路の連続した範囲を蛍光測定する場合も同様である。
〔予備解離工程〕
前記ハイブリッド形成工程に先立って、披検ポリヌクレオチドとプローブ化合物のハイブリッド、プローブ化合物同士の会合物、披検ポリヌクレオチドの二本鎖、などを解離させることも好ましい(以下、この工程を「予備解離工程」という。)。室温以下の温度で保管された被検ポリヌクレオチドは、対立鎖の両方を含む場合には二本鎖となっているし、対立鎖の一方しか含まない場合にも、標的塩基配列より短い塩基数、例えば塩基数4〜10の限定された範囲で自己会合している場合が多い。プローブ化合物についても同様である。
このような被検ポリヌクレオチドやプローブ化合物を用いると、ハイブリッド形成工程において、これらが解離しつつ、標的塩基配列とのハイブリッドが形成されるため、時間を要する上、未解離のこれらが残存してノイズとなりがちである。予備解離工程を行って被検ポリヌクレオチドなどを一本鎖と成した後に、ハイブリッド形成工程を行うことによって、プローブ化合物と被検ポリヌクレオチドのハイブリッド形成時間が短縮でき、測定の迅速化が図れる。
予備解離工程は、検出用流路を有するデバイス外、例えばエッペンドルフチューブ内で行ってもよいが、予備解離工程を行うための流路(以下、「予備解離用流路」という。)およびハイブリッド形成用流路は、前記検出用流路と同じ部在中に形成され、直列に接続されていて、予備解離用流路に検体溶液を導入すると、連続的にハイブリッド形成用流路及び検出用流路に流れるように構成することが好ましい。これにより、ハイブリッド形成工程のハイブリッド形成時間を厳密に管理することが可能になり、デバイス外、例えばエッペンドルフチューブから検体溶液を移し替える時間の誤差や、昇降温に要する時間の誤差が低減され、測定の再現性と精度が向上する。
予備解離用流路は、検体溶液を、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドの解離温度(TLA)以上、好ましくは、該ハイブリッドの融解温度(TMA)以上、さらに好ましくは、該ハイブリッドの全量が解離する温度(THA)以上の温度に調節される。
検体溶液に二本鎖ポリヌクレオチドが含まれる場合には、検体溶液を、二本鎖の被検ポリヌクレオチドの融解温度(これは、通常、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドや、プローブ化合物同士の会合物や、一本鎖ポリヌクレオチドの自己会合物などの融解温度より高い温度である)以上、好ましくは該二本鎖ポリヌクレオチドの融解温度以上、最も好ましくは二本鎖ポリヌクレオチドの全量が解離する温度以上の温度に調節される。これらの解離温度、融解温度、全量が解離する温度は、公知の方法、例えば、紫外線吸収スペクトルの温度依存性を測定する方法で知ることができる。
予備解離用流離の温度の上限は、検体溶液の沸騰、溶解物質の分解、部材の熱変形などの不都合が生じない温度であれば任意である。好ましい解離用流路の温度は、被検ポリヌクレオチドやプローブ化合物の塩基数や塩基配列により変わるが、一般的には上記の観点から、70〜100℃が好ましく、80〜100℃がさらに好ましい。ポリヌクレオチドが対立鎖の一方のみであることが判明している場合には、予備解離工程の温度は、二本鎖の場合より低い温度でも十分であり、標的塩基配列の塩基数やプローブ化合物の塩基数に応じて、これらのハイブリッドが解離する温度を選定できる。例えば、60〜90℃が好ましく、70〜85℃がさらに好ましい。
予備解離用流路の断面形状や寸法は検出用流路と異なっていて良く、例えば断面積が検出用流路やハイブリッド形成用流路より大きく、反応槽状であってもよい。また、検体溶液を解離用流路に流す流速や滞留時間も検出用流路やハイブリッド形成用流路におけるそれと異なっていて良く、一時的に送液を停止して、解離用流路に一定時間滞留させてもよい。しかしながら、制御の容易さと分析速度の迅速化の面から、前記のように直列に接続された解離用流路、検出用流路、および場合によってはハイブリッド形成用流路に一定速度で同じ流量の検体溶液を流すことが好ましい。
このように、予備解離用流路を設けることによって、被検ポリヌクレオチドとして二本鎖ポリヌクレオチドを使用しても迅速な分析が可能となる上、予備解離用流路からハイブリッド形成用流路へ入ってからの時間(距離)を正確に制御できるため測定精度や再現性が向上する。
[分析方法(II):ハイブリッド形成に基づく分析]
分析方法(II)は、上記分析方法(I)におけるハイブリッド形成工程を検出用流路中で行い、ハイブリッド形成工程において、検体溶液中の蛍光性インターカレーターの蛍光強度を測定する分析方法である。すなわち、分析方法(II)では、ハイブリッド形成工程が、検出工程(II)となる。
[検出工程(II)]
検出工程(II)は、被検ポリヌクレオチドとプローブ化合物のハイブリッドの少なくとも一部を解離させた状態で検出用流路内に導入し、流れ方向に温度分布を有して温度調整された検出用流路において、被検ポリヌクレオチドとプローブ化合物とのハイブリッドを形成させ、該ハイブリッドに蛍光性インターカレーターをインターカレートさせて、その蛍光強度を測定する工程である。本検出工程(II)においては、検出工程においてハイブリッドの形成を行うため、検出用流路の流れ方向の温度分布は、降温の温度分布である。
本検出工程(II)では、検出工程に導入される検体溶液は、被検ポリヌクレオチドとプローブ化合物の少なくとも一部は解離している状態とする。そのため、検出工程の前に選択的解離工程を行うことが好ましい。本分析の検出用流路が、例えばPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)の解離温度部に接続されていて、解離状態の試料が検出用流路に導入される場合には、必ずしも独立した該選択的解離工程を行う必要はない。また、前記予備解離工程を行う場合にも必ずしも該選択的解離工程を行う必要はない場合がある。該解離工程の温度条件については、分析目的によって異なるため、後述の[判定論理]にて詳細に説明する。選択的解離工程の時間は、後述の解離状態が得られれば任意であり、例えば1秒〜10分、好ましくは、5秒〜3分とすることが出来る。
検出用流路内でハイブリッド形成する温度条件や時間条件と形成されるハイブリッドに関しては、分析方法(I)におけるハイブリッド形成工程において述べた内容と同様である。また、以下、特に言及しない限り温度条件と時間条件以外は、上記検出工程(I)と同様に検体溶液の蛍光強度の測定を行うことができる。
分析方法(II)では、検出用流路の温度分布の少なくとも一部が、ポリヌクレオチド(A)がプローブ化合物とハイブリッド形成する温度、即ち、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドの全量が解離する温度未満(THA未満)、好ましくはTMA未満、更に好ましくはTLA未満であり、分析目的がポリヌクレオチド(B)の分析である場合や判定論理によっては、ポリヌクレオチド(B)がプローブ化合物とハイブリッド形成する温度、即ち、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とのハイブリッドの全量が解離する温度未満(THB未満)であることが好ましく、TMB未満が更に好ましく、TLB未満がさらに好ましい。これらの温度の中で、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッド、又はポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とのハイブリッドの解離量の差が大きくなる温度とすることが好ましい。
しかしながら、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とのハイブリッドの解離温度(TLB)から、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドの全量が解離する温度(THA)までの範囲を含むことが、一つの温度設定で全ての分析が可能なため好ましい。
さらに、検出工程(II)における検体溶液の温度分布の少なくとも一部を以下のような温度にすることによって、標的塩基配列を有するポリヌクレオチド(A)の有無、または標的塩基配列を有さないポリヌクレオチド(B)の有無を分析することができる。
(IIa)ポリヌクレオチド(A)の有無を分析する方法。
検出工程(II)の前に選択的解離工程を設け、該選択的解離工程の温度を、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とが形成するハイブリッドの全量が解離する温度以上であって、かつ、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドの解離温度(TLA)以上、好ましくは融解温度(TMA)以上、最も好ましくは全量が解離する温度(領域ε)に調節する。そして、検出工程(II)における検体溶液の温度分布を、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とが形成するハイブリッドの全量が解離する温度(THB)以上であって、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とが形成するハイブリッドの全量が解離する温度(THA)未満、好ましくは融解温度(TMA)未満、最も好ましくは解離温度(TLA)未満なる温度を含む範囲とする方法(以下、方法(IIa)という。)。
本方法(IIa)に於いては、検出工程(II)に流入する検体溶液中では、ポリヌクレオチド(A)もポリヌクレオチド(A)も、ポリヌクレオチド(B)もプローブ化合物とハイブリッドを形成せず、解離した状態として存在する。該検体溶液が、検出用流路の上記温度位置に達すると、該温度はポリヌクレオチド(B)はプローブ化合物とハイブリッドを形成しない温度であるため、ポリヌクレオチド(B)に由来する蛍光は、該位置において検出されず、ポリヌクレオチド(A)に由来する蛍光のみが検出される。従って、該位置の蛍光強度強度を測地することで、ポリヌクレオチド(A)の有無を判定できる。
(IIb)ポリヌクレオチド(B)の有無を分析する方法。
検出工程(II)の前に上記(IIa)と同様の温度になす選択的解離工程を設け、上記(IIa)の検出用流路の温度分布に、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とが形成するハイブリッドの全量が解離する温度(THB)未満、好ましくは融解温度(TMB)未満、さらに好ましくは解離温度(TLB)未満であって、かつ、前記選択的解離工程の温度未満とした温度部分を設ける方法(以下、方法(IIb)という。)。
本方法(IIb)に於いては、検出用流路の、上記温度部分に至る前の上流部分(降温位置)で、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドが形成されてしまっているため、該ハイブリッドに起因する蛍光強度は前記温度部分において変化せず、ポリヌクレオチド(B)に由来する蛍光強度のみが変化する。従って、検出用工程(II)の前記下流部分の温度範囲において、位置における蛍光強度との差を取ることで、ポリヌクレオチド(B)の有無と存在量を検出できる。
(IIc)ポリヌクレオチド(B)のみの有無を分析する方法。
検出工程(II)の前に選択的解離工程を設け、該選択的解離工程の温度を、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とが形成するハイブリッドの解離温度(TLA)未満であって、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とが形成するハイブリッドの解離温度(TLB)以上、好ましくは融解温度(TMB)以上、さらに好ましくは全量が解離する温度(THB)以上である温度に調整して、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドを形成させ、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とのハイブリッドは解離させた状態とする。次いで、検出工程(II)における検体溶液の温度分布を、前記選択的解離工程の温度より低く、かつ、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とが形成するハイブリッドの全量が解離する温度(THB)未満、好ましくは融解温度(TMB)未満、さらに好ましくは解離温度(TLB)未満である温度を含む範囲とする方法(以下、方法(IIc)という。)。
本方法(IIc)に於いては、検出工程(II)に流入する検体溶液中では、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドが既に形成されているため、ポリヌクレオチド(A)に由来する蛍光は、検出工程(II)において変化せず、ポリヌクレオチド(B)に由来する蛍光強度のみが該温度範囲で増加する。従って、検出工程(II)の任意の時刻(例えば検出用流路への流入時刻)又は位置(例えば検出用流路の入り口)の蛍光強度強度を基準として、任意の時刻或いは位置における蛍光強度との差を取ることで、ポリヌクレオチド(B)の有無と存在量を検出できる。本方法(IIc)は、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の解離曲線が重畳的である場合にも、ポリヌクレオチド(A)の存在/非存在の影響を排して、ポリヌクレオチド(B)の存在/非存在が正確に判定できる。
(IId)ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の有無を同時に分析する方法。
前記選択的解離工程の温度を、前記方法(IIa)と同じ条件で行い、検出工程(II)の温度分布が、前記ポリヌクレオチド(A)と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッド、及び、前記ポリヌクレオチド(B)と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッドのそれぞれについて、解離温度、融解温度、全量が解離する温度の少なくとも一つを範囲に含むようにする方法(以下、方法(IId)という。)。
ハイブリッド形成工程の温度と検出工程(II)の温度をこのような関係にすることによって、検出用流路に導入される検体溶液中において、ポリヌクレオチド(A)、ポリヌクレオチド(B)の両者共に解離した状態にあり、検出用流路中でそれぞれの温度(位置)においてプローブ化合物とハイブリッド形成するため、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の存在/非存在が同時に判定できる。
(IIe)ポリヌクレオチド(B)の種類を分析する方法。
ポリヌクレオチド(B)の種類の判定、例えばポリヌクレオチド(B)が標的塩基配列に対してN塩基(但し、Nは自然数)異なるかを判定する場合には、これら分析を目的とするポリヌクレオチド(B)(例えばN=1、2、3)のプローブ化合物との各ハイブリッドの全てが、少なくともその一部が解離する条件、即ち、分析を目的とするポリヌクレオチド(B)の中で最小のNの値(上記の例ではN=1)を持つポリヌクレオチド(B)がプローブ化合物と形成するハイブリッドの解離温度以上で選択的解離工程を行うこと、及び、検出工程(II)の温度分布を、分析目的の全てのポリヌクレオチド(B)のそれぞれについて、解離温度、融解温度、全両が解離する温度の少なくとも一つを含むように設定することによって、検体溶液中のポリヌクレオチド(B)の種類を判定する方法(以下、方法(IIe)という。)。
本方法(IIe)において、前記選択的解離工程の温度を、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドも解離する温度を含むように調節し、前記検出工程(II)の温度分布を、ポリヌクレオチド(A)もプローブ化合物とハイブリッド形成する温度を含むようにすれば、ポリヌクレオチド(A)の有無も同時に測定できる。
(流速)
検体溶液を検出用流路に流す流速については分析方法(I)の場合と同様である。但し、本分析方法(II)は、蛍光強度が平衡に達するまでの時間が分析方法(I)より長いため、検出用流路内の滞留時間を長くする必要があり、流速を遅くすることが好ましい。特に任意の速度で検出用流路に導入し、そこで停止させるパルス状の流速が好ましい。検出用流路内の滞留時間は、0.5〜20分が好ましく、1〜15分が更に好ましく、2〜10分が最も好ましい。
(予備解離工程)
分析方法(II)においても、分析方法(I)の場合と同様に、検出工程(II)の前に、予備解離工程を設けることが好ましい。このとき、前記選択的解離工程を設ける場合には、前記選択的解離工程の前に予備解離工程を行う。方法(IIa) 、(IIb) 、(IId)又は(IIe)において、選択的解離工程の温度を前記予備解離工程の温度と同じとして、予備解離工程を兼ねることも出来る。
[判定論理]
本発明に於いて、蛍光強度の測定結果から、被検ポリヌクレオチド中のポリヌクレオチド(A)の有無、ポリヌクレオチド(B)の有無、およびポリヌクレオチド(B)中の標的塩基配列との違いから選ばれる1種以上を判定する方法と判定論理は、分析目的や用いる検体溶液の成分によって適切に選択できる。例を示せば、以下のようにして、種々の場合について判定または決定できる。
[1]変異型ポリヌクレオチドをポリヌクレオチド(A)として、変異型ポリヌクレオチドの有無を判定する場合
分析方法(I)を用いて、検体溶液中に含有される被検DNA(被検ポリヌクレオチド)が変異型であるかどうかという一塩基多型の検出を目的とする分析においては、該一塩基多型の変異型ポリヌクレオチドをポリヌクレオチド(A)とし、野生型ポリヌクレオチドを、ポリヌクレオチド(B)とする方法で分析できる。
この場合、プローブ化合物として変異型DNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖に実質的に相補的な配列のオリゴDNAを用い、ハイブリッド形成工程において被検ポリヌクレオチドを該プローブ化合物とハイブリッド形成させ、該ハイブリッドを含有する検体溶液を、検出工程(I)において、下流方向に向かって昇温する温度勾配を形成された検出用流路に検体溶液を流す。ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッド、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とのハイブリッドは、検出用流路のそれぞれの融解温度付近で解離するため、該温度位置で蛍光強度が減少すれば、それに相当するポリヌクレオチドが含有されると判定でき、蛍光強度が減少しないと、それに相当するポリヌクレオチドは含有されないと判定できる。
より具体的に、第一実施形態として、図1に示すように、解離曲線が非重畳的である場合に、被検ポリヌクレオチドに、標的塩基配列を有するポリヌクレオチド(A)が含まれるか否か、及び、標的塩基配列を有しないポリヌクレオチド(B)が含まれるか否かを、分析方法(I)を用いて同時に分析する方法を説明する。
まず、分析対象である被検ポリヌクレオチド、標的塩基配列と実質的に相補的な塩基配列を有する一本鎖のプローブ化合物、および蛍光性インターカレーターを含有する検体溶液を準備する。
この検体溶液をハイブリッド形成工程に付す。ここで、ハイブリッド形成工程の温度を、THB未満、好ましくはTMB未満、さらに好ましくはTLB未満とする。即ち、検体溶液中のポリヌクレオチド(A)とした変異型ポリヌクレオチドと、ポリヌクレオチド(B)とした野生型ポリヌクレオチドの両者共にプローブ化合物とハイブリッド形成する温度とする。THB未満とすることにより、ポリヌクレオチド(B)の少なくとも一部はハイブリッド形成して測定可能となり、TMB未満とすることによりハイブリッド形成量がより多くなって測定の信頼性が増し、TLB未満とすることにより、ハイブリッド形成量がさらに多くなって、測定の信頼性が最も高くなる。
検体溶液の温度を該範囲内とすることによって、検体溶液中にポリヌクレオチド(A)及び/又はポリヌクレオチド(B)が存在するときには、これらはそれぞれプローブ化合物とハイブリッドを形成する。
次いで、検体溶液を検出用流路に流し、検出工程(I)に付す。検出用流路は、導入部の温度を前記ハイブリッド形成工程の温度とし、そこから下流方向に向かって階段状に昇温する温度分布、若しくは、直線状に昇温する温度分布(温度勾配)を持たせ、最高温部の温度は、TLA以上(すなわち、温度範囲δまたはε)、好ましくはTMA以上、更に好ましくはTHA以上とし、かつ、検体溶液が沸騰しない温度とする。TLA以上であると、蛍光強度の減少から判定可能であり、TMA以上とすることにより蛍光強度の減弱がより明確になり信頼性が増し、THA以上とすることにより蛍光強度の減少曲線の全体が観測できるためさらに信頼性が増す。
検体溶液の流速は一定とし、検出用流路内の滞留時間が1〜5分となるよう調節する。
検体溶液が、検出用流路中の、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とのハイブリッドが解離する温度位置に来ると、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とのハイブリッドは解離するため、検体溶液中にポリヌクレオチド(B)が含有されている場合には、蛍光強度はTLB〜THBの温度位置で下流方向に進むに従い減少する。一方この温度位置に於いては、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドは解離しないため、検体溶液中にポリヌクレオチド(A)が存在する場合には、それに起因する蛍光は減少せず維持される。従って、TLB〜THB付近で蛍光強度が変化すれば、検体溶液中にポリヌクレオチド(B)(野生型ポリヌクレオチド)が存在すると判定でき、減少しなければ存在しないと判定できる。
検体溶液が更に高温部に進んで、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドが解離する温度位置に来ると、検体溶液中にポリヌクレオチド(A)が存在する場合には、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドは解離し、それに起因する蛍光強度はTLA〜THA付近で下流方向に進むに従い減少する。このとき、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とのハイブリッドは既に解離した状態にあるため、ポリヌクレオチド(B)は蛍光強度に影響しない。従って、TLA〜THA付近で蛍光強度が変化すれば、検体溶液中にポリヌクレオチド(A)(変異型ポリヌクレオチド)が存在すると判定でき、減少しなければ存在しないと判定できる。
なお、このとき、検体溶液中に野生型と変異型以外の第3のポリヌクレオチド、すなわち全く異なる塩基配列を有するポリヌクレオチドの二本鎖が存在すると、該第3のポリヌクレオチドは、前記ハイブリッド形成工程においてプローブ化合物とはハイブリッドを形成しないが、対立鎖同士で二本鎖を形成する場合がある。しかし、この二本鎖は、TLA〜THA付近でもTLA〜THA付近でも該二本鎖が解離しないように該ポリヌクレオチド又はプローブ化合物の長さを調節すれば、該二本鎖に起因する蛍光は該温度付近で変化しないため、その影響を除去できる。ポリヌクレオチド(A)の二本鎖やポリヌクレオチド(B)の二本鎖についても同様である。
解離曲線が、図2に示すように重畳的である場合にも、上記と同様にして判定できる。蛍光強度の減少曲線がポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)で重畳するため、不明瞭さは増加するが、判定は可能である。
次に、本発明の第二実施形態として、図2に示すように、解離曲線が重畳的である場合に、被検ポリヌクレオチドに、標的塩基配列を有するポリヌクレオチド(A)が含まれるか否かを分析方法(I)を用いてさらに明確に判定する方法を説明する。
ハイブリッド形成工程の温度を温度範囲δ’内のいずれかの温度とし、検体溶液中のポリヌクレオチド(A)の少なくとも一部はプローブ化合物とハイブリッドを形成するが、ポリヌクレオチド(B)はプローブ化合物とハイブリッドを形成しない状態とする。次いで、検出工程(I)に、ハイブリッド形成工程の温度から始まり、下流に行くほど昇温する温度分布を設け、該温度分布の細孔温部の温度を、温度範囲δ’またはε内のいずれかの温度に設定して、検体溶液中のプローブ化合物/(A)ハイブリッドが解離しうる温度部分を設ける。
その他は第一実施形態と同様にすることにより、蛍光強度が減少している場合は、被検ポリヌクレオチド中にポリヌクレオチド(A)が含有されていると判定することができる。ポリヌクレオチド(B)は検出用流路内の全範囲で解離しており、蛍光強度が特定の位置で減少することはないため、判定に影響を与えない。
[2]変異型ポリヌクレオチドをポリヌクレオチド(B)として変異型ポリヌクレオチドの有無を判定する場合
分析方法(I)を用いて、検体溶液中に含有される被検DNA(被検ポリヌクレオチド)が変異型であるかどうかという一塩基多型の検出を目的とする分析においては、該一塩基多型の変異型ポリヌクレオチドをポリヌクレオチド(B)とし、野生型ポリヌクレオチドを、ポリヌクレオチド(A)とすること以外は、前記「[1]変異型ポリヌクレオチドをポリヌクレオチド(A)として変異型ポリヌクレオチドの有無を判定する場合」と全く同様にして分析できる。
本[2]の場合において、ポリヌクレオチド(A)の存在の有無を判定する必要がない場合には、検出用流路の最高温部の温度を、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドが解離しない温度、例えば図1の領域γとすればよい。これにより、測定用マイクロ流体デバイスを、耐熱性が低い素材で形成可能となる。
[3]変異型ポリヌクレオチドの種類を判定する場合
分析方法(I)を用いて、検体溶液中に含有される被検DNA(被検ポリヌクレオチド)が標的塩基配列と何塩基異なる変異型ポリヌクレオチドであるかの判定を目的とする分析においては、該変異型ポリヌクレオチドをポリヌクレオチド(B)とし、野生型ポリヌクレオチドを、ポリヌクレオチド(A)として、前記「21」変異型ポリヌクレオチドをポリヌクレオチド(B)として変異型ポリヌクレオチドの有無を判定する場合」と同様にして分析できる。
この場合、ハイブリッド形成工程において検出目的の変位型ポリヌクレオチドがプローブ化合物とハイブリッド形成させる温度条件で実施する。
検出工程(I)において、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とのハイブリッドは、ミスマッチの多いものほど検出用流路の低温位置で解離するため、ある温度位置で蛍光強度が減少すれば、それに相当するポリヌクレオチドが含有されると判定でき、蛍光強度が減少しないと、それに相当するポリヌクレオチドは万有されないと判定できる。
より具体的に、例えば、ポリヌクレオチド(B)として、標的塩基配列と1塩基異なるもの(ポリヌクレオチド(B1)と称する)、標的塩基配列と2塩基異なるもの(ポリヌクレオチド(B2)と称する)、標的塩基配列と3塩基異なるもの(ポリヌクレオチド(B3)と称する)を判別する場合について述べる。
前記[2]の場合において、ハイブリッド形成工程を、分析すべきポリヌクレオチド(B)の中で最も低い融解温度を有するポリヌクレオチド(B3)がプローブ化合物とハイブリッドを形成する温度、即ちポリヌクレオチド(B3)の全量が解離する温度(THB3)未満、好ましくはポリヌクレオチド(B3)の融解温度(TMB3)未満、さらに好ましくはポリヌクレオチド(B3)の解離温度(TLB3)未満とする。
検出用流路を、導入部の温度を前記ハイブリッド形成工程の温度とし、下流に向かって昇温する温度分布の最高温部の温度を分析すべきポリヌクレオチド(B)の中で最も高い融解温度を有するポリヌクレオチド(B1)とプローブ化合物とのハイブリッドの少なくとも一部が解離する温度、即ちポリヌクレオチド(B3)の解離温度(TLB3)以上、好ましくはポリヌクレオチド(B3)の融解温度(TMB3)以上、さらに好ましくはポリヌクレオチド(B3)の全量が解離する温度(THB3)以上とする。
それ以外は前記[2]の場合と同様にして、検体溶液中にポリヌクレオチド(B1)、ポリヌクレオチド(B2)、ポリヌクレオチド(B3)が存在するか否かを判定できる。この判定は、検体溶液中にこれらが単独で存在する場合にも混合して存在する場合にも判定可能である。
また、検出用流路の最高温部の温度を、前記[2]の場合と同様にすると、前記ポリヌクレオチド(B)の種類と同時に、ポリヌクレオチド(A)の存在の有無も判定出来る。
以下本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、各々「質量%」、「質量部」を表す。
(実施例1)
〔組成物(X1)〕
検出用流体デバイスの製造例で使用する紫外線硬化性の組成物(X1)の調製方法を示す。
重合性化合物として、平均分子量約2000の大日本インキ化学工業株式会社製3官能ウレタンアクリレートオリゴマー「ユニディックV−4263」60部、第一工業製薬株式会社製ヘキサンジオールジアクリレート「ニューフロンティアHDDA」40部、光重合開始剤としてチバスペシャルテッィケミカルズ社製1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュアー184」5部、及び重合遅延剤として関東化学株式会社製2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.5部を混合して、組成物(X1)を調製する。
〔組成物(X2)〕
検出用流体デバイスの製造例で使用する紫外線硬化性の組成物(X2)の調製方法を示す。
重合性化合物として、上記「ユニディックV−4263」80部、上記「ニューフロンティアHDDA」20部、光重合開始剤として上記「イルガキュアー184」」5部、を混合して、組成物(X2)を調製する。
〔紫外線の照射〕
製造例に於ける紫外線照射は、200Wメタルハライドランプを光源とするウシオ電機株式会社製のマルチライト200型露光装置用光源ユニットを用い、365nmにおける紫外線強度が100mW/cm2の紫外線を、特に指定が無い限り室温、窒素雰囲気中で照射する。
〔検出用マイクロ流体デバイス〕
図3、図4は、本発明の分離方法に好適に用いられる検出用流体デバイスの一例を示したもので、図3は平面模式図、図4は、図3のA部に於ける断面模式図である。
図3、図4に示すように、本実施例の検出用流体デバイスは、板状の支持体1上に、第一樹脂層2、及び第二樹脂層3が順に積層され、これらが固着一体化されて概略構成されており、全体の外形は長さ95mm、幅30mm、厚さ約1.15mmの板状とされる。なお、外形は例えば使用する光学的測定装置や温調ブロックに合わせて設計すれば良く、任意である。
支持体1としては、アクリル板、ポリスチレン板、ポリカーボネート板、硝子板等を用いることができるが、検出用流体デバイスにおいては透明なアクリル板が使用されている。
第一樹脂層2は、上述の組成物(X1)を硬化させた層である。この第一樹脂層2には、該層の表面から裏面に貫通する線状の欠損部4が形成され、該欠損部4は、第一樹脂層2が支持体1と第二樹脂層3で表裏から挟持接着されることによって、毛細管状の流路4となっている。この流路4は、直列に連結された、予備解離工程用流路4a、ハイブリッド形成工程用流路4b、及び検出用流路4cを構成している。予備解離工程用流路4aは後述の第一温調ブロック11が接する範囲、、ハイブリッド形成工程用流路4bは後述の第二温調ブロック12が接する範囲、及び、検出用流路4cは後述の第三温調ブロック13が接触する範囲の流路とされる。流路長は、予備解離工程用流路4aが約40mm、ハイブリッド形成工程用流路4bが約80mm、検出用流路4cが約30mmであり、これらの流路はいずれも幅が500μm、高さが50μmである。
第二樹脂層3は、組成物(X2)を硬化させたものであり、その厚さは約100μmである。
第二樹脂層3には、層の表面から裏面に貫通する孔である流入口6および流出口7が形成されている。流入口6は、第一樹脂層2の予備解離工程用流路4aの上流端に連通している。流出口7は、第一樹脂層2の検出用流路4cの下流端に連通している。
また、流路4は、支持体1側から第二樹脂層3側まで透明であり、流路4のどの位置も、外部から蛍光測定が可能となっている。
以下、この検出用流体デバイスの製造方法について説明する。
〔工程1:第一樹脂層2の形成〕
厚さ1mmのアクリル板製支持体1の上に、スピンコーターを用いて組成物(X1)を塗工して未硬化塗膜を形成し、該未硬化塗膜の流路4と成すべき部分以外の部分にフォトマスクを通して紫外線を10秒間照射して未硬化塗膜を半硬化させて、第一樹脂層2と成す。次いで、非照射部分の未硬化の組成物(X1)をエタノールで洗浄除去して、流路4となるべき第一樹脂層2の欠損部4を形成する
〔工程2:第二樹脂層の固着〕
二村化学株式会社製二軸延伸ポリプロピレンフィルム「OPPフィルム」上に組成物(X2)を、バーコーターを用いて塗工し、全面に紫外線を3秒間照射して半硬化させて、カバー層となる第二樹脂層3と成し、上記工程2で作製した部材の第一樹脂層2の上に貼り合わせ、紫外線を40秒照射して、第一樹脂層2、第二樹脂層3共に完全に硬化させたのち、OPPフィルムを剥がして、第一樹脂層2の欠損部が流路4となされた検出用流体デバイス前駆体を形成する。
〔流入口、流出口の形成〕
検出用流体デバイス前駆体の流路4の両端部の位置に於いて、ドリルを用いて第二樹脂層3に直径0.5mmの孔6、7を穿って流路4に連結した流入口6と流出口7を形成し、該流入口6と流出口7には塩化ビニルチューブを接着して接続部8、9を形成し、検出用流体デバイスを製造する。
〔第三温調ブロックの作製〕
マイクロ流体デバイスの検出用流路4cに温度分布を設けるための第三温調ブロック13の製造方法を示す。
〔ブロック本体部材の作製〕
図5に示したように、20mm×20mm×1mmのアルミニウム製の20枚の板31をその間に19層の厚さ約10μmのエポキシ系接着剤層32を挟んで互いに固着した、縦(積層方向)20.2mm×横20mm×高さ20mmのブロック本体部材33を得る。
〔第三温調ブロックの作製〕
このブロック本体部材33の積層端面の一方に、20mm×20mm×厚さ3mmのアルミニウム製の伝熱板34を接着し、その外側に板状の電気ヒーター35を接着する。また、前記ブロック本体部材の反対側の積層端面にアルミニウム製のフィン型放熱部材36を接着し、該フィン型放熱部材36のフィンの一つに電気ヒーター37を接着する。
上記伝熱板34の側面の中央部にドリル穴を開け、直径1mmのシース型の熱伝対38を挿入して接着する。また、上記フィン型放熱部材36にも同様にしてシース型の熱伝対39を装着する。上記の接着は全てセラミック系の接着剤、スミセラムS−10A(朝日化学工業製)を用いる。以上のようにして、第三温調ブロック13を作製する。
なお、第一温調ブロック11及び第二温調ブロック12については、通常の電気加熱式ヒートブロックを使用できるため、製造方法は省略する。
〔ポリヌクレオチドの検出試験〕
予備解離工程用流路4a、ハイブリッド形成工程用流路4b、及び検出用流路4c部分の上面に、それぞれ、95℃に調節された第一温調ブロック、50℃に調節された第二温調ブロック、及び、温度分布を形成した第三温調ブロックを、薄く塗布したシリコンオイルを介して接触させ、それぞれの流路を温調する。このとき、第三温調ブロックは、最低温度50℃、最高温度90℃の間を約2℃ステップで20段の階段状に調節した温度分布を持たせ、検出用流路4cの導入部4d側を低温側、流出口7側を高温側として装着する。
プローブ化合物として長さ20塩基のオリゴDNAを5μM、被検ポリヌクレオチドとして長さ65塩基の二本鎖DNA(PCR産物)0.3μM、蛍光性インターかレーターとしてエチジウムブロマイドの0.5μg/cmを含有する緩衝液溶液を調製し、ヘリウムバブリングで脱気した後、シリンジポンプ(図示せず)を用いて、導入口6から流路4に、例えば毎分0.5μlの一定流速(流路4内の流速約20mm/分)で導入すると、該検体溶液は、予備解離工程用流路4a、ハイブリッド形成工程用流路4bを経て、導入部4dから検出用流路4cに入り、流出口9から流出する。
検出用マイクロ流体デバイスの下面から、CCDカメラ付き落射型蛍光実体顕微鏡21で、検出用流路4cの全体または一部の蛍光強度を観察し、画像解析ソフト(例えば(株)プラネトロン社の「イメージプロプラス」)を用いて、検出用流路4cの導入部4dから下流方向に1mmスパンで20区画の蛍光強度を計測する。そして、あらかじめ測定しておいた、位置と温度の関係から、一定温度毎の蛍光強度が得られる。
得られた蛍光強度の温度依存性データを用い、上記で示した判定論理に従って判定する。
本発明のポリヌクレオチドの分析方法は、種々の用途目的に使用できる。例えば、農林水産業などに於ける種の改良などを目的としたDNAやRNAの塩基配列と機能との関係解明のための使用、感染症の原因微生物の分析、疾患に掛かりやすい遺伝的因子の保有の分析、患者の薬物感受性の分析、ガンであるか否かあるいはガンの種類の分析、または生体移植適合性の分析などの医療用途での使用、同一人判定、親子判定、男女判定などの法務鑑定での使用、生物学的あるいは考古学的研究での使用、農作物において特定種であるか否か又はあるいは遺伝子組み換え作物であるか否かの分析のための使用などを挙げることができる。
非重畳的な場合の、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の解離曲線を示した模式図である。 重畳的な場合の、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の解離曲線を示した模式図である。 本発明の実施例で用いられる検出用流体デバイスの平面模式図である。 本発明の実施例で用いられる検出用流体デバイスの図3におけるA部における断面模式図である。 実施例で作製した第三温調ブロックの見取り図である。
符号の説明
1・・・・支持体
2・・・・第一樹脂層
3・・・・第二樹脂層
4・・・・流路(欠損部)
4a・・・予備解離工程用流路
4b・・・ハイブリッド形成工程用流路
4c・・・検出用流路
4d・・・検出用流路の導入部
6・・・・流入口
7・・・・流出口
8,9・・・接続口
11・・・第一温調ブロック
12・・・第二温調ブロック
13・・・第三温調ブロック
21・・・落射型蛍光顕微鏡
31 :アルミニウム板
32 :エポキシ系接着剤層
33 :ブロック本体部材
34 :電熱板
35、37 :電気ヒーター
36 :フィン型放熱部材
38、39:シース型熱電対


Claims (13)

  1. 被検ポリヌクレオチド中の、標的塩基配列を有するポリヌクレオチド(A)の有無、前記標的塩基配列を有さないポリヌクレオチド(B)の有無、および前記ポリヌクレオチド(B)中の前記標的塩基配列との違いから選ばれる1種以上を判定するポリヌクレオチドの分析方法であって、
    前記被検ポリヌクレオチド、前記標的塩基配列と実質的に相補的な塩基配列を有する一本鎖のプローブ化合物、及び蛍光性インターカレーターを含有する検体溶液を、流れ方向に温度分布を有して温度調整された毛細管状の検出用流路に流し、該流路の任意の位置において前記蛍光性インターカレーターの蛍光強度を測定する検出工程を有し、該蛍光強度より上記判定を行うことを特徴とするポリヌクレオチドの分析方法。
  2. 前記ポリヌクレオチド(B)中の前記標的塩基配列との違いが一塩基の違いである請求項1に記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  3. 前記判定が、前記検出用流路の流れ方向の複数の位置における蛍光強度の比較により行われるものである請求項1または2に記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  4. 前記検出工程の前に、前記被検ポリヌクレオチドと前記プローブ化合物とのハイブリッドを形成しうる状態とするハイブリッド形成工程を有し、
    前記検出工程において、流れ方向に昇温する温度分布を有する検出用流路中で前記ハイブリッドの全部または一部が解離しうる状態とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  5. 前記ハイブリッド形成工程において、前記検体溶液の温度を、前記ポリヌクレオチド(B)と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッドの全量が解離する温度未満の温度に調整し、前記検出工程において、前記検出用流路の昇温する温度分布
    が、前記ポリヌクレオチド(A)と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッド、及び、前記ポリヌクレオチド(B)と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッドのそれぞれについて、解離温度、融解温度、全量が解離する温度の少なくとも一つを範囲に含む請求項4に記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  6. ポリヌクレオチド(B)の種類を分析する方法であって、前記ハイブリッド形成工程において、前記検体溶液の温度を、標的塩基配列に対してN塩基(但しNは自然数)の違を有する前記ポリヌクレオチド(B)の中で、分析を目的とする最大のNの値をもつポリヌクレオチド(B)がプローブ化合物と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッドの全量が解離する温度未満の温度に調整し、前記検出工程において、前記検出用流路の昇温する温度分布の範囲が、前記ポリヌクレオチド(B)の中で、分析を目的とするポリヌクレオチド(B)と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッドの解離温度、融解温度、全量が融解する温度の少なくとも一つを範囲に含む請求項4に記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  7. さらに、前記ハイブリッド形成工程の前に、前記検体溶液を、前記ポリヌクレオチド(A)と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッドの融解温度以上の温度に調整し、前記検体溶液中に存在する被検ポリヌクレオチドとプローブ化合物のハイブリッドを解離させて一本鎖とする前処理工程を有する請求項3〜6のいずれかに記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  8. 前記検出工程において、流れ方向に降温する温度分布を有する検出用流路中で、被検ポリヌクレオチドとプローブ化合物とのハイブリッドを形成しうる状態とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  9. さらに、前記検出工程の前に、前記検体溶液を、前記ポリヌクレオチド(A)と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッドの融解温度以上の温度に調整し、前記検体溶液中に存在する二本鎖の被検ポリヌクレオチド及び被検ポリヌクレオチドとプローブ化合物のハイブリッドを解離させて一本鎖とする予備解離工程を有する請求項8に記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  10. 前記検出工程の前に、前記検体溶液を、前記ポリヌクレオチド(A)と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッド、及び前記ポリヌクレオチド(B)と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッドの少なくとも一方の一部又は全部が解離する温度に調節する選択的解離工程を有し、前記検出工程において、前記検出用流路の降温する温度分布の範囲が、前記選択的解離工程の温度未満の温度を含む請求項8に記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  11. 前記選択的解離工程の温度が、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とが形成するハイブリッドの全量が解離する温度以上、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドの解離温度未満であり、前記検出工程において、前記検出用流路の降温する温度分布が、前記ポリヌクレオチド(B)と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッド、及び、前記ポリヌクレオチド(A)と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッドのそれぞれについて、解離温度、融解温度、全量が解離する温度の少なくとも一つを範囲に含む請求項10に記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  12. ポリヌクレオチド(B)の種類の判定方法であって、前記選択的解離工程の温度が、標的塩基配列に対してN塩基(但しNは自然数)の違いを有する前記ポリヌクレオチド(B)の中で、分析を目的とする最小のNの値をもつポリヌクレオチド(B)がプローブ化合物と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッドの解離温度以上であり、前記検出工程において、前記検出用流路の降温する温度分布が、前記ポリヌクレオチド(B)の中で、分析を目的とするNの値のポリヌクレオチド(B)と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッドの解離温度、融解温度、全量が融解する温度の少なくとも一つを範囲に含む請求項9、10又は11に記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  13. さらに、前記選択的解離工程の前に、前記検体溶液を、前記ポリヌクレオチド(A)と前記プローブ化合物とが形成するハイブリッドの融解温度以上の温度に調整し、前記検体溶液中に存在する二本鎖の被検ポリヌクレオチド及び被検ポリヌクレオチドとプローブ化合物のハイブリッドを解離させて一本鎖とする予備解離工程を有する請求項10、11、又は12に記載のポリヌクレオチドの分析方法。

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