JP2004121226A - ポリヌクレオチドの分析方法 - Google Patents

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Takanori Anazawa
穴澤 孝典
Tetsuo Takada
高田 哲生
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Abstract

【課題】異なる塩基配列を有するポリヌクレオチドが多数混在する試料中で、特定の塩基配列を有するポリヌクレオチドの有無や量などを、微少な試料量で、迅速に精度良く判定する方法を提供すること。
【解決手段】標的塩基配列を有するポリヌクレオチド(A)と、標的塩基配列を有さないポリヌクレオチド(B)とが、非選択的にプローブ化合物に結合する条件で、被検ポリヌクレオチドを、非選択的に、短時間でプローブに結合させ、該ポリヌクレオチドとプローブとの結合部位に温度分布を設け、これらが脱離する際の脱離量を温度分布の各位置に於いて測定することにより、迅速に特定の塩基配列を有するポリヌクレオチドの有無や存在量、あるいはポリヌクレオチドの変異の程度を検出する。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、検体溶液中における特定の塩基配列を有するポリヌクレオチドの有無や存在量を判定するポリヌクレオチドの分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
検体溶液中の被検ポリヌクレオチドが、ポリヌクレオチドの分析の基準となる特定の塩基配列(以下、「標的塩基配列」と称する場合がある。)を有するか、標的塩基配列を有しないか、標的塩基配列と何塩基異なる塩基配列を有するか、あるいはこれらのポリヌクレオチドの濃度や量はいくらか、といったポリヌクレオチドの塩基配列の違いの分析方法、特に、ポリヌクレオチドの一塩基多型(SNP)や1塩基突然変異などの、1塩基の配列の違いを判定する方法として種々の方法が知られている。しかし、既知の分析方法ではそれぞれ欠点があり満足できるものではなかった。
【0003】
例えば、DNAチップ(例えば、非特許文献1参照)のように、固相に固定したプローブ化合物に被検DNAを選択的にハイブリッド形成(ハイブリダイゼーション)させる方法では、標的塩基配列とは一塩基のみ異なるような、塩基配列の鎖が小さいポリヌクレオチドも同様に該プローブ化合物とハイブリッド形成してしまうため、前記特定の塩基配列を有するポリヌクレオチドを十分なコントラストで検出するには数時間以上のインキュベーションを要するといった問題があった。
【0004】
アフィニティークロマトグラフィー(例えば、非特許文献2参照)は、プローブ化合物を固定した粉末状の担体を直径が数ミリのカラムに充填した充填カラムを使用する方法であるため、上記のDNAチップなどに比べると、一回の実験で(即ち1本のカラムで)1種類のDNAしか分析できず、分析処理効率の低いものであった。また、測定に必要な試料の量が多く、微量試料の分析が不可能であった。多種類のDNAを同時に分析するために多数台並列設置すると、必要な試料の量はますます多くなるという問題があった。また、粉体状の担体をカラムに充填するという構造は、カラムの細径化に限界があり、微量の試料の測定は困難であった。
【0005】
また、特許文献1には、野性型対立遺伝子に相補的なプローブ化合物(プローブ化合物)が結合した担体を用いた野性型対立遺伝子の分離を含む、多くの野性型対立遺伝子を含む試料中の突然変異対立遺伝子の検出方法が開示されている。該方法は野生型対立遺伝子に相補的な塩基配列を有する対立遺伝子を固定した充填カラムに野生型と変異型の混合対立遺伝子試料を流し、ハイブリッド形成によって野生型対立遺伝子を選択的にカラムに吸着させ、変異型対立遺伝子は吸着させずに流出させることで、変異型遺伝子を濃縮する方法である。
【0006】
しかしながら、該方法は野生型対立遺伝子を該遺伝子に相補的な塩基配列を有する対立遺伝子とハイブリッド形成させることにより野生型対立遺伝子と変異型対立遺伝子を分離する方法であるため、一塩基多型や一塩基突然変異を検出できるような十分に高い選択性を実現するためには、前記DNAチップを使用した方法と同様に、長時間のインキュベーションが必要であった。
【0007】
特許文献2には、上記DNAチップの各スポットにポリヌクレオチドを選択的にハイブリッド形成させた後、各スポットを加熱することにより、解離(脱ハイブリダーゼーション)させて、特定の塩基配列を有するポリヌクレオチドを回収する方法が開示されており、温度を徐々に上げることによって、塩基配列の異なるポリヌクレオチドを順次回収できることが示されている。しかしながら、該方法においても、一塩基多型や一塩基突然変異を検出できるような高い選択性を実現するためには、上記選択的ハイブリダイゼーション工程に、やはり長時間のインキュベーションが必要であった。
【0008】
【特許文献1】
特表2001−514504号公報
【特許文献2】
特開2000−279169号公報
【非特許文献1】
大野典也,「ニュートン」,1999年,7月号,p.60−61
【非特許文献2】
近藤壽彦,阿部修三,「クロマトグラフィー」,1997年,第18巻,第2号,p.122−125
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、被検ポリヌクレオチド中の、標的塩基配列を有するポリヌクレオチド(A)の有無や量、前記標的塩基配列を有さないポリヌクレオチド(B)の有無や量、および前記ポリヌクレオチド(B)中の前記標的塩基配列との違いの程度から選ばれる1種以上を、微少な試料量で、迅速に精度良く判定する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、標的塩基配列を有するポリヌクレオチド(A)と、標的塩基配列を有さないポリヌクレオチド(B)とが、非選択的にプローブ化合物に結合する条件で、被検ポリヌクレオチドを、非選択的に、短時間でプローブに結合させ、該ポリヌクレオチドとプローブとの結合部位に温度分布を設け、これらが脱離する際の脱離量を温度分布の各位置に於いて測定することにより、迅速に特定の塩基配列を有するポリヌクレオチドの有無や存在量、あるいはポリヌクレオチドの変異の程度を検出できる。さらに、被検ポリヌクレオチドをプローブ化合物が固定された微小な表面に接触させるだけで分析が可能であり、分析に必要な試料量が微少量でよく、多数の測定を同時に行う場合にも試料量が少なくてよい。
【0011】
すなわち本発明は、一種以上の被検ポリヌクレオチドを含有する検体溶液中の、標的塩基配列を有するポリヌクレオチド(A)の有無や量、前記標的塩基配列を有さないポリヌクレオチド(B)の有無や量、および前記ポリヌクレオチド(B)中の前記標的塩基配列との違いから選ばれる1種以上を判定するポリヌクレオチドの分析方法であって、
(1)前記標的塩基配列と実質的に相補的な塩基配列を有するプローブ化合物が固定された固相に、前記検体溶液を(前記ポリヌクレオチド(A)と前記ポリヌクレオチド(B)の両者が非選択的に前記プローブ化合物とハイブリダイゼーションにより結合する条件で)接触させ、該検体溶液中に含有される被検ポリヌクレオチドと前記固定されたプローブ化合物とをハイブリッド形成させる工程、
(2)前記ハイブリッド形成部位に、ポリヌクレオチドを溶解させる液体を接触させた状態で、該部位に、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドの融解温度(Tma)、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とのハイブリッドの融解温度(Tmb)の少なくとも一方を範囲に含む温度分布を設け、該温度分布が設けられた前記ハイブリッド形成部位の少なくとも一部に於いて、前記ハイブリッドを解離させる工程、
(3)前記(2)の工程において、ハイブリッド形成部位における、上記温度分布内の複数の位置での前記ハイブリッドの残存量を測定する工程、
を有するポリヌクレオチドの分析方法を提供することにある。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の要部について詳細に説明する。
[ポリヌクレオチド(A)、ポリヌクレオチド(B)]
分析の基準となる特定の塩基配列(以下、「標的塩基配列」と称する場合がある)を有するポリヌクレオチド(以下、「ポリヌクレオチド(A)」という。)、および該標的塩基配列を有しないポリヌクレオチド(以下、「ポリヌクレオチド(B)」という。)は任意であり、DNA、RNA、その他、修飾ポリヌクレオチドなどであり得る。DNAは、例えば、全DNA、cDNA、制限酵素で切断されたDNA断片、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等により増幅されたDNA断片等であり得る。これらの中で、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等により増幅されたDNA断片であることが、特に有用であり好ましい。
【0013】
ポリヌクレオチド(A)および(B)の長さは、標的塩基配列の塩基数以上であること以外は任意であり、好ましくは、塩基数20〜1000、さらに好ましくは25〜300である。この範囲とすることによって、選択性を高めると同時に分析時間の短縮が図れるため好ましい。PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)や制限酵素により調製される場合には、プライマーや制限酵素の選択により、これらのポリヌクレオチドの塩基数を設定できる。
【0014】
ポリヌクレオチド(B)は、ポリヌクレオチド(A)と長さが異なっていてもよいが、同じであることが、他の方法で分析困難なポリヌクレオチドを分析できるため好ましい。ポリヌクレオチド(B)は、標的塩基配列を全く有しないポリヌクレオチドでもよいし、標的塩基配列とは僅かに異なる塩基配列、例えば1塩基異なる塩基配列を有するものであってもよい。上記僅かに、又は1塩基異なる場合、配列の異なる場所は、置換、欠失、又は挿入によるものであってよい。上記配列の異なる場所は標的塩基配列の端であっても内部であってもよい。本発明においては、標的塩基配列とは1塩基異なる塩基配列を有するものであっても、迅速に判定できる。
【0015】
標的塩基配列と全く、若しくは大きく異なる塩基配列を有するポリヌクレオチドの例としては、ヒトのDNAに対するウィルスなどの病原体のDNAを挙げることが出来る。また、標的塩基配列と1塩基異なる塩基配列を有するポリヌクレオチドの例としては、一塩基多型(SNP)や突然変異遺伝子が挙げられる。分析対象が一塩基多型の場合のように、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の配列の異なる塩基の部位(ホットスポット)や塩基の種類が既知であると、特に本発明の分析方法の信頼性が高くなり、好ましい。また、ポリヌクレオチド(A)、ポリヌクレオチド(B)は、各々一本鎖であっても二本鎖であってもよい。二本鎖である場合、センス鎖、アンチセンス鎖のどちらの配列を標的塩基配列としてもよい。二本鎖であることが、生体サンプルを直接、又は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)などにより増幅されたポリヌクレオチド生成物を被検ポリヌクレオチドとして使用できるため、特に有用であり好ましい。
【0016】
[検体溶液、被検ポリヌクレオチド]
被検ポリヌクレオチドは、本発明の分析方法に供される検体溶液に含有される、分析対象のポリヌクレオチドをいう。該被検ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド(A)、ポリヌクレオチド(B)のそれぞれ単独であってもよいし、混合物であってもよい。また、それぞれ複数の種類のポリヌクレオチド(A)やポリヌクレオチド(B)を含有していてもよい。本発明においては、特に、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の総和に対するポリヌクレオチド(B)の割合が、概ね0、1/2、1のいずれかである場合、即ち、一塩基多型のホモ野生型、へテロ型、ホモ変異型の判定の場合に、判定の信頼性が高くなり、好ましい。勿論、分析の結果、検体溶液中にはポリヌクレオチド(A)もポリヌクレオチド(B)も含有されなかったと判定される場合もあり得る。
【0017】
[標的塩基配列]
標的塩基配列は、分析の基準となる特定の塩基配列をいい、判定目的のポリヌクレオチドに特徴的な塩基配列部分を標的塩基配列とする。また、分析目的がポリヌクレオチドの1塩基の違いの判別である場合、例えば、一塩基多型(SNP)や突然変異において、野生型(正常型)ポリヌクレオチドであるか、変異型(異常型)ポリヌクレオチドであるかの判定において、変異の生じる部分(ホットスポット)を含む塩基配列部分を標的塩基配列とする。この場合、標的塩基配列は、野生型の塩基配列であってもよいし、変異型の塩基配列であってもよいが、野生型の塩基配列を標的塩基配列とすることが、後述のように、変異型ポリヌクレオチドの有無を判定する分析の時間短縮が計れるため好ましい。
【0018】
標的塩基配列の長さは、プローブ化合物が、後述のように、標的塩基配列中にN個(但し、Nは0又は正の整数)の前記標的塩基配列に相補的でない塩基を有する時、標的塩基配列の塩基数の下限は、好ましくは(N+6)以上、さらに好ましくは(N+10)以上、最も好ましくは(N+15)以上である。標的塩基配列の塩基数の上限は、好ましくは(8N+50)以下、さらに好ましくは(8N+40)以下、最も好ましくは(8N+30)以下である。標的塩基配列の塩基数は、ポリヌクレオチド(A)の塩基(対)数が大きいほど増やすことが、選択エラーを防ぐために好ましい。この長さ範囲とすることによって、温度対脱離量若しくは温度対脱離速度の曲線が明確となり、かつ、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の検出温度の差が大きくなって、分析の信頼性が高くなる。また、この長さ範囲とすることによって、温度対脱離量若しくは温度対脱離速度の曲線が明確となり、かつ、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の検出温度の差が大きくなって、分析の信頼性が高くなる。
【0019】
被検ポリヌクレオチドの一連の塩基配列中で標的塩基配列とする部分は、塩基配列の違いを判定する部位であり、例えば一塩基多型の分析に於いては変異を生じうる部位(ホットスポット)を含む範囲である。標的塩基配列とする範囲は任意に設定できる。例えば、前記配列の異なる塩基を、標的塩基配列の中程に含む範囲でもよいし、端付近に含む範囲てもよいし、端に含む範囲でもよいが、標的塩基配列の端以外の部分とすることが好ましい。端以外の部分とすることによって、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の解離温度の差が大きくなって、分析の信頼性が高くなる。
【0020】
[プローブ化合物]
プローブ化合物は、標的塩基配列に対して実質的に相補的な塩基配列を有するもの、即ち、標的塩基配列に相補的な塩基配列を有するか、あるいは、標的塩基配列に相補的な塩基配列に対して相対的に少数の配列が異なる塩基配列部分を有するものの標的塩基配列の大部分に相補的な塩基配列を有する化合物であれば任意である。[以下、「(標的塩基配列に)相補的」であることを「(標的塩基配列と)完全マッチ」であると表現する場合がある、また、「[標的塩基配列に相補的な塩基配列に対してN個(但しNは正の整数)の]塩基の配列が異なる」ことを「(標的塩基配列とN塩基の)ミスマッチを生じる」と表現する場合がある]このようなプローブ化合物は、ポリヌクレオチド(A)に対して、それ以外のポリヌクレオチドより強くハイブリダイゼーションする。プローブ化合物が、標的塩基配列に対してミスマッチを生じる場合には、該ミスマッチを生じる部分は、置換、挿入、欠失のいずれであってもよいが、置換であることが、該ミスマッチを導入する効果が発揮されるため好ましい。
【0021】
但し、プローブ化合物中の標的塩基配列とミスマッチを生じる部分は、ポリヌクレオチド(B)が標的塩基配列と異なる部分に対して相補的にならないことが必要である。その理由は、プローブ化合物が標的塩基配列に相補的な塩基配列を有する場合の、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)が逆転した場合に相当し、本発明のポリヌクレオチド(A)、ポリヌクレオチド(B)の定義に反するからである。例えば、ポリヌクレオチド(B)が、標的塩基配列中の或るグアニンがチミンに変異した塩基配列を有するとき、標的塩基配列に対してミスマッチとなる塩基が、前記チミンに相補的なアデニンであると、プローブ化合物は該部分でポリヌクレオチド(B)と相補的ポリヌクレオチド(A)とミスマッチになってしまう。
【0022】
但し、前記プローブ化合物と標的塩基配列のミスマッチが塩基の置換によるものである場合、該標的塩基配列にミスマッチを生じる塩基はポリヌクレオチド(B)と相補的でなければ、該部分であってもよい。例えば、標的塩基配列中の或るグアニンがチミンに変異したポリヌクレオチド(B)において、プローブ化合物の該変異部位に相対する部分をアデニンとシトシン以外の塩基、例えばグアニン、チミン、又はポリヌクレオチドを構成しない塩基にしてもよい。このようにすれば、上記のようなポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の定義に反する関係は生じず、本発明の方法によって分析可能である。
【0023】
また、ポリヌクレオチド(B)が標的塩基配列と異なる塩基の位置と種類が既知の場合、例えば一塩基多型における野生型と変異型であるような場合には、プローブ化合物は、前記標的塩基配列とミスマッチを生じる部位を、標的塩基配列の端以外の部分とする。端であってもよいが、本発明に於いては、説明の煩雑さを避けるため、塩基配列の端にある該ミスマッチを生じる部位を除いた部分を標的塩基配列とする。これ以外であれば、該ミスマッチを生じる部位は任意であり、ポリヌクレオチド(B)が標的塩基配列と異なる部位に隣接した塩基(1個目の塩基)であってもよいし、2個目の塩基、3個目の塩基、或いは更に離れた位置の塩基であってもよい。これらの中で、1〜4個目の塩基であることが好ましく、1又は2個目の塩基であることがさらに好ましい。この位置にすることによって、本発明の効果をより発揮できる。
【0024】
プローブ化合物が、前記標的塩基配列と2塩基のミスマッチを生じる場合にもミスマッチの生じる第1の塩基の位置は上記と同様である。ミスマッチを生じる第2の塩基の位置はポリヌクレオチド(B)が標的塩基配列と異なる部位から、若しくは、前記ミスマッチを生じる第1の塩基から、1〜4個目の塩基であることが好ましく、1又は2個目の塩基であることがさらに好ましい。この位置にすることによって、本発明の効果をより発揮することができる。特に、前記標的塩基配列とミスマッチを生じる2つの塩基を、ポリヌクレオチド(B)が標的塩基配列と異なる部位を含めて連続する位置が好ましく、ポリヌクレオチド(B)が標的塩基配列と異なる部位に隣接した両側とすることがさらに好ましい。これによって、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物のハイブリッドの融解温度(以下。「Tma」と称する。融解温度はハイブリッドの半量が解離する温度を言う)とポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物のハイブリッドの融解温度(以下、「Tmb」と称する)の差を大きくでき、分析の信頼性を増すことができる。前記標的塩基配列に対して3又は4塩基異なる塩基配列を有する場合にも、話は同様である。なかでも前記2塩基異なる場合を含む部分を有することが好ましい。
【0025】
プローブ化合物は、上述のように、標的塩基配列に対して少数のミスマッチを生じる塩基配列を有することが好ましい。該ミスマッチの数は標的塩基配列の長さに依存し、標的塩基配列の長さが長いほど多く設けることが好ましい。しかし、1〜5が好ましく、1〜4が更に好ましく、2〜3が最も好ましい。プローブ化合物が、標的塩基配列に対して少数のミスマッチを生じる塩基配列とすることにより、標的塩基配列の全長が同じとした場合には、プローブ化合物とのハイブリッドの融解温度が適度に低下し、例えば、溶在気体の気泡化が生じない程度に低下し、かつ、常温以下になるほど低下することなく、前記(1)の工程の温度調節が容易となり、前記(2)の工程を、常温から一度冷却した後昇温する必要がなくなる。一方、上記の不都合を避けるためにプローブ化合物の長さを伸ばす必要がなく、ハイブリッド形成に必要な時間が長くなったり、分析の信頼性が低下するなどの不都合が生じることがない。また、ミスマッチを生じる塩基の位置を上記のように好適に設計することによって、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の解離の温度差を拡大することが出来るため、分析の信頼性が増す。
【0026】
使用できるプローブ化合物としては、例えば、オリゴDNA、オリゴRNA、糖部分や燐酸基部分が修飾或いは置換されたオリゴDNAやオリゴRNA、その他の任意の化合物であり得る。このようなプローブ化合物は、合成可能であるし、また、マイクロアレイ用などとして市販されている。
【0027】
プローブ化合物は、標的塩基配列と上記ミスマッチを生じる部分を有する場合も有しない場合も、標的塩基配列部分の端より外側に、無関係な塩基配列部分を有していてよい。この場合には、標的塩基配部分と前記実質的に相補的な部分のみがハイブリダイゼーションに寄与する。プローブ化合物中の上記無関係な部分の長さは任意であるが、短いほど好ましく、ゼロ、即ち標的塩基配列部分のみとすることが、被検ポリヌクレオチドの未知の塩基配列部分が偶然ハイブリダイズする恐れがなく、分析の信頼性の向上面から好ましい。
【0028】
プローブ化合物が標的塩基配列と相補的な塩基配列である場合、標的塩基配列を20〜30塩基程度にすると温度対解離量の曲線は急峻となり、分析の精度と信頼性が向上する。しかしこの時、解離温度が高くなるため、溶液中での気泡の発生による検出ノイズが増加しがちとなり、また、使い捨て可能なプラスチック製のデバイスを使用すると、耐熱性不足のため測定中に変形し、検出精度が低下しがちである。一方、標的塩基配列の長さを例えば15塩基以下に短くすると、解離温度は低くなり、上述の不都合は回避されるが、温度対解離量の曲線が緩慢になり、分析の精度と信頼性が低下しがちとなる。そこで、有効なプローブ化合物の長さ、即ち、標的塩基配列を20〜30に保ち、少数の、好ましくは1〜4のミスマッチを生じる塩基配列を採用すると、解離温度が低下するにもかかわらず、温度対解離量の曲線の緩慢化の程度が小さいため、小数のミスマッチを生じる塩基配列とすることが好ましい。1塩基のミスマッチの導入による解離温度の低下は、標的塩基配列の長さ、ミスマッチの位置や塩基の種類、溶出液の塩濃度などにもよるが、通常3〜15℃である。
【0029】
プローブ化合物は、塩基配列でない部分を有していてもよい。例えば該プローブ化合物を固相合成する際に固相に固定するためのアミノ基などの官能基、塩基配列部分と前記固定用官能基の間のスペーサーとなるアルキレン基やポリエチレングリコール基、等を挙げることができる。
【0030】
本発明に用いるプローブ化合物は1本鎖プローブ化合物であっても、2本鎖プローブ化合物であっても良く、目的に応じて選択できるが、1本鎖プローブ化合物であることが好ましい。被検ポリヌクレオチドが二本鎖である場合には、互いに相補的な塩基配列を有するプローブ化合物の両者をそれぞれ独立した領域に固定することも好ましい。その場合、該両領域は、相互距離が拡散混合が十分に生じる距離、例えば100μm以下にすることが好ましい。
【0031】
[プローブ化合物の固定]
プローブ化合物が固定される固相表面は任意であり、板状の固相の表面、マイクロウェルの内面、溝状の流路の内面、毛細管状の流路の内面、電極の表面、電界効果トランジスタなどの電子素子の表面、磁性体の表面、多孔質体の細孔表面、粒子の表面などであり得る。これらの中でも、毛細管状の流路の内面であることが、微量の検体溶液で分析可能であり、また温度制御が容易で本発明の効果を発揮させ易いため好ましい。毛細管状の流路は、単なる毛細管でも良いが、マイクロ流体素子中に形成された流路であることが好ましい。ここでいうマイクロ流体素子は、マイクロ・フルイディック・デバイス、マイクロ・ファブリケイテッド・デバイス、ラブ・オン・チップ、又はマイクロ・トータル・アナリティカル・システム(μ−TAS)などとも呼ばれるものであり、流体を流入し流出するまでの経路内で、流体が温度変化をうける機構、濃度調整される機構、化学反応をうける機構、流動の流速、流動の分岐、混合若しくは分離などの制御をうける機構、又は電気的、光学的な測定をうける機構等を設けた毛細管状の流路を有するデバイスである。特に、本発明に使用する検体溶液を調製する機構、例えば、蛋白質変性用加熱機構、濾過などの試料前処理機構、濃度調節用希釈混合機構、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)反応槽、などが形成されたマイクロ流体素子であることがさらに好ましい。また、ポンプ機構が形成されたマイクロ流体素子であることも好ましい。マイクロ流体素子は板状の外形を有するものであると取り扱いが容易なため好ましい。
【0032】
プローブ化合物を固定した固相がマイクロ流体素子の流路の内表面である場合には、前記(1)の工程の時間短縮を目的として、前記検体溶液中のポリヌクレオチドと固定プローブ化合物との接触確率を増大させるため、プローブ化合物の固定部位はできるだけ流路径が小さいことが望ましい。一般に拡散による混合時間は流路径の2乗に比例するため、流路径の小さな流路では通過するポリヌクレオチドが流路壁に固定した固定プローブ化合物と接触する確率が高くなるからである。このためマイクロ流体素子の流路径は3〜200μmが好ましく、更に5〜100μmであることがより好ましい。流路径が3μmより小さいと圧力損失が大きくなり、流路に検体溶液を流すことが困難となる。一方、流路径が200μmを超えると、前記検体溶液中のポリヌクレオチドと固定プローブ化合物との接触が不十分となり、分析感度の低下や分析時間の増大をまねく。ただし、流路の断面形状に異方性がある場合、例えば楕円やスリット状の場合には、上記の流路径は短径を言うものとする。
【0033】
プローブ化合物が固定される固相表面は、また、多孔質体の細孔表面が好ましい。多孔質体とすることで表面積が増大し、見かけの面積あたりの固定量が増えて、検出感度が増加する。多孔質体は多孔質膜でもよいが、固体表面に固着して形成された薄い多孔質層であることが好ましい。多孔質層の厚みは1〜20μmが好ましく、2〜10μmが更に好ましい。固体表面に固着して形成することで、自立不能なほど薄い多孔質層が形成可能であり、多孔質層を薄くすることで、前記工程(2)においてプローブ化合物から脱離したポリヌクレオチドを速やかにプローブ化合物固定部位から除去することが出来るため、分析の迅速化が計れる。多孔質層は、流路の内面に形成されたものであることも好ましく、流路の1面に形成さえたものであることが、多孔質部位の光学的な観察が容易で好ましい。また、多数種のプローブ化合物を多数の独立した領域に固定することで、従来のDNAマイクロアレイ(DNAチップ)と同様に、多数並列測定を行うことができる。このとき、多孔質層を固体表面に固着して多数の互いに独立した多孔質領域として形成することにより、多数種のプローブ化合物を多数の独立した領域に固定することが容易となる。
【0034】
前記プローブ化合物を固定する固相が前記マイクロ流体素子の流路の内表面である場合は、複数種のプローブ化合物を流路の内表面の互いに独立した領域に固定することもでき、前記同様多数並列測定ができ好ましい。このとき、分析の目的によって、1つの流路中の複数の領域に独立にプローブ化合物を固定したり、並列に形成された複数の流路にそれぞれ別々にプローブ化合物を固定しても良い。1つの流路中の複数の領域に独立にプローブ化合物を固定することで、1つの検体溶液について多項目の塩基配列の分析が可能となる。一方、並列に形成された複数の流路にそれぞれ別々にプローブ化合物を固定することで、多数の検体溶液の同時測定が可能となり、また、前記固定部位より下流側の流路において脱離したポリヌクレオチドの濃度を測定することによって脱離量を知る方法を採ることが出来る。
【0035】
本発明に用いるプローブ化合物を固相表面に固定する方法は任意であるが、固定したプローブ化合物が最高温度に曝された場合であっても実質的に固相から脱離しないことが必要である。そのような固定方法としては、例えばビオチン−アビジンなどの蛋白質を介する結合や、共有結合による固定が挙げられるが、結合が強く固相からのプローブ化合物の脱離が起こりにくいことから共有結合による固定であることが好ましい。
【0036】
[(1)の工程]
前記(1)の工程は、プローブ化合物を固定している固相表面に、検体溶液を接触させ、該検体溶液に含有される被検ポリヌクレオチドをハイブリダイゼーションにより固定プローブ化合物に結合させる工程である。このとき、プローブ化合物を固定している固相表面は、後述の温度分布を設ける各位置について、実質的に同じ条件、例えば温度や接触時間を同条件で接触させ、後述の温度分布を設ける各位置の結合状態ができるだけ同じになるようにする。後述のように、違っていても補正可能であるが、再現性と信頼性を増すためには、できるだけ位置依存性が無く均一に結合させることが好ましい。
【0037】
また、本工程は、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)が共にハイブリッド結合する条件で実施すること、即ちこれらが非選択的にハイブリッド結合する条件で実施する。前記非選択的の程度は、前記(3)の工程に於いて、これらのポリヌクレオチドとプローブ化合物のハイブリッドの残存量が測定可能な程度に結合すればよいが、検体溶液中のポリヌクレオチド(A)がハイブリダイゼーションにより前記プローブ化合物に結合する量に対する、同じ濃度のポリヌクレオチド(B)がハイブリダイゼーションにより前記プローブ化合物に結合する量の比が好ましくは0.5〜2、さらに好ましくは0.7〜1.4、最も好ましくは0.8〜1.25である。
【0038】
このような条件は、検体溶液をプローブ化合物が固定された固相に接触させる条件を、比較的低温、短時間の条件とすることで実施できる。該接触温度は、前記検体溶液の凝固点以上で、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物のハイブリッドの融解温度(Tmb)以下であれば任意であるが、好ましくは、ポリヌクレオチド(B)が標的塩基配列と1塩基異なる塩基配列を有するものである場合には、(Tmb−30℃)〜(Tmb−3℃)の範囲、さらに好ましくは(Tmb−25℃)〜(Tmb−5℃)の範囲、最も好ましくは、(Tmb−20℃)〜(Tmb−7℃)の範囲である。ポリヌクレオチド(B)が標的塩基配列と2塩基以上異なる塩基配列を有するものである場合には、その和に応じて上記より低温とすることが好ましい。この接触温度が過度に低いと標的塩基配列以外の部分でのハイブリダイゼーションや、標的塩基配列の一部でのハイブリダイゼーションが生じて、分析の信頼性が低下し、過度に高いと、選択性が高くなり、ポリヌクレオチド(B)の結合量が低下する。なお、標的塩基配列が25塩基の場合、上記Tmbは通常60〜85℃である。上記Tmbは、本発明の(3)の工程における測定値から求めることが得きる。
【0039】
また、接触時間は任意であるが、ハイブリダイゼーションによる結合が平衡に達しない時間内の接触であることが好ましい。ハイブリダイゼーションによる結合が平衡に達しない条件とすることにより、本工程に要する時間を短縮できる上、プローブ化合物との結合の選択制が低下し、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の結合量の比が1に近くなる。
【0040】
一方、接触させる時間が過度に短いと、前記検体溶液中のポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションによる結合量が少なくなり、検出感度が低下する。最適な接触時間は、温度、緩衝液のイオン強度、固定プローブ化合物の長さ、被検ポリヌクレオチドの長さ、検体溶液中の被検ポリヌクレオチドの濃度、などにより異なるが、好ましくは、10秒〜3分、さらに好ましくは20秒〜2分、最も好ましくは30秒〜1分である。最適な条件は、後述の第3の工程においてプローブ化合物に結合したポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の量を測定することで決定できる。
【0041】
プローブ化合物を固定している固相表面に検体溶液を接触させる方法は任意であり、該プローブ化合物が固定した固相が例えば板状の固体表面である場合には、従来のDNAマイクロアレイ(DNAチップ)と同様の方法、例えば、検体溶液を該板状の固相表面に滴下し、カバーグラスを被せた状態で接触させる方法や、該プローブ化合物を固定した固相を該検体溶液に浸漬する方法が使用できる。該プローブ化合物を固定した固相が後述のように流路の内表面である場合には、該流路に検体溶液を流動させた状態、或いは滞留させた状態で接触させることが出来るが、流動させた状態が、接触時間を短縮できるため好ましい。
【0042】
前記検体溶液中のポリヌクレオチドが2本鎖ポリヌクレオチドである場合には、本(2)の工程に先立って、ポリヌクレオチド(A)対の融解温度(Tma)以上まで検体溶液を昇温することが好ましい、即ち、Tma以上まで検体溶液を昇温してから、上述のTma未満、検体溶液の凝固点以上に冷却して、固定プローブ化合物と接触させること、或いは、検体溶液を固定プローブ化合物と接触させた状態で、該Tma以上まで昇温し、Tma未満、検体溶液の凝固点以上に冷却して所定時間保持することが好ましい。
【0043】
また、工程(1)における、検体溶液と固定プローブ化合物との接触は、、分離カラム中にある体積をもって充填された担体に接触させる必要のあるアフィニティークロマトグラフィーとは異なり、検体溶液をプローブ化合物が固定された微小な表面に接触させるだけでよいため、少量の試料量でも精度良く分析が可能である。
【0044】
[(2)の工程]
次に、前記(2)の工程について説明する。本(2)の工程は、前記ハイブリッド形成部位に、ポリヌクレオチドを溶解させる液体を接触させた状態で、該部位に、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドの融解温度(Tma)、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とのハイブリッドの融解温度(Tmb)の少なくとも一方を範囲に含む温度分布を設け、該温度分布が設けられた前記ハイブリッド形成部位の少なくとも一部に於いて、前記ハイブリッドを解離させる工程である。
【0045】
前記ハイブリッド形成部位に接触させるポリヌクレオチドを溶解させる液体(以下。「接触液」と称する場合がある)は任意であり、検体溶液であってもよいし、ポリヌクレオチド(A)やポリヌクレオチド(B)を含有しない液体(以下「溶出液」と称する場合がある)であってもよく。検出方法に応じて公的の者を選択できる。前記溶出液は、緩衝液、純水、塩の水溶液、酸の水溶液、アルカリの水溶液、ホルムアミドやN,N−ジメチルスルホキシドなどの有機溶剤及びその水溶液、等であり得る。
【0046】
検出方法が、例えば導電性のインターカレーターを用いる電気的な方法である場合には、前記ポリヌクレオチドを溶解させる液体として検体溶液を用いることが出来る。また、検出方法に関わりなく、解離したポリヌクレオチドを電気泳動により、結合部位から移動させて除去する場合には、電気伝導性の液体であれば任意であり、検体溶液であっても溶出液であってもよい。蛍光などの光学的な検出方法を用い、解離したポリヌクレオチドを流動させた接触液により結合部位から除去する場合には、前記接触液は、前記溶出液であること以外は任意であるが、分析の再現性向上の点から、緩衝液が好ましい。溶出液は、ポリヌクレオチドの溶解度が不足すれば分析に長時間を要するし、溶解度が過剰に高ければ測定精度が低下する。本発明の前記(1)の工程で使用したポリヌクレオチド溶液の溶媒と同じ組成であることも好ましい。
【0047】
前記(3)の工程における検出方法がハイブリッド形成部位の光学的測定である場合には、解離したポリヌクレオチドをハイブリッド形成部位から他の部分へ移動させ、該ハイブリッド形成部位に残留するポリヌクレオチドの結合量を観察する。その手段として、例えば電気泳動による解離したポリヌクレオチドの接触液中の移動、溶出液の流動による解離したポリヌクレオチドの洗浄除去があり得る。
【0048】
前記電気泳動による場合には、例えば、プローブ化合物を固定する固相として流路内面を使用し、流路方向に電圧を印可する方法で実施できる。前記ハイブリッド形成部位に溶出液を流動させる場合には、その方法は任意であり、例えば、溶出液の一定速度での流動、溶出液の該部位上での往復流動、溶出液の間欠的な流動、溶出液やそのミストの吹きつけ、溶出液中での固定部の揺動等であり得る。溶出液の流速は任意である。これらの操作に他の洗浄手段、例えば超音波や振動の賦与、多数の気泡の移動などを併用しても良い。
【0049】
本(2)の工程においては、前記ポリヌクレオチドを溶解する液体中に於けるポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドの融解温度(Tma)、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とのハイブリッドの融解温度(Tmb)の少なくとも一方を範囲に含む温度分布を設け、該温度分布が設けられた前記ハイブリッド形成部位の少なくとも一部に於いて、前記ハイブリッドを解離させる。即ち、解離が生じる最低温度(以下、解離が生じる最低温度を「解離温度」と称する)を超える温度となった部位ではハイブリッドが解離し、結合していたポリヌクレオチドが前記接触液に溶出する。温度の高い部分ほど、高速で解離し、しかも、解離量が多くなる。それを利用して、温度分布の各位置におけるハイブリッドの残存量を測定することで、検体溶液中のポリヌクレオチド(A)の有無、ポリヌクレオチド(B)の有無、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の量的関係を判定することが出来、また、被検ポリヌクレオチドが標的塩基配列とどの程度異なる塩基配列を有するかを判定することが出来る。
【0050】
前記温度分布は、Tmaを範囲に含むことで、検体溶液がポリヌクレオチド(A)を含むか否かを判定でき、Tmbを範囲に含むことで、検体溶液がポリヌクレオチド(B)を含むか否かを判定できる。前記温度分布は、TmaとTmbの両方を含むことが、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の両方を判定できるため、好ましく、前記温度分布は、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とのハイブリッドの解離が生じる最低温度と、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドのほぼ全量が解離する温度の両方を含むことがさらに好ましい。また、被検ポリヌクレオチドが標的塩基配列とどの程度異なる塩基配列を有するかを判定する場合には、目的とするポリヌクレオチドとプローブ化合物とのハイブリッドの融解温度を含むようにする。例えば、被検ポリヌクレオチドが標的塩基配列と異なる塩基数が1塩基であるか、2塩基であるか、それとも3塩基であるかを判定する場合には、これら、1、2、3塩基異なるポリヌクレオチドとプローブ化合物とのハイブリッドの融解温度を含むようにする。従って、前記温度分布の温度差は好ましくは5℃以上、さらに好ましくは10℃以上。最も好ましくは15℃以上である。前記温度分布の温度差の上限は、不要な範囲を含むほど広くても、それほど大きなデメリットはない。
【0051】
前記温度分布の下限は前記接触液の氷結温度以上であれば特に制約はないが、前記(1)の工程のハイブリッド形成温度以上であることが、無駄な温度領域を作らないため好ましく、前記(1)の工程のハイブリッド形成温度であることが、温度制御が単純となるため好ましい。前記温度分布の上限も、前記接触液の沸点以下であれば特に限定する必要はないが、プローブ化合物を固定した基板やマイクロ流体素子が耐熱嬰の低いプラスチック製である場合には、不要に高くしないことが好ましい。
【0052】
前記(1)の工程の後に、本(2)の工程の温度分布を形成するために要する時間は任意であるが、分析の迅速化の点から速いことが好ましく、好ましくは30秒以下、さらに好ましくは20秒以下、最も好ましくは10秒以下である。該時間の下限は短いことそれ自体による不都合はないため、下限を設ける必要はないが、例えばレーザー加熱などによれば0.001秒も可能である。本工程に於いて、解離したポリヌクレオチドを移動させる場合には、前記温度分布が所定の温度に到達する前に該移動を開始してもよいし、所定の前記温度になった後に移動を開始してもよい。また、前記温度分布は分析終了まで一定であることが、測定の再現性と測定精度の点から好ましい。該温度分布は、ハイブリッド形成部位に温度の異なる複数の領域を設けても、連続した温度勾配をもたせてもよい。
【0053】
前記温度分布が、前記温度の異なる複数の領域によって形成されている場合、該領域の数は特に限定されるものではないが、下限は2以上であり、3以上が好ましく4以上が最も好ましい。上限は任意であるが20以下が好ましく、15以下がより好ましく、10以下が最も好ましい。数が多いほど、温度分解能は向上するが、温調する際に使用する装置が複雑となる傾向にある。また、前記領域は、温度順に並べられた階段状の温度分布であることが、温度調節や測定が容易であり、かつ、各温度領域の間が勾配を持っても問題がないため好ましい。また、ハイブリッド形成部位に温度の異なる複数の領域を設けることは、固相表面に温度勾配をもたせた場合に比べて、位置と温度の関係が明確となって温度測定誤差が減少し、同じ温度での残存量の比較を正確に行える点で好ましい。
【0054】
前記温度分布は、前記温度の異なる複数の領域の各温度が連続的にかつ滑らかにつながった温度勾配を有するものであることも好ましい。温度勾配の温度対位置の曲線は任意であり、直線、曲線、波打ちなどであって良いが、直線に近いことが好ましい。温度勾配は、前述の異なる複数の温度領域を設ける方法に比べて、温度が連続しているため、最適な温度、すなわち、ポリヌクレオチド(A)やポリヌクレオチド(B)など残存量の変化が最も大きくなる温度が抜けることが無く、また、温度範囲を十分広くとれば、プローブ化合物とポリヌクレオチドのどのような組み合わせに対しても最適な温度が存在するため好ましい。
【0055】
前記温度分布は、前記解離したポリヌクレオチドを移動させて除去する場合には、該移動の上流側から下流側に向かって順に温度が高くなる分布を有していることが好ましい。例えば、前記移動方向に順に高くなる階段状、又は該方向に高くなる温度勾配であることが好ましい。このようにすることによって、脱離したポリヌクレオチドが下流部分で固定プローブ化合物に再結合することがないため、測定精度が向上する。
【0056】
このような温度分布を形成する方法は任意であり、例えば、前記(1)の工程で温度調節するために使用した温調機構、例えばヒートブロックの温度を制御条件を変えて変化させ、温度分布を形成してもよいし、それとは別の、温度分布がすでに形成されたヒートブロックに交換して接触又は近接させてもよい。又例えば、レーザーや赤外線などの輻射による方法、流動液体や流動気体による方法であっても良い。
【0057】
なお、本発明において、溶出液を一定速度で流動させて解離したポリヌクレオチドを除去する場合、解離したポリヌクレオチドの大部分は溶出液の溶液となって、溶出液の流動速度と同じ速度で移動する。この点で、溶出したポリヌクレオチドが隣接する担体に対し再結合、脱離を順次繰り返し、溶出液の流速より遅い速度でカラム内を移動するアフィニティークロマトグラフィーとは異なる。同様に、本発明において、電気泳動によって解離したポリヌクレオチドを移動させる場合、解離したポリヌクレオチドの大部分は、隣接する固定プローブ化合物と接触することなく前記接触液中を移動する。この点で、ポリヌクレオチドが隣接する固定プローブと再結合、脱離を順次繰り返しながら移動するアフィニティーゲル電気泳動とは異なる。
【0058】
[(3)の工程]
次に、前記(3)の工程について説明する。本(3)の工程は、前記固定プローブ化合物に結合しているポリヌクレオチドの、上記温度分布内の複数の位置における残存量(即ち、ハイブリッドの残存量)を測定する工程である。
【0059】
残存量の測定は、前記温度分布を有するハイブリッド形成部位の複数の温度位置を観測して、該部位に結合しているポリヌクレオチドの結合量を測定するものであればその測定方法は任意である。例えば、前記被検ポリヌクレオチドとして蛍光標識したポリヌクレオチドを使用し、蛍光を測定する方法、色素や着色粒子で標識した被検ポリヌクレオチドを使用し、着色や吸光度を測定する方法、蛍光インターカレーターを添加し、蛍光を測定する方法、前記ハイブリッド形成部位の各温度位置に設けられた電極間の電位差や抵抗を測定する方法、電界効果トランジスタ上にプローブ化合物を固定し出力電圧を測定する方法、ELISA法、即ち、酵素で標識した被検ポリヌクレオチドを使用し、基質との反応生成物濃度を、着色、吸光度、蛍光、電気伝導度、過酸化水素濃度、酸素濃度、水素イオン濃度などにより測定する方法、などを挙げることができる。これらの中で、ハイブリッド形成部位の蛍光測定であることが、測定感度、測定精度共に高く好ましい。
【0060】
上記残存量の測定は、前記ハイブリッド形成位置に於いて測定するものであり、前記温度分布内の複数の位置における値を同時に測定してもよいし、例えば走査することにより順次測定してもよい。また、前記(2)の工程で温度分布を形成した後、一定時間後の値を測定しても良いし、温度分布の形成中、或いは温度分布を形成した後、任意の時間間隔で任意の回数測定しても良いし、温度分布の形成中、或いは温度分布を形成した後、連続的にその変化を測定しても良く、後述の判定論理に好適な方法を採ることができる。
【0061】
残存量は、前記(2)の工程開始時の結合量(残存量の初期値)で除して正規化してもよい。これにより、ハイブリッド形成率の測定毎の違いやプローブ化合物固定位置によるハイブリッド形成量のムラを補正できる。以下、このように正規化した残存量も単に残存量と称する。
【0062】
なお、本発明における(3)の工程は、上記のように、ハイブリッドを形成させた部位において測定するものである。例えば蛍光強度測定の場合には、ハイブリッド形成部位を観察して測定するものである。これに対して、公知技術のアフィニティークロマトグラフィーやアフィニティー電気泳動は、最初にハイブリッド形成させた位置とは異なる下流側の特定位置において、移動してきたポリヌクレオチドの量(濃度)を測定するものであり、本発明の検出方法は、これらアフィニティー電気泳動やアフィニティークロマトグラフィーの検出方法とは異なる。
【0063】
前記残存量の測定結果から、被検ポリヌクレオチド中の、標的塩基配列を有するポリヌクレオチド(A)の有無や量、前記標的塩基配列を有さないポリヌクレオチド(B)の有無や量、および前記ポリヌクレオチド(B)中の前記標的塩基配列との違いから選ばれる1種以上を判定する。ポリヌクレオチド(A)やポリヌクレオチド(B)の「量」とは、濃度や存在量の比であることを含む。「前記標的塩基配列との違い」とは、前記標的塩基配列と異なる塩基数、前記標的塩基配列と異なる塩基の位置、前記標的塩基配列と異なる塩基の種類であり得るが、前記標的塩基配列と異なる塩基数であることが、判定の信頼性が高い上、有用である。
【0064】
前記検体溶液中に含有されるポリヌクレオチドを判定する論理は、プローブ化合物との相補性の低い塩基配列を有するポリヌクレオチドほど、低温位置で解離すること、また、同じ温度では高速で解離することを利用する。勿論、解析論理は任意であり、種々の変化形があり得る。
【0065】
なお、ポリヌクレオチドの判定に当たって、残存量をそのまま用いる代わりに減少量や減少速度として用いることも好ましい。減少量は、前記(2)の工程開始時の結合量(残存量の初期値)と任意の時間における残存量との差として得られるし、減少速度は、時間対該減少量のグラフの勾配として得られる。これらの減少量や減少速度も又、前記残存量の初期値で除して正規化することも好ましい。以下、このように正規化したや減少量や減少速度も単に減少量や減少速度と称する。残存量をそのまま用いる代わりに減少量や減少速度を用いて判定することにより、固相に対する被検ポリヌクレオチドの非特異的吸着の影響を排除し、精度の高い判定が可能となる。
【0066】
前記減少量の測定値から、検体溶液中のポリヌクレオチドを判定する論理としては、例えば次の例を挙げることができる。
(i)減少量の位置依存性(検量線法):例えば、ハイブリッド形成部位に温度勾配を設け、該温度勾配中の位置(温度)対減少量の分布曲線を、前記(2)の工程の開始から一定時間後に測定し、必要に応じて初期値で除して正規化し、横軸に位置(温度)、縦軸に減少量を取った、減少量の位置(温度)依存性のグラフを作成する。該曲線がTma付近で勾配が急となる形状を示せば、即ちTma付近で前記曲線の微分曲線がピークを示せば、検体溶液中にポリヌクレオチド(A)が存在すると判定できる。同様に、Tmb付近で勾配が急であれば、ポリヌクレオチド(B)が存在すると判定できる。さらに、Tmbより低い温度で勾配が急であれば、上記Tmbを示すポリヌクレオチド(B)よりミスマッチの多い塩基配列のポリヌクレオチドが存在すると判定できる。これらが同時に検体溶液中に存在すれば、前記位置対減少量の曲線は階段状を示し、その段の高さ或いは微分曲線のピーク面積から、それぞれのポリヌクレオチドの存在量を知ることが出来る。標的塩基配列に対して、例えば0、1、2、3、4個異なる配列を有するポリヌクレオチドの検量線をそれぞれ作成しておけば、検体溶液に含有されるポリヌクレオチド中の、標的塩基配列に対して異なる塩基の数を判定できる。また、標的塩基配列に対して同じ数の塩基が異なる場合でも、その異なる位置や塩基の種類に応じて微妙にTmbが異なるため、正確な測定を行えば、これらを判定することも可能な場合がある。
【0067】
(ii)減少量の位置依存性(比較法):例えば野生型と変異型等、互いに一塩基のみ異なる塩基配列を有するプローブ化合物を各々異なる領域に別々に固定し、同じ検体溶液を両固定領域に接触させる方法で前記(1)の工程を行った後、前記各固定領域における減少量の位置依存性を相互に比較して分析する方法である。即ち、高温側のピークが標的塩基配列と相補性の高いポリヌクレオチドである。この方法においては、一方の領域の特定温度部で微分曲線にピークがあれば他方の領域にはなく、一方に無ければ他方の領域にあるから、ノイズも影響や、測定条件の測定毎の変動の影響などを除去して確実に判定できる。この方法は検量線を作成する必要がないため、未知の塩基配列の判定にも適用できる。
【0068】
(iii)減少量の時間依存性:例えば、前記(2)の工程において、急速な温度変化でもって、ハイブリッド形成部位を2以上の温度部分を有する温度分布を設け、該複数の位置(温度)のそれぞれにおける残存量の時間変化を間欠的に又は連続的に測定し、減少量を得る。該減少量を必要に応じて初期値で除して正規化し、各測定点ごとに、横軸に時間、縦軸に減少量を取った、減少量の時間依存性のグラフを作成し、前記プローブ化合物固定部位の温度変化に遅れて追従する脱離量の変化の、遅れ時間を比較する。Tma付近の測定点における該曲線の勾配と、Tmb付近の測定点において該曲線の勾配とを、それぞれ検量線と比較することで、ポリヌクレオチド(A)、ポリヌクレオチド(B)のそれぞれの存在の有無が判定できる。即ち、Tma付近の位置において勾配が急であり、かつ、Tmb付近の位置において勾配が前記勾配より緩やかであれば、検体溶液中にポリヌクレオチド(B)が存在すると判定できる。また、Tma付近の位置において緩やかな勾配で減少し、かつ、Tmb付近の位置においてほとんど減少しなければば、検体溶液中にポリヌクレオチド(A)のみが存在すると判定できる。両測定位置で、上記より勾配が急であれば、上記Tmbを示すポリヌクレオチド(B)より標的塩基配列と異なる塩基数がより多い塩基配列のポリヌクレオチドであると判定できる。
【0069】
本発明は、このように、温度分布を形成し、残存量の位置依存性を測定することにより、種々の異なるポリヌクレオチド(A)やポリヌクレオチド(B)を分析する場合に、各ポリヌクレオチド毎に温度条件などの分析条件を個別に設定する必要が無くなり、同一の温度分布条件で種々のポリヌクレオチドを測定することが出来る。また、前記(2)の工程に代わる工程として、特定の1点を徐々に昇温してハイブリッドを解離させ、残存両体時間の曲線から判定する方法に比べて測定時間が短縮できる。
【0070】
本発明のポリヌクレオチドの分析方法は、種々の用途目的に使用できる。例えば、農林水産業などに於ける種の改良などを目的とした、DNAやRNAの塩基配列と機能の関係の解明のための使用や、感染症の原因微生物の分析、疾患に掛かりやすい遺伝的因子の保有の分析、患者の薬物感受性の分析、ガンであるか否かあるいはその種類の分析、生体移植の適合性の分析などの医療用途での使用や、同一人判定、親子判定、男女判定などの法務鑑定での使用、生物学的あるいは考古学的研究での使用、農作物において特定種であるか否か又はあるいは遺伝子組み換え作物であるか否かの分析などを挙げることができる。
【0071】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例の範囲に限定されるものではない。
【0072】
[マイクロ流体素子の製造例]
本発明に使用するマイクロ流体素子の製造例を示す。
〔紫外線ランプ2による照射〕
250W高圧水銀ランプを光源とするウシオ電機株式会社製のマルチライト250Wシリーズ露光装置用光源ユニットを用い、365nmにおける紫外線強度が50mW/cmの紫外線を、特に指定が無い限り室温、窒素雰囲気中で照射した。
【0073】
〔蛍光強度測定方法〕
ライカ株式会社製の共焦点レーザー顕微鏡TCS−NTを用いて測定した。測定条件はPMT感度520V、ピンホール1.00とした。
【0074】
〔エネルギー線硬化性組成物(i)の調製〕
平均分子量2000の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー(大日本インキ化学工業株式会社製の「ユニディックV−4263」)72質量部、ジシクロペンタニルジアクリレート(日本化薬株式会社製の「R−684」)18質量部、メタクリル酸グリシジル(和光純薬工業株式会社製)10質量部、デカン酸メチル(和光純薬工業株式会社製)を150質量部、揮発性の良溶剤としてアセトンを10質量部、紫外線重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製の「イルガキュア184」)3質量部を、均一に混合して組成物(i)を調製した。
【0075】
〔エネルギー線硬化性組成物(ii)の調製〕
活性エネルギー線架橋重合性化合物として、「ユニディックV−4263」を80質量部、及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(第一工業製薬株式会社製の「ニューフロンティアHDDA」)を20質量部、光重合開始剤として「イルガキュア184」を5質量部を均一に混合して組成物(ii)を調製した。
【0076】
〔エネルギー線硬化性組成物(iii)の調製
活性エネルギー線架橋重合性化合物として、「ユニディックV−4263」を60部、「ニューフロンティアHDDA」40部、光重合開始剤として「イルガキュア184」5部、及び重合遅延剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(関東化学株式会社製)0.5部を均一に混合して組成物(iii)を調製した。
【0077】
〔マイクロ流体素子の作製〕
<塗膜層2の形成>
基材1としてポリアクリレート(三菱レイヨン社製の「アクリライトL 000番」)製の板を用い、これにスピンコーターを用いて組成物(ii)を塗布し、紫外線ランプ1により紫外線を3秒照射して、厚み約80μmの樹脂層2を形成した。
【0078】
<多孔質層3の形成>
この樹脂層2の上に、スピンコーターを用いて組成物(i)を塗布し、紫外線ランプ1により紫外線を40秒間照射した後、n−ヘキサンでデカン酸メチルを洗浄除去してアルミ約5μmの多孔質層3を形成した。
【0079】
<プローブ化合物固定部の形成>
上記多孔質層3の上に、スピンコーターを用いて組成物(iii)を塗布し、該組成物(iii)の一部を多孔質層3に染みこませ、の氷を該層3の上の塗膜4とした。フォトマスク(図示せず)を通して、プローブ化合物固定部3aとなる部分以外の前記塗膜4に紫外線照射を120秒間行って照射部の該塗膜4を硬化させ、非照射部分の未硬化の前記組成物(iii)をエタノールで除去して、面の一部に多孔質で形成された、長さ30mmのプローブ化合物固定部3aが露出した、厚み約80μmの樹脂層4を樹脂層2上に形成した。
【0080】
<流路の形成>
上記樹脂層4の上に、スピンコーターを用いて組成物(iii)を塗工し、該組成物(iii)の塗膜5を形成し、フォトマスク(図示せず)を通して紫外線照射を120秒間行い前記組成物(iii)の塗膜5を硬化させて厚み約80μmの樹脂層5とし、非照射部分の未硬化の前記組成物(iii)をエタノールで除去して、樹脂層4とプローブ化合物固定部3aを底面に持つ、流路10となる溝10を形成した。
【0081】
<プローブ化合物導入のための前処理>
上記で作製した溝10を有する部材を、10%ポリアリルアミン溶液(日東紡製のPAA−10C)を純水にて希釈し得られる5質量%ポリアリルアミン水溶液に浸漬して、概要液をプローブ化合物固定部3a中に染みこませ、50℃にて2時間保持して、ポリアリルアミン中の一部のアミノ基をプローブ化合物固定部3aのエポキシ基と反応させた。その後、流水で30分間洗浄することによって余剰のポリアリルアミンを除去して、プローブ化合物固定部3aへアミノ基を導入した。
【0082】
次いで、上記溝10を有する部材を5質量%グルタルアルデヒド溶液[和光純薬工業製の25%グルタルアルデヒド溶液を和光純薬工業製リン酸緩衝液にて5倍希釈しtもの]中に入れ、50℃、2時間反応させ、プローブ化合物固定部3aに導入されたほぼ全てのアミノ基を、該グルタルアルデヒド中の片方のアルデヒド基と反応させた後、流水で5分洗浄して、プローブ化合物固定部3aへアルデヒド基を導入した。
【0083】
<プローブ化合物の固定>
5’末端に炭素数6のアルキレン基を介してアミノ基修飾した(以下、「5’末端アミノ基修飾)と称する)25塩基標的塩基配列(表1参照)に相補的なDNA鎖、及び、5’末端アミノ基修飾を有せず、25塩基標的塩基配列と同じ塩基配列のDNA鎖(いずれも、エスペックオリゴサービス株式会社製)を等量混合し、DNAの2本鎖を形成させ、該DNA3本鎖を50μM含むプローブ化合物溶液を10μL調製した。
【0084】
前記にてアルデヒド基を導入したプローブ化合物固定部3aを底面の一部にもつ溝10に、プローブ化合物溶液を5μL滴下して、湿度100%、50℃にて15時間反応させ、DNAの末端アミノ基をプローブ化合物固定部3aの多孔質層のアルデヒド基と反応させた後、0.2質量%のテトラヒドロ硼酸ナトリウム水溶液中で5分間還元反応させ、次いで、0.2×SSC/0.1%SDS溶液でリンスし、次に、0.2×SSCでリンスし、該プローブ化合物固定部植板3aへのプローブ化合物を導入した。
【0085】
次いで、上記部材全体を、0.1XTBE緩衝液(和光純薬工業製の10XTBEの100倍希釈液)中に入れ、95℃にて5分間煮沸しプローブ化合物固定部3aに導入されたDNAの2本鎖から標的塩基配列を持つ対立鎖を解離除去し、前記標的塩基配列に相補的なDNA鎖のみをプローブ化合物として、プローブ化合物固定部3aに固定した。
【0086】
<上板の固着>
組成物(ii)を、一時的な支持体である7.5cm×2.5cm×30μmのポリプロピレンフィルム(二村化学工業社製の「二軸延伸ポリプロピレンフィルム「太閤」FOR 30番」、図示せず))のコロナ放電処理された面上に、バーコーターを用いて塗工した。該組成物(ii)の塗膜5に、紫外線ランプ1により紫外線を3秒照射して半硬化させ、上記樹脂層4の上に張り合わせ、紫外線ランプ1により、紫外線を40秒間照射して完全に硬化させた後、該一時的な支持体を剥離して該塗膜5を樹脂層4に固着された樹脂層5となすと共に、溝10を流路10とした。
【0087】
<開口部の形成>
樹脂層5上に組成物(i)を塗布して塗膜6を形成し、さらにその上に上板7として、基材1と同じポリアクリレート製の7.5cm×2.5cm×1mmの板を張り合わせ、紫外線を窒素雰囲気中にて塗膜6全面に40秒間照射し、塗膜6を硬化させて厚み約80μmの樹脂層6にすると共に、上板7を樹脂層5に接着した。
【0088】
次いで、上板7、樹脂層6、及び樹脂層5に、それぞれ流路10に通じる直径1mmの穴を、ドリルを使用して流路の両末端に形成し、さらにこれら2つの穴にそれぞれ内径3mm、高さ5mmのポリ塩化ビニル管を接着して開口部11、12とした。
以上方法により、マイクロ流体素子を作製した。
【0089】
〔温度計測用マイクロ流体素子モデルの作製〕
また、上記流路10に熱電対を封入したこと以外は上記マイクロ流体素子と同様の温度計測用マイクロ流体素子モデルを作製した。
【0090】
[ヒートブロックH1の製造例]
〔ブロック本体B1の作製〕
厚さ0.1mmのアルミニウム(熱伝導率237W・m−1・K−1、化学便覧、丸善、1975年より)製の箔にアクリル系透明塗料をスプレー塗工し、乾燥することによって、厚み約0.5μmの塗膜を形成した。この塗装済みアルミ箔を、重合開始剤のパーブチルオー0.5質量%を添加したメチルメタクリレートから成る重合性組成物に浸漬して、ポリエチレン製のバットの底に積層して貼り付け、190層積層した後、上面に約30kgの重りを乗せ、その状態で45℃恒温炉中に15時間静置して前記重合性組成物Fを重合硬化させ、前記アルミ箔とポリメチルメタクリレート(熱伝導率0.15W・m−1・K−1、化学便覧、丸善、1975年より)とが交互に積層した、厚み約20mmの硬化物を得た。
【0091】
得られた硬化物から一辺20mmの立方体を切り出してブロック本体部材B1とした。なお、本ブロック本体B1の方向を表示するために、該ブロック本体B1に固定されたxyz直交座標を考え、x軸方向を前記アルミ箔の面に直角な方向に採ることにする。本ブロック本体部材B1は、x軸方向の熱伝導率が約2.96W・m−1・K−1、y軸方向とz軸方向の熱伝導率が共に約225W・m−1・K−1であると計算された(参考資料;「新版化学機械の理論と計算」、亀井三郎編、産業図書(株)、1959年)。
【0092】
〔ヒートブロックH1の作製〕
図3に示したように、ブロック本体B1のx軸に直角な端面の一つに、20mm×20mm×厚さ3mmのアルミニウム製の伝熱板20を接着し、その外側に、板状の電気ヒーター21を接着した。また、前記ブロック本体B1の上記の面に対向する面にアルミニウム製のフィン型放熱部材22を接着し、該フィン型放熱部材22のフィンの一つに電気ヒーター23を接着した。さらに、上記伝熱板20のy軸に垂直な20mm×3mmの面の一つの中央部に直径1.1mm、深さ15mmのドリル穴を開け、直径1mmのシース型の熱伝対24を挿入して接着した。また、上記フィン型放熱部材20にも同様にしてシース型の熱伝対25を装着した。上記の接着は全てセラミック系の接着剤、スミセラムS−10A(朝日化学工業製)を用いた。
【0093】
〔温度分布試験〕
以上のようにして作製したヒートブロックH1を室温20℃で、ファンにて弱い気流をフィン型放熱部材22に当てながら、フィン型放熱部材22の温度を51℃、伝熱板2を102℃に温度調節した。
【0094】
フェノール樹脂コートの木製机上に厚さ3mmのポリメチルメタクリレート板を置き、その上に設置した温度計測用マイクロ流体素子モデルの上にヒートブロックH1当接させて配置した。ヒートブロックH1に当接するマイクロ流体素子の各部の温度を測定する代わりに、ヒートブロックH1を、x軸方向に移動させて、温度計測用マイクロ流体素子モデルの熱電対(図示せず)にて温度測定する方法によって温度分布を計測したところ、温度計測用マイクロ流体素子モデルの、ヒートブロックH1の51℃調節端に当接した部位が50℃、102℃調節端に当接した部位が95℃であり、その間はほぼ直線状の温度勾配が形成されていた。
【0095】
また、温度計測用マイクロ流体素子モデルに後述のヒートブロックH2を乗せて、温度計測用マイクロ流体素子モデルの熱電対部分を50℃に調節した後、該熱電対部位にヒートブロックH1の102℃部分が当接するようにして、ヒートブロックH1に交換したところ、該部委は、約10秒で90℃に達した。
[ヒートブロックH2の製造例]
〔ヒートブロックH2の作製〕
ブロック本体として一辺20mmのアルミニウム製の立方体を使用したこと以外は、ヒートブロックH1の製造例と同様にして、ヒートブロックH2を作製した。
〔温度分布試験〕
ヒートブロックH2の両側のヒーター、を共に53℃に調節し、ヒートブロックH1と同様にして温度分布試験を行ったところ、温度測定用マイクロ流体素子モデルの、ヒートブロックH2のブロック本体に接する部分全体が50℃であった。
【0096】
[実施例1]
〔被検ポリヌクレオチド、検体溶液の調製〕
5’末端がFITC(蛍光色素)にて修飾された、標的塩基配列(3’−CAAgCTCCAgTAgCAgAgCTAgAgC−5’)を持つ25塩基のDNA鎖[ポリヌクレオチド(A)、被検ポリヌクレオチド]500μMと、5’末端がFITCにて修飾されておらず、標的塩基配列に相補的な配列を持つ25塩基のDNA鎖500μMとをそれぞれ1μLずつ、10×TBE溶液を5μL、さらに滅菌水を93μL加え、検体溶液(1−1)とした。
他方、3’側から13番目のCをT、gをAに変えたこと以外は同様にしてポリヌクレオチド(B)とその相補鎖を作製し、上記と同様にして被検溶液(1−2)を調製した。
【0097】
〔分析1−1〕
<(1)の工程>
エッペンドルフチューブ(図示せず)中で95℃にて3分間保持した検体溶液(1−1)を、マイクロピペット(図示せず)にて10μL取り、ヒートブロックH2(図示せず)上で全体を50℃に温度調節したマイクロ流体素子の開口部11に注入したところ、該溶液は流路に入り込み、プローブ化合物固定部3a全体に接触した。その状態で、該温度に2分保った。
【0098】
<(2)の工程>
シリンジポンプ(図示せず)を開口部11に接続し、50℃で蒸留水(溶出液)を3μL/分の流速で5分間流路に流して検体溶液を開口部12から押し出し、かつ、流路及びプローブ化合物固定部3aを洗浄した。次いで、ヒートブロックH2をヒートブロックH2に交換し、流路方向に50〜95℃の範囲の温度勾配を生じさせ、引き続きシリンジポンプ(図示せず)で50℃側から前記溶出液を同速度で流し続けた。
【0099】
<(3)の工程>
ヒートブロックH1に交換する直前(初期値の測定)、及び交換して3分後(測定値の測定)に、ライカ株式会社製の共焦点レーザー顕微鏡TCS−NTを用い、マイクロ流体素子の上面から、流路のプローブ化合物固定部3aにおける蛍光強度を測定した。蛍光強度の測定は、流路方向に走査し、プローブ化合物固定部3a内の位置対蛍光強度の曲線を得た。得られた測定値線は、各位置における初期値で除して正規化した。
その結果、位置を横軸、蛍光強度を縦軸とした曲線は、89℃の位置で50℃の位置の約1/2に低下し、かつ、勾配が最も急になった。この曲線を微分すると、89℃にピークを持つ曲線となった(表1)。
このことから、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物のハイブリッドの融解温度Tmaは約89℃であることが分かる。
【0100】
〔分析1−2〕
検体溶液として検体溶液(1−2)を用いたこと以外は分析1−1と同様の分析を行ったところ、蛍光の半減温度が約85℃であること以外は同様の結果を得た(表1)。
即ち、1塩基だけ配列の違うポリヌクレオチド(B)は半減温度が約4℃低下し、明確な差として測定された。
また。50℃に維持された最低温部おける蛍光強度は、分析1−1の強度の0.9倍であった。このことから、ポリヌクレオチド(B)は分析1−1におけるポリヌクレオチド(A)とほぼ同量プローブ化合物とハイブリッド形成しており、前記(1)の工程は、及び/又はポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)に関して非選択的なハイブリッド形成条件であることがわかる。
【0101】
〔分析1−3〕
検体溶液として検体溶液(1−1)と検体溶液(1−2)の1:1混合液を用いたこと以外は分析1−1と同様の分析を行ったところ、蛍光は85℃で傾きが大になり、約87℃で、50℃の約1/2の強度となって、かつ曲線の傾きが一旦小さくなり、89℃で又大になる2段の階段状の曲線を示した。この曲線を微分すると、85℃と89℃にピークを持つ曲線となった(表1)。
このことから、検体溶液にはポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の両者がほぼ等量含まれることが判定できる。
【0102】
[実施例2]
プローブ化合物をして、3’側から12番目のT(標的塩基配列の12番目のAに相補的な塩基)をGに変えたものを用いたこと、及び工程(1)のハイブリッド形成温度と工程(2)の温度勾配の最低温度を共に45℃としたこと、以外は、実施例1と同様の分析を行った。被検ポリヌクレオチドとしてプローブ化合物(A)を用いた分析2−1、プローブ化合物(B)を用いた分析2−2、プローブ化合物(A)とポリヌクレオチド(B)の等量混合物を用いた分析2−3について、結果を表1に示した。
Tma、Tmbが共に実施邸1より低下し、しかも、Tma、Tmbの差が7℃に拡大していることがわかる。
【0103】
[実施例3]
プローブ化合物として、3’側から12番目のT(標的塩基配列の12番目のAに相補的な塩基)をGに、かつ、3’側から14番目のG(標的塩基配列の14番目のCに相補的な塩基)をAに変えたものを用いたこと、及び工程(1)のハイブリッド形成温度と工程(2)の温度勾配の最低温度を共にを40℃としたこと以外は、実施例1と同様の分析を行った。被検ポリヌクレオチドとしてポリヌクレオチド(A)を用いた分析3−1、ポリヌクレオチド(B)を用いた分析3−2、ポリヌクレオチド(A)とポリヌクレオチド(B)の等量混合物を用いた分析3−3について、結果を表1に示した。
Tma、Tmbが共に実施例2より低下し、しかも、Tma、Tmbの差が14℃に拡大していることがわかる。
【0104】
【表1】
Figure 2004121226
【0105】
【発明の効果】
本発明のポリヌクレオチドの分析方法は、標準とする塩基配列に対する一塩基の配列の違いを、短時間に、かつ高い信頼性で検出することができ、特に一塩基のみ異なる塩基配列を好適に分析することができる。また、プローブ化合物の塩基配列を、検出すべき一塩基配列が異なる部位以外の部分において、標準塩基配列と0〜4のミスマッチを生じるような塩基配列とすれば、高い精度と信頼性を維持しながら、分析に必要な最高温度を低下させることが出来るため、使い捨て可能なプラスチック製のマイクロ流体デバイスとして耐熱性の低い素材が使用できる。
【0106】
さらに本発明の方法によると、検体溶液を微小な領域の固定プローブ化合物に接触させるため、少量の試料量でも精度良く分析が可能である。また、複数のプローブ化合物を固定した複数の微小な領域を近接して設けることにより、多種類のポリヌクレオチドを同時に分析するような場合にも、試料量が過大になることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に使用したマイクロ流体素子の模式図であり、(a)は平面模式図であり、(b)は側面模式図である。
【図2】図1中のI−I線に沿う断面模式図である。
【図3】製造例で作製したヒートブロックの見取り図である。
【符号の説明】
1 基材
2、4、5、6 塗膜、樹脂層
3 多孔質層
3a プローブ化合物湖底部
7 上板
10 溝、流路
11、12 開口部
B1 ブロック本体
20 伝熱板
21、23 ヒーター
22 フィン型放熱部材
24、25 熱電対

Claims (8)

  1. 一種以上の被検ポリヌクレオチドを含有する検体溶液中の、標的塩基配列を有するポリヌクレオチド(A)の有無や量、前記標的塩基配列を有さないポリヌクレオチド(B)の有無や量、および前記ポリヌクレオチド(B)中の前記標的塩基配列との違いから選ばれる1種以上を判定するポリヌクレオチドの分析方法であって、
    (1)前記標的塩基配列と実質的に相補的な塩基配列を有するプローブ化合物が固定された固相に、前記検体溶液を前記ポリヌクレオチド(A)と前記ポリヌクレオチド(B)の両者が非選択的に前記プローブ化合物とハイブリダイゼーションにより結合する条件で接触させ、該検体溶液中に含有される被検ポリヌクレオチドと前記固定されたプローブ化合物とをハイブリッド形成させる工程、
    (2)前記ハイブリッド形成部位に、ポリヌクレオチドを溶解させる液体を接触させた状態で、該部位に、ポリヌクレオチド(A)とプローブ化合物とのハイブリッドの融解温度(Tma)、ポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物とのハイブリッドの融解温度(Tmb)の少なくとも一方を範囲に含む温度分布を設け、該温度分布が設けられた前記ハイブリッド形成部位の少なくとも一部に於いて、前記ハイブリッドを解離させる工程、
    (3)前記(2)の工程において、ハイブリッド形成部位における、上記温度分布内の複数の位置での前記ハイブリッドの残存量を測定する工程、
    を有することを特徴とするポリヌクレオチドの分析方法。
  2. 前記(1)の工程における、検体溶液とポリヌクレオチド(B)またはその誘導体との接触が、前記ハイブリッド形成が平衡に達しない時間内の接触である請求項1に記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  3. 前記ポリヌクレオチド(B)が、標的塩基配列とはある一塩基が異なる塩基配列を有するポリヌクレオチドである請求項1に記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  4. 前記ポリヌクレオチド(A)と前記ポリヌクレオチド(B)の両者が非選択的に前記プローブ化合物とハイブリダイゼーションにより結合する条件が、(Tmb−30℃)〜(Tmb−3℃)(但し、Tmbはポリヌクレオチド(B)とプローブ化合物のハイブリッドの融解温度を表す。)の温度条件である請求項3に記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  5. 前記プローブ化合物が固定された固相が、毛細管状の流路の内壁である請求項1に記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  6. 前記プローブ化合物が固定された固相が、固体表面に形成された多孔質層の細孔表面である請求項1に記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  7. 前記(2)の工程に於いて、前記ハイブリッド形成部位から解離したポリヌクレオチドを、電気泳動により該ハイブリッド形成部位から除去する請求項1に記載のポリヌクレオチドの分析方法。
  8. 前記プローブ化合物が、標的塩基配列と完全に相補的な塩基配列とは、前記ある一塩基と対を成す塩基以外の塩基が1〜4塩基異なるプローブ化合物である請求項3に記載のポリヌクレオチドの分析方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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