JP2004190512A - エンジンに付属する負荷の駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンの始動時にタイマがタイマ動作を行っている間だけ負荷に通電するようにした負荷の駆動装置において、タイマ動作が行われている間にキースイッチが始動位置に切り換えられたときにも負荷の駆動を正常に行わせること。
【解決手段】タイマコンデンサC1の両端に電流制限用抵抗R10を通して接続されて、オン状態にあるときにタイマコンデンサC1の充電電流の一部を該タイマコンデンサから側路するタイマ動作時間延長用スイッチ7Aと、キースイッチ3の可動接点3aが始動接点3dに切り換えられている間タイマ動作時間延長用スイッチ7Aに駆動信号を与えてタイマ動作時間延長用スイッチ7Aをオン状態に保持するタイマ動作時間延長用スイッチ駆動回路7Bとを設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】タイマコンデンサC1の両端に電流制限用抵抗R10を通して接続されて、オン状態にあるときにタイマコンデンサC1の充電電流の一部を該タイマコンデンサから側路するタイマ動作時間延長用スイッチ7Aと、キースイッチ3の可動接点3aが始動接点3dに切り換えられている間タイマ動作時間延長用スイッチ7Aに駆動信号を与えてタイマ動作時間延長用スイッチ7Aをオン状態に保持するタイマ動作時間延長用スイッチ駆動回路7Bとを設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンに付属する電装品負荷の内、エンジンの始動時に一定時間だけ駆動される負荷の駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンは、始動時に一定の時間だけ駆動される負荷を備えていることがある。この種の負荷は、始動時に一定時間駆動した際に、その動作を完了させることが必要とされることが多い。
【0003】
エンジンの始動時に一定時間だけ駆動される負荷としては、例えば、ディーゼルエンジンへの燃料の供給を制御する燃料供給制御用バルブを駆動する、燃料供給制御用ソレノイドがある。
【0004】
燃料噴射ポンプを用いて燃料を供給するディーゼルエンジンにおいては、燃料タンクから燃料噴射ポンプに燃料を供給する燃料供給経路の途中に、燃料供給制御用ソレノイドによりオンオフ制御される燃料供給制御用バルブを設けて、エンジンの運転時には該バルブを開くことにより燃料噴射ポンプによる燃料の供給を可能とし、エンジンを停止する際に該バルブを閉じることにより燃料噴射ポンプによる燃料の供給を停止させるようにしている。エンジンの始動を可能とし、始動したエンジンの運転を支障なく行わせるためには、燃料供給制御用ソレノイドを一定時間の間駆動した際に、燃料供給制御用バルブを確実に開状態にする必要がある。
【0005】
燃料供給制御用ソレノイドを駆動する駆動装置は、例えば特許文献1に示されている。図5は、特許文献1に示された駆動装置の全体的な構成を示したもので、同図において、1は燃料供給制御用ソレノイド(負荷)、2は負極端子が接地されたバッテリ、3はキースイッチ、4はタイマ、5はバッテリ2とソレノイド1との間に設けられた負荷駆動用スイッチ、6はエンジンを始動するスタータである。
【0006】
燃料供給制御用ソレノイド1は、燃料の供給を制御する(オンオフする)バルブを開く際に励磁されるプル(PULL)コイル1aと、エンジンの運転中バルブを開状態に保持するために励磁状態に保持されるホールド(HOLD)コイル1bとからなっている。
【0007】
キースイッチ3は、図示しないキーにより操作される可動接点3aと、固定接点であるオフ接点3b、オン接点(ON接点)3c及び始動接点(ST接点)3dとを有する公知のスイッチで、このキースイッチの可動接点3aは、図示しないキーにより操作されて、オフ接点3bのみに接触した状態になるオフ位置と、オフ接点3bから離れてオン接点3cのみに接触した状態になるオン位置と、オン接点3cに接触した状態を保ちつつ始動接点3dに接触した状態になる始動位置とに切り換えられる。可動接点のオフ位置はエンジン停止時の位置であり、オン位置はエンジン運転中の位置である。また可動接点の始動位置は、エンジンを始動する際の位置である。
【0008】
キースイッチの可動接点3aはバッテリ2の正極端子に接続され、始動接点3dはスタータ6に接続されている。またオン接点3cはタイマユニット4に接続されるとともに、図示しない電装品に電源電圧を供給する電源ラインに接続されている。
【0009】
スタータ6は、エンジン始動用電動機やこの電動機の駆動電流をオンオフする電磁接触子等を備えた公知のもので、キースイッチの可動接点3aが始動接点3dに接触させられて、バッテリ2から可動接点3a及び始動接点3dを通して駆動電流が与えられたときに始動用電動機を回転させてエンジンを始動させる。
【0010】
負荷駆動用スイッチ5は、ソレノイド(エンジンに付属する負荷)1とバッテリ2との間に設けられて、オン状態にされたときにバッテリの電圧を負荷に印加するスイッチで、図示の例では、この負荷駆動用スイッチとして、励磁コイルRYと、常開接点Ryaとを有するリレーが用いられている。励磁コイルRYはタイマ4の出力端子間に接続され、接点Ryaはバッテリ2の正極端子とプルコイル1aの一端との間に接続されている。
【0011】
プルコイル1aの他端は、ホールドコイル1bの一端とともに接地され、ホールドコイル1bの他端はキースイッチ3のオン接点3cに接続されている。
【0012】
タイマ4は、キースイッチ3の可動接点3aがオフ位置からオン位置に切り換えられてバッテリ2の電圧が印加されたときにタイマ動作を開始して設定された動作時間の間タイマ動作を行い、タイマ動作を行っている間負荷駆動用スイッチ5を構成するリレーの励磁コイルRYに駆動信号を印加する。タイマ4が駆動信号を出力している間、励磁コイルRYが励磁され、接点Ryaがオン状態になる。
【0013】
図6(A)ないし(E)は図5に示した負荷駆動装置の動作を示したタイミングチャートである。エンジンを始動するため、時刻t1 において、キースイッチ3の可動接点をオン位置に切り換えると、タイマ4がタイマ動作を開始して、励磁コイルRYを励磁するため、リレー接点Ryaがオン状態になる。これによりソレノイドのプルコイル1aが励磁される。また時刻t1 でキースイッチ3の可動接点がオン位置に切り換えられることにより、ソレノイドのホールドコイル1bが励磁される。タイマ4は、設定された動作時間T1 の間タイマ動作を行い、時刻t2 において動作時間T1 が経過したときにタイマ動作を終了して励磁コイルRYを非励磁にする。これによりリレーの接点Ryaがオフ状態になり、プルコイル1aが非励磁状態にされる。プルコイル1aが励磁されている間に図示しない燃料供給制御用のバルブが開く。ソレノイドのホールドコイル1bは、キースイッチの可動接点3aがオフ位置に切り換えられるまで励磁状態に保持され、ホールドコイル1bが励磁されている間燃料供給制御用バルブが開状態に保持されて、エンジンへの燃料の供給が許容される。
【0014】
時刻t2 でタイマ動作が終了した後、時刻t3 でキースイッチの可動接点3aが始動位置に切り換えられると、スタータ6に通電されて、エンジンが始動させられる。エンジンが始動した後、時刻t4 でキースイッチの可動接点をオン位置に戻すと、スターターへの通電が停止する。
【0015】
図7は、特許文献1に一実施例として記載された負荷駆動装置の要部の構成を示したものであり、図8は、図7に示した負荷駆動装置の通常の動作を示すタイミングチャートである。
【0016】
図7に示した負荷駆動装置においては、図8(A)に示すように、時刻t1 において、キースイッチ3の可動接点3aがオン位置に切り換えられたとき(オン接点3cに接触させられたとき)に、バッテリ2からキースイッチを通してソレノイド1のホールドコイル1bに電流が流れる。
【0017】
またキースイッチの可動接点がオン位置に切り換えられると、バッテリ2の電圧がダイオードD1と抵抗R1とを通してツェナーダイオードZD1の両端に印加され、該ツェナーダイオードZD1の両端の一定の電圧で、抵抗R2を通して、タイマコンデンサC1が一定の時定数で充電される。これにより、タイマコンデンサC1の両端の電圧Vc1は、図8(B)に示すように一定の傾きで上昇していく。
【0018】
タイマコンデンサC1の両端の電圧Vc1は、比較器CP1の反転入力端子に入力される。比較器CP1の非反転入力端子には、ツェナーダイオードZD1の両端の一定の電圧を抵抗R3 及びR4 からなる分圧回路により分圧して得た基準電圧Vr が入力されている。
【0019】
キースイッチをオン位置に切り換えた後一定の時間が経過するまでの間は、タイマコンデンサの両端の電圧Vc1が基準電圧Vr よりも低いため、比較器CP1の出力端子の電位は、図8(C)に示すようにハイレベル(Hレベル)になっている。このとき基準電圧Vr は、第1の値Vr1を示す。タイマコンデンサC1の両端の電圧Vc1が基準電圧Vr よりも低く、比較器CP1の出力端子の電位がハイレベルになっている間、トランジスタQ1がオン状態に保持されるため、バッテリ2からキースイッチ3と励磁コイルRYとトランジスタQ1のコレクタエミッタ間とを通して電流が流れる。これにより、リレーの接点Ryaがオン状態になり、バッテリ2から接点Ryaを通してソレノイドのプルコイル1aに電流が流れる。そのため、図示しない燃料供給制御用のバルブが開き、燃料噴射ポンプに燃料が供給されるようになる。
【0020】
時刻t1 でキースイッチの可動接点をオン位置に切り換えた後、時刻t2 において一定の時間T1 が経過したときに、タイマコンデンサC1の両端の電圧Vc1が基準電圧Vr(=Vr1)に達し、図8(C)に示すように比較器CP1の出力端子の電位がローレベル(Lレベル)になる。これにより、トランジスタQ1がオフ状態になるため、図8(D)に示すように、リレー接点Ryaがオフ状態になり、プルコイル1aへの通電が停止される。従ってプルコイルへの通電は一定の時間T1 に制限される。タイマの動作時間T1は、負荷の駆動を完了するために必要な時間(上記の例では、燃料供給制御用バルブを閉位置から開位置に変位させるために必要な時間)に設定される。
【0021】
時刻t2 で比較器CP1 の出力がローレベルになると、比較器CP1の出力の電位の変化が抵抗R5 を通して該比較器の非反転入力端子にフィードバックされるため、図8(B)に示したように、基準電圧Vr の値は第1の値Vr1よりも小さい第2の値Vr2に変化する。これにより、エンジンの運転中に生じる電源電圧の変動により比較器CP1の出力がハイレベルに反転して、プルコイルに再通電されるのが防止される。
【0022】
図8(A)に示すように、時刻t1 でキースイッチ3の可動接点をオン位置に切り換えた後、時刻t3 で時間TA(>T1 )が経過したときに、キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられると、スタータ(図7には図示せず。)に通電されてエンジンの始動操作が行われる。
【0023】
【特許文献1】
特開平8−61116号公報(図4)
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に示されたように、キースイッチをオフ状態からオン状態にした時にタイマコンデンサを充電するタイマ動作を開始するタイマ回路を設けて、このタイマ回路がタイマ動作を行なっている一定時間の間だけソレノイドに通電するように構成された負荷駆動装置において、図8に示したように、キースイッチの可動接点3aをオン位置に切り換えた後、該可動接点を始動位置に切り換えるまでの時間TA が、タイマの動作時間T1 よりも長い場合には、上記の説明から明らかなように、タイマの動作時間T1 の間プルコイル1aへの通電を支障なく行わせてバルブを開状態にすることができる。
【0025】
ところが、特許文献1に示された構成では、キースイッチの可動接点3aをオン位置に切り換えた後、該可動接点を始動位置に切り換えるまでの時間TA が、タイマの動作時間T1 よりも短い場合に、以下に示すように、スタータへの通電により生じるバッテリ電圧の落ち込みによりソレノイドのプルコイルに供給される電流が減少し、タイマ4がタイマ動作を行っている間にバルブを開くことができなくなるおそれがあった。
【0026】
図9は、図7に示すように構成された負荷駆動装置において、キースイッチの可動接点3aをオン位置に切り換えた後、該可動接点を始動位置に切り換えるまでの時間TA が、タイマの動作時間T1 よりも短かった場合の動作を示すタイミングチャートである。図9において、(A)はキースイッチの状態の変化を示し、(B)はバッテリ電圧EB の変化を示している。また(C)はリレーの接点Ryaの状態の変化を示し、(D)はソレノイドのプルコイル1aに流れる電流を示している。
【0027】
図9の時刻t1 において、キースイッチ3の可動接点がオン位置に切り換えられると、タイマ4がタイマ動作を開始し、トランジスタQ1がオン状態になってバッテリ2から励磁コイルRYに電流が流れる。タイマ4がタイマ動作を行っている時間T1内の時刻t2 ’でキースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられると、バッテリ2からキースイッチを通してスタータに大きな突入電流が流れるため、バッテリ電圧VB(図9B参照)が大きく落ち込む。このときタイマ4は所定の動作時間T1の間タイマ動作を行うが、バッテリ電圧の落ち込みが激しいため、ソレノイドのプルコイル及びホールドコイルに流れる電流は大幅に減少し、ソレノイドの吸引力が低下する。その結果、バルブの開位置への変位速度が低下し、タイマがタイマ動作を行っている時間内に燃料供給制御用バルブを開状態にすることができなくなる。そのため、バルブが閉状態のままで、または完全に開かないままの状態でタイマ4のタイマ動作が終了してプルコイルへの通電が停止されることがある。タイマ動作が終了した時点でバルブが閉状態または閉状態に近い状態にある場合には、燃料噴射ポンプに燃料が供給されないため、エンジンを始動させることができない。またタイマ動作が終了した時点でバルブの開き方が不完全である場合には、燃料噴射ポンプに供給される燃料が不足するため、仮にエンジンを始動させることができたとしても、その後エンジンの運転をまともに行うことができない。
【0028】
上記のように、エンジンの始動時に燃料供給制御用ソレノイドの励磁不足により、バルブを正常に開くことができず、エンジンの始動に失敗した場合、キースイッチ3の可動接点を一旦オフ位置に戻してから再度オン位置及び始動位置へと切り換えるようにすれば、ソレノイドのプルコイルを正常に励磁して燃料供給制御用バルブを開き、エンジンを始動させることができる。
【0029】
しかしながら、多くのユーザーは、エンジンの始動に失敗した後、再始動を試みる際に、キースイッチの可動接点をオン位置までしか戻さずに、オン位置から始動位置に再度切り換えることにより始動操作を行おうとするため、タイマ動作を再開させてバルブを開くことができず、エンジンの始動に何回も失敗するという不具合が生じる。
【0030】
上記のような現象は、大電流通電時のバッテリ電圧の低下が激しい、低温環境下で特に起こりやすい。
【0031】
上記の説明では、エンジンの始動時に一定時間駆動する負荷として、ディーゼル機関の燃料噴射ポンプへの燃料の供給を制御するバルブを駆動するソレノイドを例にとったが、他の負荷を駆動する場合にも、特許文献1に示されたような構成をとった場合には、キースイッチの可動接点をオン位置から始動位置に切り換えるタイミングが早過ぎた場合に、その負荷の駆動を正常に行うことができなくなるという問題が生じる。
【0032】
本発明の目的は、エンジンの始動時にタイマがタイマ動作を行っている間だけ負荷に通電するようにした負荷の駆動装置において、キースイッチの可動接点をオン位置に切り換えてから始動位置に切り換えるまでの時間がタイマの正規の動作時間よりも短い場合でも、負荷の駆動を正常に行わせることができるようにすることにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジン停止時の位置であるオフ位置とエンジン運転時の位置であるオン位置とエンジン始動時に始動用電動機に通電する際の位置である始動位置とに可動接点が切り換えられるキースイッチと、キースイッチの可動接点がオフ位置からオン位置に切り換えられたときにタイマ動作を開始して設定された動作時間の間タイマ動作を行うタイマと、エンジンに付属する負荷とバッテリとの間に設けられてタイマがタイマ動作を行っている間オン状態になる負荷駆動用スイッチとを備えて、タイマがタイマ動作を行っている間に負荷の動作を完了させるようにした負荷の駆動装置を対象とする。
【0034】
本発明においては、前記の目的を達成するため、タイマがタイマ動作を行っている間にキースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたことを検出したときにタイマの動作時間を正規の動作時間よりも延長するタイマ動作時間延長手段を設けた。
【0035】
なおタイマの正規の動作時間とは、タイマ動作時間延長手段が働かない場合のタイマの動作時間(タイマがタイマ動作を行う時間)で、正規の動作時間は、負荷の電源電圧が定格範囲にあるときに、負荷の動作を完了させるために必要な時間に設定される。負荷で無用の電力が消費されるのを防ぐため、タイマの正規の動作時間は、電源電圧が底角範囲にあるときに負荷の動作を完了させるために必要最小限の時間に設定するのが好ましい。
【0036】
上記のように、タイマがタイマ動作を行っている間にキースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたことを検出したときにタイマがタイマ動作を行う時間を延長するタイマ動作時間延長回路を設けると、キースイッチの可動接点がオン位置に切り換えられた後、タイマがタイマ動作を行っている間に(負荷の駆動が完了する前に)キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたときに、タイマの動作時間を延長することができる。従って、バッテリの電圧が落ち込んで負荷の駆動電流が減少したとしても、負荷の駆動時間を延長することができるため、タイマがタイマ動作を行っている間に負荷の駆動を完了させることができる。
【0037】
上記タイマは、通常、キースイッチの可動接点がオン位置にあるとき及び始動位置にあるときにタイマコンデンサを一定の時定数で充電するタイマ動作を行って、該タイマコンデンサの両端の電圧が設定値以上になったときにタイマ動作を終了するように構成される。
【0038】
タイマがこのように構成される場合、上記タイマ動作時間延長手段は、タイマコンデンサの両端に電流制限用抵抗を通して接続されて、オン状態にあるときにタイマコンデンサの充電電流の一部を該タイマコンデンサから側路するタイマ動作時間延長用スイッチと、キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられている間タイマ動作時間延長用スイッチに駆動信号を与えて該タイマ動作時間延長用スイッチをオン状態に保持するタイマ動作時間延長用スイッチ駆動回路とを備えた構成とすることができる。
【0039】
またタイマコンデンサの充電電流を制限する電流制限用抵抗の一部に対して並列に接続されて、オン状態にあるときに該電流制限用抵抗の一部を短絡する短絡用スイッチと、キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたときにタイマコンデンサの充電が完了するまでの間短絡用スイッチをオン状態に保持し、キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられている間短絡用スイッチをオフ状態に保持するように短絡用スイッチを制御する短絡用スイッチ制御回路とにより上記タイマ動作時間延長手段を構成することもできる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0041】
図1は本発明の実施形態の構成を概略的に示したもので、この例で駆動する負荷は、図7に示した例と同様に、ディーゼルエンジンを始動する際に開かれる燃料供給制御用バルブを駆動する燃料供給制御用ソレノイドである。
【0042】
図1において1は燃料供給制御用ソレノイド、2は負極端子が接地されたバッテリ、3はキースイッチ、4はタイマ、5はバッテリ2とソレノイド1との間に設けられた負荷駆動用スイッチ、6はエンジンを始動するスタータである。
【0043】
燃料供給制御用ソレノイド1は、燃料の供給を制御する(オンオフする)バルブを開く際に励磁されるプル(PULL)コイル1aと、エンジンの運転中バルブを開状態に保持するために励磁状態に保持されるホールド(HOLD)コイル1bとからなっている。
【0044】
キースイッチ3は、図示しないキーにより操作される可動接点3aと、固定接点であるオフ接点3b、オン接点(ON接点)3c及び始動接点(ST接点)3dとを有するスイッチである。キースイッチの可動接点3aは、図示しないキーにより操作されて、オフ接点3bのみに接触した状態になるオフ位置と、オフ接点3bから離れてオン接点3cのみに接触した状態になるオン位置と、オン接点3cに接触した状態を保ちつつ始動接点3dに接触した状態になる始動位置とに切り換えられる。可動接点のオフ位置はエンジン停止時の位置であり、オン位置はエンジン運転中の位置である。また可動接点の始動位置は、エンジンを始動する際の位置である。このキースイッチには、始動位置に変位させられた可動接点3aをオン位置に復帰させるように付勢する復帰バネが設けられていて、可動接点を始動位置に切り換えてエンジンを始動させた後、キーから手を離すと、可動接点3aが始動位置からオン位置に自動的に復帰するようになっている。
【0045】
キースイッチの可動接点3aはバッテリ2の正極端子に接続され、始動接点3dはスタータ6に接続されている。またオン接点3cはタイマユニット4に接続されるとともに、図示しない電装品に電源電圧を供給する電源ラインに接続されている。
【0046】
スタータ6は、エンジン始動用電動機やこの電動機の駆動電流をオンオフする電磁接触子等を備えた公知のもので、キースイッチの可動接点3aが始動接点3dに接触させられて、バッテリ2から可動接点3a及び始動接点3dを通して駆動電流が与えられたときに始動用電動機を回転させてエンジンを始動させる。
【0047】
負荷駆動用スイッチ5は、ソレノイド1のプルコイル1a(エンジンに付属する負荷)とバッテリ2との間に設けられて、オン状態にされたときにバッテリの電圧をプルコイルに印加するスイッチで、本実施形態では、この負荷駆動用スイッチとして、励磁コイルRYと、常開接点Ryaとを有するリレーが用いられていて、接点Ryaの一端及び他端がそれぞれキースイッチのオン接点3c及びプルコイル1aの一端に接続されている。プルコイル1aの他端はホールドコイル1bの一端とともに接地され、ホールドコイル1bの他端はキースイッチのオン接点3cに接続されている。
【0048】
タイマ4は、タイマコンデンサC1を一定の時定数で充電することによりタイマ動作を行わせるもので、タイマコンデンサC1の一端は接地されている。キースイッチ3のオン接点3cと接地間に、ダイオードD1と抵抗R1とを通して、アノードを接地側に向けたツェナーダイオードZD1が接続され、ツェナーダイオードZD1の両端に抵抗R2を通してタイマコンデンサC1が接続されている。
【0049】
またツェナーダイオードZD1の両端に、抵抗R3とR4との直列回路からなる分圧回路が接続され、この分圧回路の抵抗R4の両端に得られる基準電圧Vrが、比較器CP1の非反転入力端子に入力されている。比較器CP1の反転入力端子には、タイマコンデンサC1の両端の電圧Vc1が入力されている。比較器CP1の出力端子と非反転入力端子との間に帰還抵抗R5が接続され、ツェナーダイオードZD1のカソードと比較器CP1の出力端子との間にプルアップ抵抗R6が接続されている。
【0050】
比較器CP1の出力端子はまたエミッタが接地されたNPNトランジスタQ1のベースに接続され、該トランジスタのコレクタにリレーの励磁コイルRYの一端が接続されている。リレーの励磁コイルRYの他端はダイオードD1のカソードに接続され、トランジスタQ1がオン状態になったときにバッテリ1からキースイッチ3とダイオードD1とトランジスタQ1のコレクタエミッタ間とを通して励磁コイルRYに励磁電流が流れるようになっている。また励磁コイルRYの両端には、カソードを励磁コイルRYの一端側に向けたツェナーダイオードZD2と、アノードをツェナーダイオードZD2のアノード側に向けたダイオードD2との直列回路が並列に接続され、抵抗R2の両端にはアノードをタイマコンデンサ側に向けたダイオードD3が接続されている。ダイオードD2とツェナーダイオードZD2との直列回路は、励磁コイルRYの励磁電流を遮断した際に該励磁コイルに誘起する高い電圧を吸収するために設けられている。またダイオードD3は、タイマコンデンサの放電回路を構成するために設けられている。
【0051】
図示の例では、タイマコンデンサC1と、抵抗R1ないしR6と、比較器CP1と、ツェナーダイオードZD1及びZD2と、ダイオードD1ないしD3と、トランジスタQ1とによりタイマ4が構成されている。
【0052】
以上の構成は、特許文献1に示されたものと同様であるが、本発明においては更に、タイマ4がタイマ動作を行っている間にキースイッチ3の可動接点3aが始動位置に切り換えられたことを検出したときにタイマ4がタイマの動作時間を正規の動作時間よりも延長するタイマ動作時間延長手段7が設けられている。
【0053】
図示のタイマ動作時間延長手段7は、タイマコンデンサC1の両端に電流制限用抵抗R7を通して接続されて、オン状態にあるときにタイマコンデンサC1の充電電流の一部を該タイマコンデンサから側路するタイマ動作時間延長用スイッチ7Aと、キースイッチ3の可動接点3aが始動位置に切り換えられている(始動接点3dに接触している)間タイマ動作時間延長用スイッチ7Aに駆動信号を与えて該タイマ動作時間延長用スイッチをオン状態に保持するタイマ動作時間延長用スイッチ駆動回路7Bとにより構成される。
【0054】
図示の例では、エミッタが接地されたNPNトランジスタQ2のコレクタが抵抗R7を通してタイマコンデンサC1の非接地側端子に接続され、トランジスタQ2のベースエミッタ間には抵抗R8が接続されている。トランジスタQ2のベースは抵抗R9と、アノードを抵抗R9側に向けたツェナーダイオードZD3と、カソードをツェナーダイオードZD3側に向けたダイオードD4との直列回路を通してキースイッチの始動接点3dに接続されている。
【0055】
この例では、トランジスタQ3により、タイマ動作時間延長用スイッチ7Aが構成され、ダイオードD4と、ツェナーダイオードZD3と抵抗R9とにより、タイマ動作時間延長用スイッチ駆動回路7Bが構成されている。
【0056】
なおツェナーダイオードZD3は、ノイズによりトランジスタQ2がオン状態になるのを防ぐために設けられており、そのツェナー電圧は、バッテリ2の電圧に比べて十分に低く設定されている。
【0057】
本実施形態の動作を図2及び図3のタイミングチャートを参照して説明する。図2(A)はキースイッチの状態を示し、図2(B)は、タイマコンデンサの両端の電圧Vc1及び基準電圧Vrの波形を示している。また図2(C)は比較器の出力を示し、図2(D)は、リレー接点Ryaの状態を示している。また図3(A)は、図2(A)と同様にキースイッチの状態を示し、図3(B)は、バッテリ電圧EBを示している。更に図3(C)はリレー接点Ryaの状態の変化を示し、図3(D)は、ソレノイドのプルコイルを流れる電流の変化を示している。
【0058】
図1に示した負荷の駆動装置においては、図2(A)に示すように、時刻t1 において、キースイッチ3の可動接点3aがオン位置に切り換えられたときに、バッテリ2からキースイッチ3を通してソレノイド1のホールドコイル1bに電流が流れる。またこのときバッテリ2の電圧がダイオードD1と抵抗R1とを通してツェナーダイオードZD1の両端に印加され、該ツェナーダイオードZD1の両端の一定の電圧で、抵抗R2を通して、タイマコンデンサC1が一定の時定数で充電される。これにより、タイマコンデンサC1の両端の電圧Vc1は、図2(B)に示すように一定の傾きで上昇していく。
【0059】
キースイッチの可動接点をオン位置に切り換えた後、タイマの正規の動作時間T1が経過する前の時刻t2 でキースイッチの可動接点3aが始動位置に切り換えられたとする。キースイッチの可動接点3aが始動位置に切り換えられると、バッテリ2の電圧がキースイッチ3を通してタイマ動作時間延長用スイッチ駆動回路7Bに印加され、ツェナーダイオードZD3がオン状態になるため、バッテリ2からキースイッチ3とダイオードD4とツエナーダイオードZD3と抵抗R9とを通してトランジスタQ2にベース電流が流れ、該トランジスタQ2(タイマ動作時間延長用スイッチ7A)がオン状態になる。トランジスタQ2がオン状態になると、タイマコンデンサC1の充電電流の一部が抵抗R7とトランジスタQ2のコレクタエミッタ間とを通してタイマコンデンサC1から側路されるため、タイマコンデンサC1の充電電流が減少し、図2(B)に示すように、タイマコンデンサC1の両端の電圧Vc1の上昇の傾きが緩くなる。
【0060】
なお図2(B)においてVc1’は、タイマ動作時間延長用スイッチ7Aが設けられていない場合のタイマコンデンサC1の両端の電圧である。タイマ動作時間延長用スイッチ7Aが設けられていない場合には、時刻t3 で電圧Vc1’が基準電圧Vr(=Vr1)に等しくなったときに比較器CP1の出力端子の電位がLレベルに変化してタイマ動作が終了する。このときタイマの動作時間は、正規の動作時間T1となる。
【0061】
これに対し、本発明のように、タイマ動作時間延長用スイッチ7Aが設けられていて、キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたときに、タイマ動作時間延長用スイッチ7Aがオン状態にされると、タイマコンデンサC1の両端の電圧の上昇の傾きが小さくなるため、タイマコンデンサC1の両端の電圧が基準電圧Vrに達してタイマ動作が終了する時刻はt4 となり、タイマの動作時間は、正規の動作時間T1よりも長いT2に延長される。
【0062】
時刻t4 でタイマ動作が終了し、比較器CP1の出力端子の電位がローレベルになると、負荷駆動用スイッチを構成するトランジスタQ1がオフ状態になり、リレーの励磁コイルRYへの通電が停止する。これにより接点Ryaがオフ状態になり、ソレノイド1のプルコイル1aへの通電が停止する。
【0063】
時刻t4 で比較器CP1 の出力がローレベルになると、比較器CP1の出力の電位の変化が抵抗R5 を通して該比較器の非反転入力端子にフィードバックされるため、図2(B)に示したように、基準電圧Vr の値は第1の値Vr1よりも小さい第2の値Vr2に変化する。これにより、エンジンの運転中に生じる電源電圧の変動により比較器CP1の出力がハイレベルに反転して、プルコイルに再通電されるのが防止される。
【0064】
時刻t2 でキースイッチ3の可動接点3aが始動位置に切り換えられると、スタータ6に通電されるため、バッテリからスタータに大きな突入電流が流れ、図3(B)に示すように、バッテリ2の両端の電圧EB が定格値EBHからEBLまで低下する。このバッテリ電圧の低下により、ソレノイドのプルコイル1aに印加される電圧が低下し、プルコイル1aに流れる駆動電流は、図3(D)に示すように、スタータに通電されなかった場合に流れる駆動電流IH よりも減少する。タイマの動作時間が正規の動作時間T1のままであると、このように、プルコイルに流れる駆動電流が減少すると、バルブが開位置に到達することができないことがあるが、本発明では、タイマ動作時間を正規の動作時間T1よりも長い時間T2に延長して、図3(D)に斜線を施した部分αに相当する分だけプルコイルの駆動電流を補うため、燃料供給制御用バルブを確実に開状態にすることができる。
【0065】
時刻t5 でキースイッチの可動接点が始動位置からオン位置に切り換えられると、バッテリの両端の電圧EB は定格値EBHに戻る。
【0066】
タイマコンデンサC1に蓄積された電荷は、キースイッチ3の可動接点がオフ位置に切り換えられたときにダイオードD3と抵抗R3及びR4とを通して放電する。
【0067】
上記の実施形態においては、タイマ4が正規の動作時間T1の間タイマ動作を行った後にキースイッチの可動接点3aがオン位置から始動位置に切り換えられたときにもトランジスタQ2(タイマ動作時間延長用スイッチ7A)がオン状態になるが、タイマコンデンサC1を流れる充電電流i1 と、抵抗R7を流れる側路電流i2 との間に、i1 >i2 の関係が成立するように抵抗R7の抵抗値を設定して、トランジスタQ2がオン状態になっている間も、Vc1>Vr(=Vr2)の関係が維持されるように設定しておけば、トランジスタQ2がオン状態になったときに比較器CP1の出力が反転してトランジスタQ1が再度オン状態になって、プルコイル1aに再通電されるのを防ぐことができる。
【0068】
上記の実施形態では、ソレノイドへの通電を制御する負荷駆動用スイッチ5としてリレーを用いたが、このスイッチして半導体スイッチを用いてもよい。
【0069】
また上記の実施形態では、エンジンを始動する際に一定時間励磁される燃料供給用ソレノイドのプルコイルを負荷としているが、本発明に係わる駆動装置で駆動する負荷は、エンジンの始動時に一定時間の間だけ駆動されるものであればよく、上記の例に限定されない。
【0070】
またトランジスタQ1及びQ2は、他のオンオフ制御が可能なスイッチ素子で置き換えることができる。
【0071】
上記の実施形態では、キースイッチの可動接点がオン位置から始動位置に切り換えられたときにタイマ用コンデンサの充電電流の一部を電流制限素子とタイマ動作時間延長用スイッチとを通して側路することにより、タイマの動作時間を延長するようにしたが、タイマ動作時間延長手段は、キースイッチの可動接点がオン位置からオフ位置に切り換えられた際にタイマ用コンデンサの両端の電圧の上昇の傾きを小さくする手段であればよく、上記の例に限定されない。
【0072】
例えば、タイマコンデンサの充電電流を制限する電流制限用抵抗の一部に対して並列に接続されて、オン状態にあるときに前記電流制限用抵抗の一部を短絡する短絡用スイッチと、キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたときにタイマコンデンサの充電が完了するまでの間短絡用スイッチをオン状態に保持し、キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられている間短絡用スイッチをオフ状態に保持するように短絡用スイッチを制御する短絡用スイッチ制御回路とによりタイマ動作時間延長手段を構成することができる。
【0073】
このようにタイマ動作時間延長手段を構成した実施形態を図4に示した。図4に示した例においては、タイマコンデンサの充電電流を制限する電流制限用抵抗として、2つの抵抗R2aとR2bとを直列に接続したものを用い、抵抗R2bの抵抗R2a側の端子及びコンデンサC1側の端子にそれぞれNPNトランジスタQ2’のコレクタ及びエミッタを接続している。
【0074】
またトランジスタQ2’のベースとツェナーダイオードZD1のカソードとの間に抵抗R10が接続され、キースイッチの可動接点がオン接点に切り換えられたときにバッテリ2からキースイッチと抵抗R10とを通してトランジスタQ2’にベース電流が与えられて、タイマコンデンサC1の充電が完了するまでの間、該トランジスタQ2’がオン状態になるようになっている。
【0075】
またエミッタが接地されたNPNトランジスタQ3のコレクタがトランジスタQ2’のベースに接続され、トランジスタQ3のベースエミッタ間に抵抗R8が接続されている。更にトランジスタQ3のベースに抵抗R9を通してツェナーダイオードZD3のアノードが接続され、ツェナーダイオードZD3のカソードは、キースイッチの始動接点3dにアノードを接続したダイオードD4のカソードに接続されている。その他の点は図1に示した例と同様に構成されている。
【0076】
この例では、トランジスタQ2’により短絡用スイッチが構成され、抵抗R8ないしR10と、トランジスタQ3と、ダイオードD4と、ツェナーダイオードZD3とにより、短絡用スイッチ制御回路が構成されている。
【0077】
図4に示した例では、キースイッチ3の可動接点がオン接点3cに接触したときに抵抗R10とトランジスタQ2’のベースエミッタ間とコンデンサC1とを通してトランジスタQ2’にベース電流が流れ、該トランジスタがオン状態になる。従って抵抗R2bが短絡され、タイマコンデンサC1は、ツェナーダイオードZD1の両端の電圧により、抵抗R2aとトランジスタQ2’のコレクタエミッタ間とを通して充電される。
【0078】
キースイッチ3の可動接点が始動接点3dに接触すると、トランジスタQ3にベース電流が流れて該トランジスタQ3がオン状態になるため、トランジスタQ2’のベース電流が該トランジスタQ2’から側路される。これによりトランジスタQ2’がオフ状態になるため、タイマコンデンサC1は、ツェナーダイオードZD1の両端の電圧で、抵抗R2a及びR2bを通して充電されるようになり、タイマコンデンサC1の充電時定数が大きい値に切り換えられる。これにより、タイマコンデンサC1の両端の電圧の上昇の傾きが緩くなるため、タイマコンデンサC1の両端の電圧が基準電圧Vrに達するのが遅れ、タイマの動作時間が正規の動作時間よりも延長される。
【0079】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、タイマがタイマ動作を行っている間にキースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたときにタイマがタイマ動作を行う時間を延長するタイマ動作時間延長手段を設けたので、タイマがタイマ動作を行っている間にキースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたときに、タイマの動作時間を正規の動作時間よりも延長することができる。従って、タイマがタイマ動作を行っている間にキースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられて、バッテリの電圧が落ち込んだ場合に、負荷を駆動する時間を延長して、負荷の動作を確実に完了させることができ、エンジンの始動時に動作させるべき負荷の動作が未完のままで負荷の駆動が停止して、エンジンを始動させることができなくなったり、エンジンの運転に不都合を来したりするのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示した回路図である。
【図2】図1に示した負荷の駆動装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】図1に示した負荷の駆動装置の動作を説明するための他のタイミングチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態の構成を示した回路図である。
【図5】従来の負荷駆動装置の全体的な構成を示したブロック図である。
【図6】図5の駆動装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】図5に示した駆動装置の更に具体的な構成を示した回路図である。
【図8】図7に示した駆動装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】図7に示した駆動装置の動作を説明するための他のタイミングチャートである。
【符号の説明】
1:ソレノイド(負荷)、1a:プルコイル、1b:ホールドコイル、2:バッテリ、3:キースイッチ、4:タイマ、5:負荷駆動用スイッチ、6:スタータ、7:タイマ動作時間延長手段、7A:タイマ動作時間延長用スイッチ、7B:タイマ動作時間延長用スイッチ駆動回路、7C:短絡用スイッチ、7D:短絡用スイッチ制御回路、C1:タイマコンデンサ、R2:充電電流制限用抵抗。
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンに付属する電装品負荷の内、エンジンの始動時に一定時間だけ駆動される負荷の駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンは、始動時に一定の時間だけ駆動される負荷を備えていることがある。この種の負荷は、始動時に一定時間駆動した際に、その動作を完了させることが必要とされることが多い。
【0003】
エンジンの始動時に一定時間だけ駆動される負荷としては、例えば、ディーゼルエンジンへの燃料の供給を制御する燃料供給制御用バルブを駆動する、燃料供給制御用ソレノイドがある。
【0004】
燃料噴射ポンプを用いて燃料を供給するディーゼルエンジンにおいては、燃料タンクから燃料噴射ポンプに燃料を供給する燃料供給経路の途中に、燃料供給制御用ソレノイドによりオンオフ制御される燃料供給制御用バルブを設けて、エンジンの運転時には該バルブを開くことにより燃料噴射ポンプによる燃料の供給を可能とし、エンジンを停止する際に該バルブを閉じることにより燃料噴射ポンプによる燃料の供給を停止させるようにしている。エンジンの始動を可能とし、始動したエンジンの運転を支障なく行わせるためには、燃料供給制御用ソレノイドを一定時間の間駆動した際に、燃料供給制御用バルブを確実に開状態にする必要がある。
【0005】
燃料供給制御用ソレノイドを駆動する駆動装置は、例えば特許文献1に示されている。図5は、特許文献1に示された駆動装置の全体的な構成を示したもので、同図において、1は燃料供給制御用ソレノイド(負荷)、2は負極端子が接地されたバッテリ、3はキースイッチ、4はタイマ、5はバッテリ2とソレノイド1との間に設けられた負荷駆動用スイッチ、6はエンジンを始動するスタータである。
【0006】
燃料供給制御用ソレノイド1は、燃料の供給を制御する(オンオフする)バルブを開く際に励磁されるプル(PULL)コイル1aと、エンジンの運転中バルブを開状態に保持するために励磁状態に保持されるホールド(HOLD)コイル1bとからなっている。
【0007】
キースイッチ3は、図示しないキーにより操作される可動接点3aと、固定接点であるオフ接点3b、オン接点(ON接点)3c及び始動接点(ST接点)3dとを有する公知のスイッチで、このキースイッチの可動接点3aは、図示しないキーにより操作されて、オフ接点3bのみに接触した状態になるオフ位置と、オフ接点3bから離れてオン接点3cのみに接触した状態になるオン位置と、オン接点3cに接触した状態を保ちつつ始動接点3dに接触した状態になる始動位置とに切り換えられる。可動接点のオフ位置はエンジン停止時の位置であり、オン位置はエンジン運転中の位置である。また可動接点の始動位置は、エンジンを始動する際の位置である。
【0008】
キースイッチの可動接点3aはバッテリ2の正極端子に接続され、始動接点3dはスタータ6に接続されている。またオン接点3cはタイマユニット4に接続されるとともに、図示しない電装品に電源電圧を供給する電源ラインに接続されている。
【0009】
スタータ6は、エンジン始動用電動機やこの電動機の駆動電流をオンオフする電磁接触子等を備えた公知のもので、キースイッチの可動接点3aが始動接点3dに接触させられて、バッテリ2から可動接点3a及び始動接点3dを通して駆動電流が与えられたときに始動用電動機を回転させてエンジンを始動させる。
【0010】
負荷駆動用スイッチ5は、ソレノイド(エンジンに付属する負荷)1とバッテリ2との間に設けられて、オン状態にされたときにバッテリの電圧を負荷に印加するスイッチで、図示の例では、この負荷駆動用スイッチとして、励磁コイルRYと、常開接点Ryaとを有するリレーが用いられている。励磁コイルRYはタイマ4の出力端子間に接続され、接点Ryaはバッテリ2の正極端子とプルコイル1aの一端との間に接続されている。
【0011】
プルコイル1aの他端は、ホールドコイル1bの一端とともに接地され、ホールドコイル1bの他端はキースイッチ3のオン接点3cに接続されている。
【0012】
タイマ4は、キースイッチ3の可動接点3aがオフ位置からオン位置に切り換えられてバッテリ2の電圧が印加されたときにタイマ動作を開始して設定された動作時間の間タイマ動作を行い、タイマ動作を行っている間負荷駆動用スイッチ5を構成するリレーの励磁コイルRYに駆動信号を印加する。タイマ4が駆動信号を出力している間、励磁コイルRYが励磁され、接点Ryaがオン状態になる。
【0013】
図6(A)ないし(E)は図5に示した負荷駆動装置の動作を示したタイミングチャートである。エンジンを始動するため、時刻t1 において、キースイッチ3の可動接点をオン位置に切り換えると、タイマ4がタイマ動作を開始して、励磁コイルRYを励磁するため、リレー接点Ryaがオン状態になる。これによりソレノイドのプルコイル1aが励磁される。また時刻t1 でキースイッチ3の可動接点がオン位置に切り換えられることにより、ソレノイドのホールドコイル1bが励磁される。タイマ4は、設定された動作時間T1 の間タイマ動作を行い、時刻t2 において動作時間T1 が経過したときにタイマ動作を終了して励磁コイルRYを非励磁にする。これによりリレーの接点Ryaがオフ状態になり、プルコイル1aが非励磁状態にされる。プルコイル1aが励磁されている間に図示しない燃料供給制御用のバルブが開く。ソレノイドのホールドコイル1bは、キースイッチの可動接点3aがオフ位置に切り換えられるまで励磁状態に保持され、ホールドコイル1bが励磁されている間燃料供給制御用バルブが開状態に保持されて、エンジンへの燃料の供給が許容される。
【0014】
時刻t2 でタイマ動作が終了した後、時刻t3 でキースイッチの可動接点3aが始動位置に切り換えられると、スタータ6に通電されて、エンジンが始動させられる。エンジンが始動した後、時刻t4 でキースイッチの可動接点をオン位置に戻すと、スターターへの通電が停止する。
【0015】
図7は、特許文献1に一実施例として記載された負荷駆動装置の要部の構成を示したものであり、図8は、図7に示した負荷駆動装置の通常の動作を示すタイミングチャートである。
【0016】
図7に示した負荷駆動装置においては、図8(A)に示すように、時刻t1 において、キースイッチ3の可動接点3aがオン位置に切り換えられたとき(オン接点3cに接触させられたとき)に、バッテリ2からキースイッチを通してソレノイド1のホールドコイル1bに電流が流れる。
【0017】
またキースイッチの可動接点がオン位置に切り換えられると、バッテリ2の電圧がダイオードD1と抵抗R1とを通してツェナーダイオードZD1の両端に印加され、該ツェナーダイオードZD1の両端の一定の電圧で、抵抗R2を通して、タイマコンデンサC1が一定の時定数で充電される。これにより、タイマコンデンサC1の両端の電圧Vc1は、図8(B)に示すように一定の傾きで上昇していく。
【0018】
タイマコンデンサC1の両端の電圧Vc1は、比較器CP1の反転入力端子に入力される。比較器CP1の非反転入力端子には、ツェナーダイオードZD1の両端の一定の電圧を抵抗R3 及びR4 からなる分圧回路により分圧して得た基準電圧Vr が入力されている。
【0019】
キースイッチをオン位置に切り換えた後一定の時間が経過するまでの間は、タイマコンデンサの両端の電圧Vc1が基準電圧Vr よりも低いため、比較器CP1の出力端子の電位は、図8(C)に示すようにハイレベル(Hレベル)になっている。このとき基準電圧Vr は、第1の値Vr1を示す。タイマコンデンサC1の両端の電圧Vc1が基準電圧Vr よりも低く、比較器CP1の出力端子の電位がハイレベルになっている間、トランジスタQ1がオン状態に保持されるため、バッテリ2からキースイッチ3と励磁コイルRYとトランジスタQ1のコレクタエミッタ間とを通して電流が流れる。これにより、リレーの接点Ryaがオン状態になり、バッテリ2から接点Ryaを通してソレノイドのプルコイル1aに電流が流れる。そのため、図示しない燃料供給制御用のバルブが開き、燃料噴射ポンプに燃料が供給されるようになる。
【0020】
時刻t1 でキースイッチの可動接点をオン位置に切り換えた後、時刻t2 において一定の時間T1 が経過したときに、タイマコンデンサC1の両端の電圧Vc1が基準電圧Vr(=Vr1)に達し、図8(C)に示すように比較器CP1の出力端子の電位がローレベル(Lレベル)になる。これにより、トランジスタQ1がオフ状態になるため、図8(D)に示すように、リレー接点Ryaがオフ状態になり、プルコイル1aへの通電が停止される。従ってプルコイルへの通電は一定の時間T1 に制限される。タイマの動作時間T1は、負荷の駆動を完了するために必要な時間(上記の例では、燃料供給制御用バルブを閉位置から開位置に変位させるために必要な時間)に設定される。
【0021】
時刻t2 で比較器CP1 の出力がローレベルになると、比較器CP1の出力の電位の変化が抵抗R5 を通して該比較器の非反転入力端子にフィードバックされるため、図8(B)に示したように、基準電圧Vr の値は第1の値Vr1よりも小さい第2の値Vr2に変化する。これにより、エンジンの運転中に生じる電源電圧の変動により比較器CP1の出力がハイレベルに反転して、プルコイルに再通電されるのが防止される。
【0022】
図8(A)に示すように、時刻t1 でキースイッチ3の可動接点をオン位置に切り換えた後、時刻t3 で時間TA(>T1 )が経過したときに、キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられると、スタータ(図7には図示せず。)に通電されてエンジンの始動操作が行われる。
【0023】
【特許文献1】
特開平8−61116号公報(図4)
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に示されたように、キースイッチをオフ状態からオン状態にした時にタイマコンデンサを充電するタイマ動作を開始するタイマ回路を設けて、このタイマ回路がタイマ動作を行なっている一定時間の間だけソレノイドに通電するように構成された負荷駆動装置において、図8に示したように、キースイッチの可動接点3aをオン位置に切り換えた後、該可動接点を始動位置に切り換えるまでの時間TA が、タイマの動作時間T1 よりも長い場合には、上記の説明から明らかなように、タイマの動作時間T1 の間プルコイル1aへの通電を支障なく行わせてバルブを開状態にすることができる。
【0025】
ところが、特許文献1に示された構成では、キースイッチの可動接点3aをオン位置に切り換えた後、該可動接点を始動位置に切り換えるまでの時間TA が、タイマの動作時間T1 よりも短い場合に、以下に示すように、スタータへの通電により生じるバッテリ電圧の落ち込みによりソレノイドのプルコイルに供給される電流が減少し、タイマ4がタイマ動作を行っている間にバルブを開くことができなくなるおそれがあった。
【0026】
図9は、図7に示すように構成された負荷駆動装置において、キースイッチの可動接点3aをオン位置に切り換えた後、該可動接点を始動位置に切り換えるまでの時間TA が、タイマの動作時間T1 よりも短かった場合の動作を示すタイミングチャートである。図9において、(A)はキースイッチの状態の変化を示し、(B)はバッテリ電圧EB の変化を示している。また(C)はリレーの接点Ryaの状態の変化を示し、(D)はソレノイドのプルコイル1aに流れる電流を示している。
【0027】
図9の時刻t1 において、キースイッチ3の可動接点がオン位置に切り換えられると、タイマ4がタイマ動作を開始し、トランジスタQ1がオン状態になってバッテリ2から励磁コイルRYに電流が流れる。タイマ4がタイマ動作を行っている時間T1内の時刻t2 ’でキースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられると、バッテリ2からキースイッチを通してスタータに大きな突入電流が流れるため、バッテリ電圧VB(図9B参照)が大きく落ち込む。このときタイマ4は所定の動作時間T1の間タイマ動作を行うが、バッテリ電圧の落ち込みが激しいため、ソレノイドのプルコイル及びホールドコイルに流れる電流は大幅に減少し、ソレノイドの吸引力が低下する。その結果、バルブの開位置への変位速度が低下し、タイマがタイマ動作を行っている時間内に燃料供給制御用バルブを開状態にすることができなくなる。そのため、バルブが閉状態のままで、または完全に開かないままの状態でタイマ4のタイマ動作が終了してプルコイルへの通電が停止されることがある。タイマ動作が終了した時点でバルブが閉状態または閉状態に近い状態にある場合には、燃料噴射ポンプに燃料が供給されないため、エンジンを始動させることができない。またタイマ動作が終了した時点でバルブの開き方が不完全である場合には、燃料噴射ポンプに供給される燃料が不足するため、仮にエンジンを始動させることができたとしても、その後エンジンの運転をまともに行うことができない。
【0028】
上記のように、エンジンの始動時に燃料供給制御用ソレノイドの励磁不足により、バルブを正常に開くことができず、エンジンの始動に失敗した場合、キースイッチ3の可動接点を一旦オフ位置に戻してから再度オン位置及び始動位置へと切り換えるようにすれば、ソレノイドのプルコイルを正常に励磁して燃料供給制御用バルブを開き、エンジンを始動させることができる。
【0029】
しかしながら、多くのユーザーは、エンジンの始動に失敗した後、再始動を試みる際に、キースイッチの可動接点をオン位置までしか戻さずに、オン位置から始動位置に再度切り換えることにより始動操作を行おうとするため、タイマ動作を再開させてバルブを開くことができず、エンジンの始動に何回も失敗するという不具合が生じる。
【0030】
上記のような現象は、大電流通電時のバッテリ電圧の低下が激しい、低温環境下で特に起こりやすい。
【0031】
上記の説明では、エンジンの始動時に一定時間駆動する負荷として、ディーゼル機関の燃料噴射ポンプへの燃料の供給を制御するバルブを駆動するソレノイドを例にとったが、他の負荷を駆動する場合にも、特許文献1に示されたような構成をとった場合には、キースイッチの可動接点をオン位置から始動位置に切り換えるタイミングが早過ぎた場合に、その負荷の駆動を正常に行うことができなくなるという問題が生じる。
【0032】
本発明の目的は、エンジンの始動時にタイマがタイマ動作を行っている間だけ負荷に通電するようにした負荷の駆動装置において、キースイッチの可動接点をオン位置に切り換えてから始動位置に切り換えるまでの時間がタイマの正規の動作時間よりも短い場合でも、負荷の駆動を正常に行わせることができるようにすることにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジン停止時の位置であるオフ位置とエンジン運転時の位置であるオン位置とエンジン始動時に始動用電動機に通電する際の位置である始動位置とに可動接点が切り換えられるキースイッチと、キースイッチの可動接点がオフ位置からオン位置に切り換えられたときにタイマ動作を開始して設定された動作時間の間タイマ動作を行うタイマと、エンジンに付属する負荷とバッテリとの間に設けられてタイマがタイマ動作を行っている間オン状態になる負荷駆動用スイッチとを備えて、タイマがタイマ動作を行っている間に負荷の動作を完了させるようにした負荷の駆動装置を対象とする。
【0034】
本発明においては、前記の目的を達成するため、タイマがタイマ動作を行っている間にキースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたことを検出したときにタイマの動作時間を正規の動作時間よりも延長するタイマ動作時間延長手段を設けた。
【0035】
なおタイマの正規の動作時間とは、タイマ動作時間延長手段が働かない場合のタイマの動作時間(タイマがタイマ動作を行う時間)で、正規の動作時間は、負荷の電源電圧が定格範囲にあるときに、負荷の動作を完了させるために必要な時間に設定される。負荷で無用の電力が消費されるのを防ぐため、タイマの正規の動作時間は、電源電圧が底角範囲にあるときに負荷の動作を完了させるために必要最小限の時間に設定するのが好ましい。
【0036】
上記のように、タイマがタイマ動作を行っている間にキースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたことを検出したときにタイマがタイマ動作を行う時間を延長するタイマ動作時間延長回路を設けると、キースイッチの可動接点がオン位置に切り換えられた後、タイマがタイマ動作を行っている間に(負荷の駆動が完了する前に)キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたときに、タイマの動作時間を延長することができる。従って、バッテリの電圧が落ち込んで負荷の駆動電流が減少したとしても、負荷の駆動時間を延長することができるため、タイマがタイマ動作を行っている間に負荷の駆動を完了させることができる。
【0037】
上記タイマは、通常、キースイッチの可動接点がオン位置にあるとき及び始動位置にあるときにタイマコンデンサを一定の時定数で充電するタイマ動作を行って、該タイマコンデンサの両端の電圧が設定値以上になったときにタイマ動作を終了するように構成される。
【0038】
タイマがこのように構成される場合、上記タイマ動作時間延長手段は、タイマコンデンサの両端に電流制限用抵抗を通して接続されて、オン状態にあるときにタイマコンデンサの充電電流の一部を該タイマコンデンサから側路するタイマ動作時間延長用スイッチと、キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられている間タイマ動作時間延長用スイッチに駆動信号を与えて該タイマ動作時間延長用スイッチをオン状態に保持するタイマ動作時間延長用スイッチ駆動回路とを備えた構成とすることができる。
【0039】
またタイマコンデンサの充電電流を制限する電流制限用抵抗の一部に対して並列に接続されて、オン状態にあるときに該電流制限用抵抗の一部を短絡する短絡用スイッチと、キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたときにタイマコンデンサの充電が完了するまでの間短絡用スイッチをオン状態に保持し、キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられている間短絡用スイッチをオフ状態に保持するように短絡用スイッチを制御する短絡用スイッチ制御回路とにより上記タイマ動作時間延長手段を構成することもできる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0041】
図1は本発明の実施形態の構成を概略的に示したもので、この例で駆動する負荷は、図7に示した例と同様に、ディーゼルエンジンを始動する際に開かれる燃料供給制御用バルブを駆動する燃料供給制御用ソレノイドである。
【0042】
図1において1は燃料供給制御用ソレノイド、2は負極端子が接地されたバッテリ、3はキースイッチ、4はタイマ、5はバッテリ2とソレノイド1との間に設けられた負荷駆動用スイッチ、6はエンジンを始動するスタータである。
【0043】
燃料供給制御用ソレノイド1は、燃料の供給を制御する(オンオフする)バルブを開く際に励磁されるプル(PULL)コイル1aと、エンジンの運転中バルブを開状態に保持するために励磁状態に保持されるホールド(HOLD)コイル1bとからなっている。
【0044】
キースイッチ3は、図示しないキーにより操作される可動接点3aと、固定接点であるオフ接点3b、オン接点(ON接点)3c及び始動接点(ST接点)3dとを有するスイッチである。キースイッチの可動接点3aは、図示しないキーにより操作されて、オフ接点3bのみに接触した状態になるオフ位置と、オフ接点3bから離れてオン接点3cのみに接触した状態になるオン位置と、オン接点3cに接触した状態を保ちつつ始動接点3dに接触した状態になる始動位置とに切り換えられる。可動接点のオフ位置はエンジン停止時の位置であり、オン位置はエンジン運転中の位置である。また可動接点の始動位置は、エンジンを始動する際の位置である。このキースイッチには、始動位置に変位させられた可動接点3aをオン位置に復帰させるように付勢する復帰バネが設けられていて、可動接点を始動位置に切り換えてエンジンを始動させた後、キーから手を離すと、可動接点3aが始動位置からオン位置に自動的に復帰するようになっている。
【0045】
キースイッチの可動接点3aはバッテリ2の正極端子に接続され、始動接点3dはスタータ6に接続されている。またオン接点3cはタイマユニット4に接続されるとともに、図示しない電装品に電源電圧を供給する電源ラインに接続されている。
【0046】
スタータ6は、エンジン始動用電動機やこの電動機の駆動電流をオンオフする電磁接触子等を備えた公知のもので、キースイッチの可動接点3aが始動接点3dに接触させられて、バッテリ2から可動接点3a及び始動接点3dを通して駆動電流が与えられたときに始動用電動機を回転させてエンジンを始動させる。
【0047】
負荷駆動用スイッチ5は、ソレノイド1のプルコイル1a(エンジンに付属する負荷)とバッテリ2との間に設けられて、オン状態にされたときにバッテリの電圧をプルコイルに印加するスイッチで、本実施形態では、この負荷駆動用スイッチとして、励磁コイルRYと、常開接点Ryaとを有するリレーが用いられていて、接点Ryaの一端及び他端がそれぞれキースイッチのオン接点3c及びプルコイル1aの一端に接続されている。プルコイル1aの他端はホールドコイル1bの一端とともに接地され、ホールドコイル1bの他端はキースイッチのオン接点3cに接続されている。
【0048】
タイマ4は、タイマコンデンサC1を一定の時定数で充電することによりタイマ動作を行わせるもので、タイマコンデンサC1の一端は接地されている。キースイッチ3のオン接点3cと接地間に、ダイオードD1と抵抗R1とを通して、アノードを接地側に向けたツェナーダイオードZD1が接続され、ツェナーダイオードZD1の両端に抵抗R2を通してタイマコンデンサC1が接続されている。
【0049】
またツェナーダイオードZD1の両端に、抵抗R3とR4との直列回路からなる分圧回路が接続され、この分圧回路の抵抗R4の両端に得られる基準電圧Vrが、比較器CP1の非反転入力端子に入力されている。比較器CP1の反転入力端子には、タイマコンデンサC1の両端の電圧Vc1が入力されている。比較器CP1の出力端子と非反転入力端子との間に帰還抵抗R5が接続され、ツェナーダイオードZD1のカソードと比較器CP1の出力端子との間にプルアップ抵抗R6が接続されている。
【0050】
比較器CP1の出力端子はまたエミッタが接地されたNPNトランジスタQ1のベースに接続され、該トランジスタのコレクタにリレーの励磁コイルRYの一端が接続されている。リレーの励磁コイルRYの他端はダイオードD1のカソードに接続され、トランジスタQ1がオン状態になったときにバッテリ1からキースイッチ3とダイオードD1とトランジスタQ1のコレクタエミッタ間とを通して励磁コイルRYに励磁電流が流れるようになっている。また励磁コイルRYの両端には、カソードを励磁コイルRYの一端側に向けたツェナーダイオードZD2と、アノードをツェナーダイオードZD2のアノード側に向けたダイオードD2との直列回路が並列に接続され、抵抗R2の両端にはアノードをタイマコンデンサ側に向けたダイオードD3が接続されている。ダイオードD2とツェナーダイオードZD2との直列回路は、励磁コイルRYの励磁電流を遮断した際に該励磁コイルに誘起する高い電圧を吸収するために設けられている。またダイオードD3は、タイマコンデンサの放電回路を構成するために設けられている。
【0051】
図示の例では、タイマコンデンサC1と、抵抗R1ないしR6と、比較器CP1と、ツェナーダイオードZD1及びZD2と、ダイオードD1ないしD3と、トランジスタQ1とによりタイマ4が構成されている。
【0052】
以上の構成は、特許文献1に示されたものと同様であるが、本発明においては更に、タイマ4がタイマ動作を行っている間にキースイッチ3の可動接点3aが始動位置に切り換えられたことを検出したときにタイマ4がタイマの動作時間を正規の動作時間よりも延長するタイマ動作時間延長手段7が設けられている。
【0053】
図示のタイマ動作時間延長手段7は、タイマコンデンサC1の両端に電流制限用抵抗R7を通して接続されて、オン状態にあるときにタイマコンデンサC1の充電電流の一部を該タイマコンデンサから側路するタイマ動作時間延長用スイッチ7Aと、キースイッチ3の可動接点3aが始動位置に切り換えられている(始動接点3dに接触している)間タイマ動作時間延長用スイッチ7Aに駆動信号を与えて該タイマ動作時間延長用スイッチをオン状態に保持するタイマ動作時間延長用スイッチ駆動回路7Bとにより構成される。
【0054】
図示の例では、エミッタが接地されたNPNトランジスタQ2のコレクタが抵抗R7を通してタイマコンデンサC1の非接地側端子に接続され、トランジスタQ2のベースエミッタ間には抵抗R8が接続されている。トランジスタQ2のベースは抵抗R9と、アノードを抵抗R9側に向けたツェナーダイオードZD3と、カソードをツェナーダイオードZD3側に向けたダイオードD4との直列回路を通してキースイッチの始動接点3dに接続されている。
【0055】
この例では、トランジスタQ3により、タイマ動作時間延長用スイッチ7Aが構成され、ダイオードD4と、ツェナーダイオードZD3と抵抗R9とにより、タイマ動作時間延長用スイッチ駆動回路7Bが構成されている。
【0056】
なおツェナーダイオードZD3は、ノイズによりトランジスタQ2がオン状態になるのを防ぐために設けられており、そのツェナー電圧は、バッテリ2の電圧に比べて十分に低く設定されている。
【0057】
本実施形態の動作を図2及び図3のタイミングチャートを参照して説明する。図2(A)はキースイッチの状態を示し、図2(B)は、タイマコンデンサの両端の電圧Vc1及び基準電圧Vrの波形を示している。また図2(C)は比較器の出力を示し、図2(D)は、リレー接点Ryaの状態を示している。また図3(A)は、図2(A)と同様にキースイッチの状態を示し、図3(B)は、バッテリ電圧EBを示している。更に図3(C)はリレー接点Ryaの状態の変化を示し、図3(D)は、ソレノイドのプルコイルを流れる電流の変化を示している。
【0058】
図1に示した負荷の駆動装置においては、図2(A)に示すように、時刻t1 において、キースイッチ3の可動接点3aがオン位置に切り換えられたときに、バッテリ2からキースイッチ3を通してソレノイド1のホールドコイル1bに電流が流れる。またこのときバッテリ2の電圧がダイオードD1と抵抗R1とを通してツェナーダイオードZD1の両端に印加され、該ツェナーダイオードZD1の両端の一定の電圧で、抵抗R2を通して、タイマコンデンサC1が一定の時定数で充電される。これにより、タイマコンデンサC1の両端の電圧Vc1は、図2(B)に示すように一定の傾きで上昇していく。
【0059】
キースイッチの可動接点をオン位置に切り換えた後、タイマの正規の動作時間T1が経過する前の時刻t2 でキースイッチの可動接点3aが始動位置に切り換えられたとする。キースイッチの可動接点3aが始動位置に切り換えられると、バッテリ2の電圧がキースイッチ3を通してタイマ動作時間延長用スイッチ駆動回路7Bに印加され、ツェナーダイオードZD3がオン状態になるため、バッテリ2からキースイッチ3とダイオードD4とツエナーダイオードZD3と抵抗R9とを通してトランジスタQ2にベース電流が流れ、該トランジスタQ2(タイマ動作時間延長用スイッチ7A)がオン状態になる。トランジスタQ2がオン状態になると、タイマコンデンサC1の充電電流の一部が抵抗R7とトランジスタQ2のコレクタエミッタ間とを通してタイマコンデンサC1から側路されるため、タイマコンデンサC1の充電電流が減少し、図2(B)に示すように、タイマコンデンサC1の両端の電圧Vc1の上昇の傾きが緩くなる。
【0060】
なお図2(B)においてVc1’は、タイマ動作時間延長用スイッチ7Aが設けられていない場合のタイマコンデンサC1の両端の電圧である。タイマ動作時間延長用スイッチ7Aが設けられていない場合には、時刻t3 で電圧Vc1’が基準電圧Vr(=Vr1)に等しくなったときに比較器CP1の出力端子の電位がLレベルに変化してタイマ動作が終了する。このときタイマの動作時間は、正規の動作時間T1となる。
【0061】
これに対し、本発明のように、タイマ動作時間延長用スイッチ7Aが設けられていて、キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたときに、タイマ動作時間延長用スイッチ7Aがオン状態にされると、タイマコンデンサC1の両端の電圧の上昇の傾きが小さくなるため、タイマコンデンサC1の両端の電圧が基準電圧Vrに達してタイマ動作が終了する時刻はt4 となり、タイマの動作時間は、正規の動作時間T1よりも長いT2に延長される。
【0062】
時刻t4 でタイマ動作が終了し、比較器CP1の出力端子の電位がローレベルになると、負荷駆動用スイッチを構成するトランジスタQ1がオフ状態になり、リレーの励磁コイルRYへの通電が停止する。これにより接点Ryaがオフ状態になり、ソレノイド1のプルコイル1aへの通電が停止する。
【0063】
時刻t4 で比較器CP1 の出力がローレベルになると、比較器CP1の出力の電位の変化が抵抗R5 を通して該比較器の非反転入力端子にフィードバックされるため、図2(B)に示したように、基準電圧Vr の値は第1の値Vr1よりも小さい第2の値Vr2に変化する。これにより、エンジンの運転中に生じる電源電圧の変動により比較器CP1の出力がハイレベルに反転して、プルコイルに再通電されるのが防止される。
【0064】
時刻t2 でキースイッチ3の可動接点3aが始動位置に切り換えられると、スタータ6に通電されるため、バッテリからスタータに大きな突入電流が流れ、図3(B)に示すように、バッテリ2の両端の電圧EB が定格値EBHからEBLまで低下する。このバッテリ電圧の低下により、ソレノイドのプルコイル1aに印加される電圧が低下し、プルコイル1aに流れる駆動電流は、図3(D)に示すように、スタータに通電されなかった場合に流れる駆動電流IH よりも減少する。タイマの動作時間が正規の動作時間T1のままであると、このように、プルコイルに流れる駆動電流が減少すると、バルブが開位置に到達することができないことがあるが、本発明では、タイマ動作時間を正規の動作時間T1よりも長い時間T2に延長して、図3(D)に斜線を施した部分αに相当する分だけプルコイルの駆動電流を補うため、燃料供給制御用バルブを確実に開状態にすることができる。
【0065】
時刻t5 でキースイッチの可動接点が始動位置からオン位置に切り換えられると、バッテリの両端の電圧EB は定格値EBHに戻る。
【0066】
タイマコンデンサC1に蓄積された電荷は、キースイッチ3の可動接点がオフ位置に切り換えられたときにダイオードD3と抵抗R3及びR4とを通して放電する。
【0067】
上記の実施形態においては、タイマ4が正規の動作時間T1の間タイマ動作を行った後にキースイッチの可動接点3aがオン位置から始動位置に切り換えられたときにもトランジスタQ2(タイマ動作時間延長用スイッチ7A)がオン状態になるが、タイマコンデンサC1を流れる充電電流i1 と、抵抗R7を流れる側路電流i2 との間に、i1 >i2 の関係が成立するように抵抗R7の抵抗値を設定して、トランジスタQ2がオン状態になっている間も、Vc1>Vr(=Vr2)の関係が維持されるように設定しておけば、トランジスタQ2がオン状態になったときに比較器CP1の出力が反転してトランジスタQ1が再度オン状態になって、プルコイル1aに再通電されるのを防ぐことができる。
【0068】
上記の実施形態では、ソレノイドへの通電を制御する負荷駆動用スイッチ5としてリレーを用いたが、このスイッチして半導体スイッチを用いてもよい。
【0069】
また上記の実施形態では、エンジンを始動する際に一定時間励磁される燃料供給用ソレノイドのプルコイルを負荷としているが、本発明に係わる駆動装置で駆動する負荷は、エンジンの始動時に一定時間の間だけ駆動されるものであればよく、上記の例に限定されない。
【0070】
またトランジスタQ1及びQ2は、他のオンオフ制御が可能なスイッチ素子で置き換えることができる。
【0071】
上記の実施形態では、キースイッチの可動接点がオン位置から始動位置に切り換えられたときにタイマ用コンデンサの充電電流の一部を電流制限素子とタイマ動作時間延長用スイッチとを通して側路することにより、タイマの動作時間を延長するようにしたが、タイマ動作時間延長手段は、キースイッチの可動接点がオン位置からオフ位置に切り換えられた際にタイマ用コンデンサの両端の電圧の上昇の傾きを小さくする手段であればよく、上記の例に限定されない。
【0072】
例えば、タイマコンデンサの充電電流を制限する電流制限用抵抗の一部に対して並列に接続されて、オン状態にあるときに前記電流制限用抵抗の一部を短絡する短絡用スイッチと、キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたときにタイマコンデンサの充電が完了するまでの間短絡用スイッチをオン状態に保持し、キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられている間短絡用スイッチをオフ状態に保持するように短絡用スイッチを制御する短絡用スイッチ制御回路とによりタイマ動作時間延長手段を構成することができる。
【0073】
このようにタイマ動作時間延長手段を構成した実施形態を図4に示した。図4に示した例においては、タイマコンデンサの充電電流を制限する電流制限用抵抗として、2つの抵抗R2aとR2bとを直列に接続したものを用い、抵抗R2bの抵抗R2a側の端子及びコンデンサC1側の端子にそれぞれNPNトランジスタQ2’のコレクタ及びエミッタを接続している。
【0074】
またトランジスタQ2’のベースとツェナーダイオードZD1のカソードとの間に抵抗R10が接続され、キースイッチの可動接点がオン接点に切り換えられたときにバッテリ2からキースイッチと抵抗R10とを通してトランジスタQ2’にベース電流が与えられて、タイマコンデンサC1の充電が完了するまでの間、該トランジスタQ2’がオン状態になるようになっている。
【0075】
またエミッタが接地されたNPNトランジスタQ3のコレクタがトランジスタQ2’のベースに接続され、トランジスタQ3のベースエミッタ間に抵抗R8が接続されている。更にトランジスタQ3のベースに抵抗R9を通してツェナーダイオードZD3のアノードが接続され、ツェナーダイオードZD3のカソードは、キースイッチの始動接点3dにアノードを接続したダイオードD4のカソードに接続されている。その他の点は図1に示した例と同様に構成されている。
【0076】
この例では、トランジスタQ2’により短絡用スイッチが構成され、抵抗R8ないしR10と、トランジスタQ3と、ダイオードD4と、ツェナーダイオードZD3とにより、短絡用スイッチ制御回路が構成されている。
【0077】
図4に示した例では、キースイッチ3の可動接点がオン接点3cに接触したときに抵抗R10とトランジスタQ2’のベースエミッタ間とコンデンサC1とを通してトランジスタQ2’にベース電流が流れ、該トランジスタがオン状態になる。従って抵抗R2bが短絡され、タイマコンデンサC1は、ツェナーダイオードZD1の両端の電圧により、抵抗R2aとトランジスタQ2’のコレクタエミッタ間とを通して充電される。
【0078】
キースイッチ3の可動接点が始動接点3dに接触すると、トランジスタQ3にベース電流が流れて該トランジスタQ3がオン状態になるため、トランジスタQ2’のベース電流が該トランジスタQ2’から側路される。これによりトランジスタQ2’がオフ状態になるため、タイマコンデンサC1は、ツェナーダイオードZD1の両端の電圧で、抵抗R2a及びR2bを通して充電されるようになり、タイマコンデンサC1の充電時定数が大きい値に切り換えられる。これにより、タイマコンデンサC1の両端の電圧の上昇の傾きが緩くなるため、タイマコンデンサC1の両端の電圧が基準電圧Vrに達するのが遅れ、タイマの動作時間が正規の動作時間よりも延長される。
【0079】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、タイマがタイマ動作を行っている間にキースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたときにタイマがタイマ動作を行う時間を延長するタイマ動作時間延長手段を設けたので、タイマがタイマ動作を行っている間にキースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたときに、タイマの動作時間を正規の動作時間よりも延長することができる。従って、タイマがタイマ動作を行っている間にキースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられて、バッテリの電圧が落ち込んだ場合に、負荷を駆動する時間を延長して、負荷の動作を確実に完了させることができ、エンジンの始動時に動作させるべき負荷の動作が未完のままで負荷の駆動が停止して、エンジンを始動させることができなくなったり、エンジンの運転に不都合を来したりするのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示した回路図である。
【図2】図1に示した負荷の駆動装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】図1に示した負荷の駆動装置の動作を説明するための他のタイミングチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態の構成を示した回路図である。
【図5】従来の負荷駆動装置の全体的な構成を示したブロック図である。
【図6】図5の駆動装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】図5に示した駆動装置の更に具体的な構成を示した回路図である。
【図8】図7に示した駆動装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】図7に示した駆動装置の動作を説明するための他のタイミングチャートである。
【符号の説明】
1:ソレノイド(負荷)、1a:プルコイル、1b:ホールドコイル、2:バッテリ、3:キースイッチ、4:タイマ、5:負荷駆動用スイッチ、6:スタータ、7:タイマ動作時間延長手段、7A:タイマ動作時間延長用スイッチ、7B:タイマ動作時間延長用スイッチ駆動回路、7C:短絡用スイッチ、7D:短絡用スイッチ制御回路、C1:タイマコンデンサ、R2:充電電流制限用抵抗。
Claims (4)
- エンジン停止時の位置であるオフ位置とエンジン運転時の位置であるオン位置とエンジン始動時に始動用電動機に通電する際の位置である始動位置とに可動接点が切り換えられるキースイッチと、前記キースイッチの可動接点がオフ位置からオン位置に切り換えられたときにタイマ動作を開始して設定された動作時間の間タイマ動作を行うタイマと、エンジンに付属する負荷とバッテリとの間に設けられて前記タイマがタイマ動作を行っている間オン状態になる負荷駆動用スイッチとを備えて、前記タイマがタイマ動作を行っている間に前記負荷の動作を完了させる負荷の駆動装置において、
前記タイマがタイマ動作を行っている間に前記キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたことを検出したときに前記タイマの動作時間を正規の動作時間よりも延長するタイマ動作時間延長手段を具備してなるエンジンに付属する負荷の駆動装置。 - エンジン停止時の位置であるオフ位置とエンジン運転時の位置であるオン位置とエンジン始動時に始動用電動機に通電する際の位置である始動位置とに可動接点が切り換えられるキースイッチと、前記キースイッチの可動接点がオン位置にあるとき及び始動位置にあるときにタイマコンデンサを一定の時定数で充電するタイマ動作を行って、該タイマコンデンサの両端の電圧が設定値以上になったときにタイマ動作を終了するタイマと、エンジンに付属する負荷とバッテリとの間に設けられて前記タイマがタイマ動作を行っている間オン状態になる負荷駆動用スイッチとを備えて、前記タイマがタイマ動作を行っている間に前記負荷の動作を完了させる負荷の駆動装置において、
前記タイマコンデンサの両端に電流制限用抵抗を通して接続されて、オン状態にあるときに前記タイマコンデンサの充電電流の一部を該タイマコンデンサから側路するタイマ動作時間延長用スイッチと、
前記キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられている間前記タイマ動作時間延長用スイッチに駆動信号を与えて該タイマ動作時間延長用スイッチをオン状態に保持するタイマ動作時間延長用スイッチ駆動回路と、
を具備してなるエンジンに付属する負荷の駆動装置。 - エンジン停止時の位置であるオフ位置とエンジン運転時の位置であるオン位置とエンジン始動時に始動用電動機に通電する際の位置である始動位置とに可動接点が切り換えられるキースイッチと、前記キースイッチの可動接点がオン位置にあるとき及び始動位置にあるときに電流制限用抵抗を通してタイマコンデンサを一定の時定数で充電するタイマ動作を行って、該タイマコンデンサの両端の電圧が設定値以上になったときにタイマ動作を終了するタイマと、エンジンに付属する負荷とバッテリとの間に設けられて前記タイマがタイマ動作を行っている間オン状態になる負荷駆動用スイッチとを備えて、前記タイマがタイマ動作を行っている間に前記負荷の動作を完了させる負荷の駆動装置において、
前記電流制限用抵抗の一部に対して並列に接続されて、オン状態にあるときに前記電流制限用抵抗の一部を短絡する短絡用スイッチと、
前記キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられたときに前記タイマコンデンサの充電が完了するまでの間前記短絡用スイッチをオン状態に保持し、前記キースイッチの可動接点が始動位置に切り換えられている間前記短絡用スイッチをオフ状態に保持するように前記短絡用スイッチを制御する短絡用スイッチ制御回路と、
を具備してなるエンジンに付属する負荷の駆動装置。 - 前記負荷は、エンジンへの燃料の供給を制御するバルブを開状態にする際に励磁されるソレノイドである請求項1,2または3に記載のエンジンに付属する負荷の駆動装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010223084A (ja) * | 2009-03-23 | 2010-10-07 | Denso Corp | 電磁駆動装置 |
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