JP2004190380A - 車両用解錠装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ICカード1による照合と指紋認証による照合とを併用してドアを解錠する場合には、ICカード1を所持せずに指紋認証のみでドアを解錠する場合に比べてドア解錠用指紋認証装置3による認証閾値を低く設定する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICカードなどの携帯機に登録された固有の識別情報及び/又は携帯機のユーザの固有の特徴情報が予め車両側に登録された各情報と一致したときに、当該車両側のドアロック機構などの施錠部を解錠する車両用解錠装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用解錠装置として、ICカードに登録されたユーザの指紋と実際の運転者の指紋とを照合し、両指紋が一致しない場合にはエンジンスイッチの作動を不能とするものがある(例えば、特開2002−104136号公報)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−104136号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記指紋認証においてはセキュリティ性は向上できるものの、ユーザの指の大きさや特徴点の数、指先の皮膚の状態などにより認証精度が低下したり、認証時間が長くなるなどの不便さがあり、セキュリティ性と利便性との両立が課題であると共に、指紋の正規登録者であるのにもかかわらず不一致となって拒否されることもある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、セキュリティ性の維持と認証精度の向上とを両立できる車両用解錠装置を提供することである。
【0006】
また、他の目的として、セキュリティ性と利便性との両立を図ることができる車両用解錠装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る車両用解錠装置は、携帯機に登録された固有の識別情報を照合する識別情報照合手段と、前記携帯機のユーザの固有の特徴情報を照合する特徴情報照合手段と、前記携帯機に登録された固有の識別情報及び/又は前記携帯機のユーザの固有の特徴情報が予め車両側に登録された各情報と一致したときに、当該車両側の施錠部を解錠する解錠制御手段と、前記識別情報照合手段による前記識別情報の照合状況に応じて、前記特徴情報照合手段による前記特徴情報の照合時の判定閾値を変更する変更手段とを具備する。
【0008】
また、好ましくは、前記変更手段は、前記識別情報照合手段による前記識別情報の照合時において、前記特徴情報照合手段による前記特徴情報の照合時の判定閾値を下げる。
【0009】
また、好ましくは、前記変更手段は、前記識別情報照合手段による前記識別情報の照合状況に応じて、前記特徴情報照合手段による前記特徴情報の照合を実行可能な状態とする。
【0010】
また、好ましくは、前記携帯機には前記判定閾値が予め登録されており、前記変更手段は当該携帯機から受信した判定閾値に変更する。
【0011】
また、好ましくは、前記識別情報照合手段による前記識別情報の照合の結果により車両のドアロック機構が解錠された時には、エンジン始動を許可するに当たって前記特徴情報照合手段による前記特徴情報の照合を必須とする。
【0012】
また、好ましくは、前記特徴情報照合手段による前記特徴情報の照合の結果により車両のドアロック機構が解錠された時には、エンジン始動を許可するに当たって前記特徴情報照合手段による前記特徴情報の照合を実行しない。
【0013】
また、好ましくは、前記変更手段は、前記識別情報照合手段による前記識別情報の照合の結果により車両のドアロック機構が解錠された時には、前記特徴情報照合手段による前記特徴情報の照合の結果により車両のドアロック機構が解錠された時に比べて、エンジン始動を許可するための前記特徴情報照合手段による前記特徴情報の照合時の判定閾値を上げる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、識別情報の照合状況に応じて特徴情報の照合時の判定閾値を変更することにより、ユーザの特徴情報の照合時の認証閾値をセキュリティ性の維持と認証精度の向上とを両立できる最適値に設定できる。また、例えば、認証閾値を照合不一致になりにくい値に設定することにより、正規のユーザの利便性が向上すると共に、識別情報の照合によりセキュリティ性を維持できる。
【0015】
請求項2の発明によれば、前記変更は、識別情報の照合時において、特徴情報の照合時の判定閾値を下げることにより、特徴情報の正規登録者であるのにもかかわらず不一致となって拒否される本人拒否率の改善も図ることが出来る。また、照合不一致になりにくく、正規のユーザの利便性が向上すると共に、識別情報の照合によりセキュリティ性を維持できる。
【0016】
請求項3の発明によれば、前記変更は、識別情報の照合状況に応じて特徴情報の照合を実行可能な状態とすることにより、ユーザの特徴情報の照合処理を直ちに行なうことができるため、認証時間が短縮できて利便性が向上する。
【0017】
請求項4の発明によれば、携帯機には前記判定閾値が予め登録されており、前記変更は当該携帯機から受信した判定閾値に変更することにより、例えば、ユーザの特徴情報としての指紋の大きさや特徴点の数、肌荒れの状態などに応じて適切な判定閾値が設定されるため、本人拒否率の改善が図れ、利便性が向上する。
【0018】
請求項5の発明によれば、識別情報の照合の結果により車両のドアロック機構が解錠された時には、エンジン始動を許可するに当たって前記特徴情報の照合を必須とすることにより、例えば、荷物を持って両手が塞がっている場合や手袋着用時などにおけるドアアクセスに対する利便性を確保しつつ、自走による車両盗難のリスクを回避することが可能となる。また、ICカードを所持していない場合でも、指紋認証のみでドアロック解除とエンジン始動が可能であるため、完全キーレスとしての利便性も確保できる。
【0019】
請求項6の発明によれば、特徴情報の照合の結果により車両のドアロック機構が解錠された時には、エンジン始動を許可するに当たって特徴情報の照合を実行しないことにより、識別情報の照合のみでエンジン始動が可能であるため、完全キーレスとしての利便性も確保できる。
【0020】
請求項7の発明によれば、前記変更は、識別情報の照合の結果により車両のドアロック機構が解錠された時には、特徴情報の照合の結果により車両のドアロック機構が解錠された時に比べて、エンジン始動を許可するための特徴情報の照合時の判定閾値を上げることにより、例えば、荷物を持って両手が塞がっている場合や手袋着用時などにおけるドアアクセスに対する利便性を確保しつつ、自走による車両盗難のリスクを回避することが可能となる。また、ICカードを所持していない場合でも、指紋認証のみでドアロック解除とエンジン始動が可能であるため、完全キーレスとしての利便性も確保できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したもの、例えば指紋以外のユーザの固有の特徴情報として音色や顔、静脈パターン、光彩などを用いた生体認証(バイオメトリクス認証)にも適用可能である。
【0023】
[車両用解錠装置のシステム構成]
はじめに、図1を参照して本発明に係る実施形態の車両用解錠装置のシステム構成について説明する。
【0024】
本実施形態に適用される車両用解錠装置は、図1に示すように、携帯機としてのICカード1に登録されたユーザの固有の識別(ID)情報(暗号コードなど)や後述する指紋認証に用いられる当該ユーザの認証閾値情報を車外から電波により非接触で読み取って予め車両側に登録された識別情報と一致するか否かを照合する識別情報照合手段としてのドア解錠用ICカードリーダ2と、上記ユーザの固有の特徴情報(指紋など)をユーザの指3を接触させることにより読み取って予め車両側に登録された特徴情報と一致するか否かを照合する特徴情報照合手段としてのドア解錠用指紋認証装置5と、ICカード1に登録されたユーザの固有の識別情報と当該ユーザの固有の特徴情報のいずれもが予め車両側に登録された各情報と一致したとき、又はユーザの固有の特徴情報のみが予め車両側に登録された情報と一致したときに、当該車両側の施錠部としてのドアロック機構4の解錠(アンロック)を行なう解錠制御手段としての認証制御部6とを備える。
【0025】
また、車室内には他の識別情報照合手段としてのエンジン始動用ICカードリーダ11と他の特徴情報照合手段としてのエンジン始動用指紋認証装置12とが設けられ、上記認証制御部6は上記ドアの解錠後にICカード1に登録されたユーザの固有の識別情報と当該ユーザの固有の特徴情報のいずれもが予め車両側に登録された各情報と一致したとき、又はユーザの固有の特徴情報のみが予め車両側に登録された情報と一致したときに、当該車両側の施錠部としてのエンジン9の始動を許可する。
【0026】
上記ドア解錠用指紋認証装置5は車外にいるユーザ(以下、被認証者ともいう)が指3を接触し、その接触された指の指紋を読み取る指紋センサがドアノブ近傍などに設けられている。また、上記エンジン始動用指紋認証装置12は被認証者が指3を接触し、その接触された指の指紋を読み取る読取デバイスが車室内のドライバ席近傍などに設けられ、完全キーレスシステムを構成している。
【0027】
尚、上記エンジン始動用ICカードリーダ11及び/又は上記エンジン始動用指紋認証装置12とを用いたシステム構成は後述する第3及び第4実施形態に適用され、第1及び第2実施形態では上記ドア解錠用ICカードリーダ2及び/又は上記ドア解錠用指紋認証装置5を用いてドアの解錠を行なうシステム構成となる。
【0028】
ドアロック機構4によるドアの施錠(ロック)/解錠(アンロック)制御はドアロック制御装置7が行ない、また、ドアロック制御装置7はドア解錠(アンロック)状態でICカードを所持するユーザが車両ドアから離れてICカード1から識別情報が読み取れなくなると自動的にドアを施錠(ロック)する。
【0029】
エンジン9の制御はエンジン制御装置8が行ない、ICカード1や指紋認証を用いたエンジン9の始動/停止のほか、エンジン稼動状態において予めプログラムされた制御パターンにより成層燃焼や均一燃焼などの空燃比制御を実行する。
【0030】
[第1実施形態の解錠制御]
図2及び図3は、本発明に係る第1実施形態の解錠制御を示すフローチャートである。
【0031】
この第1実施形態では、図1において盗難防止性を重視してICカード1による照合のみではドア解錠を許可しないシステム構成とし、ドア解錠用指紋認証装置5の指紋認証閾値をドア解錠用ICカードリーダ2による識別情報の照合状況に応じて変更する変更手段として認証制御部6を機能させる。尚、上述したようにエンジン始動用ICカードリーダ11及びエンジン始動用指紋認証装置12は搭載されていない。
【0032】
具体的には、ユーザがICカード1による照合と指紋認証とを併用してドアを解錠する場合には、指紋認証のみでドアを解錠する場合に比べてドア解錠用指紋認証装置5による認証閾値を低く設定する。
【0033】
上記制御によれば、ドア解錠用指紋認証装置5による認証閾値をセキュリティ性の維持と認証精度の向上とを両立できる最適値に設定できるため、利便性はもちろんのこと指紋の正規登録者であるのにもかかわらず不一致となって拒否される本人拒否率の改善も図ることが出来る。
【0034】
上記制御に加えて、ユーザがICカード1を所持してICカードによる照合ができる状態であれば、ICカード1からの電波をドア解錠用ICカードリーダ2が受信した時点で、ドア解錠用指紋認証装置5を待機状態から指紋認証可能な起動状態に移行させてもよい。これにより、被認証者がドア解錠用指紋認証装置5に指を接触させると直ちに指紋認証処理を行なうことができるため、認証時間が短縮できて利便性が向上する。
【0035】
<ICカードと指紋認証とを併用したドア解錠の制御内容>
以下の制御例は、ユーザがICカード1と指紋認証とを併用してドアを解錠する場合を示している。
【0036】
図2に示すように、ステップS1でドア解錠用ICカードリーダ2がICカード1から識別情報を読み取り(ステップS1でYES)、ステップS2でICカード1に登録された識別情報が予め車両側に登録された情報と一致すると(ステップS2でYES)、ステップS3でドア解錠用指紋認証装置5を起動して指紋認証可能な状態とする。尚、ステップS2でICカード1に登録された識別情報が予め車両側に登録された情報と一致しないならば(ステップS2でNO)、ステップS8で照合失敗などの異常情報をクラクションや方向指示ランプ、或いは車室内のディスプレイ表示や音声スピーカなどで報知する。
【0037】
ステップS4では、ICカード1による照合と指紋認証とを併用してドアを解錠する場合であるので、ICカード1による照合をせず(ICカード1を所持せず)に指紋認証のみでドアを解錠する場合に比べてドア解錠用指紋認証装置5による認証閾値を低く設定する。この認証閾値は、指紋認証に要する指紋の特徴点の数を通常時より少なくするなどして認証成功率を高めている。
【0038】
次に、ステップS5でドア解錠用指紋認証装置5がユーザの特徴情報としての指紋を読み取り(ステップS5でYES)、ステップS6でその特徴情報が予め車両側に登録された情報と一致すると(ステップS6でYES)、ステップS7で認証制御部6はドアロック制御装置7に解錠信号を出力し、ドアロック制御装置7はドアを施錠状態から解錠状態にする。
【0039】
また、ステップS5でユーザがドア解錠用指紋認証装置5に指3を接触させたにもかかわらずユーザの特徴情報としての指紋を読み取れない場合には(ステップS5でNO)、ステップS10でユーザに指紋の再入力を促すために、クラクションや方向指示ランプ、或いは車室内のディスプレイ表示や音声スピーカなどで報知する。
【0040】
上記ステップS10で再入力を報知した後、ステップS11で所定時間経過するまでは上記ステップS5以降の指紋認証処理を再度実行し、所定時間経過後は上記ステップS8に進んで照合失敗などの異常情報をクラクションや方向指示ランプ、或いは車室内のディスプレイ表示や音声スピーカなどで報知する。
【0041】
また、ステップS6でユーザの特徴情報と予め車両側に登録された情報とが不一致ならば(ステップS6でNO)、ステップS9で予め設定された回数だけ上記ステップS10,S11を経てステップS5以降の指紋認証処理を再度実行し、その設定回数だけ実行したにもかかわらず一致しない場合には(ステップS9でYES)、上記ステップS8に進んで照合失敗などの異常情報をクラクションや方向指示ランプ、或いは車室内のディスプレイ表示や音声スピーカなどで報知する。
【0042】
<指紋認証のみでのドア解錠の制御内容>
以下の制御例は、ユーザがICカード1による照合をせずに指紋認証のみでドアを解錠する場合を示している。
【0043】
図3に示すように、ステップS21でユーザがドア解錠用指紋認証装置5に指3を接触させたことを検知したならば(ステップS21でYES)、ステップS22でドア解錠用指紋認証装置5を起動して指紋認証可能な状態とする。
【0044】
ステップS23では、ユーザがICカード1による照合をせず(ICカード1を所持せず)に指紋認証のみでドアを解錠する場合なのでドア解錠用指紋認証装置5による認証閾値をICカード1と指紋認証とを併用した場合の認証閾値より高い値の標準値に設定する。
【0045】
次に、ステップS24でドア解錠用指紋認証装置5がユーザの特徴情報としての指紋を読み取り(ステップS24でYES)、ステップS25でその特徴情報が予め車両側に登録された情報と一致すると(ステップS25でYES)、ステップS26で認証制御部6はドアロック制御装置7に解錠信号を出力し、ドアロック制御装置7はドアロック機構4を解錠状態とする。
【0046】
また、ステップS24でユーザがドア解錠用指紋認証装置5に指を接触させたにもかかわらずユーザの特徴情報としての指紋を読み取れない場合には(ステップS24でNO)、ステップS29でユーザに指紋の再入力を促すために、クラクションや方向指示ランプ、或いは車室内のディスプレイ表示や音声スピーカなどで報知する。
【0047】
上記ステップS29で再入力を報知した後、ステップS30で所定時間経過するまでは上記ステップS24以降の処理を再度実行し、所定時間経過後は上記ステップS27に進んで照合失敗などの異常情報をクラクションや方向指示ランプ、或いは車室内のディスプレイ表示や音声スピーカなどで報知する。
【0048】
また、ステップS25でユーザの特徴情報と予め車両側に登録された情報とが不一致ならば(ステップS25でNO)、ステップS28で予め設定された回数だけ上記ステップS29,S30を経てステップS24以降の指紋認証処理を再度実行し、その設定回数だけ実行したにもかかわらず一致しない場合には(ステップS28でYES)、上記ステップS27に進んで照合失敗などの異常情報をクラクションや方向指示ランプ、或いは車室内のディスプレイ表示や音声スピーカなどで報知する。
【0049】
[第2実施形態の解錠制御]
図5は、本発明に係る第2実施形態の解錠制御を示すフローチャートである。
【0050】
この第2実施形態では、上記第1実施形態と同一のシステム構成として、各ユーザが個々に指の状態に応じて適正化した認証閾値を登録したICカード1を所持し、図4に示すように、それらICカード1からユーザごとの認証閾値を読み取って指紋認証時の認証閾値に設定するものである。従って、以下のフローチャートでは第1実施形態と重複する部分については同一のステップ番号を付して説明を省略する。また、ユーザがICカード1による認証をせずに指紋認証のみでドアを解錠する場合も図3と同一処理であるので説明を省略する。
【0051】
この第2実施形態によれば、ユーザの指の大きさや特徴点の数、肌荒れの状態などに応じて適切な認証閾値が設定されるため、本人拒否率の改善が図れ、利便性が向上する。
【0052】
<ICカードと指紋認証とを併用したドア解錠の制御内容>
以下の制御例は、ユーザがICカード1による照合と指紋認証とを併用してドアを解錠する場合を示している。
【0053】
図5に示すように、ステップS2でICカード1に登録された識別情報が予め車両側に登録された情報と一致すると(ステップS2でYES)、ステップS31でドア解錠用ICカードリーダ2はICカード1ごとに個別に登録された認証閾値データを読み込み、ステップS3でドア解錠用指紋認証装置5を起動して指紋認証可能な状態とする。
【0054】
次に、ステップS32でドア解錠用指紋認証装置5による認証閾値をICカード1から読み込んだ認証閾値データに設定する。
【0055】
その後、図2と同様にステップS5以降の処理を実行する。
【0056】
[第3実施形態の解錠制御]
図6乃至図10は、本発明に係る第3実施形態の解錠制御を示すフローチャートである。
【0057】
この第3実施形態では、図1においてICカード1による照合のみではドアの解錠は許可するがエンジン9の始動を許可しないシステム構成とし、ICカード1による照合のみでドアを解錠した場合には、車室内でICカード1を所持していてもエンジン始動時に指紋認証を必ず行なうものである。従って、第3実施形態のシステム構成ではエンジン始動用ICカードリーダ11及びエンジン始動用指紋認証装置12を搭載したものとなる。
【0058】
上記制御に加えて、ユーザ個人別にICカード1を所持することとし、各ICカード1に個人別のエンジン始動許可情報を登録するように構成してもよい。この場合、子供などが誤ってエンジン始動してしまうことを防止するために、そのICカードにエンジン始動不許可情報を登録しておくことによって、ドアを解錠して車室内に入ることは可能であるが、エンジン始動は許可されないため誤発進などの発生を防ぐことが可能となる。
【0059】
尚、以下のフローチャートで第1実施形態と重複する部分については同一のステップ番号を付して説明を省略する。また、ユーザがICカード1による照合をせずに指紋認証のみでドアを解錠するまでの処理も図3と同一処理であるので第1実施形態と重複する部分については同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0060】
この第3実施形態によれば、荷物を持って両手が塞がっている場合や手袋着用時などにおけるドアアクセスに対する利便性を確保しつつ、自走による車両盗難のリスクを回避することが可能となる。また、ICカードを所持していない場合でも、指紋認証のみでドアロック解除とエンジン始動が可能であるため、完全キーレスとしての利便性も確保できる。
【0061】
<ICカードのみでのドア解錠、指紋認証のみでのエンジン始動の制御内容(図6、図7)>
以下の制御例は、ユーザがICカード1による照合と指紋認証とを併用してエンジンを始動する場合を示している。
【0062】
図6に示すように、ステップS2でICカード1に登録された識別情報が予め車両側に登録された情報と一致すると(ステップS2でYES)、ステップS7で認証制御部6はドアロック制御装置7に解錠信号を出力し、ドアロック制御装置7はドアロック機構4を施錠状態から解錠状態にする。
【0063】
また、ステップS2でICカード1に登録された識別情報が予め車両側に登録された情報と一致しないならば(ステップS2でNO)、ステップS8で照合失敗などの異常情報をクラクションや方向指示ランプ、或いは車室内のディスプレイ表示や音声スピーカなどで報知する。
【0064】
上記ステップS7でドアを解錠した後、図7に示すステップS41に進み、ステップS41でユーザがエンジン始動用指紋認証装置12に指3を接触させたことを検知したならば(ステップS41でYES)、ステップS42でエンジン始動用指紋認証装置12を起動して指紋認証可能な状態とする。
【0065】
ステップS43では、エンジン始動用指紋認証装置12がユーザの特徴情報としての指紋を読み取り(ステップS43でYES)、ステップS44でその特徴情報が予め車両側に登録された情報と一致すると(ステップS44でYES)、ステップS45で認証確認情報を車室内のディスプレイなどで報知する。
【0066】
その後、ステップS46で認証制御部6はエンジン制御装置8にエンジン始動信号を出力し、エンジン制御装置8はエンジン9を始動させる。
【0067】
また、ステップS43でユーザがエンジン始動用指紋認証装置12に指を接触させたにもかかわらずユーザの特徴情報としての指紋を読み取れない場合には(ステップS43でNO)、ステップS48でユーザに指紋の再入力を促すために車室内のディスプレイなどで報知する。
【0068】
上記ステップS48で再入力を報知した後、ステップS47で所定時間経過するまでは上記ステップS43以降の指紋認証処理を再度実行し、所定時間経過後は上記ステップS50に進んで照合失敗などの異常情報を車室内のディスプレイなどで報知する。
【0069】
また、ステップS44でユーザの特徴情報と予め車両側に登録された情報とが不一致ならば(ステップS44でNO)、ステップS49で予め設定された回数だけ上記ステップS48,S47を経てステップS43以降の指紋認証処理を再度実行し、その設定回数だけ実行したにもかかわらず一致しない場合には(ステップS49でYES)、上記ステップS50に進んで照合失敗などの異常情報を車室内のディスプレイなどで報知する。
【0070】
<指紋認証のみでのドア解錠、ICカードのみでのエンジン始動の制御内容(図8、図9)>
以下の制御例は、ICカード1による照合をせずに指紋認証のみでドアが解錠されたならば、指紋認証による照合はせずにICカード1による照合のみでエンジン始動を行なう場合を示している。
【0071】
図8において図3と同様の指紋認証処理を行なってドアを解錠した後(ステップS26)、図9に示すステップS61に進み、ステップS61でエンジン始動用ICカードリーダ11がICカード1から識別情報を読み取り(ステップS61でYES)、ステップS62でICカード1に登録された識別情報が予め車両側に登録された情報と一致すると(ステップS62でYES)、ステップS63で認証確認情報を車室内のディスプレイなどで報知する。
【0072】
その後、ステップS64で認証制御部6はエンジン制御装置8にエンジン始動信号を出力し、エンジン制御装置8はエンジン9を始動させる。
【0073】
また、ステップS62でICカード1に登録された識別情報が予め車両側に登録された情報と一致しないならば(ステップS62でNO)、ステップS65で照合失敗などの異常情報をクラクションや方向指示ランプ、或いは車室内のディスプレイ表示や音声スピーカなどで報知する。
【0074】
<指紋認証のみでのドア解錠及びエンジン始動の制御内容(図10)>
以下の制御例は、ユーザがICカード1による照合をせずに指紋認証のみでドアを解錠し且つエンジン始動を行なう場合を示している。
【0075】
図8において図3と同様の指紋認証処理を行なってドアを解錠した後(ステップS26)、図10に示すステップS71に進み、ステップS71でユーザがエンジン始動用指紋認証装置12に指3を接触させたことを検知したならば(ステップS71でYES)、ステップS72でエンジン始動用指紋認証装置12を起動して指紋認証可能な状態とする。
【0076】
ステップS74ではエンジン始動用指紋認証装置12がユーザの特徴情報としての指紋を読み取り(ステップS74でYES)、ステップS75でその特徴情報が予め車両側に登録された情報と一致すると(ステップS75でYES)、ステップS76で認証確認情報を車室内のディスプレイなどで報知する。
【0077】
その後、ステップS77で認証制御部6はエンジン制御装置8にエンジン始動信号を出力し、エンジン制御装置8はエンジン9を始動させる。
【0078】
また、ステップS74でユーザがエンジン始動用指紋認証装置12に指3を接触させたにもかかわらずユーザの特徴情報としての指紋を読み取れない場合には(ステップS74でNO)、ステップS79でユーザに指紋の再入力を促すために車室内のディスプレイなどで報知する。
【0079】
上記ステップS79で再入力を報知した後、ステップS80で所定時間経過するまでは上記ステップS74以降の指紋認証処理を再度実行し、所定時間経過後は上記ステップS81に進んで照合失敗などの異常情報を車室内のディスプレイなどで報知する。
【0080】
また、ステップS75でユーザの特徴情報と予め車両側に登録された情報とが不一致ならば(ステップS75でNO)、ステップS78で予め設定された回数だけ上記ステップS79,S80を経てステップS74以降の指紋認証処理を再度実行し、その設定回数だけ実行したにもかかわらず一致しない場合には(ステップS78でYES)、上記ステップS81に進んで照合失敗などの異常情報を車室内のディスプレイなどで報知する。
[第4実施形態の解錠制御]
図11及び図12は、本発明に係る第4実施形態の解錠制御を示すフローチャートである。
【0081】
この第4実施形態では、第3実施形態と同様にICカード1による照合のみではドアロック機構4の解錠は許可するがエンジン9の始動を許可しないシステム構成とし、ICカード1による照合のみでドアロック機構4を解錠した場合には、車室内でICカードを所持していてもエンジン始動時に指紋認証を必須とし、且つ指紋認証による照合のみでドアロック機構4を解錠した場合に比べてエンジン始動用指紋認証における認証閾値を高く設定するものである。従って、第4実施形態のシステム構成では図1のシステム構成においてエンジン始動用指紋認証装置12を搭載したものとなる。
【0082】
尚、以下のフローチャートで第3実施形態と重複する部分については説明を省略する。
【0083】
この第4実施形態によれば、荷物を持って両手が塞がっている場合や手袋着用時などにおけるドアアクセスに対する利便性を確保しつつ、自走による車両盗難のリスクを回避することが可能となる。また、ICカードを所持していない場合でも、指紋認証のみでドアロック解除とエンジン始動が可能であるため、完全キーレスとしての利便性も確保できる。
【0084】
<ICカードのみでのドア解錠、指紋認証のみでのエンジン始動の制御内容(図11)>
以下の制御例は、ユーザがICカード1による照合のみでドアを解錠した後に指紋認証によりエンジン始動を行なう場合を示している。尚、ICカード1のみによるドア解錠までは図6のフローチャートと同様の処理であるので説明を省略する。
【0085】
図6のステップS7でドアをアンロックした後、図11に示すステップS91に進み、ICカード1による照合のみでドアを解錠する場合であるので、ICカード1と指紋認証との併用又は指紋認証のみでドアを解錠する場合に比べてエンジン始動用指紋認証装置12による認証閾値を高く設定する。この認証閾値は、指紋認証に要する指紋の特徴点の数を通常時より多くするなどして認証成功の要求閾値が高められる。
【0086】
次に、ステップS92でユーザがエンジン始動用指紋認証装置12に指3を接触させたことを検知したならば(ステップS92でYES)、ステップS93でエンジン始動用指紋認証装置12を起動して指紋認証可能な状態とする。
【0087】
ステップS94では、上記ステップS91で設定された認証閾値で、エンジン始動用指紋認証装置12がユーザの特徴情報としての指紋を読み取り(ステップS94でYES)、ステップS95でその特徴情報が予め車両側に登録された情報と一致すると(ステップS95でYES)、ステップS96で認証確認情報を車室内のディスプレイなどで報知する。
【0088】
その後、ステップS97で認証制御部6はエンジン制御装置8にエンジン始動信号を出力し、エンジン制御装置8はエンジン9を始動させる。
【0089】
また、ステップS94でユーザがエンジン始動用指紋認証装置12に指3を接触させたにもかかわらずユーザの特徴情報としての指紋を読み取れない場合には(ステップS94でNO)、ステップS99でユーザに指紋の再入力を促すために車室内のディスプレイなどで報知する。
【0090】
上記ステップS99で再入力を報知した後、ステップS100で所定時間経過するまでは上記ステップS94以降の指紋認証処理を再度実行し、所定時間経過後は上記ステップS101に進んで照合失敗などの異常情報を車室内のディスプレイなどで報知する。
【0091】
また、ステップS95でユーザの特徴情報と予め車両側に登録された情報とが不一致ならば(ステップS95でNO)、ステップS98で予め設定された回数だけ上記ステップS99,S100を経てステップS94以降の指紋認証処理を再度実行し、その設定回数だけ実行したにもかかわらず一致しない場合には(ステップS98でYES)、上記ステップS101に進んで照合失敗などの異常情報を車室内のディスプレイなどで報知する。
【0092】
<指紋認証のみでのドア解錠及びエンジン始動の制御内容(図12)>
以下の制御例は、ユーザがICカード1と指紋認証とを併用又は指紋認証による照合のみでドア解錠及びエンジン始動を行なう場合を示している。尚、ICカード1と指紋認証との併用によるドア解錠は図2のフローチャートと同様か又は当該フローチャートからステップS4を省略したものと同様であり、また、指紋認証のみによるドア解錠までは図8のフローチャートと同様の処理であるので説明を省略する。
【0093】
図2のステップS7又は図8のステップS26でドアを解錠した後、図12に示すステップS103に進み、ICカード1と指紋認証とを併用又は指紋認証のみでドアを解錠する場合であるのでICカード1による照合のみでドア解錠する場合に比べてエンジン始動用指紋認証装置12による認証閾値を低く、つまり標準値に設定する。
【0094】
その後、図11のステップS92以降と同様の指紋認証処理を認証閾値が標準値に設定された状態で実行される。
【0095】
尚、上述の各実施形態の解錠制御(図2乃至図12のフローチャートを含む)に対応するコンピュータプログラムや当該コンピュータプログラムが格納された記憶媒体を、車両に搭載されたコンピュータに供給して、当該コンピュータが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して、上記各実施形態の解錠処理を実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の車両用解錠装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る第1実施形態の解錠制御を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る第1実施形態の解錠制御を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る第2実施形態の解錠制御を実現するためのICカードに登録された情報を示す図である。
【図5】本発明に係る第2実施形態の解錠制御を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る第3実施形態の解錠制御を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る第3実施形態の解錠制御を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る第3実施形態の解錠制御を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る第3実施形態の解錠制御を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る第3実施形態の解錠制御を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る第4実施形態の解錠制御を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る第4実施形態の解錠制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ICカード
2 ドア解錠用ICカードリーダ
3 被認証者の指
4 ドアロック機構
5 ドア解錠用指紋認証装置
6 認証制御部
7 ドアロック制御装置
8 エンジン制御装置
9 エンジン
11 エンジン始動用ICカードリーダ
12 エンジン始動用指紋認証装置
Claims (7)
- 携帯機に登録された固有の識別情報を照合する識別情報照合手段と、
前記携帯機のユーザの固有の特徴情報を照合する特徴情報照合手段と、
前記携帯機に登録された固有の識別情報及び/又は前記携帯機のユーザの固有の特徴情報が予め車両側に登録された各情報と一致したときに、当該車両側の施錠部を解錠する解錠制御手段と、
前記識別情報照合手段による前記識別情報の照合状況に応じて、前記特徴情報照合手段による前記特徴情報の照合時の判定閾値を変更する変更手段とを具備することを特徴とする車両用解錠装置。 - 前記変更手段は、前記識別情報照合手段による前記識別情報の照合時において、前記特徴情報照合手段による前記特徴情報の照合時の判定閾値を下げることを特徴とする請求項1に記載の車両用解錠装置。
- 前記変更手段は、前記識別情報照合手段による前記識別情報の照合状況に応じて、前記特徴情報照合手段による前記特徴情報の照合を実行可能な状態とすることを特徴とする請求項1に記載の車両用解錠装置。
- 前記携帯機には前記判定閾値が予め登録されており、前記変更手段は当該携帯機から受信した判定閾値に変更することを特徴とする請求項1に記載の車両用解錠装置。
- 前記識別情報照合手段による前記識別情報の照合の結果により車両のドアロック機構が解錠された時には、エンジン始動を許可するに当たって前記特徴情報照合手段による前記特徴情報の照合を必須とすることを特徴とする請求項1に記載の車両用解錠装置。
- 前記特徴情報照合手段による前記特徴情報の照合の結果により車両のドアロック機構が解錠された時には、エンジン始動を許可するに当たって前記特徴情報照合手段による前記特徴情報の照合を実行しないことを特徴とする請求項5に記載の車両用解錠装置。
- 前記変更手段は、前記識別情報照合手段による前記識別情報の照合の結果により車両のドアロック機構が解錠された時には、前記特徴情報照合手段による前記特徴情報の照合の結果により車両のドアロック機構が解錠された時に比べて、エンジン始動を許可するための前記特徴情報照合手段による前記特徴情報の照合時の判定閾値を上げることを特徴とする請求項1に記載の車両用解錠装置。
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