JP2004190064A - 金属端子の表面処理方法及び金属端子 - Google Patents

金属端子の表面処理方法及び金属端子 Download PDF

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Taisuke Miki
泰典 三木
Hiroshi Yanagida
浩 柳田
Shunichi Nakayama
俊一 中山
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Abstract

【課題】高い耐食性を有する金属端子を提供する。
【解決手段】金属端子1の表面に硫黄を含まないニッケルめっき層2を形成する。このニッケルめっき層2の表面にこのニッケルめっき層2の電位よりも高い電位を有する金属めっき層3を形成することによって表面処理する。金属めっき層3の電位Eが高いことによって、高い耐食性を得ることができると共に、ニッケルめっき層2の電位Eと金属めっき層3の電位Eとの差ΔE1−3が著しく小さくなり、これによって腐食速度が著しく遅くなることとなり、さらに高い耐食性を得ることができるものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属端子の表面処理方法及び金属端子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属端子は銅(Cu)系素材で作製されるものであり、その表面にニッケル(Ni)めっき浴を用いて下地めっきとしてNiめっき層を形成した後、このNiめっき層の表面に金(Au)めっき層やクロム(Cr)めっき層を形成して表面処理が行われている(例えば、特許文献1及び2参照。)。そしてNiめっき浴としては、ワット浴やスルファミン酸Niめっき浴が広く用いられている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−238569号公報(段落番号[0002]等)
【特許文献2】
特開平5−171468号公報(特許請求の範囲等)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Niめっき層8の表面に特にAu等の貴金属めっき層3を図5に示すように形成した場合には、例えばAuめっき層3の電位をE、Niめっき層8の電位をEとすれば、これらのめっき層3,8間の電位差ΔE1−2が大きくなる。そうすると、大きな電位差ΔE1−2によって腐食速度が速くなり、十分に高い耐食性を得ることが難しくなるという問題があった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、高い耐食性を得ることができる金属端子の表面処理方法及び高い耐食性を有する金属端子を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る金属端子は、金属端子1の表面に硫黄を含まないニッケルめっき層2を形成すると共に、このニッケルめっき層2の表面にこのニッケルめっき層2の電位よりも高い電位を有する金属めっき層3を形成することによって表面処理して成ることを特徴とするものである。
【0007】
また請求項2に係る金属端子は、金属端子1の表面に硫黄を含む第1ニッケルめっき層4を形成し、第1ニッケルめっき層4の表面に硫黄を含まない第2ニッケルめっき層5を形成すると共に、第2ニッケルめっき層5の表面に第2ニッケルめっき層5の電位よりも高い電位を有する金属めっき層3を形成することによって表面処理して成ることを特徴とするものである。
【0008】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、金属めっき層3が貴金属めっき層であることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項4の発明は、請求項3において、貴金属めっき層の厚さが硫黄を含まないニッケルめっき層2,5の厚さよりも薄いことを特徴とするものである。
【0010】
また請求項5に係る金属端子の表面処理方法は、硫黄析出因子を含有しないニッケルめっき浴を用いて金属端子1の表面に硫黄を含まないニッケルめっき層2を形成した後に、このニッケルめっき層2の表面にこのニッケルめっき層2の電位よりも高い電位を有する金属めっき層3を形成することによって金属端子1を表面処理することを特徴とするものである。
【0011】
また請求項6の発明は、請求項5において、ニッケルめっき浴として、硫黄析出因子を含有しないワット浴を用いることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項7の発明は、請求項5において、ニッケルめっき浴として、硫酸マグネシウム・7水塩、塩化ニッケル・6水塩及びホウ酸からなるめっき浴を用いることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項8に係る金属端子の表面処理方法は、硫黄析出因子を含有するニッケルめっき浴を用いて金属端子1の表面に硫黄を含む第1ニッケルめっき層4を形成し、次いで硫黄析出因子を含有しないニッケルめっき浴を用いて第1ニッケルめっき層4の表面に硫黄を含まない第2ニッケルめっき層5を形成し、しかる後に第2ニッケルめっき層5の表面に第2ニッケルめっき層5の電位よりも高い電位を有する金属めっき層3を形成することによって金属端子1を表面処理することを特徴とするものである。
【0014】
また請求項9の発明は、請求項5乃至8のいずれかにおいて、金属めっき層3が貴金属めっき層であることを特徴とするものである。
【0015】
また請求項10の発明は、請求項9において、貴金属めっき層の厚さが硫黄を含まないニッケルめっき層2,5の厚さよりも薄いことを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図3は金属端子1の一例を示すものである。この金属端子1は、Cu系素材の長尺な帯板(ストリップ10)をプレス加工することによって、図3(a)に示すようにストリップ10の長手方向の一側端縁に沿って多数本を平行に配列して、ストリップ10と一体に形成してある。各金属端子1は、その先端部側から順に接点部6及び端子部9を設けるように折り曲げ加工して形成されている。また、図4は金属端子1の他例を示すものである。この金属端子1も、ストリップ10をプレス加工することによって、図4(a)に示すようにストリップ10の長手方向の一側端縁に沿って多数本を平行に配列して、ストリップ10と一体に形成してある。各金属端子1は、その先端部側から順に接点部6を2個所に設け、さらに端子部9を設けるように折り曲げ加工して形成されており、上記2個所の接点部6は図4(c)に示すように対向させている。
【0018】
そして図1は、本発明の請求項5に係る金属端子の表面処理方法を使用して、金属端子1を表面処理したものである。上記方法によって金属端子1を表面処理するにあたっては、次のようにして行うことができる。まず金属端子1の表面にNiめっき層2を形成するのであるが、この場合、硫黄析出因子を含有しないNiめっき浴を用いるものである。ここで、硫黄析出因子とは、Niめっき層2に硫黄を析出させる因子を意味するものであり、硫黄析出因子を含有しないNiめっき浴を用いれば、図1に示すように硫黄を含まないNiめっき層2を金属端子1の表面に形成することができる。Niめっき層2の厚さは、特に限定されるものではないが、好ましくは0.05〜10μmであり、より好ましくは0.1〜10μmである。
【0019】
なお、従来のワット浴やスルファミン酸Niめっき浴には硫黄析出因子が含有されている。すなわち、従来のワット浴を構成する成分は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸、添加剤であり、またスルファミン酸Niめっき浴を構成する成分は、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸、添加剤であるが、いずれのNiめっき浴においても、添加剤が硫黄析出因子に該当するのである。具体的には、添加剤としては、めっきの結晶を微細化して光沢を付与する第1光沢剤や、平滑化機能を持つ第2光沢剤や、めっき浴の表面張力を下げて濡れ性を改善したりピンホールを改善したりする界面活性剤等が用いられており、これらのものを組み合わせることによってNiめっき層8の粗度(光沢)を自由に調整することができるが、第1光沢剤として用いられるベンゼンスルホン酸等や、第2光沢剤として用いられるホルムアルデヒド等や、界面活性剤として用いられるアルキルベンゼンスルホン酸等が、それぞれ硫黄析出因子に該当するのである。従って、従来のワット浴やスルファミン酸Niめっき浴のように硫黄析出因子を含有するNiめっき浴を用いると、図5に示すように硫黄を含むNiめっき層8が金属端子1の表面に形成されてしまい、図1に示すように硫黄を含まないNiめっき層2を金属端子1の表面に形成することは不可能である。
【0020】
そして、請求項5の発明においては図1に示すように、金属端子1の表面に硫黄を含まないNiめっき層2を形成した後に、このNiめっき層2の表面にこのNiめっき層2の電位よりも高い電位を有する金属めっき層3を形成することによって金属端子1を表面処理するものである。このように、硫黄を含まないNiめっき層2の表面にこのNiめっき層2の電位よりも高い電位を有する金属めっき層3を形成すると、高い耐食性を得ることができるものである。また、金属めっき層3の電位をE、硫黄を含むNiめっき層8の電位をE、硫黄を含まないNiめっき層2の電位をEとして、図5に示すように硫黄を含むNiめっき層8の表面に直接金属めっき層3を形成する場合と、図1に示すように硫黄を含まないNiめっき層2の表面に直接金属めっき層3を形成する場合とを比較すると、後者の場合におけるめっき層2,3間の電位差ΔE1−3の方が、前者の場合におけるめっき層8,3間の電位差ΔE1−2よりも著しく小さくなるのである(ΔE1−2>ΔE1−3)。つまり、硫黄を含まないNiめっき層2の電位Eの方が、硫黄を含むNiめっき層8の電位Eよりも高い(E>E)。これによって図1に示すような場合においては、腐食速度が著しく遅くなることとなり、さらに高い耐食性を得ることができるものである。
【0021】
硫黄を含まないNiめっき層2の電位Eよりも高い電位Eを有する金属めっき層3としては、具体的には貴金属めっき層を挙げることができる。この貴金属めっき層としては、特に限定されるものではないが、例えば、金(Au)めっき層、白金(Pt)めっき層、パラジウム(Pd)めっき層、ロジウム(Rh)めっき層等を挙げることができる。いずれの貴金属めっき層であっても、硫黄を含まないNiめっき層2の電位よりも高い電位を有しているので、高い耐食性を得ることができるものである。なお、以下においては、金属めっき層3をAuめっき層3として説明するが、もちろんこれに限定されるものではない。
【0022】
Auめっき層3の厚さは、特に限定されるものではない。ただ、Auめっき等の貴金属めっきは高価であるので、コスト削減の観点から、Auめっき層3の厚さは、硫黄を含まないNiめっき層2の厚さよりも薄いことが好ましく、具体的には0.01〜1μmであることが好ましい。このように、Auめっき層3の厚さが硫黄を含まないNiめっき層2の厚さよりも薄いと、Auめっき層3にピンホールが発生するおそれがあるが、たとえピンホールが発生してこのピンホールを通してNiめっき層2が露出したとしても、Auめっき層3のAuがNiめっき層2に拡散することによってNiめっき層2の電位Eを上昇させることができ、これによってAuめっき層3とNiめっき層2との間の電位差ΔE1−3をさらに小さくすることができ、耐食性の低下を防止することができるものである。
【0023】
硫黄析出因子を含有しないNiめっき浴としては、硫黄析出因子を含有しないワット浴を用いることができる。すなわち、従来のワット浴を構成する成分のうち、添加剤として硫黄析出因子を含有しないものを用いるようにすればよい。例えば、光沢剤にあっては、荏原ユージライト(株)製「CF24」を用いることができる。これは、不飽和アルキルグリコール類及びクロラール誘導体を主成分とするものであって、硫黄析出因子を含有しないものであるので、硫黄析出因子を含有する光沢剤の代わりに用いることができる。そうすると、図1に示すように硫黄を含まないNiめっき層2を金属端子1の表面に形成することができ、さらにAuめっき層3を形成することによって、十分に高い耐食性を得ることができるものである。
【0024】
また、硫黄析出因子を含有しないNiめっき浴としては、硫酸マグネシウム・7水塩、塩化ニッケル・6水塩及びホウ酸からなるめっき浴を用いることができる。具体的には、上村工業(株)製「スルニックAMT」を用いることができる。これには添加剤を添加する必要がないので、硫黄析出因子が含有されるおそれはない。従って、このようなめっき浴を用いると、図1に示すように硫黄を含まないNiめっき層2を金属端子1の表面に形成することができ、さらにAuめっき層3を形成することによって、十分に高い耐食性を得ることができるものである。
【0025】
さらに本発明においては、Niめっきの中にはNiを成分とする合金めっきも含まれるものである。従って、硫黄析出因子を含有しないスルファミン酸浴、塩化アンミン浴等を用いて、金属端子1の表面に硫黄を含まないPd−Ni合金めっき層を形成してもよい。Pd−Ni合金めっき層は柔軟性に富み、Auの下地めっきとして用いると、Auめっき層の厚さを薄くすることができるものであり、またNiめっき層より耐食性をさらに高く得ることができるものである。
【0026】
ここで、請求項5の発明により金属端子1を表面処理するにあたって、多数本の金属端子1を一体に形成したストリップ10を長手方向に送りながら硫黄析出因子を含有しないNiめっき浴に浸漬させることによって、まず金属端子1の表面に硫黄を含まないNiめっき層2を形成し、さらに上記ストリップ10を長手方向に送りながらAuめっき浴に浸漬させることによって、硫黄を含まないNiめっき層2の表面にAuめっき層3を形成するようにすれば、金属端子1の表面処理を効率的に行うことができるものである。また、上記ストリップ10の全面に硫黄を含まないNiめっき層2及びAuめっき層3を形成する必要はなく、ストリップ10に一体に形成してある金属端子1のみに硫黄を含まないNiめっき層2及びAuめっき層3を形成すればよい。従って、以上の点を踏まえて、金属端子1を表面処理するにあたっては、以下のような選択めっき(部分めっき)法を使用することができる。
【0027】
図6は選択めっき法を行うための装置の一例を示すものであり、この選択めっき装置は次のように構成されている。めっき槽12は上面を開口して形成してあり、めっき槽12の対向する側壁にはそれぞれ上方に開口するスリット部27,30が形成してある。めっき槽12内には陽極(図示省略)が固定してあり、さらに硫黄析出因子を含有しないNiめっき液24が貯えられている。つまりこのNiめっき液24を貯えためっき槽12が、硫黄析出因子を含有しないNiめっき浴として構成されているのである。めっき槽12内に入りきらない過剰のNiめっき液24は、めっき槽12のスリット部27,30から流れ落ちるようになっている。めっき槽12の下部には、めっき槽12よりも一回り大きく上面を開口して形成しためっき液保存タンク15が配設されており、めっき槽12のスリット部27,30から流れ落ちるNiめっき液24を受けて貯留できるようにしてある。図示省略しているが、Niめっき液24の加熱及び濾過はめっき液保存タンク15内で行うことができるようにしてある。めっき液保存タンク15は吸入配管22を介してポンプ16と連通されており、さらにこのポンプ16は吐出配管23を介してめっき槽12と連通されている。これによってめっき液保存タンク15に貯留されているNiめっき液24をポンプ16によってめっき槽12内に返送できるようにしてある。
【0028】
そして、図6に示す選択めっき装置を使用して金属端子1の表面に硫黄を含まないNiめっき層2を形成するにあたっては、次のようにして行うことができる。まず、ストリップ10の長手方向の両側端縁のうち金属端子1を形成してある一側端縁を下方に向けて、ストリップ10を長手方向に送りながら一対のコンダクターロール13間に通す。なお、図6においてストリップ10に形成してある金属端子1は図示省略している。コンダクターロール13に通されたストリップ10はコンダクターロール13の通電により陰極となって、めっき槽12の一方のスリット部27からめっき槽12内に挿入される。そして、めっき槽12内において硫黄析出因子を含有しないNiめっき液24にストリップ10の下端部を浸漬させることによってめっきを行う。このときストリップ10の高さ又はNiめっき液24の液面の高さを調整することによって、ストリップ10に形成してある金属端子1のみに硫黄を含まないNiめっき層2を形成することができるものである。めっき槽12内におけるNiめっき液24の液面の高さは、あらかじめめっき槽12の側壁や底部に孔(図示省略)を設けておいたり、スリット部27,30の切り込みの深さを調整しておいたりすることによって、またポンプ16によるNiめっき液24の返送量を調整したりすることによって、制御することができる。その後、めっきを行ったストリップ10をめっき槽12の他方のスリット部30から外部へ引き出すことによって、硫黄を含まないNiめっき層2が金属端子1のみに形成されたストリップ10を得ることができるものであり、ストリップ10を一定の速度で長手方向に送ることによって、上記Niめっき層2の形成を連続して行うことができるものである。なお、ストリップ10をめっき槽12の一方のスリット部27から他方のスリット部30へ送る間、ストリップ10全体をNiめっき液24中に浸漬させて、ストリップ10の全面に硫黄を含まないNiめっき層2を形成してもよいことはいうまでもない。
【0029】
次に、硫黄を含まないNiめっき層2の表面にAuめっき層3を形成するにあたっては、図6に示す選択めっき装置と同様の装置を使用して行うことができる。ただし、この場合、めっき槽12内にはNiめっき液24の代わりにAuめっき液25を入れておくものである。まず、ストリップ10の長手方向の両側端縁のうち金属端子(Niめっき層形成済み)1を形成してある一側端縁を下方に向けて、ストリップ10を長手方向に送りながら一対のコンダクターロール13間に通す。コンダクターロール13に通されたストリップ10はコンダクターロール13によって陰極となって、めっき槽12の一方のスリット部27からめっき槽12内に挿入される。そして、めっき槽12内においてAuめっき液25にストリップ10の下端部を浸漬させることによってめっきを行う。このときストリップ10の高さ又はAuめっき液25の液面の高さを調整することによって、ストリップ10に形成してある金属端子1のみにAuめっき層3を形成することができる。めっき槽12内におけるAuめっき液25の液面の高さは、あらかじめめっき槽12の側壁や底部に孔(図示省略)を設けておいたり、スリット部27,30の切り込みの深さを調整しておいたりすることによって、またポンプ16によるAuめっき液25の返送量を調整したりすることによって、制御することができる。その後、めっきを行ったストリップ10をめっき槽12の他方のスリット部30から外部へ引き出すことによって、金属端子1のみにAuめっき層3が形成されたストリップ10を得ることができるものであり、ストリップ10を一定の速度で長手方向に送ることによって、Auめっき層3の形成を連続して行うことができるものである。なお、ストリップ10をめっき槽12の一方のスリット部27から他方のスリット部30へ送る間、ストリップ10全体をAuめっき液25中に浸漬させて、ストリップ10の全面にAuめっき層3を形成してもよいことはいうまでもない。
【0030】
図7は選択めっき法を行うための装置の他例を示すものであり、この選択めっき装置は次のように構成されている。一対のめっきセル17a,17bが、各めっきセル17a,17bに設けた噴出口(図示省略)を対向させて配設してあり、各めっきセル17a,17bの両側には前部ロール28a,28b及び後部ロール29a,29bがいずれも回転軸を上下方向にして配設してある。一方のめっきセル17aの片側に配設してある前部ロール28aと、他方のめっきセル17bの片側に配設してある前部ロール28bとが対向しており、また一方のめっきセル17aの片側に配設してある後部ロール29aと、他方のめっきセル17bの片側に配設してある後部ロール29bとが対向している。そして、各めっきセル17a,17bの両側に配設してある前部ロール28a,28bと後部ロール29a,29bとの間にそれぞれ無端のマスキングベルト18a,18bを巻架することによって、移動式ベルトマスク26が形成されている。図7に示すように各めっきセル17a,17bはその周囲を各マスキングベルト18a,18bによって囲まれており、また、一対のめっきセル17a,17b間において一対のマスキングベルト18a,18bはストリップ10の厚さよりも若干狭い隙間をあけて対向している。各めっきセル17a,17b内には陽極(図示省略)が固定してあり、さらに硫黄析出因子を含有しないNiめっき液が貯えられている。つまりこのNiめっき液を貯えためっきセル17a,17bが、Niめっき浴として構成されているのである。Niめっき液は、一方のめっきセル17a(17b)の噴出口から他方のめっきセル17b(17a)に向けて噴出されるようにしてある。移動式ベルトマスク26の下部には、上面を開口して形成しためっき浴タンク21が配設されており、各めっきセル17a,17bの噴出口から噴出して流れ落ちるNiめっき液を受けて貯留できるようにしてある。めっき浴タンク21は吸入配管22を介してポンプ16と連通されており、さらにこのポンプ16は吐出配管23を介して各めっきセル17a,17bと連通されている。これによってめっき浴タンク21に貯留されているNiめっき液をポンプ16によって各めっきセル17a,17b内に返送できるようにしてある。
【0031】
そして、図7に示す選択めっき装置を使用して金属端子1の表面に硫黄を含まないNiめっき層2を形成するにあたっては、次のようにして行うことができる。まず、ストリップ10の長手方向の両側端縁のうち金属端子1を形成してある一側端縁を下方に向けて、ストリップ10を長手方向に送りながら一対のコンダクターロール13間に通す。なお、図7においてストリップ10に形成してある金属端子1は図示省略している。コンダクターロール13に通されたストリップ10は、コンダクターロール13の通電により陰極となって、一対の前部ロール28a,28b間に挿入される。各前部ロール28a,28b及び後部ロール29a,29bはそれぞれ図7の矢印の向きに回転しており、また一対のマスキングベルト18a,18bの間隔はストリップ10の厚さよりも若干狭いので、一対のマスキングベルト18a,18bが上記ストリップ10を挟持しつつ一対のめっきセル17a,17b間に引き入れることができるものである。一対のめっきセル17a,17b間においてストリップ10の両面の大部分は一対のマスキングベルト18a,18bにより押さえ付けられてマスキング(被覆)されているが、マスキングベルト18a,18bの下端縁からストリップ10の下端縁を突出させることによって、ストリップ10の下端部、少なくとも金属端子1を形成してある部分は露出させてある。このようにしておくと、各めっきセル17a,17bの噴出口から噴出されたNiめっき液を上記ストリップ10の下端部のみに接触させてめっきを行うことができ、下端部以外の部分にはめっきを行わないようにすることができるものである。つまり、ストリップ10に形成してある金属端子1のみに硫黄を含まないNiめっき層2を形成することができるものである。その後、めっきを行ったストリップ10を一対のマスキングベルト18a,18bで挟持しつつ一対の後部ロール29a,29b間から外部へ引き出すことによって、硫黄を含まないNiめっき層2が金属端子1のみに形成されたストリップ10を得ることができるものであり、ストリップ10を一定の速度で長手方向に送ることによって、上記Niめっき層2の形成を連続して行うことができるものである。なお、図7においては、マスキングベルト18の幅方向における中央部に長手方向に沿ってスロット(隙間)19を設けてある。このようにしておくと、ストリップ10を移動式ベルトマスク26の前部ロール28側から後部ロール29側へ送る間、ストリップ10の表面のうちスロット19に対応する部分を露出させることができ、この露出した部分にスロット19を通してNiめっき液を接触させてめっきを行うことによって、ストリップ10の下端部以外の部分にも硫黄を含有しないNiめっき層2を形成することができるものである。
【0032】
次に、硫黄を含まないNiめっき層2の表面にAuめっき層3を形成するにあたっては、図7に示す選択めっき装置と同様の装置を使用して行うことができる。ただし、この場合、めっきセル17a,17b内にはNiめっき液の代わりにAuめっき液を入れておくものである。まず、ストリップ10の長手方向の両側端縁のうち金属端子(Niめっき層形成済み)1を形成してある一側端縁を下方に向けて、ストリップ10を長手方向に送りながら一対のコンダクターロール13間に通す。コンダクターロール13に通されたストリップ10は、コンダクターロール13の通電によって陰極となって、一対の前部ロール28a,28b間に挿入される。各前部ロール28a,28b及び後部ロール29a,29bはそれぞれ図7の矢印の向きに回転しており、また一対のマスキングベルト18a,18bの間隔はストリップ10の厚さよりも若干狭いので、一対のマスキングベルト18a,18bが上記ストリップ10を挟持しつつ一対のめっきセル17a,17b間に引き入れることができるものである。一対のめっきセル17a,17b間においてストリップ10の両面の大部分は一対のマスキングベルト18a,18bにより押さえ付けられてマスキング(被覆)されているが、マスキングベルト18a,18bの下端縁からストリップ10の下端縁を突出させることによって、ストリップ10の下端部、少なくとも金属端子1を形成してある部分のみは露出させてある。このようにしておくと、各めっきセル17a,17bの噴出口から噴出されたAuめっき液を上記ストリップ10の下端部のみに接触させてめっきを行うことができ、下端部以外の部分にはめっきを行わないようにすることができるものである。つまり、ストリップ10に形成してある金属端子1のみにAuめっき層3を形成することができるものである。その後、めっきを行ったストリップ10を一対のマスキングベルト18a,18bで挟持しつつ一対の後部ロール29a,29b間から外部へ引き出すことによって、金属端子1のみにAuめっき層3が形成されたストリップ10を得ることができるものであり、ストリップ10を一定の速度で長手方向に送ることによって、Auめっき層3の形成を連続して行うことができるものである。なお、図7においては、既述のとおり、マスキングベルト18の幅方向における中央部に長手方向に沿ってスロット(隙間)19を設けてある。このようにしておくと、ストリップ10を移動式ベルトマスク26の前部ロール28側から後部ロール29側へ送る間、ストリップ10の表面のうちスロット19に対応する部分を露出させることができ、この露出した部分にスロット19を通してAuめっき液を接触させてめっきを行うことによって、ストリップ10の下端部以外の部分にもAuめっき層3を形成することができるものである。
【0033】
図6及び図7に示す選択めっき装置は、組み合せて使用することができ、ストリップ10の送り方向においていずれの選択めっき装置が上流側又は下流側に配置されていてもよい。
【0034】
一方、図2は、本発明の請求項8に係る金属端子の表面処理方法を使用して、金属端子1を表面処理したものである。上記方法によって金属端子1を表面処理するにあたっては、次のようにして行うことができる。まず金属端子1の表面に第1Niめっき層4を形成するのであるが、この場合、硫黄析出因子を含有するNiめっき浴を用いるものである。つまりこの場合には、従来のワット浴やスルファミン酸Niめっき浴を用いることができ、図2に示すように硫黄を含む第1Niめっき層4を金属端子1の表面に形成することができる。このように従来のワット浴やスルファミン酸Niめっき浴を用いるのは、高速度めっきが可能であるからであり、Cu系素材で形成される金属端子1の表面に対しては、硫黄を含まないNiめっき層2を形成するよりも硫黄を含む第1Niめっき層4を形成する方が、同じ厚さの層を形成するのであれば、約5〜6倍のめっき処理の高速化を図ることができるものである。第1Niめっき層4の厚さは、特に限定されるものではないが、好ましくは0.05〜10μmであり、より好ましくは0.1〜10μmである。
【0035】
次に、第1Niめっき層4の表面に第2Niめっき層5を形成するのであるが、この場合、硫黄析出因子を含有しないNiめっき浴を用いるものである。つまりこの場合には、上述した硫黄析出因子を含有しないワット浴、硫酸マグネシウム・7水塩、塩化ニッケル・6水塩及びホウ酸からなるめっき浴を用いることができ、図2に示すように硫黄を含まない第2Niめっき層5を、硫黄を含む第1Niめっき層4の表面に形成することができる。なお、上述した硫黄析出因子を含有しないスルファミン酸浴、塩化アンミン浴等を用いて、硫黄を含まないPd−Ni合金めっき層を、硫黄を含む第1Niめっき層4の表面に形成することもできる。よって、以下において「第2Niめっき層5」とあるのは、「Pd−Ni合金めっき層」と読み替えることができる。
【0036】
第2Niめっき層5の厚さは、可能な限り薄いことが好ましく、具体的には0.1〜0.2μmであることが好ましい。その理由は、硫黄を含む第1Niめっき層4は硫黄を含まない第2Niめっき層5よりも硬く、逆に言えば第2Niめっき層5は第1Niめっき層4よりも軟らかく、第2Niめっき層5の厚さを0.2μmよりも厚くしてしまうと、金属端子1を折り曲げたときに第2Niめっき層5が第1Niめっき層4から剥がれてしまうおそれがあるからである。また、第2Niめっき層5の厚さの下限を0.1μmとしたのは、この厚さが実際に形成できる最も薄い厚さであるからである。以上より、第2Niめっき層5の厚さを可能な限り薄くしておくと、表面処理後の金属端子1の柔軟性を十分に確保して品質向上を図ることができるものであるが、後述するようにAuめっき層3は、軟らかい第2Niめっき層5に直接形成されるので、第2Niめっき層5の厚みを厳密に0.1〜0.2μmにしなくても柔軟性を確保することはできる。
【0037】
そして、請求項8の発明においては図2に示すように、硫黄を含む第1Niめっき層4の表面に硫黄を含まない第2Niめっき層5を形成した後に、第2Niめっき層5の表面に第2Niめっき層5の電位よりも高い電位を有する金属めっき層3を形成することによって金属端子1を表面処理するものである。このように、硫黄を含まない第2Niめっき層5の表面に第2Niめっき層5の電位よりも高い電位を有する金属めっき層3を形成すると、高い耐食性を得ることができるものである。硫黄を含まない第2Niめっき層5の電位よりも高い電位を有する金属めっき層3としては、既述のとおり、具体的には貴金属めっき層を挙げることができる。この貴金属めっき層としては、特に限定されるものではないが、例えば、金(Au)めっき層、白金(Pt)めっき層、パラジウム(Pd)めっき層、ロジウム(Rh)めっき層等を挙げることができる。いずれの貴金属めっき層であっても、硫黄を含まない第2Niめっき層5の電位よりも高い電位を有しているので、高い耐食性を得ることができるものである。なお、以下においても、金属めっき層3をAuめっき層3として説明するが、もちろんこれに限定されるものではない。
【0038】
請求項8の発明においてはNiめっき層4,5が二層であるのに対して、請求項5の発明においてはNiめっき層2が単層であることから、請求項5の発明よりも請求項8の発明の方が、第1Niめっき層4を形成する工程だけ工程数が多くなるが、全体としてみれば請求項5の発明よりも請求項8の発明の方が、表面処理を5〜6倍高速に行うことができ、金属端子1の生産性を向上させることができるものである。
【0039】
すなわち、請求項5及び8の発明においてAuめっき層3を形成する工程に要する時間は同じ程度である。よって、両発明の生産性の違いは、金属端子1の表面にNiめっき層2を単層形成する工程に要する時間と、金属端子1の表面にNiめっき層4,5を二層形成する工程に要する時間との違いに現れる。ここで、既述のとおり、Cu系素材で形成される金属端子1の表面に硫黄を含む第1Niめっき層4を形成する際には高速度めっきが可能である。また、硫黄を含む第1Niめっき層4の表面に硫黄を含まない第2Niめっき層5を形成することも高速で行うことが可能である。そして、Niめっき層2を単層形成する工程に要する時間と、Niめっき層4,5を二層形成する工程に要する時間とを実際に比較してみると、Niめっき層4,5を二層形成する工程に要する時間の方が短くなり、結局、工程数が多くなっても請求項8の発明の方が、請求項5の発明よりも生産性を向上させることができるものである。
【0040】
しかも、請求項8の発明においては図2に示すように、硫黄を含まない第2Niめっき層5の表面にAuめっき層3を形成すると、請求項5の発明と同様に、高い耐食性を得ることができるものである。すなわち、Auめっき層3の電位をE、硫黄を含むNiめっき層8(第1Niめっき層4)の電位をE、硫黄を含まない第2Niめっき層5の電位をEとして、図5に示すように硫黄を含むNiめっき層8の表面に直接Auめっき層3を形成する場合と、図2に示すように硫黄を含まない第2Niめっき層5の表面に直接Auめっき層3を形成する場合とを比較すると、後者の場合におけるめっき層3,5間の電位差ΔE1−3の方が前者の場合におけるめっき層3,8間の電位差ΔE1−2よりも著しく小さくなるのである(ΔE1−2>ΔE1−3)。これによって図2に示すような場合においては、腐食速度が著しく遅くなることとなり、十分に高い耐食性を得ることができるものである。このことから、硫黄を含まない第2Niめっき層5に直接Auめっき層3を形成することが効果的であることが分かる。
【0041】
Auめっき層3の厚さは、特に限定されるものではない。ただ、Auめっき等の貴金属めっきは高価であるので、コスト削減の観点から、Auめっき層3の厚さは、硫黄を含まない第2Niめっき層5の厚さよりも薄いことが好ましく、具体的には0.01〜1μmであることが好ましい。このように、Auめっき層3の厚さが第2Niめっき層5の厚さよりも薄いと、Auめっき層3にピンホールが発生するおそれがあるが、たとえピンホールが発生してこのピンホールを通して第2Niめっき層5が露出したとしても、Auめっき層3のAuが第2Niめっき層5に拡散することによって第2Niめっき層5の電位Eを上昇させることができ、これによってAuめっき層3と第2Niめっき層5との間の電位差ΔE1−3をさらに小さくすることができ、耐食性の低下を防止することができるものである。
【0042】
ここで、請求項8の発明により金属端子1を表面処理するにあたって、多数本の金属端子1を一体に設けたストリップ10を長手方向に送りながら硫黄析出因子を含有するNiめっき浴に浸漬させることによって、まず金属端子1の表面に第1Niめっき層4を形成し、次いでストリップ10を長手方向に送りながら硫黄析出因子を含有しないNiめっき浴に浸漬することによって、第1Niめっき層4の表面に第2Niめっき層5を形成し、さらにストリップ10を長手方向に送りながらAuめっき浴に浸漬させることによって、第2Niめっき層5の表面にAuめっき層3を形成するようにすれば、金属端子1の表面処理を効率的に行うことができるものである。また、上記ストリップ10の全面に第1Niめっき層4、第2Niめっき層5及びAuめっき層3を形成する必要はなく、ストリップ10に一体に形成してある金属端子1のみに第1Niめっき層4、第2Niめっき層5及びAuめっき層3を形成すればよい。従って、以上の点を踏まえて、金属端子1を表面処理するにあたっては、上述したような選択めっき(部分めっき)法を使用することができる。
【0043】
すなわち請求項8の発明においても、請求項5の発明と同様に図6及び図7に示す選択めっき装置を使用することができる。第1Niめっき層4を形成するにあたっては、硫黄析出因子を含有するNiめっき液をめっき槽12又はめっきセル17内に貯えておけばよく、第2Niめっき層5を形成するにあたっては、硫黄析出因子を含有しないNiめっき液をめっき槽12又はめっきセル17内に貯えておけばよく、Auめっき層3を形成するにあたっては、Auめっき液をめっき槽12又はめっきセル17内に貯えておけばよい。また、第1Niめっき層4、第2Niめっき層5及びAuめっき層3の順にめっきを行えばいいだけであり、図6及び図7に示す選択めっき装置の使用法については既述のとおりであるので、これらの装置を用いて請求項8の発明を実施する場合の具体例の説明については省略することとする。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0045】
(実施例1)
Cu製の金属端子1の表面に硫黄を含まないNiめっき層2を形成した後に、このNiめっき層2の表面にAuめっき層3を形成することによって、図1に示すような表面処理をした金属端子1を得た。Niめっき浴としては、光沢剤である荏原ユージライト(株)製「CF24」を添加してある硫黄析出因子を含有しないワット浴を用いた。
【0046】
(実施例2)
Cu製の金属端子1の表面に硫黄を含まないNiめっき層2を形成した後に、このNiめっき層2の表面にAuめっき層3を形成することによって、図1に示すような表面処理をした金属端子1を得た。Niめっき浴としては、上村工業(株)製「スルニックAMT」を用いた。
【0047】
(実施例3)
Cu製の金属端子1の表面に第1Niめっき層4を形成し、次いで第1Niめっき層4の表面に第2Niめっき層5を形成し、しかる後に第2Niめっき層5の表面にAuめっき層3を形成することによって、図2に示すような表面処理をした金属端子1を得た。第1Niめっき層4を形成するためのNiめっき浴としては、スルファミン酸Niめっき浴を用い、第2Niめっき層5を形成するためのNiめっき浴としては、実施例1と同じものを用いた。
【0048】
(実施例4)
Cu製の金属端子1の表面に第1Niめっき層4を形成し、次いで第1Niめっき層4の表面に第2Niめっき層5を形成し、しかる後に第2Niめっき層5の表面にAuめっき層3を形成することによって、図2に示すような表面処理をした金属端子1を得た。第1Niめっき層4を形成するためのNiめっき浴としては、スルファミン酸Niめっき浴を用い、第2Niめっき層5を形成するためのNiめっき浴としては、実施例2と同じものを用いた。
【0049】
(比較例)
Cu製の金属端子1の表面に硫黄を含むNiめっき層8を形成した後に、このNiめっき層8の表面にAuめっき層3を形成することによって、図5に示すような表面処理をした金属端子1を得た。Niめっき浴としては、硫黄析出因子を含有するワット浴を用いた。
【0050】
(亜硫酸ガス試験)
上記の実施例1〜4及び比較例において表面処理をした金属端子1について、亜硫酸ガス(SO)濃度10ppm、周囲温度40℃、相対湿度95%の雰囲気に放置する亜硫酸ガス試験を行った。結果は、比較例のものでは数10時間で腐食が発生したが、各実施例のものでは100時間経過時点でも腐食は発生しなかった。また、実施例1及び2のものよりも実施例3及び4のものの方が表面処理を高速に行うことができた。
【0051】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る金属端子は、金属端子の表面に硫黄を含まないニッケルめっき層を形成すると共に、このニッケルめっき層の表面にこのニッケルめっき層の電位よりも高い電位を有する金属めっき層を形成することによって表面処理するので、金属めっき層の電位が高いことによって、高い耐食性を得ることができると共に、ニッケルめっき層の電位と金属めっき層の電位との差が著しく小さくなり、これによって腐食速度が著しく遅くなることとなり、さらに高い耐食性を得ることができるものである。
【0052】
また請求項2に係る金属端子は、金属端子の表面に硫黄を含む第1ニッケルめっき層を形成し、第1ニッケルめっき層の表面に硫黄を含まない第2ニッケルめっき層を形成すると共に、第2ニッケルめっき層の表面に第2ニッケルめっき層の電位よりも高い電位を有する金属めっき層を形成することによって表面処理するので、金属めっき層の電位が高いことによって、高い耐食性を得ることができると共に、ニッケルめっき層の電位と金属めっき層の電位との差が著しく小さくなり、これによって腐食速度が著しく遅くなることとなり、さらに高い耐食性を得ることができるものである。
【0053】
また請求項3の発明は、金属めっき層が貴金属めっき層であるので、硫黄を含まないニッケルめっき層の電位よりも高い電位を有していることによって、高い耐食性を得ることができるものである。
【0054】
また請求項4の発明は、貴金属めっき層の厚さが硫黄を含まないニッケルめっき層の厚さよりも薄いので、コストを削減することができると共に、たとえ貴金属めっき層にピンホールが発生してこのピンホールを通してニッケルめっき層が露出したとしても、貴金属めっき層の貴金属がニッケルめっき層に拡散することによってニッケルめっき層の電位を上昇させることができ、これによって貴金属めっき層とニッケルめっき層との間の電位差をさらに小さくすることができ、耐食性の低下を防止することができるものである。
【0055】
また請求項5に係る金属端子の表面処理方法は、硫黄析出因子を含有しないニッケルめっき浴を用いて金属端子の表面に硫黄を含まないニッケルめっき層を形成した後に、このニッケルめっき層の表面にこのニッケルめっき層の電位よりも高い電位を有する金属めっき層を形成することによって金属端子を表面処理するので、金属めっき層の電位が高いことによって、高い耐食性を得ることができると共に、ニッケルめっき層の電位と金属めっき層の電位との差が著しく小さくなり、これによって腐食速度が著しく遅くなることとなり、さらに高い耐食性を得ることができるものである。
【0056】
また請求項6の発明は、ニッケルめっき浴として、硫黄析出因子を含有しないワット浴を用いるので、ニッケルめっき層に硫黄を析出させないようにすることができ、ニッケルめっき層の電位と金属めっき層の電位との差が著しく小さくなり、これによって腐食速度が著しく遅くなることとなり、十分に高い耐食性を得ることができるものである。
【0057】
また請求項7の発明は、ニッケルめっき浴として、硫酸マグネシウム・7水塩、塩化ニッケル・6水塩及びホウ酸からなるめっき浴を用いるので、ニッケルめっき層に硫黄を析出させないようにすることができ、ニッケルめっき層の電位と金属めっき層の電位との差が著しく小さくなり、これによって腐食速度が著しく遅くなることとなり、十分に高い耐食性を得ることができるものである。
【0058】
また請求項8に係る金属端子の表面処理方法は、硫黄析出因子を含有するニッケルめっき浴を用いて金属端子の表面に硫黄を含む第1ニッケルめっき層を形成し、次いで硫黄析出因子を含有しないニッケルめっき浴を用いて第1ニッケルめっき層の表面に硫黄を含まない第2ニッケルめっき層を形成し、しかる後に第2ニッケルめっき層の表面に第2ニッケルめっき層の電位よりも高い電位を有する金属めっき層を形成することによって金属端子を表面処理するので、金属めっき層の電位が高いことによって、高い耐食性を得ることができると共に、第2ニッケルめっき層の電位と金属めっき層の電位との差が著しく小さくなり、これによって腐食速度が著しく遅くなることとなり、さらに高い耐食性を得ることができるものである。また、第1ニッケルめっき層を形成する際に硫黄析出因子を含有するニッケルめっき浴を用い、第1ニッケルめっき層に硫黄を含まない第2ニッケルめっき層を形成することによって、表面処理を高速に行うことができ、金属端子の生産性を向上させることができるものである。さらに、貴金属めっき層は、硬い第1ニッケルめっき層に直接形成されるのではなく、軟らかい第2ニッケルめっき層に直接形成されることによって、表面処理後の金属端子の柔軟性を確保して品質向上を図ることができるものである。
【0059】
また請求項9に係る金属端子の表面処理方法は、金属めっき層が貴金属めっき層であるので、硫黄を含まないニッケルめっき層の電位よりも高い電位を有していることによって、高い耐食性を得ることができるものである。
【0060】
また請求項10に係る金属端子の表面処理方法は、貴金属めっき層の厚さが硫黄を含まないニッケルめっき層の厚さよりも薄いので、コストを削減することができると共に、たとえ貴金属めっき層にピンホールが発生してこのピンホールを通してニッケルめっき層が露出したとしても、貴金属めっき層の貴金属がニッケルめっき層に拡散することによってニッケルめっき層の電位を上昇させることができ、これによって貴金属めっき層とニッケルめっき層との間の電位差をさらに小さくすることができ、耐食性の低下を防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、表面処理後の金属端子の一部を拡大した断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の他例を示すものであり、表面処理後の金属端子の一部を拡大した断面図である。
【図3】金属端子を一体に形成したストリップの一例を示すものであり、(a)は上記ストリップの一部の平面図、(b)は上記ストリップの正面図、(c)は(b)におけるA部分を拡大した正面図、(d)は(c)におけるD方向矢視図、(e)は(c)におけるC−C矢視図、(f)は(b)におけるA部分をさらに拡大した正面図、(g)は上記ストリップの一部を拡大した側面図、(h)は(c)におけるB−B矢視図である。
【図4】金属端子を一体に形成したストリップの他例を示すものであり、(a)は上記ストリップの一部の平面図、(b)は上記ストリップの正面図、(c)は(b)におけるB部分を拡大した正面図、(d)は(c)におけるC−C矢視図、(e)は(b)のB部分におけるE方向矢視図、(f)は(b)のB部分におけるF方向矢視図である。
【図5】従来の技術の一例を示すものであり、表面処理後の金属端子の一部を拡大した断面図である。
【図6】選択めっき装置の一例を示す斜視図である。
【図7】選択めっき装置の他例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 金属端子
2 ニッケルめっき層(硫黄を含まない)
3 金属めっき層(金めっき層)
4 第1ニッケルめっき層(硫黄を含む)
5 第2ニッケルめっき層(硫黄を含まない)

Claims (10)

  1. 金属端子の表面に硫黄を含まないニッケルめっき層を形成すると共に、このニッケルめっき層の表面にこのニッケルめっき層の電位よりも高い電位を有する金属めっき層を形成することによって表面処理して成ることを特徴とする金属端子。
  2. 金属端子の表面に硫黄を含む第1ニッケルめっき層を形成し、第1ニッケルめっき層の表面に硫黄を含まない第2ニッケルめっき層を形成すると共に、第2ニッケルめっき層の表面に第2ニッケルめっき層の電位よりも高い電位を有する金属めっき層を形成することによって表面処理して成ることを特徴とする金属端子。
  3. 金属めっき層が貴金属めっき層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属端子。
  4. 貴金属めっき層の厚さが硫黄を含まないニッケルめっき層の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項3に記載の金属端子。
  5. 硫黄析出因子を含有しないニッケルめっき浴を用いて金属端子の表面に硫黄を含まないニッケルめっき層を形成した後に、このニッケルめっき層の表面にこのニッケルめっき層の電位よりも高い電位を有する金属めっき層を形成することによって金属端子を表面処理することを特徴とする金属端子の表面処理方法。
  6. ニッケルめっき浴として、硫黄析出因子を含有しないワット浴を用いることを特徴とする請求項5に記載の金属端子の表面処理方法。
  7. ニッケルめっき浴として、硫酸マグネシウム・7水塩、塩化ニッケル・6水塩及びホウ酸からなるめっき浴を用いることを特徴とする請求項5に記載の金属端子の表面処理方法。
  8. 硫黄析出因子を含有するニッケルめっき浴を用いて金属端子の表面に硫黄を含む第1ニッケルめっき層を形成し、次いで硫黄析出因子を含有しないニッケルめっき浴を用いて第1ニッケルめっき層の表面に硫黄を含まない第2ニッケルめっき層を形成し、しかる後に第2ニッケルめっき層の表面に第2ニッケルめっき層の電位よりも高い電位を有する金属めっき層を形成することによって金属端子を表面処理することを特徴とする金属端子の表面処理方法。
  9. 金属めっき層が貴金属めっき層であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の金属端子の表面処理方法。
  10. 貴金属めっき層の厚さが硫黄を含まないニッケルめっき層の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項9に記載の金属端子の表面処理方法。
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