JP2004189855A - 硬化性成形用樹脂組成物 - Google Patents
硬化性成形用樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004189855A JP2004189855A JP2002358506A JP2002358506A JP2004189855A JP 2004189855 A JP2004189855 A JP 2004189855A JP 2002358506 A JP2002358506 A JP 2002358506A JP 2002358506 A JP2002358506 A JP 2002358506A JP 2004189855 A JP2004189855 A JP 2004189855A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin composition
- curable
- resin
- molding
- weight
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
Abstract
【課題】硬化性成形用樹脂組成物を用いて成形される成形品の機能を十分発揮することができるように、成形品から発生するガスを低減することができる硬化性成形用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種を硬化性樹脂成分として含む硬化性樹脂組成物に、離型材として炭素数19〜25の脂肪酸金属石鹸を配合してなる硬化性成形用樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種を硬化性樹脂成分として含む硬化性樹脂組成物に、離型材として炭素数19〜25の脂肪酸金属石鹸を配合してなる硬化性成形用樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種を硬化性樹脂成分として含む硬化性樹脂組成物に、離型材として炭素数19〜25の脂肪酸金属石鹸を配合してなる硬化性成形用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種を含んで構成される硬化性成形用樹脂組成物は、優れた機械的強度、耐熱性、耐水性、耐薬品性を有する上に生産性が高く、取り扱いが容易であることから、様々な成形品を製造するために広く利用されている。
【0003】
これらの硬化性成形用樹脂組成物は、成形品に要求される特性や成形時の作業性等、その用途によって種々の性質が要求されるが、硬化性樹脂組成物に様々な成分を添加して組成物の改質を行うことによりこれらの要求を満足させている。
【0004】
このような添加成分としては、低収縮材、充填材、補強材、硬化剤等を挙げることができるが、これらの添加成分は成形後においても成形品の中に残るため成形後に思わぬ悪影響を及ぼす場合がある。
【0005】
例えば、一般的に用いられる反応希釈剤としてスチレンがあるが、このスチレンが成形品に残留し、成型品の使用時に発生する熱等により揮散して、周囲にスチレン臭を放ったり、用途によっては成形品の周囲で使用されている部品等に悪影響を及ぼしたりすることがあった。
【0006】
このような影響を回避するため、残留スチレンを従来に比べ非常に少なくすることで、成形後の乾燥をしなくてもスチレン臭を放ったり、他の部品に悪影響を及ぼすことのない成形品を得ることができる成形材料も開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−294633号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種を硬化性樹脂成分として含む硬化性成形用樹脂組成物に一般的に用いられる離型材であるステアリン酸金属石鹸は、これもスチレンと同様に成形品に残留していたが、この点についてはこれまでに検討されていなかった。
【0009】
そこで、ステアリン酸が成形品へ残留することの影響について調べたところ、この硬化性成形用樹脂組成物を用いた場合、成形品からステアリン酸金属石鹸を使用したことに由来するガスが発生していることがわかった。
【0010】
そのため、この硬化性樹脂成形用組成物を、自動車用リフレクター、光学シャーシ等の成形材料に用いた場合には、成形品から発生したガスによりレンズが曇る等して、成形品の有する機能を十分に発揮することができなくなる場合があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は鋭意検討した結果、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種を硬化性樹脂成分として含む硬化性樹脂組成物に、離型材として炭素数19〜25の脂肪酸金属石鹸を配合した硬化性成形用樹脂組成物を用いることにより、成形品からガスの発生量が低減することを見出し、本発明を完成したものである。
【0012】
すなわち、本発明の硬化性成形用樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種を硬化性樹脂成分として含む硬化性成形用樹脂組成物に、離型材として炭素数19〜25の脂肪酸金属石鹸を配合してなることを特徴とするものである。
【0013】
本発明における不飽和ポリエステル樹脂の主成分となる不飽和ポリエステルは、例えば、不飽和多塩基酸を含む酸成分と、アルコール成分とを反応させることにより得ることができる。
【0014】
ここで用いられる酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和多塩基酸及びフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等の飽和多塩基酸を挙げることができる。これらは単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
【0015】
また、アルコール成分としては、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ポリエーテルポリアルコール等を挙げることができる。これらは単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
【0016】
本発明において用いられる不飽和ポリエステル樹脂は、オルソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂、テレフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂、イソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂、ビスフェノール系不飽和ポリエステル樹脂を挙げることができ、取り扱いが容易で、成形性が良好等の観点から、オルソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0017】
また、本発明におけるビニルエステル樹脂の主成分となるビニルエステルは、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂のエポキシ基にアクリル酸やメタクリル酸等の不飽和一塩基酸又はマレイン酸やフマル酸等の不飽和二塩基酸のモノエステルを開環付加させることにより得ることができる。
【0018】
本発明において用いられるビニルエステル樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂から合成されるビスフェノール系ビニルエステル及びノボラック型エポキシ樹脂から合成されるノボラック系ビニルエステルを挙げることができ、取り扱いが容易で、成形性が良好等の観点から、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂であることが好ましい。
【0019】
上記に述べた不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂は、共重合成分を含有して用いることもでき、この共重合成分としては、不飽和ポリエステルと重合可能な重合性二重結合を有しているものであればよく、例えば、スチレンモノマー、ジアリルフタレートモノマー、ジアリルフタレートプレポリマー、メタクリル酸メチル、トリアリルイソシアヌレート等を挙げることができる。
【0020】
また、本発明の硬化性成形用樹脂組成物は、離型材として炭素数19〜25の脂肪酸金属石鹸を含有することを必須の構成要件とするものであり、この脂肪酸金属石鹸は、単独で用いることもできるし、これまで使用されていたステアリン酸金属石鹸等の他の離型材と同時に用いることもできる。
【0021】
他の離型材と同時に用いた場合には、離型性とガス発生の低減効果を十分に発揮することができるように、用いた離型材全量に対して炭素数19〜25の脂肪酸金属石鹸の含有量が、30重量%以上であることが好ましい。
【0022】
この離型材としては、ガスの発生量を有効に抑えることができる点から炭素数20〜24の直鎖状飽和脂肪酸金属石鹸であることが好ましく、炭素数22のベヘニン酸金属石鹸であることがより好ましい。
【0023】
本発明における脂肪酸金属石鹸の金属としては、アルカリ金属以外のものであれば用いることができるが、離型性が高いことから亜鉛、カルシウム、アルミニウム、マグネシウムであることが好ましい。
【0024】
したがって、本発明に用いられる脂肪酸金属石鹸としては、ベヘニン酸亜鉛、ベヘニン酸カルシウム、ベヘニン酸アルミニウム、ベヘニン酸マグネシウムが特に好ましい。
【0025】
また、本発明の硬化性成形用樹脂組成物には、成形品に要求される機能や成形特性等の観点から、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂及び脂肪酸金属石鹸の他に、充填材、補強材、硬化剤等の添加剤を適宜含有させることができ、さらに低収縮材を含有させることもできる。
【0026】
充填材としては、シリカ、アルミナ、マイカ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、石こう、硫酸バリウム、クレー、タルク等の無機粉末を挙げることができる。
【0027】
補強材としては、繊維強化プラスチックに通常用いられているガラス繊維等を挙げることができる。
【0028】
硬化剤としては、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等を挙げることができる。
【0029】
さらに、低収縮材としては、飽和ポリエステル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、スチレン−ブタジエン系ゴム等の低収縮材として一般的に使用されている熱可塑性ポリマーを挙げることができる。これらは単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0030】
本発明の硬化性成形用樹脂組成物は、上記述べた構成成分からなり、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種を含む硬化性樹脂成分8〜30重量%、好ましくは 10〜15重量%、炭素数19〜25の脂肪酸金属石鹸からなる離型材 0.1〜5重量%、好ましくは 0.5〜2重量%、充填材 60〜80重量%、好ましくは 65〜75重量%、補強材 2〜10重量%、好ましくは 3〜8重量%、硬化剤 0.1〜1重量%、好ましくは 0.2〜0.6重量%、低収縮材 1〜10重量%、好ましくは 3〜9重量%の範囲で配合されることが好ましい。
【0031】
【実施例】
以下、本発明について実施例を参照しながら説明する。
【0032】
(実施例1)
硬化性樹脂成分としてオルソフタル酸系の不飽和ポリエステル樹脂(日本ユピカ株式会社製:商品名7017)、低収縮材として飽和ポリエステル樹脂(日本ユピカ株式会社製:商品名A−25)及びポリスチレン(日立化成株式会社:商品名GP−P)、充填材として平均粒径2.6μm炭酸カルシウム(日東粉化工業株式会社製:商品名SS−80)及び平均粒径8μmの水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製:商品名H−32)、補強材として3mmガラス繊維(日本板硝子株式会社製:商品名RES03−BM5)、硬化剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(触媒1、日本油脂株式会社製:商品名パーブチルZ)及び1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(触媒2、日本油脂株式会社製:パーヘキサ3M)、離型材としてベヘニン酸亜鉛を構成成分として用いた。
【0033】
これらの成分を、表1に示した配合量で混練機(ニーダ)に入れ、約20分混練した。その後、ガラス繊維を入れ、10分間混練し、硬化性成形用樹脂組成物としてバルク状の成形材料を得た。なお、配合量は硬化性成形用樹脂組成物の構成成分全量に対するそれぞれの配合量を重量%で示したものである。
【0034】
得られた成形材料を用いて、金型温度145℃、硬化時間120秒の条件で成形機にて50φ×3mmの試験片を作成し、この試験片を120℃及び140℃の恒温槽に入れ、3000時間後の加熱減量を測定した。その結果は表1に示したように、120℃では0.05%、140℃では0.20%の減量がみられた。なお、この測定値は、離型材を含有しない同組成の不飽和ポリエステル硬化性成形用樹脂組成物をリファレンス(0値)として表したものである。
【0035】
(実施例2)
実施例1で用いた離型材の代わりにベヘニン酸亜鉛及びステアリン酸亜鉛の両方を用い、その他は実施例1と同一の条件で硬化性成形用樹脂組成物及び試験片を製造した(表1参照)。加熱減量についても実施例1と同一の条件で測定したところ、120℃では0.08%、140℃では0.25%の減量がみられた。
【0036】
【表1】
【0037】
(比較例1)
離型材としてステアリン酸亜鉛のみを用い、その他は実施例1と同一の条件で硬化性成形用樹脂組成物及び試験片を製造した(表2参照)。加熱減量についても実施例1と同一の条件で測定したところ、120℃では0.23%、140℃では0.55%の減量がみられた。
【0038】
(比較例2)
離型材としてステアリン酸カルシウムのみを用い、その他は実施例1と同一の条件で硬化性成形用樹脂組成物及び試験片を製造した(表2参照)。加熱減量についても実施例1と同一の条件で測定したところ、120℃では0.20%、140℃では0.5%の減量がみられた。
【0039】
【表2】
【0040】
以上の実施例及び比較例から、本発明の硬化性成形用樹脂組成物を用いた成形品は、成形後におけるガスの発生を大幅に抑えることができることがわかった。
【0041】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の硬化性成形用樹脂組成物は、これを用いて成形品としたときに離型材を使用することにより由来するガスの発生を抑えることができるものである。したがって、本発明の硬化性成形用樹脂組成物によれば、従来の硬化性成形用樹脂組成物を用いた成形品に比べて成形後のガス発生量を少なくすることにより、ガス発生による悪影響を低減した成形品を得ることができる。特に、リフレクターや光学シャーシ等のように、ガスによりレンズが曇って成形品の機能を阻害するような場合に、本発明は有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種を硬化性樹脂成分として含む硬化性樹脂組成物に、離型材として炭素数19〜25の脂肪酸金属石鹸を配合してなる硬化性成形用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種を含んで構成される硬化性成形用樹脂組成物は、優れた機械的強度、耐熱性、耐水性、耐薬品性を有する上に生産性が高く、取り扱いが容易であることから、様々な成形品を製造するために広く利用されている。
【0003】
これらの硬化性成形用樹脂組成物は、成形品に要求される特性や成形時の作業性等、その用途によって種々の性質が要求されるが、硬化性樹脂組成物に様々な成分を添加して組成物の改質を行うことによりこれらの要求を満足させている。
【0004】
このような添加成分としては、低収縮材、充填材、補強材、硬化剤等を挙げることができるが、これらの添加成分は成形後においても成形品の中に残るため成形後に思わぬ悪影響を及ぼす場合がある。
【0005】
例えば、一般的に用いられる反応希釈剤としてスチレンがあるが、このスチレンが成形品に残留し、成型品の使用時に発生する熱等により揮散して、周囲にスチレン臭を放ったり、用途によっては成形品の周囲で使用されている部品等に悪影響を及ぼしたりすることがあった。
【0006】
このような影響を回避するため、残留スチレンを従来に比べ非常に少なくすることで、成形後の乾燥をしなくてもスチレン臭を放ったり、他の部品に悪影響を及ぼすことのない成形品を得ることができる成形材料も開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−294633号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種を硬化性樹脂成分として含む硬化性成形用樹脂組成物に一般的に用いられる離型材であるステアリン酸金属石鹸は、これもスチレンと同様に成形品に残留していたが、この点についてはこれまでに検討されていなかった。
【0009】
そこで、ステアリン酸が成形品へ残留することの影響について調べたところ、この硬化性成形用樹脂組成物を用いた場合、成形品からステアリン酸金属石鹸を使用したことに由来するガスが発生していることがわかった。
【0010】
そのため、この硬化性樹脂成形用組成物を、自動車用リフレクター、光学シャーシ等の成形材料に用いた場合には、成形品から発生したガスによりレンズが曇る等して、成形品の有する機能を十分に発揮することができなくなる場合があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は鋭意検討した結果、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種を硬化性樹脂成分として含む硬化性樹脂組成物に、離型材として炭素数19〜25の脂肪酸金属石鹸を配合した硬化性成形用樹脂組成物を用いることにより、成形品からガスの発生量が低減することを見出し、本発明を完成したものである。
【0012】
すなわち、本発明の硬化性成形用樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種を硬化性樹脂成分として含む硬化性成形用樹脂組成物に、離型材として炭素数19〜25の脂肪酸金属石鹸を配合してなることを特徴とするものである。
【0013】
本発明における不飽和ポリエステル樹脂の主成分となる不飽和ポリエステルは、例えば、不飽和多塩基酸を含む酸成分と、アルコール成分とを反応させることにより得ることができる。
【0014】
ここで用いられる酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和多塩基酸及びフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、ヘット酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等の飽和多塩基酸を挙げることができる。これらは単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
【0015】
また、アルコール成分としては、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ポリエーテルポリアルコール等を挙げることができる。これらは単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
【0016】
本発明において用いられる不飽和ポリエステル樹脂は、オルソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂、テレフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂、イソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂、ビスフェノール系不飽和ポリエステル樹脂を挙げることができ、取り扱いが容易で、成形性が良好等の観点から、オルソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0017】
また、本発明におけるビニルエステル樹脂の主成分となるビニルエステルは、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂のエポキシ基にアクリル酸やメタクリル酸等の不飽和一塩基酸又はマレイン酸やフマル酸等の不飽和二塩基酸のモノエステルを開環付加させることにより得ることができる。
【0018】
本発明において用いられるビニルエステル樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂から合成されるビスフェノール系ビニルエステル及びノボラック型エポキシ樹脂から合成されるノボラック系ビニルエステルを挙げることができ、取り扱いが容易で、成形性が良好等の観点から、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂であることが好ましい。
【0019】
上記に述べた不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂は、共重合成分を含有して用いることもでき、この共重合成分としては、不飽和ポリエステルと重合可能な重合性二重結合を有しているものであればよく、例えば、スチレンモノマー、ジアリルフタレートモノマー、ジアリルフタレートプレポリマー、メタクリル酸メチル、トリアリルイソシアヌレート等を挙げることができる。
【0020】
また、本発明の硬化性成形用樹脂組成物は、離型材として炭素数19〜25の脂肪酸金属石鹸を含有することを必須の構成要件とするものであり、この脂肪酸金属石鹸は、単独で用いることもできるし、これまで使用されていたステアリン酸金属石鹸等の他の離型材と同時に用いることもできる。
【0021】
他の離型材と同時に用いた場合には、離型性とガス発生の低減効果を十分に発揮することができるように、用いた離型材全量に対して炭素数19〜25の脂肪酸金属石鹸の含有量が、30重量%以上であることが好ましい。
【0022】
この離型材としては、ガスの発生量を有効に抑えることができる点から炭素数20〜24の直鎖状飽和脂肪酸金属石鹸であることが好ましく、炭素数22のベヘニン酸金属石鹸であることがより好ましい。
【0023】
本発明における脂肪酸金属石鹸の金属としては、アルカリ金属以外のものであれば用いることができるが、離型性が高いことから亜鉛、カルシウム、アルミニウム、マグネシウムであることが好ましい。
【0024】
したがって、本発明に用いられる脂肪酸金属石鹸としては、ベヘニン酸亜鉛、ベヘニン酸カルシウム、ベヘニン酸アルミニウム、ベヘニン酸マグネシウムが特に好ましい。
【0025】
また、本発明の硬化性成形用樹脂組成物には、成形品に要求される機能や成形特性等の観点から、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂及び脂肪酸金属石鹸の他に、充填材、補強材、硬化剤等の添加剤を適宜含有させることができ、さらに低収縮材を含有させることもできる。
【0026】
充填材としては、シリカ、アルミナ、マイカ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、石こう、硫酸バリウム、クレー、タルク等の無機粉末を挙げることができる。
【0027】
補強材としては、繊維強化プラスチックに通常用いられているガラス繊維等を挙げることができる。
【0028】
硬化剤としては、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等を挙げることができる。
【0029】
さらに、低収縮材としては、飽和ポリエステル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、スチレン−ブタジエン系ゴム等の低収縮材として一般的に使用されている熱可塑性ポリマーを挙げることができる。これらは単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0030】
本発明の硬化性成形用樹脂組成物は、上記述べた構成成分からなり、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種を含む硬化性樹脂成分8〜30重量%、好ましくは 10〜15重量%、炭素数19〜25の脂肪酸金属石鹸からなる離型材 0.1〜5重量%、好ましくは 0.5〜2重量%、充填材 60〜80重量%、好ましくは 65〜75重量%、補強材 2〜10重量%、好ましくは 3〜8重量%、硬化剤 0.1〜1重量%、好ましくは 0.2〜0.6重量%、低収縮材 1〜10重量%、好ましくは 3〜9重量%の範囲で配合されることが好ましい。
【0031】
【実施例】
以下、本発明について実施例を参照しながら説明する。
【0032】
(実施例1)
硬化性樹脂成分としてオルソフタル酸系の不飽和ポリエステル樹脂(日本ユピカ株式会社製:商品名7017)、低収縮材として飽和ポリエステル樹脂(日本ユピカ株式会社製:商品名A−25)及びポリスチレン(日立化成株式会社:商品名GP−P)、充填材として平均粒径2.6μm炭酸カルシウム(日東粉化工業株式会社製:商品名SS−80)及び平均粒径8μmの水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製:商品名H−32)、補強材として3mmガラス繊維(日本板硝子株式会社製:商品名RES03−BM5)、硬化剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(触媒1、日本油脂株式会社製:商品名パーブチルZ)及び1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(触媒2、日本油脂株式会社製:パーヘキサ3M)、離型材としてベヘニン酸亜鉛を構成成分として用いた。
【0033】
これらの成分を、表1に示した配合量で混練機(ニーダ)に入れ、約20分混練した。その後、ガラス繊維を入れ、10分間混練し、硬化性成形用樹脂組成物としてバルク状の成形材料を得た。なお、配合量は硬化性成形用樹脂組成物の構成成分全量に対するそれぞれの配合量を重量%で示したものである。
【0034】
得られた成形材料を用いて、金型温度145℃、硬化時間120秒の条件で成形機にて50φ×3mmの試験片を作成し、この試験片を120℃及び140℃の恒温槽に入れ、3000時間後の加熱減量を測定した。その結果は表1に示したように、120℃では0.05%、140℃では0.20%の減量がみられた。なお、この測定値は、離型材を含有しない同組成の不飽和ポリエステル硬化性成形用樹脂組成物をリファレンス(0値)として表したものである。
【0035】
(実施例2)
実施例1で用いた離型材の代わりにベヘニン酸亜鉛及びステアリン酸亜鉛の両方を用い、その他は実施例1と同一の条件で硬化性成形用樹脂組成物及び試験片を製造した(表1参照)。加熱減量についても実施例1と同一の条件で測定したところ、120℃では0.08%、140℃では0.25%の減量がみられた。
【0036】
【表1】
【0037】
(比較例1)
離型材としてステアリン酸亜鉛のみを用い、その他は実施例1と同一の条件で硬化性成形用樹脂組成物及び試験片を製造した(表2参照)。加熱減量についても実施例1と同一の条件で測定したところ、120℃では0.23%、140℃では0.55%の減量がみられた。
【0038】
(比較例2)
離型材としてステアリン酸カルシウムのみを用い、その他は実施例1と同一の条件で硬化性成形用樹脂組成物及び試験片を製造した(表2参照)。加熱減量についても実施例1と同一の条件で測定したところ、120℃では0.20%、140℃では0.5%の減量がみられた。
【0039】
【表2】
【0040】
以上の実施例及び比較例から、本発明の硬化性成形用樹脂組成物を用いた成形品は、成形後におけるガスの発生を大幅に抑えることができることがわかった。
【0041】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の硬化性成形用樹脂組成物は、これを用いて成形品としたときに離型材を使用することにより由来するガスの発生を抑えることができるものである。したがって、本発明の硬化性成形用樹脂組成物によれば、従来の硬化性成形用樹脂組成物を用いた成形品に比べて成形後のガス発生量を少なくすることにより、ガス発生による悪影響を低減した成形品を得ることができる。特に、リフレクターや光学シャーシ等のように、ガスによりレンズが曇って成形品の機能を阻害するような場合に、本発明は有用である。
Claims (8)
- 不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種を硬化性樹脂成分として含む硬化性樹脂組成物に、離型材として炭素数19〜25の脂肪酸金属石鹸を配合してなることを特徴とする硬化性成形用樹脂組成物。
- 前記硬化性樹脂組成物が、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種からなる硬化性樹脂、充填材、補強材及び硬化剤を含むことを特徴とする請求項1記載の硬化性成形用樹脂組成物。
- 低収縮材を含むことを特徴とする請求項2記載の硬化性成形用樹脂組成物。
- 前記低収縮材が、飽和ポリエステル及びポリスチレンの少なくとも1種からなることを特徴とする請求項3記載の硬化性成形用樹脂組成物。
- 不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1種を主成分とする硬化性樹脂 10〜15重量%と、炭素数19〜25の脂肪酸金属石鹸からなる離型材 0.5〜2重量%、充填材 65〜75重量%と、補強材 3〜8重量%と、硬化剤 0.2〜0.6重量%、低収縮材 3〜9重量%とからなることを特徴とする硬化性成形用樹脂組成物。
- 前記脂肪酸金属石鹸が、炭素数20〜24の直鎖状飽和脂肪酸金属石鹸であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の硬化性成形用樹脂組成物。
- 前記脂肪酸金属石鹸が、ベヘニン酸金属石鹸であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の硬化性成形用樹脂組成物。
- 前記脂肪酸金属石鹸が、ベヘニン酸亜鉛であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の硬化性成形用樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002358506A JP2004189855A (ja) | 2002-12-10 | 2002-12-10 | 硬化性成形用樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002358506A JP2004189855A (ja) | 2002-12-10 | 2002-12-10 | 硬化性成形用樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004189855A true JP2004189855A (ja) | 2004-07-08 |
Family
ID=32758207
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002358506A Withdrawn JP2004189855A (ja) | 2002-12-10 | 2002-12-10 | 硬化性成形用樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004189855A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108329659A (zh) * | 2017-12-29 | 2018-07-27 | 浙江德创环保科技股份有限公司 | 一种湿式电除尘器用玻璃钢墙板及其制备方法 |
-
2002
- 2002-12-10 JP JP2002358506A patent/JP2004189855A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108329659A (zh) * | 2017-12-29 | 2018-07-27 | 浙江德创环保科技股份有限公司 | 一种湿式电除尘器用玻璃钢墙板及其制备方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPWO2020162288A1 (ja) | 不飽和ポリエステル樹脂組成物、成形材料、成形品、および、電動車両のバッテリーパック筐体 | |
JPWO2005103152A1 (ja) | ランプリフレクター用低比重不飽和ポリエステル樹脂組成物及びその成形物 | |
JP2001226573A (ja) | 不飽和ポリエステル樹脂組成物 | |
JP2009073975A (ja) | 不飽和ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた電気・電子部品成形品 | |
JP2004189855A (ja) | 硬化性成形用樹脂組成物 | |
JP5225793B2 (ja) | 熱硬化性成形材料及び低比重成形体 | |
JP7172049B2 (ja) | 熱硬化性樹脂組成物、バルクモールディングコンパウンド及びその成形品 | |
JP2009077576A (ja) | モータ構成部品封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた封入モータ | |
JP4245994B2 (ja) | 難燃性不飽和ポリエステル樹脂組成物 | |
JP2007177127A (ja) | 熱硬化性成形材料 | |
JP2009077577A (ja) | モータ構成部品封止用不飽和ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた封入モータ | |
JP2002212408A (ja) | 不飽和ポリエステル樹脂組成物 | |
JP7108629B2 (ja) | バルクモールディングコンパウンド及びそれを用いてモーターを封止する方法 | |
JP5306847B2 (ja) | 環境配慮型熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2020100782A (ja) | 熱硬化性樹脂組成物、成形体およびランプリフレクター | |
JP2001247756A (ja) | 不飽和ポリエステル樹脂組成物 | |
JP2007217500A (ja) | 黒色ビニルエステル樹脂成形材料 | |
JP2001294633A (ja) | 不飽和ポリエステル樹脂成形材料 | |
JP2000053850A (ja) | 不飽和ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いたシートモールディングコンパウンド並びに樹脂成形品 | |
JPH11269237A (ja) | 不飽和ポリエステル樹脂組成物 | |
JPH0859974A (ja) | 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び不飽和ポリエステル樹脂成形体の製造方法 | |
WO2022137686A1 (ja) | 不飽和ポリエステル樹脂組成物及び成形体 | |
JP2006022163A (ja) | 熱硬化性樹脂成形材料 | |
JP2024054993A (ja) | 熱硬化性樹脂組成物、バルクモールディングコンパウンド及びその成形品 | |
JP2007262247A (ja) | 熱硬化性樹脂組成物、その製造方法及び熱硬化性樹脂成形品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060307 |