JP2004189828A - 透明性フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性フィルム、特にフラットパネルディスプレイ用に利用できる透明性フィルムを製造する。
【解決手段】a)特定構造を有するマレイミド・オレフィン共重合体1〜99重量%およびb)アクリロニトリル単位を21〜45重量%含むアクリロニトリル・スチレン共重合体99〜1重量%よりなる樹脂組成物10〜40重量%、および溶媒90〜60重量%からなる溶液を支持基板上に流延し、溶媒を含む流延フィルムから溶媒を蒸発させるに際し、上記溶媒が塩化メチレンを70重量%以上含有し、且つ炭素数1〜6の直鎖状または分岐状の脂肪族アルコールを1〜15重量%含有するものを用いる。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体よりなる樹脂組成物からなる表面平滑性、厚み精度に優れる透明性フィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶ディスプレイ、有機EL、PDPなどに代表されるフラットパネルディスプレイは、薄型、軽量である特徴が市場ニーズにマッチし、急速に普及、あるいはその利用範囲を拡大している。これらのフラットパネルディスプレイにおいては、数々の高分子フィルムが用いられており、例えば、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、視野角補償フィルム、透明電極フィルム、光拡散フィルム、光反射フィルム、電磁波遮蔽フィルム、ディスプレイ表面保護フィルムなどに利用されている。そして、これら高分子フィルムには、ディスプレイの視認性を低下させないよう、非常に高い透明性と優れた表面平滑性および厚み精度が要求されることが一般的である。フラットパネルディスプレイに利用される透明性フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、直鎖状ポリオレフィンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、熱硬化型樹脂フィルムなどを代表例として挙げることができる。
【0003】
一般に、透明性フィルムはTダイ溶融押出法または溶液流延法により製造される。Tダイ溶融押出法は生産性に優れ、製造設備も比較的安価であるため、透明性フィルムの製造方法として広く用いられている。しかし、溶融押出法の場合、溶融混練時の混練履歴、練りむら、吐出むら、樹脂焼け等の原因により、フィルム表面に微小なスジ、シャークスキン状の荒れ、ダイライン等が発生し易い。また、高粘度の溶融樹脂を押出機内にて混練した後、Tダイス内で幅方向に拡張し、引き取り操作を行うため、高い厚み精度を得ることが難しい。このような理由から、Tダイ溶融押出法により、フラットパネルディスプレイ用透明性フィルムに要求されるような非常に高い表面平滑性、厚み精度を達成することは非常に難しいことが実状である。
【0004】
一方、溶液流延法は、高分子を溶媒に溶解させた高粘度溶液(ドープ)を支持基板上に流延した後、加熱して大部分の溶媒を除去して自立性のあるフィルムとして支持基板から剥離し、さらに加熱乾燥して残りの溶媒を除去するフィルムの成膜法である。溶液流延法をTダイ溶融押出法と比較した場合、溶融混練押出による練りむら、吐出むら、あるいは熱劣化による樹脂焼けの発生が無いため、高い表面平滑性を得やすく、さらに溶融粘度に対し、溶液粘度は低いため、高い厚み精度が得られ易いという利点がある。従い、フラットパネルディスプレイ用透明性フィルムのように、特に高い表面平滑性、厚み精度を要求される場合には、溶液流延法によるフィルムが用いられることが多い。
【0005】
本発明者らは、以前、マレイミド・オレフィン共重合体を含む樹脂組成物からなる光学特性、耐熱性、機械特性に優れる透明性フィルムを提案した(例えば、特許文献1参照)。その後、本発明者らは、マレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体よりなる樹脂組成物からなる透明性フィルムの製造方法について検討し、優れた表面平滑性および厚み精度を得るため鋭意努力した結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−80240
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れた表面平滑性および厚み精度を有する透明性フィルムの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、マレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体よりなる樹脂組成物を低級脂肪族アルコールを少量含んだ塩化メチレン混合溶媒に溶解させた溶液を用いて溶液流延法により製造されたフィルムが上記目的を満たすことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、a)下記構成成分(I)が40〜60モル%、構成成分(II)が60〜40モル%であり、数平均分子量が1×10以上5×10以下であるマレイミド・オレフィン共重合体1〜99重量%およびb)アクリロニトリル単位を21〜45重量%含むアクリロニトリル・スチレン共重合体99〜1重量%よりなる樹脂組成物10〜40重量%、および溶媒90〜60重量%からなる溶液を支持基板上に流延し、溶媒を含む流延フィルムから溶媒を蒸発させることを特徴とする透明性フィルムの製造方法であって、上記溶媒が塩化メチレンを70重量%以上含有し、且つ炭素数1〜6の直鎖状または分岐状の脂肪族アルコールを1〜15重量%含有するものであることを特徴とする透明性フィルムの製造方法に関するものである。
【0010】
【化3】
Figure 2004189828
【化4】
Figure 2004189828
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
上記の構成成分(I)と構成成分(II)からなるマレイミド・オレフィン共重合体は、例えば、マレイミド類とオレフィン類とのラジカル共重合反応により得ることができる。構成成分(I)を与える化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類が例示され、耐熱性、機械特性および透明性の点から特にN−メチルマレイミドが好ましい。また、これらの化合物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0012】
構成成分(II)を与える化合物としては、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等のオレフィン類が例示でき、このうち耐熱性、機械特性および透明性の点から特にイソブテンが好ましい。また、これらの化合物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0013】
構成成分(I)の含有量は、共重合体全体の40〜60モル%であり、耐熱性および機械特性の点から45〜55モル%が好ましい。構成成分(I)が60モル%を越える場合には得られるフィルムは脆くなり、40モル%未満の場合では得られるフィルムの耐熱性が低下するため好ましくない。
【0014】
また、構成成分(I)と構成成分(II)からなるマレイミド・オレフィン共重合体は、必要ならば、本発明の目的を損なわない範囲で他のモノマー成分を含有していても良い。他のモノマー成分としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル類、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピオビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、無水マレイン酸、およびアクリロニトリルより選ばれる1種類以上の化合物が挙げられ、その含有率としては5モル%以下であることが好ましい。
【0015】
これらモノマーの重合は公知の重合方法、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法および乳化重合法のいずれもが採用可能である。得られるフィルムの透明性、色調の点から特に沈殿重合法が好ましい。
【0016】
重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物、または、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤が挙げられる。
【0017】
溶液重合法あるいは沈殿重合法において使用可能な溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、シクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、酢酸イソプロピル、芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒などが挙げられる。
【0018】
重合温度は、開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができるが、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
【0019】
上述のマレイミド・オレフィン共重合体は、無水マレイン酸とオレフィン類との共重合により得られる樹脂をアンモニア、アルキルアミンを用いて、後イミド化することによっても得ることができる。
【0020】
このような後イミド化反応は、例えば、無水マレイン酸・オレフィン共重合体をメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶媒、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶媒、芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒などに溶解あるいは分散させ、アルキルアミンと50〜250℃の温度で反応させることによりアミド化反応およびイミド化反応を連続的に行う方法、あるいはアルキルアミンと反応させてアミド体を得た後、そのアミド体を用いてイミド化反応を行う方法により製造することができる。
【0021】
ここで、生成する共重合体の数平均分子量(Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。マレイミド・オレフィン共重合体の分子量は1×10以上5×10以下、特に機械特性と製膜性のバランスの点から1×10以上5×10以下のものが好ましい。分子量が5×10を越える場合には、得られるフィルムの表面性が悪くなるとともに、延伸によりフィルムが破断し易くなる。また1×10未満の場合には、得られるフィルムの機械強度が乏しくなる。
【0022】
本発明で使用されるアクリロニトリル・スチレン共重合体のアクリロニトリル含量は、組成全体の21〜45重量%が好ましい。この範囲を外れるとマレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体の相溶性が低下するため、得られるフィルムは不透明になり、また耐熱性も低下するため好ましくない。
【0023】
本発明で使用されるマレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体の割合は、1:99〜99:1(重量%)、加工性、耐熱性、光学特性のバランスの点から10:90〜90:10(重量%)、特に50:50〜90:10(重量%)が好ましい。マレイミド・オレフィン共重合体が1重量%未満の場合には、フィルムの耐熱性が乏しくなるとともに、フィルムの光学特性、特に複屈折が応力に対して変化し易くなるため好ましくない。また、マレイミド・オレフィン共重合体が99重量%を越える場合には、フィルムの機械強度が乏しくなるため好ましくない。
【0024】
本発明における透明性フィルムには、発明の主旨を越えない範囲で、その他ポリマー、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、顔料、染料、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、可塑剤等が加えられていても良い。
【0025】
本発明は、a)マレイミド・オレフィン共重合体1〜99重量%およびb)アクリロニトリル単位を21〜45重量%含むアクリロニトリル・スチレン共重合体99〜1重量%よりなる樹脂組成物10〜40重量%、および溶媒90〜60重量%からなる溶液を支持基板上に流延し、溶媒を含む流延フィルムから溶媒を蒸発させることを特徴とする透明性フィルムの製造方法であって、上記溶媒が塩化メチレンを70重量%以上含有し、且つ炭素数1〜6の直鎖状または分岐状の脂肪族アルコールを1〜15重量%含有するものであることを特徴とする透明性フィルムの製造方法に関するものである。
【0026】
塩化メチレンは、本発明におけるマレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体よりなる樹脂組成物の良溶媒ではあるが、塩化メチレンのみを溶媒として用い、高粘度溶液(ドープ)を作製した場合、時間の経過とともにドープの粘度が上昇し、最終的にゼリー状の固化に至る。ドープの粘度は所望するフィルムの厚み、溶媒の乾燥時間等を考慮して調整されるため、ドープの粘度が安定しない場合、ドープ作製後の時間経過に伴い、フィルムの厚みが変化する等の問題が発生する。また、ドープの一部あるいは全体がゼリー状に固化した場合、フィルムの表面平滑性が悪化するばかりか、成膜自体ができなくなる場合もある。
【0027】
本発明者らは、ドープの安定性を向上させるために、溶媒として、塩化メチレンを70重量%以上含有し、且つ炭素数1〜6の直鎖状または分岐状の脂肪族アルコールを1〜15重量%含有する混合溶媒を用いることにより、上記問題を解決するに至った。
【0028】
本発明に用いられるアルコールとしては、炭素数1〜6の直鎖状、あるいは分岐した脂肪族アルコールが好ましく、特に好ましくは炭素数1〜4の直鎖状、あるいは分岐した脂肪族アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ターシャリーブタノールなどが挙げられる。炭素数6を超える高級アルコールは、高沸点であるためフィルム製膜後も残留しやすくなるので好ましくない。また、これらアルコールは単独で加えても良いし、2種類以上組み合わせても問題ない。
【0029】
本発明における溶媒中のアルコール含有量は1〜15重量%、より好ましくは2〜10重量%、特に好ましくは4〜10重量%である。含有量が15重量%を超える場合、マレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体よりなる樹脂組成物の溶媒への溶解性が低下するため、ドープが濁るなどの問題があり、1重量%に満たない場合は、ドープの安定性向上効果が乏しくなる。一方、溶媒中の塩化メチレン含有量は70重量%以上、より好ましくは80重量%以上含有することが好ましく、70重量%に満たない場合は、マレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体よりなる樹脂組成物の溶媒への溶解性が低下するため好ましくない。
【0030】
また、本発明に用いられる溶媒は、溶液流延法により製膜したフイルムの表面性向上、溶媒の蒸発速度やドープの粘度調節などを目的に、樹脂組成物の溶媒への溶解性やドープの安定性を犠牲にしない範囲で、塩化メチレンおよびアルコール以外の溶媒を含有させることができる。塩化メチレンおよびアルコール以外の溶媒として、例えばクロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶媒、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶媒、酢酸イソプロピル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−ブタン等の脂肪族系溶媒、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
【0031】
本発明における溶液は、マレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体よりなる樹脂組成物10〜40重量%、および溶媒90〜60重量%からなる溶液であり、より好ましくは、マレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体よりなる樹脂組成物15重量%〜30重量%、溶媒85〜70重量%である。樹脂組成物の溶液中含有量が40重量%を超えると溶媒への溶解性が低下するとともに、ドープの安定性が乏しくなる問題がある。一方、樹脂組成物の溶液中含有量が10重量%に満たない場合、ドープの安定性は問題ないが、溶液流延法により成膜した場合、フィルムの表面平滑性が不十分となることや、厚み精度が得られないなどの問題がある。
【0032】
本発明における溶液の作製法としては、特に限定されるものではなく、例えば、塩化メチレンに溶解させた樹脂組成物溶液に、アルコール等の溶媒を所定量添加する方法、あるいは塩化メチレン、アルコール等を含有する混合溶媒に樹脂組成物を添加し、溶液を作製する方法などが挙げられる。
【0033】
本発明においては、ドープを支持基板上に流延した後、加熱することにより溶媒を蒸発させてフイルムを得る。一般に流延する方法として、Tダイ法、ドクターブレード法、バーコーター法、ロールコータ法、リップコーター法等が用いられる。工業的には、ダイからドープをベルト状もしくはドラム状の支持基板に連続的に押し出す方法が最も一般的である。用いられる支持基板としてはガラス基板、ステンレスやフェロタイプ等の金属基板、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック基板などがある。高度に表面性、光学均質性の優れたフィルムを工業的に連続製膜するには、表面を鏡面仕上げした金属基板が最も一般的に用いられる。
【0034】
溶液流延法において、高い透明性を有し、且つ厚み精度、表面平滑性に優れたフイルムを製膜する目的において、溶液粘度は極めて重要な因子である。溶液粘度はポリマーの濃度、分子量および溶媒の種類に依存するが、本発明の溶液の粘度は、好ましくは700〜30000cps、より好ましくは1000〜10000cpsである。溶液粘度が700〜30000cpsの範囲を外れる場合、フィルムの表面平滑性、厚み精度が得られ難くなるため、好ましくない。
【0035】
本発明のフィルムの厚みは、10〜500μmであり、より好ましくは20〜200μmの範囲である。フィルム厚みが10μm未満の場合は、機械特性が低下し、500μmを超える場合には、溶媒の除去に長時間を要し、生産性が低下するため、好ましくない。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0037】
実施例に示す諸物性は、以下の方法により測定した。
【0038】
分子量:ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製 HLC−802A)を用い、ポリスチレン換算により求めた。
【0039】
組成比:主として元素分析、H−NMR測定により決定した。
【0040】
全光線透過率:日本分光(株)製 紫外可視分光器(V530)を用い、フィルム中心部の全光線透過率を測定した。
【0041】
表面平滑性:(株)キーエンス製 レーザー顕微鏡(VK−8550)を用い、中心線平均粗さ(Ra)を求め、この値により表面平滑性を評価した。
【0042】
合成例 マレイミド・オレフィン共重合体の合成
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた30Lオートクレーブに、N−メチルマレイミド 1.2kg、t−ブチルパーオキシネオデカノエート 8gおよびトルエンとメタノールの混合溶媒(1:1重量比)15Lを仕込み、窒素で数回パージした後、イソブテン8.5Lを仕込み、60℃で6時間反応を行った。得られた粒子を遠心分離後乾燥した。収量は1.7kgであった。
【0043】
得られたポリマーの元素分析結果(C;64.7重量%、H;7.8重量%、N;8.4重量%)より、生成ポリマー中のマレイミド単位およびイソブテン単位は、それぞれ50モル%であった。得られたポリマーは、数平均分子量(Mn)95000であった。
【0044】
実施例1〜2、比較例1〜2
合成例で合成したN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体、およびアクリロニトリル含量30重量%のアクリロニトリル・スチレン共重合体を80:20の重量比にてドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機((株)日本製鋼所製)に供して溶融混練を行い、ペレット化した。そして、表1に示す塩化メチレンとアルコールの混合溶媒に、上述のペレットを溶液中の含有量が20重量%となるように溶解し、ドープを得た。アルコールを1〜15重量%の範囲内で含有する溶媒を用いた場合のドープは、均一透明であった。また、得られたドープを静置し、4日間観察したが、ドープに変化は認められなかった。一方、アルコールを添加しない場合、ドープ作製直後は均一透明であったが、静置後、4日間経過した時点にてゼリー状固化物が発生した。また、アルコールを1〜15重量%の範囲を超えて添加した場合、ドープ作製直後において濁りが認められた。ドープ作製直後および4日間静置後のドープの状態について表1に示す。次いで、4日間静置後のドープを用い、Tダイ法により溶液流延装置の支持体に流延し、乾燥後、幅300mmのフィルムを得た。そして、成膜したフィルムを一片200mmの正方形に裁断し、全光線透過率、Raを測定した。その結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 2004189828
実施例3〜4、比較例3
実施例1〜2、比較例1〜2の方法と同様にしてペレット化した樹脂組成物を得た。そして、表2に示す塩化メチレンとアルコールの混合溶媒に、上述のペレットを溶液中の含有量が20重量%となるように溶解し、ドープを得た。ドープ作製直後および4日間静置後のドープの状態について表2に示す。次いで、4日間静置後のドープを用い、実施例1〜2、比較例1〜2の方法と同様にして成膜、裁断を行い、一片200mmの正方形フィルム試験片を得た。フィルムの全光線透過率、Raを測定した結果について表2に示す。
【0046】
【表2】
Figure 2004189828
比較例4〜5
実施例1〜2、比較例1〜2の方法と同様にしてペレット化した樹脂組成物を得た。そして、表3に示す塩化メチレンとアルコールの混合溶媒に、上述のペレットを表3に示す溶液中の含有量となるように溶解し、ドープを得た。ドープ作製直後および4日間静置後のドープの状態について表3に示す。次いで、4日間静置後のドープを用い、実施例1〜2、比較例1〜2の方法と同様にして成膜、裁断を行い、一片200mmの正方形フィルム試験片を得た。フィルムの全光線透過率、Raを測定した結果について表3に示す。
【0047】
【表3】
Figure 2004189828
実施例5〜6
実施例1〜2、比較例1〜2の方法と同様にしてペレット化した樹脂組成物を得た。そして、表4に示す混合溶媒に、上述のペレットを溶液中の含有量が20重量%となるように溶解し、ドープを得た。ドープ作製直後および4日間静置後のドープの状態について表4に示す。次いで、4日間静置後のドープを用い、実施例1〜2、比較例1〜2の方法と同様にして成膜、裁断を行い、一片200mmの正方形フィルム試験片を得た。フィルムの全光線透過率、Raを測定した結果について表4に示す。
【0048】
【表4】
Figure 2004189828
【発明の効果】
本発明である透明性フィルムの製造方法によれば、フラットパネルディスプレイ用透明性フィルム、例えば、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、視野角補償フィルム、透明電極フィルム、光拡散フィルム、光反射フィルム、電磁波遮蔽フィルム、ディスプレイ表面保護フィルムに利用できる透明性フィルムを製造することが可能となる。

Claims (2)

  1. a)下記構成成分(I)が40〜60モル%、構成成分(II)が60〜40モル%であり、数平均分子量が1×10以上5×10以下であるマレイミド・オレフィン共重合体1〜99重量%およびb)アクリロニトリル単位を21〜45重量%含むアクリロニトリル・スチレン共重合体99〜1重量%よりなる樹脂組成物10〜40重量%、および溶媒90〜60重量%からなる溶液を支持基板上に流延し、溶媒を含む流延フィルムから溶媒を蒸発させることを特徴とする透明性フィルムの製造方法であって、上記溶媒が塩化メチレンを70重量%以上含有し、且つ炭素数1〜6の直鎖状または分岐状の脂肪族アルコールを1〜15重量%含有するものであることを特徴とする透明性フィルムの製造方法。
    Figure 2004189828
    Figure 2004189828
  2. 溶媒が、塩化メチレンを99〜85重量%含有し、且つ炭素数1〜6の直鎖状または分岐状の脂肪族アルコールを1〜15重量%含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の透明性フィルムの製造方法。
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