JP2004189186A - ワイパブレード及びワイパ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】レバーアッセンブリを有しないタイプのワイパブレードであって、デザイン性に優れ、安価な部品として交換が容易なワイパブレードを提供すること。
【解決手段】ワイパブレードは、払拭面を払拭するブレードラバー17と、前記ブレードラバー17に取り付けられるホルダ部材13及び支持部材と、前記ブレードラバー17に形成されたバッキング用溝に嵌入するバッキングと、前記ブレードラバー17を覆うフィン18と、を備えている。ブレードラバー17は、ホルダ部材13及びフィン18に取り付けられる。
【選択図】 図2
【解決手段】ワイパブレードは、払拭面を払拭するブレードラバー17と、前記ブレードラバー17に取り付けられるホルダ部材13及び支持部材と、前記ブレードラバー17に形成されたバッキング用溝に嵌入するバッキングと、前記ブレードラバー17を覆うフィン18と、を備えている。ブレードラバー17は、ホルダ部材13及びフィン18に取り付けられる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のウインドシールドガラス等を払拭するワイパ装置に適用されるワイパブレードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車のウインドシールドガラス等を払拭するワイパ装置では、ウインドシールドガラスが曲面ガラスであっても払拭性能が低下することなく確実に払拭できるようなワイパブレードが用いられている。具体的には、複数のレバーがそれぞれ回動可能に連結されたレバーアッセンブリを備え、このレバーアッセンブリによってバッキングと共にブレードラバーが保持されてワイパアームからの押圧力をブレードラバーの長手方向に分散させた、いわゆるトーナメント式のワイパブレードが一般的に用いられている。
【0003】
また、そのトーナメント式のワイパブレードと異なり、所定の剛性を有したバッキング自体を所定形状に湾曲形成(ガラス曲率に応じた湾曲形状に形成)させ、ワイパアームの押圧力をレバーを介さずにこのバッキングによってブレードラバーの長手方向に分散させたワイパブレードがある。(例えば、特許文献1)
この種のワイパブレードは、トーナメント式のワイパブレードに比べてブレードラバーを保持するレバーがないため全体の高さを低くでき、高速走行性能(風切り音や浮き上がりの発生などを防止する性能)が優れている。
【0004】
また、この種のワイパブレードは、通常、フィンがさらに設けられて、高速走行性能をさらに高めていた。
【0005】
【特許文献1】
特表2002−531325号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に開示された発明は、ブレードラバーの縦溝内にバッキングが配置されており、ブレードラバーの長手方向には、部分的に切り込みが複数形成され、この切り込みに取り付けられた保持体の確保爪によってブレードラバーの縦溝内にバッキングを確保している。そのため、外観上、保持体が複数取り付けられるために一体感が無く、デザイン性に劣っていた。また、ブレードラバーとフィンとが一体成形されているため、ブレードラバーが時間の経過と共に劣化及び摩耗した場合に、新しくブレードラバーだけ、若しくはブレードラバーとバッキングだけを交換するという要求に対し、フィンまでもブレードラバーと共に交換しなければならない。そのため、交換部品(消耗部品)としてのブレードラバーがフィンと一体成形品であるために高価なものとなっていた。また、ブレードラバーだけを交換可能なようにするために、1つの平板状のバッキングの一方の面にブレードラバーを接着し、他方の面にフィンを接着固定したものがある。しかしながら、一般ユーザが湾曲したバッキングにブレードラバーをその湾曲面に並行にかつ長手方向に真直ぐに接着することは極めて困難な作業であり、一般ユーザによって交換されたブレードラバーでは、良好な払拭性能を得ることは極めて困難であった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、レバーアッセンブリを有しないタイプのワイパブレードであって、デザイン性に優れ、安価な部品として交換の容易なワイパブレード及びワイパ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、払拭面を払拭するブレードラバーと、所定の剛性を有すると共に所定形状に湾曲形成され、前記ブレードラバーに形成されたバッキング用溝に嵌入されるバッキングと、ワイパアームが回動可能に連結されるホルダ部材を含み、前記ブレードラバーが取着される保持部材と、ワイパアームが回動可能に連結されるホルダ部材と、前記保持部材に固定されると共に前記ホルダ部材の両側に前記ブレードラバーの長手方向に沿って支持されたフィンとを備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記ブレードラバーは、払拭面を払拭する払拭部と、前記保持部材が取着される取付部と、を有し、前記フィンは、前記取付部を長手方向に亘って把持する把持部を有することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記取付部には、前記把持部が挿入される把持溝が形成されていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、前記取付部には、前記把持溝とは別に、前記保持部材に形成された爪部が挿入される取付溝が前記バッキング用溝よりも払拭面側に位置するように該取付部の長手方向に沿って形成されたことを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記バッキングが嵌入されるバッキング用溝は、前記ブレードラバーの長手方向に沿って延びる両側面にそれぞれ形成され、前記フィンは、前記バッキング用溝の嵌入口を覆うように形成されたことを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記保持部材に嵌合部を備え、該嵌合部を前記フィンに形成された嵌合孔に嵌入したことを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、前記嵌合部はその先端が該フィンに対向するように突出形成され、該嵌合部の先端部分に前記フィンの抜けを防ぐ突起部が形成されたことを特徴としている。
【0013】
請求項8に記載の発明は、前記フィンの長手方向両端部には、前記ブレードラバーの長手方向突端面に当接するストッパ壁が形成されたことを特徴としている。
【0014】
請求項9に記載の発明は、前記フィンは、前記ホルダ部材を挟んで前記ブレードラバーの長手方向両側にそれぞれ配置されるフィン部と、該両フィン部を互いに連結すると共に前記保持部材の側壁面を被覆する被覆部と、を有することを特徴としている。
【0015】
請求項10に記載の発明は、ワイパ装置が、請求項1〜9のいずれか一項に記載のワイパブレードを備えたことを特徴としている。
(作用)
請求項1又は9に記載の発明によれば、フィンは保持部材に固定されブレードラバーに対しては長手方向に支持されているだけである。そのため、ブレードラバーはフィンに対して容易に取り外しができるので、消耗品ではないフィンを交換することなくブレードラバー及びバッキングを安易に交換することができる。また、ホルダ部材を挟んでフィンをブレードラバーの長手方向両側に支持することでワイパブレードが一体感を有するデザインとなり外観が向上する。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、フィンがブレードラバーの湾曲に追従するので、フィンによる押圧補助効果が向上する。
請求項3に記載の発明によれば、把持溝を長手方向に亘って形成することにより、ブレードラバーの一端部の把持溝をフィンの把持部に挿通するだけでフィンに対しブレードラバーを容易に案内し支持する。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、ブレードラバーをフィンに取り付けるために長手方向に沿って相対移動させるとき、ブレードラバーの移動を妨げない。
請求項5に記載の発明によれば、フィンが、バッキング用溝に嵌入されたバッキングを覆うため、外観が美しくなり、デザイン性に優れている。さらに、バッキングのバッキング溝内からのはみ出しを防止すると共に、バッキングのエッジ部分を保護することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、保持部材に嵌合部を設け、該嵌合部をフィンに形成された嵌合孔に挿入させた。これにより、フィンの位置決め及び固定を容易に行うことができる。また、嵌合孔に嵌合部を嵌入させただけなので、取り外しも容易に行うことが可能となる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、嵌合部にフィンと係合する突起部を設けた。このため、嵌合部をフィンの嵌合孔に嵌入させるだけで、フィンの固定を容易に行うことができる。また、フィンを保持部材に取り付ける際に、嵌合部の先端がフィンと対向するように突出形成されているので、嵌合部をフィンの嵌合孔に嵌入させやすい。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、保持部材に対しブレードラバーが長手方向に移動するのを防止するための係止構造を設けなくても、保持部材に固定されたフィンにブレードラバーを挿通支持するだけで、ブレードラバーがフィンのストッパ壁に当接することで、ブレードラバーの長手方向への相対移動(抜けだし)を防止できる。
【0021】
請求項9に記載の発明によれば、フィンの被覆部により保持部材を被覆することにより、ワイパブレードは、より一体感を強調したデザイン性を有する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1(a)は、ワイパブレード11の平面図である。図1(b)は、ワイパブレード11の正面図である。
【0023】
図1に示すように、ワイパブレード11は、ワイパアーム12に回動可能に連結され、該ワイパアーム12により払拭面に向けて付勢されている。
前記ワイパアーム12は、その基端がワイパ装置の駆動源と駆動連結されている(図示せず)。図2に示すように、ワイパアーム12の先端はU字に形成され、その先端にホルダ部材13が連結されている。ホルダ部材13は回動軸14により回動可能に支持された連結部材15を有し、該連結部材15にワイパアーム12の先端が固定され、ホルダ部材13がワイパアーム12に対して相対回動する。
【0024】
前記ホルダ部材13は、略長方形の板部13cと、該板部13cの長手方向に沿って板部13cの両端に取り付けられた両壁部13a,13b(図2においては、片側壁部13aのみを示す)を備えている。両壁部13a,13bの長手方向略中央位置に前記回動軸14が固定されている。尚、ホルダ部材13は保持部材としての機能を有する。具体的には、一対の爪部16及び板部13cが保持部材として機能する。
【0025】
該ホルダ部材13の板部13cには、長手方向両端に一対の爪部16が対称的に形成されている。爪部16は、ホルダ部材13がブレードラバー17に取り付けられるために、ホルダ部材13の幅方向内側に向かって屈曲形成されている。
【0026】
また、図2に示すように、ホルダ部材13の板部13cの長手方向両端には、後述するフィン18をホルダ部材13に固定するために一対の第1の嵌合部19が設けられている。該第1の嵌合部19は、該板部13cの略幅方向中央からブレードラバー17の長手方向外側に向かって延出形成されており、所定箇所において反払拭面側(図2において上側)にその先端が突出するように折れ曲げられている。つまり、第1の嵌合部19の先端は、フィン18に対向するように突出形成されている。
【0027】
また、第1の嵌合部19の先端部分には、第1の嵌合部19の突出方向と異なる方向に突出形成されている突起部19aが形成されている。本実施形態では、ホルダ部材13の長手方向に突出するように突起部19aが形成されている。
【0028】
図3に示すように、ホルダ部材13が取り付けられるブレードラバー17は、ゴムからなり、取付部17aと払拭部17bとを備え、長尺状に成型されている。取付部17aには、幅方向両側面17cにバッキング用溝20と取付溝としてのホルダ用溝21が形成されている。尚、第一実施形態におけるホルダ用溝21は、把持溝としても機能する。バッキング用溝20は、ホルダ用溝21よりも反払拭部17b側(図において上側)に形成されている。即ち、図3に示すように、取付部17aの縦断面は、上下2箇所において括れている。また、払拭部17bは、縦断面略三角形状に形成され、ネック部17dによって取付部17aに対して傾動反転自在に連結されている。
【0029】
図4は、フィン18を取り外した状態におけるワイパブレード11の要部拡大正面図である。
バッキング用溝20は、ブレードラバー17の長手方向に沿って形成されている。このバッキング用溝20に、バッキング22がそれぞれ嵌合される。尚、このバッキング用溝20は、嵌合するバッキング22の長手方向の移動を規制するために、その両端部に規制面20aが設けられている。また、バッキング22は、バッキング用溝20内に完全に嵌入されている。つまり、バッキング22の幅寸法Wはバッキング用溝20の溝深さ寸法S以下に設定されている。
【0030】
バッキング用溝20に嵌合するバッキング22は、バネ性を有する金属材料からなり、細長い板状に形成されている。また、バッキング22は、払拭面のガラス曲率に応じて湾曲形状に形成されている。バッキング22は、ワイパブレード11の払拭面の曲率よりも大きい曲率で湾曲形状に形成されている。このため、バッキング用溝20にバッキング22を嵌合すると、バッキング22の形状に合わせてワイパブレード11が湾曲変形する。また、バッキング22は所定の剛性及びバネ性を有しているので、払拭時にワイパアーム12により付勢力が加わると、ワイパブレード11が払拭面の曲率に合わせて弾性変形する。
【0031】
図4に示すホルダ用溝21は、ブレードラバー17の長手方向に沿って延びるように形成されている。また、図3にも示すように、該ホルダ用溝21は、取付部17aの高さ方向において、前記バッキング用溝20と払拭部17bとの間に位置して形成されている。尚、前記爪部16は、該ホルダ用溝21に爪部16の先端部分が挿入可能なように、該ホルダ用溝21の形状に合わせて形成されている。詳述すると、図3に示すように、爪部16は、取付部17aの高さ方向においてホルダ用溝21が位置する箇所で一対の爪部16の先端が互いに対向するように略直角に屈曲形成されている。そして、爪部16は、対向する爪部16の先端間の距離Tが、少なくとも取付部17aの両外側壁面間隔P(取付部17aの幅方向の長さ)よりも小さくなるように形成されている。
【0032】
ここで、爪部16がホルダ用溝21に挿入されると、ホルダ部材13が該爪部16を介してブレードラバー17と係合するので、ブレードラバー17はホルダ部材13に保持される。また、爪部16がホルダ用溝21に挿入されると、図3に示すように、バッキング用溝20のバッキング22が嵌入される開口部20b(図3に示す横断面においてブレードラバー17の幅方向への開口部分)は爪部16により部分的に塞がれる。即ち、爪部16は、バッキング用溝20に嵌入されたバッキング22に対する抜け止めの役割も果たす。
【0033】
ホルダ用溝21の底部21a(図3において取付部17aの高さ方向に延びる面)には、図4、図5に示すように、係止部23が形成されている。係止部23は、各ホルダ用溝21にそれぞれ設けられ、それらはホルダ部材13の爪部16よりブレードラバー17の端部側に設けられている。具体的には、図4に示すように、係止部23は、各ホルダ用溝21においてそれぞれ2箇所ずつ設けられている。そして、ホルダ用溝21の長手方向における係止部23間の距離Yは、ホルダ部材13の長手方向においてホルダ部材13の両端に位置する爪部16の長手方向外側面間の距離X、つまり、ホルダ部材13の長手方向の長さよりも、僅かに大きく形成されている。
【0034】
また、係止部23には、前記爪部16側に該爪部16の長手方向の動きを規制する係止面23aが形成されている。各係止面23aは、前記ホルダ部材13を中心として長手方向外側から各爪部16を係止する。詳しくは、図5に示すように、取付部17aの幅方向における係止部23間の距離Z(取付部17aの幅方向における係止面23aの最も外側の距離)が、対向する爪部16の先端間の距離Tよりも大きくなるように、係止部23はホルダ用溝21内に配置されている。このように、係止部23は、ホルダ部材13の長手方向両端付近に配置されているので、係止面23aは、ブレードラバー17の長手方向においてホルダ部材13の両側から挟み込むようにして各爪部16を係止し、ホルダ部材13の位置決めを行う。さらに、各係止面23aは、前記ホルダ部材13がブレードラバー17の長手方向中央に位置したときに、各爪部16の長手方向外側の面とそれぞれ係止する位置に形成されている。このため、ホルダ部材13は、係止面23aによりブレードラバー17の長手方向略中央に固定される。
【0035】
また、係止部23には、ホルダ部材13に対して長手方向外側から前記係止面23aに向かってそれぞれスロープ23bが形成されている。このスロープ23bは、長手方向外側から係止面23aに向かって形成された傾斜面である。該スロープ23bは、弾性変形可能なゴム材からなるので、ホルダ部材13をブレードラバー17の端部から、つまり、長手方向外側から移動させることで、前記爪部16が徐々に該係止面23aを乗り越えることが可能である。
【0036】
また、図1(b)に示すように、ブレードラバー17の長手方向の両端部付近には、保持部材としての支持部材24が取り付けられる。尚、図1(b)では、ブレードラバー17の片側のみに支持部材24が図示されている。支持部材24は、図6に示すように、ブレードラバー17を保持する(換言すると、ブレードラバー17にフィン18を支持する)ための一対の爪部25が対称的に形成されている。支持部材24の爪部25は、ブレードラバー17をフィン18に取り付け可能とするために、支持部材24の幅方向内側に向かって屈曲形成されている。この爪部25には、前記ホルダ部材13と同様に、ブレードラバー17の長手方向端部のホルダ用溝21が挿入される。そして、該ホルダ用溝21が爪部25に挿入されることで、支持部材24及びホルダ部材13の爪部16,25内をブレードラバー17が長手方向に沿って移動可能となる。このとき、支持部材24及びホルダ部材13によりブレードラバー17だけでなくバッキング22も保持されるので、支持部材24及びホルダ部材13は、バッキング用溝20からブレードラバー17の幅方向へバッキング22が抜け出すことを防止する。
【0037】
また、支持部材24には、ブレードラバー17の取付部17aとの接触部分から一対の爪部25が形成されている方向と反対側の方向に向けて第2の嵌合部26が突出形成されている。つまり、該第2の嵌合部26は、反払拭部17b側(図6において上側)に突出するように形成され、その先端がフィン18に対向するように形成されている。また、第2の嵌合部26の先端部分には、第2の嵌合部26の突出方向と異なる方向に突出形成されている突起部26aが形成されている。
【0038】
そして、図1に示すように、ホルダ部材13及び支持部材24は、このブレードラバー17に取付部17a全体をほぼ覆うフィン18を支持する。
このフィン18は、図7に示すように、車両の走行風を受けることにより受ける抗力を分散させ、かつ、その分力をブレードラバー17に直接作用せしめて浮き上がりを防止するため、ガラス面27に対して鋭角αをなす凹面状の傾斜面18aを有した横断面形状が略三角形状をなしている。また、フィン18の長手方向の中央部位には、ホルダ部材13が収容配置される収容孔18bが形成され、この収容孔18bにホルダ部材13を収容するようにフィン18を組み付ける。つまり、フィン18は、ホルダ部材13を中心としてブレードラバーの長手方向両側に配置されるフィン部と、ホルダ部材13を被覆すると共に左右のフィン部を連結する被覆部から構成されている。
【0039】
さらに、図2に示すように、フィン18には、前記第1の嵌合部19が嵌合する一対の第1の嵌合孔18cがそれぞれ形成されている。この第1の嵌合孔18cは、ホルダ部材13が取り付けられる位置に合わせて、収容孔18bの長手方向両端付近に対称的に形成されている。この第1の嵌合孔18cは第1の嵌合部19の形状に合わせて開口部が狭く形成されている。また、第1の嵌合孔18cの内部には、第1の嵌合部19の突起部19aを係合する第1の受止部18dが形成されている。このため、第1の嵌合部19の突起部19aは嵌合孔18cの内部で確実にフィン18と係合し、フィン18に対して抜け止めを行う。従って、フィン18は、確実にホルダ部材13に固定される。尚、フィン18は、弾性変形可能なゴムからなり、突起部19aを嵌合孔18cの開口部から挿入しても円滑に嵌合することができる。
【0040】
さらに、フィン18の長手方向の両端部付近には、支持部材24に形成された第2の嵌合部26が嵌合する第2の嵌合孔18eが形成されている。この第2の嵌合孔18eは第2の嵌合部26の形状に合わせて開口部が狭く形成されている。また、その内部には第2の嵌合部26の突起部26aを係合する第2の受止部18fが形成されている。このため、第2の嵌合部26の突起部26aは第2の嵌合孔18eの内部で確実にフィン18と係合する。このため、支持部材24は、フィン18に確実に固定される。
【0041】
また、図7に示すように、フィン18は、ブレードラバー17と係合するための把持部としての爪片18gが対称的にフィン18の長手方向に亘って形成されている。また、爪片18gは、その先端がホルダ用溝21に挿入可能なように形成されている。詳しくは、爪片18gは、取付部17aの高さ方向においてホルダ用溝21が位置する箇所で一対の爪片18gの先端が互いに対向するように略直角に屈曲形成されている。また、対向する爪片18gの先端間の距離Qが、少なくとも取付部17aの両外側壁面間隔P(取付部17aの幅方向の長さ)よりも小さくなるように爪片18gは形成されている。このため、爪片18gの先端がホルダ用溝21に挿入されると、ブレードラバー17と係合するため、フィン18はブレードラバー17を確実に係合する。
【0042】
また、フィン18から払拭部17b側に爪片18gが延出する箇所において、取付部17aの幅方向における爪片18gの内側面間の距離Rは、取付部17aの両外側壁面間隔Pよりも僅かに小さく形成されている。このため、爪片18gの先端部分がホルダ用溝21に挿入されると、フィン18の弾性力によりホルダ用溝21よりも反払拭部17b側の取付部17aは確実に爪片18gにて覆われる。従って、爪片18gは、バッキング用溝20に嵌入されたバッキング22に対する抜け止めの役割も果たす。
【0043】
ここで、ブレードラバー17の取り付け方法について説明する。
まず、第1の嵌合部19に第1の嵌合孔18cを嵌合させるようにホルダ部材13とフィン18との位置関係を定める。該第1の嵌合部19に該第1の嵌合孔18cを嵌合させ、ホルダ部材13をフィン18の収容孔18bに収容させることにより、ホルダ部材13にフィン18を固定する。このとき、第1の突起部19aが第1の受止部18dと係合するので、フィン18はホルダ部材13に確実に固定される。
【0044】
次に、第2の嵌合孔18eが第2の嵌合部26と嵌合するように支持部材24とフィン18との位置関係を定める。そして、該第2の嵌合孔18eに該第2の嵌合部26を嵌合させて、フィン18に支持部材24を取り付ける。このとき、第2の突起部26aが第2の受止部18fと係合するので、支持部材24はフィン18に確実に固定される。
【0045】
そして、バッキング用溝20に一対のバッキング22をそれぞれ嵌入し、ホルダ部材13及び支持部材24が固定されたフィン18の端部から該ブレードラバー17を長手方向に沿って相対移動させる。
【0046】
このとき、ホルダ用溝21に前記爪部16,25及びフィン18の爪片18gを挿入するようにブレードラバー17の長手方向端部をフィン18の長手方向に対して相対移動させる。
【0047】
ブレードラバー17をホルダ部材13及び支持部材24が取り付けられたフィン18に対して長手方向に沿って相対移動させると、係止部23のスロープ23bにフィン18に取り付けられた最初の支持部材24の爪部25が乗り上げる。ブレードラバー17をそのまま移動させると、該爪部25は該スロープ23bを長手方向に沿って相対的に移動する。それに従って爪部25が接触する箇所における取付部17aの横幅は大きくなり、それとともに爪部25により取付部17aに加えられる圧力が大きくなる。しかし、ブレードラバー17は弾性変形可能なゴムからなり、該圧力に従って弾性変形する。このため、支持部材24はそのまま円滑にスロープ23bを通過し、係止部23に形成された係止面23aを乗り越える。そして、該爪部25が係止面23aを乗り越えると、ブレードラバー17は、元の形状に戻る。その後、ブレードラバー17を長手方向に沿って相対移動させると、次の係止部23の係止面23aが該支持部材24の爪部25と係止するが、そのままブレードラバー17に対して長手方向に圧力を加えると、係止面23aが支持部材24の爪部25によって弾性変形される。そして、その状態でブレードラバー17を長手方向に移動させると、前記爪部25は容易に該係止面23aを通過する。
【0048】
さらに、ブレードラバー17を長手方向に沿って移動させると、ホルダ部材13の爪部16も同様に、スロープ23bに従って最初の係止部23を通過する。ホルダ部材13の次の爪部16も同様に、スロープ23bに従って最初の係止部23を通過する。
【0049】
そして、ブレードラバー17のホルダ用溝21内に形成された2つの係止部23の間に前記ホルダ部材13が位置すると、ブレードラバー17の長手方向における移動を規制する。ここで、ブレードラバー17の長手方向における相対移動を止めると、ブレードラバー17の長手方向略中央位置にホルダ部材13が位置する。また、ホルダ部材13は、フィン18の長手方向中央に取り付けられているため、フィン18の長手方向中央と、ブレードラバー17の長手方向中央が略一致し、フィン18にブレードラバー17が取り付けられる。
【0050】
尚、バッキング用溝20は、ホルダ部材13、支持部材24及びフィン18とホルダ用溝21との間に位置するので、各爪部16,25及び爪片18gがバッキング用溝20の開口部20b(図3に示す横断面図においてブレードラバー17の幅方向への開口部分)を閉塞する。このため、バッキング用溝20に嵌入しているバッキング22は、各爪部16,25及び爪片18gとブレードラバー17とにより保持される。つまり、バッキング22の長手方向の動きは、ブレードラバー17の長手方向に形成された規制面20aと係止することにより規制され、幅方向及び高さ方向のバッキング22の動きは、バッキング用溝20及び前記爪部16,25及び爪片18gにより規制される。
【0051】
次に、ブレードラバー17及びバッキング22をホルダ部材13及びフィン18から取り外す場合の説明をする。
まず、フィン18の一方の端部において、フィン18の爪片18g及び支持部材24の爪部25さらにホルダ部材13の爪部16をブレードラバー17のホルダ用溝21への嵌入から抜き取るようにブレードラバー17をその長手方向に圧力を加える。すると、係止面23aが各爪部16,25によって弾性変形するので、各爪部16,25は係止部23を乗り越え、ブレードラバー17はフィン18、支持部材24及びホルダ部材13に対して長手方向に相対移動が可能となる。これにより、ブレードラバー17を、バッキング22と共に容易に取り外すことができる。
【0052】
以上詳述したように第一実施形態は、以下の特徴を有する。
(1)ホルダ部材13に第1の嵌合部19を設け、該第1の嵌合部19にフィン18の第1の嵌合孔18cを嵌合させることにより、ホルダ部材13にフィン18を固定した。それと共に、支持部材24に設けられた第2の嵌合部26をフィン18の第2の嵌合孔18eに嵌合させることにより、支持部材24をフィン18に固定した。そして、ブレードラバー17の取付部17aをホルダ部材13及び支持部材24を介してフィン18に取り付け、フィン18を支持するようにした。このため、フィン18をブレードラバー17に直接接着する必要がなくなり、ブレードラバー17の取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。従って、ブレードラバー17をフィン18、ホルダ部材13及び支持部材24から容易に取り外すことができるので、時間の経過により劣化したブレードラバー17及びバッキング22の交換を容易に行うことが可能となる。さらに、ブレードラバー17の取り付けにおいては、上記と逆の手順でホルダ用溝21に沿ってフィン18の爪片18g及び支持部材24の爪部25さらにホルダ部材13の爪部16を挿入させて相対移動させることにより、各爪部16,25及び爪片18gに案内されて長手方向に適切に取り付けることができる。これにより一般ユーザによっても良好な払拭性を維持しつつ容易に取り付けることができる。
【0053】
(2)ホルダ部材13及び支持部材24を介してブレードラバー17に取り付けられたフィン18は、ブレードラバー17の上側全体をほぼ覆うように形成された。このため、ワイパブレード11の外観が美しくなる。また、ホルダ部材13及び支持部材24を間に介してフィン18にブレードラバー17を固定させた。このため、フィン18にブレードラバー17を固定するために、フィン18の外部からブレードラバー17を取り付けるための保持体等の部品が必要なくなり、また、それと共にフィン18に保持体等を取り付けるための切り込みが無くなる。従って、ワイパブレード11の外観を美しくすることができ、また、ワイパブレード11のデザイン性を向上することができる。さらに、フィン18の外部にブレードラバー17にフィン18を固定するための保持体等の部品を取り付けないためにフィン18の表面に余分な凹凸面が無くなるので、高速走行性能を高くすることができる。
【0054】
(3)第1,第2の嵌合部19,26にそれぞれ突起部19a,26aを形成し、また、第1,第2の嵌合孔18c、18eに前記突起部19a,26aとそれぞれ係合する第1,第2の受止部18d,18fを形成した。このため、第1,第2の嵌合部19,26を第1,第2の嵌合孔18c、18eにそれぞれ嵌入させると、フィン18がホルダ部材13及び支持部材24と確実に係合し、フィン18の不用意な抜けが防止される。
【0055】
(4)フィン18の爪片18gがブレードラバー17に形成されたホルダ用溝21に挿入され、取付部17aの両側面17cを覆うように形成されている。このため、バッキング用溝20の開口部20bがフィン18によって覆い隠される。これにより、バッキング22は外部に露出されないので、金属であるバッキング22をブレードラバー17と同じ色、一般には黒色に塗装しなくともワイパブレード11の外観を美しくすることができる。また、バッキング用溝20の開口部20bがフィン18によって覆い隠されるため、バッキング22のエッジ部分がフィン18によって保護される。
【0056】
(5)フィン18は、ブレードラバー17に対しては、ホルダ部材13及び支持部材24により支持されているだけであり、接着等による固定はされていないので、ブレードラバー17の湾曲に対してフィン18は追従して湾曲する。このため、フィン18とブレードラバー17との湾曲率が違っても、フィン18がブレードラバー17の湾曲の妨げとならず、押圧補助効果が向上する。また、フィン18が接着等によりブレードラバー17に固定された場合に、フィン18がブレードラバー17とともに湾曲するときに発生する表面のしわがなくなり、ワイパブレード11の外観を美しくできる。
(第二実施形態)
以下、本発明を具体化した第二実施形態を図面に従って説明する。尚、第一実施形態と同様の構成は、第一実施形態と同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0057】
図8(a)は、第二実施形態のワイパブレード30の平面図である。図8(b)は、第二実施形態のワイパブレード30の正面図である。
図8に示すように、ブレードラバー17の取付部17aを覆うように保持部材としてのレール31が取り付けられている。該レール31は、ブレードラバー17の長手方向に沿って延びるように形成されている。該レール31は、弾性変形可能な樹脂からなり、ブレードラバー17に嵌入されたバッキング22の湾曲形状に従って、変形可能である。
【0058】
図8に示すように該レール31の長手方向略中央には、ホルダ部材13が固定されている。図9に示すように、ホルダ部材13は、その爪部16を介してレール31及びブレードラバー17に取り付けられている。その爪部16が形成されている箇所においては、該レール31は、ホルダ用溝21よりも反払拭部17b側(図9において上側)の取付部17aのみを覆うよう形成されており、ホルダ部材13の爪部16は、該レール31をさらにその上から覆うように形成されている。そして、ホルダ部材13の爪部16の先端は、ホルダ用溝21に挿入され、ブレードラバー17を保持している。
【0059】
また、図10に示すようにレール31には、ブレードラバー17に取り付けられるための爪部32がホルダ部材13の取り付けられる箇所を除いてブレードラバー17の長手方向に沿って一方の端部から他方の端部まで形成されている。該レール31の爪部32は、幅方向内側に対称的に折り曲げ形成されている。尚、レール31の爪部32は、ホルダ部材13の爪部16と干渉しないように、ホルダ部材13が取り付けられる箇所においては、爪部32は形成されていない。そして、該レール31の爪部32の先端をホルダ用溝21に挿入することにより、ブレードラバー17はレール31に支持される。
【0060】
また、レール31の所定箇所に反払拭部17b側に突出するように形成されたフィン34の位置決めを行う位置決め部33が備えられている。フィン34は、位置決め部33が挿入された位置で、該レール31に接着されることにより、レール31に固定される。尚、図8に示すように、第二実施形態のフィン34は、ホルダ部材13を中心として分割されてそれぞれフィン部がレール31に取り付けられている。
【0061】
次に、ワイパブレード30の部品の交換方法について説明する。
まず、フィン34へのブレードラバー17の取り付け方法について説明する。レール31にホルダ部材13を固定する。そして、フィン34をレール31の左右それぞれに接着固定する。次に、該レール31に形成された爪部32の先端部分にブレードラバー17のホルダ用溝21を挿入する。そして、バッキング22が嵌入されたブレードラバー17を該レール31の長手方向に沿って移動させることによって、ブレードラバー17をフィン34及びホルダ部材13に取り付ける。
【0062】
次に、ブレードラバー17の取り外し方法を説明する。
ブレードラバー17をその長手方向に沿ってレール31に対して相対移動させることにより、フィン34からブレードラバー17を取り外す。
【0063】
そして、ブレードラバー17を新しいものに交換し、再び同様にしてブレードラバー17をホルダ部材13及びレール31(フィン18)に取り付ける。
以上詳述したように第二実施形態は、以下の特徴を有する。
【0064】
(1)フィン34を樹脂からなるレール31に接着し、該レール31を介してフィン34をブレードラバー17に取り付けた。即ち、フィン34が接着されたレール31ごとブレードラバー17の長手方向に沿って移動させることで、ブレードラバー17の取り付け及び取り外しができる。このため、フィン34とブレードラバー17とは接着されないので、ワイパブレード30の部品の交換を容易に行うことが可能となる。
【0065】
(2)レール31に位置決め部33を形成したことで、フィン34を接着する際に、容易に位置決めを行うことができ、フィン34を容易に取り付けることができる。
(第三実施形態)
以下、本発明を具体化した第三実施形態を図面に従って説明する。尚、第一実施形態と同様の構成は、第一実施形態と同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0066】
図11に示すように、ホルダ部材13が取り付けられるブレードラバー17は、ゴムからなり、取付部17aと払拭部17bとを備え、長尺状に成型されている。取付部17aには、幅方向両側面17cにバッキング用溝20と、取付溝としてのホルダ用溝21と、把持溝としてのフィン支持用溝41が形成されている。即ち、図11に示すように、取付部17aの縦断面は、高さ方向において、3箇所括れている。
【0067】
フィン支持用溝41は、ブレードラバー17の長手方向に沿って延びるように形成されている。また、図11にも示すように、該フィン支持用溝41は、取付部17aの高さ方向において、バッキング用溝20及びホルダ用溝21よりも払拭部17b側(図において下側)に形成されている。尚、フィン18に形成された爪片18gは、該フィン支持用溝41に爪片18gの先端部分が挿入可能なように、該フィン支持用溝41の形状に合わせて形成されている。詳述すると、図11に示すように、爪片18gは、取付部17aの高さ方向においてフィン支持用溝41が位置する箇所で一対の爪片18gの先端が互いに対向するように略直角に屈曲形成されている。そして、爪片18gは、対向する爪片18gの先端間の距離Vが、少なくとも取付部17aの両外側壁面間隔P(取付部17aの幅方向の長さ)よりも小さくなるように形成されている。
【0068】
ここで、ブレードラバー17の取り付け方法について説明する。
バッキング用溝20に一対のバッキング22をそれぞれ嵌入し、ホルダ部材13及び支持部材24が固定されたフィン18の端部から該ブレードラバー17を長手方向に沿って相対移動させる。
【0069】
このとき、ホルダ用溝21にホルダ部材13の爪部16及び支持部材24の爪部25を挿入し、また、フィン支持用溝41にフィン18の爪片18gを挿入するようにブレードラバー17の長手方向端部をフィン18の長手方向に対して相対移動させる。
【0070】
そして、そのまま、取付部17aに形成された係止部23とホルダ部材13とが係止するまで、ブレードラバー17をフィン18に対して長手方向に相対移動させる。即ち、フィン18の長手方向中央とブレードラバー17の長手方向中央の位置が略一致するまでブレードラバー17を長手方向の相対移動させてフィン18にブレードラバー17を取り付ける。
【0071】
また、ブレードラバー17を取り外すときは、まず、フィン18の一方の端部において、フィン18の爪片18gをフィン支持用溝41への嵌入から、また、支持部材24の爪部25及びホルダ部材13の爪部16をホルダ用溝21への嵌入から抜き取るようにブレードラバー17をその長手方向に圧力を加える。すると、すると、各爪部16,25は係止部23を乗り越え、ブレードラバー17はフィン18、支持部材24及びホルダ部材13に対して長手方向に相対移動が可能となる。これにより、ブレードラバー17を、バッキング22と共に容易に取り外すことができる。
【0072】
以上詳述したように第三実施形態は、以下の特徴を有する。
(1)係止部23が形成されているホルダ用溝21とは別に、フィン18の爪片18gが挿入されるフィン支持用溝41が取付部17aに形成された。このため、ブレードラバー17をフィン18に取り付けるために長手方向に沿って相対移動させるとき、係止部23がフィン18の爪片18gと接触することがなく、ブレードラバー17の移動を妨げない。つまり、ブレードラバー17の係止部23がフィン18の爪片18gを弾性変形させながらブレードラバー17を移動させることによる爪片18gと係止部23との間に生じる摩擦力による抵抗がなくなり、ブレードラバー17を円滑に相対移動させることができる。
【0073】
(2)フィン支持用溝41は、3つの溝(バッキング用溝20、ホルダ用溝21、フィン支持用溝41)の中で、取付部17aの高さ方向において最も払拭部17b側に形成されている。つまり、ホルダ用溝21は、バッキング用溝20とフィン支持用溝41の間に位置する。このため、ブレードラバー17をフィン18に取り付けた際、フィン18により、ホルダ部材13及び支持部材24が完全に覆い隠させる。このため、ワイパブレードは、より一体感を強調したデザイン性を有する。
【0074】
なお、上記以外に次の形態にて具体化できる。
○上記実施形態では、ブレードラバー17の取り付け状態におけるホルダ部材13及びフィン18に対する長手方向への相対移動をホルダ部材13の爪部16がブレードラバー17のホルダ用溝21に形成された係止部23によって規制して、ブレードラバー17の不用意な抜け防止を行うようにしている。このような構造の代わりに、図12に示すように、ブレードラバー17の長手方向の動きを規制するストッパ壁51をフィン18の両端部に一体に形成してもよい。このようにすれば、ブレードラバー17が長手方向に相対移動しようとすると、その端部がストッパ壁51に当接し、上記係止部23を形成しなくてもブレードラバー17がホルダ部材13及びフィン18から不用意に抜け出ることを防止する。また、ブレードラバー17のホルダ部材13及びフィン18への取り付け及び取り外しの際は、フィン18の一方の端部に形成されたストッパ壁51をブレードラバー17の端部と当接しないように長手方向外側に弾性変形させる。すると、ブレードラバー17の長手方向に相対移動が可能となるので、部品交換が容易になる。
【0075】
○ワイパアーム12の先端形状及びホルダ部材13の構成は上記構成に限らず、適宜変更して実施しても良い。
○上記実施形態では、爪部16と係止する係止面23aは、ホルダ用溝21の底部に設けられたが、ホルダ用溝21内に設けられるならば、底部21aに限らない。また、係止部23はホルダ部材13の爪部16と係止するものに限定されない。即ち、ホルダ部材13と係止し、ブレードラバー17との相対移動を規制できる位置、例えば、ホルダ部材13の板部13cを係止するようにブレードラバー17の取付部17aの上面に設けてもよい。
【0076】
○上記実施形態では、ブレードラバー17は、ゴムにより形成されていたが、弾性変形可能な材料から形成されていれば、ゴムに限られない。
○上記実施形態では、フィン18は、ゴムにより形成されていたが、弾性変形可能な材料から形成されていれば、ゴムに限られない。
【0077】
○上記実施形態では、支持部材24をフィン18に取り付けていたが、取り付けなくてもよい。
○第二実施形態では、レール31の爪部32がホルダ用溝21に嵌入されるようにしたが、取付部17aのバッキング用溝20よりも払拭部17b側にフィン支持用溝をさらに形成し、そこにレール31の爪部32を嵌入するようにしてもよい。
【0078】
○第二実施形態において、レールを長手方向中心において分割し、ブレードラバー17の長手方向両端からレールを長手方向に沿って移動させることでブレードラバー17にフィン34を取り付けるようにしてもよい。
【0079】
○第二実施形態では、レール31に位置決め部33を形成したが、位置決め部33は、フィン34をレール31に取り付ける位置を決めているだけなので、無くてもよい。
【0080】
○第二実施形態では、レール31にフィン34の位置決めを行うためだけの位置決め部33を形成したが、第一実施形態と同様な、フィン34に嵌入する嵌合部を設けてもよい。これにより、フィン34をレール31に接着しなくてもよくなり、レール31からフィン34を容易に取り外すことができる。
【0081】
○第二実施形態では、フィン34は、分割されてホルダ部材13の長手方向両端に配置されたが、ホルダ部材13の側面を被覆する被覆部を設けて、フィン34を一体的に形成してもよい。
【0082】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、デザイン性に優れ、部品交換が容易なワイパブレード及びワイパ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるワイパブレードの全体構成図を示し、(a)は平面図、(b)は正面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図1のB−B線断面図。
【図4】ワイパブレードの要部拡大図。
【図5】図4のC−C線断面図。
【図6】図1のD−D線断面図。
【図7】図1のE−E線断面図。
【図8】第二実施形態のワイパブレードの全体構成図を示し、(a)は平面図、(b)は正面図。
【図9】図6のF−F線断面図。
【図10】図6のG−G線断面図。
【図11】第三実施形態のワイパブレードのホルダ部材が位置する箇所における縦断面図。
【図12】別例のワイパブレードの要部断面図。
【符号の説明】
11,30…ワイパブレード、12…ワイパアーム、13…ホルダ部材、16…ホルダ部材の爪部、17…ブレードラバー、17a…取付部、17b…払拭部、17c…取付部の側面、18,34…フィン、18c…第1の嵌合孔、18d…第1の受け止め部、18e…第2の嵌合孔、18f…第2の受け止め部、18g…爪片、19…第1の嵌合部、19a…第1の嵌合部に形成された突起部、20…バッキング用溝、22…バッキング、23…係止部、23a…係止面、23b…スロープ、24…支持部材、25…支持部材の爪部、26…第2の嵌合部、26a…第2の嵌合部に形成された突起部、31…レール、32…レールの爪部、41…フィン支持用溝、51…ストッパ壁。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のウインドシールドガラス等を払拭するワイパ装置に適用されるワイパブレードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車のウインドシールドガラス等を払拭するワイパ装置では、ウインドシールドガラスが曲面ガラスであっても払拭性能が低下することなく確実に払拭できるようなワイパブレードが用いられている。具体的には、複数のレバーがそれぞれ回動可能に連結されたレバーアッセンブリを備え、このレバーアッセンブリによってバッキングと共にブレードラバーが保持されてワイパアームからの押圧力をブレードラバーの長手方向に分散させた、いわゆるトーナメント式のワイパブレードが一般的に用いられている。
【0003】
また、そのトーナメント式のワイパブレードと異なり、所定の剛性を有したバッキング自体を所定形状に湾曲形成(ガラス曲率に応じた湾曲形状に形成)させ、ワイパアームの押圧力をレバーを介さずにこのバッキングによってブレードラバーの長手方向に分散させたワイパブレードがある。(例えば、特許文献1)
この種のワイパブレードは、トーナメント式のワイパブレードに比べてブレードラバーを保持するレバーがないため全体の高さを低くでき、高速走行性能(風切り音や浮き上がりの発生などを防止する性能)が優れている。
【0004】
また、この種のワイパブレードは、通常、フィンがさらに設けられて、高速走行性能をさらに高めていた。
【0005】
【特許文献1】
特表2002−531325号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1に開示された発明は、ブレードラバーの縦溝内にバッキングが配置されており、ブレードラバーの長手方向には、部分的に切り込みが複数形成され、この切り込みに取り付けられた保持体の確保爪によってブレードラバーの縦溝内にバッキングを確保している。そのため、外観上、保持体が複数取り付けられるために一体感が無く、デザイン性に劣っていた。また、ブレードラバーとフィンとが一体成形されているため、ブレードラバーが時間の経過と共に劣化及び摩耗した場合に、新しくブレードラバーだけ、若しくはブレードラバーとバッキングだけを交換するという要求に対し、フィンまでもブレードラバーと共に交換しなければならない。そのため、交換部品(消耗部品)としてのブレードラバーがフィンと一体成形品であるために高価なものとなっていた。また、ブレードラバーだけを交換可能なようにするために、1つの平板状のバッキングの一方の面にブレードラバーを接着し、他方の面にフィンを接着固定したものがある。しかしながら、一般ユーザが湾曲したバッキングにブレードラバーをその湾曲面に並行にかつ長手方向に真直ぐに接着することは極めて困難な作業であり、一般ユーザによって交換されたブレードラバーでは、良好な払拭性能を得ることは極めて困難であった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、レバーアッセンブリを有しないタイプのワイパブレードであって、デザイン性に優れ、安価な部品として交換の容易なワイパブレード及びワイパ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、払拭面を払拭するブレードラバーと、所定の剛性を有すると共に所定形状に湾曲形成され、前記ブレードラバーに形成されたバッキング用溝に嵌入されるバッキングと、ワイパアームが回動可能に連結されるホルダ部材を含み、前記ブレードラバーが取着される保持部材と、ワイパアームが回動可能に連結されるホルダ部材と、前記保持部材に固定されると共に前記ホルダ部材の両側に前記ブレードラバーの長手方向に沿って支持されたフィンとを備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記ブレードラバーは、払拭面を払拭する払拭部と、前記保持部材が取着される取付部と、を有し、前記フィンは、前記取付部を長手方向に亘って把持する把持部を有することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記取付部には、前記把持部が挿入される把持溝が形成されていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、前記取付部には、前記把持溝とは別に、前記保持部材に形成された爪部が挿入される取付溝が前記バッキング用溝よりも払拭面側に位置するように該取付部の長手方向に沿って形成されたことを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記バッキングが嵌入されるバッキング用溝は、前記ブレードラバーの長手方向に沿って延びる両側面にそれぞれ形成され、前記フィンは、前記バッキング用溝の嵌入口を覆うように形成されたことを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記保持部材に嵌合部を備え、該嵌合部を前記フィンに形成された嵌合孔に嵌入したことを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、前記嵌合部はその先端が該フィンに対向するように突出形成され、該嵌合部の先端部分に前記フィンの抜けを防ぐ突起部が形成されたことを特徴としている。
【0013】
請求項8に記載の発明は、前記フィンの長手方向両端部には、前記ブレードラバーの長手方向突端面に当接するストッパ壁が形成されたことを特徴としている。
【0014】
請求項9に記載の発明は、前記フィンは、前記ホルダ部材を挟んで前記ブレードラバーの長手方向両側にそれぞれ配置されるフィン部と、該両フィン部を互いに連結すると共に前記保持部材の側壁面を被覆する被覆部と、を有することを特徴としている。
【0015】
請求項10に記載の発明は、ワイパ装置が、請求項1〜9のいずれか一項に記載のワイパブレードを備えたことを特徴としている。
(作用)
請求項1又は9に記載の発明によれば、フィンは保持部材に固定されブレードラバーに対しては長手方向に支持されているだけである。そのため、ブレードラバーはフィンに対して容易に取り外しができるので、消耗品ではないフィンを交換することなくブレードラバー及びバッキングを安易に交換することができる。また、ホルダ部材を挟んでフィンをブレードラバーの長手方向両側に支持することでワイパブレードが一体感を有するデザインとなり外観が向上する。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、フィンがブレードラバーの湾曲に追従するので、フィンによる押圧補助効果が向上する。
請求項3に記載の発明によれば、把持溝を長手方向に亘って形成することにより、ブレードラバーの一端部の把持溝をフィンの把持部に挿通するだけでフィンに対しブレードラバーを容易に案内し支持する。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、ブレードラバーをフィンに取り付けるために長手方向に沿って相対移動させるとき、ブレードラバーの移動を妨げない。
請求項5に記載の発明によれば、フィンが、バッキング用溝に嵌入されたバッキングを覆うため、外観が美しくなり、デザイン性に優れている。さらに、バッキングのバッキング溝内からのはみ出しを防止すると共に、バッキングのエッジ部分を保護することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、保持部材に嵌合部を設け、該嵌合部をフィンに形成された嵌合孔に挿入させた。これにより、フィンの位置決め及び固定を容易に行うことができる。また、嵌合孔に嵌合部を嵌入させただけなので、取り外しも容易に行うことが可能となる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、嵌合部にフィンと係合する突起部を設けた。このため、嵌合部をフィンの嵌合孔に嵌入させるだけで、フィンの固定を容易に行うことができる。また、フィンを保持部材に取り付ける際に、嵌合部の先端がフィンと対向するように突出形成されているので、嵌合部をフィンの嵌合孔に嵌入させやすい。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、保持部材に対しブレードラバーが長手方向に移動するのを防止するための係止構造を設けなくても、保持部材に固定されたフィンにブレードラバーを挿通支持するだけで、ブレードラバーがフィンのストッパ壁に当接することで、ブレードラバーの長手方向への相対移動(抜けだし)を防止できる。
【0021】
請求項9に記載の発明によれば、フィンの被覆部により保持部材を被覆することにより、ワイパブレードは、より一体感を強調したデザイン性を有する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1(a)は、ワイパブレード11の平面図である。図1(b)は、ワイパブレード11の正面図である。
【0023】
図1に示すように、ワイパブレード11は、ワイパアーム12に回動可能に連結され、該ワイパアーム12により払拭面に向けて付勢されている。
前記ワイパアーム12は、その基端がワイパ装置の駆動源と駆動連結されている(図示せず)。図2に示すように、ワイパアーム12の先端はU字に形成され、その先端にホルダ部材13が連結されている。ホルダ部材13は回動軸14により回動可能に支持された連結部材15を有し、該連結部材15にワイパアーム12の先端が固定され、ホルダ部材13がワイパアーム12に対して相対回動する。
【0024】
前記ホルダ部材13は、略長方形の板部13cと、該板部13cの長手方向に沿って板部13cの両端に取り付けられた両壁部13a,13b(図2においては、片側壁部13aのみを示す)を備えている。両壁部13a,13bの長手方向略中央位置に前記回動軸14が固定されている。尚、ホルダ部材13は保持部材としての機能を有する。具体的には、一対の爪部16及び板部13cが保持部材として機能する。
【0025】
該ホルダ部材13の板部13cには、長手方向両端に一対の爪部16が対称的に形成されている。爪部16は、ホルダ部材13がブレードラバー17に取り付けられるために、ホルダ部材13の幅方向内側に向かって屈曲形成されている。
【0026】
また、図2に示すように、ホルダ部材13の板部13cの長手方向両端には、後述するフィン18をホルダ部材13に固定するために一対の第1の嵌合部19が設けられている。該第1の嵌合部19は、該板部13cの略幅方向中央からブレードラバー17の長手方向外側に向かって延出形成されており、所定箇所において反払拭面側(図2において上側)にその先端が突出するように折れ曲げられている。つまり、第1の嵌合部19の先端は、フィン18に対向するように突出形成されている。
【0027】
また、第1の嵌合部19の先端部分には、第1の嵌合部19の突出方向と異なる方向に突出形成されている突起部19aが形成されている。本実施形態では、ホルダ部材13の長手方向に突出するように突起部19aが形成されている。
【0028】
図3に示すように、ホルダ部材13が取り付けられるブレードラバー17は、ゴムからなり、取付部17aと払拭部17bとを備え、長尺状に成型されている。取付部17aには、幅方向両側面17cにバッキング用溝20と取付溝としてのホルダ用溝21が形成されている。尚、第一実施形態におけるホルダ用溝21は、把持溝としても機能する。バッキング用溝20は、ホルダ用溝21よりも反払拭部17b側(図において上側)に形成されている。即ち、図3に示すように、取付部17aの縦断面は、上下2箇所において括れている。また、払拭部17bは、縦断面略三角形状に形成され、ネック部17dによって取付部17aに対して傾動反転自在に連結されている。
【0029】
図4は、フィン18を取り外した状態におけるワイパブレード11の要部拡大正面図である。
バッキング用溝20は、ブレードラバー17の長手方向に沿って形成されている。このバッキング用溝20に、バッキング22がそれぞれ嵌合される。尚、このバッキング用溝20は、嵌合するバッキング22の長手方向の移動を規制するために、その両端部に規制面20aが設けられている。また、バッキング22は、バッキング用溝20内に完全に嵌入されている。つまり、バッキング22の幅寸法Wはバッキング用溝20の溝深さ寸法S以下に設定されている。
【0030】
バッキング用溝20に嵌合するバッキング22は、バネ性を有する金属材料からなり、細長い板状に形成されている。また、バッキング22は、払拭面のガラス曲率に応じて湾曲形状に形成されている。バッキング22は、ワイパブレード11の払拭面の曲率よりも大きい曲率で湾曲形状に形成されている。このため、バッキング用溝20にバッキング22を嵌合すると、バッキング22の形状に合わせてワイパブレード11が湾曲変形する。また、バッキング22は所定の剛性及びバネ性を有しているので、払拭時にワイパアーム12により付勢力が加わると、ワイパブレード11が払拭面の曲率に合わせて弾性変形する。
【0031】
図4に示すホルダ用溝21は、ブレードラバー17の長手方向に沿って延びるように形成されている。また、図3にも示すように、該ホルダ用溝21は、取付部17aの高さ方向において、前記バッキング用溝20と払拭部17bとの間に位置して形成されている。尚、前記爪部16は、該ホルダ用溝21に爪部16の先端部分が挿入可能なように、該ホルダ用溝21の形状に合わせて形成されている。詳述すると、図3に示すように、爪部16は、取付部17aの高さ方向においてホルダ用溝21が位置する箇所で一対の爪部16の先端が互いに対向するように略直角に屈曲形成されている。そして、爪部16は、対向する爪部16の先端間の距離Tが、少なくとも取付部17aの両外側壁面間隔P(取付部17aの幅方向の長さ)よりも小さくなるように形成されている。
【0032】
ここで、爪部16がホルダ用溝21に挿入されると、ホルダ部材13が該爪部16を介してブレードラバー17と係合するので、ブレードラバー17はホルダ部材13に保持される。また、爪部16がホルダ用溝21に挿入されると、図3に示すように、バッキング用溝20のバッキング22が嵌入される開口部20b(図3に示す横断面においてブレードラバー17の幅方向への開口部分)は爪部16により部分的に塞がれる。即ち、爪部16は、バッキング用溝20に嵌入されたバッキング22に対する抜け止めの役割も果たす。
【0033】
ホルダ用溝21の底部21a(図3において取付部17aの高さ方向に延びる面)には、図4、図5に示すように、係止部23が形成されている。係止部23は、各ホルダ用溝21にそれぞれ設けられ、それらはホルダ部材13の爪部16よりブレードラバー17の端部側に設けられている。具体的には、図4に示すように、係止部23は、各ホルダ用溝21においてそれぞれ2箇所ずつ設けられている。そして、ホルダ用溝21の長手方向における係止部23間の距離Yは、ホルダ部材13の長手方向においてホルダ部材13の両端に位置する爪部16の長手方向外側面間の距離X、つまり、ホルダ部材13の長手方向の長さよりも、僅かに大きく形成されている。
【0034】
また、係止部23には、前記爪部16側に該爪部16の長手方向の動きを規制する係止面23aが形成されている。各係止面23aは、前記ホルダ部材13を中心として長手方向外側から各爪部16を係止する。詳しくは、図5に示すように、取付部17aの幅方向における係止部23間の距離Z(取付部17aの幅方向における係止面23aの最も外側の距離)が、対向する爪部16の先端間の距離Tよりも大きくなるように、係止部23はホルダ用溝21内に配置されている。このように、係止部23は、ホルダ部材13の長手方向両端付近に配置されているので、係止面23aは、ブレードラバー17の長手方向においてホルダ部材13の両側から挟み込むようにして各爪部16を係止し、ホルダ部材13の位置決めを行う。さらに、各係止面23aは、前記ホルダ部材13がブレードラバー17の長手方向中央に位置したときに、各爪部16の長手方向外側の面とそれぞれ係止する位置に形成されている。このため、ホルダ部材13は、係止面23aによりブレードラバー17の長手方向略中央に固定される。
【0035】
また、係止部23には、ホルダ部材13に対して長手方向外側から前記係止面23aに向かってそれぞれスロープ23bが形成されている。このスロープ23bは、長手方向外側から係止面23aに向かって形成された傾斜面である。該スロープ23bは、弾性変形可能なゴム材からなるので、ホルダ部材13をブレードラバー17の端部から、つまり、長手方向外側から移動させることで、前記爪部16が徐々に該係止面23aを乗り越えることが可能である。
【0036】
また、図1(b)に示すように、ブレードラバー17の長手方向の両端部付近には、保持部材としての支持部材24が取り付けられる。尚、図1(b)では、ブレードラバー17の片側のみに支持部材24が図示されている。支持部材24は、図6に示すように、ブレードラバー17を保持する(換言すると、ブレードラバー17にフィン18を支持する)ための一対の爪部25が対称的に形成されている。支持部材24の爪部25は、ブレードラバー17をフィン18に取り付け可能とするために、支持部材24の幅方向内側に向かって屈曲形成されている。この爪部25には、前記ホルダ部材13と同様に、ブレードラバー17の長手方向端部のホルダ用溝21が挿入される。そして、該ホルダ用溝21が爪部25に挿入されることで、支持部材24及びホルダ部材13の爪部16,25内をブレードラバー17が長手方向に沿って移動可能となる。このとき、支持部材24及びホルダ部材13によりブレードラバー17だけでなくバッキング22も保持されるので、支持部材24及びホルダ部材13は、バッキング用溝20からブレードラバー17の幅方向へバッキング22が抜け出すことを防止する。
【0037】
また、支持部材24には、ブレードラバー17の取付部17aとの接触部分から一対の爪部25が形成されている方向と反対側の方向に向けて第2の嵌合部26が突出形成されている。つまり、該第2の嵌合部26は、反払拭部17b側(図6において上側)に突出するように形成され、その先端がフィン18に対向するように形成されている。また、第2の嵌合部26の先端部分には、第2の嵌合部26の突出方向と異なる方向に突出形成されている突起部26aが形成されている。
【0038】
そして、図1に示すように、ホルダ部材13及び支持部材24は、このブレードラバー17に取付部17a全体をほぼ覆うフィン18を支持する。
このフィン18は、図7に示すように、車両の走行風を受けることにより受ける抗力を分散させ、かつ、その分力をブレードラバー17に直接作用せしめて浮き上がりを防止するため、ガラス面27に対して鋭角αをなす凹面状の傾斜面18aを有した横断面形状が略三角形状をなしている。また、フィン18の長手方向の中央部位には、ホルダ部材13が収容配置される収容孔18bが形成され、この収容孔18bにホルダ部材13を収容するようにフィン18を組み付ける。つまり、フィン18は、ホルダ部材13を中心としてブレードラバーの長手方向両側に配置されるフィン部と、ホルダ部材13を被覆すると共に左右のフィン部を連結する被覆部から構成されている。
【0039】
さらに、図2に示すように、フィン18には、前記第1の嵌合部19が嵌合する一対の第1の嵌合孔18cがそれぞれ形成されている。この第1の嵌合孔18cは、ホルダ部材13が取り付けられる位置に合わせて、収容孔18bの長手方向両端付近に対称的に形成されている。この第1の嵌合孔18cは第1の嵌合部19の形状に合わせて開口部が狭く形成されている。また、第1の嵌合孔18cの内部には、第1の嵌合部19の突起部19aを係合する第1の受止部18dが形成されている。このため、第1の嵌合部19の突起部19aは嵌合孔18cの内部で確実にフィン18と係合し、フィン18に対して抜け止めを行う。従って、フィン18は、確実にホルダ部材13に固定される。尚、フィン18は、弾性変形可能なゴムからなり、突起部19aを嵌合孔18cの開口部から挿入しても円滑に嵌合することができる。
【0040】
さらに、フィン18の長手方向の両端部付近には、支持部材24に形成された第2の嵌合部26が嵌合する第2の嵌合孔18eが形成されている。この第2の嵌合孔18eは第2の嵌合部26の形状に合わせて開口部が狭く形成されている。また、その内部には第2の嵌合部26の突起部26aを係合する第2の受止部18fが形成されている。このため、第2の嵌合部26の突起部26aは第2の嵌合孔18eの内部で確実にフィン18と係合する。このため、支持部材24は、フィン18に確実に固定される。
【0041】
また、図7に示すように、フィン18は、ブレードラバー17と係合するための把持部としての爪片18gが対称的にフィン18の長手方向に亘って形成されている。また、爪片18gは、その先端がホルダ用溝21に挿入可能なように形成されている。詳しくは、爪片18gは、取付部17aの高さ方向においてホルダ用溝21が位置する箇所で一対の爪片18gの先端が互いに対向するように略直角に屈曲形成されている。また、対向する爪片18gの先端間の距離Qが、少なくとも取付部17aの両外側壁面間隔P(取付部17aの幅方向の長さ)よりも小さくなるように爪片18gは形成されている。このため、爪片18gの先端がホルダ用溝21に挿入されると、ブレードラバー17と係合するため、フィン18はブレードラバー17を確実に係合する。
【0042】
また、フィン18から払拭部17b側に爪片18gが延出する箇所において、取付部17aの幅方向における爪片18gの内側面間の距離Rは、取付部17aの両外側壁面間隔Pよりも僅かに小さく形成されている。このため、爪片18gの先端部分がホルダ用溝21に挿入されると、フィン18の弾性力によりホルダ用溝21よりも反払拭部17b側の取付部17aは確実に爪片18gにて覆われる。従って、爪片18gは、バッキング用溝20に嵌入されたバッキング22に対する抜け止めの役割も果たす。
【0043】
ここで、ブレードラバー17の取り付け方法について説明する。
まず、第1の嵌合部19に第1の嵌合孔18cを嵌合させるようにホルダ部材13とフィン18との位置関係を定める。該第1の嵌合部19に該第1の嵌合孔18cを嵌合させ、ホルダ部材13をフィン18の収容孔18bに収容させることにより、ホルダ部材13にフィン18を固定する。このとき、第1の突起部19aが第1の受止部18dと係合するので、フィン18はホルダ部材13に確実に固定される。
【0044】
次に、第2の嵌合孔18eが第2の嵌合部26と嵌合するように支持部材24とフィン18との位置関係を定める。そして、該第2の嵌合孔18eに該第2の嵌合部26を嵌合させて、フィン18に支持部材24を取り付ける。このとき、第2の突起部26aが第2の受止部18fと係合するので、支持部材24はフィン18に確実に固定される。
【0045】
そして、バッキング用溝20に一対のバッキング22をそれぞれ嵌入し、ホルダ部材13及び支持部材24が固定されたフィン18の端部から該ブレードラバー17を長手方向に沿って相対移動させる。
【0046】
このとき、ホルダ用溝21に前記爪部16,25及びフィン18の爪片18gを挿入するようにブレードラバー17の長手方向端部をフィン18の長手方向に対して相対移動させる。
【0047】
ブレードラバー17をホルダ部材13及び支持部材24が取り付けられたフィン18に対して長手方向に沿って相対移動させると、係止部23のスロープ23bにフィン18に取り付けられた最初の支持部材24の爪部25が乗り上げる。ブレードラバー17をそのまま移動させると、該爪部25は該スロープ23bを長手方向に沿って相対的に移動する。それに従って爪部25が接触する箇所における取付部17aの横幅は大きくなり、それとともに爪部25により取付部17aに加えられる圧力が大きくなる。しかし、ブレードラバー17は弾性変形可能なゴムからなり、該圧力に従って弾性変形する。このため、支持部材24はそのまま円滑にスロープ23bを通過し、係止部23に形成された係止面23aを乗り越える。そして、該爪部25が係止面23aを乗り越えると、ブレードラバー17は、元の形状に戻る。その後、ブレードラバー17を長手方向に沿って相対移動させると、次の係止部23の係止面23aが該支持部材24の爪部25と係止するが、そのままブレードラバー17に対して長手方向に圧力を加えると、係止面23aが支持部材24の爪部25によって弾性変形される。そして、その状態でブレードラバー17を長手方向に移動させると、前記爪部25は容易に該係止面23aを通過する。
【0048】
さらに、ブレードラバー17を長手方向に沿って移動させると、ホルダ部材13の爪部16も同様に、スロープ23bに従って最初の係止部23を通過する。ホルダ部材13の次の爪部16も同様に、スロープ23bに従って最初の係止部23を通過する。
【0049】
そして、ブレードラバー17のホルダ用溝21内に形成された2つの係止部23の間に前記ホルダ部材13が位置すると、ブレードラバー17の長手方向における移動を規制する。ここで、ブレードラバー17の長手方向における相対移動を止めると、ブレードラバー17の長手方向略中央位置にホルダ部材13が位置する。また、ホルダ部材13は、フィン18の長手方向中央に取り付けられているため、フィン18の長手方向中央と、ブレードラバー17の長手方向中央が略一致し、フィン18にブレードラバー17が取り付けられる。
【0050】
尚、バッキング用溝20は、ホルダ部材13、支持部材24及びフィン18とホルダ用溝21との間に位置するので、各爪部16,25及び爪片18gがバッキング用溝20の開口部20b(図3に示す横断面図においてブレードラバー17の幅方向への開口部分)を閉塞する。このため、バッキング用溝20に嵌入しているバッキング22は、各爪部16,25及び爪片18gとブレードラバー17とにより保持される。つまり、バッキング22の長手方向の動きは、ブレードラバー17の長手方向に形成された規制面20aと係止することにより規制され、幅方向及び高さ方向のバッキング22の動きは、バッキング用溝20及び前記爪部16,25及び爪片18gにより規制される。
【0051】
次に、ブレードラバー17及びバッキング22をホルダ部材13及びフィン18から取り外す場合の説明をする。
まず、フィン18の一方の端部において、フィン18の爪片18g及び支持部材24の爪部25さらにホルダ部材13の爪部16をブレードラバー17のホルダ用溝21への嵌入から抜き取るようにブレードラバー17をその長手方向に圧力を加える。すると、係止面23aが各爪部16,25によって弾性変形するので、各爪部16,25は係止部23を乗り越え、ブレードラバー17はフィン18、支持部材24及びホルダ部材13に対して長手方向に相対移動が可能となる。これにより、ブレードラバー17を、バッキング22と共に容易に取り外すことができる。
【0052】
以上詳述したように第一実施形態は、以下の特徴を有する。
(1)ホルダ部材13に第1の嵌合部19を設け、該第1の嵌合部19にフィン18の第1の嵌合孔18cを嵌合させることにより、ホルダ部材13にフィン18を固定した。それと共に、支持部材24に設けられた第2の嵌合部26をフィン18の第2の嵌合孔18eに嵌合させることにより、支持部材24をフィン18に固定した。そして、ブレードラバー17の取付部17aをホルダ部材13及び支持部材24を介してフィン18に取り付け、フィン18を支持するようにした。このため、フィン18をブレードラバー17に直接接着する必要がなくなり、ブレードラバー17の取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。従って、ブレードラバー17をフィン18、ホルダ部材13及び支持部材24から容易に取り外すことができるので、時間の経過により劣化したブレードラバー17及びバッキング22の交換を容易に行うことが可能となる。さらに、ブレードラバー17の取り付けにおいては、上記と逆の手順でホルダ用溝21に沿ってフィン18の爪片18g及び支持部材24の爪部25さらにホルダ部材13の爪部16を挿入させて相対移動させることにより、各爪部16,25及び爪片18gに案内されて長手方向に適切に取り付けることができる。これにより一般ユーザによっても良好な払拭性を維持しつつ容易に取り付けることができる。
【0053】
(2)ホルダ部材13及び支持部材24を介してブレードラバー17に取り付けられたフィン18は、ブレードラバー17の上側全体をほぼ覆うように形成された。このため、ワイパブレード11の外観が美しくなる。また、ホルダ部材13及び支持部材24を間に介してフィン18にブレードラバー17を固定させた。このため、フィン18にブレードラバー17を固定するために、フィン18の外部からブレードラバー17を取り付けるための保持体等の部品が必要なくなり、また、それと共にフィン18に保持体等を取り付けるための切り込みが無くなる。従って、ワイパブレード11の外観を美しくすることができ、また、ワイパブレード11のデザイン性を向上することができる。さらに、フィン18の外部にブレードラバー17にフィン18を固定するための保持体等の部品を取り付けないためにフィン18の表面に余分な凹凸面が無くなるので、高速走行性能を高くすることができる。
【0054】
(3)第1,第2の嵌合部19,26にそれぞれ突起部19a,26aを形成し、また、第1,第2の嵌合孔18c、18eに前記突起部19a,26aとそれぞれ係合する第1,第2の受止部18d,18fを形成した。このため、第1,第2の嵌合部19,26を第1,第2の嵌合孔18c、18eにそれぞれ嵌入させると、フィン18がホルダ部材13及び支持部材24と確実に係合し、フィン18の不用意な抜けが防止される。
【0055】
(4)フィン18の爪片18gがブレードラバー17に形成されたホルダ用溝21に挿入され、取付部17aの両側面17cを覆うように形成されている。このため、バッキング用溝20の開口部20bがフィン18によって覆い隠される。これにより、バッキング22は外部に露出されないので、金属であるバッキング22をブレードラバー17と同じ色、一般には黒色に塗装しなくともワイパブレード11の外観を美しくすることができる。また、バッキング用溝20の開口部20bがフィン18によって覆い隠されるため、バッキング22のエッジ部分がフィン18によって保護される。
【0056】
(5)フィン18は、ブレードラバー17に対しては、ホルダ部材13及び支持部材24により支持されているだけであり、接着等による固定はされていないので、ブレードラバー17の湾曲に対してフィン18は追従して湾曲する。このため、フィン18とブレードラバー17との湾曲率が違っても、フィン18がブレードラバー17の湾曲の妨げとならず、押圧補助効果が向上する。また、フィン18が接着等によりブレードラバー17に固定された場合に、フィン18がブレードラバー17とともに湾曲するときに発生する表面のしわがなくなり、ワイパブレード11の外観を美しくできる。
(第二実施形態)
以下、本発明を具体化した第二実施形態を図面に従って説明する。尚、第一実施形態と同様の構成は、第一実施形態と同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0057】
図8(a)は、第二実施形態のワイパブレード30の平面図である。図8(b)は、第二実施形態のワイパブレード30の正面図である。
図8に示すように、ブレードラバー17の取付部17aを覆うように保持部材としてのレール31が取り付けられている。該レール31は、ブレードラバー17の長手方向に沿って延びるように形成されている。該レール31は、弾性変形可能な樹脂からなり、ブレードラバー17に嵌入されたバッキング22の湾曲形状に従って、変形可能である。
【0058】
図8に示すように該レール31の長手方向略中央には、ホルダ部材13が固定されている。図9に示すように、ホルダ部材13は、その爪部16を介してレール31及びブレードラバー17に取り付けられている。その爪部16が形成されている箇所においては、該レール31は、ホルダ用溝21よりも反払拭部17b側(図9において上側)の取付部17aのみを覆うよう形成されており、ホルダ部材13の爪部16は、該レール31をさらにその上から覆うように形成されている。そして、ホルダ部材13の爪部16の先端は、ホルダ用溝21に挿入され、ブレードラバー17を保持している。
【0059】
また、図10に示すようにレール31には、ブレードラバー17に取り付けられるための爪部32がホルダ部材13の取り付けられる箇所を除いてブレードラバー17の長手方向に沿って一方の端部から他方の端部まで形成されている。該レール31の爪部32は、幅方向内側に対称的に折り曲げ形成されている。尚、レール31の爪部32は、ホルダ部材13の爪部16と干渉しないように、ホルダ部材13が取り付けられる箇所においては、爪部32は形成されていない。そして、該レール31の爪部32の先端をホルダ用溝21に挿入することにより、ブレードラバー17はレール31に支持される。
【0060】
また、レール31の所定箇所に反払拭部17b側に突出するように形成されたフィン34の位置決めを行う位置決め部33が備えられている。フィン34は、位置決め部33が挿入された位置で、該レール31に接着されることにより、レール31に固定される。尚、図8に示すように、第二実施形態のフィン34は、ホルダ部材13を中心として分割されてそれぞれフィン部がレール31に取り付けられている。
【0061】
次に、ワイパブレード30の部品の交換方法について説明する。
まず、フィン34へのブレードラバー17の取り付け方法について説明する。レール31にホルダ部材13を固定する。そして、フィン34をレール31の左右それぞれに接着固定する。次に、該レール31に形成された爪部32の先端部分にブレードラバー17のホルダ用溝21を挿入する。そして、バッキング22が嵌入されたブレードラバー17を該レール31の長手方向に沿って移動させることによって、ブレードラバー17をフィン34及びホルダ部材13に取り付ける。
【0062】
次に、ブレードラバー17の取り外し方法を説明する。
ブレードラバー17をその長手方向に沿ってレール31に対して相対移動させることにより、フィン34からブレードラバー17を取り外す。
【0063】
そして、ブレードラバー17を新しいものに交換し、再び同様にしてブレードラバー17をホルダ部材13及びレール31(フィン18)に取り付ける。
以上詳述したように第二実施形態は、以下の特徴を有する。
【0064】
(1)フィン34を樹脂からなるレール31に接着し、該レール31を介してフィン34をブレードラバー17に取り付けた。即ち、フィン34が接着されたレール31ごとブレードラバー17の長手方向に沿って移動させることで、ブレードラバー17の取り付け及び取り外しができる。このため、フィン34とブレードラバー17とは接着されないので、ワイパブレード30の部品の交換を容易に行うことが可能となる。
【0065】
(2)レール31に位置決め部33を形成したことで、フィン34を接着する際に、容易に位置決めを行うことができ、フィン34を容易に取り付けることができる。
(第三実施形態)
以下、本発明を具体化した第三実施形態を図面に従って説明する。尚、第一実施形態と同様の構成は、第一実施形態と同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0066】
図11に示すように、ホルダ部材13が取り付けられるブレードラバー17は、ゴムからなり、取付部17aと払拭部17bとを備え、長尺状に成型されている。取付部17aには、幅方向両側面17cにバッキング用溝20と、取付溝としてのホルダ用溝21と、把持溝としてのフィン支持用溝41が形成されている。即ち、図11に示すように、取付部17aの縦断面は、高さ方向において、3箇所括れている。
【0067】
フィン支持用溝41は、ブレードラバー17の長手方向に沿って延びるように形成されている。また、図11にも示すように、該フィン支持用溝41は、取付部17aの高さ方向において、バッキング用溝20及びホルダ用溝21よりも払拭部17b側(図において下側)に形成されている。尚、フィン18に形成された爪片18gは、該フィン支持用溝41に爪片18gの先端部分が挿入可能なように、該フィン支持用溝41の形状に合わせて形成されている。詳述すると、図11に示すように、爪片18gは、取付部17aの高さ方向においてフィン支持用溝41が位置する箇所で一対の爪片18gの先端が互いに対向するように略直角に屈曲形成されている。そして、爪片18gは、対向する爪片18gの先端間の距離Vが、少なくとも取付部17aの両外側壁面間隔P(取付部17aの幅方向の長さ)よりも小さくなるように形成されている。
【0068】
ここで、ブレードラバー17の取り付け方法について説明する。
バッキング用溝20に一対のバッキング22をそれぞれ嵌入し、ホルダ部材13及び支持部材24が固定されたフィン18の端部から該ブレードラバー17を長手方向に沿って相対移動させる。
【0069】
このとき、ホルダ用溝21にホルダ部材13の爪部16及び支持部材24の爪部25を挿入し、また、フィン支持用溝41にフィン18の爪片18gを挿入するようにブレードラバー17の長手方向端部をフィン18の長手方向に対して相対移動させる。
【0070】
そして、そのまま、取付部17aに形成された係止部23とホルダ部材13とが係止するまで、ブレードラバー17をフィン18に対して長手方向に相対移動させる。即ち、フィン18の長手方向中央とブレードラバー17の長手方向中央の位置が略一致するまでブレードラバー17を長手方向の相対移動させてフィン18にブレードラバー17を取り付ける。
【0071】
また、ブレードラバー17を取り外すときは、まず、フィン18の一方の端部において、フィン18の爪片18gをフィン支持用溝41への嵌入から、また、支持部材24の爪部25及びホルダ部材13の爪部16をホルダ用溝21への嵌入から抜き取るようにブレードラバー17をその長手方向に圧力を加える。すると、すると、各爪部16,25は係止部23を乗り越え、ブレードラバー17はフィン18、支持部材24及びホルダ部材13に対して長手方向に相対移動が可能となる。これにより、ブレードラバー17を、バッキング22と共に容易に取り外すことができる。
【0072】
以上詳述したように第三実施形態は、以下の特徴を有する。
(1)係止部23が形成されているホルダ用溝21とは別に、フィン18の爪片18gが挿入されるフィン支持用溝41が取付部17aに形成された。このため、ブレードラバー17をフィン18に取り付けるために長手方向に沿って相対移動させるとき、係止部23がフィン18の爪片18gと接触することがなく、ブレードラバー17の移動を妨げない。つまり、ブレードラバー17の係止部23がフィン18の爪片18gを弾性変形させながらブレードラバー17を移動させることによる爪片18gと係止部23との間に生じる摩擦力による抵抗がなくなり、ブレードラバー17を円滑に相対移動させることができる。
【0073】
(2)フィン支持用溝41は、3つの溝(バッキング用溝20、ホルダ用溝21、フィン支持用溝41)の中で、取付部17aの高さ方向において最も払拭部17b側に形成されている。つまり、ホルダ用溝21は、バッキング用溝20とフィン支持用溝41の間に位置する。このため、ブレードラバー17をフィン18に取り付けた際、フィン18により、ホルダ部材13及び支持部材24が完全に覆い隠させる。このため、ワイパブレードは、より一体感を強調したデザイン性を有する。
【0074】
なお、上記以外に次の形態にて具体化できる。
○上記実施形態では、ブレードラバー17の取り付け状態におけるホルダ部材13及びフィン18に対する長手方向への相対移動をホルダ部材13の爪部16がブレードラバー17のホルダ用溝21に形成された係止部23によって規制して、ブレードラバー17の不用意な抜け防止を行うようにしている。このような構造の代わりに、図12に示すように、ブレードラバー17の長手方向の動きを規制するストッパ壁51をフィン18の両端部に一体に形成してもよい。このようにすれば、ブレードラバー17が長手方向に相対移動しようとすると、その端部がストッパ壁51に当接し、上記係止部23を形成しなくてもブレードラバー17がホルダ部材13及びフィン18から不用意に抜け出ることを防止する。また、ブレードラバー17のホルダ部材13及びフィン18への取り付け及び取り外しの際は、フィン18の一方の端部に形成されたストッパ壁51をブレードラバー17の端部と当接しないように長手方向外側に弾性変形させる。すると、ブレードラバー17の長手方向に相対移動が可能となるので、部品交換が容易になる。
【0075】
○ワイパアーム12の先端形状及びホルダ部材13の構成は上記構成に限らず、適宜変更して実施しても良い。
○上記実施形態では、爪部16と係止する係止面23aは、ホルダ用溝21の底部に設けられたが、ホルダ用溝21内に設けられるならば、底部21aに限らない。また、係止部23はホルダ部材13の爪部16と係止するものに限定されない。即ち、ホルダ部材13と係止し、ブレードラバー17との相対移動を規制できる位置、例えば、ホルダ部材13の板部13cを係止するようにブレードラバー17の取付部17aの上面に設けてもよい。
【0076】
○上記実施形態では、ブレードラバー17は、ゴムにより形成されていたが、弾性変形可能な材料から形成されていれば、ゴムに限られない。
○上記実施形態では、フィン18は、ゴムにより形成されていたが、弾性変形可能な材料から形成されていれば、ゴムに限られない。
【0077】
○上記実施形態では、支持部材24をフィン18に取り付けていたが、取り付けなくてもよい。
○第二実施形態では、レール31の爪部32がホルダ用溝21に嵌入されるようにしたが、取付部17aのバッキング用溝20よりも払拭部17b側にフィン支持用溝をさらに形成し、そこにレール31の爪部32を嵌入するようにしてもよい。
【0078】
○第二実施形態において、レールを長手方向中心において分割し、ブレードラバー17の長手方向両端からレールを長手方向に沿って移動させることでブレードラバー17にフィン34を取り付けるようにしてもよい。
【0079】
○第二実施形態では、レール31に位置決め部33を形成したが、位置決め部33は、フィン34をレール31に取り付ける位置を決めているだけなので、無くてもよい。
【0080】
○第二実施形態では、レール31にフィン34の位置決めを行うためだけの位置決め部33を形成したが、第一実施形態と同様な、フィン34に嵌入する嵌合部を設けてもよい。これにより、フィン34をレール31に接着しなくてもよくなり、レール31からフィン34を容易に取り外すことができる。
【0081】
○第二実施形態では、フィン34は、分割されてホルダ部材13の長手方向両端に配置されたが、ホルダ部材13の側面を被覆する被覆部を設けて、フィン34を一体的に形成してもよい。
【0082】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、デザイン性に優れ、部品交換が容易なワイパブレード及びワイパ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるワイパブレードの全体構成図を示し、(a)は平面図、(b)は正面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図1のB−B線断面図。
【図4】ワイパブレードの要部拡大図。
【図5】図4のC−C線断面図。
【図6】図1のD−D線断面図。
【図7】図1のE−E線断面図。
【図8】第二実施形態のワイパブレードの全体構成図を示し、(a)は平面図、(b)は正面図。
【図9】図6のF−F線断面図。
【図10】図6のG−G線断面図。
【図11】第三実施形態のワイパブレードのホルダ部材が位置する箇所における縦断面図。
【図12】別例のワイパブレードの要部断面図。
【符号の説明】
11,30…ワイパブレード、12…ワイパアーム、13…ホルダ部材、16…ホルダ部材の爪部、17…ブレードラバー、17a…取付部、17b…払拭部、17c…取付部の側面、18,34…フィン、18c…第1の嵌合孔、18d…第1の受け止め部、18e…第2の嵌合孔、18f…第2の受け止め部、18g…爪片、19…第1の嵌合部、19a…第1の嵌合部に形成された突起部、20…バッキング用溝、22…バッキング、23…係止部、23a…係止面、23b…スロープ、24…支持部材、25…支持部材の爪部、26…第2の嵌合部、26a…第2の嵌合部に形成された突起部、31…レール、32…レールの爪部、41…フィン支持用溝、51…ストッパ壁。
Claims (10)
- 払拭面を払拭するブレードラバーと、
所定の剛性を有すると共に所定形状に湾曲形成され、前記ブレードラバーに形成されたバッキング用溝に嵌入されるバッキングと、
ワイパアームが回動可能に連結されるホルダ部材を含み、前記ブレードラバーが取着される保持部材と、
前記保持部材に固定されると共に前記ホルダ部材の両側に前記ブレードラバーの長手方向に沿って支持されたフィンと
を備えたことを特徴とするワイパブレード。 - 前記ブレードラバーは、払拭面を払拭する払拭部と、前記保持部材が取着される取付部と、を有し、
前記フィンは、前記取付部を長手方向に亘って把持する把持部を有することを特徴とする請求項1に記載のワイパブレード。 - 前記取付部には、前記把持部が挿入される把持溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のワイパブレード。
- 前記取付部には、前記把持溝とは別に、前記保持部材に形成された爪部が挿入される取付溝が前記バッキング用溝よりも払拭面側に位置するように該取付部の長手方向に沿って形成されたことを特徴とする請求項3に記載のワイパブレード。
- 前記バッキングが嵌入されるバッキング用溝は、前記ブレードラバーの長手方向に沿って延びる両側面にそれぞれ形成され、前記フィンは、前記バッキング用溝の嵌入口を覆うように形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のワイパブレード。
- 前記保持部材に嵌合部を備え、該嵌合部を前記フィンに形成された嵌合孔に嵌入したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のワイパブレード。
- 前記嵌合部はその先端が該フィンに対向するように突出形成され、該嵌合部の先端部分に前記フィンの抜けを防ぐ突起部が形成されたことを特徴とする請求項6に記載のワイパブレード。
- 前記フィンの長手方向両端部には、前記ブレードラバーの長手方向端部に当接するストッパ壁が形成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のワイパブレード。
- 前記フィンは、前記ホルダ部材を挟んで前記ブレードラバーの長手方向両側にそれぞれ配置されるフィン部と、該両フィン部を互いに連結すると共に前記保持部材の側壁面を被覆する被覆部と、を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のワイパブレード。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のワイパブレードを備えたことを特徴とするワイパ装置。
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-
2002
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