JP2004189028A - 電動式パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トルクセンサの出力信号を微分する微分手段の出力信号値を所定の時間毎に記憶する微分信号記憶手段RAM17eと、微分信号記憶手段17eに記憶された出力信号値のうち今回記憶された出力信号値と先回記憶された出力信号値との差を演算する差分演算手段17hとを備えており、アシスト電流演算手段17hは、差分演算手段17hによる演算値の絶対値が所定のしきい値より小さい場合に、今回記憶された出力信号値を微分手段の出力信号値として演算する一方、差分演算手段による演算値の絶対値が所定のしきい値より大きい場合に、今回記憶された出力信号値に所定のしきい値と同一の値を加算した値を微分手段の出力信号値として演算するように構成されていることを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両(自動車)に搭載される電動式パワーステアリング装置(以下、「EPS」と称する。)に関する。
【0002】
【従来の技術】
パワーステアリング装置は、車両に搭載され、操舵力をアシストすることのできるステアリングシステムであり、操舵者の操舵力の軽減を主たる目的としている。このパワーステアリング装置の中には、構成部品が少なくて済み、小型で軽量なEPS(電動式パワーステアリング装置)がある。
【0003】
EPSには、通常、運転者の操舵トルクの値に応じた信号を出力するトルクセンサと、操舵力をアシストするアシスト装置を駆動する電動モータ(駆動手段の一種)と、その電動モータに流れる電流(以下、「アシスト電流」と称する。)をトルクセンサの出力信号値に基づいて演算するECUとが設けられている。即ち、運転者がハンドル操作をすると、トルクセンサにより、運転者のハンドル操作により生ずる操舵トルクの大きさに応じた信号が出力され、ECUにより、アシスト電流が演算され、電動モータにより、そのアシスト電流に対応するトルクに基づいて、アシスト装置が駆動されるのである。これにより、操舵者の操舵力が軽減されるのである。
【0004】
また、EPSには、トルクセンサの出力信号を微分するアナログ微分器が設けられており、ECUは、トルクセンサの出力信号値の他に、このアナログ微分器の出力信号値にも基づいて、アシスト電流を演算するようにされている。これにより、操舵トルクが急激に変化した場合にも、その急激に変化した操舵トルクに応じたアシスト力を付与することが可能となる。すなわち、操舵トルクの変化に対する応答性を向上させることができるのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、操舵トルクが急激に変化した場合、アナログ微分値が急激に大きくなり、かえって、ハンドルが振動してしまう等、操舵が不安定となってしまうという問題点があった。
【0006】
そこで、案出されたのが本発明であって、操舵トルクが急激に変化した場合にも、応答性を損なわれることを防止することができるとともに、操舵が不安定となってしまうことを抑制することもできる電動式パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために請求項1記載の電動式パワーステアリング装置は、操舵トルクの大きさに応じた信号を出力するトルクセンサと、そのトルクセンサの出力信号を微分した信号を出力する微分手段と、操舵力をアシストするアシスト装置を電気的に駆動する駆動手段と、前記トルクセンサの出力信号値および前記微分手段の出力信号値に基づいて前記駆動手段に流れる電流を演算するアシスト電流演算手段と、前記微分手段の出力信号値を所定の時間毎に記憶する微分信号記憶手段と、その微分信号記憶手段に記憶された出力信号値のうち今回記憶された出力信号値と先回記憶された出力信号値との差を演算する差分演算手段とを備えており、前記アシスト電流演算手段は、前記差分演算手段による演算値の絶対値が所定のしきい値より小さい場合に、前記今回記憶された出力信号値を微分手段の出力信号値として演算する一方、前記差分演算手段による演算値の絶対値が所定のしきい値より大きい場合に、前記今回記憶された出力信号値に所定のしきい値と同一の値を加算した値を微分手段の出力信号値として演算するものである。
請求項2記載の電動式パワーステアリング装置は、請求項1記載の電動式パワーステアリング装置において、アシスト電流演算手段は、差分演算手段による演算値の絶対値が所定のしきい値と同一値である場合に、今回記憶された出力信号値を微分手段の出力信号値として電流を演算するものである。
請求項3記載の電動式パワーステアリング装置は、請求項1または2に記載の電動式パワーステアリング装置において、微分手段は、アナログ回路により構成されているものである。
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施例について説明する。勿論、下記実施例は、本発明の実施の形態の例示に過ぎず、本発明の技術的範囲は、下記実施例(例えば、形状、構造、材質、配置、長さ、範囲)のそのものに何ら限定されるものではない。
【0009】
まず、本発明の理解を容易とするために、EPSのシステム構成全体を説明する。図1は、EPS1のブロック図である。図1に示すように、EPS1は、主として、ハンドル(「ステアリングホイール」とも称する)11と、ステアリングシャフト12と、トーションバー13と、ピニオン14と、トルクセンサ15と、車速センサ16と、ECU17と、電動モータ18と、減速機19と、アシストピニオン20と、ラック21とによって構成されている。
【0010】
ハンドル11は、操舵入力部を構成するものであり、ステアリングシャフト12の上端部に取着されている。ステアリングシャフト12は、操舵者によりハンドル11が操舵(回動)された場合に、その操舵トルク(回動トルク)をトーションバー13に伝達するものである。トーションバー13は、ステアリングシャフト12の下端側に配設されており、ステアリングシャフト12を介して伝達されるハンドル11の操舵トルクをピニオン14に伝達するものである。ここで、ハンドル11の操舵トルクがステアリングシャフト12からピニオン14へ伝達されるとき、トーションバー13には捩れ力が発生し、このトーションバー13の捩れ力による円周方向への操舵トルクは、その軸方向への摺動量に変換されるようになっている。
【0011】
トルクセンサ15は、トーションバー13の軸方向への摺動量、即ち、操舵者による操舵トルクに応じた大きさの信号(電圧)を出力するものであり、ポテンショメータにより構成されている。車速センサ16は、タイヤ50の回転速度、即ち、車両の速度(以下、「車速」という。)に応じた大きさの信号(電圧)を出力するものである。
【0012】
ECU17は、トルクセンサ15の出力信号値と車速センサ16の出力信号値とに基づいて電動モータ18に流す電流(以下、「アシスト電流」と称する。)の値を演算するとともに、その演算値に基づいてアシスト電流を、ひいては、操舵者によるハンドル11の操舵をアシストする力を制御するものである。かかるECU17は、第1A/D変換器17aと、第2A/D変換器17bと、アナログ微分回路17cと、第3A/D変換器17dと、RAM17eと、EEPROM17fと、ROM17gと、CPU17hと、モータ駆動回路17iと、を備えている。
【0013】
第1A/D変換器17aは、車速センサ16の出力電圧をデジタル変換するものであり、第2A/D変換器17bは、トルクセンサ15の出力信号をデジタル変換するものである。アナログ微分回路17cは、トルクセンサ15の出力信号をアナログ的に微分するものであり、第3A/D変換器17dは、アナログ微分回路17の出力信号をデジタル変換するものである。
【0014】
RAM17eは、データの書換えが可能な揮発性のメモリであり、種々のデータが一時的に記憶される。このRAM17eに記憶されるデータのうち、本発明に特に関係のあるデータとしては、第1A/D変換器17aとによりデジタル変換された車速センサ16の出力信号値データと、第2A/D変換器17bによりデジタル変換されたトルクセンサ15の出力信号値データと、第3A/D変換器17dによりデジタル変換されたアナログ微分回路17cの出力信号データとが挙げられる。これらのデータは、所定時間毎(例えば、1ms毎)に更新するようにされており、特に、アナログ微分回路17cの出力信号値データについては、今回分アナログ微分値データに加え、前回分アナログ微分値データも記憶するようにされている。詳細には、アナログ微分回路17cの出力されるとともにデジタル変換されたばかりのデータが、今回分アナログ微分値データとして、今回分アナログ微分値データメモリ(図示せず)に記憶される一方、所定時間前に今回分アナログ微分値データメモリに記憶されていた信号値データが、前回分アナログ微分値データとして、前回分アナログ微分値データメモリ(図示せず)に記憶されるのである。
【0015】
EEPROM17fは、データの書換えが可能な不揮発性のメモリであり、このEEPROM17fには、予め、各種データが記憶されている。例えば、後述する3Dマップ演算処理M102において使用される各種データ(操舵トルク値データ、車速平均値データおよび基本アシスト電流値データ)が夫々対応つけられて記憶されており、各リミッタ処理(3Dマップ指令値リミッタ処理M103、コギング補正指令値リミッタ処理M105、最終指令値リミッタ処理M107、位相遅れ補正指令値リミッタ処理M201、差分リミッタ処理M202)において使用される各しきい値データが記憶されている。
【0016】
ROM17gは、データの書換えが不可能な不揮発性のメモリであり、EPS1で実行される制御プログラムなどを記憶(格納)している。後述する、基本アシスト電流演算処理M1および電流制御演算処理M2に関する制御プログラムは、かかるROM17gに記憶されている。
【0017】
CPU17hは、ROM17gに記憶されている制御プログラムに従って、第1A/D変換器17aによりデジタル変換されたトルクセンサ15の出力信号値、及び第2A/D変換器17bによりデジタル変換された車速センサ16の出力信号値を所定時間毎(本実施例では、1ms毎)に検知して、その検知した出力信号値に基づいて電動モータ18に流す電流値を演算する処理を実行するものである。
【0018】
モータ駆動回路17iは、CPU17hの演算値に基づいて電動モータ18の回転(駆動)を制御するものである。ここで、電動モータ18は、減速機19に接続されており、更に、減速機19は、アシストピニオン20に、アシストピニオン20は、ラック21にそれぞれ接続されている。このため、電動モータ18の回転トルク(すなわち、アシスト力)は、減速機19及びアシストピニオン20を介して、ラック21に伝達される。そして、このようにラック21にアシスト力が伝達されることにより、ハンドル11を介した操舵力と相俟って、タイヤ50の向きを変更するのである。従って、ハンドル11の操舵力が軽減されるのである。
【0019】
次に、図2から図5までの各図を参照して、EPS1の制御の構成について説明する。図2に示すように、EPS1で実行されるアシスト電流演算処理Mは、基本演算処理M1と、電流制御演算処理M2とによって構成されている。基本演算処理M1は、トルクと車速により決定されたアシスト電流値に、電動モータ18から発生する低周波の振動を抑える電流指令値を加算して、目標アシスト電流値を演算する処理である。電流制御演算処理M2は、目標アシスト電流値と電動モータ18に流れる電流値とを比較し、電動モータ18に流れる電流値が目標アシスト電流値となる様にモータ駆動回路17iを制御する処理である。
【0020】
基本演算処理M1は、移動平均演算処理M101と、3Dマップ演算処理M102と、3Dマップ指令値リミッタ処理M103と、デジタルバイパスフィルタ処理M104と、コギング補正指令値リミッタ処理M105と、コギング補正値加算処理M106と、最終指令値リミッタ処理M107とによって構成されている。
【0021】
移動平均演算処理M101は、車速センサ16からの出力信号に基づいて、単位時間あたりの車速の平均値を演算する処理であり、3Dマップ演算処理M102は、トルクセンサ15の出力信号値(即ち、操舵者の操舵トルクの大きさ)、および移動平均演算処理M101における演算値(すなわち、車速の平均値)に基づいて、基本アシスト電流を演算する処理である。この3Dマップ演算処理M102を詳細に説明すれば、予めEEPROM17fには複数の操舵トルク値データ、車速平均値データ、および基本アシスト電流値がそれぞれ対応つけて記憶されており、トルクセンサ15の出力信号値および移動平均演算処理M101における演算値に対応する基本アシスト電流値データを基本アシスト電流値として導出するのである。
【0022】
3Dマップ指令値リミッタ処理M103は、3Dマップ演算処理M102の演算値の絶対値が所定しきい値以下である場合には、かかる演算処理M102の演算値をそのまま出力する一方、かかる演算処理M102の演算値の絶対値が所定しきい値より大きい場合には、出力演算値を所定しきい値に抑える処理である。
【0023】
デジタルバイパスフィルタ処理M104は、電動モータ18が発する低周波の振動(コギング)を抑えるための指令電流値を演算する処理である。
【0024】
コギング補正指令値リミッタ処理M105は、デジタルバイパスフィルタ処理M104の演算値の絶対値が所定しきい値以下である場合には、かかるフィルタ処理M104の演算値をそのまま出力する一方、かかるフィルタ処理M104の演算値の絶対値が所定しきい値より大きい場合には、出力演算値を所定しきい値に抑える処理である。
【0025】
コギング補正値加算処理M106は、3Dマップ指令値リミッタ処理M103(3Dマップ演算処理M102の演算値)に対してデジタルバイパスフィルタ処理M104の演算値を加算して目標アシスト電流を演算する処理である。
【0026】
最終指令値リミッタ処理M107は、コギング補正値加算処理M106の演算値の絶対値が所定しきい値以下である場合には、コギング補正値加算処理M106の演算値をそのまま出力する一方、かかる加算処理M106の演算値の絶対値が所定しきい値より大きい場合には、出力演算値を所定しきい値に抑える処理である。そして、この処理の演算値が後述するフィードバック処理M203の入力値データとされる。
【0027】
電流制御演算処理M2は、位相遅れ補正指令値リミッタ処理M201と、差分リミッタ処理M202と、フィードバック処理M203と、差分微分値加算処理M204とを備えている。
【0028】
位相遅れ補正指令値リミッタ処理M201は、アナログ微分回路17cの出力信号値の絶対値が所定しきい値以下である場合には、アナログ微分回路17cの出力信号値をそのまま出力する一方、かかる微分回路17cの出力信号値の絶対値が所定しきい値より大きい場合には、出力演算値を所定しきい値に抑える処理である。
【0029】
差分リミッタ処理M202は、アナログ微分回路17cの出力信号値(以下、「アナログ微分信号値」と称する。)の所定時間当たりの変位量に基づいて、アシスト電流の演算に使用する操舵トルク微分値を演算する処理である。詳細には、RAM17eに所定時間毎に記憶されるアナログ微分回路17cの出力信号値のうち、前回記憶されたアナログ微分回路17cの出力信号値(前回分微分値)と今回記憶されたアナログ微分回路17cの出力信号値(今回分微分値)との差(以下、「差分微分値」と称する。)が差分しきい値以下である場合には、RAM17eに今回記憶されたアナログ微分出力信号値をそのままアシスト電流の演算にそのまま使用する一方、差分微分値が差分しきい値より大きい場合には、RAM17eに今回記憶されたアナログ微分信号値に代えて、RAM17eに前回記憶されたアナログ微分信号値に差分しきい値を加算した値をアシスト電流の演算に使用する処理である。
【0030】
図5は、トルクセンサ15の出力信号値(即ち、▲1▼操舵トルク値)と、▲2▼差分リミッタ処理M202前のアナログ微分回路17cの出力信号値と、▲3▼差分リミッタ処理M202後のアナログ微分回路17cの出力信号値との関係を示した図である。この図5に示すように、ハンドル11の位置の変化に伴い、トルクセンサ15の出力信号値も変化する。本EPS1においては、このトルクセンサ15の出力信号値をアシスト電流の演算に用いることにより、ハンドル11の操舵に応じたアシスト力を提供することができる。一方、アナログ微分値もアシスト電流の演算に用いられる。このようにアナログ微分値をアシスト電流の演算に用いることにより、操舵トルクの変化に対するアシスト電流の応答性が向上される。
しかしながら、操舵トルクが急激に変化した場合、この操舵トルクの急激な変化に伴ってアシスト電流が変化してしまうと、逆に負のフィードバックとなり、ハンドル11が振動するなど、操舵が不安定となってしまうという問題点があったのである。
【0031】
しかしながら、本EPS1においては、差分微分値が差分しきい値より大きい場合には、今回分微分値をそのままアシスト電流の演算に使用するのに代えて、先回分微分値に差分しきい値を加算した値をアシスト電流の演算に使用するようにされているので、操舵トルクが急激に変化した場合にも、応答性が損なわれることなく、操舵が不安定となってしまうことを抑制することができるのである。
【0032】
フィードバック処理M203は、電動モータ18に流れる電流値を一定に保持するための処理であり、アシスト電流値に電動モータ18に流れる電流値をフィードバックする処理である。これは、電動モータ18が回転すると逆起電力が生じるが、この逆起電力により電動モータ18に流れる電流値が小さくなってしまう、すなわち、所望のアシスト電流により電動モータ18を回転できないことに起因している。
【0033】
差分微分値加算処理M204は、フィードバック処理M203の出力演算値データ及び差分リミッタ処理M202の出力演算値データを加算する処理であり、この出力演算値データに基づいてモータ駆動回路(PWM)17iは、電動モータ18を駆動する。
【0034】
次に、図6を参照して、上記のように構成されたEPS1の動作、具体的には、差分リミッタ処理M202について説明する。図6に示すように、差分リミッタ処理M202においては、まず、差分の絶対値データ(以下、差分微分値と称する。)が演算される(S1)。詳細には、前回分アナログ微分値データ(以下、「前回分微分値データ」と称する。)より今回分アナログ微分値データ(以下、「今回分データ」と称する。)が減算され、この減算後の値の絶対値が導出される(S1)。差分微分値の演算後、差分微分値が差分しきい値より大きいか否かが判断される(S2)。差分微分値が差分しきい値以下である場合には(S2:NO)、今回分データを前回分微分値データとして、RAM17e(前回分アナログ微分値メモリ)に記憶する(S6)。前回分アナログ微分値メモリの更新後(S6)、差分リミッタ処理M202を終了する。
【0035】
S2の処理において、差分微分値が差分しきい値より大きい場合には(S2:YES)、前回分微分値データが今回分データより小さいか否かが判断され(S3)、前回分微分値データが今回分データよりも小さい場合には(S3:YES)、前回分微分値データに差分しきい値を加算した値を、今回分データとして、RAM17e(今回分アナログ微分値メモリ)に記憶する(S4)。S4の処理の後、S6の処理へ移行し、S6の処理終了後に、差分リミッタ処理M202を終了する。
【0036】
S4の処理において、前回分微分値データが今回分データ以上である場合には(S3:NO)、前回分微分値データより差分しきい値を減算した値を、今回分データとして、RAM17e(今回分アナログ微分値メモリ)に記憶する(S5)。S5の処理の後、S6の処理へ移行し、S6の処理終了後に、差分リミッタ処理M202を終了する。この差分リミッタ処理M202により今回分アナログ微分値メモリに記憶された今回分データに基づいて、アシスト電流が演算されるのである。勿論、この差分リミッタ処理M202は、繰り返し実行される。
【0037】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察することができるものであり、本発明の技術的範囲には、これらの改良変形が含まれる。
【0038】
例えば、本実施例においては、アナログ微分回路17cによりトルクセンサ15の出力信号がアナログ的に微分され、このアナログ微分値が電動モータ18の回転制御(アシスト電流の制御)に使用されるが、当然に、トルクセンサ15の出力信号をデジタル的に微分し、このデジタル微分値をアシスト電流の制御に使用するようにしても良い。
【0039】
【発明の効果】
請求項1記載の電動式パワーステアリング装置によれば、微分信号記憶手段により、微分手段の出力信号値が所定の時間毎に記憶するようにされており、差分演算手段により、かかる微分信号記憶手段に記憶された出力信号値のうち今回記憶された出力信号値と先回記憶された出力信号値との差が演算される。そして、アシスト電流演算手段により、差分演算手段による演算値の絶対値が所定のしきい値より小さい場合に、今回記憶された出力信号値を微分手段の出力信号値として演算する一方、差分演算手段による演算値の絶対値が所定のしきい値より大きい場合に、今回記憶された出力信号値に所定のしきい値と同一の値を加算した値を微分手段の出力信号値として演算される。この演算値に基づいて駆動手段に流れる電流が変化され、ひいては、アシスト装置をアシストする力(アシスト力)が変化される。従って、操舵トルクが急激に増減した場合にも、応答性を損なうことなく、操舵が不安定となってしまうことを防止することができるという効果を奏する。
請求項2記載の電動式パワーステアリング装置によれば、請求項1記載の電動式パワーステアリング装置の奏する効果に加え、更に、差分演算手段による演算値の絶対値が所定のしきい値と同一値である場合には、アシスト電流演算手段により、微分信号記憶手段に今回記憶された出力信号値を微分手段の出力信号値として電流が演算されるので、操舵トルクが急激に増減した場合にも、応答性を損なうことなく、操舵が不安定となってしまうことを防止することができる
請求項3記載の電動式パワーステアリング装置によれば、請求項1または2に記載の電動式パワーステアリング装置の奏する効果に加え、更に微分手段がアナログ回路により構成されているので、応答性および分解能の高くするために微分手段をアナログ回路により構成した場合において、その応答性の高さ故に、操舵が不安定となってしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である電動式パワーステアリング装置(EPS)の基本構成ブロック図である。
【図2】上記EPSの基本制御ブロック図である。
【図3】上記EPSの基本制御ブロックを構成する基本演算処理のブロック図である。
【図4】上記EPSの基本制御ブロックを構成するフィードバック処理のブロック図である。
【図5】トルクセンサの出力信号値(操舵トルク値)と、差分リミッタ処理M前のアナログ微分回路の出力信号値と、差分リミッタ処理後のアナログ微分回路の出力信号値との関係を示した図である。
【図6】差分演算処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1 EPS(電動式パワーステアリング装置)
11 ハンドル(ステアリングホイール)
12 ステアリングシャフト
13 トーションバー
14 ピニオン
15 トルクセンサ
16 車速センサ
17 ECU(アシスト電流演算手段、微分信号記憶手段、差分演算手段)
17a 第1A/D変換器
17b 第2A/D変換器
17c アナログ微分回路(微分手段)
17d 第3A/D変換器
17e RAM
17f EEPROM
17g ROM
17h CPU
17i モータ駆動回路
18 電動モータ(駆動手段)
19 減速機
20 アシストピニオン
21 ラック
50 タイヤ
M アシスト電流演算処理(アシスト電流演算手段)
M1 基本演算処理
M2 電流制御演算処理
M202 差分リミッタ処理(アシスト電流演算手段、アシスト電流演算手段)
Claims (3)
- 操舵トルクの大きさに応じた信号を出力するトルクセンサと、
そのトルクセンサの出力信号を微分した信号を出力する微分手段と、
操舵力をアシストするアシスト装置を電気的に駆動する駆動手段と、
前記トルクセンサの出力信号値および前記微分手段の出力信号値に基づいて前記駆動手段に流れる電流を演算するアシスト電流演算手段と、
前記微分手段の出力信号値を所定の時間毎に記憶する微分信号記憶手段と、
その微分信号記憶手段に記憶された出力信号値のうち今回記憶された出力信号値と先回記憶された出力信号値との差を演算する差分演算手段とを備えており、前記アシスト電流演算手段は、前記差分演算手段による演算値の絶対値が所定のしきい値より小さい場合に、前記今回記憶された出力信号値を微分手段の出力信号値として演算する一方、前記差分演算手段による演算値の絶対値が所定のしきい値より大きい場合に、前記今回記憶された出力信号値に所定のしきい値と同一の値を加算した値を微分手段の出力信号値として演算することを特徴とする電動式パワーステアリング装置。 - アシスト電流演算手段は、差分演算手段による演算値の絶対値が所定のしきい値と同一値である場合に、今回記憶された出力信号値を微分手段の出力信号値として電流を演算することを特徴とする請求項1記載の電動式パワーステアリング装置。
- 微分手段は、アナログ回路により構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電動式パワーステアリング装置。
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