JP2016002884A - ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な操舵フィーリングを実現しながら、低μ路等の走行時におけるステアリングホイールの切り過ぎを抑制することができるステアリング装置を提供する。【解決手段】操舵機構1aと、操舵機構1aに操舵補助力を付与する電動モータ40と、ステアリングホイール10に付与される実操舵トルクTを検出するトルクセンサ24と、電動モータ40を制御するECU5とを備え、ECU5は、目標操舵補助力を演算する操舵補助力演算手段501と、車速V及び操舵速度Vsに基づいてトルクセンサ24で検出されることが想定される想定操舵トルクTsを演算する想定操舵トルク演算手段503と、実操舵トルクTが想定操舵トルクTsよりも小さいとき、その差分に応じて目標操舵補助力を低減補正する補正手段504と、低減補正された目標操舵補助力に応じて電動モータ40を駆動制御する駆動制御手段505とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、車両のステアリングホイールの操舵操作に応じて転舵輪を転舵させる車両用のステアリング装置に関する。
近年、電動モータによって運転者のステアリングホイールの操舵操作を補助する電動パワーステアリング装置が広く普及しつつある。このような電動パワーステアリング装置は、油圧式のパワーステアリング装置に比較して、操舵補助力を車両走行状態に応じてきめ細かく制御できるという利点がある。
特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、滑り易い低μ路を走行中に旋回又は車線変更をする場合、ステアリングホイールが通常よりも軽く回ってしまうことにより、運転者がステアリングホイールを回し過ぎてしまうおそれがあることに鑑みて、操舵速度が所定値以上であり、かつトルクセンサによって検出された操舵トルクが所定値未満である場合に、電動モータによる操舵補助力を低減するように構成されている。
特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置では、低μ路等の走行時における急操舵を回避し、車両の走行姿勢が不安定になることを抑制できるが、操舵補助力の低減量によっては、運転者に違和感を与え、必ずしも良好な操舵フィーリングを提供することができない場合があり、この点においてなお改善の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、良好な操舵フィーリングを実現しながら、低μ路等の走行時におけるステアリングホイールの切り過ぎを抑制することができるステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、ステアリングホイールの操舵操作に応じて転舵輪を転舵させる操舵機構と、前記操舵機構に操舵補助力を付与する電動モータと、ステアリングホイールに付与される実操舵トルクを検出するトルクセンサと、前記電動モータを制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、少なくとも前記実操舵トルクに応じて前記操舵機構に付与すべき目標操舵補助力を演算する操舵補助力演算手段と、少なくとも車速及び操舵速度に基づいて、前記トルクセンサで検出されることが想定される想定操舵トルクを演算する想定操舵トルク演算手段と、前記実操舵トルクが前記想定操舵トルクよりも小さいとき、その差分に応じて前記目標操舵補助力を低減補正する補正手段と、前記低減補正された前記目標操舵補助力に応じて前記電動モータを駆動制御する駆動制御手段と、を備えたステアリング装置を提供する。
本発明に係るステアリング装置によれば、良好な操舵フィーリングを実現しながら、低μ路等の走行時におけるステアリングホイールの切り過ぎを抑制することができる。
本発明の実施の形態について図1〜図6を参照して説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明のステアリング装置を実施する場合の好適な一具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この態様に限定されるものではない。
(電動パワーステアリング装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る電動パワーステアリング装置1、及びその周辺の構成例を示す模式図である。電動パワーステアリング装置1は、運転者が回転操作するステアリングホイール10が連結されたステアリングシャフト2と、ステアリングシャフト2から伝達される回転力により直線運動するラック軸3と、ステアリングシャフト2に操舵補助力を付与する操舵補助機構4と、操舵補助機構4の電動モータ40を制御する制御装置としてのECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)5とを備えている。
図1は、本発明の実施の形態に係る電動パワーステアリング装置1、及びその周辺の構成例を示す模式図である。電動パワーステアリング装置1は、運転者が回転操作するステアリングホイール10が連結されたステアリングシャフト2と、ステアリングシャフト2から伝達される回転力により直線運動するラック軸3と、ステアリングシャフト2に操舵補助力を付与する操舵補助機構4と、操舵補助機構4の電動モータ40を制御する制御装置としてのECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)5とを備えている。
ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール10が一端部に固定されるコラムシャフト21と、ラック軸3と共にラックアンドピニオン機構を構成するピニオン軸としてのピニオンシャフト23と、コラムシャフト21とピニオンシャフト23とを連結する中間シャフト22とを有している。コラムシャフト21と中間シャフト22、及び中間シャフト22とピニオンシャフト23は、自在継手201,202によってそれぞれ連結されている。
ラック軸3は、筒状のラックハウジング30に軸方向移動可能に収容されている。ラック軸3には、その軸方向に沿ってラック歯31が形成され、このラック歯31がピニオンシャフト23のピニオン歯231に噛み合っている。ラック軸3の両端部には、ボールジョイントソケット32,32が固定され、このボールジョイントソケット32,32に連結されたタイロッド11,11が、図示しないナックルアームを介して左右の転舵輪100,100に連結されている。また、ボールジョイントソケット32,32の外周側には、蛇腹状のゴムや樹脂等からなるブーツ12,12が配置されている。
ステアリングホイール10が回転操作されると、このステアリングホイール10にコラムシャフト21及び中間シャフト22を介して連結されたピニオンシャフト23が回転し、ピニオン歯231とラック歯31との噛み合いによってラック軸3がその軸方向に直線運動する。このラック軸3の直線運動により、タイロッド11,11を介して転舵輪100,100が転舵される。すなわち、ステアリングシャフト2及びラック軸3は、ラックアンドピニオン機構からなる操舵機構1aを構成し、ステアリングホイール10の操舵操作に応じて転舵輪100,100を転舵させる。
操舵補助機構4は、電動モータ40と、電動モータ40の回転軸400に設けられたウォーム41と、ウォーム41に噛み合うウォームホイール42とを有して構成されている。電動モータ40の出力トルクは、ウォーム41及びウォームホイール42からなるウォームギヤ機構4aによって減速され、操舵補助力としてステアリングシャフト2に付与される。本実施の形態では、ウォームホイール42がコラムシャフト21に固定されている。ただし、ウォームホイール42をピニオンシャフト23に固定してもよい。電動モータ40は、例えば位置検出器付きブラシレスモータであり、ECU5から電流の供給を受け、この電流に応じたトルクを発生させる。
ECU5は、ステアリングシャフト2に設けられたトルクセンサ24によって検出した操舵トルクに基づいて、後述するアシストマップを参照して電動モータ40を制御する。本実施の形態では、トルクセンサ24がコラムシャフト21に設けられ、ステアリングホイール10に付与される操舵トルク(実操舵トルク)を検出する。トルクセンサ24は、コラムシャフト21に設けられたトーションバー211の捩じれを磁界の変化によって検出し、操舵トルクに応じた電気信号をECU5に出力する。
また、ECU5は、例えばCAN(Controller Area Network)等の車載通信網により、車速センサ101によって検出された車速を示す情報等の各種車両情報を取得可能である。
(ECU5の構成)
図2は、ECU5の構成例を示す概略構成図である。ECU5は、CPU(中央演算処理装置)50と、ROMやEEPROM等からなる記憶素子51と、各種のデータを一時的に格納するワークメモリとして使用されるRAM52と、モータ駆動回路53とを備えている。CPU50と、記憶素子51,RAM52,及びモータ駆動回路53とは、内部バス500によって接続されている。
図2は、ECU5の構成例を示す概略構成図である。ECU5は、CPU(中央演算処理装置)50と、ROMやEEPROM等からなる記憶素子51と、各種のデータを一時的に格納するワークメモリとして使用されるRAM52と、モータ駆動回路53とを備えている。CPU50と、記憶素子51,RAM52,及びモータ駆動回路53とは、内部バス500によって接続されている。
モータ駆動回路53は、例えばバッテリーから供給される直流電圧をPWM制御によってスイッチングし、電動モータ40にモータ電流として供給する。電動モータ40に供給されるモータ電流の電流値は、例えばホールICを用いた電流センサ54によって検出される。電流センサ54の出力信号は、内部バス500によってCPU50に送られる。
記憶素子51には、電動モータ40を制御するためにCPU50が実行する処理の手順を示すモータ制御プログラム510が記憶されている。CPU50は、モータ制御プログラム510を実行することにより、図1に示すように、操舵補助力演算手段501,補償制御手段502,想定操舵トルク演算手段503,補正手段504,及び駆動制御手段505として機能する。すなわち、ECU5は、操舵補助力演算手段501,補償制御手段502,想定操舵トルク演算手段503,補正手段504,及び駆動制御手段505を備えている。これら各手段の詳細については後述する。
また、記憶素子51には、CPU50が操舵補助力演算手段501として動作する際に参照するアシストマップ511と、CPU50が想定操舵トルク演算手段503として動作する際に参照する第1想定操舵力マップ512及び第2想定操舵力マップ513とが記憶されている。
内部バス500には、図略のインタフェース回路を介してトルクセンサ24の出力信号、車速センサ101の出力信号、及び電動モータ40の回転軸400の回転位置を検出するエンコーダ401の出力信号が供給される。これらの出力信号は、CPU50によって参照される。また、CPU50は、エンコーダ401によって検出される電動モータ40の回転軸400の回転位置の時間当たりの変化量を演算することによって回転軸400の回転速度を求めることができ、この回転軸400の回転速度とウォームギヤ機構4aの減速比とに基づいて、ステアリングシャフト2の回転速度、すなわちステアリングホイール10の操舵速度を求めることができる。
(ECU5における制御方法)
次に、ECU5のCPU50が操舵補助力演算手段501,補償制御手段502,想定操舵トルク演算手段503,補正手段504,及び駆動制御手段505として実行する処理の内容について説明する。
次に、ECU5のCPU50が操舵補助力演算手段501,補償制御手段502,想定操舵トルク演算手段503,補正手段504,及び駆動制御手段505として実行する処理の内容について説明する。
CPU50は、操舵補助力演算手段501として、少なくとも実操舵トルク(トルクセンサ24によって検出された操舵トルク)に応じて操舵機構1aに付与すべき目標操舵補助力を演算する。また、CPU50は、補償制御手段502として、操舵フィーリングの向上のための各種補償制御を行う。また、CPU50は、想定操舵トルク演算手段503として、少なくとも車速及び操舵速度に基づいて、トルクセンサ24で検出されることが想定される想定操舵トルクを演算する。また、CPU50は、補正手段504として、実操舵トルクが想定操舵トルクよりも小さいとき、その差分に応じて目標操舵補助力を低減補正する。またさらに、CPU50は、駆動制御手段505として、低減補正された目標操舵補助力に応じて電動モータ40を駆動制御する。
図3は、ECU5の構成を機能的に示す機能ブロック図である。この機能ブロック図において、電流指令演算部5a,補償制御部5bならびに加算部5c,想定操舵力演算部5d,差分演算部5eならびに補正量演算部5fならびに減算部5g,及び駆動制御部5hは、それぞれ、CPU50の操舵補助力演算手段501,補償制御手段502,想定操舵トルク演算手段503,補正手段504,及び駆動制御手段505としての処理によって実現される。
電流指令演算部5aは、実操舵トルクT及び車速Vに基づいて、アシストマップ511を参照して電流指令値Irefを演算する。この電流指令値Irefは、操舵機構1aに付与すべき目標操舵補助力を表している。
図4は、電流指令演算部5aにおいて参照されるアシストマップ511の一例を示す。アシストマップ511には、実操舵トルクTと電流指令値Irefとの関係が車速Vをパラメータとして示されている。同図中、V1,V2,V3は異なる車速を示し、V2はV3よりも低速であり、V1はV2よりもさらに低速である(V1<V2<V3)。すなわち、電流指令値Irefは、実操舵トルクTが大きいほど、また車速Vが小さいほど大きな値となる。なお、実操舵トルクT及び電流指令値Irefに加え、車両走行状態に関する他の指標値を加味して電流指令値Irefを定めてもよい。
補償制御部5bは、運転者がステアリングホイール10を操舵操作する際の操舵フィーリングの向上のための補償制御を行う。より具体的には、補償制御部5bは、ステアリングホイール10の切り込み時における操舵補助機構4の慣性による影響を補償するための慣性補償制御、及びステアリングホイール10の切り戻し操作時において操舵補助機構4の慣性により舵が戻りすぎるのを防止し、ステアリングホイール10のふらつきを抑制するためのダンパ補償制御を行う。この補償制御部5bでは、補償量Irが算出され、この補償量Irが加算部5cにおいて電流指令値Irefに加算される。なお、補償量Irは、正の値及び負の値の何れの値をもとり得る。
想定操舵力演算部5dは、車速V,操舵速度Vs,及び操舵角θに基づいて、トルクセンサ24で検出されることが想定される操舵トルク、すなわち想定操舵トルクTsを演算する。この想定操舵トルクTsは、電動パワーステアリング装置1が搭載された車両が舗装された乾燥路を走行していると仮定した場合に、トルクセンサ24で検出されるであろう操舵トルクを推定演算したものである。
本実施の形態では、想定操舵トルクTsを、記憶素子51に予め記憶された第1想定操舵力マップ512及び第2想定操舵力マップ513の何れかを参照して演算する。第1想定操舵力マップ512は、ステアリングホイール10の中立位置における操舵角θを0°とし、この操舵角θが±360°以内である場合に参照されるマップであり、第2想定操舵力マップ513は、操舵角θの絶対値が360°を超える場合に参照されるマップである。
つまり、想定操舵トルク演算手段503としてのCPU50は、操舵角θが所定値以下の場合に第1想定操舵力マップ512を参照し、操舵角θがこの所定値を超える場合に第2想定操舵力マップ513を参照する。すなわち、本実施の形態では、想定操舵トルク演算手段503が、車速V及び操舵速度Vsに加えてステアリングホイール10の操舵角θを参照して想定操舵トルクTsを演算する。なお、操舵角θは、エンコーダ401の出力信号によって検出することが可能である。
図5(a)は、第1想定操舵力マップ512の一例を示し、図5(b)は、第2想定操舵力マップ513の一例を示す。図5(a)及び図5(b)に示されるように、第1想定操舵力マップ512及び第2想定操舵力マップ513には、操舵速度Vsと想定操舵トルクTsとの関係が複数の車速V(V1,V2,V3)ごとに定義されている。各車速V1,V2,V3は、図4に示したアシストマップ511と同様に、V2はV3よりも低速であり、V1はV2よりもさらに低速である。V1は例えば0km/h(停車時)であり、V2は例えば100km/hである。また、V3は例えば車両が発生し得る最高速度である。車速VがV1とV2の間もしくはV2とV3との間である場合には、補完演算を行うことによって想定操舵トルクTsを演算することができる。
本実施の形態では、各車速V1,V2,V3において操舵速度Vsと想定操舵トルクTsとの関係を示す特性線が直線状であり、操舵速度Vsと想定操舵トルクTsとが比例関係にあるが、これに限らず、各特性線が曲線状であってもよい。また、図5(a)及び図5(b)では横軸を操舵速度Vs、縦軸を想定操舵トルクTsとし、横軸及び縦軸の数値を省略しているが、横軸及び縦軸の縮尺(操舵速度Vs及び想定操舵トルクTsの数値に対する横軸及び縦軸の長さの割合)は両マップにおいて共通である。つまり、図5(a)及び図5(b)に示すように、第2想定操舵力マップ513を参照した場合には、第1想定操舵力マップ512を参照した場合よりも大きな想定操舵トルクTsが得られる。換言すれば、操舵角θが所定値よりも大きい場合には、操舵速度Vsが同じでも、得られる想定操舵トルクTsが大きくなる。
この第1想定操舵力マップ512及び第2想定操舵力マップ513は、例えば想定操舵トルク演算手段503及び補正手段504の機能を無効にして舗装された平坦な乾燥路を走行した場合に、トルクセンサ24によって実際に検出される操舵トルクに応じて定義することができる。この場合、例えば圧雪路や砂利道等の低μ路を走行する場合にも、舗装された乾燥路を走行する場合に近い操舵反力が発生し、運転者によるステアリングホイール10の切り過ぎを抑制することができる。また、例えば前輪である転舵輪100の荷重が低くなる急勾配の登坂路の走行時や、車両が走行中に横風を受けた場合にも、通常時に近い操舵反力を発生させることができ、ステアリングホイール10の切り過ぎを抑制することができる。
差分演算部5eは、想定操舵力演算部5dにおいて演算した想定操舵トルクTsと、トルクセンサ24によって検出された実操舵トルクTとの差分であるトルク差ΔTを演算する。補正量演算部5fは、トルク差ΔTが所定値以上である場合に、このトルク差ΔTに基づいて電流指令値Irefの補正量Icを演算する。なお、トルク差ΔTが所定値未満である場合には、補正量Icを0(ゼロ)とする。すなわち、トルク差ΔTには、不感帯が設定されている。また、補正量Icは、0を下限とし(0≦Ic)、トルク差ΔTが大きいほどその値が大きくなる。減算部5gは、加算部5cによって補償量Irが加算された電流指令値Irefから補正量Icを減算する。すなわち、減算部5gは、トルク差ΔTに応じて電流指令値Irefを低減補正する。
駆動制御部5hは、減算部5gによって低減補正された電流指令値Irefに応じて電動モータ40を駆動制御する。より具体的には、駆動制御部5hは、電流センサ54によって検出される電流値が低減補正された電流指令値Irefとなるように、モータ駆動回路53を動作させる。以上により、補正された電流指令値Irefに基づいて電動モータ40が駆動制御され、操舵補助力を発生させる。
図6は、CPU50がモータ制御プログラム510に基づいて実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートにおいて、ステップS10はCPU50が操舵補助力演算手段501として実行する処理であり、ステップS11はCPU50が補償制御手段502として実行する処理であり、ステップS12〜S14はCPU50が想定操舵トルク演算手段503として実行する処理であり、ステップS15〜S18はCPU50は補正手段504として実行する処理であり、ステップS19は、CPU50が駆動制御手段505として実行する処理である。
CPU50は、トルクセンサ24によって検出された実操舵トルクT及び車速Vに基づいてアシストマップ511を参照し、電流指令値Irefを演算する(ステップS10)。また、CPU50は、実操舵トルクT,車速V,操舵速度Vs,及び操舵角θに基づいて、補償制御(慣性補償制御及びダンパ補償制御)を行う(ステップS11)。
次に、CPU50は、操舵角θが所定値S1以内か否かを判定し(ステップS12)、所定値S1以内である場合(S12:Yes)には、第1想定操舵力マップ512を参照して想定操舵トルクTsを演算し(ステップS13)、操舵角θが所定値S1を超える場合(S12:No)には、第2想定操舵力マップ513を参照して想定操舵トルクTsを演算する(ステップS14)。
次に、CPU50は、ステップS13又はステップS14で演算した想定操舵トルクTsと実操舵トルクTとの差分であるトルク差ΔTを演算し(ステップS15)、このトルク差ΔTが所定値S2以上か否かを判定する(ステップS16)。トルク差ΔTが所定値S2以上である場合(S16:Yes)、CPU50は、トルク差ΔTに基づいて電流指令値Irefの補正量Icを演算し(ステップS17)、この補正量Icを電流指令値Irefから減算する(ステップS18)。
その後、CPU50は、補正された電流指令値Irefに応じて電動モータ40を駆動制御する(ステップS19)。なお、CPU50は、トルク差ΔTが所定値S2以上でない場合(S16:No)、ステップS17及びS18の処理を行うことなく、ステップS11で補償制御された電流指令値Irefに応じて、ステップS19において電動モータ40を駆動制御する。
なお、ステップS12〜S18の処理は、例えば車載通信網によって路面摩擦係数に関する情報を取得することが可能な場合には、この路面摩擦係数が所定値よりも低い場合に限り実行するようにしてもよい。また、路面摩擦係数は、例えば外気温や車載カメラによって撮像した路面状況等に応じて推定することができる。
(実施の形態の効果)
以上説明した本実施の形態によれば、実操舵トルクTが想定操舵トルクTsに近づくように電流指令値Irefすなわち目標操舵補助力が低減補正されるので、低μ路等の走行時においても適切な操舵反力が発生し、運転者がステアリングホイール10を切り過ぎてしまうことが抑制される。また、操舵角θに応じて第1想定操舵力マップ512又は第2想定操舵力マップ513の何れかが選択的に参照されるので、操舵反力がより適切にステアリングホイール10に作用する。
以上説明した本実施の形態によれば、実操舵トルクTが想定操舵トルクTsに近づくように電流指令値Irefすなわち目標操舵補助力が低減補正されるので、低μ路等の走行時においても適切な操舵反力が発生し、運転者がステアリングホイール10を切り過ぎてしまうことが抑制される。また、操舵角θに応じて第1想定操舵力マップ512又は第2想定操舵力マップ513の何れかが選択的に参照されるので、操舵反力がより適切にステアリングホイール10に作用する。
以上、本発明のステアリング装置を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。例えば、各マップによって示される制御特性は、図4及び図5に例示したものに限定されず、ステアリング装置が搭載される車両の特性に応じて適宜設定すべきである。
また、上記実施の形態では、操舵角θに応じて第1想定操舵力マップ512又は第2想定操舵力マップ513の何れかを選択する場合について説明したが、これに限らず、記憶素子51に1つの想定操舵力マップを記憶させ、操舵角θにかかわらず、この想定操舵力マップを参照して想定操舵トルクTsを求めるようにしてもよい。この場合、当該1つの想定操舵力マップとしては、第1想定操舵力マップ512と同じものを採用することができる。
また、上記実施の形態では、エンコーダ401によって検出される電動モータ40の回転軸400の回転位置の時間当たりの変化量に基づいて操舵速度Vsを算出する場合について説明したが、これに限らず、電動モータ40の巻線に発生する逆起電力に基づいて求めた回転軸400の回転位置の時間当たりの変化量によって操舵速度Vsを算出してもよい。また、操舵角θは、CAN等の車載通信網によって取得してもよい。
1…電動パワーステアリング装置、10…ステアリングホイール、100…転舵輪、101…車速センサ、11…タイロッド、12…ブーツ、1a…操舵機構、2…ステアリングシャフト、201…自在継手、21…コラムシャフト、211…トーションバー、22…中間シャフト、23…ピニオンシャフト、231…ピニオン歯、24…トルクセンサ、3…ラック軸、30…ラックハウジング、31…ラック歯、32…ボールジョイントソケット、4…操舵補助機構、40…電動モータ、400…回転軸、401…エンコーダ、41…ウォーム、42…ウォームホイール、4a…ウォームギヤ機構、5…ECU、500…内部バス、501…操舵補助力演算手段、502…補償制御手段、503…想定操舵トルク演算手段、504…補正手段、505…駆動制御手段、51…記憶素子、510…モータ制御プログラム、511…アシストマップ、512…第1想定操舵力マップ、513…第2想定操舵力マップ、53…モータ駆動回路、54…電流センサ、5a…電流指令演算部、5b…補償制御部、5c…加算部、5d…想定操舵力演算部、5e…差分演算部、5f…補正量演算部、5g…減算部、5h…駆動制御部、Ic…補正量、Ir…補償量、Iref…電流指令値、T…実操舵トルク、Ts…想定操舵トルク、V…車速、Vs…操舵速度、ΔT…トルク差、θ…操舵角
Claims (2)
- ステアリングホイールの操舵操作に応じて転舵輪を転舵させる操舵機構と、
前記操舵機構に操舵補助力を付与する電動モータと、
ステアリングホイールに付与される実操舵トルクを検出するトルクセンサと、
前記電動モータを制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
少なくとも前記実操舵トルクに応じて前記操舵機構に付与すべき目標操舵補助力を演算する操舵補助力演算手段と、
少なくとも車速及び操舵速度に基づいて、前記トルクセンサで検出されることが想定される想定操舵トルクを演算する想定操舵トルク演算手段と、
前記実操舵トルクが前記想定操舵トルクよりも小さいとき、その差分に応じて前記目標操舵補助力を低減補正する補正手段と、
前記低減補正された前記目標操舵補助力に応じて前記電動モータを駆動制御する駆動制御手段と、
を備えたステアリング装置。 - 前記想定操舵トルク演算手段は、前記車速及び前記操舵速度に加えて前記ステアリングホイールの操舵角を参照して前記想定操舵トルクを演算する、
請求項1に記載のステアリング装置。
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JP2014124595A JP2016002884A (ja) | 2014-06-17 | 2014-06-17 | ステアリング装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2014
- 2014-06-17 JP JP2014124595A patent/JP2016002884A/ja active Pending
Cited By (3)
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WO2021149381A1 (ja) * | 2020-01-24 | 2021-07-29 | 日立Astemo株式会社 | 操舵制御装置 |
JP2021115937A (ja) * | 2020-01-24 | 2021-08-10 | 日立Astemo株式会社 | 操舵制御装置 |
JP7369045B2 (ja) | 2020-01-24 | 2023-10-25 | 日立Astemo株式会社 | 操舵制御装置 |
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