JP2004186538A - 熱電変換素子とその製造方法 - Google Patents
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- Devices For Blowing Cold Air, Devices For Blowing Warm Air, And Means For Preventing Water Condensation In Air Conditioning Units (AREA)
Abstract
【課題】吸熱効率の向上を可能とするともに、適用物の薄型化に適する熱電変換素子を得ることにある。
【解決手段】電極8〜11が設けられた電極配設面4a〜7aを有する複数の基板4〜7を備える。これらの基板の内でPN接合をすべき基板4〜7に、電極8〜11を介してP型及びN型の熱電導体1及び2をPN接合する。吸熱に用いられる吸熱基板4、5と放熱に用いられる放熱基板6、7とを、それらの電極配設面4a、5aと6a、7aとが対向しないように互いに平面的にずらして配置したことを特徴としている。
【選択図】 図1
【解決手段】電極8〜11が設けられた電極配設面4a〜7aを有する複数の基板4〜7を備える。これらの基板の内でPN接合をすべき基板4〜7に、電極8〜11を介してP型及びN型の熱電導体1及び2をPN接合する。吸熱に用いられる吸熱基板4、5と放熱に用いられる放熱基板6、7とを、それらの電極配設面4a、5aと6a、7aとが対向しないように互いに平面的にずらして配置したことを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼーベック効果による温度差発電(熱発電)、及びペルチェ効果による冷却と発熱とが可能な熱電変換素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に熱電変換素子は、その出力を大きくするために、複数のPN接合対が直列に接続されたモジュールとして用いられる。このモジュールは、電極を有した面を互いに対向させて配置される第1及び第2の基板と、これら2枚の基板に電極を介してPN接合されて基板間に挟まれた複数のP型及びN型の熱電導体とを備え、複数のPN接合対を電極構造により直列に接続している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−220183号公報(段落0014、0016、0020、図1−図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
各熱電導体はP型半導体及びN型半導体等で作られ、それらの大きさは、通常数百μmから数mmである。それにより、各熱電導体を挟んで互いに重なり合うように配置されている2枚の基板は、極めて接近している。この条件下で、一方の基板は放熱基板として機能し、他方の基板は吸熱基板として機能する。
【0005】
このため、特許文献1に記載の熱電変換素子の構成では、放熱基板の熱が各熱電導体を通して吸熱基板に伝導され易く、吸熱効率を高くするには適していない。特に、放熱基板を吸熱基板の下方に位置させた姿勢で使用する場合には、両基板の対向面積が大きいので、放熱基板からの放熱を原因とする熱対流で吸熱基板が容易に加熱されて、吸熱効率をより損ない易くなる。
【0006】
更に、特許文献1に記載の熱電変換素子を例えば冷却装置に適用する場合、放熱基板にヒートシンクやヒートパイプ等の放熱体が取付けられ、吸熱基板に冷却対象物が取付けられる。これにより冷却装置の厚みは、熱電変換素子、放熱体、及び冷却対象物の各厚みが加算されたものとなる。このため、特許文献1に記載の熱電変換素子は、これを適用する冷却装置等の適用物の薄型化を妨げ易い。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、吸熱効率の向上を可能とするとともに、適用物の薄型化に適する熱電変換素子、及びこの素子を作るのに適する製造方法を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、電極が設けられた電極配設面を有してP型及びN型の熱電導体がPN接合される複数の基板の内で、吸熱に用いられる吸熱基板と放熱に用いられる放熱基板とを、これら基板の電極配設面が対向しないように互いにずらして配置したものである。
【0009】
本発明で、吸熱基板と放熱基板とを、夫々の電極配設面が対向しないように互いにずらして配置するとは、吸熱基板と放熱基板とが互いに重なり合わないような配置、即ち、吸熱基板及び放熱基板の一方の投影領域に他方が存在しない配置を意味する。この配置には、吸熱基板と放熱基板とが互いに平行で平面的に並んでいる配置、吸熱基板と放熱基板とが互いに非平行である配置等が含まれる。前記平面的に並ぶとは、展開されるように同一平面上で並設される場合と、非平面上で、つまり、吸熱基板と放熱基板との厚み方向の位置がずれていて展開されるように並設される場合とがある。前記非平行である配置には、吸熱基板と放熱基板とが互いに逆向きに傾斜されていて実質的には平面的に並んでいる配置等が含まれる。本発明で、複数の基板とは、P型とN型の熱電導体がPN接合される基板を意味するが、これらの基板中には吸熱或いは放熱以外の主目的として用いられる中間基板を含んでいてもよい。本発明で、P型及びN型の熱電導体には例えば熱電半導体を好適に使用でき、この熱電半導体としては、Bi−Te系材料、Fe−Si系材料、Si−Ge系材料Co−Sb系材料などを挙げることができる。
【0010】
本発明においては、吸熱基板と放熱基板とが互いの電極配設面を対向させないようにずらされているので、放熱基板から吸熱基板に至る伝熱経路が長くなり、吸熱基板への熱伝導を抑制可能である。しかも、電極配設面が非対向であることに伴い、放熱基板と吸熱基板とはそれらの端面で対向するが、その対向面積は小さいので、対流が吸熱性能に影響する場合にも、その熱的影響を小さく抑制可能である。更に、前記配置の吸熱基板と放熱基板とは、互いの厚み方向に重なり合うようなことがないので、本発明の熱電変換素子を冷却装置等に適用する場合、熱電変換素子、及びその放熱基板に取付けられる放熱体、並びに吸熱基板に取付けられる冷却対象物の夫々の厚みの全てが、冷却装置の厚みに直接反映されることがなくなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、図1を参照して本発明の第1実施形態を説明する。図1(A)に示す第1実施形態における熱電変換素子1は、単層構造であって、1以上のP型の熱電導体2と、同じく1以上のN型の熱電導体3と、第1及び第2の吸熱基板4及び5と、同じく第1及び第2の放熱基板6、7とを備えている。
【0012】
熱電導体2、3は夫々1以上例えば偶数又は奇数使用されて、これらは図1(A)に示すように所定間隔を空けて互いに平行な姿勢で交互に並べて配設される。これら熱電導体2及び3の長さや数は任意に設定可能である。各熱電導体2、3はいずれも実質的に同じ大きさの角柱状に形成されている。
【0013】
各基板4〜7の夫々は、いずれも良熱伝導材料、例えばシリコン等の金属、又は窒化アルミ等の金属化合物、若しくはアルミナ等のセラミックスで作られている。各基板4〜7は四角形の薄板からなり、その一面は電極配設面4a〜7aをなしている。なお、基板4〜7が電気導体である場合には、その一面を電気絶縁層(図示しない)で覆って、この絶縁層を電極配設面4a〜7aとして用いている。図1(B)は、図1(A)における熱電変換素子1を図中矢印Fから見たものである。
【0014】
図1(B)に示すように各電極配設面4a〜7aの夫々には金属の電極8〜11が個別に設けられている。各電極8〜11は、基板4〜7に熱電導体2、3をPN接合するのに適当なパターンを形成している。
【0015】
第1、第2の吸熱基板4、5は、各熱電導体2、3の並び方向に延びて配置され、各熱電導体2、3の長手方向(軸方向)一端部をこれら熱電導体2、3の厚み方向に挟んでいる。両吸熱基板4、5の電極8、9は、図示しない半田を介して各熱電導体2、3の長手方向一端部に接合されている。
【0016】
同様に、第1、第2の放熱基板6、7は、各熱電導体2、3の並び方向に延びて配置され、各熱電導体2、3の長手方向他端部をこれら熱電導体2、3の厚み方向に挟んでいる。両放熱基板6、7の電極10、11は、図示しない半田を介して各熱電導体2、3の長手方向一端部に接合されている。これらの接合により各熱電導体2、3は直列に導通されている。
【0017】
各熱電導体2、3の長手方向両端部に、これら熱電導体2、3の一面と平行な姿勢で配置された第1吸熱基板4と第1放熱基板6とは、各熱電導体2、3の長手方向よりはみ出しているとともに、図1(B)において水平方向に離されていて各熱電導体2、3の長手方向中間部を露出させている。同様に、各熱電導体2、3の長手方向両端部に、これら熱電導体2、3の他の面(前記一面と平行な面)と平行な姿勢で配置された第2吸熱基板5と第2放熱基板7も、図1(B)において水平方向に離されていて各熱電導体2、3の長手方向中間部を露出させている。
【0018】
したがって、各熱電導体2、3の長手方向に対応する第1吸熱基板4と第1放熱基板6とは、互いに平行で、かつ、夫々の電極配設面4a、6aが対向しないように平面的にずらされて配置されている。同様に、各熱電導体2、3の長手方向に対応する第2吸熱基板5と第2放熱基板7も、互いに平行で、かつ、夫々の電極配設面5a、7aが対向しないように平面的にずらされて配置されている。しかも、これらの基板4〜7を基準としてみた場合、各熱電導体2、3はその両端部を対応する各電極8〜11に個別に接合して、第1、第2の吸熱基板4、5と第1、第2の放熱基板6、7とにわたって配置されている。
【0019】
以上の構成を備えた熱電変換素子1には、吸熱基板4、5と熱電導体2、3との接合部で吸熱が起こり、放熱基板6、7と熱電導体2、3との接合部で発熱が起こるように直流が印加される。図1(B)に示すように熱電変換素子1は、その両吸熱基板4、5の内の少なくとも一方例えば第1吸熱基板4に冷却対象物15を熱伝導可能に接続し、両放熱基板6、7の内の少なくとも一方例えば前記第1吸熱基板4に対向する第1放熱基板6に、ヒートシンクなどの放熱体16を熱伝導可能に接続して使用される。
【0020】
前記熱電変換素子1では、吸熱基板4、5の電極配設面4a、5aに対して放熱基板6、7の電極配設面6a、7aが対向しないように、吸熱基板4、5と放熱基板6、7とを例えば同一平面上でずらした配置としている。このため、放熱基板6、7から吸熱基板4、5に至る伝熱経路(第1実施形態では各熱電導体2、3で作られる。)が長くなり、吸熱基板4、5への熱伝導を抑制可能である。これにより、放熱基板6、7と各熱電導体2、3との接合部での発熱に伴い吸熱基板4、5が昇温することが抑制される。
【0021】
しかも、既述のように電極配設面4a、5aと電極配設面6a、7aとが非対向であることに伴い、第1放熱基板4と第1吸熱基板6とはそれらの互いに接近した端面4b、6bで対向し、第2放熱基板5と第2吸熱基板7とはそれらの互いに接近した端面5b、7bで対向する。これらの対向面積は、電極配設面同士が重なり合うように対向する場合に比較して遥かに小さい。これにより、放熱基板6、7を下側に位置させるとともに吸熱基板4、5を上側に位置させた姿勢で熱電変換素子1を使用する場合にも、対流によって吸熱基板4、5が昇温することが抑制される。
【0022】
以上の理由により吸熱基板4、5の吸熱効率の向上が可能となり、冷却対象物15を効率よく冷却可能である。これに伴い、放熱基板6等に取付けられる放熱体16の配置や設計などの制約も少なくなるので、前記構成の熱電変換素子1を適用した冷却装置などの適用物の設計の自由度を高めることが可能である。
【0023】
しかも、前記構成の熱電変換素子1では、各基板4〜7が各熱電導体2、3の軸方向の端面を接合するのではなく、長手方向に延びる側面に接合されている。このため、PN接合の面積を多く確保できる点でも吸放熱性能の向上及び接合強度の向上が可能である。
【0024】
更に、前記構成の熱電変換素子1を冷却装置に適用した例では、冷却対象物15が取付けられた第1吸熱基板4と放熱体16が取付けられた放熱基板6とは互いの厚み方向に重なり合うことがないので、例えば図1(B)中Aで示す寸法は、前記冷却装置で代表する適用物の厚みを増やす因子とはならない。このように前記構成の熱電変換素子1はこれを備えて吸放熱をする適用物の薄型化に貢献できる。
【0025】
なお、第1実施形態において、第1吸熱基板4及びこれに対応する放熱基板6、又は、第2吸熱基板5及びこれに対応する放熱基板7の内の、いずれか一方は省略できる。しかし、これら双方を備える場合、冷却対象物15又は放熱体16が取付けられない方の吸熱基板及び放熱基板については、それらを延長して熱電変換素子1の取付け板として用いることが可能である。
【0026】
(第2実施形態)
次に、図2〜図6を用いて本発明の第2実施形態を説明する。この実施形態は、基本的に第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と同様な構成については同じ符号を付してその説明を省略し、以下第1実施形態とは異なる点を説明する。
【0027】
第2実施形態では、互いに平行なP型熱電導体2の端部とN型熱電導体3の端部とが、吸熱基板4、5にPN接合される部分及び放熱基板6、7にPN接合される部分で、図2(C)に代表して示すように接合部20aを介して接合されている。これとともに、前記端部を除いたP型熱電導体2とN型熱電導体3の大部分は、隣接した熱電導体2、3間にそれらの長手方向に沿って延びる切欠き21より互いに離されている。この第2実施形態の熱電導体2、3は第1実施形態のものより短い。
【0028】
以上説明した以外の構成は第1実施形態の単層構造の熱電変換素子1と同じである。したがって、第2実施形態の熱電変換素子1においても、吸熱基板4及び5と放熱基板6及び7とが、夫々の電極配設面を対向しないようにずらして配置されているので、第1実施形態と同様な作用効果を得て本発明の課題を解決できる。
【0029】
第2実施形態の熱電変換素子1は、以下説明する第1〜第4の工程を経て製造可能である。
【0030】
第1工程では、まず、図3に示す積層体24を作り、次にこの積層体24から所定厚みtのスライス片25を作る。積層体24は、予め用意された必要枚数のP型熱電導体基板22とN型熱電導体基板23とを交互に積層して、互いの合い面を半田のべた層20により接合して作られる。各熱電導体基板22、23は、いずれも所定厚みを有する板状のものであり、例えば正方形の平板状をなしている。
【0031】
スライス片25は、各べた層20及び各熱電導体基板22、23と直角に交差する方向に沿って、各積層体24を図3中点線で示す位置でスライスして作られる。積層体24のスライスはダイシングソーを用いて実施する。このスライス片25は交互に並べられた互いに平行なP型熱電導体2とN型熱電導体3とを有している。
【0032】
第2工程では、スライス片25に第1吸熱基板4と第1放熱基板6とを接合してユニット26を作る。図4(C)(D)に示すように、長方形をなした第1吸熱基板4と第1放熱基板6の電極配設面4a、6aには、これら基板4、6より一回り小さい長方形の電極8、10が設けられている。両基板4、6はスライス片25の長手方向寸法は各熱電導体2、3が並んだ方向の長さ、言い換えれば、積層体24の積厚寸法より少し長く、電極8、10の長手方向寸法は前記積厚寸法と同じである。
【0033】
第1吸熱基板4は、スライス片25の幅方向一端部、言い換えれば、各熱電導体2、3が延びる方向の一端部に、各熱電導体2、3の並び方向と直交して図示しない半田を介して接合される。同様に、第1吸熱基板6は、スライス片25の幅方向他端部、言い換えれば、各熱電導体2、3が延びる方向の他端部に、各熱電導体2、3の並び方向と直交して図示しない半田を介して接合される。以上の接合により各熱電導体2、3と電極8、10とが電気的に接続される。こうして図4(A)(B)に示す一層構造のユニット26を形成する。
【0034】
図4(A)はユニット26の上面図、図4(B)はこのユニット26を矢印F4から見たものである。
【0035】
次に、第3工程では、交互に並んでいるP型とN型の各熱電導体2、3を蛇行状に連続させて、これらを電気的に直列につなげる加工を実施する。この加工は、図5(A)に示すようにユニット26の幅方向に延びる切欠き21を、図4(A)中点線矢印で切込み方向を示すようにユニット26に対しその幅方向の両側から交互に入れて、互いに隣接している熱電導体2、3の半田のべた層20による接合部の一部を残し大半を切除して行う。それにより、残された接合部20aを介して各熱電導体2、3が蛇行状に連続される。前記べた層20の部分的切除はダイシングソーを用いて実施する。
【0036】
この場合、切除が開始される側に位置する基板の電極配設面はそこの電極とともに削り取られる。これを、第1吸熱基板4の電極配設面4aが電極8とともに削り取られた状態で、図5(B)で代表して示す。図5(B)は図5(A)におけるユニット26をF5−F5で切断した断面図である。切欠き21を間に置いて隣接する異種の熱電導体2、3同士は、第1吸熱基板4の電極8又は第1放熱基板6の電極10で電気的に短絡することはない。
【0037】
第4工程では、切欠き21が入れられたユニット26に第2吸熱基板5と第2放熱基板7とを接合する。第2吸熱基板5の電極配設面5aの一部は、前記図6(A)に例示するようにユニット26の切欠き21に対応して露出されている。この露出部5cは絶縁部であり、それによって電極9が複数に分割されている。同様に、第2吸熱基板7の電極配設面7aの一部も、図6(B)に例示するようにユニット26の切欠き21に対応して露出されている。この露出部7cも絶縁部であり、それによって電極11が複数に分割されている。
【0038】
第2吸熱基板5は、第1吸熱基板4が半田付けされているユニット26の幅方向一端部に、この一端部を第1吸熱基板4との間に挟んで、各熱電導体2、3の並び方向と直交した姿勢で図示しない半田を介して接合される。同様に、第2吸熱基板7も、第1吸熱基板6が半田付けされているユニット26の幅方向他端部に、この他端部を第1吸熱基板6との間に挟んで、各熱電導体2、3の並び方向と直交した姿勢で図示しない半田を介して接合される。こうして作られた熱電変換素子1は図2に示されている。
【0039】
この熱電変換素子1の製造方法では、所定形状に予め形成されたばらばらな複数の熱電導体を、所定間隔に並べて位置決め保持した状態で第1の吸熱基板4及び放熱基板6を半田付けする面倒がない。しかも、積層体24を得る際、素材形状が大きいので取扱いが容易である。これにより、スライス片25を得る切断加工、及び隣接した熱電導体2、3を直列に接続するための切欠き21をユニット26に設ける切除加工を、ダイシングソーやレーザーなどを用いて容易にできる。したがって、前記製造方法では熱電変換素子1の生産性に優れるという利点がある。
【0040】
(第3実施形態)
次に、図7〜図9を用いて本発明の第3実施形態を説明する。この実施形態は、基本的に第2実施形態と同じであるので、第2実施形態と同様な構成については同じ符号を付してその説明を省略し、以下第2実施形態とは異なる点を説明する。
【0041】
第3実施形態の熱電変換素子1は第2実施形態のものと実質的に同じであり、図7(A)に例示するように隣接した熱電導体2、3を直列に接続するための切欠き21が、吸熱基板4、5及び放熱基板6、7の夫々にも及んでいて、このために熱電変換素子1自体が蛇行状を呈しているという点で、第2実施形態とは異なっている。したがって、この第3実施形態の熱電変換素子1においても、吸熱基板4及び5と放熱基板6及び7とが、夫々の電極配設面を対向しないようにずらして配置されているので、第2実施形態と同様な作用効果を得て本発明の課題を解決できる。
【0042】
この熱電換素子1の製造方法は、第2実施形態の第1〜第3の工程を経て製造可能である。図8に示す積層体24を作る第1工程は第2実施形態で説明した第1工程と同じであり、説明を省略する。
【0043】
第2工程では、第1工程で得たスライス片25に第1、2の吸熱基板4、5と第1、第2の放熱基板6、7とを夫々接合してユニット28を作る。図9(C)(D)に示すように、長方形をなした第1、2の吸熱基板4、5と第1、第2の放熱基板6、7の電極配設面4a〜7aには、これら基板4〜7より一回り小さい長方形の電極8〜11が設けられている。各基板4〜7の長手方向寸法はスライス片25の各熱電導体2、3が並んだ方向の長さ、言い換えれば、積層体24の積厚寸法より少し長く、各電極8〜11の長手方向寸法は前記積厚寸法と同じである。
【0044】
第1、第2の吸熱基板4、5は、スライス片25の幅方向一端部、言い換えれば、各熱電導体2、3が延びる方向の一端部に、この一端部を挟んで各熱電導体2、3の並び方向と直交して図示しない半田を介して接合される。同様に、第1、第2の放熱基板6、7は、スライス片25の幅方向他端部、言い換えれば、各熱電導体2、3が延びる方向の他端部に、この他端部を挟んで各熱電導体2、3の並び方向と直交して図示しない半田を介して接合される。以上の接合により各熱電導体2、3と電極8、10とが電気的に接続される。こうして図9(A)(B)に示す一層構造のユニット28を形成する。
【0045】
第3工程では、交互に並んでいるP型とN型の各熱電導体2、3を蛇行状に連続させる加工を実施する。この加工は、図7(A)に示すユニット28の幅方向に延びる切欠き21を、図9(A)中点線矢印で切込み方向を示すようにユニット28に対しその幅方向の両側から交互に入れて、互いに隣接している熱電導体2、3の半田のべた層20による接合部の一部を残して大半を切除するとともに、各基板の前記切除部分に対向する部分も同時に切除して行う。それにより、図7(C)で代表する残された接合部20aを介して各熱電導体2、3が、蛇行状に連続された形態で電気的に直列につなげられる。こうして全体が蛇行状に作られた熱電変換素子1は図7(A)に示されている。
【0046】
ここで図7(B)は図7(A)におけるユニット28を矢印F6から見た図であり、図7(C)はユニット28をF7−F7で切断した断面図である。
【0047】
この熱電変換素子1の製造方法では、スライス片25の両面に対して夫々第1、第2吸熱基板4、5と放熱基板6、7とを半田で接合するので、この接合を同時に行なうことが可能となる。このため、第2実施形態に比較して工程数が削減されて、より生産性に優れるという利点がある。
【0048】
(第4実施形態)
次に、図10〜図16を用いて本発明の第4実施形態を説明する。この実施形態は、基本的に第3実施形態と同じであるので、第3実施形態と同様な構成については同じ符号を付してその説明を省略し、以下第3実施形態とは異なる点を説明する。図10(A)は第4実施形態における熱電変換素子であり、図10(B)はこれを側面から見た図である。
【0049】
第4実施形態の熱電変換素子1は積層構造をなしており、複層に重ねられた積層ユニット30は熱伝導手段を介して電気的に導通されている。この積層型の熱電変換素子1を、第1工程〜第4工程を備える製造方法とともに説明する。図11に示す積層体24を作る第1工程は第2実施形態で説明した第1工程と同じであり、説明を省略する。
【0050】
図12に示す積層ユニット30を得る第2工程では、図13(A)(B)に示す第1ユニット要素32と、図14(A)(B)に示す第2ユニット要素33とを作り、これらを交互に積層する。
【0051】
詳しくは、第1工程で得たスライス片25に吸熱基板4と放熱基板6とを接合して第1ユニット要素32を作る。図13(C)(D)に示すように、長方形をなした吸熱基板4と放熱基板6の電極配設面4a、6aには、これら基板4、6より一回り小さい長方形の電極8、10が設けられている。両基板4、6はスライス片25の長手方向寸法は各熱電導体2、3が並んだ方向の長さ、言い換えれば積層体24の積厚寸法より少し長く、電極8、10の長手方向寸法は前記積厚寸法と同じである。吸熱基板4の長手方向一端部には導電手段として例えばスルーホール34が設けられていて、これは電極8に電気的に接続されている。
【0052】
吸熱基板4と放熱基板6とは、各熱電導体2、3の並び方向と直交してスライス片25の幅方向両端部に、図示しない半田を介して個別に接合される。この接合により各熱電導体2、3と電極8、10とが電気的に接続される。こうして図13(A)(B)に示す単層構造の第1ユニット要素32を形成する。
【0053】
同様に、第1工程で得た他のスライス片25に吸熱基板4と放熱基板6とを接合して図14(A)に示す第2ユニット要素33を作る。この要素33場合の作り方は、第1ユニット要素32と同様である。しかし、この場合に使用する吸熱基板4には、導電手段としてのスルーホール34の位置が、第1ユニット要素32のスルーホール34とは反対側の端部に位置するように作られた吸熱基板4を使用する。この第2ユニット要素33用の吸熱基板は図14(C)に示される。このため、以上のように形成された第1、第2のユニット要素32、33は、それらのスルーホール34の位置を除いては同じ構成である。
【0054】
こうして得た各1枚以上のユニット要素32、33を、同じ向きでかつ互いに平行にとなるように交互に積層して、その重なり面(合い面)を図示しない半田のべた層を介して接合することによって、図12に示す積層ユニット30を作ることができる。この積層に伴う半田付けにより、積層方向に隣接した第1、第2のユニット要素32、33同士が、それらの放熱基板4の長手方向両端部において夫々電気的に導通される。
【0055】
第3工程では、積層ユニット30において水平面方向に交互に並んでいるP型とN型の各熱電導体2、3を、蛇行状に連続させて電気的に直列につなげる加工を実施する。この加工は、図15(A)に示す積層ユニット30の幅方向に延びる切欠き21を、図13(A)及び図14(A)中点線矢印で切込み方向を示すように積層ユニット30に対しその幅方向の両側から交互に入れて、互いに隣接している熱電導体2、3の半田のべた層20による接合部の一部を残して大半を切除して行う。
【0056】
この場合、各基板4、6の前記切除部分に対向する部分も同時に切除する。それにより、残された接合部20aを介して各熱電導体2、3が、蛇行状に連続されて直列につながる。同時に、この直列の蛇行層の積層方向に隣接するもの同士が、スルーホール34を介して電気的に直列に接続される。前記べた層20及び基板4、6の部分的切除はダイシングソーを用いて実施する。図15(A)(B)に切欠き21が入れられた積層ユニット30を示す。
【0057】
第4工程では、切欠き21が入れられた積層ユニット30に終端用吸熱基板35と同じく終端用放熱基板37とを接合する。終端用吸熱基板35の電極配設面35aの一部は、積層ユニット30の図15(A)で左側面に開放された切欠き21に対応して図16(A)に例示するように露出されている。この露出部35cは絶縁部であり、それによって吸熱基板35に設けられている電極38が複数に分割されている。同様に、終端用放熱基板37の電極配設面37aの一部も、積層ユニット30の図15(A)で右側面に開放された切欠き21に対応して16(B)に例示するように露出されている。この露出部37cも絶縁部であり、それによって放熱基板37に設けられている電極40も複数に分割されている。
【0058】
吸熱基板35は、最も表側に位置する第1ユニット要素32の幅方向一端部に、この第1ユニット要素32の各熱電導体2、3の並び方向と直交した姿勢で図示しない半田を介して接合される。同様に、放熱基板37も、最も表側に位置する第1ユニット要素32の幅方向他端部に、この第1ユニット要素32の各熱電導体2、3の並び方向と直交した姿勢で図示しない半田を介して接合される。こうして作られた熱電変換素子1は図10に示されている。
【0059】
この第4実施形態の熱電変換素子1においても、吸熱基板4及び35と放熱基板6及び37とが、夫々の電極配設面を対向しないようにずらして配置されているので、第3実施形態と同様な作用を得て本発明の課題を解決できる。更に、第4実施形態の熱電変換素子1は積層型であるので、より多くの吸熱作用及び放熱作用を得ることができる。
【0060】
(第5実施形態)
次に、図17〜図23を用いて本発明の第5実施形態を説明する。この実施形態は、基本的に第4実施形態と同じであるので、第4実施形態と同様な構成については同じ符号を付してその説明を省略し、以下第4実施形態とは異なる点を説明する。
【0061】
第5実施形態の熱電変換素子1が複層に重ねられた積層ユニット41は熱伝導手段を介して電気的に導通されている。この積層型の熱電変換素子1を、例えば第1工程〜第5工程を備える製造方法とともに説明する。図18に示す積層体24を作る第1工程は第2実施形態の第1工程と同じであり、説明を省略する。
【0062】
図20に示す積層ユニット41を得る第2工程では、図19(A)(B)に示すユニット要素42を作り、これらを交互に積層する。
【0063】
詳しくは、第1工程で得たスライス片25に吸熱基板4と放熱基板6とを接合してユニット要素42を作る。図19(C)(D)に示すように、長方形をなした吸熱基板4と放熱基板6の電極配設面4a、6aには、これら基板4、6より一回り小さい長方形の電極8、10が設けられている。両基板4、6はスライス片25の長手方向寸法は各熱電導体2、3が並んだ方向の長さ、言い換えれば、積層体24の積厚寸法より少し長く、電極8、10の長手方向寸法は前記積厚寸法と同じである。
【0064】
吸熱基板4と放熱基板6とは、各熱電導体2、3の並び方向と直交してスライス片25の幅方向両端部に、図示しない半田を介して個別に接合される。この接合により各熱電導体2、3と電極8、10とが電気的に接続される。こうして図19(A)(B)に示す単層構造のユニット要素42を形成する。図19(B)は、図19(A)におけるユニット要素42を矢印F11から見た側面図である。なお、ユニット要素42にはスルーホールは設けられていない。このため、ユニット要素42は第1実施形態で説明した図4に示すユニットと同じである。
【0065】
こうして得た複数枚のユニット要素42を、同じ向きでかつ互いに平行にとなるように交互に積層して、その重なり面(合い面)を図示しない半田のべた層を介して接合することによって、図20に示すような積層ユニット41を作ることができる。
【0066】
第3工程では、積層ユニット41において水平面方向に交互に並んでいるP型とN型の各熱電導体2、3を蛇行状に連続させる切込み加工とともに、この積層ユニット41を所定幅にする幅決め加工を順不同に実施する。
【0067】
切込み加工は、積層ユニット41の幅方向に延びる切欠き21を、図19(A)中点線矢印で切込み方向を示すように積層ユニット41に対しその幅方向の両側から交互に入れて、互いに隣接している熱電導体2、3の半田のべた層20による接合部の一部を残して大半を切除して行う。
【0068】
この場合、各基板4、6の前記切除部分に対向する部分も同時に切除する。それにより、残された接合部20aを介して各熱電導体2、3が蛇行状に連続される。この状態では、積層方向に隣接した蛇行状の各層は電気的に接続されていないが、蛇行状の各層をなす各熱電導体2、3は電気的に直列に接続されている。前記べた層20及び基板の部分的切除はダイシングソーを用いて実施する。幅決め加工は、図21(A)中に示す点線に沿って積層ユニット41の幅方向両端部を夫々切断することにより行う。この切断もダイシングソーを用いて実施する。
【0069】
積層方向に隣接している各ユニット要素42を電気的に直列に導通させる導通処理をする第4工程では、幅決め加工で露出された積層ユニット41の両端面の夫々において、積層方向に隣接しているP型導電素子2とN型導電素子3とにわたる大きさの側面電極(導電手段)43を夫々半田付け等により接合する。図21(B)中の二点鎖線は、接合対象位置対応して描いた側面電極43を代表して示している。側面電極43が装着された積層ユニット41を図22に示す。側面電極43の取付けにより、積層方向に隣接している蛇行層の両端が電気的に直列に接続される。
【0070】
第5工程では、第4工程を経た積層ユニット41に終端用吸熱基板35及び終端用放熱基板37を接合する。この工程は、第4実施形態で説明した製造方法の第4工程と同じである。すなわち、終端用吸熱基板35の電極配設面35aの一部は、積層ユニット41の図21(A)で左側面に開放された切欠き21に対応して図23(A)に例示するように露出されている。この露出部35cは絶縁部であり、それによって吸熱基板35に設けられている電極38が複数に分割されている。同様に、終端用放熱基板37の電極配設面37aの一部も、積層ユニット41の図21(A)で右側面に開放された切欠き21に対応して図23(B)に例示するように露出されている。この露出部37cも絶縁部であり、それによって放熱基板37に設けられている電極40も複数に分割されている。
【0071】
吸熱基板35は、最も表側に位置するユニット要素42の幅方向一端部に、このニット要素42の各熱電導体2、3の並び方向と直交した姿勢で図示しない半田を介して接合される。同様に、放熱基板37も、最も表側に位置するユニット要素42の幅方向他端部に、このユニット要素42の各熱電導体2、3の並び方向と直交した姿勢で図示しない半田を介して接合される。こうして作られた熱電変換素子1は図17に示されている。
【0072】
この第5実施形態の熱電変換素子1においても、吸熱基板4と放熱基板6とが、夫々の電極配設面を対向しないようにずらして配置されているので、第4実施形態と同様な作用を得て本発明の課題を解決できるとともに、第4実施形態の熱電変換素子1と同様に積層型であるので、より多くの吸熱作用及び放熱作用を得ることができる。
【0073】
なお、第5実施形態での製造方法では、第3工程の幅決め加工で積層ユニット41が得る所定幅と同じ大きさの熱電導体2、3を用いて、スライス片25形成し、このスライス片25の幅方向両端に吸熱基板4及び放熱基板6の側縁を個別に一致させて、吸熱基板4及び放熱基板6がはみ出さないように取付けてユニット要素41を形成することもできる。このようにする場合には、第3工程での幅決め加工は省略できる。しかし、第3工程で切断をして電極装着面を露出させることは、電極装着面に汚れがない状態で側面電極43を装着できるので、側面電極43の確実に装着させる上で望ましい。
【0074】
(第6実施形態)
次に、図24を参照して本発明の第6実施形態を説明する。第6実施形態に示す単層構造の熱電変換素子51は、中間基板を用いて吸熱基板と放熱基板との間の伝熱経路長さをより長く確保した構成であって、1以上のP型の柱状熱電導体52と、同じく1以上のN型の柱状熱電導体53と、吸熱基板54と、放熱基板56、例えば1枚の中間基板61とを備えている。
【0075】
熱電導体52、53は夫々1以上例えば偶数又は奇数使用されて、これらは図24(A)(C)に示すように所定間隔を空けて互いに平行な姿勢で交互に並べて配設される。ここで、図24(A)は本実施形態における熱電変換素子51の上面図、図24(B)はこの熱電変換素子51を矢印12から見た側面図、図24(C)は矢印F12に対して直角の方向から見た側面図である。
各熱電導体52、53はいずれも実質的に同じ大きさの角柱状に形成され、その長さや数は任意に設定可能である。熱電導体52、53の軸方向の長さは数百μmから数mmである。
【0076】
各基板54、56、61の夫々は、いずれも良熱伝導材料、例えばシリコン等の金属、又は窒化アルミ等の金属化合物、若しくはアルミナ等のセラミックスで作られている。各基板54、56、61は例えば四角形の薄板からなる。中間基板61は吸熱基板54及び放熱基板56より大きく、例えば吸熱基板54及び放熱基板56を平面的に並べた場合の大きさよりも大きい。
【0077】
各基板54、56、61の一面は電極配設面54a、56a、61aをなしている。なお、基板54、56、61が電気導体である場合には、その一面を電気絶縁層(図示しない)で覆って、この絶縁層を電極配設面54a、56a、61aとして用いている。各電極配設面54a、56a、61aの夫々には金属の電極58、60、62が、基板54、56、61に熱電導体52、53をPN接合するのに適当なパターンをなして個別に設けられている。
【0078】
吸熱基板54はその電極配設面54aを中間基板61の電極配設面61aに対向させて、中間基板61の幅方向一端側部分に配置されている。この吸熱基板54と中間基板61の幅方向一端側部分とは一部の熱電導体52、53を挟んでいて、挟まれた熱電導体52、53の軸方向両端は、吸熱基板54と中間基板61の幅方向一端側部分の電極58、62に、図示しない半田を介して接合されている。図24(A)中点線で囲まれた領域イ内で吸熱基板54と中間基板61とにPN接合された各熱電導体52、53は直列に導通されている。
【0079】
同様に、吸熱基板54と例えば同じ大きさの放熱基板56は、その電極配設面56aを中間基板61の電極配設面61aに対向させて、中間基板61の幅方向他端側部分に配置されている。この放熱基板54と中間基板61の幅方向他端側部分とは他の熱電導体52、53を挟んでいて、挟まれた熱電導体52、53の軸方向両端は、放熱基板56と中間基板61の幅方向他端側部分の電極58、62に、図示しない半田を介して接合されている。図24(A)中点線で囲まれた領域ロ内で吸熱基板54と中間基板61とにPN接合された各熱電導体52、53は直列に導通されている。そして、各領域イ、ロ内に個別に配設されている熱電導体52、53群は、中間基板61に設けられた図示しない導電パターンにより電気的に直列又は並列に接続されている。
【0080】
以上のように中間基板61の幅方向両端部に、この基板61と平行な姿勢で配置された吸熱基板54と放熱基板56とは、互いに平行で、かつ、夫々の電極配設面54a、56aが対向しないように平面的にずらされて配置されている。図24(B)のように中間基板61に対する吸熱基板54及び放熱基板56の離間距離は実質的に同じである。言い換えれば、各熱電導体52、53の軸方向に沿う吸熱基板54及び放熱基板56の中間基板61を基準とした位置は同じとなっている。
【0081】
吸熱基板54と放熱基板56とは、図24(B)において水平方向に離されていて、互いの一端面54b、56b間にギャップGを設けている。互いに平面的にずらされて隣接する基板間のギャップGはエアー断熱層として使用されている。このギャップGに空気より断熱性に優れる断熱材を必要に応じて配置して、吸熱基板54と放熱基板56との間の熱干渉を妨げるようにすることは妨げない。
【0082】
以上の構成を備えた熱電変換素子51には、吸熱基板54と熱電導体52、53との接合部で吸熱が起こり、放熱基板56と熱電導体52、53との接合部で発熱が起こるように直流が印加される。図24(B)に示すように熱電変換素子51は、吸熱基板54に冷却対象物15を熱伝導可能に接続し、放熱基板56に、ヒートシンクなどの放熱体16を熱伝導可能に接続して使用される。
【0083】
前記熱電変換素子51では、吸熱基板54の電極配設面54aに対して放熱基板56の電極配設面56aが対向しないように、吸熱基板54と放熱基板56とを例えば同一平面上でずらした配置として、放熱基板56から吸熱基板54へは中間基板61を通して熱輸送が可能に作られている。このように放熱基板56から吸熱基板54に至る伝熱経路(第6実施形態では左右2組の各熱電導体52、53群と中間基板61とで作られる。)が長いので、吸熱基板54への熱伝導を抑制可能である。
【0084】
これにより、放熱基板56とこれに接合された各熱電導体52、53との接合部で発熱に伴い吸熱基板54が昇温することが抑制される。この場合、吸熱基板54に対向している中間基板61の一端部は発熱するが、放熱基板56に対向している中間基板61の他端部は吸熱する。そして、中間基板61と各熱電導体51、52との間には異種材料間での熱抵抗があるのに比較して、このような熱抵抗は単一材料の中間基板61ではないので、中間基板61内での温度は速やかに平均化される。これにより、中間基板61の温度が、低温の吸熱基板54と高温の放熱基板56との間の中間温度となる。したがって、中間基板61を介しての放熱基板56の昇温抑制が可能である。
【0085】
しかも、既述のように電極配設面54aと電極配設面56aとが非対向であることに伴い、放熱基板54と吸熱基板56とはそれらの互いに接近した端面54b、56bで対向するが、この対向面積は電極配設面同士が重なり合うように対向する場合に比較して遥かに小さい。これにより、放熱基板56を下側に位置させるとともに吸熱基板54を上側に位置させた姿勢で熱電変換素子51を使用する場合にも、対流によって吸熱基板54が昇温することが抑制される。
【0086】
以上の理由により吸熱基板54の吸熱効率の向上が可能となり、冷却対象物15を効率よく冷却可能である。これに伴い、放熱基板56に取付けられる放熱体の配置や設計などの制約も少なくなるので、前記構成の熱電変換素子51を適用した冷却装置などの適用物の設計の自由度を高めることが可能である。
【0087】
更に、前記構成の熱電変換素子51を冷却装置に適用した例では、冷却対象物15が取付けられた吸熱基板54と放熱体16が取付けられた放熱基板56とは互いの厚み方向に重なり合うことがないので、例えば図24(B)中Aで示す寸法は、前記冷却装置で代表する適用物の厚みを増やす因子とはならない。このように前記構成の熱電変換素子51はこれを備えて吸放熱をする適用物の薄型化に貢献できる。
【0088】
(第7〜第11実施形態)
次に、本発明の第7〜第11の各実施形態を説明する。これらの実施形態は、基本的に第6実施形態と同じであるので、第6実施形態と同様な構成については同じ符号を付してその説明を省略し、以下第6実施形態とは異なる点を説明する。
【0089】
図25(A)に本発明の第7実施形態における熱電変換素子51の上面図を、図25(B)に矢印F13から見た側面図を示す。図25に示す熱電変換素子51では、放熱基板56に、四角形の中間基板61の四周に沿う四角環状をなすものを使用しており、これは中間導電基61の周部に四角環状の領域ロに収まる熱電導体52、53群を挟んで配置されている。更に、吸熱基板54には、その外周の端面54bと放熱基板56の内周の端面56bとの間にギャップGを設けて入り得る大きさの四角形のものを使用しており、これは中間基板61の中央部に領域イに収まる他の熱電導体52、53群を挟んで配置されている。以上の説明以外の構成は第6実施形態と同じである。
【0090】
なお、第7実施形態は、吸熱基板54を四角環状とするとともに、この内側に四角形状の放熱基板56を収めて実施することもできる。更に、中間基板61及び、その周部より内側に対向して配置される一方の基板は、四角形に制約されず例えば円形でもよい。これに応じて中間基板61の周部に対向して配置される他方の基板も、四角環状に制約されず、円形環状など所望の環状にできる。
【0091】
この第7実施形態の熱電変換素子51においても、吸熱基板54と放熱基板56とが、夫々の電極配設面54a、56aを対向しないようにずらして配置されているので、第6実施形態と同様な作用を得て本発明の課題を解決できる。しかも、吸熱基板54が放熱基板56で囲まれるので、吸熱基板54の低温の熱が周囲に漏れにくくすることが可能である。
【0092】
次に、図26(A)に本発明の第8実施形態における熱電変換素子51の上面図を、図26(B)にその側面図を示す。図26に示す熱電変換素子51では、四角形の中間基板61の中央部に対向してこの基板61の幅方向略全体にわたって延びる吸熱基板54を配置して、これらの間に熱電導体52、53群を挟んでいる。放熱基板56は一対使用され、これらは、中間基板61の幅方向略全体にわたって延びる長さを有していて、吸熱基板54の両側に位置して中間基板61との間に他の熱電導体52、53群を挟んで配置されている。以上の説明以外の構成は第6実施形態と同じである。
【0093】
この第8実施形態の熱電変換素子51においても、吸熱基板54と放熱基板56とが、夫々の電極配設面54a、56aを対向しないようにずらして配置されているので、第6実施形態と同様な作用を得て本発明の課題を解決できる。しかも、吸熱基板54の両側を放熱基板56で囲んでいるので、吸熱基板54の低温の熱が周囲に漏れにくくすることが可能である。
【0094】
次に、図27(A)に本発明の第9実施形態における熱電変換素子51の上面図を、図27(B)にその側面図を示す。図27に示す熱電変換素子51では、放熱基板56から吸熱基板54への伝熱経路が一対の第1中間基板65、66と、例えば1枚の第2中間基板67とを有している。各中間基板66〜67の一面からなる電極配設面61aには、夫々所定のパターンで電極62が設けられている。
【0095】
一方の第1中間基板65は、その幅方向一端部を吸熱基板54に対向させて配置され、これら両基板54、65間には熱電導体52、53群がPN接合して挟まれている。他方の第1中間基板66は、その幅方向一端部を放熱基板56に対向させて配置され、これら両基板56、66間には他の熱電導体52、53群がPN接合して挟まれている。
【0096】
第2中間基板67は、吸熱基板54と放熱基板56との間に配設されていて、第1中間基板65、66の各他端部に対向している。中間基板65、67間に他の熱電導体52、53群がPN接合して挟まれているとともに、中間基板66、67間に他の熱電導体52、53群がPN接合して挟まれている。なお、図27(A)中符号ハ及びニは中間基板65、67間及び中間基板66、67間に挟まれる熱電導体52、53群が配設された領域を示している。
【0097】
領域イ〜ニの各熱電導体52、53群は、中間基板65〜67の導体パターン(図示しない)を介して電気的に直列に接続することもできるが、図27(B)に示すように第8実施形態では、一方の第1中間基板65上で互いに直列に導通している各熱電導体52、53群と、他方の第1中間基板66上で互いに直列に導通している各熱電導体52、53群とを、電気的に並列に接続している。なお、図27(B)中符号68は各熱電導体52、53群に直流を印加する直流電源を示している。
【0098】
このように吸熱基板54側と放熱基板56側とを並列にして直流を印加する構成は、投入電力は増えるが、通電に対する電気的抵抗が減るので、吸熱基板54での吸熱特性をより高めることができる点で好ましい。以上の説明以外の構成は第6実施形態と同じである。
【0099】
この第9実施形態の熱電変換素子51においても、吸熱基板54と放熱基板56とが、夫々の電極配設面54a、56aを対向しないようにずらして配置されているので、第6実施形態と同様な作用を得て本発明の課題を解決できる。しかも、3枚以上の中間基板65〜66を用いたことで、放熱基板56から吸熱基板54への伝熱経路をより長く確保できる。加えて、放熱基板56と吸熱基板54との間に少なくとも1枚の中間基板66が配置されて放熱基板56と吸熱基板54とが遠ざかる。したがって、吸熱基板54での吸熱性能をより向上することが可能である。
【0100】
図28に示す本発明の第10実施形態の熱電変換素子51では、中間基板61に対する吸熱基板54と放熱基板56との熱電導体52、53の軸方向に沿う位置を夫々異ならせている。図示の例では、吸熱基板54の方をより遠く中間基板61の電極配設面61aから離しているが、これは逆であってもよい。以上の説明以外の構成は第6実施形態と同じである。
【0101】
この第10実施形態の熱電変換素子51においても、吸熱基板54と放熱基板56とが、夫々の電極配設面54a、56aを対向しないようにずらして配置されているので、第6実施形態と同様な作用を得て本発明の課題を解決できる。しかも、第10実施形態では吸熱基板54と放熱基板56の中間基板61に対する離間位置が異なるので、その位置差が明らかな場合には、両基板54、56の位置の識別をし易くすることが可能となる等の点で優れている。
【0102】
【発明の効果】
本発明の熱電変換素子によれば、放熱基板から吸熱基板に至る熱伝導が抑制されて吸熱効率の向上が可能であり、対流が吸熱性能に影響する場合にも、放熱基板と吸熱基板との対向面積が小さく前記影響が小さいので、吸熱効率の向上が可能となる。更に、吸熱基板と放熱基板とは、互いの厚み方向に重なり合わないので、本発明の熱電変換素子を冷却装置等に適用する場合、適用物の薄型化に適する。
【0103】
又、本発明の熱電変換素子の製造方法は、吸熱効率の向上を可能とするともに、適用物の薄型化に適する熱電変換素子を作るのに適する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の第1実施形態の熱電変換素子を示す平面図。(B)は図1(A)中矢印F1方向から熱電変換素子を示す矢視図。
【図2】(A)は本発明の第2実施形態の熱電変換素子を示す平面図。(B)は図2(A)中矢印F2方向から熱電変換素子を示す矢視図。(C)は図2(A)中矢印F3−F3線に沿って示す熱電変換素子の断面図。
【図3】図2の熱電変換素子の製造時に作られる積層体を例示する斜視図。
【図4】(A)は図2の熱電変換素子の製造時に作られるユニットを例示する平面図。(B)は図4(A)中矢印F4方向からユニットを示す矢視図。(C)は図4(A)のユニットに使用される吸熱基板を示す平面図。(D)は図4(A)のユニットに使用される放熱基板を示す平面図。
【図5】(A)は図4(A)のユニットに切欠きが入れられた状態を例示する平面図。(B)は図5(A)中矢印F5−F5線に沿って示すユニットの断面図。
【図6】(A)は切欠きが入れられた図5(A)のユニットに取付けられる他の吸熱基板を示す平面図。(B)は切欠きが入れられた図5(A)のユニットに取付けられる他の放熱基板を示す平面図。
【図7】(A)は本発明の第3実施形態の熱電変換素子を示す平面図。(B)は図7(A)中矢印F6方向から熱電変換素子を示す矢視図。(C)は図7(A)中矢印F7−F7線に沿って示す熱電変換素子の断面図。
【図8】図7の熱電変換素子の製造時に作られる積層体を例示する斜視図。
【図9】(A)は図7の熱電変換素子の製造時に作られるユニットを例示する平面図。(B)は図9(A)中矢印F8方向からユニットを示す矢視図。(C)は図9(A)のユニットに使用される吸熱基板を示す平面図。(D)は図9(A)のユニットに使用される放熱基板を示す平面図。
【図10】(A)は本発明の第4実施形態の熱電変換素子を示す平面図。(B)は図10(A)の熱電変換素子を示す右側面図。
【図11】図10の熱電変換素子の製造時に作られる積層体を例示する斜視図。
【図12】図10の熱電変換素子の製造時に作られる積層ユニットを示す側面図。
【図13】(A)は図10の熱電変換素子の製造時に作られる第1ユニットを例示する平面図。(B)は図13(A)中矢印F9方向から第1ユニットを示す矢視図。(C)は図13(A)の第1ユニットに使用される吸熱基板を示す平面図。(D)は図13(A)の第1ユニットに使用される放熱基板を示す平面図。
【図14】(A)は図10の熱電変換素子の製造時に作られる第2ユニットを例示する平面図。(B)は図14(A)中矢印F10方向から第2ユニットを示す矢視図。(C)は図14(A)の第2ユニットに使用される吸熱基板を示す平面図。(D)は図14(A)の第2ユニットに使用される放熱基板を示す平面図。
【図15】(A)は図10の熱電変換素子の製造時に作られる切欠き入りの積層ユニットを例示する平面図。(B)は同積層ユニットを示す左側面図。
【図16】(A)は図10の熱電変換素子の熱入出端に設けられる終端の吸熱基板を示す平面図。(B)は図10の熱電変換素子の熱入出端に設けられる終端の放熱基板を示す平面図。
【図17】(A)は本発明の第5実施形態の熱電変換素子を示す平面図。(B)は図17(A)の熱電変換素子を示す左側面図。
【図18】図17の熱電変換素子の製造時に作られる積層体を例示する斜視図。
【図19】(A)は図17の熱電変換素子の製造時に作られるユニットを例示する平面図。(B)は図19(A)中矢印F11方向からユニットを示す矢視図。(C)は図19(A)のユニットに使用される吸熱基板を示す平面図。(D)は図19(A)のユニットに使用される放熱基板を示す平面図。
【図20】図17の熱電変換素子の製造時に作られる積層ユニットを例示する側面図。
【図21】(A)は図20の積層ユニットに切欠きが入れられた状態を例示する平面図。(B)は図20(A)の積層ユニットを示す左側面図。(C)は図20(A)の積層ユニットを示す右側面図。
【図22】図21の積層ユニットに側面電極が装着された状態を示す側面図。
【図23】(A)は図17の熱電変換素子に使用される終端の吸熱基板を示す平面図。(B)は図17の熱電変換素子に使用される終端の放熱基板を示す平面図。
【図24】(A)は本発明の第6実施形態の熱電変換素子を例示する平面図。(B)は図24(A)中矢印F12方向から熱電変換素子を示す矢視図。(C)は図24(A)の熱電変換素子を示す側面図。
【図25】(A)は本発明の第7実施形態の熱電変換素子を例示する平面図。(B)は図25(A)中矢印F13方向から熱電変換素子を示す矢視図。
【図26】(A)は本発明の第8実施形態の熱電変換素子を例示する平面図。(B)は図26(A)の熱電変換素子を示す側面図。
【図27】(A)は本発明の第9実施形態の熱電変換素子を例示する平面図。(B)は図27(A)中矢印F14方向から熱電変換素子を示す矢視図。
【図28】本発明の第10実施形態の熱電変換素子を例示する平面図。
【符号の説明】
1、51…熱電変換素子
2、52…P型熱電導体
3、53…N型熱電導体
4…第1吸熱基板
5…第2吸熱基板
6…第1放熱基板
7…第2放熱基板
4a〜7a…電極配設面
4b〜7b…端面
8〜11…電極
15…冷却対象物
16…放熱体
20…べた層
20a…接合部
21…切欠き
22…P型熱電導体基板
23…N型熱電導体基板
24…積層体
25…スライス片
26、28…ユニット
30…積層ユニット
32…第1ユニット要素
33…第2ユニット要素
34…スルーホール(導電手段)
35…吸熱基板
36…放熱基板
35a、36a…電極配設面
38、40…電極
54…吸熱基板
56…放熱基板
54a、56a…電極配設面
54b、56b…端面
58、60…電極
61…中間基板
61a…電極配設面
65、66、67…中間基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼーベック効果による温度差発電(熱発電)、及びペルチェ効果による冷却と発熱とが可能な熱電変換素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に熱電変換素子は、その出力を大きくするために、複数のPN接合対が直列に接続されたモジュールとして用いられる。このモジュールは、電極を有した面を互いに対向させて配置される第1及び第2の基板と、これら2枚の基板に電極を介してPN接合されて基板間に挟まれた複数のP型及びN型の熱電導体とを備え、複数のPN接合対を電極構造により直列に接続している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−220183号公報(段落0014、0016、0020、図1−図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
各熱電導体はP型半導体及びN型半導体等で作られ、それらの大きさは、通常数百μmから数mmである。それにより、各熱電導体を挟んで互いに重なり合うように配置されている2枚の基板は、極めて接近している。この条件下で、一方の基板は放熱基板として機能し、他方の基板は吸熱基板として機能する。
【0005】
このため、特許文献1に記載の熱電変換素子の構成では、放熱基板の熱が各熱電導体を通して吸熱基板に伝導され易く、吸熱効率を高くするには適していない。特に、放熱基板を吸熱基板の下方に位置させた姿勢で使用する場合には、両基板の対向面積が大きいので、放熱基板からの放熱を原因とする熱対流で吸熱基板が容易に加熱されて、吸熱効率をより損ない易くなる。
【0006】
更に、特許文献1に記載の熱電変換素子を例えば冷却装置に適用する場合、放熱基板にヒートシンクやヒートパイプ等の放熱体が取付けられ、吸熱基板に冷却対象物が取付けられる。これにより冷却装置の厚みは、熱電変換素子、放熱体、及び冷却対象物の各厚みが加算されたものとなる。このため、特許文献1に記載の熱電変換素子は、これを適用する冷却装置等の適用物の薄型化を妨げ易い。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、吸熱効率の向上を可能とするとともに、適用物の薄型化に適する熱電変換素子、及びこの素子を作るのに適する製造方法を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、電極が設けられた電極配設面を有してP型及びN型の熱電導体がPN接合される複数の基板の内で、吸熱に用いられる吸熱基板と放熱に用いられる放熱基板とを、これら基板の電極配設面が対向しないように互いにずらして配置したものである。
【0009】
本発明で、吸熱基板と放熱基板とを、夫々の電極配設面が対向しないように互いにずらして配置するとは、吸熱基板と放熱基板とが互いに重なり合わないような配置、即ち、吸熱基板及び放熱基板の一方の投影領域に他方が存在しない配置を意味する。この配置には、吸熱基板と放熱基板とが互いに平行で平面的に並んでいる配置、吸熱基板と放熱基板とが互いに非平行である配置等が含まれる。前記平面的に並ぶとは、展開されるように同一平面上で並設される場合と、非平面上で、つまり、吸熱基板と放熱基板との厚み方向の位置がずれていて展開されるように並設される場合とがある。前記非平行である配置には、吸熱基板と放熱基板とが互いに逆向きに傾斜されていて実質的には平面的に並んでいる配置等が含まれる。本発明で、複数の基板とは、P型とN型の熱電導体がPN接合される基板を意味するが、これらの基板中には吸熱或いは放熱以外の主目的として用いられる中間基板を含んでいてもよい。本発明で、P型及びN型の熱電導体には例えば熱電半導体を好適に使用でき、この熱電半導体としては、Bi−Te系材料、Fe−Si系材料、Si−Ge系材料Co−Sb系材料などを挙げることができる。
【0010】
本発明においては、吸熱基板と放熱基板とが互いの電極配設面を対向させないようにずらされているので、放熱基板から吸熱基板に至る伝熱経路が長くなり、吸熱基板への熱伝導を抑制可能である。しかも、電極配設面が非対向であることに伴い、放熱基板と吸熱基板とはそれらの端面で対向するが、その対向面積は小さいので、対流が吸熱性能に影響する場合にも、その熱的影響を小さく抑制可能である。更に、前記配置の吸熱基板と放熱基板とは、互いの厚み方向に重なり合うようなことがないので、本発明の熱電変換素子を冷却装置等に適用する場合、熱電変換素子、及びその放熱基板に取付けられる放熱体、並びに吸熱基板に取付けられる冷却対象物の夫々の厚みの全てが、冷却装置の厚みに直接反映されることがなくなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、図1を参照して本発明の第1実施形態を説明する。図1(A)に示す第1実施形態における熱電変換素子1は、単層構造であって、1以上のP型の熱電導体2と、同じく1以上のN型の熱電導体3と、第1及び第2の吸熱基板4及び5と、同じく第1及び第2の放熱基板6、7とを備えている。
【0012】
熱電導体2、3は夫々1以上例えば偶数又は奇数使用されて、これらは図1(A)に示すように所定間隔を空けて互いに平行な姿勢で交互に並べて配設される。これら熱電導体2及び3の長さや数は任意に設定可能である。各熱電導体2、3はいずれも実質的に同じ大きさの角柱状に形成されている。
【0013】
各基板4〜7の夫々は、いずれも良熱伝導材料、例えばシリコン等の金属、又は窒化アルミ等の金属化合物、若しくはアルミナ等のセラミックスで作られている。各基板4〜7は四角形の薄板からなり、その一面は電極配設面4a〜7aをなしている。なお、基板4〜7が電気導体である場合には、その一面を電気絶縁層(図示しない)で覆って、この絶縁層を電極配設面4a〜7aとして用いている。図1(B)は、図1(A)における熱電変換素子1を図中矢印Fから見たものである。
【0014】
図1(B)に示すように各電極配設面4a〜7aの夫々には金属の電極8〜11が個別に設けられている。各電極8〜11は、基板4〜7に熱電導体2、3をPN接合するのに適当なパターンを形成している。
【0015】
第1、第2の吸熱基板4、5は、各熱電導体2、3の並び方向に延びて配置され、各熱電導体2、3の長手方向(軸方向)一端部をこれら熱電導体2、3の厚み方向に挟んでいる。両吸熱基板4、5の電極8、9は、図示しない半田を介して各熱電導体2、3の長手方向一端部に接合されている。
【0016】
同様に、第1、第2の放熱基板6、7は、各熱電導体2、3の並び方向に延びて配置され、各熱電導体2、3の長手方向他端部をこれら熱電導体2、3の厚み方向に挟んでいる。両放熱基板6、7の電極10、11は、図示しない半田を介して各熱電導体2、3の長手方向一端部に接合されている。これらの接合により各熱電導体2、3は直列に導通されている。
【0017】
各熱電導体2、3の長手方向両端部に、これら熱電導体2、3の一面と平行な姿勢で配置された第1吸熱基板4と第1放熱基板6とは、各熱電導体2、3の長手方向よりはみ出しているとともに、図1(B)において水平方向に離されていて各熱電導体2、3の長手方向中間部を露出させている。同様に、各熱電導体2、3の長手方向両端部に、これら熱電導体2、3の他の面(前記一面と平行な面)と平行な姿勢で配置された第2吸熱基板5と第2放熱基板7も、図1(B)において水平方向に離されていて各熱電導体2、3の長手方向中間部を露出させている。
【0018】
したがって、各熱電導体2、3の長手方向に対応する第1吸熱基板4と第1放熱基板6とは、互いに平行で、かつ、夫々の電極配設面4a、6aが対向しないように平面的にずらされて配置されている。同様に、各熱電導体2、3の長手方向に対応する第2吸熱基板5と第2放熱基板7も、互いに平行で、かつ、夫々の電極配設面5a、7aが対向しないように平面的にずらされて配置されている。しかも、これらの基板4〜7を基準としてみた場合、各熱電導体2、3はその両端部を対応する各電極8〜11に個別に接合して、第1、第2の吸熱基板4、5と第1、第2の放熱基板6、7とにわたって配置されている。
【0019】
以上の構成を備えた熱電変換素子1には、吸熱基板4、5と熱電導体2、3との接合部で吸熱が起こり、放熱基板6、7と熱電導体2、3との接合部で発熱が起こるように直流が印加される。図1(B)に示すように熱電変換素子1は、その両吸熱基板4、5の内の少なくとも一方例えば第1吸熱基板4に冷却対象物15を熱伝導可能に接続し、両放熱基板6、7の内の少なくとも一方例えば前記第1吸熱基板4に対向する第1放熱基板6に、ヒートシンクなどの放熱体16を熱伝導可能に接続して使用される。
【0020】
前記熱電変換素子1では、吸熱基板4、5の電極配設面4a、5aに対して放熱基板6、7の電極配設面6a、7aが対向しないように、吸熱基板4、5と放熱基板6、7とを例えば同一平面上でずらした配置としている。このため、放熱基板6、7から吸熱基板4、5に至る伝熱経路(第1実施形態では各熱電導体2、3で作られる。)が長くなり、吸熱基板4、5への熱伝導を抑制可能である。これにより、放熱基板6、7と各熱電導体2、3との接合部での発熱に伴い吸熱基板4、5が昇温することが抑制される。
【0021】
しかも、既述のように電極配設面4a、5aと電極配設面6a、7aとが非対向であることに伴い、第1放熱基板4と第1吸熱基板6とはそれらの互いに接近した端面4b、6bで対向し、第2放熱基板5と第2吸熱基板7とはそれらの互いに接近した端面5b、7bで対向する。これらの対向面積は、電極配設面同士が重なり合うように対向する場合に比較して遥かに小さい。これにより、放熱基板6、7を下側に位置させるとともに吸熱基板4、5を上側に位置させた姿勢で熱電変換素子1を使用する場合にも、対流によって吸熱基板4、5が昇温することが抑制される。
【0022】
以上の理由により吸熱基板4、5の吸熱効率の向上が可能となり、冷却対象物15を効率よく冷却可能である。これに伴い、放熱基板6等に取付けられる放熱体16の配置や設計などの制約も少なくなるので、前記構成の熱電変換素子1を適用した冷却装置などの適用物の設計の自由度を高めることが可能である。
【0023】
しかも、前記構成の熱電変換素子1では、各基板4〜7が各熱電導体2、3の軸方向の端面を接合するのではなく、長手方向に延びる側面に接合されている。このため、PN接合の面積を多く確保できる点でも吸放熱性能の向上及び接合強度の向上が可能である。
【0024】
更に、前記構成の熱電変換素子1を冷却装置に適用した例では、冷却対象物15が取付けられた第1吸熱基板4と放熱体16が取付けられた放熱基板6とは互いの厚み方向に重なり合うことがないので、例えば図1(B)中Aで示す寸法は、前記冷却装置で代表する適用物の厚みを増やす因子とはならない。このように前記構成の熱電変換素子1はこれを備えて吸放熱をする適用物の薄型化に貢献できる。
【0025】
なお、第1実施形態において、第1吸熱基板4及びこれに対応する放熱基板6、又は、第2吸熱基板5及びこれに対応する放熱基板7の内の、いずれか一方は省略できる。しかし、これら双方を備える場合、冷却対象物15又は放熱体16が取付けられない方の吸熱基板及び放熱基板については、それらを延長して熱電変換素子1の取付け板として用いることが可能である。
【0026】
(第2実施形態)
次に、図2〜図6を用いて本発明の第2実施形態を説明する。この実施形態は、基本的に第1実施形態と同じであるので、第1実施形態と同様な構成については同じ符号を付してその説明を省略し、以下第1実施形態とは異なる点を説明する。
【0027】
第2実施形態では、互いに平行なP型熱電導体2の端部とN型熱電導体3の端部とが、吸熱基板4、5にPN接合される部分及び放熱基板6、7にPN接合される部分で、図2(C)に代表して示すように接合部20aを介して接合されている。これとともに、前記端部を除いたP型熱電導体2とN型熱電導体3の大部分は、隣接した熱電導体2、3間にそれらの長手方向に沿って延びる切欠き21より互いに離されている。この第2実施形態の熱電導体2、3は第1実施形態のものより短い。
【0028】
以上説明した以外の構成は第1実施形態の単層構造の熱電変換素子1と同じである。したがって、第2実施形態の熱電変換素子1においても、吸熱基板4及び5と放熱基板6及び7とが、夫々の電極配設面を対向しないようにずらして配置されているので、第1実施形態と同様な作用効果を得て本発明の課題を解決できる。
【0029】
第2実施形態の熱電変換素子1は、以下説明する第1〜第4の工程を経て製造可能である。
【0030】
第1工程では、まず、図3に示す積層体24を作り、次にこの積層体24から所定厚みtのスライス片25を作る。積層体24は、予め用意された必要枚数のP型熱電導体基板22とN型熱電導体基板23とを交互に積層して、互いの合い面を半田のべた層20により接合して作られる。各熱電導体基板22、23は、いずれも所定厚みを有する板状のものであり、例えば正方形の平板状をなしている。
【0031】
スライス片25は、各べた層20及び各熱電導体基板22、23と直角に交差する方向に沿って、各積層体24を図3中点線で示す位置でスライスして作られる。積層体24のスライスはダイシングソーを用いて実施する。このスライス片25は交互に並べられた互いに平行なP型熱電導体2とN型熱電導体3とを有している。
【0032】
第2工程では、スライス片25に第1吸熱基板4と第1放熱基板6とを接合してユニット26を作る。図4(C)(D)に示すように、長方形をなした第1吸熱基板4と第1放熱基板6の電極配設面4a、6aには、これら基板4、6より一回り小さい長方形の電極8、10が設けられている。両基板4、6はスライス片25の長手方向寸法は各熱電導体2、3が並んだ方向の長さ、言い換えれば、積層体24の積厚寸法より少し長く、電極8、10の長手方向寸法は前記積厚寸法と同じである。
【0033】
第1吸熱基板4は、スライス片25の幅方向一端部、言い換えれば、各熱電導体2、3が延びる方向の一端部に、各熱電導体2、3の並び方向と直交して図示しない半田を介して接合される。同様に、第1吸熱基板6は、スライス片25の幅方向他端部、言い換えれば、各熱電導体2、3が延びる方向の他端部に、各熱電導体2、3の並び方向と直交して図示しない半田を介して接合される。以上の接合により各熱電導体2、3と電極8、10とが電気的に接続される。こうして図4(A)(B)に示す一層構造のユニット26を形成する。
【0034】
図4(A)はユニット26の上面図、図4(B)はこのユニット26を矢印F4から見たものである。
【0035】
次に、第3工程では、交互に並んでいるP型とN型の各熱電導体2、3を蛇行状に連続させて、これらを電気的に直列につなげる加工を実施する。この加工は、図5(A)に示すようにユニット26の幅方向に延びる切欠き21を、図4(A)中点線矢印で切込み方向を示すようにユニット26に対しその幅方向の両側から交互に入れて、互いに隣接している熱電導体2、3の半田のべた層20による接合部の一部を残し大半を切除して行う。それにより、残された接合部20aを介して各熱電導体2、3が蛇行状に連続される。前記べた層20の部分的切除はダイシングソーを用いて実施する。
【0036】
この場合、切除が開始される側に位置する基板の電極配設面はそこの電極とともに削り取られる。これを、第1吸熱基板4の電極配設面4aが電極8とともに削り取られた状態で、図5(B)で代表して示す。図5(B)は図5(A)におけるユニット26をF5−F5で切断した断面図である。切欠き21を間に置いて隣接する異種の熱電導体2、3同士は、第1吸熱基板4の電極8又は第1放熱基板6の電極10で電気的に短絡することはない。
【0037】
第4工程では、切欠き21が入れられたユニット26に第2吸熱基板5と第2放熱基板7とを接合する。第2吸熱基板5の電極配設面5aの一部は、前記図6(A)に例示するようにユニット26の切欠き21に対応して露出されている。この露出部5cは絶縁部であり、それによって電極9が複数に分割されている。同様に、第2吸熱基板7の電極配設面7aの一部も、図6(B)に例示するようにユニット26の切欠き21に対応して露出されている。この露出部7cも絶縁部であり、それによって電極11が複数に分割されている。
【0038】
第2吸熱基板5は、第1吸熱基板4が半田付けされているユニット26の幅方向一端部に、この一端部を第1吸熱基板4との間に挟んで、各熱電導体2、3の並び方向と直交した姿勢で図示しない半田を介して接合される。同様に、第2吸熱基板7も、第1吸熱基板6が半田付けされているユニット26の幅方向他端部に、この他端部を第1吸熱基板6との間に挟んで、各熱電導体2、3の並び方向と直交した姿勢で図示しない半田を介して接合される。こうして作られた熱電変換素子1は図2に示されている。
【0039】
この熱電変換素子1の製造方法では、所定形状に予め形成されたばらばらな複数の熱電導体を、所定間隔に並べて位置決め保持した状態で第1の吸熱基板4及び放熱基板6を半田付けする面倒がない。しかも、積層体24を得る際、素材形状が大きいので取扱いが容易である。これにより、スライス片25を得る切断加工、及び隣接した熱電導体2、3を直列に接続するための切欠き21をユニット26に設ける切除加工を、ダイシングソーやレーザーなどを用いて容易にできる。したがって、前記製造方法では熱電変換素子1の生産性に優れるという利点がある。
【0040】
(第3実施形態)
次に、図7〜図9を用いて本発明の第3実施形態を説明する。この実施形態は、基本的に第2実施形態と同じであるので、第2実施形態と同様な構成については同じ符号を付してその説明を省略し、以下第2実施形態とは異なる点を説明する。
【0041】
第3実施形態の熱電変換素子1は第2実施形態のものと実質的に同じであり、図7(A)に例示するように隣接した熱電導体2、3を直列に接続するための切欠き21が、吸熱基板4、5及び放熱基板6、7の夫々にも及んでいて、このために熱電変換素子1自体が蛇行状を呈しているという点で、第2実施形態とは異なっている。したがって、この第3実施形態の熱電変換素子1においても、吸熱基板4及び5と放熱基板6及び7とが、夫々の電極配設面を対向しないようにずらして配置されているので、第2実施形態と同様な作用効果を得て本発明の課題を解決できる。
【0042】
この熱電換素子1の製造方法は、第2実施形態の第1〜第3の工程を経て製造可能である。図8に示す積層体24を作る第1工程は第2実施形態で説明した第1工程と同じであり、説明を省略する。
【0043】
第2工程では、第1工程で得たスライス片25に第1、2の吸熱基板4、5と第1、第2の放熱基板6、7とを夫々接合してユニット28を作る。図9(C)(D)に示すように、長方形をなした第1、2の吸熱基板4、5と第1、第2の放熱基板6、7の電極配設面4a〜7aには、これら基板4〜7より一回り小さい長方形の電極8〜11が設けられている。各基板4〜7の長手方向寸法はスライス片25の各熱電導体2、3が並んだ方向の長さ、言い換えれば、積層体24の積厚寸法より少し長く、各電極8〜11の長手方向寸法は前記積厚寸法と同じである。
【0044】
第1、第2の吸熱基板4、5は、スライス片25の幅方向一端部、言い換えれば、各熱電導体2、3が延びる方向の一端部に、この一端部を挟んで各熱電導体2、3の並び方向と直交して図示しない半田を介して接合される。同様に、第1、第2の放熱基板6、7は、スライス片25の幅方向他端部、言い換えれば、各熱電導体2、3が延びる方向の他端部に、この他端部を挟んで各熱電導体2、3の並び方向と直交して図示しない半田を介して接合される。以上の接合により各熱電導体2、3と電極8、10とが電気的に接続される。こうして図9(A)(B)に示す一層構造のユニット28を形成する。
【0045】
第3工程では、交互に並んでいるP型とN型の各熱電導体2、3を蛇行状に連続させる加工を実施する。この加工は、図7(A)に示すユニット28の幅方向に延びる切欠き21を、図9(A)中点線矢印で切込み方向を示すようにユニット28に対しその幅方向の両側から交互に入れて、互いに隣接している熱電導体2、3の半田のべた層20による接合部の一部を残して大半を切除するとともに、各基板の前記切除部分に対向する部分も同時に切除して行う。それにより、図7(C)で代表する残された接合部20aを介して各熱電導体2、3が、蛇行状に連続された形態で電気的に直列につなげられる。こうして全体が蛇行状に作られた熱電変換素子1は図7(A)に示されている。
【0046】
ここで図7(B)は図7(A)におけるユニット28を矢印F6から見た図であり、図7(C)はユニット28をF7−F7で切断した断面図である。
【0047】
この熱電変換素子1の製造方法では、スライス片25の両面に対して夫々第1、第2吸熱基板4、5と放熱基板6、7とを半田で接合するので、この接合を同時に行なうことが可能となる。このため、第2実施形態に比較して工程数が削減されて、より生産性に優れるという利点がある。
【0048】
(第4実施形態)
次に、図10〜図16を用いて本発明の第4実施形態を説明する。この実施形態は、基本的に第3実施形態と同じであるので、第3実施形態と同様な構成については同じ符号を付してその説明を省略し、以下第3実施形態とは異なる点を説明する。図10(A)は第4実施形態における熱電変換素子であり、図10(B)はこれを側面から見た図である。
【0049】
第4実施形態の熱電変換素子1は積層構造をなしており、複層に重ねられた積層ユニット30は熱伝導手段を介して電気的に導通されている。この積層型の熱電変換素子1を、第1工程〜第4工程を備える製造方法とともに説明する。図11に示す積層体24を作る第1工程は第2実施形態で説明した第1工程と同じであり、説明を省略する。
【0050】
図12に示す積層ユニット30を得る第2工程では、図13(A)(B)に示す第1ユニット要素32と、図14(A)(B)に示す第2ユニット要素33とを作り、これらを交互に積層する。
【0051】
詳しくは、第1工程で得たスライス片25に吸熱基板4と放熱基板6とを接合して第1ユニット要素32を作る。図13(C)(D)に示すように、長方形をなした吸熱基板4と放熱基板6の電極配設面4a、6aには、これら基板4、6より一回り小さい長方形の電極8、10が設けられている。両基板4、6はスライス片25の長手方向寸法は各熱電導体2、3が並んだ方向の長さ、言い換えれば積層体24の積厚寸法より少し長く、電極8、10の長手方向寸法は前記積厚寸法と同じである。吸熱基板4の長手方向一端部には導電手段として例えばスルーホール34が設けられていて、これは電極8に電気的に接続されている。
【0052】
吸熱基板4と放熱基板6とは、各熱電導体2、3の並び方向と直交してスライス片25の幅方向両端部に、図示しない半田を介して個別に接合される。この接合により各熱電導体2、3と電極8、10とが電気的に接続される。こうして図13(A)(B)に示す単層構造の第1ユニット要素32を形成する。
【0053】
同様に、第1工程で得た他のスライス片25に吸熱基板4と放熱基板6とを接合して図14(A)に示す第2ユニット要素33を作る。この要素33場合の作り方は、第1ユニット要素32と同様である。しかし、この場合に使用する吸熱基板4には、導電手段としてのスルーホール34の位置が、第1ユニット要素32のスルーホール34とは反対側の端部に位置するように作られた吸熱基板4を使用する。この第2ユニット要素33用の吸熱基板は図14(C)に示される。このため、以上のように形成された第1、第2のユニット要素32、33は、それらのスルーホール34の位置を除いては同じ構成である。
【0054】
こうして得た各1枚以上のユニット要素32、33を、同じ向きでかつ互いに平行にとなるように交互に積層して、その重なり面(合い面)を図示しない半田のべた層を介して接合することによって、図12に示す積層ユニット30を作ることができる。この積層に伴う半田付けにより、積層方向に隣接した第1、第2のユニット要素32、33同士が、それらの放熱基板4の長手方向両端部において夫々電気的に導通される。
【0055】
第3工程では、積層ユニット30において水平面方向に交互に並んでいるP型とN型の各熱電導体2、3を、蛇行状に連続させて電気的に直列につなげる加工を実施する。この加工は、図15(A)に示す積層ユニット30の幅方向に延びる切欠き21を、図13(A)及び図14(A)中点線矢印で切込み方向を示すように積層ユニット30に対しその幅方向の両側から交互に入れて、互いに隣接している熱電導体2、3の半田のべた層20による接合部の一部を残して大半を切除して行う。
【0056】
この場合、各基板4、6の前記切除部分に対向する部分も同時に切除する。それにより、残された接合部20aを介して各熱電導体2、3が、蛇行状に連続されて直列につながる。同時に、この直列の蛇行層の積層方向に隣接するもの同士が、スルーホール34を介して電気的に直列に接続される。前記べた層20及び基板4、6の部分的切除はダイシングソーを用いて実施する。図15(A)(B)に切欠き21が入れられた積層ユニット30を示す。
【0057】
第4工程では、切欠き21が入れられた積層ユニット30に終端用吸熱基板35と同じく終端用放熱基板37とを接合する。終端用吸熱基板35の電極配設面35aの一部は、積層ユニット30の図15(A)で左側面に開放された切欠き21に対応して図16(A)に例示するように露出されている。この露出部35cは絶縁部であり、それによって吸熱基板35に設けられている電極38が複数に分割されている。同様に、終端用放熱基板37の電極配設面37aの一部も、積層ユニット30の図15(A)で右側面に開放された切欠き21に対応して16(B)に例示するように露出されている。この露出部37cも絶縁部であり、それによって放熱基板37に設けられている電極40も複数に分割されている。
【0058】
吸熱基板35は、最も表側に位置する第1ユニット要素32の幅方向一端部に、この第1ユニット要素32の各熱電導体2、3の並び方向と直交した姿勢で図示しない半田を介して接合される。同様に、放熱基板37も、最も表側に位置する第1ユニット要素32の幅方向他端部に、この第1ユニット要素32の各熱電導体2、3の並び方向と直交した姿勢で図示しない半田を介して接合される。こうして作られた熱電変換素子1は図10に示されている。
【0059】
この第4実施形態の熱電変換素子1においても、吸熱基板4及び35と放熱基板6及び37とが、夫々の電極配設面を対向しないようにずらして配置されているので、第3実施形態と同様な作用を得て本発明の課題を解決できる。更に、第4実施形態の熱電変換素子1は積層型であるので、より多くの吸熱作用及び放熱作用を得ることができる。
【0060】
(第5実施形態)
次に、図17〜図23を用いて本発明の第5実施形態を説明する。この実施形態は、基本的に第4実施形態と同じであるので、第4実施形態と同様な構成については同じ符号を付してその説明を省略し、以下第4実施形態とは異なる点を説明する。
【0061】
第5実施形態の熱電変換素子1が複層に重ねられた積層ユニット41は熱伝導手段を介して電気的に導通されている。この積層型の熱電変換素子1を、例えば第1工程〜第5工程を備える製造方法とともに説明する。図18に示す積層体24を作る第1工程は第2実施形態の第1工程と同じであり、説明を省略する。
【0062】
図20に示す積層ユニット41を得る第2工程では、図19(A)(B)に示すユニット要素42を作り、これらを交互に積層する。
【0063】
詳しくは、第1工程で得たスライス片25に吸熱基板4と放熱基板6とを接合してユニット要素42を作る。図19(C)(D)に示すように、長方形をなした吸熱基板4と放熱基板6の電極配設面4a、6aには、これら基板4、6より一回り小さい長方形の電極8、10が設けられている。両基板4、6はスライス片25の長手方向寸法は各熱電導体2、3が並んだ方向の長さ、言い換えれば、積層体24の積厚寸法より少し長く、電極8、10の長手方向寸法は前記積厚寸法と同じである。
【0064】
吸熱基板4と放熱基板6とは、各熱電導体2、3の並び方向と直交してスライス片25の幅方向両端部に、図示しない半田を介して個別に接合される。この接合により各熱電導体2、3と電極8、10とが電気的に接続される。こうして図19(A)(B)に示す単層構造のユニット要素42を形成する。図19(B)は、図19(A)におけるユニット要素42を矢印F11から見た側面図である。なお、ユニット要素42にはスルーホールは設けられていない。このため、ユニット要素42は第1実施形態で説明した図4に示すユニットと同じである。
【0065】
こうして得た複数枚のユニット要素42を、同じ向きでかつ互いに平行にとなるように交互に積層して、その重なり面(合い面)を図示しない半田のべた層を介して接合することによって、図20に示すような積層ユニット41を作ることができる。
【0066】
第3工程では、積層ユニット41において水平面方向に交互に並んでいるP型とN型の各熱電導体2、3を蛇行状に連続させる切込み加工とともに、この積層ユニット41を所定幅にする幅決め加工を順不同に実施する。
【0067】
切込み加工は、積層ユニット41の幅方向に延びる切欠き21を、図19(A)中点線矢印で切込み方向を示すように積層ユニット41に対しその幅方向の両側から交互に入れて、互いに隣接している熱電導体2、3の半田のべた層20による接合部の一部を残して大半を切除して行う。
【0068】
この場合、各基板4、6の前記切除部分に対向する部分も同時に切除する。それにより、残された接合部20aを介して各熱電導体2、3が蛇行状に連続される。この状態では、積層方向に隣接した蛇行状の各層は電気的に接続されていないが、蛇行状の各層をなす各熱電導体2、3は電気的に直列に接続されている。前記べた層20及び基板の部分的切除はダイシングソーを用いて実施する。幅決め加工は、図21(A)中に示す点線に沿って積層ユニット41の幅方向両端部を夫々切断することにより行う。この切断もダイシングソーを用いて実施する。
【0069】
積層方向に隣接している各ユニット要素42を電気的に直列に導通させる導通処理をする第4工程では、幅決め加工で露出された積層ユニット41の両端面の夫々において、積層方向に隣接しているP型導電素子2とN型導電素子3とにわたる大きさの側面電極(導電手段)43を夫々半田付け等により接合する。図21(B)中の二点鎖線は、接合対象位置対応して描いた側面電極43を代表して示している。側面電極43が装着された積層ユニット41を図22に示す。側面電極43の取付けにより、積層方向に隣接している蛇行層の両端が電気的に直列に接続される。
【0070】
第5工程では、第4工程を経た積層ユニット41に終端用吸熱基板35及び終端用放熱基板37を接合する。この工程は、第4実施形態で説明した製造方法の第4工程と同じである。すなわち、終端用吸熱基板35の電極配設面35aの一部は、積層ユニット41の図21(A)で左側面に開放された切欠き21に対応して図23(A)に例示するように露出されている。この露出部35cは絶縁部であり、それによって吸熱基板35に設けられている電極38が複数に分割されている。同様に、終端用放熱基板37の電極配設面37aの一部も、積層ユニット41の図21(A)で右側面に開放された切欠き21に対応して図23(B)に例示するように露出されている。この露出部37cも絶縁部であり、それによって放熱基板37に設けられている電極40も複数に分割されている。
【0071】
吸熱基板35は、最も表側に位置するユニット要素42の幅方向一端部に、このニット要素42の各熱電導体2、3の並び方向と直交した姿勢で図示しない半田を介して接合される。同様に、放熱基板37も、最も表側に位置するユニット要素42の幅方向他端部に、このユニット要素42の各熱電導体2、3の並び方向と直交した姿勢で図示しない半田を介して接合される。こうして作られた熱電変換素子1は図17に示されている。
【0072】
この第5実施形態の熱電変換素子1においても、吸熱基板4と放熱基板6とが、夫々の電極配設面を対向しないようにずらして配置されているので、第4実施形態と同様な作用を得て本発明の課題を解決できるとともに、第4実施形態の熱電変換素子1と同様に積層型であるので、より多くの吸熱作用及び放熱作用を得ることができる。
【0073】
なお、第5実施形態での製造方法では、第3工程の幅決め加工で積層ユニット41が得る所定幅と同じ大きさの熱電導体2、3を用いて、スライス片25形成し、このスライス片25の幅方向両端に吸熱基板4及び放熱基板6の側縁を個別に一致させて、吸熱基板4及び放熱基板6がはみ出さないように取付けてユニット要素41を形成することもできる。このようにする場合には、第3工程での幅決め加工は省略できる。しかし、第3工程で切断をして電極装着面を露出させることは、電極装着面に汚れがない状態で側面電極43を装着できるので、側面電極43の確実に装着させる上で望ましい。
【0074】
(第6実施形態)
次に、図24を参照して本発明の第6実施形態を説明する。第6実施形態に示す単層構造の熱電変換素子51は、中間基板を用いて吸熱基板と放熱基板との間の伝熱経路長さをより長く確保した構成であって、1以上のP型の柱状熱電導体52と、同じく1以上のN型の柱状熱電導体53と、吸熱基板54と、放熱基板56、例えば1枚の中間基板61とを備えている。
【0075】
熱電導体52、53は夫々1以上例えば偶数又は奇数使用されて、これらは図24(A)(C)に示すように所定間隔を空けて互いに平行な姿勢で交互に並べて配設される。ここで、図24(A)は本実施形態における熱電変換素子51の上面図、図24(B)はこの熱電変換素子51を矢印12から見た側面図、図24(C)は矢印F12に対して直角の方向から見た側面図である。
各熱電導体52、53はいずれも実質的に同じ大きさの角柱状に形成され、その長さや数は任意に設定可能である。熱電導体52、53の軸方向の長さは数百μmから数mmである。
【0076】
各基板54、56、61の夫々は、いずれも良熱伝導材料、例えばシリコン等の金属、又は窒化アルミ等の金属化合物、若しくはアルミナ等のセラミックスで作られている。各基板54、56、61は例えば四角形の薄板からなる。中間基板61は吸熱基板54及び放熱基板56より大きく、例えば吸熱基板54及び放熱基板56を平面的に並べた場合の大きさよりも大きい。
【0077】
各基板54、56、61の一面は電極配設面54a、56a、61aをなしている。なお、基板54、56、61が電気導体である場合には、その一面を電気絶縁層(図示しない)で覆って、この絶縁層を電極配設面54a、56a、61aとして用いている。各電極配設面54a、56a、61aの夫々には金属の電極58、60、62が、基板54、56、61に熱電導体52、53をPN接合するのに適当なパターンをなして個別に設けられている。
【0078】
吸熱基板54はその電極配設面54aを中間基板61の電極配設面61aに対向させて、中間基板61の幅方向一端側部分に配置されている。この吸熱基板54と中間基板61の幅方向一端側部分とは一部の熱電導体52、53を挟んでいて、挟まれた熱電導体52、53の軸方向両端は、吸熱基板54と中間基板61の幅方向一端側部分の電極58、62に、図示しない半田を介して接合されている。図24(A)中点線で囲まれた領域イ内で吸熱基板54と中間基板61とにPN接合された各熱電導体52、53は直列に導通されている。
【0079】
同様に、吸熱基板54と例えば同じ大きさの放熱基板56は、その電極配設面56aを中間基板61の電極配設面61aに対向させて、中間基板61の幅方向他端側部分に配置されている。この放熱基板54と中間基板61の幅方向他端側部分とは他の熱電導体52、53を挟んでいて、挟まれた熱電導体52、53の軸方向両端は、放熱基板56と中間基板61の幅方向他端側部分の電極58、62に、図示しない半田を介して接合されている。図24(A)中点線で囲まれた領域ロ内で吸熱基板54と中間基板61とにPN接合された各熱電導体52、53は直列に導通されている。そして、各領域イ、ロ内に個別に配設されている熱電導体52、53群は、中間基板61に設けられた図示しない導電パターンにより電気的に直列又は並列に接続されている。
【0080】
以上のように中間基板61の幅方向両端部に、この基板61と平行な姿勢で配置された吸熱基板54と放熱基板56とは、互いに平行で、かつ、夫々の電極配設面54a、56aが対向しないように平面的にずらされて配置されている。図24(B)のように中間基板61に対する吸熱基板54及び放熱基板56の離間距離は実質的に同じである。言い換えれば、各熱電導体52、53の軸方向に沿う吸熱基板54及び放熱基板56の中間基板61を基準とした位置は同じとなっている。
【0081】
吸熱基板54と放熱基板56とは、図24(B)において水平方向に離されていて、互いの一端面54b、56b間にギャップGを設けている。互いに平面的にずらされて隣接する基板間のギャップGはエアー断熱層として使用されている。このギャップGに空気より断熱性に優れる断熱材を必要に応じて配置して、吸熱基板54と放熱基板56との間の熱干渉を妨げるようにすることは妨げない。
【0082】
以上の構成を備えた熱電変換素子51には、吸熱基板54と熱電導体52、53との接合部で吸熱が起こり、放熱基板56と熱電導体52、53との接合部で発熱が起こるように直流が印加される。図24(B)に示すように熱電変換素子51は、吸熱基板54に冷却対象物15を熱伝導可能に接続し、放熱基板56に、ヒートシンクなどの放熱体16を熱伝導可能に接続して使用される。
【0083】
前記熱電変換素子51では、吸熱基板54の電極配設面54aに対して放熱基板56の電極配設面56aが対向しないように、吸熱基板54と放熱基板56とを例えば同一平面上でずらした配置として、放熱基板56から吸熱基板54へは中間基板61を通して熱輸送が可能に作られている。このように放熱基板56から吸熱基板54に至る伝熱経路(第6実施形態では左右2組の各熱電導体52、53群と中間基板61とで作られる。)が長いので、吸熱基板54への熱伝導を抑制可能である。
【0084】
これにより、放熱基板56とこれに接合された各熱電導体52、53との接合部で発熱に伴い吸熱基板54が昇温することが抑制される。この場合、吸熱基板54に対向している中間基板61の一端部は発熱するが、放熱基板56に対向している中間基板61の他端部は吸熱する。そして、中間基板61と各熱電導体51、52との間には異種材料間での熱抵抗があるのに比較して、このような熱抵抗は単一材料の中間基板61ではないので、中間基板61内での温度は速やかに平均化される。これにより、中間基板61の温度が、低温の吸熱基板54と高温の放熱基板56との間の中間温度となる。したがって、中間基板61を介しての放熱基板56の昇温抑制が可能である。
【0085】
しかも、既述のように電極配設面54aと電極配設面56aとが非対向であることに伴い、放熱基板54と吸熱基板56とはそれらの互いに接近した端面54b、56bで対向するが、この対向面積は電極配設面同士が重なり合うように対向する場合に比較して遥かに小さい。これにより、放熱基板56を下側に位置させるとともに吸熱基板54を上側に位置させた姿勢で熱電変換素子51を使用する場合にも、対流によって吸熱基板54が昇温することが抑制される。
【0086】
以上の理由により吸熱基板54の吸熱効率の向上が可能となり、冷却対象物15を効率よく冷却可能である。これに伴い、放熱基板56に取付けられる放熱体の配置や設計などの制約も少なくなるので、前記構成の熱電変換素子51を適用した冷却装置などの適用物の設計の自由度を高めることが可能である。
【0087】
更に、前記構成の熱電変換素子51を冷却装置に適用した例では、冷却対象物15が取付けられた吸熱基板54と放熱体16が取付けられた放熱基板56とは互いの厚み方向に重なり合うことがないので、例えば図24(B)中Aで示す寸法は、前記冷却装置で代表する適用物の厚みを増やす因子とはならない。このように前記構成の熱電変換素子51はこれを備えて吸放熱をする適用物の薄型化に貢献できる。
【0088】
(第7〜第11実施形態)
次に、本発明の第7〜第11の各実施形態を説明する。これらの実施形態は、基本的に第6実施形態と同じであるので、第6実施形態と同様な構成については同じ符号を付してその説明を省略し、以下第6実施形態とは異なる点を説明する。
【0089】
図25(A)に本発明の第7実施形態における熱電変換素子51の上面図を、図25(B)に矢印F13から見た側面図を示す。図25に示す熱電変換素子51では、放熱基板56に、四角形の中間基板61の四周に沿う四角環状をなすものを使用しており、これは中間導電基61の周部に四角環状の領域ロに収まる熱電導体52、53群を挟んで配置されている。更に、吸熱基板54には、その外周の端面54bと放熱基板56の内周の端面56bとの間にギャップGを設けて入り得る大きさの四角形のものを使用しており、これは中間基板61の中央部に領域イに収まる他の熱電導体52、53群を挟んで配置されている。以上の説明以外の構成は第6実施形態と同じである。
【0090】
なお、第7実施形態は、吸熱基板54を四角環状とするとともに、この内側に四角形状の放熱基板56を収めて実施することもできる。更に、中間基板61及び、その周部より内側に対向して配置される一方の基板は、四角形に制約されず例えば円形でもよい。これに応じて中間基板61の周部に対向して配置される他方の基板も、四角環状に制約されず、円形環状など所望の環状にできる。
【0091】
この第7実施形態の熱電変換素子51においても、吸熱基板54と放熱基板56とが、夫々の電極配設面54a、56aを対向しないようにずらして配置されているので、第6実施形態と同様な作用を得て本発明の課題を解決できる。しかも、吸熱基板54が放熱基板56で囲まれるので、吸熱基板54の低温の熱が周囲に漏れにくくすることが可能である。
【0092】
次に、図26(A)に本発明の第8実施形態における熱電変換素子51の上面図を、図26(B)にその側面図を示す。図26に示す熱電変換素子51では、四角形の中間基板61の中央部に対向してこの基板61の幅方向略全体にわたって延びる吸熱基板54を配置して、これらの間に熱電導体52、53群を挟んでいる。放熱基板56は一対使用され、これらは、中間基板61の幅方向略全体にわたって延びる長さを有していて、吸熱基板54の両側に位置して中間基板61との間に他の熱電導体52、53群を挟んで配置されている。以上の説明以外の構成は第6実施形態と同じである。
【0093】
この第8実施形態の熱電変換素子51においても、吸熱基板54と放熱基板56とが、夫々の電極配設面54a、56aを対向しないようにずらして配置されているので、第6実施形態と同様な作用を得て本発明の課題を解決できる。しかも、吸熱基板54の両側を放熱基板56で囲んでいるので、吸熱基板54の低温の熱が周囲に漏れにくくすることが可能である。
【0094】
次に、図27(A)に本発明の第9実施形態における熱電変換素子51の上面図を、図27(B)にその側面図を示す。図27に示す熱電変換素子51では、放熱基板56から吸熱基板54への伝熱経路が一対の第1中間基板65、66と、例えば1枚の第2中間基板67とを有している。各中間基板66〜67の一面からなる電極配設面61aには、夫々所定のパターンで電極62が設けられている。
【0095】
一方の第1中間基板65は、その幅方向一端部を吸熱基板54に対向させて配置され、これら両基板54、65間には熱電導体52、53群がPN接合して挟まれている。他方の第1中間基板66は、その幅方向一端部を放熱基板56に対向させて配置され、これら両基板56、66間には他の熱電導体52、53群がPN接合して挟まれている。
【0096】
第2中間基板67は、吸熱基板54と放熱基板56との間に配設されていて、第1中間基板65、66の各他端部に対向している。中間基板65、67間に他の熱電導体52、53群がPN接合して挟まれているとともに、中間基板66、67間に他の熱電導体52、53群がPN接合して挟まれている。なお、図27(A)中符号ハ及びニは中間基板65、67間及び中間基板66、67間に挟まれる熱電導体52、53群が配設された領域を示している。
【0097】
領域イ〜ニの各熱電導体52、53群は、中間基板65〜67の導体パターン(図示しない)を介して電気的に直列に接続することもできるが、図27(B)に示すように第8実施形態では、一方の第1中間基板65上で互いに直列に導通している各熱電導体52、53群と、他方の第1中間基板66上で互いに直列に導通している各熱電導体52、53群とを、電気的に並列に接続している。なお、図27(B)中符号68は各熱電導体52、53群に直流を印加する直流電源を示している。
【0098】
このように吸熱基板54側と放熱基板56側とを並列にして直流を印加する構成は、投入電力は増えるが、通電に対する電気的抵抗が減るので、吸熱基板54での吸熱特性をより高めることができる点で好ましい。以上の説明以外の構成は第6実施形態と同じである。
【0099】
この第9実施形態の熱電変換素子51においても、吸熱基板54と放熱基板56とが、夫々の電極配設面54a、56aを対向しないようにずらして配置されているので、第6実施形態と同様な作用を得て本発明の課題を解決できる。しかも、3枚以上の中間基板65〜66を用いたことで、放熱基板56から吸熱基板54への伝熱経路をより長く確保できる。加えて、放熱基板56と吸熱基板54との間に少なくとも1枚の中間基板66が配置されて放熱基板56と吸熱基板54とが遠ざかる。したがって、吸熱基板54での吸熱性能をより向上することが可能である。
【0100】
図28に示す本発明の第10実施形態の熱電変換素子51では、中間基板61に対する吸熱基板54と放熱基板56との熱電導体52、53の軸方向に沿う位置を夫々異ならせている。図示の例では、吸熱基板54の方をより遠く中間基板61の電極配設面61aから離しているが、これは逆であってもよい。以上の説明以外の構成は第6実施形態と同じである。
【0101】
この第10実施形態の熱電変換素子51においても、吸熱基板54と放熱基板56とが、夫々の電極配設面54a、56aを対向しないようにずらして配置されているので、第6実施形態と同様な作用を得て本発明の課題を解決できる。しかも、第10実施形態では吸熱基板54と放熱基板56の中間基板61に対する離間位置が異なるので、その位置差が明らかな場合には、両基板54、56の位置の識別をし易くすることが可能となる等の点で優れている。
【0102】
【発明の効果】
本発明の熱電変換素子によれば、放熱基板から吸熱基板に至る熱伝導が抑制されて吸熱効率の向上が可能であり、対流が吸熱性能に影響する場合にも、放熱基板と吸熱基板との対向面積が小さく前記影響が小さいので、吸熱効率の向上が可能となる。更に、吸熱基板と放熱基板とは、互いの厚み方向に重なり合わないので、本発明の熱電変換素子を冷却装置等に適用する場合、適用物の薄型化に適する。
【0103】
又、本発明の熱電変換素子の製造方法は、吸熱効率の向上を可能とするともに、適用物の薄型化に適する熱電変換素子を作るのに適する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の第1実施形態の熱電変換素子を示す平面図。(B)は図1(A)中矢印F1方向から熱電変換素子を示す矢視図。
【図2】(A)は本発明の第2実施形態の熱電変換素子を示す平面図。(B)は図2(A)中矢印F2方向から熱電変換素子を示す矢視図。(C)は図2(A)中矢印F3−F3線に沿って示す熱電変換素子の断面図。
【図3】図2の熱電変換素子の製造時に作られる積層体を例示する斜視図。
【図4】(A)は図2の熱電変換素子の製造時に作られるユニットを例示する平面図。(B)は図4(A)中矢印F4方向からユニットを示す矢視図。(C)は図4(A)のユニットに使用される吸熱基板を示す平面図。(D)は図4(A)のユニットに使用される放熱基板を示す平面図。
【図5】(A)は図4(A)のユニットに切欠きが入れられた状態を例示する平面図。(B)は図5(A)中矢印F5−F5線に沿って示すユニットの断面図。
【図6】(A)は切欠きが入れられた図5(A)のユニットに取付けられる他の吸熱基板を示す平面図。(B)は切欠きが入れられた図5(A)のユニットに取付けられる他の放熱基板を示す平面図。
【図7】(A)は本発明の第3実施形態の熱電変換素子を示す平面図。(B)は図7(A)中矢印F6方向から熱電変換素子を示す矢視図。(C)は図7(A)中矢印F7−F7線に沿って示す熱電変換素子の断面図。
【図8】図7の熱電変換素子の製造時に作られる積層体を例示する斜視図。
【図9】(A)は図7の熱電変換素子の製造時に作られるユニットを例示する平面図。(B)は図9(A)中矢印F8方向からユニットを示す矢視図。(C)は図9(A)のユニットに使用される吸熱基板を示す平面図。(D)は図9(A)のユニットに使用される放熱基板を示す平面図。
【図10】(A)は本発明の第4実施形態の熱電変換素子を示す平面図。(B)は図10(A)の熱電変換素子を示す右側面図。
【図11】図10の熱電変換素子の製造時に作られる積層体を例示する斜視図。
【図12】図10の熱電変換素子の製造時に作られる積層ユニットを示す側面図。
【図13】(A)は図10の熱電変換素子の製造時に作られる第1ユニットを例示する平面図。(B)は図13(A)中矢印F9方向から第1ユニットを示す矢視図。(C)は図13(A)の第1ユニットに使用される吸熱基板を示す平面図。(D)は図13(A)の第1ユニットに使用される放熱基板を示す平面図。
【図14】(A)は図10の熱電変換素子の製造時に作られる第2ユニットを例示する平面図。(B)は図14(A)中矢印F10方向から第2ユニットを示す矢視図。(C)は図14(A)の第2ユニットに使用される吸熱基板を示す平面図。(D)は図14(A)の第2ユニットに使用される放熱基板を示す平面図。
【図15】(A)は図10の熱電変換素子の製造時に作られる切欠き入りの積層ユニットを例示する平面図。(B)は同積層ユニットを示す左側面図。
【図16】(A)は図10の熱電変換素子の熱入出端に設けられる終端の吸熱基板を示す平面図。(B)は図10の熱電変換素子の熱入出端に設けられる終端の放熱基板を示す平面図。
【図17】(A)は本発明の第5実施形態の熱電変換素子を示す平面図。(B)は図17(A)の熱電変換素子を示す左側面図。
【図18】図17の熱電変換素子の製造時に作られる積層体を例示する斜視図。
【図19】(A)は図17の熱電変換素子の製造時に作られるユニットを例示する平面図。(B)は図19(A)中矢印F11方向からユニットを示す矢視図。(C)は図19(A)のユニットに使用される吸熱基板を示す平面図。(D)は図19(A)のユニットに使用される放熱基板を示す平面図。
【図20】図17の熱電変換素子の製造時に作られる積層ユニットを例示する側面図。
【図21】(A)は図20の積層ユニットに切欠きが入れられた状態を例示する平面図。(B)は図20(A)の積層ユニットを示す左側面図。(C)は図20(A)の積層ユニットを示す右側面図。
【図22】図21の積層ユニットに側面電極が装着された状態を示す側面図。
【図23】(A)は図17の熱電変換素子に使用される終端の吸熱基板を示す平面図。(B)は図17の熱電変換素子に使用される終端の放熱基板を示す平面図。
【図24】(A)は本発明の第6実施形態の熱電変換素子を例示する平面図。(B)は図24(A)中矢印F12方向から熱電変換素子を示す矢視図。(C)は図24(A)の熱電変換素子を示す側面図。
【図25】(A)は本発明の第7実施形態の熱電変換素子を例示する平面図。(B)は図25(A)中矢印F13方向から熱電変換素子を示す矢視図。
【図26】(A)は本発明の第8実施形態の熱電変換素子を例示する平面図。(B)は図26(A)の熱電変換素子を示す側面図。
【図27】(A)は本発明の第9実施形態の熱電変換素子を例示する平面図。(B)は図27(A)中矢印F14方向から熱電変換素子を示す矢視図。
【図28】本発明の第10実施形態の熱電変換素子を例示する平面図。
【符号の説明】
1、51…熱電変換素子
2、52…P型熱電導体
3、53…N型熱電導体
4…第1吸熱基板
5…第2吸熱基板
6…第1放熱基板
7…第2放熱基板
4a〜7a…電極配設面
4b〜7b…端面
8〜11…電極
15…冷却対象物
16…放熱体
20…べた層
20a…接合部
21…切欠き
22…P型熱電導体基板
23…N型熱電導体基板
24…積層体
25…スライス片
26、28…ユニット
30…積層ユニット
32…第1ユニット要素
33…第2ユニット要素
34…スルーホール(導電手段)
35…吸熱基板
36…放熱基板
35a、36a…電極配設面
38、40…電極
54…吸熱基板
56…放熱基板
54a、56a…電極配設面
54b、56b…端面
58、60…電極
61…中間基板
61a…電極配設面
65、66、67…中間基板
Claims (8)
- 電極が設けられた電極配設面を有する複数の基板と、前記電極を介してPN接合されたP型及びN型の熱電導体とを備える熱電変換素子において、前記各基板の内で吸熱に用いられる吸熱基板と放熱に用いられる放熱基板とを夫々の電極配設面が対向しないようにずらして配置した熱電変換素子。
- 電極が設けられた電極配設面を有する吸熱基板と、
電極が設けられた電極配設面を有し、この電極配設面が前記吸熱基板の電極配設面と対向しないように前記吸熱基板に対してずらして配置された放熱基板と、両端部を前記両基板の各電極に個別に接合して前記両基板にわたって設けられたP型熱電導体と、
両端部を前記両基板の各電極に個別に接合して前記両基板にわたって設けられ前記P型熱電導体と平行に並べられたN型熱電導体と、
を具備した熱電変換素子。 - 単層構造をなしている請求項2記載の熱電変換素子。
- 積層構造をなしているとともに、積層方向に隣り合う熱電導体のうち少なくとも一対が導電手段により電気的に接続されている請求項2記載の熱電変換素子。
- 電極が設けられた電極配設面を有する吸熱基板と、
電極が設けられた電極配設面を有し、この電極配設面が前記吸熱基板の電極配設面と対向しないように前記吸熱基板に対してずらして配置された放熱基板と、電極が設けられた電極配設面を有し、この電極配設面の一部を前記吸熱基板及び前記放熱基板の電極配設面に対向させて配置された中間基板と、
相対向する前記吸熱基板と前記中間基板との間、及び相対向する前記放熱基板と前記中間基板との間に夫々挟まれて、これら相対向する基板にそれらの電極を介してPN接合されたP型及びN型の熱電導体と、
を具備した熱電変換素子。 - 電極が設けられた電極配設面を有する吸熱基板と、
電極が設けられた電極配設面を有し、この電極配設面が前記吸熱基板の電極配設面と対向しないように前記吸熱基板に対してずらして配置された放熱基板と、
電極が設けられた電極配設面を有し、この電極配設面を前記吸熱基板又は前記放熱基板の電極配設面に対向させて配置された第1中間基板と、
電極が設けられた電極配設面を有し、この電極配設面の一部を前記第1中間基板の電極配設面に対向させて前記吸熱基板と前記放熱基板との間に配置された第2中間基板と、
相対向する前記吸熱基板と前記第1中間基板との間、及び相対向する前記放熱基板と前記第1中間基板との間に夫々挟まれて、これら相対向する基板にそれらの電極を介してPN接合されるP型及びN型の第1熱電導体と、
相対向する前記第1、第2の中間基板間に挟まれて、これら相対向する基板にそれらの電極を介してPN接合されたP型及びN型の第2熱電導体と、
を具備した熱電変換素子。 - 前記各熱電導体の軸方向に沿って前記吸熱基板と前記放熱基板の位置が異なっている請求項5又は6に記載の熱電変換素子。
- P型熱電導体基板とN型熱電導体基板とを接合し交互に積層した積層体を形成し、この積層体をスライスして所定厚みのスライス片を得る工程と、
電極を有した第1吸熱基板及び第1放熱基板を前記スライス片の幅方向両端部に個別に接合して、前記スライス片が有する前記各熱電導体と前記各電極とを電気的に接続してなる少なくとも一層のユニットを得る工程と、
このユニットの幅方向に延びる切欠きを前記ユニットに対し前記幅方向の両側から交互に入れて、前記P型熱電導体とN型熱電導体との接合部の大半を切除し、残された接合部を介して前記P型熱電導体とN型熱電導体とを蛇行状に連続させる工程と、
電極を有し、前記切欠きが入れられたユニットを前記第1吸熱基板及び第1放熱基板との間に挟む第2吸熱基板及び第2放熱基板を、前記第1吸熱基板及び第1放熱基板に対応させて前記切欠きが入れられたユニットの幅方向両端部に個別に接合して、前記各熱電導体と前記各電極とを電気的に接続する工程と、
を具備する熱電変換素子の製造方法。
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CN102252386A (zh) * | 2011-06-15 | 2011-11-23 | 祁守岗 | 一种空气冷暖调节装置 |
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JP2013232623A (ja) * | 2012-04-03 | 2013-11-14 | Panasonic Corp | 熱電変換モジュール |
CN112880168A (zh) * | 2021-02-05 | 2021-06-01 | 陈忠海 | 一种空调废热回收发电系统 |
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