JP2004184918A - ハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤及びこれを用いた処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コスト高となる溶解促進装置を必要とせず、既存の濃縮液タイプの処理剤を使用する自動現像機であっても、水中に投入後、直ぐに沈降して1カ所に固まること無く、素早く溶解し均一な処理液となる高速溶解性のハロゲン化銀写真用固体処理剤及びこれを用いた処理方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1種の酸を含有する粒子と、少なくとも1種のアルカリを含有する粒子の混合粒子群によって構成されるハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤であって、前記混合粒子群の粒子の内部に気泡を内包していることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤である。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも1種の酸を含有する粒子と、少なくとも1種のアルカリを含有する粒子の混合粒子群によって構成されるハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤であって、前記混合粒子群の粒子の内部に気泡を内包していることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤及びこれを用いた処理方法に関する
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀写真感光材料用の処理剤は、長年にわたり、1つないし複数種の濃縮液の形態で、ユーザーに提供され、ユーザーは、あらかじめ添加順序、添加水量が詳細に定められた調薬方法に従い希釈溶解した後に写真用の処理液に補充するか、または、そのまま処理液として使用するといった形態がとられてきた。このような形態の場合、濃縮液とはいえどもボリューム、重量が大きくて扱いづらい、物流費がかさむ、又作業者が調薬方法を間違えやすく、写真の性能に重大な影響を与える、さらには、作業者の衣服、手あるいは、床などに液が飛び散り汚染するといった不具合が存在した。
【0003】
このため、作業者への負担が大きく、ある程度の熟練、知識が必要であった。またボトル容器、段ボールなどの包装容器の廃棄量が多く環境に対する影響が大きかった。
【0004】
そこで、近年、このような問題を解決するために、処理剤を固体化し、ボリューム、重量の低減し、且つ溶解方法の簡略化、あるいは、作業者が溶解作業を行わないようにした処理方法の提案がなされてきた。例えば、コニカ社製TCプロセッシングシステムでは、錠剤化された処理剤を溶解装置(ケミカルミキサー)に一括投入して溶解し補充液として処理槽に供給するといった方法が行われている。このシステムでは、処理剤の重量、ボリュームが大幅に削減、包材の廃棄量も削減、作業者がマニュアルに沿って行う溶解作業が不要となり、それまでの濃縮液タイプの処理剤の有していた問題が解決された。
【0005】
しかしながらこの方式では、錠剤を溶解するために特別に液の撹拌機構の設けられた溶解装置が必要であるため装置費用がかかるのと、固形錠剤であるため溶解完了までの時間がかかることから現像機の立ち上げに時間が長くかかるといった課題があった。
【0006】
コニカエコジェットシステムでは、錠剤化された処理剤を、規定された補充レートで現像処理槽に直接投入するという方式が行われている。しかしながら、これも錠剤の投入溶解機構が特別に必要となるため装置費用がかかるという問題があった。又上記のシステムに用いる錠剤は、その現像機専用の処理剤であるため、広く既存の現像機に用いることは出来ず、汎用性が無かった。
【0007】
そこで、特別な投入溶解促進機構(液循環、機械的撹拌装置 等)をもたない濃縮液タイプの処理剤を用いる既存の自動現像機において、速やかに溶解して使用できるコンパクトな固体処理剤を提供することが、作業性、コンパクト性、廃棄物削減面といった処理剤のメリットと、装置コストの面、汎用性という装置面のメリットという両面から望まれてきた。
【0008】
そこで、この要望に応えるべく、まず従来の固体処理剤(錠剤、顆粒剤、粉剤)の処理剤を既存の自動現像機の補充タンク内で溶解することを試みたが、いずれの固体処理剤も満足のいく溶解性能は得られなかった。例えば、従来の濃縮液タイプ処理剤に比べ、溶解するのに大幅に長い時間が必要になったり、水中で固形分が分散せずに、沈降して一カ所に固まり、長時間経っても溶けないような現象が起こってしまった。そして、得られた溶液は、写真処理に必要な成分が、規定量含まれていないため、所望の処理性能が得られなかった。
【0009】
従来、錠剤の形態をしている添加剤を、現像処理された感光材料を水洗する水洗槽へ補充する液を貯留する槽に直接添加し溶解する方法が知られている(特許文献1参照)。又、この錠剤を溶けやすくするために発泡剤を加えるのがよいことも知られている。この発泡剤としては、有機酸(クエン酸、酒石酸)に炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムを加えたものが用いられている。
【0010】
しかしながら、この発泡剤による発泡で錠剤を崩壊せしめる作用は、錠剤自体の形状を崩壊せしめる作用はあるが、該錠剤を構成する1つ1つの粒子の崩壊を促進する作用はなく、個々の粒子は、内部まで密に充填されており、水が浸透する為には長時間を要するため、水中に長時間滞留し、速やかに溶解されるという類のものではなかった。
【0011】
一方、洗剤の分野では、高速溶解性の固形状洗剤に関する技術として、用いられる洗剤粒子群が、粒子内部に気泡を含有することが知られている(特許文献2参照)。高速溶解性を得る機構としては、粒子が水に溶解する過程において、先ず少量の水が粒子に侵入した際、内部の気泡が放出され、次いで、該粒子内部に大量の水が侵入することによって1つ1つの粒子自体が崩壊し、表面近傍からの溶解のみならず、粒子内部からの溶解及び崩壊が起ることが特徴となっている。そして、機械的な撹拌機構を有する市販の二槽式洗濯機で用いれば、速やかに溶解する性能が得られている。
【0012】
しかしながら、この溶解機構を用いても、前述のような、溶解促進機構を有しない既存の自動現像機で、水中に粒子を投入しただけでは、十分満足のいく溶解性能は得られなかった。
【0013】
【特許文献1】特開昭63−199357号
【特許文献2】特開2000−355698
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、コスト高となる溶解促進装置を必要とせず、既存の濃縮液タイプの処理剤を使用する自動現像機であっても、水中に投入後、直ぐに沈降して1カ所に固まること無く、素早く溶解し均一な処理液となる高速溶解性のハロゲン化銀写真用固体処理剤及びこれを用いた処理方法を提供することである。本発明の別なる課題は、処理安定性の高いハロゲン化銀写真用固体処理剤及びこれを用いた処理方法の提供にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、下記構成によって達成される。
1.少なくとも1種の酸を含有する粒子と、少なくとも1種のアルカリを含有する粒子の混合粒子群によって構成されるハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤であって、前記混合粒子群の粒子の内部に気泡を内包していることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
【0016】
2.前記気泡の径が粒子径の1/10以上であることを特徴とする前記1に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
【0017】
3.前記固体処理剤の嵩密度が、1g/ml以下であることを特徴とする前記1又は2に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
【0018】
4.前記少なくとも1種の粒子の平均粒径が、100〜1500μmであることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
【0019】
5.前記混合粒子群のうち少なくとも1種の酸を含有する粒子が、下記A群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、少なくとも1種のアルカリを含有する粒子が、下記B群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
【0020】
A群:
N−[2−(4−Amino−N−ethyl−m−toluidino)ethyl]−methane−sulfonamide sesquisulfate hydrate、
2−[(4−Amino−m−tolyl)ethylamino]ethanol sulfate、
2[(4−Aminophenyl)ethylamino]ethanol sulfate、
アスコルビン酸、
コハク酸、
マレイン酸、
エチレンジアミン四酢酸及びその鉄錯塩、
1,3−プロパンジアミン四酢酸及びその鉄錯塩、
ジエチレントリアミン五酢酸及びその鉄錯塩、
エチレンジアミンジコハク酸及びその鉄錯塩。
【0021】
B群:
炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、1,3−プロパンジアミン四酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸塩、エチレンジアミンジコハク酸塩、酢酸塩、アスコルビン酸塩。
【0022】
6.前記粒子が、その内部に含有する気体の窒素ガス含有率が90%以上であることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
【0023】
7.前記混合粒子群が酸素透過率30ml/(m2・day・atm)以下の包材に密封されていることを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
【0024】
8.前記1〜7のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤を用いてハロゲン化銀写真感光材料を処理することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
【0025】
9.前記1〜7のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤を用いて補充液を作成し、ハロゲン化銀写真感光材料を処理することを特徴とする請求項8に記載のハロゲン化銀写真感光材料の処理方法
【0026】
10.前記1〜7のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤を処理タンクに直接投入することを特徴とする請求項8に記載のハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤は、少なくとも1種の酸を含有する粒子と、少なくとも1種のアルカリを含有する粒子から成る混合粒子群から構成されており、前記混合粒子群の粒子が水に溶解する際、粒子の内部から放出しうる気泡を内包していることが特徴である。酸とは、水に溶解して飽和溶液とした場合のpH値が7未満の化合物を指し、アルカリとは、水に溶解して飽和溶液とした場合のpH値が7以上の化合物を指す。
【0028】
本発明は、酸を含有する粒子とアルカリを含有する粒子とで構成されている点に特徴がある。水に投入された後、酸を含有する粒子とアルカリを含有する粒子が接触しつつ水分を吸収する際、中和反応により局所的に中和熱が発生していると思われるが、この結果、局所的に水の温度が上昇した後、その熱が拡散する際に、水の対流が発生し、粒子の水中での分散性が大きく向上して、一カ所に処理剤が固まることなく、速やかに溶解することが出来る。
【0029】
本発明における酸は、pH値が小さければ小さいほど、又、アルカリは、pH値が大きければ大きいほど、前述の効果が著しく、好ましい。
【0030】
また、酸及びアルカリの粒子中に含有する重量比率は、大きければ大きいほど本発明の効果を良好に奏する。
【0031】
本発明の構成を有していない粒子群では、中和反応が局所的に起こらないため、局所的水温上昇及びその後の熱の拡散による対流現象が起こらず、その結果、粒子の分散性が悪く、沈降し1カ所に固まってしまう場合が見られた。
【0032】
又、本発明は、粒子が、水に溶解する際に粒子の内部から放出しうる気泡を内包している。この粒子は、水に溶解する過程において、まず、粒子内部に少量の水が侵入すると粒子内部から気泡が放出されつつその気泡のアクションにより粒子自体が破壊され、さらに大量の水が侵入することで粒子の表面近傍のみならず粒子内部においても溶解現象が起こる。
【0033】
さらには、本発明のように、酸を含有する粒子とアルカリを含有する粒子で、且つ該粒子が気泡を内包する粒子である粒子群の場合、前述の効果に加え、水分との接触により中和反応が起こる際に局部的に発生する中和熱により粒子内に内包する気泡は瞬間的に熱膨張し、粒子の破壊をより促進していると思われる効果が発現し、この効果により、溶解が飛躍的に促進される好ましい結果が得られた。
【0034】
一方、粒子内に気泡を内包しない粒子で構成された粒子群の場合、水に投入された際、水が粒子内部に侵入するのに非常に長時間を要するため、溶解現象は粒子の表面でのみしか起こらない。また、粒子の破壊現象も起こらないため、或る大きさの粒子の形状を保ったまま溶解現象が粒子表面のみで起こることとなり、その結果、溶解に多大な時間を要する。
【0035】
このような溶解時の挙動を良好に発現させるためには、前述の粒子が、気泡径が粒子径に対する比が大きい方が好ましく、1/10以上であることが好ましい。この場合、溶解の初期段階に粒子内部から発生する気泡のアクションが、効果的に粒子の破壊に利用され、粒子の破壊を促進し、結果として溶解性が向上する。これらの現象は、デジタルマイクロスコープ(例えばKEYENCE社製VH−6300)等で確認することが出来る。
【0036】
前述の粒子径および気泡径は、マイクロスコープを用いて測定することができる。まず水に投入する前の粒子群をマイクロスコープにより観察し、画像を得る。そしてその画像から個々の粒子の円相当径を測定しその平均値をaとする。次に粒子群が水に溶解する際の溶解挙動をマイクロスコープにより観察し、発泡する瞬間の画像を得る。その画像から個々の気泡の円相当径を測定しその平均値をbとする。そして、気泡径の粒子径に相当する比をb/aとして求める。
【0037】
本発明の気泡を内包する粒子による粒子群は、例えば、次のような方法で製造することができる。
(1.溶液調製工程)
この工程は、少なくとも1種の酸を含有する水溶液および少なくとも1種のアルカリを含有する水溶液を調製する工程である。調製の為には、公知の溶解手段、装置が用いられる。各水溶液には、酸およびアルカリ以外の成分を複数含有していて良い。前記水溶液の固形分濃度としては、次工程の乾燥効率の観点から、より高い方が好ましい。好ましくは、40重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。又、水溶液は溶解度の低い成分を安定に溶解するために、加温しても良いし、常温でも良い。又、熱による成分劣化を防止するために、冷却しても良い。
【0038】
(2.粒子製造工程)
この工程は、前記水溶液から液滴を作製し、その液滴を乾燥して、粒子を作製する工程である。生成する粒子が気泡を内包する粒子となるためには、液滴がその形状、大きさをなるべく維持しつつ水分のみを蒸発させることが望ましく、そのためには、瞬時に液滴を乾燥させることが好ましい。このような操作を実現する方法として噴霧乾燥が好ましい。用いられる噴霧乾燥装置は公知のものを用いればよい。
【0039】
(3.粒子群製造工程)
この工程は、前工程で作製された、酸を含有する粒子とアルカリを含有する粒子を所望の割合で、均一に混合し粒子群を作製する工程である。本工程に用いられる混合装置としては、粒子を破壊しないように剪断力がかかりにくく且つ混合効率の良い混合機が好ましい。
【0040】
好ましい例としては、容器回転式の混合機では、V型混合機、円錐型混合機、二重円錐型混合機、円筒型混合機などが挙げられる。機械撹拌式の混合機では、リボンミキサー、パドルミキサー、円錐遊星スクリューミキサー(例えばホソカワミクロン社製ナウターミキサー等)ショベルミキサー(例えば松坂技研社製レーディゲミキサー等)が好ましい。これらの装置を用いて適当な時間混合操作を行うことにより、所望の混合均一度を満たした混合粒子群を得ることが出来る。
【0041】
本発明の混合粒子群の嵩密度は、水の密度に対して小さい方が、急速に沈降して一カ所に固まらず、徐々に沈降しながら分散しつつ溶解するという水中の挙動が達成されることから、好ましい。混合粒子群の嵩密度は、1g/ml以下であることことが、より好ましい。
【0042】
嵩密度を測定する方法は、以下のような方法が用いられる。既知の容積Vmlの円筒形容器を静置した上部から粒子群を自由落下させて容器から溢れるまで粒子群を充填させる。容器上部の溢れて盛り上がった粒子群をすり切り棒で除去した後、この容器中の粒子群の重量Wgを測定する。この結果から、嵩密度W/V(g/ml)をもとめる。測定装置としては、様々なものが市販されているが、例えば、筒井理化学機器社製嵩密度測定器、ホソカワミクロン社製パウダテスタなどが用いられる。
【0043】
本発明の粒子の平均粒径は、水中での一カ所での固まり難さという観点からは、より大きい方が好ましく、粒子自体の溶解時間の短さという観点からは、より小さい方が好ましい。これらを満たす範囲として、本発明の混合粒子群の平均粒径は100〜1500μmであることが好ましい。
【0044】
平均粒径としては、前述の方法でもとめた個々の粒子の粒子径から個数中位径を求める。個数中位径とは、粒子径の小さい粒子から大きい粒子までの度数分布において、小さい粒子径のものから数えて(大きい粒子径のものから数えて)全粒子個数の丁度50%相当の数の順位の粒子の粒子径と定義される。
【0045】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料処理剤用の混合粒子群として用いられる際、その効果がより好ましく発現される。本発明の処理剤の用途としては、カラー写真の場合、カラーネガフィルム用、カラーペーパー用、カラーリバーサル用、ダイレクトポジフィルム用、ダイレクトポジペーパー用など、モノクロ写真の場合、X線写真用、印刷感材用、などが挙げられる。いずれの場合においても本発明の効果は良好に得られる。
【0046】
処理剤の種類としては、公知のあらゆる種類に適用でき、現像処理工程に併せて、各々の工程用の処理剤が存在する。例えば、カラー写真の処理工程の場合、発色現像工程、漂白工程、定着工程、漂白定着工程、安定化工程などが有り、それに対応する発色現像処理剤、漂白処理剤、定着処理剤、漂白定着処理剤、安定化剤などがある。モノクロ写真の処理工程の場合、現像工程、定着工程があり、それに対応する現像処理剤、定着処理剤がある。
【0047】
本発明における発色現像剤に用いられる発色現像主薬としては、p−フェニレンジアミン誘導体(以下、p−フェニレンジアミン系化合物ともいう)、特に水溶性基を有するp−フェニレンジアミン系化合物が本発明の目的の効果を良好に奏し、かつかぶりの発生が少ないため好ましく用いられる。
【0048】
水溶性基を有するp−フェニレンジアミン系化合物は、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン等の水溶性基を有しないパラフェニレンジアミン系化合物に比べ、感光材料の汚染がなくかつ皮膚についても皮膚がカブレにくいという長所を有するばかりでなく、特に本発明の発色現像液に組み合わせることにより、本発明の目的をより効率的に達成することができる。
【0049】
前記水溶性基は、p−フェニレンジアミン系化合物のアミノ基またはベンゼン核上に少なくとも1つ有するものが挙げられ、具体的な水溶性基としては−(CH2)n−CH2OH、−(CH2)m−NHSO2−(CH2)nCH3、−(CH2)m−O−(CH2)n−CH3、−(CH2CH2O)nCmH2m+1(m及びnはそれぞれ0以上の整数を表す。)、−COOH基、−SO3H基等が好ましいものとして挙げられる。
【0050】
本発明に好ましく用いられる発色現像主薬の具体的例示化合物としては、特開平4−86741号明細書第26〜31頁に記載されている(C−1)〜(C−16)が挙げられる。
【0051】
上記発色現像主薬は通常、塩酸塩、硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の塩のかたちで用いられる。
【0052】
また、前記発色現像主薬は単独であるいは2種以上併用して、また所望により白黒現像主薬例えばフェニドン、4−ヒドロキシメチル−4−メチル−1−フェニル−3−ピラゾリドンやメトール等と併用して用いてもよい。
【0053】
又、本発明においては、本発明に係わる発色現像剤中に下記一般式[A]及び[B]で示される化合物を含有することが、本発明の目的の効果をより良好に奏する。
【0054】
すなわち、固体処理剤化されると他の化合物に比べ錠剤の保存性が良くなるばかりでなく錠剤強度も保てるという点で効果があり、しかも写真性能的に安定で未露光部にも生じるカブリも少ないという利点もある。
【0055】
【化1】
【0056】
一般式[A]において、R31及びR32は同時に水素原子ではないそれぞれアルキル基、アリール基、R′−CO−または水素原子を表すが、R31及びR32で表されるアルキル基は、同一でも異なってもよく、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。更にこれらアルキル基はカルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、又は水酸基を有してもよい。
【0057】
R′はアルコキシ基、アルキル基又はアリール基を表す。R31、R32及びR′のアルキル基及びアリール基は置換基を有するものも含み、また、R31及びR32は結合して環を構成してもよく、例えばピペリジン、ピリジン、トリアジンやモルホリンの如き複素環を構成してもよい。
【0058】
【化2】
【0059】
式中、R11、R12、R13は水素原子、置換又は無置換の、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、R14はヒドロキシ基、ヒドロキシアミノ基、置換又は無置換の、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルバモイル基、アミノ基を表す。ヘテロ環基としては、5〜6員環であり、C、H、O、N、S及びハロゲン原子から構成され飽和でも不飽和でもよい。R15は−CO−、−SO2−または−C(=NH)−から選ばれる2価の基を表し、n31は0又は1である。特にn31=0の時R14はアルキル基、アリール基、ヘテロ環基から選ばれる基を表し、R13とR14は共同してヘテロ環基を形成してもよい。
【0060】
前記一般式[A]で示されるヒドロキシルアミン系化合物の具体例は、米国特許3,287,125号、同33,293,034号及び同3,287,124号等に記載されているが、特に好ましい具体的例示化合物としては、特開平4−86741号明細書第36〜38頁記載の(A−1)〜(A−39)及び特開平3−33845号明細書第3〜6頁記載の(1)〜(53)及び特開平3−63646号明細書第5〜7頁記載の(1)〜(52)が挙げられる。
【0061】
次に前記一般式[B]で示される化合物の具体例は、特開平4−86741号明細書第40〜43頁記載の(B−1)〜(B−33)及び特開平3−33846号明細書第4〜6頁記載の(1)〜(56)が挙げられる。
【0062】
これら一般式[A]又は一般式[B]で示される化合物は、通常遊離のアミン、塩酸塩、硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、酢酸塩等の形で用いられる。
【0063】
本発明に用いられる発色現像剤及び黒白現像剤中には、保恒剤として亜硫酸塩を微量用いることができる。該亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム等が挙げられる。
【0064】
本発明に用いられる発色現像剤及び黒白現像剤には、緩衝剤が用いられ、緩衝剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ酸)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)等を挙げることができる。
【0065】
現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9019号及び米国特許3,813,247号等に表されるチオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号に表されるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号等に表される4級アンモニウム塩類、米国特許2,610,122号及び同4,119,462号記載のp−アミノフェノール類、米国特許2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許3,532,501号等に表されるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ピラゾリドン類、ヒドロジン類、メソイオン型化合物、イオン型化合物、イミダゾール類等を必要に応じて添加することができる。
【0066】
発色現像剤はベンジルアルコールを実質的に含有しないものが好ましい。実質的にとはカラー現像液1Lに換算して2.0ml以下、更に好ましくは全く含有しないことである。実質的に含有しない方が連続処理時の写真特性の変動、特にステインの増加が小さく、より好ましい結果が得られる。
【0067】
カブリ防止等の目的で塩素イオン及び臭素イオンが処理槽のカラー現像液中に必要である。本発明においては好ましくは塩素イオンとして1.0×10−2〜1.5×10−1モル/L、より好ましくは4×10−2〜1×10−1モル/L含有する。塩素イオン濃度が1.5×10−1モル/Lより多いと、現像を送らせ迅速に高い最大濃度を得るには好ましくない。また、1.0×10−2モル/L未満では、ステインが生じ、更には、連続処理に伴う写真性変動(特に最小濃度)が大きくなり好ましくない。従って固体処理剤は処理槽のカラー現像液が上記の濃度範囲になる様調整することが必要である。
【0068】
本発明において、処理槽中のカラー現像液中に臭素イオンを好ましくは3.0×10−3〜1.0×10−3モル/L含有する。より好ましくは5.0×10−3〜5×10−4モル/Lである。特に好ましくは1×10−4〜3×10−4モル/Lである。臭素イオン濃度が1×10−3モル/Lより多い場合、現像を遅らせ、最大濃度及び感度が低下し、3.0×10−3モル/L未満である場合、ステインを生じ、また連続処理に伴う写真性変動(特に最小濃度)を生じる点で好ましくない。これも塩素イオンと同様、固体処理剤中の臭素濃度を上記の範囲になる様調整することが必要である。
【0069】
発色現像剤に直接添加される場合、塩素イオン供給物質として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化カルシウム、塩化カドミウムが挙げられるが、そのうち好ましいものは塩化ナトリウム、塩化カリウムである。
【0070】
また、発色現像剤及び現像剤中に添加される蛍光増白剤の対塩の形態で供給されてもよい。臭素イオンの供給物質として、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化マンガン、臭化ニッケル、臭化カドミウム、臭化セリウム、臭化タリウムが挙げられるが、そのうち好ましいものは臭化カリウム、臭化ナトリウムである。
【0071】
本発明に用いられる発色現像剤及び現像剤には、必要に応じて、塩素イオン、臭素イオンに加えて任意のカブリ防止剤を添加できる。カブリ防止剤としては、沃化カリウムの如きアルカリ金属ハロゲン化物及び有機カブリ防止剤が使用できる。有機カブリ防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例として挙げることができる。
【0072】
本発明に用いられる発色現像剤及び現像剤にはトリアジニルスチルベン系蛍光増白剤を含有させることが本発明の目的の効果の点から好ましい。これらの化合物の添加量は発色現像液1L当り0.2g〜10gの範囲になる様に固体処理剤を調整することが好ましく、更に好ましくは0.4g〜5gの範囲である。
【0073】
さらに、本発明に用いられる発色現像剤及び黒白現像剤組成物には、必要に応じて、メチルセロソルブ、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、β−シクロデキストリン、その他特公昭47−33378号、同44−9509号各公報記載の化合物を現像主薬の溶解度を上げるための有機溶剤として使用することができる。
【0074】
さらに、現像主薬とともに補助現像剤を使用することもできる。これらの補助現像剤としては、例えばメトール、フェニドン、N,N−ジエチル−p−アミノフェノール塩酸塩、N,N,N′,N′−テトラメチル−p−フェニレンジアミン塩酸塩等が知られている。
さらにまた、その他ステイン防止剤、スラッジ防止剤、重層効果促進剤等各種添加剤を用いることができる。
【0075】
また発色現像剤及び黒白現像剤組成物には、特開平4−118649号公報第63頁下から第8行〜第64頁下から第3行に記載の下記一般式[K]で示されるキレート剤及びその例示化合物K−1〜K−22が添加されることが本発明の目的を効果的に達成する観点から好ましい。
【0076】
これらキレート剤の中でも、とりわけ、K−2、K−9、K−12、K−13、K−17、K−19が好ましく用いられ、とりわけ特に、K−2及びK−9が本発明の効果を良好に奏する。
【0077】
これらキレート剤の添加量は発色現像液及び黒白現像液1L当たり0.1〜20gの範囲になる様に固体処理剤に添加することが好ましく、より好ましくは0.2〜8gの範囲である。
【0078】
さらにまた上記発色現像剤及び黒白現像用固体処理剤にはアニオン、カチオン、両性、ノニオンの各界面活性剤を含有させることができる。
【0079】
また、必要に応じてアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を添加してもよい。
【0080】
本発明に係る漂白剤又は漂白定着剤に好ましく用いられる漂白主剤は有機酸の第2鉄錯塩である。
【0081】
有機酸の第2鉄錯塩は漂白能力が高い為に固形にする際の使用量が少なくても済み、軽量化、小型化の錠剤化が計れるばかりでなく錠剤化した時の錠剤の保存性が良くなるという効果があり、本発明に好ましく用いられる。
【0082】
以下に、有機酸の第2鉄錯塩の好ましい具体例を示す。
【0083】
【化3】
【0084】
【化4】
【0085】
これら(C−1)〜(C−12)の化合物の第2鉄錯塩としては、これらの第2鉄錯塩のナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩を任意に用いることができる。本発明の目的の効果及び溶解度の点からは、これらの第2鉄錯塩のアンモニウム塩が好ましく用いられる。
【0086】
前記化合物例の中で、本発明において特に好ましく用いられるものは、(C−1)、(C−3)、(C−4)、(C−5)、(C−9)であり、とりわけ特に好ましいものは(C−1)である。
【0087】
本発明において漂白剤又は漂白定着剤には、漂白主剤として上記一般式[C]で示される化合物の鉄錯塩以外に下記化合物の第2鉄錯塩等を用いることができる。
【0088】
〔A′−1〕エチレンジアミン四酢酸
〔A′−2〕トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸
〔A′−3〕ジヒドロキシエチルグリシン酸
〔A′−4〕エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸
〔A′−5〕ニトリロトリスメチレンホスホン酸
〔A′−6〕ジエチレントリアミンペンタキスメチレンホスホン酸
〔A′−7〕ジエチレントリアミン五酢酸
〔A′−8〕エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸
〔A′−9〕ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸
〔A′−10〕エチレンジアミンジプロピオン酸
〔A′−11〕エチレンジアミンジ酢酸
〔A′−12〕ヒドロキシエチルイミノジ酢酸
〔A′−13〕ニトリロトリ酢酸
〔A′−14〕ニトリロ三プロピオン酸
〔A′−15〕トリエチレンテトラミン六酢酸
〔A′−16〕エチレンジアミン四プロピオン酸
〔A′−17〕β−アラニンジ酢酸
【0089】
前記有機酸第2鉄錯塩の添加量は漂白液又は漂白定着液1L当り0.01モル〜2.0モルの範囲で含有することが好ましく、より好ましくは0.05〜1.5モル/Lの範囲である。従って、固体処理剤は処理槽中の漂白液又は漂白定着液の有機酸第2鉄錯塩の濃度が上記範囲になる様に調整することが必要である。
【0090】
漂白剤、漂白定着剤及び定着剤には、特開昭64−295258号明細書に記載のイミダゾール及びその誘導体又は同明細書記載の一般式[I]〜[IX]で示される化合物及びこれらの例示化合物の少なくとも一種を含有することにより迅速性に対して効果を奏しうる。
【0091】
上記の促進剤の他、特開昭62−123459号明細書の第51頁から第115頁に記載の例示化合物及び特開昭63−17445号明細書の第22頁から第25頁に記載の例示化合物、特開昭53−95630号、同53−28426号公報記載の化合物等も同様に用いることができる。
【0092】
漂白剤又は漂白定着剤には、上記以外に臭化アンモニウム、臭化カリウム、臭化ナトリウムの如きハロゲン化物、各種の蛍光増白剤、消泡剤あるいは界面活性剤を含有せしめることもできる。
【0093】
本発明における定着剤又は漂白定着剤に用いられる定着主剤としては、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩が好ましく用いられる。チオシアン酸塩の含有量は少なくとも定着液又は漂白定着液1L当り0.1モル/L以上が好ましく、カラーネガフィルムを処理する場合、より好ましくは0.5モル/L以上であり、特に好ましくは1.0モル/L以上である。またチオ硫酸塩の含有量は少なくとも0.2モル/L以上が好ましく、カラーネガフィルムを処理する場合、より好ましくは0.5モル/L以上である。また本発明においては、チオシアン酸塩とチオ硫酸塩を併用することにより更に効果的に本発明の目的を達成できる。
【0094】
本発明に用いられる定着剤又は漂白定着剤には、これら定着主剤の他に各種の塩から成るpH緩衝剤を単独或いは2種以上含むことができる。さらにアルカリハライドまたはアンモニウムハライド、例えば臭化カリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化アンモニウム等の再ハロゲン化剤を多量に含有させることが望ましい。またアルキルアミン類、ポリエチレンオキサイド類等の通常定着剤又は漂白定着剤に添加することが知られている化合物を適宜添加することができる。
【0095】
定着剤または漂白定着剤には、特開昭64−295258号明細書第56頁に記載の一般式[FA]で示される化合物及びこの例示化合物を添加するのが好ましく、本発明の効果をより良好に奏するばかりか、少量の感光材料を長期間にわたって処理する際に定着能を有する処理液(定着液又は漂白定着液)中に発生するスラッジも極めて少ないという別なる効果が得られる。
【0096】
同明細書記載の一般式[FA]で示される化合物は米国特許3,335,161号明細書及び米国特許3,260,718号明細書に記載されている如き一般的な方法で合成できる。これらの化合物はそれぞれ単独で用いてもよく、また2種以上組合せて用いてもよい。
【0097】
また、これらの化合物の添加量は定着液又は漂白定着液1L当り0.1g〜200gの範囲で好結果が得られる。
【0098】
本発明において安定液には第2鉄イオンに対するキレート安定度定数が8以上であるキレート剤を含有することが好ましい。ここにキレート安定度定数とは、L.G.Sillen・A.E.Martell著、”Stability Constants of Metal−ion Complexes”,TheChemical Society,London(1964)。S.Chaberek・A.E.Martell著、”Organic Sequestering Agents”,Wiley(1959)等により一般に知られた定数を意味する。
【0099】
第2鉄イオンに対するキレート安定度定数が8以上であるキレート剤としては特願平2−234776号、同1−324507号等に記載のものが挙げられる。
【0100】
上記キレート剤の使用量は安定液1L当り0.01〜50gが好ましく、より好ましくは0.05〜20gの範囲で良好な結果が得られる。
【0101】
また安定液に添加する好ましい化合物としては、アンモニウム化合物が挙げられる。これらは各種の無機化合物のアンモニウム塩によって供給される。アンモニウム化合物の添加量は安定液1L当り0.001モル〜2.0モルの範囲が好ましく、より好ましくは0.002〜1.0モルの範囲である。
【0102】
さらに安定剤には亜硫酸塩を含有させることが好ましい。
【0103】
さらにまた安定液には前記キレート剤と併用して金属塩を含有することが好ましい。かかる金属塩としては、Ba、Ca、Ce、Co、In、La、Mn、Ni、Bi、Pb、Sn、Zn、Ti、Zr、Mg、Al又はSrの金属塩があり、ハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩等の無機塩又は水溶性キレート剤として供給できる。使用量としては安定液1L当り1×10−4〜1×10−1モルの範囲が好ましく、より好ましくは4×10−4〜2×10−2モルの範囲である。
【0104】
また安定液には、有機酸塩(クエン酸、酢酸、コハク酸、シュウ酸、安息香酸等)、pH調整剤(リン酸塩、ホウ酸塩、塩酸、硫酸塩等)等を添加することができる。なお本発明においては公知の防黴剤を本発明の効果を損なわない範囲で単用又は併用することができる。
【0105】
又、安定液には脱イオン水を用いることが好ましく、更に低補充化の為に逆浸透膜を用い、塩濃度の高い液を定着又は漂白定着液、安定液の最前槽に戻し、塩濃度の低い液を安定液の最終槽に戻す方法等も本発明を実施する上での好ましい態様である。
【0106】
本発明の白黒用現像錠剤に用いることができる現像主薬としては、レダクトン類を含有することが好ましい。
以下にレダクトン類の具体例を示す。
【0107】
【化5】
【0108】
【化6】
【0109】
【化7】
【0110】
レダクトン類のうち、特にD−1で示されるアスコルビン酸及び/又はエリソルビン酸(立体異性)及びそれらの塩が好ましい。
【0111】
更に以下のような現像主薬を含有しても良い。ジヒドロキシベンゼン類(例えば、ハイドロキノン、クロロハイドロキノン、ブロモハイドロキノン、ジクロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジクロロハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸カリウム、ハイドロキノンモノスルホン酸ナトリウムなど)3−ピラゾリドン類(例えば、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−エチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−5−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−2−アセチル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−(2−ベンゾチアゾール)−3−ピラゾリドン、3−アセトキシ−1−フェニル−3−ピラゾリドンなど)、アミノフェノール類(例えば、o−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−メチル−o−アミノフェノール、N−メチル−p−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノールなど)、1−アリル−3−アミノピラゾリン類(例えば、1−(p−ヒドロキシフェニル)−3−アミノピラゾリン、1−(p−メチルアミノフェニル)−3−アミノピラゾリン、1−(p−アミノ−m−メチルフェニル)−3−アミノピラゾリンなど)、ピラゾロン類(例えば、4−アミノピラゾロン)など、或いはこれらの混合物などが挙げられる。
【0112】
固体現像剤は亜硫酸塩及び/又はメタ重亜硫酸塩を含有することが好ましい。更に固体現像剤を溶解し現像液とした場合の液中の亜硫酸塩量は0.05モル/L以上0.3モル/L未満、更に0.1モル/L以上0.3モル/L未満が好ましい。
【0113】
その他、緩衝剤として(例えば炭酸塩、硼酸、硼酸塩、アルカノールアミンなど)、アルカリ剤、溶解助剤(ポリエチレングリコール類、及びこれらのエステルなど)、pH調整剤(例えばクエン酸のごとき有機酸など)、増感剤(例えば四級アンモニウム塩など)、現像促進剤、硬膜剤(例えばグルタールアルデヒドなどのジアルデヒド類)、界面活性剤、更にカブリ防止剤としてアゾール系有機カブリ防止剤(例えばインダゾール系、イミダゾール系、ベンツイミダゾール系、トリアゾール系、ベンツトリアゾール系、テトラゾール系、チアジアゾール系)、処理液に用いられる水道水中に混在するカルシウムイオンを隠蔽するための隠蔽剤ヘキサメタ燐酸ナトリウム、ヘキサメタ燐酸カルシウム、ポリ燐酸塩、ヂエチレントリアミン5酢酸等を含有させても良い。更に銀汚れ防止剤、例えば特開昭56−24347号記載の化合物を用いることもできる。
【0114】
固体現像剤で得られる現像液のpHは10.5以下の範囲のものが好ましく、更に好ましくは9〜10.0の範囲である。
固体現像剤で得られる現像液には、特開昭56−106244号に記載のアルカノールアミンなどのアミノ化合物を用いることができる。
【0115】
この他、本発明の固体現像剤で得られる現像液にはL.F.A.メソン著「フォトグラフィック・プロセッシング・ケミストリー」フォーカル・プレス社刊(1966年)の22〜229頁、米国特許第2,193,015号、同2,592,364号、特開昭48−64933号などに記載のものを用いてよい。
【0116】
一方、アルカリ剤としては緩衝作用を有する炭酸塩が好ましい。炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等が挙げられる。更に、現像処理液中の炭酸塩量は、0.3モル/L以上0.8モル/L未満が好ましい。
【0117】
次に本発明に用いられる定着液について述べる。
本発明に用いられる定着液は、固体処理剤を調製し、溶解して調液することが好ましい。定着剤としては、定着主薬としてチオ硫酸塩を含有することが好ましい。チオ硫酸塩は、具体的には、リチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウムの塩として用いられるが、好ましくは、チオ硫酸アンモニウム及びチオ硫酸ナトリウム塩として用いることにより、定着速度の速い定着液が得られる。
【0118】
その他、定着主薬として沃化物塩やチオシアン酸塩なども用いることができる。本発明に用いられる定着液は、亜硫酸塩を含有する。亜硫酸塩としては、固体リチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム塩等が用いられる。
【0119】
本発明に用いられる定着液は、水溶性クロム塩又は水溶性アルミニウム塩等を含有しても良い。水溶性クロム塩としてはクロム明ばんなどが挙げられ、水溶性アルミニウム塩としては硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムカリウム、塩化アルミニウムなどを挙げることができる。
【0120】
本発明に用いられる定着液は酢酸イオンを含有する。酢酸イオンの種類は任意で、定着液中での酢酸イオンを解離する任意の化合物に対して本発明は適用できるが、酢酸や酢酸のリチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム塩などが好ましく用いられ、特にナトリウム塩、アンモニウム塩が好ましい。
【0121】
更に、クエン酸、酒石酸、りんご酸、琥珀酸、フェニル酢酸及びこれらの光学異性体などが含まれてもよい。
【0122】
これらの塩としては例えばクエン酸カリウム、クエン酸リチウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸アンモニウム、酒石酸水素リチウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸水素アンモニウム、酒石酸アンモニウムカリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、りんご酸ナトリウム、りんご酸アンモニウム、琥珀酸ナトリウム、琥珀酸アンモニウムなどに代表されるリチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム塩などが好ましい物として挙げられる。
【0123】
前記化合物の中でより好ましいものとしては、クエン酸、イソクエン酸、りんご酸、フェニル酢酸及びこれらの塩である。その他の酸としては、例えば硫酸、塩酸、硝酸、硼酸のような無機酸の塩や、蟻酸、プロピオン酸、シュウ酸などの有機酸類などが挙げられるが、好ましくは硼酸、アミノポリカルボン酸類などの酸及び塩である。
【0124】
キレート剤としては、例えばニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸などのアミノポリカルボン酸類及びこれらの塩などが挙げられる。
【0125】
界面活性剤としては、例えば硫酸エステル化物、スルホン化物などのアニオン活性剤、ポリエチレングリコール系、エステル系などのノニオン界面活性剤、両性活性剤などが挙げられる。湿潤剤としては、例えばアルカノールアミン、アルキレングリコールなどが挙げられる。
【0126】
定着促進剤としては、チオ尿素誘導体、分子内に三重結合を有するアルコール、チオエーテルなどが挙げられる。
【0127】
本発明においては、前記混合粒子群のうち酸を含有する粒子については、下記A群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、アルカリを含有する粒子については、下記B群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有しており、この場合、中和反応の発生がおこり易く、本発明の効果がより良好に発現される。
【0128】
A群:
N−[2−(4−Amino−N−ethyl−m−toluidino)ethyl]−methane−sulfonamide sesquisulfate hydrate、
2−[(4−Amino−m−tolyl)ethylamino]ethanol sulfate、
2[(4−Aminophenyl)ethylamino]ethanol sulfate、
アスコルビン酸、
コハク酸、
マレイン酸、
エチレンジアミン四酢酸及びその鉄錯塩、
1,3−プロパンジアミン四酢酸及びその鉄錯塩、
ジエチレントリアミン五酢酸及びその鉄錯塩、
エチレンジアミンジコハク酸及びその鉄錯塩。
【0129】
B群:
炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、1,3−プロパンジアミン四酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸塩、エチレンジアミンジコハク酸塩、酢酸塩、アスコルビン酸塩。
【0130】
前記粒子が内部に含有する気体の窒素ガス含有率が90%以上であるハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の場合、含有成分が酸素と接触する機会が減少することから、酸化反応による含有成分の劣化が抑制され長期保存安定性が向上し、その結果、気泡を内包している粒子形状も長期に維持されることから、本発明の効果に対してより好ましい。
【0131】
粒子に内包される気体の窒素含有率を高める手段としては、例えば、前述の粒子を製造する工程において用いられる噴霧乾燥における装置の内部を窒素ガスで置換する方法を用いることが出来る。
【0132】
次に、本発明に好ましく用いられる包装材料について説明する。
本発明の固体処理剤の防湿包装として用いる合成樹脂材質としては、ポリエチレン(高圧法、低圧法どちらでもよい)、ポリプロピレン(無延伸、延伸どちらでもよい)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ナイロン(延伸、無延伸)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ビニロン、エバール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、その他のポリエステル、塩酸ゴム、アクリロニトリルブタジエン共重合体、エポキシ−リン酸系樹脂(特開昭63−63037号に記載のポリマー、特開昭57−32952号記載のポリマー)の何であってもよい。又はパルプでも良い。
【0133】
これらは通常、そのフィルムを積層接着するが、塗布層としてもよい。
さらには、例えば上記の合成樹脂フィルムの間にアルミ箔またはアルミ蒸着合成樹脂を使用するなど、各種ガスバリアー膜を用いると、より好ましい。
【0134】
また、これらの積層膜の合計の酸素透過率は50ml/m224hr/atm以下(20℃65%RHで)、より好ましくは30ml/m224hr/atm以下であることが好ましい。
これらの積層膜の膜厚の合計は、1〜2000μm、より好ましくは10〜1000μm、さらに好ましくは50〜1000μmであることが好ましい。
【0135】
以上の合成樹脂フィルムは1層の(高分子)樹脂膜であってもよいし、2以上の積層(高分子)樹脂膜であってもよい。
【0136】
本発明において好ましい1層の高分子樹脂膜としては、例えば、
(1) 厚さ0.1mm以上のポリエチレンテレフタレート(PET)
(2) 厚さ0.3mm以上のアクリロニトリルブタジエン共重合体
(3) 厚さ0.1mm以上の塩酸ゴム
等が挙げられ、中でもポリエチレンテレフタレートは耐アルカリ性、耐酸性の点でも優れているため、本発明に好適に用い得る。
【0137】
次に、本発明において好ましい積層の高分子樹脂膜としては、例えば、
(4) PET/ポリビニルアルコール・エチレン共重合体(エバール)/ポリエチレン(PE)
(5) 延伸ポリプロピレン(OPP)/エバール/PE
(6) 未延伸ポリプロピレン(CPP)/エバール/PE
(7) ナイロン(N)/アルミ箔(Al)/PE
(8) PET/Al/PE
(9) セロファン/PE/Al/PE
(10)Al/紙/PE
(11)PET/PE/Al/PE
(12)N/PE/Al/PE
(13)紙/PE/Al/PE
【0138】
(14)PET/Al/PET/ポリプロピレン(PP)
(15)PET/Al/PET/高密度ポリエチレン(HDPE)
(16)PET/Al/PE/低密度ポリエチレン(LDPE)
(17)エバール/PP
(18)PET/Al/PP
(19)紙/Al/PE
(20)PE/PVDCコートナイロン/PE/エチルビニルアセテート・ポリエチレン縮合物(EVA)
(21)PE/PVDCコートN/PE
(22)EVA/PE/アルミ蒸着ナイロン/PE/EVA
(23)アルミ蒸着ナイロン/N/PE/EVA
【0139】
(24)OPP/PVDCコートN/PE
(25)PE/PVDCコートN/PE
(26)OPP/エバール/LDPE
(27)OPP/エバール/CPP
(28)PET/エバール/LDPE
(29)ON(延伸ナイロン)/エバール/LDPE
(30)CN(未延伸ナイロン)/エバール/LDPE
(31)OPP/CPP
(32)OPP/LDPE
(33)OPP/HDPE
(34)OPP/N/CPP
(35)OPP/一軸延伸ナイロン/LDPE
(36)OPP/PET/CPP
等があり、中でも上記(20)〜(36)が好ましく用いられる。
【0140】
さらに具体的な包装材料の構成としては処理剤に接する側を内面とすれば、内面から順に、PE/主体となる板紙/PE/Al/エポキシ−リン酸系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/PEPE/K−ナイロン/PEまたは接着剤/Al/PE/板紙/PEPE/ビニロン/PEまたは接着剤/Al/PE/板紙/PEPE/塩化ビニリデン/PEまたは接着剤/Al/PE/板紙/PEPE/ポリエステル/PEまたは接着剤/Al/PE/板紙/PEポリプロピレン/K−ナイロン/ポリプロピレン/Al/ポリプロピレン/板紙/ポリプロピレンなどがある。
【0141】
固体処理剤を防湿包装する方法としては、4方シール、3方シール、スティック(ピロー包装、ガゼット包装)、PTP(ブリスター包装)、カートリッジがある。
【0142】
4方シール、3方シール、スティック(ピロー、ガゼット)包装は形態の違いであり前記材料が用いられる。ただしピールオープン方式に利用するときはシーラント剤をラミネートしピールオープン適性を持たせる。
【0143】
このピールオープンの方式には、通常、凝集破壊方式、界面剥離方式、層間剥離方式がある。
【0144】
凝集破壊方式はホットメルトと言われる接着剤で、ヒートシールラッカーでシール剤として用いる方式であり、開封時にシーラント層の内部凝集破壊により剥離するものである。
【0145】
界面活性剥離方式はフィルム間の界面で剥離する方式であり、シール用フィルム(シーラント)と被着体が完全に融着しておらず適度の強度で剥がせるものであり、シーラントとしては粘着性の樹脂を混合したフィルムであり、被着体の材質によりポリエチレン、ポリプロピレン又はその共重合体、ポリエステル系等を選択することができる。
【0146】
さらにシーラントをラミネートフィルムのような多層共押出しフィルムを使い、ラミネートフィルムの層間で剥離するのが層間剥離方式である。
【0147】
本発明のフィルムを用いたピールオープン方式では層間剥離方式又は界面剥離方式が好ましい。
【0148】
また、このようなシーラントは薄いため、通常他のフィルムたとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、ポリ塩化ビニル、ナイロン、エバール、アルミニウムなどをラミネートして使用するが、防湿性、環境対応及び内容物のマッチングを考えるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エバール等が好ましい。また印刷性を考慮すると最外面は無延伸ポリプロピレンポリエステル、紙などが好ましい。
【0149】
シーラントフィルムとしては、たとえばトーセロ製、CMPSフィルム、大日本インキ製ディフランPP−100、PS−300又は凸版印刷製のLTSフィルム、サンエー化学製サンシールFR、サンシールMS等があり、すでにポリエステルとラミネートされているタイプとしてはディクランC−1600T、C−1602Tなどがある。
【0150】
PTPはブリスター包装の一種で成形されたPVC、CPPなどのシートに固体処理剤を入れアルミシール材でヒートシールした包装形態である。
【0151】
形成材として環境上PVCは使用しない方向にあり最近はA−PETや高防湿PP(例えばTAS−1130、TAS−2230、TAS−3230:大成化工社製)が好ましく用いられる。
【0152】
処理剤を水溶性フィルムで包装する場合、水溶性フィルムは、ポリビニルアルコール系、メチルセルロース系、ポリエチレンオキサイド系、デンプン系、ポリビニルピロリドン系、ヒドロキシプロピルセルロース系、プルラン系、デキストラン系及びアラビアガム系、ポリ酢酸ビニル系、ヒドロキシエチルセルロース系、カルボキシエチルセルロース系、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウム塩系、ポリ(アルキル)オキサゾリン系、ポリエチレングリコール系の基材からなるフィルムが好ましく用いられ、これらの中でも、特にポリビニルアルコール系及びプルラン系のものが好ましく用いられる。
【0153】
好ましいポリビニルアルコールは極めて良好なフィルム形成材料であり、ほとんどの条件下で良好な強度及び柔軟性を有する。フィルムとして注型する市販のポリビニルアルコール組成物は分子量及び加水分解の程度が様々であるが、分子量が約10000ないし約100000であることが好ましい。加水分解の程度とは、ポリビニルアルコールの酢酸エステル基が水酸基に置換される割合である。フィルムに適用するには、加水分解の範囲は通常約70%から100%までである。このように、ポリビニルアルコールという言葉は通常ポリ酢酸ビニル化合物を含む。
【0154】
これら、水溶性フィルムの製造法は、例えば、特開平2−124945号、特開昭61−97348号、同60−158245号、特開平2−86638号、特開昭57−117867号、特開平2−75650号、特開昭59−226018号、同63−218741号及び同54−13565号等に記載されるが如き一般的な方法で製造される。
【0155】
更にこれら水溶性フィルムはソルブロン(アイセロ化学社製)、ハイセロン(日合フィルム社製)、或いはプルラン(林原社製)の名称で市販されているものを用いることができる。また、クリス・クラフト・インダストリーズ(Chris Craft Industries)Inc.のMONO−SOL部門から入手できる7−000シリーズのポリビニルアルコールフィルムは、約34度Fないし約200度Fの水温において溶解し、無害で、高度の化学的抵抗性を示すものであり、特に好ましく用いられる。
【0156】
上記水溶性フィルムの膜厚は固体処理剤の保存安定性、水溶性フィルムの溶解時間及び自動現像機内での結晶析出の点で10〜120μmのものが好ましく用いられ、特に15〜80μmのものが好ましく、とりわけ特に20〜60μmのものが好ましく用いられる。
【0157】
また、水溶性フィルムは熱可塑性であることが好ましい。これは、ヒートシール加工や超音波溶着加工が容易となるだけでなく、被覆効果もより良好に奏するためである。
【0158】
更に、水溶性フィルムの引張り強度は0.5×106〜50×106kg/m2が好ましく、特に1×106〜25×106kg/m2が好ましく、とりわけ特に1.5×106〜10×106kg/m2が好ましい。これら引張り強度はJIS Z−1521に記載される方法で計測される。
【0159】
又、本発明の実施においては、防湿包装材が、分解性プラスチック、特に生分解又は光分解性プラスチックのものを用いることも好ましい。
【0160】
前記生分解性プラスチックは、(1)天然高分子からなるもの、(2)微生物産出ポリマー、(3)生分解性のよい合成ポリマー、(4)プラスチックへの生分解性天然高分子の配合等が挙げられ、光分解性プラスチックは、(5)紫外線で励起され、切断に結びつく基が主鎖に存在するもの等が挙げられる。更に上記に掲げた高分子以外にも光分解性と生分解性との二つの機能を同時に有したものも良好に使用できる。
【0161】
これらの具体的代表例をそれぞれ挙げると、以下のようになる。
生分解性プラスチックとしては、(1)天然高分子多糖類、セルロース、ポリ乳酸、キチン、キトサン、ポリアミノ酸、或いはその修飾体等、(2)微生物産出ポリマーPHB−PHV(3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバレレートとの共重合物)を成分とする「Biopol」、微生物産出セルロース等、(3)生分解性のよい合成ポリマーポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン等、或いはそれらの共重合物ないし混合物、(4)プラスチックへの生分解性天然高分子の配合生分解性のよい天然高分子としては、デンプンやセルロースがあり、プラスチックに加え形状崩壊性を付与したものである。
【0162】
また、(5)の光分解性の例としては、光崩壊性のためのカルボニル基の導入等があり、更に崩壊促進のために紫外線吸収剤が添加されることもある。
【0163】
この様な分解性プラスチックについては、「科学と工業」第64巻第10号第478〜484頁(1990年)、「機能材料」1990年7月号第23〜34頁等に一般的に記載されるものが使用できる。また、Biopol(バイオポール)(ICI 社製)、Eco(エコ)(Union Carbide社製)、Ecolite(エコライト)(EcoPlastic社製)、Ecostar(エコスター)(St.Lawrence Starch社製)、ナックルP(日本ユニカー社製)等の市販されている分解性プラスチックを使用することができる。
【0164】
本発明の混合粒子群が酸素透過率30ml/(m2・day・atm)以下の包材に密封されているハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の場合、外部からの酸素の侵入が減少するため、含有成分が酸素と接触する機会が減少することから、酸化反応による含有成分の劣化が抑制され長期保存安定性が向上し、粒子の形状も維持されるため、本発明の効果に対しより好ましい。
【0165】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤を用いて、ハロゲン化銀写真感光材料を処理する処理方法は、前述の従来技術の有する解決すべき課題に対し、非常に好ましい。
【0166】
例えば、一般に市販されている自動現像機に、従来の濃縮液タイプの処理剤を希釈溶解し備蓄するために装備されているタンク(通常補充液タンクと称する)に本発明の固体処理剤を投入した場合、粒子が水中で分散したのち瞬時に溶解し、均一な溶液となり、すぐに写真処理用の補充液として使用することが可能な状態となる。補充液が仕上がるための待ち時間が無いこと、かつ、処理剤が軽量コンパクトであること、複雑な処理剤の添加溶解基準が無いことなどから、作業者の現像処理作業の負担を軽減することが出来る。また、液漏れの心配もないことから包装材料は簡素化され、かつコンパクト化されているため破棄される包装材料も少なく、地球環境保護の観点からも好ましい。
【0167】
又、本発明の固体処理剤を自動現像機の処理槽に直接投入して処理液とする場合においても、前述の方法と同様、瞬時に溶解するため、溶け残りもなく、好ましく用いることが出来る。
【0168】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0169】
実施例1
(カラーペーパー用発色現像剤の作製)
以下に記載する方法に従って、本発明のカラーペーパー用発色現像剤を作製した。
【0170】
水溶液A(酸含有水溶液)の作製
N−[2−(4−Amino−N−ethyl−m−toluidino)e
thyl]−methane−sulfonamide sesquisulf
ate hydrate(本発明における酸) 14.50kg
Disulfoethyl hydroxylamine−2−sodium
−salt 8.10kg
純水 15.07kg
以上を完全に溶解するまで撹拌し、水溶液とした。固形分濃度は60重量%であった。
【0171】
上記水溶液を、スプレードライヤL−8(大川原化工機社製)を用いて、噴霧乾燥を行い、粒子A−1を得た。
【0172】
水溶液B(アルカリ含有水溶液)の作製
チノパールSFP(チバスペシャルティ社製) 3.00kg
パラトルエンスルホン酸ソーダ(本発明におけるアルカリ)13.00kg
亜硫酸ソーダ(本発明におけるアルカリ) 0.35kg
水酸化リチウム(本発明におけるアルカリ) 3.50kg
炭酸カリウム(本発明におけるアルカリ) 29.70kg
ジエチレントリアミン五酢酸・五ナトリウム塩
(本発明におけるアルカリ) 6.00kg
純水 34.70kg
以上を完全に溶解するまで撹拌し、水溶液とした。固形分濃度は60重量%であった。
【0173】
上記水溶液を、スプレードライヤL−8(大川原化工機社製)を用いて、噴霧乾燥を行い、粒子B−1を得た。
【0174】
次に、粒子A−1と粒子B−1をレーディゲミキサー(松坂技研社製)を用いて以下の重量比率で3分間混合し、現像剤混合粒子群AB−1とした。
【0175】
粒子A−1 28.92重量%
粒子B−1 71.08重量%
次に、以下に示す方法に従って、比較例の粒子を作製した。
【0176】
水溶液Cの作製
以上を完全に溶解するまで撹拌し、水溶液とした。固形分濃度は60重量%であった。
【0177】
上記水溶液を、スプレードライヤL−8(大川原化工機社製)を用いて、噴霧乾燥を行い、粒子C−1を得た。これを現像剤粒子群C−1とした。
又、以下に示す方法に従って、比較例の粒子を作製した。
【0178】
N−[2−(4−Amino−N−ethyl−m−toluidino)e
thyl]−methane−sulfonamide sesquisulf
ate hydrate(本発明における酸) 14.50kg
Disulfoethyl hydroxylamine−2−sodium
−salt 8.10kg
【0179】
以上をV型混合機で15分間混合したのち、ブリケッタ(新東工業社製)を用いて圧縮成型後、スピードミル(岡田精工社製)を用いて解砕したのち、振動ふるい機で分級して前記粒子A−1と同じ粒子径を有する粒子D−1を得た。
【0180】
チノパールSFP(チバスペシャルティ社製) 3.00kg
パラトルエンスルホン酸ソーダ(本発明におけるアルカリ)13.00kg
亜硫酸ソーダ(本発明におけるアルカリ) 0.35kg
水酸化リチウム(本発明におけるアルカリ) 3.50kg
炭酸カリウム(本発明におけるアルカリ) 29.70kg
ジエチレントリアミン五酢酸・五ナトリウム塩
(本発明におけるアルカリ) 6.00kg
【0181】
以上をV型混合機で15分間混合したのち、ブリケッタ(新東工業社製)を用いて圧縮成型後、スピードミル(岡田精工社製)を用いて解砕したのち、振動ふるい機で分級して前記粒子B−1と同じ粒子径を有する粒子E−1を得た。
【0182】
次に、粒子D−1と粒子E−1をレーディゲミキサー(松坂技研社製)を用いて以下の重量比率で3分間混合し、現像剤混合粒子群DE−1とした。
【0183】
粒子D−1 28.92重量%
粒子E−1 71.08重量%
さらに、以下に示す方法で、比較例の粒子を作製した。
【0184】
N−[2−(4−Amino−N−ethyl−m−toluidino)e
thyl]−methane−sulfonamide sesquisulf
ate hydrate(本発明における酸) 14.50kg
Disulfoethyl hydroxylamine−2−sodium
−salt 8.10kg
チノパールSFP(チバスペシャルティ社製) 3.00kg
パラトルエンスルホン酸ソーダ(本発明におけるアルカリ)13.00kg
亜硫酸ソーダ(本発明におけるアルカリ) 0.35kg
水酸化リチウム(本発明におけるアルカリ) 3.50kg
炭酸カリウム(本発明におけるアルカリ) 29.70kg
ジエチレントリアミン五酢酸・五ナトリウム塩
(本発明におけるアルカリ) 6.00kg
【0185】
以上をV型混合機で15分間混合したのち、ブリケッタ(新東工業社製)を用いて圧縮成型後、スピードミル(岡田精工社製)を用いて解砕したのち、振動ふるい機で分級して前記粒子C−1と同じ粒子径を有する粒子F−1を得た。これを現像剤粒子F−1とした。
【0186】
以上、作製した粒子群AB−1、C−1、DE−1、F−1は、全て同じ平均粒径を有していた。又、マイクロスコープで観察したところ、粒子群AB−1,C−1は、気泡を含有する粒子で構成されていたが、粒子群DE−1,F−1は、気泡を含有しない粒子で構成されていた。
【0187】
これら作成した粒子群を用いて、溶解性の評価を実施した。10リットルの20℃の純水に対して800gの現像剤粒子群を投入し、その後の溶解の様子を観察した。その結果を表1に示す。
【0188】
更に溶解性評価後の液を補充液として用いて、プリンタプロセッサー、コニカ社製自動現像機NPS−808QAにて、感光材料コニカカラーQAペーパータイプA7を連続現像処理した。処理量としては、処理槽の液が完全に補充液で置き換わる相当の補充がなされる迄、現像処理を実施した。そして現像処理された後の感光材料の最大露光部のイエロー、マゼンタ、シアン濃度(Dmax)を測定した。その結果を表2に示す。
【0189】
【表1】
【0190】
【表2】
【0191】
表1から分かるとおり本発明の現像剤粒子群は、著しく良好な溶解挙動を示す。又、表2から、連続現像処理において安定した処理性能を示していることが分かる。
【0192】
実施例2
次に、実施例1に示した現像剤混合粒子群AB−1と同様の手順で、噴霧乾燥の条件のみを種々変更して、気泡径と粒子径の比、嵩密度、を変化させて本発明の現像剤混合粒子群AB−2〜AB−10を作製した。
【0193】
これらの現像剤混合粒子群について、実施例1と同様な方法で溶解性の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0194】
【表3】
【0195】
この結果から、気泡径と粒子径の比は、大きい方が好ましく、嵩密度は、小さい方が好ましいことが分かった。
【0196】
実施例3
次に、実施例1に示した現像剤混合粒子群AB−1と同様の手順で、噴霧乾燥の条件のみを種々変更して、平均粒径を変化させて本発明の現像剤混合粒子群AB−11〜AB−15を作製した。
【0197】
これらの現像剤混合粒子群について、実施例1と同様な方法で溶解性の評価を実施した。その結果を表4に示す。
【0198】
【表4】
【0199】
この結果から分かるとおり、平均粒径が100〜1500μmの間で、より良好な溶解性を有している。
【0200】
実施例4
次に、実施例1の現像剤混合粒子群AB−1と同様の方法で噴霧乾燥装置の雰囲気下を窒素置換し、粒子に内包された気泡の窒素含有率を変化させて現像剤混合粒子群AB−16〜AB−17を作製した。
【0201】
又、これらの現像剤混合粒子群を酸素透過率の異なる種々の包装材料に包装して、50℃の環境下で1ヶ月間保存をおこなった。その後、実施例1と同様の方法で溶解性の評価を実施した。その結果を表5に示す。
【0202】
【表5】
【0203】
この結果から、粒子に内包された気泡の窒素ガス含有率の大きい方が、保存による溶解性の劣化が少なく、本発明の効果を良好に維持することが分かる。又、酸素透過率の小さい包装材料を用いて包装した方が、保存による溶解性の劣化が少なく、本発明の効果を良好に維持することが分かる。
【0204】
【発明の効果】
本発明の固体混合粒子群は、水中に投入後、直ぐに沈降して一カ所に固まること無く、素早く溶解するという効果が達成され、ハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤として用いる場合、従来の濃縮液タイプの処理剤に比べ、固体化することで、コンパクト、軽量で、溶解手順も簡略であり、廃棄包材の量も少ないというメリットと、コスト高となる溶解促進装置を必要とせず、既存の自動現像機にて、素早く溶解し均一な処理液となる高速溶解性に優れたというメリットを併せ持つことから、コスト上、性能上、顕著な効果が発揮される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤及びこれを用いた処理方法に関する
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀写真感光材料用の処理剤は、長年にわたり、1つないし複数種の濃縮液の形態で、ユーザーに提供され、ユーザーは、あらかじめ添加順序、添加水量が詳細に定められた調薬方法に従い希釈溶解した後に写真用の処理液に補充するか、または、そのまま処理液として使用するといった形態がとられてきた。このような形態の場合、濃縮液とはいえどもボリューム、重量が大きくて扱いづらい、物流費がかさむ、又作業者が調薬方法を間違えやすく、写真の性能に重大な影響を与える、さらには、作業者の衣服、手あるいは、床などに液が飛び散り汚染するといった不具合が存在した。
【0003】
このため、作業者への負担が大きく、ある程度の熟練、知識が必要であった。またボトル容器、段ボールなどの包装容器の廃棄量が多く環境に対する影響が大きかった。
【0004】
そこで、近年、このような問題を解決するために、処理剤を固体化し、ボリューム、重量の低減し、且つ溶解方法の簡略化、あるいは、作業者が溶解作業を行わないようにした処理方法の提案がなされてきた。例えば、コニカ社製TCプロセッシングシステムでは、錠剤化された処理剤を溶解装置(ケミカルミキサー)に一括投入して溶解し補充液として処理槽に供給するといった方法が行われている。このシステムでは、処理剤の重量、ボリュームが大幅に削減、包材の廃棄量も削減、作業者がマニュアルに沿って行う溶解作業が不要となり、それまでの濃縮液タイプの処理剤の有していた問題が解決された。
【0005】
しかしながらこの方式では、錠剤を溶解するために特別に液の撹拌機構の設けられた溶解装置が必要であるため装置費用がかかるのと、固形錠剤であるため溶解完了までの時間がかかることから現像機の立ち上げに時間が長くかかるといった課題があった。
【0006】
コニカエコジェットシステムでは、錠剤化された処理剤を、規定された補充レートで現像処理槽に直接投入するという方式が行われている。しかしながら、これも錠剤の投入溶解機構が特別に必要となるため装置費用がかかるという問題があった。又上記のシステムに用いる錠剤は、その現像機専用の処理剤であるため、広く既存の現像機に用いることは出来ず、汎用性が無かった。
【0007】
そこで、特別な投入溶解促進機構(液循環、機械的撹拌装置 等)をもたない濃縮液タイプの処理剤を用いる既存の自動現像機において、速やかに溶解して使用できるコンパクトな固体処理剤を提供することが、作業性、コンパクト性、廃棄物削減面といった処理剤のメリットと、装置コストの面、汎用性という装置面のメリットという両面から望まれてきた。
【0008】
そこで、この要望に応えるべく、まず従来の固体処理剤(錠剤、顆粒剤、粉剤)の処理剤を既存の自動現像機の補充タンク内で溶解することを試みたが、いずれの固体処理剤も満足のいく溶解性能は得られなかった。例えば、従来の濃縮液タイプ処理剤に比べ、溶解するのに大幅に長い時間が必要になったり、水中で固形分が分散せずに、沈降して一カ所に固まり、長時間経っても溶けないような現象が起こってしまった。そして、得られた溶液は、写真処理に必要な成分が、規定量含まれていないため、所望の処理性能が得られなかった。
【0009】
従来、錠剤の形態をしている添加剤を、現像処理された感光材料を水洗する水洗槽へ補充する液を貯留する槽に直接添加し溶解する方法が知られている(特許文献1参照)。又、この錠剤を溶けやすくするために発泡剤を加えるのがよいことも知られている。この発泡剤としては、有機酸(クエン酸、酒石酸)に炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムを加えたものが用いられている。
【0010】
しかしながら、この発泡剤による発泡で錠剤を崩壊せしめる作用は、錠剤自体の形状を崩壊せしめる作用はあるが、該錠剤を構成する1つ1つの粒子の崩壊を促進する作用はなく、個々の粒子は、内部まで密に充填されており、水が浸透する為には長時間を要するため、水中に長時間滞留し、速やかに溶解されるという類のものではなかった。
【0011】
一方、洗剤の分野では、高速溶解性の固形状洗剤に関する技術として、用いられる洗剤粒子群が、粒子内部に気泡を含有することが知られている(特許文献2参照)。高速溶解性を得る機構としては、粒子が水に溶解する過程において、先ず少量の水が粒子に侵入した際、内部の気泡が放出され、次いで、該粒子内部に大量の水が侵入することによって1つ1つの粒子自体が崩壊し、表面近傍からの溶解のみならず、粒子内部からの溶解及び崩壊が起ることが特徴となっている。そして、機械的な撹拌機構を有する市販の二槽式洗濯機で用いれば、速やかに溶解する性能が得られている。
【0012】
しかしながら、この溶解機構を用いても、前述のような、溶解促進機構を有しない既存の自動現像機で、水中に粒子を投入しただけでは、十分満足のいく溶解性能は得られなかった。
【0013】
【特許文献1】特開昭63−199357号
【特許文献2】特開2000−355698
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、コスト高となる溶解促進装置を必要とせず、既存の濃縮液タイプの処理剤を使用する自動現像機であっても、水中に投入後、直ぐに沈降して1カ所に固まること無く、素早く溶解し均一な処理液となる高速溶解性のハロゲン化銀写真用固体処理剤及びこれを用いた処理方法を提供することである。本発明の別なる課題は、処理安定性の高いハロゲン化銀写真用固体処理剤及びこれを用いた処理方法の提供にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、下記構成によって達成される。
1.少なくとも1種の酸を含有する粒子と、少なくとも1種のアルカリを含有する粒子の混合粒子群によって構成されるハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤であって、前記混合粒子群の粒子の内部に気泡を内包していることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
【0016】
2.前記気泡の径が粒子径の1/10以上であることを特徴とする前記1に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
【0017】
3.前記固体処理剤の嵩密度が、1g/ml以下であることを特徴とする前記1又は2に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
【0018】
4.前記少なくとも1種の粒子の平均粒径が、100〜1500μmであることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
【0019】
5.前記混合粒子群のうち少なくとも1種の酸を含有する粒子が、下記A群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、少なくとも1種のアルカリを含有する粒子が、下記B群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
【0020】
A群:
N−[2−(4−Amino−N−ethyl−m−toluidino)ethyl]−methane−sulfonamide sesquisulfate hydrate、
2−[(4−Amino−m−tolyl)ethylamino]ethanol sulfate、
2[(4−Aminophenyl)ethylamino]ethanol sulfate、
アスコルビン酸、
コハク酸、
マレイン酸、
エチレンジアミン四酢酸及びその鉄錯塩、
1,3−プロパンジアミン四酢酸及びその鉄錯塩、
ジエチレントリアミン五酢酸及びその鉄錯塩、
エチレンジアミンジコハク酸及びその鉄錯塩。
【0021】
B群:
炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、1,3−プロパンジアミン四酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸塩、エチレンジアミンジコハク酸塩、酢酸塩、アスコルビン酸塩。
【0022】
6.前記粒子が、その内部に含有する気体の窒素ガス含有率が90%以上であることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
【0023】
7.前記混合粒子群が酸素透過率30ml/(m2・day・atm)以下の包材に密封されていることを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
【0024】
8.前記1〜7のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤を用いてハロゲン化銀写真感光材料を処理することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
【0025】
9.前記1〜7のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤を用いて補充液を作成し、ハロゲン化銀写真感光材料を処理することを特徴とする請求項8に記載のハロゲン化銀写真感光材料の処理方法
【0026】
10.前記1〜7のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤を処理タンクに直接投入することを特徴とする請求項8に記載のハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤は、少なくとも1種の酸を含有する粒子と、少なくとも1種のアルカリを含有する粒子から成る混合粒子群から構成されており、前記混合粒子群の粒子が水に溶解する際、粒子の内部から放出しうる気泡を内包していることが特徴である。酸とは、水に溶解して飽和溶液とした場合のpH値が7未満の化合物を指し、アルカリとは、水に溶解して飽和溶液とした場合のpH値が7以上の化合物を指す。
【0028】
本発明は、酸を含有する粒子とアルカリを含有する粒子とで構成されている点に特徴がある。水に投入された後、酸を含有する粒子とアルカリを含有する粒子が接触しつつ水分を吸収する際、中和反応により局所的に中和熱が発生していると思われるが、この結果、局所的に水の温度が上昇した後、その熱が拡散する際に、水の対流が発生し、粒子の水中での分散性が大きく向上して、一カ所に処理剤が固まることなく、速やかに溶解することが出来る。
【0029】
本発明における酸は、pH値が小さければ小さいほど、又、アルカリは、pH値が大きければ大きいほど、前述の効果が著しく、好ましい。
【0030】
また、酸及びアルカリの粒子中に含有する重量比率は、大きければ大きいほど本発明の効果を良好に奏する。
【0031】
本発明の構成を有していない粒子群では、中和反応が局所的に起こらないため、局所的水温上昇及びその後の熱の拡散による対流現象が起こらず、その結果、粒子の分散性が悪く、沈降し1カ所に固まってしまう場合が見られた。
【0032】
又、本発明は、粒子が、水に溶解する際に粒子の内部から放出しうる気泡を内包している。この粒子は、水に溶解する過程において、まず、粒子内部に少量の水が侵入すると粒子内部から気泡が放出されつつその気泡のアクションにより粒子自体が破壊され、さらに大量の水が侵入することで粒子の表面近傍のみならず粒子内部においても溶解現象が起こる。
【0033】
さらには、本発明のように、酸を含有する粒子とアルカリを含有する粒子で、且つ該粒子が気泡を内包する粒子である粒子群の場合、前述の効果に加え、水分との接触により中和反応が起こる際に局部的に発生する中和熱により粒子内に内包する気泡は瞬間的に熱膨張し、粒子の破壊をより促進していると思われる効果が発現し、この効果により、溶解が飛躍的に促進される好ましい結果が得られた。
【0034】
一方、粒子内に気泡を内包しない粒子で構成された粒子群の場合、水に投入された際、水が粒子内部に侵入するのに非常に長時間を要するため、溶解現象は粒子の表面でのみしか起こらない。また、粒子の破壊現象も起こらないため、或る大きさの粒子の形状を保ったまま溶解現象が粒子表面のみで起こることとなり、その結果、溶解に多大な時間を要する。
【0035】
このような溶解時の挙動を良好に発現させるためには、前述の粒子が、気泡径が粒子径に対する比が大きい方が好ましく、1/10以上であることが好ましい。この場合、溶解の初期段階に粒子内部から発生する気泡のアクションが、効果的に粒子の破壊に利用され、粒子の破壊を促進し、結果として溶解性が向上する。これらの現象は、デジタルマイクロスコープ(例えばKEYENCE社製VH−6300)等で確認することが出来る。
【0036】
前述の粒子径および気泡径は、マイクロスコープを用いて測定することができる。まず水に投入する前の粒子群をマイクロスコープにより観察し、画像を得る。そしてその画像から個々の粒子の円相当径を測定しその平均値をaとする。次に粒子群が水に溶解する際の溶解挙動をマイクロスコープにより観察し、発泡する瞬間の画像を得る。その画像から個々の気泡の円相当径を測定しその平均値をbとする。そして、気泡径の粒子径に相当する比をb/aとして求める。
【0037】
本発明の気泡を内包する粒子による粒子群は、例えば、次のような方法で製造することができる。
(1.溶液調製工程)
この工程は、少なくとも1種の酸を含有する水溶液および少なくとも1種のアルカリを含有する水溶液を調製する工程である。調製の為には、公知の溶解手段、装置が用いられる。各水溶液には、酸およびアルカリ以外の成分を複数含有していて良い。前記水溶液の固形分濃度としては、次工程の乾燥効率の観点から、より高い方が好ましい。好ましくは、40重量%以上、より好ましくは50重量%以上である。又、水溶液は溶解度の低い成分を安定に溶解するために、加温しても良いし、常温でも良い。又、熱による成分劣化を防止するために、冷却しても良い。
【0038】
(2.粒子製造工程)
この工程は、前記水溶液から液滴を作製し、その液滴を乾燥して、粒子を作製する工程である。生成する粒子が気泡を内包する粒子となるためには、液滴がその形状、大きさをなるべく維持しつつ水分のみを蒸発させることが望ましく、そのためには、瞬時に液滴を乾燥させることが好ましい。このような操作を実現する方法として噴霧乾燥が好ましい。用いられる噴霧乾燥装置は公知のものを用いればよい。
【0039】
(3.粒子群製造工程)
この工程は、前工程で作製された、酸を含有する粒子とアルカリを含有する粒子を所望の割合で、均一に混合し粒子群を作製する工程である。本工程に用いられる混合装置としては、粒子を破壊しないように剪断力がかかりにくく且つ混合効率の良い混合機が好ましい。
【0040】
好ましい例としては、容器回転式の混合機では、V型混合機、円錐型混合機、二重円錐型混合機、円筒型混合機などが挙げられる。機械撹拌式の混合機では、リボンミキサー、パドルミキサー、円錐遊星スクリューミキサー(例えばホソカワミクロン社製ナウターミキサー等)ショベルミキサー(例えば松坂技研社製レーディゲミキサー等)が好ましい。これらの装置を用いて適当な時間混合操作を行うことにより、所望の混合均一度を満たした混合粒子群を得ることが出来る。
【0041】
本発明の混合粒子群の嵩密度は、水の密度に対して小さい方が、急速に沈降して一カ所に固まらず、徐々に沈降しながら分散しつつ溶解するという水中の挙動が達成されることから、好ましい。混合粒子群の嵩密度は、1g/ml以下であることことが、より好ましい。
【0042】
嵩密度を測定する方法は、以下のような方法が用いられる。既知の容積Vmlの円筒形容器を静置した上部から粒子群を自由落下させて容器から溢れるまで粒子群を充填させる。容器上部の溢れて盛り上がった粒子群をすり切り棒で除去した後、この容器中の粒子群の重量Wgを測定する。この結果から、嵩密度W/V(g/ml)をもとめる。測定装置としては、様々なものが市販されているが、例えば、筒井理化学機器社製嵩密度測定器、ホソカワミクロン社製パウダテスタなどが用いられる。
【0043】
本発明の粒子の平均粒径は、水中での一カ所での固まり難さという観点からは、より大きい方が好ましく、粒子自体の溶解時間の短さという観点からは、より小さい方が好ましい。これらを満たす範囲として、本発明の混合粒子群の平均粒径は100〜1500μmであることが好ましい。
【0044】
平均粒径としては、前述の方法でもとめた個々の粒子の粒子径から個数中位径を求める。個数中位径とは、粒子径の小さい粒子から大きい粒子までの度数分布において、小さい粒子径のものから数えて(大きい粒子径のものから数えて)全粒子個数の丁度50%相当の数の順位の粒子の粒子径と定義される。
【0045】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料処理剤用の混合粒子群として用いられる際、その効果がより好ましく発現される。本発明の処理剤の用途としては、カラー写真の場合、カラーネガフィルム用、カラーペーパー用、カラーリバーサル用、ダイレクトポジフィルム用、ダイレクトポジペーパー用など、モノクロ写真の場合、X線写真用、印刷感材用、などが挙げられる。いずれの場合においても本発明の効果は良好に得られる。
【0046】
処理剤の種類としては、公知のあらゆる種類に適用でき、現像処理工程に併せて、各々の工程用の処理剤が存在する。例えば、カラー写真の処理工程の場合、発色現像工程、漂白工程、定着工程、漂白定着工程、安定化工程などが有り、それに対応する発色現像処理剤、漂白処理剤、定着処理剤、漂白定着処理剤、安定化剤などがある。モノクロ写真の処理工程の場合、現像工程、定着工程があり、それに対応する現像処理剤、定着処理剤がある。
【0047】
本発明における発色現像剤に用いられる発色現像主薬としては、p−フェニレンジアミン誘導体(以下、p−フェニレンジアミン系化合物ともいう)、特に水溶性基を有するp−フェニレンジアミン系化合物が本発明の目的の効果を良好に奏し、かつかぶりの発生が少ないため好ましく用いられる。
【0048】
水溶性基を有するp−フェニレンジアミン系化合物は、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン等の水溶性基を有しないパラフェニレンジアミン系化合物に比べ、感光材料の汚染がなくかつ皮膚についても皮膚がカブレにくいという長所を有するばかりでなく、特に本発明の発色現像液に組み合わせることにより、本発明の目的をより効率的に達成することができる。
【0049】
前記水溶性基は、p−フェニレンジアミン系化合物のアミノ基またはベンゼン核上に少なくとも1つ有するものが挙げられ、具体的な水溶性基としては−(CH2)n−CH2OH、−(CH2)m−NHSO2−(CH2)nCH3、−(CH2)m−O−(CH2)n−CH3、−(CH2CH2O)nCmH2m+1(m及びnはそれぞれ0以上の整数を表す。)、−COOH基、−SO3H基等が好ましいものとして挙げられる。
【0050】
本発明に好ましく用いられる発色現像主薬の具体的例示化合物としては、特開平4−86741号明細書第26〜31頁に記載されている(C−1)〜(C−16)が挙げられる。
【0051】
上記発色現像主薬は通常、塩酸塩、硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の塩のかたちで用いられる。
【0052】
また、前記発色現像主薬は単独であるいは2種以上併用して、また所望により白黒現像主薬例えばフェニドン、4−ヒドロキシメチル−4−メチル−1−フェニル−3−ピラゾリドンやメトール等と併用して用いてもよい。
【0053】
又、本発明においては、本発明に係わる発色現像剤中に下記一般式[A]及び[B]で示される化合物を含有することが、本発明の目的の効果をより良好に奏する。
【0054】
すなわち、固体処理剤化されると他の化合物に比べ錠剤の保存性が良くなるばかりでなく錠剤強度も保てるという点で効果があり、しかも写真性能的に安定で未露光部にも生じるカブリも少ないという利点もある。
【0055】
【化1】
【0056】
一般式[A]において、R31及びR32は同時に水素原子ではないそれぞれアルキル基、アリール基、R′−CO−または水素原子を表すが、R31及びR32で表されるアルキル基は、同一でも異なってもよく、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。更にこれらアルキル基はカルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、又は水酸基を有してもよい。
【0057】
R′はアルコキシ基、アルキル基又はアリール基を表す。R31、R32及びR′のアルキル基及びアリール基は置換基を有するものも含み、また、R31及びR32は結合して環を構成してもよく、例えばピペリジン、ピリジン、トリアジンやモルホリンの如き複素環を構成してもよい。
【0058】
【化2】
【0059】
式中、R11、R12、R13は水素原子、置換又は無置換の、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、R14はヒドロキシ基、ヒドロキシアミノ基、置換又は無置換の、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルバモイル基、アミノ基を表す。ヘテロ環基としては、5〜6員環であり、C、H、O、N、S及びハロゲン原子から構成され飽和でも不飽和でもよい。R15は−CO−、−SO2−または−C(=NH)−から選ばれる2価の基を表し、n31は0又は1である。特にn31=0の時R14はアルキル基、アリール基、ヘテロ環基から選ばれる基を表し、R13とR14は共同してヘテロ環基を形成してもよい。
【0060】
前記一般式[A]で示されるヒドロキシルアミン系化合物の具体例は、米国特許3,287,125号、同33,293,034号及び同3,287,124号等に記載されているが、特に好ましい具体的例示化合物としては、特開平4−86741号明細書第36〜38頁記載の(A−1)〜(A−39)及び特開平3−33845号明細書第3〜6頁記載の(1)〜(53)及び特開平3−63646号明細書第5〜7頁記載の(1)〜(52)が挙げられる。
【0061】
次に前記一般式[B]で示される化合物の具体例は、特開平4−86741号明細書第40〜43頁記載の(B−1)〜(B−33)及び特開平3−33846号明細書第4〜6頁記載の(1)〜(56)が挙げられる。
【0062】
これら一般式[A]又は一般式[B]で示される化合物は、通常遊離のアミン、塩酸塩、硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、酢酸塩等の形で用いられる。
【0063】
本発明に用いられる発色現像剤及び黒白現像剤中には、保恒剤として亜硫酸塩を微量用いることができる。該亜硫酸塩としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム等が挙げられる。
【0064】
本発明に用いられる発色現像剤及び黒白現像剤には、緩衝剤が用いられ、緩衝剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ酸)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)等を挙げることができる。
【0065】
現像促進剤としては、特公昭37−16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44−12380号、同45−9019号及び米国特許3,813,247号等に表されるチオエーテル系化合物、特開昭52−49829号及び同50−15554号に表されるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44−30074号、特開昭56−156826号及び同52−43429号等に表される4級アンモニウム塩類、米国特許2,610,122号及び同4,119,462号記載のp−アミノフェノール類、米国特許2,494,903号、同3,128,182号、同4,230,796号、同3,253,919号、特公昭41−11431号、米国特許2,482,546号、同2,596,926号及び同3,582,346号等に記載のアミン系化合物、特公昭37−16088号、同42−25201号、米国特許3,128,183号、特公昭41−11431号、同42−23883号及び米国特許3,532,501号等に表されるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ピラゾリドン類、ヒドロジン類、メソイオン型化合物、イオン型化合物、イミダゾール類等を必要に応じて添加することができる。
【0066】
発色現像剤はベンジルアルコールを実質的に含有しないものが好ましい。実質的にとはカラー現像液1Lに換算して2.0ml以下、更に好ましくは全く含有しないことである。実質的に含有しない方が連続処理時の写真特性の変動、特にステインの増加が小さく、より好ましい結果が得られる。
【0067】
カブリ防止等の目的で塩素イオン及び臭素イオンが処理槽のカラー現像液中に必要である。本発明においては好ましくは塩素イオンとして1.0×10−2〜1.5×10−1モル/L、より好ましくは4×10−2〜1×10−1モル/L含有する。塩素イオン濃度が1.5×10−1モル/Lより多いと、現像を送らせ迅速に高い最大濃度を得るには好ましくない。また、1.0×10−2モル/L未満では、ステインが生じ、更には、連続処理に伴う写真性変動(特に最小濃度)が大きくなり好ましくない。従って固体処理剤は処理槽のカラー現像液が上記の濃度範囲になる様調整することが必要である。
【0068】
本発明において、処理槽中のカラー現像液中に臭素イオンを好ましくは3.0×10−3〜1.0×10−3モル/L含有する。より好ましくは5.0×10−3〜5×10−4モル/Lである。特に好ましくは1×10−4〜3×10−4モル/Lである。臭素イオン濃度が1×10−3モル/Lより多い場合、現像を遅らせ、最大濃度及び感度が低下し、3.0×10−3モル/L未満である場合、ステインを生じ、また連続処理に伴う写真性変動(特に最小濃度)を生じる点で好ましくない。これも塩素イオンと同様、固体処理剤中の臭素濃度を上記の範囲になる様調整することが必要である。
【0069】
発色現像剤に直接添加される場合、塩素イオン供給物質として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化カルシウム、塩化カドミウムが挙げられるが、そのうち好ましいものは塩化ナトリウム、塩化カリウムである。
【0070】
また、発色現像剤及び現像剤中に添加される蛍光増白剤の対塩の形態で供給されてもよい。臭素イオンの供給物質として、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化マンガン、臭化ニッケル、臭化カドミウム、臭化セリウム、臭化タリウムが挙げられるが、そのうち好ましいものは臭化カリウム、臭化ナトリウムである。
【0071】
本発明に用いられる発色現像剤及び現像剤には、必要に応じて、塩素イオン、臭素イオンに加えて任意のカブリ防止剤を添加できる。カブリ防止剤としては、沃化カリウムの如きアルカリ金属ハロゲン化物及び有機カブリ防止剤が使用できる。有機カブリ防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例として挙げることができる。
【0072】
本発明に用いられる発色現像剤及び現像剤にはトリアジニルスチルベン系蛍光増白剤を含有させることが本発明の目的の効果の点から好ましい。これらの化合物の添加量は発色現像液1L当り0.2g〜10gの範囲になる様に固体処理剤を調整することが好ましく、更に好ましくは0.4g〜5gの範囲である。
【0073】
さらに、本発明に用いられる発色現像剤及び黒白現像剤組成物には、必要に応じて、メチルセロソルブ、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、β−シクロデキストリン、その他特公昭47−33378号、同44−9509号各公報記載の化合物を現像主薬の溶解度を上げるための有機溶剤として使用することができる。
【0074】
さらに、現像主薬とともに補助現像剤を使用することもできる。これらの補助現像剤としては、例えばメトール、フェニドン、N,N−ジエチル−p−アミノフェノール塩酸塩、N,N,N′,N′−テトラメチル−p−フェニレンジアミン塩酸塩等が知られている。
さらにまた、その他ステイン防止剤、スラッジ防止剤、重層効果促進剤等各種添加剤を用いることができる。
【0075】
また発色現像剤及び黒白現像剤組成物には、特開平4−118649号公報第63頁下から第8行〜第64頁下から第3行に記載の下記一般式[K]で示されるキレート剤及びその例示化合物K−1〜K−22が添加されることが本発明の目的を効果的に達成する観点から好ましい。
【0076】
これらキレート剤の中でも、とりわけ、K−2、K−9、K−12、K−13、K−17、K−19が好ましく用いられ、とりわけ特に、K−2及びK−9が本発明の効果を良好に奏する。
【0077】
これらキレート剤の添加量は発色現像液及び黒白現像液1L当たり0.1〜20gの範囲になる様に固体処理剤に添加することが好ましく、より好ましくは0.2〜8gの範囲である。
【0078】
さらにまた上記発色現像剤及び黒白現像用固体処理剤にはアニオン、カチオン、両性、ノニオンの各界面活性剤を含有させることができる。
【0079】
また、必要に応じてアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を添加してもよい。
【0080】
本発明に係る漂白剤又は漂白定着剤に好ましく用いられる漂白主剤は有機酸の第2鉄錯塩である。
【0081】
有機酸の第2鉄錯塩は漂白能力が高い為に固形にする際の使用量が少なくても済み、軽量化、小型化の錠剤化が計れるばかりでなく錠剤化した時の錠剤の保存性が良くなるという効果があり、本発明に好ましく用いられる。
【0082】
以下に、有機酸の第2鉄錯塩の好ましい具体例を示す。
【0083】
【化3】
【0084】
【化4】
【0085】
これら(C−1)〜(C−12)の化合物の第2鉄錯塩としては、これらの第2鉄錯塩のナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩を任意に用いることができる。本発明の目的の効果及び溶解度の点からは、これらの第2鉄錯塩のアンモニウム塩が好ましく用いられる。
【0086】
前記化合物例の中で、本発明において特に好ましく用いられるものは、(C−1)、(C−3)、(C−4)、(C−5)、(C−9)であり、とりわけ特に好ましいものは(C−1)である。
【0087】
本発明において漂白剤又は漂白定着剤には、漂白主剤として上記一般式[C]で示される化合物の鉄錯塩以外に下記化合物の第2鉄錯塩等を用いることができる。
【0088】
〔A′−1〕エチレンジアミン四酢酸
〔A′−2〕トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸
〔A′−3〕ジヒドロキシエチルグリシン酸
〔A′−4〕エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸
〔A′−5〕ニトリロトリスメチレンホスホン酸
〔A′−6〕ジエチレントリアミンペンタキスメチレンホスホン酸
〔A′−7〕ジエチレントリアミン五酢酸
〔A′−8〕エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸
〔A′−9〕ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸
〔A′−10〕エチレンジアミンジプロピオン酸
〔A′−11〕エチレンジアミンジ酢酸
〔A′−12〕ヒドロキシエチルイミノジ酢酸
〔A′−13〕ニトリロトリ酢酸
〔A′−14〕ニトリロ三プロピオン酸
〔A′−15〕トリエチレンテトラミン六酢酸
〔A′−16〕エチレンジアミン四プロピオン酸
〔A′−17〕β−アラニンジ酢酸
【0089】
前記有機酸第2鉄錯塩の添加量は漂白液又は漂白定着液1L当り0.01モル〜2.0モルの範囲で含有することが好ましく、より好ましくは0.05〜1.5モル/Lの範囲である。従って、固体処理剤は処理槽中の漂白液又は漂白定着液の有機酸第2鉄錯塩の濃度が上記範囲になる様に調整することが必要である。
【0090】
漂白剤、漂白定着剤及び定着剤には、特開昭64−295258号明細書に記載のイミダゾール及びその誘導体又は同明細書記載の一般式[I]〜[IX]で示される化合物及びこれらの例示化合物の少なくとも一種を含有することにより迅速性に対して効果を奏しうる。
【0091】
上記の促進剤の他、特開昭62−123459号明細書の第51頁から第115頁に記載の例示化合物及び特開昭63−17445号明細書の第22頁から第25頁に記載の例示化合物、特開昭53−95630号、同53−28426号公報記載の化合物等も同様に用いることができる。
【0092】
漂白剤又は漂白定着剤には、上記以外に臭化アンモニウム、臭化カリウム、臭化ナトリウムの如きハロゲン化物、各種の蛍光増白剤、消泡剤あるいは界面活性剤を含有せしめることもできる。
【0093】
本発明における定着剤又は漂白定着剤に用いられる定着主剤としては、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩が好ましく用いられる。チオシアン酸塩の含有量は少なくとも定着液又は漂白定着液1L当り0.1モル/L以上が好ましく、カラーネガフィルムを処理する場合、より好ましくは0.5モル/L以上であり、特に好ましくは1.0モル/L以上である。またチオ硫酸塩の含有量は少なくとも0.2モル/L以上が好ましく、カラーネガフィルムを処理する場合、より好ましくは0.5モル/L以上である。また本発明においては、チオシアン酸塩とチオ硫酸塩を併用することにより更に効果的に本発明の目的を達成できる。
【0094】
本発明に用いられる定着剤又は漂白定着剤には、これら定着主剤の他に各種の塩から成るpH緩衝剤を単独或いは2種以上含むことができる。さらにアルカリハライドまたはアンモニウムハライド、例えば臭化カリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化アンモニウム等の再ハロゲン化剤を多量に含有させることが望ましい。またアルキルアミン類、ポリエチレンオキサイド類等の通常定着剤又は漂白定着剤に添加することが知られている化合物を適宜添加することができる。
【0095】
定着剤または漂白定着剤には、特開昭64−295258号明細書第56頁に記載の一般式[FA]で示される化合物及びこの例示化合物を添加するのが好ましく、本発明の効果をより良好に奏するばかりか、少量の感光材料を長期間にわたって処理する際に定着能を有する処理液(定着液又は漂白定着液)中に発生するスラッジも極めて少ないという別なる効果が得られる。
【0096】
同明細書記載の一般式[FA]で示される化合物は米国特許3,335,161号明細書及び米国特許3,260,718号明細書に記載されている如き一般的な方法で合成できる。これらの化合物はそれぞれ単独で用いてもよく、また2種以上組合せて用いてもよい。
【0097】
また、これらの化合物の添加量は定着液又は漂白定着液1L当り0.1g〜200gの範囲で好結果が得られる。
【0098】
本発明において安定液には第2鉄イオンに対するキレート安定度定数が8以上であるキレート剤を含有することが好ましい。ここにキレート安定度定数とは、L.G.Sillen・A.E.Martell著、”Stability Constants of Metal−ion Complexes”,TheChemical Society,London(1964)。S.Chaberek・A.E.Martell著、”Organic Sequestering Agents”,Wiley(1959)等により一般に知られた定数を意味する。
【0099】
第2鉄イオンに対するキレート安定度定数が8以上であるキレート剤としては特願平2−234776号、同1−324507号等に記載のものが挙げられる。
【0100】
上記キレート剤の使用量は安定液1L当り0.01〜50gが好ましく、より好ましくは0.05〜20gの範囲で良好な結果が得られる。
【0101】
また安定液に添加する好ましい化合物としては、アンモニウム化合物が挙げられる。これらは各種の無機化合物のアンモニウム塩によって供給される。アンモニウム化合物の添加量は安定液1L当り0.001モル〜2.0モルの範囲が好ましく、より好ましくは0.002〜1.0モルの範囲である。
【0102】
さらに安定剤には亜硫酸塩を含有させることが好ましい。
【0103】
さらにまた安定液には前記キレート剤と併用して金属塩を含有することが好ましい。かかる金属塩としては、Ba、Ca、Ce、Co、In、La、Mn、Ni、Bi、Pb、Sn、Zn、Ti、Zr、Mg、Al又はSrの金属塩があり、ハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩等の無機塩又は水溶性キレート剤として供給できる。使用量としては安定液1L当り1×10−4〜1×10−1モルの範囲が好ましく、より好ましくは4×10−4〜2×10−2モルの範囲である。
【0104】
また安定液には、有機酸塩(クエン酸、酢酸、コハク酸、シュウ酸、安息香酸等)、pH調整剤(リン酸塩、ホウ酸塩、塩酸、硫酸塩等)等を添加することができる。なお本発明においては公知の防黴剤を本発明の効果を損なわない範囲で単用又は併用することができる。
【0105】
又、安定液には脱イオン水を用いることが好ましく、更に低補充化の為に逆浸透膜を用い、塩濃度の高い液を定着又は漂白定着液、安定液の最前槽に戻し、塩濃度の低い液を安定液の最終槽に戻す方法等も本発明を実施する上での好ましい態様である。
【0106】
本発明の白黒用現像錠剤に用いることができる現像主薬としては、レダクトン類を含有することが好ましい。
以下にレダクトン類の具体例を示す。
【0107】
【化5】
【0108】
【化6】
【0109】
【化7】
【0110】
レダクトン類のうち、特にD−1で示されるアスコルビン酸及び/又はエリソルビン酸(立体異性)及びそれらの塩が好ましい。
【0111】
更に以下のような現像主薬を含有しても良い。ジヒドロキシベンゼン類(例えば、ハイドロキノン、クロロハイドロキノン、ブロモハイドロキノン、ジクロロハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジクロロハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸カリウム、ハイドロキノンモノスルホン酸ナトリウムなど)3−ピラゾリドン類(例えば、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−エチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−5−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−2−アセチル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−(2−ベンゾチアゾール)−3−ピラゾリドン、3−アセトキシ−1−フェニル−3−ピラゾリドンなど)、アミノフェノール類(例えば、o−アミノフェノール、p−アミノフェノール、N−メチル−o−アミノフェノール、N−メチル−p−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノールなど)、1−アリル−3−アミノピラゾリン類(例えば、1−(p−ヒドロキシフェニル)−3−アミノピラゾリン、1−(p−メチルアミノフェニル)−3−アミノピラゾリン、1−(p−アミノ−m−メチルフェニル)−3−アミノピラゾリンなど)、ピラゾロン類(例えば、4−アミノピラゾロン)など、或いはこれらの混合物などが挙げられる。
【0112】
固体現像剤は亜硫酸塩及び/又はメタ重亜硫酸塩を含有することが好ましい。更に固体現像剤を溶解し現像液とした場合の液中の亜硫酸塩量は0.05モル/L以上0.3モル/L未満、更に0.1モル/L以上0.3モル/L未満が好ましい。
【0113】
その他、緩衝剤として(例えば炭酸塩、硼酸、硼酸塩、アルカノールアミンなど)、アルカリ剤、溶解助剤(ポリエチレングリコール類、及びこれらのエステルなど)、pH調整剤(例えばクエン酸のごとき有機酸など)、増感剤(例えば四級アンモニウム塩など)、現像促進剤、硬膜剤(例えばグルタールアルデヒドなどのジアルデヒド類)、界面活性剤、更にカブリ防止剤としてアゾール系有機カブリ防止剤(例えばインダゾール系、イミダゾール系、ベンツイミダゾール系、トリアゾール系、ベンツトリアゾール系、テトラゾール系、チアジアゾール系)、処理液に用いられる水道水中に混在するカルシウムイオンを隠蔽するための隠蔽剤ヘキサメタ燐酸ナトリウム、ヘキサメタ燐酸カルシウム、ポリ燐酸塩、ヂエチレントリアミン5酢酸等を含有させても良い。更に銀汚れ防止剤、例えば特開昭56−24347号記載の化合物を用いることもできる。
【0114】
固体現像剤で得られる現像液のpHは10.5以下の範囲のものが好ましく、更に好ましくは9〜10.0の範囲である。
固体現像剤で得られる現像液には、特開昭56−106244号に記載のアルカノールアミンなどのアミノ化合物を用いることができる。
【0115】
この他、本発明の固体現像剤で得られる現像液にはL.F.A.メソン著「フォトグラフィック・プロセッシング・ケミストリー」フォーカル・プレス社刊(1966年)の22〜229頁、米国特許第2,193,015号、同2,592,364号、特開昭48−64933号などに記載のものを用いてよい。
【0116】
一方、アルカリ剤としては緩衝作用を有する炭酸塩が好ましい。炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム等が挙げられる。更に、現像処理液中の炭酸塩量は、0.3モル/L以上0.8モル/L未満が好ましい。
【0117】
次に本発明に用いられる定着液について述べる。
本発明に用いられる定着液は、固体処理剤を調製し、溶解して調液することが好ましい。定着剤としては、定着主薬としてチオ硫酸塩を含有することが好ましい。チオ硫酸塩は、具体的には、リチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウムの塩として用いられるが、好ましくは、チオ硫酸アンモニウム及びチオ硫酸ナトリウム塩として用いることにより、定着速度の速い定着液が得られる。
【0118】
その他、定着主薬として沃化物塩やチオシアン酸塩なども用いることができる。本発明に用いられる定着液は、亜硫酸塩を含有する。亜硫酸塩としては、固体リチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム塩等が用いられる。
【0119】
本発明に用いられる定着液は、水溶性クロム塩又は水溶性アルミニウム塩等を含有しても良い。水溶性クロム塩としてはクロム明ばんなどが挙げられ、水溶性アルミニウム塩としては硫酸アルミニウム、塩化アルミニウムカリウム、塩化アルミニウムなどを挙げることができる。
【0120】
本発明に用いられる定着液は酢酸イオンを含有する。酢酸イオンの種類は任意で、定着液中での酢酸イオンを解離する任意の化合物に対して本発明は適用できるが、酢酸や酢酸のリチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム塩などが好ましく用いられ、特にナトリウム塩、アンモニウム塩が好ましい。
【0121】
更に、クエン酸、酒石酸、りんご酸、琥珀酸、フェニル酢酸及びこれらの光学異性体などが含まれてもよい。
【0122】
これらの塩としては例えばクエン酸カリウム、クエン酸リチウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸アンモニウム、酒石酸水素リチウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸カリウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸水素アンモニウム、酒石酸アンモニウムカリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、りんご酸ナトリウム、りんご酸アンモニウム、琥珀酸ナトリウム、琥珀酸アンモニウムなどに代表されるリチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム塩などが好ましい物として挙げられる。
【0123】
前記化合物の中でより好ましいものとしては、クエン酸、イソクエン酸、りんご酸、フェニル酢酸及びこれらの塩である。その他の酸としては、例えば硫酸、塩酸、硝酸、硼酸のような無機酸の塩や、蟻酸、プロピオン酸、シュウ酸などの有機酸類などが挙げられるが、好ましくは硼酸、アミノポリカルボン酸類などの酸及び塩である。
【0124】
キレート剤としては、例えばニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸などのアミノポリカルボン酸類及びこれらの塩などが挙げられる。
【0125】
界面活性剤としては、例えば硫酸エステル化物、スルホン化物などのアニオン活性剤、ポリエチレングリコール系、エステル系などのノニオン界面活性剤、両性活性剤などが挙げられる。湿潤剤としては、例えばアルカノールアミン、アルキレングリコールなどが挙げられる。
【0126】
定着促進剤としては、チオ尿素誘導体、分子内に三重結合を有するアルコール、チオエーテルなどが挙げられる。
【0127】
本発明においては、前記混合粒子群のうち酸を含有する粒子については、下記A群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、アルカリを含有する粒子については、下記B群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有しており、この場合、中和反応の発生がおこり易く、本発明の効果がより良好に発現される。
【0128】
A群:
N−[2−(4−Amino−N−ethyl−m−toluidino)ethyl]−methane−sulfonamide sesquisulfate hydrate、
2−[(4−Amino−m−tolyl)ethylamino]ethanol sulfate、
2[(4−Aminophenyl)ethylamino]ethanol sulfate、
アスコルビン酸、
コハク酸、
マレイン酸、
エチレンジアミン四酢酸及びその鉄錯塩、
1,3−プロパンジアミン四酢酸及びその鉄錯塩、
ジエチレントリアミン五酢酸及びその鉄錯塩、
エチレンジアミンジコハク酸及びその鉄錯塩。
【0129】
B群:
炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、1,3−プロパンジアミン四酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸塩、エチレンジアミンジコハク酸塩、酢酸塩、アスコルビン酸塩。
【0130】
前記粒子が内部に含有する気体の窒素ガス含有率が90%以上であるハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の場合、含有成分が酸素と接触する機会が減少することから、酸化反応による含有成分の劣化が抑制され長期保存安定性が向上し、その結果、気泡を内包している粒子形状も長期に維持されることから、本発明の効果に対してより好ましい。
【0131】
粒子に内包される気体の窒素含有率を高める手段としては、例えば、前述の粒子を製造する工程において用いられる噴霧乾燥における装置の内部を窒素ガスで置換する方法を用いることが出来る。
【0132】
次に、本発明に好ましく用いられる包装材料について説明する。
本発明の固体処理剤の防湿包装として用いる合成樹脂材質としては、ポリエチレン(高圧法、低圧法どちらでもよい)、ポリプロピレン(無延伸、延伸どちらでもよい)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ナイロン(延伸、無延伸)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ビニロン、エバール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、その他のポリエステル、塩酸ゴム、アクリロニトリルブタジエン共重合体、エポキシ−リン酸系樹脂(特開昭63−63037号に記載のポリマー、特開昭57−32952号記載のポリマー)の何であってもよい。又はパルプでも良い。
【0133】
これらは通常、そのフィルムを積層接着するが、塗布層としてもよい。
さらには、例えば上記の合成樹脂フィルムの間にアルミ箔またはアルミ蒸着合成樹脂を使用するなど、各種ガスバリアー膜を用いると、より好ましい。
【0134】
また、これらの積層膜の合計の酸素透過率は50ml/m224hr/atm以下(20℃65%RHで)、より好ましくは30ml/m224hr/atm以下であることが好ましい。
これらの積層膜の膜厚の合計は、1〜2000μm、より好ましくは10〜1000μm、さらに好ましくは50〜1000μmであることが好ましい。
【0135】
以上の合成樹脂フィルムは1層の(高分子)樹脂膜であってもよいし、2以上の積層(高分子)樹脂膜であってもよい。
【0136】
本発明において好ましい1層の高分子樹脂膜としては、例えば、
(1) 厚さ0.1mm以上のポリエチレンテレフタレート(PET)
(2) 厚さ0.3mm以上のアクリロニトリルブタジエン共重合体
(3) 厚さ0.1mm以上の塩酸ゴム
等が挙げられ、中でもポリエチレンテレフタレートは耐アルカリ性、耐酸性の点でも優れているため、本発明に好適に用い得る。
【0137】
次に、本発明において好ましい積層の高分子樹脂膜としては、例えば、
(4) PET/ポリビニルアルコール・エチレン共重合体(エバール)/ポリエチレン(PE)
(5) 延伸ポリプロピレン(OPP)/エバール/PE
(6) 未延伸ポリプロピレン(CPP)/エバール/PE
(7) ナイロン(N)/アルミ箔(Al)/PE
(8) PET/Al/PE
(9) セロファン/PE/Al/PE
(10)Al/紙/PE
(11)PET/PE/Al/PE
(12)N/PE/Al/PE
(13)紙/PE/Al/PE
【0138】
(14)PET/Al/PET/ポリプロピレン(PP)
(15)PET/Al/PET/高密度ポリエチレン(HDPE)
(16)PET/Al/PE/低密度ポリエチレン(LDPE)
(17)エバール/PP
(18)PET/Al/PP
(19)紙/Al/PE
(20)PE/PVDCコートナイロン/PE/エチルビニルアセテート・ポリエチレン縮合物(EVA)
(21)PE/PVDCコートN/PE
(22)EVA/PE/アルミ蒸着ナイロン/PE/EVA
(23)アルミ蒸着ナイロン/N/PE/EVA
【0139】
(24)OPP/PVDCコートN/PE
(25)PE/PVDCコートN/PE
(26)OPP/エバール/LDPE
(27)OPP/エバール/CPP
(28)PET/エバール/LDPE
(29)ON(延伸ナイロン)/エバール/LDPE
(30)CN(未延伸ナイロン)/エバール/LDPE
(31)OPP/CPP
(32)OPP/LDPE
(33)OPP/HDPE
(34)OPP/N/CPP
(35)OPP/一軸延伸ナイロン/LDPE
(36)OPP/PET/CPP
等があり、中でも上記(20)〜(36)が好ましく用いられる。
【0140】
さらに具体的な包装材料の構成としては処理剤に接する側を内面とすれば、内面から順に、PE/主体となる板紙/PE/Al/エポキシ−リン酸系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/PEPE/K−ナイロン/PEまたは接着剤/Al/PE/板紙/PEPE/ビニロン/PEまたは接着剤/Al/PE/板紙/PEPE/塩化ビニリデン/PEまたは接着剤/Al/PE/板紙/PEPE/ポリエステル/PEまたは接着剤/Al/PE/板紙/PEポリプロピレン/K−ナイロン/ポリプロピレン/Al/ポリプロピレン/板紙/ポリプロピレンなどがある。
【0141】
固体処理剤を防湿包装する方法としては、4方シール、3方シール、スティック(ピロー包装、ガゼット包装)、PTP(ブリスター包装)、カートリッジがある。
【0142】
4方シール、3方シール、スティック(ピロー、ガゼット)包装は形態の違いであり前記材料が用いられる。ただしピールオープン方式に利用するときはシーラント剤をラミネートしピールオープン適性を持たせる。
【0143】
このピールオープンの方式には、通常、凝集破壊方式、界面剥離方式、層間剥離方式がある。
【0144】
凝集破壊方式はホットメルトと言われる接着剤で、ヒートシールラッカーでシール剤として用いる方式であり、開封時にシーラント層の内部凝集破壊により剥離するものである。
【0145】
界面活性剥離方式はフィルム間の界面で剥離する方式であり、シール用フィルム(シーラント)と被着体が完全に融着しておらず適度の強度で剥がせるものであり、シーラントとしては粘着性の樹脂を混合したフィルムであり、被着体の材質によりポリエチレン、ポリプロピレン又はその共重合体、ポリエステル系等を選択することができる。
【0146】
さらにシーラントをラミネートフィルムのような多層共押出しフィルムを使い、ラミネートフィルムの層間で剥離するのが層間剥離方式である。
【0147】
本発明のフィルムを用いたピールオープン方式では層間剥離方式又は界面剥離方式が好ましい。
【0148】
また、このようなシーラントは薄いため、通常他のフィルムたとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、ポリ塩化ビニル、ナイロン、エバール、アルミニウムなどをラミネートして使用するが、防湿性、環境対応及び内容物のマッチングを考えるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エバール等が好ましい。また印刷性を考慮すると最外面は無延伸ポリプロピレンポリエステル、紙などが好ましい。
【0149】
シーラントフィルムとしては、たとえばトーセロ製、CMPSフィルム、大日本インキ製ディフランPP−100、PS−300又は凸版印刷製のLTSフィルム、サンエー化学製サンシールFR、サンシールMS等があり、すでにポリエステルとラミネートされているタイプとしてはディクランC−1600T、C−1602Tなどがある。
【0150】
PTPはブリスター包装の一種で成形されたPVC、CPPなどのシートに固体処理剤を入れアルミシール材でヒートシールした包装形態である。
【0151】
形成材として環境上PVCは使用しない方向にあり最近はA−PETや高防湿PP(例えばTAS−1130、TAS−2230、TAS−3230:大成化工社製)が好ましく用いられる。
【0152】
処理剤を水溶性フィルムで包装する場合、水溶性フィルムは、ポリビニルアルコール系、メチルセルロース系、ポリエチレンオキサイド系、デンプン系、ポリビニルピロリドン系、ヒドロキシプロピルセルロース系、プルラン系、デキストラン系及びアラビアガム系、ポリ酢酸ビニル系、ヒドロキシエチルセルロース系、カルボキシエチルセルロース系、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウム塩系、ポリ(アルキル)オキサゾリン系、ポリエチレングリコール系の基材からなるフィルムが好ましく用いられ、これらの中でも、特にポリビニルアルコール系及びプルラン系のものが好ましく用いられる。
【0153】
好ましいポリビニルアルコールは極めて良好なフィルム形成材料であり、ほとんどの条件下で良好な強度及び柔軟性を有する。フィルムとして注型する市販のポリビニルアルコール組成物は分子量及び加水分解の程度が様々であるが、分子量が約10000ないし約100000であることが好ましい。加水分解の程度とは、ポリビニルアルコールの酢酸エステル基が水酸基に置換される割合である。フィルムに適用するには、加水分解の範囲は通常約70%から100%までである。このように、ポリビニルアルコールという言葉は通常ポリ酢酸ビニル化合物を含む。
【0154】
これら、水溶性フィルムの製造法は、例えば、特開平2−124945号、特開昭61−97348号、同60−158245号、特開平2−86638号、特開昭57−117867号、特開平2−75650号、特開昭59−226018号、同63−218741号及び同54−13565号等に記載されるが如き一般的な方法で製造される。
【0155】
更にこれら水溶性フィルムはソルブロン(アイセロ化学社製)、ハイセロン(日合フィルム社製)、或いはプルラン(林原社製)の名称で市販されているものを用いることができる。また、クリス・クラフト・インダストリーズ(Chris Craft Industries)Inc.のMONO−SOL部門から入手できる7−000シリーズのポリビニルアルコールフィルムは、約34度Fないし約200度Fの水温において溶解し、無害で、高度の化学的抵抗性を示すものであり、特に好ましく用いられる。
【0156】
上記水溶性フィルムの膜厚は固体処理剤の保存安定性、水溶性フィルムの溶解時間及び自動現像機内での結晶析出の点で10〜120μmのものが好ましく用いられ、特に15〜80μmのものが好ましく、とりわけ特に20〜60μmのものが好ましく用いられる。
【0157】
また、水溶性フィルムは熱可塑性であることが好ましい。これは、ヒートシール加工や超音波溶着加工が容易となるだけでなく、被覆効果もより良好に奏するためである。
【0158】
更に、水溶性フィルムの引張り強度は0.5×106〜50×106kg/m2が好ましく、特に1×106〜25×106kg/m2が好ましく、とりわけ特に1.5×106〜10×106kg/m2が好ましい。これら引張り強度はJIS Z−1521に記載される方法で計測される。
【0159】
又、本発明の実施においては、防湿包装材が、分解性プラスチック、特に生分解又は光分解性プラスチックのものを用いることも好ましい。
【0160】
前記生分解性プラスチックは、(1)天然高分子からなるもの、(2)微生物産出ポリマー、(3)生分解性のよい合成ポリマー、(4)プラスチックへの生分解性天然高分子の配合等が挙げられ、光分解性プラスチックは、(5)紫外線で励起され、切断に結びつく基が主鎖に存在するもの等が挙げられる。更に上記に掲げた高分子以外にも光分解性と生分解性との二つの機能を同時に有したものも良好に使用できる。
【0161】
これらの具体的代表例をそれぞれ挙げると、以下のようになる。
生分解性プラスチックとしては、(1)天然高分子多糖類、セルロース、ポリ乳酸、キチン、キトサン、ポリアミノ酸、或いはその修飾体等、(2)微生物産出ポリマーPHB−PHV(3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシバレレートとの共重合物)を成分とする「Biopol」、微生物産出セルロース等、(3)生分解性のよい合成ポリマーポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン等、或いはそれらの共重合物ないし混合物、(4)プラスチックへの生分解性天然高分子の配合生分解性のよい天然高分子としては、デンプンやセルロースがあり、プラスチックに加え形状崩壊性を付与したものである。
【0162】
また、(5)の光分解性の例としては、光崩壊性のためのカルボニル基の導入等があり、更に崩壊促進のために紫外線吸収剤が添加されることもある。
【0163】
この様な分解性プラスチックについては、「科学と工業」第64巻第10号第478〜484頁(1990年)、「機能材料」1990年7月号第23〜34頁等に一般的に記載されるものが使用できる。また、Biopol(バイオポール)(ICI 社製)、Eco(エコ)(Union Carbide社製)、Ecolite(エコライト)(EcoPlastic社製)、Ecostar(エコスター)(St.Lawrence Starch社製)、ナックルP(日本ユニカー社製)等の市販されている分解性プラスチックを使用することができる。
【0164】
本発明の混合粒子群が酸素透過率30ml/(m2・day・atm)以下の包材に密封されているハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤の場合、外部からの酸素の侵入が減少するため、含有成分が酸素と接触する機会が減少することから、酸化反応による含有成分の劣化が抑制され長期保存安定性が向上し、粒子の形状も維持されるため、本発明の効果に対しより好ましい。
【0165】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤を用いて、ハロゲン化銀写真感光材料を処理する処理方法は、前述の従来技術の有する解決すべき課題に対し、非常に好ましい。
【0166】
例えば、一般に市販されている自動現像機に、従来の濃縮液タイプの処理剤を希釈溶解し備蓄するために装備されているタンク(通常補充液タンクと称する)に本発明の固体処理剤を投入した場合、粒子が水中で分散したのち瞬時に溶解し、均一な溶液となり、すぐに写真処理用の補充液として使用することが可能な状態となる。補充液が仕上がるための待ち時間が無いこと、かつ、処理剤が軽量コンパクトであること、複雑な処理剤の添加溶解基準が無いことなどから、作業者の現像処理作業の負担を軽減することが出来る。また、液漏れの心配もないことから包装材料は簡素化され、かつコンパクト化されているため破棄される包装材料も少なく、地球環境保護の観点からも好ましい。
【0167】
又、本発明の固体処理剤を自動現像機の処理槽に直接投入して処理液とする場合においても、前述の方法と同様、瞬時に溶解するため、溶け残りもなく、好ましく用いることが出来る。
【0168】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0169】
実施例1
(カラーペーパー用発色現像剤の作製)
以下に記載する方法に従って、本発明のカラーペーパー用発色現像剤を作製した。
【0170】
水溶液A(酸含有水溶液)の作製
N−[2−(4−Amino−N−ethyl−m−toluidino)e
thyl]−methane−sulfonamide sesquisulf
ate hydrate(本発明における酸) 14.50kg
Disulfoethyl hydroxylamine−2−sodium
−salt 8.10kg
純水 15.07kg
以上を完全に溶解するまで撹拌し、水溶液とした。固形分濃度は60重量%であった。
【0171】
上記水溶液を、スプレードライヤL−8(大川原化工機社製)を用いて、噴霧乾燥を行い、粒子A−1を得た。
【0172】
水溶液B(アルカリ含有水溶液)の作製
チノパールSFP(チバスペシャルティ社製) 3.00kg
パラトルエンスルホン酸ソーダ(本発明におけるアルカリ)13.00kg
亜硫酸ソーダ(本発明におけるアルカリ) 0.35kg
水酸化リチウム(本発明におけるアルカリ) 3.50kg
炭酸カリウム(本発明におけるアルカリ) 29.70kg
ジエチレントリアミン五酢酸・五ナトリウム塩
(本発明におけるアルカリ) 6.00kg
純水 34.70kg
以上を完全に溶解するまで撹拌し、水溶液とした。固形分濃度は60重量%であった。
【0173】
上記水溶液を、スプレードライヤL−8(大川原化工機社製)を用いて、噴霧乾燥を行い、粒子B−1を得た。
【0174】
次に、粒子A−1と粒子B−1をレーディゲミキサー(松坂技研社製)を用いて以下の重量比率で3分間混合し、現像剤混合粒子群AB−1とした。
【0175】
粒子A−1 28.92重量%
粒子B−1 71.08重量%
次に、以下に示す方法に従って、比較例の粒子を作製した。
【0176】
水溶液Cの作製
以上を完全に溶解するまで撹拌し、水溶液とした。固形分濃度は60重量%であった。
【0177】
上記水溶液を、スプレードライヤL−8(大川原化工機社製)を用いて、噴霧乾燥を行い、粒子C−1を得た。これを現像剤粒子群C−1とした。
又、以下に示す方法に従って、比較例の粒子を作製した。
【0178】
N−[2−(4−Amino−N−ethyl−m−toluidino)e
thyl]−methane−sulfonamide sesquisulf
ate hydrate(本発明における酸) 14.50kg
Disulfoethyl hydroxylamine−2−sodium
−salt 8.10kg
【0179】
以上をV型混合機で15分間混合したのち、ブリケッタ(新東工業社製)を用いて圧縮成型後、スピードミル(岡田精工社製)を用いて解砕したのち、振動ふるい機で分級して前記粒子A−1と同じ粒子径を有する粒子D−1を得た。
【0180】
チノパールSFP(チバスペシャルティ社製) 3.00kg
パラトルエンスルホン酸ソーダ(本発明におけるアルカリ)13.00kg
亜硫酸ソーダ(本発明におけるアルカリ) 0.35kg
水酸化リチウム(本発明におけるアルカリ) 3.50kg
炭酸カリウム(本発明におけるアルカリ) 29.70kg
ジエチレントリアミン五酢酸・五ナトリウム塩
(本発明におけるアルカリ) 6.00kg
【0181】
以上をV型混合機で15分間混合したのち、ブリケッタ(新東工業社製)を用いて圧縮成型後、スピードミル(岡田精工社製)を用いて解砕したのち、振動ふるい機で分級して前記粒子B−1と同じ粒子径を有する粒子E−1を得た。
【0182】
次に、粒子D−1と粒子E−1をレーディゲミキサー(松坂技研社製)を用いて以下の重量比率で3分間混合し、現像剤混合粒子群DE−1とした。
【0183】
粒子D−1 28.92重量%
粒子E−1 71.08重量%
さらに、以下に示す方法で、比較例の粒子を作製した。
【0184】
N−[2−(4−Amino−N−ethyl−m−toluidino)e
thyl]−methane−sulfonamide sesquisulf
ate hydrate(本発明における酸) 14.50kg
Disulfoethyl hydroxylamine−2−sodium
−salt 8.10kg
チノパールSFP(チバスペシャルティ社製) 3.00kg
パラトルエンスルホン酸ソーダ(本発明におけるアルカリ)13.00kg
亜硫酸ソーダ(本発明におけるアルカリ) 0.35kg
水酸化リチウム(本発明におけるアルカリ) 3.50kg
炭酸カリウム(本発明におけるアルカリ) 29.70kg
ジエチレントリアミン五酢酸・五ナトリウム塩
(本発明におけるアルカリ) 6.00kg
【0185】
以上をV型混合機で15分間混合したのち、ブリケッタ(新東工業社製)を用いて圧縮成型後、スピードミル(岡田精工社製)を用いて解砕したのち、振動ふるい機で分級して前記粒子C−1と同じ粒子径を有する粒子F−1を得た。これを現像剤粒子F−1とした。
【0186】
以上、作製した粒子群AB−1、C−1、DE−1、F−1は、全て同じ平均粒径を有していた。又、マイクロスコープで観察したところ、粒子群AB−1,C−1は、気泡を含有する粒子で構成されていたが、粒子群DE−1,F−1は、気泡を含有しない粒子で構成されていた。
【0187】
これら作成した粒子群を用いて、溶解性の評価を実施した。10リットルの20℃の純水に対して800gの現像剤粒子群を投入し、その後の溶解の様子を観察した。その結果を表1に示す。
【0188】
更に溶解性評価後の液を補充液として用いて、プリンタプロセッサー、コニカ社製自動現像機NPS−808QAにて、感光材料コニカカラーQAペーパータイプA7を連続現像処理した。処理量としては、処理槽の液が完全に補充液で置き換わる相当の補充がなされる迄、現像処理を実施した。そして現像処理された後の感光材料の最大露光部のイエロー、マゼンタ、シアン濃度(Dmax)を測定した。その結果を表2に示す。
【0189】
【表1】
【0190】
【表2】
【0191】
表1から分かるとおり本発明の現像剤粒子群は、著しく良好な溶解挙動を示す。又、表2から、連続現像処理において安定した処理性能を示していることが分かる。
【0192】
実施例2
次に、実施例1に示した現像剤混合粒子群AB−1と同様の手順で、噴霧乾燥の条件のみを種々変更して、気泡径と粒子径の比、嵩密度、を変化させて本発明の現像剤混合粒子群AB−2〜AB−10を作製した。
【0193】
これらの現像剤混合粒子群について、実施例1と同様な方法で溶解性の評価を実施した。その結果を表3に示す。
【0194】
【表3】
【0195】
この結果から、気泡径と粒子径の比は、大きい方が好ましく、嵩密度は、小さい方が好ましいことが分かった。
【0196】
実施例3
次に、実施例1に示した現像剤混合粒子群AB−1と同様の手順で、噴霧乾燥の条件のみを種々変更して、平均粒径を変化させて本発明の現像剤混合粒子群AB−11〜AB−15を作製した。
【0197】
これらの現像剤混合粒子群について、実施例1と同様な方法で溶解性の評価を実施した。その結果を表4に示す。
【0198】
【表4】
【0199】
この結果から分かるとおり、平均粒径が100〜1500μmの間で、より良好な溶解性を有している。
【0200】
実施例4
次に、実施例1の現像剤混合粒子群AB−1と同様の方法で噴霧乾燥装置の雰囲気下を窒素置換し、粒子に内包された気泡の窒素含有率を変化させて現像剤混合粒子群AB−16〜AB−17を作製した。
【0201】
又、これらの現像剤混合粒子群を酸素透過率の異なる種々の包装材料に包装して、50℃の環境下で1ヶ月間保存をおこなった。その後、実施例1と同様の方法で溶解性の評価を実施した。その結果を表5に示す。
【0202】
【表5】
【0203】
この結果から、粒子に内包された気泡の窒素ガス含有率の大きい方が、保存による溶解性の劣化が少なく、本発明の効果を良好に維持することが分かる。又、酸素透過率の小さい包装材料を用いて包装した方が、保存による溶解性の劣化が少なく、本発明の効果を良好に維持することが分かる。
【0204】
【発明の効果】
本発明の固体混合粒子群は、水中に投入後、直ぐに沈降して一カ所に固まること無く、素早く溶解するという効果が達成され、ハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤として用いる場合、従来の濃縮液タイプの処理剤に比べ、固体化することで、コンパクト、軽量で、溶解手順も簡略であり、廃棄包材の量も少ないというメリットと、コスト高となる溶解促進装置を必要とせず、既存の自動現像機にて、素早く溶解し均一な処理液となる高速溶解性に優れたというメリットを併せ持つことから、コスト上、性能上、顕著な効果が発揮される。
Claims (10)
- 少なくとも1種の酸を含有する粒子と、少なくとも1種のアルカリを含有する粒子の混合粒子群によって構成されるハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤であって、前記混合粒子群の粒子の内部に気泡を内包していることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
- 前記気泡の径が粒子径の1/10以上であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
- 前記固体処理剤の嵩密度が、1g/ml以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
- 前記少なくとも1種の粒子の平均粒径が、100〜1500μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
- 前記混合粒子群のうち少なくとも1種の酸を含有する粒子が、下記A群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、少なくとも1種のアルカリを含有する粒子が、下記B群の中から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
A群:
N−[2−(4−Amino−N−ethyl−m−toluidino)ethyl]−methane−sulfonamide sesquisulfate hydrate、
2−[(4−Amino−m−tolyl)ethylamino]ethanol sulfate、
2[(4−Aminophenyl)ethylamino]ethanol sulfate、
アスコルビン酸、
コハク酸、
マレイン酸、
エチレンジアミン四酢酸及びその鉄錯塩、
1,3−プロパンジアミン四酢酸及びその鉄錯塩、
ジエチレントリアミン五酢酸及びその鉄錯塩、
エチレンジアミンジコハク酸及びその鉄錯塩。
B群:
炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、1,3−プロパンジアミン四酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸塩、エチレンジアミンジコハク酸塩、酢酸塩、アスコルビン酸塩。 - 前記粒子が、その内部に含有する気体の窒素ガス含有率が90%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
- 前記混合粒子群が酸素透過率30ml/(m2・day・atm)以下の包材に密封されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤を用いてハロゲン化銀写真感光材料を処理することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤を用いて補充液を作成し、ハロゲン化銀写真感光材料を処理することを特徴とする請求項8に記載のハロゲン化銀写真感光材料の処理方法
- 請求項1〜7のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料用固体処理剤を処理タンクに直接投入することを特徴とする請求項8に記載のハロゲン化銀写真感光材料の処理方法。
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